(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】押出プラントベース食品製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23J 3/26 20060101AFI20240206BHJP
A23J 3/16 20060101ALI20240206BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240206BHJP
A23J 3/18 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A23J3/26 501
A23J3/16 501
A23J3/14
A23J3/18 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547493
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2022052840
(87)【国際公開番号】W WO2022171557
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ベッツ, ラインホルト ウィリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッグ, エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ピバロ, パトリック
(57)【要約】
本発明は、広義には、押出プラントベース食品製品を調製するための方法に関する。より具体的には、本発明は、繊維質の外観ならびに良好なジューシーさ及び柔らかさの特性を有する押出植物ベース食品製品を調製するための方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出プラントベース食品製品を調製するための方法であって、
a)40~70重量%の水と15~35重量%の植物性タンパク質とを含む組成物をエクストルーダーバレルに供給するステップと、
b)ステップa)からの組成物を、エクストルーダーバレル内で前記植物性タンパク質の変性温度より高い温度で押し出すステップと、
c)ステップb)からの組成物を、最後のエクストルーダーバレルの後に狭窄部を押し通すステップと、
d)ステップc)からの組成物を、冷却ダイを通して冷却するステップと、
e)ステップd)からの押し出された組成物に、ニードルインジェクターにより水溶液を注入するステップと、を含み、
前記狭窄部が、断面積D
constrを、前記狭窄部の前の断面積D
beforeと比較して30~90%減少させ、前記狭窄部の後の断面積D
afterが、再び増加する、方法。
【請求項2】
前記押出プラントベース食品製品が、動物性原料由来のタンパク質を含まない、請求項1に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項3】
前記植物性タンパク質が、ダイズタンパク質、エンドウ豆タンパク質、キャノーラタンパク質、ヘンプタンパク質、オート麦タンパク質、ソラマメタンパク質もしくは小麦グルテン、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1~2のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項4】
前記植物性タンパク質が、少なくとも2種の異なる植物性タンパク質の組み合わせから選択され、前記植物性タンパク質が、小麦グルテンと、エンドウ豆タンパク質、ダイズタンパク質、ソラマメタンパク質、及びキャノーラタンパク質から選択される少なくとも1種の他の植物性タンパク質と、を含み、小麦グルテンが、前記植物性タンパク質混合物中の全植物性タンパク質の20~70%を構成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項5】
前記エクストルーダーバレルが、80~300℃、好ましくは80~150℃の温度に加熱される、請求項1~4のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項6】
前記狭窄部が、前記断面積D
constrを、前記狭窄部の前の断面積D
beforeと比較して50~85%減少させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項7】
前記狭窄部が、1000~4000Pas
-1の組成物粘度で最後の押出バレルの後に位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載の押出プランドベース食品製品を調製するための方法。
【請求項8】
前記押し出された混合物が、前記冷却ダイの端部で50~110℃の出口温度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項9】
ステップc)又はステップd)の後に前記押し出された組成物を切断するステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項10】
7~35重量%(全組成物に基づく)の前記水溶液が、前記押し出された組成物中に注入される、請求項1~9のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項11】
前記ニードルインジェクターがマルチプルニードルインジェクターである、請求項1~10のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項12】
前記水溶液が、-5~38℃の温度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項13】
前記水溶液が、水又は水系溶液を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項14】
前記水系溶液が、香味料、親水コロイド、デンプン、繊維、タンパク質、ビタミン、ミネラル、着色料、脂質又はこれらの組み合わせから選択される原材料の少なくとも1つを含む、請求項13に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【請求項15】
前記水溶液が、0.1~40重量%の香味料(前記水溶液に基づく)、0.01~5重量%の親水コロイド(前記水溶液に基づく)、0.1~7重量%のデンプン(前記水溶液に基づく)、0.01~5重量%のタンパク質(前記水溶液に基づく)、0.01~5重量%の繊維(前記水溶液に基づく)、0.01~30重量%の脂質(前記水溶液に基づく)、0.0001~5重量%のビタミン(前記水溶液に基づく)、0.0001~5重量%のミネラル(前記水溶液に基づく)、0.01~10重量%の着色料(前記水溶液に基づく)又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる原材料を含む、請求項13又は14に記載の押出プラントベース食品製品を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、押出プラントベース食品製品を調製するための方法に関する。より具体的には、本発明は、繊維質の外観ならびに良好なジューシーさ及び柔らかさの特性を有する押出植物ベース食品製品を調製するための方法に関する。
【0002】
近年、消費者にとって便利でおいしい食品を選ぶことは一般的になってきている。しかしながら、便利な又は調製済み食品(ready-to-eat)は、脂肪及び短鎖炭水化物、例えば精製糖が多く、食物繊維及びタンパク質が少ないため、栄養バランスがとれていない傾向がある。特に、これらの便利な食物の高脂肪レベル及び低食物繊維レベルは、肥満及び種々の慢性疾患、例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中、糖尿病、及び特定の型のがんなどに寄与し得ると認識されている。
【0003】
高レベルの食物繊維及びタンパク質を食品に補充すると、オフフレーバーにより粉っぽさ及び淡泊な風味がもたらされるため、風味がひどく損なわれ得ることが周知である。風味の改善に関連する課題に加えて、食品のタンパク質レベルを増加させると、典型的には、消費者が期待する望ましい製品テクスチャーが損なわれることが知られている。これは、押出プラントベース食品製品にとって特に重要である。
【0004】
したがって、当該技術分野及び産業において、良好なジューシーさ、柔らかさ及び味覚の特性を備え繊維質の外観を有する、ヒト又はペットなどの動物のための押出プラントベース食品製品のための、より良好な解決策を提供することのニーズが存在する。
【0005】
本発明の目的は、最新技術を改善すること、又は押出プラントベース食品製品の代替物を少なくとも提供することであって、後者は以下のとおりである:
i)ヒト又はペットなどの動物のための押出プラントベース食品製品、ii)高タンパク質含量を有する押出プラントベース食品製品、iii)25重量%超、好ましくは30重量%超のタンパク質含量を有する押出プラントベース食品製品、iv)良好なジューシーさ及び柔らかさの特性を備え繊維質の外観を有する押出プラントベース食品製品、v)少量のデンプン又はデンプン粉を有する繊維質の外観を有する押出プラントベース食品製品、vi)良好な味覚特性を有する押出プラントベース食品製品、vii)良好なジューシーさ、柔らかさ及び良好な味覚の特性を備え繊維質の外観を有する押出プラントベース食品製品、viii)標準的なプロセスと比較して低減された量の風味剤を含み、良好なジューシーさ、柔らかさ及び味覚の特性を備え繊維質の外観を有する押し出されたプラントベース食品製品。
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成される。従属請求項は、本発明の着想を更に展開させるものである。
【0007】
したがって、第1の態様では、本発明は、押出プラントベース食品製品を調製するための方法であって、
a)40~70重量%の水と15~35重量%の植物性タンパク質とを含む組成物をエクストルーダーバレルに供給するステップと、
b)ステップa)からの組成物を、エクストルーダーバレル内で植物性タンパク質の変性温度より高い温度で押し出すステップと、
c)ステップb)からの組成物を、最後のエクストルーダーバレルの後に狭窄部(constriction)を通して押し出すステップと、
d)ステップc)からの組成物を、冷却ダイを通して冷却するステップと、
e)ステップd)からの押し出された組成物に、ニードルインジェクターにより水溶液を注入するステップと、
狭窄部が、断面積Dconstrを、狭窄部の前の断面積Dbeforeと比較して30~90%減少させ、狭窄部の後の断面積Dafterが、再び増加する、方法。
【0008】
一実施形態では、本発明は、押出プラントベース食品製品を調製するための方法を提供し、該方法は、
a)40~70重量%の水と15~35重量%の植物性タンパク質とを含む組成物をエクストルーダーバレルに供給するステップと、
b)ステップa)からの組成物を、エクストルーダーバレル内で植物性タンパク質の変性温度より高い温度で押し出すステップと、
c)ステップb)からの組成物を、最後のエクストルーダーバレルの後に狭窄部を通して押し出すステップと、
d)ステップc)からの組成物を、冷却ダイを通して冷却するステップと、
e)ステップd)からの押し出された組成物を切断するステップと、
f)ステップe)からの押し出された組成物に、ニードルインジェクターにより水溶液を注入するステップと、を含み、
狭窄部は、断面積Dconstrを、狭窄部の前の断面積Dbeforeと比較して30~90%減少させ、狭窄部の後の断面積Dafterは、再び増加する。
【0009】
驚くべきことに、本発明者らは、上記の方法を用いることによって、良好なジューシーさ及び柔らかさの特性を備え繊維質の外観を有する押出プラントベース食品製品を得ることができることを見出した。本開示のプロセスは、押出及び射出技術を使用して、良好なジューシーさ及び柔らかさの特性を備え本物の肉の繊維質の外観を有する押出プラントベース食品製品の連続生産を可能にする。最後のエクストルーダーバレルの後に狭窄部を適用し、押出物に水溶液の注入を適用することは、驚くべきことに、押出プラントベース食品製品の繊維感、ジューシーさ及び柔らかさの特性に関して有益な効果を有することが、本発明者らによって今回見出された。最後のエクストルーダーバレルの後の狭窄部は、断面積を一時的に制限し、これは繊維の整列に影響を及ぼす。より低密度の生成物が実現されることで、より良好に水溶液を注入することができる。加えて、香味料を含む水溶液を注入することで、注入後の押出物の味覚プロファイルに有益な効果が得られる。このプロセス以外の場合では高温及び高圧に関する押出プロセスの過酷な条件に耐えられない、熱に敏感な香味料、ビタミン、ミネラル、着色料又はこれらの組み合わせを使用することができる。デンプンを含む水溶液を注入すると、押出物の保水容量が増加する。親水コロイド、タンパク質、繊維又はこれらの組み合わせを含む水溶液を注入することで、注入される溶液の量が増加し、ジューシーさ及び柔らかさが増加する。
【0010】
本明細書に記載の全てのパーセンテージは、特に断りのない限り、押出プラントベース食品組成物の総重量によるものである。
【0011】
用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」は、ヒトを含む動物による摂取を意図した製品又は組成物を意味し、動物又はヒトに少なくとも1種の栄養を提供するものである。本開示は、特定の動物用に限定されるものではない。
【0012】
「プラントベース食品製品」は、肉(すなわち、哺乳動物、魚類、及び家禽由来の骨格組織及び非骨格筋)、並びに肉副産物(すなわち、屠畜処理された哺乳動物、家禽、又は魚類から得られる、レンダリング処理されておらず汚染のない、肉以外の部分)を全く含まない組成物である。
【0013】
「押出」は、断面プロファイルが定められた物体を作製するために使用されるプロセスである。材料は、所望の断面のダイを通して押されるか又は引かれる。このプロセスのその他の製造プロセスに対する2つの主な利点は、非常に複雑な断面を形成することができること、並びに材料が受けるのが圧縮応力及び剪断応力だけなので脆い製品を製造することができること、である。高水分での押出は、湿式押出として知られている。押出機は典型的にはエクストルーダーバレルを備え、その中で締り嵌めスクリューを回転させる。スクリューはスクリューエレメントから構成され、そのいくつかは、エクストルーダーバレルを通して材料を移動させるためのヘリカルスクリュースレッドである。材料は、一端に向けてエクストルーダーバレル内に導入され、スクリューの作用によってエクストルーダーバレルに沿って移動し、他端のノズル又はダイを通ってエクストルーダーバレルから押し出される。回転スクリューは、バレル内の材料を混合し、加工し、圧縮してダイ又はノズルを通して押し出す。材料が受ける混合及び仕事の程度、エクストルーダーバレルを通る材料の移動速度、したがってエクストルーダーバレル内の滞留時間、及びエクストルーダーバレル内で発生する圧力は、スクリュースレッドエレメントのピッチ、スクリューの回転速度、及びエクストルーダーバレル内への材料の導入速度によって制御することができる。エクストルーダーバレルは、端部同士が連結された複数のエクストルーダーバレルセクションを備える。複数のエクストルーダーバレルセクションは、搬送、混練、混合、脱揮、及び計量などの押出に関与する異なるプロセスを実施するために必要とされる。各エクストルーダーバレルセクションは、エクストルーダーバレルケーシング内に圧入されるライナを備え、加熱及び冷却エレメントは、エクストルーダーバレルセクションの温度を許容範囲内に調節するために提供される。押出プロセスの全長は、そのモジュールの押出バレル長によって決定され得る。エクストルーダーバレルは、その直径の単位によって記載される。
【0014】
「狭窄部」という用語は、Dconstrと呼ばれる内側断面積を一時的に減少させる。この減少は押出物の層流に影響を及ぼす。狭窄部を通過することによって乱流が発生し、押出物の繊維配向に影響を及ぼす。得られた製品は、圧縮を伴わない標準的な押出プロセスと比較して、より低密度であり、より肉様の繊維構造を有する。より低密度の押出物は、水溶液をより良好に注入することができる。狭窄部は、金属又は熱安定性プラスチック材料で作製され、任意の幾何学的形状を有することができる。好ましい実施形態では、狭窄部は、側方狭窄部(side constriction)又は中央狭窄部(centered constriction)である。「一時的」という用語は、狭窄部の前後で断面積がより大きいことを意味する。狭窄部前の断面積を、Dbeforeと呼ぶ。狭窄部後の断面積を、Dafterと呼ぶ。一実施形態では、断面積Dconstr<Dbefore及びDconstr<Dafterである。一実施形態では、断面積Dbefore=Dafterである。一実施形態では、断面積Dbefore>Dafter又はDbefore<Dafter、好ましくはDbefore>Dafterである。一実施形態では、狭窄部は、Dconstrと比較して、元の断面積Dbeforeを30~90%、好ましくは30~85%、好ましくは30~80%、好ましくは30~75%、好ましくは30~70%、好ましくは30~60%、好ましくは40~90%、好ましくは40~85%、好ましくは40~80%、好ましくは40~75%、好ましくは40~70%、好ましくは40~65%、好ましくは40~60%、好ましくは50~90%、好ましくは50~85%、好ましくは50~80%、好ましくは50~75%、好ましくは50~70%減少させる。
【0015】
一実施形態では、狭窄部は、穿孔された開口部、スタッド、リップル、スリット、ブレーカープレート、又はこれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、狭窄部は、最後のエクストルーダーバレルの後、好ましくは最後のエクストルーダーバレルと冷却ダイの長さの最初の半分との間、好ましくは最後のエクストルーダーバレルと冷却ダイの最初の3分の1の長さとの間に位置する。一実施形態では、狭窄部は1000~4000Pas-1の組成物粘度、好ましくは1500~4000Pas-1の組成物粘度、好ましくは2000~4000Pas-1の組成物粘度、好ましくは1000~3500Pas-1の組成物粘度、好ましくは1000~3000Pas-1の組成物粘度、好ましくは1000~2500Pas-1の組成物粘度、好ましくは1500~3500Pas-1の組成物粘度、好ましくは1500~3000Pas-1の組成物粘度、好ましくは1500~2500Pas-1の組成物粘度、好ましくは2000~4000Pas-1の組成物粘度、好ましくは2000~3000Pas-1の組成物粘度下で、最後の押出バレルの後に位置する。圧力セルを備えた振動レオメーター(MCR702、Anton Paar)を、予め定められた温度(T=120~160℃、t=90s)で使用することによって、組成物を熱的に前処理し、その後、同じ装置において100℃、0.1 s-1のせん断速度で粘度を測定した。
【0016】
「冷却ダイ」は、押し出された製品を所望の温度に冷却する。
【0017】
「植物性タンパク質」という用語には、「植物性タンパク質単離物」もしくは「植物性タンパク質濃縮物」又はこれらの組み合わせが含まれる。当業者は、植物性タンパク質濃縮物又は植物性タンパク質単離物の中に含まれる植物性タンパク質の量を計算する方法を熟知している。本明細書で使用される「植物性タンパク質濃縮物」という用語は、50~90%(無水ベースの植物性タンパク質)、好ましくは65~75%(無水ベースの植物性タンパク質)のタンパク質含量を有する植物材料である。植物性タンパク質濃縮物はまた、典型的には無水ベースで約3.5重量%~約20重量%までの植物繊維を含有する。本明細書で使用される「植物性タンパク質単離物」という用語は少なくとも約90%(無水ベースの植物性タンパク質)、好ましくは90~96%(無水ベースの植物性タンパク質)のタンパク質含量を有する植物材料である。
【0018】
植物性タンパク質としては、エンドウ豆タンパク質、トウモロコシタンパク質(例えば、粉砕トウモロコシ又はトウモロコシグルテン)、小麦タンパク質(例えば、粉砕小麦又は活性小麦グルテンなどの小麦グルテン)、ジャガイモタンパク質、ダイズタンパク質(例えば、大豆ミール、大豆濃縮物、又は大豆分離物)などのマメ科植物性タンパク質、米タンパク質(例えば、粉砕米又は米グルテン)、大麦タンパク質、藻類タンパク質、ヘンプ(hemp)タンパク質、オート麦タンパク質、キャノーラタンパク質、ソラマメ(fava)タンパク質、又はこれらの組み合わせに由来する植物性タンパク質濃縮物又は植物性タンパク質単離物が挙げられる。好ましくは、植物性タンパク質は、小麦グルテン、エンドウ豆タンパク質、キャノーラタンパク質、ヘンプタンパク質、ソラマメタンパク質、ダイズタンパク質又はこれらの組み合わせであり、より好ましくはエンドウ豆タンパク質、ダイズタンパク質、小麦グルテン又はこれらの組み合わせである。さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、ステップa)において、植物性タンパク質を、15~40重量%(組成物に基づく)、好ましくは20~40重量%、好ましくは25~40重量%、好ましくは15~35重量%、好ましくは15~30重量%、好ましくは15~25重量%、好ましくは20~35重量%、好ましくは25~35重量%、好ましくは20~30重量%(組成物に基づく)の量で含む。さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、ステップa)において、ダイズタンパク質、エンドウ豆タンパク質、小麦グルテン又はこれらの組み合わせを、15~40重量%(組成物に基づく)、好ましくは20~40重量%、好ましくは25~40重量%、好ましくは15~35重量%、好ましくは15~30重量%、好ましくは15~25重量%、好ましくは20~35重量%、好ましくは25~35重量%、好ましくは20~30重量%(組成物に基づく)の量で含む。さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、ステップa)において、ダイズタンパク質又はエンドウ豆タンパク質と小麦グルテンとの組み合わせを、15~40重量%(組成物に基づく)、好ましくは20~40重量%、好ましくは25~40重量%、好ましくは15~35重量%、好ましくは15~30重量%、好ましくは15~25重量%、好ましくは20~35重量%、好ましくは25~35重量%、好ましくは20~30重量%(組成物に基づく)の量で含む。さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、ステップa)において、15~40重量%(組成物に基づく)、好ましくは20~40重量%、好ましくは25~40重量%、好ましくは15~35重量%、好ましくは15~30重量%、好ましくは15~25重量%、好ましくは20~35重量%、好ましくは25~35重量%、好ましくは20~30重量%(組成物に基づく)の量のダイズタンパク質及び小麦グルテンを含む。さらなる実施形態では、植物性タンパク質は、少なくとも2種の異なる植物性タンパク質の組み合わせから選択され、該植物性タンパク質は、小麦グルテンと、エンドウ豆タンパク質、ダイズタンパク質、ソラマメタンパク質、及びキャノーラタンパク質から選択される少なくとも1種の他の植物性タンパク質と、を含み、小麦グルテンは、植物性タンパク質混合物中の全植物性タンパク質の20~70%、好ましくは40~60%を構成する。小麦グルテンと少なくとも1種の他の植物性タンパク質との組み合わせは、より軟らかい(softer)テクスチャーの利点を有し、さらにより柔らかい(tender)製品をもたらす。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、ステップa)において、40~70重量%、好ましくは45~70重量%、好ましくは45~65重量%、好ましくは50~70重量%、好ましくは50~65重量%、好ましくは55~70重量%、好ましくは55~65重量%の量の水を含む。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、1.5~10重量%、好ましくは2~10重量%、好ましくは2~8重量%、好ましくは2~7重量%、好ましくは3~8重量%、好ましくは3~7重量%の量の脂質を含む。脂質は、押出プロセス及び/又は注入水溶液に添加することができる。油を注入水溶液に添加する場合、それは好ましくはエマルジョンの形態で添加される。本発明の一実施形態では、脂質は、ステップa)の供給位置の下流の位置でエクストルーダーバレルに添加される。脂質注入のプロセスは、国際公開第2016150834号パンフレットに記載されている。注入水溶液に脂質を添加することもできる。
【0021】
脂質という用語には、任意の液体油、脂肪又はこれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、脂質という用語には、ダイズ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、オリーブ油、キャノーラ油、サフラワー油、ピーナッツ油、ヤシ油、綿実油、ココナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ナタネ油、分画されたパーム脂肪、完全に又は部分的に水添された又はエステル交換されたヤシ油、及びこれらの組み合わせが含まれる。好ましくは、脂質はヒマワリ油である。
【0022】
本発明の文脈における「香味料」という用語は、塩、香味剤、酸、味覚増強原材料、ハーブ、スパイス、野菜、又はこれらの混合物を含み、これらは食品に使用するのに適している。味覚増強原材料は、グルタミン酸一ナトリウム(MSG)及び/又は酵母抽出物などによって提供され得る。塩は、任意の適切なアルカリ金属塩又はこれらの混合物を指す。本発明の組成物において使用される塩は、典型的には塩化ナトリウムであるが、これに限定されない。例えば、塩化カリウムを使用してもよく、又は、最終配合物における味覚が許容可能であるならば、塩化ナトリウムの味覚の印象を有する任意の低ナトリウム製品を使用してもよい。酸は、酢、乳酸、クエン酸又はこれらの組み合わせによって提供され得る。香味料は、押出プロセス及び/又は注入水溶液に添加することができる。さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、0.5~40重量%(全組成物に基づく)、好ましくは0.5~35重量%、好ましくは0.5~30重量%、好ましくは0.5~25重量%、好ましくは0.5~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、好ましくは2~10重量%、好ましくは2~8重量%、好ましくは3~8重量%の量の香味料を含む。
【0023】
本発明の文脈における「フィラー」という用語には、炭水化物が含まれる。炭水化物は、デンプン、穀粉、糖、マルトデキストリン、グルコースシロップ、又はこれらの組み合わせによって提供され得る。「デンプン」という用語には、穀粉も含まれる。デンプン及び/又は穀粉としては、コメ、コムギ、トウモロコシ、オオムギ、及びソルガム、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、クズウコン、ヤムイモ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、ムング豆若しくはレンズ豆、又はこれらの任意の組み合わせに由来するものが挙げられる。さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、0.5~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、好ましくは0.5~7重量%、好ましくは1~10重量%、好ましくは1~8重量%、好ましくは1~7重量%、好ましくは1~5重量%、好ましくは2~7重量%、好ましくは0.5~6重量%、好ましくは0.5~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、好ましくは0.5~3重量%の範囲のフィラーを含む。
【0024】
デンプンは、押出プロセス及び/又は注入水溶液に添加することができる。デンプンを注入物の水溶液に添加すると、最終製品が調理又は揚げられることにより注入後の押出食品組成物がより良好な保水能力を有するという、驚くべき効果が得られる。
【0025】
さらなる実施形態では、本発明の押出プラントベース食品製品は、0~15重量%、好ましくは0~12重量%、好ましくは0~10重量%、好ましくは0~8重量%、好ましくは0.1~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、好ましくは0.1~5重量%、好ましくは1~15重量%、好ましくは1~12重量%、好ましくは1~10重量%、好ましくは1~8重量%、好ましくは5~15重量%の範囲の繊維を含む。押出プロセスにおける本発明による「繊維」は、食物繊維、好ましくは水不溶性植物性食物繊維である。食物繊維は、食用植物細胞の残滓、多糖類、リグニン及びヒトの消化酵素による消化(加水分解)に耐性のある関連物質からなる。食物繊維は、野菜、果物、穀物又はこれらの組み合わせに由来する。食物繊維は、ニンジン、赤かぶ、カボチャ、シトラス、コムギ、オート麦、タケ、トマト、ピーマン、リーキ、ショウガ、タマネギ、ケール、パースニップ、セロリ、キュウリ、ズッキーニ、ブロッコリー、コールラビ、アスパラガス、豆、ソラマメ、レンズ豆、ヒヨコマメ、エンドウマメ、ルピナス、ベッチ、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択され、好ましくは、ニンジン、赤かぶ、カボチャ、シトラス、コムギ、オート麦、タケ、トマト、又はこれらの組み合わせである。
【0026】
本発明の一実施形態では、押出プラントベース食品製品は、ビタミン、ミネラル及び鉄塩として1つ以上の強化化合物を含む。ビタミンという用語には、ビタミンA、ビタミンB群(B1、B2、B6及びB12など)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンK、ナイアシン、並びにパントテン酸、葉酸及びビオチンなどの酸性ビタミンが含まれ、ビタミンB12が好ましい。ミネラルという用語には、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、ヨウ素、銅、リン、マンガン、カリウム、クロム、モリブデン、セレン、ニッケル、スズ、ケイ素、又はバナジウムが含まれる。鉄塩という用語には、EDTA鉄ナトリウム、還元鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、ピロリン酸鉄、硫酸鉄1水和物又はクエン酸鉄アンモニウム(褐色)が含まれ、好ましくはピロリン酸鉄が含まれる。強化化合物の具体的な量は、原材料のアイデンティティ;動物の種;動物の年齢、体重、健康状態、性別、及び食生活;動物による飲食速度;フード製品を動物に投与する目的などの様々な因子に応じたものとなる。したがって、成分、及びその量は非常に様々であり得る。強化化合物は、押出プロセス及び/又は注入水溶液に添加することができる。
【0027】
一実施形態では、押出プラントベース食品製品はまた、1つ以上の着色料を含むことができる。着色料という用語には、青色1号、青色2号、緑色3号、赤色3号、赤色40号、黄色5号、及び黄色6号等のFD&C着色料、カラメル色素、アナトー、クロロフィリン、コチニール、ベタニン、ウコン、サフラン、パプリカ、リコピン、ニワトコジュース、パンダン、及びチョウマメなどの天然着色料及び/又は食品着色剤;二酸化チタン;炭酸塩炭素;並びに当業者に既知の任意の好適な食用着色料が含まれる。本発明の1つの他の実施形態では、着色料は、ピーマン、赤かぶ、ニンジン、ブラックカラント、麦芽オオムギ粉末又はこれらの組み合わせから選択される。本発明の一実施形態では、肉類似製品は、0.1~10重量%(全組成物の重量パーセント)、好ましくは0.1~5重量%(全組成物の重量パーセント)の着色料を含む。着色料は、押出プロセス及び/又は注入水溶液に添加することができる。多くの着色料は熱感受性であるため、着色料は好ましくは注入水溶液に添加される。
【0028】
さらなる実施形態では、押出プラントベース食品製品は、少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%のタンパク質含量を有する。さらなる実施形態では、押出プラントベース食品製品は、15~40重量%(全組成物に基づく)、好ましくは20~40重量%、好ましくは25~40重量%、好ましくは15~35重量%、好ましくは15~30重量%、好ましくは15~25重量%、好ましくは20~35重量%、好ましくは25~35重量%、好ましくは20~30重量%(全組成物に基づく)のタンパク質含量を有する。
【0029】
さらなる実施形態では、スラリー入口を通してエクストルーダーバレルに供給する前に、乾燥植物性タンパク質に水を混合してもよい。植物性タンパク質がエクストルーダーバレルに供給される前に水と混合される場合、ノンミート生地は、例えばポンプ輸送によって混合装置から移送することができる。一実施形態では、ノンミート生地は、任意のその他の加工又は原材料の添加若しくは除去はせずに、混合装置からエクストルーダーバレルに直接移送される。
【0030】
さらなる実施形態では、乾燥粉末の形態の植物性タンパク質がエクストルーダーバレルに添加され、水がエクストルーダーバレルに別々に添加される。乾燥植物性タンパク質と水との混合は、エクストルーダーバレル内で加えられる(forced)機械的エネルギーによって行われる。したがって、エクストルーダーバレルに供給する前に植物性タンパク質と水との生地を形成する必要はない。
【0031】
エクストルーダーバレルは、70~300℃、好ましくは80~200℃、好ましくは90~190℃の温度に加熱される。フロントプレート上(最後のエクストルーダーバレルと冷却ダイとの間)の圧力は、10~40バール、好ましくは10~30バール、好ましくは10~20バールである。スクリュー速度は、約50~600rpm、好ましくは50~500rpm、好ましくは100~600rpm、好ましくは200~600rpm、好ましくは200~500rpm、好ましくは200~400rpmである。
【0032】
冷却ダイにおける冷却の間、加熱されたノンミート生地が冷却装置を通って移動するに従い、温度及び圧力の両方を漸減させる。生地は水分を含み、かつ高温下にあるため、好ましくは食品製品が急激に膨張しないよう水分のフラッシングが調節される。製品の膨張が急速過ぎると、テクスチャー調整した食品製品の構造が破壊され得る。しかしながら、目標とする最終的な食品製品像によっては、食品製品の中心部の温度を下げるため、及び/又は食品製品中の繊維の一部を露出させるため、いくらかのフラッシングが必要となり得る。本発明の好ましい実施形態では、フラッシングが回避される。一実施形態では、押し出された混合物は、冷却装置において、予め定められた速度で圧力低下を受け、及び/又は冷却装置の終端において、予め定められた最終圧力に供される。押し出された混合物は、冷却ダイの端部において、40~110℃、好ましくは50~100℃、好ましくは50~98℃、好ましくは60~95℃、好ましくは60~90℃、好ましくは65~98℃、好ましくは65~95℃、好ましくは65~90℃、好ましくは70~90℃の出口温度を有する。
【0033】
冷却ダイ内で冷却した後、押し出された混合物に水溶液を注入する。注入という用語は、ニードルインジェクター、好ましくはマルチプルニードルインジェクターを使用して押出物中の水の量を増加させることを意味する。本発明の一実施形態では、7~35重量%(全組成物に基づく)、好ましくは8~35重量%、好ましくは9~35重量%、好ましくは10~35重量%、好ましくは12~35重量%、好ましくは13~35重量%、好ましくは7~30重量%、好ましくは8~30重量%、好ましくは9~30重量%、好ましくは10~30重量%、好ましくは12~30重量%、好ましくは13~30重量%、好ましくは7~25重量%、好ましくは8~25重量%、好ましくは9~25重量%、好ましくは10~25重量%、好ましくは12~25重量%、好ましくは13~25重量%、好ましくは7~20重量%、好ましくは8~20重量%、好ましくは9~20重量%、好ましくは10~20重量%、好ましくは12~20重量%、好ましくは13~20重量%(全組成物に基づく)の水溶液が、押し出された組成物に注入される。
【0034】
本発明の一実施形態では、水溶液は、水又は水系溶液、好ましくは水系溶液を含む。水系溶液は、香味料、親水コロイド、デンプン、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラル、着色料、脂質又はこれらの組み合わせ、好ましくは香味料、親水コロイド、デンプン、タンパク質、食物繊維又はこれらの組み合わせ、好ましくは香味料、親水コロイド、デンプン、脂質又はこれらの組み合わせから選択される原材料の少なくとも1つを含む。水系溶液は、香味料と親水コロイドとの組み合わせを含む。水系溶液は、香味料、デンプン及び親水コロイドの組み合わせを含む。好ましい実施形態では、水系溶液は、25℃で1s-1のせん断速度で1.02~10Pa.sの範囲、好ましくは25℃で1s-1のせん断速度で1.02~5Pa.sの範囲、好ましくは25℃で1s-1のせん断速度で1.02~2Pa.sの範囲、好ましくは25℃で1s-1のせん断速度で1.05~2Pa.sの範囲、好ましくは25℃で1s-1のせん断速度で1.1~2Pa.sの範囲の粘度を有する。粘度は、モジュラーコンパクトレオメーター(Physica MCR 300;測定システムST24/1D-2V CC27)により、25℃で1s-1のせん断速度で測定した。粘度が水の値よりも高い場合、注入後の押出製品から漏出させずに、より多量の水系溶液を注入することができる。本発明の一実施形態では、水系溶液は、0.1~40重量%の香味料(水溶液に基づく)、0.01~10重量%の親水コロイド(水溶液に基づく)、0.0001~5重量%のビタミン(水溶液に基づく)、0.0001~5重量%のミネラル(水溶液に基づく)、0.01~10重量%の着色料(水溶液に基づく)、0.1~7重量%のデンプン(水溶液に基づく)、0.01~5重量%のタンパク質(水溶液に基づく)、0.01~5重量%の食物繊維(水溶液に基づく)、0.01~30重量%の脂質(水溶液に基づく)又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのさらなる原材料を含む。本発明の一実施形態では、水系溶液は、0.1~40重量%の香味料(水溶液に基づく)と、0.01~10重量%のヒドロコロイド(水溶液に基づく)との組み合わせを含む。本発明の一実施形態では、水系溶液は、0.1~40重量%の香味料(水溶液に基づく)と、0.1~7重量%のデンプン(水溶液に基づく)と、0.01~10重量%の親水コロイド(水溶液に基づく)との組み合わせを含む。本発明の一実施形態では、水溶液中の香味料としての塩の量は、0.1~15重量%(水溶液に基づく)、好ましくは0.5~12重量%、好ましくは1~10重量%、好ましくは1~8重量%、好ましくは1~5重量%(水溶液に基づく)である。
【0035】
本発明の一実施形態では、水溶液中の香味料の量は、0.1~40重量%(水溶液に基づく)、好ましくは0.5~40重量%、好ましくは1~40重量%、好ましくは1~35重量%、好ましくは1~30重量%、好ましくは1~25重量%、好ましくは1~20重量%、好ましくは1~15重量%、好ましくは3~25重量%(水溶液に基づく)である。
【0036】
本発明の一実施形態では、水溶液中の親水コロイドの量は、0.01~5重量%(水溶液に対して)、好ましくは0.1~5重量%、好ましくは0.1~3重量%(水溶液に対して)である。本発明の内容における「親水コロイド」という用語には、キサンタン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェラン、コンニャクガム、アガーガム、アルギネート、ペクチン、カラギーナン又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0037】
本発明の一実施形態では、水溶液中のデンプンの量は、0.1~7重量%(水溶液に対して)、好ましくは0.1~5重量%、好ましくは1~7重量%、好ましくは1~5重量%(水溶液に対して)である。本発明の水溶液の内容物における「デンプン」という用語には、天然もしくはアルファ化デンプン又はこれらの組み合わせが含まれる。デンプンとしては、コメ、コムギ、トウモロコシ、オオムギ、及びソルガム、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、クズウコン、ヤムイモ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、ムング豆、もしくはレンズ豆、又はこれらの任意の組み合わせに由来するものが挙げられる。
【0038】
本発明の一実施形態では、水溶液中のタンパク質の量は、0.01~5重量%(水溶液に基づく)、好ましくは0.1~5重量%、好ましくは0.1~3重量%(水溶液に基づく)である。本発明の水溶液の内容物における「タンパク質」という用語には、植物性タンパク質が含まれる。
【0039】
本発明の一実施形態では、水溶液中の繊維の量は、0.01~5重量%(水溶液に対して)、好ましくは0.1~5重量%、好ましくは0.1~3重量%(水溶液に対して)である。本発明の水溶液の内容物における「繊維」という用語は、好ましくは水溶性食物繊維である。繊維には、少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは50~99.5%の可溶性画分を有する繊維が含まれる。繊維は、野菜、果物、穀物、豆類、又はこれらの組み合わせに由来する。繊維は、ニンジン、赤かぶ、カボチャ、シトラス、コムギ、オート麦、タケ、トマト、ピーマン、リーキ、ショウガ、タマネギ、ケール、パースニップ、セロリ、キュウリ、ズッキーニ、ブロッコリー、コールラビ、アスパラガス、豆、ソラマメ、レンズ豆、ヒヨコマメ、エンドウマメ、ルピナス、ベッチ、サイリウム、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択され、好ましくはニンジン、赤かぶ、カボチャ、シトラス、サイリウム、コムギ、オート麦、タケ、トマト、又はこれらの組み合わせ、好ましくはサイリウム、シトラス繊維、又はこれらの組み合わせである。
【0040】
本発明の一実施形態では、水溶液は、0.2~5バール、好ましくは0.5~4バール、好ましくは0.75~3.5バール、1~3バールの圧力で注入される。水溶液の温度は-5~38℃であり、好ましくは-5~35℃、好ましくは-5~25℃、好ましくは-5~20℃、好ましくは-5~15℃、好ましくは-5~10℃、好ましくは-5~5℃、好ましくは0~35℃、好ましくは0~25℃、好ましくは0~20℃、好ましくは0~15℃、好ましくは0~10℃、好ましくは0~5℃、好ましくは1~35℃、好ましくは1~25℃、好ましくは1~15℃、好ましくは1~10℃、好ましくは1~5℃である。驚くべきことに、この温度範囲を使用して押出製品を射出によってさらに冷却することは、特に射出された押出製品が後でしばしば凍結されるため、有利であることが見出された。この温度範囲で水溶液を注入すると、その後に必要とされる凍結時間が短縮される。水溶液の温度は、水溶液中のNaClなどのイオンのために0℃未満であり得る。さらに、デンプン及び/又は着色料のような熱感受性原材料を水溶液に添加することができる。
【0041】
「切断」という用語は、押し出されたプラントベースの食品製品が、スライスされ、切断され、粉砕され、細断され、すりつぶされ、又はこれらの組み合わせを受け得ること、好ましくはスライスされ又は切断され得ることを意味する。切断は、製造される食品製品の形状に応じて、垂直ナイフ、水平ナイフ及び/又はダイアゴナルナイフを有する静止ナイフ、回転ナイフ又は振動ナイフで行うことができる。押し出された組成物の切断は、加工ステップc)又はステップd)の後、好ましくはステップc)の後に行うことができる。これは、切断が水溶液の注入の前又は後に、好ましくは押出物の注入の前に行われ得ることを意味する。
【0042】
当業者は、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を自由に組み合わせることができることを理解するであろう。特に、本発明の組成物のために記載された特徴を本発明の組成物の調製のための方法と組み合わせてよく、逆もまた同様である。更に、本発明の異なる実施形態について記載された特徴を組み合わせてもよい。本発明の更なる利点及び特徴は、実施例から明らかである。特許請求される本発明は、形はどうあれ、これらの実施例によって限定されることを決して意図するものではないことが理解されよう。
【0043】
[実施例]
実施例1~4:
本実施例は、本発明の方法による押出プラントベース食品製品の調製を記載する。植物性タンパク質の乾燥混合物をホッパーを通してエクストルーダーバレルに添加し、水を別個に押出機に注入した。エクストルーダーバレルは、80~180℃の曲線内で加熱される。最後のエクストルーダーバレルの後、狭窄部Dconstrを実施例2及び実施例4に使用して、断面積Dbeforeを60%に減少させた。狭窄部の後、断面積は再びDafterに増加する。実施例1及び実施例3については、狭窄部は使用しなかった。冷却ダイは、押し出された混合物を80℃の出口温度まで冷却する。押し出された製品を切断し、ニードルインジェクター(Henneken;HPI650Servo)を使用して水性溶液を注入した。Buhler B93二軸スクリュー押出機で以下の材料から生成物を製造した:
【0044】
【0045】
比較例1は、最後のエクストルーダーバレルの後に狭窄部を有さず、押出物への水の注入がない。比較例2は、最後のエクストルーダーバレルの後に狭窄部を有するが、押出物中への水の注入がない。比較例3は、最後のエクストルーダーバレルの後に狭窄部を有さないが、押出物への水の注入がある。実施例4は、最後のエクストルーダーバレルの後に狭窄部を有し、12重量%の水も押出物に注入される。
【0046】
社内の熟練したパネリスト8名により、各実施例の官能特性を評価した。したがって、各実施例は、味見前に油で揚げた。比較例1は、ジューシーさ及び柔らかさに欠ける乾燥製品として記載されている。そのテクスチャーは、引き裂きが難しい繊維質の層状構造である。比較例2は、比較例1と同様に乾燥していると知覚され、ジューシーさ及び柔らかさも失われているが、テクスチャーはより肉のようであり、引き裂きやすい。比較例3は、比較例1及び比較例2と比較して、よりジューシーであり、より柔らかいが、テクスチャーは比較例1と非常に類似しており、したがって、製品の引き裂きは同様に困難である。実施例4は、ジューシーで柔らかく、良好な引き裂き特性を備えた良好なテクスチャーも有する、最良の例として受け入れられた。
【0047】
実施例5:
実施例4の方法に従って、以下の材料から押出製品を得た:
【0048】
【0049】
社内の熟練したパネリスト8名により、実施例5の官能特性を実施例4と比較して評価した。製品の繊維感及びジューシーさの知覚は同じであるが、実施例5は実施例4と比較してより良好な味覚を有する。理論に束縛されるものではないが、香味料(NaCl及び肉香味料)は、押出プロセスの場合のようにはタンパク質マトリックス中に取り込まれないことが予想される。したがって、香味料が水溶液の中に注入される場合、香味料は口の中でより強く知覚され、香味料の量を低減することができる。
【0050】
実施例6~実施例8:
実施例4の方法に従って、以下の材料から押出製品を得た:
【0051】
【0052】
【0053】
実施例7の水溶液は、実施例6に加えてデンプンも含む。実施例8の水溶液は、実施例7と比較して水溶液の粘度及び注入される水溶液の量を増加させる親水コロイドをさらに含む。実施例9の水溶液は、実施例6と比較して水溶液の粘度及び注入される水溶液の量を増加させる親水コロイドをさらに含む。
【0054】
社内の熟練したパネリスト8名により、実施例6~実施例9の官能特性を評価した。繊維感の知覚は同等であると評価された。実施例7及び特に実施例9は、実施例6と比較して、よりジューシーでより柔らかいと知覚された。実施例7及び実施例8のデンプンは、調理又は揚げた後の最終製品の保水能力を増加させる。油で揚げた後、実施例6は20重量%の水分を失っていたが、実施例7及び実施例8は揚げた後に10重量%の水分しか失っていなかった。ジューシーさ及び柔らかさが最良であると知覚されたのは実施例8であった。
【0055】
実施例10~実施例12:Dconstrの断面積の違い
実施例4の方法及び組成物に従って、Dbeforeと比較してDconstrの構築ギャップ(construction gap)サイズを変更して押出製品を得た。その後、対応するテクスチャーを評価した。
【0056】
【0057】
比較例13:押出物を水で茹でることと、注入との比較
比較例2を使用して、押出物を90℃の熱水で15分間茹でて、それを実施例4と比較した。吸水を測定するために、押出物を調理の前後に秤量した。茹でた押出物が取り込んでいた水分はわずか5.5重量%(全組成物に基づいて)であった。これは、押出物に水溶液を注入することによって、より多量の水を製品に注入することができ、これがよりジューシーで柔らかい官能特性を与えることを示すものである。加えて、茹でプロセスは少なくとも数分かかるのに対して、マルチプルニードルインジェクターによる押出物の注入ははるかに速く、数秒しかかからないことはさらなる利点である。茹でた後、茹でた押出物を冷ます必要があり、ここで、注入は冷水溶液を用いて行われ得る。これは再び処理時間を増加させる。加えて、熱に敏感な原材料(例えば、デンプン及び/又は着色料)は、注入プロセスと比較して、茹でステップ中に使用することができない。
【国際調査報告】