IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルシド バイオイメージング インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-506605軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT
<>
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図1
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図2
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図3
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図4
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図5
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図6
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図7A
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図7B
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図7C
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図8
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図9
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図10
  • 特表-軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】軟組織のコントラストを改善するシステム及び方法、マルチスケールモデリング並びにスペクトルCT
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240206BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20240206BHJP
【FI】
A61B6/03 573
A61B6/03 560J
A61B6/46 536Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547652
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022011689
(87)【国際公開番号】W WO2022173534
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/147,609
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/566,439
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520465998
【氏名又は名称】エルシド バイオイメージング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】バックラー アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジー チャングオ
(72)【発明者】
【氏名】アッヤピッライ ムラリ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093EA07
4C093FF16
4C093FF17
4C093FF35
(57)【要約】
軟組織のコントラストを改善し、組織を特徴付け、表現型を分類し、リスクを層別化し、マルチエネルギー又はマルチコントラストの励起及び評価によって支援されたマルチスケールモデリングを実行するシステム及び方法が提供される。このシステム及び方法は、単相及び多相の取得、並びに広範かつ局所的なスペクトルイメージングを使用して、例えば、血管壁及び血管周囲空間におけるアテローム性動脈硬化症プラーク組織を評価することを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟組織の分析を改善するコンピュータ化された方法であって、
コンピューティングデバイスによって患者の複数の放射線画像を取得するステップであって、前記複数の放射線画像のそれぞれが異なる励起を用いて取得される、ステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、予想される軟組織タイプに基づいて複数の励起を分析するために、複数の処理から1つの処理を選択するステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記処理された前記複数の励起をセグメント化して前記軟組織を表示するステップと、
を含む、コンピュータ化された方法。
【請求項2】
前記複数の放射線画像は、コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、前記異なる励起は、異なるX線エネルギーである、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項3】
前記複数の放射線画像は、磁気共鳴(MR)画像であり、前記異なる励起は、異なる高周波パルスである、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項4】
前記複数の放射線画像は、超音波画像であり、前記異なる励起は、異なる周波数である、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項5】
前記コンピューティングデバイスによって、前記患者の前記複数の放射線画像に基づいて、関心領域内に第一の組織タイプを決定するステップであって、前記第一の組織タイプが前記関心領域にわたる点のグリッドによって表されるステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記患者の前記複数の放射線画像に基づいて、前記関心領域内に第二の組織タイプを決定するステップであって、前記第二の組織タイプが前記関心領域内の局所的領域であり、前記第一の組織タイプの少なくともいくつかのグリッド点が前記第二の組織タイプのグリッド点とは位置が一致するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項6】
前記複数の処理は、デジタル減算処理、デジタル加算処理、多変量統計的処理、又は励起選択処理を含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項7】
前記デジタル減算処理は、前記複数の放射線画像の第一のサブセットを、前記サブセット内にない前記複数の放射線画像のうちの1つ以上から減算することを含む、請求項6に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項8】
前記デジタル加算処理は、受信された前記複数の放射線画像を平均化することを含む、請求項6に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項9】
前記多変量統計的処理は、
前記複数の放射線画像を組み合わせることと、
多変量統計的アプローチによりクラス間依存関係を除去することと、
を含む、請求項6に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項10】
前記複数の放射線画像は、CT画像であり、複数の前記CT画像のそれぞれは、
第一のX線源によって、第一のX線減衰を、前記患者の所定領域の画像を生成するように寸法設定されたエネルギー積分型検出器に向け、
第二のX線源によって、第二のX線減衰を、前記所定領域内の特定の組織標的の画像を生成するフォトンカウンティング型検出器に向け、
プロセッサによって、前記患者の前記所定領域の前記画像及び前記所定画像内の前記特定の組織標的の前記画像に基づいて、最終CT画像を生成することにより、生成される、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項11】
前記励起選択処理は、前記組織タイプに基づいて、前記複数の放射線画像から特定の放射線画像を選択することを含む、請求項6に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項12】
ハイブリッドコンピュータ断層撮影(CT)スキャナであって、
第一のX線減衰を、患者の所定領域の画像を生成するように寸法設定されたエネルギー積分型検出器に向ける第一のX線源と、
第二のX線減衰を、前記所定領域内の特定の組織標的の画像を生成するフォトンカウンティング型検出器に向ける第二のX線源と、
前記患者の前記所定領域の前記画像及び前記所定画像内の前記特定の組織標的の前記画像に基づいて、最終CT画像を生成するプロセッサと、
を含む、ハイブリッドCTスキャナ。
【請求項13】
前記エネルギー積分型検出器及び前記フォトンカウンティング型検出器は、同じ視野から情報を取得するように配置される、請求項12に記載のハイブリッドCTスキャナ。
【請求項14】
前記患者の前記所定領域の前記画像は、グレースケールCT画像である、請求項12に記載のハイブリッドCTスキャナ。
【請求項15】
前記所定画像内の前記特定の組織標的の前記画像は、スペクトルCT画像である、請求項12に記載のハイブリッドCTスキャナ。
【請求項16】
前記エネルギー積分型検出器は、その第一のX線源に対して、前記フォトンカウンティング型検出器とその第二のX線源との間で90度ずれるように配置される、請求項12に記載のハイブリッドCTスキャナ。
【請求項17】
前記プロセッサは、組織タイプを分析するように構成され、前記分析は、
予想される軟組織タイプに基づいて前記最終CT画像を分析するために、複数の処理から1つの処理を選択することと、
処理された前記最終CT画像をセグメント化して前記軟組織を表示することと、
を含む、請求項12に記載のハイブリッドCTスキャナ。
【請求項18】
前記フォトンカウンティング型検出器は、前記特定の組織標的をイメージングするように構成されたマルチエネルギービンを含む、請求項12に記載のハイブリッドCTスキャナ。
【請求項19】
混合した組織タイプを決定して表示するコンピュータ化された方法であって、
コンピューティングデバイスによって、患者の放射線画像を受信するステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記患者の前記放射線画像に基づいて、関心領域内に第一の組織タイプを決定するステップであって、前記第一の組織タイプが前記関心領域にわたる点のグリッドによって表される、ステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記患者の前記放射線画像に基づいて、前記関心領域内に第二の組織タイプを決定するステップであって、前記第二の組織タイプが前記関心領域内の局所的領域であり、前記第一の組織タイプの少なくともいくつかのグリッド点が前記第二の組織タイプのグリッド点とは位置が一致する、ステップと、
を含む、コンピュータ化された方法。
【請求項20】
前記複数の放射線画像は、コンピュータ断層撮影(CT)画像、磁気共鳴(MR)画像又は超音波画像である、請求項19に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項21】
前記第一の組織タイプ及び前記第二の組織タイプは、オーバーレイされる、請求項19に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項22】
前記点のグリッドは、様々な密度を有する、請求項19に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項23】
前記第一の組織タイプは、微小石灰化組織であり、前記第二の組織タイプは、LNRC、高密度石灰化又はIPHである、請求項19に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項24】
前記コンピューティングデバイスによって、前記CT画像に対して、マルチエネルギーフォトンカウンティング型K吸収端差分イメージングを行うステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記CT画像に対して、正則化モデルを用いてスペクトル画像のノイズ除去を行うステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、K吸収端差分され、ノイズ除去された前記CT画像上のカルシウムの信号対ノイズ比を改善するステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記改善されたカルシウム画像をセグメント化して、局所的な高密度石灰化及び分散的な微小石灰化の一方又は両方を表現するステップと、
を更に含む、請求項19に記載のコンピュータ化された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年2月9日に出願された米国仮特許出願第63/147,609号の利益及び優先権を主張するものであり、本願の全ての内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれ、本願の譲受人によって所有されている。
【0002】
(政府実施許諾権)
この研究は、契約番号HL 126224の下で米国国立心臓・肺・血液研究所によって部分的に支援された。米国政府は、本発明に一定の権利を有し得る。
【0003】
本発明は、コンピュータ化された画像分析及び/又はデータ融合アルゴリズムを患者データに適用することを含む、疾患のコンピュータ支援表現型(CAP)に関する。特に、本発明は、軟組織のコントラストを改善する技術、マルチスケールモデリング及び/又はスペクトルCTを含む、アテローム性動脈硬化症の疾患過程を解明する定量的イメージング及び分析に関する。
【背景技術】
【0004】
アテローム性動脈硬化症は、特に高齢者においてはもちろん、比較的若い人においても、生命を脅かす可能性がある。現在、アテローム性動脈硬化症を診断する方法(例えば、コレステロール値などの血液マーカーの使用)及び/又は管腔の狭窄(狭窄症)の程度を決定する方法は限られているため、最適な治療法を決定することができない(例えば、手術を行うか行わないか、又は強化薬物療法を処方するなど)。例えば、多くの血管手術は、患者に役立たず、手術を必要とするが手術を受けられない患者もいるし、薬物で効果的に治療できるが処方されない患者もいる。
【0005】
現在のツールは、血管管腔を分析することができるが、アテローム性動脈硬化症が、血液、及び血液が流れる通路ではなく、血管壁の疾患であるため、アテローム性動脈硬化症を正確診断するには不十分である可能性がある。リスクレベルの誤分類、薬物療法に対して予想される反応を評価できないこと、及び/又は薬物に対する反応を測定できないことが発生する可能性が高い。
【0006】
現在、放射線イメージングは、疾患の原因を特定する非侵襲的で安全な方法として使用することができる。現在の医用イメージングツールは、コンピュータ断層撮影(シングルエネルギー、マルチエネルギー、又はスペクトルCTを含むCT)、磁気共鳴イメージング(MRA、DCE-MRI、又はマルチコントラストMRIを含むMR)、超音波(bモード又は血管内US)、及び様々な画像診断法を用いる標的造影剤アプローチを含んでもよい。
【0007】
イメージング技術の発展により、医用イメージングは、患者ケアの不可欠な要素となっている。イメージングは、非侵襲性又は低侵襲性の方法を使用して、空間的及び時間的に局所的な解剖学的情報及び/又は機能情報を提供できるため、価値がある。しかし、通常に人間の目で容易に評価できないデータ内のパターン及び/又はシグネチャーを利用したり、大量のデータを管理して臨床ワークフローに効率的に統合したりするなど、解像度の増加に対処する技術が求められる。新しい高解像度イメージング技術を使用すると、放射線科医は、補助なしでデータに「溺れる」ことができる。したがって、例えば、個々の患者管理のために定量的イメージングを統合するには、既存のツールのワークフロー及び/又は償還制約の現実内でイメージング機能を更に利用できるようにする意思決定支援情報学ツールのクラスを提供することが望ましい。
【0008】
現在、アテローム性動脈硬化症のイメージングは、カテーテル挿入による侵襲的、並びに超音波、CT、MR及び核医学技術の使用による非侵襲的の両方で日常的に行われている。最も典型的な評価は、管腔狭窄症である。最近の進展は、心筋血流予備量比の決定にある。
【0009】
現在、アテローム性動脈硬化症のイメージングに関する1つの難点は、使用される方法の堅牢性がないことである。例えば、現在の方法では、通常、血管外壁と血管周囲組織の間のコントラストが低いため、両者を区別することが困難である。現在の方法には、外壁の境界を具体的に決定することなく、単に管腔を囲む環状リングを利用する方法がある。血管の先細り、分岐血管、近くの組織なども問題になる可能性がある。
【0010】
現在のアテローム性動脈硬化症のイメージングに関する別の難点は、限られた励起を用いて組織から情報を取得する特定のイメージング装置に起因する可能性があり、マルチコントラストMRを使用するか又はマルチエネルギーCTを使用するにもかかわらず、生成されたシグナル内にある程度の非特異反応が存在する可能性があることである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の利点は、軟組織のコントラストを改善することを含んでもよい。本発明のいくつかの利点は、組織を特徴付けることを改善することを含んでもよい。本発明のいくつかの利点は、表現型を分類することを含んでもよい。本発明のいくつかの利点は、リスクを層別化することを含んでもよい。本発明のいくつかの利点は、マルチエネルギー又はマルチコントラストの励起及び評価によって支援されたマルチスケールモデリングを実行することを含んでもよい。
【0012】
本発明のいくつかの利点は、単相対多相取得及び広域スペクトルCTを使用して、血管壁及び血管周囲空間におけるアテローム性動脈硬化症プラーク組織を評価することを含んでもよい。本発明のいくつかの利点は、局所的に器質化された組織のオーバーレイとして、分散した組織タイプを含んでもよい。
【0013】
一態様において、本発明は、軟組織の分析を改善するコンピュータ化された方法を含む。前記方法は、患者の複数の放射線画像を取得するステップであって、前記複数の放射線画像のそれぞれが異なる励起を用いて取得される、ステップを更に含んでもよい。前記方法は、予想される軟組織タイプに基づいて複数の前記励起を分析するために、複数の処理から1つの処理を選択するステップを更に含んでもよい。前記方法は、前記処理された複数の励起をセグメント化して前記軟組織を表示するステップを更に含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記複数の放射線画像は、コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、前記異なる励起は、異なるX線エネルギーである。いくつかの実施形態では、前記複数の放射線画像は、磁気共鳴(MR)画像であり、前記異なる励起は、異なる高周波パルスである。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記複数の放射線画像は、超音波画像であり、前記異なる励起は、異なる周波数である。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明は、コンピューティングデバイスによって、前記患者の複数の前記放射線画像に基づいて、関心領域内に第一の組織タイプを決定するステップであって、前記第一の組織タイプが前記関心領域にわたる点のグリッドによって表されるステップと、前記コンピューティングデバイスによって、前記患者の複数の放射線画像に基づいて、前記関心領域内に第二の組織タイプを決定するステップであって、前記第二の組織タイプが前記関心領域内の局所的領域(focal region)であり、前記第一の組織タイプの少なくともいくつかのグリッド点が前記第二の組織タイプのグリッド点とは位置が一致するステップと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記複数の処理は、デジタル減算処理、デジタル加算処理、多変量統計的処理、又は励起選択処理を含む。いくつかの実施形態では、前記デジタル減算処理は、前記複数の放射線画像の第一のサブセットを、前記サブセット内にない前記複数の放射線画像のうちの1つ以上から減算することを含む。前記デジタル加算処理は、受信された前記複数の放射線画像を平均化することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記多変量統計的処理は、前記複数の放射線画像を組み合わせることと、多変量統計的アプローチによりクラス間依存関係を除去することと、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記複数の放射線画像は、CT画像であり、複数の前記CT画像のそれぞれは、第一のX線源によって、第一のX線減衰を、前記患者の所定領域の前記画像を生成するように寸法設定されたエネルギー積分型検出器に向け、第二のX線源によって、第二のX線減衰を、前記所定領域内の特定の組織標的の画像を生成するフォトンカウンティング型検出器に向け、プロセッサによって、前記患者の前記所定領域の前記画像及び前記所定画像内の前記特定組の織標的の前記画像に基づいて、最終CT画像を生成することにより、生成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記励起選択処理は、前記組織タイプに基づいて、前記複数の放射線画像から特定の放射線画像を選択することを含む。
【0021】
他の態様では、本発明は、ハイブリッドコンピュータ断層撮影(CT)スキャナを含む。前記ハイブリッドCTスキャナは、第一のX線減衰を、患者の所定領域の画像を生成するように寸法設定されたエネルギー積分型検出器に向ける第一のX線源を含んでもよい。前記ハイブリッドCTスキャナは、第二のX線減衰を、前記所定領域内の特定の組織標的の画像を生成するフォトンカウンティング型検出器に向ける第二のX線源を更に含んでもよい。前記ハイブリッドCTスキャナは、前記患者の前記所定領域の前記画像及び前記所定画像内の前記特定の組織標的の前記画像に基づいて、最終コンピュータ断層撮影(CT)画像を生成するプロセッサを更に含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記エネルギー積分型検出器及び前記フォトンカウンティング型検出器は、同じ視野から情報を取得するように配置される。いくつかの実施形態では、前記患者の前記所定領域の前記画像は、グレースケールCT画像である。いくつかの実施形態では、前記所定画像内の前記特定の組織標的の前記画像は、スペクトルCT画像である。いくつかの実施形態では、前記エネルギー積分型検出器は、その第一のX線源に対して、前記フォトンカウンティング型検出器とその第二のX線源との間で90度ずれるように配置される
【0023】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、組織タイプを分析するように構成され、前記分析は、予想される軟組織タイプに基づいて前記最終CT画像を分析するために、複数の処理から1つの処理を選択することと、処理された前記最終CT画像をセグメント化して前記軟組織を表示することと、を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記フォトンカウンティング型検出器は、前記特定の組織標的をイメージングするように構成されたマルチエネルギービンを含む。
【0025】
他の態様では、本発明は、混合した組織タイプを決定して表示するコンピュータ化された方法を含む。前記方法は、コンピューティングデバイスによって、患者の放射線画像を受信するステップを含んでもよい。前記方法は、前記コンピューティングデバイスによって、前記患者の前記放射線画像に基づいて、関心領域内に第一の組織タイプを決定するステップであって、前記第一の組織タイプが前記関心領域にわたる点のグリッドによって表されるステップを含んでもよい。前記方法は、前記コンピューティングデバイスによって、前記患者の前記放射線画像に基づいて、前記関心領域内に第二の組織タイプを決定するステップであって、前記第二の組織タイプが前記関心領域内の局所的領域であり、前記第一の組織タイプの少なくともいくつかのグリッド点が前記第二の組織タイプのグリッド点とは位置が一致するステップを含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記複数の放射線画像は、コンピュータ断層撮影(CT)画像、磁気共鳴(MR)画像又は超音波画像である。いくつかの実施形態では、前記第一の組織タイプ及び前記第二の組織タイプは、オーバーレイされる。いくつかの実施形態では、前記点のグリッドは、様々な密度を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記第一の組織タイプは、微小石灰化組織であり、前記第二の組織タイプは、LNRC、高密度石灰化又はIPHである。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記コンピューティングデバイスによって、前記CT画像に対して、マルチエネルギーフォトンカウンティング型K吸収端差分イメージングを行うステップと、前記コンピューティングデバイスによって、前記CT画像に対して、正則化モデルを用いてスペクトル画像のノイズ除去を行うステップと、前記コンピューティングデバイスによって、K吸収端差分され、ノイズ除去された前記CT画像上のカルシウムの信号対ノイズ比を改善するステップと、前記コンピューティングデバイスによって、前記改善されたカルシウム画像をセグメント化して、局所的な高密度石灰化及び分散的な微小石灰化の一方又は両方を表現するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下、本段落の後に列挙された本明細書の添付の図面を参照して、本開示の実施形態の非限定的な例を説明する。図面に示されている特徴の寸法は、表示の便宜及び明瞭さのために選択されており、必ずしも縮尺どおりに示されているわけではない。
【0030】
本発明の主題は、明細書の結論部分に特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明の構成及び動作方法、並びにその目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで理解され得る。本発明の実施形態は、添付の図面において、限定的なものではなく、例として示されるものであり、同様の参照符号は、対応する類似又は同様の要素を示す。
【0031】
図1】本発明のいくつかの実施形態に従って、例示的な放射線入力及び処理された出力のダイアグラムである。
図2】本発明のいくつかの実施形態に従って、アテローム性動脈硬化症が、進化的差異及び局所的要因に基づく異なる程度の動脈床にわたる共通の推進要因により進行する場合の一例を示すダイアグラムである。
図3】第一のセットのCTスキャンと、本発明のいくつかの実施形態に従って、軟組織のコントラストが改善された第二のセットのCTスキャンとの一例である。
図4】本発明のいくつかの実施形態に従って、軟組織セグメント化を改善するシステムのダイアグラムである。
図5】本発明のいくつかの実施形態に従って、軟組織セグメント化を改善する方法の一例である。
図6】本発明のいくつかの実施形態に従うハイブリッドコンピュータ断層撮影(CT)スキャナの正面断面図である。
図7A】本発明のいくつかの実施形態に従って、放射線スケールのプラーク形態を分子決定因子に結び付けるマルチスケール関連の一例を示す。
図7B】本発明のいくつかの実施形態に従うマルチスケールモデリングの一例である。
図7C】本発明のいくつかの実施形態に従って拡張されたマルチスケールモデリングの一例である。
図8】本発明のいくつかの実施形態に従って、治療なし及び様々な治療シナリオ下で複数のシミュレートされた無イベント生存可能性を示す出力スクリーンの一例である。
図9】本発明のいくつかの実施形態に従って、混合した組織タイプを決定して表示する方法を示す。
図10】本発明のいくつかの実施形態に従って、マルチエネルギースペクトルCT画像の放射線画像を使用して、微小石灰化スクリーン及び高密度石灰化領域の混合した組織タイプを決定して表示する方法を示す。
図11】本発明のいくつかの実施形態に従って、図10の方法の例を示すダイアグラムである。
【0032】
図面を簡略かつ明確にするために、図に示されている要素は、必ずしも正確に、又は縮尺どおりに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、明確にするために、一部の要素の寸法が他の要素と比べて誇張されてもよく、複数の物理コンポーネントが1つの機能ブロック又は要素に含まれてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一般に、本発明は、軟組織のコントラストを改善し、組織を特徴付け、表現型を分類し、リスクを層別化し、及び/又はマルチエネルギー又はマルチコントラストの励起及び評価によって支援されたマルチスケールモデリングを実行するシステム及び方法を含む。本発明は、単相対多相画像取得の適用を含むことができ、また広域スペクトルCTを使用して、例えば、血管壁及び/又は血管周囲空間におけるアテローム性動脈硬化症プラーク組織を評価することを含むこともできる。
【0034】
一般に、本発明は、ソフトウェアアプローチを用いてマルチエネルギー又はマルチスペクトル画像セットに対する組織の異なる反応を利用することを含んでもよい。本発明は、臨床的に関連する範囲の組織を更に識別できるハードウェア構成を更に含んでもよい。マルチエネルギーレベル及び/又は広域スペクトルを介して取得されたスペクトル画像は、組織セグメント化を改善できる1つ以上のアルゴリズムの入力を形成することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、ノイズがマルチエネルギーにわたって類似しているが、組織が異なることに留意し、より高い信号対ノイズ比をもたらす平均化技術を適用することによって、異なる組織に対する非線形反応を利用することを含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、異なる組織は、あるエネルギーレベルにおいて、別のエネルギーレベルよりも良好に解像することができる。いくつかの実施形態では、組織ごとに異なるエネルギーが選択される。いくつかの実施形態では、デジタル減算アプローチを用いて異なる組織に対する非線形反応を利用する。いくつかの実施形態では、最適なエネルギーレベルのそれぞれから異なる組織反応が結合され、多変量統計的アプローチを通じてクラス間の依存関係が除去される。様々な実施形態では、これらの前述の実施形態のそれぞれは、利益を達成するために、材料組成又は他の物理現象に基づいて設計されたかどうかにかかわらず、そのような差異を増幅するハードウェア構成に適用される。例には、分子特性、細胞及び分子環境、物質密度分布、形態学的表現、刺激に対する反応などによって区別される組織が含まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、分散した組織タイプは、局所的に器質化された組織のオーバーレイとして使用される。
【0038】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る、例示的な放射線入力110及び処理された出力のダイアグラム100である。処理された出力は、石灰化、脂質に富む壊死性コア(LRNC)及びマトリックスの様々な測定量のための三次元領域を特定する画像120と、様々な測定量に関連するデータの表及びグラフを呈している画像130を含んでもよい。当業者には明らかなように、図1に示す測定量は、例であり、他の測定量を含んでもよい。
【0039】
図2は、本発明のいくつかの実施形態に従って、アテローム性動脈硬化症が、進化的差異及び局所的要因に基づく異なる程度の動脈床にわたる共通の推進要因により進行する場合の一例を示すダイアグラム200である。
【0040】
冠状動脈疾患の特徴付けは、関連するが別個の2つのメカニズムの評価によって行うことができる。その2つは、より多くの酸素を含む血液の下流の灌流組織への送達が要求されるストレス下での需要を満たす動脈系の能力、即ち、ストレス誘発性虚血(例えば、FFR又はiFRとして測定される)、及びプラークが物理的に破壊されるか又は塞栓を形成する傾向、即ち、梗塞リスク(HRP)である。処理された出力(例えば、図1で上述した、及び後述する処理された出力)に基づいて治療経路を最適に選択して、異なるメカニズムのそれぞれが存在する程度、例えば、異なる程度で、一方が存在するが他方が存在しないこと、どちらも存在しないこと、或いは、両方が存在することを特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、状態の可能性が低いか高いかを使用して、個々の患者レベルで有害イベントが発生するまでの時間を予測する。FRR/HRP比に基づいた推奨(recommendation)を行うことができる。推奨は、状態の可能性に基づいて行うことができ、維持投薬、強化薬物療法、対症療法、又は血行再建を含んでもよい。
【0041】
いくつかのシナリオでは、材料密度の重複として現れる、複雑な細胞レベル又は分子レベルの環境を有する組織タイプ(例えば、複雑な組織)を特定することが望ましい。現在の方法は誤っていることがあり、組織タイプを正しく特定できない場合がある。現在の方法は、ボクセルのハンスフィールド単位(HU)によって与えられる材料密度の単純な閾値処理を含んでもよい。例えば、LRNC又は特発性肺ヘモジデローシス(IPH)は、容易に及び/又は確実に特定されない可能性があり、及び/又は、それらを引き起こす生物学的処理及び/又はそれらに応答して誘発される生物学的処理は、複雑になる可能性がある。LRNCは、脂質沈着、コレステロール結晶、アポトーシス細胞残骸、マクロファージ及び/又は石灰化から様々に構成される。IPHは、無傷及び/又は破裂した赤血球、マクロファージ、出血性残骸、フィブリン、コレステロール結晶、及び/又は石灰化から様々に構成される。複雑な組織は、CTの単一励起エネルギー又はMRの特性RFプロファイルを使用するシステムには困難性を示す可能性があり、プラーク成分の不均一性は、励起に対する組織反応の違い、例えば、1つのエネルギー対他のエネルギーに対して、又は1つの無線周波数対他の無線周波数に対してどのように反応するかに基づいて利用することができ、組織は、様々なエネルギーに対して異なる反応を示す可能性がある。したがって、厳密な材料密度依存性を緩和することが望ましい。いくつかの実施形態では、厳密な材料密度依存性を緩和するために、異なる密度分布を組織病理学からのサンプルに数学的に当てはめることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、CTスキャン中にマルチエネルギー信号を適用し、デジタル減算、平均化、及び/又は選択技術を使用して、ある組織タイプの信号を別の組織タイプよりも増幅し、全てのレベルのノイズを使用して厳密な材料密度依存性を緩和することができる。いくつかの実施形態では、例示的な実施形態として、Mumford-Shah関数を最大化することによって、隣接するボクセルのHUを、個々のボクセルとしてだけではなく、分布として分析することができる。
【0043】
病理医がLRNC及びIPHの概要を説明する際に判断を下すのに役立つ組織に適用される染色と同様に、本発明は、画像に「デジタル染色」を適用して同様の増幅を達成すると理解することができ、なぜなら、これらの組織は、不均一であり、重複する組織は、異なる密度を有する複数の細胞タイプで構成され、それぞれの組織が異なる入射エネルギーに対して異なる反応を示すからである。これが考慮された病理学的アノテーションは、病理医がCTAでLRNCとIPHの組織境界をマークする場合、それに基づく臨床的洞察が適用されるように、病理医が組織学に対して行うのと同様の判断を使用して確立される必要がある。これには、HU閾値を適用するだけでは不十分である。それには、組織を識別する訓練を受けた人間の病理医が使用する判断を模倣するために使用できる数学的形式主義が必要である。
【0044】
MRI、超音波、核医学、及び/又は他の画像診断法は、後処理の前に、様々な強さ及び弱さで再構成することができる。図3は、第一のセットのCTスキャン310a、320aと、本発明のいくつかの実施形態に従って、軟組織のコントラストが改善された第二のセットのCTスキャン310b、320bとの一例である。第一のセットのCTスキャンにおける1つのCTスキャン310aは、2つの領域330a、340aを示しており、当該2つの領域330a、340aは、330b、340bに見られるように、第二のセットのCTスキャンにおける1つのCTスキャン310bで改善される。第一のセットのCTスキャンにおける1つのCTスキャン320aは、1つの領域350aを示しており、領域350aは、350bに見られるように、第二のセットのCTスキャンにおける1つのCTスキャン320bで改善される。
【0045】
図4は、本発明のいくつかの実施形態に係る、軟組織セグメント化を改善するシステム400のダイアグラムである。このシステムは、イメージング装置410及び分類ユニット430を含んでもよい。
【0046】
イメージング装置410は、CTスキャナ、磁気共鳴イメージング装置、超音波装置及び/又は本分野で知られている他のイメージング装置であってもよい。イメージング装置410は、1つ又は複数の放射線画像(例えば、CT、MR、超音波)420を取得することができる。複数の放射線画像420は、単色であってもよい。複数の単色画像420は、複数の励起で撮影することができる。当業者には明らかなように、複数の励起で撮影された複数の画像は、送信、受信、又はそれらの任意の組み合わせの結果であってもよい。
【0047】
複数の励起は、CT、MRI、及び/又は超音波によってそれぞれ使用されるような、複数のエネルギー、高周波パルス(例えば、シーケンス)、及び/又は異なる周波数若しくはタイミングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数の単色画像420のそれぞれは、CTスキャナの固有の励起(例えば、固有のX線エネルギー、送信したもの、受信したもの又はその両方、狭いエネルギー範囲としてのもの又は広い範囲としてのもの)、MRIの固有のパルスシーケンス、超音波の固有の周波数及び/又はタイミングで撮影される。
【0048】
複数の単色画像420の数は、識別されることが望ましい組織又は表現型のタイプに依存してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数の単色画像420のうちの一部の単色画像420が同じ励起で撮影され、他の単色画像420が異なる励起で撮影される。例えば、2つの単色画像420を撮影する毎に、励起が変化する可能性がある。別の例では、最初の2つの単色画像420だけが同じ励起であり、残りの単色画像420が固有の励起で撮影される。当業者には明らかなように、複数の単色画像420は、同じかつ固有の励起の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0050】
励起は、予想される組織のタイプに依存してもよい。例えば、カルシウムの予想される組織タイプとCTイメージング装置の場合、励起(送信したもの、受信したもの又はその両方)は4keVになってもよい。別の例では、酸素の予想される組織タイプとCTイメージング装置の場合、励起(送信したもの、受信したもの又はその両方)は530eVになってもよい。
【0051】
図4に示す例では、複数の単色画像420は、CTイメージング装置及び65KeV~130KeVの例示的な範囲の励起(送信したもの、受信したもの又はその両方)で撮影されたものとして示されるが、励起は、関心の組織に応じて、例えば、0.5keVの低い値又は400keVの高い値であってもよく、このようなスペクトルにより、特に440として特定された組織タイプの識別が可能になる。
【0052】
分類ユニット430は、複数の単色画像420を分析する複数の処理を含んでもよい。複数の処理は、図5に関して以下でさらに詳細に説明されるように、デジタル減算処理、デジタル加算処理、多変量統計的処理、及び/又は励起選択処理を含んでもよい。分類ユニット430は、1つ以上の分類された組織タイプを示すデータ440(例えば、組織タイプのセグメント化された画像データ、及び/又は上記の図1に示される他のデータ)を出力することができる。
【0053】
出力されたデータ440は、血液漏出、マクロファージ、血管新生、CALCマップ、LRNCマップ、FRESH IPHマップ、MATXマップ、微小石灰化、びらん、OLD IPHマップ、血栓、又はそれらの任意の組み合わせの組織タイプに分類することができる。当業者には明らかなように、出力されたデータは、本分野で知られている組織タイプであってもよい。
【0054】
図5は、本発明のいくつかの実施形態に係る、軟組織セグメント化を改善する方法500の一例である。この方法は、複数の放射線画像(例えば、CT画像、MRI画像、超音波画像)を取得することを含んでもよい。放射線画像は、以下の図6に示されるハイブリッドCTイメージング装置によって取得することができる。複数の放射線画像のそれぞれは、異なる励起を用いて取得することができる(ステップ510)。
【0055】
いくつかの実施形態では、複数の放射線画像は、CT画像であり、異なる励起は、異なるX線エネルギー(送信したもの、受信したもの又はその両方、狭いエネルギー範囲としてのもの又は広い範囲としてのもの)である。いくつかの実施形態では、複数の放射線画像は、MR画像であり、異なる励起は、異なる高周波パルスである。いくつかの実施形態では、複数の放射線画像は、超音波画像であり、異なる励起は、異なる周波数である。
【0056】
この方法は、(例えば、分類ユニット430によって)予想される軟組織タイプに基づいて複数の放射線画像を分析するために、複数の処理から1つの処理を選択するステップ(ステップ520)を含んでもよい。複数の処理は、デジタル減算処理、デジタル加算処理、多変量統計的処理、及び/又は励起選択処理を含んでもよい。
【0057】
複数の処理からの1つの処理の選択は、ランダムなもの、ユーザによる入力、及び/又は組織の特性に基づくものであってもよい。
【0058】
デジタル減算処理は、あるスペクトル範囲で複数の放射線画像のうちの1つを撮影し、それを複数の放射線画像のうちの別の画像から減算することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、デジタル減算は、複数の放射線画像の第一のサブセットを、このサブセット内にない複数の放射線画像のうちの1つ以上から減算することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、デジタル減算処理は、例えば、狭帯域信号を広帯域ノイズフロアよりも高くするために、狭い範囲を広い範囲から減算することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、デジタル減算処理は、2つの関連する組織タイプを区別するために、1つの中間帯域幅を他の中間帯域幅から減算することを含んでもよい。
【0059】
デジタル加算処理は、複数の放射線画像を平均化することを含んでもよい。複数の放射線画像を平均化することは、一般にノイズがエネルギーにわたって同様であるので有利になるが、組織信号では、平均化により信号対ノイズ比が高くなる可能性があるため、有利にならない。
【0060】
多変量統計的処理は、複数の放射線画像のそれぞれを単純な減算又は加算以外の数学的演算子と組み合わせることと、非線形演算子として特定された一連の技術から多変量統計的アプローチによりクラス間依存関係を除去することとを含んでもよい。
【0061】
特定の組織タイプが1つのエネルギーレベル又はエネルギーレベルのサブセットで良好に解像できるため、励起選択処理は、特定の組織タイプに対して、複数の画像のうちの、1つの放射線画像又は放射線画像のサブセットを選択することを含んでもよい。例えば、ある組織のエネルギー依存性が高いkVpレベル又は低いkVpレベルで安定点にあり、他の組織のエネルギー依存性が別の範囲にある可能性があり、これは、1つの組織に対して1つの範囲が用いられ、他の組織に対して他の範囲が用いられることを示唆している。
【0062】
処理された複数の放射線画像は、1つ以上の分類モデルに入力することができる。いくつかの実施形態では、分類モデルは、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年11月28日に出願された米国特許第11,094,058号に記載されているようにトレーニングされてもよい。
【0063】
この方法は、処理された複数の放射線画像をセグメント化して軟組織を表示するステップ(ステップ530)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、処理された複数の励起をセグメント化することは、医用画像データを三次元(3D)オブジェクトにセグメント化することを更に含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、処理された複数の放射線画像をセグメント化することは、処理された複数の放射線画像を外壁境界にセグメント化することを含む。いくつかの実施形態では、セグメント化は、セグメント化された管腔境界、外壁、血管周囲領域、及び/又は病巣組織境界に基づいて、複数の放射線画像を管腔及び外壁にセグメント化することを含む。米国特許第11,094,058号の図4は、対応する説明とともに、マルチスケールの血管壁分析物マップのセグメント化レベルの例を示している。
【0065】
図6は、本発明のいくつかの実施形態に係る、ハイブリッドコンピュータ断層撮影(CT)スキャナ600、プロセッサ670、及び2つのアナログデジタル変換器655、665の正面断面図である。ハイブリッドCTスキャナ600は、従来のCT構成からのグローバルグレースケール画像に制約された、切り詰められたスペクトルスキャン及び/又は局所再構成を提供することができる。
【0066】
ハイブリッドCTスキャナ600は、第一のX線源610、第二のX線源620、フォトンカウンティング型検出器630、エネルギー積分型検出器640、及びガントリ650を含む。エネルギー積分型検出器640は、第一のX線源610に対して、フォトンカウンティング型検出器630と第二のX線源620との間で所定の角度をなすように配置されてもよい。
【0067】
図6に示すように、所定の角度は、約90度である。所定の角度は、積分型検出器が広い範囲をカバーできるように、円弧の周囲の物理的空間を最適化することに基づくことができる。
【0068】
第一のX線源610及び/又は第二のX線源620は、多色X線源であってもよい。第一のX線源610及び/又は第二のX線源620は、CTスキャナで使用されることが本分野で知られている任意のX線源であってもよい。
【0069】
動作中、患者660は、ハイブリッドCTスキャナ600に入り、第一のX線源610は、第一のX線減衰を患者660及びエネルギー積分型検出器640に向けることができる。エネルギー積分型検出器640は、患者660の所定領域の画像を生成するように寸法設定されてもよい。
【0070】
エネルギー積分型検出器640は、患者の所定領域が画像化されるように、半径R及び直径Dによって画定される曲率を有し、円弧Aに沿って延びることができる。例えば、半径Rは、30インチであり、直径Dは、60インチであり、円弧Aは、135度であってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、第一のX線減衰は、65~130keVの範囲、又はそれより広い範囲で透過される。
【0072】
エネルギー積分型検出器640は、第一のX線減衰の少なくとも一部と、患者660を透過したエネルギーとを受信する。
【0073】
第二のX線源620は、第二のX線減衰を患者660及びフォトンカウンティング型検出器630に向けることができる。フォトンカウンティング型検出器630は、所定領域内の特定の組織標的の画像を生成することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、第二のX線減衰は、第一の実施形態と同様の範囲又は異なる範囲で透過される。
【0075】
フォトンカウンティング型検出器630は、第二のX線減衰の少なくとも一部と、患者660を透過したエネルギーとを受信する。
【0076】
エネルギー積分型検出器640及びフォトンカウンティング型検出器630は、それぞれが受信したエネルギーを、A/D変換器655、665を介してプロセッサ670に伝達する。
【0077】
オブジェクトが区分的に一定である場合、圧縮センシングベースの再構成アルゴリズムを使用して、関心領域を正確に再構成できることが知られている。TV最小化ベースのスペクトル内部再構成は、CT分野で重要な応用、例えば、線量低減、高速データ収集、容易なデータ記憶、ハードウェアのコスト削減が見出される。多くの再構成スキームで行われる、イメージングされたオブジェクトが区分的に一定であるという条件を前提とする仮定は、組織組成、及び/又はボクセルスケールよりもかなり小さい勾配密度を有する造影剤のために、臨床CTイメージングでは通常満たされないので、この仮定を回避するために、発明者らは、グローバルエネルギー積分型画像を使用して、内部スペクトルCT再構成を容易にし、プロセッサ670を使用する大幅なデータ切り捨てによる再構成エラーを最小限に抑える。
【0078】
プロセッサ670は、エネルギー積分型検出器640及びフォトンカウンティング型検出器630からの出力を受信し、画像を処理して、患者の所定領域の画像及び所定画像内の特定の組織標的の画像に基づいて最終CT画像を生成する。最終CT画像は、図5における上述した処理の入力として使用することができる。
【0079】
プロセッサ670は、複数の処理モジュールを含んでもよい。処理モジュールは、フォトンカウンティング型検出器630からのスペクトルCTをA/D変換器655から受信するモジュール671を含んでもよい。スペクトルCTをフォトンカウンティング型検出器信号処理モジュール672に送信して、サイノグラムを作成することができる。サイノグラムをローカルスキャンモジュール673に送信して再構成を行う。モジュール675は、エネルギー積分型検出器640からのグレースケールCTをA/D変換器675から受信することができる。グレースケールCTをエネルギー積分型検出器処理モジュール676に送信して、サイノグラムを作成することができる。サイノグラムをグローバルスキャンモジュール677に送信して再構成を行う。ローカルスキャンモジュール673の出力(例えば、狭帯域出力)及びグローバルスキャンモジュール677の出力(例えば、ローカルスキャンよりも多くのエネルギーから情報を取得することができるマルチエネルギー出力(例えば、複数の狭帯域出力又は単一の広帯域出力))。
【0080】
本分野で知られているように、プロセッサ670上の処理モジュールは、1つのプロセッサ又は複数のプロセッサで実装することができる。
【0081】
エネルギー積分型検出器640は、患者660のグローバルスキャンと見なされてもよいが、フォトンカウンティング型検出器630は、ローカルスキャンとして見なされてもよい。エネルギー積分型検出器640からのCT画像は、スタンドアロンのCT再構成に使用することができるか、又はフォトンカウンティング型検出器630を使用する内部スペクトルCT局所断層撮影再構成のためのグローバルグレースケール制約として使用することができる。フォトンカウンティング型検出器630は、特定の組織標的をイメージングするように構成されたマルチエネルギービンを含んでもよく、再構成されたグローバルグレースケール制約スペクトル画像の複数のチャネルを使用して、組織を呈して区別することができる。
【0082】
グローバル制約としてグレースケール画像を使用する内部スペクトルCT再構成は、以下のように決定することができる。
【0083】
Nがスペクトルチャネルの数(例えば、CT画像の複数のエネルギー又は管電圧の数)であり、Iが特定のスペクトルチャネルの光子強度であり、iがチャネルインデックスであることを仮定する。エネルギー積分投影画像は、
【数1】
のように記述することができる。ここで、特定のスペクトルチャネルのμ(r)は、
【数2】
のように、グレースケールテンプレートからの減衰分解として表すことができる。ここで、μgray(r)は、エネルギー積分投影から再構成された減衰マップである。
【数3】
即ち、
【数4】
である。
【0084】
δμ(r)がテイラー級数展開を使用し、高次項を無視して十分に小さいことを仮定すると、
【数5】
が得られる。
【0085】
【数6】
であると仮定し、それを式5に代入して、
【数7】
が得られる。
【0086】
なお、
【数8】
である。
【0087】
3つのチャネルがあり、即ち、N=3を仮定すると、
【数9】
が得られる。
【0088】
【数10】
から、以下の線形逆方程式が得られる。
【0089】
【数11】
【0090】
ここで、Nは、スペクトルチャネルの総数であり、Iは、X線源から放射された光子強度である。Iは、スペクトルチャネルでの光子強度であり、iは、スペクトルチャネルインデックスであり、μは、再構成される減衰マップであり、Bは、スペクトルチャネルから検出された光子強度であり、Gは、検出されたグレースケール光子強度であり、rは、3D空間内の空間位置であり、δは、小さな変化であり、exp(x)は、指数関数である。
【0091】
図7Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る、放射線スケールのプラーク形態を分子決定因子に結び付けるマルチスケール関連の一例を示す。例えば、代用マーカーの検証を含む予測ベースのスコアリングは、(1)動的な血管のパフォーマンス(例として、充血(例えば、虚血の原因)及び/又は破裂リスク(例えば、梗塞の原因)(2)でのパフォーマンスが含まれる)に使用することができる。例えば、IPHを含むがこれに限定されない形態測定量の定量は、例えば単一エネルギーCTA又はマルチスペクトルCTAを含むモダリティの分析(3)を含む。流体力学、例えば、剪断応力評価及び有限要素モデル(FEM)は、平滑筋細胞(SMC)分化(4)の機械的トリガーを解明し、(2)を実証することができる。
【0092】
図7Bは、本発明のいくつかの実施形態に係るマルチスケールモデリングの一例である。図7Bにおいて、xは、細胞及び/又は分子レベルの種の素因及び/又は発現(例えば、組織を特徴付ける)を表し、yは、放射線医学によってアッセイされ、及び/又は表現型を分類するために使用される高分子組織の呈示を表し、zは、異なるクラスの治療下での予測結果(リスクの層別化など)、シミュレートされた進行、及び/又はシミュレートされた退行を表す。x及びyが既知の場合、x及びyは、モデルのトレーニング、仮説の生成、及び/又はシミュレーションのベースの提供に使用することができる。xが既知であるがyが既知でない場合、又はその逆の場合、x及びyの両方が既知である例を使用してトレーニングすると、予測モデルを利用することができる。1つの例示的な目的は、スケールにわたって情報を取得するために臨床的に実行することが実際上及び/又は経済的に容易な手段を提供することである。
【0093】
いくつかの実施形態では、xがyを引き起こすか、及び/又はyが見られる場合、xのレベルでおそらくyを生み出すというメカニズムが特定できるかなど、因果関係を分析的に確立することができる。いくつかの実施形態では、そのような分析の有用性は、xを知ることにより、どのような特定の薬剤又は外科的介入が最適であり得るかを知る場合、治療を個別化することができることを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、分析方法は、xとyの間の関係を空間的に区別して、例えば、区別を提供しない技術に対する単一細胞技術の価値と同様に、空間的コンテキストを考慮していない結果として生じる希釈を回避することで特異性が診断の信頼性を高めることができるかどうかを判断できるかどうかを確立するように使用することができる。
【0095】
図7Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る拡張されたマルチスケールモデリングの一例である。マルチスケールモデリング技術を拡張すると、x、y及びzは、時間依存関数の追加を含んでもよい。例えば、x(t)は、早期老化及び/又は細胞/分子レベルでの他のメカニズムの説明などによるプラークの発生を表すことができ、y(t)は、放射線科で長期にわたって観察された巨視的な表現型を表すことができ、z(t)は、候補治療計画の下で次に何が起こるか(例えば、未治療のまま放置した場合を含む)を予測することができる。いくつかの実施形態では、分析は、巨視的レベルで空間分解された基礎について組織学で検証された3Dオブジェクトとしてy(t)を提供し、及び/又は表現型分類のための畳み込みニューラルネットワークでも現れる。分子/細胞レベルに接続するために、文献を発掘したり、組織リソースを使用してデータ収集のためのデノボ実験を強化したりすることができる。
【0096】
図8は、本発明のいくつかの実施形態に係る、治療なし及び様々な治療シナリオ下で、複数のシミュレートされた無イベント生存可能性を示す出力スクリーン800の一例である。シミュレートされた無イベント生存可能性には、全身性炎症治療810、集中的な脂質低下治療820、スタチンs830、血行再建(例:ステント)840、及び治療なし850が含まれる。
【0097】
シングルエネルギーでCTスキャンを取得しても、マルチエネルギーでCTスキャンを取得しても、複雑な組織呈示(例えば、特定の位置に1つ以上の組織タイプを含む領域内の組織)を識別することができる。例えば、複雑な組織領域では、MATX又はLRNCなどで微小石灰化が発生する可能性がある。適応グリッドサイズ設定及び/又は適応領域成長を使用して、複雑な組織タイプの微妙な表現を作成することができる。複雑な生物学は、スクリーンオーバーレイ又はグリッド点オーバーレイとして表すことができ、最終結果だけでなく、複雑な生物学の進行を決定することができる。例えば、高密度の巨石灰化の最終結果だけでなく、微小石灰化の進行を決定することができる。
【0098】
このようなスクリーン又はグリッド点オーバーレイは、通常、病巣組織の呈示を置き換えることなく、それらを増強することができる。微小石灰化の例を続けると、主観的な用語では、「斑点のある石灰化」という用語が使用されているが、この用語は、局所的な器質化の中間兆候を表現することができない。ある実施形態では、微小石灰化の局所的な器質化の中間兆候は、器質化のパターンを示すために、疎又は密の点(例えば、材料密度ではなく、点密度)を表す「グリッドオーバーレイ」として視覚的に表現することができる。
【0099】
グリッドオーバーレイは、人間の観察者がソフトウェアで視覚化できるために、「テクスチャ」として表現することができ、及び/又はコンピュータ処理によく適したデータオブジェクトに「斑状(mottling)」として表現することができ。このように、組織の器質化は、MATXだけでなく、LRNC及び/又は他の組織領域に影響を与える可能性がある。IPHと同様に、微小石灰化は、2つの組織/段階タイプ、つまり密集段階及び/又は初期段階に細分化することができる。微小石灰化は、グリッドになってもよいが、高密度の巨石灰化は、焦点になってもよい。微小石灰化グリッドは、組織がどのように表現されるかを一般化し、病巣が集まる遷移状態を表現できる病巣の分布として解釈することができる。例えば、まだ密集状態には至っていないが、密集状態に近づいている。血液漏出、微小石灰化、血管新生などの組織タイプは、様々な点密度のグリッドとして表現することができる。LRNC、CALC、IPHなどの局所的領域として表現される組織タイプは、局所的領域になってもよい。MATXは、局所的領域として表現できるが、好ましくは他の組織として説明された領域を有する。
【0100】
図9は、本発明のいくつかの実施形態に係る、混合した組織タイプを決定して表示する方法900を示す。
【0101】
この方法は、患者の放射線画像を受信するステップ(ステップ910)を含んでもよい。放射線画像は、CT画像、MR画像又は超音波画像であってもよい。放射線画像がCT画像である場合、図5に説明されたように、ハイブリッドCTイメージング装置を使用してCT画像を取得することができる。
【0102】
この方法は、患者の放射線画像に基づいて、関心領域内に第一の組織タイプを決定するステップであって、第一の組織タイプが関心領域における点のグリッドである、ステップ(ステップ920)を含んでもよい。例えば、第一の組織タイプは、密度が低いものから密度が高いものへ進行することができる任意の組織タイプであってもよい。第一の組織タイプは、別の組織タイプに分散可能な任意の組織タイプであってもよい。第一の組織タイプは、血液漏出、微小石灰化及び/又は血管新生であってもよい。
【0103】
点のグリッドは、それぞれ点密度として表すことができる。点のグリッド上の各点は、一部が同じ密度値を有すること、全てが同じ密度値を有すること、又は固有の密度値を有することがある。
【0104】
第一の組織タイプは、上記の図4に示されるシステム、上記の図5に示される方法、上記の図6に示されるシステム、又はそれらの任意の組み合わせによって決定することができる。
【0105】
この方法は、患者の放射線画像に基づいて、関心領域内に第二の組織タイプを決定するステップであって、第二の組織タイプが関心領域内の局所的領域であり、第一の組織タイプの少なくともいくつかのグリッド点が第二の組織タイプのグリッド点とは位置が一致するステップ(ステップ930)を含んでもよい。第二の組織タイプは、局所的領域として表現することができる任意の組織タイプであってもよい。第二の組織タイプは、LRNC、CALC、及び/又はIPHであってもよい。
【0106】
第二の組織タイプは、上記の図4に示されるシステム、上記の図5に示される方法、上記の図6に示されるシステム、又はそれらの任意の組み合わせによって決定することができる。
【0107】
図10は、本発明のいくつかの実施形態に従って、マルチエネルギースペクトルCT画像の放射線画像を使用して、微小石灰化スクリーン及び高密度石灰化領域の混合した組織タイプを決定して表示する方法100を示す。
【0108】
この方法は、(例えば、上記の図4に示されるシステムによって)マルチエネルギースペクトルCT画像を受信するステップ(ステップ1010)を含む。
【0109】
この方法は、マルチエネルギーフォトンカウンティング型K吸収端差分イメージングを実行するステップ(1020)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フォトンカウンティング型検出器(PCD)を備えたマルチエネルギーシステムのK吸収端分解イメージングの場合、エネルギービンは、抽出されたK吸収端信号の強度に大きな影響を与え、微小石灰化と局所的/高密度石灰化の間の分類を改善する可能性を有する最適化されたエネルギービンを提供する。
【0110】
この方法は、正則化モデルを用いてスペクトル画像のノイズ除去を実行するステップ(1030)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、線形減衰係数マップは、スペクトル領域及び空間領域で分離可能な基底材料に分解される。非線形性は、質量密度マップの再構成に変換することができる。最適化変数の次元を削減すること、及び/又は、重み付き核ノルムと全変動量の正則化で再構成を解決する最小化スキームを使用することで、ノイズを減らしてより多くのスペクトル情報を提供することができる。
【0111】
この方法は、例えば、信号対ノイズ比を効果的に改善するために、BからAを減算することによってカルシウムを改善する(例えば、除去する)ステップ(ステップ1040)を含んでもよい。
【0112】
この方法は、改善されたカルシウムをセグメント化するステップ(ステップ1050)を含んでもよい。セグメント化により、高密度石灰化局所的領域と微小石灰化スクリーン(グリッドオーバーレイなど)が得られる。
【0113】
いくつかの実施形態では、特徴抽出のための主成分分析(PCA)をスペクトルイメージングとともに使用して、マルチエネルギー画像に呈している軟組織の小さなHU差を抽出する。軟組織は、例えば、適応領域成長法及びK平均クラスタリング手法を使用して抽出することができる。領域成長アルゴリズムを使用すると、事前に定義した性質と同じ性質を持つ領域を分離することができ、鮮明なエッジの元の画像に良好なセグメント化結果を与えることができる。いくつかの実施形態では、セグメント化の段階は、1)画像の平坦領域の平滑化及び/又はエッジの保存のために形態学的再構成を適用すること、2)エッジの太り及び/又は融合を回避するためにマルチスケールの形態学的勾配を使用すること、3)コントラスト強調のためにトップ/ボトムハット変換を使用すること、4)内的マーカー及び外的マーカーの両方の位置に局所的な極小値を与えて画像の形態学的勾配を修正すること、及び5)トップ/ボトムハット変換アルゴリズムとマーカーアルゴリズムとを組み合わせて新たなアルゴリズムを得るために重み付き関数を使用することであってもよい。このようにして、従来の流域からの過度のセグメント化を防ぐことができる。
【0114】
図11は、本発明のいくつかの実施形態に係る、図10の方法の例を示すダイアグラムである。ダイアグラム1110は、受信されたマルチエネルギースペクトルCT画像(例えば、上記の図10に示されるステップ1010)を示す。
【0115】
ダイアグラム1130は、CT画像内でマルチエネルギーフォトンカウンティング型K吸収端差分イメージングを実行した(例えば、上記の図10に示されるステップ1020)出力を示す。ダイアグラム1120は、CT画像で正則化モデルを用いてスペクトル画像のノイズ除去を実行した(例えば、上記の図10に示されるステップ1030)出力を示す。ダイアグラム1140は、カルシウムを除去した(例えば、上記の図10に示されるステップ1040)出力を示す。ダイアグラム1150及びダイアグラム1160は、除去されたカルシウムを高密度石灰化1160及び微小石灰化1150にセグメント化すること(例えば、上記の図10に示されるステップ1050)を示す。
【0116】
本発明の実施形態がこれらに限定されないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「算出」、「決定」、「確立」、「分析」、「照合」などの用語を利用して議論したものは、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理(例えば、電子)量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ、或いは動作及び/又は処理を実行する命令を記憶することができる他の非一時的な情報記憶媒体内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム又は他の電子コンピューティングデバイスの動作及び/又は処理を指してもよい。
【0117】
本発明の実施形態は、これらに限定されないが、「複数」及び「複数の」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、「多数」又は「2つ以上」を含んでもよい。「複数」又は「複数の」という用語は、本明細書全体を通して、2つ以上の構成要素、装置、素子、ユニット、パラメータなどを説明するために使用されてもよい。本明細書で使用される場合に設定される用語は、1つ以上の項目を含んでもよい。明示的に述べられない限り、本明細書に記載された方法の実施形態は、特定の順序又はシーケンスに限定されない。更に、記載された方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点に、一緒に、発生又は実行されてもよい。
【0118】
コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書かれてもよく、スタンドアロンプログラム、又はサブルーチン、構成要素、及び/又はコンピューティング環境での使用に適した他のユニットを含む任意の形態で展開されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ又は1つのサイトにある複数のコンピュータで実行するように展開されてもよい。
【0119】
方法ステップは、入力データを操作して出力を生成することによって本発明の機能を実行するために、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサにより実行されてもよい。方法ステップは、装置により実行されてもよく、専用の論理回路として実装されてもよい。回路は、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)及び/又はASIC(特定用途向け集積回路)であってもよい。モジュール、サブルーチン、及びソフトウェアエージェントは、その機能を実装するコンピュータプログラム、プロセッサ、特別な回路、ソフトウェア、及び/又はハードウェアの一部を指す場合がある。
【0120】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサ及び特定の目的のマイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの重要な構成要素は、命令を実行するプロセッサと、命令及びデータを記憶する1つ以上のメモリ装置とである。一般的に、コンピュータは、データを記憶する1つ以上の大容量記憶装置(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク又は光ディスク)からデータを受信するか又はそれらへデータを送信するように動作可能に結合される。
【0121】
通信ネットワークを介してデータ送信及び命令を行うこともできる。コンピュータプログラムの命令及びデータを具体化することに適した情報担体は、例として、半導体メモリ装置を含むすべての形態の不揮発性メモリを含む。情報担体は、例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、内蔵ハードディスク、リムーバブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、及び/又はDVD-ROMディスクであってもよい。プロセッサ及びメモリは、専用の論理回路により補完され、及び/又は専用の論理回路に組み込まれてもよい。
【0122】
ユーザとの対話を提供するために、上述した技術は、表示装置、送信装置、及び/又はコンピューティングデバイスを有するコンピュータで実装することができる。表示装置は、例えば、陰極線管(CRT)及び/又は液晶ディスプレイ(LCD)であってもよい。ユーザとの対話は、例えば、ユーザに対する情報の表示、ユーザがコンピュータに入力を提供できる(例えば、ユーザインタフェース要素と対話する)キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)などでであってもよい。他のタイプの装置を使用して、ユーザとの対話を提供することもできる。他の装置は、例えば、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)でユーザに提供されるフィードバックであってもよい。ユーザからの入力は、例えば、音響入力、音声入力、及び/又は触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。
【0123】
コンピューティングデバイスは、例えば、コンピュータ、ブラウザ装置を有するコンピュータ、電話、IP電話、モバイル機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)装置、ラップトップコンピュータ、電子メール機器)、及び/又は他の通信装置を含んでもよい。コンピューティングデバイスは、例えば、1つ以上のコンピュータサーバであってもよい。コンピュータサーバは、例えば、サーバファームの一部であってもよい。ブラウザ装置は、例えば、ワールドワイドウェブブラウザ(例えば、マイクロソフト社から入手可能なMicrosoft(登録商標) Internet Explorer(登録商標)、Googleから入手可能なChrome、モジラコーポレーションから入手可能なMozilla(登録商標) Firefox、Appleから入手可能なSafari)を備えたコンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット)を含む。モバイルコンピューティングデバイスは、例えば、携帯情報端末(PDA)を含む。
【0124】
ウェブサイト及び/又はウェブページは、例えば、ネットワーク(例えば、インターネット)を介してウェブサーバを使用して提供することができる。ウェブサーバは、例えば、サーバモジュール(例えば、マイクロソフト社から入手可能なMicrosoft(登録商標) Internet Information Services、Apacheソフトウェア財団から入手可能なApache Web Server、Apacheソフトウェア財団から入手可能なApache Tomcat Web Server)を備えたコンピュータであってもよい。
【0125】
記憶モジュールは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)モジュール、読み取り専用メモリ(ROM)モジュール、コンピュータハードドライブ、メモリカード(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ、セキュアデジタル(SD)フラッシュカード)、フロッピーディスク、及び/又は任意の他のデータ記憶装置であってもよい。記憶モジュールに記憶された情報は、例えば、データベース(例えば、関係データベースシステム、フラットデータベースシステム)及び/又は任意の他の論理情報記憶機構に維持することができる。
【0126】
上述した技術は、バックエンドコンポーネントを含む分散コンピューティングシステムで実装することができる。バックエンドコンポーネントは、例えば、データサーバ、ミドルウェアコンポーネント及び/又はアプリケーションサーバであってもよい。上述した技術は、フロントエンドコンポーネントを含む分散コンピューティングシステムで実装することができる。フロントエンドコンポーネントは、例えば、グラフィカルユーザインタフェース、ユーザが実装例と対話できるウェブブラウザ、及び/又は送信装置のための他のグラフィカルユーザインタフェースを有するクライアントコンピュータであってもよい。このシステムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体(例えば、通信ネットワーク)により相互接続されてもよい。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、有線ネットワーク、及び/又は無線ネットワークを含む。
【0127】
このシステムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアント及びサーバは、一般的に互いに離れており、典型的に通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント/サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって発生する。
【0128】
上述したネットワークは、パケットベースのネットワーク、回線ベースのネットワーク、及び/又はパケットベースのネットワークと回線ベースのネットワークの組み合わせで実装することができる。パケットベースのネットワークは、例えば、インターネット、キャリアインターネットプロトコル(IP)ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ホームエリアネットワーク(HAN)、プライベートIPネットワーク、IP構内交換機(IPBX)、無線ネットワーク(例えば、無線アクセスネットワーク(RAN)、802.11ネットワーク、802.16ネットワーク、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、高性能無線LAN)、及び/又は他のパケットベースのネットワークを含んでもよい。回線ベースのネットワークは、例えば、公衆交換電話網(PSTN)、構内交換機(PBX)、無線ネットワーク(例えば、RAN、ブルートゥース(登録商標)、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)ネットワーク)、及び/又は他の回線ベースのネットワークを含んでもよい。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品の形態で具現化されてもよい。同様に、いくつかの実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方の組み合わせとして具体化されてもよい。いくつかの実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードの形態で1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体に保存されたコンピュータプログラム製品として具体化されてもよい。このような非一時的なコンピュータ可読媒体は、実行されると、プロセッサに実施形態に係る方法ステップを実行させる命令を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体に記憶された命令は、インストールされたアプリケーションの形態及びインストールパッケージの形態であってもよい。
【0130】
このような命令は、例えば、1つ以上のプロセッサによってロードされ、実行されてもよい。例えば、コンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子的、光学的、磁気的、電磁的、赤外線若しくは半導体のシステム、機器若しくは装置、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0131】
コンピュータプログラムコードは、任意の適切なプログラミング言語で書かれてもよい。プログラムコードは、単一のコンピュータシステムにより実行されてもよく、複数のコンピュータシステムにより実行されてもよい。
【0132】
当業者は、本発明が本発明の精神又は本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具体化され得ることを理解するであろう。したがって、前述の実施形態は、あらゆる点において、本明細書に記載の本発明を限定するものではなく、例示的なものであると考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されるため、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲に入る変更は、本発明に包含されるものとする。
【0133】
上記の詳細な説明では、本発明の理解を提供するために多くの特定の詳細が記載されている。しかしながら、これらの特定の詳細がなくても本発明を実施し得ることは、当業者には理解される。また、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット及び/又は回路については、詳細な説明を省略する。ある実施形態に関して説明されたいくつかの特徴又は要素を、他の実施形態に関して説明された特徴又は要素と組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】