(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】取外し可能なバッテリーモジュールを備えた電力システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240206BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/00 P
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547778
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2021060860
(87)【国際公開番号】W WO2022173485
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523161778
【氏名又は名称】パラトブ グループ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パラトブ,デニス
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AC09
5G064DA11
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA06
5G503GD05
(57)【要約】
車両または固定設置のための電力システムが開示され、各バッテリーモジュールが共通の電源バスへの内部的に制御可能な接続を有する、複数の取外し可能モジュールを有するバッテリーパック、電力制御装置(PCU)によって制御されるシステム構成要素を含み、前記PCUは前記共通の電源バスへの接続を有し、システム制御装置(SCU)は、前記バッテリーモジュールおよび前記PCUの各々と通信し、前記SCUは電力システムのオペレータからの制御入力を受信する。いくつかの実施形態では、前記オペレータは、人間のオペレータ、電子オペレータユニット(EOU)、またはそれらの組合せであり得る。電力システムのオペレータからSCUによって受信された制御入力および電力システムの監視された状態に応答して、バッテリーモジュールの各々の内部的に制御可能な接続を操作するための方法が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子オペレータユニット(EOU)と、
第1のシステム構成要素に結合されている第1の電力制御装置(PCU)であって、前記第1のPCUは予め定められた電力需要を有しており、前記電力需要は、予め定められた電力レベルを前記第1のシステム構成要素で供給するために要求された電流および電圧の関連付けられた数値を有しており、電流および電圧の前記関連付けられた数値は第1の電力需要データマップ(PDDM)内に記録されている、第1の電力制御装置(PCU)と、
パック通信バスに通信可能に結合されていて、前記EOUにさらに通信可能に結合されて、前記第1のPCUにさらに通信可能に結合されている、システム制御装置(SCU)と、
バッテリーモジュールを受け入れるための複数のソケットを有していて、前記複数のソケット内で受け入れられたバッテリーモジュールを電源バスに結合し、前記複数のソケット内で受け入れられたバッテリーモジュールを前記パック通信バスに通信可能に結合するための、バッテリーパックと
を備え、
前記電源バスは、負の電源バスおよび正の電源バスを更に含み、前記電源バスは、前記バッテリーパックの前記複数のソケットの各々に結合されて、前記電源バスは、前記第1のPCUに更に結合され、
電力システムデータマップ(PSDM)が、前記第1のPDDM内に記録されたデータに応答して前記SCUによって生成されている、
電力システム。
【請求項2】
前記バッテリーパックの前記複数のソケットのうちの第1に受け入れられている第1のバッテリーモジュールであって、
第1の複数の直列接続されたセルと、
第1の正端子と、
第1の負端子と、
前記第1の複数の直列接続されたセルの各々に対して電圧および温度測定値を取得するように構成されている第1のモジュールコントローラであって、前記第1の正端子と前記第1の負端子との間を流れている電流の測定値を取得するように構成されている、第1のモジュールコントローラと
を含む、第1のバッテリーモジュールを更に含み、
前記第1のモジュールコントローラは、前記第1の正端子と前記第1の負端子との間の電圧の測定値を取得するように構成され、
前記第1のバッテリーモジュールは、前記第1のモジュールコントローラに制御可能に結合されている第1のリレーを更に含み、
前記第1のリレーは、前記複数の直列接続されたセルを前記正端子および前記負端子の1つに接続するように構成され、
前記第1のモジュールコントローラは前記SCUと通信するように構成され、
前記モジュールは、関連付けられた第1のモジュール容量を含み、前記第1のモジュール容量は前記第1のモジュールコントローラ内の第1のモジュール容量データマップ(MCDM)内に格納されたデータによって数値的に表されており、
前記PSDMは、前記第1のMCDM内に記録されたデータに応答して前記SCUによって更に生成されている、
請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記バッテリーパックの前記複数のソケットのうちの第2に受け入れられている第2のバッテリーモジュールであって、
第2の複数の直列接続されたセルと、
第2の正端子と、
第2の負端子と、
前記第2の複数の直列接続されたセルの各々に対して電圧および温度測定値を取得するように構成されている第2のモジュールコントローラであって、前記第2の正端子と前記第2の負端子との間を流れている電流の測定値を取得するように構成されている、第2のモジュールコントローラと
を含む、第2のバッテリーモジュールを更に含み、
前記第2のモジュールコントローラは、前記第2の正端子と前記第2の負端子との間の電圧の測定値を取得するように構成され、
前記第2のバッテリーモジュールは、前記第2のモジュールコントローラに制御可能に結合されている第2のリレーを更に含み、
前記第2のリレーは、前記第2の複数の直列接続されたセルを前記第2の正端子および前記第2の負端子の1つに接続するように構成され、
前記第2のモジュールコントローラは前記SCUと通信するように構成され、
前記モジュールは、関連付けられた第2のモジュール容量を含み、前記第2のモジュール容量は前記第2のモジュールコントローラ内の第2のモジュール容量データマップ(MCDM)内に格納されたデータによって数値的に表されており、
前記PSDMは、前記第2のMCDM内に記録されたデータに応答して前記SCUによって更に生成されている、
請求項2に記載の電力システム。
【請求項4】
第2のシステム構成要素に結合されている第2の電力制御装置(PCU)であって、前記第2のPCUは予め定められた電力需要を有しており、前記電力需要は、予め定められた電力レベルを前記第2のシステム構成要素で供給するために要求された電流および電圧の関連付けられた数値を有しており、電流および電圧の前記関連付けられた数値は第2の電力需要データマップ(PDDM)内に記録されており、前記第2のPDDMは、前記第2のPCU内に格納されて、前記SCUは前記第2のPCUに更に通信可能に結合され、前記電源バスは、前記第2のPCUに更に結合されている、第2の電力制御装置(PCU)を更に含み、
前記PSDMは、前記第2のPDDM内に記録されたデータに応答して前記SCUによって更に生成されている、
請求項1に記載の電力システム。
【請求項5】
前記第1のシステム構成要素は電気モーターである、請求項1に記載の電力システム。
【請求項6】
前記第1のシステム構成要素は発電機である、請求項1に記載の電力システム。
【請求項7】
前記第1のシステム構成要素はバッテリー充電器である、請求項1に記載の電力システム。
【請求項8】
前記第1のシステム構成要素は水素燃料電池である、請求項1に記載の電力システム。
【請求項9】
前記第2のシステム構成要素は電気モーターである、請求項4に記載の電力システム。
【請求項10】
前記第2のシステム構成要素は発電機である、請求項4に記載の電力システム。
【請求項11】
前記第2のシステム構成要素はバッテリー充電器である、請求項4に記載の電力システム。
【請求項12】
前記第2のシステム構成要素は水素燃料電池である、請求項4に記載の電力システム。
【請求項13】
バッテリーモジュールを操作する方法であって、前記バッテリーモジュールは、複数の直列接続されたセル、正端子、負端子、前記複数の直列接続されたセルの各々に対して電圧および温度測定値を取得するように構成されているモジュールコントローラを有しており、前記モジュールコントローラは、前記正端子と前記負端子との間を流れている電流の測定値を取得するように構成され、前記モジュールコントローラは、前記正端子と前記負端子との間の電圧の測定値を取得するように構成されて、前記バッテリーモジュールは、前記モジュールコントローラに制御可能に結合されているリレーを更に有し、前記リレーは、前記複数の直列接続されたセルを第1の前記正端子および前記負端子に接続するように構成され、前記モジュールコントローラはSCUと通信するように構成されて、前記バッテリーモジュールは関連付けられたモジュール容量を有し、前記モジュール容量は、前記モジュールコントローラ内のモジュール容量データマップ(MCDM)内に格納されたデータによって数値的に表されており、前記方法は、
前記複数の直列接続されたセルの各々に対して新しい開回路電圧測定値を取得して、前記新しい開回路電圧測定値の各々を、前記複数の直列接続されたセルの対応する各々に対する最近の開回路電圧値と見なすことと、
前記複数の直列接続されたセルの各々に対して新しい開回路温度測定値を取得して、前記新しい開回路温度測定値の各々を、前記複数の直列接続されたセルの対応する各々に対する最近の開回路温度値と見なすことと、
前記複数の直列接続されたセルの各々に対する前記最近の開回路電圧値および前記最近の開回路温度値の取得に応答して、前記MCDMを更新することと、
前記MCDMを前記SCUに伝達することと、
前記最近の開回路電圧値の各々の予め定められた開回路電圧制限値に対する開回路電圧比較を実行し、前記最近の開回路温度値の各々の予め定められた開回路温度制限値に対する開回路温度比較を実行することと、
前記開回路電圧比較および前記開回路温度比較の1つが否定であることに応答して、前記複数の直列接続されたセルの各々に対して新しい開回路電圧測定値を取得する前記ステップから始まる前記ステップを繰り返すことと、
前記開回路電圧比較および前記開回路温度比較が肯定であることに応答して、モジュール電圧(MV)を計算し、前記計算されたMVを最近のMV値と見なすことと、
前記正端子と前記負端子との間のバス電圧(BV)の開回路測定値を取得し、前記取得されたBV測定値を最近のBV値と見なすことと、
前記最近のBV値と前記最近のMV値の開回路バス電圧比較を実行することと、
前記開回路バス電圧比較が否定であることに応答して、前記複数の直列接続されたセルの各々に対して新しい開回路電圧測定値を取得する前記ステップから始まる前記ステップを繰り返すことと、
前記開回路バス電圧比較が肯定であることに応答して、前記複数の直列接続されたセルを前記第1の前記正端子および前記負端子に接続するために前記リレーを制御することと、
前記複数の直列接続されたセルを通って前記正端子と前記負端子との間を流れる電流(EC)の新しい測定値を取得し、前記取得されたECの測定値を最近のEC値と見ますことと、
前記最近のEC値と予め定められた電流制限値のEC比較を実行することと、
前記EC比較が否定であることに応答して、前記複数の直列接続されたセルを前記第1の前記正端子および前記負端子から切断するために前記リレーを制御し、前記複数の直列接続されたセルの各々に対して新しい開回路電圧測定値を取得する前記ステップから始まる前記ステップを繰り返すことと、
前記EC比較が肯定であることに応答して、前記複数の直列接続されたセルの各々に対して新しい閉回路電圧測定値を取得し、前記新しい閉回路電圧測定値の各々を、前記複数の直列接続されたセルの対応する各々に対する最近の閉回路電圧値と見なすことと、
前記複数の直列接続されたセルの各々に対して新しい閉回路温度測定値を取得し、前記新しい温度測定値の各々を、前記複数の直列接続されたセルの対応する各々に対する最近の閉回路温度値と見なすことと、
前記複数の直列接続されたセルの各々に対する前記最近の閉回路電圧値および前記最近の閉回路温度値の取得に応答して、前記MCDMを更新することと、
前記MCDMを前記SCUに伝達することと、
前記最近の閉回路電圧値の各々の予め定められた閉回路電圧制限値に対する閉回路電圧比較を実行し、前記最近の閉回路温度値の各々の予め定められた閉回路温度制限値に対する閉回路温度比較を実行することと、
前記閉回路電圧比較および前記閉回路温度比較が肯定であることに応答して、前記正端子と前記負端子との間を流れている電流の新しい測定値を取得する前記ステップから始まる前記ステップを繰り返すことと、
前記閉回路電圧比較および前記閉回路温度比較の1つが否定であることに応答して、前記複数の直列接続されたセルを前記第1の前記正端子および前記負端子から切断するために前記リレーを制御し、前記複数の直列接続されたセルの各々に対して新しい開回路電圧測定値を取得する前記ステップから始まる前記ステップを繰り返すことと、
を含む、方法。
【請求項14】
モジュール電圧(MV)を計算する前記ステップの後で、開回路バス電圧比較を実行する前記ステップの前に、
前記SCUから目標バス電圧(TBV)値を受信するステップと、
前記TBV値と前記最近のMV値との間で目標バス電圧比較を実行するステップと、
前記目標バス電圧比較が肯定であることに応答して、前記複数の直列接続されたセルを前記第1の前記正端子および前記負端子に接続するために前記リレーを制御する前記ステップに進むステップと
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電力システムを制御する方法であって、前記電力システムは、電子オペレータユニット(EOU)、第1のシステム構成要素に結合されている第1の電力制御装置(PCU)を有しており、前記第1のPCUは予め定められた電力需要を有し、前記電力需要は予め定められた電力を前記第1のシステム構成要素で供給するために要求された電流および電圧の関連付けられた数値を有して、電流および電圧の前記関連付けられた数値は第1の電力需要データマップ(PDDM)内に記録されて、前記第1のPDDMは前記第1のPCU内に格納され、前記電力システムはパック通信バスに通信可能に結合され、前記EOUに更に通信可能に結合されて、前記PCUに更に通信可能に結合されているシステム制御装置(SCU)を有し、前記電力システムは、バッテリーモジュールを受け入れるための複数のソケットを有していて、前記複数のソケット内に受け入れられたバッテリーモジュールを前記電源バスに結合するため、および前記複数のソケット内に受け入れられたバッテリーモジュールを前記パック通信バスに通信可能に結合するためのバッテリーパックを有し、前記電源バスは、負の電源バスおよび正の電源バスを更に含み、前記電源バスは、前記バッテリーパックの前記複数のソケットの各々に結合されて、前記電源バスは前記PCUに更に結合されていて、前記電力システムは前記バッテリーパックの前記複数のソケットのうちの第1で受け入れられている第1のバッテリーモジュールを有し、前記第1のバッテリーモジュールは第1の複数の直列接続されたセル、第1の正端子、第1の負端子、前記第1の複数の直列接続されたセルの各々に対して電圧および温度測定値を取得するように構成されている第1のモジュールコントローラを有し、前記第1のモジュールコントローラは、前記第1の正端子と前記第1の負端子との間を流れている電流の測定値を取得するように構成され、前記第1のモジュールコントローラは、前記第1の正端子と前記第1の負端子との間の電圧の測定値を取得するように構成されて、前記第1のバッテリーモジュールは前記第1のモジュールコントローラに制御可能に結合されている第1のリレーを更に有し、前記第1のリレーは、前記複数の直列接続されたセルを前記正端子および前記負端子の1つに接続するように構成され、前記第1のモジュールコントローラは前記SCUと通信するように構成されて、前記モジュールは関連付けられた第1のモジュール容量を有し、前記第1のモジュール容量は前記第1のモジュールコントローラ内の第1のモジュール容量データマップ(MCDM)内に格納されたデータによって数値的に表されて、前記SCUは前記第1のPDDM内に格納されたデータに応答し、かつ前記第1のMCDM内に格納されたデータに応答して、前記SCUによって生成されている電力システムデータマップ(PSDM)を有しており、前記方法
は、
前記SCUにより、前記EOUからの新しい電力要求を監視することと、
前記SCUにより、新しい要求された電力値を含む、前記EOUからの新しい電力要求を受信し、前記新しい要求された電力値を最近の要求された電力値と見なすことと、
前記PSDM内に格納されたデータを参照して利用可能な電力を計算することと、
前記最近の要求された電力値と前記利用可能な電力値の電力比較を実行することと、
前記電力比較が否定であることに応答して、前記PSDM内に格納されたデータを参照して低減された電力値を計算し、前記低減された電力値を前記最近の要求された電力値と見なすことと、
前記最近の要求された電力値を前記第1のPCUに要求することと、
更新された第1のPDDMを前記第1のPCUから受信することと、
更新された第1のMCDMを前記第1のモジュールコントローラから受信することと、
更新されたPSDMを生成して、前記PSDMを前記更新されたPSDMと交換することと、
前記SCUにより、前記EOUからの新しい電力要求を監視する前記ステップから始まる前記ステップを繰り返すことと
を含む、方法。
【請求項16】
前記電力システムは、第2のシステム構成要素に結合されている第2の電力制御装置(PCU)を更に有しており、前記第2のPCUは予め定められた寄与する電力需要を有し、前記寄与する電力需要は予め定められた電力を前記第2のシステム構成要素で供給するために要求された電流および電圧の関連付けられた数値を有して、電流および電圧の前記関連付けられた数値は第2の電力需要データマップ(PDDM)内に記録されており、前記第2のPDDMは前記第2のPCU内に格納されて、前記PSDMは、前記第2のPDDM内に格納されたデータに応答して前記SCUによって更に生成されており、
前記PSDM内に格納されたデータを参照して利用可能な電力値を計算する前記ステップは、
前記第2のシステム構成要素に対して寄与する電力値を、前記PSDM内に格納されたデータを参照して決定するステップと、
前記寄与する電力値を前記第2のPCUに要求するステップと、
前記寄与する電力値を参照して更新されたPSDMを生成して、前記PSDMを前記更新されたPSDMと交換するステップと、
前記利用可能な電力値を前記更新されたPSDM内に格納されたデータを参照して計算するステップと
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2021年2月10日に出願された同時係属出願「APPARATUS AND METHODS FOR REMOVABLE BATTERY MODULE WITH INTERNAL RELAY AND INTERNAL CONTROLLER」整理番号17172613の一部継続であり、それは参照により全体として本明細書に組み込まれる。更に、本出願は、同時係属出願「BATTERY MODULE WITH SERIES CONNECTED CELLS,INTERNAL RELAYS AND INTERNAL BATTERY MANAGEMENT SYSTEM」、整理番号17182072に関連し、それは参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
車両バッテリーモジュールは典型的には、それと関連付けられた多大な金銭価値を有し、しばしば数百または数千ドルに及ぶ。
【0003】
当技術分野で一般に知られているバッテリーモジュールは、容易にアクセスまたは修理できない密封されたバッテリーパック内に永続的に設置されるように構築される。このため、かかるモジュールの更なる保護、追跡、または盗難防止は必要ないと見なされる。当技術分野で周知のモジュールに物理的にアクセスして取り外すことの困難さは一般に、盗難に対する十分な抑止力と考えられている。
【0004】
参照された同時係属出願では、本出願人は、個々に有効または無効にされる複数の取外し可能な高電圧モジュールを含むバッテリーパックに対する新規の装置および方法を開示する。
【0005】
本出願人によって教示される新規の取外し可能高電圧モジュールに備わっている、モジュールの取外しの容易さ、および同じモジュールを異なるパック内で使用する能力に起因して、モジュールの追跡、その使用の制御、およびモジュール盗難の防止の必要性が生じる。
【0006】
更に、新しいか、または交換の取外しモジュールを受け入れるように構成されたバッテリーパックでは、任意の新たに設置されるモジュールは、特定のパックおよびそのパックによって電力供給される装置と互換性があり、動作を有効にしても安全であることを確実にすることが望ましい。
【0007】
車両用バッテリーの技術分野で必要とされるものは、取外し可能バッテリーモジュール設計、ならびにモジュールの使用に対する制御、認可されていないか、または互換性がない使用の阻止を容易にして、通常使用におけるモジュールの追跡および盗まれたモジュールの取戻しの支援の両方を容易にする、その操作方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、モジュールの試みられた使用が認可されているかどうかをチェックして、認可されていない使用を阻止するための手段を有する取外し可能高電圧バッテリーモジュールを提供することである。
【0009】
本発明の第2の目的は、モジュールの通常使用の追跡を容易にするバッテリーモジュール設計、バッテリーパック設計、インフラストラクチャ設計および方法を提供することである。
【0010】
本発明の第3の目的は、盗まれたモジュールの位置の突止めおよび取戻しを支援するバッテリーモジュール設計、バッテリーパック設計、インフラストラクチャ設計および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
目的を達成するために、本発明のバッテリーモジュールは、製造時に少なくとも固有の識別子(ID)を割り当てられる。モジュールが修理可能な構成要素を有する実施形態では、第1の固有のIDが修理不能な構成要素と関連付けられ得、1つ以上の修理可能な構成要素は追加の固有のIDを割り当てられ得る。
【0012】
モジュール内に含まれる本発明のモジュールコントローラは、パックコントローラとの安全な通信手段を備える。
【0013】
本発明のパックコントローラは同様に、製造時に固有のIDを割り当てられ、同様に、1つ以上の取外し可能モジュール内に含まれるモジュールコントローラとの安全な通信手段を備える。
【0014】
パックコントローラは更に、認証コントローラとの安全な通信手段を備える。
【0015】
取外し可能バッテリーモジュールの個別にプログラムされた状態が開示されて、前記状態の各々は、有効にされるモジュール機能の個別のセットを有し、無効にされるモジュール機能の個別のセットを更に有し得る。いくつかの状態では、あるモジュール機能は制限または限定され得る。いくつかの状態では、モジュールの認可されていない使用は阻止される。
【0016】
モジュールを個別にプログラムされた状態間で遷移させるための方法が提供される。遷移の一部は、認証コントローラとの安全な通信に応答して達成され得る。
【0017】
パックコントローラからデータセンターへモジュールデータを伝達すること、特定のモジュールが盗まれたと報告されているかどうかをチェックすること、モジュールを盗まれたとして報告すること、およびモジュールを取り戻されたとして報告すること、を行うための追加の方法が提供される。
【0018】
本発明はここで、以下の図面を参照して説明される。図面中の構成要素は必ずしも、相互に対して原寸に比例していない。同様の参照番号は、いくつかの図面を通して対応する部品を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】認証コントローラに通信可能に結合された本発明のモジュラーバッテリーパックのダイアグラム表現である。
【
図2】本発明のバッテリーモジュールを図式的に示す。
【
図3】モジュールコントローラおよび関連付けられた回路を含む外部インタフェースPCBA、複数のセル監視および調整回路を有するセル監視PCBAを示しており、前記回路は複数のセルに結合されている。
【
図4】本発明のモジュールのプログラムされた状態および前記状態間の遷移を示す状態図である。
【
図7】車両用の電力システムの一実施形態の図であり、前記電力システムは、複数のバッテリーモジュールを利用する。
【
図8】本発明の電気自動車電力システムの構成要素の各々と関連付けられたデータマップを図式的に示す。
【
図9】取外し可能バッテリーモジュールの操作方法に対する流れ図を示す。
【
図10】複数のバッテリーモジュールを利用する電気自動車電力システムの電源バスに通電する方法に対する流れ図である。
【
図11】電気自動車の電力システムを制御する方法に対する流れ図である。
【
図12】車載バッテリー充電器を更に有していて、外部バッテリー充電器に更に接続されている、
図7の車両に対する電力システムの一実施形態を示す。
【
図13】建物または別の定置型用途に対する電力システムを示しており、前記電力システムは、複数のバッテリーモジュールを利用して、異なるタイプの複数のシステム構成要素を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
複数の取外し可能バッテリーモジュール10を有していて、認証コントローラ50に通信可能に結合されている、本発明のモジュラーバッテリーパック5の一実施形態が
図1に図式的に示されている。示されている実施形態は制限ではない。他の実施形態は、本明細書で行われる開示に基づき、当業者には明らかになるであろう。
【0021】
取外し可能バッテリーモジュール10を有するモジュラーバッテリーパック5を操作するための開示されるシステムおよび方法は、以下の詳細な説明を図面と併せて検討することを通してより良く理解できるようになる。詳細な説明および図面は、本明細書で説明される様々な発明の例を提供する。当業者は、開示される例は、本明細書で説明される発明の範囲から逸脱することなく、変更、修正、および改変され得ることを理解するであろう。多くの変形が、異なる用途および設計検討に対して企図されるが、簡単にするために、ありとあらゆる企図される変形は以下の詳細な説明では個々には説明されない。
【0022】
以下の詳細な説明全体を通して、バッテリーパック5およびバッテリーモジュール10に対するシステムおよび方法の様々な例が提供される。例中の関連する特徴は、異なる例において同一か、類似しているか、または異なり得る。簡単にするために、関連する特徴は、各例において重複して説明されない。代わりに、関連する特徴名の使用は、関連する特徴名をもつ特徴は以前に説明された例内の関連する特徴に類似し得るという合図を読者に送る。所与の例に固有の特徴は、その特定の例内で説明される。所与の特徴は、任意の所与の図または例内の関連する特徴の特定の描写と同じか、または類似する必要がないことを読者は理解すべきである。
【0023】
以下の定義は、別段の指示がない限り、本明細書に当てはまる。
【0024】
「実質的に」は、その用語によって修飾される、特定の寸法、範囲、形状、概念、または他の態様に多かれ少なかれ一致し、そのため特徴または構成要素は正確に一致する必要がないことを意味する。例えば、「実質的に円筒状の」物体は、その物体が円筒に似ていることを意味するが、真の円筒から1つ以上の逸脱を有し得る。
【0025】
「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、および「~を有する(having)」(およびその活用)は、それらを含むが、必ずしもそれらに制限されないことを意味するために区別しないで使用されて、明示的に列挙されていない追加の要素、または方法ステップを除外することを意図していない制約のない用語である。
【0026】
「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、グループの様々なメンバー、もしくは同様のものを区別または識別するために使用されて、連続、時系列、または数値限定を示すことは意図していない。
【0027】
「結合された」は、直接的、もしくは介在する構成要素を通して間接的にかに関わらず、永続的に、または取り外し可能のいずれかで、接続されていることを意味する。
【0028】
「電気的に結合された」、「電気的に接続された」は、要素間での電流の伝導を可能にするような方法で接続された回路素子を意味する。
【0029】
「コネクタ」、「電気コネクタ」は、回路素子を取外し可能な方法で電気的に結合するための構造または装置を意味する。
【0030】
「相互接続」、「電気的相互接続」は、回路素子を取外し可能ではない方法で電気的に結合するための構造または装置を意味する。
【0031】
「通信可能に結合された」は、電子装置が、電子メッセージの送信のために、直接的または通信ネットワークを通して間接的かに関わらず、無線またはコネクタを用いてのいずれかで、別の電子装置と通信していることを意味する。
【0032】
「制御可能に結合された」は、電子装置が、別の電子装置の動作を制御することを意味する。
【0033】
「PCBA」は、プリント回路基板組立体を意味し、非導電性基板、回路素子を電気的に結合するための1つ以上のエッチングされた導電性トレース、ならびに集積回路、リレー、セル相互接続および同様のものであり得る、1つ以上の電気回路素子を含む。
【0034】
「セル」、「バッテリーセル」は、電圧および電流を生成するために使用される電解質によって分離された単一の陽極および陰極を指す。本発明のバッテリーモジュールは、グループ内で直列に接続されたセルの1つ以上のグループを含む。セルは、円筒状、プリズム、ポーチ(pouch)、または任意の他のタイプであり得る。セルは、リチウムイオンまたは任意の他の化学的タイプであり得る。
【0035】
「コマンドメッセージ」、「コマンド」は、第1の電子回路から第2の電子回路へ、前記第2の回路による動作または状態変化を開始するために、送信された電子メッセージである。多くの実施形態では、コマンドメッセージは、安全な通信を用いて送信された安全なメッセージである。
【0036】
「状態メッセージ」は、第2の電子回路によって第1の電子回路に送信された電子メッセージであり、前記メッセージは、前記第2の回路、または別の回路の状態もしくは動作ステータスに関する情報を含む。
【0037】
「安全な通信」、「安全なメッセージ」は、暗号化されたメッセージ、または認可されていない当事者もしくは装置による読取り、修正もしくは改ざんを阻止する任意の他のタイプのメッセージを用いた通信を意味する。公開鍵、秘密鍵、デジタル署名および同様のものを含む、任意のタイプの既知の暗号化が利用され得る。異なるタイプの安全な通信が、異なるタイプのメッセージに対する一実施形態内で利用され得る。メッセージの暗号化および暗号解読は、ソフトウェアで実行され得、そのように装備されたコントローラにおいてハードウェア支援と共に実行され得る。安全な通信は、電子装置の技術分野で周知であり、それ故、本明細書では詳細に説明されない。
【0038】
「固有のID」は、固有であるように生成されて、電子回路、電子組立体、または車両であり得る機械などの、特定の物理的装置に割り当てられる数値または英数字値を意味する。固有のIDの生成および割当ては当技術分野で周知である。固有のIDのデータベースへの登録も周知である。車両に関して、固有のIDは典型的には、車両識別番号(VIN)の形を取る。コントローラ、処理装置、ネットワーキングコントローラおよび同様のものなど、製造時に固有のIDが割り当てられてそれらに埋め込まれている、様々なタイプの電子回路が知られている。固有のIDを電子装置に割り当てることは、電子装置設計の技術分野で周知であり、従って本明細書では詳細に説明されない。
【0039】
「車両識別番号」、「VIN」は、車両製造業者によって車両に公式に割り当てられて登録される固有のIDを意味する。VINは通例、政府機関によってデータベースに記録される。
【0040】
「製品識別番号」、「PIN」は、装置の製造業者により、かかる装置が車両でない場合に、バッテリーパックを含む装置に、割り当てられる固有のIDを意味する。PINを有する装置の例は、バッテリー充電器、家庭内および商用のエネルギー貯蔵装置、バックアップ電源および同様のものである。PINは、装置製造業者、産業界機関(industry agency)、または政府機関によってデータベースに記録され得る。
【0041】
「モジュール識別番号」、「MIN」は、モジュール製造業者によってバッテリーモジュールに割り当てられる固有のIDを意味する。MINは、モジュール製造業者、産業界機関、または政府機関によってデータベースに記録され得る。
【0042】
「システム制御装置」、「SCU」は、オペレータ入力に応答して、車両の電子および電気機械システムに制御可能に結合されて、その動作を制御する電子制御装置を意味する。
【0043】
「認証コントローラ」は、バッテリーパックまたはバッテリーモジュールの試みられた使用が認可されているかどうかを認証する手段を有する電子装置を意味する。SCUである電子装置に関して、かかる手段は、車両の鍵に通信可能に結合されていることを含み得る。インターネットまたは別のネットワークに接続されたコントローラに関して、かかる手段は、登録されたPINまたはMINのデータベースを有するデータセンターに通信可能に結合されていることを含み得る。他の認証手段は、オペレータ生体認証の検知、オペレータによるパスコードの入力、または任意の他の既知の認証手段を含み得る。
【0044】
「バッテリーモジュール」、「モジュール」は、直列に接続された複数のセル、正および負の端子、複数のセルを正および負の端子の各々に電気的に結合するリレー、ならびにリレーをコントローラに制御可能に結合する手段を含む電子装置を意味する。いくつかの実施形態では、リレーをコントローラに制御可能に結合する手段は、安全な通信を可能にするバッテリー管理システム(BMS)コントローラである。
【0045】
「バッテリーパック」、「パック」は、複数のバッテリーモジュールを取り外し可能に受け入れて、受け入れたモジュールを同様のモジュールの間に並列接続で電気的に結合し、そのモジュールを外部電気負荷または電源にひとまとめにして電気的に結合して、モジュールをまとめてコントローラに制御可能に結合するように構成された電気、機械、および電子装置を意味する。バッテリーパックは、受け入れたモジュールの充電だけ行う、受け入れたモジュールの放電だけ行う、またはその両方を行うように構成され得る。
【0046】
「バッテリーモジュール状態」、「モジュール状態」、「状態」は、モジュールの何らかの特定の機能が有効にされ得、モジュールの何らかの特定の機能が無効にされ得、かつモジュールの何らかの特定の機能が制限または制約され得る、バッテリーモジュールの個別のプログラムされた構成を意味する。例えば、充電および放電電流制限が、異なる状態において異なる特定値に設定され得、いくつかの状態ではゼロに設定され得る。本発明の文脈および本明細書で提示される説明では、モジュール状態は、不揮発性メモリに格納される1つ以上の制御パラメータに応答し、かつ電流、電圧および温度測定値などの監視された動作条件に更に応答して、1つ以上のリレーを制御するために、モジュールコントローラ内の制御プログラムの実行によって実装される。動作条件の監視は、測定回路によって達成され、電子回路設計の技術分野で周知である。不揮発性メモリ内へのパラメータの格納は、コントローラの技術分野で周知であり、本明細書では詳細に説明されない。状態間の遷移は、モジュールコントローラによって受信されたコマンドメッセージに応答してプログラムで達成され、監視された動作条件に更に応答し得る。一部の状態遷移は、成功認証を条件とし得る。
【0047】
「パッシブ状態」は、全てのリレーが無効にされて、アクティブ状態に遷移するために認可されたパックコントローラからの有効なコマンドメッセージの受信を要求する、バッテリーモジュール状態を意味する。第1のパッシブ状態から別のパッシブ状態への遷移は、監視された動作条件に応答するか、またはコマンドに応答し得、認証を必要とし得る。
【0048】
「アクティブ状態」は、1つ以上のリレーが、測定された電流、測定された電圧、測定された温度、アクティブ化された継続期間期限切れ、および同様のものなどの、監視された動作条件に応答してモジュールコントローラのアクティブな制御下にあるバッテリーモジュール状態を意味する。アクティブ状態間、アクティブ状態からパッシブ状態への、遷移は、監視された動作条件またはコマンドに応答し得、認証を必要とし得る。
【0049】
「充電電流」は、充電器などの外部電源からモジュール内に流れ込んで、モジュール内に貯蔵された電気エネルギーに加わる、電流を意味する。
【0050】
「放電電流」は、モジュールから外部電気負荷に流れて、モジュール内に貯蔵された電気エネルギーから差し引かれる、電流を意味する。
【0051】
図1は、認証コントローラ50に通信リンク45によって通信可能に結合されるパックコントローラ40を有するバッテリーパック5を示す代表的な図である。各パックコントローラ40は、製造時に固有のIDを割り当てられる。車両内に設置されるバッテリーパック5の実施形態に関して、認証コントローラ50は、車両の鍵に通信可能に結合されているシステム制御装置(SCU)であり得、通信リンク45は、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスまたは類似のものであり得る。充電ステーションまたは家庭内のエネルギー貯蔵装置などの、据置構造内に設置されるバッテリーパック5の実施形態に関して、認証コントローラ50は、リモートに配置された、データベースを有するデータセンターであり得、通信リンク45は、パックコントローラ40を認証コントローラ50に通信可能に結合するインターネットであり得る。いくつかの実施形態では、認証コントローラ50は、セルラー電話であり得、それは更に、インターネットデータベースに通信可能に結合され得、通信リンク45は、無線であり得る。
【0052】
複数の取外し可能モジュール10が示されている。図示されていない追加のモジュールを受け入れるための空のソケット25も示されている。図は、明確にするために単純化されており、数値的に、または別の方法でも制限しない。
【0053】
パックコントローラ40は、モジュール10の制御バスコネクタ700に制御バス70を介して通信可能に結合される。パックコントローラ40は、モジュール10内に含まれるコントローラ900の各々によって受信されるコマンドソースである。
【0054】
モジュール10の正端子200および負端子300は、ソケット25を用いて正の電源バス20および負の電源バス30に電気的に結合される。インバータなどの外部電気負荷、または充電器などの外部電源は通例、電源バス20および電源バス30に電気的に結合される。バッテリーパック電源バスの電気負荷または電源へのかかる結合は、当技術分野で周知であり、明確にするために図から省略されている。バッテリーパック5のいくつかの実施形態は、ヒューズ、リレー、絶縁監視回路、電流センサーおよび同様のものなどの、電源バスに結合される電力分配装置を更に採用し得る。バッテリーパックの電源バスに結合されているかかる装置は、当技術分野で周知であり、図示されていない。いくつかの実施形態では、パック内に含まれる本発明のモジュールの内部リレーおよび回路は、追加のパック電力分配装置を不必要にして、パックコストおよび複雑さにおける削減となる。
【0055】
図2は、本発明のバッテリーモジュール10の特徴の概念図である。エンクロージャ100は、複数のセル400、前記複数のセルにリレー500によって電気的に結合されている正端子200、および前記複数のセルにリレー600によって電気的に結合されている負端子300を含んで示されている。リレー500および600は、モジュールコントローラ900に制御可能に結合され、モジュールコントローラ900は更に、制御バスコネクタ700に通信可能に結合される。図示されていない、本発明のいくつかの実施形態は、複数のセルの端子の1つだけへの接続を制御するために1つだけのリレーを有し得、一方、端子の他方は、複数のセルに、直接またはヒュージブルリンクを通してのいずれかで接続される。
【0056】
オプションのオペレータインタフェース800が、モジュールコントローラ900に通信可能に結合されていると図式的に示されている。オペレータインタフェースは、モジュール状態を示して、オペレータ入力を取得する目的のために、視覚インジケータ、プッシュボタン、スイッチ、可聴インジケータおよび同様のものを含み得る。オペレータインタフェースは、当技術分野で周知であり、本明細書では詳述されていない。いくつかの実施形態は、オペレータインタフェースを省略し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、オペレータインタフェース800は、モジュール内に物理的に含まれていない可能性があり、オペレータインタフェースアプリと共に構成されたセルラー電話であり得、前記セルラー電話は、ブルートゥースなどの無線リンクによってモジュールコントローラ900に通信可能に結合されている。
【0058】
オペレータインタフェース800を有する実施形態では、FAULTまたはLOCKED状態(
図4に示されて、以下で更に説明されるとおり)におけるモジュールコントローラは、その状態を前記インタフェースによって定期的に報告し得る。例えば、点灯された発光ダイオード(LED)などの、可視指示が予め定められた間隔で示され得る。オペレータインタフェースに対する無線リンクを有する実施形態では、定期的な指示は無線送信の手段により得る。
【0059】
モジュール10の電子装置の一実施形態が、外部PCBA 925およびモジュール調整および監視PCBA 115を含む、
図3に更に詳細に示されている。他の実施形態では、例示されている回路は、単一のPCBA上に統合され得る。更に他の実施形態では、回路は、複数の別個の組立体にわたって分散され得、その一部は柔軟であり得る。
【0060】
外部インタフェースPCBA 925は、正端子200、負端子300、バッテリモジュールコントローラ900、制御バスコネクタ700、セル400に電気的に結合するためのコネクタ450、ならびにPCBA 115およびその中に含まれるセル監視および調整回路950に通信可能に結合するための通信コネクタ910を含むと示されている。
【0061】
オプションのオペレータインタフェース800は、モジュールコントローラ900に通信可能に結合されて示されているが、いくつかの実施形態は、オペレータインタフェースを省略し得る。
【0062】
電流センサー905は、正端子200に結合されているとして示されており、他の実施形態は、電流センサーを負端子300に結合し得る。電圧測定回路907は、端子200および300に接続されて示されている。いくつかの実施形態では、電圧測定回路907は、モジュールコントローラ900の内部であり得る。リレー500および600も示されている。他の実施形態は、直列接続されたセルの複数のグループを直列に、または相互に並列に接続するために追加のリレーを有し得る。かかる構成は、参照された出願で開示されており、簡潔にするために本明細書では例示されていない。いくつかの追加の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなくリレー500および600の1つを省略し得、同様に本明細書では例示されていない。
【0063】
いくつかの実施形態では、リレー500は第1のタイプであり得、リレー600は第2のタイプであり得る。例えば、第1のタイプのリレーが電気機械式である場合、それはオープンされた場合に完全なガルバニック絶縁を提供する。しかし、電気機械式リレーは比較的、応答が遅い。第2のタイプのリレーが、制御入力に極めて迅速に応答する、ソリッドステートである場合、それは、電流センサー905が過電流を検出すると、回路を迅速にオープンするために使用できる。いくつかのソリッドステートリレーは、完全なガルバニック絶縁を提供しない可能性がある。2つの別個のタイプのリレーを利用することにより、PCBA 925は、完全なガルバニック絶縁および測定された電流における変化に対する迅速な応答の両方を提供できる。
【0064】
いくつかの実施形態では、電流センサー905は、ホール効果タイプであり得、電流の大きさおよび方向の両方を検知し得る。
【0065】
回路950は、通信リンク999によって接続された、アップリンクポート990およびダウンリンクポート995を用いて、相互に、およびモジュールコントローラ900に、通信可能に結合される。回路950の詳細は、参照された出願で開示されており、ここでは示されない。本明細書で開示される方法に関して、回路950は、セル400の個々の電圧を測定し、測定結果を、参照された出願で開示される手段および方法を用いて、モジュールコントローラ900に伝達する。
【0066】
制御バスポート700は、パックコントローラ、車両制御ユニット(SCU)、充電器および同様のものなどの、外部コントローラとの通信のために提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、端子200および300、ならびに制御バスポート700は、単一の物理コネクタに統合され得る。
【0068】
追加の低電圧電源コネクタが、いくつかの実施形態では、モジュールコントローラ900ならびにリレー500および600に、セル400とは無関係に、電力を供給するために提供され得、端子および制御バスポートと共に単一の物理コネクタに更に統合され得る。
【0069】
図4は、本発明のバッテリーモジュールの一実施形態のプログラムされた状態、各状態と関連付けられた代表的な機能、および状態間の遷移を示す代表的な状態図である。
図4は例示であり、制限ではない。
【0070】
バッテリーモジュールは、実行可能なプログラムを、モジュールコントローラ900と関連付けられた不揮発性メモリ内に格納し、次いで、前記プログラムを実行することにより、別個のプログラムされた状態を有するように構成される。かかるプログラム、それらを不揮発性メモリ内に格納する手段、およびそれらを通信リンクを介して安全に更新する手段はコントローラの技術分野で周知であり、本明細書では詳述されない。実行可能プログラムを格納するための不揮発性メモリは通例、当技術分野で既知のコントローラ内に提供される。
【0071】
例示されている状態は2つのタイプ:LOCKED、UNLOCKEDおよびISOLATEDを含む、パッシブ状態、ならびにCHARGINGおよびENABLEDを含む、アクティブ状態、である。本明細書で使用される状態の名前は、例示されている状態を区別する目的で記述的であり、制限ではない。
【0072】
アクティブ状態では、1つ以上のリレーは、監視された動作条件に応答し、かつ特定の状態と関連付けられた任意のプログラムされたパラメータに更に応答して、モジュールコントローラ900によって能動的に制御される。制御バスポート700は、モジュールコントローラ900によって、有効なコマンドメッセージの受信に関して監視される。直近の有効なコマンドメッセージの受信からの時間が、予め定められたタイムアウト時間と比較される。この機能は、
図4の略図内に通信:監視の凡例によって示されている。監視された動作条件は、電流センサー905によって測定された電流の大きさと方向、電圧センサー907によって測定された端子電圧、回路950の各々によって報告された個々のセル温度および電圧、ならびに同様のものを含み得る。
【0073】
パッシブ状態では、全てのリレーはオフにされて、複数の内部セル400は端子200および300から電気的に絶縁される。モジュールコントローラ900は、低電力状態またはパワーダウンされて、アクティブであり得る。
【0074】
ある状態から別の状態への遷移は、認可されたパックコントローラ40(
図1)からの有効なコマンドに応答してモジュールコントローラ900によって開始され得る。認可されたパックコントローラ40は、モジュールコントローラ900によって保持されている認可されたパックコントローラのリスト上にある、固有のIDを有する。認可されたコントローラの複数のリストが保持されている実施形態では、各リストは、リストされたパックコントローラ40が命令する権限を与えられている状態遷移の特定のセットに対応し得、それは、別のリスト上にリストされているコントローラが命令する権限を与えられている状態遷移のセットとは異なり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、認可されたパックコントローラのリストは、各認可されたパックコントローラ40と関連付けられた追加データを含み得、それは、パックコントローラ40によって命令され得る状態遷移を更に認可または制限するために使用され得る。リストは、モジュールコントローラ900内に含まれる不揮発性メモリ、またはモジュール10内に含まれる別の回路内で保持され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、パックコントローラ40は、そのパックに接続されているモジュールコントローラIDのリストを更に保持し得る。かかるリストは、モジュール使用、およびモジュールが承認なしで取り外されているかどうかに関するデータを更に含み得る。
【0077】
モジュールコントローラによって保持されているパックコントローラリストおよびパックコントローラによって保持されているモジュールコントローラリストの両方は、任意の関連データと共に、定期的にデータベースにアップロードされ得、それは、認証コントローラ50(
図1)に通信可能に結合され得る。
【0078】
モジュールコントローラ900(
図2)は、監視された条件に応答してパッシブ状態から別のパッシブ状態に遷移し得る。パッシブ状態から、モジュールコントローラ900は、認可されたパックコントローラ40からの有効なコマンドに応答して、アクティブ状態にだけ遷移し得る。
【0079】
モジュールコントローラ900は、監視された条件、または認可されたパックコントローラ40からの有効なコマンドに応答して、アクティブ状態から別のアクティブ状態に遷移し得る。
【0080】
モジュールコントローラ900は、終了(end)条件、故障条件、またはコマンドに応答して、アクティブ状態からパッシブ状態に遷移し得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、図示された終了条件は、有効な無効化(disable)コマンドを受信、予め定められたモジュール電圧閾値に達した、予め定められたモジュール電流閾値に達した、予め定められたモジュール温度閾値に達した、または監視された動作条件の任意の他のプログラムされた組合せとして定義され得る。例示された実施形態では、終了条件は通常使用を示して、修正処置を必要とせず、モジュールの更なる通常使用を妨げない。
【0082】
終了条件に達すると、モジュールは、パッシブ状態に遷移することにより無効にされる。モジュールが更なる認証なしで、ある後続の状態遷移を許可または制限され得る特定のパッシブ状態に置かれるべきかどうかを判断するために遷移中に認証ステップが試みられ得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、例示される故障条件は、予め定められたモジュール電圧閾値を超えた、予め定められたモジュール電流閾値を超えた、認可されていない放電電流を検出した、予め定められたモジュール温度閾値を超えた、新しい有効なコマンドを受信することなくタイムアウト時間を超えた、または監視された動作条件の任意の他のプログラムされた組合せとして定義され得る。例示された実施形態では、故障条件は、故障、修正処置を必要とし得、その条件が是正されるまで、モジュール10(
図1)の更なる通常使用を妨げる、認可されていないか、または危険な使用を示す。
【0084】
例えば、取外しの認証なしでの、パックからのモジュールのかかる認可されていない物理的な取外しは、モジュールのLOCKED状態への遷移となるであろう。これは、例示された実施形態では、モジュールが充電されるのを可能にするが、モジュールがENABLED状態に遷移できるまでに、更なる成功認証を必要とし得る。
【0085】
図4は、各例示されたモジュール状態と関連付けられる代表的なモジュール機能のリストを更に示す。
【0086】
例示された実施形態は、モジュールが、たとえ認証がない場合でさえ、安全な充電状態に維持され得るために、LOCKED状態にあるモジュールの充電を可能にする。他の実施形態では、CHARGING状態への遷移は、認可されていない使用を更に阻止するため、またはモジュールの充電装置との互換性を確実にするために、認証を必要とし得る。これは、参照された出願で開示のとおり、2つ以上の電圧で動作するように構成可能なモジュールにとって特に望ましくあり得る。
【0087】
いくつかの実施形態は、各々別個のプログラムされたパラメータを有する、複数のアクティブ状態を有し得る。例えば、実施形態は、各状態と関連付けられた別個の充電電流制限を有する複数のCHARGING状態を有し得、各状態は、電圧および温度などの測定された条件に応答し得、更に認証に応答し得る。
【0088】
いくつかの実施形態は、各状態と関連付けられた別個の充電電流制限および放電電流制限を有する複数のENABLED状態を有し得、各状態は、電圧および温度などの測定された条件に応答し得、更に認証に応答し得る。
【0089】
実施形態は、別の状態への遷移を命令する権限を与えられている既知のパックコントローラ40(
図1)の関連付けられたリストを有する状態を含む、複数のパッシブ状態を有し得る。かかる認可されたパックコントローラリストは、モジュールコントローラ900内に含まれる不揮発性メモリまたはPCBA 925もしくはPCBA 115内に含まれる別の電子回路内に格納され得、更に暗号化され得る。
【0090】
認可されたコントローラ40のリストは、安全なメッセージによって受信されて、本明細書で説明されるような以前の認証された設置を通してコンパイルされ得るか、またはモジュールの製造中のプログラミングなどの別の方法による。
【0091】
プログラムされた状態のいくつかの実施形態では、特定の認可されたリスト上で識別されるか、またはリスト内に記録された特定の認証属性を有するパックコントローラ40だけが、別の状態への遷移を命令し得る。かかる状態では、リスト上で識別されていないパックコントローラからのコマンドは無視される。
【0092】
プログラムされた状態のいくつかの実施形態では、認可されたパックコントローラリスト上にないパックコントローラは、認証を要求することなく、特定の他の状態への状態遷移コマンドを発行するのを可能にされ得る。例示されたLOCKED状態は、かかる制限された状態の一例であり、CHARGING状態への遷移は、認可されていないか、または制限されたパックコントローラによって命令され得るが、UNLOCKED状態への遷移は、認可されたパックコントローラによってのみ命令され得る。これは、認証にとって必要な通信リンクが利用できない場合、有用である。
【0093】
パッシブ状態では、制御バスポート700を介したモジュールコントローラ900によるコマンドメッセージの受信は、コントローラによるメッセージの処理および対応する応答をトリガーする。この機能は、
図4の略図内に通信:応答の凡例によって示されている。いくつかの実施形態では、wake-on-comm機能は、コマンドメッセージを受信すると、モジュールコントローラ900をパワーダウンまたは低出力条件から抜け出させるために使用され得る。wake-on-comm機能は、コントローラの技術分野で周知であり、本明細書では詳細に説明されない。
【0094】
他の実施形態では、コントローラによるコマンドメッセージの受信前、低電圧電力がコントローラバスポート700を介してモジュールコントローラ900に供給され得る。
【0095】
コマンドソースの認証方法に対する流れ
図501が
図5に示されている。いくつかの代替実施態様では、ブロック内に示された機能は、
図5に示された順序とは関係なく生じ得、追加の機能を含み得、かつ/または一部の機能を省略し得ることに留意すべきである。例えば、
図5に連続して示されている2つのブロックは、以下で更に明確にされるように、関与する機能に応じて、実際は実質的に同時に実行され得、ブロックは時々、逆の順序で実行され得るか、またはブロックの一部は、いかなる場合も実行されない可能性がある。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれることを意図する。
【0096】
ブロック502で、モジュールをパック内に設置すると、ブロック503で、固有のモジュールID(MIN)が次いでパックコントローラに送信される。ブロック504で、パックコントローラ40は、固有のパックIDおよびモジュールIDからの認証証明書を認証コントローラ50から要求する。次に、ブロック505で、パックコントローラ40は次いで、認証証明書を認証コントローラから取得し得、それは、いくつかの実施形態では、特定のMINを有するモジュールコントローラによって可読であるように構成された安全なメッセージであり得る。認証証明書を取得するプロセスにおけるステップとして、パックコントローラは、その固有のパックIDを、認証証明書に含まれるように、認証コントローラに送信し得る。かかる安全なメッセージを取得する方法は、安全な通信の技術分野で周知である。認証証明書は、モジュールが設置されているバッテリーパックと関連付けられた車両ID(VIN)または製品ID(PIN)などの情報を更に含み得る。
【0097】
一旦、取得されると、認証証明書は、ブロック506で、パックコントローラ40の識別をモジュール内に含まれるモジュールコントローラ900に対して認証するために、パックコントローラ40によって特定のモジュール10に伝達され、前記コントローラ900は、認証証明書が取得された固有のMINを有する。ブロック507で、証明書が有効であるかどうかの判断が行われる。一旦、認証されると(YES条件)、前記固有のIDを有するパックコントローラから受信されたコマンドに対して更なる認証が要求されないように、ブロック508で、パックコントローラ40の固有のIDが、モジュールコントローラ900により、認可されたコマンドソースIDのリストに追加され得る。認証されない場合(NO条件)、パックコントローラ40からの更なるコマンドがブロック509で拒絶される。
【0098】
成功裏に認証されて、認可されたコマンドソースIDのリストに追加されている固有のIDを有するパックコントローラ40は、本明細書で提供される説明では認可されたコントローラと呼ばれる。成功裏に認証されていない固有のIDを有するパックコントローラは、以下で更に開示されるステップを用いて追加され得、本明細書で提供される説明では制限されたコントローラと呼ばれる。
【0099】
認証方法の更なるステップが
図6の流れ
図601内に示されている。いくつかの代替実施態様では、ブロック内に示された機能は、
図6に示された順序とは関係なく生じ得、追加の機能を含み得、かつ/または一部の機能を省略し得ることに留意すべきである。例えば、
図6に連続して示されている2つのブロックは、以下で更に明確にされるように、関与する機能に応じて、実際は実質的に同時に実行され得、ブロックは時々、逆の順序で実行され得るか、またはブロックの一部は、いかなる場合も実行されない可能性がある。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれることを意図する。
【0100】
図6のブロック内に示された機能は、認証コントローラ50に対して利用可能な通信リンクを有していない、新しいパックコントローラ40(
図1)の、いくつかのコマンドが認証を必要とせずにそれから受け入れられ得る制限されたパックコントローラのリストへの追加を容易にする。いくつかの実施形態では、かかるリストは、ブロック508(
図5)で説明されたリストと異なり得る。他の実施態様では、リストは、ブロック508で説明された同じリストであり得るが、新たに追加されたパックコントローラIDと関連付けられたコマンド制限に関する追加情報を伴う。
【0101】
認可されたパックコントローラ40は、ブロック602で、モジュールを、本明細書で記述的にOPENと呼ばれる、特定の静的状態に遷移するために、コマンドをモジュールコントローラ900に発行し得、その状態では、モジュールと通信して配置された次のパックコントローラ40は、たとえ新しい制限されたコントローラが発行し得る特定のコマンドに関する制限を伴っていても、その新しいパックコントローラの識別を認証するための要件なしで制限されたコマンドソースIDのリストに追加されるであろう。
【0102】
ブロック603でのOPEN状態へのモジュール遷移後、ブロック604で、それは、認可されたパックから取り外されて、ブロック605で新しいパックに設置される。ブロック606で、固有のパックIDが次いで新しいパックコントローラ40から取得されて、ブロック607で、制限されたパックコントローラIDのリストに追加される。前述のステップの完了後、ブロック608で、OPEN状態から出る。
【0103】
制限されたコントローラと関連付けられ得る制限の例は、OPEN状態へ遷移するために新たに追加されたパックコントローラからのコマンドを無視することである。かかる制限は、認可されたパックコントローラだけがモジュールにOPEN状態へ遷移するように命令できることを確実にする。この例は例示であり、制限ではない。他の制限はいくつかの実施形態で、その実施形態に適切なように、実装され得る。いくつかの実施形態は、異なる制限されたコントローラに対する異なるレベルの制限を更に実装し得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、オペレータインタフェースを介したオペレータ入力が、認証プロセスの一部として更に要求され得る。この入力は、画面上のメニューからのオプションの選択、パスコードの入力、オペレータ生体認証の検知、および同様のものを含み得る。無線通信を備えたハンドヘルド装置を含む、多くのかかる認証方法およびオペレータインタフェースは既知であり、本明細書では詳細に説明されない。本明細書で開示される実施形態は例示であり、制限ではなく、他の実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で行われる開示に基づき当業者には容易に明らかであろう。
【0105】
一部継続開示
取外し可能モジュール10に対する複数のソケット25を有するバッテリーパック5(
図1)を備えて構成された車両では、バッテリーパック5内に設置された他のモジュール10の1つ以上のものと異なり得る特性を有するモジュール10を設置できることは望ましい。かかる特性は、充電状態、電圧、セルタイプ、電池化学、エネルギー貯蔵容量、充電および放電電流能力、および同様のものを含み得る。かかる特性は、以下の開示では、ひとまとめにして、区別しないで「モジュール容量」と呼ばれる。モジュール容量の主要特性は、充電状態(SOC)および健康状態(SOH)である。SOCは、所定の時間にモジュール内で利用可能な総電気エネルギーの数値表現であり、そのモジュールが貯蔵可能である最大エネルギーの百分率として、または利用可能なエネルギーの直接数値表現として表され得る。SOHは、使用年数、サイクル数、物理的損傷、温度および他の要因に起因したモジュールの物理的劣化の数値表現である。SOHは、モジュールが可能な最大性能の百分率、または別の同様の測定基準として表され得る。
【0106】
モジュール容量を計算するための多くの技術は、HeegerらによるSandia National Laboratories Report SAND2017-10722で説明されたものによって例証されたように、当技術分野で周知である。以下で開示されるモジュール10(
図2、
図3)の新規の構成は、直列接続されたセル400の各々を対応するセル監視および調整回路950によって直接的かつ個々に監視する固有の能力に起因してモジュール容量の正確な測定および計算を容易にする。本明細書で開示される新規の方法は、異なるモジュール容量の複数のモジュール10を持つ車両電力システムの性能を予測および制御する際に、ならびにCHARGINGまたはENABLEDアクティブ状態(
図4)の間に各モジュール10の正の電源バス20および負の電源バス30(
図1)への接続を制御するために、かかる計算の使用を容易にする。正の電源バス20および負の電源バス30は、以下まとめて「電源バス」と呼ばれる。
【0107】
SOCおよびSOH特性を含む、モジュール容量の計算の正確な本質は、電池化学、セルタイプ、モジュールの物理的構築、利用可能な冷却能力および同様のものなどの、詳細によって決まる。従って、Heegerらによって例証されたように、かかる計算を実行するための技術は本明細書では詳述されない。モジュール容量を計算するための任意の既知の技術を利用する実施形態は、本開示の範囲内に含まれること、および本明細書で行われるクレームによって保護されることを意図する。
【0108】
全てのセル400が直列接続だけで接続されている、本発明のモジュール10の新規の構成は、各セル400を個々に正確に監視するのを可能にし、それにより計算の精度および忠実度を改善する。各セルの電圧を個々に測定することができず、グループとしてだけ測定することに起因して、セルがモジュール内で並列接続で接続される場合、かかる個々の監視は可能でない。
【0109】
従来技術では、異なるモジュール容量のバッテリーモジュールの並列接続に対するいくつかのソリューションが知られている。US9,315,113およびUS9,694,707で、Shrinkleは、各モジュールに流れ込んで、流れ出る電流を制御するために、トランジスタおよびインダクタを利用する双方向バックレギュレータを有するバッテリーモジュールを教示する。かかる調整は、充電および放電モードの両方でエネルギー損失を招き、それにより望ましくない熱を生成する。本アプローチは、追加の費用、複雑さおよびモジュールの増大した物理的サイズも伴い、それらの全てが望ましくない。
【0110】
US10,333,328で、Homらは、複数のモジュールに対するバッテリー充電ステーションを教示し、この場合、個々のモジュールは、設置されたモジュールの間で等しいモジュール容量が達成されるまで、中央充電コントローラによって充電中に有効または無効にされる。かかるアプローチは、車両内に設置されて、全てのモジュールを最初に充電する機会なしで使用する必要がある、異なるモジュール容量のモジュールに対するソリューションを提供しない。
【0111】
前述の参照された従来技術ソリューションは、車両の電気システム構成要素は、一定の電気負荷ではなく、車両オペレータからの制御入力に応答してシステム制御装置(SCU)によって制御されるものであるという事実を考慮に入れないか、または利用しない。
【0112】
車両用電力システムの一実施形態が
図7に示されている。
図7に示される車両2は、車輪駆動地上車両である。本明細書で行われる開示が、無限軌道または関節肢を利用する地上車両、および航空機、船または宇宙船である車両にどのように適用され得るかは当業者に明らかであり、従ってかかる更なる例示は簡潔にするために本明細書では省略される。
【0113】
図7の例示的な実施形態においてトラクションモーターとして示されているシステム構成要素96は、トラクションモーターに制限されないことが理解されるべきである。本明細書では、「システム構成要素」は、いくつかの実施形態では、ロータリーまたはリニアアクチュエータ、発熱体または冷却素子などのエネルギー変換ユニット、水素燃料電池、バッテリー充電器、発電機、および同様のものであり得る。いくつかの実施形態では、システム構成要素96は、航空機の操縦翼面、資材運搬機器の装置および/または他の電動もしくは給電システムなどの1つ以上の機械的要素を制御するために利用され得る。複数のシステム構成要素96および、異なるタイプであり得る、対応するPCU 95は、いくつかの実施形態では存在し得る。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれることを意図する。
【0114】
図7は、オペレータ91の指示下の電力システム80を有する車両2を示す。本明細書では、「車両オペレータ」および「オペレータ」は、車両の移動を実質的に指示する制御実体を交換可能に指す。いくつかの実施形態では、オペレータ91は、人間のオペレータ92であり得、車両に乗っているか、またはそれを遠隔で指示し得る。他の実施形態では、オペレータ91は、制御プログラムを実行する電子制御装置であり、機械学習(ML)の態様を組み込み得る、電子オペレータユニット(EOU)93であり得る。MLを組み込んでいるものを含む、EOU 93の多くの例は、当技術分野で知られている。更に他の実施形態では、オペレータ91は、米国自動車技術者協会(SAE)によって現在定義されている6つの自律レベルの1つ、または米国国立標準技術研究所によって定義された無人システムのための自律レベル(ALFUS)の1つ、または別の同様の分類において一緒に動作する人間のオペレータ92とEOU 93の組合せであり得る。
【0115】
図7に示される電力システム80は、システム制御装置(SCU)90、取外し可能車両バッテリーモジュール10aおよび10bを更に含むモジュラーバッテリーパック5、ならびに電気推進モーターであるシステム構成要素96を制御する電力制御装置(PCU)95を更に含む。
図7に示される車両2の構成は例示であり、制限ではない。具体的には、複数のPCU 95および電気モーター96を有する車両2の構成は、本明細書で行われる開示に基づき当業者には容易に明らかであろう。実施形態は、バッテリー充電器、発電機、アクチュエータおよび同様のものであり得る複数のシステム構成要素96を制御する複数のPCU 95を更に含み得る。
【0116】
SCU 90は、パックコントローラ40を更に含むとして示されている。いくつかの実施形態では、パックコントローラ40は、必要な機能を実装するためにSCU 90によって実行される1つ以上のソフトウェアルーチンであり得る。この構成は例示であり、制限ではない。SCU 90とは別個で、SCU 90に通信可能に結合されている、パックコントローラ40を有する他の実施形態が、本発明の範囲内で可能である。
【0117】
SCU 90、EOU 93および/またはPCU 95の本明細書で開示される機能は、いくつかの実施形態では、本発明の範囲から逸脱することなく、単一の物理的コンピューティング装置に統合され得る。EOU 93は、自律的に、またはヒューマンインタフェース94を介して受信された人間のオペレータ92からの入力に応答してのいずれかで、車両の移動を指示する。車両移動の指示の一部として、EOU 93は、電力要求をSCU 90に対して発行する。以下で開示される新規の方法によれば、SCU 90は電力要求をEOU 93から受信し、PCU 95から予期されるバッテリーパック5の全体的なパック容量および全体的な電力需要を評価して、電力コマンドをPCU 95に対して発行する。
【0118】
本明細書では、「電力要求」は電子信号であり、それは、EOU 93からSCU 90に対して発行される、車両のオペレータ91による入力に応答したアナログ信号またはデジタルメッセージであり得、電力システム80がシステム構成要素に所望の大きさおよび所望の方向の電力を供給することを要求する。電力要求は、本発明の方法に従い、それを行う、その能力の制限を条件として、電力システム80によって実現される。
【0119】
「電力コマンド」は、本明細書では、電子信号であり、それは、要求されたシステム構成要素電力レベルを要求された方向で生成するために、SCU 90によりPCU 95に対して発行される、アナログ信号またはデジタルメッセージであり得る。いくつかの実施形態では、電力コマンドは、特定の回転速度で、結果として生じる電力レベルを指定するトルク指令として発行され得る。他の実施形態では、電力コマンドは、所与の電流で、結果として生じる電力レベルを指定する特定の電圧を要求し得る。他の実施形態では、電力コマンドは、所与の電圧で、結果として生じる電力レベルを指定する特定の電流を要求し得る。
【0120】
SCU 90は、以下でさらに開示される本発明の方法に従い、電力需要がパック容量を超えないことを確実にする方法で、電力コマンドをPCU 95に対して生成する。PCU 95は、SCU 90から電力コマンドを受信し、システム構成要素96を制御してシステム構成要素電力を生成し、システム構成要素電力を放電する場合には、バッテリーパック5から電気エネルギーを引き出すか、またはシステム構成要素電力を充電する場合には、バッテリーパック5にエネルギーを戻す。
【0121】
図のように、PCU 95は、正の電源バス20および負の電源バス30によってモジュラーバッテリーパック5に接続される。各取外し可能モジュール10(
図7に10aおよび10bとして示されている)は、正端子200およびリレー500(
図2)を介して正の電源バス20に、ならびに負端子300およびリレー600(
図2)を介して負の電源バス30に制御可能に結合される。
【0122】
本明細書ではリレーの操作に関して、用語「オンにされた」および「クローズされた」は区別しないで使用されて、リレーによって電流の伝導を可能にするためにリレーを制御することを示し、用語「オフにされた」および「オープンされた」は区別しないで使用されて、リレーによって電流の伝導を阻止するためにリレーを制御することを示す。
【0123】
例示された構成では、SCU 90は、通信バス72によってEOU 93に通信可能に結合される。SCU 90およびEOU 93が単一のコンピューティング装置内に統合される実施形態では、通信バス72は仮想であり、それぞれの機能を実装するソフトウェアサブルーチン間のメッセージングプロトコルとして実装され得る。SCU 90は、モジュラーバッテリーパック5内に設置されたモジュール10の各々に通信バス70によって更に通信可能に結合される。SCU 90は、通信バス71によってPCU 95に更に通信可能に結合される。通信バス70、71および72は各々、無線、有線であるか、または正の電源バス20および負の電源バス30のいずれか、もしくは両方に対して通信信号を結合することにより電力線通信(PLC)を利用し得ることが理解されるべきである。通信バス70、71および72の1つ以上と関連付けられた信号は、いくつかの実施形態では、同じ物理媒体を通して搬送され得る。他の実施形態では、通信バス71および/または72は、仮想的に実装され得る。
【0124】
例示される実施形態では、バッテリーパック5は、簡潔にするために単一のユニットとして示されている。車両2内のいくつかの位置に分散されている複数のサブパックを有する実施形態が可能であることが理解されるべきである。かかる実施形態では、用語「バッテリーパック5」および「パック5」は本明細書では、車両2内の全てのサブパックの集約的組合せ(aggregate combination)を指す。
【0125】
いくつかの実施形態では、人間のオペレータ92は、ヒューマンインタフェース94を用いてEOU 93に制御入力を提供する。ヒューマンインタフェース94は、1つ以上のペダル、ハンドル、ジョイスティック、1つ以上のプッシュボタンもしくは他の手動のアクチュエータ、スイッチ、1つ以上の視覚表示、1つ以上のタッチセンサー式ディスプレイ、1つ以上のカメラおよび/または1つ以上の音声変換器などであるが、それらに制限されず、1つ以上のコントローラを含み得る。ヒューマンインタフェース94のいくつかの実施形態は、コンピュータの制御下で、音声認識および合成、顔認識、ジェスチャ認識、ならびに同様のものを可能にし得る。
【0126】
更に例示的な実施形態が
図12に示されており、車両2は、外部電源96bであるシステム構成要素に結合されている車載バッテリー充電器95bを更に有し、接続ポート97を介して外部バッテリー充電器95cに更に接続されており、前記外部バッテリー充電器95cは、発電機96cであるシステム構成要素に結合されている。
【0127】
図13は、車両ではない、固定設置で利用されている本発明の電力システムの一実施形態を更に示す。例は、建物、車両充電ステーション、再生可能エネルギー貯蔵施設および同様のもののための電力システムを含み得る。例示された実施形態では、システムオペレータはEOU 93であり得、人間のオペレータ92による入力のための制御端末などのヒューマンインタフェース94を更に含み得る。かかる実施形態では、システム構成要素96は、PCU 95に結合されている、暖房、換気および空調(HVAC)ユニット、ポンプ、および同様のものであり得る。
図13に例示されている追加のタイプのシステム構成要素は、バッテリー充電器95xに結合されている車両96x、アレイコントローラ95yに結合されているソーラーアレイ96y、および電圧変換器95zに結合されている外部送電網接続96zである。多くの他の実施形態は、本明細書で行われる開示に基づき当業者には明らかになるであろう。
【0128】
本明細書では、「データマップ」、「モジュール容量データマップ」、「電力システムデータマップ」、「電力需要データマップ」は、電子データのセットを指し、それは、電子制御装置の不揮発性メモリ内に格納され得、予め定められた範囲の動作条件にわたって電気エネルギーを供給または吸収するために、電力システム80の関連付けられた構成要素の能力を記述する。データマップは、そのデータマップが特定の時に関連するシステムまたは構成要素の状態を示すパラメータの測定値を含む、予め定められたデータ、計算されたデータ、および測定されたデータの任意の組合せを含み得る。かかるパラメータは、電圧、電流、温度、回転速度および同様のものを含み得る。
【0129】
データマップは、定期的な時点に関する、および/または所定の範囲外の動作条件などのイベントに関する履歴データを含み得る。かかる履歴データは、SOC、SOHおよびデータマップが関連するシステムまたは構成要素のあり得る将来の性能を推定するための他のパラメータの計算において、参照され得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、データマップの一部が、データマップの他の部分とは別に、格納され、送信され、かつ利用され得る。具体的には、いくつかの実施形態では、通信遅延を低減するために、データマップの変更された部分だけが送信され得る。データマップの一部は、不揮発性メモリ内に格納され得、他方、データマップの他の部分は揮発性メモリ内に格納され得る。
【0131】
車両2の電力システム80を操作する、以下で開示される新規の方法は、EOU 93から受信された移動指示および他の動作指示に応答して、対応するPCU 95に対する電力コマンドを生成するために、電力システム80の構成要素および下位構成要素の各々と関連付けられたデータマップを利用する。
【0132】
制御システムの実施形態は、車両の電力システムを制御するためにデータマップを参照する。例えば、車両の内燃機関の制御は、特定のエンジン速度およびスロットルプレート位置に対応するイグニッションおよび燃料噴射タイミングに対するデータ値を含むデータマップを参照して達成される。マップデータに対する補正は、空気圧、気温および同様のものなどの測定値に応答して計算される。
【0133】
本明細書では、データマップは、温度、電圧、車両速度および同様のものなどの関連する動作条件の各組合せに対する特定のデータ値を含む1つ以上の多次元データテーブルを含み得る。補間および他の計算は、テーブル内に含まれているデータに関して実行され得る。追加として、データマップは、テーブル内に明示的に記録されていない動作条件の組合せに対するデータを計算するために使用され得る、式、実行可能アルゴリズム、補正因子、測定結果および他のデータを含み得る。多くの実施形態では、モジュール容量データマップ(MCDM)は、SOCおよびSOHに対するデータを含み、それは、測定値に基づいて定期的に更新され得る。
【0134】
図8は、車両2に対する本発明の電力システム80の一実施形態の構成要素および下位構成要素の各々と関連付けられたデータマップを図式的に示す。SCU 90は、通信バス71を介して車両のオペレータ91と通信していると示されている。電力システムデータマップ(PSDM)945は、SCU 90内に含まれて示されている。PSDM 945のコピーを車両のオペレータ91が保持していると示されている。
【0135】
バッテリーパック5は、通信バス70を介してSCU 90と通信していると示されている。バッテリーパック5は、10a、10b、10cおよび10dと例示されている、複数の取外し可能モジュール10を有するとさらに示されている。モジュールの数は例示であり、数値的に制限しない。取外し可能モジュール10の各々は、それぞれ930a、930b、930cおよび930dと例示されている、関連付けられたモジュール容量データマップ(MCDM)930を有して示されている。各MCDM 930のコピーをSCU 90が保持していると示されている。
【0136】
PCU 95は、通信バス71を介してSCU 90と通信していると示されており、電力需要データマップ(PDDM)940を有すると更に示されている。PDDM 940のコピーをSCU 90が保持していると示されている。
【0137】
電力システム80の構成要素または下位構成要素と関連付けられたデータマップは、設計工学分析、生産開始前検査、製造中の検査を通して生成され得るか、または使用中の測定データから計算され得る。以前に生成されたデータマップは、以下でさらに開示されるように、使用中の測定データで更新され得る。
【0138】
以下の説明では、流れ
図501(
図5)に示されるものなどの認証手続きがモジュール10に関して成功裏に完了していること、およびモジュール10はUNLOCKEDプログラムされた状態(
図4)にあることが推測されるはずである。
【0139】
パック5内に設置されて認証されているモジュール10を操作する方法に対する流れ
図610が
図9に示されている。いくつかの代替実施態様では、ブロック内に示された機能は、
図9に示された順序とは関係なく生じ得、追加の機能を含み得、かつ/または一部の機能を省略し得ることに留意すべきである。例えば、
図9に連続して示されている2つのブロックは実際には、以下で更に明確にされるように、関与する機能に応じて、実質的に同時に実行され得、ブロックは時々、逆の順序で実行され得るか、またはブロックの一部は、いかなる場合も実行されない可能性がある。具体的には、ブロック638での評価、およびその後のブロック640への前進は、電流測定回路905(
図3)による電流の測定に応答して、および/または電圧測定回路907による電圧の測定に応答して、アナログまたは他の電子回路によって実行され得る。かかる評価は、
図9に示されたステップのいずれかと同時に実行され得る。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれて、添付のクレームによって保護されることを意図する。
【0140】
ブロック613で、パックコントローラ40から受信した有効なコマンドに応答してアクティブ状態に入り、CHARGINGまたはENABLEDアクティブ状態であり得る。リレー600は、モジュール10の負端子300を負の電源バス30に接続するためにオンにされる。いくつかの実施形態では、リレー600は、電気機械タイプであり得る。他の実施形態では、リレー600は省略され得、直列接続されたセル400と負端子との間に永続的な接続を有する。更に他の実施形態では、リレー500は負端子に接続され得、リレー600は、正端子に接続されるか、または省略される。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれることを意図する。
【0141】
例示される実施形態では、モジュールコントローラ900は、セル400の各々に対する最近の電圧値および最近の温度値を決定するために、各セル400に対する電圧および温度測定値を回路950から通信リンク999(
図3)を介して取得するように構成される。ブロック614で、モジュール10の各セル400に対する個々の電圧および温度測定値が、対応する回路950から受信される。リレー500はこれらの測定中にオフにされるという事実に起因して、ブロック614で取得された電圧測定値は、本明細書では開回路電圧測定値と呼ばれ、ブロック614で取得された温度測定値は、本明細書では開回路温度測定値と呼ばれる。ブロック614で測定値が取得されるたびに、取得された値は、セル400の各々に対する最近の開回路電圧値および最近の開回路温度値と見なされ、まとめて本明細書では「最近の開回路値」と呼ばれる。
【0142】
モジュール10に対応するMCDM 930は、ブロック615で、モジュールコントローラ900によって受信された測定値に応答して最近の開回路電圧値および最近の温度値を用いて更新される。測定されたモジュール電圧(MMV)は、各セル400に対する最近の電圧値を加算することによって計算され得、MCDM 930に含まれる。MCDM 930に対する更新の追加の例は、高および低の観測されたピーク値、平均および傾向を含み得る。
【0143】
更新されたMCDM 930は、ブロック616で、モジュールコントローラ900によってパックコントローラ40に送信される。
【0144】
最近の開回路値の各々は、ブロック617で、どれも予め定められた許容範囲から外れていないことを検証するためにMCDM 930内に格納され得る1つ以上の予め定められた制限値と比較される。最近の開回路値のいずれかが許容範囲外であることが分かった場合、ブロック614から始まるステップが新しい最近の開回路値を取得するために繰り返される。
【0145】
全ての最近の開回路値が予め定められた許容範囲内である場合、ブロック618で、全体の測定されたモジュール電圧(MMV)が、各セル400の最近の開回路電圧値を加算することによって計算されて、最近のMMV値と見なされる。
【0146】
例示された実施形態では、モジュールコントローラ900は、正端子200と負端子300との間の電圧測定値を電圧測定回路907(
図3)を用いて取得するように構成される。ブロック619で、測定されたバス電圧(MBV)が、端子間の電圧測定回路907を用いて測定される。ブロック619で測定によって取得された値は、最近のMBV値と見なされる。
【0147】
ブロック620で、最近のMMV値と最近のMBV値との間で電圧比較が行われる。最近のMMVとMBV値との間の差が、MCDM 930内に記録されている予め定められた値であり得る、許容される範囲内の場合、本方法は、ブロック630に進む。そうでない場合、ブロック614から始まるステップが新しい最近の開回路値を取得するために繰り返される。比較の目的は、ブロック630でリレー500をオンにする時、過電流とならないことを確実にするためである。
【0148】
代替として、目標バス電圧(TBV)値が、ブロック639で判断されるように、パックコントローラ40からの有効なコマンドを介して受信されている場合、ブロック620で、MMVとTBVとの間で比較が行われる。この代替比較の目的は、以下で更に詳述されるとおり(
図10)電源バスの最初の通電を容易にすることである。
【0149】
モジュール10が、そのモジュールを代替電圧に対して構成するための追加のリレーを含むいくつかの実施形態では、参照された同時係属出願17182072で開示のとおり、モジュール10は受信されたTBV値に応答し、かつブロック620での比較の前に構成され得る。
【0150】
電圧比較の結果が肯定の場合、リレー500はブロック630でオンにされる。本明細書では、比較されている値が等しいか、または相互に予め定められた範囲に含まれる場合、比較は肯定と見なされ、そうでない場合、比較は否定と見なされる。リレー500は、いくつかの実施形態では、炭化珪素半導体タイプであり得る。
【0151】
例示された実施形態では、モジュールコントローラ900は、複数の直列接続されたセル400を通る正端子200と負端子300との間の電流測定値を電流測定回路905(
図3)を用いて取得するように構成される。一旦、リレー500がブロック630でオンにされると、モジュール測定電流(MMC)の大きさおよび方向が電流測定回路905を用いて測定される。いくつかの実施形態では、電流測定回路905はホール効果タイプであり得る。
【0152】
ブロック632で、ブロック631で測定されたMMCと、MCDM 930内に記録されている予め定められた範囲の値との間で比較が行われる。MMCが許容される範囲であることが分かると、本方法は、ブロック634に進む。そうでない場合、ブロック633で、リレー500がオフにされて、ブロック614から始まるステップが繰り返される。
【0153】
いくつかの実施形態では、ブロック632の機能は、測定回路905(
図3)によって測定された予め定められた大きさの電流に応答してリレー500をオープンするアナログまたは他の電子回路によって実装され得る。他の実施形態では、測定回路905によって測定された電流に応答してリレー500をオフにするためのアナログまたは他の電子回路は、モジュールコントローラ900による流れ
図610内に例示されたステップの実行と並行して動作し得る。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれて、添付のクレームによって保護されることを意図する。
【0154】
ブロック634で、モジュール10の各セル400に対する個々の電圧および温度測定値が、対応する回路950から受信される。ブロック634で取得された電圧測定値は本明細書では、閉回路電圧測定値と呼ばれ、ブロック634で取得された温度測定値は本明細書では、閉回路温度測定値と呼ばれる。ブロック634で測定値が取得されるたびに、取得された値は、セル400の各々に対する最近の閉回路電圧値および最近の閉回路温度値と見なされ、まとめて本明細書では「最近の閉回路値」と呼ばれる。
【0155】
MCDM 930は次いで、ブロック634で受信された測定値およびブロック631で測定されたMMCに応答して、最近の閉回路電圧値および最近の温度値を使用してブロック635で更新される。
【0156】
更新されたMCDM 930はブロック636で、モジュールコントローラ900によってパックコントローラ40に送信される。
【0157】
最近の閉回路値は、どれも予め定められた許容範囲から外れていないことを検証するために、ブロック637で、MCDM 930内に格納され得る、予め定められた制限値と比較される。最近の閉回路値のいずれかが許容範囲外であることが分かった場合、ブロック633でリレー500がオフにされて、ブロック614から始まるステップが繰り返される。予め定められた許容範囲の例は、電圧、温度および/または電流に対する特定の最小および/または最大値を含み得る。他の例は、望ましくない動作条件を示し得る温度における増加率などの、特定の期間内の値の特定の変化率を含み得る。予め定められた許容範囲を指定する正確な値は、バッテリーセル構造、バッテリーモジュール構造、および/または電力システムの熱管理装置の詳細によって決まる。
【0158】
ブロック638で、終了条件が満足されているかのチェックが実行される。終了条件の例は、パックコントローラ40からの無効化コマンド、指定期間内でのパックコントローラ40からのコマンドの受信の失敗、および同様のものを含み得る。終了条件が検出されると、ブロック640でリレー500がオフにされる。リレー600が次いでオフにされて、ブロック641でアクティブ状態から出る。電気機械タイプであり得る、リレー600をオフにする前に、炭化珪素半導体タイプであり得る、リレー500をオフにすることにより、リレー600におけるアーク放電および関連付けられた故障モードの可能性が除去される。
【0159】
パック5内に設置されて認証されている複数のモジュール10を持つ電力システム80の電源バスに通電する方法に対する流れ
図650が
図10に示されている。いくつかの代替実施態様では、ブロック内に示された機能は、
図10に示された順序とは関係なく生じ得、追加の機能を含み得、かつ/または一部の機能を省略し得ることに留意すべきである。例えば、
図10に連続して示されている2つのブロックは実際には、以下で更に明確にされるように、関与する機能に応じて、実質的に同時に実行され得、ブロックは時々、逆の順序で実行され得るか、またはブロックの一部は、いかなる場合も実行されない可能性がある。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれて、添付のクレームによって保護されることを意図する。
【0160】
以下の説明では、パックコントローラ40の機能は、SCU 90(
図7)の構成要素と見なされる。モジュール10へコマンドを送信して、モジュール10からデータを受信するSCU 90への言及は、パックコントローラ40の機能を利用すると理解されるべきである。
【0161】
電源バスに通電する前に、要求されていない電圧がバス上に存在しないことを確実にするために、バス電圧測定値MBVが、直接的に、またはPCU 95、もしくはモジュール10などの、別の構成要素との通信によってのいずれかで、SCU 90によって取得される。
【0162】
ブロック652で、要求されていない電圧が電源バス上で検出される場合、ブロック651から始まるステップが繰り返される。これは、任意の残留電圧が放散するための時間を与え得る。いくつかの実施形態ではPCU 95による残留電圧の放散の試みなどの追加のステップが取られ得る。PCU 95による残留電圧の放電の例は、1つ以上の電気モーター巻線を通した電流の伝導、電気エネルギーの熱または機械的エネルギーへの変換、電気エネルギーの、コンデンサまたはバッテリーなどのアキュムレータ内への貯蔵、および同様のことを含み得る。
【0163】
ブロック651および652のステップは、電源バスの通電を断つために電力システムの能力を検証するための安全対策である。これらの安全対策651および652は、いくつかの実施形態では省略され得る。
【0164】
ブロック653で、アクティブ状態に入るためのコマンドがSCU 90により通信バス70(
図7)を介して全てのモジュール10に送信される。コマンドは各モジュール10に個々に送信されるか、または全てのモジュール10に実質的に同時にブロードキャストされ得る。要求されたアクティブ状態は、CHARGINGまたはENABLED(
図4)であり得る。
【0165】
要求されたアクティブ状態に入ることに応答して、各モジュール10はそのMCDM 930をSCU 90(
図9)に送信する。全ての受信されたMCDM 930はブロック654でSCU 90(
図8)によって格納される。各MCDM 930は、前述のステップ615の説明で開示されたMMVを含む。
【0166】
ブロック655で、目標バス電圧(TBV)が計算され、いくつかの実施形態では、設置されたモジュール10の中で最も高いMMVであり得る。
【0167】
目標電圧コマンド(TVC)が次いで、通信バス70を介して全てのモジュール10に送信される。TVCコマンドは各モジュール10に個々に送信されるか、または設置された全てのモジュール10に実質的に同時にブロードキャストされ得る。目標電圧コマンドの受信に応答して(
図9のブロック639)、各モジュール10は電圧比較を実行し(
図9のブロック620)、比較が肯定である場合、その対応するリレー500をオンにする(
図9のブロック630)。電圧比較の結果は、1つ、いくつか、または全てのモジュール10に対して肯定ではない可能性があることが理解されるべきである。
【0168】
ブロック657でMBVが再度チェックされる。モジュール10の中の少なくとも1つがそのリレー500をオンにしていて、電源バス上に予想外の電気負荷がない場合、MBVはそのモジュールのMMVと厳密に一致するであろう。2つ以上のモジュール10がそのリレー500をオンにしていて、任意の2つのモジュール10のMMVの間に差がある場合、モジュール間に均等化電流が流れ得、結果として生じるMBVはモジュール10のMMVの間であり得る。
【0169】
任意の2つのモジュールのMMV間の差から生じた均等化電流が予め定められた範囲外の場合、モジュールの1つ以上がその後、
図9のブロック632で行われた判断に応答して、そのリレー500をオフにし得る。
【0170】
ブロック658で、TBVとMMVとの間で比較が行われる。いくつかの実施形態では、比較は、PSDM 945(
図8)内に格納され得る予め定められた閾値に関して行われ得る。比較が肯定である場合、ブロック659で、SCU 90からPCU 95への電力コマンドの発行が可能にされる。本明細書では、比較されている値が等しいか、または相互に予め定められた範囲内に含まれる場合、比較は肯定と見なされる。そうでない場合、比較は否定と見なされて、ブロック653から始まるステップが繰り返される。
【0171】
パック5(
図7)内に設置された複数のモジュール10を持つ電力システム80を操作する方法に対する流れ
図670が
図11に示されている。いくつかの代替実施態様では、ブロック内に示された機能は、
図11に示された順序とは関係なく生じ得、追加の機能を含み得、かつ/または一部の機能を省略し得ることに留意すべきである。例えば、
図11に連続して示されている2つのブロックは実際には、以下で更に明確にされるように、関与する機能に応じて、実質的に同時に実行され得、ブロックは時々、逆の順序で実行され得るか、またはブロックの一部は、いかなる場合も実行されない可能性がある。具体的には、ブロック686での評価、およびその後のブロック687への前進は、
図11に例示された他のステップのいずれかと同時に実行され得ることに更に留意すべきである。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれることを意図する。
【0172】
ブロック671で、PDDM 940の最新のコピーがSCU 90によってPCU 95から受信される。ブロック672で、個々のMCDM 930の最新のコピーがSCU 90によって全ての個々のモジュール10からパックコントローラ40の機能を介して受信される。SCU 90と1つ以上のモジュール10との間の通信に対する後続の言及では、SCU 90内に含まれ得るか、または別個の物理コントローラであり得る、パックコントローラ40の機能は通信を実行するために利用されることが理解されるべきである。
【0173】
ブロック673で、最新のPSDM 945が、ブロック671で受信されたPDDM 940およびブロック672で受信されたMCDM 930を参照して、SCU 90によって生成される。PSDM 945を生成する正確な技術およびそれが含むデータの正確な特質は、各実施形態の仕様に従って変わり得る。多くの実施形態では、PDDM 940は、システム構成要素96の特定の動作条件でPCU 95に対して発行された電力コマンドの特定の値を実現するために必要な電源バス電圧および電流に関するデータを含む。モジュール10から受信した各MCDM 930は、対応するモジュールが、所与の電源バス電圧で供給または吸収できる電流の大きさに関するデータを含む。各個々のモジュール10に対して異なり得る、電源バス電圧のいくつかの値において、電流のかかる大きさはゼロであり得る。
【0174】
多くの実施形態では、SCU 90は、予め定められた電源バス値電圧における全てのモジュールの電流能力を統合する。この統合された電流能力データがPSDM 945内に記録される。電力コマンドを要求された電源バス電圧および電流と関連付けるPDDM 940からのデータがPSDM 945内に更に記録される。追加の式、実行可能ソフトウェアサブルーチン、補正因子および他のデータがPSDM 945内に更に記録され得る。電力システムの過去に観測された性能を参照する履歴データがPSDM 945内に更に記録され得る。
【0175】
結果として生成されるPSDM 945は、いくつかの実施形態では、EOU 93に送信され得る。かかる実施形態では、PSDM 945は、車両性能を予測または推定し、それに応じて経路の選定および/または他の動作パラメータを調整するために、オペレータ91によって更に利用され得る。PSDM 945内に含まれるデータのグラフィカルおよび/または数値表現を伴う視覚表示が任意選択で、ヒューマンインタフェース94を介して人間のオペレータ92に提示され得る。
【0176】
ブロック675で、電源バスが、流れ
図650(
図10)に例示された方法によって通電される。本明細書で行われる開示の文脈では、モジュール10の各々は、流れ
図610(
図9)に例示された方法に従い、対応するモジュールコントローラ900によって制御されると理解すべきであることに留意すべきである。その結果として、ブロック620での比較を肯定で終えるモジュールは、それらの対応するリレー500をオンにして、電源バスに接続される。ブロック620の比較を否定で終えるモジュールは、電源バス電圧がブロック620における肯定結果を可能にするために十分に変わるまで、ブロック614~620におけるステップを繰り返し続ける。かかる電源バス電圧変化は、以下で更に詳述されるように、SCU 90によりPCU 95に対して発行されている電力コマンドに応答して起こり得る。任意の特定のモジュール10がそのリレー500をオンにするために必要な電源バス電圧は、SCU 90により対応するMCDM 930を参照し、かつ/またはPDSMを参照して、予測され得る。
【0177】
図11のブロック676で、SCU 90は、EOU 93からの電力要求を待つ。多くの実施形態では、定期的な電力要求がEOU 93からSCU 90に発行され得、毎秒数回、発行され得る。いくつかのかかる実施形態では、SCU 90による指定期間内でのEOU 93からの有効な電力要求の受信の失敗は、終了条件の満足(ブロック686)を構成し得、以下で更に詳述されるように、ブロック687でSCUに電源バスの通電を断たせる。有効な電力要求は、任意の大きさであり得、正、負またはゼロであり得る。
【0178】
有効な電力要求を受信すると、SCU 90は、その要求を現在の動作条件で実現するために必要なバス電圧および電流の必要な値を取得するために、PSDM 945および/または最新のPDDM 940内に記録されたデータを参照する。PSDM 945は次いでブロック678で、所望の電圧において電源バスに接続できる全てのモジュール10の統合された電流能力が、その電圧において所望の電流を供給するために十分であるかどうかを評価するために更に参照される。
【0179】
それぞれ1つ以上の追加のPCU 95によって制御されている、1つ以上の追加のシステム構成要素96が存在する実施形態では、各かかる追加の構成要素96に対する寄与する電力レベルの評価が、それぞれ1つ以上の追加のPDDM 940を参照してステップ678で実行され得る。かかる実施形態の実例となる略図が、追加のシステム構成要素を96bおよび96cとして例示して、
図12に示されている。追加のシステム構成要素の寄与する電力は、第1のシステム構成要素96の電力レベルに対する加算または減算であり得る。例えば、発電機である追加のシステム構成要素96cは、トラクションモーターである第1のシステム構成要素96の電力レベルに対する減算である寄与する電力レベルを有し得る。トラクションモーター(図示せず)である別の追加のシステム構成要素96aは、トラクションモーターである第1のシステム構成要素96の電力レベルに対する加算である寄与する電力レベルを有するであろう。かかる実施形態では、更新されたPSDMは、1つ以上の追加のシステム構成要素の寄与する電力レベルの決定に応答して生成され得る。更新されたPSDMは次いで、ステップ678で第1のシステム構成要素96の電力レベルを評価するためのPSDMとして考えられる。
【0180】
ブロック678での評価が肯定の場合、電力要求と実質的に等しい電力コマンドがSCU 90によりPCU 95に対して発行される。電力コマンドに応答して、PCU 95は次いで、システム構成要素96を制御し、電力が電源バスから引き出されるか、または電源バスに供給される結果となる。電源バス電圧および/または電流は、電源バスに供給されるか、または電源バスから引き出される電力の結果として変化し得る。モジュール10の1つ以上はその後、流れ
図610(
図9)に例示された方法に従い、電源バス電圧および/または電流の前記変化に応答して、その対応するリレー500をオンまたはオフにし得る。
【0181】
追加のシステム構成要素を有する実施形態では、それぞれの寄与する電力レベルコマンドが、ステップ678で追加のシステム構成要素に結合された各それぞれのPCUに対して発行される。
【0182】
ブロック678での評価が否定の場合、SCU 90は、所望の電圧におけるモジュール10の統合された電流能力を超える結果とならない低減された電力コマンドを計算するために、ブロック680でPSDM 945内のデータを参照する。
【0183】
低減された電力コマンドは、ブロック681でSCU 90によりPCU 945に対して発行される。低減された電力コマンドに応答して、PCU 95は次いで、システム構成要素96を制御して、電力が電源バスから引き出されるか、または電源バスに供給される結果となる。電源バス電圧が結果として変化し得る。モジュール10の1つ以上はその後、流れ
図610(
図9)に例示された方法に従い、電源バス電圧の前記変化に応答して、その対応するリレー500をオンまたはオフにし得る。
【0184】
直近に発行された電力コマンドの遂行によって生じている可能性のある任意の変化を組み込んでいる、最新のPDDM 940がSCU 90によりPCU 95から受信される。
【0185】
ブロック683で、直近に発行された電力コマンドの遂行によって生じている可能性のある任意の変化を組み込んでいる、最新のMCDM 930が各モジュール10から受信される。
【0186】
最新のPSDM 945が、ブロック682および683で受信されたデータを参照して、ブロック684でSCU 90によって生成される。
【0187】
いくつかの実施形態では、ブロック684で生成されたPSDM 945のコピーがブロック685でEOU 93に送信される。
【0188】
終了条件の評価がブロック686で行われて、流れ
図670内に例示された任意の他のブロックとも同時に行われ得る。終了条件は、EOU 93からの停止コマンドの受信、故障条件の検出、予め定められた期間内でのEOU 93からの有効な電力要求の受信の失敗、および同様のものであり得る。ブロック686での終了条件の評価が否定である場合、ブロック676から始まるステップが繰り返される。
【0189】
終了条件の評価が肯定である場合、ブロック687で電源バスがSCU 90によって通電を断たれる。いくつかの実施形態では、ゼロの目標バス電圧(TBV)を有し得る、切断コマンドが、SCU 90により全てのモジュール10に送信されて、各モジュール10によりブロック638で終了条件の肯定評価を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、PCU 95は、全てのモジュール10がそれらそれぞれのリレー500をオフにした後、電気エネルギーを電源バスに供給し続け得る実質的なコンデンサを有し得る。かかる実施形態では、PCUは、コンデンサ内に貯蔵された電気エネルギーをシステム構成要素96を通して放電する能力を有し得る。コンデンサを放電するコマンドは、かかる実施形態では、コンデンサを放電するためにSCU 90によりPCU 95に対して発行され得る。他の実施形態では、コンデンサは、それをリレーを通して電源バスに接続することにより、抵抗または類似の電気負荷を通して放電され得る。更に他の実施形態では、
エネルギーをコンデンサから低電圧バッテリーに伝達するために電圧変換回路が作動され得る。
【0190】
バッテリーモジュール10および車両電力システム80の前述の実施形態は、本発明の実施態様の可能な例に過ぎないことが強調されるべきである。多くの変形および修正が前述の実施形態に対して行われ得る。全てのかかる修正および変形は、本開示の範囲内にここで含まれて、以下のクレームによって保護されることを意図する。
【0191】
さらに、前述の開示は、独立した有用性を持つ複数の別個の発明を包含する。これらの発明の各々は特定の形式で開示されているが、上で開示されて例示された特定の実施形態は、多数の変形が可能なため、制限する意味で考えられるべきではない。本発明の主題は、上で開示されて、かかる発明に関する当業者に固有の様々な要素、特徴、機能および/または特性の全ての新規および明白でない組合せならびに部分的組合せを含む。本開示またはその後に出願されたクレームが「1つの」要素、「第1の」要素、または任意のかかる等価の用語を列挙する場合、本開示またはクレームは、2つ以上のかかる要素を要求することも排除することもなく、1つ以上のかかる要素を包含すると理解されるべきである。
【0192】
出願人(複数可)は、新規かつ自明でないと考えられる開示される発明の組合せおよび部分的組合せを対象とするクレームを提出する権利を留保する。特徴、機能、要素および/または特性の他の組合せならびに部分的組合せで具現化される発明は、本出願もしくは関連出願におけるそれらのクレームの補正または新しいクレームの提示を通して主張され得る。かかる補正または新しいクレームは、それらが同じ発明または異なる発明を対象とするかどうかに関わらず、かつそれらが、元のクレームと異なるか、幅広いか、狭いか、または等しい範囲であるかに関わらず、本明細書で説明される発明の主題の範囲内であると考えられる。
【国際調査報告】