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特表2024-506617ポリヒドロキシアルカノエート系組成物およびそれから製造される物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ポリヒドロキシアルカノエート系組成物およびそれから製造される物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20240206BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240206BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20240206BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20240206BHJP
   C08K 5/23 20060101ALI20240206BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C08L67/04 ZBP
C08L101/00
C08L7/00
C08K5/14
C08K5/23
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547792
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2021051277
(87)【国際公開番号】W WO2022173466
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/147,693
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
3.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】521067751
【氏名又は名称】ニューライト テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】レオン,ジェファリー
(72)【発明者】
【氏名】クリアン,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4J002AC01X
4J002AC03X
4J002AC06X
4J002AC08X
4J002AE05Y
4J002BB01X
4J002BB02X
4J002BB03X
4J002BB05X
4J002BB07Y
4J002BB08Y
4J002BB09Y
4J002BB11Y
4J002BB15X
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4J002BB17X
4J002BB18X
4J002BC02Y
4J002BG04X
4J002CD16Y
4J002CF00Y
4J002CF03Y
4J002CF10Y
4J002CF18W
4J002CF18Y
4J002CH00Y
4J002CH05Y
4J002CK00Y
4J002CK02X
4J002CK02Y
4J002DA036
4J002DE139
4J002DE236
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DK006
4J002EE059
4J002EK037
4J002EK047
4J002EK057
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4J002EQ017
4J002EQ019
4J002EU186
4J002EW018
4J002EW048
4J002EW068
4J002FD068
4J002FD099
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4J002FD207
4J002FD20Y
4J002GB00
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4J200AA04
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4J200BA13
4J200BA14
4J200BA15
4J200BA16
4J200CA01
4J200EA04
4J200EA07
4J200EA11
4J200EA21
(57)【要約】
本明細書は、概して、バイオベースの熱可塑性成分を含む、生分解性、生物堆肥化性、海洋分解性、生体適合性物品の製造用組成物に関する。本発明のポリヒドロキシアルカノエートエラストマーブレンドが、20~99重量%のPHAを含む、本発明のポリヒドロキシアルカノエートエラストマーブレンドが、PHAが20~99重量%、エラストマーが3~40重量%、相溶化剤が2~25重量%であり、分解されるにつれて、その物品を摂取した動物の成長性能、腸内消化機能、免疫機能に有益な活性天然ポリマーを放出する様々な物品の製造に使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相、不連続相および相溶化剤を含み、前記連続相がポリヒドロキシアルカノエート(PHA)から形成され、前記不連続相がエラストマーである、生分解性ポリマー組成物。
【請求項2】
核剤、分岐剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤および他の機能を有する添加剤を更に含む、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記PHAが組成物の約20重量%~約99重量%を構成し、前記エラストマーが組成物の約3重量%~約40重量%を構成し、前記相溶化剤が組成物の約2重量%~約25重量%を構成する、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記PHAが組成物の約78重量%を構成し、前記エラストマーが組成物の約10重量%を構成し、前記相溶化剤が組成物の約12重量%を構成する、請求項3に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記エラストマーが天然ゴムを含む、請求項4に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記天然ゴムがドライである、請求項5に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項7】
前記PHAおよび前記エラストマーの両方が、食品グレードのバイオポリマーである、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項8】
前記PHAが、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシブチレート‐コバレレート(PHBV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHHx)、ポリ3‐ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ3‐ヒドロキシプロピオネート(P3HP)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート(PHB)およびポリ3‐ヒドロキシバレレート)、ポリ4‐ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ4‐ヒドロキシブチレート(P4HB)、またはポリ4‐ヒドロキシバレレート(P4HV))およびポリ5‐ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ5‐ヒドロキシバレレート(P5HV))、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシプロピオネート(PHB3HP)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4-ヒドロキシブチレート(PHB4HB)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4-ヒドロキシバレレート(PHB4HV)、ポリ3‐ヒドロキシシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシバレレート(PHB3HV)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシヘキサノエート(PHB3HH)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐5‐ヒドロキシバレレート(PHB5HV)、およびポリマーブレンドを含むこれらの種々の組み合わせから選択される、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のポリマー組成物から形成される生分解性および生物堆肥化可能な物品。
【請求項10】
請求項1記載のポリマー組成物から形成される耐久性のある射出成形可能なプラスチック。
【請求項11】
請求項1記載のポリマー組成物から形成される熱成形プラスチック。
【請求項12】
請求項7に記載のポリマー組成物から形成される食品。
【請求項13】
前記分岐剤が、過酸化物、アゾ系防腐剤、ペルエステル、およびペルオキシカーボネートから成る群から選択される、請求項2に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項14】
前記過酸化物が有機過酸化物から成る群から選択される、請求項13に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項15】
前記有機過酸化物がジアルキル有機過酸化物から成る群から選択される、請求項14に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項16】
前記ジアルキル有機過酸化物が、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)‐2,5‐ジメチルヘキサン、2,5‐ジメチル‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3、ジ‐t‐ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ‐t‐アミルペルオキシド、t‐アミルペルオキシ2‐エチルヘキシルカーボネート(TAEC)、t‐ブチルクミルペルオキシド、n‐ブチル4,4-ビス(t‐ブチルペルオキシ)バレレート、1,1‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、1,1‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン(CPK)、1,1‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1‐ジ(t‐アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、2,2‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ブタン、エチル‐3,3‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ブチレート、2,2-ジ(t‐アミルペルオキシ)プロパン、エチル-3.3-ジ(t‐アミルペルオキシ)ブチレート、t‐ブチルペルオキシアセテート、t‐アミルペルオキシアセテート、t‐ブチルペルオキシベンゾエート、t‐アミルペルオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルジペルオキシフタレート、ジ(tert‐ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(VulCup(登録商標))を含む推奨物質、およびそれらの組み合わせと混合物から成る群から選択される、請求項15に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項17】
前記相溶化剤が、ポリプロピレン‐co‐アクリル酸、ポリプロピレン‐g‐無水マレイン酸、ポリエチレン‐g‐無水マレイン酸、ポリエチレン‐g‐無水マレイン酸‐co‐エチルアクリレート、ポリエチレン‐g‐無水マレイン酸‐co‐メチルアクリレート、ポリエチレン‐co‐ブチレン/スチレン、ポリエチレン‐co‐ブチレン/無水コハク酸、ポリエチレン‐co‐アクリル酸、ポリエチレン‐co‐メチルアクリレート、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリエーテルエステル、ポリエチレン‐co‐ブチルアクリレート、多塩基酸、ポリグリコール、置換脂肪酸、ポリエステルアジペート、コハク酸ポリエステル、ポリオキシアルキレン、ポリプロピレンアジペート、ポリエステルグルタレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、トリメチルシトレート、エポキシ化大豆油、アセチルトリ-n‐ブチルシトレート、ポリエステルセバケート、ネオペンチルグリコール-アジピン酸-カプロラクトン、三官能性ポリエステルアジペート、エポキシ化アマニ油、ヒマシ油、およびグルタル酸ポリエステルから成る群から選択される、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項18】
前記相溶化剤が非晶性ポリマーである、請求項13に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項19】
前記エラストマーが、ポリオレフィンエラストマー、ポリ(エチレン‐co‐オクテン)、ポリ(エチレン‐co‐高級アルケン)、アクリルエラストマー、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、高分子量ポリウレタン、合成ポリイソプレンゴム、天然ゴム、ラテックスゴム、熱可塑性加硫物、EPDM、ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む、ホモポリマーおよびコポリマーから成る群から選択される、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項20】
前記エラストマーが、顆粒、シート、クレープ、クランプ、および粒状ゴムの形態である、請求項18に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項21】
機能性添加剤を更に含む、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項22】
前記機能性添加剤が、着色剤(カーボンブラックを含む)、核剤、安定剤、架橋剤、加工助剤、および強化剤を含む、請求項21に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項23】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、エラストマーおよび相溶化剤を含む、食品用の熱成形可能な物品。
【請求項24】
連続相、不連続相および相溶化剤を含み、前記連続相がポリヒドロキシアルカノエート(PHA)から形成され、前記不連続相がエラストマーであり、前記相溶化剤が熱可塑性ポリウレタンである、カトラリー形状に成形された食品。
【請求項25】
連続相、不連続相および相溶化剤からなり、前記連続相がポリヒドロキシアルカノエート(PHA)から形成され、前記不連続相が炭化水素エラストマーであり、前記相溶化剤が熱可塑性ポリウレタンである、飲料用ストローの形状に成形された食品。
【請求項26】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、炭化水素エラストマー、および熱可塑性ポリウレタンを含む、生分解性ポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権および参照による援用)
本出願は、発明の名称「POLYHYDROXYALKANOATE-BASED COMPOSITIONS AND ARTICLES MADE THEREFROM」の、2021年2月9日に出願された米国仮出願第63/147,693号の優先権を主張し、参照によりこれを援用する。
【0002】
本明細書は、概して一般に、ポリヒドロキシアルカノエート系物品の製造に有用な、栄養価を有する環境適合性組成物に関する。特に、本発明は、連続相、不連続相および相溶化剤を有する組成物および物品であって、連続相がポリヒドロキシアルカノエート(PHA)から形成され、不連続相がエラストマーである組成物および物品に関する。より具体的には、本発明は、(a)2種の非混和性ポリマー、すなわち、(i)エラストマーおよび(ii)ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の混合物を、相溶化剤、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントまたはドメインが交互に配列してなるブロックコポリマーと組み合わせてなる組成物;(b)ポリマー-ポリマー混和性をもたらす方法;(c)この新規ブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物を使用して、望ましい物理的および機械的特性を有する物品を製造する方法;および(d)動物飼料としても機能する特定の有用性を有する製造物品に関する。
【背景技術】
【0003】
今世紀の最初の10年間で、2000年までの歴史上のすべてのプラスチックよりも多くのプラスチックが生産された。大規模なプラスチック材料の使用は、技術開発の歴史に一石を投じるものであったが、これらの材料の使用量の増加は、深刻な環境問題を引き起こしている。これらの素材は、概して、自然分解に約500~1,000年かかり、つまり、これまでに製造された合成樹脂のほぼすべてが、何らかの形で現在も存在していることになる。石油化学由来のプラスチック樹脂の場合、全世界で年間約9000億ポンドが生産されており、この数字は毎年約4%ずつ増加し続けると推定されている。この世界的な年間生産量のうち、約10%にあたる900億ポンドが毎年地球の海洋に流入していると推定され、その結果、プラスチックを摂取したり、プラスチックに絡まったりして、毎年何千頭もの海鳥やウミガメ、アザラシなどの海洋哺乳類が命を落としている。
【0004】
国連の機関であるU.N.Environmentによれば、これらの問題を考慮し、60カ国以上が使い捨てプラスチック廃棄物と闘うために課税や禁止措置を導入している。これらの事実の関連性を考慮すると、これらの新素材を使用する市場の可能性は非常に大きく、生分解性プラスチック樹脂は世界的に注目されている。これらの生分解性バイオポリマーの市場での用途は、その完全な生体適合性と受容生物からの穏やかな拒絶反応により、これらに限定されないが、包装、おむつ、食器、飲料用品、カトラリーを含む使い捨て材料、化粧品、農薬、水産物、および放出制御のマイクロカプセル化薬物、医療用縫合糸、骨折用固定ピンなどの医療物品および製薬物品を含む。
【0005】
生分解性バイオポリマーの重要なファミリーは、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、これは300種類以上の微生物によって自然に合成されるポリエステルであり、微生物の天然エネルギー備蓄として機能する。PHAバイオポリマーファミリーの中で最も単純かつ重要なポリマーのひとつがポリヒドロキシブチレート(PHB)である。PHBに対する商業的関心は、生分解性や生体適合性の特性だけでなく、熱機械特性や製造コストにも直接関係している。更に、PHBが動物に摂取されると、腸内細菌叢の微生物制御剤として作用し、体重増加、成長率、全生存率に好影響を与える可能性があるという証拠が増えつつある(非特許文献1および2)。
【0006】
これらの熱可塑性ポリエステルまたは弾性ポリエステルは、糖、アルカン、植物油、有機酸、アルコールなどの炭素源を用いた水性培地中で多種多様な微生物、特に細菌を培養することによって簡便に合成することができる。微生物、炭素源、栄養素、培養条件にもよるが、PHBは通常、非晶質で水に溶けない顆粒として細胞内に貯蔵されているため、単離および精製が困難な場合がある。一旦単離されたPHBは、半結晶性で熱的に不安定なため、更に脆くなる。PHB固有の脆さを克服する一つの方法は、低レベルのバレレートを有するコポリマーを使用することである。しかし、これらのコポリマーはPHBより低い融点を示すため、組成物の利用温度範囲が狭くなる。あるいは、脆い熱可塑性プラスチックマトリックスにゴム粒子を組み込むと、ポリマーの衝撃特性と靭性が向上することが知られている(特許文献1および2)。好適な条件下で好適な相溶化剤を使用することで、相乗効果が生じ、高耐久性用途向けの高衝撃強靭化ポリマーブレンドが得られる。しかし、低弾性率のゴム粒子をポリマーに添加すると、剛性と強度が低下し、この剛性の低下により、得られるブレンドの耐スクラッチ性/耐傷性が著しく低下する。この問題は、自動車産業におけるゴム強化熱可塑性プラスチックの成長を妨げてきた。従って、この脆さを克服するために、クレーなどの高弾性充填剤も強靭化ブレンドに配合され、最適な加工と化学処理によって、失われた強度と剛性を回復することができる。
【0007】
このように、クレーのような充填剤を使用することなく、PHA固有の剛性、強度、生分解能力、栄養価を損なうことなく、PHAの耐久性、強靭性、衝撃強度を向上させる必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2694692号明細書
【特許文献2】米国特許第4306040号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Y. Duan, et al., Effect of dietary poly-b- hydroxybutyrate (PHB) on growth performance, intestinal health status and body composition of Pacific white shrimp Litopenaeus vannamei , Fish & Shellfish Immunology. 60:520-528 (2017)
【非特許文献2】E.H. Najdegerami, et al. , Effects of poly- -hydroxybutyrate (PHB) on Siberian sturgeon ( Acipenser baerii ) fmgerlings performance and its gastrointestinal tract microbial community, FEMS Microbiol EcoE 79:25-33 (2012)
【発明の概要】
【0010】
本発明は、PHA本来の剛性、強度、生分解能力および栄養価を損なうことなく、PHAの耐久性、強靭性および衝撃強度を改善する必要性に対処するものである。
【0011】
本発明は更に、比較的安価で製造が容易なPHAポリマー複合体を提供する。
【0012】
概して、本発明は、ポリヒドロキシアルカノエート系物品の製造に有用な、栄養価を有する、環境的に持続可能な組成物を記載している。特に、本発明は、連続相、不連続相および相溶化剤を有する製造物品に関し、連続相はポリヒドロキシアルカノエート(PHA)から形成され、不連続相はエラストマーであり、相溶化剤は、本明細書において多相ブロックコポリマーとも呼ばれる、ハードセグメントおよびソフトセグメントまたはドメインの交互配列から成るブロックコポリマーである。
【0013】
本発明の新規ブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物は、(i)エラストマーおよび(ii)ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の2種の非混和性ポリマーの混合物を、多相ブロックコポリマーなどの相溶化剤と組み合わせて含んでもよい。好ましくは、本発明の組成物は、生分解性、生体適合性であり、偶然に物品の全部または一部を摂取する可能性のある鳥類または動物に対して栄養価を有し、約20重量%~約99重量%のPHA、約3重量%~約40重量%のエラストマー、および約2重量%~約25重量%の相溶化剤を含む。
【0014】
また、本明細書には、ポリマー‐ポリマー混和性をもたらす方法、およびこの新規ブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物を使用して望ましい物理的および機械的特性を有する物品を製造する方法が提供される。また、本明細書には、本発明のブレンド組成物を形成する方法が提供される。この方法は、所望の物理的および機械的特性を有する物品を形成することができるブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物を形成するのに十分な条件下で、PHA、エラストマー、および多相ブロックコポリマーをブレンドすることを含む。
【0015】
新規ブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物は、任意の好適な処理順序を用いて、任意の好適な方法によって製造することができる。例えば、1つの実施形態において、この方法は、(a)溶融状態で、PHAポリマー、エラストマーおよび多相ブロックコポリマーを混合して、均質なブレンドを形成する工程;および(b)均質なブレンドを冷却して固体のエラストマー/PHAポリマー組成物を形成し、これを物品に成形することができる、冷却工程を含む。例えば、押出機(例えば、一軸または二軸)または射出成形装置などの任意の好適なポリマー加工装置を使用してもよい。上記方法は、ストランド作製、色添加、ペレット化および均質化などの他の工程を更に含んでもよい。
【0016】
別の実施形態では、PHAポリマー、エラストマー、および多相ブロック共重合体成分は、微細な粒子サイズの粉末の形態であり、予め決定された比で成分をドライブレンドし、混合し、加工する。ここでも、例えば押出機(例えば、一軸または二軸)などの任意の好適な加工装置を使用することができる。この方法は、更に、ストランドの作製、色の添加、ポリヒドロキシアルカノエートエラストマーブレンドのペレット化および均質化などの他の工程を含んでもよい。
【0017】
本発明の新規ブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物は、フィルム、シート、多層構造、繊維、モノフィラメント、シート、熱成形品、ブロー成形品、射出成形品、射出延伸ブロー成形品などの商業的に有用な物品に製造することができるが、これらに限定されない。また、本明細書には、本発明のブレンド組成物のいずれかから製造された物品も提供される。
【0018】
任意に、添加剤を新規ブレンド組成物に添加することができる。そのような添加剤は、ブレンド組成物を形成するための成分の処理中の好適な時期に混合してもよい。ブレンド組成物およびそれから作製される物品に1つ以上の選択された機能特性を付与するために、1つ以上の添加剤がブレンド組成物に含まれる。本発明に含まれてもよい添加剤の例としては、これらに限定されないが、熱安定剤、加工安定剤、光安定剤、酸化防止剤、スリップ/アンチブロック剤、顔料、紫外線吸収剤、充填剤、潤滑剤、顔料、染料、着色剤、流動促進剤、可塑剤、加工助剤、分岐剤、強化剤、核剤(以下で更に詳細に説明する)、タルク、ワックス、炭酸カルシウム、ラジカル捕捉剤、または前述の機能性添加剤の1つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0019】
製造された物品は、環境に入る廃棄物として、製造された物品の生分解工程中に活性天然ポリマーを放出することにより、動物の健康および栄養に役立つように使用されてもよい。これらの天然ポリマー、例えばポリ-3‐ヒドロキシブチレート(PHB)などは、水溶性の短鎖脂肪酸モノマーに分解され、成長性能、腸内消化機能、免疫機能に有益であることが示されている。更に、本発明のブレンド組成物は、水槽装飾品に成形することができ、これは、微生物環境を調節することによって、時間の経過とともに分解し、水槽内の硝酸塩およびリン酸塩の除去を助ける。
【0020】
追加の実施形態および特徴は、以下の説明に記載されており、一部は、明細書を検討することにより当業者に明らかになるか、または開示された実施形態の実施により知ることができる。開示された実施形態の特徴および利点は、本明細書中に記載された器具、組み合わせ、および方法によって実現および達成されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書は、概して、バイオベースの熱可塑性成分を含む、生分解性、生物堆肥化可能、海洋分解性、生体適合性物品の製造用組成物に関する。特に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の引張強さ、靭性、伸びの顕著な改善は、相溶化剤を用いてPHA中にエラストマーを分散させ、次いで任意に分散したエラストマーを架橋させることによって達成できることが、本発明の実施に従って見出された。本発明のポリヒドロキシアルカノエートエラストマーブレンドは、20~99重量%のPHA、3~40重量%のエラストマーおよび2~25重量%の相溶化剤を含む。
【0022】
このポリヒドロキシアルカノエートエラストマーブレンドを使用して製造される製造物品は、2相を有し、第1相は連続相であり、第2相は不連続相であり、連続相はポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマーから形成され、不連続相はエラストマーであり、2相は相溶化剤の添加によって相溶化されている。生分解工程中に活性天然ポリマーを放出することによって動物の健康および栄養に利益をもたらす、この新規なポリヒドロキシアルカノエートエラストマーブレンドを使用して、ポリマーとポリマーの混和性を効果的にする方法および望ましい物理的および機械的特性を有する物品を製造する方法も、以下に更に詳細に記載する。
【0023】
本発明のブレンドされたポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物を形成する際に採用される2つの非混和性ポリマー、PHAおよびエラストマーは、以下に更に詳細に説明され、ホモポリマー、コポリマーおよびそれらのブレンドを含んでもよい。本発明の好適な相溶化剤としては、これらに限定されないが、ポリプロピレン‐co‐アクリル酸、ポリプロピレン‐g‐無水マレイン酸、ポリエチレン‐g‐無水マレイン酸、ポリエチレン‐g‐無水マレイン酸‐co‐エチルアクリレート、ポリエチレン‐g‐無水マレイン酸‐co‐メチルアクリレート、ポリエチレン‐co‐ブチレン/スチレン、ポリエチレン‐co‐ブチレン/無水コハク酸、ポリエチレン‐co‐アクリル酸、ポリエチレン‐co‐メチルアクリレート、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリエーテル、熱可塑性ポリエーテルエステル、熱可塑性ポリオール/コポリオールポリエチレン‐co‐ブチルアクリレート、熱可塑性ポリカプロラクトン、多塩基酸、ポリグリコール、置換脂肪酸、ポリエステルアジペート、コハク酸ポリエステル、ポリオキシアルキレン、ポリプロピレンアジペート、ポリエステルグルタレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、トリメチルシトレート、エポキシ化大豆油、クエン酸アセチルトリ‐n‐ブチル、ポリエステルセバケート、ネオペンチルグリコール‐アジピン酸‐カプロラクトン、三官能性ポリエステルアジペート、エポキシ化アマニ油、ヒマシ油、およびグルタル酸ポリエステルが挙げられ、2つの不連続相を有するブレンド組成物の形成を可能にする。驚くべきことに、本発明者らは、多相ブロック共重合体が、エラストマーとPHA重合体との混和性を助けるユニークな適格性を有し、従って、適切な強度および耐久性を有する生分解性、海洋分解性および生物堆肥化可能な物品の製造に有用なブレンド組成物の形成を可能にすることを発見した。以下の実施例に記載されるように、この新規ブレンド組成物は、アイゾットスケールで測定されるような増大した衝撃強度を有する物品の形成を可能にすることが見出された。ブレンドされたポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物の付加的な利点は、生分解性、海洋分解性、生物堆肥化性、および生体適合性であることである。製造物品としてのブレンド組成物は、最終的に上記環境中で分解され、これらに限定されないが、動物研究では、成長性能、腸内消化機能、免疫機能に有益であることが示された水溶性の短鎖脂肪酸モノマーに分解される可能性があるポリ-3‐ヒドロキシブチレート(PHB)などの天然PHAポリマー残渣を放出する。
【0024】
このポリマー-ポリマー界面の混和性のメカニズムは、ポリマー鎖間の分子間力の増大によるものと考えられ、それによって界面張力が低下し、望ましい相形態の形成が可能になる。特定の理論に束縛されるつもりはないが、混和性に影響を与える要因としては、分子量、分子量分布、水素結合、ファンデルワールス力、誘電率、ポリマー鎖の極性(双極子モーメント)、末端基、ポリマーの純度などが考えられる。多相ブロックコポリマーは、PHAポリマーとエラストマーの界面張力を低下させると考えられている。
【0025】
本明細書中で開示する新規ブレンド組成物は、(a)約20重量%~約99重量%のPHA、(b)約0.5重量%~約40重量%のエラストマー、および(c)約0.1重量%~約25重量%の相溶化剤を含む。成分の濃度を変えることにより、所望の特性を調整できることが発見された。例えば、約90重量%~約99重量%のPHA、(b)約0.5重量%~約9重量%のエラストマー、および(c)約0.1重量%~約5重量%の相溶化剤を有する配合物は、カトラリーに良好な機械的特性を有する。カトラリー製品は、一般に、剛性、強度、安定性、着色能力、容易な加工性、成形性、分散性、海洋分解性、生分解性、生体適合性の向上が要求される。電気、電子、コンピューター部品などの製造部品に、より耐久性のある製品が必要な場合、約70重量%~約90重量%、より好ましくは70重量%~80重量%のPHA、(b)約1重量%~約30重量%、より好ましくは7重量%~12重量%のエラストマー、および(c)約1.0重量%~約15重量%、より好ましくは約10重量%~約15重量%の相溶化剤を有する配合物が調製されることができる。自動車部品、工具のハンドル、玩具などのような、更に耐久性のある製品が望まれる場合には、約20重量%~約70重量%のPHA、(b)約3重量%~約40重量%のエラストマー、および(c)約2.0重量%~約25重量%の相溶化剤を有する配合物を調製することができる。任意に、これらに限定されないが、着色剤、核剤、安定剤および強化剤などの添加剤を本発明のブレンド組成物に添加してもよい。想定される添加剤を以下に更に詳細に説明する。
【0026】
本明細書を通じて、PHAが言及される場合、これらの用語は、ホモポリマー、コポリマー、およびそれらのブレンドを含み、食品グレードであってもなくてもよいことを理解されるべきである。本明細書中で用いられるように、「機能的特性」および「機能的特徴」という用語は、通常の意味を有し、PHAの仕様、特徴、品質、特性、または属性を指すものとする。PHAの機能特性には、分子量、多分散性および/または多分散性指数、メルトフローおよび/またはメルトインデックス、モノマー組成、共重合体構造、メルトインデックス、非PHA材料濃度、純度、衝撃強度、密度、比粘度、耐粘度性、耐酸性、機械的せん断強度、曲げ弾性率、破断伸び、凍結融解安定性、加工条件耐性、保存寿命/安定性、吸湿性、色などが含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書中において使用されるように、用語「多分散性指数」(またはPDI)は、その通常の意味を有し、所定のポリマー試料の分子量分布の尺度(重量平均分子量を数平均分子量で割ったものとして計算される)であると考えられる。
【0027】
ポリヒドロキシアルカノエートは、広範な天然および遺伝子操作された微生物および微生物酵素ならびに遺伝子操作された植物作物によって合成される生物学的ポリエステルである(Braunegg, et al., J. Biotechnology, 65:127-161 (1998);Madison and Huisman, Microbiology and Molecular Biology Reviews, 63:21-53 (1999);Poirier, Progress in Lipid Research 41:131-155 (2002))。これらのポリマーは生分解性の熱可塑性材料であり、再生可能な資源から生産することができ、広範な工業的用途に使用できる可能性がある(Williams & Peoples, CHEMTECH 26:38-44 (1996))。PHAを生産するのに有用な微生物株には、Alcaligenes eutrophus(Ralstonia eutrophaとして改名)、Alcaligenes latus、Azotobacter、Aeromonas、Comamonas、Pseudomonads、およびPseudomonas、Ralstonia、Escherichia coliなどの遺伝子操作微生物を含む遺伝子操作生物が含まれる。
【0028】
一般的に、PHAは、1つ以上のモノマーユニットの酵素重合によって形成される。PHAポリマーには、100種類以上のモノマーが組み込まれている(Steinbuchel and Valentin, FEMS Microbiol. Lett., 128:219-228 (1995))。PHAに組み込まれるモノマーユニットの例としては、2-ヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、3‐ヒドロキシブチレート(以下、3HBと略記する)、3‐ヒドロキシプロピオネート(以下、3HPと略記する)、3‐ヒドロキシバレレート(以下3HVと略記する)、3‐ヒドロキシヘキサン酸エステル(以下3HHと略記する)、3‐ヒドロキシヘプタン酸エステル(以下3HHepと略記する)、3‐ヒドロキシオクタン酸エステル(以下3HOと略記する)、3‐ヒドロキシノナノエート(以下3HNと略記する)、3‐ヒドロキシデカノエート(以下3HDと略記する)、3‐ヒドロキシドデカノエート(以下3HDdと略記する)、4-ヒドロキシブチレート(以下4HBと略記する)、4-ヒドロキシバレレート(以下4HVと略記する)、5-ヒドロキシバレレート(以下5HVと略記する)、6-ヒドロキシヘキサノエート(以下6HHと略記する)。PHAに組み込まれる3‐ヒドロキシ酸モノマーは、キラル中心を持たない3HPを除いて、(D)または(R)3‐ヒドロキシ酸異性体である。
【0029】
本明細書中で使用する「PHA」、「PHAs」、「ポリヒドロキシアルカノエート」という用語は、通常の意味を有するものとし、微生物または微生物酵素によって生成されるポリマー;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの石油化学系のプラスチックの代替として使用できる生分解性ポリマーおよび/または生体適合性ポリマー;糖、脂質、ガスの細菌発酵によって生成されるポリマー;微生物または微生物由来の酵素に由来する熱可塑性またはエラストマー材料;および/または微生物細胞壁の内部ではない化学反応によって生成されるポリマーを含むが、これらに限定されない。PHAには、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシブチレートコバレレート(PHBV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHHx)、およびこれらのブレンド、並びに短鎖長(SCL)、中鎖長(MCL)、長鎖長(LCL)のPHAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
いくつかの実施形態では、PHAはホモポリマー(全てのモノマー単位が同じ)である。PHAホモポリマーの例としては、ポリ3‐ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ3‐ヒドロキシプロピオネート(以下、P3HPと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート(以下、PHB略記する)およびポリ3‐ヒドロキシバレレート)、ポリ4-ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ4-ヒドロキシブチレート(以下、P4HB略記する)、またはポリ4-ヒドロキシバレレート(以下、P4HV略記する))、およびポリ5-ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ5-ヒドロキシバレレート(以下、P5HV略記する))が挙げられる。
【0031】
いくらかの実施形態では、出発PHAは、異なるモノマーがポリマー鎖中にランダムに分布しているコポリマー(2つ以上の異なるモノマー単位を含む)である。PHAコポリマーの例としては、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシプロピオネート(以下、PHB3HPと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4-ヒドロキシブチレート(以下、PHB4HBと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4-ヒドロキシバレレート(以下、PHB4HVと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシバレレート(以下、PHB3HVと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシヘキサノエート(以下、PHB3HHと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐5-ヒドロキシバレレート(以下、PHB5HVと略記する)が挙げられる。
【0032】
モノマーの種類を選択し、所定のPHAコポリマー中のモノマーユニットの比を制御することにより、広範囲の材料特性を達成することができる。2つの異なるモノマー単位を有するPHAコポリマーの例が提供されているが、PHAは2つ以上の異なるモノマー単位(例えば、3つの異なるモノマー単位、4つの異なるモノマー単位、5つの異なるモノマー単位、6つの異なるモノマー単位)を有することができる。4つの異なるモノマー単位を有するPHAの例は、PHB‐co‐3HH‐co‐3HO‐co‐3HDまたはPHB‐co‐3‐HO‐co‐3HD‐co‐3HDd(これらのタイプのPHAコポリマーは、以下、PHB3HXと略記する)であろう。典型的には、PHB3HXが3以上のモノマー単位を有する場合、3HBモノマーは、全モノマーの少なくとも70重量%、好ましくは85重量%、最も好ましくは90重量%以上であり、例えば92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%であり、HXは、3HH、3HO、3HD、3HDdから選択される1つ以上のモノマーを含む。
【0033】
3‐ヒドロキシブチレートと少なくとも1つの他のモノマーとを含むホモポリマー(全てのモノマー単位が同一である)PHBおよび3‐ヒドロキシブチレートコポリマー(PHB3HP、PHB4HB、PHB3HV、PHB4HV、PHB5HV、PHB3HHP、以下PHBコポリマー略記する)は、商業的生産および用途において特に興味深い。これらのコポリマーを、その材料特性を参照して説明することは、以下のように有用である。タイプ1のPHBコポリマーは、典型的には、6℃~-10℃の範囲のガラス転移温度(Tg)、および80℃~180℃の溶融温度Tmを有する。タイプ2のPHBコポリマーは、典型的には、-20℃~-50℃のTgおよび55℃~90℃のTmを有し、15%以上の4HB、SHV、6HH含有量を有するPHB4HB、PHB5HVポリマーまたはそれらのブレンドをベースとする。いくらかの実施形態において、タイプ2コポリマーは、-15℃~-45℃のTgを有し、Tmを有さない相成分を有する。
【0034】
本発明で使用されるように、PHAの分子量は、約5,000,000ダルトン~約2,500,000ダルトン、約2,500,000ダルトン~約1,000,000ダルトン、約1,000,000ダルトン~約750,000ダルトン、約750,000~約500,000ダルトン、約500,000ダルトン~約250,000ダルトン、約250,000ダルトン~約100,000ダルトン、約100,000ダルトン~約50,000ダルトンの間、約50,000ダルトン~約10,000ダルトン、およびそれらの重複範囲である。
【0035】
分子量の測定には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの技術を用いてもよい。この方法では、ポリスチレン標準物質が利用される。PHAは、少なくとも500、少なくとも10,000、または少なくとも50,000、および/または2,000,000未満、1,000,000未満、1,500,000未満、および800,000未満のポリスチレン換算重量平均分子量(ダルトン単位;Da)を有してもよい。いくらかの実施形態において、好ましくは、PHAは、一般に、100,000~700,000の範囲の重量平均分子量を有する。例えば、本願で使用するためのPHBおよびタイプ1のPHBコポリマーの分子量範囲は、GPC法によって決定される200,000ダルトン~1,500,000ダルトンの範囲である。本願で使用するためのタイプ2のPHBコポリマーの分子量範囲は20,000ダルトン~1,500,000ダルトンである。
【0036】
いくらかの実施形態では、以下に更に詳細に説明するように、分岐PHAは、約150,000ダルトン~約500,000ダルトンの直鎖等価重量平均分子量、および約1.0~約8.0の多分散性指数を有することができる。本明細書中で使用する重量平均分子量および直鎖等価重量平均分子量は、例えば、PHA試料の溶離液および希釈剤としてクロロホルムを使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。分子量を決定するための検量線は、分子量標準として線状ポリスチレンを用い、「log MW-溶出量」の較正方法を作成する。
【0037】
本発明に記載の方法、組成物およびペレットに使用するためのPHAは、
PHB;
PHBとタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、PHAブレンド中のPHAの重量によるPHB含有量が20重量%~99重量%の範囲にあるPHAブレンド;
PHBとタイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、PHAブレンド中のPHAの重量によるPHB含有量が、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲にあるPHAブレンド;
タイプ1のPHBコポリマーと異なるタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、第1のタイプ1のPHBコポリマーの含有量が、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲にあるPHAブレンド;
タイプ1のPHBコポリマーとタイプ2のPHAコポリマーとのPHAブレンドであって、タイプ1のPHBコポリマーの含有量が、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲にあるPHAブレンド;
PHBと、タイプ1のPHBコポリマーおよびタイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、PHBコポリマーの含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、タイプ1のPHBコポリマーの含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、タイプ2のPHBコポリマーの含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲である、PHAブレンド;から選択される。
【0038】
PHBとタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHB含有量が、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHB3HP中の3HP含有量が、PHB3HPの7重量%~15重量%の範囲である、PHBとPHB3HPとのブレンドである。
【0039】
PHBとタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンドのPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHB3HV中の3HV含有量がPHB3HVの4重量%~22重量%の範囲である、PHBとPHB3HVとのブレンドである。
【0040】
PHBとタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンドのPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHB4HB中の4HB含有量がPHB4HBの4重量%~15重量%の範囲である、PHBとPHB4HBとのブレンドである。
【0041】
PHBとタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンドのPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHB4HV中の4HV含有量がPHB4HVの4重量%~15重量%の範囲である、PHBとPHB4HVとのブレンドである。
【0042】
PHBとタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンドのPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~90重量%の範囲にあり、PHB5HV中の5HV含有量がPHB5HVの4重量%~15重量%の範囲にある、PHBとPHB5HVとのブレンドである。
【0043】
PHAブレンドのPHB含有量がPHAブレンのPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHBとPHB3HHとのブレンドであり、ここで、PHAブレンドのPHB含有量は、PHAブレンド中のPHAの20重量%~90重量%の範囲であり、PHB3HH中の3HH含有量は、PHB3HHの4重量%~15重量%の範囲である。
【0044】
PHBとタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンドのPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~90重量%の範囲であり、PHB3HX中の3HX含有量がPHB3HXの4重量%~15重量%の範囲である、PHBとPHB3HXとのブレンドである。
【0045】
PHAブレンドは、グループPHB3HV、PHB3HP、PHB4HB、PHBV、PHV4HV、PHB5HV、PHB3HHおよびPHB3HXから選択されるタイプ1のPHBコポリマーと、第1のタイプ1のPHBコポリマーとは異なり、グループPHB3HV、PHB3HP、PHB4HB、PHBV、PHV4HV、PHB5HV、PHB3HHおよびPHB3HXから選択される第2のタイプ1のPHBコポリマーとのブレンドであり、PHAブレンド中の第1のタイプ1のPHBコポリマーの含有量は、ブレンド中の全PHAの20重量%~99重量%の範囲である。
【0046】
PHBとタイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲にあり、PHB4HB中の4HB含有量がPHB4HBの20重量%~60重量%の範囲にある、PHBとPHB4HBとのブレンドである。
【0047】
PHBとタイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHB5HV中の5HV含有量がPHB5HVの20重量%~60重量%の範囲である、PHBとPHB5HVとのブレンドである。
【0048】
PHBとタイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHB3HH中の3HH含有量がPHB3HXの35重量%~90重量%の範囲である、PHBとPHB3HHとのブレンドである。
【0049】
タイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHB含有量がPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHB3HX中の3HX含有量がPHB3HXの35重量%~90重量%の範囲である、PHBとPHB3HXとのブレンドである。
【0050】
PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHB含有量が、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHAブレンド中のタイプ1のPHBコポリマー含有量が、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲であり、PHAブレンド中のタイプ2のPHBコポリマー含有量が、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲である、PHBとタイプ1のPHBコポリマーおよびタイプ2のPHBコポリマーとのブレンドである。
【0051】
例えば、PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HV含有量(ここで、PHB3HV中の3HV含有量は、PHB3HVの3重量%~22重量%の範囲である)、およびPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHBHX含有量(ここで、PHBHX中の3HX含有量がPHBHXの35重量%~90重量%の範囲である)を有してもよい。
【0052】
例えば、PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HV含有量(ここで、PHB3HV中の3HV含有量は、PHB3HVの3重量%~22重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB4HB含有量(ここで、PHB4HB中の4HB含有量は、PHB4HBの20重量%~60重量%の範囲である)を有してもよい。
【0053】
例えば、PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの5重量%~90重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HV含有量(ここで、PHB3HV中の3HV含有量は、PHB3HVの3重量%~22重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB5HV含有量(ここで、PHB5HV中の5HV含有量は、PHB5HVの20重量%~60重量%の範囲である)を有してもよい。
【0054】
例えば、PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB4HB含有量(ここで、PHB4HB中の4HB含有量は、PHB4HBの4重量%~15重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB4HB含有量(ここで、PHB4HB中の4HB含有量は、PHB4HBの20重量%~60重量%の範囲である)を有してもよい。
【0055】
例えばPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB4HB含有量(ここで、PHB4HB中の4HB含有量は、PHB4HBの4重量%~15重量%の範囲である)、PPHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のHAブレンド中のPHB5HV含有量(ここで、PHB5HV中の5HV含有量は、PHB5HVの30重量%~90重量%の範囲である)を有してもよい。
【0056】
例えば、PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB4HB含有量(ここで、PHB4HB中の4HB含有量は、PHB4HBの4重量%~15重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HX含有量(ここで、PHB3HX中の3HX含有量は、PHB3HXの35重量%~90重量%の範囲である)を有してもよい。
【0057】
例えばPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB4HV含有量(ここで、PHB4HV中の4HV含有量は、PHB4HVの3重量%~15重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB5HV含有量(ここで、PHB5HV中の5HV含有量は、PHB5HVの30重量%~90重量%の範囲である)を有してもよい。
【0058】
例えば、PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HH含有量(ここで、PHB3HH中の3HH含有量は、PHB3HHの3重量%~15重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB4HB含有量(ここで、PHB4HB中の4HB含有量は、PHB4HBの20重量%~60重量%の範囲である)を有してもよい。
【0059】
例えばPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HH含有量(ここで、PHB3HH中の3HH含有量は、PHB3HHの3重量%~15重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB5HV含有量(ここで、PHB5HV中の5HV含有量は、PHB5HVの20重量%~60重量%の範囲である)を有してもよい。
【0060】
例えば、PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HH含有量(ここで、PHB3HH中の3HH含有量は、PHB3HHの3重量%~15重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HX含有量(ここで、PHB3HX中の3HX含有量は、PHB3HXの35重量%~90重量%の範囲である)を有してもよい。
【0061】
例えばPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HX含有量(ここで、PHB3HX中の3HX含有量は、PHB3HXの3重量%~12重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HX含有量(ここで、PHB3HX中の3HX含有量は、PHB3HXの35重量%~90重量%の範囲である)を有してもよい。
【0062】
例えば、PHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HX含有量(ここで、PHB3HX中の3HX含有量は、PHB3HXの3重量%~12重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB4HB含有量(ここで、PHB4HB中の4HB含有量は、PHB4HBの20重量%~60重量%の範囲である)を有してもよい。
【0063】
例えばPHAブレンドは、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB含有量、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB3HX含有量(ここで、PHB3HX中の3HX含有量は、PHB3HXの3重量%~12重量%の範囲である)、PHAブレンド中のPHAの20重量%~99重量%の範囲のPHAブレンド中のPHB5HV含有量(ここで、PHB5HV中の5HV含有量がPHB5HVの20重量%~60重量%の範囲である)を有してもよい。
【0064】
本明細書を通して、エラストマーが言及される場合、この用語には、これらに限定されないがポリオレフィンエラストマー、ポリ(エチレン‐co‐オクテン)、ポリ(エチレン‐co‐高級アルケン)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、合成ポリイソプレンゴム、天然ゴム、ラテックスゴム、シート状の加工または半加工ゴム、クレープ、クランプ、粒状ゴム、熱可塑性加硫物、EPDM、ポリイソブチレン、ブチルゴム、およびポリエステル熱可塑性エラストマー、ならびにこれらのブレンドを含む、ホモポリマー、コポリマーを含む、食品グレードであってもなくてもよい天然(生物由来)および合成ゴムが挙げられることを想定していると解されるべきである。
【0065】
前述のように、ポリヒドロキシアルカノエートとエラストマーとのブレンドを含む本発明の新規ブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物は、多相ブロックコポリマー相溶化剤を用いて達成される。本発明のブレンド組成物の所望の特性を更に変化させるために、任意に、以下に開示するような添加剤を使用してもよい。
【0066】
添加剤
いくらかの実施形態において、種々の添加剤が新規ブレンド組成物に添加される。このような添加剤は、組成物を形成するための成分の処理中の好適な時期に混合することができる。1つ以上の添加剤は、ブレンド組成物およびそれから製造される任意の物品に1つ以上の選択された特性を付与するためにブレンド組成物に含まれる。本発明に含まれてもよい添加剤の例としては、熱安定剤、加工安定剤、光安定剤、酸化防止剤、スリップ/アンチブロック剤、顔料、紫外線吸収剤、充填剤、潤滑剤、顔料、染料、着色剤、流動促進剤、可塑剤、核剤(以下で更に詳細に説明する)、タルク、ワックス、炭酸カルシウム、ラジカル捕捉剤、または前述の添加剤の1つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。分岐剤および/または架橋剤は、ポリマーへの組み込みを容易にするために、これらのうちの1つまたは複数に添加される。例えば、分岐剤および/または架橋剤を可塑剤、例えば非反応性可塑剤、例えばクエン酸エステルと混合し、分岐を誘発する条件下でポリマーとコンパウンドする。好適な充填剤の例としては、ガラス繊維、および沈殿炭酸カルシウム、粉砕炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、アルミナ三水和物などの鉱物、木粉、粉砕クルミ殻、ココナッツ殻、および籾殻が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
任意に、添加剤は、組成物の全重量に対して約0.05~約20重量%の濃度で本発明のブレンド組成物に含まれる。例えば、いくらかの実施形態における範囲は、全組成物の約0.05~約5%である。添加剤は、熱可塑性プラスチックの製造に有用であることが当業者に知られている任意の化合物である。例示的な添加剤としては、例えば、可塑剤(例えば、熱可塑性プラスチック組成物の柔軟性を高めるため)、酸化防止剤(例えば、熱可塑性プラスチック組成物をオゾンまたは酸素による劣化から保護するため)、紫外線安定剤(例えば、風化から保護するため)、潤滑剤(例えば、摩擦を低減するため)、顔料(例えば、熱可塑性プラスチック組成物に色を加えるため)、難燃剤、充填剤、補強剤、離型剤、および帯電防止剤が挙げられる。添加剤を本発明のブレンド組成物に含有させるべきかどうか、含有させる場合にはどのような添加剤をどの程度の量を組成物に加えるべきかを決定することは、当業者の能力の範囲内である。
【0068】
添加剤は、例えば、添加剤をPHAまたはPHAブレンドに組み込んで、得られる組成物のペレットを製造し、その後の処理に加えることによって、マスターバッチを作製してもよい。マスターバッチでは、添加剤の濃度は、最終組成物中の添加剤の比例混合を可能にするために、製品の最終量よりも高い。
【0069】
PHAがポリ-3‐ヒドロキシブチレートである組成物では、例えば、組成物のガラス転移温度や弾性率を変えるために可塑剤が使用されることが多いが、界面活性剤が使用されることもある。潤滑剤も、例えば射出成形用途で使用されることがある。従って、可塑剤、界面活性剤および滑剤はすべて、組成物全体に含まれてもよい。
【0070】
他の実施形態において、ブレンドは1種以上の可塑剤を含む。可塑剤の例としては、フタル酸化合物(これらに限定されないが、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ‐n‐オクチル、フタル酸ジ‐2‐エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジカプリル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸オクチルベンジル、n‐ヘキシルフタレート、n‐オクチルフタレート、n‐デシルフタレートを含む)、リン酸化合物(トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクロロエチルホスフェートを含むが、これらに限定されない)、アジピン酸化合物(以下を含む、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル(DBEEA)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジ-n-オクチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n-オクチルn-デシル、アジピン酸n-ヘプチル、アジピン酸n-ノニルを含むがこれらに限定されない)、セバシン系化合物(セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソオクチルを含むがこれらに限定されない、セバシン酸ジイソオクチル、セバシン酸ブチルベンジル)、アゼライン系化合物、クエン酸系化合物(クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリオクチルを含むがこれらに限定されない)、グリコール系化合物(メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレートを含むがこれらに限定されない)、トリメリット系化合物(トリオクチルトリメリテート、トリ‐n‐オクチルトリメリテート、トリ‐n‐デシルトリメリテートを含むがこれらに限定されない)、フタル酸異性体化合物(イソフタル酸ジオクチルおよびテレフタル酸ジオクチルを含むが、これらに限定されない)、リシノール酸化合物(アセチルレシノール酸メチルおよびアセチルレシノール酸ブチルを含むが、これらに限定されない)、ポリエステル化合物(ブタンジオール、エチレングリコール、プロパン1,2ジオール、プロパン1,3ジオール、ポリエチレングリコール、グリセロール、アジピン酸、コハク酸、無水コハク酸およびヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ酸から選択されるジオールの反応生成物を含むが、これらに限定されない)、エポキシ化大豆油、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、脂肪酸化合物、植物油、顔料、およびアクリル化合物が挙げられる。可塑剤は、それぞれ単独で、または互いと組み合わせて使用してもよい。
【0071】
いくらかの実施形態において、本発明のブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物は、1種以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、一般に、脱塵、潤滑、表面張力の低下、および/または緻密化のために使用される。界面活性剤の例としては、鉱油、ひまし油、および大豆油が挙げられるが、これらに限定されない。鉱油系界面活性剤としては、Penreco社(米国テキサス州Dickinson)から入手可能なDRAKEOL(登録商標)34界面活性剤がある。MAXSPERSE(登録商標)W-6000界面活性剤およびW-3000固体界面活性剤は、Chemax Polymer Additives社(米国サウスカロライナ州Piedmont)から入手可能である。HLB値が約2~約16の非イオン性界面活性剤を使用することができ、その例としては、TWEEN‐20界面活性剤、TWEEN‐65界面活性剤、Span‐40界面活性剤およびSpan85界面活性剤が挙げられる。
【0072】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族カルボン酸;上記脂肪族カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩などの脂肪酸石鹸;N‐アシル‐N‐メチルグリシン塩、N‐アシル‐N‐メチル‐β‐アラニン塩、N‐アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩‐ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸塩‐ホルマリン重縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、(α‐オレフィンスルホン酸塩、N‐アシルメチルタウリン塩、ジメチル5‐スルホイソフタル酸ナトリウム、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシ硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリ硫酸塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミンオキシドビストリデシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホサクシネートナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソブチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルアミングアニジンポリオキシエタノール、スルホコハク酸エトキシ化アルコールハーフエステル二ナトリウム、スルホコハク酸エトキシ化ノニルフェノールハーフエステル二ナトリウム、スルホコハク酸イソデシル二ナトリウム、N‐オクタデシルスルホコハク酸アミド二ナトリウム、N‐(1,2‐ジカルボキシエチル)‐N‐オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム、モノまたはジドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸二ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、およびナフタレンスルホン酸ナトリウムからの中和縮合物が挙げられる。
【0073】
本発明の組成物および方法には、1種以上の滑剤を添加してもよい。潤滑剤は通常、加工中の高温金属表面への付着を低減するために使用され、金属ステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸亜鉛)と組み合わせたポリエチレン、パラフィン油、およびパラフィンワックスを含んでもよい。その他の潤滑剤としては、ステアリン酸、アミドワックス、エステルワックス、金属カルボン酸塩、カルボン酸などが挙げられる。滑剤は通常、ポリマーに対して約0.1重量%~約1重量%、一般的には化合物の重量に対して約0.7重量%~約0.8重量%の範囲で添加される。固体潤滑剤は、ブレンドの加工前または加工中に温められ、溶融される。
【0074】
本発明の組成物および方法には、1種以上の抗微生物剤を添加してもよい。抗微生物剤とは、細菌、真菌、または原生動物などの微生物を死滅させるか、またはその増殖を阻害する物質であり、またウイルスを破壊する物質でもある。抗菌薬は微生物を死滅させるか(殺微生物)、微生物の増殖を防ぐ(静微生物性)。抗菌剤としては、有機酸、エッセンシャルオイル、カチオン、元素(コロイド銀など)など、さまざまな化学物質や天然化合物が使用されるが、これらに限定されるものではない。商業的な例としては、PolySept(登録商標)Z microbial、UDAおよびAGION(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
PolySept(登録商標)Z microbial(PolyChem Alloy社から入手可能)は、有機塩ベースの非移行性抗菌剤である。「UDA」はUrtica dioica agglutininである。AGION(登録商標)抗菌剤は銀化合物である。AMICAL(登録商標)48銀はジヨードメチルp‐トリルスルホンである。
【0076】
本明細書中に記載のブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物および方法のフィルム用途では、アンチロックマスターバッチも添加される。好適な例は、エルカミド(20重量%)珪藻土(15重量%)核剤マスターバッチ(3重量%)のスリップ防止マスターバッチ混合物をPHA(62重量%)にペレット化したものである。
【0077】
分枝ポリヒドロキシアルカノエート
「分岐PHA」という用語は、分子鎖の分岐や2つ以上の鎖の架橋を有するPHAを指す。側鎖の分岐も考えられる。分岐は、様々な方法で行うことができる。先に述べたPHAは、ポリマーのフリーラジカル誘起架橋による分岐剤によって分岐させることができる。いくらかの実施形態では、PHAは、方法における組み合わせの前に分枝される。他の実施形態では、PHAは、本発明の方法において過酸化物と反応される。分岐は、ポリマーの溶融強度を増加させる。PHAは、米国特許第6,620,869号、7,208,535号、6,201,083号、6,156,852号、6,248,862号、6,201,083号および6,096,810号明細書に記載されている方法のいずれかで分岐させることができる。これらはすべて、参照によりその全体が本明細書中に援用される。
【0078】
本発明のポリマーはまた、2010年1月21日に英語で公開され、米国を指定した国際公開第2010/008447号明細書「Methods For Branching PHA Using Thermolysis」または国際公開第2010/008445号明細書「Branched PHA Compositions, Methods for Their Production, and Use in Applications」に開示された方法のいずれかに従って分岐させることもできる。これらの出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0079】
分岐剤
本明細書中に記載の組成物および方法において使用するための、フリーラジカル開始剤とも呼ばれる分岐剤には、有機過酸化物が含まれる。過酸化物は反応性分子であり、ポリマー骨格から水素原子を除去してラジカルを残すことにより、直鎖状PHA分子または以前に分岐したPHAと反応することが可能である。このようなラジカルを骨格に有するPHA分子は、互いに自由に結合し、分岐したPHA分子を形成する。分岐剤は、過酸化物、アゾ系脱保護剤(アゾニトリルなど)、過酸エステル(perester)およびペルオキシカーボネートなどの、当該技術分野で知られている任意の好適な開始剤から選択される。本発明で使用するのに適した過酸化物としては、これらに限定されないが、有機過酸化物、例えば2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサン、2、5-ビス(t‐ブチルペルオキシ)‐2,5‐ジメチルヘキサン(Akzo Nobel社からTRIGANOX 101として入手可能)、2,5‐ジメチル‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3、ジ‐t‐ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ‐t‐アミルペルオキシド、t‐アミルペルオキシ2‐エチルヘキシルカーボネート(TAEC)、t‐ブチルクミルペルオキシド、n‐ブチル4,4-ビス(t‐ブチルペルオキシ)バレレート、1,1‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、1,1‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン(CPK)、1,1-ジ(t‐ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1‐ジ(t‐アミルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ブタン、エチル‐3,3‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ブチレート、2,2‐ジ(t‐アミルペルオキシ)プロパン、エチル-3,3-ジ(t‐アミルペルオキシ)ブチレート、t‐ブチルペルオキシ-アセテート、t‐アミルペルオキシアセテート、t‐ブチルペルオキシベンゾエート、t‐アミルペルオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルジペルオキシフタレート、ジ‐(tert‐ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキル有機過酸化物が挙げられる。過酸化物の組み合わせや混合物も使用できる。フリーラジカル開始剤の例としては、本明細書中に記載したもの、および例えば、Polymer Handbook, 3rd Ed., J. Brandrup & E. H. Immergut, John Wiley and Sons, 1989, Ch.2に記載されているものが挙げられる。照射(例えば、電子ビーム照射またはガンマ線照射)も、PHAの分岐を生成するために使用することができる。
【0080】
ポリマーの分岐および架橋の効率は、重合性(すなわち、反応性)可塑剤などの架橋剤中に有機過酸化物を分散させることによっても著しく向上させることができる。重合性可塑剤は、反応性不飽和二重結合などの反応性官能基を含むことが好ましく、これにより全体的な分岐および架橋効率が向上する。
【0081】
前述のように、過酸化物が分解すると、ポリマー骨格から水素原子を取り出すことができる非常に高エネルギーのラジカルを形成する。これらのラジカルは半減期が短いため、活性時間中に生成される分岐分子の数が制限される。
【0082】
架橋剤
本発明の方法および組成物で使用される架橋剤(共剤(co-agent)とも呼ばれる)は、エポキシドまたは二重結合などの2つ以上の反応性官能基を含む架橋剤である。これらの架橋剤はポリマーの特性を変える。これらの特性には、これらに限定されないが、溶融強度または靭性が挙げられる。架橋剤の一種は、「エポキシ官能性化合物」である。本明細書中で使用される場合、「エポキシ官能性化合物」は、分岐、例えば前述のような末端分岐によってポリヒドロキシアルカノエートポリマーの溶融強度を増大させることができる2つ以上のエポキシド基を有する化合物を含むことを意味する。
【0083】
開示した方法においてエポキシ官能性化合物を架橋剤として使用する場合、分岐剤は任意である。このように、本発明の1つの実施形態は、出発PHAをエポキシ官能性化合物と反応させ、次いで、更にこのPHAをエラストマーおよび多相ブロックコポリマーとブレンドすることを含む、出発PHAを分岐させる方法である。あるいは、本発明は、出発ポリヒドロキシアルカノエートポリマーを分岐させる方法であって、出発PHA、分岐剤およびエポキシ官能性化合物を反応させ、次いでこのPHAをエラストマーおよび多相ブロックコポリマーと更にブレンドすることを含む方法である。あるいは、本発明は、出発ポリヒドロキシアルカノエートポリマーを分岐させる方法であって、分岐剤の非存在下で出発PHA、およびエポキシ官能性化合物を反応させ、次いでこのPHAをエラストマーおよび多相ブロックコポリマーと更にブレンドすることを含む方法である。このようなエポキシ官能性化合物としては、エポキシ官能性、スチレン-アクリルポリマー(例えば、これに限定されないが、MP‐40(Kaneka)など)、側鎖として組み込まれたグリシジル基を含むアクリルおよび/またはポリオレフィンコポリマーおよびオリゴマー(ポリ(エチレン-グリシジルメタクリレート‐co‐メタクリレート))、およびエポキシ化油(例えば、これらに限定されないが、エポキシ化大豆油、オリーブ油、亜麻仁油、パーム油、落花生油、ヤシ油、海藻油、タラ肝油、またはそれらの混合物、例えば、Merginat(登録商標)ESBO(独国HamburgのHobum社)およびEDENOL(登録商標)B 316(独国DusseldorfのCognis社))が挙げられる。
【0084】
例えば、反応性アクリルまたは官能性アクリル架橋剤は、本明細書中に記載の分岐ポリマー組成物中のポリマーの分子量を増加させるために使用される。このような架橋剤は市販されている。そのような化合物の1つはMP‐40(Kaneka)であり、更に別のものはHoneywell社からのPetra lineであり、例えば、米国特許第5,723,730号明細書を参照せよ。このようなポリマーは、プラスチックリサイクル(例えば、ポリエチレンテレフタレートのリサイクル)において、リサイクルされるポリマーの分子量を増加させる(または分子量の増加を模倣する)ためにしばしば使用される。
【0085】
E.I. du Pont de Nemours & Company社は、エチレンコポリマーなどの複数の反応性化合物、例えばアクリレートコポリマー、エラストマーターポリマー、および他のコポリマーを販売している。Omnova社は同様の化合物を、「SX64053」、「SX64055」、「SX64056」という商品名で販売している。他の企業もこのような化合物を商業的に供給している。
【0086】
反応性エポキシ官能基を有する特定の多官能性ポリマー化合物は、スチレン‐アクリル共重合体である。これらの材料は、側鎖としてグリシジル基が組み込まれたスチレンおよびアクリレート構成ブロックを有するオリゴマーをベースとしている。オリゴマー鎖あたりのエポキシ基の数は多く、例えば5個、10個以上、20個以上のものが使用される。これらのポリマー材料は一般に分子量が3000以上、具体的には4000以上、より具体的には6000以上である。複数のエポキシ基を有する他のタイプの多官能性ポリマー材料は、側鎖として組み込まれたグリシジル基を含むアクリルおよび/またはポリオレフィンコポリマーおよびオリゴマーである。これらの材料は、グリシジルではないメタクリレート単位を更に含んでもよい。このタイプの例は、ポリ(エチレン‐グリシジルメタクリレート‐co‐メタクリレート)である。
【0087】
エポキシ基を含有する(エポキシ化された)脂肪酸エステルまたは天然に存在する油も使用してもよい。天然に存在する油の例は、オリーブ油、アマニ油、大豆油、パーム油、ピーナッツ油、ヤシ油、海藻油、タラ肝油、またはこれらの化合物の混合物である。特に好ましくは、エポキシ化大豆油(例えば、HamburgのHobum社製のMerginat(登録商標)ESBO、またはDusseldorfのCognis社製のEDENOL(登録商標)B 316)であるが、他のものも使用してもよい。
【0088】
架橋剤の別のタイプは、2つ以上の二重結合を有する薬剤である。2つ以上の二重結合を有する架橋剤は、二重結合で反応した後、PHAを架橋する。これらの例としては、例えば、ジアリルフタレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビス(2‐メタクリロキシエチル)ホスフェートが挙げられる。
【0089】
一般的に、末端エポキシドを有する化合物は、分子上の他の場所にエポキシド基を有する化合物よりも優れた性能を示す可能性があると考えられる。
【0090】
末端基の数が比較的多い化合物が最も望ましい。分子量もこの点で役割を果たす可能性があり、分子量に対して末端基数が多い化合物(例えば、Joncryl(登録商標)樹脂は3000~4000g/molの範囲にある)は、分子量に対して末端基数が少ない化合物(例えば、Omnova社製品は100,000~800,000g/molの範囲の分子量を有する)よりも優れた性能を示す可能性が高い。
【0091】
核剤
例えば、任意の核剤をブレンド組成物に添加して、その結晶化を助ける。種々のポリマーのための核剤は、単純物質、複合酸化物を含む金属化合物、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、合成ケイ酸およびその塩、シリカ、亜鉛華、クレー、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、石英粉末、珪藻土、ドロマイト粉末、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、有機リン酸塩の金属塩、窒化ホウ素;カルボン酸金属基を有する低分子有機化合物、例えば、オクチル酸、トルイル酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、安息香酸、p-tert‐ブチル安息香酸、テレフタル酸、テレフタル酸モノメチルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸モノメチルエステルなどの金属塩;カルボン酸金属基を有する高分子有機化合物、例えば、ポリエチレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポリエチレン;ポリプロピレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポリプロピレン;エチレン、プロピレン、ブテン‐1などのオレフィンとアクリル酸またはメタクリル酸とのコポリマー;スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸とのコポリマー;オレフィンと無水マレイン酸とのコポリマー;およびスチレンと無水マレイン酸との共重合体などの金属塩;高分子有機化合物、例えば3,3‐ジメチルブテン-L、3-メチルブテン‐1、3-メチルペンテン‐1、3-メチルヘキセン‐1、3,5,5‐トリメチルヘキセン‐1のような、3位の炭素原子で分岐し、5個以下の炭素原子を有するα-オレフィン;ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニルシクロアルカンのポリマー;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリ(グリコール酸);セルロース;セルロースエステル;およびセルロースエーテル;ジフェニルホスフェート、ジフェニルホスファイト、ビス(4-tert‐ブチルフェニル)ホスフェートの金属塩、メチレンビス-(2,4-tert‐ブチルフェニル)ホスフェートなどのリン酸または亜リン酸およびその金属塩;ビス(p‐メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p‐エチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール誘導体;並びにチオグリコール酸無水物、p‐トルエンスルホン酸およびその金属塩である。上記の核剤は、単独でまたは互いに組み合わせて使用することができる。いくらかの実施形態において、核剤はシアヌル酸である。いくらかの実施形態において、核剤はまた、別のポリマー(例えば、PHBのようなポリマー核剤)であり得る。
【0092】
[0090] いくらかの実施形態において、核剤は、シアヌル酸、カーボンブラック、雲母タルク、シリカ、窒化ホウ素、クレー、炭酸カルシウム、合成ケイ酸およびその塩、有機リン酸塩の金属塩、およびカオリンから選択される。いくらかの実施形態では、核剤はシアヌル酸である。
【0093】
種々の実施形態において、核剤が液体キャリア中に分散される場合、液体キャリアは可塑剤、例えばクエン酸化合物またはアジピン酸化合物、例えばアセチルシトレートトリブチレート((CITROFLEX(登録商標)A4)可塑剤、ノースカロライナ州High PointのVertellus社)、またはDBEEA(ジブトキシエトキシエチルアジペート)、界面活性剤、例えばTriton X-100界面活性剤、TWEEN-20界面活性剤、TWEEN-65界面活性剤、Span-40界面活性剤、またはSpan 85界面活性剤、潤滑剤、揮発性液体、例えばクロロホルム、ヘプタン、またはペンタン、有機液体、または水である。
【0094】
他の実施形態において、核剤はアルミニウムヒドロキシジホスフェートまたは窒素含有複素芳香族コアを含む化合物である。含窒素複素芳香族コアは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、またはイミダゾールである。
【0095】
特別の実施形態において、核剤は、アルミニウムヒドロキシジホスフェートまたは窒素含有複素芳香族コアを含む化合物を含み得る。窒素含有複素芳香族コアは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、またはイミダゾールである。核剤は、Allen Padwaの米国特許出願公開第2005/0209377号明細書に記載されているような核剤であってもよく、これらは参照によりその全体が本明細書中に援用される。
【0096】
本明細書中に記載のブレンド組成物および方法において使用するための別の核剤は、英語で公開され米国を指定した、発明の名称「Nucleating Agents for Polyhydroxyalkanoates」の国際公開第2009/129499号に記載されているように粉砕され、その全体が参照により本明細書中に援用される。簡単に説明すると、核剤は、核剤の累積固体体積の少なくとも5%が5ミクロン以下の粒子サイズの粒子として存在するまで液体キャリア中で粉砕される。液体キャリアは、核剤を湿式粉砕することを可能にする。他の実施形態では、核剤は、核剤の累積固体体積の少なくとも10%、累積固体体積の少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%~50%が、粒子サイズ5ミクロン以下、2ミクロン以下または1ミクロン以下の粒子として存在できるようになるまで、液体キャリア中で粉砕される。代替実施形態では、核剤は、ジェットミリングなどの他の方法によって粉砕される。更に、粒子サイズを小さくする他の方法が利用される。
【0097】
粒子の累積固体体積は、他の物質が存在しない乾燥状態の粒子の合計体積である。粒子の累積固体体積は、ポリマーまたは液体キャリア中に分散させる前の粒子の体積を、例えば、体積を測定するためのメスシリンダーまたは他の好適な装置に乾燥した粒子を入れることによって決定する。あるいは、累積固体体積は光散乱によって決定される。
【0098】
好適な熱安定剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス‐(2,6‐ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス‐(混合モノ‐およびジ‐ノニルフェニルホスファイト等の有機ホスファイト類;ジメチルベンゼンホスホネート等のホスホネート類、トリメチルホスフェート等のホスフェート類、または前述の熱安定剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。熱安定剤は、一般に、充填剤を除いた組成物の全重量100重量部を基準として0.01~0.5重量部の量で使用される。
【0099】
好適な酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ‐t‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等の有機ホスファイト類;アルキル化モノフェノール類またはポリフェノール類;テトラキス[メチレン(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンなどのポリフェノール類とジエン類とのアルキル化反応生成物;p‐クレゾールまたはジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;アルキル化ヒドロキノン類;ヒドロキシ化チオジフェニルエーテル類;アルキリデンビスフェノール類;ベンジル化合物;β‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル;β‐(5‐tert‐ブチル4‐ヒドロキシ3‐メチルフェニル)‐プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル;ジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、オクタデシル‐3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのチオアルキルまたはチオアリール化合物のエステル類;β‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオン酸などのアミド、または前述の酸化防止剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。酸化防止剤は、一般に、充填剤を除いた組成物の全重量100重量部を基準として、0.01~0.5重量部の量で使用される。
【0100】
好適な光安定剤としては、例えば、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐tert‐オクチルフェニル)‐ベンゾトリアゾールおよび2‐ヒドロキシ‐4‐n‐オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾトリアゾール、または前述の光安定剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。光安定剤は、一般に、充填剤を除いた組成物の全重量100重量部を基準として、0.1~1.0重量部の量で使用される。
【0101】
好適な帯電防止剤としては、例えば、グリセロールモノステアレート、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等、または前述の帯電防止剤の組み合わせが挙げられる。1つの実施形態では、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、または前述の組み合わせのいずれかを、化学帯電防止剤を含有する高分子樹脂に使用して、組成物を静電散逸性にしてもよい。
【0102】
好適な離型剤としては、例えば、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸ステアリル、四ステアリン酸ペンタエリスリトール、蜜蝋、モンタンワックス、パラフィンワックスなど、または前述の離型剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。離型剤は、一般に、充填剤を除いた全組成物100重量部を基準として、0.1~1.0重量部の量で使用される。
【0103】
好適なUV吸収剤としては、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン類;ヒドロキシベンゾトリアゾール類;ヒドロキシベンゾトリアジン類;シアノアクリレート類;オキサニリド類;ベンゾオキサジノン類;2‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)‐フェノール(CYASORB(登録商標)5411);2‐ヒドロキシ‐4‐n‐オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB(登録商標)531);2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐(オクチルオキシ)‐フェノール(CYASORB(登録商標)1164);2,2'‐(1,4‐フェニレン)ビス(4H‐3,1‐ベンゾオキサジン‐4‐オン)(CYASORB(登録商標)UV‐3638);1,3‐ビス[(2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリロイル)オキシ]‐2,2‐ビス[[(2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン(UVINUL(登録商標)3030);2,2'‐(1,4‐フェニレン)ビス(4H‐3,1‐ベンゾオキサジン‐4‐オン);1,3‐ビス[(2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリロイル)オキシ]‐2,2‐ビス[[(2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などのナノサイズの無機材料(いずれも粒子サイズ100ナノメートル未満);など、または前述の紫外線吸収剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。UV吸収剤は、一般に、充填剤を除く組成物の全重量100重量部を基準として、0.01~3.0重量部の量で使用される。
【0104】
好適な顔料としては、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物および混合金属酸化物などの無機顔料;硫化亜鉛などの硫化物;アルミン酸塩;スルホケイ酸ナトリウム;硫酸塩およびクロム酸塩;カーボンブラック;亜鉛フェライト;ウルトラマリンブルー;ピグメントブラウン24;ピグメントレッド101;ピグメントイエロー119;アゾ、ジアゾ、キナクリドン、ペリレン、ナフタレンテトラカルボン酸、フラバンスロン、イソインドリノン、テトラクロロイソインドリノン、アントラキノン、アントロン、ジオキサジン、フタロシアニン、アゾレーキなどの有機顔料;ピグメントブルー60、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット29、ピグメントブルー15、ピグメントグリーン7、ピグメントイエロー147およびピグメントイエロー150、または前述の顔料の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。顔料は、一般に、充填剤を除いた全組成物100重量部を基準として、1~10重量部の量で使用される。
【0105】
好適な染料としては、例えば、クマリン460(青)、クマリン6(緑)、ナイルレッドなどの有機染料;ランタニド錯体;炭化水素および置換炭化水素染料;多環芳香族炭化水素;シンチレーション染料(scintillation dye)(好ましくは、オキサゾールおよびオキサジアゾール);アリール‐またはヘテロアリール‐置換ポリ(2-8オレフィン);カルボシアニン染料;フタロシアニン染料および顔料;オキサジン染料;カーボンブラック;活性炭;カルボスチリル染料;ポルフィリン染料;アクリジン染料;アントラキノン染料;アリールメタン染料;アゾ染料;ジアゾニウム染料;ニトロ染料;キノンイミン染料;テトラゾリウム染料;チアゾール染料;ペリレン染料、ペリノン染料;ビス‐ベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT);およびキサンテン染料;近赤外波長で吸収し、可視波長で発光するアンチストークスシフト染料(anti-stokes shift dye)などの蛍光色素など;7‐アミノ‐4‐メチルカルボスチリル;7‐アミノ‐4‐メチルクマリン;3‐(2'‐ベンズイミダゾリル)‐7‐N,N‐ジエチルアミノクマリン;3‐(2'‐ベンゾチアゾリル)‐7‐ジエチルアミノクマリン;2‐(4‐ビフェニル)‐5‐(4‐t‐ブチルフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾール;2‐(4‐ビフェニル)‐6‐フェニルベンゾオキサゾール‐1,3;2,5‐ビス‐(4‐ビフェニル)‐1)‐1,3,4‐オキサジアゾール;2,5‐ビス‐(4‐ビフェニル)‐オキサゾール;4,4'‐ビス‐(2‐ブチルオクチルオキシ)‐p‐クアテルフェニル;p‐ビス(o‐メチルスチリル)‐ベンゼン;5,9‐ジアミノベンゾ(a)フェノキサゾニウムペルクロレート;4‐ジシアノメチレン‐2‐メチル‐6‐(p‐ジメチルアミノスチリル)‐4H‐ピラン;1,1'‐ジエチル‐2,2'‐カルボシアニンヨージド;3,3'‐ジエチル‐4,4',5,5'‐ジベンゾチカルボシアニンヨージド;7‐ジエチルアミノ‐4‐メチルクマリン;7‐ジエチルアミノ‐4‐トリフルオロメチルクマリン;2,2'‐ジメチル‐p‐クオーターフェニル;2,2‐ジメチル‐p‐ターフェニル;7‐エチルアミノ‐6‐メチル‐4‐トリフルオロメチルクマリン;7‐エチルアミノ‐4‐トリフルオロメチルクマリン;ナイルレッド;ローダミン 700;オキサジン 750;ローダミン800;IR125;IR144;IR140;IR132;IR26;IRS;ジフェニルヘキサトリエン;ジフェニルブタジエン;テトラフェニルブタジエン;ナフタレン;アントラセン;9,10‐ジフェニルアントラセン;ピレン;クリセン;ルブレン;コロネン;フェナントレンなど、または前述の染料の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。染料は、一般に、充填剤を除く組成物の全重量100重量部を基準として、0.1~5重量部の量で使用される。
【0106】
好適な着色剤としては、例えば、二酸化チタン、アントラキノン類、ペリレン類、ペリノン類、インダントロン類、キナクリドン類、キサンテン類、オキサジン類、オキサゾリン類、チオキサンテン類、インジゴイド類、チオインジゴイド類、ナフタルイミド類、シアニン類、キサンテン類、メチン類、ラクトン類、クマリン類、ビスベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT)類、ナフタレンテトラカルボン酸誘導体、モノアゾおよびジアゾ顔料、トリアリールおよびジアゾ顔料が挙げられる、クマリン、ビス‐ベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT)、ナフタレンテトラカルボン酸誘導体、モノアゾおよびジアゾ顔料、トリアリールメタン、アミノケトン、ビス(スチリル)ビフェニル誘導体など、および前述の着色剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。着色剤は、一般に、充填剤を除く組成物の全重量100重量部を基準として、0.1~5重量部の量で使用される。
【0107】
好適な発泡剤としては、低沸点ハロ炭化水素および二酸化炭素を発生するものが挙げられる;室温で固体であり、その分解温度より高い温度に加熱されると、窒素、二酸化炭素、アンモニアガスなどのガスを発生する発泡剤、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミドの金属塩、4,4'オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウムなど、または前述の発泡剤の少なくとも1つを含む組み合わせ。発泡剤は、一般に、充填剤を除く全組成物100重量部を基準として、1~20重量部の量で使用される。
【0108】
更に、低分子量炭化水素樹脂のような、流動性および他の特性を改善するための材料を組成物に添加してもよい。特に有用なクラスの低分子量炭化水素樹脂は、石油分解から得られる不飽和C5~C9モノマーから誘導される石油C5~C9原料から誘導されるものである。非限定的な例としては、オレフィン、例えばペンテン、ヘキセン、ヘプテンなど;ジオレフィン、例えばペンタジエン、ヘキサジエンなど;環状オレフィンおよびジオレフィン、例えばシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエンなど;環状ジオレフィンジエン、例えば、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン二量体など;および芳香族炭化水素、例えばビニルトルエン、インデン、メチルインデンなどである。樹脂は更に、部分的または完全に水素化してもよい。
【0109】
ブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物の適用
本明細書において提供されるのは、ブレンドポリヒドロキシアルカノエートエラストマー組成物を形成する方法である。この方法は、所望の物理的および機械的特性を有する製造物品を形成することができるブレンド組成物を形成するのに十分な条件下で、PHA、エラストマーおよび相溶化剤を混合することを含む。
【0110】
1つの実施形態では、(a)PHA、天然ゴムなどのエラストマー、および多相ブロック共重合体などの相溶化剤を提供する工程、(b)前記PHA、天然ゴム、および多相ブロック共重合体をブレンドして混合物を形成する工程、(d)前記混合物を50℃~250℃の間に加熱する工程、(d)その結果、PHAと天然ゴムが混和し、天然ゴムとPHAの機能改質をもたらす工程を含み、上記機能改質が、最終製品の衝撃強度、靭性および伸びを増加させる、PHAおよび相溶化剤の存在下でのエラストマーの溶融および冷却により、PHAの機能特性を改善するための方法が提供される。
【0111】
いくらかの実施形態では、ブレンド組成物は、個々の成分を溶融混合して混合物を製造することにより製造される。次いで、この混合物は、射出成形、シートおよびプロファイル押出成形、繊維押出成形、キャストフィルム押出成形、ブローフィルム押出成形、熱成形、真空成形、ブロー成形、およびロート成形操作により加工部品に変換するために使用される。フィルム用途の場合、本発明の組成物は、完全なフィルムであってもよいし、多層共押出複合構造体における1つ以上の層であってもよい。あるいは、ブレンド組成物は、共押出ラミネート内で異なる層を形成してもよく、各層はわずかに異なる組成を有する。
【0112】
いくらかの実施形態において、PHA、エラストマー、および相溶化剤成分は、微粒子サイズの粉末の形態であり、本発明のブレンド組成物は、予め決定された比で成分をドライブレンドし、この混合物を二軸スクリュー押出しに供することによって作製される。
【0113】
更に、本明細書において提供されるのは、ブレンドポリマー樹脂ペレットを形成する方法であり、この方法は、PHA、エラストマー、および相溶化剤成分を組み合わせることを含み、ここで、この組成物は、ブレンド樹脂ペレットを形成するために好適な条件下で溶融および成形される。
【0114】
本明細書中に記載の新規ブレンドブレンドは、これらに限定されないが、例えば、フィルム、シート(多層シートを含む)、成形品、カトラリー、繊維、不織布、フィラメント、モノフィラメント、ロッド、チューブ、ボトル、ペレットまたは発泡体などの商業的に有用な物品に作製してもよい。物品は、ポリヒドロキシアルカノエートエラストマーブレンド組成物の成形、押出し、熱成形またはブロー成形により形成される。
【0115】
本明細書中に記載の組成物、方法、工程または物品のいずれにおいても、PHA、エラストマー、および相溶化剤成分は、微粒子サイズの粉末、ペレット、または顆粒の形態であってもよく、混合またはブレンドによって組み合わせてもよい。
【0116】
有用な物品を製造するために、本明細書中に記載の組成物は、好ましくは、ポリマーの結晶融点以上であるが、ポリマー組成物のいずれかの成分(例えば、一部の分枝剤を除いて前述の添加剤)の分解点以下の温度で処理される。加熱可塑化状態で、ポリマー組成物を所望の形状に加工し、次いで冷却して形状を固化させ、結晶化を誘導する。このような形状としては、これらに限定されないが、繊維、フィラメント、不織布、モノフィラメント、フィルム、シート、ロッド、チューブ、ボトル、または他の形状が挙げられる。このような加工は、これらに限定されないが、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブローまたはブロー成形(例えば、ブローフィルム、発泡体のブロー)、カレンダー成形、回転成形、キャスティング(例えば、キャストシート、キャストフィルム)、または熱成形などの任意の当業者に公知の技術を用いて行われる。
【0117】
上記組成物は、限定されるものではないが、多種多様な有用な製品、例えば、自動車、耐久消費財、建築、電気、医療、および包装製品を製造するために使用され、これらはすべて、二次的に動物飼料として使用することができる。例えば、ポリマー組成物は、限定されるものではないが、フィルム(例えば、包装用フィルム、農業用フィルム、マルチフィルム、侵食防止、干し草俵ラップ、スリットフィルム、食品ラップ、パレットラップ、自動車および電気器具の保護ラップなど)、ゴルフティー、キャップおよびクロージャー、農業用支持体および杭、紙および板用コーティング(例えば、カップ、皿、箱など)、熱成形製品(トレイ、容器、蓋、ヨーグルトポット、カップ蓋、植木鉢、麺鉢、成形品など)、筐体(電子機器用、例えば携帯電話、PDAケース、音楽プレーヤーケース、コンピューターケースなど)、袋(例えば、ゴミ袋、食料品袋、食品袋、堆肥袋など)、衛生用品(紙おむつ、女性用衛生用品、失禁用品、使い捨ておしりふきなど)、ペレット状製品用コーティング剤(ペレット状肥料、除草剤、殺虫剤、種子など)、射出成形品(筆記具、フォーク、スプーン、ナイフなどのカトラリー、水槽用装飾品、ディスクケースなど)、溶液紡糸繊維、メルトブローン織物および不織布(糸、ヤム(yam)、ワイプ、わた、使い捨て吸収性物品)、ブロー成形品(深型容器、ボトルなど)、および発泡物品(カップ、ボウル、皿、包装など)を製造するために使用される。前述の製品は、いずれも主要成分(PHA)を含んでおり、動物が摂取した場合、動物によって代謝され、エネルギー源として利用される。その結果、製品の付加的な利点は、生物にとっての食品としても機能することである。動物という用語には、ヒトを含むすべての動物が含まれる。動物の例としては、非反芻動物および反芻動物がある。反芻動物には、例えば、ヒツジ、ヤギ、ウシ類(cattle)、例えば、肉牛や乳牛などのウシ(cow)などの動物が挙げられる。特別な実施形態では、動物は非反芻動物である。非反芻動物には、ペット動物、例えば馬、猫および犬;単胃動物、例えば、豚(pig or swine)(子豚、成長豚、母豚を含むが、これらに限定されない);七面鳥、アヒル、鶏などの家禽(ブロイラー雛、レイヤーを含むが、これらに限定されない);魚(サケ、マス、ティラピア、ナマズ、コイを含むが、これらに限定されない);海鳥(カモメ、ペリカン、アジサシを含むがこれらに限定されない);海獣(クジラ、カメ、イルカ、サメを含むがこれらに限定されない)および甲殻類(エビ(shrimp and prawn)を含むがこれらに限定されない)が挙げられる。
【0118】
熱成形は、熱可塑性プラスチックのフィルムまたはシートを使用する工程である。ポリマー組成物は、フィルムまたはシートに加工される。次いで、ポリマーのシートをオーブンに入れて加熱する。成形に十分な柔らかさになったところで成形金型に移され、形状に成形される。
【0119】
熱成形中、半結晶性ポリマーの軟化点に達すると、ポリマーシートは弛み始める。軟化点と垂れ下がり(droop)の間の期間(window)は通常狭い。そのため、軟化したポリマーシートを金型に素早く移動させるのは難しい。ポリマーを分岐させることで、ポリマーの溶融強度を高め、シートがより加工しやすく、構造的完全性を維持できるようにすることができる。従って、ポリマーの試料片を加熱した場合の弛み(sag)を測定することにより、熱成形のためのこの加工期間の相対的な大きさを測定する方法である。
【0120】
ブロー成形は、熱成形に類似しており、ボトルなどの深絞り製品および深い内部を有する類似の製品を製造するために使用されるが、本明細書中に記載されるポリマー組成物の弾性および溶融強度の増加および弛みの減少からの恩恵を受ける。
【0121】
以下の具体例は、単に例示として解釈されるべきであり、本開示の残りの部分を何ら限定するものではない。これ以上詳しく説明しなくても、当業者であれば、本明細書中の記載に基づいて、本発明を最大限に利用できると考えられる。本明細書において引用される全ての刊行物は、参照によりその全体が本明細書中に援用される。
【実施例
【0122】
PHA、エラストマー、相溶化剤成分のブレンドはすべて、以下のようにして作製した。乾燥ブレンドを以下の表1に示す割合でプラスチック袋に秤量し、振とうして混合した。次いで、乾燥ブレンドを、200rpmのスクリュー速度および165℃のバレル温度で作動する18mm共回転二軸スクリュー押出機を用いてペレットに形成した。機械的試験のため、射出成形によりASTM引張試験片および衝撃試験片を5本作製した。試験片(test bar)は、試験前に60℃で15時間、加速エージング処理を行い、試験結果を表2に示す。
【0123】

【0124】

【0125】
本発明により、バイオベースの炭素を多量に含み、望ましい物理的特性の有利なバランスを有するポリマーブレンドを製造することが可能である。具体的には、高い衝撃特性(ノッチ付きアイゾット試験により測定)と、脆性を誘発しない高い曲げ弾性率である。天然ゴムなどのエラストマーは汎用材料であるため、コスト効果の高い高性能材料を提供することが可能となる。
【0126】
いくつかの実施形態を開示してきたが、当業者には、開示した実施形態の精神から逸脱することなく、様々な変更、代替構造、および等価物を使用してもよいことが認識される。更に、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるために、多数の周知の工程および要素については記載していない。従って、上記の記載は、本発明の範囲を限定するものとして捉えられるべきではない。
【0127】
値の範囲が提供される場合、文脈上明らかにそうでないと指示されない限り、その範囲の上限と下限の間に、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されていると理解される。ある範囲に含まれる任意の規定値または介在値と、その範囲に含まれる他の規定値または介在値との間の、より小さい範囲もそれぞれ包含される。これらの小さい範囲の上限値および下限値は、それぞれ独立して、範囲に含まれることも除外されることもあり、小さい範囲にどちらか、どちらも、または両方の上限値が含まれる各範囲も、記載された範囲内の特に除外された上限値に従って、本発明に包含される。記載された範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除いた範囲も含まれる。
【0128】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の参照語を含む。従って、例えば、「a process(工程)」は、複数のそのような工程を含み、「the dielectric material(誘電体材料)」は、当業者に公知の1つまたは複数の誘電体材料およびその等価物などを含む。
【0129】
また、本明細書中および以下の特許請求の範囲で使用される場合、「comprise」、「comprising」、「include」、「including」、「includes」(~を含む)という語は、記載された特徴、整数、構成要素、またはステップの存在を特定することを意図しているが、1つまたは複数の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、行為、またはグループの存在または追加を排除するものではない。
【国際調査報告】