(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む線維症の予防または治療用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/744 20150101AFI20240206BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20240206BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20240206BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20240206BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240206BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240206BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240206BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240206BHJP
A23K 10/16 20160101ALI20240206BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20240206BHJP
【FI】
A61K35/744
C12N1/20 E ZNA
A23L33/135
A61K35/74 G
A61K35/74 C
A61P11/00
A61P1/16
A61P13/12
A61P37/06
A23K10/16
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547882
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 KR2022001869
(87)【国際公開番号】W WO2022169336
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0017794
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0014809
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522304257
【氏名又は名称】リスキュア・バイオサイエンシーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LISCURE BIOSCIENCES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(SAMPYEONG-DONG) 4F, 68, PANGYO-RO 255BEON-GIL, BUNDANG-GU, SEONGNAM-SI GYEONGGI-DO 13486, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】チン,ファ・スプ
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
2B150AA02
2B150AA03
2B150AA05
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2B150AA08
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4B018LB01
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4C087BC75
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4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZB08
(57)【要約】
本発明は、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)菌株またはその培養物を有効成分として含む線維症(fibrosis)、具体的には、肺線維症、腎線維症、または肝線維症に対する予防、改善、または治療用組成物に関する。
本発明による組成物は、数々の線維症に対して優れた予防および治療効果を示すため、ヒトまたは動物の線維症の治療、予防、または改善などの用途のための組成物として有用に用いられることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む線維症(fibrosis)の予防または治療用医薬組成物。
【請求項2】
前記ロイコノストック・シトレウム菌株は、配列番号1の核酸配列を有する、ロイコノストック・シトレウムWiKim0104(Leuconostoc citreum WiKim0104;受託番号KCCM12420P)菌株である、請求項1に記載の線維症の予防または治療用医薬組成物。
【請求項3】
前記線維症は、肺線維症、腎線維症、または肝線維症である、請求項1に記載の線維症の予防または治療用医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物は、経口投与または非経口投与の方法で投与可能であることを特徴とする、請求項1に記載の線維症の予防または治療用医薬組成物。
【請求項5】
前記非経口投与の方法は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与または直腸内投与である、請求項4に記載の線維症の予防または治療用医薬組成物。
【請求項6】
ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum )菌株またはその培養物を有効成分として含む線維症(fibrosis)の予防または改善用食品組成物。
【請求項7】
前記食品は、健康機能食品である、請求項6に記載の線維症の予防または改善用食品組成物。
【請求項8】
前記食品は、パン、餅、キャンディー、チョコレート、ガム、アイスクリーム、ミルク、チーズ、食肉加工品、魚肉加工品、キムチ、醤油、味噌、コチュジャン、春醤、清麹醤(チョングッチャン)、酢、トマトケチャップ、カレー、ドレッシング、飲料および発酵乳からなる群から選択されるいずれかの食品であることを特徴とする、請求項6に記載の線維症の予防または改善用食品組成物。
【請求項9】
ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum )菌株またはその培養物を有効成分として含む線維症の予防または改善用食品添加剤組成物。
【請求項10】
ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum )菌株またはその培養物を有効成分として含む家畜の線維症の予防または改善用飼料組成物。
【請求項11】
前記家畜は、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、マウス、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、キジ、ウズラ、コイ、フナ、およびマスからなる群から選択されるいずれかである、請求項10に記載の家畜の線維症の予防または改善用飼料組成物。
【請求項12】
ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum )菌株またはその培養物を有効成分として含む家畜の線維症の予防または改善用飼料添加剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)菌株またはその培養物を有効成分として含む線維症(fibrosis)、具体的には、肺線維症、腎線維症または肝線維症に対する予防、改善または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
線維症(fibrosis)は、線維性結合組織の過剰な沈着を意味し、これは線維性組織の増殖と分解との間の不均衡によるものである。該疾病は、線維化細胞の過剰な増殖により、組織および器官において、しばしば肺線維症、肝線維症、慢性膵炎、強皮症、腎糸球体線維症などの線維症が発生するのが一般的な特徴である。また、放射線化学療法および組織移植などによって引き起こされる多発性臓器線維症も含まれ、線維化過程が慢性的なため、完璧な治療が難しいのが実情である。
【0003】
肺繊維化は、肺組織に炎症が起こり、瘢痕化による線維化が発生する疾病であり、肺の正常な酸素交換機能を阻害する。初期には肺胞に炎症が起こる肺胞炎から始まり、肺胞が破壊され瘢痕化が発生して線維化へと進行し、それから機能が喪失し、呼吸困難の症状が生じる。また、肺線維症が起こると、肺に血液を送る心臓の右心室に大きな負荷がかかり、肺動脈高血圧が誘発され、結局、右心不全へと発展する。
【0004】
腎線維症は、腎臓組織に発生した炎症により蓄積した瘢痕化により線維化が発生する疾病であって、腎臓の一部が硬くなってその機能が失われる。これは慢性腎不全へとつながり、慢性腎不全は、貧血、血液凝固障害、高血圧、心肺および消化管の様々な合併症および感染を伴う。腎機能が正常人の15%以下になると、エリスロポエチン(erythropoietin)の腎臓内での産生が低下し、これは赤血球の産生の減少につながる。また、尿の分泌が活発に起こらず、発病する尿毒症は赤血球の寿命を減少させ、強力な貧血を引き起こさせる。また、尿毒症の発症により全身性感染症を引き起こす可能性が増加し、これは肺血症発症の主な要因となる。
【0005】
肝線維症は、慢性肝内炎症による細胞外マトリックス(extracellular matrix)の過剰沈着であると定義することができ、このような細胞外マトリックスの過剰沈着によって慢性肝疾患が持続する場合、最終的には肝臓の内部構造に歪みが生じ、肝細胞数が減少することにより肝硬変に進行することになる。肝線維化に関与する代表的な細胞としては、肝星細胞(hepatic stellate cell)、クッパー細胞(Kupffer cell)、内皮細胞(endothelial cell)などがある。肝星細胞は、細胞外マトリックスを産生する主要な産生源として活性化され、コラーゲンを含む各種細胞外マトリックスの産生の増加に関与する。クッパー細胞は、洞様毛細血管腔(sinusoidal space)内に存在し、活性化したクッパー細胞で生成された物質は、周囲の肝細胞、内皮細胞、および肝星細胞に影響を与え、肝線維化を促進させる。内皮細胞は、肝内血流調節に重要な役割を果たすこと以外にも、炎症や肝線維化などにより肝星細胞の増殖に関与する成長因子と細胞外マトリックスの生成にも関与する。
【0006】
現在、特定構造の化合物、その誘導体または塩(韓国公開特許第10-2019-0113639号)ないし赤小豆抽出物またはその画分(韓国公開特許第10-2019-0003434号)を有効成分として含む組成物の繊維症の予防または治療効果が開示されているが、微生物株を有効成分として含む線維症の予防または治療効果については記載されたところがない。
【0007】
このような背景の下、本発明者らは、毒性および副作用のほとんどない乳酸菌を用いた繊維症の予防および治療用物質を探すために研究した結果、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物が、肺線維症、腎線維症または肝線維症に対する予防または治療効果があることを確認し、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2019-0113639号
【特許文献2】韓国公開特許第10-2019-0003434号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む線維症の予防または治療用医薬組成物を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む線維症の予防、改善用食品組成物、または食品添加剤組成物を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む家畜の線維症の予防、改善用飼料組成物、または飼料添加剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む線維症の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む線維症の予防、改善用食品組成物、または食品添加剤組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む家畜の線維症の予防、改善用飼料組成物、または飼料添加剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物は、数々の線維症に対して優れた予防および治療効果を示すため、ヒトまたは動物の線維症の治療、予防、または改善などの用途のための組成物として有用に用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による組成物を線維化が誘導されたLX-2細胞に処理した後、関連遺伝子であるα-SMAの発現量を測定したグラフを示す図である。
【
図2】本発明による組成物を線維化が誘導されたLX-2細胞に処理した後、関連遺伝子であるフィブロネクチン(Fibronectin)の発現量を測定したグラフを示す図である。
【
図3】ロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株を線維化が誘導されたLX-2細胞に処理した後、α-SMAのタンパク質量をウェスタン ブロット(Western blot)により観察した結果を示す図である。
【
図4】ロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株を肝線維化が誘導された動物モデルに処理した後、α-SMAを測定したグラフを示す図である。
【
図5】ロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株を肺繊維化が誘導された動物モデルに処理した後、肺胞組織の浸潤および繊維化の程度を観察した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む組成物は、線維症の予防または治療効果を有し、医薬組成物として用いられることができる。
【0018】
本発明のロイコノストック・シトレウム菌株は、乳酸菌株である。前記ロイコノストック・シトレウム菌株は、プロバイオティクスであって、乳酸菌の一般的な整腸効果および免疫増強効果を有する。ロイコノストック属の乳酸菌が整腸効果、免疫増強効果を有することは周知の事実である。
【0019】
前記ロイコノストック・シトレウム菌株は、ロイコノストック・シトレウム WiKim0104株であってもよく、配列番号1(SEQ ID NO:1)の核酸配列を有する。
【0020】
前記ロイコノストック・シトレウム菌株は、MRS液体培地に0.1~10%接種し、25~37℃で4時間~48時間の間、培養して用いることができる。
【0021】
前記培養の方法は、静置培養方法が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0022】
本発明において、「プロバイオティクス(probiotics)」とは、「ヒトを含む動物の消化管内で宿主の腸内微生物の環境を改善し、宿主の健康に有益な影響を与える生きている微生物」という意味で理解される。プロバイオティクスは、プロバイオティック活性を有する生きている微生物であって、単一菌株または複合菌株の形でヒトや動物に乾燥した細胞の形態や発酵産物の形態で供給される場合、宿主の腸内細菌叢に有益な影響を及ぼすことができる。
【0023】
前記線維症は、肺線維症、腎線維症、または肝線維症であってもよく、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明による組成物に含まれるロイコノストック・シトレウム菌株は、生菌体または死菌体として存在してもよく、または乾燥若しくは凍結乾燥の形態で存在してもよい。また、ロイコノストック・シトレウム菌株の培養物が有効成分であることができ、前記培養物には生菌培養液または死菌上澄み液を含むことができる。様々な組成物内に含ませるのに適した乳酸菌の形態および製剤化の方法は当業者に広く知られている。
【0025】
前記組成物は、経口または非経口で投与することができる。非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、および直腸内投与などで投与することができ、好ましくは、静脈内注入方法で投与することができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
前記組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度、および反応感受性などの要因に応じて多様に処方することができる。
【0027】
本発明の組成物が医薬組成物として活用される場合、本発明の医薬組成物は、前記の有効成分の外に薬学的に適切で生理学的に許容される補助剤を用いて製造することができ、前記補助剤としては、賦形剤、崩壊剤、甘味料、結合剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤または香味剤などが用いられることができる。
【0028】
前記医薬組成物は、投与のために前記した有効成分に加えて、さらに薬学的に許容される担体を1種以上含んで医薬組成物として好ましく製剤化することができる。
【0029】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態に製剤化するために、有効成分はエタノール、グリセロール、水などのような経口、非毒性の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。また、所望するまたは必要な場合、適合する結合剤、潤滑剤、崩壊剤、および発色剤もまた混合物に含まれることができる。適合する結合剤は、これらに限定されるものではないが、澱粉、ゼラチン、グルコースまたはベータラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガントまたはオレイン酸ナトリウムのような天然および合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤はこれらに限定されるものではないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。液体溶液に製剤化される組成物において許容される医薬担体としては、滅菌および生体に適したものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、およびこれらの成分のうち1成分以上を混合して用いることができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、および潤滑剤を付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0030】
さらに、当該分野における好適な方法として、Remington´s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を用いて、各疾患に応じてまたは成分に応じて好ましく製剤化することができる。
【0031】
本発明のロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む組成物は、線維症の予防、改善用食品組成物、または食品添加剤組成物として用いられることができる。
【0032】
前記食品組成物は、健康機能食品の形態であってもよい。
【0033】
前記「健康機能食品」は、健康機能食品に関する法律に従って人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて製造および加工した食品を意味(第3条第1号)し、「機能性」とは、人体の構造および機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果が得られること(同条第2号)を意味する。
【0034】
前記食品組成物は、食品添加物をさらに含むことができ、「食品添加物」としての適否は、他の規定がない限り、食品医薬品安全処にて承認された食品添加物公定書の総則および一般試験法などに従って当該品目に関する規格および基準により判定する。
【0035】
前記「食品添加物公定書」に収載された品目としては、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、けい皮酸などの化学的合成品、カキ色素、甘草抽出物、結晶セルロース、グアーガムなどの天然添加物、L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類が挙げられる。
【0036】
本発明の有効成分が含まれた食品としては、パン、餅類、堅果類、キャンディー類、チョコレート類、チューインガム、ジャム類のような菓子類、アイスクリーム類、氷果類、アイスクリーム粉末類のようなアイスクリーム製品類、牛乳類、低脂肪牛乳類、乳糖分解ミルク、加工乳類、ヤギ乳、発酵乳類、バターミルク類、濃縮乳類、乳クリーム類、バター類、天然チーズ、加工チーズ、粉乳類、乳清類のような乳加工品類、食肉加工品、鶏卵加工品、ハンバーガーのような食肉製品類、練り物、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの魚肉加工品のような魚肉製品類、ラーメン類、乾麺類、生麺類、揚げ麺類、糊化乾麺類、改良半生麺類、冷凍麺類、パスタ類のような麺類、果実飲料、野菜類飲料、炭酸飲料、豆乳類、ヨーグルトなどの乳酸菌飲料、混合飲料のような飲料、醤油、味噌、コチュジャン、春醤、清麹醤(チョングッチャン)、混合醤油、酢、ソース類、トマトケチャップ、カレー、ドレッシングのような調味食品、マーガリン、ショートニングおよびピザが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
前記したものの他、本発明の組成物は、種々の栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含むことができる。その他に本発明の組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料、および野菜飲料を製造するための果肉を含むことができる。これらの成分は、独立してまたは組み合わせて用いられることができる。
【0038】
本発明の有効成分を含む飲料組成物は、他の成分には特別な制限はなく、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。前記した天然炭水化物の例は、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖など);二糖類(例えば、マルトース、スクロースなど)および多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような通常の糖、およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。前記したもの以外の香味剤として天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA)、グリチルリチンなど)および合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。
【0039】
また、本発明のロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む組成物は、家畜の線維症の予防、改善用飼料組成物、または飼料添加剤組成物として用いられることができる。
【0040】
前記組成物が飼料添加剤として製造される場合、前記組成物は20~90%の高濃縮液、粉末、または顆粒の形態で製造することができる。前記の飼料添加剤は、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸や、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酸性ピロリン酸、ポリリン酸塩(重合リン酸塩)などのリン酸塩や、ポリフェノール、カテキン、アルファ-トコフェロール、ローズマリー抽出物、ビタミンC、緑茶抽出物、甘草抽出物、キトサン、タンニン酸、フィチン酸などの天然抗酸化剤のいずれかまたは一つ以上をさらに含むことができる。飼料として製造される場合、前記組成物は、通常の飼料の形態で製剤化されることができ、通常の飼料成分を共に含むことができる。
【0041】
前記飼料および飼料添加剤は、穀物、例えば、粉砕または粉砕された小麦、オーツ麦、大麦、トウモロコシ、および米;植物性タンパク質飼料、例えば、菜の花、大豆、およびヒマワリを主成分とする飼料;動物性タンパク質飼料、例えば、血粉、肉骨粉、骨粉、および魚粉;糖粉および乳製品、例えば、各種粉乳および乳清粉末からなる乾燥成分などをさらに含むことができ、それ以外にも栄養補助剤、消化および吸収向上剤、成長促進剤などをさらに含むことができる。
【0042】
前記飼料添加剤は、動物に単独で投与したり、食用担体中において他の飼料添加剤と組み合わせて投与することもできる。また、前記飼料添加剤は、トップドレッシングとして、またはこれらを動物飼料に直接混合するか、または飼料とは別途の経口製剤として、容易に動物に投与することができる。前記飼料添加剤を動物飼料とは別途に投与する場合、当技術分野において周知のごとく、薬学的に許容される食用担体と組み合わせて、即放性または徐放性製剤で製造することができる。これらの食用担体は、固体または液体、例えば、トウモロコシのデンプン、ラクトース、スクロース、大豆フレーク、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油およびプロピレングリコールであってもよい。固体担体が使用される場合、飼料添加剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ剤または含糖錠剤または微分散性形態のトップドレッシングであってもよい。液体担体が用いられる場合、飼料添加剤はゼラチン軟質カプセル剤、シロップ剤、懸濁液、エマルジョン剤、または溶液剤の剤形であってもよい。
【0043】
また、前記飼料および飼料添加剤は、補助剤、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進剤などを含有することができる。前記飼料添加剤は、浸漬、噴霧または混合して動物の飼料に添加することによって用いられることができる。
【0044】
本発明の飼料または飼料添加剤は、哺乳類、家禽および魚類を含む多数の動物の食餌に適用することができる。
【0045】
前記哺乳類として、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、齧歯類、および、マウス、ハムスター、モルモットなどの実験用齧歯類だけでなく、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ)などに用いることができ、前記家禽類として、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、キジ、およびウズラなどにも用いることができ、前記魚類として、コイ、フナ、マスなどに用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、実施例を通して本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、唯一本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨に基づいて、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないことは当業界における通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。
【0047】
実施例1.菌株の培養
ロイコノストック・シトレウムWiKim0104(寄託番号KCCM12420P)菌株は、寄託者である韓国食品研究院の許可を受け、分譲を受けて実験を行った。
【0048】
上記分譲を受けたロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株をMRS液体培地30mlに1%接種し、30℃で18時間静置培養した。培養後、3000rpmで10分間遠心分離し、培養液を別々に保存し、菌体はPBS(リン酸緩衝食塩水:phosphate buffered saline)溶液に3回洗浄し、残りの培地成分を除去した。
【0049】
実施例2.肝星細胞(Hepatic stellate cell)における関連遺伝子発現量の測定
肝星細胞(Hepatic stellate cell)であるLX-2細胞を6ウェル プレート(6 well plate)に蒔種(plating)した後、無血清培地(serum free media)にTGF-βを10ng/mlの濃度で処理した後、ロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株を処理した場合、線維化関連遺伝子であるフィブロネクチン(Fibronectin)、α-SMAの発現量をqRT-PCRにより確認した。
【0050】
トランスウェルチャンバー(Transwell chamber;4um 細孔サイズ(pore size))の上部チャンバー(upper chamber)に用意したロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株を、1×10
7あるいは1×10
8CFUで処理し、下部チャンバー(lower chamber)にはLX-2細胞にTGF-βを処理し、24時間培養した。24時間後、LX-2細胞を収穫(harvest)し、RNAを分離した後、qRT-PCRにより線維化関連遺伝子発現量の変化を確認し、その結果を
図1および
図2に示した。また、LX-2細胞においてα-SMAのタンパク質の発現量を確認するために、ウエスタンブロット(Western blot)により確認した結果、TGF-βにより増加したα-SMAのタンパク質量がロイコノストック・シトレウム処理群において、著しく減少したことが確認された(
図3)。
【0051】
図1~
図3に示すように、ロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株を処理した場合、α-SMA、フィブロネクチン(fibronectin)の発現量が有意に減少したことが確認された。
【0052】
実施例3.動物モデルでの線維化抑制効果の確認
3-1.実験動物マウスの条件
実験に使用された実験動物は、雄8週齢のC57BL6マウスの供給を受け、室温20±2℃、湿度55±15%が維持されるSPF環境の動物飼育室で1週間の安定化期間を経て、実験期間の間飼育した。飼料は、抗生物質が添加されていない一般的なぺレット飼料を供給し、水は随時摂取できるようにし、1週間、食事に適応させた後に実験を行った。寝藁は実験動物専用の軟質の寝藁を使用し、飼育箱および給餌器は2回/1週間おきで交換し、使用する全ての飼育器材は自動化洗浄機で洗浄した後、完全に適応させてから使用した。全ての動物に対し、1日1回一般的な症状について観察をし、1日2回瀕死動物および死亡動物の有無を確認した。
【0053】
3-2.動物モデルでの肝線維症に対する効果の確認
前記実施例3-1にて用意した動物にCDAHFD(コリン欠乏アミノ制限高脂肪食:choline-deficient amino acid defined high fat diet)を12週間投与し、非アルコール性脂肪肝炎を伴った肝線維化を誘導した後、8週間2×10
9cfu/200ulのロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株組成物を経口投与した。その後、肝組織の線維化の程度を測定するために、肝組織をホルマリン固定後にパラフィンブロックを作製し、抗α-SMAで免疫染色を行った。免疫染色されたα-SMAの染色程度を定量化して測定した結果を
図4に示した。
【0054】
図4に示すように、抗-α-SMA 陽性領域(anti-α-SMA positive area)がロイコノストック・シトレウム菌株の投与群において有意に減少したことが確認された。
【0055】
3-3.動物モデルでの肺線維化に対する効果の確認
胆管結紮(Bile duct ligation)モデルは、肝線維化だけでなく、肺および腎臓の損傷、および線維化を引き起こすことが知られている。前記3-1にて用意したマウスの胆管を非吸収性手術用縫合糸で二回縫った。対照群では胆管を縫わずに同じ方法で手術を行った。術後、マウスを薬物投与開始当日の体重、黄疸、および尿の色の変化などを基準に、Z配列法に従って群分けを行った。グループ化した後、実験群ではロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株を2×10
9CFU/日で1日1回、2週間0.2mL/head volumeで経口投与した。対照群は同量のPBSを食餌した。それから、肺組織を摘出し、食塩水で洗浄し、ホルマリン固定してパラフィンブロックを作製した。その後、肺組織をヘマトキシリン・エオジン(Hematoxyline-eosin)(H&E)で染色し、肺組織の病理所見を観察した結果を
図5に示した。
【0056】
図5に示すように、誘導群では炎症細胞の浸潤および線維化により肺胞の異常な組織部位が観察されたが、ロイコノストック・シトレウム菌株の投与群では、その程度が著しく減少したことが確認された。
【0057】
前記結果に照らしてみたとき、本発明によるロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株またはその培養物を有効成分とする組成物は、肺線維症、腎線維症、または肝線維症などの線維症に対する予防および治療に優れた効果があることを確認することができた。
【0058】
[受託番号]
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12420P
受託日:20181214
【配列表】
【国際調査報告】