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特表2024-506632ディスクスケール部材のオフセットの決定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ディスクスケール部材のオフセットの決定
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
G01D5/245 110W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548204
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 GB2022050329
(87)【国際公開番号】W WO2022171995
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】21275014.5
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/GB2021/052562
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ レイノルズ ヘンショウ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ダミアン ハリソン
(72)【発明者】
【氏名】アイボア ジョン サマーズ
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA47
2F077VV02
2F077VV29
2F077VV33
(57)【要約】
a)平面を有するディスクスケール部材のスケール軸であって、スケール軸の上に、スケール軸を中心として延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部が設けられており、平面に対して垂直に延在するスケール軸と、b)ディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸であって、回転軸とディスクスケール部材のスケール軸が実質的に平行である回転軸と、の間のオフセットを決定する方法である。当該方法は、i)ディスクスケール部材が設けられた軸方向に延在する表面を検査することによって、スケール軸と回転軸との間のオフセットを決定するステップを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)平面を有するディスクスケール部材のスケール軸であって、その上に、スケール軸を中心として延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部が設けられており、平面に対して垂直に延在するスケール軸と、
b)前記ディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸であって、回転軸と前記ディスクスケール部材の前記スケール軸とは実質的に平行である回転軸と、の間のオフセットを決定する方法であって、
i)前記ディスクスケール部材の軸方向に延在する表面を検査することにより、前記スケール軸と前記回転軸との間のオフセットを決定するステップ、を備える方法。
【請求項2】
前記方法は、
ii)例えば、前記スケール軸と前記回転軸との間の前記オフセットを低減するために、ステップi)で決定された前記オフセットに基づいて前記ディスクスケール部材の半径方向位置を調整するステップ、または、
iii)前記決定されたオフセットを使用して、前記スケールを読み取るために取り付けられた読み取りヘッドによって得られる信号におけるオフセット関連の誤差を補正するステップ、をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軸方向に延在する表面が、前記スケール特徴部が設けられる基板と同じ基板上に設けられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップi)における前記軸方向に延在する表面を検査するステップが、環状に離間した少なくとも3つの異なる位置で、前記軸方向に延在する表面の見かけの半径の変化を測定するステップを備える、請求項1乃至3項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記軸方向に延在する表面が、前記スケール軸に平行な基準軸を中心として延在する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スケール軸と前記基準軸は、実質的に同軸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記軸方向に延在する表面が、前記ディスクスケール部材の外周を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップi)における前記軸方向に延在する表面を検査するステップが、前記軸方向に延在する表面に接触する接触検査ツールを使用するステップを備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ディスクスケール部材が、金属製のディスクスケール部材を備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記軸方向に延在する表面が、実質的に円形の断面形状、例えば、実質的に円筒形または実質的に円錐形を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記軸方向に延在する表面が、前記スケール軸に対して、実質的に平行に延在する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ディスクスケール部材の平面上に、前記平面に垂直に延在するスケール軸を中心として延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部を形成するステップを備え、前記形成プロセスは、前記スケール軸が基準軸と同軸になるように制御され、前記基準軸の周囲に軸方向に延在する表面が延在し、その中心を中心とする、ディスクスケール部材を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクスケール部材のスケール軸と、ディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセット(例えば、偏心)を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計測スケールは、相互に移動可能である機械の部品の位置測定に使用される。通常、計測スケールには、読み取りヘッドによって読み取ることが可能である一連の特徴部があり、読み取りヘッドは、スケールに沿った、またはスケールの周囲の位置の測定値を提供することが可能である。計量スケールは、機械の一部に取り付けることが可能であり、機械の他の部分に取り付けられた適切な読み取りヘッドによって読み取られる。既知のタイプの計量スケールは、磁気スケール(スケール特徴部が特定の磁気特性を有する特徴部によって提供される)、容量性スケール(スケール特徴部が特定の容量性特性を有する特徴部によって提供される)、誘導スケール(スケール特徴部が特定の誘導特性を有する特徴部によって提供される)および光学スケール(スケール特徴部が特定の光学特性を有する特徴部によって提供される)を含む。光学スケールは、透過型または反射型であり得る。光学スケールの例は、下記の特許文献1~4に開示されている。
【0003】
回転変位を測定するために、そのようなスケールは、使用時に、読み取りヘッドに対して、取り付けられたシャフトまたは他の回転部品とともに回転する回転スケール部材上に提供され得る。特に、回転スケール部材は、ディスクまたはリングの形態の環状本体を備えることが可能である。一般に、リングスケール部材は、環状本体の円筒状外周面に軸方向に延在するスケール特徴部を有し、一方、ディスクスケール部材は、スケール軸を中心としてスケール軸の周りに延在するスケールを画定する一連の放射状に延在するスケール特徴部が設けられた平面を備え、スケール軸は、平面に垂直かつ回転軸に平行に延在する。本発明は、ディスクスケール部材に関する。
【0004】
一般に、スケール軸が取り付けられる部品の回転軸と実質的に同軸となるように、ディスクスケール部材(スケールディスク部材とも互換的に呼ぶことが可能である)を取り付けることが望ましい。これは、スケール軸と回転軸との間のオフセット(例えば、偏心)があれば、ディスクスケール部材が回転する際にスケールを読み取る読み取りヘッドによって提供される信号に誤差が生じる可能性があるためである。
【0005】
したがって、スケール軸と回転軸とを可能な限り最良に位置合わせするために、ディスクスケール部材の半径方向位置を調整するプロセスを実行することが知られている。半径方向の位置を調整する動作には、通常、スケール軸と回転軸の間のオフセットを決定するのに役立てることが可能である測定値を提供するための少なくとも1つのセンサの使用が含まる。例えば、図1aおよび1bを参照すると、シャフト104に取り付けられたディスクスケール部材102が示されている。シャフト104は、回転軸Aを有する。ディスクスケール部材102は、スケール軸Bを中心とし、スケール軸Bの周囲に延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部106を備える。スケール特徴部106は、ディスクスケール部材102の平面105上に形成され、示されるように、スケール軸Bは、平面105に対して垂直に延在する。スケール軸Bは、ディスクスケール部材102/平面105の幾何学的中心と一致してもしなくてもよいことに留意されたい。使用中、読み取りヘッド110は、ディスクスケール102と読み取りヘッドとの間の相対運動を決定して外部装置に報告するために、スケール特徴部106を読み取るように位置決めすることが可能である。
【0006】
ディスクスケール部材102は、また、その平面105上に、スケールに関して同心円状に形成された位置合わせバンド108を備える(すなわち、位置合わせバンド108も、スケール軸Bの中心にあり、その周りに延在する)。回転軸Aとスケール軸Bとの間のオフセットは、ディスクスケール部材102およびシャフト104が回転する際の位置合わせバンドの半径方向位置を監視するセンサ112、例えば、光センサによって、決定することが可能性である。回転軸Aとスケール軸Bの間にオフセットがあると、回転に伴って位置合わせバンドが半径方向に前後に移動を生じるであろう。次に、オペレータは、センサ112の出力を使用して、オフセットを低減するために、シャフト104に対するディスクスケール部材102の半径方向位置を調整する方法を決定することが可能である。オペレータは、オフセットが十分に小さいことに満足した場合、次に、オペレータは、シャフト104に対するディスクスケール部材102の半径方向位置を、例えば、ボルト、クランプ、および/または接着剤を介して、固定することが可能である。代替の既知の解決策では、位置合わせバンドの半径方向位置を提供して監視するのではなく、センサ(例えば、112)がスケールラインの端を見て、ディスクスケールが回転する際の半径方向位置を監視することが可能であり、それから軸AとBの間のオフセットを決定することが可能である。代替的に、スケール特徴部を読み取るように構成され、一対の読み取りヘッド間のカウント差から軸AとBのオフセットを決定することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0207121号明細書
【特許文献2】米国特許第4974962号明細書
【特許文献3】米国特許第7499827号明細書
【特許文献4】米国特許第7659992号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0189934号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ディスクスケール部材の回転軸とスケール軸との間のオフセットを決定するための改良された技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、a)平面を有するディスクスケール部材のスケール軸であって、スケール軸の上に、スケール軸を中心として延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部が設けられており、平面に対して垂直に延在するスケール軸と、b)ディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸であって、回転軸とディスクスケール部材のスケール軸とが実質的に平行である回転軸との間のオフセットを決定する(例えば、偏心を決定する)方法が提供される。当該方法は、i)ディスクスケール部材に設けられた軸方向に延在する表面の検査により(換言すれば、ディスクスケール部材の軸方向に延びる表面の検査により)、スケール軸と回転軸との間のオフセットを決定する(例えば、偏心量を決定する)ことを備える。
【0010】
ディスクスケール部材に設けられた基準特徴部の軸方向に延在する表面の検査により、スケール軸と回転軸との間のオフセットを決定する(例えば、偏心を決定する)(例えば、オフセット/偏心の存在を単に決定する、および/またはオフセット/偏心の範囲および/または角度/位相/方向を表す値を決定する)ことは、オフセットを決定する(例えば、偏心を決定する)のに、特に便利な方法が提供されることが判明した。特に、通常は、低コストで、ディスクスケールを設置する人がすぐに利用できる検査ツールの使用が可能になる。また、ディスクスケールの製造中に、ディスクスケール部材上に位置合わせバンドを形成する必要性を回避することも可能である。さらに、本発明の方法は、スケールの読み取り面(すなわち、スケール特徴部が設けられる平面)が、インストール中に保護されることが可能であるため、汚れた環境でのディスクスケール部材の設置を支援する(および/またはスケール損傷の可能性を減らす)ことが可能である。また、スケール軸と回転軸の間のオフセットは、スケールの読み取り面を保護するために覆われている場合に、困難または不可能であるスケールの読み取り面を検査するのではなく、軸方向に延在する表面を検査することによって決定することが可能である。
【0011】
スケール特徴部は、放射状に延在するスケール特徴部であることが可能である。例えば、スケール特徴部は、半径方向に長くすることが可能であり、具体的には、各スケール特徴部は、(スケール軸に対して)放射状に延在する線を備えることが可能である。スケールは、スケール軸の周りに環状に連続的に延在することが可能である。スケールは、増分スケールを備えることが可能である。スケールは、1つ以上の基準マークを備えることが可能である。スケールは、絶対スケールを備えることが可能である。スケールは、光学的、容量性、誘導性、および/または磁気スケールの特徴部を備えることが可能である。スケールは、スケール特徴部の1つ以上のトラックを備えることが可能である。
【0012】
当該方法は、ii)ステップi)で決定されたオフセット(例えば偏心)に基づいてディスクスケール部材の半径方向位置を調整するステップをさらに含むことが可能である。これは、例えば、スケール軸と回転軸との間のオフセット(例えば、偏心)を低減するためにすることが可能である。ステップii)は、ディスクスケール部材の半径方向位置を手動で調整することを備えることが可能である。代替的に、ディスクスケール部材の半径方向の位置は、例えば、サーボ制御された機械/ロボットを介して、自動プロセスによって調整することも可能である。
【0013】
加えて、または代替的に、当該方法は、iii)決定されたオフセット(例えば、偏心)を使用して、スケールを読み取るために取り付けられた読み取りヘッドによって得られる信号におけるオフセット関連誤差を補正するステップをさらに備えることが可能である。例えば、誤差関数および/またはマップ(例えば、ルックアップテーブル)は、決定されたオフセット(例えば、偏心)から作成され、読み取りヘッドによって得られたスケールの読み取り値を修正するために、その後のスケールの読み取り中に使用されることが可能である。読み取りヘッド自体は、外部デバイスに信号を出力する前にスケールの読み取り値を修正するように構成されることが可能である。または、外部デバイス(例えば、インターフェイスユニットやコントローラ)は、例えば、誤差関数および/またはマップを使用する読み取りヘッドによって出力された信号を修正するように構成されることが可能である。
【0014】
軸方向に延在する表面は、ディスクスケール部材の外周(例えば最外周)/エッジ(例えば周縁)を構成することが可能である。軸方向に延在する表面/外周は、スケール特徴部が設けられるものと同じ基板/本体上に設けることが可能である。代替的に、軸方向に延在する表面/外周は、異なる基板/本体上に設けられることも可能である。例えば、軸方向に延在する表面/外周は、スケール特徴部が設けられる基板/本体とは別に形成されるハブ上に設けることが可能であるが、ハブの上にスケール機能が提供される基板/本体が取り付けられる。
【0015】
軸方向に延在する表面は、スケール軸に平行な基準軸を中心として延在することが可能である。軸方向に延在する表面は、基準軸の周りに環状に延在することが可能である。軸方向に延在する表面は、基準軸の周りに環状に連続的に延在することが可能である。本発明の有利な実施形態では、軸方向に延在する表面は、基準軸の周りに実質的に一定の半径を有する。したがって、本発明の有利な実施形態では、軸方向に延在する表面は、実質的に円形の断面形状を有する。軸方向に延在する表面は、スケール/基準軸に対して実質的に平行に延在することが可能である。換言すれば、軸方向に延在する表面の軸方向の範囲は、スケール/基準軸と実質的に平行に延在することが可能である。例えば、軸方向に延在する表面は、実質的に円筒形の形状を有することが可能である。理解されるように、他の実施形態では、軸方向に延在する表面は、スケール/基準軸に対して、実質的に平行に延在しない場合がある。例えば、軸方向に延在する表面は、実質的に円錐形状を有することが可能である。
【0016】
軸方向に延在する表面は、ディスクスケール部材に設けられた基準特徴部上に設けられていると説明することが可能である。任意選択で、基準特徴部は、スケール特徴部が設けられる平面を提供する基板/本体を備える。したがって、そのような場合には、軸方向に延在する表面は、例えば、ディスクスケールの外周(例えば、最外周)(例えば、周縁)を備えることが可能である。任意選択で、基準特徴部は、平面を提供する基板/本体上に提供され、例えば、基準特徴部は、平面上の直立特徴部を備えることが可能である。任意選択で、基準特徴部は、平面を提供する本体/基板とは別に提供され、例えば、基準特徴部は、平面を提供する基板/本体が取り付けられるハブ上に設けることが可能である。いずれの場合も、基準特徴部自体が拡張され、参照軸を中心とすることが可能である。
【0017】
ステップi)における軸方向に延在する表面を検査することは、(例えば、後述するように、軸方向に延在する表面の半径方向位置測定値を取得するために)検査ツール/センサを使用することを備えることが可能である。検査ツール/センサは、(例えば、そのような測定値を取得するために)軸方向に延在する表面に接触する接触ツール/センサを備えることが可能である。検査ツール/センサは、非接触ツール/センサ(例えば、軸方向に延在する表面に接触することなく、そのような測定値を取得する)を備えることが可能である。
【0018】
ステップi)における軸方向に延在する表面を検査することは、少なくとも3つの異なる環状に離間した位置(すなわち、軸の周りに異なる間隔を空けた位置)において、軸方向に延在する表面(例えば、基準特徴部の)の見かけの半径の変化を測定することを備えることが可能であり、好ましくは、環状に離間した少なくとも4つの異なる位置である。環状に離間した異なる位置でのこのような測定は、検査ツール/センサを回転軸Aの周りの固定回転位置に維持することによって取得することが可能であり、検査ツール/センサが軸方向に延在する表面の環状に離間した異なる位置で測定値を取得することが可能であるように、回転軸Aの周りでディスクスケール部材を回転させる。
【0019】
上述の検査/測定は、ディスクスケール部材が回転している間に実行/実施することも可能であり、またはディスクスケール部材が静止しているときに実行/実施することも可能である。
【0020】
好ましくは、スケール軸と基準軸は、実質的に同軸である。これにより、軸方向に延在する表面の検査からスケール軸と回転軸の間のオフセットを決定することが容易になる。
【0021】
ディスクスケール部材は、金属製のディスクスケール部材を備えることが可能である。しかしながら、必ずしもそうである必要はない。例えば、任意選択で、ディスクスケール部材は、ガラスディスクスケール部材を備える。
【0022】
ディスクスケール部材は、少なくとも1つ、任意選択で少なくとも2つ、好ましくは、少なくとも3つ、例えば、4つ以上の(取り付け)半径方向に柔軟な屈曲部を備えることが可能である。少なくとも1つの半径方向に柔軟な屈曲部は、スケールが設けられるディスクスケール部材の本体/基板とは別個に形成されるが、それに取り付けられる部材(例えば、ハブ)上に設けることが可能である。しかしながら、少なくとも1つの半径方向に順応性のある撓みは、スケールが設けられるディスクスケール部材の本体/基板上に一体的に形成されることが好ましい。例えば、スケールが設けられるディスクスケール部材の本体/基板、および少なくとも1つの半径方向に柔軟な屈曲部は、単一の材料片から形成することが可能である。これは、スケールディスク部材のコンパクト性を確保するのに役立てることが可能なため、特に、薄い平面スケールディスク部材にとって有利となり得る。同様に、撓み部が、スケールが設けられるディスクスケール部材の本体/基板と同じ平面内に含まれることを確実にするのにも役立つ。
【0023】
当該方法は、ディスクスケール部材と機械部品とを一緒に押し込む/力で嵌合するステップであって、それにより、少なくとも1つの撓み部が機械部品によって変位され、それによって、ディスクスケール部材が機械部品に対して初期デフォルト/所定の半径方向位置に自己位置決めされ機械部品と摩擦嵌合を形成するために、ディスクスケール部材を(半径方向の反力を介して)機械部品と係合させるステップと、次いで、ディスクスケール部材に設けられた軸方向に延在する表面を検査することによって、スケール軸と回転軸との間のオフセットを決定するステップと、を備えることが可能である。しかしながら、これは、必ずしもそうである必要はなく、ディスクスケール部材は、少なくとも最初は機械部品に対して半径方向に緩く嵌合することが可能であり、その場合、その最初の半径方向位置は、オペレータ/設置者が最初にディスクスケール部材を配置した位置となる。いずれにせよ、ステップii)は、機械部品に対するスケールディスク部材の半径方向位置を、その初期(例えば、デフォルト/所定の)半径方向位置から新しい半径方向位置まで微調整すること(tweaking)(換言すれば、「調整すること」または「微調整すること(fine-tuning)」)を備えることが可能である。
【0024】
本発明の別の態様によれば、a)平面を有するディスクスケール部材のスケール軸であって、その上に、スケール軸を中心として延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部が設けられており、平面に対して垂直に延在するスケール軸と、b)ディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸であって、回転軸とディスクスケール部材のスケール軸とが実質的に平行である回転軸との間のオフセットを決定する方法が提供される。当該方法は、i)ディスクスケール部材の実質的に円筒面または実質的に円錐面(例えば、外縁)を検査することによって、スケール軸と回転軸との間のオフセットを決定することを備える。本発明の第1の態様に関連する上述した特徴部は、本発明のこの態様にも適用できる。したがって、実質的に円筒形の表面、または実質的に円錐形の表面は、上述の基準特徴部を備えることが可能である。例えば、ステップi)において実質的に円筒形の表面、または実質的に円錐形の表面を検査することは、少なくとも3つの環状に離間した異なる位置(すなわち、軸の周りに離間した異なる位置)での、好ましくは、環状に離間した少なくとも4つの異なる位置での、実質的に円筒形の表面、または実質的に円錐形の表面(例えば、基準特徴部の)の見かけの半径の変化を測定することを備えることが可能である。
【0025】
本発明の別の態様によれば、a)平面を有するディスクスケール部材のスケール軸であって、その上に、スケール軸を中心として延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部が設けられており、平面に対して垂直に延在するスケール軸と、b)ディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸であって、回転軸とディスクスケール部材のスケール軸とは実質的に平行である回転軸との間のオフセットを決定する方法が提供される。当該方法は、i)ディスクスケール部材の外周(例えば、最外周)/エッジ(例えば、外周エッジ)を検査することによって、スケール軸と回転軸との間のオフセットを決定することを備える。本発明の第1の態様に関連する上述した特徴部は、本発明のこの態様にも適用できる。したがって、外周/エッジは、上述の基準特徴部を備えることが可能である。例えば、ステップi)における外周/エッジを検査することは、環状に離間した異なる位置(すなわち、軸の周りに離間した異なる位置)、好ましくは環状に離間した少なくとも4つの異なる位置において、少なくとも3つの外周/エッジ(例えば、基準特徴部の)の見かけの半径の変化を測定することを備えることが可能である。
【0026】
本発明の別の態様によれば、ディスクスケール部材の平面上に、平面に垂直に延在するスケール軸を中心として延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部を形成するステップを備える、ディスクスケール部材を製造する方法が提供され、形成プロセスは、スケール軸が、ディスクスケール部材を備えた軸方向に延在する表面が延在するその中心を中心とする基準軸と同軸となるように制御される。この方法でスケールを製造するということは、スケール軸が、ディスクスケール部材が設けられた軸方向に延在する表面を測定するだけで、オペレータ/設置者によって、容易に見つけられることが可能であることを意味する。本発明の第1の態様に関連する上述した特徴部は、本発明のこの態様にも適用できる。特に、例えば、軸方向に延在する表面が、ディスクスケール部材の外周面(例えば、最外周面)、例えば、スケール特徴部が形成される基板の外周面(例えば、最外周面)であることが好ましい場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
次に、本発明の実施形態を、単なる例として、以下の図面を参照して説明する。
【0028】
図1a】ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定するための従来技術の構成の平面図および側面図である。
図1b】ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定するための従来技術の構成の平面図および側面図である。
図2a】本発明の第1の実施形態による、ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定するための構成の等角図である。
図2b】本発明の第1の実施形態による、ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定するための構成の等角図である。
図3】本発明の第2の実施形態による、ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定するための構成の側断面図である。
図4】本発明の第3の実施形態による、ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定するための構成の側断面図である。
図5】本発明の第3の実施形態による、ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定するための構成の側断面図である。
図6】本発明の第4の実施形態による、ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定するための構成の等角図である。
図7】本発明の第5の実施形態による、ディスクスケール部材のスケール軸とディスクスケール部材が取り付けられる機械部品の回転軸との間のオフセットを決定および調整するための構成の等角図である。
図8a】ナッジブロックを介して調整可能なディスクスケール部材の構成の平面図および等角図である。
図8b】ナッジブロックを介して調整可能なディスクスケール部材の構成の平面図および等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図2aを参照すると、図2aにおいてAとラベル付けされた回転軸の周りを回転するように構成された機械(図示せず)の回転部分104に取り付けられたディスクスケール部材102が示されている。ディスクスケール部材102は、図2aにおいてBとラベル付けされたスケール軸を中心とし、その周りを環状に連続的に延在するスケールを画定する一連のスケール特徴部106を備える。したがって、示されるように、スケールは、実質的に円形であり、スケール軸の周りに一定の半径を有する。スケール特徴部106は、ディスクスケール部材102の平面105上に形成され、示されるように、スケール軸Bは、平面105に対して垂直に延在する。示された実施形態では、平面105は、円形の外周/周縁を有する平面本体/ディスクによって提供される。スケール特徴部106は、各特徴部が半径方向に延在するという点で「半径方向に延在する」。したがって、スケール特徴部106は、互いに平行ではなく、むしろ半径方向に扇状に広がっている。使用中、読み取りヘッド110は、機械の別の部分(図示せず)に取り付けられ、スケール特徴部106を読み取るように配置され、ディスクスケール102と読み取りヘッド110との間の相対運動を決定して外部装置に報告できるようにすることが可能である。
【0030】
示めされた例では、ディスクスケール部材102は、機械の円筒シャフト104に取り付けられた状態で示されている。ディスクスケール部材102は、平面本体を備え、特に、ディスクスケール部材102は、この実施形態では、厚さ約1mmのステンレス鋼からなる薄いシート材料から形成される。補足すると、この実施形態におけるディスクスケール部材4の直径は、約50mmである。理解されるように、本発明はそのようなサイズ、または形状のディスクに限定されず、そのような寸法は、ディスクの一例としてのみ与えられる。また、ディスクスケール部材は、アルミニウムのような他の金属材料、またはガラスのような非金属材料から作製することも可能である。
【0031】
記載された実施形態では、ディスクスケール部材は、ディスクスケール部材102の平面本体を通って延在する中心穴107を有し、中心穴107の直径は、穴107を通って延在するシャフトの部分104’よりも大きくなるようにオーバーサイズである。これは、ディスクスケール部材102の半径方向位置を調整できるように、ディスクスケール部材102とシャフトの部分104’との間に十分に大きな遊びがあることを意味する。理解されるように、中心穴を持たないディスクを含む他の構成も可能であり、および/またはディスクスケール部材102を機械/回転部分104の平坦な端面に取り付けることが可能である(例えば、突出部104’が無くてもよい)。
【0032】
図2aに示すように、ディスクスケール部材102は、スケール軸Bが回転軸Aからオフセットされている最初の半径方向位置で機械の回転部分104に取り付けられている。本発明によれば、オフセットは、ディスクスケール部材102の軸方向に延在する外周面109を検査/相互作用するセンサ、この実施形態では、ダイヤルテストインジケータ(DTI)120を使用して測定される。一実施形態では、DTI120は、ディスクスケール部材102が少なくとも1回転する間、その軸方向に延在する外周面109を連続的に検査し、少なくとも回転のフルスキャンからのDTI出力のフーリエ変換(例えば、離散フーリエ変換や高速フーリエ変換)を実行することが可能である。この実施形態では、軸方向に延在する外周面109の幾何学的中心軸は、スケール軸Bと同軸であることが既知であり、したがって、フーリエ変換によって得られる基本(空間)周波数の大きさは、回転軸Aに対するスケール軸Bのオフセットの大きさを直接示す。また、基本(空間)周波数の位相は、回転軸Aの周りのオフセットの回転位置を直接示す。それゆえ、フーリエ変換によって得られる基本(空間)周波数の位相と大きさは、軸Aと軸Bのオフセットを表すベクトルを決定するために使用されることが可能である。したがって、オペレータは、軸の偏心/オフセットを低減するために、フーリエ変換によって得られた基本周波数(すなわち、オフセットを表すベクトル)の位相と大きさを使用することによって、ディスクスケール部材の半径方向の位置をどの方向にどの程度調整するかを決定すること、が可能である。代替的に、この情報は、エラーマップを作成するために使用することも可能である。例えば、誤差関数および/またはマップ(例えば、ルックアップテーブル)が、決定されたオフセット/偏心ベクトルから作成され、読み取りヘッドの出力を修正するために、その後のスケールの読み取り中に使用されることが可能である(例えば、測定信号が読み取りヘッドを出る前または後のいずれか)。
【0033】
別の実施形態では、スケール軸Bと回転軸Aのオフセット(例えば、偏心)は、少なくとも3つの円周方向に離間した位置で取得され、好ましくは、少なくとも4つの円周方向に離間した位置で取得され、それらは円周上の等角度の位置であることが好ましい、DTI120の出力から決定することが可能である。測定は、ディスクスケール部材が回転している間、または静止している間に行うことが可能である。
【0034】
軸Aと軸Bの間のオフセットの正確な値を計算するのではなく、オペレータが、ディスクスケール部材が回転する際に、回転方向に固定された位置に保持されるDTI120の出力を監視するだけで、オフセットの存在とオフセットの範囲に関する情報を判断することが可能である。ディスクスケール部材102の円周上の異なる位置におけるDTIの出力の変化は、軸Aと軸Bとの間にオフセットがあることを示し、オフセットの程度は、異なる円周位置におけるDTI120の出力の変動の程度に影響を与えるであろう。オペレータは、このような情報を使用して、オフセットを減らすために半径方向の位置を調整する方法を判断することが可能である。調整後、オペレータは、ディスクスケール部材102を回転させ、ディスクスケール部材が回転する際のDTI120の出力を再度監視することによって、オフセットが残っているかどうかをチェックすることが可能である。
【0035】
別の実施形態では、オペレータは、ディスクスケール部材102の軸方向に延在する表面を異なる(静止)回転方向で、例えば、軸Aを中心として0°、120°、240°(または、例えば、軸Aを中心に0°、90°、180°、270°)に配置されるディスクスケール部材102により測定するために、DTI120を使用することが可能である。測定値に差異がある場合、オペレータは、回転軸Aとスケール軸Bとの間にオフセットがあると推測し、それらの異なる回転方向で、DTI120によって提供される読み取り値の差を最小限に抑えるために、スケールディスク部材102の半径方向位置を調整することが可能である。ディスクの軸方向に延在する表面が完全な円形ではない場合、製造業者がスケール作成前にディスクのセンタリングを支援するための測定を行うために使用したのと同じ点でDTI測定を取得することが有益である可能性がある。このような点は、製造業者によってディスク上にマークされている可能性があり、例えば、基準は、製造業者により使用される位置に配置することが可能である。
【0036】
オペレータが、オフセットが十分に小さいことに満足したとき、次に、オペレータは、例えば、ボルト、クランプ、および/または接着剤を介して、シャフト104に対するディスクスケール部材102の半径方向位置を固定することが可能である。
【0037】
説明される実施形態では、示されるDTI120は、アナログディスプレイを備えるが、理解されるように、必ずしもそうである必要はなく、DTIは、デジタルディスプレイを備えることが可能である。さらに、理解されるように、オフセットを決定するために、DTIを使用する必要はなく、異なるタイプのセンサを使用することも可能である。オフセットを決定するための適切なセンサの例には、静電容量プローブ、レーザープローブ、線形可変差動変圧器(LVDT)が含まれる。したがって、接触センサを使用することも可能であるし、非接触センサを使用することも可能である。上述のDTI120と同様に(例えば、半径方向の位置を自動的に調整するため、ディスクスケール部材の半径方向の位置を調整する方法をオペレータに指示するため、および/または、以下でより詳細に説明するように、後の誤差修正目的のためにオフセットを保存するため)、センサの出力は、センサユニットによって提供されるディスプレイに表示され、または、代替/追加として、センサは、その出力を別のデバイス/ソフトウェアに送信し、出力を表示したり、それに応じて、出力を保存および/または処理したりすることも可能である。
【0038】
上述の実施形態では、スケール軸Bと、ディスクスケール部材102の外周/外周面109(本実施形態では最外周/外周面)が中心となり、周囲を軸方向に延在する幾何学的な軸とが同軸であると仮定する。ディスクスケール部材102の製造は、これが確実に当てはまるように構成することが可能である。ただし、必ずしもそうである必要はない。例えば、スケール軸Bと、ディスクスケール部材102の外周面109が、その中心を中心として周囲に延在する幾何学的軸とは、オフセット/偏心することが可能である。このような場合、スケール軸Bと、ディスクスケール部材102の外周面109が中心となり、周囲に延在する幾何学的軸との間のオフセット/偏心が既知である限り、ディスクスケール部材102の外周面109は、スケール軸Bを決定するために依然として使用することが可能である。例えば、上述の実施形態に関連して説明した方法を使用して得られた偏心/オフセット値の位相および大きさは、i)軸方向に延在する表面に対するスケールと、ii)回転軸に対して軸方向に延在する表面の合計の複合偏心である測定ベクトルを提供する。軸方向に延在する表面ベクトルのスケールが既知の場合(例えば、これは、製造業者によって確立されて顧客に提供されるか、または製造業者が自分で測定することが可能である。)、次に、スケールから回転軸までのベクトルは、測定されたベクトルから既知のベクトルを減算することによって、計算することが可能である。上記の特許文献5には、幾何軸とスケール軸Bとの間に既知のオフセットがあるときに、スケール軸Bと回転軸との間のオフセットを決定するために使用できる追加/代替技術も記載されている。
【0039】
説明される実施形態では、DTI120/変位センサは、ディスクスケール部材102の外周/外周面109と相互作用する/それを検査する。しかしながら、必ずしもそうである必要はなく、例えば、DTI120/変位センサは、ディスクスケール部材102を備えた別の軸方向に延在する表面と相互作用する/それを検査することが可能である。例えば、図3を参照すると、スケール軸Bを中心とし、スケール軸Bの周りに環状に延在する軸方向に延在する外周円筒面206を有するリング状直立部204を備えるディスクスケール部材202が示されている(しかし、図2に関連して上述したものと同様に、直立部分204の軸方向に延在する外周円筒面206が、その中心を中心とし、その周囲に延在する軸は、スケール軸Bからオフセットすることが可能である)。この実施形態では、非接触センサ220、例えば、静電容量センサは、スケール軸Bと回転軸Aとの間のオフセットを決定するために、直立部分204の軸方向に延在する外周円筒面206を検査/相互作用させるために使用される。
【0040】
図4は、図4のディスクスケール部材302が、スケール軸Bを中心として周囲に延在する軸がスケール軸Bからオフセットされる可能性がある、軸方向に延在する外周円錐面306を有するリング状直立部304を備えるという点で、図3の実施形態と同様である、別の実施形態を示すが、軸方向に延在する外周円筒面306が、スケール軸/回転軸に平行に延在していない点で、図3の実施形態とは異なる。しかし、それにもかかわらず、センサ(図4に示す実施形態では、接触変位センサ320)が、回転軸の周りの異なる回転位置での半径方向の偏差を測定するため、軸方向に延在する外周面306を検査/相互作用するのに十分な軸方向の延在を有する。理解されるように、図3および図4の実施形態では、センサ220、320は、直立特徴部204、304の対向する内面を検査するように配置することも可能であるが、通常は、直立特徴部の外面を検査する方がより便利である。
【0041】
上述の実施形態では、センサは、スケール特徴部が設けられるディスクスケール部材の一部と一体的に形成されたディスクスケール部材の一部を検査/相互作用する(すなわち、センサによって検査される部品の表面とスケール特徴部が設けられている部品は、単一の部品である)。しかしながら、必ずしもそうである必要はない。例えば、図5に示すように、スケール特徴部406が設けられたディスクスケール部材402は、スケール特徴部406が設けられたディスクスケール部材402とは別に形成されたハブ410に取り付けることが可能である。ディスクスケール部材402およびハブ410は、異なる材料から形成することが可能である。この実施形態では、センサ、例えば、DTI120は、ハブ410上に設けられた軸方向に延在する表面、例えば、この実施形態に示されるように、その最外周面412を検査するように構成されている。例えば、このような場合、スケール軸Bは、軸方向に延在する外周面412の中心および周囲に延在する軸と同軸であることが好ましい。そうでない場合には、上で説明したように、スケール軸Bと軸方向に延在する外周面412に関して中心となる軸との間のオフセットに関する知識は、軸方向に延在する外周面412を検査/相互作用させることによって、スケール軸Bと回転軸Aとの間のオフセットを決定するために使用することが可能である。
【0042】
上述の実施形態では、センサ120、220、320は、静止して保持され、ディスクスケール部材102は、回転され、センサの出力は、ディスクスケール部材120の複数の異なる回転位置における軸方向に延在する外周面の半径方向位置を決定するために使用され、センサの出力からスケール軸Bと回転軸Aの間のオフセットを決定することが可能である。代替の実施形態では、ディスクスケール部材102(およびシャフト103/機械の回転部分)は、静止状態に保持され、軸方向に延在する外周面の半径方向位置の測定が、異なる外周位置で行われる。例えば、図6に示すように、測定プローブ420は、軸方向に延在する外周面109の半径方向位置の測定値が得られるディスクスケール部材102の周囲の異なる位置に移動することが可能であり、それからスケール軸Bと回転軸Aの間のオフセットを決定することが可能である。このような実施形態では、測定プローブ420は、座標測定機(CMM)、例えば、ロボットアームまたはポータル型CMMのような位置決め装置に取り付けることが可能である。さらに、回転軸Aが、まだ既知でない場合、当該方法は、例えば、回転軸Aを決定するために、同じ測定プローブ420を使用してシャフト104を測定するステップを備えることが可能である。これは、回転軸Aがシャフト104の幾何学的中心と同軸であると仮定している(そのような仮定ができない場合、回転軸Aは、異なる回転位置でシャフト104の測定を行うことによって確立することが可能である。)。
【0043】
記述された実施形態では、ディスクスケール部材102は、光学スケール特徴部106を備えるが、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、ディスクスケール部材102は、磁気的、誘導的、または容量的スケール特徴部を備えることが可能である。さらに、記述された実施形態では、読み取りヘッド110およびディスクスケール部材102は、ディスクスケール部材102からの光の反射を介して機能するように構成されている(読み取りヘッド110からの光が、スケールによって読み取りヘッドに向かって反射されるという点、および読み取りヘッドの照明構成要素とスケール検出構成要素が、スケールの同じ側にあるという点で)。しかし、これは、必ずしもそうである必要はなく、読み取りヘッド110およびディスクスケール部材102は、ディスクスケール部材102からの光の透過を介して機能するように構成することも可能である(この場合、読み取りヘッドの光源とセンサは、ディスクスケール部材102の反対側にあり得る。)。
【0044】
この実施形態では、ディスクスケール部材102は、インクリメンタルスケールディスクであり、スケール特徴部106は、スケールディスク4と読み取りヘッド10の相対位置/移動のカウントを提供するために、読み取りヘッド110が読み取ることが可能である一連の周期的に配置された特徴部を備える。インクリメンタルエンコーダ装置の分野では一般的であるように、ディスクスケール部材102は、読み取りヘッド110がディスクスケール部材102上の基準位置を識別することが可能であるように、基準マークが読取りヘッドを通過するときに、読み取りヘッド110によって読み取ることが可能である1つ以上の基準マークを備えることが可能である。もちろん、ディスクスケール部材102は、絶対スケールディスクであってもよく、スケール特徴部106は、ディスクスケール部材102の絶対位置が決まるように、一連の固有の絶対位置を画定するように配置することが可能であり、読み取りヘッド110は、ディスクスケール部材102と読み取りヘッド110の相対運動を必要とせず、起動時に決定することが可能である。
【0045】
上述の実施形態では、ディスクスケール部材は、中心穴107を有する。理解されるように、他の実施形態では、ディスクスケール部材102は、中心穴を有さない可能性があり、および/またはディスクスケール部材102を通って延びるシャフトの部分104’が存在しない可能性がある。
【0046】
さらに、別の実施形態では、ディスクスケール部材102は、中心穴107の内周の周りに配置された1つ以上の半径方向弾性部材(例えば、撓み部、例えば、一体型撓み部)を有し得、これらの部材は、中心穴を通って延在するシャフトの部分104’と係合するように構成されている。このような半径方向弾性部材は、ディスクスケール部材102がシャフト104に取り付けられたときに、半径方向に変位するように、半径方向弾性部材によって画定される内径がシャフトの部分104’の直径よりも小さくなるように構成することが可能である。それにより、ディスクスケール部材は、自動的に初期デフォルト半径位置に適用されることとなる。このような実施形態の例を、図7および図8に示す。
【0047】
図2~6に関連する上述した実施形態では、半径方向の調整は、オペレータが機械のシャフト/回転部分104に対して、ディスクスケール部材102、202、302、402をスライドさせることによって行われる。これは、例えば、素手によって、またはオペレータが手動で操作するツールを使用することによって、またはセンサ120、220、320の出力に基づいて、そのような調整を行う自動装置(例えば、ロボットアーム)によって行われる。図7は、シャフト104に対するディスクスケール部材502の半径方向の調整を支援するための例示的な構成を示す。ディスクスケール部材502は、ディスクスケール部材502の中心穴507を通って延在するシャフトの部分104’と係合するように構成された複数の撓み部516a、516b、516c、516dを備える。撓み部516は、穴507の有効直径が、撓み部516が取り付けられるシャフトの部分104’の直径よりわずかに、この実施形態では、約20~40μmだけ小さくなるような形状およびサイズとされる。撓み部516は、半径方向に弾性的で柔軟である。したがって、撓み部516は、「半径方向ばね部材」と呼ぶことが可能である。穴507の有効直径は、ディスクスケール部材502が取り付けられるシャフトの部分104’の直径よりわずかに小さいため、ディスクスケール部材502は、シャフトの部分104’に圧入されなければならない。したがって、ディスクスケール部材502がシャフトの部分104’に押し込まれると、それらの間に自然/デフォルト/自動的な緊密な嵌合が存在する。これは、ディスクスケール部材502をシャフトの部分104'に力嵌めするプロセスにより、撓み部516が半径方向に撓み、撓み部516の材料の弾性が、シャフトの部分104'に反力を引き起こすためである。これは、それらが半径方向に沿ってシャフトの部分104’内に付勢され、それによって、ディスクをシャフト6に係合し、半径方向に(所定の/デフォルトの半径方向位置に)配置することとなる。
【0048】
4つの撓み部516が公称値上同一であると仮定すると、それらは、ディスクスケール部材502がシャフトの部分104’の公称値上の中心にあることを保証する必要がある。換言すれば、ディスクスケール部材502をシャフトの部分104’に嵌合する力の作用により、ディスクスケール部材は、シャフトの部分104’上で「自己中心合わせ」されるはずである。しかしながら、ディスクスケール部材502の自己調心能力に依存することは十分ではない可能性があり、および/または実際の回転軸Aが、スケールの部分104’の物理的中心軸と異なる可能性がある。したがって、このような自己調心機能があっても、スケール軸Bと回転軸Aの間のオフセットを決定できると有利になる可能性がある。
【0049】
図7のステップ(a)から(d)に概略的に示されているように、オペレータは、スケールディスク部材502がシャフトの部分104’と実質的に同軸となるように、スケールディスク部材502を、略位置合わせすることによって、シャフト104上へのスケールディスク部材502の設置を開始することが可能であり、次に、シャフトの部分104’がスケールディスク部材502の穴507を通って突出するように、スケールディスク部材502をシャフトの部分104’上に実質的に軸方向に沿って押し始めることが可能である。この実施形態では、図7のステップ(b)に示すように、設置者は、スケールディスク部材502の下面がレッジ103上に静止するまで、シャフトの部分104’に沿ってスケールディスク部材502を押し続ける。
【0050】
次に、設置者は、ステップ(b)でスケールディスク部材502の半径方向位置を確認することが可能である。上述の実施形態に従って、これは、例えば、ディスクが回転する際にディスクの外縁にあるダイヤルテストインジケータ(DTI)120を使用して、機械的に達成することが可能である。任意選択で、非接触、例えば、光学的方法を使用することが可能である。このステップの結果、スケール軸Bと回転軸Aとの間のオフセットが決定されると、次に、設置者は、ステップ(c)で、スケールディスク部材502の半径方向位置を微調整することが可能である。これは、1つ以上の調整ボルト528を使用することによって、この実施形態の中で、達成される。調整ボルト528は、ねじ部529とテーパーヘッド531を備える。示されるように、第1の調整ボルト528は、調整ボルトのねじ部分がシャフト104のレッジ103のねじ穴132a内に受け入れられるように、第1の撓み部516aの空隙を通して受け入れることが可能である。通常のねじ部材と同様に、調整ボルト528aは、その軸方向の位置を変更するために、回転させることが可能である。したがって、調整ボルト528aが、ねじ穴32内に調整ボルト528aをさらに貫通させるために、さらに回転させられる際、テーパーヘッド31は、増大する力で撓み部516aを押すであろう。撓み部516aがシャフト104の部分104’に突き当てられていることを考慮すると、撓み部516aは、所定の位置に固定されており動くことができないので、テーパーヘッド31は、ディスクスケール部材502の主環状本体を(この例ではY次元で)動かすことになるであろう。
【0051】
環状本体5が所望の半径方向位置にあるとき、図7のステップ(d)に示すように、調整ボルト528は、ディスクスケール部材502を所定の位置に保持するために、所定の位置に残すことが可能である。また、この場合、図(c)、(d)に示すように、スケールディスク部材502をクランプするのに役立つように、他の撓み部(516b、516c、516d)の空隙内にさらなるボルト528a(調整ボルト528と同一であり得る)を配置することが有利である可能性がある。その場合、締めすぎると、撓み部(516a、516b、516c、516d)が互いに噛み合ったり、および/または環状本体を歪ませたりすることになるため、締めすぎないことが望ましい。さらに(または、代替的に)、ディスクスケール部材502の半径方向位置は、接着剤および/または異なる機械的締結具のような他の手段によって、所定の位置に固定することが可能である。例えば、1つ以上の補助締結穴509がディスクスケール部材502上に設けられることが可能であり、補助締結穴509を介して、クランプボルトのような締結具を通し、ディスクスケール部材502を所定の位置にクランプするように、(例えば、レッジ103の穴を介して)シャフトに固定することが可能である。その後、ボルト528(a)は、取り外すことが可能である。
【0052】
図8aおよび8bは、代替的な実施形態を示している。上述の他の実施形態と同様に、この実施形態のディスクスケール部材602は、平面と、スケール特徴部が平面の表面の一方に設けられた環状本体と、ディスクスケール部材がシャフト104の部分104’の上に取り付けられるときに、シャフト104の部分104’が穴607を通って延在することが可能である、ディスクスケール部材602の中央を通る穴607と、を備える。ディスクスケール部材602は、平面ディスクスケール部材を備えた平面内に設けられ、穴607の縁の周囲に等間隔に離間した3対の半径方向に弾性のある片持ちばね部材608a、608b、608cを備える。撓み空隙は、片持ちばね部材の各対の直後に設けられている。
【0053】
図7の実施形態と同様に、撓みペア608は、穴607の有効直径が、撓みペア608が取り付けられるシャフトの部分104’の直径よりわずかに小さくなるような形状およびサイズとされる。したがって、ディスクスケール部材602は、シャフトの部分104’に圧入されなければならず、これにより、撓み部がそれぞれの撓み空隙内に撓むことになる。ディスクスケール部材602が、シャフトの部分104’上に圧入されると、それらの間には、自然/デフォルト/自動的な緊密な嵌合が存在する。
【0054】
図7の実施形態とは対照的に、撓み空隙は、ディスクの半径方向位置を調整することが可能である調整ボルトを受け入れるように構成されていない。対照的に、図8aに示される実施形態には、1つ以上のナッジブロック620a、620bが設けられている。これらは、これらを通って延在するねじ穴622と、シャフトの部分104’とディスクスケール部材602の穴607の内縁との間の隙間に嵌合するために十分に小さい厚さを有するリップ624の形態の当接特徴部と、を有する剛性ブロックである。ディスクスケール部材602の半径方向の位置を調整するために、ナッジブロック620は、そのリップ624がシャフトの部分104’とディスクスケール部材602の穴607の内縁との間の隙間に受け入れられるように配置され、次に、グラブねじ626が、ねじ穴622に挿入され、それが、シャフトの部分104’と係合するまで工具628を介して締め付けられる。この時点で、工具を介してグラブねじ626をさらに締め付けると、ナッジブロックが半径方向外側に押され、その結果、リップ624がディスクスケール部材602を半径方向外側に押す。理解されるように、示された実施形態では、2つのナッジブロック620a、620bが、ディスクスケール部材602およびシャフトの部分104’と所定の位置に/係合して示されている。第3のナッジブロック620cは、その様々な部分、グラブねじ626および工具628を示すために、ディスクスケール部材620およびシャフトの部分104’と係合していない状態で示されている。1つのナッジブロックのみが、所望の半径方向の調整を行うために必要とされる可能性がある。オプションで、所望するなら、3つのナッジブロックを使用することが可能である。理解されるように、図8aおよび図8bに示されるようなナッジブロックは、図1から図6のディスクスケール部材102、202、302、402の半径方向位置を調整するために使用することも可能である。
【0055】
上述の実施形態では、オフセットが位置を調整することによって低減される。補足すると、出願人のディスクスケール部材が使用される可能性が高い用途では、50μmを超える調整が必要になる可能性は低く、調整の範囲は、数ミクロン程度の小さなものである可能性があることに注意が必要である。決定されたオフセット/偏心は、誤差補正の目的に使用することが可能であることにも注意すべきだ。例えば、エラー関数および/またはマップ(例えば、ルックアップテーブル)が、決定されたオフセットから作成され、読み取りヘッドの出力を修正するために、その後のスケールの読み取り中に使用することが可能である(例えば、測定信号が読み取りヘッドを出る前または後のいずれか)。
【0056】
上述の実施形態では、軸方向に延在する表面は、スケール軸に平行な基準軸を中心として、その周りに延在する環状に延在する基準特徴部上に設けられる。図2、6、および7の実施形態では、基準特徴部は、平面105を提供するディスクスケール部材102、502の部分/本体を備え、軸方向に延在する表面は、その外周縁109を備える。図3および図4の実施形態では、基準特徴部は、スケール軸に平行な基準軸を中心として、その周りに延在する環状に延在する直立部204、304を備える。
【0057】
代替的な実施形態では、軸方向に延在する表面は、上述したような連続した環状に延在する表面を備える必要はない。例えば、ディスクスケール部材は、オフセットを決定するために検査することが可能である軸方向に延在する表面を提供する少なくとも3つの環状に離間した個別の直立特徴部を備えることが可能である。別の代替的な実施形態では、ディスクスケール部材の外周面は、一定の半径を有する必要はないが、外周面の幾何学的形状が既知であれば、その軸方向に延在する表面を、スケール軸と回転軸との間のオフセットを決定するために検査することも可能である。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
【国際調査報告】