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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】IRAK4分解剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20240206BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P7/00
A61P35/02
A61P37/06
A61P29/00
A61P17/00
A61P29/00 101
A61P1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548691
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022070664
(87)【国際公開番号】W WO2022174269
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/149,625
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520099771
【氏名又は名称】カイメラ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロン, ハオジン
(72)【発明者】
【氏名】エナーソン, ブラッド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は、対象における、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および血液悪性疾患を処置する方法に関する。IRAK4分解剤である、本開示のある特定の薬物動態パラメータを達成する、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(化合物A)の投与は、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および血液悪性疾患を処置する際に、特定の利点を有することが見出された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、
血漿中の化合物AのCmaxが、最大で約561ng/mLに到達し、
化合物Aが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
方法。
【請求項2】
血漿中の化合物Aの前記Cmaxが、約500ng/mL~約561ng/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
血漿中の化合物Aの前記Cmaxが、約450ng/mL~約550ng/mLである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
血漿中の化合物BのCmaxが、最大で約288ng/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
血漿中の化合物Bの前記Cmaxが、約260ng/mL~約288ng/mLである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
血漿中の化合物Bの前記Cmaxが、約240ng/mL~約260ng/mLである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
血漿中の化合物CのCmaxが、最大で約265ng/mLに到達し、
化合物Cが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((R)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
血漿中の化合物Cの前記Cmaxが、約240ng/mL~約265ng/mLである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
血漿中の化合物Cの前記Cmaxが、約220ng/mL~約240ng/mLである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物Aが、約10mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物Aが、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kgおよび約90mg/kgからなる群より選択される用量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、
血漿中の化合物AのAUC0-24が、最大で約11700ng*hr/mLに到達し、
化合物Aが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
方法。
【請求項13】
血漿中の化合物Aの前記AUC0-24が、約11,000ng*h/mL~約11,700ng*h/mLである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
血漿中の化合物Aの前記AUC0-24が、約10,000ng*h/mL~約11,000ng*h/mLである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
血漿中の化合物BのAUC0-24が、最大で約6090ng*h/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
血漿中の化合物Bの前記AUC0-24が、約5500ng*h/mL~約6090ng*h/mLである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
血漿中の化合物Bの前記AUC0-24が、約5,000ng*h/mL~約5500ng*h/mLである、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
血漿中の化合物CのAUC0-24が、最大で約5620ng*h/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((R)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
血漿中の化合物Cの前記AUC0-24が、約5000ng*h/mL~約5620ng*h/mLである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
血漿中の化合物Cの前記AUC0-24が、約4500ng*h/mL~約5,000ng*h/mLである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
化合物Aが、約10mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される、請求項12から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
化合物Aが、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kgおよび約90mg/kgから選択される用量で投与される、請求項12から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
化合物AのTmaxが、約4時間~12時間で達成される、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記自己免疫疾患/自己炎症性疾患が、皮膚、リウマチ性および胃腸管の自己免疫疾患/自己炎症性疾患から選択される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記自己免疫疾患/自己炎症性疾患が、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される、皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患である、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2月15日出願の米国仮出願第63/149,625号の利益を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、IRAK4分解剤である、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(化合物A)を投与する方法、および自己炎症性疾患/自己免疫疾患および血液悪性疾患を処置するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ユビキチン-プロテアソーム経路(UPP)は、重要な調節因子タンパク質を調節して、ミスフォールディングされたタンパク質または異常なタンパク質を分解する重要な経路である。UPPは、複数の細胞過程の中核をなし、欠陥がある場合、またはバランスを欠く場合、様々な疾患の病因をもたらす。E3ユビキチンリガーゼの作用により、特定のタンパク質基質へのユビキチンの共有結合が達成される。
【0004】
UPPは、細胞周期の調節、細胞表面受容体およびイオンチャネルのモジュレーション、ならびに抗原提示を含めた、様々な基礎的な細胞過程において重要な、短命のおよび調節性タンパク質の分解に重要な役割を果たす。インターロイキン-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)は、toll様受容体(TLR)およびインターロイキン(IL)-1受容体によるシグナル伝達を媒介する先天性免疫に関与する、多タンパク質複合体である、ミッドソーム(myddosome)の重要な構成成分である(Patra and Choi, Molecule 2016, 21(11):1529)。IRAK4タンパク質は、皮膚、リンパ組織、骨髄、胃腸(GI)管および肺を含めた、複数の様々な組織のタイプにわたり普遍的に発現される。IRAK4の機能は、そのキナーゼ活性とその足場特性の両方に依存しており、この機能は、TLRまたはIL-1Rエンゲージメントおよび骨髄分化因子88(MyD88)の活性化後の、ミッドソーム複合体の集合に必要である(De Nardo et al., J. Bio. Chem. 2018, 293(39):15195;Cushing et al., J. Bio. Chem. 2014, 289(15):10865)。NF-kB活性化は、IRAK4の足場機能に特に依存し、ミッドソーム活性化によって媒介される細胞増殖ならびに炎症誘発性サイトカインおよびケモカイン産生の重要な駆動因子である。
多数の皮膚疾患、リウマチ性疾患、およびGI自己炎症性疾患/自己免疫疾患の適応症が存在し、その病因は、IL-1ファミリーのサイトカインおよびTLR刺激を含み、この場合、これらの経路に対するIRAK4分解剤の多面的作用が、現行の処置選択肢よりも大きな利点をもたらすことができる。さらに、IL-1R/TLR経路を標的とする臨床的概念実証が存在する複数の皮膚適応症があるが、一層効果的な治療法に対する、未だ満たされていない必要性は依然として高い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】PatraおよびChoi, Molecule(2016)21(11):1529
【非特許文献2】De Nardoら、J.Bio.Chem.(2018)293(39):15195
【非特許文献3】Cushingら、J.Bio.Chem.(2014)289(15):10865
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
IRAK4分解剤である、本開示のある特定の薬物動態パラメータを達成する、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(化合物A)の投与は、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および血液悪性疾患を処置する際に、特定の利点を有することが見出された。例えば、最も感受性の高い種であるイヌにおける無毒性量(NOAEL)は、60mg/kg/日であることが見出されており、これは、投与期の42日目に、化合物Aの場合、それぞれ、561ng/mLおよび11,700ng*hr/mL;化合物Bの場合、それぞれ、288ng/mLおよび6090ng*hr/mL;および化合物Cの場合、それぞれ、265ng/mLおよび5620ng*hr/mLとなる観察された平均の性別混合した最高血漿中濃度(Cmax)および濃度-時間曲線下面積(AUC0-24)値に相当する。
【0007】
したがって、本方法および使用の一実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物AのCmaxが、最大で約561ng/mLである、方法が提供される。
【0008】
本方法および使用の一実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物BのCmaxが、最大で約288ng/mLである、方法が提供される。
【0009】
本方法および使用の一実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物CのCmaxが、最大で約265ng/mLである、方法が提供される。
【0010】
本方法および使用の一実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物AのAUC0-24が、最大で約11700ng*hr/mLである、方法が提供される。
【0011】
本方法および使用の一実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物BのAUC0-24が、最大で約6090ng*hr/mLである、方法が提供される。
【0012】
本方法および使用の一実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物CのAUC0-24が、最大で約5620ng*hr/mLである、方法が提供される。
【0013】
化合物A、化合物Bまたは化合物CのAUC0-24を達成する一実施形態では、化合物Aは、約10mg/kg~約200mg/kgの用量で投与され、例えば、化合物Aは、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kgおよび約90mg/kgから選択される用量で投与される。
【0014】
一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約4時間~約12時間、例えば、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11または約12時間で達成される。
【0015】
一部の態様では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患は、皮膚、リウマチ性および胃腸管の自己免疫疾患/自己炎症性疾患から選択される。一部の態様では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される、皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患である。
【0016】
本開示のこれらの態様および他の態様が、以下の詳細な説明を参照すると明白になろう。この目的のため、ある特定の背景情報および手順を一層詳細に記載する様々な参考文献が本明細書に記載されており、このことにより、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
1.本発明のある特定の実施形態の一般的な記載
化合物Aは、IRAK4およびE3リガーゼであるCRBNを標的として、ユビキチン-プロテアソーム系を介してIRAK4の選択的分解を媒介する、経口投与される、強力で選択性の高いヘテロ二官能性低分子治療剤である。
【0018】
化合物Aは、化学リンカーによって結合された、CRBN標的化リガンドおよびIRAK4標的化リガンドから構成される。化合物Aは、CRBNとIRAK4の両方への非共有結合によって三元複合体を形成し、E3リガーゼ(CRBN)をIRAK4に近接させ、この段階でそのネオ基質として働く。この近接により、IRAK4のユビキチン化およびプロテアソーム分解がもたらされて、最終的に化合物Aが放出され、化合物Aは、次に、さらなるラウンドの三元複合体形成およびIRAK4分解を自由に媒介する。
【0019】
in vitroおよびin vivo研究により、化合物Aは、その意図される標的であるIRAK4を選択的に分解し、疾患関連性炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの下流での産生を阻害することができることが確認された。in vitroでは、化合物Aが種にわたってIRAK4を分解する能力は、マウスおよびラットの脾臓細胞、ならびにイヌ、サルおよびヒトのPBMCの研究において確認され、すべての種にわたり、同様のDC50値が観察された(<10nM)。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、全血およびOCI-LY10細胞における一連のin vitro研究にわたり、化合物Aは、IRAK4レベルをロバストに低下させて、DC50値は一貫して低いnMの範囲となった。複数のin vitroサイトカイン放出アッセイにより、化合物Aが、PBMCにおいて、TLRアゴニスト(リポポリサッカライドおよびR848)およびIL-1β誘導性炎症誘発性サイトカイン産生(IL-6、TNF-α、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子およびIL-8を含む)を阻害する能力が確認され、IC50値はやはり、低いnM範囲にあった。最後に、化合物Aにより処置されたPBMCの質量分析(MS)プロテオーム解析により、化合物のその標的に対する選択性が実証され、IRAK4は、サンプリングされた9,000種を超えるタンパク質のうち、唯一分解されたタンパク質であった。
【0020】
In vivoでの炎症のマウスモデルにより、化合物Aが誘発するIRAK4分解が、TLRおよびIL-1β媒介性Th1およびTh17炎症、ならびに好中球遊走に影響を及ぼす能力が実証された。MSU結晶誘発性(TLR2/4依存性)炎症のマウス空気嚢モデルにおいて、30~100mg/kgの範囲の用量で化合物Aを1日2回、3日間投与すると、脾臓におけるIRAK4レベルが有意に低下しただけでなく、好中球およびIL-1βの低下を含めた、炎症滲出液も有意に低下した。同様の所見が、イミキモド乾癬モデル(TLR7/8依存性)において観察され、この場合、化合物Aの投与により、脾臓および皮膚における、皮膚の厚みの低下に関連するIRAK4の用量依存的分解、ならびに皮膚におけるIL-1β(p<0.0001)およびIL-6(p<0.05;300mg/kgのみ)の有意な低下がもたらされた。全体として、効力は、モデル系の関連組織において少なくとも80%またはこれより高いIRAK4ノックダウンの達成に関係した。
【0021】
マウスおよびイヌにおけるin vivo薬物動態(PK)/薬力学(PD)研究により、化合物Aによる強力なIRAK4分解が実証された。野生型マウスでは、300mg/kgの化合物Aの単回経口用量により、皮膚では、IRAK4がほぼ100%分解され、脾臓では、ほぼ66%分解され、これは投与後、少なくとも48時間、持続した。皮膚と脾臓の両方において、各用量レベルにおいて、tmax後に最大PD効果が達成された。イヌでは、最大で10mg/kg/日の用量での7日間の経口投与により、皮膚およびPBMCにおけるIRAK4の顕著な低下がやはりもたらされ、3nMもの低いトラフ血漿中濃度レベルの化合物Aが、PBMCにおいて、IRAK4の>85%の分解、および皮膚では定量限界未満までの分解を誘発した。IRAK4レベルの回復は、イヌにおける最後の用量後の96~168時間までに認められ、化合物A誘導性分解の可逆的性質が実証された。まとめると、これらの研究は、化合物Aが、IRAK4に対して、強力で、オンターゲットかつ可逆的な効果があることを示している。
【0022】
ラット、イヌおよびサルで行われた in vivo薬物動態(PK)研究では、化合物AのPKは、中度から高度のクリアランス、定常状態での高い分布容積、中度の終末相半減期、および低度から中度のバイオアベイラビリティを特徴とした。化合物Aは、低い溶解度、中度の透過性を示し、in vitroでは、P-糖タンパク質(P-gp)および乳がん耐性タンパク質(BCRP)の基質として特定された。化合物Aは、非臨床的な種およびヒトにわたり、血漿タンパク質に高度に結合し、赤血球に有意には分配されなかった。ラットでの分布研究では、化合物Aは、組織に広範囲に分布したが、中枢神経系(CNS)への浸透は限定された。
【0023】
in vitroおよびin vivoの代謝研究により、化合物AがシトクロムP450(CYP)を介して酸化的代謝を受けることが示された。胆管カニューレ挿入(BDC)ラットにおいて行われた排出研究により、化合物Aの腎クリアランスは無視できる程度であること、および親薬物としての胆汁および腸排出は軽度から中度であることが示された。ヒトに由来する肝臓ミクロソームにおいて生じた代謝産物は、ラット、イヌおよびサルに由来する肝臓ミクロソームでも検出された。in vitroでの薬物-薬物相互作用研究では、化合物Aにより、CYP2C19およびCYP3A4の潜在的な時間依存性阻害(TDI)、ならびに阻害されたBCRP流出が実証され、したがって、化合物Aは、感受性CYP2C19、CYP3A4およびBCRP基質に対して作用を与える側(perpetrator)となる可能性を有する。反対に、化合物Aは、主に、CYP3A4によって代謝され、P-gpおよびBCRPの基質となり、酵素の強力なもしくは中度の阻害剤または誘発剤と同時投与されると、作用を受ける側(victim)になる可能性を有する。
【0024】
したがって、一部の実施形態では、本開示は、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物AのCmaxが、最大で約561ng/mLである、方法を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、本開示は、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物AのAUC0-24が、最大で約11700ng*hr/mLである、方法を提供する。
【0026】
一部の実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される。
【0027】
以下の開示において、ある種の具体的な詳細は、様々な実施形態の完全な理解をもたらすために記載される。しかし、当業者は、本明細書に記載されている方法および使用が、これらの詳細なしに行われ得ることを理解していよう。他の場合では、実施形態の記載を不必要に不明確にすることを避けるため、周知の構造は詳細に示されておらず、記載もされていない。文脈上異なる解釈を要する場合を除き、以下に続く、本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、用語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などのその変化形は、オープンで包括的な意味、すなわち「含むが、それらに限定されない」として解釈されるべきである。さらに、本明細書に提示されている見出しは、便宜的なものに過ぎず、特許請求されている発明の範囲または意味を解釈するものではない。
【0028】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」または「実施形態」と言う場合、これらの実施形態に関連して記載されている、特定の機能、構造または特徴が、少なくとも一実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書の全体における様々な位置における、語句「一実施形態では」または「実施形態では」が現れる場合、必ずしも、すべてが、同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の機構、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態における、任意の好適な様式で組み合わされてもよい。同様に、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を包む。用語「または」は、その内容が特に明白に示さない限り、「および/または」を含む意味で、一般に、使用されていることにやはり留意すべきである。
【0029】
2.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、特に反対のことを指定しない限り、以下の用語および略称は、示されている意味を有する:
【0030】
「化合物A」とは、IRAK4分解剤である、式:
【化1】
の5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドを指す;「化合物B」とは、IRAK4分解剤である、式:
【化2】
の5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドを指す;「化合物C」とは、IRAK4分解剤である、式:
【化3】
の5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((R)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドを指す。化合物Aの分子構造は、モルフィン環の周りに2個の固定した/安定な中心(R,R)、およびエピメリ化可能な1個のキラル中心(R/S)を含む、3個のキラル中心を含有し、2種のジアステレオマー(S,R,R)-化合物Aおよび(R,R,R)-化合物Aが生じ、これらは、それぞれ、化合物Bおよび化合物Cと表される。一部の実施形態では、化合物Aは、化合物Bである。一部の実施形態では、化合物Aは、化合物Cである。一部の実施形態では、化合物Aは、化合物Bおよび化合物Cの混合物である。一部の実施形態では、化合物Aは、化合物Bおよび化合物Cのほぼ1:1の混合物である。どちらのジアステレオマーも、in vitroおよびin vivoで迅速に相互変換する。一部の実施形態では、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩は、アモルファスである。一部の実施形態では、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩は、結晶形で存在する。一部の実施形態では、化合物Aは、塩酸(HCl)塩である。一部の実施形態では、化合物AのHCl塩は、アモルファスである。一部の実施形態では、化合物AのHCl塩は、結晶形で存在する。
【0031】
本明細書において使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織に接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合う、健全な医療的判断の範囲内にある塩を指す。薬学的に許容される塩は、当分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれる、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に詳細に、薬学的に許容される塩を記載している。本開示の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものを含む。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と共に形成される、あるいはイオン交換などの当分野において使用されている他の方法を使用することによる、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0032】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1~4アルキル)の塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに薬学的に許容される塩としては、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成されるアミン陽イオンが挙げられる。
【0033】
本明細書において使用する場合、用語「約」または「ほぼ」は、所与の値または範囲の20%以内にあるという意味を有する。一部の実施形態では、用語「約」は、所与の値の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%の範囲内にあることを指す。
【0034】
3.例示的な方法および使用の説明
一部の実施形態では、本開示は、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物AのCmaxが、最大で約561ng/mLである、方法を提供する。
【0035】
一部の実施形態では、本開示は、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物AのAUC0-24が、最大で約11700ng*hr/mLである、方法を提供する。
【0036】
一部の実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される。
【0037】
本明細書において使用する場合、用語「処置(treatment)」、「処置する(treat)」および「処置すること(treating)」とは、本明細書に記載されている疾患もしくは障害、または1つもしくは複数のそれらの症状の発生を逆転させる、軽減する、遅延させる、またはそれらの進行を阻害することを指す。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に行われてもよい。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で施されてもよい。例えば、処置は、症状の発生前に、感受性の個体に施されてもよい(例えば、症状歴を鑑みて、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子を鑑みて)。処置はまた、症状が消散した後に、例えば、その再発を予防または遅延させるために、継続されてもよい。
【0038】
本明細書において使用する場合、「予防を必要とする」、「処置を必要とする」または「それを必要とする」患者または対象は、適切な医療実践者(例えば、ヒトの場合、医師、看護師またはナースプラクティショナー;非ヒト哺乳動物の場合、獣医師)の判断によって、所与の処置または治療から妥当な利益を受けると思われる患者または対象を指す。
【0039】
「治療有効量」または「治療的に有効な投与量」の、化合物Aなどの薬物または治療剤とは、単独でまたは別の治療剤と組み合わせて使用した場合に、ADなどの疾患の発生から患者または対象を保護するか、あるいは疾患症状の重症度の低下、疾患症状の無い期間の頻度および期間の増大、または疾患罹患による損傷もしくは障害の予防によって証明される疾患の後退を促進する薬物の任意の量である。治療剤が疾患後退を促進する能力は、臨床試験の間のヒト対象などにおいて、熟練医師に公知の様々な方法を使用して、ヒトでの効力を予測する動物モデルシステムにおいて、またはin vitroアッセイにおける薬剤の活性をアッセイすることによって評価することができる。
【0040】
好ましい実施形態では、化合物Aなどの薬物の治療有効量は、疾患がなくなる点まで後退を促進する。さらに、処置に関連する用語、「有効な」および「有効性」は、薬理学的有効性および生理的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、化合物Aが患者における疾患を処置する能力を指す。生理的安全性とは、毒性のレベル、または薬物の投与に起因する、細胞、臓器および/もしくは生物のレベルでの他の有害生理作用(有害作用)を指す。
【0041】
本明細書において使用する場合、用語「治療利益」または「治療法からの利益」とは、全生存、無増悪生存、部分奏効、完全奏効および全奏効率のうちの1つまたは複数の改善を指し、疾患症状の重症度の低下、疾患症状の無い期間の頻度および期間の増大、または疾患罹患による損傷もしくは障害の予防をやはり含むことができる。
【0042】
用語「患者」は、本明細書において使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0043】
用語「対象」とは、本明細書において使用する場合、用語「患者」と同じ意味を有する。
【0044】
4.薬物動態
一部の実施形態では、本開示は、化合物Aを、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者に治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物AのCmaxが最大で約561ng/mLに到達する、方法を提供する。
【0045】
一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約550ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約500ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約450ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約400ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約350ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約300ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約250ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約200ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約150ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、最大で約100ng/mLである。
【0046】
一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約100ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約150ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約200ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約250ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約300ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約350ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約400ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約450ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約500ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約550ng/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約561ng/mLである。
【0047】
一部の実施形態では、血漿中の化合物AのCmaxは、約500ng/mL~約561ng/mL、約450ng/mL~約550ng/mL、約400ng/mL~約500ng/mL、約350ng/mL~約450ng/mL、約300ng/mL~約400ng/mL、約250ng/mL~約350ng/mL、約200ng/mL~約300ng/mL、約150ng/mL~約250ng/mL、約100ng/mL~約200ng/mLまたは約50ng/mL~約150ng/mLである。
【0048】
一部の実施形態では、本開示は、化合物Aを、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者に治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物BのCmaxが最大で約288ng/mLに到達する、方法を提供する。
【0049】
一部の実施形態では、血漿中の化合物BのCmaxは、最大で約280ng/mL、最大で約260ng/mL、最大で約250ng/mL、最大で約240ng/mL、最大で約220ng/mL、最大で約200ng/mL、最大で約180ng/mL、最大で約160ng/mL、最大で約150ng/mL、最大で約140ng/mL、最大で約120ng/mLまたは最大で約100ng/mLである。
【0050】
一部の実施形態では、血漿中の化合物BのCmaxは、約280ng/mL、約260ng/mL、約250ng/mL、約240ng/mL、約220ng/mL、約200ng/mL、約180ng/mL、約160ng/mL、約150ng/mL、約140ng/mL、約120ng/mLまたは約100ng/mLである。
【0051】
一部の実施形態では、血漿中の化合物BのCmaxは、約260ng/mL~約288ng/mL、約240ng/mL~約260ng/mL、約220ng/mL~約240ng/mL、約200ng/mL~約220ng/mL、約180ng/mL~約200ng/mL、約160ng/mL~約180ng/mL、約140ng/mL~約160ng/mL、約120ng/mL~約140ng/mL、約100ng/mL~約120ng/mLまたは約80ng/mL~約100ng/mLである。
【0052】
一部の実施形態では、本開示は、化合物Aを、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者に治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物CのCmaxが最大で約265ng/mLに到達する、方法を提供する。
【0053】
一部の実施形態では、血漿中の化合物CのCmaxは、最大で約260ng/mL、最大で約250ng/mL、最大で約240ng/mL、最大で約220ng/mL、最大で約200ng/mL、最大で約180ng/mL、最大で約160ng/mL、最大で約150ng/mL、最大で約140ng/mL、最大で約120ng/mL、最大で約100ng/mLまたは最大で約80ng/mLである。
【0054】
一部の実施形態では、血漿中の化合物CのCmaxは、約260ng/mL、約250ng/mL、約240ng/mL、約220ng/mL、約200ng/mL、約180ng/mL、約160ng/mL、約150ng/mL、約140ng/mL、約120ng/mL、約100ng/mLまたは約80ng/mLである。
【0055】
一部の実施形態では、血漿中の化合物CのCmaxは、約240ng/mL~約265ng/mL、約220ng/mL~約240ng/mL、約200ng/mL~約220ng/mL、約180ng/mL~約200ng/mL、約160ng/mL~約180ng/mL、約140ng/mL~約160ng/mL、約120ng/mL~約140ng/mL、約100ng/mL~約120ng/mL、約80ng/mL~約100ng/mLまたは約60ng/mL~約80ng/mLである。
【0056】
一部の実施形態では、本開示は、化合物Aを、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者に治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物AのAUC0-24が最大で約11700ng*hr/mLに到達する、方法を提供する。
【0057】
一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、最大で約11500ng*h/mL、最大で約11000ng*h/mL、最大で約10500ng*h/mL、最大で約10000ng*h/mL、最大で約9500ng*h/mL、最大で約9000ng*h/mL、最大で約8500ng*h/mL、最大で約8000ng*h/mL、最大で約7500ng*h/mL、最大で約7000ng*h/mL、最大で約6500ng*h/mL、最大で約6000ng*h/mL、最大で約5500ng*h/mL、最大で約5000ng*h/mL、最大で約4500ng*h/mL、最大で約4000ng*h/mL、最大で約3500ng*h/mLまたは最大で約3000ng*h/mLである。
【0058】
一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約3,000ng*h/mL、約3,500ng*h/mLまたは約4,000ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約5,000ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約5,500ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約6,000ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約6,500ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約7,000ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約7,500ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約8,000ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約8,500ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約9,000ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約9,500ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約10,000ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約10,500ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約11,000ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約11,500ng*h/mLである。一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約11,700ng*h/mLである。
【0059】
一部の実施形態では、血漿中の化合物AのAUC0-24は、約11,000ng*h/mL~約11,700ng*h/mL、約10,000ng*h/mL~約11,000ng*h/mL、約9,000ng*h/mL~約10,000ng*h/mL、約8,000ng*h/mL~約9,000ng*h/mL、約7,000ng*h/mL~約8,000ng*h/mL、約6,000ng*h/mL~約7,000ng*h/mL、約5,000ng*h/mL~約6,000ng*h/mLまたは約4,000ng*h/mL~約5,000ng*h/mLである。
【0060】
一部の実施形態では、本開示は、化合物Aを、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者に治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物BのAUC0-24が最大で約6090ng*h/mLに到達する、方法を提供する。
【0061】
一部の実施形態では、血漿中の化合物BのAUC0-24は、最大で約6000ng*h/mL、最大で約5500ng*h/mL、最大で約5000ng*h/mL、最大で約4500ng*h/mL、最大で約4000ng*h/mL、最大で約3500ng*h/mL、最大で約3000ng*h/mL、最大で約2500ng*h/mL、最大で約2000ng*h/mLまたは最大で約1500ng*h/mLである。
【0062】
一部の実施形態では、血漿中の化合物BのAUC0-24は、約6000ng*h/mL、約5500ng*h/mL、約5000ng*h/mL、約4500ng*h/mL、約4000ng*h/mL、約3500ng*h/mL、約3000ng*h/mL、約2500ng*h/mL、約2000ng*h/mLまたは約1500ng*h/mLである。
【0063】
一部の実施形態では、血漿中の化合物BのAUC0-24は、約5500ng*h/mL~約6090ng*h/mL、約5000ng*h/mL~約5500ng*h/mL、約4500ng*h/mL~約5000ng*h/mL、約4000ng*h/mL~約4500ng*h/mL、約3500ng*h/mL~約4000ng*h/mL、約3000ng*h/mL~約3500ng*h/mL、約2500ng*h/mL~約3000ng*h/mL、約2000ng*h/mL~約2500ng*h/mLまたは約1500ng*h/mL~約2000ng*h/mLである。
【0064】
一部の実施形態では、本開示は、化合物Aを、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者に治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、血漿中の化合物CのAUC0-24が最大で約5620ng*h/mLに到達する、方法を提供する。
【0065】
一部の実施形態では、血漿中の化合物CのAUC0-24は、最大で約5500ng*h/mL、最大で約5000ng*h/mL、最大で約4500ng*h/mL、最大で約4000ng*h/mL、最大で約3500ng*h/mL、最大で約3000ng*h/mL、最大で約2500ng*h/mL、最大で約2000ng*h/mLまたは最大で約1500ng*h/mLである。
【0066】
一部の実施形態では、血漿中の化合物CのAUC0-24は、約5620ng*h/mL、約5500ng*h/mL、約5000ng*h/mL、約4500ng*h/mL、約4000ng*h/mL、約3500ng*h/mL、約3000ng*h/mL、約2500ng*h/mL、約2000ng*h/mLまたは約1500ng*h/mLである。
【0067】
一部の実施形態では、血漿中の化合物CのAUC0-24は、約5000ng*h/mL~約5620ng*h/mL、約4500ng*h/mL~約5000ng*h/mL、約4000ng*h/mL~約4500ng*h/mL、約3500ng*h/mL~約4000ng*h/mL、約3000ng*h/mL~約3500ng*h/mL、約2500ng*h/mL~約3000ng*h/mL、約2000ng*h/mL~約2500ng*h/mLまたは約1500ng*h/mL~約2000ng*h/mLである。
【0068】
一部の実施形態では、本方法および使用は以下のPKパラメータ:
・ 血漿中の化合物AのCmax
・ 血漿中の化合物BのCmax
・ 血漿中の化合物CのCmax
・ 血漿中の化合物AのAUC0-24
・ 血漿中の化合物BのAUC0-24
・ 血漿中の化合物CのAUC0-24
のうちの2つ、3つ、4つ、5つまたは6つを達成し、PKパラメータの各々は、本明細書に記載されているものから独立して選択される。
【0069】
本方法および使用のある特定の実施形態では、化合物Aは、化合物AのCmaxまたは化合物Aの治療的に有効なAUC0-24に到達する用量で、それを必要とする患者に投与される。このような実施形態では、化合物Aは、約10mg/kg~約200mg/kgの用量で投与され、例えば、化合物Aは、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kgおよび約90mg/kgから選択される用量で投与される。
【0070】
一部の実施形態では、化合物Aは、約20mg/kg~約60mg/kgの用量で投与される。このような実施形態では、化合物Aは、約25mg/kg~約65mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約30mg/kg~約70mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約35mg/kg~約75mg/kgの用量で投与される。このような実施形態では、化合物Aは、約40mg/kg~約80mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約45mg/kg~約85mg/kgの用量で投与される。このような実施形態では、化合物Aは、約50mg/kg~約90mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約55mg/kg~約95mg/kgの用量で投与される。このような実施形態では、化合物Aは、約60mg/kg~約100mg/kgの用量で投与される。
【0071】
一部の実施形態では、化合物Aは、約30mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約35mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約40mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約45mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約50mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約55mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約60mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約65mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約70mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約75mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約80mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約85mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約90mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約95mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、約100mg/kgの用量で投与される。ある特定の実施形態では、化合物Aは、用量あたり、約60mg/kgの用量で投与される。
【0072】
本方法および使用のある特定の実施形態では、化合物AのTmaxは、約4時間~約12時間、例えば、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11または約12時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約4時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約5時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約6時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約74時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約8時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約9時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約10時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約11時間で達成される。一部の実施形態では、化合物AのTmaxは、約12時間で達成される。
【0073】
本方法および使用のある特定の実施形態では、化合物Aのt1/2は、約5時間~10時間である。一部の実施形態では、t1/2は、約5時間である。一部の実施形態では、t1/2は、約6時間である。一部の実施形態では、t1/2は、約7時間である。一部の実施形態では、t1/2は、約8時間である。一部の実施形態では、t1/2は、約9時間である。一部の実施形態では、t1/2は、約10時間である。
【0074】
5.投与
本方法および使用の一部の実施形態では、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物は、それを必要とする患者に投与(例えば、経口)される。
【0075】
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者に、最大で、約10,000mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩、例えば最大で約500mg、最大で約1,000mg、最大で約1,500mg、最大で約2,000mg、最大で約2,500mg、最大で約3,000mg、最大で約3,500mg、最大で約4,000mg、最大で約4,500mg、最大で約5,000mg、最大で約5,500mg、最大で約6,000mg、最大で約6,500mg、最大で約7,000mg、最大で約7,500mg、最大で約8,000mg、最大で約8,500mg、最大で約9,000mg、最大で約9,500mgまたは最大で約10,000mgの化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を経口投与するステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、患者に、約500~5,000mg(例えば、約1,000~約4,000mg、約1,000~約4,000mg、約1,000~約4,000mg、約1,000~約4,000mg、約1,000~約4,000mg、約1,000~約4,000mgまたは約1,000~約4,000mg)の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含む。例えば、一部の実施形態では、本開示の方法は、患者に、約3,000mgの化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を、例えば、単一の3,000mgの用量で投与するステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、患者に、1日あたり約3,000mgの化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を、例えば、2回の1,500mg用量として投与するステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、患者に、1日あたり約3,000mgの化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を、例えば、3回の1,000mg用量として投与するステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、1日1回、本明細書に記載されている、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、1日2回、本明細書に記載されている、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、1日3回、本明細書に記載されている、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、1日4~14回、本明細書に記載されている、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含む。
【0076】
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日2回またはBID、すなわち2回の別個の約300mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日3回またはTID、すなわち3回の別個の約200mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日4回またはQID、すなわち4回の別個の約150mg用量である。
【0077】
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約800mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日2回またはBID、すなわち2回の別個の約400mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約800mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日3回またはTID、すなわち3回の別個の約267mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約800mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日4回またはQID、すなわち4回の別個の約200mg用量である。
【0078】
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1000mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日2回またはBID、すなわち2回の別個の約500mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1000mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日3回またはTID、すなわち3回の別個の約333mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1000mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日4回またはQID、すなわち4回の別個の約250mg用量である。
【0079】
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日2回またはBID、すなわち2回の別個の約600mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日3回またはTID、すなわち3回の別個の約400mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日4回またはQID、すなわち4回の別個の約300mg用量である。
【0080】
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1400mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日2回またはBID、すなわち2回の別個の約700mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1400mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日3回またはTID、すなわち3回の別個の約467mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1400mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日4回またはQID、すなわち4回の別個の約350mg用量である。
【0081】
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日2回またはBID、すなわち2回の別個の約800mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日3回またはTID、すなわち3回の別個の約533mg用量である。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日4回またはQID、すなわち4回の別個の約400mg用量である。
【0082】
一部の実施形態では、本開示の方法は、単回用量で、1日1回、約100mg、約150mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1200mgまたは約1400の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を経口投与するステップを含む。
【0083】
一部の実施形態では、本開示の方法は、本明細書に記載されている、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップであって、2回の連続した投与の間に約4~24時間が存在する、ステップを含む。一部の実施形態では、2回の連続した投与の間に、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約18時間または約24時間が存在する。
【0084】
一部の実施形態では、本開示の方法は、本明細書に記載されている、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップであって、2回の連続した投与の間に、約1~7日間が存在する、ステップを含む。一部の実施形態では、2回の連続した投与の間に、約1、約2、約3、約4、約5、約6または約7日間が存在する。
【0085】
一部の実施形態では、本開示の方法は、本明細書に記載されている、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップであって、2回の連続した投与の間に、約1~4週間が存在する、ステップを含む。一部の実施形態では、2回の連続した投与の間に、約1、約2、約3または約4週間が存在する。
【0086】
任意の特定の患者のための具体的な投与量および処置レジメンは、用いられる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組合せ、ならびに処置医師の判断および処置される具体的な疾患の重症度を含めた、様々な因子に依存することもやはり理解されるべきである。
【0087】
6.薬学的に許容される組成物
別の実施形態によれば、本開示の方法は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩および薬学的に許容される担体、佐剤またはビヒクルを含む組成物を投与することによって実践される。
【0088】
用語「薬学的に許容される担体、佐剤またはビヒクル」とは、本化合物の薬理学的活性を破壊しない、非毒性の担体、佐剤またはビヒクルであって、本化合物と共に製剤化される、上記の非毒性の担体、佐剤またはビヒクルを指す。本開示の組成物において使用することができる薬学的に許容される担体、佐剤またはビヒクルとしては、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0089】
本開示の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、鼻に、口腔内に、膣に、または埋め込まれたレザーバーにより投与されてもよい。用語「非経口」には、本明細書において使用する場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射、または注入技法が含まれる。好ましくは、本組成物は、経口、腹腔内または静脈内に投与される。本開示の組成物の滅菌の注射可能な形態は、水性または油性懸濁剤とすることができる。これらの懸濁剤は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当分野で公知の技法に従い、製剤化することができる。滅菌の注射可能な調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌の注射可能な液剤または懸濁剤であってもよい。用いることができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に用いられる。
【0090】
この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油が用いられてもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸が注射剤の調製に有用であり、オリーブ油またはヒマシ油、とりわけそれらのポリオキシエチル化バージョンなどの、天然の薬学的に許容される油も同様である。これらの油性液剤または懸濁剤はまた、エマルション剤および懸濁剤を含む薬学的に許容される剤形の製剤化に一般に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤などの、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有してもよい。薬学的に許容される固体、液体または他の剤形の製造において一般に使用される、Tween(登録商標)、Span(登録商標)および他の乳化剤、またはバイオアベイラビリティ向上剤などの、他の一般に使用される界面活性剤もまた、製剤化を目的として使用されてもよい。
【0091】
本開示の薬学的に許容される組成物は、以下に限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含めた、任意の経口的に許容される剤形で、経口投与されてもよい。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、典型的に、加えられる。カプセル剤形態での経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。水性懸濁剤が経口使用に必要な場合、活性成分は、乳化剤および懸濁化剤と合わされる。所望の場合、ある特定の甘味剤、矯味矯臭剤または着色剤もまた、添加されてもよい。
【0092】
代替的に、本開示の薬学的に許容される組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与されてもよい。これらは、薬剤を、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸内で融解して薬物を放出する、好適な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。このような物質としては、カカオ脂、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0093】
本開示の薬学的に許容される組成物はまた、とりわけ、処置の標的が、眼、皮膚または下部腸管の疾患を含めた、局所適用により容易に接近可能な領域または臓器を含む場合、局所的に投与されてもよい。好適な局所製剤は、これらの領域または臓器の各々のために容易に調製される。
【0094】
下部腸管のための局所適用は、直腸坐剤製剤(上を参照されたい)または好適な浣腸製剤で行うことができる。局所経皮パッチ剤もまた、使用されてもよい。
【0095】
局所適用の場合、提供される薬学的に許容される組成物は、1つまたは複数の担体中に懸濁または溶解された活性構成成分を含有する好適な軟膏剤中に製剤化されてもよい。本開示の化合物の局所投与のための担体としては、以下に限定されないが、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられる。代替的に、提供される薬学的に許容される組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解した活性構成成分を含有する、好適なローション剤またはクリーム剤中に製剤化され得る。好適な担体としては、以下に限定されないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
【0096】
眼科的使用の場合、提供される薬学的に許容される組成物は、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁剤として、または好ましくは、塩化ベンザルコニウム(benzylalkonium chloride)などの保存剤を含むまたは含まないかのどちらかで、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水中の液剤として製剤化されてもよい。代替的に、眼科使用の場合、薬学的に許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏剤中で製剤化されてもよい。
【0097】
本開示の薬学的に許容される組成物はまた、経鼻用エアロゾルまたは吸入によって投与されてもよい。このような組成物は、当分野で周知の医薬製剤の技法に準拠して調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の慣用的な可溶化剤もしくは分散剤を用いる、生理食塩水中の液剤として調製されてもよい。
【0098】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的に許容される組成物は、経口投与のために製剤化される。このような製剤は、食物と一緒に投与されてもよく、または食物なしに投与されてもよい。一部の実施形態では、本開示の薬学的に許容される組成物は、食物なしに投与される。他の実施形態では、本開示の薬学的に許容される組成物は、食物と一緒に投与される。
【0099】
本開示の薬学的に許容される組成物は、ヒトおよび他の動物に、処置される感染の重症度に応じて、経口、直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤または点眼剤によるものとして)、口腔内、経口噴霧剤または鼻内噴霧剤などで投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物Aは、所望の治療効果を得るため、1日1回または複数回、1日あたり、対象の体重1kgあたり、約10mg~約200mgの用量で、特に、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、および約90mgから選択される用量で経口投与されてもよい。
【0100】
経口投与のための液体剤形としては、以下に限定されないが、薬学的に許容されるエマルション剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの他の溶媒、可溶化剤および乳化剤などの、当分野において一般に使用される不活性希釈剤を含有してもよい。不活性希釈剤の他に、本経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤などの佐剤を含むことができる。
【0101】
公知技術に従い、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して、注射可能な調製物、例えば注射可能な滅菌水性懸濁剤または油性懸濁剤が製剤化されてもよい。滅菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射可能な滅菌液剤、懸濁剤またはエマルション剤であってもよい。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。
【0102】
注射可能な製剤は、使用前に、例えば、細菌保持フィルターに通してろ過することにより、または滅菌水中もしくは他の滅菌の注射可能な媒体中に溶解もしくは分散することができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより滅菌され得る。
【0103】
化合物Aの作用を延長するため、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅くすることが望ましいことがある。これは、水溶解性に乏しい、結晶性物質またはアモルファス物質の液体懸濁物の使用により行うことができる。次に、本化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、ひいては、結晶サイズおよび結晶形態に依存することがある。代替として、非経口的に投与される化合物形態の遅延した吸収は、油ビヒクル中に化合物を溶解するまたは懸濁させることにより行われる。ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に、本化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成させることにより、注射可能なデポ形態が作製される。ポリマーに対する化合物の比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポ製剤もまた、身体組織と適合可能なリポソームまたはマイクロエマルション中に本化合物を捕捉することにより調製される。
【0104】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは坐剤であって、本開示の化合物を、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸内または膣腔内で融解して活性化合物を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製することができる坐剤である。
【0105】
経口投与のための固形剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。このような固形剤形では、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝化剤も含んでもよい。
【0106】
同様のタイプの固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として用いられてもよい。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬調合分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらは、乳白剤を必要に応じて含有してもよく、それらは、腸管のある特定の部分において、必要に応じて遅延様式で、活性成分だけをまたは活性成分を優先的に放出する組成物であり得る。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として用いられてもよい。
【0107】
化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩はまた、1種または複数の上記の賦形剤を含むマイクロカプセル封入形態にあることもできる。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および医薬調合分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。このような固形剤形では、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合されてもよい。このような剤形はまた、通常の実施の通り、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースなどの錠剤化用滑沢剤および他の錠剤化助剤を含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝化剤も含んでもよい。それらは、乳白剤を必要に応じて含有してもよく、それらは、腸管のある特定の部分において、必要に応じて遅延様式で、活性成分だけをまたは活性成分を優先的に放出する組成物とすることもできる。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0108】
本開示の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤またはパッチ剤が挙げられる。活性構成成分は、滅菌条件下において、薬学的に許容される担体、および任意の必要な保存剤または緩衝液(必要とされ得る場合)と混合される。眼科用製剤、点耳剤および点眼剤も、本開示の範囲内にあることが企図されている。さらに、本開示は、身体への化合物の制御送達を提供する追加の利点を有する、経皮パッチ剤の使用を企図する。このような剤形は、適切な媒体中に本化合物を溶解または分注することにより作製することができる。吸収促進剤はまた、本化合物の皮膚を横切るフラックスを増大させるために使用することもできる。速度は、速度制御膜を設けること、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に本化合物を分散させることのいずれかによって制御することができる。
【0109】
7.疾患を処置する方法および使用
一部の実施形態では、本開示は、化合物Aを、それを必要とする患者に投与する方法であって、患者が、自己免疫疾患/自己炎症性疾患または血液悪性疾患に罹患している、方法を提供する。一部の実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患は、皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患である。
【0110】
一部の実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患としては、皮膚の炎症性状態またはアレルギー性状態、例えば、乾癬、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、尋常性乾癬、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性脈管炎、じんましん、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、尋常性ざ瘡、化膿性汗腺炎、Sweet症候群、壊疽性膿皮症および皮膚の他の炎症性状態またはアレルギー性状態が挙げられる。一部の実施形態では、皮膚の炎症性疾患は、接触皮膚炎(contact dermatitits)、アトピー性皮膚炎、円形脱毛、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性脈管炎、じんましん、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症または化膿性汗腺炎から選択される。
【0111】
一部の実施形態では、化合物Aはまた、炎症要素を有する疾患または状態などの他の疾患または状態の処置、例えば、眼アレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎などの眼の疾患および状態、アレルギー性鼻炎を含む鼻に罹患する疾患、ならびに炎症性疾患(自己免疫反応が自己免疫血液学的障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆および特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーヴン-ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、過敏性腸症候群、セリアック病、歯周炎、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、多発性硬化症、内分泌眼病(endocrine opthalmopathy)、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ぶどう膜炎(前部および後部)、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎および春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、クリオピリン関連周期症候群、腎炎、脈管炎、憩室炎、間質性膀胱炎、糸球体腎炎(例えば、特発性ネフローゼ症候群または微小変化型腎障害(minal change nephropathy)を含めた、ネフローゼ症候群を伴うおよび伴わない)、慢性肉芽腫症、子宮内膜症、レプトスピラ症腎疾患(leptospiriosis renal disease)、緑内障、網膜疾患、加齢、頭痛、疼痛、複合性局所疼痛症候群、心臓肥大、筋消耗、異化障害、肥満、胎児成長遅延、高コレステロール血症(hyperchlolesterolemia)、心臓疾患、慢性心不全、中皮腫、無汗性外胚葉性形成異常、ベーチェット病、色素失調症、パジェット病、すい臓炎、遺伝性周期発熱症候群、喘息(アレルギー性および非アレルギー性、軽度、中度、重度の気管支炎性および運動誘導性)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、好酸球増加症、過敏症、アナフィラキシー、副鼻腔炎(nasal sinusitis)、眼アレルギー、シリカ誘発性疾患、COPD(損傷の軽減、気道炎症、気管支過敏症、リモデリングまたは疾患進行)、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘発性肺傷害、肺高血圧症、多発神経障害、白内障、全身性硬化症を伴う筋肉炎症、封入体筋炎、重症筋無力症、甲状腺炎、アジソン病、扁平苔癬、1型糖尿病または2型糖尿病、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶、大腸炎、結膜炎、クローン病、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎(enteritis)、腸炎(enterocolitis)、外上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、ヘノッホシェーンライン紫斑病、肝炎、化膿性汗腺炎、免疫グロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎 心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、すい臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、肺炎、多発筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎(sinusitis)、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、腟炎、脈管炎または外陰炎を含めた、自己免疫要素または病因に関与するまたはこれを有する)の処置に使用することができる。
【0112】
一部の実施形態では、本開示の方法により処置され得る炎症性疾患は、急性および慢性痛風、慢性痛風性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎(SJIA)、クリオピリン関連周期症候群(CAPS)、成人発症型スティル病、マクロファージ活性化症候群(MAS)、原発性および続発性血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、家族性地中海熱、NLRP12自己炎症性症候群および骨関節炎から選択される。
【0113】
一部の実施形態では、処置され得る炎症性疾患は、TH17媒介性疾患である。一部の実施形態では、TH17媒介性疾患は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎および炎症性腸疾患(クローン病または潰瘍性大腸炎を含む)から選択される。
【0114】
一部の実施形態では、本開示の方法により処置され得る炎症性疾患は、シェーグレン症候群、アレルギー性障害、骨関節炎、眼の状態(眼アレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎など)および鼻に罹患する疾患(アレルギー性鼻炎または鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)など)から選択される。
【0115】
一部の実施形態では、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)などの、患者における皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患を処置する方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。
【0116】
一部の実施形態では、本開示は、患者においてADを処置する方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。
【0117】
一部の実施形態では、本開示は、患者においてHSを処置する方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。
【0118】
一部の実施形態では、本開示は、患者において関節リウマチ(RA)を処置する方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。
【0119】
一部の実施形態では、本開示は、患者において血液悪性疾患を処置する方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、血液悪性疾患は、白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ABC DLBCL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性リンパ球性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、急性リンパ性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓周辺帯リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、AMLまたはMDSである。
【0120】
以下の実施例は、例示目的のために提示されているに過ぎず、本発明を制限するものと決して解釈されるべきではない。
【実施例
【0121】
化合物Aは、例えば、それらの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2019/133531およびWO2020/010227に記載されている、当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0122】
一般略称:
- 死亡動物;値なし
#、N、No. 数
%RSD 相対標準偏差
%-Diff パーセント差異
・ 平均値および標準偏差について算出される値が存在しない
a.m. 午前中
API 有効活性成分
BID、bid 1日2回
BODYTEMP;Btemp 体温
C 各性別に関して、各群の終了時に認められた注釈
CAM 共変量で補正した平均値
CANFDAS 缶詰食品の評価
CO 臨床的観察
CTLS、ctls 対照
CV 変動係数
DIA 拡張期血圧
DESQUAM 落屑
DSNG 投与期
DSNG X.X 投与期のX週目、X日目
DT TY データタイプ
EP 欧州薬局方
F 雌
FECBOL 糞塊数(number of fecal boli)
FGSA 前肢把持強度の平均値(2回の試行)
FISSUR 亀裂
FOOT1 開脚1
FOOT2 開脚2
FORE1 前肢把持強度1
FORE2 前肢把持強度2
FSA2 開脚平均値(2回の試行)
GROOM 毛繕いの数
HGSA2 後肢把持強度の平均値(2回の試行)
HIND1 後肢把持強度1
HIND2 後肢把持強度2
ID 識別
IM 筋肉内
int 間隔
IPD 投与直後
LAT 潜時
LOQ 定量限界
M 雄
MAP 平均動脈圧
Mean;MEAN 算術平均値
N ある群における測定数
NA 値なし;該当せず;存在しない
ND 検出されず
NF 国民医薬品集
NVL 目視可能な病変がない
Obs 観察
OD 右眼
OS 左眼
OU 両眼
OXSA 血液酸素飽和度
P 当該(present)
P(DR) P値(用量応答)
P(overall) すべての群に対する総P値
P(v1) P値(群1と比べて)
p.m. 午後
PD 投与後
PRED 投与前の期
PRED X.X 投与前の期のX週目、X日目
RBW げっ歯類の体重
REAR 立ち上がり数
RECO 回復期
RECO X.X 回復期のX週目、X日目
RESP 呼吸数
S.E.M./SEM 平均値の標準誤差
SD;S.D.;STAND 標準偏差(数値データ表で使用する場合)
DEV;STANDARD
DEV;sd;STD.DE
SE;STDERR 標準誤差
SYS 収縮期血圧
TBW 最終体重
TK 毒物動態
Typ タイプ
UNSCHED or SCHED 予定外または予定通り
URIPOL 尿プールの数
USP 米国薬局方
WK 週
WT 体重
【0123】
尺度の単位:
amol アトモル
BPM 1分あたりの拍動数
C 摂氏度
cm センチメートル
DL、dl、dL デシリットル
EU エールリッヒ単位
FL、fl フェムトリットル
fmol フェムトモル
G、g グラム
H、h、hr 時間
IU 国際単位
KG、kg キログラム
L リットル
MCG、UG、μg、ug マイクログラム
MEQ ミリ当量
MG、mg ミリグラム
MI 百万
ML、mL、ml ミリリットル
mm ミリメートル
mmHG/mmHg ミリメートル水銀
MMOL、mmol ミリモル
MN、min 分
MOS ミリオスモル
Msec、msec ミリ秒
mU ミリユニット
ng ナノグラム
PG、pg ピコグラム
pmol ピコモル
PPM、ppm 百万分率
S、s、sec 秒
TH 千
U ユニット
UL、μL、uL マイクロリットル
UMOL、μmol マイクロモル
um、μm マイクロメートル
【0124】
獣医学的略称
A 評価
AU 両耳(両方の耳)
AWCM 動物福祉および比較医薬(Animal Welfare and Comparative Medicin)
BAR 明るく、注意力があり、反応がある
BCS 身体状態スコア
BW 体重
CRT 毛細血管再充満時間
DLAM 実験動物医学科
FC 食物消費
HC ヒドロコルチゾン
IM 筋肉内
IV 静脈内
NHP 非ヒト霊長類
NSAID 非ステロイド系抗炎症薬
MM 粘膜
P 計画
QAR 静かで、注意力があり、反応がある
QFC 質的食物消費
RR 呼吸数
SC 皮下
SD 研究責任者(文字データ表で使用する場合)
S/O 主観的/客観的観察
SOAP 主観的/客観的観察、評価、計画
TA 試験物品
TM 試験物品/物質
TX 処置
VS 獣医サービス
WNL 正常範囲内
【0125】
毒物動態パラメータ
max 観察された最高濃度
DN Cmaxmax/用量として算出される用量正規化最高濃度
max 観察された最高濃度の時間
AUC0-t 線形台形公式を使用して算出される、時間0から最終の測定可能な濃度の時間までの曲線下面積
AUC0-24 線形台形公式を使用して算出される、時間0~24時間までの曲線下面積
DN AUC0-24 AUC0-24/用量として算出される用量正規化AUC0-24
AUC0-inf AUC0-inf=AUC0-t+Ct/λzとして算出される、時間0から無限大(1日目のみ)までの曲線下面積(式中、Ctは、最後に観測された定量可能な濃度であり、λzは、排出速度定数であった)
1/2 ln(2)/λzとして算出される排出半減期
AR (8日目、28日目または42日目のCmaxまたはAUC0-24)/(1日目または15日目のCmaxまたはAUC0-24)として算出される蓄積率
I:P (異性体のCmaxまたはAUC0-24)/(親のCmaxまたはAUC0-24)として算出される、異性体対親の比
【0126】
(実施例1)
イヌにおける、化合物Aを用いる、2週間の回復を伴う、4週間の経口胃管栄養による毒性および毒物動態研究
この研究の目的は、試験物品である化合物Aを最大で4週間、イヌに経口胃管栄養により1日1回投与した場合の、毒性を評価すること、および毒物動態学(TK)を決定すること、ならびに2週間の回復後の何らかの効果の可逆性を評価することである。最初に動物に、5、30、200または100mg/kg/用量(元々は、TKの収集のみ)を投与し、200mg/kg/日の用量レベルを、15日目から42日目まで、60mg/kg/日(200/60mg/kg/用量)に減量した。
【0127】
雄および雌イヌを5つの群に割り当て、表1に表示されている通りの用量を投与した。最大で28日間、最大で5mL/kgの容積を、1日1回、経口胃管栄養により動物に投与した。対照物品は、逆浸透水(pH3.5±0.1)中で調製した25%(w/w)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD;Kleptose 経口グレードHPB)とした。ビヒクルは、逆浸透水中で調製したHPBCD(Kleptose 経口グレードHPB)とした。
【表1】
a 群1は、対照物品だけを投与した。群5の動物は、投与期の11日目に屠殺した。
b 回復・屠殺(recovery sacrifice)(群1、3および4における2匹の動物/性別/群)に指定した動物は、用量投与後に、2週間の回復を受けた。
c 1日目~8日目に、群4中の動物に、200mg/kg/用量のレベルの用量を投与した。15日目に開始し、群4中の動物に、60mg/kg/用量のレベルの用量を投与した。
d 濃度は、補正係数5.1813を使用して効力について補正された。
e 1日目~8日目に、すべての群中の動物に、5mL/用量の容積の用量を投与した。9日目に開始し、群1、2および3中のすべての動物に、2.5mL/kgの容積の用量を投与した。15日目に開始し、群4中の動物のすべてに、2.5mL/kgの容積の用量を投与した。9日目に、群5中の動物に、5mL/kgの容積で用量を継続して投与した。
【0128】
毒性の評価は、死亡率、臨床観察、体重、食物消費、眼科的観察、心電図(ECG)測定、ならびに臨床病理および解剖学的病理に基づいた。血液試料を毒物動態評価のために収集した。
【0129】
結果
1日目、28日目および42日目からの製剤のすべてが、目標濃度の10%以内にあった(理論濃度の96.5~103.0%の範囲にあり、相対標準偏差は、0.5~1.7%の範囲であった)。
【0130】
投与期の9日目および15日目に投与するために調製した製剤からの用量分析用試料は採集しなかったが、これらは、プロトコルの逸脱であった。1日目、28日目および42日目に投与するために調製した製剤の結果はすべて、規格を満たしたので、9日目および15日目に調製した製剤もまた規格を満たしたと予測される。
【0131】
分析した製剤はすべて、研究使用のための受け入れ基準を満たし、動物は、意図された用量の投与を受けた。
【0132】
ビヒクル対照群中の化合物A、化合物Bおよび化合物Cの濃度の値はすべて、定量下限未満(<1.00ng/mL)であった。
【0133】
化合物A、化合物Bおよび化合物Cの平均CmaxならびにAUC0-24値の性別による差異は、2倍未満であった;したがって、結果および考察は、性別を混合した値に基づいた。
【0134】
化合物Aの毒物動態学
化合物Aは、経口胃管栄養投与後に吸収され、メジアンTmaxの値は、1日目に5.00~9.00時間、8日目に5.00~12.0時間、15日目に6.00時間(群4のみ)、28日目に4.00時間(群2および3のみ)、および42日目に6.00時間(群4のみ)の範囲にあった。化合物Aの濃度は、Cmaxに到達後に低下し、平均半減期(t1/2)の値は、1日目に6.54~7.60時間、8日目に8.08時間および28日目に8.19時間の範囲となった。明確な排出期がないため、排出期の半減期(t1/2)の推定は、大部分のプロファイルに対して試みることをしなかった。化合物Aの濃度の平均値は、すべての採集間隔において、投与後の24時間まで測定可能であった。
【0135】
混合した性別についての平均濃度-時間プロファイルにより、化合物Aの平均濃度は、1日目および8日目において5から100mg/kg/用量まで、および28日目において5から30mg/kg/用量まで用量レベルが増大するにつれて増大したことが示される。曝露の増加は、1日目および8日目に、用量レベルを100から200mg/kg/用量までさらに増大しても、観察されなかった。化合物Aの平均濃度は、単回用量と比較した場合、複数回用量後に概ね類似した。
【0136】
化合物Aの平均CmaxおよびAUC0-24の値によって評価される曝露は、1日目および8日目に、化合物Aの用量レベルが5から100mg/kg/用量に、および28日目に5から30mg/kg/用量に増大するにつれて増大した。曝露の増加は、1日目および8日目に、用量レベルを100から200mg/kg/用量までさらに増大しても、観察されなかった。化合物Aの平均CmaxおよびAUC0-24の値の増加は、用量比例に達しなかった。
【0137】
化合物Aの平均CmaxおよびAUC0-24の値は、適用可能な場合、30および100mg/kg/用量のレベルでは、1日目に比べた場合、8日目および28日目に、概してより高く、イヌにおける複数回用量後に、化合物Aが蓄積する可能性が示された。8日目に、平均蓄積率の値は、Cmaxの場合、1.16~1.86、およびAUC0-24の場合、1.12~2.14の範囲となった。28日目に、平均蓄積率の値は、群2の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、1.38および1.28となり、群3の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、1.96および2.12となった。
【表2】
NR =明確な排出期がないために報告せず。
注:Tmaxに関しては、メジアン値を表す。
a N=1であることを表す。
【0138】
化合物Bの毒物動態学
化合物Aの経口胃管栄養投与後、化合物Bが血漿中に現れ、メジアンTmaxの値は、1日目に6.00~9.00時間の範囲、および8日目、15日目(群4のみ)、28日目(群2および3のみ)および42日目(群4のみ)に、4.00時間となった。化合物Bの濃度は、Cmaxの到達後に低下し、平均t1/2の値は、群2の場合、1日目、8日目および28日目に、それぞれ、7.60、8.18および8.19時間であった。明確な排出期がないため、排出期のt1/2の推定は、大部分のプロファイルに対して試みることをしなかった。化合物Bの濃度の平均値は、すべての採集間隔において、投与後の24時間まで測定可能であった。
【0139】
化合物Bの平均濃度は、1日目および8日目に、化合物Aの用量レベルが5から100mg/kg/用量に、および28日目に5から30mg/kg/用量に増大するにつれて、概して増大した。曝露の増加は、1日目および8日目に、用量レベルを100から200mg/kg/用量までさらに増大しても、観察されなかった。化合物Bの平均濃度は、単回用量と比較した場合、化合物Aの複数回用量後と概ね類似した。
【0140】
化合物Bの平均CmaxおよびAUC0-24の値によって評価される曝露は、1日目および8日目に、化合物Aの用量レベルが5から100mg/kg/用量に、および28日目に5から30mg/kg/用量に増大するにつれて増大した。曝露の増加は、1日目および8日目に、用量レベルを100から200mg/kg/用量までさらに増大しても、観察されなかった。化合物Bの平均CmaxおよびAUC0-24の値の増加は、用量比例に達しなかった。
【0141】
化合物Bの平均CmaxおよびAUC0-24の値は、適用可能な場合、30および100mg/kg/用量のレベルでは、1日目と比べた場合、8日目および28日目に概してより高く、イヌにおける複数回用量後に、化合物Bが蓄積する可能性が示された。8日目に、平均蓄積率の値は、群2の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、1.10および1.07となり、群3の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、1.70および1.93となった。28日目に、平均蓄積率の値は、群2および群3の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、1.40および1.32となり、群3の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、1.81および1.98となった。
【0142】
1日目に、化合物Bの異性体対親の比の平均値は、Cmaxの場合、0.621~0.677、およびAUC0-24の場合、0.605~0.712の範囲となった。8日目に、異性体対親の比の平均値は、Cmaxの場合、0.584~0.613、およびAUC0-24の場合、0.571~0.595の範囲となった。15日目に、異性体対親の比の平均値は、群4に関すると、Cmaxの場合、0.551、およびAUC0-24の場合、0.542となった。28日目に、異性体対親の比の平均値は、群2の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、0.630および0.623となり、群3の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、0.578および0.629となった。42日目に、異性体対親の比の平均値は、群4の場合、Cmaxは0.509、およびAUC0-24は0.513となった。
【表3】
NR =明確な排出期がないために報告せず。
注:Tmaxに関しては、メジアン値を表す。
a N=1であることを表す。
【0143】
化合物Cの毒物動態学
化合物Aの経口胃管栄養投与後、化合物Cが血漿中に現れ、メジアンTmaxの値は、1日目に6.00時間、および8日目、15日目(群4のみ)、28日目(群2および3のみ)および42日目(群4のみ)に4.00時間であった。化合物Cの濃度は、Cmaxの到達後に低下し、平均t1/2の値は、群2の場合、1日目、8日目および28日目にそれぞれ、7.65、9.11および8.06時間の範囲となった。明確な排出期がないため、排出期のt1/2の推定は、大部分のプロファイルに対して試みることをしなかった。化合物Cの濃度の平均値は、すべての採集間隔において、投与後の24時間まで測定可能であった。
【0144】
化合物Cの平均濃度は、1日目および8日目に、化合物Aの用量レベルが5から100mg/kg/用量に、および28日目に5から30mg/kg/用量に増大するにつれて概して増大した。曝露の増加は、1日目および8日目に、用量レベルを100から200mg/kg/用量までさらに増大しても、観察されなかった。化合物Cの平均濃度は、単回用量と比較した場合、化合物Aの複数回用量後に概ね類似した。
【0145】
化合物Cの平均CmaxおよびAUC0-24の値によって評価される曝露は、1日目および8日目に、化合物Aの用量レベルが5から100mg/kg/用量に、および28日目に5から30mg/kg/用量に増大するにつれて増大した。曝露の増加は、1日目および8日目に、用量レベルを100から200mg/kg/用量までさらに増大しても、観察されなかった。化合物Cの平均CmaxおよびAUC0-24の値の増加は、用量比例に達しなかった。
【0146】
化合物Cの平均CmaxおよびAUC0-24の値は、適用可能な場合、30および100mg/kg/用量のレベルでは、1日目と比べた場合、8日目および28日目に概してより高く、イヌにおける複数回用量後に、化合物Cが蓄積する可能性が示された。8日目に、平均蓄積率の値は、Cmaxの場合、1.11~1.63、およびAUC0-24の場合、1.11~1.79の範囲になった。28日目に、平均蓄積率の値は、群2の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、1.45および1.36であり、群3の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、1.73および1.86となった。
【0147】
1日目に、化合物Cの異性体対親の比の平均値は、Cmaxの場合、0.584~0.635、およびAUC0-24の場合、0.597~0.655の範囲となった。8日目に、異性体対親の比の平均値は、Cmaxの場合、0.508~0.584、およびAUC0-24の場合、0.504~0.574の範囲となった。
【0148】
15日目に、異性体対親の比の平均値は、群4に関すると、Cmaxの場合、0.521、およびAUC0-24の場合、0.509となった。28日目に、異性体対親の比の平均値は、群2の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、0.651および0.636となり、群3の場合、CmaxおよびAUC0-24はそれぞれ、0.527および0.571となった。42日目に、異性体対親の比の平均値は、群4に関すると、Cmaxの場合、0.476、およびAUC0-24の場合、0.481となった。
【表4】
NR =明確な排出期がないために報告せず。
注:Tmaxに関しては、メジアン値を表す。
a N=1であることを表す。
【0149】
化合物A、化合物Bおよび化合物Cの平均CmaxおよびAUC0-24値の性別による差異は、2倍未満であった。化合物A、化合物Bおよび化合物Cの平均CmaxおよびAUC0-24の値によって評価される曝露は、1日目および8日目に、化合物Aの用量レベルが5から100mg/kg/用量に、および28日目に5から30mg/kg/用量に増大するにつれて増大した。曝露の増加は、1日目および8日目に、用量レベルを100から200mg/kg/用量までさらに増大しても、観察されなかった。化合物A、化合物Bおよび化合物Cの平均CmaxおよびAUC0-24の増加は、用量比例に達しなかった。それぞれ、最大で、2.14倍、1.98倍および1.86倍の化合物A、化合物Bおよび化合物Cの潜在的な蓄積が、イヌでの複数回用量後に観察された。
【0150】
投与期の1~8日目の間に、異常な糞便の観察および体重減少が、対照を含むすべての群にわたり認められ、これらの観察は、製剤中の高濃度(25%)のHPBCDに起因する可能性が高かった。異常な糞便観察の出現率は、投与期の9日目から、用量容積を低下させた後に低減した。したがって、これらの観察は、化合物Aに関連するとは見なされなかった。
【0151】
100mg/kg/用量を投与した1匹の雌を、投与期の4日目に、活動低下、液状の便、嘔吐、脱水および振戦という臨床的観察を伴う瀕死状態で屠殺した。この動物の死亡は、試験物品に関連すると見なされた。予定外の間隔で収集された予定外の臨床病理データでは、化合物Aに関連する明らかな臓器毒性は特定されず、(投与前の期の結果と比べた)変化は、動物の臨床的な瀕死状態に続発した可能性が高かった(潜在的低血圧/ショック)。瀕死状態の原因であると決定する、巨視的所見も微視的所見も認められなかった。すべてのリンパ組織におけるリンパ球のアポトーシスのわずか~中程度の増大は、化合物Aの直接的な作用よりもむしろ、ストレス応答に一致した。100mg/kg/用量の投与を受けた動物はすべて、投与期の11日目に屠殺した。
【0152】
100mg/kg/用量を投与した1匹の雌に関して、投与期の4日目の試験物品に関連する死亡、および≧100mg/kg/用量を投与した動物において認められた同様の臨床的観察(嘔吐、糞便異常、低減した活動性、より低い食物消費および振戦)は、最大耐量を超えた。これにより、100mg/kg/用量の投与を受けたすべての動物(元々は、TK収集だけに指定されていた)、および4週間、60mg/kg/用量で投与を再開する前の1週間の投与中断期を有する高用量動物(200mg/kg/用量)を、投与期の11日目に屠殺した。臨床的観察は、200mg/kg/用量の投与を受けた動物において、投与中断期の間に消散した。
【0153】
他の動物のすべてが、予定の屠殺まで生存した。
【0154】
化合物Aに関連する臨床的観察も、眼の異常な観察も認められなかった。化合物Aに関連する、平均体重、体重増加または食物消費の変化は、いずれの用量レベルでも認められなかった。化合物Aに関連する異常は、投与期のECG観察の間、認められなかった。
【0155】
化合物Aに関連する、予定した血液学、凝固、臨床化学または尿検査の結果の影響は特定されなかった。
【0156】
化合物Aに関連する、臓器重量の差または巨視的観察は認められなかった。
【0157】
予定外の早期終了および終了時屠殺では、化合物Aに関連する微視的所見には、≧30mg/kg/用量の投与を受けた動物の空腸および回腸の粘膜固有層、および200/60mg/kg/用量の投与を受けた動物の十二指腸、および100mg/kg/用量の投与を受けた1匹の雌における、空胞化マクロファージの最小限の浸潤またはわずかな浸潤が含まれた。≧5mg/kg/用量の投与を受けた動物の腸管関連リンパ組織(GALT)/パイエル板、および≧30mg/kg/用量の投与を受けた動物の腸間膜リンパ節および下顎リンパ節ならびに脾臓における空胞化マクロファージの最小限の浸潤またはわずかに増加した浸潤もまた、化合物Aに関連したと見なされた。肺では、化合物Aに関連する空胞化肺胞マクロファージの最小限の増加が、≧30mg/kg/用量の投与を受けた動物において観察された。小腸、リンパ組織および肺における、空胞化マクロファージの化合物Aに関連する増加は、関連する変性変化または炎症性変化の重症度が低いためおよびそれらが欠如しているため、非有害と見なされた。この細胞質の空胞形成は、以前の2週間の経口毒性研究および毒物動態学研究において、100mg/kg/用量の化合物Aの投与を受けたイヌの肺、腸間膜リンパ節および回腸における二次リソソーム内の渦巻状のラメラ体(whorled lamellar bod)(ミエリン像として解釈される)の微細構造的(透過型電子顕微鏡)所見によって実証される、リン脂質症に一致した(Charles River 20.345; Charles River Laboratories, Inc., 2020)。
【0158】
精巣上体における細胞デブリの増加に関連する精巣における精細管のわずかな変性(両側)が、200/60mg/kg/用量の投与を受けた、1匹の思春期前後の雄において認められた。精巣の胚上皮細胞の変性、剥脱および枯渇が、性的成熟のこのような段階にあるイヌの精巣において観察され得(Lanning et al., 2002)、かつこの研究における精巣の変性の発生率は、この研究室に関するヒストリカルコントロールの範囲内にあったので、化合物Aの投与に対するこのような精巣の所見の関係性は、不明確であった。
【0159】
回復・屠殺時に、30または200/60mg/kg/用量の投与を受けた動物の小腸(空腸および/または回腸)、GALT/パイエル板および下顎リンパ節における最小限の空胞化マクロファージ、および200/60mg/kg/用量の投与を受けた1匹の雄の肺における最小限に増加した空胞化マクロファージは、部分的な逆転を示す。空胞化マクロファージの増加は、どちらの用量レベルでも脾臓中には認められず、完全な逆転が示された。200/60mg/kg/用量の投与を受けた1匹の雄、および30または200/60mg/kg/用量の投与を受けた雌の腸間膜リンパ節における、空胞化マクロファージの最小限のまたは中程度の浸潤の増大は、2週間後の逆転がなかったことを示唆した。
【0160】
結論として、雄および雌のビーグル犬に、経口胃管栄養により、10日間、対照物品、または100mg/kg/用量の化合物A、4週間、5および30mg/kg/用量の化合物A、ならびに1週間、200mg/kg/用量を投与し、次いで、1週間、用量を中断し、次に、4週間、60mg/kg/用量で投与を再開した。60mg/kg/日の用量レベルを、200mg/kg/用量で10日間、先に投与を受けた動物における、明確でもなく有害でもない試験物品に関連する所見に基づいて、無毒性量(NOAEL)と決定した。100および200mg/kg/用量の用量レベルは、100mg/kg/用量における死亡のために有害と見なされた一方、200mg/kg/用量の製剤は、耐容されず、用量中断および用量減量を必要とした。60mg/kg/用量の用量レベルは、投与期の42日目に、化合物Aの場合、それぞれ、561ng/mLおよび11,700ng*hr/mL;化合物Bの場合、それぞれ、288ng/mLおよび6090ng*hr/mL;および化合物Cの場合、それぞれ、265ng/mLおよび5620ng*hr/mLとなる、観察された平均の性別混合した最大濃度(Cmax)および濃度-時間曲線下面積(AUC0-24)値に相当した。
【0161】
本発明者らは、本発明のいくつかの実施形態を記載しているが、本発明者らの基本的な実施例は、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために改変されてもよいことは明白である。したがって、本発明の範囲は、例として表されている特定の実施形態によってではなく、本出願および特許請求の範囲によって規定されることが理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置するための、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む組成物であって、前記組成物が、それを必要とする患者に投され、
血漿中の化合物AのCmaxが、最大で約561ng/mLに到達し、
化合物Aが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
組成物
【請求項2】
血漿中の化合物Aの前記Cmaxが、約500ng/mL~約561ng/mLである、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
血漿中の化合物Aの前記Cmaxが、約450ng/mL~約550ng/mLである、請求項1または2に記載の組成物
【請求項4】
血漿中の化合物BのCmaxが、最大で約288ng/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物
【請求項5】
血漿中の化合物Bの前記Cmaxが、約260ng/mL~約288ng/mLである、請求項4に記載の組成物
【請求項6】
血漿中の化合物Bの前記Cmaxが、約240ng/mL~約260ng/mLである、請求項4または5に記載の組成物
【請求項7】
血漿中の化合物CのCmaxが、最大で約265ng/mLに到達し、
化合物Cが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((R)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物
【請求項8】
血漿中の化合物Cの前記Cmaxが、約240ng/mL~約265ng/mLである、請求項7に記載の組成物
【請求項9】
血漿中の化合物Cの前記Cmaxが、約220ng/mL~約240ng/mLである、請求項7または8に記載の組成物
【請求項10】
前記化合物Aが、約10mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物
【請求項11】
前記化合物Aが、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kgおよび約90mg/kgからなる群より選択される用量で投与される、請求項10に記載の組成物
【請求項12】
自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置するための、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む組成物であって、前記組成物が、それを必要とする患者に投され
血漿中の化合物AのAUC0-24が、最大で約11700ng*hr/mLに到達し、
化合物Aが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
組成物
【請求項13】
血漿中の化合物Aの前記AUC0-24が、約11,000ng*h/mL~約11,700ng*h/mLである、請求項12に記載の組成物
【請求項14】
血漿中の化合物Aの前記AUC0-24が、約10,000ng*h/mL~約11,000ng*h/mLである、請求項12または13に記載の組成物
【請求項15】
血漿中の化合物BのAUC0-24が、最大で約6090ng*h/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
請求項12から14のいずれか一項に記載の組成物
【請求項16】
血漿中の化合物Bの前記AUC0-24が、約5500ng*h/mL~約6090ng*h/mLである、請求項15に記載の組成物
【請求項17】
血漿中の化合物Bの前記AUC0-24が、約5,000ng*h/mL~約5500ng*h/mLである、請求項15または16に記載の組成物
【請求項18】
血漿中の化合物CのAUC0-24が、最大で約5620ng*h/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((R)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
請求項12から17のいずれか一項に記載の組成物
【請求項19】
血漿中の化合物Cの前記AUC0-24が、約5000ng*h/mL~約5620ng*h/mLである、請求項18に記載の組成物
【請求項20】
血漿中の化合物Cの前記AUC0-24が、約4500ng*h/mL~約5,000ng*h/mLである、請求項18または19に記載の組成物
【請求項21】
化合物Aが、約10mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される、請求項12から20のいずれか一項に記載の組成物
【請求項22】
化合物Aが、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kgおよび約90mg/kgから選択される用量で投与される、請求項12から21のいずれか一項に記載の組成物
【請求項23】
化合物AのTmaxが、約4時間~12時間で達成される、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物
【請求項24】
前記自己免疫疾患/自己炎症性疾患が、皮膚、リウマチ性および胃腸管の自己免疫疾患/自己炎症性疾患から選択される、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物
【請求項25】
前記自己免疫疾患/自己炎症性疾患が、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される、皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患である、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0161】
本発明者らは、本発明のいくつかの実施形態を記載しているが、本発明者らの基本的な実施例は、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために改変されてもよいことは明白である。したがって、本発明の範囲は、例として表されている特定の実施形態によってではなく、本出願および特許請求の範囲によって規定されることが理解されよう。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、
血漿中の化合物AのC max が、最大で約561ng/mLに到達し、
化合物Aが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
方法。
(項目2)
血漿中の化合物Aの前記C max が、約500ng/mL~約561ng/mLである、項目1に記載の方法。
(項目3)
血漿中の化合物Aの前記C max が、約450ng/mL~約550ng/mLである、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
血漿中の化合物BのC max が、最大で約288ng/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
血漿中の化合物Bの前記C max が、約260ng/mL~約288ng/mLである、項目4に記載の方法。
(項目6)
血漿中の化合物Bの前記C max が、約240ng/mL~約260ng/mLである、項目4または5に記載の方法。
(項目7)
血漿中の化合物CのC max が、最大で約265ng/mLに到達し、
化合物Cが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((R)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
血漿中の化合物Cの前記C max が、約240ng/mL~約265ng/mLである、項目7に記載の方法。
(項目9)
血漿中の化合物Cの前記C max が、約220ng/mL~約240ng/mLである、項目7または8に記載の方法。
(項目10)
前記化合物Aが、約10mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記化合物Aが、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kgおよび約90mg/kgからなる群より選択される用量で投与される、項目10に記載の方法。
(項目12)
自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、および/またはそれらの組成物を投与するステップを含み、
血漿中の化合物AのAUC 0-24 が、最大で約11700ng*hr/mLに到達し、
化合物Aが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
方法。
(項目13)
血漿中の化合物Aの前記AUC 0-24 が、約11,000ng*h/mL~約11,700ng*h/mLである、項目12に記載の方法。
(項目14)
血漿中の化合物Aの前記AUC 0-24 が、約10,000ng*h/mL~約11,000ng*h/mLである、項目12または13に記載の方法。
(項目15)
血漿中の化合物BのAUC 0-24 が、最大で約6090ng*h/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
項目12から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
血漿中の化合物Bの前記AUC 0-24 が、約5500ng*h/mL~約6090ng*h/mLである、項目15に記載の方法。
(項目17)
血漿中の化合物Bの前記AUC 0-24 が、約5,000ng*h/mL~約5500ng*h/mLである、項目15または16に記載の方法。
(項目18)
血漿中の化合物CのAUC 0-24 が、最大で約5620ng*h/mLに到達し、
化合物Bが、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-((R)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである、
項目12から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
血漿中の化合物Cの前記AUC 0-24 が、約5000ng*h/mL~約5620ng*h/mLである、項目18に記載の方法。
(項目20)
血漿中の化合物Cの前記AUC 0-24 が、約4500ng*h/mL~約5,000ng*h/mLである、項目18または19に記載の方法。
(項目21)
化合物Aが、約10mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される、項目12から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
化合物Aが、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kgおよび約90mg/kgから選択される用量で投与される、項目12から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
化合物AのT max が、約4時間~12時間で達成される、項目1から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記自己免疫疾患/自己炎症性疾患が、皮膚、リウマチ性および胃腸管の自己免疫疾患/自己炎症性疾患から選択される、項目1から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記自己免疫疾患/自己炎症性疾患が、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される、皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患である、項目1から23のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】