(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ニコチン送達製品のための構造化されたフィルター材料
(51)【国際特許分類】
A24D 3/10 20060101AFI20240206BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20240206BHJP
【FI】
A24D3/10
A24D3/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548763
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2022053672
(87)【国際公開番号】W WO2022175261
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021104011.6
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512252548
【氏名又は名称】デルフォルトグループ、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DELFORTGROUP AG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、バッハマン
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BA08
4B045BC02
(57)【要約】
ニコチン送達製品を製造するためのフィルター材料であって、前記フィルター材料を水流交絡し、各々が前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも50質量%かつ最大でも100質量%のセルロース繊維を含み、前記フィルター材料は、少なくとも25g/m2かつ最大でも60g/m2の坪量を有し、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも45%かつ最大でも70%である透明度を前記フィルター材料に提供することを特徴とする構造を有する、フィルター材料を記載する。更に、ニコチン送達製品のためのフィルター材料を含んでなるセグメント、かかるセグメントを含んでなる喫煙具、経口ニコチン送達製品、および前記フィルター材料の製造方法を記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン送達製品を製造するためのフィルター材料であって、
前記フィルター材料は、水流交絡され、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも50質量%かつ最大でも100質量%のセルロース繊維を含み、
前記フィルター材料は、少なくとも25g/m
2かつ最大でも60g/m
2の坪量を有し、
前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるときに少なくとも45%かつ最大でも70%である透明度を、前記フィルター材料に提供することを特徴とする構造を有する、フィルター材料。
【請求項2】
前記フィルター材料中のセルロース繊維の割合は、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも60質量%かつ最大でも100質量%、好ましくは少なくとも70質量%かつ最大でも95質量%である、請求項1に記載のフィルター材料。
【請求項3】
前記セルロース繊維は、パルプ繊維、再生セルロースからの繊維またはこれらの混合物により形成される、請求項1または2に記載のフィルター材料。
【請求項4】
前記パルプ繊維は、針葉樹材、落葉樹材、麻、亜麻、黄麻、ちょ麻、ケナフ、カポック、ココナツ、アバカ、サイザル麻、竹、綿、もしくはアフリカハネガヤから供給されるか、またはこれらの供給源の2つ以上のパルプ繊維の混合物により形成される、請求項3に記載のフィルター材料。
【請求項5】
再生セルロースからの繊維の割合は、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも5質量%かつ最大でも50質量%、好ましくは少なくとも10質量%かつ最大でも45質量%、特に好ましくは少なくとも15質量%かつ最大でも40質量%である、請求項3または4に記載のフィルター材料。
【請求項6】
前記再生セルロースからの繊維は、ビスコース繊維、モーダル繊維、リヨセル(Lyocell)(登録商標)、テンセル(Tencel)(登録商標)またはこれらの混合物である、請求項3~5のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項7】
前記フィルター材料の坪量は、ISO536:2012に従って、少なくとも28g/m
2かつ最大でも55g/m
2、好ましくは少なくとも30g/m
2かつ最大でも55g/m
2である、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項8】
前記フィルター材料の透明度は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも50%かつ最大でも66%である、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項9】
前記構造は、前記フィルター材料内に複数の穴を含み、
前記複数の穴の少なくとも90%は、10mm
2未満の面積を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項10】
前記フィルター材料は、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、脂肪酸、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、湿潤紙力増強剤、ならびに特に有機および無機の酸および塩基であるpHの調整のための物質、ならびにクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、α-ヒドロキシカプリル酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、塩酸塩および炭酸水素塩からなる群から選択される燃焼添加剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の追加成分を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項11】
前記フィルター材料は、トリアセチン、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコールおよびクエン酸トリエチルからなる群から選択される1つ以上の物質を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項12】
前記フィルター材料の厚さは、ISO534:2011に従って測定されるとき、少なくとも70μmかつ最大でも1000μm、好ましくは少なくとも100μmかつ最大でも800μm、特に好ましくは少なくとも150μmかつ最大でも750μmである、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項13】
前記フィルター材料の幅に対する引張り強度は、少なくとも1つの方向においてISO1924-2:2008に従って測定されるとき、少なくとも0.05kN/mかつ最大でも5kN/m、好ましくは少なくとも0.07kN/mかつ最大でも4kN/mである、請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項14】
前記フィルター材料の破断点伸びは、少なくとも1つの方向においてISO1924-2:2008に従って測定されるとき、少なくとも1%かつ最大でも50%、好ましくは少なくとも3%かつ最大でも40%である、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項15】
ニコチン送達製品のためのセグメントであって、
前記ニコチン送達製品は、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルター材料と、前記フィルター材料を包装する包装材料と、を含む喫煙具である、セグメント。
【請求項16】
前記セグメントは、円形の底領域を有する円柱の形状であり、
前記円形の底領域は、少なくとも3mmかつ最大でも10mm、好ましくは少なくとも4mmかつ最大でも9mm、特に好ましくは少なくとも5mmかつ最大でも8mmの径を有する、請求項15に記載のセグメント。
【請求項17】
前記セグメントは、少なくとも4mmかつ最大でも40mm、好ましくは少なくとも6mmかつ最大でも35mm、特に好ましくは少なくとも10mmかつ最大でも28mmの長さを有する、請求項15または16に記載のセグメント。
【請求項18】
前記セグメントの長さ当たりの吸引抵抗は、ISO6565:2015に従って測定されるとき、少なくとも1mmWG/mmかつ最大でも12mmWG/mm、好ましくは少なくとも2mmWG/mmかつ最大でも10mmWG/mmである、請求項15~17のいずれか一項に記載のセグメント。
【請求項19】
前記包装材料は、紙またはフィルムである、請求項15~18のいずれか一項に記載のセグメント。
【請求項20】
前記包装材料は、少なくとも20g/m
2かつ最大でも150g/m
2、好ましくは少なくとも30g/m
2かつ最大でも130g/m
2の坪量を有する、請求項15~19のいずれか一項に記載のセグメント。
【請求項21】
セグメントを含む喫煙具であって、
前記喫煙具は、エアロゾル生成材料、および請求項15~20のいずれか一項に記載のセグメントを含む、喫煙具。
【請求項22】
請求項15~20のいずれか一項に記載のセグメントは、前記喫煙具の吸い口端と隣り合って配置されるセグメントである、請求項21に記載の喫煙具。
【請求項23】
前記喫煙具はフィルター付きシガレットであり、前記エアロゾル生成材料はタバコである、請求項21または22に記載の喫煙具。
【請求項24】
前記喫煙具の意図される使用中、前記エアロゾル生成材料は加熱されるだけで燃えず、前記エアロゾル生成材料は、タバコ、再構成タバコ、ニコチン、グリセロール、プロピレングリコールまたはこれらの成分の2つ以上の混合物を含む、請求項21または22に記載の喫煙具。
【請求項25】
請求項15~20のいずれか一項に記載のセグメントの前記包装材料は、少なくとも部分的に透明であるかまたは穴を有し、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも50%の透明度を有する、請求項21~24のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項26】
請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルター材料により形成されるパウチを含み、ニコチン含有材料を含む経口ニコチン送達製品であって、
前記フィルター材料は、好ましくは、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも50%かつ最大でも70%の透明度を有する、経口ニコチン送達製品。
【請求項27】
フィルター材料の製造方法であって、工程A~D:
A-セルロース繊維を含む繊維ウエブを準備する工程と、
B-水流交絡繊維ウエブを製造するために、前記繊維ウエブに向けられた少なくとも1つのウォータジェットにより前記繊維ウエブを水流交絡する工程と、
C-前記水流交絡繊維ウエブ内に構造を作成する工程と、
D-前記水流交絡繊維ウエブを乾燥する工程と、
を含み、
工程Aにおけるセルロース繊維の量は、工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料が、前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも50質量%かつ最大でも100質量%のセルロース繊維を含むように選択され、
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料は、少なくとも25g/m
2かつ最大でも60g/m
2の坪量を有し、
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも45%かつ最大でも70%の透明度を、前記フィルター材料に提供することを特徴とする構造を有し、
工程Cにおける構造の作成は、少なくとも1つのウォータジェットを前記繊維ウエブに向けることにより行われ、前記繊維ウエブは、複数の突出部を有する面により支持される、
方法。
【請求項28】
工程Aは、複数のセルロース繊維を紡糸することを含み、
前記セルロース繊維を、再生セルロースのフィラメントにより形成し、
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料の質量の少なくとも90質量%を、再生セルロースのフィラメントにより形成し、
好ましくは、前記再生セルロースのフィラメントは、リヨセル(Lyocell)(登録商標)から形成される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
工程Aは、工程A1~A4:
A1-セルロース繊維を含む水性懸濁物を製造する工程と、
A2-工程Aからの前記懸濁物を走行ワイヤに適用する工程と、
A3-繊維ウエブを形成するために前記走行ワイヤにより前記懸濁物を脱水する工程と、
A4-工程A3からの前記繊維ウエブを支持ワイヤに移動させる工程と、
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
工程A1における前記水性懸濁物は、最大でも3.0%、好ましくは最大でも1.0%、特に好ましくは最大でも0.2%、特に最大でも0.05%の固形分を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
工程A2およびA3の前記走行ワイヤは、少なくとも3°かつ最大でも40°の角度、好ましくは少なくとも5°かつ最大でも30°の角度、特に好ましくは少なくとも15°かつ最大でも25°の角度で前記走行方向において水平に対して上方に傾いている、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
工程A3における前記懸濁物の前記脱水を支持するために、前記走行ワイヤの両側間に圧力差が生じる工程を更に含み、
前記圧力差は、好ましくは、真空ボックスまたは適切な形状のフィンにより生じる、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
複数のウォータジェットを、工程Bにおいて前記水流交絡を行うために使用し、
前記ウォータジェットを、前記繊維ウエブの前記走行方向を横切るよう少なくとも1列に配置する、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
工程Bにおける前記水流交絡を、前記繊維ウエブに向けられた少なくとも2つのウォータジェットにより行い、
前記少なくとも2つのウォータジェットは、好ましくは、前記繊維ウエブの異なる側から作用する、請求項27~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
工程Cにおける前記繊維ウエブは、円柱により支持され、前記円柱の面上に複数の突出部が配置されている、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
工程Cにおける前記繊維ウエブを支持する前記面上に突出した各突出部の面積は、少なくとも0.1mm
2かつ最大でも15mm
2、好ましくは少なくとも0.25mm
2かつ最大でも10mm
2である、請求項27~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
工程Dにおける前記乾燥を、熱気との接触、赤外放射またはマイクロ波放射により少なくとも部分的に行う、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料は、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルター材料である、請求項27~37のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチン送達製品のためのフィルター材料、それから製造される喫煙具のためのセグメントまたはそれから製造される経口ニコチン送達製品に関し、前記フィルター材料は、例えば、硬さ、吸引抵抗、ろ過効率、光学的外観または生分解性に関するニコチン送達製品に対する有利な特性を提供する構造を有する。前記フィルター材料の構造は、これにより、その透明度を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
ニコチン送達製品は、喫煙具であり得る。喫煙具は、通常、隣同士に配置された少なくとも2つのロッド状セグメントからなるロッド状物品である。セグメントは、加熱時エアロゾルを生成することができる材料を含み、少なくとも1つの更なるセグメントは、前記エアロゾル特性に影響する働きをする材料を含む。
【0003】
喫煙具は、フィルター付きシガレットであり得、第一セグメントは、エアロゾル生成材料、特にタバコ、およびフィルターとして形成され、エアロゾルのろ過の働きをする更なるセグメントを備える。ここで、前記エアロゾルは、エアロゾル生成材料を燃やすことにより生成され、フィルターは、エアロゾルをろ過する働きをし、フィルター付きシガレットに対する規定の吸引抵抗を提供する。
【0004】
喫煙具は、いわゆる加熱式タバコ製品でもあり得、エアロゾル生成材料は、加熱されるだけで燃えない。これにより、エアロゾル中の有害物質の数および量を減らす。かかる喫煙具は、また、少なくとも2つのセグメントからなるが、より多くのセグメント、特に4つのセグメントからなることも多い。セグメントは、タバコ、再構成タバコ、他の方法またはニコチンおよびグリセロールまたはプロピレングリコールにより処理されたタバコを通常含んでなるエアロゾル生成材料を含む。更に、場合によっては、加熱式タバコ製品の光学的セグメントは、エアロゾルを移動、エアロゾルを冷却またはエアロゾルをろ過する働きをする。
【0005】
前記セグメントは、通常、包装材料により包装される。非常に頻繁に、包装材料として紙が使用される。
【0006】
以下では、明白に別の意味を示されない限りまたは文脈から直接導かれない限り、用語「セグメント」は、エアロゾル生成材料を含まないが、例えば、エアロゾルを移動、冷却またはろ過する働きをする喫煙具のセグメントであると理解されるべきである。
【0007】
従来技術では、かかるセグメントを、酢酸セルロースまたはポリ乳酸から形成することが知られている。環境において酢酸セルロースおよびポリ乳酸は非常にゆっくりとしか生分解しないので、業界は、より良く生分解する他の材料から喫煙具のセグメントの製造に興味がある。従来技術では、喫煙具のためのセグメント、特に、フィルターセグメントを紙から製造することが知られている。かかるセグメントは、総じて、よく生分解するが、いくつかの欠点に苦しんでいる。例として、紙から製造されたフィルターセグメントは、総じて高ろ過効率を有し、したがって、乾燥したエアロゾルをもたらし、前記乾燥エアロゾルは、酢酸セルロースから製造された従来のフィルターセグメントを備えるシガレットと比較して、エアロゾルの味を損なう。更に、紙から製造されたフィルターセグメントは、酢酸セルロースよりフェノール類に対するろ過効率が低いことが多い。加えて、吸引抵抗、ろ過効率および硬さの組合せに関して、消費者が許容することができる紙製セグメントを製造することは困難であることが分かった。ろ過効率を低下させるため、より少ない紙が使用されることが多く、セグメントは柔らかくなり、吸引抵抗が低い。
【0008】
紙製フィルターセグメントがまだ広範な使用を見出していない更なる理由は、しかしながら、これらの光学的外観にあるからである。喫煙具の吸い口端において、吸い口端に配置されたセグメントの切断面は目に見えることが多く、酢酸セルロースから製造された従来のセグメントでは、消費者は、個々のカット繊維はほとんど認識されない均質な白色面に慣れている。しかしながら、紙製セグメントは、消費者に対して明らかにより低品質の印象を伝える粗い構造を有する。したがって、紙製セグメントは、いくつかのセグメントからなるフィルター中の1セグメントとしてのみ使用されることが多い結果、消費者は切断面を見ることができない。したがって、吸い口端に配置されたセグメントは、なお頻繁に酢酸セルロースから製造される。これらの光学的欠点が原因で、紙製セグメントの生分解性の利点を、完全には利用することができない。
【0009】
ニコチン送達製品は、経口ニコチン送達製品であってもよい。経口ニコチン送達製品は、通常、ニコチン含有材料、例えば、タバコを含む不織布により形成される小さいパウチである。使用中、消費者は、しばらくの間、口の中このパウチを蓄え、これにより、物質、特にニコチンを、ニコチン含有材料から放出することができる。しかしながら、不織布形成パウチは、プラスチックを含み、したはって、生分解性でない。経口ニコチン送達製品の例は、スウェーデンのスヌース、白色スヌースまたは他の無煙タバコ製品などのパウチ中に充填された製品である。タバコを含まない経口ニコチン送達製品も知られている。
【0010】
したがって、ろ過効率、吸引抵抗、硬さおよび光学的外観の有利な組み合わせを有する喫煙具のためのセグメントを製造することを可能とする、または優れた生分解性を有するニコチン送達製品を製造することを可能とするフィルター材料を入手可能とする業界に興味がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、硬さ、吸引抵抗、ろ過効率および光学的外観に関して酢酸セルロースから製造された従来のセグメントと可能な限り同様であり、更に充分に生分解するセグメントを製造することを可能とする喫煙具のためのフィルター材料を提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、フィルター材料であって、前記フィルター材料から経口ニコチン送達製品を製造することができ、優れた生分解性を有する、フィルター材料を提供することである。
【0013】
これらの目的は、請求項1に記載のフィルター材料、請求項27に記載のフィルター材料の製造方法、請求項15に記載の喫煙具のセグメント、請求項21に記載の喫煙具および請求項26に記載の経口ニコチン送達製品によって達成される。有利な実施形態は、独立請求項で規定される。
【0014】
本発明者らは、これらの目的は、フィルター材料であって、前記フィルター材料は、水流交絡され、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも50質量%かつ最大でも100質量%のセルロース繊維を含み、前記フィルター材料は、少なくとも25g/m2かつ最大でも60g/m2の坪量を有し、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるときに少なくとも45%かつ最大でも70%である透明度を、前記フィルター材料に提供することを特徴とする構造を有する、フィルター材料により達成することができることを見出した。
【0015】
本発明によれば、前記フィルター材料を、水流交絡により製造する。この製造方法は、他のフィルター材料と、特に紙と差別化し、他の製造方法により同じ様に得ることができない特徴的特性を、前記フィルター材料に提供する。紙と対照的に、例えば、強度は主に水素結合により、繊維は紙の平面に主に配置され、水流交絡不織布の強度は繊維の絡み合いにより達成され、したがって、更に繊維の相当な割合を前記不織布の厚さ方向に配向する。前記繊維のこの配置は、とりわけ、これから製造されるセグメントが、吸引抵抗、ろ過効率および硬さに関する有利な特性を有するために必須である。
【0016】
本発明者らは、本発明による組成物に従った水流交絡フィルター材料から製造されるセグメントは、総じて、紙から製造されたセグメントより優れた特性を有するが、これらの特性を更に最適化する可能性がなお存在し、これらの特性を酢酸セルロース製セグメントになおより近付けることを見出した。紙から製造されたセグメントと同様だが、より僅かな程度に、優れたろ過効率だから問題が生じ、ほんの少しフィルター材料を使用してもよく、したがって、吸引抵抗、特にセグメントの硬さは、消費者の期待を完全に満足させることはできない。本発明者らの発見によれば、フィルター材料の特別な構造は、この問題を解決することができる。本発明者らは、フィルター材料が紙のシートまたはプラスチックフィルムなどのほぼ均質な表面を有しないが、むしろ厚さに関して複数のばらつきまたは面全体にわたって分布された坪量を有することは有利であることを認識した。これらのばらつきは、例えば、フィルター材料上に規則的または不規則的に配置された穴または薄いスポットであり得る。これに関して、本発明者らの発見によれば、穴または薄いスポットが、材料の除去により製造されないが、むしろフィルター材料中の繊維の配置の再分布および変更により全体的または部分的に製造されることは有利である。以下で説明するように本発明による製造方法によりこれを達成することができる。
【0017】
これに関して、ばらつきの正確な形状および配置は重要でないが、これらは、面全体にわたってほぼ均一に分布されなければならず、特定の大きさを超えなければならない。これらのばらつき、特にこれらの大きさを特徴とするために、本発明者らは、例えば、厚さ、坪量または通気性などの様々なパラメータを考慮した。しかしながら、これらのパラメータを、前記ばらつきを取得するために充分に低い空間分解能で測定することができないことが分かった。
【0018】
しかしながら、本発明者らは、フィルター材料の透明度は、繊維の再分布により変化することに気づいた。換言すれば、本発明によるフィルター材料を識別する特別な構造は、特徴的、より高い透過度を有するフィルター材料を提供し、前記透過度により、前記フィルター材料は、同じ坪量および同様な組成物だが、従来の構造のフィルター材料と差別化される。これに関して、透過度は、フィルター材料の所望の構造を特徴付けするために使用することができる適切な、明確に測定可能なパラメータである。
【0019】
繊維の再分布は、実際に、穴または薄いスポットをより透過性にすることは期待されるが、次いでより多くの繊維が存在する穴と薄いスポットとの間の領域は、より透過性でなくなるので全体として平均して透明度に対する効果はほとんどないかまたは全くないという理由で、所望の構造を有するフィルター材料の観察される透過度の増加は、この点で驚くべきことである。しかしながら、事実、実験は、本発明による最も低い坪量25g/m2においてさえ、従来の構造を有するフィルター材料は、40%の値を超えないDIN53147:1993-01に従った透明度を有する。繊維の再分布だけが、より高い透過度を得ることができ、繊維の再分布は、すなわち、フィルター材料の構造の繊維の再分布由来の穴および薄いスポットと直接的な関係性にあり;これは、これから製造されたセグメントの硬さおよび吸引抵抗に関する本発明による利点ももたらす。
【0020】
本発明者らの発見によれば、セルロース繊維は、充分な強度を有するフィルター材料を提供するために必要であり、その結果、これをセグメントに加工することができる。本発明によれば、フィルター材料中のセルロース繊維の割合は、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、フィルター材料の質量の少なくとも50質量%かつ最大でも100質量%、しかしながら、好ましくは少なくとも60質量%かつ最大でも100質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%かつ最大でも95質量%である。
【0021】
セルロース繊維は、パルプ繊維もしくは再生セルロースからの繊維またはこれらの混合物であり得る。
【0022】
パルプ繊維は、好ましくは、針葉樹材、落葉樹材または麻、亜麻、黄麻、ちょ麻、ケナフ、カポック、ココナツ、アバカ、サイザル麻、竹、綿、もしくはアフリカハネガヤなどの他の植物から供給される。加えて、様々な起源からのパルプ繊維の混合物を、水流交絡フィルター材料の製造のために使用することができる。特に好ましくは、より小さい割合でさえ、かかる繊維は優れた強度を有するフィルター材料を提供するので、パルプ繊維は、針葉樹材から供給される。
【0023】
本発明によるフィルター材料は、再生セルロースからの繊維を含むことができる。好ましくは、再生セルロースからの繊維の割合は、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも5質量%かつ最大でも50質量%、特に好ましくは少なくとも10質量%かつ最大でも45質量%、特に少なくとも15質量%かつ最大でも40質量%である。
【0024】
再生セルロースからの繊維は、好ましくはビスコース繊維、モーダル繊維、リヨセル(Lyocell)(登録商標)、テンセル(Tencel)(登録商標)またはこれらの組合せである。これらの繊維は、優れた生分解性を有し、使用してフィルター材料の強度を最適化およびこれから製造されたセグメントのろ過効率を喫煙具に調整することができる。これらの製造方法のせいで、これらの繊維は、天然源から供給されるパルプ繊維より変わりにくく、したがって、パルプ繊維が排他的に使用されることになる場合よりフィルター材料から製造されたセグメントの特性のより低い変動に寄与する。
【0025】
本発明によれば、フィルター材料の坪量は、少なくとも25g/m2かつ最大でも60g/m2、好ましくは少なくとも28g/m2かつ最大でも55g/m2、特に好ましくは少なくとも30g/m2かつ最大でも55g/m2である。前記坪量は、フィルター材料の引張り強度に影響し、より高い坪量は、より高い強度をもたらし得る。前記値は、ISO536:2012に従って測定された坪量に関する。
【0026】
本発明によれば、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、フィルター材料の透明度は、少なくとも45%かつ最大でも70%、好ましくは少なくとも50%かつ最大でも66%である。少なくとも45%の繊維の再分布が原因の透明度を超えて、フィルター材料から製造されたセグメントの硬さおよび吸引抵抗に関するプラス効果を示す。しかしながら、その時、薄いスポットおよび穴は、フィルター材料の強度がもはやこれからセグメントを製造するのに適していない程度まで優勢であるので、前記透明度は高すぎるべきでない。
【0027】
事実、ばらつきの形状および大きさは、周囲のフィルター材料から正確に区切ることができないので、これらは、正確に規定することができず、しかしながら、明白に各個別のばらつきは、セグメントの製造に必要なフィルター材料の面積よりずっと小さくなければならない。フィルター材料の特別な構造を、穴によっても形成されるので、穴の大部分、例えば、穴の90%超の面積は、好ましくは10mm
2未満である。これらのスケールにおいて、DIN53147:1993-01に従った透明度の測定のための測定面積は約2.5cm
2であり、したがって、総じて、穴または薄いスポットならびに周囲の領域を代表的に含むので、透明度は、フィルター材料の構造を特徴とするパラメータとして特に適切である。これらのばらつきを例示する実施形態は、実施例として
図2に示し、以下に説明する。しかしながら、本発明は、
図2に示されている形状大きさのばらつきに限定されない。
【0028】
特定の特性の調整のため、本発明によるフィルター材料は、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、脂肪酸、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、湿潤紙力増強剤または、例えば、有機もしくは無機の酸もしくは塩基などのpHの調整のための物質などの添加剤を含むことができる。添加剤として、本発明によるフィルター材料は、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、α-ヒドロキシカプリル酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、塩酸塩および炭酸水素塩ならびにこれらの混合物からなる群、特に好ましくはクエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムおよびこれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の燃焼添加剤を含むこともできる。
【0029】
当業者は、かかる添加剤の種類および量を、その経験から決定することができるだろう。
【0030】
本発明によるフィルター材料は、フィルター材料のろ過効率を、酢酸セルロースのろ過効率とよりよく一致させる他の物質を含むこともできる。本発明によるフィルター材料の好ましい実施形態では、フィルター材料は、トリアセチン、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコールおよびクエン酸トリエチル、またはこれらの混合物からなる群から選択される物質を含んでなる。
【0031】
ISO534:2011に従って測定されるとき、フィルター材料の厚さは、少なくとも70μmかつ最大でも1000μm、好ましくは少なくとも100μmかつ最大でも800μm、特に好ましくは少なくとも150μmかつ最大でも750μmである。前記厚さは、喫煙具のセグメントに充填することができるフィルター材料の量に影響し、したがって、セグメントの吸引抵抗およびろ過効率、更に喫煙具用セグメントの製造のために圧着または折りたたまれることが多いので、フィルター材料の加工性に影響する。かかる工程段階のため、厚さがあまりに大きく不利であり、好ましいおよび特に好ましい間隔の厚さは、本発明によるフィルター材料の特に優れた加工性を、喫煙具のセグメントを形成するために得られることを可能とする。
【0032】
フィルター材料の機械的特性は、本発明によるフィルター材料をニコチン送達製品に加工するために重要である。特に、穴または薄いスポットは、フィルター材料の強度を、過度に低下させるべきでない。ISO1924-2:2008に従って測定されるとき、フィルター材料の幅に対する引張り強度は、好ましくは少なくとも0.05kN/mかつ最大でも5kN/m、特に好ましくは少なくとも0.07kN/mかつ最大でも4kN/mである。
【0033】
本発明によるフィルター材料をニコチン送達製品に加工中、フィルター材料は、しばしば、走行方向に延伸または応力がかかり、したがって特に高い破断点伸びは有利であるので、フィルター材料の破断点伸びは重要である。したがって、ISO1924-2:2008に従って測定されるとき、フィルター材料の破断点伸びは、好ましくは少なくとも1%かつ最大でも50%、特に好ましくは少なくとも3%かつ最大でも40%である。
【0034】
引張り強度および破断点伸びは、測定するためのサンプルがフィルター材料から採取される方向に依存し得る。フィルター材料の前記特徴は、それぞれ、少なくとも1つの方向における引張り強度または破断点伸びが好ましいまたは特に好ましい間隔にある場合に応じる。
【0035】
喫煙具用セグメントを、当技術分野において公知の方法を用いて本発明のフィルター材料から製造することができる。これらの方法は、例えば、フィルター材料を圧着または折りたたむこと、圧着または折りたたまれたフィルター材料から連続ロッドを形成すること、包装材料を用いて前記連続ロッドを包装することおよび前記包装されたロッドを規定された長さの個々のロッドに切断することを含んでなる。多くの場合、かかるロッドの長さは、本発明による喫煙具においてこの時使用されることになるセグメントの長さの整数倍であり、したがって、次いで、前記ロッドを、喫煙具の製造前または製造中に所望の長さのセグメントに切断する。
【0036】
喫煙具のための本発明によるセグメントは、本発明によるフィルター材料および包装材料を含んでなる。
【0037】
本発明によるセグメントの好ましい実施形態では、セグメントは、少なくとも3mmかつ最大でも10mm、特に好ましくは少なくとも4mmかつ最大でも9mm、より特に好ましくは少なくとも5mmかつ最大でも8mmの径を有する円柱状である。これらの径は、喫煙具において発明によるセグメントの使用のために有利である。
【0038】
本発明によるセグメントの好ましい実施形態では、セグメントは、少なくとも4mmかつ最大でも40mm、特に好ましくは少なくとも6mmかつ最大でも35mm、特に少なくとも10mmかつ最大でも28mmの長さを有する。
【0039】
セグメントの吸引抵抗は、とりわけ、喫煙具により特定の容積流量を吸引するために、喫煙者がどれほどの圧力差を喫煙具の消費中印加しなければならないかを決定し、したがって、前記セグメントの吸引抵抗は、喫煙者が喫煙具を受け入れるかを本質的に影響する。セグメントの吸引抵抗を、ISO6565:2015に従って測定することができ、mmウォーターゲージ(mmWG)で示される。非常に良好な近似まで、セグメントの吸引抵抗は、セグメントの長さに比例し、その結果、セグメントと異なるロッドに対して前記ロッドの長さにおいてのみ吸引抵抗の測定を行うこともできる。セグメントの吸引抵抗を、これから容易に算出することができる。
【0040】
セグメントの単位長さ当たりのセグメントの吸引抵抗は、好ましくは少なくとも1mmWG/mmかつ最大でも12mmWG/mm、特に好ましくは少なくとも2mmWG/mmかつ最大でも10mmWG/mmである。
【0041】
本発明によるセグメントの包装材料は、好ましくは、紙またはフィルムである。
【0042】
本発明によるセグメントの包装材料は、好ましくは少なくとも20g/m2かつ最大でも150g/m2、特に好ましくは少なくとも30g/m2かつ最大でも130g/m2の坪量を有する。この好ましいまたは特に好ましい坪量を有する包装材料は、特に有利な硬さを有するこれにより包装された本発明によるセグメントを提供する。このことは、喫煙者が、喫煙具内側に配置されたセグメントを偶発的に加圧することができないことを意味する。
【0043】
本発明による喫煙具を、当技術分野において公知の方法を用いて本発明によるセグメントから製造することができる。
【0044】
本発明による喫煙具は、エアロゾル生成材料を含むセグメントならびに本発明によるフィルター材料および包装材料を含んでなるセグメントを含んでなる。
【0045】
本発明によるセグメントの切断面は、酢酸セルロース製セグメントの切断面と光学的に類似しているので、好ましい実施形態では、吸い口端と隣り合う喫煙具のセグメントは、本発明によるセグメントである。
【0046】
好ましい実施形態では、喫煙具は、フィルター付きシガレットであり、エアロゾル生成材料は、タバコを含む。
【0047】
好ましい実施形態では、喫煙具は、意図される使用中、エアロゾル生成材料は加熱されるだけで燃えず、エアロゾル生成材料は、タバコ、再構成タバコ、ニコチン、グリセロール、プロピレングリコールまたはこれらの混合物を含んでなる喫煙具である。
【0048】
フィルター材料の特別な構造に起因する透明度は、更なる利点を可能とする。いくつかの喫煙具は、喫煙者が喫煙具の内側を見ることができるように構成される。かかる喫煙具のため、包装材料は、部分的に透明であるか、またはフィルター材料を直接見ることを可能とする穴を提供する。しかしながら、これらの低透明度のせいで、更に当技術分野において公知であるフィルターを見ることはできない。本発明によるフィルター材料が50%超の透明度を有する場合、例えば、フィルターに配置された香料を充填された壊れやすいカプセルを認識することが可能である。したがって、喫煙具の特に好ましい実施形態では、喫煙具は、エアロゾル生成材料を含むセグメントならびに本発明のフィルター材料および包装材料を含んでなるセグメントを含んでなり、前記包装材料は、少なくとも部分的に透明であるかまたは穴を有し、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも50%の透明度を有する。
【0049】
本発明者らは、驚くべきことに、前記フィルター材料は、経口ニコチン送達製品にも適していることを見出した。本発明者らは、本発明によるフィルター材料は、その組成物および透明度を特徴とする特別な構造により優れた生分解性を有し、本発明によるフィルター材料は、使用中に経口ニコチン送達製品のニコチン含有材料から放出される物質の優れた透過性を有する結果、ニコチン送達製品に特に適していることを見出した。
【0050】
したがって、本発明による経口ニコチン送達製品は、本発明によるフィルター材料により形成され、ニコチン含有材料を含むパウチを含んでなる。好ましくは、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも50%かつ最大でも70%の透明度を有する。
【0051】
ニコチン含有材料は、好ましくは、タバコであり得る。
【0052】
本発明によるフィルター材料を、工程A~Dを含む本発明による以下の方法に従って製造することができる:
A-セルロース繊維を含む繊維ウエブを準備する工程、
B-水流交絡繊維ウエブを製造するために、前記繊維ウエブに向けられた少なくとも1つのウォータジェットにより繊維ウエブを水流交絡する工程、
C-前記水流交絡繊維ウエブ内に構造を作成する工程、
D-前記水流交絡繊維ウエブを乾燥する工程、
工程Aにおけるセルロース繊維の量は、工程Dにおける乾燥後、フィルター材料が、フィルター材料の質量に対して、少なくとも50質量%かつ最大でも100質量%のセルロース繊維を含むように選択され、
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料は、少なくとも25g/m2かつ最大でも60g/m2の坪量を有し、
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも45%かつ最大でも70%の透明度を前記フィルター材料に提供することを特徴とする構造を有し、
工程Cにおける構造の作成は、少なくとも1つのウォータジェットを前記繊維ウエブに向けることにより行われ、前記繊維ウエブは、複数の突出部を有する面により支持される。
【0053】
工程Cにおける繊維ウエブに向けられた少なくとも1つのウォータジェットは、繊維を前記突出部の周囲に配置し、前記突出部により置換されるように繊維の再分布を引き起こす。したがって、前記突出部は、前記ウォータジェットの圧および前記突出部の領域に最初に存在する繊維の量に応じて、穴または薄いスポットを生成する。前記構造は、最初に記載されている特徴的に増加された透明度を、前記フィルター材料に提供する。しかしながら、総じて、前記突出部の形状は、全ての突出部が同じ形状を有する場合でさえ、前記繊維ウエブおよび前記フィルター材料中の前記穴または薄いスポットがこれらの形状および大きさに関してばらついているように、前記繊維ウエブに不正確に移動する。しかしながら、透明度の増加は、確実に証明することができる。より薄いスポットおよび特に穴を、基本的には、エンボス加工または打ち抜きにより製造することもできるが、これに関して、前記繊維を加圧または切断し、異なって配置しない。しかしながら、本明細書に記載されている本発明による方法により、前記繊維は、穴または薄いスポットの周囲に配置され、したがって、ネットワーク様構造を得る。このネットワーク様構造は、ほぼ均一な面を有するフィルター材料、またはエンボス加工または打ち抜きにより製造されるフィルター材料より、これから製造されたセグメントの硬さを高くすることを可能とし、かつ、吸引抵抗を所与の材料に関して低くすることを可能とする。
【0054】
この方法により製造されるフィルター材料は、ニコチン送達製品において使用するために適しているべきである。このことは、特に、前記フィルター材料は、個々にまたは組み合わせて全ての特徴を有することができ、これは、前記フィルター材料との関連で上記説明し、前記フィルター材料を対象とするクレームに規定されている。
【0055】
本発明による方法の好ましい実施形態では、工程Aにおける繊維ウエブの提供は、複数のセルロース繊維を紡糸することを含み、前記セルロース繊維を、再生セルロースのフィラメントにより形成し、工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料の質量の少なくとも90%を、再生セルロースのフィラメントにより形成する。この方法の特に好ましい実施形態では、再生セルロースのフィラメントは、リヨセル(Lyocell)(登録商標)である。
【0056】
本発明による方法の別の好ましい実施形態では、工程Aにおける繊維ウエブの提供は、以下の工程A1~A4:
A1-セルロース繊維を含む水性懸濁物を製造する工程と、
A2-工程Aからの懸濁物を走行ワイヤに適用する工程と、
A3-繊維ウエブを形成するために前記走行ワイヤにより前記懸濁物を脱水する工程と、
A4-工程A3からの繊維ウエブを支持ワイヤ上に移動させる工程と、
を含む。
【0057】
本発明による方法の好ましい実施形態では、工程A1における水性懸濁物は、最大でも3.0%、特に好ましくは最大でも1.0%、より特に好ましくは最大でも0.2%、特に最大でも0.05%の固形分を有する。懸濁物の特に低固形分は、低密度の繊維ウエブが、工程A3において形成されることを可能とし、これから製造されるセグメントのろ過効率に関して有利である。
【0058】
本発明による方法の好ましい実施形態では、工程A2およびA3における走行ワイヤは、水平に対して少なくとも3°かつ最大でも40°の角度、特に好ましくは少なくとも5°かつ最大でも30°の角度、より特に好ましくは少なくとも15°かつ最大でも25°の角度で繊維ウエブの走行方向上方に傾いている。
【0059】
好ましい実施形態では、前記方法は、工程A3における懸濁物の脱水を支持するために、走行ワイヤの両側間に圧力差が生じる工程を含んでなり、特に好ましくは、前記圧力差は、真空ボックスまたは適切な形状のフィンにより生じる。
【0060】
本発明による方法の好ましい実施形態では、複数のウォータジェットを、工程Bにおいて水流交絡を行うために使用し、前記ウォータジェットを、前記繊維ウエブの走行方向を横切るよう少なくとも1列に配置する。
【0061】
本発明による方法の好ましい実施形態では、工程Bにおける水流交絡を、前記繊維ウエブに向けられた少なくとも2つのウォータジェットにより行い、特に好ましくは、前記少なくとも2つのウォータジェットは、前記繊維ウエブの異なる側に作用する。
【0062】
本発明による方法の好ましい実施形態では、工程Cにおける前記繊維ウエブは、円柱により支持され、前記円柱の面上に複数の突出部が配置されている。
【0063】
好ましくは、工程Cにおいて前記繊維ウエブを支持する面上に突出した各突出部の面積は、少なくとも0.1mm2かつ最大でも15mm2、特に好ましくは少なくとも0.25mm2かつ最大でも10mm2である。
【0064】
本発明による方法の好ましい実施形態では、前記方法は、1つ以上の添加剤を前記繊維ウエブに適用する更なる工程を含んでなる。前記添加剤は、好ましくは、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、脂肪酸、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、湿潤紙力増強剤、例えば、有機もしくは無機の酸もしくは塩基などのpHの調整のための物質およびこれらの混合物からなる群から選択されるか、または前記添加剤は、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、α-ヒドロキシカプリル酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、塩酸塩および炭酸水素塩ならびにこれらの混合物からなる群から選択される燃焼添加剤である。
【0065】
本発明による方法の好ましい実施形態では、前記1つの添加剤または複数の添加剤の適用を、本発明による方法の工程Cと工程Dとの間で行う。本発明による方法の別の好ましい実施形態では、前記1つの添加剤または複数の添加剤の適用を、工程D後に行い、次いで、更なる工程で前記繊維ウエブを乾燥する。
【0066】
本発明による方法の好ましい実施形態では、工程Dにおける乾燥を、熱気との接触、赤外放射またはマイクロ波放射により少なくとも部分的に行う。加熱された面との直接的接触による乾燥も可能であるが、この時、水流交絡フィルター材料の厚さが減少する可能性があるので、あまり好ましくない。
【0067】
更なる方法では、本発明によるフィルター材料を、工程A、工程Bおよび工程Dにより製造することもできる。ここで、工程Cが省かれており、結果、前記方法は、本発明によらない。工程Bでは、高圧がウォータジェットのいくつかのために選択され、その結果、ウォータジェットは、支持ワイヤにより支持されている繊維ウエブに穴または薄いスポットを生成する。この方法により製造されるフィルター材料のため、ばらつきが、空間的にはるかに広がっていない可能性があり、結果、前記フィルター材料の透明度が少なくとも45%かつ最大でも70%になるように機械設定、例えば、ウォータジェットの圧を選択する場合、前記フィルター材料は本発明によるものだけである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、水流交絡フィルター材料の製造のための本発明による方法を行うことができる手段による配置を示す。
【
図2】
図2は、一例として、本発明によるフィルター材料および本発明によらないフィルター材料を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
フィルター材料のいくつかの好ましい実施形態、フィルター材料の製造方法、喫煙具のセグメントおよび喫煙具を以下に説明する。更に、本発明によらない比較例を記載する。
【0070】
フィルター材料の製造のため、
図1に示されている配置を使用した。
【0071】
パルプ繊維および再生セルロースからの繊維の懸濁物1を、貯蔵槽2中に準備し、工程A1、そこから、水平に対して上方に傾いた走行ワイヤ3上にポンプ送付し、工程A2、真空ボックス9により脱水し、工程A3、その結果、繊維ウエブ4をワイヤ上に形成し、この移動の全体的方向は矢印10により示されている。繊維ウエブ4を、ワイヤ3から取り除き、同様に走行している支持ワイヤ5へと移動した、工程A4。ここで、繊維ウエブ4の走行方向を横切る数列に配置されたウォータジェット11を、デバイス6から繊維ウエブ4上に向け、繊維を絡み合わせ、繊維ウエブ4を不織布に固定した、工程B。更なる工程では、ウォータジェット12も追加のデバイス7により繊維ウエブ4の他方の側に向け、ここで繊維ウエブ4を円柱リール13により支持し、この面上に、複数の突出部が提供された、工程C。次に、まだ湿っている不織布は、乾燥デバイス8を通過し、フィルター材料を得るためにここで乾燥した、工程D。
【0072】
例示的実施例1
水流交絡フィルター材料を製造するために、針葉樹材からのパルプ繊維およびリヨセル(Lyocell)(登録商標)の混合物を使用し、繊維の量は、最終フィルター材料が65%のパルプ繊維および35%のリヨセル(Lyocell)(登録商標)繊維からなるように選択した。前記最終フィルター材料は、55g/m2の坪量および330μmの厚さを有した。
【0073】
製造方法の工程Cでは、ウォータジェットの列、
図1の12、を繊維ウエブ4に向けたが、繊維ウエブ4をリール、
図1の13により支持した。前記リールは、1mm×1mmの正方形の底面を有する隣同士に配置されたプリズム状突出部(
図1に示さず)を有した。突出部は、列状に配置し、隣り合う列間および各列の突出部間に1mmの距離をおいた。
【0074】
突出部およびウォータジェットの作用は、前記フィルター材料に、薄いスポット及び穴を生成し、これらは、全体的に不規則な構造を有するフィルター材料を提供した。前記フィルター材料の透明度を、DIN53147:1993-01に従っていくつかのランダムに選択された位置で測定し、0.76%の標準偏差(絶対)を有する49.1%の値を得た。
図2は、1に割り当てられた例示的実施例1のフィルター材料を示し、ライン4は、長さ約1cmである。
【0075】
例示的実施例2
水流交絡フィルター材料を製造するために、針葉樹材からのパルプ繊維およびビスコース繊維の混合物を使用し、繊維の量は、最終フィルター材料が80%のパルプ繊維および20%のビスコース繊維からなるように選択した。前記最終フィルター材料は、50g/m2の坪量および290μmの厚さを有した。
【0076】
製造方法の工程Cでは、ウォータジェットの列、
図1の12、を繊維ウエブ4に向けたが、繊維ウエブ4をリール、
図1の13により支持した。リール、
図1の13は、例示的実施例1として構成されたが、ウォータジェット、
図1の12の圧力は、より高くなるように選択された。
【0077】
突出部およびウォータジェットの作用は、薄いスポットを生成したが、高い圧力によって、例示的実施例1のフィルター材料より多くの穴を生成した。前記フィルター材料の透明度を、DIN53147:1993-01に従っていくつかのランダムに選択された位置で測定し、1.62%の標準偏差(絶対)を有する55.7%の値を得た。
図2は、2に割り当てられた例示的実施例2のフィルター材料を示し、ライン4は、長さ約1cmである。
【0078】
例示的実施例3
水流交絡フィルター材料を製造するために、例示的実施例2と同様に同じ繊維混合物を使用した。前記最終フィルター材料は、35g/m2の坪量および200μmの厚さを有した。
【0079】
本発明による方法と異なり、工程Cが省かれており、工程Bにおけるウォータジェットの圧力が非常に高くなるように選択されたため、前記フィルター材料における薄いスポットおよび穴が非常に不規則な配置で生成された。
【0080】
前記フィルター材料の透明度を、DIN53147:1993-01に従っていくつかのランダムに選択された位置で測定し、2.47%の標準偏差(絶対)を有する52.3%の値を得た。
図2は、3に割り当てられた例示的実施例3のフィルター材料を示し、ライン4は、長さ約1cmである。
【0081】
比較例A
本発明によらないフィルター材料を製造するために、例示的実施例1と同じ繊維混合物を使用した。しかしながら、坪量を、特に低くなるように選択し、最終フィルター材料ではほんの25.8g/m2であった。
【0082】
フィルター材料を、本発明による方法の工程A、BおよびDにより製造したが、工程Cにおける構造の生成を省いた。前記フィルター材料の面は、例示的実施例1~3より明らかにずっと均一であった。
【0083】
本発明による前記フィルター材料の透明度を、DIN53147:1993-01に従っていくつかのランダムに選択された位置で測定し、0.53%の標準偏差(絶対)を有する38.2%の値を得た。
図2は、Aに割り当てられた本発明によらない比較例のフィルター材料を示し、ライン4は、長さ約1cmである。
【0084】
例示的実施例1~3および比較例の各フィルター材料から、100mmの長さおよび7.85mmの径を有する、紙で包装されたフィルターロッドを製造した。フィルター材料のウェブ幅およびフィルター製造中の機械設定を、各フィルターロッドのため、440±15mmWGの同様な吸引抵抗が得られるように選択した。20mmの長さを有するセグメントを、フィルターロッドから切断し、フィルター換気のない83mm長のアメリカンブレンドシガレットをこれから製造した。前記シガレットの平均重量は、932.7mgであった。前記シガレットを、ISO3308:2012に規定されている方法に従って喫煙し、シガレット当たりのニコチンフリー乾燥粒子状物質の量を決定した。前記シガレットのフィルターセグメントを取り除き、各フィルターセグメントに含まれているニコチンフリー乾燥粒子状物質の量も決定し、ろ過効率パーセントをこれから算出し、前記ろ過効率は、フィルターセグメントに流入したニコチンフリー乾燥粒子状物質のどの割合がフィルターに残存しているかを表す。したがって、フィルター材料の特性に加えて、ろ過効率は、フィルターセグメントの長さおよび径にも依存する。
【0085】
フィルターロッドの硬さを、Borgwaldt KCのDD60A測定装置を用いて測定した。ここで、フィルターロッドを、規定された時間、規定された力で試験体により負荷に曝し、変形を測定し、変形していない状態に対するパーセンテージとして表した。
【0086】
フィルターロッドの吸引抵抗(PD)、ニコチンフリー乾燥粒子状物質に対するろ過効率(FE)およびフィルターセグメントの硬さ(HD)を表1に示す。加えて、DIN53147:1993-01に従ったフィルター材料の透明度(TR)を表1に示す。例示的実施例1~3および比較例Aに加えて、酢酸セルロースから製造されたフィルターに関するデータを比較例Bとして示す。比較例Bに関して、フィルター材料は繊維ウエブの形態でなかったので、透明度を測定することができなかった。
【0087】
【0088】
同等の吸引抵抗において、例示的実施例1~3のセグメントのろ過効率は、本発明によらない比較例Aのセグメントより、酢酸セルロース製フィルター、比較例Bのろ過効率に有意に近いことが、表1から分かる。明らかに、同様な吸引抵抗にもかかわらず、例示的実施例1~3のネットワーク様構造は、セグメントを通るエアロゾルのより良好な流れを可能とする結果、より少ないニコチンフリー乾燥粒子状物質がエアロゾルから濾し取られる。このろ過効率の低下が透明度の増加を伴っている結果、事実、透明度は、フィルター材料の不規則さを特徴付け、ろ過効率との関係を築くための適切なパラメータであることも分かる。
【0089】
本発明による例示的実施例1~3からのセグメントの硬さは、比較例AおよびBのセグメントの硬さより僅かに低い。かかる硬さの小さい差を、セグメントのためのより堅い包装材料の選択により補償することもできるので、このことは、それほど重要ではない。
【0090】
酢酸セルロースから製造されたフィルター、比較例Bと共に例示的実施例1~3からの吸い口端において見ることができるシガレットのフィルター断面の光学的外観の主観的比較は、これらが僅かしか異ならず、これに関して、いずれにしても、従来の紙フィルターより比較例Bに有意に同様である。
【0091】
したがって、セグメントを、本発明によるフィルター材料から製造することができ、吸引抵抗、ろ過効率、硬さおよび光学的外観に関する前記セグメントの特性は、本発明によらない紙から製造されたフィルター材料または水流交絡フィルター材料より、酢酸セルロースから製造されたフィルターに全体的に近いことが分かった。しかしながら、本発明によるフィルター材料の生分解性は、酢酸セルロースから製造されたフィルター材料より有意に優れる。
【0092】
調製されたタバコで充填されたパウチの形態の経口ニコチン送達製品を、例示的実施例2の本発明によるフィルター材料から製造し、使用に関して、従来の経口ニコチン送達製品に対する差は見られなかった。しかしながら、前記パウチは、従来のパウチより優れた生分解性を有する。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン送達製品を製造するためのフィルター材料であって、
前記フィルター材料は、水流交絡され、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも50質量%かつ最大でも100質量%のセルロース繊維を含み、
前記フィルター材料は、少なくとも25g/m
2かつ最大でも60g/m
2の坪量を有し、
前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるときに少なくとも45%かつ最大でも70%である透明度を、前記フィルター材料に提供することを特徴とする構造を有する、フィルター材料。
【請求項2】
前記フィルター材料中のセルロース繊維の割合は、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも60質量%かつ最大でも100質量%、好ましくは少なくとも70質量%かつ最大でも95質量%である、請求項1に記載のフィルター材料。
【請求項3】
前記セルロース繊維は、パルプ繊維、再生セルロースからの繊維またはこれらの混合物により形成される、請求項1または2に記載のフィルター材料。
【請求項4】
前記パルプ繊維は、針葉樹材、落葉樹材、麻、亜麻、黄麻、ちょ麻、ケナフ、カポック、ココナツ、アバカ、サイザル麻、竹、綿、もしくはアフリカハネガヤから供給されるか、またはこれらの供給源の2つ以上のパルプ繊維の混合物により形成される、請求項3に記載のフィルター材料。
【請求項5】
再生セルロースからの繊維の割合は、それぞれ前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも5質量%かつ最大でも50質量%、好ましくは少なくとも10質量%かつ最大でも45質量%、特に好ましくは少なくとも15質量%かつ最大でも40質量%である、請求項3または4に記載のフィルター材料。
【請求項6】
前記再生セルロースからの繊維は、ビスコース繊維、モーダル繊維、リヨセル(Lyocell)(登録商標)、テンセル(Tencel)(登録商標)またはこれらの混合物である、請求項3~5のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項7】
前記フィルター材料の坪量は、ISO536:2012に従って、少なくとも28g/m
2かつ最大でも55g/m
2、好ましくは少なくとも30g/m
2かつ最大でも55g/m
2である、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項8】
前記フィルター材料の透明度は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも50%かつ最大でも66%である、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項9】
前記構造は、前記フィルター材料内に複数の穴を含み、
前記複数の穴の少なくとも90%は、10mm
2未満の面積を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項10】
前記フィルター材料は、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、脂肪酸、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、湿潤紙力増強剤、ならびに特に有機および無機の酸および塩基であるpHの調整のための物質、ならびにクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、α-ヒドロキシカプリル酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、塩酸塩および炭酸水素塩からなる群から選択される燃焼添加剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の追加成分を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項11】
前記フィルター材料は、トリアセチン、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコールおよびクエン酸トリエチルからなる群から選択される1つ以上の物質を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項12】
前記フィルター材料の厚さは、ISO534:2011に従って測定されるとき、少なくとも70μmかつ最大でも1000μm、好ましくは少なくとも100μmかつ最大でも800μm、特に好ましくは少なくとも150μmかつ最大でも750μmである、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項13】
前記フィルター材料の幅に対する引張り強度は、少なくとも1つの方向においてISO1924-2:2008に従って測定されるとき、少なくとも0.05kN/mかつ最大でも5kN/m、好ましくは少なくとも0.07kN/mかつ最大でも4kN/mである、請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項14】
前記フィルター材料の破断点伸びは、少なくとも1つの方向においてISO1924-2:2008に従って測定されるとき、少なくとも1%かつ最大でも50%、好ましくは少なくとも3%かつ最大でも40%である、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルター材料。
【請求項15】
ニコチン送達製品のためのセグメントであって、
前記ニコチン送達製品は、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルター材料と、前記フィルター材料を包装する包装材料と、を含む喫煙具である、セグメント。
【請求項16】
前記セグメントは、円形の底領域を有する円柱の形状であり、
前記円形の底領域は、少なくとも3mmかつ最大でも10mm、好ましくは少なくとも4mmかつ最大でも9mm、特に好ましくは少なくとも5mmかつ最大でも8mmの径を有する、請求項15に記載のセグメント。
【請求項17】
前記セグメントは、少なくとも4mmかつ最大でも40mm、好ましくは少なくとも6mmかつ最大でも35mm、特に好ましくは少なくとも10mmかつ最大でも28mmの長さを有する、請求項15または16に記載のセグメント。
【請求項18】
前記セグメントの長さ当たりの吸引抵抗は、ISO6565:2015に従って測定されるとき、少なくとも1mmWG/mmかつ最大でも12mmWG/mm、好ましくは少なくとも2mmWG/mmかつ最大でも10mmWG/mmである、請求項15~17のいずれか一項に記載のセグメント。
【請求項19】
前記包装材料は、紙またはフィルムである、請求項15~18のいずれか一項に記載のセグメント。
【請求項20】
前記包装材料は、少なくとも20g/m
2かつ最大でも150g/m
2、好ましくは少なくとも30g/m
2かつ最大でも130g/m
2の坪量を有する、請求項15~19のいずれか一項に記載のセグメント。
【請求項21】
セグメントを含む喫煙具であって、
前記喫煙具は、エアロゾル生成材料、および請求項15~20のいずれか一項に記載のセグメントを含む、喫煙具。
【請求項22】
請求項15~20のいずれか一項に記載のセグメントは、前記喫煙具の吸い口端と隣り合って配置されるセグメントである、請求項21に記載の喫煙具。
【請求項23】
前記喫煙具はフィルター付きシガレットであり、前記エアロゾル生成材料はタバコである、請求項21または22に記載の喫煙具。
【請求項24】
前記喫煙具の意図される使用中、前記エアロゾル生成材料は加熱されるだけで燃えず、前記エアロゾル生成材料は、タバコ、再構成タバコ、ニコチン、グリセロール、プロピレングリコールまたはこれらの成分の2つ以上の混合物を含む、請求項21または22に記載の喫煙具。
【請求項25】
請求項15~20のいずれか一項に記載のセグメントの前記包装材料は、少なくとも部分的に透明であるかまたは穴を有し、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも50%の透明度を有する、請求項21~24のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項26】
請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルター材料により形成されるパウチを含み、ニコチン含有材料を含む経口ニコチン送達製品であって、
前記フィルター材料は、好ましくは、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも50%かつ最大でも70%の透明度を有する、経口ニコチン送達製品。
【請求項27】
フィルター材料の製造方法であって、工程A~D:
A-セルロース繊維を含む繊維ウエブを準備する工程と、
B-水流交絡繊維ウエブを製造するために、前記繊維ウエブに向けられた少なくとも1つのウォータジェットにより前記繊維ウエブを水流交絡する工程と、
C-前記水流交絡繊維ウエブ内に構造を作成する工程と、
D-前記水流交絡繊維ウエブを乾燥する工程と、
を含み、
工程Aにおけるセルロース繊維の量は、工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料が、前記フィルター材料の質量に対して、少なくとも50質量%かつ最大でも100質量%のセルロース繊維を含むように選択され、
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料は、少なくとも25g/m
2かつ最大でも60g/m
2の坪量を有し、
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料は、DIN53147:1993-01に従って測定されるとき、少なくとも45%かつ最大でも70%の透明度を、前記フィルター材料に提供することを特徴とする構造を有し、
工程Cにおける構造の作成は、少なくとも1つのウォータジェットを前記繊維ウエブに向けることにより行われ、前記繊維ウエブは、複数の突出部を有する面により支持される、
方法。
【請求項28】
工程Aは、複数のセルロース繊維を紡糸することを含み、
前記セルロース繊維を、再生セルロースのフィラメントにより形成し、
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料の質量の少なくとも90質量%を、再生セルロースのフィラメントにより形成し、
好ましくは、前記再生セルロースのフィラメントは、リヨセル(Lyocell)(登録商標)から形成される、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
工程Aは、工程A1~A4:
A1-セルロース繊維を含む水性懸濁物を製造する工程と、
A2-工程Aからの前記懸濁物を走行ワイヤに適用する工程と、
A3-繊維ウエブを形成するために前記走行ワイヤにより前記懸濁物を脱水する工程と、
A4-工程A3からの前記繊維ウエブを支持ワイヤに移動させる工程と、
を含む、請求項
27に記載の方法。
【請求項30】
工程A1における前記水性懸濁物は、最大でも3.0%、好ましくは最大でも1.0%、特に好ましくは最大でも0.2%、特に最大でも0.05%の固形分を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
工程A2およびA3の前記走行ワイヤは、少なくとも3°かつ最大でも40°の角度、好ましくは少なくとも5°かつ最大でも30°の角度、特に好ましくは少なくとも15°かつ最大でも25°の角度で前記走行方向において水平に対して上方に傾いている、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
工程A3における前記懸濁物の前記脱水を支持するために、前記走行ワイヤの両側間に圧力差が生じる工程を更に含み、
前記圧力差は、好ましくは、真空ボックスまたは適切な形状のフィンにより生じる、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
複数のウォータジェットを、工程Bにおいて前記水流交絡を行うために使用し、
前記ウォータジェットを、前記繊維ウエブの前記走行方向を横切るよう少なくとも1列に配置する、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
工程Bにおける前記水流交絡を、前記繊維ウエブに向けられた少なくとも2つのウォータジェットにより行い、
前記少なくとも2つのウォータジェットは、好ましくは、前記繊維ウエブの異なる側から作用する、請求項27~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
工程Cにおける前記繊維ウエブは、円柱により支持され、前記円柱の面上に複数の突出部が配置されている、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
工程Cにおける前記繊維ウエブを支持する前記面上に突出した各突出部の面積は、少なくとも0.1mm
2かつ最大でも15mm
2、好ましくは少なくとも0.25mm
2かつ最大でも10mm
2である、請求項27~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
工程Dにおける前記乾燥を、熱気との接触、赤外放射またはマイクロ波放射により少なくとも部分的に行う、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
工程Dにおける乾燥後、前記フィルター材料は、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルター材料である、請求項27~37のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】