(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ストローラー用の滑走付属品ならびにストローラーと少なくとも1つのその滑走付属品とを備えた移送組立体
(51)【国際特許分類】
A63C 5/00 20060101AFI20240206BHJP
B62B 7/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A63C5/00 Z
B62B7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548820
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2022053595
(87)【国際公開番号】W WO2022175231
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519088111
【氏名又は名称】ベビーゼン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ミシェル ショードゥルジュ
【テーマコード(参考)】
3D051
【Fターム(参考)】
3D051AA04
3D051BA14
3D051CG04
3D051CG07
3D051DD06
(57)【要約】
本発明の滑走付属品(200、300)は、第1の軸(X-X)に沿って細長く、第1の軸に垂直な第2の軸(Z-Z)に沿って向かい合う面を呈する、雪上を滑走するための底板(210)、ならびにストローラーの車輪(130)に取外し可能に取付けられる輪止め(220)を有している。輪止めは車輪の下部を受容するハウジングを画定し、それは第2の軸に沿って上部に向い開口し、第2の軸に対して横方向に配置された底壁により、そして第1と第2の軸に平行に配置され、第1と第2の軸に垂直な第3の軸(Y-Y)に沿って互に向かい合うように配置された2つの側壁で境界を定められている。各側壁は、第3の軸に沿って他の側壁に向い突き出たレリーフが設けられている。レリーフは、車輪のタイヤ(131)と接触することで共働するように配置され、第2の軸に沿った付属品と車輪との間の相対的移動により、付属品を、レリーフが、タイヤを、底壁に対して第2の軸に沿って、押付け、タイヤの下部をハウジングの下部に押込んで、滑走付属品を車輪に固定する使用中の配置と、付属品が車輪から取外され、タイヤがレリーフから第3の軸に沿って弾性的に押付けられている非使用中の配置との間で、付属品が2つの配置の間を移行する時に、可逆的に移行させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストローラ-(100)用の滑走付属品(200、300、1200、1300)であって、
・底板(210、1210)であって、第1の軸(X-X)に沿って細長い形状を有しており、そして前記第1の軸に垂直な第2の軸(Z-Z)に沿って互に反対の位置にある第1および第2の面を有しており、前記底板は、前記底板の前記第1の面に;雪面滑走面(210A、1210A)が設けられており、前記雪面滑走面は、雪で覆われた地面に対して適用されることが意図されている、底板、ならびに、
・輪止め(220、1220)であって、前記底板(210、1210)によって支持されており、前記底板の前記第2の面上に配置されており、そして前記ストローラー(100)の車輪(130)に取り外し可能に連結されることができる、輪止め、
を含んでなり、
ここで、前記輪止め(220、1220)は、前記車輪(130)の下部を受容するためのハウジング(221、1221)を画定し、該ハウジングは、前記第2の軸(Z-Z)に沿って、前記底板(210、1210)の前記第1の面と反対方向に開口しており、そして該ハウジングは、前記第2の軸(Z-Z)に交差するように配置された底壁(222、1222)によって、そして前記第1の軸(X-X)と、および前記第2の軸(Z-Z)に実質的に平行に配置され、前記第1および第2の軸に垂直な第3の軸(Y-Y)に沿って互に向かい合うように配置された2つの側壁(223,1223)によって、画定的に境界を定められており、
ここで、前記2つの側壁(223、1223)のそれぞれは、対応する側壁の残りの部分から、前記第3の軸(Y-Y)に沿って他の側壁に向けて、突き出たレリーフ(224,1224)を設けられており、そして、
ここで、前記レリーフ(224、1224)は、前記車輪(130)のタイヤ(131)と接触することによって、前記滑走付属品と前記車輪の間の前記第2の軸(Z-Z)に沿った相対的な移動によって、滑走付属品を、
・使用中の配置であって、前記レリーフ(224、1224)が前記タイヤ(131)を前記第2の軸(Z-Z)に沿って前記底壁(222、1222)に対して押し付け、それによって前記タイヤの下部を前記ハウジング(221、1221)の下部に押し込んで前記滑走付属品を前記車輪に連結させる、使用中の配置、および、
・非使用中の配置であって、前記滑走付属品が、前記車輪から取り外され、前記滑走付属品が、前記使用中の配置と前記不使用中の配置の間を移行する間に、前記タイヤは、前記第3の軸(Y-Y)に沿って前記レリーフによって弾性的に押し付けられている、非使用中の配置、
の間で可逆的に移行するように、共働するように、連帯的に配置されている、
滑走付属品。
【請求項2】
それぞれの側壁(223、1223)の前記レリーフ(224、1224)が、前記滑走付属品(200、300、1200、1300)が前記使用中の配置と前記非使用中の配置の一方から他の配置へと移行する場合に、前記車輪(130)の前記タイヤ(131)を他の側壁に向けて累進的に押し付けるように、斜角を付けられている、請求項1記載の滑走付属品。
【請求項3】
それぞれのレリーフ(224、1224)が、前記第3の軸(Y-Y)に対する断面において、「V」型の外形または、該「V」の先端において先端を切った「V」型の外形を呈する、請求項2記載の滑走付属品。
【請求項4】
それぞれのレリーフ(224、1224)が、対応する前記側壁(223、1223)上で、前記第3の軸(Y-Y)に沿って突き出ており、前記底壁(222、1222)に向かって半球状にされたアーチ型を呈する、請求項1~3のいずれか1項記載の滑走付属品。
【請求項5】
前記滑走付属品(200、300、1200、1300)が使用中の配置にある場合に、それぞれのレリーフ(224、1224)が、前記底壁(222、1222)に向けて曲げられたその面において、前記タイヤ(131)の曲率と適合する外形を呈する、請求項4記載の滑走付属品。
【請求項6】
それぞれのレリーフ(224、1224)が、前記第1の軸(X-X)に沿って互に離れている複数の要素(224.1、224.2、224.3)で構成されている、請求項1~5のいずれか1項記載の滑走付属品。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の滑走付属品であって、
前記ハウジング(221、1221)もまた、前記第1の軸(X-X)に沿って互に向かい合うように配置され、そして前記2つの側壁(223、1223)のそれぞれを互いに連結する前壁(225、1225)と後壁(226、1226)によって画定的に境界を定められており、そして、
前記前壁(225、1225)および後壁(226、1226)は、前記滑走付属品(200、300、1200、1300)がその使用中の配置にある場合に、前記第1の軸(X-X)に沿って、前記車輪(130)の前記下部に対して、前記車輪の前記下部の前記タイヤ(131)との接触によって共働することによって、それぞれの停止部を形成することができる、
滑走付属品。
【請求項8】
前記底板(210、1210)および前記輪止め(220、1220)が、特には成形によって、互いに一体に形成されている、請求項1~7のいずれか1項記載の滑走付属品。
【請求項9】
前記底板(210、1210)は、完全な開口部(216)を設けられており、前記滑走付属品(200、300、1200、1300)の離型を目的として、該開口部は、前記底板の前記第1の面と前記第2の面を互いに連結しており、そして該開口部は前記第2の軸(Z-Z)に沿って、前記レリーフ(224、1224)上で垂直に配置されている、請求項8記載の滑走付属品。
【請求項10】
前記底壁(222)が円筒の一部によって形成され、該円筒は、前記第3の軸(Y-Y)と平行な幾何学的軸(Y222)を中心としており、そしてその凹面の表面は、前記底板(210)の前記第1の面から離れた方向に向いている、請求項1~9のいずれか1項記載の滑走付属品。
【請求項11】
前記底壁(1222)が実質的に平坦であり、前記底板(1210)によって形成されている、請求項1~9のいずれか1項記載の滑走付属品。
【請求項12】
移送用組立体であって、
・少なくとも1つの前輪(130)および2つの後輪(140)を有するストローラー(100)であって、それぞれの前輪が、加圧によって弾性的に変形可能なタイヤ(131)を有する、ストローラー、および
・それぞれの前輪のための、請求項1~11のいずれか1項記載の滑走付属品(200、300、1200、1300)であって、そして前記滑走付属品は、使用中の配置では、対応する前記前輪に取り付けられている、滑走付属品、
を含んでなる、移送用組立体。
【請求項13】
請求項12記載の移送用組立体であって、
それぞれの前輪(130)の前記タイヤ(131)は、前記前輪のリム(132)によって支持され、そしてこのリムから、前記前輪の横方向の側面のそれぞれで、突き出ていて、そのようにして2つにビーズ(135)を形成し、
それぞれの前輪(130)の前記タイヤ(131)の幅は、前記ビーズ(135)の水準において、前記タイヤが静止している間は、一方で、前記第3の軸(Y-Y)に沿って、前記レリーフ(224,1224)の外側で前記側壁(223,1223)の間の間隔以下であり、そして、他方で、前記第3の軸に沿って、前記レリーフの間の間隔よりも大きく、そして、
前記間隔は、前記第3の軸(Y-Y)に沿って、前記レリーフ(224、1224)の間では、それぞれの前輪(130)の前記リム(132)の前記幅以上である、
移送用組立体。
【請求項14】
請求項12または13記載の移送用組立体であって、
それぞれの前輪(130)は、前記ストローラー(100)のフレーム(110)の前部に取り付けられており、前記フレームのこの前部に、前記前輪の回転軸(R130)に対して放射状または整放線方向に延在している旋回軸の周りに自由に旋回可能なように連結されており、そして、
その、もしくは、それぞれの前輪(130)および使用中の配置にある関連する滑走付属品(200、300、1200、1300)が互いに連結されている場合には、ストローラー(100)は、前輪(単数)もしくは前輪(複数)をシャーシ(110)に対して旋回させることによって順次操縦可能なままである、
移送用組立体。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか1項記載の移送用組立体であって、
前記滑走付属品が、請求項7記載の滑走付属品であり、そして、
前記前壁(225、1225)および後壁(226、1226)が、前記ハウジング(221、1221)の開口部において、前記第1の軸(X-X)に沿って、互に、前記タイヤ(131)の外側直径よりも小さい間隔を有する距離にある、
移送用組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストローラー(stroller)用の滑走付属品に関する。本発明はまた、ストローラーと少なくとも1つのそのような滑走付属品とを備えた移送組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ストローラー中の子供を雪で覆われた地面上で移送することの課題に関する。実際に、冬の間の数週間に亘って、特定の地方に住むストローラー使用者、ならびにウインタースポーツファンは、雪で覆われた地面上でストローラーを押すことは非常に困難で、かつ危険である可能性があるという意味において、この課題に取り組まなければならない。何故ならば、ストローラーの車輪、特には前輪が、雪に埋もれてしまうからである。更には、ストローラーの使用者は、雪で覆われた地面は、固い、言い換えれば、雪のない、「転がる」地面、例えば屋根のある構造物の下の、もしくは密閉された構造体、例えばショッピングモールの中の、保護された地面と、しばしば交互に現れるという、更なる困難に直面する。
【0003】
従って、より具体的には、本発明は、雪の上、またはより一般的には、雪で覆われた地面と同様の特徴を備えた地面上を滑走するように設けられたストローラー付属品に関する。市場では、完全には満足なものではないが、現在、2つの解決策が利用可能である。
【0004】
第1には、種々の現存するストローラーのモデルでの使用のために設計されているという意味において、多目的の付属品である。この付属品は、スキーの滑走面を形成する、長い底板を有しており、その上面に、ストローラーの車輪に取り外し可能に取り付けられるように設計された輪止め(shoe)が与えられている。この輪止めは、例えば、顎具(jaws)、ひも、フック、環など、言い換えれば、より一般的には、可動性の機械的要素で、ストローラーの車輪に確実に装着されるように、使用者によって、しばしば道具の援けを得て、操作されなければならないもの、を含んでいる。日本特許出願公開第2020-026260号明細書には1つの例が示されている。実際には、これらの可動式の機械的要素の取り扱いは、時間がかかり、そしてうんざりするものであり、ストローラーのそれぞれの前輪に対して少なくとも繰り返されなければならず、そしてなおさらのこと、この装着は、通常は戸外で、そして寒冷時に行われなければならないので、使用者にとってしばしば非常に苦痛を感じるものである。もちろんのこと、前に装着された車輪のそれぞれから滑走付属品を取り外すことになった場合には、使用者は、滑走付属品の全ての機械的な装具を取り外すことになった場合に同じ複雑さに直面し、それが次いでは、ストローラーが固い地面を移動し続けることができるように、収容し、そして運搬するのは厄介となる。
【0005】
第2には、より根本的な解決策は、その前輪または車輪が、ストローラーの残りの部分とは完全に遊離され、そしてそれぞれが、方向旋回手段を先端に付けたスキーを有する多くの滑走装置によって置き換えられるように設計されたストローラーを用いることである。それらの滑走装置は、高価であり、そして使用されない場合には、重く、そして収容し、そしてその前輪がなおも固定されているストローラーとともに移送するのは厄介である。更には、滑走装置が前輪を置き換えるように取り付けられる場合には、取り扱いはとりわけ時間がかかる。何故ならば、使用者は、ストローラーには通常子供が乗っているにもかかわらず、置き換えの操作の間、ストローラーの前部を地面から高く保持することを強いられるためである。
【0006】
英国特許第2195106号明細書では、別の取り組みが提案されており、ストローラー用の滑走付属品が開示されている。この滑走付属品は、ストローラーの同じ横方向の側に位置する前輪と後輪の両方に取り付けられるように設計されている。この滑走付属品は、トラフ形状の本体を有し、それが前方ではフックの形状であり、そして後方では締め具で固定されており、締め具の顎具(jaws)は、それらの間で円形の断面の空洞を形成している。この滑走付属品を前輪と後輪とに保持させるために、前輪は、先ず、前述のフック内部に収容され、次いで後輪の端部が、それが前述の空洞中に受け入れられるまで、締め具の顎具の間に押し込まれる。これらの顎具は、次いで後輪の端部を空洞の内部に捉えて、それらの間の横方向の動きを、垂直方向と水平方向の両方で、可能とさせる。
【0007】
実用新案公開第平6-81867号では、買い物かご用のより初歩的な滑走付属品が提案されており、車輪の側面を、2つの水平方向の接触線のみに沿って、挟み付けるように設計されている。車輪の保持は不完全であり、この付属品をストローラーに用いることの実行可能性を疑わしいものにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、使用において容易で、効果的であり、そして実用的な、ストローラー用の新規な滑走付属品を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、請求項1に規定したストローラー用の滑走付属品を目的とする。
【0010】
本発明の背景にある概念の1つは、本発明に適合する滑走付属品を、ストローラーの車輪に、特には、用具を用いることなしに、あるいは可動の機械的部品を追加すること、または必要とすることなしに、即時に、可逆的に取り付け、そして取り外しできるようにすることであり、一方で、車輪への滑走付属品の取り付けの信頼性と安全性を保証することである。このことを達成するために、本発明では、車輪上の、トレッドとしても知られている、タイヤの弾性圧縮能力を利用しており、タイヤは、中実でも、特には発泡されていても、または圧縮内部チューブを備えていてもよい。全ての場合において、タイヤは、車輪の外側被覆を形成し、そして車輪のリムに支持されており、車輪のそれぞれの横方向の側面にリムを若干超えて突き出ている2つの環状のビーズを形成している。本発明によれば、滑走付属品は、ハウジングの境界を画定し、ハウジングは、滑走付属品の底板が水平の地面に置かれていると仮定して、垂直方向の動きに追随して車輪を固定/開放することができるように、上方に開放されている。このハウジングは、底板の前後方向の長手方向を考慮して、底面に向かって底壁、そして横方向は、互いに向かい合う2つの側壁、それぞれ左側と右側、によって閉鎖されている。他の壁に向いたその側面には、それぞれの壁は、車輪が、ハウジングに対して垂直方向に係合/解放される場合に、特にはその形状と大きさによって、車輪のタイヤ、特には車輪のビーズ、との接触によって干渉するように設計された突き出たレリーフが組み込まれている。従って、より正確には、使用者が、滑走付属品を車輪に固定しようと欲する場合には、特には、ストローラーの一部が車輪のある場所で若干持ち上げられて、そして滑走付属品をその垂直方向の地面上に置いた後に、この車輪は、ハウジングの底面に向かって垂直方向の下方に向かって係合され、それによって、連続的に、タイヤ、特にはタイヤのビーズが、レリーフと接触され、次いでそれらのレリーフを下向きに押すように弾性的に圧縮され、次いでレリーフが通過してしまったら、少なくとも部分的に圧縮を解かれ、次いで車輪は、レリーフによってハウジングの底面に対して下向きに保持される。滑走付属品は、次いで使用中の配置にされて、車輪に取り付けられ、そして車輪が、そして従ってストローラーが、滑走付属品がそのように備えられた、ストローラーのその、もしくは、それぞれの前輪が、ストローラーのシャーシに対して旋回されることができる限り、旋回する場合を含めて、雪で覆われた地面上を効率的に、そして安全に滑走することを確実にする準備ができる。使用者が、次いで滑走付属品を車輪から外して、後者を非使用中の配置に変えようと望む場合には、使用者は、車輪を垂直方向に上方に、特にはその付属品を地面に対して、底板上に置かれた彼の足で押し続けることによって、ハウジングから解放し、一方で、同時にストローラーの車輪領域を若干持ち上げて、それによってタイヤ、特にはタイヤビーズが、レリーフを上方に通過させ、次いでレリーフが通過された後に開放されるために、レリーフによって引き続き弾性的に圧縮される。ストローラーの車輪は、次いで滑走付属品から解放され、そして固い、雪のない地面上を転がる準備ができる。特には、上記のレリーフは、種々の形状を呈することができ、そして有利には、以下に詳述するように、それらの効果を向上または促進する随意選択的な特徴を含んでいる。いずれかの場合において、滑走付属品とストローラーを、滑走付属品の非使用中の、および使用中の配置の間で滑走付属品を変えるように操作することは、特に容易で、便利で、そして即座であり、ほんの数秒間しかかからず、用具を必要とせず、そして滑走付属品内部で可動性である機械的部品を必要としない。更には、本発明による滑走付属品は、ストローラーのサスペンションシステムの効率を決して変えない。何故ならば、滑走付属品はホイールベースの変動を制約しない。滑走付属品の更なる利点および有利な随意選択的特徴は、特には強度、製造および安全に関して、本明細書の残りの部分において明らかとなる。
【0011】
本発明による滑走付属品の更なる有利な特徴が、請求項2~11に特定されている。
【0012】
また、本発明は、請求項12に規定された移送組立体を目的として有している。
【0013】
本発明による移送組立体の更なる利点が、請求項13~15に特定されている。
【0014】
本発明は、例としてのみ与えられた、以下の図面を参照してなされた以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明による移送組立体の透視図である。
【
図2】
図2は、ストローラーの、そして2つの滑走付属品の前部の透視図であり、
図1の移送組立体に付属したものであり、それらの滑走付属品の1つが、使用中の配置で示されており、一方で他の滑走付属品が、非使用中の配置で示されている。
【
図3】
図3は、
図2の平面IIIによる部分的な断面図である。
【
図5】
図5は、単独で示された、
図2の滑走付属品の1つの透視図である。
【
図7】
図7~10は、それぞれ
図5、6、3および4と同様の図であり、本発明による滑走付属品の更なる実施態様を示している。
【
図8】
図7~10は、それぞれ
図5、6、3および4と同様の図であり、本発明による滑走付属品の更なる実施態様を示している。
【
図9】
図7~10は、それぞれ
図5、6、3および4と同様の図であり、本発明による滑走付属品の更なる実施態様を示している。
【
図10】
図7~10は、それぞれ
図5、6、3および4と同様の図であり、本発明による滑走付属品の更なる実施態様を示している。
【
図11】
図11は、
図7~10に示した実施態様の滑走付属品の、互いに頭-尾に配置した、透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~4には、ストローラー100ならびに2つの滑走付属品200および300を含む移送組立体が示されており、それらは以下により詳細に説明されるように、ストローラー100中の子供が、ストローラー100の少なくとも前部を雪の上で滑走させることによって、雪で覆われた地面上を移送されることが可能となる。
図1では、滑走付属品200および300は、ストローラー100に取り付けられており、一方で
図2では、滑走付属品200のみがストローラーに取り付けられており、一方で滑走付属品300は、ストローラーから取り外されている。
図5および6では、滑走付属品200が単独で示されている。
【0017】
滑走付属品200および300が、そしてそれらがストローラー100に連結することができ、そしてストローラー100から連結を外すことができる方法が詳細に説明される前に、ストローラー100が、より詳細に説明され、このストローラー100は、既知のものの範囲に典型的に収まることができることが指摘される。
【0018】
ストローラー100はフレーム110を有している。このフレーム110は、前後方向を画定するが、この前後方向に沿って互いに反対の位置にある、フレーム110の2つの部品がそれぞれに、ストローラー100が前方に押される場合に前方に面するフレームの前部、およびストローラー100が前方に押される場合に後方に面するフレームの後部に相当するという意味においてである。図面に示された例において、フレーム110は組立用チューブによって主に製造された管状の構造を呈する。
【0019】
形状がどのようであれ、フレーム110は、使用時に、ストローラー100によって移送される子供を受容することを可能にする受容部材120を支持するように設計されており、子供は、この受容部材120に、着席位置で、横たわる位置で、またはそれらの間の中間位置で、着席される。従って、受容部材120は、座席、持ち運び用ベッド、幌付きの赤ん坊用のかごベッドなどから選択され、受容部材120が作られる形態は、本発明では制限されない。更には、既知の、そして詳細には説明されない方法では、シャーシ110は、有利には、受容部材120が、特には移送される子供の年齢に応じて、取り換えらえることができるように設計される。
【0020】
また、ストローラー100は、車輪を有しており、車輪は、使用時には、地面が十分に固い場合には、地面の上で静止し、そして転がる。それらの車輪は、シャーシを地面に対して支えるために、シャーシ110のより低い領域に配置される。
図1および2に示されているように、それらの車輪は、1つもしくは2つ以上の前輪130および後輪140を含んでいる。図に示された例では、2つの前輪130、すなわち左前輪および右前輪、が装備され、それらはそれぞれがフレーム110の左側および右側に位置しており、2つの後輪、すなわち左後輪および右後輪、が装備され、それらは、それぞれがフレーム110の左側および右側に位置している。
【0021】
図3および4から分かるように、前輪130のそれぞれは回転軸R130を画定し、その周りを前輪が、地面が十分に固い場合には、地面の上を転がるように、それ自体の上で回転する。動作中では、前輪130のそれぞれの回転軸R130は、地面に実質的に平行に延在する。前輪130のそれぞれは、シャーシ110の前部に取り付けられており、有利にはシャーシのこの前部に連結されていて、それによって旋回軸の周りを自由に旋回でき、その旋回軸は、前輪の回転軸R130に対して、放射状または整放線方向に延在しており、それによって前輪は、その回転軸の周りの回転とは独立して、旋回軸の周りに旋回し、そして従ってシャーシ110に対して車輪の方向、そして従って地面に対してのシャーシ110の進行の方向を修正する。前輪130のそれぞれは、従って「旋回車輪」と記載されることができ、しばしば「従属輪」と称される。実際には、シャーシ110への前輪130の取り付けの特性は、本発明では制限されない。
【0022】
全ての場合において、前輪130のそれぞれは、タイヤ131、「トレッド」としても知られている、を有しており、それは、前輪の外側周縁トリムを形成し、回転軸R130を中心としていて、そして前輪130が固い表面を転がる場合には、それは地面と直接に接触する。
図2~4にみることができるように、各前輪130のタイヤ131は、車輪のリム132によって支持されている。このリム132は、回転軸R130を中心としており、そしてここに示された例においては、回転軸R130を中心とした、前輪のハブ133に連結されている。また、ここに示された例では、前輪130のそれぞれは、2つのハブキャップ134を有しており、それが、前輪の横方向のそれぞれで、前輪の中間領域を、リム132とハブ133との間で、被覆している。実際には、前輪130のそれぞれの特有の特徴は、リム132およびそれの前輪の残りとの連結に関しては、本発明を限定するものではない。
【0023】
全ての場合において、前輪130のそれそれのタイヤ131は、一方では、圧縮によって弾性的変形の能力を呈するように、他方では、前輪の横方向のそれぞれでリム132を若干超えて拡張して、従って2つのビーズ132を形成するように提供される。
図3および4において明確に認めることができるように、前輪130のそれぞれのタイヤ131のそれぞれのビード135は、対応するリム132と同一平面ではなく、このリムから、車輪の外側に向かって突き出ている。もちろんのこと、それぞれのビード132は、対応する前輪130の全体の外縁の周りに連続的に延在していて、そして従って一般的に環状の形状を呈し、前輪の回転軸R130を中心としている。実際には、それぞれのタイヤ131のビーズ135の形状および弾性的変形は、タイヤ構造からもたらされる。
【0024】
図に示された実施態様において、それぞれの前輪130のタイヤ131は、有利には中実の構造を呈し、空気入りの構造とは異なり、可変の空気圧力によって影響されず、それによってタイヤ131の外形は、ストローラー100の通常の条件の下では、有意な変形は起こらない。タイヤ131の中実の構造は、好ましくはポリウレタンフォームで作られており、それは、例えば、密閉された型中で冷間膨張されることによって成形される。そのようなポリウレタンフォームは、タイヤ131の全体に亘る一定のショア硬度、ならびにその高い耐摩耗性を呈するという利点を有しており、そのことが、タイヤ131がその寸法を長期に亘って保持し、そして低温におけるその復元力を維持することを確実にする。もちろんのこと、他の選択として、タイヤ131の、中実の、特には発泡された、構造を構成する材料は、ポリウレタンフォームに限定されず、他の材料を、特には、それらが、ポリウレタンフォームのものと同様の性能を呈する場合には、想定することができる。
【0025】
後輪140に関しては、それらはそれぞれが回転軸を画定し、その周りを対応する車輪が、十分に固い地面上を転がるように回転し、そして、それは、使用時には、地面と実質的に平行に延在している。後輪140のそれぞれは、フレーム110の後部に取り付けられており、有利には、フレームの後部に固定的に、言い換えれば、前輪130と比較して、旋回しないような方法で、連結されている。図に示された実施態様の例では、後輪140のそれぞれの回転軸は、一線上に揃えられ、それによって、後輪140は、固定された後輪の一式を形成し、同じ回転軸を中心としている。特に構造的な強度の理由から、この後輪の一式は、有利には、心棒141を有し、それが、
図1に点線で示されており、そして後輪140の間で、そのそれぞれから、同軸状に延在している。
【0026】
また、ストローラーは、プッシング部材150を有しており、フレーム110の後部によって、この後部の上部の領域において、一体的に支持されている。プッシング部材150は、フレームを、車輪130および140によって、十分に固い表面上を転がすことによって、特にはフレーム110を前方に押すように、使用者がフレーム110に、人の力を加えることを可能にさせる。プッシング部材150は、例えば、バー、ハンドルなどの形状で、実現される。プッシング部材150のデザインは、本発明を限定するものではない。
【0027】
次に、2つの滑走付属品200および300を詳しく見てみる。図に示された例示の実施態様では、それらの滑走付属品は、互いに同じであり、そのために、滑走付属品200のみが、以下に詳細に説明され、滑走付属品300が同じ言い方で説明されることが理解される。
【0028】
滑走付属品200の説明は、図に示されているように、幾何学的軸X-X、Y-YおよびZ-Zによって画定される直交基準フレームに対して適応される。実際には、滑走付属品200が、水平である雪で覆われた地面上を、ストローラー100が少なくとも部分的に滑走するように用いられる場合には、互いに直行した軸X-XおよびY-Yは、水平であり、一方で、軸X-XおよびY-Yに垂直である軸Z-Zは、垂直である。
【0029】
図5および6に見ることができるように、滑走付属品200は、X-X軸に沿って細長い形状を有する底板210を有している。言い換えれば、底板210は、軸X-Xに沿って長く延在している。底板210は、Z-Z軸に沿って互いに向かい合う面、すなわち、地面に面するように意図された、底部面、および上方に面するように、言い換えれば、地面から遠くにあるように、意図された上部面を、呈している。
【0030】
機能的には、底板210は、スキーの滑走部と同じである。この点について、底板210は、その下部面に、雪で覆われた地面に対して適用されることが意図された雪面滑走面210Aが与えられている。更に、底板210は、雪で覆われた地面の上を滑走するのがより容易であるようにするための種々の特徴が与えられることが信じられるが、しかしながら本発明を限定するものではない。例示のために、図に示された実施態様では、滑走面210Aは、有利には、雪の上を滑走する間に底板210の下に形成される水の膜の排出を容易にするために、溝が刻まれており、ここでは、滑走面210Aは、従って軸X-Xに沿って、底板210の軸方向の実質的に全体に亘って延在する2つの溝211を与えられている。更には、底板210は、その前方の長手方向の端部212に、へら(spatula)を形成しており、それは、底板210の残部と比較して、Y-Y軸に沿って若干幅広であり、そしてその自由末端まで累進的に上方に立ち上がっている。同様に、底板210は、後部の長手方向端部213を有しており、それはその後部の自由末端まで上方に累進的に立ち上がっており、その後端の立ち上がりは、へら(spatula)の立ち上がりよりも著しくはない。
【0031】
滑走付属品200はまた、ストローラーの車輪に取り外し可能に適応された輪止め(shoe)220を有している。この輪止め220は、従っていずれかの他のストローラー車輪に干渉することなしに、唯1つのストローラー車輪に取り付けられることができる。図に示された実施態様では、輪止め220は、従って以下により詳細に説明されるように、前輪130のいずれかに取り付けられるように、適用される。
図1では、輪止め220は、従って、滑走付属品200を左側前輪130に取り外し可能に取り付けることが可能であり、一方で滑走付属品300は、右側前輪130に取り外し可能に取り付けられる。
【0032】
輪止め220は、底板210によって支持され、底板210の上面上に配置されている。ここで考慮された実施態様では、輪止め220は面210Bから立ち上がっており、その底板は、その上面上に与えられており、そしてそれは滑走面210Aに概して平行である。更に、輪止め220は、有利には底板210の、前方の長手方向の区分212と後方の長手方向の区分213の間の、中間の長手方向の区分214に配置されている。
【0033】
輪止め220は、車輪130の下部を受容するように意図されたハウジング221を画定する。車輪130の下部がハウジング221中に挿入されることができるように、そして可逆的な方法で、それから取り外されることができるように、ハウジング221は、上方に、言い換えれば、軸Z-Zに沿って、そして底板210の下面の反対の方向に、開口されている。このようにして、滑走付属品200および車輪130は、軸Z-Zに沿って互に対して動かすことができ、滑走付属品200を可逆的に、
・使用中の配置、ここでは滑走付属品は車輪130に取り付けられており、この車輪の下部は、ハウジング221中に完全に下方にかみ合わされている、および、
・非使用中の配置、ここでは滑走付属品200は、車輪130から解放されており、車輪の下部は、ハウジング221から解放されており、車輪はハウジングから解放されていて、使用中の配置に比べて、底板210から、Z-Z軸に沿ってそして上方に、更に離れている、
の間で動かす。
【0034】
使用中の配置が、滑走付属品200について、
図1~4に示されている。非使用中の配置が、滑走付属品300について、
図2に示されている。
【0035】
図に示された例示の実施態様では、ハウジング221は、有利には対称面Pを与え、それは軸X-XおよびZ-Zに平行であり、そして軸Y-Yに沿って底板210の実質的に中央に存在する。この対称面Pは、
図5に示された断面VIに相当する。
【0036】
軸Z-Zに沿って、ハウジング221は、底面で、言い換えれば、底板210の方向に、輪止め220の底壁222によって、終わっており、輪止め220は、軸Z-Zに交差して配置されている。言い換えれば、底壁222は、軸Z-Zを横切って延在している。底壁222は、
・滑走付属品200が使用中の配置にある場合には、車輪130のタイヤ131の底部は、軸Z-Zに沿って底壁222に対して押し付けられ、そして、
・滑走付属品200が非使用中の配置にある場合には、車輪130のタイヤ131は、底壁222から離れている、
のように与えられている。
【0037】
図において考慮されている実施態様では、底壁222は、円筒の一部で形成されており、それは軸Y-Yに平行な幾何学的軸Y222を中心としており、そしてその凹面の表面は、上方、言い換えれば、底板210の下面の反対の方向に、に曲がっている。円筒のこの部分の凹面は、車輪130の直径よりも若干大きな半径を呈しており、一方で、少なくとも1つの膨らみ222.1を与えられており、この凹面と幾何学的軸Y222との間の間隔を局部的に低減させる。滑走付属品200が使用中の配置にある場合には、
図4で明確に見ることができるように、軸Z-Zに沿ってタイヤが押し付けられているその、もしくは、それぞれの膨らみ222.1の水準以外では、円筒の前述の部分の凹面と、車輪130のタイヤ131との間に、半径方向の間隔が残っている。底壁222は、従って車輪130の下部の周りにぴったりと合うように設計されており、輪止め220を、使用者が、車輪130と特に直感的にかみ合わせるようにさせ、そして輪止めが車輪130に固定される前に、ハウジング221を塞ぐ可能性があるいずれかの雪の除去を容易にさせる。
【0038】
また、図において考慮されている実施態様では、
図3および4に明確に見ることができるように、底板210の滑走面210Aによって画定される幾何学的平面は、底壁222を形成する円筒の部分の凹面に接している。使用中には、底壁222は、従って、その上に滑走面210Aが適用される、雪で覆われた地面に対して局部的に載っている。このことが、従って輪止め2220の集約性と頑健性を高める。
【0039】
軸Y-Yに沿って、ハウジング221は、輪止め220の2つの側壁223、すなわち、左手の側壁と右手の側壁、によって閉じられている。2つの側壁223は、軸X-XおよびZ-Zと平行に配置されており、軸Y-Yに沿って互に向かい合っており、そして底壁222によって、軸Y-Yに沿って互に連結されている。滑走付属品200が使用中の配置にある場合には、車輪130の下部は、
図1~3に明確に見ることができるように、軸Y-Yに沿って、側壁223の間に置かれる。
【0040】
図で考慮されている実施態様では、側壁223のそれぞれは、底板210まで、軸Z-Zに沿って、延在している。それぞれの側壁223は、従って、底板210の面210Bから突き出ている。
【0041】
2つの側壁223のそれぞれはレリーフ224を設けられており、レリーフ224は、軸Y-Yに沿って、対応する側壁の残りの部分から側壁の他方に向かって、突き出るように延在している。滑走付属品200の2つのレリーフ224は、滑走付属品200が使用中の配置にある場合、およびこの滑走付属品がこの使用中の配置と非使用中の配置との間を通過する場合に、車輪130のタイヤ131と接触することによって、一緒に共働することができる。レリーフ224とタイヤ131との間の接触によるこの共働は、レリーフ224とタイヤ131、特にはタイヤのビーズ135、との間の寸法的な干渉からもたらされる。
【0042】
従って、滑走付属品200が使用中の配置にある場合には、
図3および4に明確に見ることができるように、レリーフ224が、滑走付属品を車輪130に固定する目的で、タイヤ131、より正確にはタイヤ131の下部を、軸Z-Zに沿って、ハウジング221の底壁222に対して、押し付ける。実際には、レリーフ224は、従って、レリーフ224とビーズ135との間の前述の寸法的な干渉のために、タイヤ131のビーズ135のそれぞれを、より正確にはそれらのビーズ135のそれぞれの下部を、押し付ける。実際には、ビーズの水準におけるタイヤ131の幅は、タイヤが静止している、言い換えれば、押しつぶす応力にさらされていない場合には、一方では、軸Y-Yに沿って、レリーフ224の外側の側壁223の間の間隔より小さいかまたは同じであり、そして他方では、軸Y-Yに沿って、レリーフ224の間の間隔よりも大きいことが意図されている。
【0043】
滑走付属品が使用中と非使用中の配置の間を通過する場合には、タイヤ131,より正確にはタイヤ131の下部は、レリーフ224によって弾性的に押し付けられる。レリーフ224によるタイヤ131のこの圧力は、レリーフ224とビーズ135との間の前述の寸法的な干渉のために、タイヤ131のビーズ135の水準において基本的には起こる。同時に、リム132は、軸Y-Yに沿った、レリーフ224の間の間隔が、リム132の幅と同じかまたはそれより大きいという意味において、レリーフ224を実質的に拘束しない。
【0044】
滑走付属品200の、その使用中と非使用中の配置の間の移動を容易にする使用中の配置では、それぞれの側壁223のレリーフ224は、タイヤ131を、特にはそのビーズ135を、滑走付属品200が、その使用中と非使用中の配置の一方から他の配置に通過する場合に、累進的に押し付けるように、外側の壁に向けて傾けられている。
図3、5および6に明確に見ることができるように、それぞれのレリーフ224は、従って一方では、対応する側壁223から延在する上側表面224Aは下方に傾いており、そして他方では、対応する側壁223から延在する下側表面Bは、上方に傾いている。従って、
図2における軸Y-Yに対する横方向の断面では、それぞれのレリーフ224は、「V」型の外形、必要であれば「V」の先端を切り取って、を呈している。
【0045】
ここで考慮される実施態様の例で実施される他の有利な随意選択的な配置では、
図6において明確に見ることができるように、それぞれのレリーフ224は、軸Y-Yに沿って対応する側壁223上に突き出ていて、アーチ状の形状を呈しており、それは、言い換えれば、ハウジング221の底壁222に向けて、下側に曲がっている。このアーチ状の形状は、レリーフ224と車輪130のタイヤ131との間の接触の共働を向上させる。特には、
図6から明確に見ることができるように、それぞれのレリーフ224は、特にはその下側表面224Bにおいて、より低い外形を呈しており、それは円の円弧のような形状であり、それはタイヤ131、特にはタイヤ131のビーズ135、の半径と実質的に等しい半径を有している。このようにして、滑走付属品200が使用中の配置にある場合には、それぞれのレリーフ224の下側外形は、車輪130のタイヤ131の湾曲に、特にはビーズ135の湾曲に適合する。レリーフ224は、上方の外形を、特にはその上部の表面224Aにおいて、更に呈し、それはまたアーチ状であり、しかしながらその湾曲は、上部の外形の湾曲よりも小さい。滑走付属品200が非使用中の配置から使用中の配置に通過する場合には、レリーフ224のこの上部の外形は、レリーフ224の下方の外形に対して車輪130を漸進的に中央に置くように案内することによって、ハウジング221の内部で車輪130の下部の噛合いを容易にする。
【0046】
軸X-Xに沿って、レリーフ224のそれぞれは、図で考慮されている実施態様の例では、連続的には延在していないが、しかしながらその代わりに、いくつかの分離された要素224.1、224.2および224.3で構成されており、それらは、
図5および6で見ることができるように、軸X-Xに沿って互に分離している。224レリーフのこの区分された実施態様は、輪止め220の製造業者に実用的な利益を提供する。この区分された実施態様は、車輪130のレリーフ224とタイヤ131が、この共働がタイヤ131の外縁方向に連続することなしに、軸X-Xに沿って、広い面積に亘って相互作用することを可能にする。従って、タイヤ131が、要素224.1,224.2および224.3の間では、自由な空間ではレリーフ224によって、有意に押し付けられないので、局所的な過度の圧力が回避される。
【0047】
軸X-Xに沿って、ハウジング221は、有利には前壁225と後壁226で閉じられており、それらは軸X-Xに沿って互いに向かい合っている。
図5に見ることができるように、それらの前壁225および後壁226のそれぞれは、側壁223を互いに連結させ、従って輪止め220とハウジング221の構造的強度を補強している。滑走付属品200が使用中の配置にある場合には、
図4に明確に見ることができるように、前壁225は、車輪130の下部について、軸X-Xに沿って、そして前方に、停止部を形成する。同様に、後壁226は、車輪130の下部について、軸X-Xに沿って、そして後ろに向かって、停止部を形成する。前壁225および後壁226は、従って、滑走付属品200がその使用中の配置にある場合に、車輪130の輪止め220への連結を補強する。前壁225および後壁226によってそれぞれ形成される停止部は、車輪130の下部と、より正確にはこの下部のタイヤ131と、接触することによって、それらの寸法的な干渉によって、共働する。この点について、
図4に明確に見ることができるように、前壁225および後壁226は、軸X-Xに沿って、ハウジング221の開口部において、タイヤ131の外側直径よりも短い距離で、分離されている。
【0048】
図に示された実施態様では、前壁225および後壁226のそれぞれは、軸Z-Zに沿って、底板210まで延在している。前壁225および後壁226は、従ってそれぞれ底板210の面210Bからそれぞれ突き出ている。更には、図に示された実施態様の例では、前壁225および後壁226は、軸Z-Zに対して傾いた状態で立ち上げられている。軸Z-Zに対する後壁226の傾斜角は、前壁225の傾斜角よりも更により顕著であり、特には少なくとも30度であり、それによって後壁226は、その上方に曲がって面に、言い換えれば、底板210の下面から反対の方向に面した、面226Aを呈し、面226Aは、実質的に軸X-Xに沿って、そして軸X-Xに沿って、分布された1つもしくは2つ以上の突起227を設けられた延長部を呈している。このこと、またはそれらの突起227の重要性は、以下で明らかとなる。
【0049】
いずれの場合においても、ハウジング221は、滑走付属品200が、簡単に、効果的に、便利にそして即時に、車輪130と連結されること、そして車輪130から取り外されることを可能にする。
【0050】
実際に、例えば、ストローラー100が前輪130と後輪140を備えて、固い地面の上を転がるように先ず用いられること、そして次いでストローラー100が雪で被覆された地面に到達し、その上では、車輪が雪の中に沈むために、進むのが困難であることを考慮して、ストローラー100の使用者は、即時に滑走付属品200および300を、それらを前輪130にそれぞれ取り付けることによって、ストローラー100に戻すことができる。このことを行うために、使用者は、フレーム110の前部を持ち上げて、前輪130を地面から数センチメートル持ち上げる。ストローラー100の前部を持ち上げるこの操作は、ストローラー100の後部を、その後輪140の水準で、地面上に保持することによって、そしてこれは、必要であれば、子供が、ストローラーの受容部材120中に未だ存在している間に、容易に行われることができる。使用者は、次いで滑走付属品200を、左側の前輪130をハウジング221と垂直に直線に配置して、左側の前輪130の下に置く。使用者は、次いで左側の前輪130をハウジング221の上部に、特には、レリーフ224のそれぞれの上部表面224Aに対して、載せることによって、フレーム110の前部の持ち上げを停止する。使用者は、次いで強力な圧力をシャーシ210の前部に、地面の方向に、言い換えれば、軸Z-Zに沿って、そして下方に、加え、左側の前輪130のタイヤ131の下部が、レリーフ224によって、特にはそのビーズ135の領域で、軸Y-Yに沿って弾性的に押し付けられて、それらがレリーフ224を下方に通過するまで、下方に向けられる。レリーフ224がタイヤ131によって一旦通過されると、このタイヤ131は、そして特にはそのビーズ135は、少なくとも部分的に、弾性的効果によって、圧力を解かれ、一方で、レリーフ224によって軸Z-Zに沿って、底壁222に対して押し付けられる。同時に、タイヤ131は、軸X-Xに沿って、前壁225と後壁226に接している。タイヤ131の下部は、従ってハウジング221の下部に強固に押し込まれ、このことが滑走付属品200が車輪130に取り付けられることを確実にする。使用者は、滑走付属品300を右側の前輪130に取り付けるように、滑走付属品300での同じ操作を行う。
図2には、この状況を更に示しており、滑走付属品200は、既にストローラー100に取り付けられており、一方で使用者は、フレーム110の前部を持ち上げて、そして滑走付属品300を右側の前輪130と直線に配置して、右側の前輪130が滑走付属品300に固定する。
【0051】
2つの滑走付属品200および300が、
図1に示されているように、ストローラー100に一旦取り付けられると、使用者は、ストローラーの前部において、滑走付属品200および300を、雪の上を滑走させることによって、雪に覆われた地面上を、ストローラーを前方に動かすことができる。前輪130がフレーム110に対して旋回可能であることのために、曲がる場合には、ストローラー100は操縦可能なままであることに注目しなければならない。
【0052】
ここで、例えば、使用者が雪のない地面の区域に到達したために、使用者が、滑走付属品200および300をストローラー100から取り外したいと望むことを考慮すると、使用者は、彼自身を、ストローラー100の側面に置き、そして彼の足の前部を、滑走付属品200の輪止め220のいずれかの側で、底板210の面210Bに置き、それによって底板を地面に対して固く保持する。後壁226の傾斜と突起が、使用者の一方の足が、後壁226の面226A上に部分的に置かれること、そして突起227をこすること/カチッと動くことによって後壁226に対して固く保持されることを可能にすることによって、有利にはこの保持を補強するように機能する。次いで、使用者は、フレーム110の前部を彼に向けて垂直に、言い換えれば軸Z-Zに沿って、そして上方に、引張り、このことは、左側の前輪130をハウジング221の外に、タイヤ131、特にはそのビーズ135、の弾性的な圧縮によって、レリーフ224を超えて上方に、対応して引張る。滑走付属品200は、従って非使用の配置に移る。使用者は、滑走付属品300で、同じように、右側の前輪130から滑走付属品300を取り外すように実行する。
【0053】
ストローラーの前輪130に、または前輪130から滑走付属品200および300を取り付ける/取り外すことについてここに説明されてきたことは、後輪140が、前輪130のタイヤ131と同様のタイヤをそれぞれ有している場合には、原則として、後輪140についても直接に適用可能であることに留意しなければならない。特には、4つの滑走付属品が利用可能である場合には、ストローラーの4つの車輪のそれぞれに、滑走付属品の1つを装着させることが、理論的には可能である。しかしながら、実際には、滑走付属品の、例えば滑走付属品200および300の、ストローラーの全ての車輪への、同時の使用は、安全性の理由から、推奨されない、または不適もしくは禁止すらされる可能性があり、実際に、特には使用者が、ストローラーを不注意にまたは不器用に、進ませる場合には、傾斜のある雪に覆われた地面上では、重大な潜在的危険性がある可能性がある。この点について、滑走付属品200および300の有利な随意選択的な配置によれば、滑走付属品200および300のそれぞれは、使用者に対する対応する警告が与えられており、この警告は上方に、言い換えれば底板の下側の反対の方向に、面しており、それによって、使用時に、使用者によって見られることができる。従って、図に示された例では、滑走付属品200は、その底板210の面210B上に、目に見えるような警告区域215が設けられている。この目に見える警告区域215には、使用者に、滑走付属品が前輪130のみに設けられるべきであることを明確にさせることが意図された、例えば1つもしくは2つ以上のピクトグラムおよび/または文言を有している。目で見える警告区域215の形態は制限されるものではなく、そして例えばステッカ、はめ込まれた模様などからなる。
【0054】
滑走付属品200および300について上記で説明した機能的な性能に加えて、それらの滑走付属品200および300は、有利には、製造業者に容易で、そして経済的であるように設計される。この目的で、底壁222,2つの側壁223および前と後ろの壁225と226は、図に示された図におけるように、底板210と一体化されている。特には、底壁222,側壁223および前と後ろの壁225と226は、好ましくは底板210と1つの部品に成型される。言い換えれば、輪止め220と底板210は、好ましくは、とくには成形によって、一体化されている。離型を容易にするために、底板210には有利には完全な開口部216が設けられており、それが、
図3および5に明確に見ることができるように、底板210の下側および上側を互いに連結していて、それらの完全な開口部216は、軸Z-Zに沿って、レリーフ224と直列に配置されている。
【0055】
図7~11には、これまで説明された滑走付属品200および300の代替の実施態様として、滑走付属品1200および1300が示されている。滑走付属品1200および1300は、滑走付属品200および300と機能的には同様であり、すなわち、滑走付属品200および300と同様に、それらはストローラー100の前部が雪で覆われた地面の上を滑走することを可能にさせる。しかしながら、滑走付属品1200および1300は、滑走付属品200および300と比較して特有の特徴を有しており、それが以下に説明されている。
【0056】
図に示された例では、2つの滑走付属品1200および1300は互いに同じであり、それによって滑走付属品1200のみが以下に詳細に説明され、滑走付属品1300は同じ用語で説明されることが理解される。
【0057】
滑走付属品1200は、底板210と機能的に、または構造的にさえも同様である、底板1210を有している。特には、底板1210は、その下側に、雪面滑走表面1210Aを、そして上側に、面1210Bを設けられている。
【0058】
滑走付属品1200はまた、輪止め220と機能的に同様の輪止め1220を有している。特には、輪止め1220は、ハウジング1221を画定し、それはハウジング221と機能的に同様であり、そして底壁1222,側壁1223、前壁1125および後壁1226によって境界を定められており、それらはそれぞれが、壁222、223、225および226と機能的に同様である。輪止め220と同様に、輪止め1220は、有利には底1210と一体的に成形されている。
【0059】
底壁222とは異なり、底壁1222は、実質的に平坦であり、底板1210によって、より正確には、底板の専用の部分によって形成され、輪止め1220の軸Z-Zに沿って垂直に位置する。この配置は、滑走付属品1200の集約性、頑丈性、および製造、特には成形に有益である。
【0060】
側壁1223は、基本的には側壁223と、特にはレリーフ224と同様であるレリーフ1224を設けられていることによって、同じである。
【0061】
前壁225と後壁226と対照的に、前壁1225と後壁1226は、軸Z-Zに対して傾斜されておらず、しかしながら底板1210から、この軸Z-Zと平行に立ち上がっている。後壁1226は従って、突起227のような突起がない。
【0062】
輪止1220の壁1222、1223、1225および1226に関する構造的な仕様とは独立して、輪止め1220は、滑走付属品1200が、ストローラー100の後輪140に取り付けられることを防ぐことを可能にする随意選択的な構成を呈する。この構成は、成形による滑走付属品1200および1300の製造と更に適合する。
【0063】
この目的で、輪止め1220は、フールプルーフ装置1227を有しており、それは軸Z-Zに沿った心棒141との干渉によって、滑走付属品1200が、使用者が滑走付属品1200を後輪140のいずれかに取り付けるように試みる場合に、非使用中の配置から使用中の配置へと変化するのを妨げる。図に示された実施態様では、このフールプルーフ装置は、ウェブ1227.1および1227.2を有しており、それらは軸X-XおよびZ-Zに実質的に平行に配置されており、側壁1223のいずれかの側に配置されている。実際には、ウェブ1227.1および1227.2は、底板1210の面1210Bから延在している。それらのウェブ1227.1および1227.2のそれぞれは、端部1227.1A、1227.2Aを与えて、使用者が滑走付属品1200を後輪140の一方または他方に取り付けることを試みる場合に、それは、その寸法によって、著しく軸Z-Zに沿って心棒141を押し付けるように意図されている。フールプルーフ1227の設計がどのようなものであれ、このフールプルーフ1227は、滑走付属品1200および1300が後輪140に取り付けられるいずれかの可能性を防ぎ、それによって、ストローラー100の全ての車輪が滑走付属品に固定される危険性はない。
【0064】
ウェブ1227.1および1227.2の存在の利益を得る有利な随意選択的な配置では、滑走付属品1200および1300は、頭-尾に一緒に配置されていることができ、そして組み合わさることによって一緒に保持される。このことを得るように、それぞれの側壁1223と、この側壁に最も近いウェブ1227.1、1227.2は、それらの間に、軸Y-Yに沿って、
図7および0に明確に見ることができるように、自由空間1228.1、1228.2を形成する。それらの自遊空間1228.1および1228.2のそれぞれは、特にその寸法によって、滑走付属品1300のウェブの一方を、その非使用中の配置にあるこの滑走付属品1300が、同様に非使用中の配置にある滑走付属品1200に、頭-尾で取り付けられいる。滑走付属品1200および1300は、次いで
図11のように配置されている。特には、自由空間1228.1および1228.2のそれぞれは、幅を、言い換えれば、軸Y-Yに沿った寸法、すなわち、この軸Y-Yに沿って、対応する側壁1223と対応するウェブ1227.1、1227.2の間に空間を設けられており、これは、軸Y-Yに沿った、ウェブ1227.1と1227.2の厚さと実質的に等しい。
図11において、滑走付属品1200および1300が頭-尾の状態にある場合に、ウェブ1227.1と1227.2の一方は、滑走付属品1300の自由空間の一方に押し込まれ、このことが頭-尾配置を安定させることに資する。全ての場合において、滑走付属品1200および1300が頭-尾に連結されている場合には、それらは、一緒にコンパクトな組立体を形成し、その外側の外殻は、概ね平行六面体の形状であり、そしてコンパクトな設計であり、特には取り扱いが容易である。例えば、滑走付属品1200および1300は、このように頭-尾に取り付けられていて、簡単に一緒に操作して、ストローラー100の後部かごに入れたり、後部かごから取り出したりすることができる。
【0065】
最後に、いままで説明したストローラー100ならびに滑走付属品200、300、1200および1300には、種々の配置や変化を想定することが可能である。例えば、
・2つの前輪を有するのではなく、ストローラーは、唯一の前輪を有することができ、同様に、3つ以上の前輪および3つ以上の後輪がストローラー100に設けられることができる。
・中実の構造を有するのではなく、タイヤ131は、空気入りであることができ、それは、圧縮された空気チャンバを組み入れている。
・底板210または1210と一体に作られているのではなく、輪止め220または1220は、別個の部品として、連結された底板によって支持され、そしてこの底板に確実に固定されている、ならびに/あるいは、
・フールプルーフシステム、例えばフールプルーフ装置227、を持たない滑走付属品200および300については、上記の危険性を軽減するように、ブレーキ装置を、滑走付属品のそれぞれに、後輪140に対して、組み込むことによって、設けられることができ、このブレーキ装置は、ストローラー100の使用者によって、特には足での制御によって、そして滑走付属品が雪で覆われた地面上で滑走することを妨げることによって作用するように、自発的に作動される。
【国際調査報告】