(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】プロセスガスを乾燥させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
B01D53/26 231
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548850
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2022053538
(87)【国際公開番号】W WO2022175209
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503214346
【氏名又は名称】ハイビュー・エンタープライジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アンドリュー デイビッド
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA01
4D052CD00
4D052DA02
4D052DA06
4D052DB01
4D052DB04
4D052GA01
4D052GB08
4D052HA02
4D052HA03
(57)【要約】
本開示は、プロセスガスを乾燥させるための装置(10)に関する。装置(10)は、圧縮機からプロセスガスを受け入れるための入口(14)と、プロセスガスを排出するための出口(16)とを有する主吸着部(11)を含む。第1の補助吸着部(12)は、水分を吸着するための吸着体を有する。第2の補助吸着部(13)も、水分を吸着するための吸着体を有する。装置(10)は、主吸着部(16)の出口を、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部(12、13)のうちの少なくとも一方に流体接続するように構成されている。第1および第2の補助吸着部(12、13)のうちの少なくとも一方は、主吸着部から排出されるプロセスガスを乾燥させるために水分を吸着するように作動可能である。本開示はまた、プロセスガスを乾燥させる方法、制御部、および非一過性のコンピュータ可読媒体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスガスを乾燥させるための装置であって、
圧縮機からプロセスガスを受け入れる入口と、前記プロセスガスを排出する出口とを有する主吸着部と、
水分を吸着するための吸着体を含む第1の補助吸着部と、水分を吸着するための吸着体を含む第2の補助吸着部と、
を備え、
前記装置は、前記主吸着部の前記出口を、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方に流体接続するように構成され、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方は、前記主吸着部から排出された前記プロセスガスを乾燥させるために水分を吸着するように作動可能である、プロセスガスを乾燥させるための装置。
【請求項2】
前記装置は、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方を前記主吸着部の前記出口に流体接続するように構成され、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方は、前記プロセスガスを乾燥させ、乾燥プロセスガスを排出する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、前記第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された前記吸着体を再生するために、再生ガスを前記第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方に供給するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記再生ガスが、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方から排出される乾燥プロセスガスの少なくとも一部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記乾燥プロセスガスを前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方に供給するための移送導管を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記再生ガスを加熱するための加熱器を備える、請求項3、4、または5のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
再生プロセスの間、前記加熱器は、前記再生ガスを加熱するために第1の期間活性化され、次いで第2の期間非活性化され、前記再生ガスは、前記再生プロセスの間中供給される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の期間は、前記第1の期間よりも長い、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの他方に供給された後に、前記主吸着部に前記再生ガスを導入して、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された前記吸着体を再生するように構成されている、請求項3乃至8のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記主吸着部への導入に先だって前記再生ガスを冷却するための冷却器を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記主吸着部への導入に先だって前記再生ガスを圧縮するための圧縮機を備える、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの他方が前記プロセスガスを乾燥させるように作動し、乾燥プロセスガスを排出するように、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方を変更するように構成されている、請求項2乃至11のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
プロセスガスを乾燥させる方法であって、
主吸着部から前記プロセスガスを排出するステップと、
前記プロセスガスを前記主吸着部から第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方に選択的に供給し、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方が水分を吸着して前記プロセスガスを乾燥させるステップと、
を含む、プロセスガスを乾燥させる方法。
【請求項14】
前記方法は、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方を前記主吸着部に流体接続するステップを含み、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方は、前記プロセスガスを乾燥させ、乾燥プロセスガスを排出する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの他方に再生ガスを供給して、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された吸着体を再生するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記再生ガスが、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方から排出される前記乾燥プロセスガスの少なくとも一部を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記再生ガスを加熱するステップを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
再生プロセス中に、加熱された前記再生ガスを第1の期間供給し、非加熱の前記再生ガスを第2の期間供給するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の期間は、前記第1の期間よりも長い、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの他方に供給された後に、前記主吸着部に前記再生ガスを導入して、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された前記吸着体を再生するステップを含む、請求項15乃至19のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記主吸着部に導入するに先だって前記再生ガスを冷却するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記主吸着部に導入するに先だって前記再生ガスを圧縮するステップを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、前記第1の補助吸着部および前記第2の補助吸着部のうちの選択された一方を、前記第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方が前記プロセスガスを乾燥させて乾燥プロセスガスを排出するように作動するように、変更するステップを含む、請求項14乃至22のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
実行されると、請求項13乃至23のうちのいずれか一項に記載の方法をプロセッサに実施させる、その中に記憶された命令の組を有する非一過性のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロセスガスを乾燥させるための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、プロセスガスの露点を低減するために水分を吸着する方法および装置に関するが、これに限定されるものではない。これに代えて、またはこれに加えて、本方法および装置は、プロセスガスから二酸化炭素(CO2)などの汚染物質を吸着してもよい。
【背景技術】
【0002】
所定の工業プロセスでは、空気などのプロセスガスの露点を下げることが望ましい。これは、例えば極低温流体を含む低温プロセスにおいて特に重要である。極低温流体は、例えば廃熱から電気エネルギーを生成する際に使用される。露点が高ければ高いほど、プラントの除霜(霜取り)の頻度が高くなり、プラントの稼働にコストがかかる可能性がある。露点がはるかに低い生成物の流れ(例えば-70℃未満または-100℃未満)を生成するように吸着部を構成すると有利である。露点を下げることで、除霜(霜取り)の必要性を低減することができる。これにより、プラントの霜取りと霜取りとの間の、プラントの稼働を延長することができる。吸着部の稼働コストおよび資本コストのうちの少なくともいずれか一方を低減する機会が他にもあるかもしれない。
【0003】
少なくとも特定の実施形態において、本発明は、従来技術のシステムに関連付けられる制限に対処または克服しようとするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に記載の装置、方法、および非一過性のコンピュータ可読媒体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のさらなる態様によれば、プロセスガスを乾燥させるための装置が提供され、この装置は、
圧縮機からプロセスガスを受け入れる入口、およびプロセスガスを排出する出口を有する主吸着部と、
水分を吸着するための吸着体を含む第1の補助吸着部と、水分を吸着するための吸着体を含む第2の補助吸着部と、を備え、装置は、主吸着部の出口を、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方に流体接続するように構成され、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方は、主吸着部から排出されたプロセスガスを乾燥させるために水分を吸着するように作動可能である。
【0006】
圧縮機から供給されるプロセスガスは、比較的高い含水率を有し、湿ったプロセスガスとも呼ぶ。使用時に、主吸着部は圧縮機から供給されるプロセスガスの乾燥を行う。使用時に、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方は、主吸着部から排出されるプロセスガスから水分を吸着する。これにより、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方は、プロセスガスの補助乾燥を行う。圧縮機から受け取ったプロセスガスは、ウェットプロセスガスとも呼ぶ。第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方から排出されるプロセスガスは、乾燥したプロセスガスとも呼ぶ。追加の乾燥は、プロセスガスの露点を下げるために行われる。少なくとも特定の実施形態において、本装置は、露点を以下まで下げるために、プロセスガスに対して乾燥させることができる:-70℃(-94°F)、-80℃(-112°F)、-90℃(-130°F)または-100℃(-148°F)。
【0007】
第1の補助吸着部および第2の補助吸着部の両者は、主吸着部から排出されるプロセスガスを乾燥させるように作動することができる。例えば、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部の両者は、並列または直列に接続することができる。
【0008】
これに代えて、本装置は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方を主吸着部の出口に流体接続するように構成することもできる。第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方は、プロセスガスを乾燥させ、乾燥したプロセスガスを排出することができる。
【0009】
少なくとも特定の実施形態では、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの一方は、プロセスガスを乾燥させるように構成され、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方は、再生されるように構成される。装置は、乾燥と再生との間で、対応する第1の補助吸着部および第2の補助吸着部を交互に使用するように再構成することができる。
【0010】
第1の補助吸着部の1つ以上の吸着体は、多孔質構造を有するモレキュラーシーブ吸着体からなってもよい。モレキュラーシーブ吸着体は、結晶性アルミノケイ酸塩またはゼオライトからなってもよい。複数の吸着体が第1の補助吸着部内に配置されてもよい。吸着体は複数の層を形成することができる。
【0011】
第2の補助吸着部の1つ以上の吸着体は、多孔質構造を有するモレキュラーシーブ吸着体からなってもよい。モレキュラーシーブ吸着体は、結晶性アルミノケイ酸塩またはゼオライトからなってもよい。各吸着体は、第2の補助吸着部内の層に配置されてもよい。第2の補助吸着部には、複数の吸着体を配置することができる。吸着体は複数の層を形成することができる。
【0012】
装置は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された吸着体を再生するために、再生ガスを第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方に供給するように構成されていてもよい。
【0013】
本装置は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部の各々を通るプロセスガスの流れを第1の方向に確立するように構成されてもよい。再生ガスは、第1の方向(すなわちプロセスガスと同じ方向)に第1の補助吸着部および第2の補助吸着部を通して供給することができる。これに代えて、再生ガスは、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部を通して第2の方向に供給されてもよい。第2の方向は、第1の方向の反対側であってもよい。
【0014】
再生ガスは、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方から排出される乾燥プロセスガスの少なくとも一部を含んでいてもよい。
【0015】
装置は、乾燥プロセスガスを第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方に供給するための移送導管を含んでいてもよい。第1の補助吸着部と第2の補助吸着部との間の乾燥プロセスガスの供給を制御するために、制御弁を設けることができる。これに代えて、あるいは加えて、移送導管に流量制限器を設けてもよい。流量制限器は、可変流量制限器とすることができる。
【0016】
再生ガスの流量は、一定でもよいし、変化させてもよい。再生ガスの流量は、時間に対して増減させることができる。例えば、実質的に全ての乾燥プロセスガスを(予め定められた)期間供給することができる。その後、乾燥プロセスガスの流量を低減することができる。
【0017】
装置は、再生ガスを加熱するための加熱器を備えていてもよい。加熱器は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方から供給される乾燥プロセスガスを、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方に導入するに先だって、加熱するように構成され得る。
【0018】
再生プロセス中、加熱器は第1の期間活性化され、その後第2の期間非活性化される。再生ガスは、再生プロセスを通じて供給されてもよい。第2の期間は、第1の期間よりも長くてもよい。
【0019】
装置は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方に供給された後に、主吸着部に再生ガスを導入して、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された吸着体を再生するように構成することができる。装置は、再生ガスを主吸着部に導入するための戻り導管を備えていてもよい。
【0020】
装置は、主吸着部に導入するに先だって、再生ガスを冷却するための冷却器を備えていてもよい。冷却器は、適切な冷却装置からなってもよい。
【0021】
装置は、主吸着部に導入するに先だって再生ガスを圧縮するための圧縮機を備えていてもよい。
【0022】
本装置は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方を変更し、これにより、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方がプロセスガスを乾燥させるように作動し、乾燥プロセスガスを排出するように構成され得る。
【0023】
この装置は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のいずれを再生するかを変更するように構成することもできる。再生ガスは、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方に供給し、その中に配置された吸着体を再生することができる。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、プロセスガスを乾燥させる方法が提供され、この方法は、
主吸着部からプロセスガスを排出するステップと、
プロセスガスを主吸着部から第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方に選択的に供給し、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくとも一方が水分を吸着してプロセスガスを乾燥させるステップと、を含む。
【0025】
本方法は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方を主吸着部に流体接続するステップを含んでもよく、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方は、プロセスガスを乾燥させ、乾燥プロセスガスを排出する。
【0026】
本方法は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方に再生ガスを供給するステップを含んでもよく、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された吸着体を再生する。再生ガスは、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方から排出される乾燥プロセスガスの少なくとも一部を含んでいてもよい。
【0027】
この方法は、再生ガスを加熱するステップを含んでいてもよい。この方法は、再生プロセス中に、加熱された再生ガスを第1の期間に供給し、非加熱の再生ガスを第2の期間に供給するステップを含んでいてもよい。第2の期間は、第1の期間よりも長くてもよい。
【0028】
この方法は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方に供給された後に、再生ガスを主吸着部に導入して、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された吸着体を再生するステップを含んでいてもよい。
【0029】
この方法は、主吸着部に導入するに先だって再生ガスを冷却するステップを含んでいてもよい。
【0030】
この方法は、主吸着部に導入するに先だって再生ガスを圧縮するステップを含んでいてもよい。
【0031】
本方法は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの選択された一方を変更するステップを含んでいてもよく、これにより、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方がプロセスガスを乾燥させ、乾燥プロセスガスを排出するように作動する。
【0032】
また、この方法は、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のいずれを再生するかを変更するステップを含んでいてもよい。再生ガスは、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方に供給し、第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの他方の中に配置された吸着体を再生することができる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、プロセスガスを乾燥させるための装置が提供され、この装置は、水分を吸着するための吸着体を含む第1の吸着部と;水分を吸着するための吸着体を含む第2の吸着部と;を備え、この装置は、プロセスガスを第1の吸着部および第2の吸着部のうちの少なくとも一方に供給するように構成され、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの少なくとも一方は、プロセスガスを乾燥させるために水分を吸着するように作動可能である。本装置は、乾燥のために、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの選択された一方にプロセスガスを供給するように構成されていてもよい。少なくとも特定の実施形態では、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの一方は、プロセスガスを乾燥するように構成され、第1の吸着部および第2の吸着部の他方は、再生されるように構成される。装置は、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの他方の中に配置された吸着体を再生するために、再生ガスを第1の吸着部および第2の吸着部のうちの他方に供給するように構成されていてもよい。再生ガスは、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの選択された一方から排出される乾燥プロセスガスの少なくとも一部を含んでいてもよい。装置は、乾燥と再生との間で、対応する第1の吸着部および第2の吸着部を交互に使用するように再構成することができる。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、プロセスガスを乾燥させる方法が提供され、この方法は、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの少なくとも一方にプロセスガスを選択的に供給するステップを含み、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの少なくとも一方は、プロセスガスを乾燥させるために水分を吸着する。本方法は、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの選択された一方にプロセスガスを供給するステップを含んでいてもよく、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの選択された一方は、プロセスガスを乾燥させる。本方法は、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの他方に再生ガスを供給して、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの他方の中に配置された吸着体を再生するステップを含んでいてもよい。再生ガスは、第1の吸着部および第2の吸着部のうちの選択された一方から排出される乾燥プロセスガスの少なくとも一部を含んでいてもよい。本方法は、乾燥と再生との間で、対応する第1の吸着部と第2の吸着部とを交互に繰り返すことを含んでいてもよい。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、実行されるとプロセッサに本明細書に記載の方法を実行させる命令の組をその中に格納した非一過性のコンピュータ可読媒体が提供される。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載の装置の作動を制御するための制御部が提供される。制御部は、1つ以上の電子プロセッサおよびメモリシステムからなり得る。制御部は、主吸着部から第1の補助吸着部および第2の補助吸着部のうちの少なくともいずれか一方へのプロセスガスの供給を制御するために、制御弁の作動を制御するように構成されてもよい。制御部は、加熱器および冷却器のうちの少なくともいずれか一方の作動を制御することもできる。
【0037】
本明細書に記載される制御部または制御装置は、好適には、1つ以上の電子プロセッサを有する計算装置からなり得る。システムは、1つの制御部または電子制御装置からなってもよいし、あるいは、これに代えて、制御装置の異なる機能が、異なる制御部または制御装置に具現化されてもよいし、あるいは、異なる制御部または制御装置にホストされてもよい。本明細書で使用する場合に、「制御装置」または「制御部」という用語は、任意の制御機能を提供する、1つの制御部または制御装置、および集合的に作動する複数の制御部または制御装置の両者を含むものと理解される。制御装置または制御部を構成するために、実行されると、制御部または計算装置に、本明細書で規定する制御技術を実施させる、適切な命令の組を提供することができる。
【0038】
命令の組は、好適には、1つ以上の電子プロセッサに埋め込むことができる。これに代えて、命令の組は、計算装置上で実行されるように、制御装置に関連付けられる1つ以上のメモリ上に保存されたソフトウェアとして提供されてもよい。制御部または制御装置は、1つ以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装することができる。1つ以上の他の制御部または制御装置は、1つ以上のプロセッサ、任意選択で第1の制御装置と同じ1つ以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装され得る。他の適切な配置を使用することもできる。
【0039】
本出願の範囲内において、前の段落、特許請求の範囲、および/または以下の明細書および図面に記載された様々な態様、実施形態、実施例、および代替案、特にその個々の要素は、独立して、または任意の組み合わせで取り得ることが明示的に意図されている。すなわち、すべての実施形態および/または任意の実施形態の要素は、そのような要素が互換性のないものでない限り、任意の方法および/または組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、当初提出された請求項を変更する権利、またはそれに応じて新たな請求項を提出する権利を留保し、これには、当初提出された請求項を補正し、当初はそのように請求されていなかったものの、他の請求項の要素に従属し、かつ/または他の請求項の要素を組み込む権利も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、第1の構成における本発明の実施形態による装置を示す概略図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す装置を第2の構成で示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による装置の作動を表すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す装置の電子制御部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、本発明の1つ以上の実施形態について、添付の図面を参照して例示的に説明する。
【0042】
次に、本発明の一態様によるプロセスガスを乾燥させるための装置10について、添付の図面を参照して説明する。本実施形態におけるプロセスガスは空気である。装置10は、プロセスガスの露点を下げるために、プロセスガスを乾燥させて水分を除去するように構成されている。本実施形態の装置10は、少なくとも露点-70℃(マイナス70℃)、好ましくは露点-100℃(マイナス100℃)となるようにプロセスガスを乾燥させるように構成されている。露点を低減することで、装置10の下流にあるプラント機器の除霜(霜取り)の必要性を低減することができる。
【0043】
図1に示すように、装置10は、主吸着部11、第1の吸着部12および第2の補助吸着部13からなる。主吸着部11は、圧縮機(P)からプロセスガスを受け入れるための供給ライン15に接続された入口ポート14と、プロセスガスを排出するための出口ポート16とからなる。装置10の作動を制御するための電子制御部(ECU)(
図5に示す)が設けられている。圧縮機から受け取ったプロセスガスは、比較的高い含水率を有し、湿潤したプロセスガスと呼んでもよい。本実施形態における主吸着部11は、圧縮機から供給されるプロセスガスを部分的に乾燥させるように構成されている。主吸着部11から排出されるプロセスガスは、部分的に乾燥したプロセスガスと呼ぶことができる。主吸着部11は、プロセスガスを処理するための1つ以上の吸着体からなる。主吸着部11の吸着体は、結晶性アルミノケイ酸塩(ゼオライトとして周知)などのモレキュラーシーブ吸着体からなってもよい。モレキュラーシーブ吸着体は、プロセスガスから水分を吸着するのに適した多孔質構造体を有する。モレキュラーシーブ吸着体は、プロセスガスから二酸化炭素(CO
2)を吸着することもできる。適切なモレキュラーシーブは、Zeochem(登録商標)から入手可能な13X型吸着体である。13X型吸着体はゼオライトXのナトリウム型で、より大きな細孔開口部を有する。カルシウムX(CaX)は、13X型ゼオライトのカルシウム交換体である。モレキュラーシーブ吸着体は、プロセスガスから水分を吸着するために、主吸着部11の1つ以上の床部(図示しない)に配置される。主吸着部11は、大気圧を超える運転圧力を支持するように構成された圧力容器17からなる。本実施形態の圧力容器17は、直径約3.6メートル、長さ約5メートルである。主吸着部11から排出されるプロセスガスは、時間平均二酸化炭素(CO
2)濃度が1ppm、露点が約-40℃(マイナス40℃)である。
【0044】
主吸着部11は、プロセスガスを-70℃(マイナス70℃)の目標露点になるように乾燥させるように構成されている。本明細書で説明するように、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、-70℃(マイナス70℃)以下であり、-100℃(マイナス100℃)以下であってもよい露点を達成するように構成される。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、時間平均二酸化炭素(CO2)濃度の低減にも効果的である。少なくとも特定の実施形態において、二酸化炭素(CO2)濃度は、プロセスガス中の1ppm(part permillion)から100ppb(parts per billion)まで低減することができる。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13のうちの少なくともいずれか一方によって乾燥されたプロセスガスは、工業プロセスで使用するために出力される。本装置10は、廃熱からの発電に使用するプロセスガスの乾燥に特に適している。
【0045】
第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、プロセスガスの補助乾燥を行うように構成されている。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13はそれぞれ、研磨吸着器または補助吸着器と呼んでもよい。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、互いに実質的に同じ構造体を有する。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、対応する第1の吸着容器18および第2の吸着容器19からなる。第1の吸着容器18および第2の吸着容器19は、主吸着部11の圧力容器17と実質的に同じ直径を有する。本実施形態では、第1の吸着容器18および第2の吸着容器19はそれぞれ、直径が約3.6メートル、長さが約1メートルである。第1の吸着容器18および第2の吸着容器19は圧力容器とすることもできる。ただし、本実施形態では、第1の吸着容器18および第2の吸着容器19は非圧力容器である。第1の吸着容器18および第2の吸着容器19は、温度サイクルに耐久するように構成されている。第1の吸着容器18は、第1のプロセスガス入口20A、第1のプロセスガス出口20B、第1の再生ガス入口21A、および第1の再生ガス出口21Bからなる。本実施形態において、第1のプロセスガス入口20Aおよび第1の再生ガス出口21Bは、第1の吸着容器18の下部または下部壁に配置され、第1のプロセスガス出口20Bおよび第1の再生ガス入口21Bは、第1の吸着容器18の上部または上部壁に配置される。第2の吸着容器19は、第2のプロセスガス入口23A、第2のプロセスガス出口23B、第2の再生ガス入口24A、および第2の再生ガス入口24Bを備える。本実施形態では、第2のプロセスガス入口23Aおよび第2の再生ガス出口24Bは、第2の吸着容器19の下部または下部壁に配置され、第2のプロセスガス出口23Bおよび第2の再生ガス入口24Aは、第2の吸着容器18の上部または上部壁に配置される。
【0046】
第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13はそれぞれ、1つ以上の吸着体からなる。または各吸着体は、主吸着部11から排出されるプロセスガス中に存在する水分を吸着するように設けられる。1つ以上の吸着体は、対応する第1の吸着容器18および第2の吸着容器19内で1つ以上の層L-nを形成することができる。使用中、プロセスガスは1つ以上の吸着体を流れて通過する。プロセスガス中の水分は、1つ以上の吸着体によって吸着され、それによってプロセスガスが乾燥される。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、水分を吸着するために定期的に再生プロセスを受ける。
【0047】
再生プロセスでは、再生ガスが供給され、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13内の吸着体が再生される。本明細書で説明するように、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13のうちの一方が再生され、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13のうちの他方は、主吸着部11からのプロセスガスの乾燥を継続する。再生ガスは、専用の供給源から供給される乾燥ガスからなる。再生ガスは、例えば、適切な乾燥機または個別の吸着器によって乾燥された空気からなってもよい。本実施形態では、再生ガスは、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13のうちの一方からの乾燥プロセスガスからなる。
【0048】
本実施形態では、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、それぞれ、活性アルミナ(アルミナ乾燥剤)を含むか、または活性アルミナからなる吸着体からなる。プロセスガスから除去する必要のある不純物の量が非常に少ないため、必要な吸着体の量は比較的少なくて済む。実際には、必要な吸着体の深さは、主吸着部11に配置された吸着体床の深さよりも小さくすることができる。吸着体の深さをより小さくすることで、良好な流量分布が可能になる。活性アルミナは深さ約0.5メートルの吸着体床部を形成する。要求される流量配分を達成するためには、最低1メートルの床深度が適切であろう。活性アルミナは、プロセスガスから水分を吸着し、プロセスガスを乾燥させるように作動可能である。活性アルミナは、プロセスガスから二酸化炭素(CO2)を吸着し、これにより洗浄機能を果たすようにさらに作動可能である。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13の圧力降下は、主吸着部11の圧力降下の約5分の1、例えば約40mbarとすることができる。これに代えて、または加えて、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13の吸着体は、モレキュラーシーブ吸着体からなってもよい。モレキュラーシーブ吸着体は、主吸着部11に関して本明細書に記載したタイプのものであってもよい。モレキュラーシーブ吸着体は、吸着体を再生するためにさらに加熱が必要な場合がある。変形例では、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13はそれぞれ、結晶性アルミノケイ酸塩を含むか、または結晶性アルミノケイ酸塩からなる吸着体からなることができる。
【0049】
図2に示すように、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13はそれぞれ、活性アルミナを含むか、または活性アルミナからなる第1の吸着体層L-1と、モレキュラーシーブ吸着体を含むか、またはモレキュラーシーブ吸着体からなる第2の吸着体層L-2とから構成することができる。第1の吸着体層L-1および第2の吸着体層L-2は、それぞれ約0.5メートルの深さを有することができる。第1の吸着体層L-1および第2の吸着体層L-2の各吸着体は、プロセスガスから必要量の水および二酸化炭素(CO
2)を除去するのに十分でなければならない。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、プロセスガスが活性アルミナを通って流れ、次に第2の吸着体層L-2のモレキュラーシーブ吸着体を通って流れるように配置することができる。
【0050】
活性アルミナの第1の吸着体層L-1は、吸着容器18および19内の対応する第1のプロセスガス入口20Aおよび第2のプロセスガス入口23Aの近位側に配置される。モレキュラーシーブ吸着体の第2の吸着体層L-2は、吸着容器18および19内の対応する第1の再生ガス入口21Aおよび第2の再生ガス入口24Aの近位側に配置される。
【0051】
再生工程では、モレキュラーシーブ吸着材からなる第2の吸着体層L-2がより高温の再生ガスに曝され、これにより、再生が促進される。これにより、より高い熱損失が発生する可能性のある第1の吸着容器18および第2の吸着容器19の壁面近傍であっても、吸着体層全体の再生を確保することができる。この配置におけるモレキュラーシーブ吸着体の第2の吸着体層L-2は、活性アルミナの第1の吸着体層L-1の上に設けられる。活性アルミナの第1の吸着体層L-1は、再生ガス入口21A、24Aから遠位側の位置にある結果として達成されるより低い温度で再生され得る。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13には、異なる吸着体を使用してもよいことが理解されよう。
【0052】
装置10は、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13のうちの一方を、主吸着部11から排出されたプロセスガスを処理するように構成し、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13のうちの他方を再生のために構成するように、選択的に作動可能である。
図1に示す配置では、第1の補助吸着部12は、主吸着部11から排出されたプロセスガスを乾燥(または清浄化)するように構成され、第2の補助吸着部13は、再生するように構成されている。この構成では、乾燥プロセスガスは、第1の補助吸着部12から排出される。乾燥プロセスガスは、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13のうちの他方を再生するための再生ガスとして使用される。乾燥プロセスガスの少なくとも一部は、再生を実施するために、第1の補助吸着部12から第2の補助吸着部13に選択的に供給される。本明細書では、
図1に示す構成について装置10の作動を説明する。
図3に示すように、装置10は、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13の作動を逆にするように再構成することができる。
【0053】
移送導管26は、第2の補助吸着部13の再生のために、第1の補助吸着部12から第2の補助吸着部13に乾燥プロセスガスを供給するために設けられる。移送導管26内の乾燥プロセスガスの供給を制御するために、第1の制御弁27が設けられている。高圧での活性アルミナの再生は、材料の急速な水熱エイジングをもたらすため、一般に避けられるが、第2の補助吸着部13に存在する微量の水は、この点で特に問題を引き起こすとは予想されない。流量を制御するために、移送導管26に流量制限器を任意に設けることができる。加熱器28は、第2の補助吸着部13に導入するに先だって乾燥プロセスガスを加熱するために設けられる。加熱器28は、例えば、1つ以上の発熱体を有する電気加熱器からなる。加熱器28は、乾燥プロセスガスを、第2の補助吸着部13内の吸着体の再生に適した再生温度まで加熱するように構成されている。加熱器28の定格電力は、本実施形態では約115kWである。加熱器28は、乾燥プロセスガスを200℃以上の温度に加熱するように構成されている。200℃の再生温度は、活性アルミナが捕捉された水を放出し、これにより、活性アルミナ(およびモレキュラーシーブ吸着体)を再生するのに十分である。加熱時間および200℃の再生温度により、投入エネルギーは、CO2および水を床から除去するために理論的に必要とされるエネルギーよりも相当大きくなる(約20倍)。変形例では、吸着体を加熱するために、第1の吸着部12および第2の吸着部13の内部に加熱器を直接設けてもよい。
【0054】
再生プロセス中、加熱器28は最初に活性化(通電)され、第2の補助吸着部13に供給される乾燥プロセスガスを加熱する。第2の補助吸着部13に供給される乾燥プロセスガスは、第2の吸着容器19内の吸着体を、吸着体の再生に適した再生温度まで加熱するのに有効である。その後、加熱器28は非活性化(非通電)される。乾燥プロセスガスの供給は、吸着体を冷却するために再生プロセスの残りの期間も継続される。再生は、ガスを短時間加熱し、その後、未加熱の再生乾燥プロセスガスを供給してより長く冷却することで、行われる。冷却期間中、熱は床を通して押し出され、水分および微量の二酸化炭素(CO2)を取り払う。加熱器28は、再生プロセス中の第1の期間、例えば1時間の間、加熱を実施するようにアクティブであってもよく、冷却プロセスは第2の期間継続してもよい。第2の期間は、第1の期間よりも長い。例えば、第1の期間は1時間、第2の期間は5時間とする。本実施例では、再生プロセスの合計時間は6時間である。これは、主吸着部11から排出されたプロセスガスを乾燥させるための第1の補助吸着部12の運転時間に相当する。
【0055】
再生ガスを主吸着部11に戻すための戻り導管30が設けられている。戻り導管30は、再生ガスが主吸着部11に供給されるように、入口ポート14の上流に接続されている。主吸着部11に導入するに先だって再生ガスを冷却するために、戻り導管30に冷却器31が設けられている。送風機(または圧縮機)32は、再生ガスの圧力を高めるために戻り導管30に設けられる。主吸着部11に供給されるプロセスガスが戻り導管30に導入されるのを防止するために、一方向弁のような弁を戻り導管30に設けることができる。主吸着部11は、再生ガスを処理するように構成されている。本実施形態では、主吸着部11は、製品ガスから水分を除去するように作動する。再生される吸着部を出た再生ガスは、送風機32が気体流を主吸着部11の入口に戻す前に、冷却器31によって冷却される。したがって、第2の吸着部13で除去された水および二酸化炭素(CO2)は、主吸着部11を経由して、再びシステムに戻りリサイクルされ、システムから排出される。第1の吸着部12および第2の吸着部13が採用する圧力変化工程はない。システムから圧縮空気が正味で失われることはない。
【0056】
加熱および冷却のステップに使用される気体の流量が一定であると仮定すると、必要な量は1800Nm3/h(正規の立方メートル毎時)と計算される。主吸着部11上の圧力降下を300mbar、第1の吸着部12および第2の吸着部13上の圧力降下を100mbarと仮定すると(供給および再生用の床と加熱器および冷却器を含む)、70%の効率で2kWの送風機32の電力が必要となる。したがって、装置20に必要な総時間平均電力は、僅か21kWと比較的低い。
【0057】
第1の吸着部12および第2の吸着部13は、露点-20℃の時間平均20ppmまでの二酸化炭素(CO2)を含む供給ガス組成で運転できると考えられる(流れの偏在の問題がなく、すべての1つ以上の吸着材が完全に再生されると仮定する)。したがって、本明細書で説明する第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、所望の稼働特性を得るために、特大サイズにしてもよいことが理解されよう。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13の長さは、主吸着部11の吸着体床のサイズを低減し、より多くの二酸化炭素(CO2)を通過させるように長くすることができる。しかしながら、第1の吸着部12および第2の吸着部13から再生された二酸化炭素(CO2)は、主吸着部11に送り返され、吸着床に再捕捉される。
【0058】
送風機32を第2の吸着部13に使用することにより、主吸着部11で実行されるプロセスがオフラインのときに吸着体の再生を完了することができる。加熱時間は1時間のみであるが、熱を容器を通してもう一方の端から押し出すために、5時間を超えて冷却ステップを行う必要がある。この間に主プロセスがシャットダウンされても、送風機でシステム内の流れを循環させ、再生に必要な1800Nm3/hの流量を維持することが可能である。再生された床は、供給床が6時間の供給ガスを見るまでオフラインに保たれ、その後、切り替えることができる。このオフライン再生が行われる間、システム内の圧力を維持するために少量の外部ガスを供給する必要があるかもしれない。冷却ステップが実施されると、床温度の低減により空気が吸着体に吸着され、システム内の圧力が低減する。これはごく僅かな流量であり、実際には必要ないかもしれない。
【0059】
第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は相互に交換可能である。装置10は、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13の作動を変更(または交換)するように再構成される。特に、装置10は、第2の補助吸着部13が主吸着部11から排出されるプロセスガスの乾燥(および/または洗浄)を行い、第1の補助吸着部12が再生されるように再構成される。
図3にこの構成の装置10の概略図を示す。この構成では、乾燥プロセスガスは第2の補助吸着部13から排出される。再生を行うために、乾燥プロセスガスの少なくとも一部を、第2の補助吸着部13から第1の補助吸着部12に選択的に供給することができる。装置10は自動的に、あるいは半自動的に再構成することができる。例えば、主吸着部11と第1の補助吸着部12および第2補助吸着部13の各々との間の流体接続を制御するために、1つ以上の制御弁を設けることができる。制御弁はそれぞれ、開閉を制御するためのソレノイドや電気機械アクチュエータなどのアクチュエータから構成され得る。移送導管26を通る乾燥プロセスガスの供給は、第1の補助吸着部12の再生を実施するために逆にしてもよい。加熱器28は、この構成において、第2の補助吸着部13から排出される乾燥プロセスガスを加熱するために使用することができる。
【0060】
次に、
図4に示す第1のブロック
図100を参照して、装置10の作動を説明する。プロセスガスは、圧縮機によって主吸着部11に供給される(ブロック105)。本実施形態におけるプロセスガスは空気からなる。主吸着部11は、プロセスガスの乾燥を行う(ブロック110)。プロセスガスは、主吸着部11から第1の補助吸着部12に排出される(ブロック115)。第1の補助吸着部12は、プロセスガスの補助乾燥を行う(ブロック120)。乾燥したプロセスガスは、下流で使用するために第1の補助吸着部12から排出される(ブロック125)。乾燥プロセスガスの一部は、第2の補助吸着部13に移送される(ブロック130)。加熱器28は、加熱段階の間、乾燥プロセスガスを加熱するために作動している(ブロック135)。
【0061】
加熱器28は、乾燥プロセスガスを予め定められた温度、例えば200℃に加熱する(ブロック140)。加熱された乾燥プロセスガスは、第2の補助吸着部13に供給され、その中の吸着体を加熱する(ブロック145)。加熱された乾燥プロセスガスの供給は、第1の期間、例えば1時間維持される。加熱器28は作動を休止する(ブロック150)。(非加熱の)乾燥プロセスガスは、第2の補助吸着部13に供給される(ブロック155)。(非加熱の)乾燥プロセスガスの供給は、例えば5時間など、第2の期間にわたって維持される。第2の補助吸着部13からの再生ガスは冷却され、主吸着部11の入口に戻される(ブロック160)。第2の補助吸着部13の再生が完了すると、装置10は、第1の補助吸着部12の再生を行うように再構成される(ブロック165)。プロセスガスは、主吸着部11から第2の補助吸着部13に供給される(ブロック170)。第2の補助吸着部13は、第1の補助吸着部12が再生されている間、プロセスガスを乾燥させるように作動する(ブロック175)。プロセスは、プロセスガスの効果的な乾燥(および洗浄)を維持するために、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13を異なる機能の間で交互に継続する。
【0062】
図5にECUの概略図を示す。ECUは、少なくとも1つの電子プロセッサ33およびメモリシステム34からなる。一組の計算命令35がメモリシステム34上に格納されている。電子制御部ECUは、例えば1つ以上のセンサ(図示しない)から1つ以上の入力信号SIN-nを受信するための1つ以上の入力36Aと、1つ以上の出力信号SOUT-nを出力するための1つ以上の出力36Bとを備える。計算命令35は、実行されると、電子制御部ECUに本明細書に記載の1つ以上方法を実施させる。電子制御部ECUは、プロセスガスの再生および乾燥のうちの少なくともいずれか一方を実施するように装置10を制御する。特に、電子制御部ECUは、第1の補助吸着部12または第2の補助吸着部13のいずれかが主吸着部11に流体接続されるように装置10を構成するように作動可能である。電子制御部ECUは、例えば、制御弁に制御信号SOUT-nを出力して装置10を再構成することができる。電子制御部ECUは、加熱器28、冷却器31、および送風機32の作動を制御するための制御信号S-nを出力するように構成されている。電子制御部ECUは、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)37に接続され、ユーザー入力を受け取ることができる。電子制御部ECUは、独自のシステムで実装してもよいし、汎用の演算装置で実装してもよい。
【0063】
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の1つ以上の実施形態に様々な変更を加えることができることが理解されよう。装置10は、プロセスガスを乾燥させるために、第1の補助吸着部12と第2の補助吸着部13との間を循環する。各吸着部は、乾燥(吸着)と再生とを交互に繰り返す。装置10は、2つ以上の吸着部、例えば第1の吸着部、第2の吸着部、および第3吸着部を備えてもよいことが理解されよう。装置10は、第1の吸着部、第2の吸着部、および第3の吸着部の間を循環することができる。
【0064】
第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、対応する第1の容器18および第2の容器19内に設けられていると説明されてきた。第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、同じ容器内、例えば対応する第1のチャンバーおよび第2のチャンバー内に配置され得ることが理解されよう。さらに、第1の補助吸着部12および第2の補助吸着部13は、例えば個別のチャンバーで主吸着部11と組み合わせることもできる。
【0065】
【国際調査報告】