(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】レール上を転動する荷物を移動させるための装置
(51)【国際特許分類】
B61J 3/12 20060101AFI20240206BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240206BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240206BHJP
【FI】
B61J3/12 A
B60L15/20 Z
B60L50/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023548879
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2022053281
(87)【国際公開番号】W WO2022171754
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523306379
【氏名又は名称】ジレット グループ
【氏名又は名称原語表記】GILLET GROUP
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】プティ,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】ドゥトゥールブ,アントワーヌ
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA17
5H125AA20
5H125AC12
5H125AC22
5H125BA00
5H125FF30
(57)【要約】
本発明は、ホイールを備え、鉄道レール上を転動する荷物を移動させるための移動装置(1)に関し、移動装置(1)は、以下:-シャフト(9)が水平回転軸を有するギヤードモータ(8)、-ギヤードモータ(8)のシャフト(9)によって回転される駆動ローラ(10)、および-前記駆動ローラ(10)による密着によって回転される2つの支持ローラ(11)、を備え、前記移動装置(1)は、少なくとも以下:-その端部の1つにより固定され、水平かつ前記回転軸に垂直に延びる、アーム(12)、および-前記アーム(12)の自由端に固定され、前記駆動ローラ(10)とは反対側で移動される荷物の前記ホイール(R)の近傍に配置されるように構成される、ブレーキシュー(13)、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールを備え、鉄道レール上を転動する荷物を移動させるための移動装置(1)であって、該移動装置(1)は、少なくとも以下:
-シャフト(9)が水平回転軸を有するギヤードモータ(8)、
-前記ギヤードモータ(8)の前記シャフト(9)の自由端に取り付けられ、それによって回転される駆動ローラ(10)であって、移動される前記荷物のホイール(R)のうちの1つに当接するように配置される、駆動ローラ(10)、
-移動される前記荷物の前記ホイール(R)を受ける線路のレール(V)に当接するように配置され、前記駆動ローラ(10)による密着によって回転されるように構成される、2つの支持ローラ(11)
を備え、
前記移動装置(1)は、少なくとも以下:
-その一端で前記ギヤードモータ(8)のシャフト(9)に剛性的に接続され、水平かつ前記シャフト(9)の回転軸に垂直に延在するアーム(12)、および
-前記アーム(12)の自由端に剛性的に接続され、一方では、前記駆動ローラ(10)とは反対側で移動される荷物の前記ホイール(R)の近傍に配置され、他方では、前記ホイール(R)を受ける前記線路のレール(V)に当接するように配置された、ブレーキシュー(13)
を備えることを特徴とする、移動装置(1)。
【請求項2】
前記アーム(12)の長さを調節することができることを特徴とする、請求項1に記載の移動装置(1)。
【請求項3】
前記アーム(12)が、その回転軸を中心として前記ギヤードモータ(8)の前記シャフト(9)上を枢動するように取り付けられ、前記ブレーキシュー(13)が、前記ギヤードモータ(8)の前記シャフト(9)の前記回転軸に平行な回転軸を中心として前記結合されるアーム(12)の端部で枢動するように取り付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の移動装置(1)。
【請求項4】
前記アーム(12)が、前記ギヤードモータ(8)の前記シャフト(9)に剛性的に接続された前記端部と同じ側に配置され、前記アーム(12)が完全に直線である「展開」位置から「折り畳み」位置に移動することを可能にする、ヒンジ継手(14)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の移動装置(1)。
【請求項5】
前記ブレーキシュー(13)が、前記レール(V)上に載るように配置された水平底面(15)と、前記荷物の前記ホイール(R)を受けるように配置された2つの傾斜面(16)とを備える、断面が二等辺三角形の全体形状を有するシリンダの部分であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の移動装置(1)。
【請求項6】
前記ブレーキシュー(13)がエラストマー製であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の移動装置(1)。
【請求項7】
前記ギヤードモータ(8)とは反対側で少なくとも前記支持ローラ(11)に剛性的に接続され、前記駆動ローラ(10)とは反対側で前記支持ローラ(11)を越えて延在する、ガイドプレート(17)と、前記ギヤードモータ(8)とは反対側で前記ブレーキシュー(13)に剛性的に接続され、前記傾斜面(16)とは反対側で前記ブレーキシュー(13)の前記底面(15)を越えて延在する、ガイドプレート(18)とを含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の移動装置(1)。
【請求項8】
前記ブレーキシュー(13)に剛性的に接続された前記ガイドプレート(18)が、前記ギヤードモータ(8)の側で前記ブレーキシュー(13)に剛性的に接続された格納式ガイドプレート(19)と結合され、前記ブレーキシュー(13)の前記底面(15)を越えて延在してもしなくてもよいことを特徴とする、請求項7に記載の移動装置(1)。
【請求項9】
前記ギヤードモータ(8)と、前記駆動ローラ(10)と、前記2つの支持ローラ(11)と、前記アーム(12)と、前記ブレーキシュー(13)とを少なくとも部分的に収容するキャリッジ(2)を備え、前記ギヤードモータ(8)は、そのシャフト(9)が前記キャリッジ(2)の前面を越えて延在するように配向され、前記キャリッジ(2)は、一方では、前記移動装置(1)をその保管場所からその使用場所まで地面(S)上で容易に移動させることを可能にする少なくとも1つの第1の格納式ホイール(3)と、他方では、前記移動される荷物を転動させるために使用される際に前記1つまたは複数の第1のホイール(3)に変わって前記移動装置(1)を移動させる少なくとも1つの第2のホイール(4)とを備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の移動装置(1)。
【請求項10】
前記第2のホイール(4)はそれぞれ、高さが調節可能であり、「ジョッキー」ホイールタイプであることを特徴とする、請求項9に記載の移動装置(1)。
【請求項11】
-前記キャリッジ(2)の後部に剛性的に接続され、高さが調節可能であり、あらゆる状況において人間工学を維持するために折り畳み可能なハンドルバー(20)、
-有利には前記ハンドルバー(20)に剛性的に接続され、前記移動装置(1)を制御するために必要な全ての要素を備える、制御ステーション(21)、および
-特に前記ギヤードモータ(8)に給電するための充電式バッテリタイプのエネルギー貯蔵要素(22)
を備えることを特徴とする、請求項9または10に記載の移動装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重い転動荷物を移動させるための装置の分野に関し、より詳細には、鉄道レール上を転動する重い荷物を移動させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの鉄道会社は、車両、列車または機関車などの転動荷物を有し、これらは、特に作業場において、前記転動荷物を整備、保守、および修理するために、移動させる必要がある。
【0003】
この目的のために、特にモータによって駆動され、前記転動荷物のホイールの1つの転動面に係合して後者を動かすローラを備える、移動装置を使用することが知られている。
【0004】
これに関して、特許文献1は、2つの転動シリンダと、トラクションモータによって作動され前記転動シリンダの上方に配置された駆動シリンダとを備える搬送キャリッジを含む駆動装置を記載しており、駆動装置が転動荷物のホイールと接触すると、駆動シリンダと転動シリンダとの間に摩擦接触が確立されて、駆動シリンダの回転によってキャリッジが移動し、同時に、駆動シリンダの回転によって駆動されるホイールの回転によって転動荷物が移動する。キャリッジはさらに、モータに電力を供給するためのケーブル、シースまたは同様の要素が好ましくは取り付けられ、スイッチまたは同様の要素のような制御機構を有する、ハンドルを有する。
【0005】
このタイプの駆動装置は、効果的であるが、移動される転動荷物の一方の端部にのみ取り付けられなければならないという大きな欠点を有し、したがって、その車軸間に取り付けることができない。さらに、このタイプの駆動装置は、長い電源ケーブルを使用する必要がある。最後に、このタイプの駆動装置では、いったん動くと、転動荷物は所定の位置で停止せず、その運動エネルギーがゼロになるときにのみ停止する。
【0006】
他のタイプの駆動装置が、特許文献1および特許文献2に記載されているが、それらはまた、例えば、過度の重量または自律性の欠如などの多くの欠点に悩まされるか、または実装が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第1984/002119号
【特許文献2】特開2014-080076号公報
【特許文献3】米国特許第4125029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を克服し、転動荷物を駆動するための既知の装置に対する代替案を提供することであり、この代替案は、自律的であり、コンパクトであり、移動が容易であり、前記転動荷物上のどこに実装されるかに関わらず、単一のオペレータによって実装され、前記転動荷物を所定の位置で容易に停止することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、ホイールを備え、鉄道レール上を転動する荷物を移動させるための装置を提供し、この移動装置は、少なくとも以下:
-シャフトが水平回転軸を有するギヤードモータ、
-ギヤードモータのシャフトの自由端に取り付けられ、それによって回転される駆動ローラであって、移動される荷物のホイールのうちの1つに当接するように配置される、駆動ローラ、
-移動される荷物の前記ホイールを受ける線路のレールに当接するように配置され、前記駆動ローラによる密着によって回転されるように構成される、2つの支持ローラ
を備え、
前記移動装置は、少なくとも以下:
-その一端でギヤードモータのシャフトに剛性的に接続され、水平かつ前記シャフトの回転軸に垂直に延在するアーム、および
-前記アームの自由端に剛性的に接続され、一方では、前記駆動ローラとは反対側で移動される荷物の前記ホイールの近傍に配置され、他方では、前記ホイールを受ける前記レールに当接するように配置された、ブレーキシュー
を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成により、本発明による移動装置は、単一のギヤードモータ-駆動および支持ローラアセンブリのみを備え、これにより、装置がよりコンパクトで軽くなり、同時に、転動荷物を所定の位置で容易に停止させることができる。
【0011】
有利には、アームの長さを調節することができる。
【0012】
好ましくは、アームは、ギヤードモータのシャフト上をその回転軸を中心として枢動するように取り付けられ、ブレーキシューは、ギヤードモータのシャフトの回転軸に平行な回転軸を中心として結合されるアームの端部で枢動するように取り付けられる。
【0013】
この特定の構成によって、ブレーキシューを転動荷物のホイールの両側に配置することが可能になり、本発明による荷物を移動する装置を必要に応じてより容易に実装することができる。
【0014】
有利には、アームは、ギヤードモータのシャフトに剛性的に接続された端部と同じ側に配置されたヒンジ継手を含み、これによって、前記アームが、完全に直線である「展開」位置から「折り畳み」位置に移動することが可能になる。
【0015】
ブレーキシューは、好ましくは、レール上に載るように配置された水平底面と、荷物のホイールを受けるように配置された2つの傾斜面とを含む、断面が二等辺三角形の全体形状を有するシリンダの部分である。
【0016】
有利には、ブレーキシューは、エラストマー製である。
【0017】
有利な実施形態によれば、移動装置は、ギヤードモータとは反対側で少なくとも支持ローラに剛性的に接続され、駆動ローラとは反対側で前記支持ローラを越えて延在する、ガイドプレートと、ギヤードモータとは反対側でブレーキシューに剛性的に接続され、傾斜面とは反対側で前記ブレーキシューの底面を越えて延在する、ガイドプレートとを備える。
【0018】
ブレーキシューに剛性的に接続されたガイドプレートは、好ましくは、ギヤードモータの側でブレーキシューに剛性的に接続された格納式ガイドプレートと結合され、前記ブレーキシュー9の底面を越えて延在してもしなくてもよい。
【0019】
移動装置は、ギヤードモータと、駆動ローラと、2つの支持ローラと、アームと、ブレーキシューとを少なくとも部分的に収容するキャリッジを備え、前記ギヤードモータは、そのシャフトがキャリッジの前面を越えて延在するように配向され、前記キャリッジは、一方では、前記移動装置をその保管場所からその使用場所まで地上で容易に移動させることを可能にする少なくとも1つの第1の格納式ホイールと、他方では、移動される荷物を転動させるために使用される際に1つまたは複数の第1のホイールに代わって前記移動装置を移動させる少なくとも1つの第2のホイールとを備える。
【0020】
各第2のホイールは、有利には、高さが調節可能であり、「ジョッキー」ホイールタイプである。
【0021】
前記移動装置は、好ましくは以下を含む:
-キャリッジの後部に剛性的に接続され、高さが調節可能であり、あらゆる状況において人間工学を維持するために折り畳み可能なハンドルバー、
-有利にはハンドルバーに剛性的に接続され、移動装置を制御するために必要な全ての要素を備える制御ステーション、および
-特にギヤードモータに給電するための充電式バッテリタイプのエネルギー貯蔵要素。
【0022】
他の利点および特徴は、添付の図面を参照して与えられる、本発明の一実施形態の以下の説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による転動荷物を駆動する駆動装置の正面斜視図
【
図3】折り畳み位置にある、本発明による駆動装置の正面斜視図
【
図4】ホイールが下降位置にある、
図1に示される駆動装置の部分側面図
【
図5】ホイールが上昇位置にある、
図1に示される駆動装置の部分側面図
【
図6】転動荷物のホイール上に実装された、
図1に示される駆動装置の前面の部分図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1~
図8は、例えば、車両、列車または機関車などであり、鉄道レールV上を転動するように構成されたホイールRを備えた、図示されていない転動荷物を移動させるための装置1を示す。
【0025】
この場合、レールVは、水平であると仮定されるが、水平に対して多かれ少なかれ傾斜していてもよいことは言うまでもなく、その場合、水平の、水平に、垂直のまたは垂直になる用語を適合させる必要がある。
【0026】
図1~
図5を参照すると、本発明による移動装置1は、一方では、前記移動装置1をその保管場所からその使用場所まで地面S上で容易に移動させることを可能にする少なくとも1つの、有利には明らかな安定性の理由から2つの、第1のホイール3と、他方では、移動される荷物を転動させるために使用される際に1つまたは複数の第1のホイール3に代わって前記移動装置1を移動させる少なくとも1つの、有利には明らかな安定性の理由から2つの、第2のホイール4とを備える、キャリッジ2を含む。
【0027】
移動を容易にするために、各第1のホイール3は、好ましくは、リム6に取り付けられたタイヤ5を含み、前記移動装置1の矢状面(前方から後方に向けられた垂直面)に垂直な水平軸を中心としてキャリッジ2上で枢動するように取り付けられる。
【0028】
「前方」なる用語は、本明細書で使用される場合、
図1において矢印によって表される、その移動の法線方向Dに沿ってその前方側に位置する、本発明による移動装置1の任意の要素または要素の一部を指し、「後方」なる用語は、本明細書で使用される場合、反対側に位置する前記移動装置1の任意の要素または要素の一部を指す。
【0029】
さらに、1つまたは複数の第2のホイール4と交換できるようにするために、各第1のホイール3は、有利には、地面Sに当接し、1つまたは複数の第2のホイール4が前記地面Sと接触しない「低い」位置と、もはや地面Sと接触せず、したがって1つまたは複数の第2のホイール4が前記地面Sと当接し、移動される荷物を転動させるために使用される際に移動装置1を移動させる、「高い」位置との間で、垂直に格納可能である。
【0030】
さらに、移動装置1の位置を、移動される荷物および/またはレールVの寸法に適合させるために、各第2のホイール4の位置は、有利には、高さが調整可能であることが明確に理解される。この目的のために、各第2のホイール4は、長さ調整可能な垂直プロファイル部材7によってキャリッジ2に剛性的に接続される。さらに、移動装置1の移動を容易にするために、各第2のホイール4は、有利には「ジョッキー」ホイールタイプであり、水平軸を中心に枢動するが、垂直軸を中心に枢動することもできる。
【0031】
図示の実施形態によれば、移動装置1は、キャリッジ2に少なくとも部分的に含まれる以下の要素を少なくとも含む:
-シャフト9が、移動装置1の矢状面に平行な、好ましくは内部に存在する、水平回転軸を有するギヤードモータ8であって、シャフト9がキャリッジ2の前面を越えて延在するように配向される、ギヤードモータ8、
-ギヤードモータ8のシャフト9の自由端に取り付けられ、それによって回転される駆動ローラ10であって、移動される荷物(
図7参照)のホイールRのうちの1つに当接するように配置される、駆動ローラ10、および
-移動される荷物のホイールRを受ける鉄道のレールVの1つに当接するように配置され、前記駆動ローラ10による密着によって回転されるように構成される、2つの支持ローラ11。
【0032】
最後の点に関して、前記支持ローラ11は、ギヤードモータ8のシャフト9の回転軸と同一平面上にありかつ平行な水平軸を中心に枢動し、前記駆動ローラ10の両側にかつ前記駆動ローラ10よりも低い位置に配置され、前記駆動ローラ10が回転すると、2つの支持ローラ11を密着によって回転させる。
【0033】
移動装置1は、以下をさらに含む:
-その一端でギヤードモータ8のシャフト9に剛性的に接続され、水平かつ前記シャフト9の回転軸に対して垂直に延びるアーム12、および
-前記アーム12の自由端に剛性的に接続され、一方では、反対側に移動される荷物の前記ホイールR(
図6参照)の近傍に配置されるように、他方では、前記ホイールRを受ける線路のレールVに当接するように配置される、ブレーキシュー13。
【0034】
移動装置1は、本発明の範囲内にありながら、単一の支持ローラ11を備えることができることは言うまでもない。しかしながら、明らかな安定性の理由から、移動装置1は、有利には、上述の構成で配置された2つの支持ローラ11を備えることが明らかに理解される。
【0035】
密着性を高めるために、駆動ローラ10および支持ローラ11は、それぞれポリマーコーティングで覆われている。
【0036】
ブレーキシュー13の位置を、移動される荷物の前記ホイールRのサイズに適合させることを可能にするために、アーム12の長さは有利には調節することができる。
【0037】
さらに、移動装置1の駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリを、移動される荷物のホイールRの両側に取り付けることを可能にするために、アーム12は、有利には、回転軸を中心としてギヤードモータ8のシャフト9上で枢動するように取り付けられ、ブレーキシュー13を駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリの両側に配置することができる。この仮説によれば、ブレーキシュー13は、ギヤードモータ8のシャフトの回転軸に平行な回転軸を中心として結合されるアーム12の端部で枢動するように取り付けられ、ブレーキシュー13の当接面を、前記ホイールRを受ける線路のレールV上に正確に位置決めことが明確に理解される。
【0038】
不使用時に移動装置1をコンパクトにするために(
図3参照)、アーム12は、ギヤードモータ8のシャフト9に剛性的に接続された端部と同じ側に配置されたヒンジ継手を含み、これによって、アーム12は、完全に直線である「展開」位置から、ヒンジ継手14からブレーキシュー13まで延在するアーム12の部分が枢動して60°~120°、有利には90°の角度を形成する、「折り畳み」位置に移動することが可能になり、アーム12の部分は、ヒンジ継手14からギヤードモータ8のシャフト9まで延びる。
【0039】
有利な実施形態によれば、ブレーキシュー13は、レールV上に載るように配置された水平底面15と、荷物のホイールRを受けるように配置された2つの傾斜面16とを含む、断面が二等辺三角形の全体形状を有するシリンダの部分である。ブレーキシュー13は、特にレールV上での密着性を改良するために、エラストマー製である。
【0040】
さらに、レールVに沿った移動装置1のガイドを容易にするために、駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリおよびブレーキシュー13はそれぞれ、前記レールVの縁部に当接するように配置された少なくとも1つのガイドプレート17、18を備える。ガイドプレート17は、ギヤードモータ8とは反対側で少なくとも支持ローラ11に剛性的に接続され、駆動ローラ10とは反対側で前記支持ローラ11を越えて延在する。同様に、ガイドプレート18は、ギヤードモータ8とは反対側でブレーキシュー13に剛性的に接続され、その傾斜面16とは反対側で前記ブレーキシュー13の底面15を越えて延在する。ガイドプレート18は、有利には、ギヤードモータ8の側でブレーキシュー13に剛性的に接続された格納式ガイドプレート19と結合され、前記ブレーキシュー13の底面15を越えて延在してもしなくてもよい。
【0041】
使用を容易にするために、移動装置1はさらに、所定の数の補助装置を含む。したがって、移動装置1は、以下を含む:
-キャリッジ2の後部に剛性的に接続され、高さが調節可能であり、あらゆる状況において人間工学を維持するために折り畳み可能なハンドルバー20、
-有利には前記ハンドルバー20に剛性的に接続され、移動装置1を制御するために必要な全ての要素を備え、特にギヤードモータ8を始動させ、その回転方向を選択し、緊急時に回転を停止させることができる、制御ステーション21、および
-特にギヤードモータ8に給電するための充電式バッテリタイプのエネルギー貯蔵要素22。
【0042】
移動装置1はさらに、ハンドルバー20に剛性的に接続され、前記移動装置1が使用される領域を照らすヘッドライト23を備えることができる。
【0043】
図6~
図8を参照すると、この構成では、本発明による移動装置1を用いて、レールV上でホイールRを有する荷物を移動させるために、以下で説明するように工程が実行される。
【0044】
移動装置1は、まず、ハンドルバー20を用いて移動され、前記2つの支持ローラ11をレールV上に配置し、駆動ローラ10を前記ホイールRの近傍に配置することによって、駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリをホイールRの1つの近くに配置する。アーム12の長さおよび向きを調整することによって、ブレーキシュー13は、前記駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリとは反対側でホイールRの近くに配置され、前記ブレーキシュー13の水平底面15がレールV上に配置され、その傾斜面16の1つがホイールRの近傍に位置する。
【0045】
第2のホイール4の位置は、垂直プロファイル部材7を用いて調節され、地面Sに当接され、次いで、第1のホイール3は「高い」位置まで上昇される。
【0046】
次に、ギヤードモータ8は、制御ユニット21を用いて始動されて駆動ローラ10を回転させ、これによって2つの支持ローラ11が密着により回転され、駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリならびにアーム12およびブレーキシュー13が、レールVに沿って移動される。前記駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリが、移動される荷物のホイールRの下に到達すると、前記ホイールRとレールVとの間に挟まれ、次いで、駆動ローラ10は、密着によりホイールRに駆動トルクを伝達し、したがって、レールV上を転動する荷物が移動され、後者はギヤードモータ8が動作している限り移動する。
【0047】
図9を参照すると、駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリが、移動される荷物のホイールRの下に挟まれる際の任意の突然の移動を回避するために、駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリは、有利には、ギヤードモータ8のシャフト9を中心として枢動することができる。
【0048】
最後に、所望の位置で荷物を停止させるために、ギヤードモータ8が停止され、次いで、駆動ローラ10-支持ローラ11アセンブリがレールV上で停止するが、荷物は、そのホイールRがブレーキシュー13に押し付けられて停止するまで、慣性によって前進し続ける。
【0049】
本発明による移動装置1の1つの特定の用途は、線路のレールV上を転動する荷物の移動である。しかしながら、移動装置1は、例えば、紙または鋼板のロールなどの他のタイプの荷物を移動するように適合され、使用されてもよいことは明らかである。
【0050】
最後に、上述した本発明による移動装置1の例は、特定の例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではないことは言うまでもない。
【国際調査報告】