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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】カリのブリケットへの圧縮
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/22 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
B01J2/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548881
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 US2022016446
(87)【国際公開番号】W WO2022174186
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/149,451
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523306416
【氏名又は名称】ザ・モザイク・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE MOSAIC COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーディソン,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】ライナス,キンベリー
【テーマコード(参考)】
4G004
【Fターム(参考)】
4G004MA02
(57)【要約】
ローラープレスは、供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮する形状および大きさの複数のレリーフを形成するローラー面を有する。レリーフは、得られるブリケットにおける応力集中を軽減するために丸みを帯びた角を有する四辺形状の窪みを形成する。前縁の一対の丸みを帯びた角は第1の半径を有し、後縁の一対の丸みを帯びた角は第2の半径を有する。第1の半径は第2の半径よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラープレスであって、
供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮する形状および大きさの複数のレリーフを形成するローラー面を有し、
前記レリーフは、得られるブリケットにおける応力集中を軽減するために丸みを帯びた角を有する四辺形状の窪みを形成し、
前縁の一対の丸みを帯びた角は第1の半径を有し、
後縁の一対の丸みを帯びた角は第2の半径を有し、
前記第1の半径は前記第2の半径より小さい、ローラープレス。
【請求項2】
請求項1に記載のローラープレスであって、
前記レリーフの四辺形状の窪みは、回転方向に沿った第1の長さと、軸方向に沿った第2の長さとを有する、ローラープレス。
【請求項3】
請求項2に記載のローラープレスであって、
回転方向に沿った前記第1の長さは、約0.5インチから約2インチである、ローラープレス。
【請求項4】
請求項3に記載のローラープレスであって、
前記第1の長さは約1.5インチである、ローラープレス。
【請求項5】
請求項2に記載のローラープレスであって、
軸方向に沿った前記第2の長さは、約0.5インチから約2インチである、ローラープレス。
【請求項6】
請求項3に記載のローラープレスであって、
前記第2の長さは約1.7インチである、ローラープレス。
【請求項7】
請求項2に記載のローラープレスであって、
前記第2の長さは前記第1の長さより長い、ローラープレス。
【請求項8】
請求項1に記載のローラープレスであって、
前記ローラー面は、前記複数のレリーフ間に位置する一つ以上のランドを有する、ローラープレス。
【請求項9】
請求項8に記載のローラープレスであって、
前記ランドは、約0.05インチから約0.1インチの幅を有する、ローラープレス。
【請求項10】
請求項9に記載のローラープレスであって、
前記ランドは約0.075インチの幅を有する、ローラープレス。
【請求項11】
請求項1に記載のローラープレスであって、
前記複数のレリーフは、前記ローラー面の周りに螺旋パターンを形成する、ローラープレス。
【請求項12】
請求項1に記載のローラープレスであって、
前記ローラー面の軸方向に沿って2つおきのレリーフが整列している、ローラープレス。
【請求項13】
供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮する形状および大きさの複数のレリーフを形成する第1のローラープレスと、
供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮する形状および大きさの複数のレリーフを形成する第2のローラープレスと、
前記第1のローラープレスを前記第2のローラープレスに対して精密に位置合わせできることにより、得られるブリケットの表面積対体積比を調整可能なアクチュエータ機構と、
を備えるローラープレスシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のローラープレスであって、
前記レリーフは、得られるブリケットにおける応力集中を軽減するために丸みを帯びた角を有する四辺形状の窪みを形成し、
前縁の一対の丸みを帯びた角は第1の半径を有し、
後縁の一対の丸みを帯びた角は第2の半径を有し、
前記第1の半径は前記第2の半径より小さい、ローラープレス。
【請求項15】
請求項13に記載のローラープレスであって、
前記複数のレリーフは、ローラー面の周りに螺旋パターンを形成する、ローラープレス。
【請求項16】
請求項13に記載のローラープレスであって、
ローラー面の軸方向に沿って2つおきのレリーフが整列している、ローラープレス。
【請求項17】
高合金の高強度材料で製造されており、供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮する形状および大きさの複数のレリーフを形成するローラー面と、
低合金の高強度材料で製造された基部と、
を有するローラープレスであって、
前記ローラー面は、耐腐食性および機械的強度を向上するために、溶接肉盛により前記基部に直接接合されている、ローラープレス。
【請求項18】
請求項17に記載のローラープレスであって、
前記レリーフは、得られるブリケットにおける応力集中を軽減するために丸みを帯びた角を有する四辺形状の窪みを形成し、
前縁の一対の丸みを帯びた角は第1の半径を有し、
後縁の一対の丸みを帯びた角は第2の半径を有し、
前記第1の半径は前記第2の半径よりも小さい、ローラープレス。
【請求項19】
請求項17に記載のローラープレスであって、
前記複数のレリーフは、前記ローラー面の周りに螺旋パターンを形成する、ローラープレス。
【請求項20】
請求項17に記載のローラープレスであって、
前記ローラー面の軸方向に沿って2つおきのレリーフが整列している、ローラープレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年2月15日に出願された米国仮出願第63/149,451号の利益を主張し、この仮出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般にカリ(potash)製品およびカリ製品の製造方法に関連する。より具体的には、本開示はローラープレスを介して分離したカリのブリケットを直接製造する装置および方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
カリは、水溶性のカリウムを含む様々な無機化合物の総称である。炭酸カリウムや塩化カリウムなど、多数の一般的なカリウム化合物が存在する。カリウムを含む鉱床が採掘され、カリ化合物は使用可能な、しばしば粒状に加工される。今日の世界全体でのカリの生産量は30,000,000トンを超えると推測されている。大半のカリは各種肥料に使用されるが、飼料、食品、石鹸、軟水剤、除水剤、ガラス製造など農業以外の用途も多い。
【0004】
汎用のカリ製品および特殊なカリ製品は、通常、直接(例えば、浮遊選鉱または晶析を経て)またはローラープレスによる圧縮を経て製造される。図1A及び1Bを参照すると、従来のローラープレスは、通常、1つ以上の(図1Aに描かれている)「波型」ドラム50を利用しており、カリは一対のドラムの間に供給され、ドラムの少なくとも一方は(図1Bに示すように)隆起52と溝54を交互に有する性状の表面を有する。波型形状の目的は、原料に対する摩擦を高めて圧縮を助けることである。
【0005】
様々な種類のカリ原料や最終製品に対応できるよう、様々な波の形状が利用可能である。その結果、圧縮により個々のカリ粒子は塑性変形し、結合することにより更に加工するための凝集体を形成する。一般に、これらの圧縮由来の生成物は粉砕され、所望の粒度分布になるよう媒体上で選別される。選別されたサイズ分布は、厳密に制御された粒子の市場から緩く制御された工業的市場に及ぶこともできる。
【0006】
汎用のカリ製造および特殊なカリ製造の従来の方法は長年にわたって効果的であったが、カリ製造における更なる改善及び進歩が常に求められている。特に、更なる処理の削減、生産速度及び最終製品の耐久性の向上が望まれている。本開示は、これらの問題を解決するものである。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施形態は、更なる処理を行うことなく、カリを直接分離したブリケットに圧縮するローラープレスアセンブリを提供することにより、出荷前に最終製品の更なる処理の必要性を排除する。したがって、本開示の実施形態は、更なる破砕や選別作業を必要とすることなく、ブリケット化された材料製品を製造されたまま販売できる。さらに、ブリケット化された材料は粒来のローラープレス材料と比較して、粗い縁や破損した縁が少なく、これにより、材料の縁における連結を少なくできるために製品の流れが向上し、中央製品質量に対する自由縁の比率が小さいため、破砕しやすい製品が少なくなり、それにより取扱中の粉塵の生成が少なくなる。さらに、ブリケット化された材料の固く滑らかな外面は、消費者の認識を向上するために会社のロゴや製品ブランドを刻印するために使用可能である。また、本開示の実施形態は、調節可能な軸方向位置合わせ技術によって特定の表面積質量比を有するブリケット化された材料の製造が可能である。
【0008】
本開示の実施形態は、先行技術の従来のローラープレス作業よりも、約50%から約100%の生産率の持続的な向上を示した。したがって、本開示の実施形態は、向上した生産速度、所定の出力要求に対する稼働コスト及びメンテナンスコストの低減、および総生産率から見て必要資本の低減をもたらす。
【0009】
本開示の一実施形態は、供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮するための形状及び大きさの複数の個々のレリーフを形成するローラー表面を備えるローラープレスを提供し、個々のレリーフは、得られるブリケットにおける応力集中を低減するために丸みを帯びた角を有する四辺形状の窪みを形成しており、前縁の一対の丸みを帯びた角は第1半径を有し、後縁の一対の丸みを帯びた角は第2半径を有し、第1半径は第2半径よりも小さい。
【0010】
一実施形態において、個々のレリーフのそれぞれの四辺形状の窪みは、回転方向に沿った第1の長さと、軸方向に沿った第2の長さを備える。一実施形態において、回転方向に沿った第1の長さは約0.5インチから約2インチの寸法である。ある実施形態では、第1の長さは約1.5インチである。一実施形態において、軸方向に沿った第2の長さは約0.5インチから約2インチである。ある実施形態では、第2の長さは約1.7インチの寸法である。一実施形態では、第2の長さは第1の長さよりも長い寸法である。一実施形態では、ローラー面は、複数のレリーフ間に配置された1つ以上のランド(land)を有する。一実施形態では、一つ以上のランドは約0.05インチから約0.1インチの寸法の幅を有する。一実施形態では、1つ以上のランドは約0.075インチの寸法を有する。一実施形態では、複数のレリーフはローラー面周囲に螺旋模様を形成する。一実施形態では、ローラー面の軸方向に沿って2つおきのレリーフが整列している。
【0011】
本開示の別の実施形態は、ローラープレスシステムを提供し、該ローラープレスシステムは、供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮する形状及び大きさの複数のレリーフを形成する第1のローラープレスと、供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮する形状及び大きさの複数のレリーフを形成する第2のローラープレスと、第2のローラープレスに対して第1のローラープレスを正確に位置合わせできるアクチュエータ機構とを有することにより、得られるブリケットの表面積対体積比を調整可能である。
【0012】
一実施形態では、個々のレリーフは、得られるブリケットにおける応力集中を低減するために丸みを帯びた角を有する四辺形状の窪みを形成しており、前縁の一対の丸みを帯びた角は第1の半径を有し、後縁の一対の丸みを帯びた角は第2の半径を有し、第1の半径は第2の半径よりも小さい。一実施形態では、複数のレリーフはローラー面の周りに螺旋模様を形成する。一実施形態では、ローラー面の軸方向に沿って2つおきのレリーフが整列する。
【0013】
本開示の別の実施形態は、供給材料を複数の分離したブリケットに圧縮するための形状及び大きさの複数のレリーフを形成する高合金の高強度材料で製造されたローラー面と、低合金の高強度材料で製造された土台と、を備えるローラープレスを提供し、耐腐食性や機械強度を向上するためにローラー面は肉盛り溶接によって直接土台に接合される。
【0014】
上記概要は、示された各実施形態又は本開示のすべての実施形態を説明することを意図していない。図及び以下の詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
開示内容は、添付図面との関連において、本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解できる。
図1A】先行技術における波型表面を有する従来のローラープレスを示す斜視図である。
図1B】先行技術におけるローラープレスの従来の波型表面の断面図である。
図2】本開示の一実施形態における供給材料を一連の分離したブリケットに圧縮するローラープレスを示す斜視図である。
図3A】本開示の一実施形態におけるローラープレス内のレリーフを示す部分的に詳細な平面図である。
図3B】本開示の一実施形態における軸面に沿った図3Aのレリーフを示す部分断面図である。
図3C】本開示の一実施形態における回転面に沿った図3Aのレリーフを示す部分断面図である。
図4A】本開示の一実施形態における軸方向位置合わせスラスト面アセンブリを示す端面図である。
図4B図4Aの軸方向位置合わせスラスト面アセンブリを示す側面図である。
図4C図4Bの軸方向位置合わせスラスト面アセンブリを示す断面図である。
【0016】
本開示の実施形態は様々な改変および代替形態を実施できるが、図面に例として示すその具体的な実施形態を詳細に説明する。しかし、本開示を記載された特定の実施形態に限定する意図がないことを理解されたい。それどころか、その意図は請求項によって特定される主題の精神および範囲内における全ての変更、等価物、および代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2を参照すると、本開示の一実施形態に基づき供給材料(例えばカリ等)を複数の分離したブリケットに圧縮するローラープレス100が示されており、それによって最終製品の更なる処理(例えば破砕や選別等)の必要性を排除できる。ある実施形態では、ローラープレス100は、ローラープレス100の面104に形成された複数の個別のレリーフ102(ポケットともいう)を特徴とする。複数のレリーフ102は、供給材料が一対のローラープレス100を通って供給される際に、供給材料にほぼ均一な圧縮力を加える形状及び大きさにされており、個々の供給材料粒子を強固に結合するための供給材料のほぼ均一な塑性変形を実現しており、最終製品の直接製造にとって十分な平滑面仕上げもされている。
【0018】
更に図3Aから3Cを参照すると、所定量の供給材料が対向するローラープレス100の2つの位置合わせされたレリーフ102の間に封入され、当該供給材料が分離したブリケットへと圧縮されると、個々のブリケットが形成される。個々のレリーフ102は、通常、回転方向(L1)(例えば、ローラープレス100の直径)と軸方向(L2)(例えば、ローラープレス100の長手軸と平行)に沿って延びるほぼ四辺形状(例えば4辺を有する)窪みを形成する。ある実施形態では、ローラープレス100の直径に沿ったレリーフ102の長さは約0.5インチから約2インチである。例えば、ある実施形態では、個々のレリーフ102は回転方向(L1)の長さが約1.5インチである。ローラープレス100の長手軸に平行なレリーフ102の長さは、約0.5インチから約2インチである。例えば、ある実施形態では、個々のレリーフ102は軸方向(L2)の長さが約1.7インチである。ある実施形態では、個々のレリーフ102の回転方向の長さ(L1)は、通常、レリーフ102の軸方向の長さ(L2)よりも長い。ある実施形態では、個々のレリーフ102は約0.125インチから約0.375インチの深さ(D1)を有する。例えば、ある実施形態では、個々のレリーフ102は約0.25インチの深さ(D1)を有する。レリーフ102は他の寸法も考えられる。
【0019】
表面104における個々のレリーフ102の間の表面領域(本明細書では、ランド領域又はランド106と呼ぶ)は、この表面領域106は一般にブリケットの形成において非生産的と考えられるため、最小化されてもよい。特に、一対のローラープレス100のランド106間に捕捉された供給材料は、個々の供給材料粒子を結合するのに十分な塑性変形を生じるために必要な圧縮力を受けることがなく、そのため供給材料としてリサイクルされる。ランド領域106は理想的には可能な限り小さく保たれるが、ランド106は、通常、構造的な要求を満たす、具体的には供給材料のピーク圧縮中にかかる応力に耐えられる形状およびサイズにされている。例えば、ある実施形態では、ランド106は約0.05インチから約0.1インチの幅(W1)を有しており、レリーフ102の面取りされた角に隣接するランド領域106は相対的に広い幅を有する。例えば、ある実施形態では、他の寸法のランド106も考えられるが、ランド106はレリーフ102間に約0.075インチの幅を有する。
【0020】
ある実施形態では、レリーフ102は面取りされた又は丸みを帯びた角108を有するため、丸みを帯びた角を有するブリケットを形成する。ある実施形態では、角108の半径は、得られるブリケットにおける応力集中を低減する寸法にされている。例えば、ある実施形態では、(例えば、回転中に最初に接触する)ローラープレス100の前縁に位置する角108A1,108A2が第1の半径を有し、後縁に位置する角108B1,108B2が第2の半径を有してもよい。ある実施形態では、前縁の角108A1,108A2は後縁の角108B1,108B2よりも小さな半径を有する。
【0021】
特に、後縁の角108B1,108B2よりも相対的に小さな半径を有する前縁の角108A1,108A2を備えるレリーフ102を形成すると、通常は、圧縮前に供給材料をレリーフ102により完全に充填できる。さらに、レリーフ102の非対称的な設計は、より完全な粒子の変形とともに、供給材料にかかる圧縮応力のより均一な分散をもたらし、ある実施形態では、それにより、2個のブリケット半体が結合したブリケットの中央(例えば2つのローラープレス100の中間)を通る弱い平面が生じるのを低減できる。さらに、後縁の角108B1,108B2の相対的に大きい半径は、通常、圧縮後にレリーフ102からのブリケットの排出を助ける。
【0022】
続けて図1を参照すると、ある実施形態では、個々のレリーフ102は、ローラープレス100の周面104の周りに等間隔で離間している。更にある実施形態では、レリーフ102は軸方向において相互にオフセットしており、それにより、周面104にレリーフ102の螺旋模様を形成している。レリーフ102の他のパターン(例えば、1つおきの列、3つおきの列で整列など)も考えられるが、例えば、レリーフ102のパターンは(図2に図示されるように)所定の軸線に沿って2つおきの列のレリーフ102が相互に整列するよう構成されている。
【0023】
個々のレリーフの均一な列(例えば、ローラープレス100の長手軸に沿って軸方向に相互に整列した一連のレリーフ102)とは対照的に、レリーフ102の螺旋パターンを形成すると、ピークの圧縮荷重を一部のレリーフ102(例えば、ローラープレスの長手軸に沿って2つおきのレリーフ)にかけることができる。したがって、ある実施形態では、任意の所定の時間において、第1組のレリーフ102内の供給材料は圧縮前段階(例えば、中心面より前)になり、第2組のレリーフ102内の圧縮された供給材料はピークの圧縮力段階(例えば、中心面上)になり、第3組のレリーフ102内の完成したブリケットは応力除去/排出段階(例えば、中心面より後ろ)になる。
【0024】
つまり、レリーフの均一な列はローラープレス100の全幅に均等にピークの応力を加えるのに対し、螺旋パターンの形成は、動作中に特定のレリーフ102内の粒子に対してかかるピークの圧縮力を向上しうる。ある実施形態では、ピークの圧縮力は、面104を横切って整列するレリーフ102の数を面104を横切るレリーフ102の総数で割った数分の1の係数だけ増加できる。
【0025】
更に図4Aから4Cを参照すると、ある実施形態では、一対のローラープレス100の軸方向及び/又は回転方向の相互のアライメントを調整することにより、得られる製品の品質特性を変更することができる。ローラープレスの軸方向又は回転方向の相互のアライメントの調整は、得られるブリケットの表面積対体積比に直接影響を与え、アライメントが一致するレリーフプロファイルからずれるにつれて、表面積対体積比は増加する。このようにして、破砕性や分解率などの品質特性を管理し、特定の目標を達成することができる。
【0026】
したがって、ある実施形態では、少なくとも一つのローラープレス100は、通常のスラスト間隙を維持し、通常の回転自由度を維持しながら、ローラープレス100を軸方向に精密に位置合わせできるアクチュエータ機構を備える。ある実施形態では、ローラープレス100の精密な位置合わせは、モータ/ギアボックスアセンブリに向かって取り付けられたローラープレス側から内側スラスト面を除去し、外面にスラスト面を再配置することによって実現される。ある実施形態では、ローラープレス100の精密な位置合わせは、シューとフォロアのアセンブリを使用して、組み立てられたローラー/軸受ブロックアセンブリ内から外側ブロック軸受ブロックの外面へと全てのスラスト面を移動させることにより実現される。
【0027】
ローラープレス100を、自由に移動できる状態でスラスト軸受の隙間内に配置し、最終的な位置決めおよび締結の間保持するために、アクチュエータ機構は、油圧又は手動の方法により、直線的な軸方向の力とそれに続く変位をもたらすことができる。ある実施形態では、アクチュエータ機構は、所望の動作制御に基づいて選択的に取り付け及び/又は取り外し可能なモジュール設計とされている。したがって、ある実施形態では、アクチュエータ機構は、ローラープレス/軸受ブロックを機械のフレームから実質的に取り外す又は除去することなくローラープレスの所望の軸方向の配置を設定又は再設定する能力、アナログ又はデジタル技術によってスラスト間隙内のローラープレスの位置を能動的に監視する能力、および、メンテナンスを含む任意の目的のためにスラスト軸受の摩耗面を保守、交換、またはその他の方法でアクセスする能力を含む。
【0028】
続いて図3Aから3Cを参照すると、ある実施形態では、ローラープレス100の表面材112が下層の基材110に直接接合されている。(図1Aおよび1Bに図示されるように)先行技術の従来のローラーアセンブリでは、高合金の高強度(HAHS)鋼(例えば、ニッケルクロム合金625など)がローラープレス表面材56に使用され、ローラー圧縮中に生じる圧縮力に対する機械的強度と共に、十分な耐腐食性をもたらす。このHAHS表面材56は、溶接融着により低合金の高強度(LAHS)鋼(例えば、AISI4340合金鋼など)の基部60に接合されており、この場合、HAHS面56に取り付ける前にLAHSの基部60上に中合金の中強度(MAMS)鋼層58(例えば、309Lバッファ溶接など)を重ねる必要がある。特に、MAMS層58は、余分な水素を吸収してHAHS56の脆化を防ぐとともに、HAHSとLAHSの異種金属材料56,60の接合を助けるために必要である。
【0029】
対照的に、本開示の実施形態は、中間層としてのMAMS層の除去を可能にしている。特に、本開示の実施形態は、HAHSの溶接肉盛層を約0.25インチから約0.50インチに厚くすることを含み、これは、ローラープレス100の最終寸法を同一にするために、下層の基部材110を小さな外径にすることを伴う。MAMS層の除去は、より厚い耐腐食性の被覆層をローラープレス100に付与することを可能にし、その結果、先行技術の従来のローラーアセンブリにおける通常の波型深さと比較して、レリーフ102の切込みの深さを増加できる。更に、溶接技術により、後の加工作業においてHAHS材の表面が脆化することなく、HAHS及びLAHSの2つの異種材料間の高品質な融合を可能にする。
【0030】
MAMS層の除去は、耐腐食性の向上と機械的強度の増加をもたらし、ブリケットの形成工程で生じる必要な曲げ応力に耐えるのに十分な強度が得られ、特に、周面104の周りのレリーフ102の螺旋パターンは隣接するレリーフ102を異なる動作の段階(例えば、圧縮前段階、圧縮力のピーク段階、および応力除去/排出段階)にすることを可能にする。
【0031】
例えば、ある実施形態において、サブマージアーク溶接プロセス(SAW)を用いて、充填金属(例えば、ERNiCrMo-3)をフラット-1Gの位置(例えば、最大15度の傾斜が可能)でLAHS鋳造焼鈍母材上に積層できる。ある実施形態では、この処理は、雰囲気制御用の基本フラックスを用いて半自動的に行い、LAHS基部上にマルチパス層で溶接肉盛/被覆を生成することができる。公称溶接電流および電圧は、それぞれ約350Aから約450Aと約29Vから約30Vにできる。作成中に、ローラープレス100は一連の熱処理が行われてもよく、それは、約550~約575°Fの初期処理、約400°Fの少なくとも一回の中間処理、そして、約900~約1000°Fの最終処理を含む。ある実施形態では、最後の熱処理サイクル後に、ローラープレス100を炉内で冷却する。
【0032】
表1(下記)は、低合金の高強度(LAHS)鋼基部60の化学組成(重量%)の一実施形態を示しており、ある実施形態では、BHN硬度202を有するAISI4340鋼合金で構成することができる。
【表1】
【0033】
表2(下記)は、充填材の化学組成(重量%)の一実施形態を示しており、ある実施形態では、ERNiCrMo-3ニッケル充填金属とすることができる。
【表2】
【0034】
システム、装置、および方法の様々な実施形態が本明細書で説明された。これらの実施形態は、単なる例示に過ぎず、請求項にかかる発明の範囲を限定することを意図しない。また、説明された実施形態の様々な特徴は多数の更なる実施形態を生成するために様々な態様で組み合わせられることが理解されなければならない。また、開示された実施形態で利用するために様々な材料、寸法、形状、構成、および配置が説明されたが、開示されたもの以外のものも請求項にかかる発明の範囲を逸脱しない限り利用可能である。
【0035】
関連する技術分野の当業者は、本願の主題は上述の実施形態で説明された特徴よりも少ない特徴を有してもよいことを理解するであろう。本明細書で説明された実施形態は、本願の主題の様々な特徴を組み合わせる網羅的な提示を意味するものではない。したがって、実施形態は特徴の相互に排他的な組み合わせではなく、むしろ、様々な実施形態は、当該分野の当業者によって理解されるように、異なる実施形態から選択される異なる特徴の組み合わせを含みうる。また、一実施形態に関して説明した要素は、特に断りがない限り、そのような実施形態に記載されていない場合であっても、他の実施形態において援用できる。
【0036】
従属項は、特許請求の範囲における一つ以上の他の請求項との特別な組み合わせを指すが、他の実施形態は、他のそれぞれの従属項の主題との従属項の組み合わせ又は他の従属項若しくは独立項との一つ以上の特徴の組み合わせを含んでもよい。そのような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないと記載されていない限り、本明細書において提案される。
【0037】
上記文書の参照による援用は、本明細書の明示的な開示に反する主題が取り込まれないように制限される。上記文書の参照による援用は、文書に含まれる請求項が参照によって本明細書に援用されないよう制限される。上記文書の参照による援用は、本明細書に明示的に含まれない限り、文書に規定されるいかなる定義も参照により本明細書に援用されないように制限される。
【0038】
請求項の解釈において、特定の用語「~する手段(means for)」または「~する工程(step for)」が請求項に記載されていない限り、35U.S.C.112(f)の規定は効果を奏しないことが明示的に意図されている。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4B
図4C
【国際調査報告】