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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】弁作動装置
(51)【国際特許分類】
   F01L 13/00 20060101AFI20240206BHJP
   F01L 13/06 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F01L13/00 301V
F01L13/00 303A
F01L13/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548953
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 AT2022060044
(87)【国際公開番号】W WO2022174275
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】A50108/2021
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513131176
【氏名又は名称】アーファオエル・リスト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ツルク
(72)【発明者】
【氏名】トマス・ザルムター
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・クランプファー
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・オーサーフォーファー
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・エッガー
【テーマコード(参考)】
3G018
【Fターム(参考)】
3G018AA01
3G018AA06
3G018AB03
3G018AB19
3G018BA07
3G018BA15
3G018CA11
3G018CA18
3G018FA03
3G018FA06
3G018FA07
3G018FA12
3G018FA19
3G018GA07
3G018GA12
(57)【要約】
本発明は、レシプロエンジンの少なくとも1つの弁を作動させるための弁作動装置(100)に関するものであり、弁作動装置は、共通の回転軸(213)の周りに回転可能であるように取り付けられている第1の作動レバー(210)及び第2の作動レバー(211)であって、第1の作動レバー(210)は、弁に作動運動を伝達するように少なくとも1つの弁に接続可能である、第1の作動レバー(210)及び第2の作動レバー(211);シャフト(216)上に配置された2つのカム(214、215)であって、作動レバー(210、211)は、カム(214、215)の輪郭を把持している、2つのカム(214、215);作動レバー(210、211)を接続するための機械的連結装置(10)であって、2つの位置に移動可能である遮断要素(13B)を有し、少なくとも遮断要素(13B)の第1の位置において、第2の作動レバー(211)の作動運動を第1の作動レバー(210)に伝達するように設定されている、機械的連結装置(10);及び、連結装置(10)の遮断要素(13B)を位置の間で切替えるための切替装置(110)であって、第2の作動レバー(211)の移動が、遮断要素(13B)の位置の変更を機械的に引き起こすように構成されている、切替装置(110)を有している。本発明はさらに、当該弁作動装置(100)を有する内燃機関(101)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシプロエンジン、特に内燃機関の少なくとも1つの弁を作動させるための弁作動装置(100)であって、
第1の作動レバー(210)及び第2の作動レバー(211)であって、両方の作動レバー(210、211)は、共通の回転軸(213)の周りに回転可能であるように取り付けられており、第1の作動レバー(210)は、少なくとも1つの前記弁に作動運動を伝達するように少なくとも1つの前記弁に接続可能である、第1の作動レバー(210)及び第2の作動レバー(211);
第1のカム(214)及び第2のカム(215)であって、両方のカム(214、215)は、1つの、特に共通のシャフト(216)上に配置されており、前記第1の作動レバー(210)は、第1のカム(214)の輪郭を把持し、前記第2の作動レバー(211)は、第2のカム(215)の輪郭を把持する、第1のカム(214)及び第2のカム(215);
前記第1の作動レバー(210)と前記第2の作動レバー(211)とを互いに接続することができる機械的連結装置(10)であって、少なくとも第1の位置及び第2の位置に移動可能である遮断要素(13B)を有し、少なくとも前記遮断要素(13B)の前記第1の位置において、前記第2の作動レバー(211)の作動運動を前記第1の作動レバー(210)に伝達するように設定されている、機械的連結装置(10);及び
前記機械的連結装置(10)の前記遮断要素(13B)を少なくとも前記第1の位置から前記第2の位置へ、及び、その逆へ移動させるための切替装置(110)であって、前記第2の作動レバー(211)の移動、特に少なくとも1つの前記弁の閉鎖につながる移動及び/又はシャフト(216)の方向における移動が、前記遮断要素(13B)の位置の変更を機械的に引き起こすように構成されている、切替装置(110)、
を有している弁作動装置(100)。
【請求項2】
前記切替装置(110)が、解除要素(111)及びブロック要素(112)を有しており、前記解除要素及び前記ブロック要素は、前記解除要素(111)が軸方向に変位可能であるように取り付けられているガイドロッド(83)に沿った前記解除要素(111)の軸方向の変位をブロック又は可能にするために協働するように構成されている、請求項1に記載の弁作動装置(100)。
【請求項3】
前記ガイドロッド(83)がハウジングに固定されており、前記解除要素を作動させるために、軸方向に変位可能であるように取り付けられている、請求項2に記載の弁作動装置(100)。
【請求項4】
前記解除要素(111)と前記ブロック要素(112)とが、前記第2の作動レバー(211)が前記シャフト(216)の方向に移動する場合に、前記遮断要素(13B)の位置変更が引き起こされるように機械的に協働する、請求項2又は3に記載の弁作動装置(100)。
【請求項5】
前記ブロック要素(112)が、前記第2の作動レバー(211)が前記シャフト(216)から離れる方向に移動する場合に、前記ガイドロッド(83)に沿った前記解除要素(111)の軸方向変位を可能にする、請求項2から4のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項6】
前記ブロック要素(112)が、前記第2の作動レバー(211)に、前記第2の作動レバーに対して旋回可能に取り付けられており、切替要素(84)、特に切替リンク機構又はリンクガイド要素を通じて前記遮断要素(13B)を作動させる、請求項2から5のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項7】
前記解除要素(111)が2つの作動要素(116、117)を有しており、前記作動要素は、前記第2の作動レバー(211)の前記シャフト(216)の方向における移動の間に前記ブロック要素(112)の位置を、前記ブロック要素(112)が前記遮断要素(13B)の位置変化をもたらすように変化させるように設定されている、請求項2から6のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項8】
前記遮断要素(13B)が、前記遮断要素の第1の位置において、前記第1の作動レバー(210)の第2の連結要素(12)と協働する、特に接触させられ得る、請求項2から7のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項9】
前記遮断要素(13B)の回転軸が、前記シャフト(216)、前記ガイドロッド(83)及び/又は前記回転軸(213)に対して平行に延在している、請求項2から8のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項10】
前記ガイドロッド(83)が、前記回転軸(213)及び/又は前記シャフト(216)に対して少なくとも略平行に方向付けられている、請求項2から9のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項11】
前記解除要素(111)が、前記遮断要素(13B)の位置変更を行うべき場合に、少なくとも1つのバネ要素(93、94)を用いて、前記ガイドロッド(83)に沿って前記ブロック要素(112)に対してプレテンションを加えることが可能であり、次に、前記解除要素(111)は、前記ブロック要素(112)が前記第2の作動レバー(211)の移動によって経路を解放する場合に、前記ガイドロッド(83)に沿って変位可能である、請求項2から10のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項12】
前記ブロック要素(112)が、第1の連結要素(118)、特に連結ヘッドを備えたロッカースイッチとして構成されており、前記第1の連結要素の位置は、前記ブロック要素(112)が旋回すると変化し、前記切替要素(84)の第2の連結要素(119)、特に受容部と協働する、請求項2から11のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項13】
前記第1の作動レバー(210)及び/又は前記第2の作動レバー(211)が、ロッカーレバー又はロッカーアームとして構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項14】
前記第1の作動レバー(210)が連結部(217)を有しており、前記連結部は、前記第2の作動レバー(211)及び/又は前記機械的連結装置(10)のためのストッパ(89)を形成するように前記第2の作動レバー(211)を包囲し、前記第1の作動レバー(210)に対する共通の回転軸(213)の周りでの前記第2の作動レバー(211)の回転を制限する、請求項1から13のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項15】
前記第2のカム(215)の側面が、前記シャフト(216)の通常の動作条件における回転方向に対して、前記第1のカム(214)の側面よりも遅れて上昇し、前記第1のカム(214)及び前記第2のカム(215)の輪郭は、前記第2の作動レバー(211)の作動運動が、前記第1の作動レバー(210)の作動運動によって生じる弁リフト曲線(IVC-480)よりも大きく、時間的に長い弁リフト曲線(IVC-580)を生じるように形成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の弁作動装置(100)を少なくとも1つ有する内燃機関(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシプロエンジン、特に内燃機関の少なくとも1つの弁を作動させるための弁作動装置に関するものであり、弁作動装置は、第1の作動レバーと第2の作動レバーとを有し、2つの作動レバーは、共通の回転軸の周りに回転可能であるように取り付けられており、第1の作動レバーは、少なくとも1つの弁に作動運動を伝達するように少なくとも1つの弁に接続可能であり、弁作動装置は、第1のカムと第2のカムとを有し、2つのカムはシャフト上に配置されており、第1の作動レバーは第1のカムの輪郭を把持し、第2の作動レバーは第2のカムの輪郭を把持する。
【背景技術】
【0002】
この種の弁作動装置及び当該弁作動装置を備えた内燃機関は、基本的に従来技術から知られている。
【0003】
性能、効率、排気に関する要求がますます大きくなっているので、可変の動弁機構、すなわち弁リフトが可変である動弁機構は、レシプロ内燃機関、特に4サイクル及び6サイクルレシプロ内燃機関において重要性を増している。
【0004】
可変の動弁機構を用いて、特に内燃機関の運転状況に応じて、1つ又は複数の弁に異なる弁リフト曲線を選択的に伝達するという、内燃機関の設計者の必要性と熱力学の要求とに応えることが可能であり、弁リフトと開閉時点との両方を調整することが可能である。
【0005】
これは一般に、動弁機構の伝達経路の切り替えによって得られる。バケットタペット、ローラタペット又はロッカーレバーなど、切替可能なカム従動子を備えたストローク切替システム及びストローク休止システムは、様々な用途において量産されている。この際、さらなる代替的な弁リフトに関して、リフト要素として対応するカムも存在しなければならないということが重要であるが、ただし、代替的なリフトがゼロリフトである場合は別である。
【0006】
弁リフトが不安定又は可変である動弁機構の使用に関しては、様々な適用分野がある。以下にいくつかの例を挙げる。
【0007】
ストローク切替:ストローク切替によって、少なくとも2つの異なる弁リフトを、動作点に応じて使用することが可能になる。この際、部分負荷領域に特別に合わせられたより小さい弁リフトが用いられ、当該弁リフトはトルク曲線を改善し、消費と排気とを削減する。大きな弁リフトは、さらなる出力向上のために最適化することができる。最大リフトを小さくし、イベント長を短くした、より小さい弁リフトは、明らかにより早い吸気終了時点と、吸気行程における絞りの除去と、によって、ガス交換作業(ミラーサイクル)を削減することができる。アトキンソンサイクルでも、すなわち極端に吸気の終了が遅い場合でも、同様の結果が得られる。この際、燃焼室の最適な充填は、依然として部分負荷領域でのトルクの増加をもたらす。
【0008】
気筒休止:気筒休止は、主に大容量4気筒エンジン(例えば4気筒、8気筒、10気筒又は12気筒のエンジン)で使用される。この際、吸気弁及び排気弁のストローク休止によって、選択されたエンジンの気筒が停止し、カムリフトからの完全な連結解除が行われる。この際、等間隔の点火順序ゆえに、一般的なV8及びV12駆動装置は、A4又はR6エンジンに切り替えることができる。エンジン気筒休止の目的は、ガス交換の損失を最小限に抑え、より高い平均有効圧力及びより高い熱力学的効率への動作点の移動を実施し、それによって大幅な燃料節約を達成することにある。
【0009】
エンジンブレーキ操作:エンジンブレーキ操作を可能にするエンジンブレーキシステムは、車両の内燃機関、特に商用車の内燃機関において重要度を増している。なぜなら、当該エンジンブレーキシステムは、特に急傾斜を比較的長く走行する場合に、車輪ブレーキの負荷を軽減することができる費用効率の高い、省スペースな補助ブレーキシステムだからである。さらに、最近の商用車用エンジンの比出力の増大は、得られるべきブレーキ出力の増大も必要としている。
【0010】
エンジンブレーキ作用を得るために、内燃機関のエンジン気筒に追加のマクロ弁を設けることが知られており、マクロ弁を用いて、特に4ストロークエンジン又は6ストロークエンジンの圧縮ストロークの終わりに、追加のエンジン弁を介して気筒の減圧が行われることによって、いわゆる減圧ブレーキが実行される。これによって、圧縮されたガスで行われた仕事が、内燃機関の排気システムを通じて漏出する。さらに、内燃機関は気筒にガスを再充填するために、再び仕事をしなければならない。特に、実際の排気弁の可変の動弁機構によってエンジンブレーキ作用を発生させることが知られている。
【0011】
弁リフトを変更するための様々なシステム及び概念が知られている。特に、カムリフトを伝達する弁作動装置の1つ又は複数の弁作動要素間に、機械式又は油圧式の連結装置を設けることが知られており、当該連結装置を用いて、動弁機構の伝達経路の切替を実現することができる。
【0012】
例えば、特許文献1は、可変の弁制御のための、特にエンジンブレーキ作用を生じさせるためのシステムを示しており、当該システムは、弁作動運動が1つ又は複数の弁に選択的に伝達されるか、又は、伝達されないように、弁作動機構を選択的に遮断又は解放し、弁リフトを変化させ、これによって特にエンジンブレーキ作用を生じさせるために、油圧で作動可能な遮断要素を備えた「ロストモーション」装置を有している。
【0013】
特許文献2には、レシプロエンジン、特に内燃機関の少なくとも1つの第1の弁を作動させるための弁作動装置が開示されており、当該弁作動装置は、特にエンジンブレーキのために使用することが可能であり、第1のロッカーレバー部と、第2のロッカーレバー部と、少なくとも1つの第1の弁の弁リフトを変更するための第1の切替要素と、を有しており、第1のロッカーアーム部及び第2のロッカーアーム部は、旋回可能に取り付けられており、少なくとも1つの第1の弁制御運動が、第1のカムシャフトから第1のロッカーレバー部及び第2ロッカーレバー部を介して、少なくとも1つの第1の弁に伝達され得るように配置されている。
【0014】
特許文献3は、弁リフトが可変であるレシプロエンジンの少なくとも1つの弁を作動させるための弁作動装置、特にレシプロ内燃機関の弁作動装置のための連結装置、弁作動装置及びレシプロエンジンに関するものであり、当該連結装置は、第1の連結要素と、第2の連結要素と、遮断装置と、を有する。第1の連結要素と第2の連結要素とは、少なくとも第1の軸に沿って決定された境界内で、互いに対して相対的に変位可能であり、遮断装置を用いて、少なくとも第1の方向における第1の軸に沿った2つの連結要素の相対変位をブロックすることが可能である。遮断装置は、少なくとも周方向の決定された範囲内で、第1の軸の周りに回転可能である遮断要素を有しており、遮断要素がブロック位置にある場合、少なくとも第1の方向における、第1の軸に沿った2つの連結要素の相対変位がブロックされる。特許文献3の開示は、参照により本願に組み込まれる。
【0015】
本出願人の特許文献4は、レシプロエンジンの弁を作動させるための弁作動装置に関するものであり、弁作動装置は、連結装置を作動させるための、機械的な切替装置によって第1の位置及び第2の位置に移動可能である遮断要素を備えた連結装置を有しており、弁作動装置は、第1の位置において、弁のための作動運動を伝達し、切替装置は、ガイドロッドと、平行かつ相対的に移動可能な作動ロッドと、遮断要素を各位置間で移動させるためにガイドロッドに移動可能に取り付けられたリンクガイド要素と、リンクガイド要素に連結された解除要素であって、リンクガイド要素及び解除要素は、バネ要素を用いて、それぞれバネ要素が配設された作動ロッドの2つのストッパの間にクランプされており、リンクガイド要素及び解除要素は、作動ロッドと共にガイドロッドに沿った方向及び/又は平行な方向に変位可能である、解除要素と、第1の状態ではブロック要素が、作動ロッドが軸方向に変位する際に、バネ要素にプレテンションが加えられるように、解除要素及びリンクガイド要素の変位をブロックし、第2の状態では解除要素及びリンクガイド要素の変位が、連結装置の作動を引き起こすように、解除要素と協働するブロック要素と、を有している。特許文献4の開示も参照により本願に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0326212号明細書
【特許文献2】国際公開第2015/022071号
【特許文献3】国際公開第2019/025511号
【特許文献4】オーストリア国特許発明第50710/2020号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、可変の弁制御のための改良された弁作動装置を提供することにある。特に、本発明の課題は、弁リフトの切替を特に正確に同期することができる可変の弁制御のための弁作動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本課題は、独立請求項に記載の弁作動装置及び内燃機関によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0019】
本発明の第1の態様は、レシプロエンジン、特に内燃機関の少なくとも1つの弁を作動させるための弁作動装置に関するものであり、当該弁作動装置は、
第1の作動レバー及び第2の作動レバーであって、これら2つの作動レバーは、共通の回転軸の周りに回転可能であるように取り付けられており、第1の作動レバーは、少なくとも1つの弁に作動運動を伝達するように少なくとも1つの弁に接続可能である、第1の作動レバー及び第2の作動レバー;
第1のカム及び第2のカムであって、これら2つのカムは、1つの、特に共通のシャフト上に配置されており、第1の作動レバーは、第1のカムの輪郭を把持し、第2の作動レバーは、第2のカムの輪郭を把持する、第1のカム及び第2のカム;
第1の作動レバーと第2の作動レバーとを互いに接続することができる機械的連結装置であって、少なくとも第1の位置及び第2の位置に移動可能である遮断要素を有し、少なくとも遮断要素の第1の位置において、第2の作動レバーの作動運動を第1の作動レバーに伝達するように設定されている、連結装置;及び
連結装置の遮断要素を少なくとも第1の位置から第2の位置へ、かつ、その逆へと移動させるための切替装置であって、第2の作動レバーの移動、特に少なくとも1つの弁の閉鎖につながる移動及び/又は第2のカムの方向への移動が、遮断要素の位置の変更を機械的に引き起こすように構成されている、切替装置、
を有している。
【0020】
本発明の第2の態様は、当該弁作動装置を有する内燃機関に関する。
【0021】
本発明は、2つの作動レバーを用いて可変の弁制御を実現するというアプローチに基づいており、第1の作動レバーは弁作動運動を持続的に発生させ、第2の作動レバーは切替装置を用いて必要に応じて作動させることが可能であり、第2の作動レバーによって生じる弁作動運動は、第1の作動レバーの弁作動運動に重畳される。この場合、第2の作動レバーの弁作動運動は、連結装置を通じて第1の作動レバーに伝達され、第1の作動レバーのみが弁を通じて常に作動される。ロッカーアームの場合、これは好ましくはプッシュロッドを通じて行われる。
【0022】
好ましくは、第1の作動レバーを経由する第1の力伝達経路は、第2の作動レバーの存在の影響を受けない。連結装置は、第2の作動レバーからの第2の力伝達経路を第1の作動レバーに導き、第1の作動レバーから、第2の力伝達経路は第1の力伝達経路と同じように弁まで延在する。
【0023】
このように、本発明は、剛性の高い作動レバーの利点と調節可能な弁制御の利点と統合している。一方では、弁を作動させるための大きな力は、第1の作動レバーのみを通じて伝達することができる。他方、弁の微調整及び/又は弁の補助的な作動は、第2の作動レバーを追加することによって得られる。
【0024】
さらに、本発明は、作動レバー自体の動きによって、第2の作動レバーを通じた作動運動の開始又は停止を得ることを可能にする。これによって、最適な切替時点を特に正確に制御することが可能になる。
【0025】
さらに、第2の作動レバーの動きを通じて同期される切替は、第1の作動レバー又は第2の作動レバーを通じたそれぞれの操作に利用可能な最大の時間枠を提供することができる。また、切替プロセスの機械的な開始は、特に確実な開始を保証する。
【0026】
弁作動装置の有利な実施形態において、弁作動装置は、解除要素を有しており、切替装置は、解除要素の軸方向の変位をブロック又は可能にするために、解除要素と協働するように構成されたブロック要素を有している。
【0027】
解除要素と協働するブロック要素を設けることによって、機械的な解除を実行することができる。
【0028】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態では、ガイドロッドはハウジングに固定され、解除要素を作動させるために、軸方向に変位可能であるように取り付けられている。
【0029】
この有利な実施形態では、ガイドロッドはアクチュエータによって直接作動させることができる。解除要素を作動させるためのさらなる装置は不要である。
【0030】
さらなる有利な実施形態では、解除要素とブロック要素とは、第2の作動レバーがシャフトの方向に動かされた場合に、遮断要素の位置変化が開始するように、機械的に協働する。
【0031】
この有利な実施形態では、解除要素とブロック要素とは、解除要素の軸方向変位の時点を決定するためにだけでなく、遮断要素の位置変更を開始するためにも協働する。
【0032】
さらなる有利な実施形態では、ブロック要素は、第2の作動レバーがシャフトから遠ざかるように動く場合に、ガイドロッドに沿った解除要素の軸方向変位を可能にする。
【0033】
上述の有利な実施形態と共に、第2の作動レバーの移動は、カムシャフトから離れる解除要素の移動を可能にし、ガイドロッドに沿った解除要素の変位を可能にし、後続の第2の作動レバーのシャフト方向への移動は、遮断要素の位置の変更を開始させる。これによって、特に確実な切替プロセスが実現され得る。
【0034】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態では、ブロック要素は、第2の作動レバーに取り付けられ、第2の作動レバーに対して旋回可能に取り付けられており、切替要素、特に切替リンク機構又はリンクガイド要素を介して遮断要素を作動させる。
【0035】
第2の作動レバーにブロック要素を旋回可能に取り付けることによって、切替装置の解除要素との特に有利な協働が可能になる。第2の作動レバーがカムシャフトの方向に旋回すると、ブロック要素が解除要素と接触することが可能になり、この場合、解除要素の方が旋回する。
【0036】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態では、解除要素は2つの作動要素を有しており、当該作動要素は、第2の作動レバーがシャフト方向に移動している間にブロック要素の位置を、ブロック要素が遮断要素の位置変化を引き起こすように変更するように設定されている。
【0037】
特に、ブロック要素は、これによって旋回する。
【0038】
既に説明したように、好ましくは、シャフトから離れる第2の作動レバーの動きが解除要素の動きを引き起こし、シャフトに向かう第2の作動要素の動きがブロック要素の旋回を引き起こすことが規定されている。
【0039】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態では、ガイドロッドは、回転軸及び/又はシャフトに対して少なくとも略平行に方向付けられている。
【0040】
このガイドロッドの配置によって、個々の要素を特に省スペースで配置することが可能になる。
【0041】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態では、解除要素は、遮断要素の位置変更を行うべき場合に、少なくとも1つのバネ要素を用いて、ガイドロッドに沿ってブロック要素に対してプレテンションを加えることが可能であり、次に、解除要素は、ブロック要素が第2の作動レバーの移動によって経路を解放する場合に、ガイドロッドに沿って変位可能である。
【0042】
ガイドロッドにプレテンションを加えることによって、解除要素の作動を実際の変位時点から独立させることができる。これによって、ブロック要素又は第2の作動レバーの動きと解除要素の動きとの間に作用関係を作り出すことが可能になる。
【0043】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態では、ブロック要素は、第1の連結要素、特に連結ヘッドを備えたロッカースイッチとして構成されており、その位置は、ブロック要素が旋回すると変化し、切替要素の第2の連結要素、特に受容部と協働する。
【0044】
本発明において、ロッカースイッチは、好ましくは一種の三角形又は三叉の星形として形成されている。三角形の2つの先端はロッカースイッチを作動させるために用いられ、連結ヘッドは第3の角/突起に配置されている。連結ヘッドを備えたロッカースイッチは、ブロック要素に関して、特に簡単な機械的解除を提供する。
【0045】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態において、遮断要素は、第2の作動レバーに回転可能に取り付けられており、その第1の位置において、第1の作動レバーの第2の連結要素と協働し、特に連結要素と接触させることができる。
【0046】
回転自在に取り付けられた遮断要素は、遮断要素の特に単純で頑丈な機械的構成である。
【0047】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態では、遮断要素の回転軸は、シャフトに対して少なくとも略平行に延在している。
【0048】
対称性が高いことによって、弁作動装置の特に単純な構成が得られる。
【0049】
弁作動装置の有利な実施形態では、第1の作動レバー及び/又は第2の作動レバーは、ロッカーレバー又はロッカーアームとして構成されている。
【0050】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態において、第1の作動レバーは連結部を有しており、当該連結部は、第2の作動レバー及び/又は連結装置のためのストッパを形成するように第2の作動レバーを包囲し、第1の作動レバーに対する共通の回転軸の周りでの第2の作動レバーの回転を制限する。
【0051】
これによって、第1の作動レバーから第2の作動レバーへの特に有利な種類の力の伝達を実現することができる。特に、第1の作動レバーのプッシュロッドが取り付けられる箇所に、第2の作動レバー上の全ての付加的な構成要素を設けることができるので、弁作動装置を特に省スペースに構成することができる。
【0052】
弁作動装置のさらなる有利な実施形態では、第2のカムの側面は、シャフトの通常の動作条件における回転方向に対して第1のカムの側面よりも遅れて上昇し、第1のカム及び第2のカムの輪郭は、第2の作動レバーの作動運動が、第1の作動レバーの作動運動によって生じる弁リフト曲線よりも大きく、時間的に長い弁リフト曲線を生じるように形成されている。
【0053】
第1のカムの側面が早く上昇するので、弁が開く際に生じる比較的大きな力が第1の作動レバーに加えられ、第1の作動レバーは好ましくは高い剛性を有するように構成されており、したがって第2の作動レバーよりも大きな強度を有している。加えて、第2の作動レバーを頑丈さを意図的に減少させて構成することが可能であり、これによって、重量及びスペースを節約することができる。
【0054】
本発明の第1の態様に関して上述した特徴及び利点は、本発明の第2の態様に当てはまり、その逆もまた同様である。
【0055】
本発明のさらなる利点及び特徴は、以下の説明及び図に示す非限定的な実施例を参照することによって明らかになる。以下が、少なくとも部分的に概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】内燃機関の弁機構の上面斜視図である。
図2】弁作動装置の一実施例の上面斜視図である。
図3図2に係る弁作動装置の2つの弁作動レバーの上面図である。
図4図3の平面I-Iにおける弁作動装置の横断面図である。
図5】弁作動装置を遮断要素の第1の位置で切り替えるための機構の上面図である。
図6】弁作動装置を遮断要素の第2の位置で切り替えるための機構のさらなる上面図である。
図7】弁作動装置の第2の作動レバーの斜視図である。
図8a】第2の弁作動レバー及び第2のカムが、それぞれカムの異なる回転位置にある側面図である。
図8b】異なる位置にある弁作動装置の切替要素の上面図である。
図8c】異なる位置にある切替要素の詳細を拡大して示す上面図である。
図9a】第2の弁作動レバー及び第2のカムが、それぞれカムの異なる回転位置にある側面図である。
図9b】異なる位置にある弁作動装置の切替要素の上面図である。
図9c】異なる位置にある切替要素の詳細を拡大して示す上面図である。
図10a】第2の弁作動レバー及び第2のカムが、それぞれカムの異なる回転位置にある側面図である。
図10b】異なる位置にある弁作動装置の切替要素の上面図である。
図10c】異なる位置にある切替要素の詳細を拡大して示す上面図である。
図11a】第2の弁作動レバー及び第2のカムが、それぞれカムの異なる回転位置にある側面図である。
図11b】異なる位置にある弁作動装置の切替要素の上面図である。
図11c】異なる位置にある切替要素の詳細を拡大して示す上面図である。
図12】様々な負荷位置における解除要素の横断面図である。
図13】様々な負荷位置における解除要素の横断面図である。
図14図3に係る弁作動装置で実現可能な2つの異なる弁リフト曲線の実施例を示す図である。
図15】本発明に係る内燃機関の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、弁作動装置100の実施例を有する内燃機関101の弁機構を示す斜視図である。図15は、内燃機関101の概略図であり、図示された実施形態では、4つの気筒102を有しており、各気筒には弁作動装置100が配設されている。自明のことながら、本発明に係る解決策は、特に気筒102の数に関して、異なる構成の内燃機関101にも適用することができる。
【0058】
図1に示す実施例では、全体で4つの弁が作動され、前方の2つの弁がプッシュロッド220を介して弁作動装置100によって作動される。弁作動装置100の第1の作動レバー210と第2の作動レバー211とは、それぞれカム214、215上の弁作動運動を取り出す。次に、当該弁作動運動は、弁に伝達され得る。
【0059】
好ましくは、第2の作動レバー211に負荷が加えられていない場合に、第2の作動レバー211と第2のカム215との間の接触を確実にするために、リセット装置96が設けられている。
【0060】
図1に示す弁作動装置100の実施例は、いわゆるロッカーアームであり、対応して、弁作動運動を少なくとも1つの弁に伝達するプッシュロッド220のための受容部97を有している。しかしながら、当該実施例に関連して記載された教示は、他の形式の弁作動装置、特に、ロッカーアームの端部又は中央にローラを有するロッカーアーム、及び、ロールバー、スライドロッド又はプッシュロッド作動を有する、中央に取り付けられた弁作動レバー、いわゆるロッカーレバーにも転用可能である。
【0061】
図2は、弁作動装置100の実施例を斜視図で示しており、弁作動装置100は、本図には示されていない内燃機関の弁を作動させるように構成されている。
【0062】
弁作動装置100は、第1の作動レバー210と第2の作動レバー211とを有しており、2つの作動レバー210、211は、好ましくは共通の回転軸213の周りに回転できるように取り付けられている。プッシュロッド220は、第1の作動レバー210に接続されており、これによって、作動運動が、第1の作動レバー210又は第2の作動レバー211から弁に伝達される。
【0063】
第1の作動レバー210は第1のカム214の輪郭を把持するように構成されており、第2の作動レバー211は第2のカム215の輪郭を把持するように構成されている。2つのカム214、215は、シャフト216、特に共通のシャフトに回転しないように取り付けられている。好ましくは、第1のカム214は、シャフト216の周方向において、第2のカム215とは異なる輪郭を有している。
【0064】
第1の作動レバー210と第2の作動レバー211とは、連結装置10を介して互いに接続されている。特に、連結装置10は、連結装置10がブロック状態にある場合には第2の作動レバー211から第1の作動レバー210に作動運動を伝達するように、又は、連結装置10が解放状態にある場合には第2の作動レバー211の運動をいわゆるロストモーション運動に変換するように設定されている。
【0065】
図示された実施例では、連結装置10は第2の作動レバー211上に配置されているか、又は、第2の作動レバー211の構成要素である。好ましくは、連結装置10が長手方向に変位可能である連結装置10の長手軸は、回転軸の周りの第2の作動レバー211の軌道に対して接線方向に当接している。
【0066】
特に、第1の作動レバー210は、好ましくは第2の作動レバー210の軌道内に延在する連結部217を有している。連結部217は、図2に示すように、作動運動を伝達するために第1の連結要素11と協働することができる第2の連結要素12に接続されており、好ましくはネジで固定されている。
【0067】
切替のために、連結装置10は、好ましくは遮断要素13bを有しており、遮断要素13bは、好ましくは遮断要素13bの一部であり、ストッパ89(図示せず、例えば図4又は図7参照)を形成する連結要素11が、少なくとも2つの位置の間で旋回可能であるように、好ましくは軸の周りに旋回可能である。この際、当該軸は、作動レバー210、211の回転軸213とは区別され、好ましくは、回転軸213及び/又はカムシャフト及び/又はガイドロッド83に対して平行に方向付けられている。
【0068】
連結状態において、遮断要素13bを介して第1の作動レバー211に取り付けられている第1の結合要素11は、弁作動運動が第1の作動レバー210から第2の作動レバー211に伝達されるように、第1の作動レバー210の第2の連結要素12と協働する。この際、第1の連結要素11のストッパ89が第2の連結要素と接触する。遮断要素13bの当該位置は、以下において、第1の位置又はブロック位置とも呼ばれる。
【0069】
これに対して、連結装置10の解放状態において、遮断要素13bは第2の位置(以下、解放位置ともいう)にあり、当該位置では、第1の連結要素11のストッパ89(図示せず、例えば図4又は図7参照)は、第2の連結要素12と協働しない。好ましくは、図1の遮断要素13bは、以下で詳細に説明されるように時計回りに約90°旋回する。
【0070】
遮断要素13bは、好ましくは、切替装置110(図示せず)によって作動される。この際、切替装置110の部材は、好ましくは、弁が制御される内燃機関のハウジングに固定して取り付けられている(いずれも図示せず)。切替装置110(図2には図示せず)は、好ましくは、図示しないアクチュエータを用いて、油圧式又は電気機械式に動作し、さらに好ましくは、内燃機関の制御部(ECU)によって制御される。
【0071】
図3は、図2に係る実施例の弁作動装置100の、回転軸213に背向する側面の上面図である。
【0072】
図3の左側には、第1の作動レバー210が示されている。第1のカム214から第1のピックアップ218を経由し第1の作動レバー210上をプッシュロッド220に向かう実線の矢印Fで示される力の伝達は、好ましくは、第1の作動レバー210の移動方向と略平行に延在している。
【0073】
図3の右側には、第2の作動レバー211が示されている。第2の作動レバー211から第1の作動レバー210への力の伝達は、連結装置10がブロック状態にある場合にのみ行われる。連結装置10がブロック状態にある場合、第2のカム215から第2のピックアップ219及び第2の作動レバー210を経由し連結装置10に至る力の伝達の第2の経路Fは、第2の作動レバー211の移動方向に対して略平行に延在している。連結装置10から、力の伝達の第2の経路Fは、好ましくは連結部217を経由して、特に第2の作動レバー211の移動軸に対して略垂直に、第1の作動レバー210及びプッシュロッド220まで延在している。
【0074】
上述のことから、経路Fは、図示された実施例では常に機能していることが明らかである。これに対して経路Fは、連結装置10の状態に応じて選択的に追加される。
【0075】
図4は、連結装置10の中心軸が位置する図3の平面I-Iにおける、弁作動装置100の第2の作動レバー211及び第1の弁作動レバー210の一部の実施例を示す断面図である。
【0076】
図2を参照して既に部分的に説明し、図4で完全に明らかになったように、連結装置10は、第1の連結要素11、ピン13Aを備えた遮断要素13B、付加的に第2の連結要素12を有している。
【0077】
図2に関連して既に部分的に説明し、図4で完全に明らかになったように、遮断要素13bと第1の連結要素11とは、第2の作動レバー211の一部であるか、又は、第2の作動レバー211に取り付けられている。さらに、連結装置10は第2の連結要素12を有しており、連結要素12は第1の作動レバー210の一部であるか、又は、第1の作動レバー210に取り付けられる。
【0078】
この際、第1の連結要素11は、力を伝達できるように第2の作動レバー211に固定されており、第2の連結要素12は、対応して、力を伝達できるように第1の作動レバー210に、好ましくはその連結部217に固定されており、さらに好ましくは、ネジを用いて螺入され、ロックナット221で固定されている。この際、第2の連結要素12は、好ましくは、第1の連結要素11のストッパ89を介して作動される。ストッパ89を形成する遮断要素13bの気筒底部は、好ましくは内側に湾曲しており、第2の連結要素12の自由端は、好ましくは対応して凸状に湾曲している。
【0079】
遮断要素13bは、第2の作動レバー211に回転可能に取り付けられており、切替要素84、図4に示す実施例では切替リンク機構によって作動され得る。切替リンク機構84は、切替装置110によって作動され得る。このようにして、機械的な切替装置110によって、規定された弁リフトを選択的に作動させること、又は、停止させることが可能である。
【0080】
この切替装置110は、好ましくはブロック要素112を有しており、ブロック要素112は、図示された実施例ではロッカースイッチとして構成されており、切替リンク機構84の第2の連結要素119、特に受容部と協働する第1の連結要素118、特にドームヘッド118を有している。
【0081】
図示された実施例では、ブロック要素112は、図示された平面内で旋回できるように第2の作動レバー211に取り付けられている。
【0082】
切替装置110はさらに、解除要素111を有する。解除要素111は、図示されていないアクチュエータを用いて、油圧又は電気機械によって動作する。
【0083】
解除要素111は、好ましくは、第1の作動要素116及び第2の作動要素117(図4では視認不可能)を有しており、第1の作動要素116及び第2の作動要素117は、図5及び図6を参照して以下に説明するように、ブロック要素112と協働して遮断要素13bを作動させる。
【0084】
第2の作動レバー211の弁作動運動は、第2のカム215上の第2のピックアップ219によって取り出される。対応して、第1の作動レバー210の弁作動運動は、第2のカム215上の第1のピックアップ218によって取り出される(図5及び図6には図示せず)。遮断要素13bが第1の位置又はブロック位置にある場合、第1の作動要素116の作動運動は第1の作動レバー210に伝達される。
【0085】
図5にも示すように、遮断要素13bは、ブロック位置とも呼ばれる第1の位置にある。対応して、連結装置10はブロック状態にあり、ブロック状態において、弁作動運動は、第2の作動レバー211から第1の作動レバー210に伝達される。
【0086】
この第1の位置は、ハウジングに固定されたガイドロッド83に変位可能に取り付けられた解除要素111が、第2の作動要素117がロッカースイッチとして構成されたブロック要素112の先端と協働するような位置にあることによって到達される。これによって、図4の連結ヘッド118は左に向かって旋回する。連結ヘッド118は切替リンク機構84の受容部119と協働するので、切替リンク機構84も左に向かって移動する。遮断要素13bのピン13aは、切替リンク機構84のさらなる受容部に受容されるので、切替リンク機構84と遮断要素13bとは、第1の連結要素11が右に向かって旋回するように協働する。
【0087】
図6では、遮断要素13bが第2の位置又は解放位置にある、連結装置10の解放状態が示されている。この場合、第1の連結要素は、連結装置10の第2の連結要素12と協働せず、これによって、第2の作動レバー211の弁作動運動は、第1の作動レバー210に伝達されず、したがって、いわゆるロストモーションとして失われる。
【0088】
この場合、切替装置110の解除要素111はガイドロッド83上で、ロッカースイッチ112の他方の先端が、解除要素111の第1の作動要素116と、ロッカースイッチが右に向かって旋回するように協働するような位置を有している。連結ヘッド118及び受容部119を介して、この動きは切替リンク機構84に伝達され、切替リンク機構84は、ピン13aを介してこの動きを遮断要素13bに伝達し、これによって、第1の連結要素11は左に向かって旋回する。
【0089】
図7では、弁作動装置100は、上面斜視図において、第1の作動レバー210を伴わずに示されている。
【0090】
当該図面から、第2の作動レバー211に対する解除要素111と、その第1の作動要素116と、第2の作動要素117と、の位置が明らかになる。
【0091】
図5及び図6を参照して既に説明したように、解除要素111は変位可能であるように、ガイドロッド83に取り付けられる。図示された実施例では、ハウジングに固定して取り付けられたガイドロッド83は、回転軸213に対して平行に方向付けられており、第1の作動レバー210及び第2の作動レバー211は、回転軸213の周りに回転可能であるように取り付けられている。この際、解除要素111は、ガイドロッド83の2つのガイド(参照符号なし)の間を移動することができる。
【0092】
図8図11は、図に示す弁作動装置100の実施例の動作形態を明らかにする図である。
【0093】
「a」を付した図面(図8a、図9a、図10a、図11a)ではそれぞれ、完全な弁作動装置100において第1の作動レバー210が配置されるであろう側からの、第1の弁レバー211の上面図が示されている。「b」を付した図面(図8b、図9b、図10b、図11b)にはそれぞれ、切替状態に対応する解除要素111の位置が示されており、「c」を付した図面(図8c、図9c、図10c、図11c)には、解除要素111の詳細が示されている。
【0094】
図4図7から既に知られているように、第2の作動レバー211は、特にガイドロッド83及び解除要素111の部材を含む切替装置110を有している。解除要素111は、第1の作動要素116と第2の作動要素117とを有しており、これらの作動要素は、ブロック要素として機能するロッカースイッチ112と協働する(ロッカースイッチ112は、図7図11では見えにくいので、参照符号を付していない)。
【0095】
さらに、第2の作動レバー211は、第1の連結要素11を備えた遮断要素13bを有しており、これらは連結装置10の部分である。これによって、第2の作動レバー211は、第1の作動レバー210と連結され得る。
【0096】
第2のピックアップ219(図示された場合においては車輪)は、第2のカム215上の弁作動運動を取り出す。
【0097】
図8aにおいて、第2のカムの位置は、カムシャフトの回転方向ゆえに、カムリフトが第2のピックアップ219にまもなく到達するような位置である。遮断要素13b又はその第1の連結要素11の位置ゆえに、弁作動運動が第1の作動レバー210に伝達される。
【0098】
図8bはさらに、切替装置110の上面図であり、切替装置110が遮断要素13bの第1の位置又はブロック位置をもたらす位置における上面図である。この際、解除要素111は、その第1の作動要素116が、ロッカースイッチ112の一方の先端と協働し、遮断要素13bが第1の位置又はブロック位置でブロックされるようにガイドロッド83上に配置されている。
【0099】
図8cは、ガイドロッド83及び解除要素111から成る全体の拡大図である。この際、解除要素111がガイドロッド83を包囲する領域、又は、解除要素111がガイドロッド83によって案内される領域が、断面図で示されている。
【0100】
これによって、解除要素111内にバネ要素93があり、バネ要素93が第1のバネストッパ98及び第2のバネストッパ99によってガイドロッド83に保持されていることが視認できる。この際、バネストッパ98、99は、ガイドロッドが動くとバネに向かって変位し得るが、バネから離れる動きは防止されるように構成されている。
【0101】
図9aでは、第2のカム215のリフトは、依然として第2のピックアップの手前にあるが、カムシャフトの回転によって、既に幾分接近している。
【0102】
この後、遮断要素13bの第1の位置又はブロック位置から第2の位置又は解放位置への切り替えが行われることになる。
【0103】
このために、図9b及び図9cにおいて斜線付き矢印で示すように、ガイドロッド83は左に向かって動かされる。これによって、ロッカースイッチ112が解除要素111の第2の作動要素117によって押し下げられる。しかし、ロッカースイッチ112はその位置を変えないので、ロッカースイッチ112の一方の先端が第1の作動要素116と接触する。ここで、図9cにおいて棒を有する斜線付き矢印で示されるように、ガイドロッド83上での解除要素111のさらなる変位が防止される。それにもかかわらず、ガイドロッド83がさらに変位すると、解除要素111のバネ要素93は、第2のバネストッパ99が第1のバネストッパ98に向かって変位することによって圧縮される。
【0104】
図10aでは、カム215のリフトは第2のピックアップ219に到達しているので、第2の作動レバー211は上に向かって旋回する。遮断要素13bがブロック位置にあるので、第1の作動レバー210(図示せず)もここで上に向かって旋回する。
【0105】
旋回によって、ロッカースイッチ112の他方の先端は、図10aにおいて破線の円で明らかであるように、第1の作動要素116を解放する。これによって、図10bにおいて、ガイドロッド83上の解除要素111は、さらに左に変位することが可能であり、これは、それ自体は弛緩したバネ要素93のプレテンションによってもたらされる。対応して、バネ要素93は図10cでは弛緩した状態で示されている。
【0106】
図11aにおいて、第2のカム215のリフトは、第2の作動レバー211がカムシャフト又はカム215の基礎円に向かって旋回するような位置まで既に旋回している。この旋回運動によって、ロッカースイッチ112の他方の先端が解除要素111の第1の作動要素116に接触し、ロッカースイッチ112は、図11aの矢印で示すように、右に向かって旋回する。これによって、遮断要素13bは、同じく図11aにおいて矢印で示すように、切替リンク機構84(視認不可能)を通じて左に旋回する。これによって、遮断要素13bは、第2の位置又は解放位置に到達する。
【0107】
対応して、ガイドロッド83を右に向かうように操作することによって、遮断要素13bの第2の位置又は解放位置から、第1の位置又はブロック位置への切替を行うことができる。図11bに示すように、解除要素111はその位置に留まり、図11cに示すように、バネ要素93は引き続き弛緩している。
【0108】
図12及び図13はそれぞれ、解除要素111の横断面図である。この際、解除要素111の第1の作動要素116及び第2の作動要素117も、バネ要素94又は95によって柔軟にプレテンションを加えられることが明らかである。これによって、ロッカースイッチ112又はブロック要素が(例えば、ブロックされているゆえに)旋回できない場合、ロッカースイッチ112と接触している各作動要素116、117が避けることが可能になる。
【0109】
これは、例えば、遮断要素13bが実際に第2の位置又は解放位置に移動すべき際に、第1の作動レバー210、特に第1の作動レバー210の第2の連結要素上でブロックされている場合に有用である。第1の作動レバー210の動きによって、第1の作動要素116に損傷をもたらし得る力が伝達され得る。
【0110】
図13では、作動要素116、117はそれぞれ、説明したような過負荷が生じた場合に取り得る、押し下げられた位置で示されている。
【0111】
図14は、弁作動装置を用いて実現し得る2つの異なる弁リフト曲線の例を示している。この際、弁の開口は、クランクシャフト角度の関数として示されている。
【0112】
弁リフト曲線IVC-480は、ミラーサイクルに属し、これまでの図面に示した弁作動装置100の実施例では、第1のカム214、したがっていわゆるミラーカムによって引き起こされる。
【0113】
内燃機関のミラー運転は、消費の点では特に最適化されているが、気筒の充填量が少なすぎるので、ミラー運転では始動できない。
【0114】
弁リフト曲線IVC-580は、別の燃焼サイクルに属しており、当該サイクルでは、弁はより長く開口し、弁リフトは、図示したミラーサイクルよりも8.7mm大きい。この弁リフト曲線IVC-580は、第2のカム215によって引き起こされる。したがって、弁リフト曲線IVC-580は、弁リフト曲線IVC-480を覆っている。
【0115】
図14に示すように、弁リフト曲線IVC-580の上昇は、弁リフト曲線IVC-480の上昇よりも時間的に後に生じる。これによって、弁作動装置100では、弁が開口する際に生じる力の大部分が、頑丈で剛性の高い第1の作動レバー210を通じて伝達されることが保証される(力の流れF)。力の約3分の1のみが、可変又は調整可能な作動レバー211に作用する。したがって、作動レバー211を、より剛性が低く、より小さな寸法、特に幅の小さい寸法で設計することが可能である。
【0116】
対応して、弁作動装置100において、第2のカム215の側面は、シャフト216の通常の動作条件における回転方向に対して、第1のカム214の側面よりも遅れて上昇する。これによって、第1の作動レバー210の作動運動は、第2の作動レバー211の作動運動とは異なる時点、好ましくはより早い時点でもたらされる。内燃機関、特にいわゆる大型エンジンは、好ましくは、運転時間の90%以上にわたってミラーサイクルで運転される。弁リフト曲線IVC-580は、好ましくは、始動の際及び一時的な滑走(惰行運転とも呼ばれる)の際にのみ使用される。
【0117】
記載された実施例は、保護範囲、適用及び構成を限定することを意図しない例に過ぎないことに留意すべきである。むしろ、上述の記載によって、少なくとも1つの実施例を実施するための指針を当業者に与えるものであり、特に、記載された構成要素の機能及び配置に関して、請求項及び請求項に等価な特徴の組み合わせから明らかになる保護範囲を離れることなく、様々な変更を行うことができる。特に、弁作動装置は、プランジャ又はロッカーレバー又は類似の装置であってもよい。さらにまた、切替装置は、特に特許文献3に示されている変型例に従って、異なる構成を有していてもよい。逆に、上記の図を参照して説明した切替装置は、代替的な連結装置、例えば特許文献3に示されているような連結装置と組み合わせて使用することもできる。この場合、切替装置は、特に切替リンク機構を介して、リンクガイド要素を作動させるであろう。
【符号の説明】
【0118】
10 連結装置
11 第1の連結要素
12 第2の連結要素
13A ピン
13B 遮断要素
83 ガイドロッド
84 切替要素、切替リンク機構
85 リンク、爪、U字形断面
89 ストッパ
93、94、95 バネ要素
96 リセット装置
97 受容部
98 第1のバネストッパ
99 第2のバネストッパ
100 弁作動装置
110 切替装置
111 解除要素
112 ブロック要素
113 切替窓
114 保護バネ
115 解除ピン
116 第1の作動要素
117 第2の作動要素
118 第1の連結要素
119 第2の連結要素
210 第1の作動レバー
211 第2の作動レバー
213 回転軸
214 第1のカム
215 第2のカム
216 シャフト
217 連結部
218 第1のピックアップ
219 第2のピックアップ
220 プッシュロッド
221 ロックナット
力伝達の第1の経路
力伝達の第2の経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】