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特表2024-506696高いヨーモードを有するハードディスクドライブジンバル設計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】高いヨーモードを有するハードディスクドライブジンバル設計
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20240206BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20240206BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B21/10 N
G11B5/60 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549023
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022016859
(87)【国際公開番号】W WO2022178171
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,484
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/673,683
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グラース、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】イー、クエン チー
(57)【要約】
トレースジンバルが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、トレースジンバルは、トレースジンバルの遠位端にある前方アウトリガと、トレースジンバルの近位端にある後方アウトリガとを含む外側ストラットを含む。前方アウトリガは、遠位前方アウトリガおよび近位前方アウトリガを含み、後方アウトリガは、遠位後方アウトリガおよび近位後方アウトリガを含む。トレースジンバルは、トレースジンバルの幅方向に延在するとともに、近位前方アウトリガを後方アウトリガに隣接させる中間ストラットと、中間ストラットをスライダタングに接続する内側ストラットとをさらに含む。内側ストラットはスロットを含み、内側ストラットおよび中間ストラットは、外側ジンバルストラットをスライダタングに隣接させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレースジンバルであって
前記トレースジンバルの遠位端にある前方アウトリガと、前記トレースジンバルの近位端にある後方アウトリガとを含む外側ストラットであって、前記前方アウトリガは遠位前方アウトリガおよび近位前方アウトリガを含み、前記後方アウトリガは遠位後方アウトリガおよび近位後方アウトリガを含む、外側ストラットと、
前記トレースジンバルの幅方向に延在するとともに、前記近位前方アウトリガを前記後方アウトリガに隣接させる中間ストラットと、
前記中間ストラットをスライダタングに接続する内側ストラットであって、スロットを含む内側ストラットと、を備え、
前記内側ストラットおよび前記中間ストラットは、前記外側ジンバルストラットを前記スライダタングに隣接させる、トレースジンバル。
【請求項2】
前記スライダタングに取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータを備え、前記内側ストラットは前記スライダタングを支持する、請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項3】
前記近位前方アウトリガは第1断面を含み、遠位前方アウトリガは第2断面を含み、前記第2断面幅の幅は前記近位前方アウトリガの前記第1断面とほぼ同じ寸法である、請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項4】
前記前方アウトリガの前記第1断面および前記第2断面は、0.05mm~0.10mmである、請求項3に記載のトレースジンバル。
【請求項5】
前記遠位後方アウトリガは第1断面を含み、前記近位後方アウトリガは前記第1断面よりも大きい第2断面を含む、請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項6】
前記遠位後方アウトリガの前記第1断面は、0.10mm~0.20mmである、請求項5に記載のトレースジンバル。
【請求項7】
前記内側ストラットは遠位端および近位端を含み、前記中間ストラットの遠位端は前記内側ストラットの前記遠位端に接続し、前記内側ストラットの前記近位端は前記スライダタングに接続する、請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項8】
前記内側ストラットは、通常、前記中間ストラットの前記遠位端から前記トレースジンバルの近位端に向かって延在することで前記スライダタングに接続する、請求項7に記載のトレースジンバル。
【請求項9】
前記スロットは前記内側ストラットの中央部分にある、請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項10】
前記スロットを含む前記中央部分の断面は、前記内側ストラットの前記近位端の断面および前記遠位端の断面よりも大きい、請求項9に記載のトレースジンバル。
【請求項11】
請求項1に記載の前記トレースジンバルを備えるサスペンション。
【請求項12】
前記内側ストラットは、前記内側ストラットの中央部分に半円特徴を有する、請求項1に記載のトレースジンバル。
【請求項13】
トレースジンバルを備えるサスペンションであって、
前記トレースジンバルは
前記トレースジンバルの遠位端にある前方アウトリガと、前記トレースジンバルの近位端にある後方アウトリガとを含む外側ストラットであって、前記前方アウトリガは遠位前方アウトリガおよび近位前方アウトリガを含み、前記後方アウトリガは遠位後方アウトリガおよび近位後方アウトリガを含む、外側ストラットと、
前記トレースジンバルの長さ方向に延在するとともに、前記近位前方アウトリガを前記後方アウトリガに隣接させる中間ストラットと、
前記中間ストラットをスライダタングに接続する内側ストラットであって、前記内側ストラットの中央部分に半円特徴を有する内側ストラットと、を備えるサスペンション。
【請求項14】
前記スライダタングに取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータをさらに備え、前記内側ストラットは前記スライダタングを支持する、請求項13に記載のサスペンション。
【請求項15】
前記近位前方アウトリガは第1断面を含み、遠位前方アウトリガは第2断面を含み、前記第2断面幅の幅は前記近位前方アウトリガの前記第1断面とほぼ同じ寸法である、請求項13に記載のサスペンション。
【請求項16】
前記遠位後方アウトリガは第1断面を含み、前記近位後方アウトリガは前記第1断面よりも大きい第2断面を含む、請求項13に記載のサスペンション。
【請求項17】
前記内側ストラットの中央部分に1つ以上のスロットをさらに備える、請求項13に記載のサスペンション。
【請求項18】
前記1つ以上のスロットは、ポリイミドおよび/または銅層によって部分的にまたは完全に覆われている、請求項17に記載のサスペンション。
【請求項19】
トレースジンバルであって、
前記トレースジンバルの遠位端にある前方アウトリガと、前記トレースジンバルの近位端にある後方アウトリガとを含む外側ストラットであって、前記前方アウトリガは遠位前方アウトリガおよび近位前方アウトリガを含み、前記後方アウトリガは遠位後方アウトリガおよび近位後方アウトリガを含む、外側ストラットと、
前記トレースジンバルの長さ方向に延在するとともに、前記近位前方アウトリガを前記後方アウトリガに隣接させる中間ストラットと、
前記中間ストラットを前記スライダタングに接続する内側ストラットであって、前記内側ストラットの中央部分に半円特徴を有する内側ストラットと、を備えるトレースジンバル。
【請求項20】
前記スライダタングに取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータを備え、前記内側ストラットは前記スライダタングを支持する、請求項19に記載のトレースジンバル。
【請求項21】
前記内側ストラットは、前記内側ストラットの中央部分に1つ以上のスロットを含む、請求項19に記載のトレースジンバル。
【請求項22】
前記1つ以上のスロットは、ポリイミドおよび/または銅層によって部分的にまたは完全に覆われている、請求項21に記載のトレースジンバル。
【請求項23】
前記近位前方アウトリガは第1断面を含み、遠位前方アウトリガは第2断面を含み、前記第2断面幅の幅は、前記近位前方アウトリガの前記第1断面とほぼ同じ寸法である、請求項19に記載のトレースジンバル。
【請求項24】
前記遠位後方アウトリガは第1断面を含み、前記近位後方アウトリガは前記第1断面よりも大きい第2断面を含む、請求項19に記載のトレースジンバル。
【請求項25】
前記スロットを含む前記中央部分の断面は、前記内側ストラットの前記近位端の断面および前記遠位端の断面よりも大きい、請求項21に記載のトレースジンバル。
【請求項26】
前記前方アウトリガの前記第1断面および前記第2断面は、0.05mm~0.10mmである、請求項23に記載のトレースジンバル。
【請求項27】
前記遠位後方アウトリガの前記第1断面は、0.10mm~0.20mmである、請求項24に記載のトレースジンバル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハードディスクドライブ用のサスペンションの分野に関する。より詳細には、本開示は、作動式サスペンション上のジンバルストラットの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
動的ディスク記憶装置では、情報を記憶するために回転ディスクが使用される。ディスク記憶装置は通常、他の構成要素のための取付け点および向きを提供するフレームと、ディスクを回転させるためにフレームに取り付けられたスピンドルモータとを含む。読取り/書込みヘッドは、ディスク表面にデータを書き込むとともに、ディスク表面からデータを読み取るためのヘッドスライダ上に形成される。ヘッドスライダは、適切なヘッドスライダ動作に必要な力および弾力性の両方を提供するサスペンションによって、ディスクに対して支持されかつ適切に向けられる。記憶装置内のディスクがヘッドスライダおよびヘッドサスペンションの下で回転すると、ディスクの上の空気も回転することでエアベアリングが生成される。エアベアリングは、ヘッドスライダの空気力学的設計と共に作用するのでヘッドスライダに対して揚力を生成する。揚力は、サスペンションのばね力に対抗されることで、ヘッドスライダを、浮上高さと呼ばれるディスク上の所望の高さおよびアラインメントに位置決めする。
【0003】
ディスクドライブ用のサスペンションは、ロードビームおよびフレクシャを含む。ロードビームは通常、サスペンションをディスクドライブのアクチュエータに取り付けるための取付領域と、剛性領域と、取付領域と剛性領域との間のばね領域とを含む。ばね領域は、上述のドライブ動作中にヘッドスライダに発生する空力的揚力に対抗するばね力を提供する。フレクシャは通常、ヘッドスライダが取り付けられるスライダ取付面を有するジンバル領域を含む。ジンバル領域は、エアベアリングによって生成される空気力学的な力に応じて、フレクシャの残りの部分に対して弾力的に移動可能である。ジンバル領域は、ヘッドスライダをピッチ方向およびロール方向に移動させることで、ディスク表面の変動に追従することができる。
【0004】
ディスクドライブ製造業者は、より小型かつより高い記憶容量のドライブを開発し続けている。記憶容量の増加は、ディスク上の情報トラックの密度を増加させることによって(すなわち、より狭いおよび/またはより密な間隔のトラックを使用することによって)部分的に達成される。しかし、トラック密度が増加するにつれて、モータおよびサーボ制御システムが読取り/書込みヘッドを所望のトラック上に迅速かつ正確に位置決めすることがますます困難になる。この状況を改善する試みとして、ヘッドサスペンション自体に取り付けられた圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータまたは微細トラッキングモータ等の、別のまたは二次的なアクチュエータが設けられてきた。これらの種類のアクチュエータは、デュアルステージマイクロアクチュエーション装置としても知られており、ベースプレート、ロードビーム、またはフレクシャ上に配置され得る。
【0005】
トラッキングおよびヘッドスライダ位置決め制御を改善しようとするこれらの試みの一部では、アクチュエータがベースプレートおよびフレクシャタングの両方に同時に配置されてきた。一般的には、このタイプのサスペンションは、読取り/書込みヘッドの大きな動きのためにベースプレート領域に配置されたボイスコイルおよびアクチュエータを使用する一方で、ディスクドライブのトラック上で読取り/書込みヘッドを位置決めするために所望の微細な動きのためにフレクシャタング上に配置されたアクチュエータを使用する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書ではトレースジンバルが記載される。本開示のいくつかの実施形態によれば、トレースジンバルは、トレースジンバルの遠位端にある前方アウトリガと、トレースジンバルの近位端にある後方アウトリガとを含む外側ストラットを含む。前方アウトリガは、遠位前方アウトリガおよび近位前方アウトリガを含み、後方アウトリガは、遠位後方アウトリガおよび近位後方アウトリガを含む。トレースジンバルは、トレースジンバルの幅方向に延在するとともに、近位前方アウトリガを後方アウトリガに隣接させる中間ストラットと、中間ストラットをスライダタングに接続する内側ストラットとをさらに含む。内側ストラットはスロットを含み、内側ストラットおよび中間ストラットは、外側ジンバルストラットをスライダタングに隣接させる。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、トレースジンバルは、スライダタングに取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータをさらに備え、内側ストラットはスライダタングを支持する。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態によれば、近位前方アウトリガは第1断面を含み、遠位前方アウトリガは第2断面を含み、第2断面幅の幅は近位前方アウトリガの第1断面とほぼ同じ寸法である。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態によれば、前方アウトリガの第1断面および第2断面は、0.05mm~0.10mmである。
本開示のいくつかの実施形態によれば、遠位後方アウトリガは第1断面を含み、近位後方アウトリガは第1断面よりも大きい第2断面を含む。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態によれば、遠位後方アウトリガの第1断面は、0.10mm~0.20mmである。
本開示のいくつかの実施形態によれば、内側ストラットは遠位端および近位端を含み、中間ストラットの遠位端は内側ストラットの遠位端に接続し、内側ストラットの近位端はスライダタングに接続する。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、内側ストラットは、通常、中間ストラットの遠位端からトレースジンバルの近位端に向かって延在することでスライダタングに接続する。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態によれば、スロットは内側ストラットの中央部分にある。
本開示のいくつかの実施形態によれば、スロットを含む中央部分の断面は、内側ストラットの近位端の断面および遠位端の断面よりも大きい。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態によるトレースジンバルを備えるサスペンションも提供される。
本開示のいくつかの実施形態によれば、トレースジンバルは、スライダタングに取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータをさらに備え、内側ストラットはスライダタングを支持する。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態によれば、近位前方アウトリガは第1断面を含み、遠位前方アウトリガは第2断面を含み、第2断面幅の幅は近位前方アウトリガの第1断面とほぼ同じ寸法である。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態によれば、前方アウトリガの第1断面および第2断面は、0.05mm~0.10mmである。
本開示のいくつかの実施形態によれば、遠位後方アウトリガは第1断面を含み、近位後方アウトリガは第1断面よりも大きい第2断面を含む。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態によれば、遠位後方アウトリガの第1断面は、0.10mm~0.20mmである。
本開示のいくつかの実施形態によれば、内側ストラットは遠位端および近位端を含み、中間ストラットの遠位端は内側ストラットの遠位端に接続し、内側ストラットの近位端はスライダタングに接続する。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態によれば、内側ストラットは、通常、中間ストラットの遠位端からトレースジンバルの近位端に向かって延在することでスライダタングに接続する。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態によれば、スロットは内側ストラットの中央部分にある。
本開示のいくつかの実施形態によれば、スロットを含む中央部分の断面は、内側ストラットの近位端の断面および遠位端の断面よりも大きい。
【0019】
複数の実施例が開示されたが、本開示のさらに別の実施例が、本開示の例示的な実施例を示しつつ説明する、以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的には例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0020】
本開示の上記および他の利点および特徴が取得され得る方法を説明するために、上記で説明した原理のより詳細な説明が、添付の図面に示された特定の例を参照することによって与えられる。これらの図面は、本開示の例示的な態様を示すに過ぎないので、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。原理は、以下の図面を使用して、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示のいくつかの実施形態によるサスペンションのジンバルアセンブリを示す図。
図2】本開示のいくつかの実施形態によるサスペンションの第2のジンバルステンレス鋼層を示す図。
図3】(a)は、本開示のいくつかの実施形態によるサスペンションのジンバルアセンブリの内側ストラットにおけるスロットの拡大図、(b)は、本開示のいくつかの実施形態によるサスペンションのジンバルアセンブリの内側ストラット内の別の例示的なスロットの拡大図。
図4】ベースライン内側ストラットを有するジンバルと、剛性の高い内側ストラットおよび後方アウトリガを有するジンバルとのヨー周波数およびロール剛性の比較を示す図。
図5】剛性の高い内側ストラットおよび後方アウトリガを有するジンバルと、本開示のいくつかの実施形態によるジンバルとのヨー周波数およびロール剛性の比較を示す図。
図6】本開示の追加の実施形態によるサスペンションのジンバルアセンブリを示す図。
図7】本開示のさらなる実施形態によるサスペンションのジンバルアセンブリを示す図。
図8】本開示のさらに別の実施形態によるサスペンションのジンバルアセンブリを示す図。
図9】本開示の追加の実施形態による、幅の広い内側ストラットを有するジンバルのヨー周波数およびロール剛性の比較を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
改善されたトレースジンバルが本明細書に記載される。本開示のいくつかの実施形態による改善されたトレースジンバルは、磁気ディスクドライブユニット用のサスペンションの一部である。ディスクドライブユニットは、ディスクドライブ上に記憶されたデータを構成する磁気的な1と0のパターンを有する、回転磁気ディスクを含む。磁気ディスクは駆動モータによって駆動される。いくつかの実施形態によるディスクドライブユニットは、ロードビーム、ベースプレート、およびトレースジンバルを有するサスペンションを含み、サスペンションに対して磁気ヘッドスライダがトレースジンバルの遠位端近くに取り付けられる。サスペンションまたはロードビームの近位端は、支持される端、つまりアクチュエータアームにスエージ加工またはその他の方法で取り付けられた、ベースプレートに最も近い端である。サスペンションまたはロードビームの遠位端は、近位端の反対側の端、つまり遠位端は片持ち端である。
【0023】
トレースジンバルはベースプレートに結合され、ベースプレートはボイスコイルモータに結合される。ボイスコイルモータは、磁気ディスクの正しいデータトラック上にヘッドスライダを位置決めするためにサスペンションを円弧状に動かすよう構成されている。ヘッドスライダは、回転磁気ディスク上の適切なデータトラックに追従するようスライダをピッチおよびロール可能にするジンバル上に担持されているので、性能を低下させることなくそのような変動に対応できる。変動は通常、ディスクの振動、衝突などの慣性イベント、およびディスク表面の凹凸を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のトレースジンバルは、DSA(デュアルステージアクチュエーション)サスペンションの一部である。DSAサスペンションは、ベースプレートおよびロードビームを含んでよい。ロードビームはトレースジンバルを含む。トレースジンバルは、取り付けられたアクチュエータ及びジンバルアセンブリを含んでよい。アクチュエータは、読取り/書込みヘッドスライダを含むよう構成されたDSAサスペンションのジンバルアセンブリに直接的に作用するよう動作可能である。
【0025】
いくつかの実施形態では、トレースジンバルは、アクチュエータを受承するよう構成された1つ以上のアクチュエータジョイントを含んでよい。トレースジンバルは、いくつかの実施形態によれば、トレースジンバルの両側に位置する2つのアクチュエータジョイントを含む。各アクチュエータジョイントは、アクチュエータ取付シェルフを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、各アクチュエータは、アクチュエータジョイントにおける各々の隙間にまたがっている。アクチュエータは、接着剤によってスライダタングに固定されている。接着剤は、アクチュエータの各端部に適切に塗布された導電性または非導電性エポキシを含んでよい。アクチュエータからトレースジンバルに対して、様々な技術により正負の電気接続が可能である。作動したアクチュエータは伸縮することで、サスペンションの遠位端に取り付けられた読取り/書込みヘッドを移動させるので、取付端間の隙間の長さが変化する。
【0027】
いくつかの実施形態では、サスペンションは、1段作動サスペンション、2段作動装置、3段作動装置、または他の構成として構成されてよい。いくつかの実施形態では、3段作動サスペンションは、マウントプレート領域およびトレースジンバル上に各々配置されたアクチュエータを含む。アクチュエータの任意の変更が、本明細書で開示される実施例のサスペンションに組み込まれてよい。言い換えれば、サスペンションは、本開示の範囲から逸脱することなく、示されるものよりも多いまたは少ない構成要素を含んでよい。しかしながら、示される構成要素は、開示される原理を実施するための例示的な実施例を開示するのに十分である。
【0028】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるトレースジンバル100を示す。トレースジンバル100は、スライダタング130に取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータ450を含む。トレースジンバル100は、外側ジンバルストラットを含む。外側ジンバルストラットは、トレースジンバル100の遠位端に前方アウトリガ110を含む。いくつかの実施形態では、前方アウトリガは、近位前方アウトリガ114および遠位前方アウトリガ112を含む。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ112および近位前方アウトリガ114は、前方アウトリガ110の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ112および近位前方アウトリガ114は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に別個ではない線形特徴において隣接してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、外側ストラットはまた、トレースジンバル100の近位端に後方アウトリガ140を含む。いくつかの実施形態では、後方アウトリガ140は、近位後方アウトリガ144および遠位後方アウトリガ142を含む。いくつかの実施形態では、トレースジンバル100の長さ方向は、トレースジンバル100の近位端から遠位端に延びる方向として定義される。
【0030】
いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ142および近位後方アウトリガ144は、後方アウトリガ140の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ142および近位後方アウトリガ144は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に分離されない線形特徴において隣接してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、トレースジンバル100はまた、トレースジンバル100の幅方向(いくつかの実施形態では実質的にトレースジンバル100の長さ方向に直交する方向)に延在するとともに、前方アウトリガ110を後方アウトリガ140に接続する中間ストラット120を含む。換言すれば、前方アウトリガ110および後方アウトリガ140は、中間ストラット120の近位端で隣接する。
【0032】
いくつかの実施形態では、トレースジンバル100はまた、スライダタング130から延在するとともに、中間ストラット120をスライダタング130に接続する内側ストラット150を含む。内側ストラット150(および中間ストラット120)は、読取り/書込みヘッドが組み立てられるスライダタング130を支持する。いくつかの実施形態では、内側ストラット150は、遠位端152および近位端154を含む。いくつかの実施形態では、中間ストラット120の遠位端は、内側ストラット150の遠位端152に接続し、内側ストラット150の近位端154は、スライダタング130に接続する。いくつかの実施形態では、内側ストラット150は、通常、中間ストラット120の遠位端からトレースジンバル100の近位端に向かって延在することでスライダタング130に接続する。
【0033】
いくつかの実施形態では、内側ストラット150はスロット156を含む。いくつかの実施形態では、スロット156は内側ストラット150の中央部分にある。換言すれば、スロット156は、内側ストラット150の近位端154と遠位端152との間に配置される。いくつかの実施形態では、スロット156を含む中央部分の断面は、内側ストラット150の近位端154および遠位端152の断面よりも大きい。いくつかの実施形態では、スロット156を含む中央部分の断面の幅は、近位前方アウトリガ114、遠位前方アウトリガ112、および中間ストラット120の断面の幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、前方アウトリガの第1断面および第2断面は、0.05mm~0.10mmである。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガの第1断面は、0.10mm~0.20mmである。
【0034】
いくつかの実施形態では、スロット156は、内側ストラット150の近位端154と遠位端152との間に延在する楕円形状を有する。しかしながら、スロット156は、2つ以上の開口を含むとともに、他の形状およびサイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、スロット156は対称の形状を有さない。例えば、スロット156は、B字状を有してよい。いくつかの実施形態では、スロット156は、内側ストラット150上に非対称に位置してよい。いくつかの実施形態では、スロット156は、異なるサイズおよび形状の複数の穴を含んでよいので、必ずしも丸い形状とは限らない。
【0035】
図3(a)に示すように、いくつかの実施形態によれば、スロット156は、ポリイミドおよび/またはCu層170によって部分的に覆われる。しかしながら、いくつかの実施形態では、図3(b)に示される例示的な構造のように、スロット156は、共振改善のためにポリイミドおよび/またはCu層170によって完全に覆われてもよい。
【0036】
特定の理論に束縛されることなく、内側ストラット150におけるスロット156は、内側ストラット150が面内曲げに対して比較的剛性であり続けることを可能にするとともに、高いヨー周波数を維持することで、当技術分野で知られている現在のサスペンションよりも改善された性能を提供することができる。スロット156はまた、内側ストラット150のねじり剛性が低下することを可能にするので、ジンバルロール剛性も低下し得る。
【0037】
図4および図5に示すように、ベースラインジンバルは、0.81μNm/degのロール剛性および55.2kHzのヨー周波数を示す。スロットのないより剛性の高い内側ストラット(およびより剛性の高い後方アウトリガ)を有するジンバルは、ベースラインジンバルに対して61.7kHzの高いヨー周波数を示すが、ロール剛性は0.86μNm/degと高くなる。一方、本開示のいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載のジンバル100のロール剛性は、より剛性の高い内側ストラット(スロットなし)を有するジンバルに対して有利に低下することが可能な一方で、ヨー周波数を、より剛性の高い内側ストラット(スロットなし)を有するジンバルと同様の値に維持することが可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるジンバル100のロール剛性は、0.86μNm/degから0.82μNm/degに低下することが可能な一方で、ヨー周波数は、より剛性の高い内側ストラット(スロットなし)を有するジンバルに対して61.7kHzに維持される。
【0038】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、サスペンションのトレースジンバル200の別の例示的なジンバルステンレス鋼層を示す。
トレースジンバル200は外側ジンバルストラットを含む。外側ストラットは、トレースジンバル200の遠位端に前方アウトリガ210を含む。いくつかの実施形態では、前方アウトリガは、近位前方アウトリガ214および遠位前方アウトリガ212を含む。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ212および近位前方アウトリガ214は、前方アウトリガ210の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ212および近位前方アウトリガ214は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に別個ではない線形特徴において隣接してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、外側ストラットはまた、トレースジンバル200の近位端に後方アウトリガ240を含む。いくつかの実施形態では、後方アウトリガ240は、近位後方アウトリガ244および遠位後方アウトリガ242を含む。いくつかの実施形態では、トレースジンバル200の長さ方向は、トレースジンバル200の近位端から遠位端に延びる方向として定義される。
【0040】
いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ242および近位後方アウトリガ244は、後方アウトリガ240の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ242および近位後方アウトリガ244は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に分離されない線形特徴において隣接してもよい。いくつかの実施形態では、前方アウトリガの第1断面および第2断面は、0.05mm~0.10mmである。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガの第1断面は、0.10mm~0.20mmである。
【0041】
いくつかの実施形態では、トレースジンバル200はまた、トレースジンバル200の幅方向(いくつかの実施形態では実質的にトレースジンバル200の長さ方向に直交する方向)に延在するとともに、前方アウトリガ210を後方アウトリガ240に接続する中間ストラット220を含む。換言すれば、前方アウトリガ210および後方アウトリガ240は、中間ストラット220の近位端で隣接する。いくつかの実施形態では、中間ストラット220の断面は、近位後方アウトリガ244の断面よりも小さい。
【0042】
いくつかの実施形態では、トレースジンバル200はまた、スライダタング230から延在するとともに、中間ストラット220をスライダタング130に接続する内側ストラット250を含む。内側ストラット250(および中間ストラット220)は、読取り/書込みヘッドが組み立てられるスライダタング230を支持する。いくつかの実施形態では、内側ストラット250は、遠位端252および近位端254を含む。いくつかの実施形態では、中間ストラット220の遠位端は、内側ストラット250の遠位端252に接続し、内側ストラット250の近位端254は、スライダタング230に接続する。いくつかの実施形態では、内側ストラット250は、通常、中間ストラット220の遠位端からトレースジンバル200の近位端に向かって延在することでスライダタング230に接続する。
【0043】
いくつかの実施形態では、内側ストラット250はスロット256を含む。いくつかの実施形態では、スロット256は内側ストラット250の中央部分にある。換言すれば、スロット256は、内側ストラット250の近位端254と遠位端252との間に配置される。いくつかの実施形態では、スロット256を含む中央部分の断面は、内側ストラット250の近位端254および遠位端252の断面よりも大きい。いくつかの実施形態では、スロット256を含む中央部分の断面の幅は、近位前方アウトリガ214、遠位前方アウトリガ212、および中間ストラット220の断面の幅よりも大きい。
【0044】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、スロット256は2つの開口を含む。いくつかの実施形態では、2つの開口を有するスロット256は、通常、8またはB字状を有してよい。しかしながら、図1を参照して上記したように、いくつかの実施形態では、スロット156は、内側ストラット150の近位端152と遠位端152との間に延在する楕円形状を有する。さらに、いくつかの実施形態では、スロットは、1つ、2つ、またはそれより多い開口を含んでよく、開口は、種々な形状およびサイズを有してよい。いくつかの実施形態では、スロットは対称の形状を有さない。いくつかの実施形態では、スロットは、内側ストラット上に非対称に位置してよい。いくつかの実施形態では、スロットは、異なるサイズおよび形状の複数の穴を含んでよいので、必ずしも丸い形状とは限らない。
【0045】
いくつかの実施形態では、スロット256は、本明細書に記載され図3(a)に示されるものと同様のポリイミドおよび/またはCu層によって部分的に覆われる。しかしながら、いくつかの実施形態では、図3(b)に示される例示的な構造のように、スロット256は、共振改善のためにポリイミドおよび/またはCu層によって完全に覆われてもよい。
【0046】
特定の理論に束縛されることなく、内側ストラット250におけるスロット256は、内側ストラット250が面内曲げに対して比較的剛性であり続けることを可能にするとともに、高いヨー周波数を維持することができる。スロット256はまた、内側ストラット250のねじり剛性が低下することを可能にするので、ジンバルロール剛性も低下し得る。
【0047】
図6は、uFemtoとして一般に知られているより小さいスライダフォームファクタを使用する、本開示の追加の実施形態によるサスペンションのジンバルアセンブリを示す。一般に、スライダ質量が小さいほど、ヨー周波数は高くなる。この実施形態では、中間ストラットが短縮されるとともに、より大きな径領域を有するアウトリガに接続され、また内側ストラットの幅が広げられることで、ベースラインと比較してヨー周波数が増加する。具体的には、図6は、本開示のいくつかの実施形態によるトレースジンバル600を示す。トレースジンバル600は、スライダタング630に取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータ450を含む。トレースジンバル600は、外側ジンバルストラットを含む。外側ジンバルストラットは、トレースジンバル600の遠位端に前方アウトリガ610を含む。いくつかの実施形態では、前方アウトリガは、近位前方アウトリガ614および遠位前方アウトリガ612を含む。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ612および近位前方アウトリガ614は、前方アウトリガ610の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ612および近位前方アウトリガ614は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に別個ではない線形特徴において隣接してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、外側ストラットはまた、トレースジンバル600の近位端に後方アウトリガ640を含む。いくつかの実施形態では、後方アウトリガ640は、近位後方アウトリガ644および遠位後方アウトリガ642を含む。いくつかの実施形態では、トレースジンバル600の長さ方向は、トレースジンバル600の近位端から遠位端に延びる方向として定義される。
【0049】
いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ642および近位後方アウトリガ644は、後方アウトリガ640の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ642および近位後方アウトリガ644は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に分離されない線形特徴において隣接してもよい。
【0050】
この実施形態では、トレースジンバル600は、前方アウトリガ610を後方アウトリガ640に接続するための、より短い中間ストラット620と、より幅の広い内側ストラット650とを有する。中間ストラットのアウトリガへの接続部は、より大きな半径を有するので、より剛性の高い接合部となる。
【0051】
内側ストラット650は、スライダタング630から延在するとともに、外側ストラットをスライダタング630に接続する。内側ストラット650は、読取り/書込みヘッドが組み立てられるスライダタング630を支持する。いくつかの実施形態では、内側ストラット650は、遠位端652および近位端654を含む。いくつかの実施形態では、内側ストラット652の遠位端は、中間ストラット620に接続し、内側ストラット654の近位端は、スライダタング630に接続する。換言すれば、前方アウトリガ610および後方アウトリガ640は、短い中間ストラット620の近位端で隣接する。
【0052】
いくつかの実施形態では、内側ストラット650は、1つ以上のスロット656を含む。いくつかの実施形態では、スロット656は内側ストラット650の中央部分にある。換言すれば、スロット656は、内側ストラット650の近位端654と遠位端652との間に配置される。いくつかの実施形態では、スロット656を含む中央部分の断面は、内側ストラット650の近位端652および遠位端652の断面よりも大きい。
【0053】
いくつかの実施形態では、スロット656を含む中央部分の断面の幅は、近位前方アウトリガ614および遠位前方アウトリガ612の断面の幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、前方アウトリガの第1断面および第2断面は、0.05mm~0.10mmである。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガの第1断面は、0.10mm~0.20mmである。
【0054】
いくつかの実施形態では、スロット656は、内側ストラット650の近位端652と遠位端652との間に延在する楕円形状を有する。加えて、スロット656は、2つ以上の開口を含むとともに、他の形状およびサイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、スロット656は対称の形状を有さない。例えば、スロット656は、B字状を有してよい。いくつかの実施形態では、スロット656は、内側ストラット650上に非対称に位置してよい。いくつかの実施形態では、スロット656は、異なるサイズおよび形状の複数の穴を含んでよいので、必ずしも丸い形状とは限らない。
【0055】
先に説明した実施形態と同様に、スロット656は、図3(a)および図3(b)に示すように、共振改善のために、ポリイミドおよび/またはCu層170によって部分的に覆われてもよく、またはポリイミドおよび/またはCu層170によって完全に覆われてもよい。
【0056】
図7は、本開示の別の実施形態によるサスペンションのジンバルアセンブリを示す。この実施形態では、以下に説明するように、中間ストラットは内側ストラットにほぼ平行であり、内側ストラットは幅が広げられるとともに、中央領域に半円形状特徴を含むがスロットを含まない。この実施形態は、より小さいuFemtoスライダフォームファクタを同様に使用するベースラインと比較してヨー周波数を増加させる。
【0057】
具体的には、図7は、本開示のいくつかの実施形態によるトレースジンバル700を示す。トレースジンバル700は、スライダタング730に取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータ450を含む。トレースジンバル700は、外側ジンバルストラットを含む。外側ジンバルストラットは、トレースジンバル700の遠位端に前方アウトリガ710を含む。いくつかの実施形態では、前方アウトリガは、近位前方アウトリガ714および遠位前方アウトリガ712を含む。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ712および近位前方アウトリガ714は、前方アウトリガ710の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ712および近位前方アウトリガ714は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に別個ではない線形特徴において隣接してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、外側ストラットはまた、トレースジンバル700の近位端に後方アウトリガ740を含む。いくつかの実施形態では、後方アウトリガ740は、近位後方アウトリガ744および遠位後方アウトリガ742を含む。いくつかの実施形態では、トレースジンバル700の長さ方向は、トレースジンバル700の近位端から遠位端に延びる方向として定義される。
【0059】
いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ742および近位後方アウトリガ744は、後方アウトリガ740の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ742および近位後方アウトリガ744は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に分離されない線形特徴において隣接してもよい。
【0060】
この実施形態では、トレースジンバル700は、アウトリガおよび内側ストラットと大部分が平行であるとともに、両端のU字特徴でアウトリガおよび内側ストラットの両方に接続された中間ストラット755を有する。
【0061】
内側ストラット750は、スライダタング730から延在するとともに、中間ストラット755をスライダタング730に接続する。内側ストラット750は、読取り/書込みヘッドが組み立てられるスライダタング730を支持する。いくつかの実施形態では、内側ストラット750は、遠位端752、半円形状特徴757を有する中心領域、および近位端754を含む。半円形状特徴757は、より多くの回路層と重複するとともに、タングにより多くの剛性を与えることで、ヨー周波数を増加させる。
【0062】
図8は、スロットが内側ストラットに設けられている、図7に示すトレースジンバルの代替的な実施形態を示す。1つまたは複数のスロットを追加することによって、より幅の広いストラットおよび他の特徴が、ロール剛性を増加させることなく、サスペンションのより高いヨーを達成するために使用されてよい。
【0063】
具体的には、図8は、本開示のいくつかの実施形態によるトレースジンバル800を示す。トレースジンバル800は、スライダタング830に取り付けられた1つ以上のマイクロアクチュエータ450を含む。トレースジンバル800は、外側ジンバルストラットを含む。外側ジンバルストラットは、トレースジンバル800の遠位端に前方アウトリガ810を含む。いくつかの実施形態では、前方アウトリガは、近位前方アウトリガ814および遠位前方アウトリガ812を含む。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ812および近位前方アウトリガ814は、前方アウトリガ810の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位前方アウトリガ812および近位前方アウトリガ814は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に別個ではない線形特徴において隣接してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、外側ストラットはまた、トレースジンバル800の近位端に後方アウトリガ840を含む。いくつかの実施形態では、後方アウトリガ840は、近位後方アウトリガ844および遠位後方アウトリガ842を含む。いくつかの実施形態では、トレースジンバル800の長さ方向は、トレースジンバル800の近位端から遠位端に延びる方向として定義される。
【0065】
いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ842および近位後方アウトリガ844は、後方アウトリガ840の屈曲または非線形特徴によって画定される。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガ842および近位後方アウトリガ844は、区別不能であるとともに、2つの特徴が物理的に分離されない線形特徴において隣接してもよい。
【0066】
この実施形態では、トレースジンバル800は、アウトリガおよび内側ストラットに大部分が平行であるとともに、両端のU字特徴でアウトリガおよび内側ストラットの両方に接続された中間ストラット855を有する。
【0067】
内側ストラット850は、スライダタング830から延在するとともに、中間ストラット855をスライダタング830に接続する。内側ストラット850は、読取り/書込みヘッドが組み立てられるスライダタング830を支持する。いくつかの実施形態では、内側ストラット850は、遠位端852、半円形状特徴857を有する中心領域、および近位端854を含む。半円形状特徴857は、より多くの回路層と重複するとともに、タングにより多くの剛性を与えることで、ヨー周波数を増加させる。
【0068】
いくつかの実施形態では、内側ストラット850は、1つ以上のスロット856を含む。いくつかの実施形態では、スロット856は内側ストラット850の中央部分にある。換言すれば、スロット856は、内側ストラット850の近位端854と遠位端852との間に配置される。いくつかの実施形態では、スロット856を含む中央部分の断面は、内側ストラット850の近位端852および遠位端852の断面よりも大きい。いくつかの実施形態では、スロット856を含む中央部分の断面の幅は、近位前方アウトリガ814および遠位前方アウトリガ812の断面の幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、前方アウトリガの第1断面および第2断面は、0.05mm~0.10mmである。いくつかの実施形態では、遠位後方アウトリガの第1断面は、0.10mm~0.20mmである。いくつかの実施形態では、スロット856は、内側ストラット850の近位端852と遠位端852との間に延在する楕円形状を有する。加えて、スロット856は、2つ以上の開口を含むとともに、他の形状およびサイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、スロット856は対称の形状を有さない。例えば、スロット856は、B字状を有してもよい。いくつかの実施形態では、スロット856は、内側ストラット850上に非対称に位置してよい。いくつかの実施形態では、スロット856は、異なるサイズおよび形状の複数の穴を含んでよいので、必ずしも丸い形状とは限らない。
【0069】
先に説明した実施形態と同様に、スロット856は、図3(a)および図3(b)に示すように、共振改善のために、ポリイミドおよび/またはCu層170によって部分的に覆われてもよく、またはポリイミドおよび/またはCu層170によって完全に覆われてもよい。
【0070】
図9は、本開示の追加の実施形態による、より幅の広い内側ストラットを有するジンバルのヨー周波数とロール剛性との比較を示す。図9における全ての比較では、小型uFemtoスライダフォームファクタを使用する。この例に示されるように、ベースラインジンバルは、0.66μNm/degのロール剛性および62.4kHzのヨー周波数を示す。本明細書に記載された図6に示す実施形態と比較すると、中間ストラットを短縮するとともに、内側ストラットの幅を広げることで、ベースラインと比較してヨー周波数が増加することが示される。本明細書に記載された図7および図8に示す実施形態と比較すると、回路のより多くの面積に重複する半円形特徴を追加することで、ベースラインと比較してヨー周波数が増加することが示される。さらに、ロール剛性は大幅には増加せず、その結果、設計が改善される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたジンバル600、700、800のロール剛性は、0.71μNm/deg~0.72μNm/degに維持されるが、ヨー周波数は、ベースラインジンバルに対して67.8~76.8kHzに増加する。
【0071】
複数の実施例が開示されたが、本開示の範囲内のさらに別の実施例が、例示的な実施例を示しつつ説明する、本明細書に記載された詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的には例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。様々な実施例の特徴および変更が、本明細書で論じられるとともに、図面に示された。複数の実施例が開示されたが、本開示のさらに別の実施例が、本開示の例示的な実施例を示しつつ説明する、以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的には例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】