(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】喫煙物品のしるしを識別する光学検知システムを含む電動喫煙装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20240206BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240206BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240206BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240206BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/20
A24F40/40
A24F40/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549029
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2022054072
(87)【国際公開番号】W WO2022179946
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】デバーグ,パトリック
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC01
4B162AC12
4B162AC22
4B162AD08
4B162AD20
(57)【要約】
本発明は、消耗品(1)を受けるように構成された電動喫煙装置(2)であって、消耗品(1)を少なくとも部分的に受ける、キャビティ軸を画定するキャビティ(200)を有する筐体と、消耗品(1)上のしるし(10)を検出する光学検知システム(5)であって、光学検知システム(5)は少なくとも1つのピンホール(20)及び画像検出器(30)を備え、ピンホール(20)は、画像検出器(30)により検出可能な画像を像平面上に形成できるようにする、光学検知システム(5)とを備える電動喫煙装置を提供する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品(1)を受けるように構成された電動喫煙装置(2)であって、
前記消耗品(1)を少なくとも部分的に受ける、キャビティ軸(X)を画定するキャビティ(200)を有する筐体と、
前記消耗品(1)上のしるし(10)を検出する光学検知システム(5)であって、前記光学検知システム(5)は少なくとも1つのピンホール(20)及び画像検出器(30)を備え、前記ピンホール(20)は、前記画像検出器(30)により検出可能な画像を像平面上に形成できるようにする、光学検知システム(5)と、
を備える喫煙装置。
【請求項2】
好ましくは、前記消耗品(1)に面する側で前記ピンホール(20)の近くに位置する光源を更に備える請求項1に記載の喫煙装置。
【請求項3】
互いに概ね対向して位置する少なくとも2つのピンホール(20)が、前記消耗品(1)上の前記しるし(10)を前記光学検知システム(5)により前記少なくとも2つのピンホール(20)を通して検出することができるように、前記喫煙装置(2)に提供される、請求項1又は2に記載の喫煙装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つのピンホール(20)は、異なる軸方向位置及び/又は長手方向位置に提供される、請求項3に記載の喫煙装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つのピンホール(20)は、同じ軸方向位置又は長手方向位置に提供される、請求項3に記載の喫煙装置。
【請求項6】
ピンホール(20)のアレイが前記キャビティ軸に平行して提供される、請求項1~5のいずれか1項に記載の喫煙装置。
【請求項7】
前記画像検出器(30)により検出可能な、前記像平面に提供される前記画像は、少なくとも部分的に重複するか、又は重複しない、請求項6に記載の喫煙装置。
【請求項8】
ピンホール(20)のアレイが前記キャビティ軸に平行して提供され、前記ピンホール(20)のアレイは1つ又は複数のスリットを形成して、スリットの長さに直交する平面に画像を提供する、請求項1~7のいずれか1項に記載の喫煙装置。
【請求項9】
1つ又は複数の光学要素が、前記ピンホール(20)と前記像平面との間に提供される、請求項1~8のいずれか1項に記載の喫煙装置。
【請求項10】
前記1つ又は複数のフィールドレンズ(300)が前記光学検知システム(5)に提供されて、拡大視野を提供し、前記1つ又は複数のフィールドレンズ(300)は好ましくは前記ピンホール(20)と前記画像検出器(30)との間に提供される、請求項1~9のいずれか1項に記載の喫煙装置。
【請求項11】
前記光学検知システム(5)は、照明目的で光源を提供する一体型ヒータを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の喫煙装置。
【請求項12】
前記ピンホールのサイズは調整可能であり、サイズ可変ピンホールを形成する、請求項1~11のいずれか1項に記載の喫煙装置。
【請求項13】
前記ピンホールの前記サイズは、各々が半円形アパーチャを有する電磁気ブレード、静電気ブレード、又は2枚のMEMSブレードを通して調整可能である、請求項12に記載の喫煙装置。
【請求項14】
前記ピンホールは、前記キャビティ(200)内で長手方向に摺動可能なリングに配置される、請求項1~13のいずれか1項に記載の喫煙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコの分野に関し、詳細には、再構成タバコ及びエアロゾル発生物品に関する。本発明は更に、喫煙装置及び/又はエアロゾル発生装置、特に電気加熱式エアロゾル発生システム又は電気加熱式eリキッドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアロゾル発生消耗物品をベースにした電子シガレット装置の人気が高まっている。主に、液体気化装置及び加熱式タバコ又は植物由来の基体の装置の2つのタイプがある。加熱式タバコ装置は、「加熱非燃焼式」(HNB)システムと称される。HNBシステムは、エアロゾル形成剤、香味料、及び多くの場合ニコチンを含む液体組成物を加熱して吸入可能なエアロゾルを届ける液体気化式タバコと比較して、より本格的なタバコ香味を提供する。HNBシステムは、加熱中に蒸発するとともに、タバコ材料からニコチン及びフレーバー成分を抽出する蒸気を作り出すエアロゾル形成物質(グリセリン及び/又はプロピレングリコール等)を含むタバコ材料を加熱する。タバコ物質は通常、従来のタバコの通常の燃焼温度よりも低い200~400℃に加熱される。吸入装置は、典型的には、ロッド形状の消耗物品を受けるように構成し得る手持ち式である。
【0003】
エアロゾル発生物品の不正取引は、それが標準的なタバコ、eリキッド、又はHNB物品であっても、模倣物品は特に品質が劣悪な場合があるか、又はeリキッド又はHNB消耗物品であれば所定の喫煙システムに適していない恐れがあるため、問題である。エアロゾル発生消耗物品が真正であるかどうかを識別するために、物品に関する情報を含む符号又は同等のマーキングが、認証装置を用いて使用中又は使用前に検出されるように物品の外面に配置され得る。認証が否定の場合、併用される吸入装置の作動を阻止することが可能である。したがって、しるしは、理想的な温度範囲、又は時間の関数における加熱プロファイル、或いは喫煙者に異なる喫煙の風味若しくは強さを提供することを可能にするパラメータ等の、吸入装置によって用いられるべき特定のパラメータの情報も含んでいる可能性があることが望ましい。HNB物品等の消耗物品上の符号の正確な認証を提供するには、適切な物品が拒否されないように、認識確率を極めて高くしなければならない。
【0004】
認証可能なエアロゾル発生物品を提供するための様々な試みが先行技術において既に提案されている。例えば、米国特許出願公開第20190008206A1号明細書は、外面上にしるしを備える喫煙物品を開示しており、しるしは、1次元又は2次元バーコードであってもよいパターンの形態であってもよい。しるしは、より小さいサイズの点として印刷することにより生成される異なる階調レベルを含む。そのようなしるしは、検出可能及び再現可能であることができ、低密度の情報のみを含むことができ、そうでなければ許容できないほど大きな大きさで提供されなければならない。それにも関わらず、米国特許出願公開第20190008206A1号明細書で提案されている光学検知機構は、しるしを読み取るために画像化レンズ又はミラーを必要とする。
【0005】
従来技術から、マーカー要素が物品の周囲に延在するように、物品に関連するパラメータを示すマーカー配置又はしるしを備える喫煙物品も既知である。更に、エアロゾルを発生させるための装置のチャンバ内部に受け入れられる物品のしるしを読み取るよう構成された光学センサ配置。光学センサは、中空管内に位置していてもよく、物品と接触していてもよく、又はより広い視野を提供するよう物品に対して後退可能であってもよい。多くの場合、消耗品のしるしを検出するために複雑なセンサ配置を必要とする。例えば、レンズ、ミラー、又はセンサは画像検出システムに設けられることから、埃又は灰がセンサに到達しセンサの視野を遮蔽しないように、カバーシステムをセンサとチャンバとの間に設ける必要がある。
【0006】
しるしの画像化は、レンズ又はミラーを通して実行し得るが、吸入装置のキャビティ近くで利用可能な非常に小さな空間にレンズ又はミラーを配置することは困難である。更に、使用中の温度が100℃よりも高くなり得る、又は200℃よりも高くなり得るそのような吸入装置のエリアに関連する問題があり、それにより材料の選択肢が相当狭まる。また、レンズ及びミラーは整列しホルダに適合される必要もあり、組み立てコストの削減は難しい。更に、透明プラスチック等の使用される材料に応じて、長期安定性という問題がある。また、レンズが使用される場合、クリーニングブラシによりレンズに傷が付く又はダメージを受ける恐れがある。消耗品からの灰又は粒子がレンズの表面を妨げる恐れがあるため、レンズは定期的にクリーニングする必要があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、過度に高度な検出システムなしでエアロゾル発生物品の認証を可能にする簡易、堅牢、且つ安価な画像化システムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学検知システムが少なくとも1つのピンホールベースの画像化システムを備える新規の光学検知システムを備えた喫煙装置を提供することにより、上記課題の全てではないかもしれないが少なくとも一部に対する解決策を提供する。ピンホールは、限られた光を透過させ、続けて、画像検出器により検出可能な画像を像平面に形成させるように機能する。ピンホール光学検知システムのおかげで、本発明の装置は、高密度に符号化された情報を含んでもよく、又は非常に基本的な低解像度の符号化情報を含んでもよい、エアロゾル発生物品上又は内に配置された1つ又は複数のしるしに含まれた情報を検出し識別するための光学的解決策を提供する。
【0009】
本明細書に記載の本発明は、典型的にはレンズ及び/又はミラーを使用する必要がある従来技術のシステムと比較して、しるしの認識を相当に簡易化する。換言すれば、本発明はレンズ及び/又はミラー要素の必要性をなくす。その結果、本発明の喫煙装置は、既知のレンズ及び/又はミラーに基づく光学検知システムへの安価な代替となる、制約された狭い空間に配置された光学検知システムを提供する。
【0010】
更に、本発明の喫煙装置の光学検知システムは、使用中に発生する熱による影響を受けないため、少なくとも部分的に、喫煙装置のヒータの近傍に配置又はヒータと接触して配置し得る。
【0011】
したがって、第1の態様では、本発明は、消耗品を受けるように構成された電動喫煙装置に関し、本電動喫煙装置は、(a)消耗品を少なくとも部分的に受ける、キャビティ軸を画定するキャビティを有する筐体と、(b)消耗品上のしるしを検出する光学検知システムであって、光学検知システムは少なくとも1つのピンホール及び画像検出器を備え、ピンホールは、画像検出器により検出可能な画像を像平面上に形成できるようにする、光学検知システムとを備える喫煙装置に関する。
【0012】
画像化にピンホールを使用することにより、無限遠被写界深度の提供が可能になり、画像化される全てにピントが合った状態が保たれる。レンズ歪みがないため、広角画像は絶対的に直進のままであり、これは識別符号を画像化するために有利な態様である。
【0013】
第2の態様において、本発明は、消耗物品のしるしを検出するための本発明による喫煙装置の使用に関する。
【0014】
一実施形態によれば、光学検知システムは、好ましくは、消耗品に面する側でピンホールの近くに位置する光源を更に備え得る。例えば、光源は、消耗物品のしるしを直接照明してもよく、又は光源の光を消耗品のしるしに向けて阻止するために使用される反射要素を介して間接的に照明してもよい。そうしてより鮮明な画像を生成することができる。
【0015】
別の実施形態によれば、互いに概ね対向して位置する少なくとも2つのピンホールが、消耗品上のしるしを光学検知システムにより少なくとも2つのピンホールを通して検出することができるように、喫煙装置に提供される。これは有利なことに、しるし上で光学検知システムにより検出される情報量を増やすことができる。代替的には、像平面に形成された同じ符号化情報を有する2つの画像が消耗品の2つの対向する側から生成されるため、ピンホールはフォールスプルーフ(false-proof)メカニズムとして機能し、したがって、光学検知システムの感度を上げることができる。
【0016】
更に別の実施形態によれば、少なくとも2つのピンホールは異なる軸方向位置及び/又は長手方向位置に提供し得る。例えば、複数のピンホールが異なる軸方向位置及び/又は長手方向位置に提供される場合、像平面に形成される画像は、より広い画像が像平面に形成することができ、画像検出器により検出することができるように、少なくとも部分的に重複し得る。
【0017】
更に別の実施形態によれば、少なくとも2つのピンホールは、同じ軸方向位置又は長手方向位置に提供し得る。例えば、少なくとも2つのピンホールが同じ軸方向位置に提供される場合、光学検知システムの感度を上げるために使用することができる。例えば、しるしは、消耗物品の周囲に周方向に提供され、したがって、しるしは2つの対向する側に同じ符号化情報を有し得る。互いに対向して提供された少なくとも2つのピンホールは、2つの同一画像を像平面に形成できるようにし、続けて画像検出器により検出できるようにする。2つの画像からの情報は処理され、比較されて、情報が正しく読み取られたことを保証することができる。
【0018】
実施形態によれば、ピンホールのアレイが、キャビティ軸に平行する方向に延在して提供される。ピンホールのこのアレイは2~10個の範囲のピンホールを含み得、ピンホールアレイ内のピンホールは互いの近傍に提供し得、像平面に形成される画像は、少なくとも部分的に互いと重複してもよく、又は互いと重複しなくてもよい。
【0019】
実施形態によれば、画像検出器により検出可能な、像平面に提供される画像は、少なくとも部分的に重複し得る。画像が部分的に重複する場合、光学検知システムの精度が増し、より広い画像を検出することができるという利点がある。
【0020】
他の実施形態では、ピンホールのアレイがキャビティ軸に平行する方向に延在して提供され、ピンホールアレイ内のピンホールは1つ又は複数のスリットを形成して、スリットの長さに直交する平面に画像を提供する。スリットは、より広い画像を像平面に形成できるようにする。これにより、例えば、消耗物品のしるしの異なる部分からの情報を光学検知システムにより検出することができる。
【0021】
他の変形では、1つ又は複数の光学要素がピンホールと像平面との間に提供される。これは有利なことに、本発明の光学検知システムの感度及び精度を上げる。
【0022】
他の変形によれば、少なくとも1つのフィールドレンズが光学検知システムに提供されて、拡大視野を提供し、少なくとも1つのフィールドレンズは好ましくはピンホールと画像検出器との間に提供される。これには、光学検知システムで「合焦及び組み換え(focus and recompose)」技法を使用する場合、集束距離の誤差が小さいという利点がある。
【0023】
実施形態では、ピンホールのサイズは調整可能であり、サイズ可変ピンホールを形成して、より鮮明又はより正確な画像を形成できるようにする。
【0024】
実施形態では、ピンホールのサイズは、各々が半円形アパーチャを有する電磁気ブレード、静電気ブレード、又は2枚のMEMSブレードを通して調整可能である。
【0025】
実施形態では、光学検知システムの光源は、照明目的で赤外線光を提供するヒータである。
【0026】
実施形態では、ピンホールイメージャが適合された加熱キャビティは、ピンホールに空気流を通すように構成される。これは、ピンホールが光学的に開かれたままであることを保証するように機能し得る。本装置は、堆積した埃がイメージャから取り除かれるようピンホールを通して空気パルスを課することができるように構成することもでき、これは、加熱キャビティ内部に適合可能であるには極めて困難である、側部から空気を吹き込む必要があるレンズでは可能ではない。
【0027】
実施形態では、ピンホールは、キャビティ軸に平行する方向に沿って摺動可能なリングに配置し得る。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語「エアロゾル発生材料」は、加熱時にエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出することができる材料を指す。エアロゾル発生材料から発生するエアロゾルは、可視又は不可視であってもよく、蒸気(例えば、室温で通常液体又は固体である気体状態の物質の微粒子)並びに気体及び凝縮した蒸気の液滴を含んでいてもよい。
【0029】
「しるし」又は「複数のしるし」という用語は、喫煙物品に関する情報を含む要素又は構造として定義され、典型的には、物品の表面に配置される。表面は、物品のラッパーに関する表面等の物品の外面又は内面であってもよい。しるしは、物品内に埋め込まれ得る。また、2つ以上のしるしが前記物品に又はその内部に配置されてもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ピンホール」という用語は広く理解されるべきである。この用語は、ピンホールアパーチャ及び少なくとも1つの寸法において非常に小さい任意のアパーチャを指し得る。したがって、幅よりもはるかに大きな長さを有する薄いスリットも「ピンホール」と見なされる。ピンホールは、単純な円形のアパーチャであってもよく、非対称アパーチャであってもよく、又は非円形アパーチャであってもよい。「ピンホール」は、長さに沿って可変の幅を有するが、その幅は常に前記長さよりも小さい薄いスリットであってもよい。ピンホールの直径又はスリットの幅の典型的な寸法は、1μm~500μm、好ましくは10μm~100μmである。可能な場合、ピンホールの直径又はスリットの幅は500μm超であってもよく、例えば1mmであってもよい。ピンホールの直径又はスリットの幅は、求められる投影距離に依存する。投影距離が長くなるほど、ピンホール又はスリットのアパーチャは大きくなり得る。ピンホールを含む光学系とは実質的に、片側に小さな穴がある遮光箱である。シーンからの光はアパーチャを通り、反転像を箱の逆側に投影し、これはカメラオブスクラ効果として知られている。ピンホールの利点は焦点深度である。光学検知システムにおいてピンホールにより撮影される画像におけるあらゆるものは、ピンホールまでの物体の距離と、像平面までのピンホールの距離との間の関係に従ってピントが合う。ピンホールシステムは非常に簡易であり、製造及び使用が容易である。理想的には、光学検知システムの画像検出器により検出される像平面にシャープでクリアな画像を形成することができるように、約20μm~200μm、より好ましくは約25μm~100μmの典型的なアパーチャを有するピンホールが提供される。
【0031】
光学検知システムのピンホールの「焦点距離」とは、穴から画像平面がある場所までの距離である。例えば、0.3mmの化学エッチングされたピンホールは、関わる距離に応じて大まかな絞り値f/2~f/100を提供し得、磁気ロック式シャッタを更に提供して、露出の制御を可能にし得る。シャッタは、右手操作又は左手操作に向けて時計回り又は反時計回りのいずれかに回転する。
【0032】
所与の数値に関する「約」又は「略」又は「概ね」は、指定値の10%以内の数値を含むことを意味する。本開示において与えられる全ての値は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、「約」という語によって補完されると理解されるべきである。
【0033】
不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を除外せず、したがって広い意味で扱うべきである。例えば、画像化は、合焦システムと像平面との間の像距離bよりも小さい、合焦システムまでのしるしの物体距離aを有する光学システムによって実現され得、即ち、b≧aであり、ここでa及びbは1/f=1/a+1/bの関係にあり、fは装置の光学読取装置の合焦システムの焦点距離である。画像のサイズは、画像を検出するために用いられる検出器の大きさと必ずしも等しくなくてもよいことが一般に理解される。検出器は、少なくとも1つの断面において、生成された画像よりも小さい又は大きい大きさを有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1a】単一のピンホールイメージャを備えた本発明の第1の実施形態の概略表現を示す。
【
図1b】
図1aに示される第1の実施形態の拡大図を示す。
【
図2】互いに対向して設けられる2つのピンホールイメージャを備えた本発明の第2の実施形態の概略表現を示す。
【
図3】ピンホールのアレイを備えた本発明の第3の実施形態の概略表現を示す。
【
図4】単一のスリットイメージャを備えた本発明の第4の実施形態の概略表現を示す。
【
図5】拡大視野ピンホールイメージャを備えた本発明の第5の実施形態の概略表現を示す。
【
図6】レンズを備えた本発明の第6の実施形態の概略表現を示す。
【
図7】
図1の実施形態におけるピンホール又はスリットを通る空気流を示す。
【
図8】長手方向に外面に配置された符号を有するエアロゾル発生物品を示す。
【
図9】本発明による喫煙装置のキャビティに提供されたピンホールを通しての、
図8のエアロゾル発生物品に提供された符号の画像の形成を示し、像平面は曲面であり、画像化は長手方向軸X-Xに平行する方向で実現される。
【
図10】可動スリットが、キャビティの外面に沿って摺動するように構成された可動リンクに提供される、本発明による喫煙装置のキャビティを示す。
【
図11】画像の重複を提供できるようにするピンホールの2Dアレイを備えた装置の一実施形態を示し、各ピンホールが画像を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を、特定の実施形態に関して、添付図面を参照して説明するが、本発明は、それに限定されない。説明する図面は概略的なものにすぎず、且つ非限定的なものである。図面において、いくつかの要素のサイズは、例示目的のために誇張され、縮尺通りに描かれない場合がある。寸法及び相対寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に対応していない。
【0036】
本発明は、エアロゾル発生材料のタバコ含有装填物を備えるエアロゾル発生消耗物品1に関して以下の実施例で説明されるが、本発明の範囲は、考察されるタバコベースの消耗物品に限定されると解釈されるべきではなく、加熱時に吸入可能なエアロゾルを発生することができるエアロゾル発生基体を備える喫煙物品、加熱非燃焼物品、eリキッドカートリッジ、及びカトマイザー等の任意のエアロゾル発生消耗物品を包含するものとする。エアロゾル発生消耗物品1は、対称軸を有していても有していなくてもよく、細長い円筒形状、球形状、又は梁の形態等の任意の形態又は形状を有することができる。
【0037】
図1~6に表されるように、エアロゾル発生消耗物品1は少なくとも、外面に配置されるしるしμを備える第1の部分と、第1の部分に着接される第2の部分とを備え得、第2の部分は、エアロゾル発生装置2の加熱キャビティ内への消耗物品1(例えばエアロゾル発生消耗物品)の挿入後に第1の部分の加熱時に発生するエアロゾルをユーザが吸入するためのマウスピースを形成してもよい。物品1は、しるし10を備えていなくてもよい更なる部分を備える。しるし10は、前記更なる部分の側面の一方又は両方に配置されてもよい。
【0038】
図1aは、使用中、挿入された消耗物品1を受けるキャビティ200を備えた喫煙装置2(例えばエアロゾル発生装置)を示す。キャビティは、消耗物品1の少なくとも一部分を挿入することができる喫煙装置2の受け部分である。キャビティ200の壁は、キャビティ軸に略平行し得る。それにも関わらず、
図1aに示されるように、消耗物品1が前記キャビティに挿入された場合であっても、密なギャップ200がなお、挿入された消耗物品1とキャビティ壁との間に存在し得る。光学検知システム5は、キャビティに挿入された消耗物品1に配置されたしるしを検出可能であり、本明細書に更に詳述するように喫煙装置2に更に配置される。
【0039】
図1aは、ピンホール20が喫煙装置2の光学検知システム5に提供される第1の実施形態を示す。ピンホール20は、キャビティ200の受け部分202の壁に設けることができる。明確にするために図面に示されていない、フィン、リブ等によりキャビティ200に配置された内部突起物により生み出され得る消耗物品1と受け部分202の内壁との間のギャップ200。光学検知システム5は、ピンホール20と、像平面として選ばれた位置に配置される画像検出器30とを備える。当然ながら、画像検出器30が像平面に配置される必要がないことも予見される。
【0040】
図1aに見られるように、画像検出器30とピンホール20との間の距離は、d
2を用いて表されており、一方、ピンホールと消耗物品1のしるし10との間の距離はd
1を用いて表されている。しるし10を含む消耗物品1が喫煙装置2の受け部分202に挿入されると、ピンホール20を通してしるし10の画像が像平面に形成され、続けて光学検知システム5の画像検出器30により検出することができる。LED等の光源は、ピンホール20の近傍に提供されて、光をしるし10に向けて提供することができる。像平面に形成された画像を画像検出器30により転送及び/又は検出することができる限り、画像検出器30は喫煙装置2のどこに配置されてもよい。
【0041】
図1aは、単一のピンホール20が光学検知システム5に提供される最も単純なピンホール画像化システムの1つを示す。しるし10を有して提供される消耗物品1の部分は、画像のしるしであってもよく、又はインクにより実現されるプリントされた符号等の符号化されたしるしであってもよい。しるし10は、典型的なバーコードであってもよく、又は複数の1D若しくは2Dドットの配置であってもよい。
【0042】
光学検知システム5におけるピンホール20の使用には、キャビティ200の受け部分202に挿入された場合、消耗物品1の外面に配置されたしるし10を画像化するためにレンズ又は湾曲ミラーが必要ないという利点がある。
図1に示されるように、画像化される物体がしるし10である場合、光は純粋に幾何学的な効果により投影され、倍率は関わる距離によって決まる:M=d
2/d
1、式中、Mは1以下であってもよく(通常)、又は1より大きくてもよい。幾つかの場合、ピンホールの使用は、十分な光源を提供することができる環境に適し得る。
【0043】
ピンホールは、レンズ又はミラーにより提供されるよりも暗い画像を提供し得る(ピンホールのアパーチャが小さいことに起因して)ことが本明細書では認められている。しかしながら、これらの画像は通常、所与の値の距離d1及びd2でシャープである。これは、ピンホールベースの光学検知システムでは、光源は、より広い視野を有するレンズ及び湾曲レンズとは対照的に、単一の方向からのみ来ることに起因する。
【0044】
幾つかのパラメータがピンホール画像化システムにとって重要である、例えば:(a)物体からピンホールまでの距離及びピンホールから像平面までの距離、(b)典型的には例えば約20~500μmであり得るピンホールのアパーチャ、(c)(原理上、丸い形のピンホールである)ピンホールの境界線の品質、(d)ピンホールを通して物体を画像化するのに使用される光源の波長及びピンホールアパーチャの境界線の粗度に関連する回折効果。
【0045】
ピンホールアパーチャの境界線における回折効果及び欠陥は、ぼけた又は非鮮明画像を提供する恐れがある。したがって、高品質ピンホール形成を保証するために、光学検知システムの少なくとも1つのピンホール(例えば、約20~500μmのピンホールアパーチャ)は、クロムマスクで作ることができる。クロムマスクは2つの主なタイプの基材を有し得る:比較的安価なソーダ石灰ガラス及び/又は低い熱膨張率及び高い光学透過性を有する人工水晶。クロム層は、理想的にはガラス又はAl2O3の任意の透明表面で実現し得る(鋼玉石又は例えばチタン若しくは鉄がドープされたサファイア)。
【0046】
喫煙装置2に配置された光学検知システム5を用いてしるし10を画像化するために必要な光源に関して、パルスLED又はパルスレーザ(UV、可視、赤外線)等のパルス光源を使用してよい。更に、画像検出器30は、非常に低い平均光強度を使用し得、それでもなお画像検出器が画像を検出するのに十分であるよう同期検出を実行するように構成し得る。パルス光のピーク電力が十分に高いことで十分である。
【0047】
特に回折効果に対するピンホール光学検知システム5の光学性能を改善するために、ケイ素(Si)又は硬質材料(SiO2、水晶、合成ダイアモンド、Al2O3)で作られた層又は基板に提供し得る。ソルトウィンドウも、非常に広いスペクトル透過を有するため、基板として使用することができる。周期表の最初と最後の列(NaCl、NaBr、KCl、KI、CsBr、CsCl、CsI等)の任意の組合せから作られるソルトウィンドウ又は層が市販されており、中及び遠赤外線において最良の透過率を有し得、最大のスペクトル透明性を有し得、中/遠赤外線光と同じほど良好に青色光を透過させる。
【0048】
ピンホールを作るのに好ましい選択は恐らく、SiO2ウィンドウ(又はSiは1500nm超で透明であるため、1.5μmよりも大きい波長λの場合、Si)に堆積したクロム層にピンホールを製造することである。
【0049】
したがって、本明細書で考慮するピンホール光学画像化システム5は、特に本明細書で考慮される喫煙装置キャビティ200のもの等の非常に熱い表面の近くに配置される場合、エアロゾル発生物品1のしるしを読み取るための低コストであるが効率的な画像化解決策である。ピンホール画像化システムは、プリントされたバーコード等の低解像度しるしに特に適する。
【0050】
図1bは、ピンホール20を有して提供される
図1aからの光学検知システム5の拡大図を示す。消耗物品1のしるし10は、好ましくは消耗物品1のラッパーに提供し得る。「ラッパー」という用語は、例えば喫煙材料の装填物を保護及び収容し、その材料を取り扱うことを可能にする任意の構造又は層として広く定義される。ラッパーは、喫煙材料と接触してもよい内面を有し、喫煙材料から離れた外面を有している。ラッパーは、好ましくは、紙などのセルロースベースの材料を含んでいてもよいが、生分解性ポリマー製であっても、ガラス又はセラミック製であってもよい。ラッパーは、多孔質材料であってもよく、滑らかな又は粗い外面を有してもよく、可撓性材料又は硬質材料であってもよい。ラッパーは、光学的に不透明又は部分的に透明な光学層を構成していてもよい。紙の場合、ラッパーは、可視及び赤外線において部分的に透明であり、UVにおいて部分的に透明であってもよい。ラッパーはアパーチャを備えていてもよい。前記しるし10は、ラッパーの表面に設けられる少なくとも1つのアパーチャの前に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0051】
しるし10は、構造の2D又は3D配置に従って配置されてもよく、正方形又は矩形のバンド等の任意の形状を有していてもよい。前記バンドは、前記物品1の全周に配置される冗長符号要素のアレイを備えることが好ましい。「冗長」という用語は、本明細書中では、しるし10が、反復符号要素のアレイ又は符号要素のブロックを備え得、光学変倍読取装置システムに対する角度位置等の物品1の位置とは無関係に、固定光学変倍読取装置によって読み取られてもよいことを意味する。これは、例えば、限定するものではないが、反射若しくは回折構造のアレイ、吸収構造のアレイ、共振導波管のアレイ、又はそれらの組合せによって構成されるしるし10によって実現されてもよい。
【0052】
偽造防止特性とは別に、しるし10は、理想的な温度範囲、時間の関数における加熱プロファイル、又は喫煙者に異なる喫煙の風味若しくは強さを提供することを可能にするパラメータ等の、喫煙装置2によって用いられるべき特定のパラメータの情報を含むこともできることが望ましい。
【0053】
図2は、2つのピンホール20、22が喫煙装置2の受け部分202の対向する壁に設けられる喫煙装置2の別の実施形態を示す。ピンホール20、22は同じ軸及び/又は長手方向位置に提供されないため、消耗物品1のしるし10の異なる部分からの情報を有する画像51、52を像平面飢えに形成し、続けて各画像検出器30、32により検出することができる。換言すれば、第1のピンホール20はしるし10の第1の部分に第1の画像51を第1の像平面に形成させることができ、一方、第2のピンホール22はしるしの第2の部分に第2の画像52を第2の像平面に形成させることができる。これらの2つの画像51、52は続けて、光学検知システムの画像検出器30、32により検出される。画像検出器は、画像51、52の第1及び第2の像平面に配置される。その他の点では、この実施形態によるピンホール20、22は第1の実施形態と同様であり得、例えば、d
1は距離d
3と同一であり、d
3はd
4と同一である。この実施形態では、少なくとも2つの同一のピンホール画像が使用される。
図2は、第2のピンホール22が上に形成される層Wを示す。層Wは例えば薄いガラス板であり得る。変形では、両ピンホールは、例えばケイ素(Si)チップのアパーチャとして形成し得、又は両チップは透明板W上のコーティングにより形成し得る。それにも関わらず、2つの異なるピンホール画像を提供することができることも予見され、各ピンホール画像S1、S2は異なる倍率M1、M2を提供する。
【0054】
全ての実施形態において、倍率M1、M2は好ましくは1より大きいが、1より小さくてもよく、又は1に等しくてもよい。
【0055】
図3は、複数のピンホール20、20’、20’’が受け部分202の同じ壁に提供されるが、異なる長手方向位置に配置される更なる実施形態を示す。この実施形態では、ピンホール20、20’、20’’は互いの近くに配置され、それぞれピンホール20、20’、20’’を通る、像平面に形成される画像P1、P2、P3は、しるし10の異なる部分からの情報10’、10’’、10’’が像平面で反射され、続けて光学検知システムの画像検出器32、34、36により検出されるように、部分的に互いと重複する。
【0056】
図4は、ピンホール20がスリットの形態で形成され、スリットは矩形であり、それにより、より広い視野を可能にする更なる実施形態を示す。スリットが複数の接続されたピンホールを用いて提供されることを予見することができる。ピンホールと同様に、スリットは、スリットの長さに直交する像平面に画像を生成させることができる。前の実施形態と同様に、消耗物品1が喫煙装置2の受け部分に挿入されると、しるし10はピンホール20に直接面して配置される。
図3で説明された実施形態と同様に、この実施形態は、しるし10の異なる部分からの情報を像平面で反射させ、画像検出器30により検出することができるように有用である。この例では、スリットは円柱レンズの代替として機能し得る。
図4は、線形符号化された形態の複数のアレイを含むしるし10の画像12の形成を示す。
【0057】
図5は、しるし要素のアレイを含むしるし10が、複数の画像検出器32、34、36を含む画像検出器アレイ30’に画像化されるようなピンホールアレイ2000を含む一実施形態を示す。ピンホールアレイ2000を含む基板又は支持部の湾曲形状を使用することにより、検出器アレイ30’が配置された湾曲像平面に画像I1~I3を提供することが可能である。そのような実施形態では、円柱形喫煙物品1等の湾曲形喫煙物品1の周囲に特定の長さにわたり配置されたしるしを画像化することができる。
【0058】
このために、更なる一実施形態によれば、
図6に示されるように、フィールドレンズ300をピンホール20の背後に配置することによりピンホール画像化システムの視野を拡大することができることが開示される。フィールドレンズ300が画像を生成せず、単に光線を逸らすだけであり、マイクロ集束レンズと同等ではないことは注目に値する。
【0059】
本明細書で説明される全ての実施形態は、光学検知システム5に配置されるか、又は例えばしるし10から離れる側に提供された喫煙装置2の別個の構成要素として配置される光源により提供される照明ビームも伝達するように適合し得る。これは、例えばビームスプリッタ又は半透過ミラーを用いることによって実現されてもよい。顕微鏡等の光学システムに照明ビームを配置することは周知されており、本明細書中ではこれ以上説明しない。
【0060】
光学検知システム5は、1より大きい倍率を有する光学投影システムと、少なくとも1つの画像検出器とを備え得る。画像検出器は、単一の検出器、検出器アレイ、光学要素及び電子機器を備える検出器システムであってもよいか、又はイメージャ及び/又は又は小型分光計を備えていてもよい。
【0061】
光源又は照明システムは、UV(紫外)、可視、又は赤外(IR)光の範囲内であることが好ましい光ビームを提供してもよい任意の光源とすることができる。光源は、例えば、LED又は半導体レーザであってもよい。光源は、必ずしも電力駆動型光源である必要はなく、従って、例えば、赤外光のビームを提供するエアロゾル発生装置のヒータ若しくは高温部分及び/又は消耗物品の一部若しくは領域であってもよい。
【0062】
光源によって照明されると、消耗物品1のしるし10は、反射されたか、透過されたか、又は回折された光ビームであることができる投影光ビームを生成する。投影光ビームは、第1の集束要素による反射、屈折、又は回折の後、画像検出器30上に直接伝達されるか、又は、例えば単一若しくは複合の反射、屈折、若しくは回折要素、ビームスプリッタ、若しくはかかる要素の組み合わせを用いることによって伝達される少なくとも1つの二次光ビームを提供し得る。
【0063】
前記投影光ビームは次いで、画像検出器30としても定義される画像検出システムで受け取られ、画像検出システムは、消耗物品の少なくとも1つのしるし10によって提供される光学情報を、物品を認識するため、及び/又は喫煙装置2のパラメータ、例えば喫煙装置2の動作において前記消耗物品1のために用いられるべきパラメータに関する情報を識別するために用いられてもよい電気信号又はデータに変換する手段を含む。光学検知システム30は、単一の検出器若しくは検出器アレイを備えていてもよく、又は視覚システムを備えていてもよい。光学検知システム30は、カラーフィルタ又は小型分光計を備えていてもよい。
【0064】
幾つかの変形では、重要な倍率、例えば10倍、又は20倍超、又は50倍超を有する投影システムを提供する必要があり得る。幾つかの場合、典型的なエアロゾル発生装置における空間の不足に起因して、光路は、平面又は曲面ミラーであってもよい少なくとも1つの二次偏向ミラーを用いることによって偏向し得る。本明細書中には示していない変形において、光学変倍システムは、カタディオプトリック構成に基づいてもよい。これにより、コンパクトな光学システムを提供すると同時に、長い投影長、したがって、高い倍率を提供することが可能になる。
【0065】
微小穴のアレイを透明層上の金属層に実現することは、広く利用可能な技法である。更に、非常に精密な微小構造化アパーチャをMEMS技術によりケイ素(Si)で実現することもできる。MEMS材料では、アパーチャはV字形を有し得る。アパーチャは、
図6に示されるように小さなフィールドレンズ上で実現し得る。
【0066】
ピンホール20、20’、20’’の寸法並びにしるしまでの距離d1及び画像検出器30までの距離2は、利用できる空間及び必要とされる画像サイズの増幅又は低下の関数で決定される必要があり、これらは(ピンホール-検出器の距離)/(しるし-ピンホールの距離)の比率によってのみ決まる。ピンホールのアパーチャのサイズは可能な限り小さいサイズであるべきであるが、利用可能な強度と回折効果及びしるしの画像の所要解像度との間にトレードオフが見られる。例えば、「投影距離」が長いほど、倍率M及び解像度は高くなる。小さな投影距離ほど、広いビューを与えるが、解像度は低くなる。
【0067】
幾つかの実施形態によれば、光学検知システムは少なくとも1つのピンホール及び画像検出器を備え、ピンホール又はスリットの幅は以下の条件で提供し得る:
基体:溶融石英、B270、Borofloat、D263、
厚さ:0.3mm~10mm、
コーティング材料:クロム、IMTBC、
ピンホール直径:典型的には1μm超、
ピンホール直径許容差:0.5μm、
位置精度:0.5μm未満。
【0068】
幾つかの更なる実施形態では、1つ又は複数のピンホールを備えた光学検知システムはより高度な様式で提供し得る。例えば、ピンホールアレイ及び任意選択的に空間フィルタは、空間濾波に使用することができ、多くの光学システムで仮想点光源として作用することができる。ピンホール(又はピンホールアパーチャとしても知られる)は、伝達される光ビームの発散を定義する開口数(NA)を制限し、大きな角度をブロックする。
【0069】
幾つかの更なる例では、本発明により、共焦点顕微鏡法で使用されるニポー円板を光学検知システムに提供することもできる。照明システムの一部として、ニポー円板は蛍光顕微鏡法及び材料テストにも見られる。要素はピンホールを備え、ピンホールは、黒色クロムコーティングの微小構造化中、欠陥がないことを保証する「ニポーパターン」で平坦基板上に配置される。これは、ピンホール直径サイズの最小欠陥であっても、画像のストリーキングに繋がり、それにより円板が使用不可能になるためである。
【0070】
他の例では、距離d2は、限定ではなく、1mm~10mm又は2mm~20mmであり得る。しるし10とピンホールとの間の距離d1は、これもまたいかなる限定もなく、0.5mm~5mm又は1mm~3mmであり得る。d1、d2、並びにピンホールタイプ及びその直径の選択は、喫煙物品のしるしの画像化を画像化し得るように、喫煙装置内で利用できる空間の特定の設計に従って、特定の各幾何学的配置に依存する。特定の変形では、小さなミラーがピンホールと検出器との間に配置されてもよく、又はマイクロプリズムが使用されて、光を画像検出器30に偏光してもよい。
【0071】
最もシャープな画像を達成するために、ピンホールは理想的には、最適なサイズであり、完全に丸く、好ましくは最も薄い材料から作られるべきである。それにも関わらず、シャープさのみが常に最も重要な要件である必要はない。ピンホールからの画像は、わずかにシャープさが劣ってもよく、時には特定量のぼやけがそれ自体で、表現の魅力的な手段であることもある。ピンホールの原理は、一点の画像が実際に小さな円板であることを保証する。穴が小さいほど、円板は小さく、したがって画像はシャープになる。それにも関わらず、これが該当するのはあるポイントまでである。穴が小さすぎる場合、光は回折し、画像のシャープさは低くなる。したがって、最もシャープな像を生み出す最適な穴の直径は各焦点距離(穴から感光材料までの距離)に存在する。最適なピンホール直径の方程式は、結果が半径ではなく直径を与えるように改訂された、レイリー卿により提案された公式に基づき得、以下のように書くことができる:
d=1.9√(f-l)、式中、
d-ピンホール直径、
f-焦点距離、
l-波長(通常、黄色/緑色光の波長0.00055mmが使用される)である。
【0072】
最適な穴直径又は最適な焦点距離の計算は、当業者に提供される任意の一般的に既知の方法を使用して行うことができる。例えば、計算はPinholeDesignerプログラムを使用して行うことができる。
【0073】
このために、本発明によるピンホールはサイズ可変ピンホールとして提供することができることが開示される。例えば、ピンホールサイズは、力(例えばMEMS磁気アクチュエータ)に基づいて圧電素子又は任意のMEMSアクチュエータにより印加される等の電磁力又は静電力が関わるメカニズムにより変更し得る。一例では、ピンホールは、静電アドレッシングによりアドレッシングし得る2枚の対向するMEMSブレードにより形成される。別の例では、2枚のMEMSブレードの各々は、半円形アパーチャ(又は片側にハーフパイプ形)を有するサイドを備え得る。2つの半円形アパーチャは、ブレードが横方向に互いと接触する場合、全円アパーチャを形成する。アパーチャの面積は、2枚のブレードを動かすことにより適合し得、それにより、ピンホールサイズは調整可能である。
【0074】
先に定義したように、「ピンホール」は長く薄いスロットであってもよい。スリットは直線スリットであってもよく、又は湾曲スリットであってもよい。スリットは、
図9に示されるように、ヒータ要素の円周の一部に沿ってアパーチャを実現することにより実現されるピンホールイメージャの有利な実施形態に使用し得る。そのような場合、ピンホール配置は長く狭いスリット20であり、湾曲円柱レンズとして挙動する。任意の屈折要素によりそのような薄い光学湾曲要素を実現することは略不可能である。これとは対照的に、
図8に示されるように、ヒータ要素の円周の一部に沿って長く薄いスリットを実現することで、画像曲面100に符号10の画像I10を形成することが可能である。スリット20がヒータ要素202の長手軸xに直交して実現される場合、
図8に示されるように、その長手軸xの方向において画像I10を提供することが可能である。そのような構成では、
図8に表される喫煙物品1等の喫煙物品1に配置された符号10の少なくとも一部分の画像I10を提供することができる。
【0075】
有利な実施形態では、
図10に示されるように、可動スリットがキャビティ200に提供される。スリットは、長手x方向に摺動し得る可動リング204に配置される。スリットを動かすことにより、一連の画像I11、I12をイメージャに提供することができる。利点は、任意の屈折湾曲要素とは対照的に、リングへのスリットの実現が容易なことである。
【0076】
実施形態では、ピンホールイメージャが適合された加熱キャビティ200により、ピンホールを通る空気流を保証するように構成。
図7に示されるそのような一実施形態は、ピンホールが光学的に開かれたままであることを保証するように機能し得る。装置は、堆積した埃がイメージャから取り除かれるようピンホールを通して空気パルスを課することができるように構成することもでき、これは、加熱キャビティ内部に適合可能であるには極めて困難である、側部から空気を吹き込む必要があるレンズでは可能ではない。
【0077】
図11に示される有利な一実施形態では、ピンホール2000の2Dアレイが配置され、画像I13~I21の重複を提供することができ、各ピンホールが画像を提供する。これにより、装置の改善及びより大きな視野を提供することができる。ピンホールの2Dアレイを使用することにより、画像の相関及びデコンボリューション処理を使用して、重複画像のステッチングを提供することができ、それによりノイズを低減する。ピンホール2000の典型的なアレイは、3×3mmという小さな面積を覆い得、10を超える、或いは50を超えるピンホールを含み得る。50μmよりも小さなマイクロレンズにより導入される巨大な収差に起因して、そのような構成は屈折レンズでは可能ではない。
【国際調査報告】