(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】リソソーム関連膜タンパク質標的化化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4436 20060101AFI20240206BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240206BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240206BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240206BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240206BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240206BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20240206BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61K31/4436
A61P43/00 105
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/10
A61P25/28
A61P35/00
A61K31/675
A61K31/5377
A61K31/5025
A61K9/08
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549068
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 IL2022050187
(87)【国際公開番号】W WO2022175948
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500545311
【氏名又は名称】ハダシット メディカル リサーチ サービシーズ アンド ディベロップメント リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Hadasit Medical Research Services and Development Ltd.
【住所又は居所原語表記】Jerusalem BioPark, Hadassah Ein Kerem Medical Center, P.O.B. 12000 Jerusalem, Israel
(71)【出願人】
【識別番号】507253749
【氏名又は名称】ラモット アット テル アビブ ユニバーシティ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カクロン,オア
(72)【発明者】
【氏名】ワイル,ミゲル,エンリケ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC21
4C076CC26
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC73
4C086CB05
4C086DA38
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZB21
4C086ZC21
4C086ZC35
(57)【要約】
リソソーム貯蔵に関連する疾患又は障害及び自己貪食誤調節関連疾患の予防又は治療に使用するための医薬組成物を含むポリペプチドが本明細書に開示される。リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1)のN末端ドメイン領域に結合する薬剤、並びにそれを必要とする対象におけるリソソーム蓄積、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積及び自己貪食誤調節に関連する疾患又は障害の発症を治療又は予防するための方法が更に提供される。
【選択図】13A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソソーム蓄積関連疾患及び自己貪食誤調節関連疾患から選択される疾患又は障害の予防又は治療に使用するための医薬組成物であって、化合物と、その薬学的に許容される塩、異性体又は互変異性体とを含み、前記化合物が式I:
【化1】
(式中、
【化2】
は、単結合又は二重結合を表し、
n及びmは、それぞれ独立して、1から3の範囲の整数を表し、
R及びR
1は、それぞれ独立して、水素を表すか、又は存在せず、
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素を表すか、又は置換若しくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、アミノ、ニトロ、ハロ、トリハロメチル、シアノ、アミド、カルボキシ、スルホニル、スルホキシ、スルフィニル、スルホンアミドからなる群から選択される。)
で表される、医薬組成物。
【請求項2】
n及びmが1である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
R
2、R
7及びR
8がメチルを表す、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記化合物が、
【化3】
から選択されるか、又はその両方である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記リソソーム蓄積関連疾患が、ゴーシェ病、ファブリー病、テイ-サックス病、ムコ多糖症(MPS)病、アスパルチルグルコサミン尿症、GMl-ガングリオシドーシス、クラッベ病(グロボイド細胞性脳白質異栄養症又はガラクトシルセラミドリピドーシス)、異染性白質ジストロフィー、サンドホフ病、ムコリビドーシスII型(I-セル病)、ムコリビドーシスIIIA型(偽性ハーラーポリジストロフィー)、ニーマン・ピック病C2型及びCl型、ダノン病、遊離シアル酸蓄積障害、ムコリビドーシスIV型、及び多発性スルファターゼ欠損症(MSD)、代謝障害、肥満、II型糖尿病及びインスリン抵抗性からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記自己貪食誤調節関連疾患が、自己貪食活性の低下又は誤調節を特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記自己貪食活性の低下又は誤調節を特徴とする自己貪食誤調節関連疾患が、アルツハイマー病、及び自己貪食活性の低下に関連するがんからなる群から選択される、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
それを必要とする対象においてリソソーム蓄積関連疾患及び自己貪食誤調節関連疾患から選択される疾患又は障害の発症を治療又は予防するための方法であって、治療有効量の請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項9】
リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1;配列番号1;FSVNYDTKSGPKNMTFDLPSDATVVLNRSSCGKENTSDPSLVIAFGRGHTLTLNFTRNATRYSV)のN末端ドメイン領域に結合する薬剤であって、前記領域が、
配列番号2(FSVNYD)及び
配列番号3(NVTV)のうちのいずれか1つを含む、薬剤。
【請求項10】
LAMP1:LAMP1相互作用を阻害する、請求項9に記載の薬剤。
【請求項11】
リソソーム蓄積症、ポリグルコサン蓄積、異常なグリコーゲン蓄積及び自己貪食誤調節関連疾患から選択される疾患又は障害の予防又は治療に使用するための、請求項9又は10に記載の薬剤。
【請求項12】
前記疾患又は前記障害が、糖原病(GSD)、成人型ポリグルコサン小体病(APBD)、及びラフォラ疾患、ゴーシェ病、ファブリー病、テイ-サックス病、ムコ多糖症(MPS)病、アスパルチルグルコサミン尿症、GMl-ガングリオシドーシス、クラッベ病(グロボイド細胞性脳白質異栄養症又はガラクトシルセラミドリピドーシス)、異染性白質ジストロフィー、サンドホフ病、ムコリビドーシスII型(I-セル病)、ムコリビドーシスIIIA型(偽性ハーラーポリジストロフィー)、ニーマン・ピック病C2型及びCl型、ダノン病、遊離シアル酸蓄積障害、ムコリビドーシスIV型、及び多発性スルファターゼ欠損症(MSD)、代謝障害、肥満、II型糖尿病及びインスリン抵抗性からなる群から選択される、請求項9から10のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項13】
【化4】
からなる群から選択される、請求項9から11のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか一項に記載の薬剤と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
溶液中で4~6.5のpHを有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
100nM~5mMの前記薬剤を含む、請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
それを必要とする対象におけるリソソーム蓄積、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積に関連する疾患又は障害の発症を治療又は予防するための方法であって、治療有効量の請求項14から16のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項18】
リソソーム蓄積、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積に関連する疾患又は障害、及び自己貪食誤調節関連疾患を予防又は治療するための化合物の適合性を判定するための方法であって、前記化合物をリソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1;配列番号1)のN末端ドメイン内のポケットドメインに接触させることを含み、前記ポケットへの前記化合物の結合が、前記化合物が前記疾患又は障害を治療するのに有効であることを示す、方法。
【請求項19】
前記結合が、配列番号2(FSVNYD)及び配列番号3(NVTV)のうちのいずれか1つ以上に対するものである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記結合が、LAMP1:LAMP1相互作用の阻害によって判定される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記結合が、LAMP1間相互作用の阻害によって判定される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月16日に出願された米国仮特許出願第63/149,730号の優先権の利益を主張し、その内容はすべて参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、リソソーム蓄積、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積、異常なタンパク質蓄積、及び自己貪食誤調節関連疾患に関連する特定の疾患又は障害を予防及び治療する分野、並びにこれらの疾患を予防及び治療する薬剤のスクリーニングの分野にある。
【背景技術】
【0003】
リソソームは、細胞成分の生理学的代謝回転に関与する細胞内小器官である。それらは、最適に機能するために低pH環境を必要とする異化酵素を含有する。リソソーム蓄積症(LSD)は、未消化の又は部分的に消化された高分子の蓄積を特徴とする数十の稀な遺伝性障害からなる雑多な群を表しており、最終的に細胞機能障害及び臨床異常をもたらす。LSDは、1つ以上のリソソーム酵素における遺伝子突然変異に起因し、リソソーム内に酵素基質の蓄積をもたらす。臓器肥大、結合組織及び眼の病理、並びに中枢神経系機能不全が生じ得る。
【0004】
神経学的障害及び神経変性プロセスは、リソソーム機能不全に関連し、ほとんどのLSDにおける主な特徴である。神経病理は、複数の脳領域(例えば、視床、皮質、海馬、及び小脳)において生じ得、固有の時間的変化及び空間的変化を伴い、これは、しばしば、初期領域特異的神経変性及び炎症を伴う。一例として、プルキンエニューロンは、これらの疾患の多くにおいて変性し、小脳失調をもたらす。
【0005】
グリコーゲンは、分子量が900万から1000万ダルトンの分岐多糖である。平均的なグリコーゲン分子は、α-1,4グリコシド結合(92%)及びα-1,6グリコシド結合(8%)によって連結された約55,000個のグルコース残基を含む。グリコーゲンの合成は、2つの酵素、すなわち、(i)グルコースを「連結」して直鎖を形成するグリコーゲンシンターゼと、(ii)グルコース単位の新しい短い分枝をα-1,6グリコシド結合で直鎖に結合するグリコーゲン分枝酵素(GBE)とによって触媒される。グリコーゲンは、主に肝臓及び筋肉に貯蔵され、そこで迅速に動員され得るエネルギー貯蔵となる。グリコーゲン代謝の最も一般的な障害は糖尿病として見られ、異常な量のインスリン又は異常なインスリン応答が肝臓グリコーゲンの蓄積又は枯渇をもたらす。グリコーゲンの合成及び分解については数十年間にわたって研究がなされてきたが、それらの制御は完全には理解されていない。
【0006】
成人型ポリグルコサン小体病(APBD)は、45~50歳から衰弱性かつ致死性の進行性軸索障害性白質ジストロフィーとして現れる糖原病(GSD)である。APBDは更に、末梢ニューロパシー、自律神経失調症、尿失禁及び稀に痴呆症を特徴とし、これらは全て、この誤診されやすく、かつ非常に雑多な病気の重要な診断基準である。APBDは、グリコーゲン分枝酵素(GBE)の欠損によって引き起こされ、分枝が不十分であるがゆえに不溶性のグリコーゲン(ポリグルコサン、PG)をもたらし、これが沈殿、凝集、蓄積して、PG体(PB)となる。溶液から出て凝集するため、PBはグリコーゲンホスホリラーゼによって消化され得ない。凝集した凝集体は、小児期に肝不全及び死をもたらす(アンダーソン病;GSDタイプIV)。GBEの変異が穏やかであるほど(例えば、APBDにおけるp.Y329S)、PBは小さくなり、これは、肝細胞及びほとんどの他の細胞型を妨害することなく、単に細胞の側面に蓄積するだけである。しかし、ニューロン及び星状細胞では、時間が経つにつれて、PBは軸索及び突起の狭い領域を塞いでAPBDをもたらす。
【0007】
APBDの有効な治療法は現時点で見つかっておらず、緊急に必要とされているにもかかわらず、APBDはGSDのより大きな群である。GSDは、15の不治の疾患からなる多彩な群であり、20,000~43,000人に1人の合計頻度を有する。GSD1などの小児肝臓障害から、ラフォラ疾患(LD)などの青年期ミオクローヌスてんかん、及びAPBDなどの成人進行性神経変性障害に至るまで、全てのGSDは現在不治である。リソソーム蓄積症及び糖原病のための療法、薬剤、並びに改善された相関する診断法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様では、リソソーム蓄積関連疾患及び自己貪食誤調節関連疾患から選択される疾患又は障害の予防又は治療に使用するための医薬組成物であって、化合物と、その薬学的に許容される塩、異性体又は互変異性体とを含み、本化合物が式I:
【0009】
【0010】
【化2】
は、単結合又は二重結合を表し、
n及びmは、それぞれ独立して、1から3の範囲の整数を表し、
R及びR
1は、それぞれ独立して、水素を表すか、又は存在せず、
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素を表すか、又は置換若しくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、アミノ、ニトロ、ハロ、トリハロメチル、シアノ、アミド、カルボキシ、スルホニル、スルホキシ、スルフィニル、スルホンアミドからなる群から選択される。)
で表される医薬組成物が提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、n及びmは1である。
【0012】
いくつかの実施形態では、R2、R7及びR8はメチルを表す。
【0013】
いくつかの実施形態では、本化合物は、
【0014】
【0015】
いくつかの実施形態では、リソソーム蓄積関連疾患は、ゴーシェ病、ファブリー病、テイ-サックス病、ムコ多糖症(MPS)病、アスパルチルグルコサミン尿症、GMl-ガングリオシドーシス、クラッベ病(グロボイド細胞性脳白質異栄養症又はガラクトシルセラミドリピドーシス)、異染性、白質ジストロフィー、サンドホフ病、ムコリビドーシスII型(I-セル病)、ムコリビドーシスIIIA型(偽性ハーラーポリジストロフィー)、ニーマン・ピック病C2型及びCl型、ダノン病、遊離シアル酸蓄積障害、ムコリビドーシスIV型、及び多発性スルファターゼ欠損症(MSD)、代謝障害、肥満、II型糖尿病及びインスリン抵抗性からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、自己貪食誤調節関連疾患は、自己貪食活性の低下又は誤調節を特徴とする。いくつかの実施形態では、自己貪食活性の低下又は誤調節を特徴とする自己貪食誤調節関連疾患は、アルツハイマー病、及び自己貪食活性の低下に関連するがんからなる群から選択される。
【0017】
本発明の別の態様では、それを必要とする対象においてリソソーム蓄積関連疾患及び自己貪食誤調節関連疾患から選択される疾患又は障害の発症を治療又は予防するための方法であって、治療有効量の本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。
【0018】
本発明の別の態様では、リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1;配列番号1;FSVNYDTKSGPKNMTFDLPSDATVVLNRSSCGKENTSDPSLVIAFGRGHTLTLNFTRNATRYSV)のN末端ドメイン領域に結合する薬剤であって、当該領域が、配列番号2(FSVNYD))及び配列番号3(NVTV)のうちのいずれか1つを含む、薬剤が提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、本薬剤はLAMP1:LAMP1相互作用を阻害する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、リソソーム貯蔵、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本薬剤は、自己貪食誤調節関連疾患の予防又は治療に使用するためのものである。
【0021】
いくつかの実施形態では、その疾患又は障害は、糖原病(GSD)、成人型ポリグルコサン小体病(APBD)、及びラフォラ疾患、ゴーシェ病、ファブリー病、テイ-サックス病、ムコ多糖症(MPS)病、アスパルチルグルコサミン尿症、GMl-ガングリオシドーシス、クラッベ病(グロボイド細胞性脳白質異栄養症又はガラクトシルセラミドリピドーシス)、異染性、白質ジストロフィー、サンドホフ病、ムコリビドーシスII型(I-セル病)、ムコリビドーシスIIIA型(偽性ハーラーポリジストロフィー)、ニーマン・ピック病C2型及びCl型、ダノン病、遊離シアル酸蓄積障害、ムコリビドーシスIV型、及び多発性スルファターゼ欠損症(MSD)、代謝障害、肥満、II型糖尿病及びインスリン抵抗性からなる群から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、薬剤は、
【0023】
【0024】
本発明の別の態様では、本発明の薬剤及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、溶液中で4~6.5のpHを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、100nM~5mMの薬剤を含む。
【0027】
本発明の別の態様では、治療有効量の本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるリソソーム蓄積、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積に関連する疾患又は障害及び自己貪食誤調節関連疾患の発症を治療又は予防する方法が提供される。
【0028】
本発明の別の態様では、リソソーム蓄積、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積に関連する疾患又は障害、及び自己貪食誤調節関連疾患を予防又は治療するための化合物の適合性を判定するための方法であって、本化合物をリソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1;配列番号1)のN末端ドメイン内のポケットドメインに接触させることを含み、上記ポケットへの本化合物の結合が、本化合物が上記疾患又は障害を治療するのに有効であることを示す、方法が提供される。
【0029】
いくつかの実施形態では、この結合は、配列番号2(FSVNYD);及び配列番号3(NVTV)のうちのいずれか1つを含む、薬剤が提供される。
【0030】
いくつかの実施形態では、この結合は、LAMP1:LAMP1相互作用の阻害によって判定される。
【0031】
いくつかの実施形態では、この結合は、LAMP1間相互作用の阻害によって判定される。
【0032】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の実施形態の実践又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に説明する。矛盾する場合は、定義を含む本特許明細書が優先される。更に、材料、方法、及び例は、単なる例示であり、必ずしも限定することを意図していない。
【0033】
本発明の更なる実施形態及び適用可能性の全範囲は、以下に与えられる詳細な記述から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲内での様々な変更及び改変は、この詳細な記述から当業者に明らかになるであろうから、詳細な記述及び具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、単に例示として与えられているにすぎないことは理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1B】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1C】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1D】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1E】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1F】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1G】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1H】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1I】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1J】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1K】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1L】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図1M】
図1A~
図1Mは、化合物1の化学構(1A)、5%DMSOビヒクルで処置した9匹の動物(n=9)と比較した、250mg/kgの化合物1(144DG11)で週2回処置した17匹の動物(n=17)に基づくカプラン-マイヤー生存曲線のグラフ(ログランク検定p値<0.000692)(1B)、体重曲線のグラフ(g単位)(1C)、オープンフィールドにおける平均移動時間のグラフ(1D)、及び、野生型マウス(n=8)をビヒクルで処置した後の、またGbe
ys/ysマウスをビヒクル(n=8)又は化合物1(n=9)で処置した後の時間の関数としての伸展反射(動物を尾から掴んだ後に後肢が開く程度)のグラフ(1E~1F)、オープンフィールド性能実験の定量化(1G)を示す運動ヒートマップの写真(上パネル、n=9、9月齢の雌に基づく平均、下パネルは、単一動物の視覚追跡例を示し、wtは対照としての未処理野生型動物を示し、tg処置は化合物1で処置したGbe
ys/ys(トランスジェニック)マウスを示し、tgはビヒクルで処置したAPBDマウスを示す)、各アームからのn=9、9ヶ月齢雌マウスの歩行分析(ストライド長)のグラフ(1H)(平均(+/-s.d.)ストライド長を示す)、オープンフィールドにおける運動曲線の平均持続時間のグラフ(1I)、体重曲線のグラフ(g単位)(1J)、及び、6ヶ月齢(発症時)に示されるGbe
ys/ysマウスをビヒクル又は化合物1で処置した後の時間の関数としての伸展反射曲線を示すグラフ(1K)、写真撮影の3ヶ月前にビヒクル(1L)又は化合物1(1M)で処置した7ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスの写真、を含む。
【
図2A-1】
図2A~
図2Cは、化合物1の組織病理効果及びその薬物動態の画像及びグラフを含み、右パネルは、ジアスターゼで処置した後に屠殺されたマウスのPASでPG(矢印)について染色した示された組織の画像を示し、左パネルは、n=2の野生型マウス、n=7のGbe
ys/ysビヒクル処置マウス、及びn=9の化合物1処置マウスの各組織から得られた4つの切片の分析に基づいて、PAS染色を定量化する棒グラフ(2A)、それぞれの組織における総グリコーゲンを定量化する棒グラフ(2B)、化合物1の薬物動態のグラフ(2C)を示す。9ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスに、150μLの化合物1を250mg/kgでSC注射した。注射の30分後、60分後、90分後及び210分後にマウスを屠殺し、示された組織を取り出し、200μLの血清を採取した。グラフは、LC-MS/MSによって測定された異なる組織における化合物1レベルを示す。各時点でn=3のマウスから得られた結果の平均及びSEMを示す。反復測定二元配置ANOVA検定は、各組織の薬物動態プロファイルが他の全ての組織のそれと有意に異なることを示す(p<0.05)。
*は、スチューデントt検定によって決定される有意差(p<0.05)を示す。
【
図2A-2】
図2A~
図2Cは、化合物1の組織病理効果及びその薬物動態の画像及びグラフを含み、右パネルは、ジアスターゼで処置した後に屠殺されたマウスのPASでPG(矢印)について染色した示された組織の画像を示し、左パネルは、n=2の野生型マウス、n=7のGbe
ys/ysビヒクル処置マウス、及びn=9の化合物1処置マウスの各組織から得られた4つの切片の分析に基づいて、PAS染色を定量化する棒グラフ(2A)、それぞれの組織における総グリコーゲンを定量化する棒グラフ(2B)、化合物1の薬物動態のグラフ(2C)を示す。9ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスに、150μLの化合物1を250mg/kgでSC注射した。注射の30分後、60分後、90分後及び210分後にマウスを屠殺し、示された組織を取り出し、200μLの血清を採取した。グラフは、LC-MS/MSによって測定された異なる組織における化合物1レベルを示す。各時点でn=3のマウスから得られた結果の平均及びSEMを示す。反復測定二元配置ANOVA検定は、各組織の薬物動態プロファイルが他の全ての組織のそれと有意に異なることを示す(p<0.05)。
*は、スチューデントt検定によって決定される有意差(p<0.05)を示す。
【
図2B】
図2A~
図2Cは、化合物1の組織病理効果及びその薬物動態の画像及びグラフを含み、右パネルは、ジアスターゼで処置した後に屠殺されたマウスのPASでPG(矢印)について染色した示された組織の画像を示し、左パネルは、n=2の野生型マウス、n=7のGbe
ys/ysビヒクル処置マウス、及びn=9の化合物1処置マウスの各組織から得られた4つの切片の分析に基づいて、PAS染色を定量化する棒グラフ(2A)、それぞれの組織における総グリコーゲンを定量化する棒グラフ(2B)、化合物1の薬物動態のグラフ(2C)を示す。9ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスに、150μLの化合物1を250mg/kgでSC注射した。注射の30分後、60分後、90分後及び210分後にマウスを屠殺し、示された組織を取り出し、200μLの血清を採取した。グラフは、LC-MS/MSによって測定された異なる組織における化合物1レベルを示す。各時点でn=3のマウスから得られた結果の平均及びSEMを示す。反復測定二元配置ANOVA検定は、各組織の薬物動態プロファイルが他の全ての組織のそれと有意に異なることを示す(p<0.05)。
*は、スチューデントt検定によって決定される有意差(p<0.05)を示す。
【
図2C】
図2A~
図2Cは、化合物1の組織病理効果及びその薬物動態の画像及びグラフを含み、右パネルは、ジアスターゼで処置した後に屠殺されたマウスのPASでPG(矢印)について染色した示された組織の画像を示し、左パネルは、n=2の野生型マウス、n=7のGbe
ys/ysビヒクル処置マウス、及びn=9の化合物1処置マウスの各組織から得られた4つの切片の分析に基づいて、PAS染色を定量化する棒グラフ(2A)、それぞれの組織における総グリコーゲンを定量化する棒グラフ(2B)、化合物1の薬物動態のグラフ(2C)を示す。9ヶ月齢のGbe
ys/ysマウスに、150μLの化合物1を250mg/kgでSC注射した。注射の30分後、60分後、90分後及び210分後にマウスを屠殺し、示された組織を取り出し、200μLの血清を採取した。グラフは、LC-MS/MSによって測定された異なる組織における化合物1レベルを示す。各時点でn=3のマウスから得られた結果の平均及びSEMを示す。反復測定二元配置ANOVA検定は、各組織の薬物動態プロファイルが他の全ての組織のそれと有意に異なることを示す(p<0.05)。
*は、スチューデントt検定によって決定される有意差(p<0.05)を示す。
【
図3A】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図3B】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図3C】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図3D】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図3E】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図3F】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図3G】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図3H】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図3I】
図3A~
図3Iは、インビボ代謝に対する化合物1の効果のグラフを含み、マウスを、Promethion高解像度行動表現型解析システム(Sable Instruments,Inc.)によって24時間にわたってモニターした。有効質量は0.75のべき乗で計算した。データは、wt対照ビヒクル群におけるn=11の9月齢マウス、GBE
ys/ysビヒクル群におけるn=6の9月齢マウス、及びGbe
ys/ys144DG11(化合物1)処置群におけるn=7の9月齢マウスから得られた平均±SEMである。全ての注射は4ヶ月齢からとした。非処置GBE
ys/ysマウスは、野生型対照と比較して、より低い(明所での)呼吸商(3A)、総エネルギー消費量(TEE)(3B)、及び脂肪酸化(3C)を示す。疾患状態によって有意に影響されない炭水化物酸化及び歩行活動は、化合物1によって、wt対照レベルさえも超えて増加した(3D~3E)。化合物1はまた、wt対照と比較して、Gbe
ys/ysマウスで観察された食事の量及び飲んだ水の量の減少を逆転させた(3F~3H)。示されるように処置されたn=5、9.5ヶ月齢のマウスに基づく血液代謝パネル(3I)。Gbe
ys/ys細胞では、化合物1によって血中グルコースが増加し、血中トリグリセリドが減少した(p<0.05、スチューデントt検定)。
*p<0.05v wt.対照、#p<0.05v GBE
ys/ysビヒクル処置マウス。
【
図4A】
図4A~
図4Dは、異なるAPBD患者由来の皮膚線維芽細胞における総グリコーゲンについてのPAS染色の棒グラフ(4A)、48時間にわたってグルコース飢餓させたAPBD87線維芽細胞(左)、又はグルコース飢餓させ、次いで最後の24時間補充してグリコーゲン負荷を誘導したAPBD87線維芽細胞(右)における総グリコーゲンについてのPAS染色の画像(4B)(画像取得は、40倍PlanFluor対物レンズ及びCY3フィルターを使用してNikon Eclipse Ti2顕微鏡によって行った)、48時間のグルコース飢餓、又は4Bにおけるような飢餓及びグルコース補充下でのAPBD線維芽細胞の画像ベースのマルチパラメトリック表現型のグラフ(4C)(有意水準p=0.01)、並びにAgilentのSeahorse装置及びATP速度アッセイキットによって測定された解糖及びミトコンドリアATP産生の棒グラフ(4D)を含む。健常対照(HC)及びAPBD患者の線維芽細胞は、未処理であるか、又は10μMの化合物1で48時間(慢性)若しくはアッセイで20分間(急性)処置した。測定値を、クリスタルバイオレット染色によって測定した細胞数に対して正規化した。n=6の反復に基づく平均値及びSD値を示す。
【
図4B】
図4A~
図4Dは、異なるAPBD患者由来の皮膚線維芽細胞における総グリコーゲンについてのPAS染色の棒グラフ(4A)、48時間にわたってグルコース飢餓させたAPBD87線維芽細胞(左)、又はグルコース飢餓させ、次いで最後の24時間補充してグリコーゲン負荷を誘導したAPBD87線維芽細胞(右)における総グリコーゲンについてのPAS染色の画像(4B)(画像取得は、40倍PlanFluor対物レンズ及びCY3フィルターを使用してNikon Eclipse Ti2顕微鏡によって行った)、48時間のグルコース飢餓、又は4Bにおけるような飢餓及びグルコース補充下でのAPBD線維芽細胞の画像ベースのマルチパラメトリック表現型のグラフ(4C)(有意水準p=0.01)、並びにAgilentのSeahorse装置及びATP速度アッセイキットによって測定された解糖及びミトコンドリアATP産生の棒グラフ(4D)を含む。健常対照(HC)及びAPBD患者の線維芽細胞は、未処理であるか、又は10μMの化合物1で48時間(慢性)若しくはアッセイで20分間(急性)処置した。測定値を、クリスタルバイオレット染色によって測定した細胞数に対して正規化した。n=6の反復に基づく平均値及びSD値を示す。
【
図4C】
図4A~
図4Dは、異なるAPBD患者由来の皮膚線維芽細胞における総グリコーゲンについてのPAS染色の棒グラフ(4A)、48時間にわたってグルコース飢餓させたAPBD87線維芽細胞(左)、又はグルコース飢餓させ、次いで最後の24時間補充してグリコーゲン負荷を誘導したAPBD87線維芽細胞(右)における総グリコーゲンについてのPAS染色の画像(4B)(画像取得は、40倍PlanFluor対物レンズ及びCY3フィルターを使用してNikon Eclipse Ti2顕微鏡によって行った)、48時間のグルコース飢餓、又は4Bにおけるような飢餓及びグルコース補充下でのAPBD線維芽細胞の画像ベースのマルチパラメトリック表現型のグラフ(4C)(有意水準p=0.01)、並びにAgilentのSeahorse装置及びATP速度アッセイキットによって測定された解糖及びミトコンドリアATP産生の棒グラフ(4D)を含む。健常対照(HC)及びAPBD患者の線維芽細胞は、未処理であるか、又は10μMの化合物1で48時間(慢性)若しくはアッセイで20分間(急性)処置した。測定値を、クリスタルバイオレット染色によって測定した細胞数に対して正規化した。n=6の反復に基づく平均値及びSD値を示す。
【
図4D】
図4A~
図4Dは、異なるAPBD患者由来の皮膚線維芽細胞における総グリコーゲンについてのPAS染色の棒グラフ(4A)、48時間にわたってグルコース飢餓させたAPBD87線維芽細胞(左)、又はグルコース飢餓させ、次いで最後の24時間補充してグリコーゲン負荷を誘導したAPBD87線維芽細胞(右)における総グリコーゲンについてのPAS染色の画像(4B)(画像取得は、40倍PlanFluor対物レンズ及びCY3フィルターを使用してNikon Eclipse Ti2顕微鏡によって行った)、48時間のグルコース飢餓、又は4Bにおけるような飢餓及びグルコース補充下でのAPBD線維芽細胞の画像ベースのマルチパラメトリック表現型のグラフ(4C)(有意水準p=0.01)、並びにAgilentのSeahorse装置及びATP速度アッセイキットによって測定された解糖及びミトコンドリアATP産生の棒グラフ(4D)を含む。健常対照(HC)及びAPBD患者の線維芽細胞は、未処理であるか、又は10μMの化合物1で48時間(慢性)若しくはアッセイで20分間(急性)処置した。測定値を、クリスタルバイオレット染色によって測定した細胞数に対して正規化した。n=6の反復に基づく平均値及びSD値を示す。
【
図5A】
図5A~
図5Eは、実験1~3において形成された液晶によって示されるように、化合物1の周囲にヘテロ集合が形成され、内因性分子の周囲には形成されないことを示す実験の画像(5A)、化合物1のインタラクトームにおける標的のSTRINGネットワークの画像(5B)、化合物1のヘテロアセンブリの異なる標的の細胞熱シフトアッセイ(CETSA)(5C)、LAMP1への化合物1の結合の表面プラズモン共鳴センサーグラム(5D)(このとき、示された濃度範囲及びpH値での会合及び解離からなるセンサーグラム実験を行った。結果は、LAMP1の化合物1への用量反応性会合がpH6で開始し、pH5では部分的であり、リソソームpH4.5~5で明確に実証されたことを示す。)、SiteMap、fPocket及びFtSiteによって予測されたLAMP1グリッドによる化合物1の3つの結合モデルの画像(5E)、を含む。
【
図5B】
図5A~
図5Eは、実験1~3において形成された液晶によって示されるように、化合物1の周囲にヘテロ集合が形成され、内因性分子の周囲には形成されないことを示す実験の画像(5A)、化合物1のインタラクトームにおける標的のSTRINGネットワークの画像(5B)、化合物1のヘテロアセンブリの異なる標的の細胞熱シフトアッセイ(CETSA)(5C)、LAMP1への化合物1の結合の表面プラズモン共鳴センサーグラム(5D)(このとき、示された濃度範囲及びpH値での会合及び解離からなるセンサーグラム実験を行った。結果は、LAMP1の化合物1への用量反応性会合がpH6で開始し、pH5では部分的であり、リソソームpH4.5~5で明確に実証されたことを示す。)、SiteMap、fPocket及びFtSiteによって予測されたLAMP1グリッドによる化合物1の3つの結合モデルの画像(5E)、を含む。
【
図5C】
図5A~
図5Eは、実験1~3において形成された液晶によって示されるように、化合物1の周囲にヘテロ集合が形成され、内因性分子の周囲には形成されないことを示す実験の画像(5A)、化合物1のインタラクトームにおける標的のSTRINGネットワークの画像(5B)、化合物1のヘテロアセンブリの異なる標的の細胞熱シフトアッセイ(CETSA)(5C)、LAMP1への化合物1の結合の表面プラズモン共鳴センサーグラム(5D)(このとき、示された濃度範囲及びpH値での会合及び解離からなるセンサーグラム実験を行った。結果は、LAMP1の化合物1への用量反応性会合がpH6で開始し、pH5では部分的であり、リソソームpH4.5~5で明確に実証されたことを示す。)、SiteMap、fPocket及びFtSiteによって予測されたLAMP1グリッドによる化合物1の3つの結合モデルの画像(5E)、を含む。
【
図5D】
図5A~
図5Eは、実験1~3において形成された液晶によって示されるように、化合物1の周囲にヘテロ集合が形成され、内因性分子の周囲には形成されないことを示す実験の画像(5A)、化合物1のインタラクトームにおける標的のSTRINGネットワークの画像(5B)、化合物1のヘテロアセンブリの異なる標的の細胞熱シフトアッセイ(CETSA)(5C)、LAMP1への化合物1の結合の表面プラズモン共鳴センサーグラム(5D)(このとき、示された濃度範囲及びpH値での会合及び解離からなるセンサーグラム実験を行った。結果は、LAMP1の化合物1への用量反応性会合がpH6で開始し、pH5では部分的であり、リソソームpH4.5~5で明確に実証されたことを示す。)、SiteMap、fPocket及びFtSiteによって予測されたLAMP1グリッドによる化合物1の3つの結合モデルの画像(5E)、を含む。
【
図5E】
図5A~
図5Eは、実験1~3において形成された液晶によって示されるように、化合物1の周囲にヘテロ集合が形成され、内因性分子の周囲には形成されないことを示す実験の画像(5A)、化合物1のインタラクトームにおける標的のSTRINGネットワークの画像(5B)、化合物1のヘテロアセンブリの異なる標的の細胞熱シフトアッセイ(CETSA)(5C)、LAMP1への化合物1の結合の表面プラズモン共鳴センサーグラム(5D)(このとき、示された濃度範囲及びpH値での会合及び解離からなるセンサーグラム実験を行った。結果は、LAMP1の化合物1への用量反応性会合がpH6で開始し、pH5では部分的であり、リソソームpH4.5~5で明確に実証されたことを示す。)、SiteMap、fPocket及びFtSiteによって予測されたLAMP1グリッドによる化合物1の3つの結合モデルの画像(5E)、を含む。
【
図6A】
図6A~
図6Eは、非脂質化LC3に対する脂質化LC3の比(LC3II/LC3I)のリソソーム阻害剤依存的増加の程度によって決定された、自己貪食性フラックスの棒グラフ(6A)、化合物11又は5%DMSOビヒクルで処置した9.5ヶ月齢のGbe
ys/ysマウス由来の肝臓組織の代表的なTEM画像(6B)(G:グリコーゲン(α粒子)及びポリグルコサン(可変電子密度を有する構造)、L:リソソーム、M:ミトコンドリア、右パネル:リソソームグリコーゲン染色をImageJ「カウント粒子」ツールによって定量化した。)、LAMP1ノックダウン及び対照APBD一次皮膚線維芽細胞を化合物1及びリソソーム阻害剤(LI)で処置したか又は処置しなかった顕微鏡写真、並びに3つの実験の定量化及びスチューデントt検定の結果(
**はp<0.1、
**はp<0.05、
***はp<0.01)(6C)、GFP又はGFP-shLAMP1をコードするレンチウイルスで形質導入され、化合物1で24時間処理されたか又は処理されていないAPBD初代線維芽細胞において測定されたリソソームpH変化のグラフ、及びLysosensorで処理され、PASについて染色された細胞の共焦点顕微鏡画像(6D)、及び、化合物1で24時間(慢性)又はアッセイ(急性)処理したLAMP1-KD細胞及びGFP(対照)細胞におけるATP産生速度アッセイの棒グラフ(6E)、を含む。
【
図6B】
図6A~
図6Eは、非脂質化LC3に対する脂質化LC3の比(LC3II/LC3I)のリソソーム阻害剤依存的増加の程度によって決定された、自己貪食性フラックスの棒グラフ(6A)、化合物11又は5%DMSOビヒクルで処置した9.5ヶ月齢のGbe
ys/ysマウス由来の肝臓組織の代表的なTEM画像(6B)(G:グリコーゲン(α粒子)及びポリグルコサン(可変電子密度を有する構造)、L:リソソーム、M:ミトコンドリア、右パネル:リソソームグリコーゲン染色をImageJ「カウント粒子」ツールによって定量化した。)、LAMP1ノックダウン及び対照APBD一次皮膚線維芽細胞を化合物1及びリソソーム阻害剤(LI)で処置したか又は処置しなかった顕微鏡写真、並びに3つの実験の定量化及びスチューデントt検定の結果(
**はp<0.1、
**はp<0.05、
***はp<0.01)(6C)、GFP又はGFP-shLAMP1をコードするレンチウイルスで形質導入され、化合物1で24時間処理されたか又は処理されていないAPBD初代線維芽細胞において測定されたリソソームpH変化のグラフ、及びLysosensorで処理され、PASについて染色された細胞の共焦点顕微鏡画像(6D)、及び、化合物1で24時間(慢性)又はアッセイ(急性)処理したLAMP1-KD細胞及びGFP(対照)細胞におけるATP産生速度アッセイの棒グラフ(6E)、を含む。
【
図6C】
図6A~
図6Eは、非脂質化LC3に対する脂質化LC3の比(LC3II/LC3I)のリソソーム阻害剤依存的増加の程度によって決定された、自己貪食性フラックスの棒グラフ(6A)、化合物11又は5%DMSOビヒクルで処置した9.5ヶ月齢のGbe
ys/ysマウス由来の肝臓組織の代表的なTEM画像(6B)(G:グリコーゲン(α粒子)及びポリグルコサン(可変電子密度を有する構造)、L:リソソーム、M:ミトコンドリア、右パネル:リソソームグリコーゲン染色をImageJ「カウント粒子」ツールによって定量化した。)、LAMP1ノックダウン及び対照APBD一次皮膚線維芽細胞を化合物1及びリソソーム阻害剤(LI)で処置したか又は処置しなかった顕微鏡写真、並びに3つの実験の定量化及びスチューデントt検定の結果(
**はp<0.1、
**はp<0.05、
***はp<0.01)(6C)、GFP又はGFP-shLAMP1をコードするレンチウイルスで形質導入され、化合物1で24時間処理されたか又は処理されていないAPBD初代線維芽細胞において測定されたリソソームpH変化のグラフ、及びLysosensorで処理され、PASについて染色された細胞の共焦点顕微鏡画像(6D)、及び、化合物1で24時間(慢性)又はアッセイ(急性)処理したLAMP1-KD細胞及びGFP(対照)細胞におけるATP産生速度アッセイの棒グラフ(6E)、を含む。
【
図6D-1】
図6A~
図6Eは、非脂質化LC3に対する脂質化LC3の比(LC3II/LC3I)のリソソーム阻害剤依存的増加の程度によって決定された、自己貪食性フラックスの棒グラフ(6A)、化合物11又は5%DMSOビヒクルで処置した9.5ヶ月齢のGbe
ys/ysマウス由来の肝臓組織の代表的なTEM画像(6B)(G:グリコーゲン(α粒子)及びポリグルコサン(可変電子密度を有する構造)、L:リソソーム、M:ミトコンドリア、右パネル:リソソームグリコーゲン染色をImageJ「カウント粒子」ツールによって定量化した。)、LAMP1ノックダウン及び対照APBD一次皮膚線維芽細胞を化合物1及びリソソーム阻害剤(LI)で処置したか又は処置しなかった顕微鏡写真、並びに3つの実験の定量化及びスチューデントt検定の結果(
**はp<0.1、
**はp<0.05、
***はp<0.01)(6C)、GFP又はGFP-shLAMP1をコードするレンチウイルスで形質導入され、化合物1で24時間処理されたか又は処理されていないAPBD初代線維芽細胞において測定されたリソソームpH変化のグラフ、及びLysosensorで処理され、PASについて染色された細胞の共焦点顕微鏡画像(6D)、及び、化合物1で24時間(慢性)又はアッセイ(急性)処理したLAMP1-KD細胞及びGFP(対照)細胞におけるATP産生速度アッセイの棒グラフ(6E)、を含む。
【
図6D-2】
図6A~
図6Eは、非脂質化LC3に対する脂質化LC3の比(LC3II/LC3I)のリソソーム阻害剤依存的増加の程度によって決定された、自己貪食性フラックスの棒グラフ(6A)、化合物11又は5%DMSOビヒクルで処置した9.5ヶ月齢のGbe
ys/ysマウス由来の肝臓組織の代表的なTEM画像(6B)(G:グリコーゲン(α粒子)及びポリグルコサン(可変電子密度を有する構造)、L:リソソーム、M:ミトコンドリア、右パネル:リソソームグリコーゲン染色をImageJ「カウント粒子」ツールによって定量化した。)、LAMP1ノックダウン及び対照APBD一次皮膚線維芽細胞を化合物1及びリソソーム阻害剤(LI)で処置したか又は処置しなかった顕微鏡写真、並びに3つの実験の定量化及びスチューデントt検定の結果(
**はp<0.1、
**はp<0.05、
***はp<0.01)(6C)、GFP又はGFP-shLAMP1をコードするレンチウイルスで形質導入され、化合物1で24時間処理されたか又は処理されていないAPBD初代線維芽細胞において測定されたリソソームpH変化のグラフ、及びLysosensorで処理され、PASについて染色された細胞の共焦点顕微鏡画像(6D)、及び、化合物1で24時間(慢性)又はアッセイ(急性)処理したLAMP1-KD細胞及びGFP(対照)細胞におけるATP産生速度アッセイの棒グラフ(6E)、を含む。
【
図6E】
図6A~
図6Eは、非脂質化LC3に対する脂質化LC3の比(LC3II/LC3I)のリソソーム阻害剤依存的増加の程度によって決定された、自己貪食性フラックスの棒グラフ(6A)、化合物11又は5%DMSOビヒクルで処置した9.5ヶ月齢のGbe
ys/ysマウス由来の肝臓組織の代表的なTEM画像(6B)(G:グリコーゲン(α粒子)及びポリグルコサン(可変電子密度を有する構造)、L:リソソーム、M:ミトコンドリア、右パネル:リソソームグリコーゲン染色をImageJ「カウント粒子」ツールによって定量化した。)、LAMP1ノックダウン及び対照APBD一次皮膚線維芽細胞を化合物1及びリソソーム阻害剤(LI)で処置したか又は処置しなかった顕微鏡写真、並びに3つの実験の定量化及びスチューデントt検定の結果(
**はp<0.1、
**はp<0.05、
***はp<0.01)(6C)、GFP又はGFP-shLAMP1をコードするレンチウイルスで形質導入され、化合物1で24時間処理されたか又は処理されていないAPBD初代線維芽細胞において測定されたリソソームpH変化のグラフ、及びLysosensorで処理され、PASについて染色された細胞の共焦点顕微鏡画像(6D)、及び、化合物1で24時間(慢性)又はアッセイ(急性)処理したLAMP1-KD細胞及びGFP(対照)細胞におけるATP産生速度アッセイの棒グラフ(6E)、を含む。
【
図7A】
図7A~
図7Fは、HC及びAPBD線維芽細胞におけるIBPパラメータのグラフ、並びにx軸上に示される異なる変数(細胞特徴)に対して行われたランダムフォレスト分類の出力としての可変重要度プロット(ランダムフォレスト分析は、APBD及びHC細胞集団が93%の信頼水準で分離されることを実証した)(7A)、n=5 HC及びn=5 APBD患者皮膚線維芽細胞のマルチパラメトリック細胞表現型特徴付けのグラフ(偏差の量(-log(P値))によって順序付けられた、示された細胞特徴のHCからの偏差の程度。値が破線(枠)より上にある特徴は、p値<0.01でHCからの偏差を示す。分析された様々な比較(化合物A=化合物1)が示されている)(7B)、IBPによって分析された、APBD及びHC細胞において化合物1によって影響を受けたリソソームパラメータの棒グラフ(7C)、飢餓及びグリコーゲン負荷条件下でAPBD及び化合物1によって影響を受けたタンパク質のボルケーノプロット(7D)、飢餓(48)及びグリコーゲン負荷(48+24)条件下で、APBDによって下方調節され、化合物1によって上方調節され、逆もまた同様であるタンパク質のベン図(7E)、及び、化合物1によって上方調節されたタンパク質(左)及び下方調節されたタンパク質(右)の遺伝子オントロジー(7F)、を含む。
【
図7B】
図7A~
図7Fは、HC及びAPBD線維芽細胞におけるIBPパラメータのグラフ、並びにx軸上に示される異なる変数(細胞特徴)に対して行われたランダムフォレスト分類の出力としての可変重要度プロット(ランダムフォレスト分析は、APBD及びHC細胞集団が93%の信頼水準で分離されることを実証した)(7A)、n=5 HC及びn=5 APBD患者皮膚線維芽細胞のマルチパラメトリック細胞表現型特徴付けのグラフ(偏差の量(-log(P値))によって順序付けられた、示された細胞特徴のHCからの偏差の程度。値が破線(枠)より上にある特徴は、p値<0.01でHCからの偏差を示す。分析された様々な比較(化合物A=化合物1)が示されている)(7B)、IBPによって分析された、APBD及びHC細胞において化合物1によって影響を受けたリソソームパラメータの棒グラフ(7C)、飢餓及びグリコーゲン負荷条件下でAPBD及び化合物1によって影響を受けたタンパク質のボルケーノプロット(7D)、飢餓(48)及びグリコーゲン負荷(48+24)条件下で、APBDによって下方調節され、化合物1によって上方調節され、逆もまた同様であるタンパク質のベン図(7E)、及び、化合物1によって上方調節されたタンパク質(左)及び下方調節されたタンパク質(右)の遺伝子オントロジー(7F)、を含む。
【
図7C】
図7A~
図7Fは、HC及びAPBD線維芽細胞におけるIBPパラメータのグラフ、並びにx軸上に示される異なる変数(細胞特徴)に対して行われたランダムフォレスト分類の出力としての可変重要度プロット(ランダムフォレスト分析は、APBD及びHC細胞集団が93%の信頼水準で分離されることを実証した)(7A)、n=5 HC及びn=5 APBD患者皮膚線維芽細胞のマルチパラメトリック細胞表現型特徴付けのグラフ(偏差の量(-log(P値))によって順序付けられた、示された細胞特徴のHCからの偏差の程度。値が破線(枠)より上にある特徴は、p値<0.01でHCからの偏差を示す。分析された様々な比較(化合物A=化合物1)が示されている)(7B)、IBPによって分析された、APBD及びHC細胞において化合物1によって影響を受けたリソソームパラメータの棒グラフ(7C)、飢餓及びグリコーゲン負荷条件下でAPBD及び化合物1によって影響を受けたタンパク質のボルケーノプロット(7D)、飢餓(48)及びグリコーゲン負荷(48+24)条件下で、APBDによって下方調節され、化合物1によって上方調節され、逆もまた同様であるタンパク質のベン図(7E)、及び、化合物1によって上方調節されたタンパク質(左)及び下方調節されたタンパク質(右)の遺伝子オントロジー(7F)、を含む。
【
図7D】
図7A~
図7Fは、HC及びAPBD線維芽細胞におけるIBPパラメータのグラフ、並びにx軸上に示される異なる変数(細胞特徴)に対して行われたランダムフォレスト分類の出力としての可変重要度プロット(ランダムフォレスト分析は、APBD及びHC細胞集団が93%の信頼水準で分離されることを実証した)(7A)、n=5 HC及びn=5 APBD患者皮膚線維芽細胞のマルチパラメトリック細胞表現型特徴付けのグラフ(偏差の量(-log(P値))によって順序付けられた、示された細胞特徴のHCからの偏差の程度。値が破線(枠)より上にある特徴は、p値<0.01でHCからの偏差を示す。分析された様々な比較(化合物A=化合物1)が示されている)(7B)、IBPによって分析された、APBD及びHC細胞において化合物1によって影響を受けたリソソームパラメータの棒グラフ(7C)、飢餓及びグリコーゲン負荷条件下でAPBD及び化合物1によって影響を受けたタンパク質のボルケーノプロット(7D)、飢餓(48)及びグリコーゲン負荷(48+24)条件下で、APBDによって下方調節され、化合物1によって上方調節され、逆もまた同様であるタンパク質のベン図(7E)、及び、化合物1によって上方調節されたタンパク質(左)及び下方調節されたタンパク質(右)の遺伝子オントロジー(7F)、を含む。
【
図7E】
図7A~
図7Fは、HC及びAPBD線維芽細胞におけるIBPパラメータのグラフ、並びにx軸上に示される異なる変数(細胞特徴)に対して行われたランダムフォレスト分類の出力としての可変重要度プロット(ランダムフォレスト分析は、APBD及びHC細胞集団が93%の信頼水準で分離されることを実証した)(7A)、n=5 HC及びn=5 APBD患者皮膚線維芽細胞のマルチパラメトリック細胞表現型特徴付けのグラフ(偏差の量(-log(P値))によって順序付けられた、示された細胞特徴のHCからの偏差の程度。値が破線(枠)より上にある特徴は、p値<0.01でHCからの偏差を示す。分析された様々な比較(化合物A=化合物1)が示されている)(7B)、IBPによって分析された、APBD及びHC細胞において化合物1によって影響を受けたリソソームパラメータの棒グラフ(7C)、飢餓及びグリコーゲン負荷条件下でAPBD及び化合物1によって影響を受けたタンパク質のボルケーノプロット(7D)、飢餓(48)及びグリコーゲン負荷(48+24)条件下で、APBDによって下方調節され、化合物1によって上方調節され、逆もまた同様であるタンパク質のベン図(7E)、及び、化合物1によって上方調節されたタンパク質(左)及び下方調節されたタンパク質(右)の遺伝子オントロジー(7F)、を含む。
【
図7F】
図7A~
図7Fは、HC及びAPBD線維芽細胞におけるIBPパラメータのグラフ、並びにx軸上に示される異なる変数(細胞特徴)に対して行われたランダムフォレスト分類の出力としての可変重要度プロット(ランダムフォレスト分析は、APBD及びHC細胞集団が93%の信頼水準で分離されることを実証した)(7A)、n=5 HC及びn=5 APBD患者皮膚線維芽細胞のマルチパラメトリック細胞表現型特徴付けのグラフ(偏差の量(-log(P値))によって順序付けられた、示された細胞特徴のHCからの偏差の程度。値が破線(枠)より上にある特徴は、p値<0.01でHCからの偏差を示す。分析された様々な比較(化合物A=化合物1)が示されている)(7B)、IBPによって分析された、APBD及びHC細胞において化合物1によって影響を受けたリソソームパラメータの棒グラフ(7C)、飢餓及びグリコーゲン負荷条件下でAPBD及び化合物1によって影響を受けたタンパク質のボルケーノプロット(7D)、飢餓(48)及びグリコーゲン負荷(48+24)条件下で、APBDによって下方調節され、化合物1によって上方調節され、逆もまた同様であるタンパク質のベン図(7E)、及び、化合物1によって上方調節されたタンパク質(左)及び下方調節されたタンパク質(右)の遺伝子オントロジー(7F)、を含む。
【
図8】
図8は、インシリコADMET(吸収、分布、代謝、及び排泄毒性)適合性ポリグルコサン低下化合物と、3つの異なるADMETアルゴリズムの分析を含む。
【
図9】
図9は、Gbe
ys/ysマウスにおいて創傷を引き起こすADMET不適合化合物(
図8の88095528)の結果の画像を含む。
【
図10】
図10は、化合物1で3ヶ月間処置した野生型C57Bl6Jマウスの体重のグラフを含む。マウスに、250mg/kgで、5%DMSO中の150μLの化合物1、又は等体積の5%DMSO(V、ビヒクル)対照を週2回注射した。注射は、最初の1ヶ月間は静脈注射とし、次の2ヶ月間は皮下注射とした。
【
図11】
図11は、化合物1で3ヶ月間処置した野生型C57Bl6Jマウスの脳、肝臓、骨格筋、及び心臓の組織切片の画像を含む。病変を可視化するために、切片をH&E染色によって染色した。いずれの処置においても病変は見られなかった。スケールバー、500μm(脳)、100μm(肝臓)、200μm(筋肉)、100μm(心臓)。
【
図12A】
図12A~
図12Bは、短時間(24時間)又は長時間(72時間)透析した後にQCコロイドクーマシー染色(#1610803、Bio-Rad)で染色した、15%SDS-PAGE移動度シフトゲルによって試験したLAMP1及びRNase Bのグリコシル化状態の顕微鏡写真を含む(12A)、及び、脱グリコシル化LAMP1-Nterタンパク質(degLAMP1-Nt)と化合物11との間の相互作用がないことを示すセンサーグラム(12B)を含む。
【
図12B】
図12A~
図12Bは、短時間(24時間)又は長時間(72時間)透析した後にQCコロイドクーマシー染色(#1610803、Bio-Rad)で染色した、15%SDS-PAGE移動度シフトゲルによって試験したLAMP1及びRNase Bのグリコシル化状態の顕微鏡写真を含む(12A)、及び、脱グリコシル化LAMP1-Nterタンパク質(degLAMP1-Nt)と化合物11との間の相互作用がないことを示すセンサーグラム(12B)を含む。
【
図13A】
図13A~
図13Bは、LAMP1のN末端ドメインにおける化合物1の予測される結合部位と、LAMP1N末端:LAMP1 N末端タンパク質:タンパク質ドッキング計算の画像(13A)、並びにリソソーム膜(LM)、LAMP1、LAMP2及び潜在的阻害剤である化合物1の概略図(13B)を含む。
【
図13B】
図13A~
図13Bは、LAMP1のN末端ドメインにおける化合物1の予測される結合部位と、LAMP1N末端:LAMP1 N末端タンパク質:タンパク質ドッキング計算の画像(13A)、並びにリソソーム膜(LM)、LAMP1、LAMP2及び潜在的阻害剤である化合物1の概略図(13B)を含む。
【
図14A】
図14A~14Bは、10
-6Mの化合物1及びOKMW-XXC(陰性対照)が存在下における、APBD患者の線維芽細胞(14A)又はHC線維芽細胞(14B)上のNPOT(登録商標)によって得られたヘテロ集合体(円)の画像を含む。各実験は3連で行った。いかなる化合物を添加することなく、技術的陰性対照を得た。各写真は、96ウェルプレートのウェルを表す。
【
図14B】
図14A~14Bは、10
-6Mの化合物1及びOKMW-XXC(陰性対照)が存在下における、APBD患者の線維芽細胞(14A)又はHC線維芽細胞(14B)上のNPOT(登録商標)によって得られたヘテロ集合体(円)の画像を含む。各実験は3連で行った。いかなる化合物を添加することなく、技術的陰性対照を得た。各写真は、96ウェルプレートのウェルを表す。
【
図15】
図15は、血清飢餓させ、50μMの144DG11で処理した(又は処理していない、比較例Aとして示す)PD患者由来の皮膚線維芽細胞における自己貪食性フラックスを示す顕微鏡写真及び垂直棒グラフを含む。
【
図16】
図16は、144DG11(50μM、24時間)によるPD初代線維芽細胞の処置が、グリコーゲンの減少を示すPAS染色(マゼンタ)を有意に低下させたことを示す蛍光顕微鏡写真及び垂直棒グラフを含む。黄色、細胞セグメント化に使用したカルセイン、青色、DAPI核染色。中央パネルは、血清飢餓させ、50μMの144DG11で処置した(又はしていない、比較例Aとして示す)PD患者由来の皮膚線維芽細胞におけるセグメント化された自己貪食性フラックスの定量化を示す。
【
図17】
図17は、AgilentのSeahorse機器及びATP速度アッセイキットによって測定された解糖(1)及びミトコンドリア(2)のATP産生を示す垂直棒グラフを含む。HC及びPD患者の線維芽細胞を48時間血清/グルコース飢餓状態にし、次いで、50μMの144DG11を用いないで(未処理)又は用いて(慢性)で24時間、完全培地を補充した。急性、50μM 144DG11を、血清/グルコース補充の24時間後に20分間のアッセイに添加した。測定値を、クリスタルバイオレット染色によって測定した細胞数に対して正規化した。n=6の反復に基づく平均値及びSD値を示す。急性144DG11処理PD線維芽細胞において、解糖及び総ATP産生は、未処理PD細胞と比較して増加した(p<0.002、多重比較のためのSidak事後補正を伴う一元配置ANOVA)。
【
図18】
図18は、示されるように3ヶ月間処置したn=5~6の6ヶ月野生型又はAgl
-/-マウスに基づく血液代謝パネルを示す垂直棒グラフを含む。血中トリグリセリドは144DG11によって減少し、高脂血症の是正を示唆した。
*p<0.049、
***p<0.004。
【
図19A】
図19A~
図19Bは、CD11b磁気ビーズによってADモデリング5XFADマウスの脳から単離されたミクログリア細胞を示す蛍光顕微鏡写真を含む。このとき、ミクログリアを、50μMの144DG11を用いて(処理)、又は用いないで(未処理)24時間インキュベートし、固定し、自己貪食基質LC3(19A)及びp62(19B)について、またグリコーゲンについてPASによって染色した(全て示されている通り)。LC3及びp62の両方のレベルの減少は、これらの基質を分解する自己貪食が誘導されたことを示す。
【
図19B】
図19A~
図19Bは、CD11b磁気ビーズによってADモデリング5XFADマウスの脳から単離されたミクログリア細胞を示す蛍光顕微鏡写真を含む。このとき、ミクログリアを、50μMの144DG11を用いて(処理)、又は用いないで(未処理)24時間インキュベートし、固定し、自己貪食基質LC3(19A)及びp62(19B)について、またグリコーゲンについてPASによって染色した(全て示されている通り)。LC3及びp62の両方のレベルの減少は、これらの基質を分解する自己貪食が誘導されたことを示す。
【
図20A】
図20A~
図20Bは、原発性非小細胞肺がんを示す蛍光顕微鏡写真を含む。細胞を処理し、19A~19Bのように、自己貪食基質LC3(20A)及びp62(20B)について染色した。
【
図20B】
図20A~
図20Bは、原発性非小細胞肺がんを示す蛍光顕微鏡写真を含む。細胞を処理し、19A~19Bのように、自己貪食基質LC3(20A)及びp62(20B)について染色した。
【
図21】
図21は、Gsd1a患者に由来する皮膚線維芽細胞を溶媒又は50μMの化合物Aで24時間処置し、PromegaキットによってNAD+/NADH比について分析し(左パネル)、ウェスタンイムノブロッティングによってSirt1発現(中央パネル)及びp62発現(右パネル)について分析したことを示す垂直棒グラフを含む。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、リソソーム貯蔵に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するための医薬組成物に関する。
【0036】
本発明は更に、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するための医薬組成物に関する。
【0037】
本発明は更に、異常なタンパク質蓄積に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するための医薬組成物に関する。
【0038】
本発明は更に、自己貪食誤調節関連疾患の予防又は治療に使用するための医薬組成物に関する。本発明は更に、自己貪食の低下に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するための医薬組成物に関する。
【0039】
本発明はまた、リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1)のN末端ドメイン領域に結合する薬剤に関する。
【0040】
本発明はまた、それを必要とする対象におけるリソソーム蓄積、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積に関連する疾患又は障害の発症を治療又は予防する方法に関する。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、リソソーム蓄積関連疾患及び自己貪食誤調節関連疾患から選択される疾患又は障害の予防又は治療に使用するための化合物、その薬学的に許容される塩、異性体又は互変異性体であって、当該化合物が、式I:
【0042】
【0043】
【化6】
は、単結合又は二重結合を表し、n及びmは、それぞれ独立して、1から3の範囲の整数を表し、R及びR
1は、それぞれ独立して、水素を表すか、又は存在せず、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素を表すか、又は置換若しくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、アミノ、ニトロ、ハロ、トリハロメチル、シアノ、アミド、カルボキシ、スルホニル、スルホキシ、スルフィニル、スルホンアミドからなる群から選択される。)
で表される、化合物、その薬学的に許容される塩、異性体又は互変異性体を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態では、R又はR1のいずれかが水素を表す。いくつかの実施形態では、Rは水素であり、R1は存在しない。いくつかの実施形態では、R1は水素であり、Rは存在しない。
【0045】
いくつかの実施形態では、n及びmは1である。
【0046】
いくつかの実施形態では、R2、R7及びR8はメチルを表す。
【0047】
いくつかの実施形態では、本化合物は、
【0048】
【0049】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、リソソーム蓄積関連疾患及び自己貪食誤調節関連疾患から選択される疾患又は障害の予防又は治療に使用するための医薬組成物であって、化合物、その薬学的に許容される塩、異性体又は互変異性体を含み、当該化合物が、本明細書で上述した式Iによって表される、医薬組成物を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、リソソーム貯蔵に関連する障害、肥満、II型糖尿病及びインスリン抵抗性から選択される疾患の予防又は治療に使用するための医薬組成物であって、化合物、その薬学的に許容される塩、異性体又は互変異性体を含み、当該化合物が、本明細書の上に記載される式Iによって表される、医薬組成物を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態では、リソソームに関連する疾患又は障害は、蓄積された基質を分解するリソソーム酵素の無能力、リソソームの膨潤、リソソームの破裂、リソソームシグナル伝達の障害、又はそれらの任意の組み合わせに関連する疾患又は障害を指す。
【0052】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、蓄積された基質を分解するリソソーム酵素の無能力に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、膨張したリソソームに関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、細胞質ゾルへの毒性内容物の流出を引き起こすリソソームの破裂に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するためのものである。
【0053】
いくつかの実施形態では、リソソーム蓄積に関連する病気又は障害は、ゴーシェ病、ファブリー病、テイ-サックス病、ムコ多糖症(MPS)病、アスパルチルグルコサミン尿症、GMl-ガングリオシドーシス、クラッベ病(グロボイド細胞性脳白質異栄養症又はガラクトシルセラミドリピドーシス)、異染性、白質ジストロフィー、サンドホフ病、ムコリビドーシスII型(I-セル病)、ムコリビドーシスIIIA型(偽性ハーラーポリジストロフィー)、ニーマン・ピック病C2型及びCl型、ダノン病、遊離シアル酸蓄積障害、ムコリビドーシスIV型、及び多発性スルファターゼ欠損症(MSD)、並びに代謝障害からなる群から選択される。
【0054】
用語「リソソーム蓄積」、「リソソーム蓄積症」及び「リソソーム蓄積障害」(LSD)は、リソソーム機能不全及び神経変性を特徴とする遺伝性疾患の群を指すために本明細書において互換的に使用される。これらの障害は、典型的には、単一遺伝子欠損、すなわち、グリコサミノグリカン(GAG)の分解に通常必要とされる特定の酵素の欠損により、細胞が炭水化物残基を排出することができなくなり、その結果、炭水化物残基が細胞のリソソームに蓄積する。この蓄積は、細胞の正常な機能を破壊し、LSDの臨床症状を引き起こす。リソソーム蓄積に関連する疾患又は障害の非限定的な例としては、スフィンゴリピドーシス、セラミダーゼ(例えば、ファーバー病、クラッベ病)、ガラクトシアリドーシス、アルファ-ガラクトシダーゼを含むガングリオシドーシス(例えば、ファブリー病(α-ガラクトシダーゼA)、シンドラー病(α-ガラクトシダーゼB))、ベータ-ガラクトシダーゼ(例えば、GM1ガングリオシドーシス、GM2ガングリオシドーシス、サンドホフ病、テイ-サックス病)、グルコセレブロイシドーシス(例えば、ゴーシェ病(I型、II型、III型)、スフィンゴミエリナーゼ(例えば、リソソーム酸性リパーゼ欠損症、ニーマン-ピック病)、スルファチドーシス(例えば、異染性白質ジストロフィー、多重スルファターゼ欠損症)、ムコ多糖症(例えば、I型(MPS I(ハーラー症候群、MPS I S シャイエ症候群、MPS I H-S ハーラー-シャイエ症候群)、II型(ハンター症候群)、III型(サンフィリポ症候群)、IV型(モルキオ症候群)、VI型(マロトーラミー症候群)、VII型(Sly症候群)、IX型(ヒアルロニダーゼ欠損症))、ムコリピドーシス(例えば、I型(シアリドーシス)、II型(I-セル病)、III型(偽性ハーラーポリジストロフィー/ホスホトランスフェラーゼ欠損症)、IV型(ムコリピジン1欠損症))、リピドーシス(例えば、ニーマン-ピック病)、神経セロイドリポフスチン症(例えば、1型サンタヴオリ・ハルティア病/乳児NCL(CLN2/LINCL TPP1))、2型ヤンスキー-ビールショースキー病/乳児NCL(CLN2/LINCL TPP1)、3型バッテン-シュピールマイヤー・フォークト病/若年NCL(CLN3)、4型クッフス病/成人NCL(CLN4)、5型フィンランド変異型/乳児後期(CLN5)、6型乳児後期変異型(CLN6)、7型CLN7、8型ノーザンマンノース症(CLN8)、8型トルコ後期乳児(CLN8)、9型ジャーマン/セルビアン後期乳児、10型先天性カテプシンD欠損症(CTSD))、ウォルマン病、オリゴサッカロイド(例えば、アルファ-てんかん、ベータ-マンノシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、フコース症)、リソソーム輸送病(例えば、シスチン症、ピクノディスオストーシス、サラ病/シアル酸蓄積症、乳児遊離シアル酸蓄積症)、II型ポンペ病、Iib型ダノン病)、コレステロールエステル蓄積症などが挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、リソソーム蓄積に関連する疾患又は障害の予防又は治療における、式Iによって表される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、又は互変異性体の使用は、糖原病(GSD)又はそれに関連する状態を含まない、又は除外する。いくつかの実施形態では、リソソーム貯蔵に関連する疾患又は障害の予防又は治療における、式Iによって表される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、又は互変異性体の使用は、GSD IV型、GSD VII型、APDB、又はそれらの任意の組み合わせを含まないか、又は除外する。
【0056】
いくつかの実施形態では、リソソーム蓄積に関連する疾患又は障害の予防又は治療における式Iによって表される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体又は互変異性体の使用は、糖原病(GSD)関連神経変性疾患を含まないか、又は除外する。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、それを必要とする対象におけるリソソーム蓄積に関連する疾患又は障害の発症を治療又は予防するための方法であって、対象に治療有効量の上述した医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、リソソーム蓄積症又は障害に関連するタンパク質の蓄積/凝集の進行を遅らせる、停止させる、又は逆転させるのに有効な量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積の進行を遅らせる、停止させる、又は逆転させるのに有効な量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、自己貪食活性を増加させるのに有効な量である。
【0059】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、リソソーム蓄積症に関連する病理の1つ以上の症状を改善し、かつ/又は、リソソーム蓄積症に関連する神経変性及び/若しくは神経炎症を低減するのに有効な量である。
【0060】
別の態様では、本発明は、減少した又は誤調節された自己貪食活性に関連する疾患又は障害の発症を治療又は予防するための方法を提供する。
【0061】
いくつかの実施形態では、自己貪食誤調節関連疾患は、ミスフォールドタンパク質凝集体によって引き起こされる疾患である。この態様の別の実施形態では、ミスフォールドタンパク質凝集体によって引き起こされる疾患は、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、ハンティングトン病、脊髄小脳変性症、眼筋咽頭型筋ジストロフィー、プリオン病、致死性家族性不眠症、アルファ-1抗トリプシン欠乏症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、X連鎖球脊髄性筋萎縮症、及びニューロン核内硝子様封入体病を含む群から選択される。
【0062】
「自己貪食誤調節関連疾患」という用語はまた、限定するものではないが、がん、心血管、神経変性、代謝、肺、腎臓、感染性、筋骨格、及び眼の障害などの任意の疾患又は障害を含み、自己貪食の誘導は、その疾患又は障害に関連する1つ以上の症状の発症の遅延、進行の減速、停止、又は逆転に寄与する。
【0063】
「自己貪食誤調節関連疾患」という用語はまた、がん、例えば、自己貪食の誘導が細胞の成長及び分裂を阻害し、突然変異誘発を低減し、活性酸素種によって損傷を受けたミトコンドリア及び他の細胞小器官を除去し、又は発生中の腫瘍細胞を死滅させる、任意のがんを含む。「自己貪食誤調節関連疾患」という用語はまた、精神疾患又は障害、例えば、自己貪食の誘導が、精神疾患又は障害に関連する1つ以上の症状の発症の遅延、進行の減速、停止、又は逆転に寄与する任意の精神疾患又は障害を含む。一実施形態では、精神疾患又は障害は、統合失調症及び双極性障害から選択される。
【0064】
一態様では、本発明は、細胞において自己貪食を誘導する方法であって、細胞を、その細胞において自己貪食を誘導するのに有効な量の本発明の医薬組成物と接触させることを含む方法を開示する。
【0065】
一実施形態では、細胞は対象中に存在する。別の実施形態では、細胞はインビトロ細胞培養物中に存在する。細胞の非限定的な例は、神経細胞、グリア細胞、例えば星状細胞、希突起膠細胞、上衣細胞、シュワン細胞、リンパ細胞、上皮細胞、内皮細胞、リンパ球、がん細胞、及び造血細胞である。
【0066】
「自食作用」という用語は、細胞自体の構成要素、例えば、長寿命タンパク質、タンパク質凝集体、細胞小器官、細胞膜、細胞小器官膜、及び他の細胞構成要素の分解を伴う異化プロセスを指す。自食作用の機構は、(i)細胞の標的領域の周囲に膜を形成し、細胞質の残りから内容物を分離すること、(ii)得られた小胞とリソソームとの融合及びその後の小胞内容物の分解を含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、神経変性を低減する方法、神経炎症を低減する方法、進行を遅くする方法、若しくは記憶障害を低減する方法、異常なリソソームサイズを低減する方法、自己貪食性フラックスを再活性化する方法、又はそれらの任意の組み合わせであって、対象に治療有効量の本明細書で上述した医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態では、本方法は、自己貪食が乱される疾患又は障害に罹患している対象において自己貪食性フラックスを再活性化することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に開示されるように、LDSに罹患した対象における自己貪食性フラックスを再活性化することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポンペ病に罹患している対象における自己貪食性フラックスを再活性化することを含む。いくつかの実施形態では、がんは、自己貪食活性の低下に関連するがんである。
【0069】
いくつかの実施形態では、白質ジストロフィー、脊柱側弯症、肝脾腫、精神運動後退、及び魚鱗癬からなる群から選択される1つ以上の症状を改善し、かつ/又はこれらの症状のうちの1つ以上の発症を遅延させる、進行を減速させる、停止させる、又は逆転させる方法が提供される。
【0070】
いくつかの実施形態では、対象は、リソソーム蓄積症についての遺伝子マーカーの存在によってリソソーム蓄積症を有すると同定される。
【0071】
いくつかの実施形態では、投与は、出生から1ヶ月以内、出生から2ヶ月以内、出生から3ヶ月以内、出生から6ヶ月以内、出生から1年以内、又は出生から3年以内(これらの間の任意の値を含む)である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に上述される化合物及び医薬組成物は、1つ以上のタンパク質の凝集を阻害及び/若しくは調節すること、並びに/又はタンパク質原線維若しくは他のタンパク質凝集体の脱凝集を促進すること、あるいはその両方が可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に上述される化合物及び医薬組成物は、1つ以上のアミロイド形成タンパク質(例えば、α-シヌクレイン、Ab、タウなどのうちの1つ以上)の凝集を阻害及び/若しくは調節すること、並びに/又はアミロイドタンパク質原線維若しくは他のアミロイドタンパク質凝集体の脱凝集を促進すること、又はその両方が可能である。
【0073】
リソソーム膜タンパク質1(LAMP1)標的化剤
いくつかの実施形態によれば、本発明は、リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1;配列番号1;FSVNYDTKSGPKNMTFDLPSDATVVLNRSSCGKENTSDPSLVIAFGRGHTLTLNFTRNATRYSV)のN末端ドメイン領域に結合する薬剤を提供する。
【0074】
本明細書で使用される場合、LAMP1は、UniProtアクセッション番号P11279を有するリソソーム関連膜糖タンパク質1に関する。いくつかの実施形態では、LAMP1は、配列番号4(MAAPGSARRPLLLLLLLLLLGLMHCASAAMFMVKNGNGTACIMANFSAAFSVNYDTKSGPKNMTFDLPSDATVVLNRSSCGKENTSDPSLVIAFGRGHTLTLNFTRNATRYSVQLMSFVYNLSDTHLFPNASSKEIKTVESITDIRADIDKKYRCVSGTQVHMNNVTVTLHDATIQAYLSNSSFSRGETRCEQDRPSPTTAPPAPPSPSPSPVPKSPSVDKYNVSGTNGTCLLASMGLQLNLTYERKDNTTVTRLLNINPNKTSASGSCGAHLVTLELHSEGTTVLLFQFGMNASSSRFFLQGIQLNTILPDARDPAFKAANGSLRALQATVGNSYKCNAEEHVRVTKAFSVNIFKVWVQAFKVEGGQFGSVEECLLDENSMLIPIAVGGALAGLVLIVLIAYLVGRKRSHAGYQTI)に示すアミノ酸配列を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、配列番号2(FSVNYD)及び配列番号3(NVTV)又はそのホモログのいずれか1つから選択されるLAMP1の少なくとも1つの領域に結合する。
【0076】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、LAMP-1(すなわち、配列番号4)の残基F50~D55、N62、L67、F118、Y120~L122、T125、L127~S133、N164~V166から選択されるアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態では、本薬剤は、LAMP-1(すなわち、配列番号4)の残基F50~D55、N62、L67、F118、Y120~L122、T125、L127~S133、N164~V166から選択されるアミノ酸残基の組み合わせに結合する。
【0077】
本明細書で使用される場合、配列番号2(FSVNYD)及び配列番号3(NVTV)のホモログは、本薬剤が依然としてLAMP-1(配列番号1)のN末端ドメインのポケット領域に結合し、所望の生物学的又は薬学的効果(例えば、LAMP1:LAMP1相互作用を妨害又は阻害するか、又はLAMP1間相互作用を阻害する)をもたらすことができる少なくとも1つの変異(例えば、置換)を指す。
【0078】
いくつかの実施形態では、LAMP-1のN末端ドメイン領域はポケットである。
【0079】
ポケットを同定するための非限定的な例は、SiteMap、FtSite、又はfPocketによって利用される以下のアルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、ポケットは、SiteMap、FtSite、又はfPocketプログラムを使用して同定される。
【0080】
本明細書で使用される場合、「ポケット」という用語は、タンパク質を機能性にする三次元構造へのペプチド鎖の折り畳みの結果として作り出されるタンパク質分子の表面の空洞、へこみ、又は窪みを指す。ポケットは、タンパク質構造の検査によって、及び/又は市販のモデリングソフトウェアを使用することによって容易に認識することができる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は、本明細書で上述したタンパク質ポケットに侵入及び/又は結合することができる任意の有機小分子を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「有機小分子」という用語は、医薬品において一般的に使用される有機分子に匹敵するサイズの分子を指す。この用語は、天然の生物学的高分子(例えば、タンパク質、核酸など)を除外する。いくつかの実施形態では、有機分子は、最大5,000Da、最大2,000Da、又は最大1,000Da(これらの間の任意の値を含む)のサイズを有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0083】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、式Iによって表される化合物ではない。
【0084】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、
【0085】
【0086】
いくつかの実施形態では、結合は特異的結合である。
【0087】
「特異的結合」又は「優先的結合」という用語は、2つの対の種(例えば、酵素/基質、受容体/アゴニスト、抗体/抗原、及びレクチン/炭水化物)間で生じる、共有結合及び/又は非共有結合相互作用によって媒介され得る結合を指す。2つの種の相互作用が典型的には非共有結合複合体を生成する場合、生じる結合は典型的には静電結合、及び/又は水素結合、及び/又は親油性相互作用の結果である。従って、「特異的結合」は、両者の間に結合複合体を生成する相互作用が存在する種の対の間で生じる。具体的には、特異的結合は、対の一方のメンバーが特定の種に対して、その対のそのメンバーのその種が属する化合物ファミリーの中の他の種に対する結合と比較して、優先的に結合することを特徴付とする。したがって、例えば、薬剤は、LAMP-1分子(すなわち、本明細書で定義されるポケット)上の特定のポケットに対して、同じ又は関連するタンパク質上の異なるポケットに対する親和性よりも少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1,000倍、又は少なくとも10,000倍(これらの間の任意の値を含む)大きい親和性を示し得る。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0088】
いくつかの実施形態では、本薬剤はLAMP1:LAMP1相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、本薬剤は、LAMP1間相互作用を阻害する。
【0089】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、リソソーム蓄積に関連する疾患又は障害、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積及び異常なタンパク質蓄積に関連する疾患又は障害、並びに、自己貪食誤調節関連疾患から選択される疾患又は障害の予防又は治療に使用するためのものである。
【0090】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、蓄積された基質を分解するリソソーム酵素の無能力に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本薬剤は、膨張したリソソームに関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本薬剤は、細胞質ゾルへの毒性内容物の流出を引き起こすリソソームの破裂に関連する疾患又は障害の予防又は治療に使用するためのものである。
【0091】
いくつかの実施形態では、病気又は障害は、糖原病(GSD)、成人ポリグルコサン小体病(APBD)、及びラフォラ疾患、ゴーシェ病、ファブリー病、テイ-サックス病、ムコ多糖症(MPS)病、アスパルチルグルコサミン尿症、GMl-ガングリオシドーシス、クラッベ病(グロボイド細胞性脳白質異栄養症又はガラクトシルセラミドリピドーシス)、異染性、白質ジストロフィー、サンドホフ病、ムコリビドーシスII型(I-セル病)、ムコリビドーシスIIIA型(偽性ハーラーポリジストロフィー)、ニーマン・ピック病C2型及びCl型、ダノン病、遊離シアル酸蓄積障害、ムコリビドーシスIV型、及び多発性スルファターゼ欠損症(MSD)、代謝障害、肥満、及びインスリン抵抗性からなる群から選択される。
【0092】
一部では、疾患又は障害は、糖原病(GSD)である。いくつかの実施形態では、GSDは、グリコーゲン分枝酵素欠損症に関連する。いくつかの実施形態では、GSDは、I-XV型GSDから選択される。いくつかの実施形態では、GSDはGSD0型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD1型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD2型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD3型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD4型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD5型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD6型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD7型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD9型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD10型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD11型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD12型である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD13型である。いくつかの実施形態では、GSDは、GSD14型(先天性グリコシル化異常1型(CDG1T)としても分類される)である。いくつかの実施形態では、GSDはGSD15型である。
【0093】
いくつかの実施形態では、医学的状態は、成人ポリグルコサン体障害(APBD)、アンダーセン病、フォーブス病、及びダノン病からの1つ以上であるが、これらに限定されない。
【0094】
いくつかの実施形態では、GSD又は「グリコーゲン分枝酵素欠損症」に関連する医学的状態とは、筋肉、神経及び/又は身体の様々な他の組織におけるポリグルコサン体の沈着、蓄積又は凝集を特徴とする疾患又は障害を指すことを意味する。いくつかの実施形態では、医学的状態は、対象の中枢神経系及び/又は末梢神経系の機能不全を特徴とする。
【0095】
本発明の実施形態には、GSD及びポリグルコサン体の蓄積に関連する他の障害の治療、予防、又は発生率若しくは重症度の軽減をカスタマイズするための様々な方法が包含される。
【0096】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、神経変性疾患を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本薬剤は、炎症性疾患を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本薬剤は、GSD関連がんを治療するために使用される。
【0097】
いくつかの実施形態では、がんは、自己貪食活性の低下に関連するがんである。いくつかの実施形態では、がんは、肺がんを含むか、又は肺がんである。いくつかの実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)であるか、又はそれを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、ポリグルコサン体(PB)細胞含量を減少させる活性を特徴とする。いくつかの実施形態では、「PB細胞含量を減少させる」とは、PBのサイズを成形すること(例えば、縮小すること)を指すことを意味する。いくつかの実施形態では、「PB細胞含量を減少させる」とは、PBを分解することを指すことを意味する(例えば、グリコーゲン分枝酵素、GBEを調節することによって)。
【0099】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、少なくとも1つの酵素の活性を調節する(例えば、阻害する、又はいくつかの実施形態では、増加させる)ことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、1つ以上の酵素を阻害することができる。そのような酵素の非限定的な例は、グリコシルトランスフェラーゼ、例えば、グリコーゲンシンターゼ(GS)及びタンパク質ホスファターゼ-1(PP1)である。
【0101】
いくつかの実施形態では、自己貪食誤調節関連疾患は、ミスフォールドタンパク質凝集体によって引き起こされる疾患である。この態様の別の実施形態では、ミスフォールドタンパク質凝集体によって引き起こされる疾患は、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、ハンティングトン病、脊髄小脳変性症、眼筋咽頭型筋ジストロフィー、プリオン病、致死性家族性不眠症、アルファ-1抗トリプシン欠乏症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、X連鎖球脊髄性筋萎縮症、及びニューロン核内硝子様封入体病を含む群から選択される。「自己貪食誤調節関連疾患」という用語はまた、がん、例えば、自己貪食の誘導が細胞の成長及び分裂を阻害し、突然変異誘発を低減し、活性酸素種によって損傷を受けたミトコンドリア及び他の細胞小器官を除去し、又は発生中の腫瘍細胞を死滅させる、任意のがんを含む。「自己貪食誤調節関連疾患」という用語はまた、精神疾患又は障害、例えば、自己貪食の誘導が、精神疾患又は障害に関連する1つ以上の症状の発症の遅延、進行の減速、停止、又は逆転に寄与する任意の精神疾患又は障害を含む。一実施形態では、精神疾患又は障害は、統合失調症及び双極性障害から選択される。
【0102】
酵素に関連して本明細書で使用される「阻害性」という用語又はその任意の文法上の派生語は、酵素の活性を防止、遮断、減弱、又は低減することができることを指す。
【0103】
いくつかの実施形態では、「活性を低下させること」とは、活性が、本開示の化合物又はそれを含有する物質の組成物の存在を欠く同等の状況と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%(これらの間の任意の値及び範囲を含む)低下していることを指すことを意味する。
【0104】
本開示の薬剤は、それらと組み合わせて、又は任意の別の治療活性薬剤と組み合わせた場合に二重のそしておそらくは相乗的な活性を発揮するように、単独で、又はそれらと組み合わせて、又は任意の別の治療活性薬剤と組み合わせて設計し利用することができる。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、本明細書で上述した薬剤を含む医薬組成物を提供する。
【0106】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、溶液中で、4~6.5、4.5~6.5、4~6、4~5.5、4~5、4.5~6、4.5~5.5、又は4.5~5(これらの間の任意の範囲を含む)のpHを有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0107】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、溶液中で、pH4~6.5、4.5~6.5、4~6、4~5.5、4~5、4.5~6、4.5~5.5、又は4.5~5(これらの間の任意の範囲を含む)でLAMP-1への特異的結合を示す。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0108】
いくつかの実施形態では、本薬剤は、溶液中、4~6.5、4.5~6.5、4~6、4~5.5、4~5、4.5~6、4.5~5.5、又は4.5~5(これらの間の任意の範囲を含む)のリソソームpHで、LAMP-1への特異的結合を示す。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0109】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、100nM~5mM、150nM~5mM、200nM~5mM、500nM~5mM、700nM~5mM、900nM~5mM、1mM~5mM、2mM~5mM、100nM~3mM、150nM~3mM、200nM~3mM、500nM~3mM、700nM~3mM、900nM~3mM、1mM~3mM、2mM~3mM、100nM~1mM、150nM~1mM、200nM~1mM、500nM~1mM、又は700nM~1mM(これらの間の任意の範囲を含む)の薬剤を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、それを必要とする対象におけるリソソーム蓄積、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積に関連する疾患又は障害の発症を治療又は予防するための方法であって、治療有効量の上述した医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態では、リソソーム蓄積に関連する病気又は障害は、ゴーシェ病、ファブリー病、テイ-サックス病、ムコ多糖症(MPS)病、アスパルチルグルコサミン尿症、GMl-ガングリオシドーシス、クラッベ病(グロボイド細胞性脳白質異栄養症又はガラクトシルセラミドリピドーシス)、異染性、白質ジストロフィー、サンドホフ病、ムコリビドーシスII型(I-セル病)、ムコリビドーシスIIIA型(偽性ハーラーポリジストロフィー)、ニーマン・ピック病C2型及びCl型、ダノン病、遊離シアル酸蓄積障害、ムコリビドーシスIV型、及び多発性スルファターゼ欠損症(MSD)、代謝障害、肥満、及びインスリン抵抗性からなる群から選択される。
【0112】
いくつかの実施形態では、本発明は、GSDの形態(GSD-IV、-VI、IX、XIが挙げられるが、これらに限定されない)及びAMP活性化プロテインキナーゼγサブユニット2欠損による心臓糖原病の発症を治療又は予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、GSD、GSD IV型(APBD及びアンダーセン病)、GSD VII型(垂井病)、及びラフォラ病(LD)が関与するPB中の病原性PB蓄積を減少させ得る。
【0113】
本明細書で使用される場合、「リソソーム膜タンパク質」は、LAMP-1、LAMP-2、CD63/LAMP-3、DC-LAMP、又は任意のリソソーム関連膜タンパク質、又はホモログ、オルソログ、変異体(例えば、対立遺伝子変異体)及び修飾形態(例えば、天然に存在するか又は操作された1つ以上の突然変異を含む)を指す。一態様では、LAMPポリペプチドは、哺乳動物のリソソーム関連膜タンパク質、例えば、ヒト又はマウスのリソソーム関連膜タンパク質である。より一般的には、「リソソーム膜タンパク質」は、エンドソーム/リソソーム区画又はリソソーム関連オルガネラの膜に見出されるドメインを含み、内腔ドメインを更に含む任意のタンパク質を指す。
【0114】
本開示の化合物及び薬剤を含む医薬組成物
本発明の実施形態の一態様によれば、本明細書に記載の1つ以上の化合物及び/又は薬剤と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0115】
本発明の実施形態の一態様によれば、治療有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物及び/又は薬剤を含む医薬組成物が提供される。
【0116】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という語句は、治療されている状態の1つ以上の症状をある程度軽減することができる、投与される化合物の量を表す。
【0117】
「対象」という用語(文脈が許す場合、「個体」、「動物」、「患者」又は「哺乳動物」を含むように読まれるべきである)は、治療が適応される任意の対象、特に哺乳動物対象を定義する。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0118】
本明細書で上述した化合物は、そのままで、又はその薬学的に許容される塩、鏡像異性体、互変異性体、ジアステレオマー、プロトン化形態若しくは非プロトン化形態、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグのいずれかとして投与され得るか、又はさもなければ利用され得る。
【0119】
「薬学的に許容される塩」という語句は、親化合物及びその対イオンの荷電種を指し、これは典型的には、投与される化合物の生物学的活性及び特性を無効にすることなく、親化合物の溶解特性を改変し、かつ/又は親化合物による生物への任意の著しい刺激を低減するために使用される。本化合物の中性形態は、塩を塩基又は酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することによって再生することができる。本化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解度などの特定の物理的特性においては様々な塩形態と異なるが、その他の点では、それらの塩は、本発明における化合物の親形態と等価である。
【0120】
「薬学的に許容される塩」という語句は、本明細書に記載の化合物に見られる特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸又は塩基で調製される活性化合物の塩を包含することを意味する。
【0121】
薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸又は亜リン酸などの無機酸から誘導されるもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸から誘導される塩が挙げられる。アルギネートなどのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸などの有機酸の塩も挙げられる(例えば、Berge et al.,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19を参照されたい)。本発明のある特定の化合物は、本明細書に記載の化合物が塩基付加塩又は酸付加塩のいずれかに変換されることを可能にする塩基性官能基及び酸性官能基の両方を含有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物の中性形態は、塩を塩基又は酸と接触させ、従来の様式で親化合物を単離することによって再生される。本化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解度などの特定の物理的特性においては様々な塩形態と異なるが、その他の点では、それらの塩は、本発明における化合物の親形態と等価である。
【0123】
「プロドラッグ」という用語は、インビボで活性化合物(活性親薬物)に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、典型的には、親薬物の投与を容易にするのに有用である。プロドラッグはまた、医薬組成物中で親薬物と比較して改善された溶解度を有し得る。プロドラッグはまた、インビボで活性化合物の持続放出を実現するためにしばしば使用される。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し、ラセミ体、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体及び個々の異性体は、本発明の範囲内に包含される。
【0125】
本明細書及び当技術分野で使用される場合、「鏡像異性体」という用語は、互いの完全な反転/反射(鏡像)によってのみ、その対応物に対して重ね合わせることができる化合物の立体異性体を表す。鏡像異性体は、右手及び左手のように互いを参照することから、「掌性」を有すると言われる。鏡像異性体は、それ自体が掌性を有する環境(例えば、全ての生物系)に存在する場合を除いて、同一の化学的特性及び物理的特性を有する。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態で、また水和形態などの溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。本発明の特定の化合物は、複数の結晶形態又は非晶質形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明によって企図される使用について等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0127】
「溶媒和物」という用語は、溶質(本明細書に記載のコンジュゲート)と溶媒によって形成される可変化学量論の複合体(例えば、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-など)を指し、溶媒は溶質の生物学的活性を妨げない。好適な溶媒としては、例えば、エタノール、酢酸などが挙げられる。
【0128】
「水和物」という用語は、溶媒が水である、本明細書で先に定義した溶媒和物を指す。
【0129】
いくつかの実施形態では、「医薬組成物」は、本明細書に記載される1つ以上の化合物(活性成分として)、又はその生理学的に許容される塩若しくはプロドラッグと、限定するものではないが、生理学的に適切な担体、賦形剤、滑沢剤、緩衝剤、抗菌剤、増量剤(例えば、マンニトール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム)、抗炎症剤、抗ウイルス剤、化学療法剤、抗ヒスタミン剤などの化学成分との調製物を指す。
【0130】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の目的は、対象への化合物の投与を容易にすることである。「活性成分」という用語は、生物学的効果を説明できる化合物を指す。
【0131】
「生理学的に許容される担体」及び「薬学的に許容される担体」という用語は、互換的に使用される場合があり、生物に著しい刺激を引き起こさず、投与される化合物の生物学的活性及び特性を抑制しない担体又は希釈剤を指す。
【0132】
本明細書において、「賦形剤」という用語は、薬物の投与を更に容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖及び種々のタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0133】
薬物の製剤化及び投与の技術は、参照により本明細書に組み込まれる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,Mack Publishing Co.,Easton,PAの最新版に見出すことができる。
【0134】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明に従って使用するための医薬組成物は、本化合物を薬学的に使用することができる調製物へ加工することを容易にする賦形剤及び補助剤を含む1つ以上の薬学的に許容される担体を使用して従来の方法で製剤化してもよい。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。投与量は、用いる剤形及び利用する投与経路に応じて変動し得る。正確な製剤、投与経路、及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る(例えば、Fingl et al.,1975,in「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1 p.1を参照されたい)。
【0135】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、局所又は全身の治療又は投与が選択されるかどうか、及び治療される領域に応じて、1つ以上の経路のいずれかで投与するために製剤化することができる。本明細書全体を通して更に記載されるように、投与は、経口的に、歯科的に、吸入によって、又は非経口的に、例えば、静脈内点滴又は腹腔内、皮下、筋肉内若しくは静脈内注射によって、又は局所的に(眼、膣、直腸、鼻腔内など)行われ得る。
【0136】
局所及び/又は歯科投与のための製剤としては、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、坐剤、ドロップ、液体、スプレー及び粉末を挙げることができるが、これらに限定されない。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などが必要である場合又は望ましい場合がある。
【0137】
経口投与のための組成物としては、粉末若しくは顆粒、懸濁液、歯科用組成物、又は水若しくは非水性媒体中の溶液、小袋、丸剤、カプレット、カプセル若しくは錠剤を挙げることができる。増粘剤、希釈剤、香味剤、分散助剤、乳化剤又は結合剤が望ましい場合がある。
【0138】
非経口投与用の製剤としては、緩衝液、希釈剤及び他の適切な添加剤も含有し得る滅菌溶液を挙げることができるが、これらに限定されない。徐放性組成物が治療のために想定される。
【0139】
投与される組成物の量は、当然ながら、処置されている対象、苦痛の重症度、投与様式、処方する医師の判断等に依存するであろう。
【0140】
本医薬組成物は、さらなる薬学的に活性な薬剤又は不活性な薬剤、例えば、限定するものではないが、抗菌剤、抗酸化剤、緩衝剤、充填剤、界面活性剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、化学療法剤及び抗ヒスタミン剤、を更に含み得る。
【0141】
本発明の組成物は、必要に応じて、有効成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得るパック又はディスペンサーデバイス、例えば、FDA承認キットで提供され得る。パックは、例えば、ブリスターパック等の金属又はプラスチック箔を含み得る。パック又はディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付されてもよい。パック又はディスペンサーはまた、医薬品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって規定された形式の容器に関連する通知に対応してもよく、この通知は、組成物又は人間若しくは獣医学における投与の形態の、機関による承認を反映している。そのような通知は、例えば、処方箋医薬品に関する米国食品医薬品局によって承認されたラベル、又は承認された製品の添付文書であってもよい。
【0142】
これらの実施形態は、当業者に周知の様々な修正及び代替形態の影響を受けやすいことが理解されよう。
【0143】
スクリーニング方法
本発明のいくつかの実施形態の1つの態様によれば、リソソーム蓄積に関連する疾患又は障害、ポリグルコサン蓄積又は異常なグリコーゲン蓄積、及び異常なタンパク質蓄積に関連する疾患又は障害、並びに自己貪食誤調節関連疾患を予防又は治療するための化合物の適合性を判定するための方法であって、当該化合物をリソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1;配列番号1)のN末端ドメイン内のポケットドメインと接触させることであって、上記ポケットへの本化合物の結合が、本化合物が上記疾患又は障害を治療するのに有効であることを示す、方法が提供される。
【0144】
いくつかの実施形態では、この結合は、配列番号2(FSVNYD);及び配列番号3(NVTV)のうちのいずれか1つを含む、薬剤が提供される。
【0145】
いくつかの実施形態では、この結合は、LAMP1:LAMP1相互作用の阻害によって判定される。
【0146】
いくつかの実施形態では、この結合は、LAMP1間相互作用の阻害によって判定される。
【0147】
いくつかの実施形態では、本方法は、化合物のライブラリのコンピューターによるスクリーニングのステップを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の選択された化合物(例えば、小分子)によって発揮されるPBの低減を検出することを含む。
【0149】
種々の化学的、生物学的及び/又は物理的特徴のいずれかを本質的に有する化合物のライブラリのコンピューターによるスクリーニングを可能にするおかげで、本方法は、例えば、糖原病に関連する損なわれた酵素活性(例えば、グリコーゲンシンターゼ又はグリコーゲン分枝酵素)を修正することによって、PB細胞含量を減少させることができる全ての先行技術の化合物に対して、最適なインビボ薬物動態、最適に低い免疫原性、及び最適な有効性を示すことができる化合物の同定を可能にすることが理解される。
【0150】
いくつかの実施形態では、本方法は、PB細胞含量を減少させる化合物の能力を生化学的に認定することを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、生化学的に認定することは、細胞を過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色に供して、PAS染色細胞を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、試料を洗浄して未反応のシッフ試薬を除去した後、PAS染色試料に由来するシグナル(例えば、光蛍光)を規定の波長で検出することを更に含む。
【0152】
本開示の方法のさらなる実施形態は、以下の実施例セクションに示される。
【0153】
定義
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖基及び分枝鎖基を含む脂肪族炭化水素を表す。好ましくは、アルキル基は、21から100個の炭素原子、より好ましくは21~50個の炭素原子を有する。数値範囲があるときはいつでも例えば、「21~100」が本明細書で述べられる場合、それは、その基(この場合、アルキル基)が、21個の炭素原子、22個の炭素原子、23個の炭素原子など、100個以下の炭素原子を含有し得ることを意味する。本発明の文脈において、「長鎖アルキル」は、その主鎖(連続する共有結合した原子の最長経路)に少なくとも20個の炭素原子を有するアルキルである。したがって、短鎖アルキルは、20個以下の主鎖炭素を有する。アルキルは、本明細書で定義されるように、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0154】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、飽和又は不飽和炭化水素も包含し、したがって、この用語は、アルケニル及びアルキニルを更に包含する。
【0155】
「アルケニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、本明細書で定義される不飽和アルキルを表す。アルケニルは、本明細書で上述したように、1つ以上の置換基によって置換され得るか、又は非置換であり得る。
【0156】
本明細書で定義される「アルキニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する不飽和アルキルである。アルキニルは、本明細書で上述したように、1つ以上の置換基によって置換され得るか、又は非置換であり得る。
【0157】
「シクロアルキル」という用語は、1つ以上の環が完全に共役したπ電子系を有さない、全炭素単環式又は縮合環(すなわち、隣接する炭素原子対を共有する環)の基を表す。シクロアルキル基は、本明細書に示すように、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0158】
「アリール」という用語は、完全に共役したπ電子系を有する全炭素単環式又は縮合環多環式(すなわち、隣接する炭素原子対を共有する環)の基を表す。アリール基は、本明細書に示すように、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0159】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で定義される-O-アルキル及び-O-シクロアルキル基の両方を表す。
【0160】
「アリールオキシ」という用語は、本明細書で定義される-O-アリールを表す。
【0161】
本明細書の一般式中のアルキル、シクロアルキル及びアリール基の各々は、1つ以上の置換基によって置換され得、ここで、各置換基は、独立して、置換基及び分子中のその位置に応じて、例えば、ハライド、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アルコキシ、ニトロ、アミン、ヒドロキシル、チオール、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、カルボキシ、アミド、アリール及びアリールオキシであり得る。さらなる置換基も企図される。
【0162】
「ハロゲン化物」、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表す。
【0163】
「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン化物によって更に置換された、本明細書で定義されるアルキル基を表す。
【0164】
「ハロアルコキシ」という用語は、1つ以上のハロゲン化物によって更に置換された、本明細書で定義されるアルコキシ基を表す。
【0165】
「ヒドロキシル」又は「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を表す。
【0166】
「チオヒドロキシ」又は「チオール」という用語は、-SH基を表す。
【0167】
「チオアルコキシ」という用語は、本明細書で定義される-S-アルキル基及び-S-シクロアルキル基の両方を表す。
【0168】
「チオアリールオキシ」という用語は、本明細書で定義される-S-アリール及び-S-ヘテロアリール基の両方を表す。
【0169】
「アミン」という用語は、-NR’R’’基を表し、R’及びR’’は本明細書に記載された通りである。
【0170】
「ヘテロアリール」という用語は、例えば、窒素、酸素及び硫黄などの1つ以上の原子を環中に有し、加えて、完全に共役したπ電子系を有する、単環式又は縮合環(すなわち、隣接する原子対を共有する環)の基を表す。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン及びプリンが挙げられる。
【0171】
「ヘテロ脂環式」又は「ヘテロシクリル」という用語は、環中に窒素、酸素及び硫黄などの1つ以上の原子を有する単環式又は縮合環の基を表す。環はまた、1つ以上の二重結合を有し得る。ただし、環は完全に共役したπ電子系を有さない。代表的な例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリノなどである。
【0172】
「カルボキシ」又は「カルボキシレート」という用語は、-C(=O)-OR’基を表し、式中、R’は、本明細書で定義される水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、(環炭素を介して結合した)ヘテロアリール又は(環炭素を介して結合した)ヘテロ脂環式である。
【0173】
「カルボニル」という用語は、-C(=O)-R’基(式中、R’は本明細書で先に定義された通りである)を表す。
【0174】
上記用語はまた、そのチオ誘導体(チオカルボキシ及びチオカルボニル)をも包含する。
【0175】
「チオカルボニル」という用語は、-C(=S)-R’基(式中、R’は本明細書で先に定義された通りである)を表す。
【0176】
「チオカルボキシ」基は、-C(=S)-OR’基(式中、R’は本明細書で定義された通りである)を表す。
【0177】
「スルフィニル」基は、-S(=O)-R’基(式中、R’は本明細書で定義された通りである)を表す。
【0178】
「スルホニル」又は「スルホネート」基は、-S(=O)2-R’基(式中、Rxが本明細書で定義された通りである)を表す。
【0179】
「カルバミル」又は「カルバメート」基は、-OC(=O)-NR’R’’基(式中、R’は本明細書で定義された通りであり、R’’はR’について定義された通りである)を表す。
【0180】
「ニトロ」基は、-NO2基を指す。
【0181】
「シアノ」又は「ニトリル」基は-C≡N基を指す。
【0182】
本明細書で使用される場合、「アジド」という用語は-N3基を指す。
【0183】
「スルホンアミド」という用語は、-S(=O)2-NR’R’’基を指し、R’及びR’’は本明細書で定義された通りである。
【0184】
「ホスホニル」又は「ホスホネート」という用語は、-O-P(=O)(OR’)2基を表し、R’は本明細書で先に定義された通りである。
【0185】
「ホスフィニル」という用語は、-PR’R’’基を表し、R’及びR’’は本明細書で先に定義された通りである。
【0186】
「アルカリール」という用語は、本明細書に記載のアリールによって置換された、本明細書に定義されたアルキルを表す。例示的なアルカリールはベンジルである。
【0187】
「ヘテロアリール」という用語は、例えば、窒素、酸素及び硫黄などの1つ以上の原子を環中に有し、加えて、完全に共役したπ電子系を有する、単環式又は縮合環(すなわち、隣接する原子対を共有する環)の基を表す。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン及びプリンが挙げられる。ヘテロアリール基は、本明細書で上述したように、1つ以上の置換基によって置換され得るか、又は非置換であり得る。代表的な例は、チアジアゾール、ピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンなどである。
【0188】
本明細書で使用される場合、「ハロ」及び「ハロゲン化物」(これらは、本明細書で互換的に参照される)という用語は、ハロゲンの原子(これは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、本明細書ではフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物としても参照される)を表す。
【0189】
「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン化物によって更に置換された、先に定義されたアルキル基を表す。
【0190】
一般
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%を指す。
【0191】
「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する」という用語及びそれらの変化形は、「含むが、それに限定されない」ことを意味する。
【0192】
「~からなる」という用語は、「~を含み、それに限定される」を意味する。
【0193】
「~から本質的になる」という用語は、組成物、方法、又は構造が追加の成分、ステップ、及び/又は部分を含み得るが、ただし追加の成分、ステップ、及び/又は部分が請求される組成物、方法又は構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0194】
「例示的」という用語は、本明細書では「例、事例又は例示としての役割を果たすこと」を意味するために使用される。「例示的」として説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい若しくは有利であると解釈されるべきではなく、かつ/又は他の実施形態から特徴を組み込むことを排除するものではない。
【0195】
「任意選択で」という語は、「いくつかの実施形態では設けられ、他の実施形態では設けられない」ことを意味するために本明細書で使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、複数の「任意選択の」特徴を、かかる特徴が矛盾しない限りにおいて含み得る。
【0196】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数の参照を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1種の化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0197】
本出願を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6等の範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の具体的に開示された部分範囲、並びに1、2、3、4、5及び6等のその範囲内の個々の数字を有すると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0198】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に、示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の表示数と第2の表示数との間の「範囲(ranging)/範囲(ranges)」及び第1の表示数「から」第2の表示数「までの範囲(ranging)/範囲(ranges)」という表現は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の表示数、並びにそれらの間の全ての分数及び整数の数字を含むことを意味する。
【0199】
本明細書で使用される場合、「方法」という用語は、所与の作業を達成するための様式、手段、技術及び手順を指し、化学、薬学、生物学、生化学及び医学分野の従事者に既知の、又は彼らによって既知の様式、手段、技術及び手順から容易に開発される様式、手段、技術及び手順を含むが、それらに限定されない。
【0200】
本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、状態の進行を抑止すること、実質的に阻害すること、遅延させること若しくは逆転させること、状態の臨床的症状若しくは審美的症状を実質的に改善すること、又は状態の臨床的症状若しくは審美的症状の出現を実質的に予防することを含む。
【0201】
明確にするために別々の実施形態に関連して説明される本発明のある特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されているが、本発明の他の説明された実施形態では、別個に、又は任意の適切なサブコンビネーションで、又は適切に、提供されてもよい。様々な実施形態に関連して説明されるある特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の不可欠な特徴と見なされるべきではない。
【0202】
上記で描写され、以下の特許請求の範囲で請求されるような本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的に裏付けられる。
【実施例】
【0203】
ここで、以下の実施例を参照するが、これは、上記の説明と共に、本発明のいくつかの実施形態を非限定的な方法で示している。
【0204】
材料及び方法
研究設計
提示された実験は、APBDを治療するための新たに発見された化合物である化合物1の治療可能性に関するインビボ、エクスビボ及びインビトロ実験を組み合わせたものである。インビボセクションにおいて、本発明者らは、化合物1を、Gbe
ys/ys雌マウスにおいて疾患表現型を矯正するその能力について試験した。当初はそれぞれn=7~9匹の動物からなる2つの群(5%DMSOビヒクル及び化合物1)を使用した。得られた平均及びSDに基づいて、80%の検出力がn=5動物/群で既に達成されていることから、これらの数は十分な検出力を提供することが遡及的に実証された。追加のオープンフィールド、歩行、及び伸展反射試験(
図1E~
図1H)もまた、n=9動物のC57BL/6野生型対照群を含んでいた。連続的な体重測定の間に体重が10%未満減少した場合、又は体重が開始から20%未満減少した場合に、動物を実験から除外した。試料のサイズは、死亡により経時的にわずかに減少した。150μLの5%DMSO中250mg/kgの化合物1を週2回注射した。ビヒクル対照は5%DMSOとした。注射は、最初の1ヶ月間は静脈内(IV)注射とし、その後、注射するスペースの不足及び動物の尾の瘢痕化のために皮下(SC)注射とした。本発明者らは、好ましい予防効果を想定して、疾患発症の2ヶ月前である4ヶ月齢で、又は比較のために発症の6ヶ月齢で注射を開始した。処置は10ヶ月齢まで継続した。様々な運動パラメータに対する化合物1の効果を、およそ2週間ごとに試験した。これらの実験の最後に、一部のマウスを頸椎脱臼によって屠殺し、n=2の野生型、n=7のGbe
ys/ysビヒクル処置マウス及びn=9の化合物1処置マウスからの組織を採取し、切片化し、固定して、PASでジアスターゼ耐性PGについて染色した(
図2A~
図2C)。組織グリコーゲンを、記載のように生化学的に測定した。加えて、化合物1の薬物動態プロファイルを、n=3マウス/時点から得られた血清及び組織のLC-MS/MSによって測定した。実験者は処置の割り当てに対して盲検化された。
【0205】
APBD患者由来の皮膚線維芽細胞及び、肝臓が最も高いPGレベルを有していたので、Gbeys/ysマウス由来の肝臓切片において、エクスビボ実験を行った。インビトロ実験を、細胞溶解物において行った。
【0206】
組織学的PG及びグリコーゲン測定
化合物1の組織病理学的効果をキャラクタライズするために、wt及び化合物1及びビヒクルで処置したGbeys/ys動物から脳、心臓、筋肉、神経束(末梢神経)、及び肝臓組織を切り分けた。組織を抽出し、固定し、パラフィンに包埋し、切片化した。脱パラフィン後、切片を0.5%ジアスターゼで5分間処理して、非ポリグルコサングリコーゲンを消化し、ポリグルコサンを残した。次に、切片を洗浄し、ポリグルコサンについてPASで染色し、ヘマトキシリンで対比染色し、光学顕微鏡で分析したが、これらは全て前述の通りである。生化学的グリコーゲン測定のために、100mgの各組織をアルカリ加水分解及び煮沸に供し、続いてグリコーゲンをエタノール沈殿させた。次いで、グリコーゲンをアミログルコシダーゼ(Sigma)によってグルコースに酵素的に消化した。消化後、Sigma GAGO20キットを使用してグルコース含量に基づいて総グリコーゲンを求めた。
【0207】
イメージング及び画像ベースの表現型決定
APBD皮膚線維芽細胞を1,000細胞/ウェルで播種し、特殊な顕微鏡グレードの96ウェルプレート(Grenier Bio-One、ドイツ)で培養した。異なる処理に続いて、PBS中のThermo Scientific細胞蛍光色素の混合物を、5%CO
2インキュベーターにおいて37℃で30分間、各ウェルに添加した。このミックス(
図4C及び
図7B)は、DAPI(1μg/ml、核(DNA)染色)、Mitoトラッカーグリーン(500nM、電位非依存性ミトコンドリア染色)、TMRE(500μM、電位依存性ミトコンドリア染色)、及びCell Mask Deep Red(0.5μg/ml、サイトゾル染色)を含んでいた。
図7Cでは、リソソームのみをLysoTracker Deep Red(75nM)で染色した。次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定し、PBSで洗浄し、40倍の倍率で画像を取得するために、プレートをInCell2200装置(GE Healthcare、英国)に移した。生成された出力は、比較蛍光強度に基づいた。GE分析ワークステーションでマルチターゲット分析を使用して対象セグメント化を行い、核及び細胞境界を同定した。全てのアッセイパラメータ(取得露光時間、対物レンズ、及び分析パラメータを含む)を、全てのアッセイ反復について一定に保った。グリコーゲンのPAS染色のために(
図4及び
図6C)、固定した細胞をPBSで洗浄し、0.1%Triton X-100で透過処理し、再度洗浄し、染色し、次いで画像化した。
【0208】
薬物動態
薬物動態分析のために、100μLの血清並びに脳、腎臓、後肢四頭筋、心臓、肝臓、及び脾臓組織を採取し、ホモジナイズし、確立されたガイドラインに従ってアセトニトリルで抽出した。4-tert-ブチル-2-(4H-1,2,4-トリアゾール-4-イル)フェノール(ChemBridge)の1mg/ml溶液中の0、1、10、100、及び1,000ng/mlの化合物1を内部標準(IS)として用いて、較正曲線を作成した。次いで、組織試料を1mg/mlのIS溶液に溶解し、0~1,000ng/mlの化合物1でスパイクして標準曲線を作成し、それから化合物1の組織レベルを求めた。試料を、LC-MS/MS Sciex Triple Quad TM 5500質量分析計によって分析した。
【0209】
倫理
インビボ実験は、ヘブライ大学IACUCによって承認された。
【0210】
統計分析
図1A~
図1Mにおいて、全体的な傾向の有意性を、反復測定を伴う二元配置ANOVAによって試験した。この試験は、応答が2つの因子、すなわち、反復して与えられる(したがって反復して測定される)化合物1v対照及び投与期間、によってどのように影響されるかを調べる。ボンフェローニ検定を使用して、多重比較を補正するがゆえに(各時点での有意性を決定するための閾値が、比較の数に反比例して減少するため)非常にロバストである方法で、化合物1とビヒクルとを比較した。その結果、特定の時点でのほとんどの差は、比較数の増加により有意でなくなり、本発明者らは、多重比較を補正しない多重t検定のデータを示すことも選択することがあった。
図4D及び
図6Eにおいて、本発明者らは、多重比較のためにSidakの事後補正を伴う一元配置ANOVAを使用した。使用した他の統計的検定はスチューデントt検定であった。
【0211】
ネマチック蛋白組織化法(NPOT)による標的同定
2人のAPBD患者由来のヒト健常線維芽細胞及び線維芽細胞に、NPOT(登録商標)を適用した。全ての分析は、Inoviem Scientific社によりブラインド方式で行った。これらの線維芽細胞の乾燥ペレットからのタンパク質ホモジネートを、高速凍結(液体窒素)及び低速解凍(氷上)の3サイクルによって調製し、最大ボルテックス速度で30秒間混合した。試料タンパク質濃度は、BCA法により測定したときに50~66mg/mlであった。NPOT(登録商標)は、塩基性条件又は病理学的状況においてヒト組織から直接実施される特定の高分子足場の単離及び同定に特化したInoviemサイエンティフィック(Food Scientific)によって提供される独自の技術である。この技術は、カークウッド-バフ分子クラウディング及び凝集理論に基づく。それは、生理学的又は病理学的プロセスに関与する高分子複合体の形成及び無標識同定を可能にする。Inoviem Scientificに特有の強味は、天然の分子立体配座を破壊することなく、結果的に当初の生理学的又は病理学的状態を維持したままで、複雑な混合物から、ヒト組織における薬物-タンパク質及びタンパク質-タンパク質相互作用を直接分析する能力である。
【0212】
層流及び滅菌条件下で、10-6Mの化合物化合物1及びHTSスクリーニングからの陰性対照をタンパク質ホモジネート(可溶性及び膜タンパク質を含有する)と別々に混合し、NPOT(登録商標)単離に供した。リガンドと会合した巨大分子集合体は、差次的微小透析システムを用いて分離され、巨大分子(タンパク質群)は、それらの物理化学的特性に基づいて液相中を移動する。移動する高分子は、試験薬物とその標的との間の分子相互作用のおかげで、ネマチック結晶から高分子ヘテロ集合体へと徐々に成長する。ヘテロ集合体を一晩放置し、96ウェルプレート中で単離した後、LC-MS/MSによって同定した。
【0213】
APBD患者及びHC線維芽細胞における化合物1及び陰性対照の存在下で形成されたヘテロ集合体を
図14A~
図14Bに示す。示されたタンパク質ホモジネートと接触した各化合物は、共通の網状形態を有する特徴がはっきりしたヘテロ集合体を生じた。これらの実験は各化合物について3連で行った。これらの生物学的複製物のそれぞれについて、ヘテロ集合体を単離し、それらのタンパク質含有量をLC-MS/MSによって分析した。陰性対照は、化合物を添加せずにNPOT(登録商標)条件でタンパク質ホモジネートを用いて得られ、いかなる凝集も示さない。これにより、ヘテロ集合体の形成が、一次標的とのそれらの相互作用を介して、内因性小分子によってではなく、本化合物によって開始されることが更に裏付けられた。
【0214】
Zeiss顕微鏡SteREO Discovery V8の下で、形成された各ヘテロ集合体を顕微解剖によって単離し、アセトン中で洗浄した後、標準HBSS溶液中で可溶化した。可溶化タンパク質を4~15%ミニPROTEANゲルを通して濾過した。泳動後、ゲル中に存在するタンパク質の数、並びにその後の消化ステップ及びプロテオミクス分析のためのLC-MS/MS装置への注入に使用するタンパク質の相対量を視覚的に推定するために、ゲルをコロイド青色溶液で着色した。
【0215】
プロテオミクスは、UMR 7178から「Laboratoire de Spectrometrie de Masse Bio-Organique」(LSMBO)にアウトソーシングした。ヘテロ集合体を10μLの2D緩衝液(7M尿素、2Mチオ尿素、4%CHAPS、20mM DTT、1mM PMSF)に直接可溶化した。タンパク質を酢酸緩衝液中で沈殿させ、7,500gで20分間遠心分離した。その後、ペレットをTrypsin Gold(Promega)を用いて37℃で1時間消化した。トリプシンGoldを50mM酢酸に1μg/μLで再懸濁し、次いで40mM NH4HCO3で20μg/mLに希釈した。試料をSpeed Vac(登録商標)中、室温で乾燥させた。ペプチドを、ZipTip(登録商標)ピペットチップ(Millipore Corporation)を使用することによって精製及び濃縮した後、ESI-QUAD-TOF装置における1時間ナノ-LC-MS/MS分析プロトコルによる質量分析に進めた。Mascotソフトウェアを使用してタンパク質を同定した(ランク=1、スコア=25、最小長=6アミノ酸、FDR=1%)。ペプチドマッピングのために、以下のデータベースを使用した:-HumaniRTUN_DCpUN_JUSバンク(ヒト試料用)。
【0216】
データ解析及び標的デコンボリューションのために、Inoviem Scientific(Texas Scientific)は、独自のデータベース及びソフトウェアを開発し、NPOT(登録商標)データセット中に存在するタンパクの正確かつロバストな解析を可能にし、タンパク夾雑物を除去しながらタンパク質ランキングを単純化した。Inoviem Protein Ranking and Analysis(InoPerA(登録商標))データベースは、様々な組織、臓器又は細胞株、様々な種、及び無関係の化合物で得られた全てのNPOT(登録商標)データセットを含む。そして、InoPerA(登録商標)ソフトウェアは、データベース全体、又は種、器官などの定義された基準に一致する特定のデータセット内の所与の遺伝子の出現を計算することができる。Inoviemは、613 NPOT(登録商標)結合LC-MS/MS分析に対応する、ヒト組織及び細胞で実施されたNPOT(登録商標)において観察された汚染物質を除去した。結果として、このツールは、データセット内の新しい治療標的を作製する希少タンパク質を迅速に強調表示することができる(
図5B)。
【0217】
別のバイオインフォマティクスリソースであるDAVIDも使用して、組織特異的発現、遺伝子オントロジー、及び機能関連遺伝子群濃縮を検出した。STRING分析(string-db.org)を使用して、データセット内のネットワーク濃縮を調査した。STRINGは、(Ensembl又はUniProtがそうであるように)ELIXIRのコアデータリソースの1つであり、既知の予測されるタンパク質-タンパク質相互作用を含む。Inoviemはストリンジェントなパラメータを使用し、既知の相互作用(「実験的に決定され」かつ「キュレートされたデータベース」相互作用源)のみを保持している。これは、複雑なデータセット内のタンパク質-タンパク質会合を解読することを可能にし、更にDAVIDパスウェイ分析を達成した。更に、フリーのオープンソースであり、キュレートされ、ピアレビューされたパスウェイデータベースであるReactome(reactome.org)を使用した。このデータベースは、他の場所で得られた知見をサポートするためのパスウェイ知識の視覚化、解釈、及び分析のための直観的なバイオインフォマティクスツールを提供する。
【0218】
バイオインフォマティクスパイプラインにおいて、フィルタリングの第1のステップは、質量分析の「偽陽性」、すなわち、1つの複製物において見出され、1つの特異的ペプチドのみを有するタンパク質を除去することからなっていた。次いで、データセットを、ヒト皮膚線維芽細胞組織において2×2マトリックス(144DG11及びそのそれぞれの陰性対照)で比較した。タンパク質リスト分析の次のステップは、非特異的タンパク質、すなわち、全てのNPOT(登録商標)実験(InoPERA(登録商標))において反復的に見出されるタンパク質の同定であった。ヒト皮膚線維芽細胞において観察された混入物(又は「頻繁なヒット」)を除去した。これにより、インタラクトームのクリアされたタンパク質リストは、化合物1の潜在的な特異的標的を表す。このパイプラインを使用して、28個のタンパク質が化合物1と特異的に相互作用することがわかった。次いで、化合物1インタラクトームの特異的タンパク質リストをDAVIDによって独立して分析して、組織特異的発現、遺伝子オントロジー、及び機能関連遺伝子群の濃縮を検出した。化合物1のインタラクトームの根底にある主要なカノニカルパスウェイ及び疾患パスウェイ及び機能パスウェイは、リソソーム膜であった(参考文献:GO:0005765及びKEGGパスウェイhsa04142)。並行して、STRING分析(string-db.org)を使用して、顕著なノード及び強化されたネットワークを視覚化した。化合物インタラクトームの特異的タンパク質のこの最初のランキングのために、本発明者らは、MSによって配列決定されたペプチドのシグナル強度を使用しなかった。というのも、1)その技術の固有の特性が(例えば、古典的な免疫沈降プロトコルとは逆に)タンパク質定量に基づくことができず、また、2)本発明者らが(より高いコスト及びより長い時間の分析を暗示する)LC-MS/MS定量プロトコルを使用しないからである。この不偏分析は、Inoviemが潜在的な関連タンパク質を分類し、それらを特定のパスウェイにおけるそれらの関与に従って、又は特定の疾患に関連して分類することを可能にした。このバイオインフォマティック選択後、オートファゴソーム-オートリソソームパスウェイに属する8つのタンパク質が発見された(
図5B)。この明確で強化されたネットワークの発見は、NPOT(登録商標)実験の全体的な成功を示す。
【0219】
コンピュータードッキング分析
LAMP1は、5つのドメイン、すなわち、(1)残基M1-A28:シグナル配列、(2)残基A29-R195:N末端ドメイン、(3)残基P196-S216:ドメイン間のリンカー、(4)残基S217-D378:C末端ドメイン、及び(5)残基E379-I417:膜貫通セグメント、に分けられる。本発明者らは、1.シグナル配列及び膜貫通セグメントは、小分子の結合には無関係であると考えられ、また、2.ドメイン間のリンカーは構造化されておらず、高度にグリコシル化されており(20残基のうち7残基)、したがって、モデル化するには複雑すぎることから、N末端ドメイン及びC末端ドメインのみを分析した。本発明者らは、N末端及びC末端におけるグリコシル化を考慮していない。C及びN末端ドメインは、N末端ドメインと構造的に非常に類似しているマウスLAMP1 C末端ドメイン(PDB ID 5gv0)の既知の結晶構造に基づいてモデル化した。ホモロジーモデリングのためにMODELLERソフトウェアツールを使用し、各ドメインについて5つの任意のモデルを生成した。得られた10個のモデル(並びに5個のgv 0自体)を、Schrodinger 2020-2で実装される「タンパク質調製ウィザード」によってpH5で調製した。可能な結合部位を、3つの異なる計算ツール:SiteMap、FtSite及びfPocketによって同定した。全体として、11個のLAMP1の3D構造において130個の任意の部位が同定された。推定結合部位のそれぞれについてドッキング計算を行った:約3000万個の分子の大規模かつ多様なデータベースから418個を、化合物1適用可能性ドメイン(リピンスキー則特性)に従ってデコイとして選択した。そのデコイライブラリを、化学的類似性(タニモト係数>=0.7)に基づいて233に絞り込んだ。化合物1及びこれらの233個のデコイ(pH 5で調製)から構成される分子のセットにおける化合物1についてのドッキング計算を、全てのモデルにおける全ての推定結合部位(全体で130個の部位)について行った。これらの計算は、Schrodinger 2020-2において実装されるように、Glideアルゴリズムを使用して行われた。ドッキング結果分析によれば、130個のサイトのうち18個において、化合物1は、SiteMapからの3グリッド、FtSiteからの3グリッド、及びfPocketからの12グリッドで、上位10%にランキングされた。8個のグリッドがC末端ドメインにあり、10個がN末端ドメインにあった。
【0220】
本発明者らは、N末端ドメインのモデルの1つ(モデル番号4)に従って、化合物1が、これらの18のサイトのうちの6つについて上位10%にランキングされたことに気付いた。これらの結果を分析して、本発明者らは、SiteMapのサイト1、fPocketのサイト3、及びFtSiteのサイト2が同じポケット(残基F50-D55、N62、L67、F118、Y120-L122、T125、L127-S133、N164-V166)を指すことを理解した。
【0221】
本発明者らは、3つの結合モード間の違いを調べた(
図5E):3つの結合モードのうちの2つ(SiteMap及びfPocket)は同一であり、3番目(FtSite)の化合物1の部分は他の2つに対して回転したようである。
【0222】
化合物1について観察されるような独特の結合を全くの偶然によって得る確率を予測するために、本発明者は、233個のデコイ全てにつき、化合物1について先に示した分析を繰り返した。234個の分子(233個のデコイ+化合物1)のうち14個においてのみ、本発明者らは、化合物1、すなわち、ポケットへのその結合が3つの異なるツールによって予測された分子と同じ結果を観察した(表1)。これは、その確率が比較的小さい(14/234、約6%)ことを示す。更に、化合物1について同定されたポケット(
図5E)が最も一般的である(14個中5個一致、表1)。これは、このポケットがドラッガブル(創薬可能)であって、比較的多数の化合物に結合し得ることを示しており、これは化合物1の想定される医薬品化学の改善にとって有利である。表は、(結合部位を予測するための)3つの異なるツールに従って、分子が同じポケットに入る場合を示す。第1列の「サイト」に続く3桁は、SiteMap(第1番目)、FtSite(第2番目)、及びfPocket(第3番目)によるサイトランキングを示す。
【0223】
【表1】
*この分子は2つの異なる結合部位に結合する
【0224】
本発明者らは、結合部位のより制限の少ない定義で分析を繰り返し、同様の結果、すなわち、234個の分子のうち45個(約19%)が、予測されたポケットの少なくとも1つに首尾よくドッキングされたという結果を得た。しかし、45個の分子のうち14個において、本発明者らは、複数の部位への結合を観察し、これは無差別性を示す。したがって、全体として、234個のうち31個の分子が、推定部位の1つに首尾よくドッキングされた(約12.7%)。まとめると、本発明者らは、LAMP1のN末端ドメインにおける化合物1の可能な結合部位を計算により同定し、デコイ分子について同じ結果を得る確率が低いことから、この結果が化合物1に特異的であることを高い信頼性をもって予測した。
【0225】
透過電子顕微鏡(TEM)
肝臓組織を切り刻み、0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)中に2%パラホルムアルデヒド、2.5%グルタルアルデヒド(EMグレード)を含有する溶液中で室温で2時間、続いて4℃で24時間固定した。次いで、組織をカコジル酸ナトリウムで4回洗浄し、カコジル酸ナトリウム中の1%四酸化オスミウム及び1.5%フェリシアン化カリウムで1時間後固定した。次いで、試料を同じ緩衝液で4回洗浄し、段階的な一連のエタノール溶液(30、50、70、80、90、95%)でそれぞれ10分間脱水し、次いで100%エタノールでそれぞれ20分間にわたって3回脱水した。続いて、試料をプロピレンオキシドを2回交換して処理した。次いで、試料に一連のエポキシ樹脂(それぞれ25、50、75、100%、各24時間)を浸透させ、オーブン中60℃で48時間重合させた。ブロックをウルトラミクロトーム(Ultracut E,Riechert-Jung)によって切片化し、得られた80nmの切片を酢酸ウラニル及びクエン酸鉛で染色した。Jeol JEM 1400 Plus透過型電子顕微鏡によって切片を観察し、Gatan Orius CCDカメラを使用して画像を撮影した。
【0226】
プロテオミクス(
図7)
MS分析のためのライブラリ調製プロテアーゼ阻害剤を含有するRIPA緩衝液中の細胞溶解物を遠心分離によって清澄化し、40μgのタンパク質をクロロホルム/メタノール法によるタンパク質沈殿に使用した。沈殿したタンパク質を100μlの8M尿素、10mM DTT、25mM Tris-HCl(pH8.0)に可溶化し、22℃で30分間インキュベートした。ヨードアセトアミド(55mM)を添加し、試料を30分間インキュベートし(22℃、暗所)、続いてDTT(10mM)を添加した。50μlの試料を新しいチューブに移し、7容量の25mM Tris-HCl(pH8.0)を添加することによって希釈し、配列決定グレードの改変トリプシン(Promega Corp.、マディソン、ウィスコンシン州)を添加し(0.35μg/試料)、続いて穏やかに撹拌しながら37℃で一晩インキュベートした。試料を0.2%ギ酸の添加によって酸性化し、C18の自家製ステージチップで脱塩した。ペプチド濃度を280nMでの吸光度によって決定し、0.75μgのペプチドを質量分析計に注入した。
【0227】
ナノLC-MS/MS分析ナノフローUHPLC機器、Ultimate 3000 Dionex(Thermo Fisher Scientific、Waltham、マサチューセッツ州、米国)にオンラインで連結されたQ Exactive-HF質量分析計(Thermo Fisher Scientific、Waltham、マサチューセッツ州、米国)を使用して、MS分析を行った。0.1%蟻酸に溶解したペプチドを、トラップカラムを用いずに、25cm長のC18カラム(75μm ID、2μm、100Å、Thermo PepMapRSLC)上で0.3μl/分の流速で120分間アセトニトリル勾配をかけて分離した。装置の設定は前述した通りとした。サーベイスキャン(300-1,650m/z、ターゲット値3E6電荷、最大イオン注入時間20ms)を取得し、その後、高エネルギー衝突解離(HCD)ベースのフラグメンテーション(正規化衝突エネルギー27)を行った。60,000の分解能をサーベイスキャンに使用し、「ペプチドが好ましい」プロファイルで動的に選択された最大15個の最も豊富なプリカーサイオンを断片化した(単離ウィンドウ1.6m/z)。MS/MSスキャンは、15,000の分解能(ターゲット値1E5電荷、最大イオン注入時間25ms)で取得した。動的排除は20秒であった。Xcaliburソフトウェア(Thermo Scientific)を使用してデータを取得した。キャリーオーバーを回避するために、試料間でカラムを80%アセトニトリル、0.1%ギ酸で25分間洗浄した。
【0228】
MSデータ分析質量スペクトルデータは、MaxQuant計算プラットフォーム、バージョン1.6.14.0を用いて処理した。ピークリストを、49,974個のエントリーを含む2020年5月19日からのUniprotヒトFASTA配列データベースに対して検索した。この検索には、固定修飾としてシステインカルバミドメチル化、可変修飾としてN末端アセチル化及びメチオニンの酸化が含まれ、最大2回の誤切断が可能であった。ラン間マッチオプションを使用した。少なくとも7アミノ酸長のペプチドを考慮し、必要とされるFDRをペプチド及びタンパク質レベルで1%に設定した。MaxQuantにおける相対的タンパク質定量化を、無標識定量化(LFQ)アルゴリズムを使用して行った。統計解析(n=4~7)は、Perseus統計パッケージを用いて行った。少なくとも1つの試料群において少なくとも3つの有効なLFQ値が得られたタンパク質のみを、t検定(p<0.05)による統計分析に受け入れた。
【0229】
実施例1
化合物1は、Gbe
ys/ysマウスにおける生存及び運動障害を改善する
本発明者らは、化合物1(
図1A)を、APBDマウスモデルGbe
ys/ysにおける欠損した運動表現型及び短い寿命を矯正するその能力について試験した。化合物1は、本発明者らが以前に発見した19PG低減HTSヒットのうちの1つである。それは、これらのヒットに対して、それらのうちのどれが安全であり、薬物動態学的かつ薬力学的に好ましいかを予測するために実行されるインシリコADMET(吸収、分布、代謝、排出、及び毒性)試験によって選択されたものであり、それゆえに更に追及する価値がある(
図8、化合物「A」)。実際、「B」などの低ADMETスコアの化合物(
図8)は、有効ではなく、創傷などの有害作用を引き起こした(
図9)。更に、野生型マウスにおける安全性評価により、5%DMSO中250mg/kg(溶解性及びDMSO毒性の問題のために可能な最高用量)で3ヶ月間投与された化合物1は、経時的な動物の体重増加に影響を及ぼさなかったことが確認された(
図10)。化合物はまた、3ヶ月の曝露後に脳、肝臓、骨格筋、及び心臓においていかなる組織病理学的損傷又は病変も生じなかった(
図11)。1時間及び24時間の処置の後、マウスをまた、異常な自発的行動(例えば、不動性、過剰なランニング、常同運動、及び姿勢異常)について試験した(Irwin試験)。化合物1は、これらのアーウィン試験においていかなる副作用も引き起こさなかった(表2)。
【0230】
【0231】
重要なことに、
図1Bが示すように、化合物1による処置は、ビヒクル処置動物と比較して、動物生存を有意に改善した(ログランク検定p値<0.000692)。寿命の延長は、おそらく、動物の成長能力に関連するいくつかのパラメータの改善を反映する。その点で最も顕著なパラメータは動物の体重である。化合物1は、疾患によって引き起こされる経時的な動物体重の減少を実際に緩和した(
図1C)。本発明者らはまた、様々な運動パラメータに対する化合物1の効果を2週間ごとに試験した。化合物1は、疾患進行の比較的進行した段階(注射後8ヶ月、134日(
図1D))からオープンフィールド性能(
図1D)を改善した。これらの改善は、おそらくはストレス及び不安の改善にも関連する、運動の増加及び中心に向かって移動する傾向の増加として現れた(
図1E)。オープンフィールド性能におけるGbe
ys/ysマウスの進行性の悪化は、マウスの歩行障害に関連する。したがって、本発明者らは、歩行が重度に影響を受けている9ヶ月齢のマウスについて、歩行に対する化合物1の効果を試験した。その年齢で、化合物1は実際に歩行を改善し、又は歩幅を増加させた(
図1F)。このデータはまた、試験した全ての運動パラメータのうち、最も顕著な改善効果が、全体的な伸展反射に対するものであったことを示す(
図1G)。試験期間を全体を通しての全伸展反射は、化合物1(
図1G、p<0.05)によって、9つの特定の時点(
図1Gのアスタリスク)にあるように有意に改善された。この効果は、その患者相関が、APBD患者における主要な神経学的欠損の1つである、錐体四肢不全麻痺又は上位運動ニューロン徴候であることから、特に重要である。重要なことに、オープンフィールド性能(
図1E)、歩行(
図1F)及び伸展反射(
図1H)は化合物1によって有意に改善されたが、それらは野生型レベルには回復せず、化合物1の性能は、有効ではあるが、依然として将来の改善のためのいくらかの余地を残していることを示している。
【0232】
運動パラメータに対する化合物1の効果を調べるために、本発明者らは、好ましい予防効果を想定して、疾患発症の2ヶ月前である4ヶ月齢で化合物1の注射を開始した。そのような効果は、既に死んでいるニューロンが発症後の治療によって影響を受け得ないAPBDなどの神経変性障害において期待される。この仮定は、化合物1によって改善された全てのパラメータ-オープンフィールド(
図1I)、体重(
図1J)及び全伸長反射(
図1K)に関して検証された。6ヶ月齢で疾患発症後に投与した場合、その改善効果は生じなかった。注目すべきことに、化合物1によって最も影響を受けたパラメータである伸展反射もまた、9ヶ月齢の疾患の進行期から本化合物によって改善された唯一のパラメータであった(
図1K)。化合物1の全体的な有益な効果は、処置された動物の脊椎後弯症が軽減され、より毛並みが整っていることを示す動物写真によって最もよく理解することができる(
図1L~
図1M)。
【0233】
実施例2
化合物1は、その生体内分布に従ってポリグルコサン及びグリコーゲンの組織病理学的蓄積を減少させる
化合物1が運動及び生存パラメータを有意に改善したので、本発明者らは、その組織病理学的効果の調査に着手した。この情報は、エクスビボで発見された化合物1の予想される作用様式(線維芽細胞におけるポリグルコサンレベルの低下)がインビボでも起こるかどうか、そしてもしそうであればどの組織において起こるのかを調べるために重要である。化合物1及びビヒクルで処置した動物から得られた脳、心臓、筋肉、神経束(末梢神経)、及び肝臓組織を、9.5ヶ月齢で動物を屠殺した後に採取した。野生型マウスから得られた同じ組織を対照として使用した。ポリグルコサンを残して非ポリグルコサングリコーゲンを消化するためのジアスターゼ処理に続いて、切片を過ヨウ素酸シッフ(PAS)試薬でポリグルコサンについて染色し、ヘマトキシリンで対比染色し、光学顕微鏡で分析した。結果(
図2A)は、脳、肝臓、心臓、及び末梢神経におけるポリグルコサンレベルの有意な減少を示し、筋肉ポリグルコサンに対する明らかな効果はない。生化学的に決定された総グリコーゲンレベルも、対応して影響を受けた(
図2B)。これらの結果はおそらく、運動パラメータ及び動物の繁殖において観察された改善を説明する(
図1A~
図1M)。
【0234】
薬物動態分析は、単離された細胞においてポリグルコサンを修飾するその固有の能力にかかわらず、インサイチュでの化合物1の効果を説明するのに役立つ。その理由は、組織における到達のタイミング、分布及び安定性が、任意の薬理学的薬剤のインサイチュでの活性の重要な決定因子であるからである。異なる組織における化合物1の分布及び動態パラメータを決定するために、本発明者らは、有効性実験で行ったように、皮下注射によって250mg/kgの化合物1でGbe
ys/ysマウスを処置した。次いで、マウスを投与の0、30、60、90、及び210分後に屠殺し、100μLの血清並びに脳、腎臓、後肢骨格筋、心臓、肝臓、及び脾臓組織を採取し、ホモジナイズし、抽出し、それらの化合物1レベルを液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)によって分析した。それらの結果を
図2Cに示す。異なる組織におけるグリコーゲン及びポリグルコサン含有量に対する化合物1の異なる効果は、それぞれの組織におけるその異なる分布及び滞留時間と一致する。ポリグルコサン/グリコーゲン減少の最大の程度は、肝臓において観察され、その臓器において観察された化合物1の最も長い滞留時間/持続性(3時間を超える推定半減期)と一致した。心臓及び脳は、中間レベルの化合物1を示す。しかし、これらのレベルは注射後60分まで持続し、これは、ポリグルコサンの化合物1媒介性減少、及びこれらの組織で観察されるグリコーゲン含有量を説明し得る。他方、筋肉は、化合物1のごくわずかな蓄積しか示しておらず、筋肉グリコーゲン及びポリグルコサン含有量に対する本化合物の効果が不十分であることに一致している。使用したサンプリング時間に基づいて、C
maxまでの時間は、観察した全ての組織について30分であり、これらの全ての組織と同様の吸収速度を示した。最も高いC
maxは、肝臓及び腎臓において観察され、それらの十分に確立された迅速な灌流と一致する。予想通り、最も低いC
maxは、灌流が不十分な臓器であることが知られている骨格筋四頭筋において観察された。
【0235】
実施例3
化合物1は、炭水化物代謝を増強し、インビボでの代謝パネルを改善する
様々な代謝パラメータに対する化合物1の効果を、代謝ケージを使用してインビボで調べた。全動物レベルでの栄養選好性は、呼吸商(RQ、消費されたO
2に対する産生されたCO
2の比)によって判定される。RQが低いほど脂肪燃焼が多いことを示し、RQが高いほど炭水化物燃焼が多いことを示す。これらの結果(
図3A)が示すように、化合物1は、野生型(wt)動物のそれより更に高いレベルまでRQを増加させた。化合物1によって誘導される、総エネルギー消費(
図3B)及び脂肪燃焼を犠牲にした炭水化物燃焼(
図3C及び
図3D)の並行増加は、化合物1がグリコーゲン動員を刺激することを示唆しており、これは、Gbe
ys/ysマウスがグリコーゲンを不溶性及び病原性ポリグルコサンとして貯蔵しているため、治療上の利点である。歩行活動の刺激(
図3E)並びに食事量及び水分摂取の刺激(
図3F~
図3H)は、化合物1の影響を受けた動物における炭水化物異化の刺激についてのこの観察と一致する。更に、まとめると、増加した栄養燃焼及び食物摂取量は、化合物1の影響を受けた動物における代謝効率を改善し得ることを示す。
【0236】
本発明者らは更に、化合物1が、Gbe
ys/ysマウスにおいて観察される低血糖症及び高脂血症を是正することができるかどうかを試験した。このような効果は、肝臓グリコーゲンの異化を誘導し、続いて血糖を上昇させることができる薬剤から期待される。9.5月齢のGbe
ys/ysマウスの血液生化学試験結果は、化合物1で処置すると、マウスの特徴的な低血糖及び高脂質血症が対照レベルに是正されたことを示している(
図3I)。筋肉(クレアチンキナーゼ)及び肝臓(アラニントランスフェラーゼ)の機能は、この処置によって影響を受けなかった(
図3I)。
【0237】
実施例4
化合物1は、グリコーゲン過剰負荷APBD患者細胞における異化を増強する
インビボで観察された炭水化物異化に対するRQシフトは、本発明者らに、炭水化物異化も細胞内で上方調節されるかどうかを調査することを促した。その目的のために、特に、グリコーゲンレベルは異なるAPBD患者に由来する線維芽細胞間で非常に多様であることから(
図4A)、本発明者らは、最初に、組織において見出されるものと同等の生理学的グリコーゲン過剰負荷又はグリコーゲン負荷状態を誘導することを目指した。本発明者らは、グリコーゲン負荷が48時間のグルコース飢餓と、その後の24時間の糖の補充によって生成され、これはおそらく加速されたグルコース取り込みを誘導し、続いてグリコーゲン合成を誘導する。この飢餓/補充の条件は、PAS染色によって示されるように、細胞内グリコーゲンレベルを実際に増加させた(
図4B)。更に、マルチパラメトリックハイコンテントイメージングに基づく表現型解析は、グリコーゲン負荷条件下で、細胞面積、核強度、及び重要なことに、ミトコンドリア質量特徴(
図4Cのボックスを参照されたい)が、グルコース飢餓のみの細胞よりも健康な対照(HC)から逸脱することを明らかにした。したがって、本発明者らは、このグリコーゲン負荷条件を選択して、ATP速度アッセイ(AgilentのSeahorse ATP速度アッセイ)を使用して細胞レベルの異化を分析した。これらの結果(
図4D)は、細胞レベルで、144DG11 Aが、全体的なATP産生だけでなく、ミトコンドリア(OxPhos)ATP産生を犠牲にして解糖ATP産生の相対的寄与も増加させたことを示す。この現象は、HC及びAPBD患者の皮膚線維芽細胞の両方において観察された。144DG11の急性アッセイ補充は、ATP産生への解糖寄与の増大において、本化合物による48時間前処理よりも有効であった。これらの結果は、144DG11媒介性の増強された炭水化物異化に由来するグルコースがATP産生に利用可能であることを示唆する。
【0238】
実施例5
化合物1は、リソソーム膜タンパク質LAMP1に結合する
本発明者らは、144DG11の作用機序を調査した。その目的のために、本発明者らはまず、その分子標的を特定することにした。APBD患者線維芽細胞のホモジネートに、ネマチック蛋白組織化法(NPOT、Inoviem,Ltd.)を適用した。NPOT分析では、細胞ホモジネートに添加した場合にのみ、144DG11付近に独自に生成したタンパク質ヘテロ集合体が発見された(
図5A)。この分析における次のステップでは、APBD患者の線維芽細胞において144DG11と相互作用するタンパク質標的のインタラクトームが同定された。興味深いことに、いくつかのバイオインフォマティクスツールに基づくInoviemの遺伝子オントロジー分析によって明らかにされたように、APBD患者の線維芽細胞で144DG11と相互作用するヘテロアセンブリ中のタンパク質は、自己貪食タンパク質又はリソソームタンパク質である(
図5B)。更に、本発明者らは、細胞熱シフトアッセイによって、144DG11と、NPOTによって発見された8つの標的のうちの6つとの特異的相互作用を試験した。これらの結果(
図5C)は、他のタンパク質標的ではなく、LAMP1が144DG11と直接相互作用することを示唆する。この発見は、細胞グリコーゲン過剰を、タンパク質1を含有するデンプン結合ドメインを介したリソソームへのグリコーゲン輸送と結び付ける新規な病原性仮説に関する。144DG11のLAMP1との相互作用を検証するために、本発明者らは表面プラズモン共鳴(SPR)技術を使用した。SPRデータ(
図5D)は、細胞質pH7ではなく、リソソームpH4.5~5でのみLAMP1の管腔部分への144DG11の特異的かつ用量依存的な結合を示し、いくつかの結合は中間pH6で開始する。まとめると、これらの結果は、144DG11の特異的標的が、リソソームマーカー及びリソソーム機能の公知の調節因子として広く使用されている1型リソソームタンパク質LAMP1であることの強力かつ満足のいく証拠を構成する。しかしながら、この結合の見かけのK
Dは比較的高く(6.3mM)、これは、おそらく遅いK
on(
図5D、pH4.5における会合の速度)によって説明される。本発明者らは、この遅い会合速度が、グリコシル化部位におけるかさ高いオリゴ糖による144DG11の拡散の阻害によって説明され得ると仮定した。したがって、本発明者らは、化学的に脱グリコシル化された管腔LAMP1ドメインを用いてSPR実験を繰り返した。しかしながら、脱グリコシル化LAMP1は144DG11に結合せず、これはおそらく脱グリコシル化によって誘導される顕著な構造変化によるものであり(
図12A~
図12B)、したがって、本発明者らは、オリゴ糖立体障害が144DG11のLAMP1への結合動態に影響を及ぼすかどうかを試験することができなかった。本発明者らは、構造に基づくコンピュータードッキングによって、LAMP1への144DG11結合を更に調査した。LAMP1における化合物1の推定結合部位の検索において、本発明者らは、類似のトポロジーを有する、その管腔ドメインのN末端サブドメイン及びC末端サブドメイン(それぞれ、残基A29-R195及びS217-D378)を分析した。これらのドメインをモデル化し、マウスLAMP1 C末端ドメイン(PDB ID 5gv0)の既知の結晶構造に基づいてリソソーム内pH5でデコイに対して化合物1にコンピューターでドッキングさせた。
図5Eは、3つの異なるアルゴリズムであるSiteMap、FtSite及びfPocketによって予測された化合物1 LAMP1結合ポケット(残基F50-D55、N62、L67、F118、Y120-L122、T125、L127-S133、N164-V166)を示す。3つの異なるプログラムによって同じ結合部位が予測されることは非常に稀であり、したがって、これは、化合物1がLAMP-1のN末端の特定の部位に結合することを強く示唆する。
図5Eに見られるように、Asn結合オリゴ糖は、予測される化合物1結合部位から離れて面しており、したがって、その結合に直接干渉しないと予想される。しかしながら、それらは依然として化合物1の拡散に影響を及ぼす可能性がある。
【0239】
実施例6
化合物1は、LAMP1ノックダウン誘導性自己リソソーム分解及びグリコーゲンの異化を増進する
化合物1は、APBD初代線維芽細胞における自己貪食性フラックスを増加させた。これは、化合物1の存在下でのリソソーム阻害剤に対する感受性の増加によって実証される。
図6Aに見られるように、リソソーム阻害剤は、未処理細胞よりも化合物1で処置した細胞において、LC3ii/LC3i比を増加させる(自己貪食停止)。化合物1による自己貪食性フラックスの増加は、自己貪食基質p62のレベルを低下させることによっても示される(
図6A)。更に、APBDモデル化Gbe
ys/ysマウスの肝臓切片の透過型電子顕微鏡分析は、化合物1による処置後のリソソームグリコーゲンの減少を実証する(
図6B)。
【0240】
化合物1とLAMP1との間の相互作用の機能的重要性を調べるために、本発明者らは、LAMP1に対するGFPタグ付きshRNAを保有するレンチウイルスベクターを使用して後者をノックダウンした。LAMP1ノックダウン(KD)は、発現の24時間後(又はレンチウイルス感染の96時間後)に細胞毒性になるので、
図6C~
図6DにおけるLAMP1-KD実験を、グルコース補充なしの24時間血清飢餓条件下で実施して(
図4A~
図4D)、自己貪食を誘導し、かつ細胞生存率を維持した。本発明者らは、LAMP1-KDが、そのLAMP1との相互作用によって媒介されるとされる化合物1の効果を中和すると予想した。しかしながら、驚くべきことに、LAMP1ノックダウン細胞への化合物1の補充はノックダウン効果を増強し、すなわち、LAMP1-KDによって増強された自己貪食性フラックスは、LAMP1相互作用化合物1によって更に増強された(
図6C)。化合物1がLAMP1-KD効果を増強するという観察は、多くの他の小分子-タンパク質相互作用と同様に、化合物1とLAMP1との相互作用が阻害性であることを示唆する。更に、LAMP1-KD及び化合物1がリソソーム機能を改善することによって自己貪食性フラックスを増強したかどうかを試験するために、本発明者らは、黄色/青色発光比に基づいてpHを定量化するpHレシオメトリック色素Lysosensor(商標)を使用してリソソーム酸性化を定量化した。これらの結果は、(GFP及びLAMP1-KD APBD細胞における)LAMP1-KD及び化合物1処置はいずれもリソソーム酸性化をもたらしたが、LAMP1-KDの方がよりリソソーム酸性化をもたらしたことを示す。本発明者らは、フローサイトメトリーによって(
図6D、上のパネル)、全体的な細胞酸性化を375nM励起黄色/青色発光の増加として示し、共焦点顕微鏡によって、この酸性化がリソソームにおけるより明るい黄色蛍光に関連することを示す(
図6D、中のパネル)。重要なことに、PAS染色によって示されるように、LAMPノックダウンは細胞グリコーゲンレベルを低下させ、この効果は、GFP対照及びshLAMP1-GFPレンチウイルスの両方を形質導入したAPBD線維芽細胞において化合物1によってわずかに増強された(
図6D、下パネル)。
【0241】
栄養利用に対するLAMP1-KD及び化合物1の効果を試験するために、本発明者らは、化合物1で急性的又は慢性的に処置されたLAMP1-KD及び対照APBD線維芽細胞において再びATP速度アッセイを使用した(
図4A~
図4D)。これらの結果(
図6E)は、飢餓が、GFP形質導入対照(対照UT-S v 対照UT+S、p<0.36)よりもLAMP1-KD(LAMP1-KD-S UT v LAMP1-KD+S UT、p<0.0001)においてより限定的であった(全体的なATP産生が低下した)ことを示す。LAMP1-KD細胞では、飢餓はATP産生に対する呼吸の相対的寄与も増加させた(LAMP1-KD-S UTで78% v LAMP 1-KD+S UTで48%(オレンジ色のバー))。これらの観察は、基礎条件におけるそれらのより高い全体的なATP産生速度によって示唆されるように、解糖と比較して呼吸のより高いATP産生効率と、そしておそらくは対照細胞と比較してLAMP-KDのより高いATP需要と一致する(参照:LAMP1-KD+SUTと対照+SUT、p<0.01)。LAMP1-KD細胞及び対照細胞に対する化合物1の効果は、対照細胞と比較して、LAMP1-KD細胞における異化(ATP生成)自己貪食性フラックスのその選択的増加に従っていた(
図6C)。非飢餓条件では、化合物1の補充は、LAMP1-KD細胞における総ATP産生及び呼吸ATP産生を有意に増加させた(参照:LAMP1-KD+S UTと、LAMP1-KD+S慢性(合計につきp<0.03、呼吸器につきp<0.0008)及びLAMP1-D+S急性(全体及び呼吸器につきp<0.01))が、対照細胞ではATP産生にわずかしか影響せず、むしろそれを急激に減少させた(参照.対照UT+Sと、対照+S慢性(p<0.1)及び対照UT+S急性(減少につきp<0.0008))。飢餓条件下では、対照細胞は、急性的に補充された化合物1の一過性効果に応答して呼吸ATP産生を増加させただけであった(参照.対照UT-Sと対照-S急性、p<0.004)。対照細胞では、化合物1の長期補充の有意な効果は観察されなかった参照。対照UT-S対対照-S慢性、p<0.3)。対照的に、飢餓LAMP1-KD細胞は、化合物1の急性補充に対する応答として呼吸ATP及び解糖ATPの両方を増加させ、これはおそらく、グリコーゲン分解に由来するグルコースの解糖への短期転換を反映している(参照.LAMP1-KD-S UTとLAMP1-KD-S急性を伴う(glycoATPにつきp<0.0003、mitoATPにつきp<0.003)。慢性的に投与された化合物1に応答して、KD細胞において呼吸ATP産生のみが増加した(参照.LAMP1-KD-S UTと、LAMP-LAMP1-KD-S慢性(glycoATPにつきp<0.15、mitoATPにつきp<0.0002)。
【0242】
実施例7
化合物1は、細胞レベルで異常なミトコンドリア及びリソソームの特徴を回復させる
本発明者らは、化合物1の作用様式が、ATP産生を増加させるリソソーム異化に関与することを示したので、本発明者らは、化合物1によって調節される細胞の特徴がその異化効果に関連するかどうかを調査することにした。第1のステップとして、本発明者らは、APBD細胞とHC細胞との間の差を定量化し、ひいてはAPBD細胞に対する化合物1の回復効果を推定することを可能にする、全体論的かつ特徴特異的な分類方法を必要とした。InCell2200ハイコンテントイメージアナライザーを使用して、本発明者らは、APBD並びに年齢及び性別が一致したHC皮膚線維芽細胞の完全なマルチパラメトリック分析を行った。この画像ベースの表現型決定(IBP)キャンペーンは、広範な細胞形態学的スペクトルを包含する45個の独立した細胞パラメータを含んでいた。17人のAPBD患者及び5人のHC由来の皮膚線維芽細胞を分析して、本発明者らは、APBD患者由来の皮膚線維芽細胞が、HC皮膚線維芽細胞と表現型的に区別可能であることを実証した(
図7A)。IBPが有益かつ高感度の分類ツールとして確立されると、本発明者らは、IBPシグネチャーに対する化合物1の効果を試験した。分析(
図7B、上パネル)は、4つの色チャネルに限定され、したがってリソソームマーカーを除外し、別々に分析されたが(
図7C)、化合物1が、疾患表現型によって最も影響を受ける特徴の1つであった、核及びミトコンドリア膜電位(TMRE)パラメータに主に影響を及ぼしたことを示す。予想されるように、この効果は、化合物1で処置したAPBD線維芽細胞を未処理のHC線維芽細胞と比較した場合(臨床状況により関連する比較)、より顕著(より高い-logP値)であった。他の特徴について実証されたように(
図4D及び
図6C~
図6E)、化合物1単独での処置は、罹患細胞及び健常細胞の両方に対して同様の効果を有する可能性があり、ひいては、処置細胞において2つの表現型を互いに近づけ、APBD対HCに対するこの化合物の効果を部分的にマスクする可能性がある。
図7Bの下のパネルは、ほとんどの特徴について、化合物1が罹患細胞及び健常細胞の両方において同じ傾向(増加又は減少)を引き起こしたことを実際に明らかにしている(APBD/化合物1(点描バー)はAPBD(ブランクバー)と比較されるべきであり、HC/化合物1(黒色バー)は水平線と比較されるべきであることに留意されたい)。化合物1はまた、APBD細胞においてリソソームサイズを減少させており(
図7C)、これは、リソソーム障害細胞と比較して、健常細胞において観察されるような、自己貪食性フラックス(
図6)及びリソソーム機能の改善に関連し得る。更に、化合物1はまた、ミトコンドリア膜電位(MMP)を過分極させ、APBDにおける疾患状態によって脱分極させたが(
図7B)、これはおそらく、増強された自己貪食性異化によるミトコンドリアの栄養供給の増加に従っている。
【0243】
疾患状態及び化合物1によって調節される細胞特徴の画像ベースの分析を検証するために、本発明者らは、タンパク質発現に対する疾患及び処置の効果を分析した。
図7Dに示されるように、48時間の飢餓下、APBD患者において、分析された2,898個のタンパク質のうち、HC細胞と比較して、12.2%が上方調節され、6.8%が下方調節された。重要な対照として、GBEは実際にAPBD細胞において下方調節された(
図7D)。飢餓の後にグルコース補充を行った場合(グリコーゲン負荷、
図4A~
図4D)、タンパク質の6%のみが上方調節され、5%が下方調節され、これはおそらく、過剰なグリコーゲン負荷を管理するためにはより特異的なタンパク質のサブセットが必要であることを示唆している。例えば、自己貪食タンパク質(Fyco1、Rab12、Rab7A、PIP4K2B、SQSTM1、及びSNAP29)は、グリコーゲン負荷後にAPBD細胞において上方調節されただけであった。次いで、本発明者らは、飢餓(48時間飢餓)及びグリコーゲン過負荷(48時間飢餓/24時間グルコース)APBD細胞における化合物1のプロテオミクス効果を調査したが、これらはそれぞれ、全てのタンパク質の1.7%及び1.3%のみを改変した。化合物1の見かけ上の矯正効果は、APBD罹患状態によって下方調整又は上方調整されたタンパク質によって明らかにされ得、これらは化合物1によっては、逆に上方調整又は下方調整された(
図7E)。発見されたタンパク質(49個の上方調節、39個の下方調節、
図7E)を、最大数のタンパク質を含む細胞成分カテゴリーに従ってDAVID機能アノテーションツールによって分析した。化合物1によって上方調節されたタンパク質は、8つの重要な遺伝子オントロジー(GO)タームに属し、これは、化合物によって調節された細胞特徴(
図7B)に従って、リソソーム、分泌経路及び酸化的リン酸化タンパク質(
図7F、左パネル)を含んでいた。
【0244】
興味深いことに、APBDによって下方調節され、化合物1によって上方調節された(「是正された」)タンパク質は、グリコーゲン負荷下ではリソソーム糖鎖付加酵素イズロニダーゼ及びホスホマンノムターゼ2であったが、飢餓下では、それらは明らかにグリコーゲン及びリソソーム異化と直接関連していない核酸結合タンパク質GRSF1及びHNRPCL1であった。脂質生成タンパク質HSD17B12は、両方の条件下で、APBDによって減少し、化合物1によって誘導された。化合物1によって下方調節されたタンパク質は、分泌経路及び高分子複合体を含む4つのGOタームに属した(
図7F、右パネル)。APBDによって増加し、化合物1によっては対照的に減少したタンパク質は、飢餓細胞ではリソソーム選別(VPS16)及び炭水化物生合成(NANS)に属し、グリコーゲン過負荷細胞では転写(RUBL1)、シグナル伝達(STAM2)及びpH調節(SLC9A1)に属していた。興味深いことに、Na
+/H
+アンチポーターSLC9A1の薬理学的阻害は、化合物1によるAPBD線維芽細胞におけるその下方調節と同様に、心筋細胞における自己貪食性フラックスを誘導する(
図6)。飢餓条件及びグリコーゲン負荷条件の両方において化合物1によって下方調節されるタンパク質は、リソソーム選別にも関与する逆行性輸送制御因子VPS51である。要約すると、化合物1のAPBD是正効果は、本化合物によるその調節が本発明者らによって十分に確立されているリソソーム機能に少なくとも部分的に関連している(
図5~
図6)。
【0245】
この実験は、HTSにより発見されたヒット化合物1が、インビボ及びエクスビボモデルにおいてAPBDを治療し得ることを示している。化合物1の処置後、本発明者らは、運動、生存、及び組織学的パラメータの改善を観察した(
図1~
図2)。APBDは難消化性炭水化物によって引き起こされるので、これらの改善は、化合物1が炭水化物代謝に影響を及ぼすことを示唆し、ひいては、本発明者らがインビボ代謝実験を行うことを促した(
図3A~
図3I)。これは、GSD動物モデルにおける最初のインビボ代謝実験である。APBDマウスは不溶性ポリグルコサンとしてグリコーゲンを貯蔵するので、本発明者らは、代謝ケージを使用して、化合物1がこれらの動物がグリコーゲンを動員する代わりに代替栄養(脂肪)を使用する能力に影響を及ぼすことができるかどうかを試験した。しかしながら、化合物1によって誘導されたRQの増加は、処置動物が実際に脂肪を使用する代わりに炭水化物燃焼を増加させたこと、又は化合物1が炭水化物異化を増加させたことを示唆した。この結論は、化合物1によって誘導される総エネルギー消費量、歩行活動、食事量及び水分摂取の増加(全て異化刺激と一致)によって支持された。Gbe
ys/ysマウス及びAPBD患者は、不溶性かつ病原性のポリグルコサンとしてグリコーゲンを貯蔵するので、その異化は治療的利点を構成する。グリコーゲン異化もまた、以下の理由から好ましい治療方法である。理論的には、APBDへの治療的アプローチは、PG形成、又は予め形成されたPG若しくはグリコーゲンの分解のいずれかを目標とすべきである。PG形成は、GYS活性とGBE活性との間のバランスに依存する-GYS/GBE活性比が高いほど、より伸長した、より分枝の少ない可溶性グリコーゲンが形成され、これは、より短い鎖と比較して、優先的にPGを形成する。一方、化合物1によってなされる既存のPG及びグリコーゲン(PG前駆体)の分解は、より直接的な目標であり、有害なPGが作られることを予め回避するGYS阻害剤グアイアコールによってなされるデノボPG形成の阻害よりも有効であると予想される。実際、LDモデル化マウスにおける研究において、疾患発症後の条件付きGYSノックダウンは、既存の有害なラフォラPG体を除去することができないことが示された。
【0246】
薬物発見における重要な課題は、薬物候補の関連する標的及び作用機序の決定である。その目的に向けて、本発明者らはここでInoviemのNPOT(登録商標)タンパク質標的同定アプローチを適用した。小分子のタンパク質標的を同定するための主要なツールとして認識され、いくつかの治療的に関連する標的を同定したこの技術は、細胞の自然な生理学的環境内の化合物-標的相互作用を同定する。これは、同定されたものが、他の技術のように標的それ自体ではなく、そのシグナル伝達経路又は機能的四次ネットワークを有する一次標的であることを意味する。化合物1について行われるように、試験化合物によって調節される細胞経路の決定は、他の薬物を同じ経路に推定的に製剤化する上で重要であり、これは、臨床においてやがて治療有効性を有意に向上させることができる。更に、NPOT(登録商標)はまた、雑多な結合剤を濾過し、陰性対照(この場合、HTSにおける陰性化合物)及び内因性リガンドへの結合を排除することによって、標的結合の特異性を確認することができる(
図5A)。それにもかかわらず、これらの基準によれば、化合物1のLAMP1への結合、及びそれを通じたその機能的四次ネットワークへの結合は特異的であり(
図5B)、SPR検証において用量応答及びリソソームpH依存性を示したが(
図5D)、その見かけのLAMP1結合K
Dは比較的高く(6.3mM)、これは一見したところ、その臨床適用に対する障害となり得る。この問題は、以下のように対処することができる。1.薬理学的に関連する知見は、化合物1がリソソーム-オートファゴソームインタラクトームと特異的に相互作用したこと(
図5B)、及びそれが毒性ではなかったことである(
図8~
図11、表2)。
【0247】
この知見は、低親和性(高K
D)リガンドにおける主な懸念である推定オフターゲットとの非特異的相互作用を除外する。低親和性医薬候補の親和性を改善するための従来のアプローチは、医薬品化学に基づく。GSDにおいて、このようなアプローチは、GYS阻害剤の親和性を増加させるために使用された。しかしながら、その減少が比較的許容可能であるGYSとは対照的に、LAMPタンパク質は、ハウスキーピング自己リソソーム機構に属し(
図5B)、その阻害は、例えば、LAMP2の代償的上昇を伴わないLAMP1-KDと同様に、周産期生存率を損なう可能性がある。したがって、高親和性LAMP1阻害剤は、APBD線維芽細胞に対するLAMP1-KDと同様に毒性である可能性があり(
図6)、本発明者らが発見したLAMP1阻害剤である化合物1の低親和性は、細胞増殖に必須な機能(household function)の抑制を緩和することによって実際に臨床的利点を構成し得る。更に、コンピューター分析は、LAMP1の化合物1結合ポケットが非常にドラッガブルであることを示しており(
図5E)、すなわち、医薬品化学分析は、その効果を改善し得る、化合物1に対する様々な代替物を発見することが期待される。
【0248】
単一タンパク質ではなく、機能的ネットワーク標的としてヘテロ集合体を含有するLAMP1(
図5B)の発見は、自己貧食調節に基づく治療法を切り開き、治療標的のランドスケープを実際に拡大する。自己リソソームネットワークは、
図5Bだけでなく、本発明者らのマルチフィーチャイメージング分析によっても、栄養利用可能性の自己貪食に関連する変化によって改変される可能性がある生体エネルギーパラメータと併せて発見された(
図7B及び
図7C)。化合物1の標的としてのこの経路の関連性についてのさらなる裏付けは、プロテオミクスデータ(
図7D~
図7F)及び細胞における化合物1による自己貪食性フラックスの実際の増強(
図6)によってもたらされる。
【0249】
機構的に、LAMP1はI型リソソーム膜タンパク質であり、これは、LAMP2と共に、リソソームの完全性及び機能において中心的な役割を果たす。結果として、LAMP1はまた、自己貪食プロセスにおけるリソソームの関与にとって重要であるが、LAMP2はより重要である。したがって、LAMP1ノックダウンは、しばしば自己貪食の減少と関連付けられる。しかしながら、本結果と一致して、他の研究は、LAMP1-KDが実際に自己貪食機能を増加させたことを示し、これは別の膜貫通リソソームタンパク質TMEM192についても示された。自己貪食性フラックスは、リソソーム阻害剤に対する感受性によって常に定義されるわけではないので、これらの見かけの不一致は、おそらく細胞型、アッセイ条件、更には自己貪食の定義に依存する。LAMP1に対する化合物1の作用の分子機構を予測するために、本発明者らは計算化学を使用した。計算結果は、化合物1の結合部位がLAMP1:LAMP1相互作用界面(
図13A)(N末端ドメインに位置する)に位置することを予測しており、本化合物がLAMP1間相互作用を阻害することを示唆している。実験データによれば、LAMP1のN末端ドメインの切断は、LAMP1/LAMP1及びLAMP1/LAMP2アセンブリを損なうが、より可動性のLAMP2のN末端ドメインの切断は、反対の効果をもたらす(
図13B)。したがって、本発明者らは、LAMP1N末端ドメインがLAMP1/LAMP1相互作用及びLAMP1/LAMP2相互作用を促進し、化合物1によるN末端ドメインでのLAMP1/LAMP1相互作用又はLAMP1/LAMP2相互作用の阻害がLAMP1有効リソソーム膜密度を低下させると仮定することができる。したがって、化合物1の処置は、LAMP1-KDと同等であると仮定することができ、これは、LAMP1-KD効果のその増強を説明し得る。化合物1によって誘導されたLAMP1のレベルのわずかな増加(1.2倍)は、おそらく結合媒介性の安定化を反映しており(
図5C)、おそらくは化合物1媒介性の膜密度の低下を有意に打ち消すものではない。本発明者らは、LAMP1膜密度における化合物1媒介性の減少が、LAMP1-KDの際のリソソーム膜におけるLAMP2の実証された増加によってグリコファジーを増加させると仮定する。LAMP2は、オートファゴソーム末梢タンパク質GORASP2との相互作用によってオートファゴソーム-リソソーム融合(ひいては、自己貪食性フラックス)を増強することが観察された。あるいは、LAMP1-KD/化合物1によるリソソーム膜のスペーシングは、STBD1タンパク質によるリソソームへのグリコーゲン移入(及び結果として生じる分解)を可能にし得る。重要なことに、リソソームグリコーゲン分解は、その細胞質分解と並行して起こり、特に、マウスにおけるAPBDもモデル化するGSDIVマウスモデルにおいて、リソソームグリコーゲン分解酵素α-グルコシダーゼ補正病態の過剰発現が起こる。
【0250】
まとめると、この研究は、化合物1が、自己貪食経路を活性化することによってPG及び過剰蓄積されたグリコーゲンを分解することができる新規な異化化合物であることを実証する。本研究は、現時点で治療法の選択肢がないAPBD患者の治療における化合物1の臨床使用のための基礎を成す。更に、それは、化合物1を、グリコーゲンサーチャージの安全な減少を介して他のGSDを治療するためのリード化合物として位置づける。
【0251】
実施例8
144DG11化合物の治療特性
144DG11は、自己貪食が乱されるリソソーム蓄積症(LSD)ポンペ病(PD)において自己貪食を活性化することができる(
図15)。このデータは、PD患者由来の線維芽細胞において、非脂質化LC3(LC3I)LC3に対する脂質化自己貪食マーカーLC3(LC3II)の比が、自己リソソーム阻害剤ビンブラスチンによって増加したことを示す。この比は、自己貪食及び自己貪食性フラックスについて最も受け入れられているマーカーとして役立つ。ビンブラスチンに対する感受性(すなわち、分解されていない自己貪食基質の蓄積を示すLC3II/LC3I比の増加)は、血清飢餓PD患者由来線維芽細胞を50μM 144DG11で24時間処理することによって増加した。これらの観察は、GSD APBDにおけるように、144DG11が、自己貪食が妨害される典型的なLSD PDにおいても自己貪食を活性化し得ることを示す。これは、144DG11が、自食作用の乱れが主要な病原性因子であるLSDを治療するための治療可能性も有することを強く示唆する。
【0252】
144DG11(24時間、50μM)は、APBD患者由来線維芽細胞においても実証されたように、PD患者由来線維芽細胞においてグリコーゲンを減少させることができる(
図16)。
【0253】
これらの結果(
図17)は、144DG11が、ミトコンドリア(OxPhos)ATP産生を犠牲にして、全体的なATP産生並びに解糖ATP産生の相対的寄与を増加させたことを示す。この現象は、健康な対照(HC)初代皮膚線維芽細胞ではなく、PDで選択的に観察された。144DG11のアッセイ補充は、本化合物による24時間の前処理よりも、ATP産生への解糖寄与の増大においてより有効であり、ATP産生に対するその効果は、おそらく細胞適応のために有意ではなかった。これらの結果は、144DG11媒介性の増強された自己貪食性異化に由来するグルコースが、ATP産生に利用可能であることを示唆する。これらの観察は、APBD線維芽細胞においてなされた観察と一致し、ひいては、144DG11が、一般的な蓄積障害において広範な治療能力を有する汎用的な異化エンハンサーであることを示す。
【0254】
図17における結果は、増強された炭水化物異化に由来するグルコースがATP産生のために利用可能であることを示唆し、有効な抗肥満薬としての144DG11の将来の開発を支持する。本発明者らは、144DG11が西洋型食事(高脂肪/高炭水化物)によって誘導される肥満においてより有効であると予想する。144DG11が血漿トリグリセリドのレベルを減少させることができるというGSD4(Kakhlon et al.,(2021))及びGSD3(
図18)における観察は、144DG11が有効な抗肥満療法に開発され得ることを強く示唆している。
【0255】
総LC3及びp62の144DG11媒介性減少によって示されるように、本化合物は、アルツハイマー病(AD)モデル化マウスに由来する脳ミクログリアにおいて自己貪食を誘導した(
図19)。この観察は、ADを治療するための144DG11の治療可能性を実証するので重要である。ミクログリアは、脳において最も炎症促進性の組織であるため、現在、ADの革新的な治療研究の中心にある。更に、神経炎症が現在ADにおける主要な病原因子として受け入れられており、ミクログリア自己貪食及びマイトファジーの活性化が主要な治療法であるため(例えば、Eshraghi et al.,(2021)を参照されたい)、144DG11はAD治療薬の候補として有望である。
【0256】
144DG11はまた、原発性ヒト非小細胞肺がん(NSCLC)細胞において自己貪食を誘導した(
図20)。自己貪食の誘導は、NSCLCにおいて実証された治療的価値を有する(例えば、Wang et al.,(2021)を参照されたい)。注目すべきことに、144DG11は、ミクログリア及びNSCLC細胞のいずれにおいてもグリコーゲンレベルを低下させず、このことは、グリコーゲンが、これらの細胞において、144DG11によって改変可能な自己リソソーム経路によって分解されないことを示唆している。グリコーゲンに対するこの効果の欠如はまた、グリコーゲン蓄積がこれらの細胞において病原性ではない可能性があることを示唆する。しかし、144DG11による有害な封入体の自己貪食性クリアランスは、おそらく、本明細書で実証されるように多くの異なる疾患状態において有益である。
【0257】
NAD+及びNADHは、電子伝達鎖、TCA回路、解糖、アミノ酸合成、脂肪酸合成、及びヌクレオチド合成のための重要な前駆体である。NAD+/NADH比は、全体的な異化の程度及び解糖とOxPhosとの間のバランスを報告する。NAD+/NADH比の増加は、ミトコンドリア電子伝達鎖における電子流の加速(ミトコンドリアATP産生ではないことに留意されたい)及び代謝要求をより良好に管理するための解糖の加速を意味する。更に、NAD+/NADH比の増加と関連することが多いSirt1誘導は、十分に実証された革新的なアンチエイジング、カロリー制限模倣及び抗がんの治療法である(例えば、Hyun et al.,(2020)を参照されたい)。したがって、NAD+/NADH比並びにSirt1の誘導を示すGsd1a細胞における結果(
図21)は、144DG11が、多数の異なる代謝障害、加齢関連合併症、及びがんに対する有望な療法であることを示す。加えて、144DG11はp62を下方調節し、GSD4及びPD細胞において実証されたように、Gsd1a細胞における自己貪食性フラックスの増加を示した。
【0258】
本発明は、その特定の実施形態に関連して説明されてきたが、多くの代替物、改変、及びバリエーションが当業者に明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の技術思想及び広い範囲に含まれる全てのそのような代替物、改変、及びバリエーションを包含することが意図されている。
【0259】
本明細書で言及されている全ての出版物、特許、及び特許出願は、個々の出版物、特許、又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照により全体が本明細書に組み込まれる。更に、本出願における任意の参考文献の引用又は特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用されている限りにおいて、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
【国際調査報告】