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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチド検出のための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6827 20180101AFI20240206BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240206BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C12Q1/6827 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549570
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 GB2022050411
(87)【国際公開番号】W WO2022175655
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】2102166.2
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2102178.7
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521027629
【氏名又は名称】バイオフィデリティ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ストラレク-ヤヌツキーヴィッチ,マグダレーナ
(72)【発明者】
【氏名】バームフォース,バーナビー・ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR07
4B063QR08
4B063QR14
4B063QR20
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、癌、感染性疾患、および移植臓器拒絶の同定において使用されるものを含めた多数の診断的マーカーの存在を試験するために適切な、簡易化されたポリヌクレオチド配列検出方法に関する。これはまた、マーカーのパネルを信頼度高くかつ低価格で同定しなければならないコンパニオン診断試験にも有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に存在する所定の核酸分析物中の標的ポリヌクレオチド配列を検出する方法であって、
(a)遮断オリゴヌクレオチドを、1つまたは複数の核酸分析物を含む第1の反応混合物に導入するステップであって、遮断オリゴヌクレオチドが、非標的ポリヌクレオチド配列の少なくとも部分組とアニーリングする、ステップと、
(b)(a)で生成された混合物を、
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
ii.加ピロリン酸分解酵素と、
iii.リガーゼと
を含む第2の反応に導入するステップであって、標的分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成する、ステップと、
(c)以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出するステップであって、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の一本鎖分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有する、ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の一本鎖分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有し、プライマーのうちの1つまたは複数が5’保護されており、PCR産物を5’-3’エクソヌクレアーゼで処理する、ステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1の反応混合物が、1つまたは複数のプライマー、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、および増幅酵素をさらに含み、ステップ(a)中に、試料中に存在する核酸分析物が増幅を受け、所定の核酸分析物の増幅の後かつ(b)の前に、試料をプロテイナーゼでさらに処理することをさらに特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1および第2の反応混合物を合わせることをさらに特徴とし、
(c)1つまたは複数の核酸分析物を、
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
ii.遮断オリゴヌクレオチドと、
iii.加ピロリン酸分解酵素と、
iv.リガーゼと
を含む、合わせた反応混合物に導入するステップであって、遮断オリゴヌクレオチドが、非標的ポリヌクレオチド配列の少なくとも部分組とアニーリングし、標的分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成する、ステップと、
(d)以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出するステップであって、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する、ステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加ピロリン酸分解酵素を含む反応混合物がピロリン酸イオン供給源をさらに含むことをさらに特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
生体試料中に存在するRNAの標的領域が、1つまたは複数の核酸分析物を、加ピロリン酸分解酵素を含む反応混合物に導入する前に、逆転写酵素によってDNAへと逆転写されることをさらに特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
遮断オリゴヌクレオチドが、標的核酸分析物と完全に相補的であり、非標的核酸分析物とミスマッチであり、
非標的核酸分析物が遮断オリゴヌクレオチドと不完全にアニーリングして、非標的分子から融解するために必要な程度まで加ピロリン酸分解によって消化されることができない中間生成物を形成するステップ、
標的核酸分析物が遮断オリゴヌクレオチドと完全にアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である中間生成物を形成し、遮断オリゴヌクレオチドが3’-5’方向で加ピロリン酸分解され、標的核酸分析物を放出するステップ、
標的核酸分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成するステップ、および
以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出するステップであって、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する、ステップ
をさらに特徴とする、請求項1から3、5、または6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
遮断オリゴヌクレオチドが、消化に対する耐性を与えるために3’または5’修飾を含むことをさらに特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第2のまたは合わせた反応混合物が、Aの一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)をさらに含むことをさらに特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第2のまたは合わせた反応混合物が増幅酵素をさらに含むことをさらに特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
加ピロリン酸分解反応の生成物が、検出ステップの前に、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドおよびdNTPを含む第3の反応混合物に導入されることをさらに特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第3の反応混合物が増幅酵素をさらに含むことをさらに特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第2のまたは合わせた反応混合物が、
1つまたは複数のリガーゼと、
上の隣接配列と相補的な2つ以上のLCRプローブオリゴヌクレオチドであって、プローブが、Aとのアニーリングが成功する場合、一方のLCRプローブの5’リン酸が他方のLCRプローブの3’OHと直接隣接している、LCRプローブオリゴヌクレオチドと
をさらに含み、Aの存在下では、2つのLCRプローブはAとのアニーリングが成功し、一緒にライゲーションされて、1つのオリゴヌクレオチド分子を形成し、その後、これが第2ラウンドの共有的ライゲーションの新しい標的として働き、目的の標的、この場合はAの幾何学的増幅をもたらし、その後、これを検出することをさらに特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
加ピロリン酸分解反応の生成物が、検出ステップの前に、
1つまたは複数のリガーゼと、
上の隣接配列と相補的な2つ以上のLCRプローブオリゴヌクレオチドであって、プローブが、Aとのアニーリングが成功する場合、一方のLCRプローブの5’リン酸が他方のLCRプローブの3’OHと直接隣接している、LCRプローブオリゴヌクレオチドと
を含む第3の反応混合物に導入され、Aの存在下では、2つのLCRプローブはAとのアニーリングが成功し、一緒にライゲーションされて、1つのオリゴヌクレオチド分子を形成し、その後、これが第2ラウンドの共有的ライゲーションの新しい標的として働き、目的の標的、この場合はAの幾何学的増幅をもたらし、その後、これを検出することをさらに特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第2のまたは合わせた反応混合物が、
その蛍光が、互いとまたは1つもしくは複数の蛍光クエンチャーのいずれかとのその近接によってクエンチされるように配置された、1つのまたは複数のフルオロフォアを含む、ライゲーション部位を含むAの一領域と相補的であるオリゴヌクレオチドと、
二本鎖特異的DNA消化酵素と
をさらに含み、Aの存在下で、標識されたオリゴヌクレオチドは、フルオロフォアが互いからまたはその対応するクエンチャーから分離されており、蛍光シグナル、したがってAの存在が検出可能であるように、消化されることをさらに特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
加ピロリン酸分解反応の生成物が、検出ステップの前に、
その蛍光が、互いとまたは1つもしくは複数の蛍光クエンチャーのいずれかとのその近接によってクエンチされるように配置された、1つのまたは複数のフルオロフォアを含む、ライゲーション部位を含むAの一領域と相補的であるオリゴヌクレオチドと、
二本鎖特異的DNA消化酵素と
を含む第3の反応混合物に導入され、Aの存在下で、標識されたオリゴヌクレオチドは、フルオロフォアが互いからまたはその対応するクエンチャーから分離されており、蛍光シグナル、したがってAの存在が検出可能であるように、消化されることをさらに特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
部分的に消化された鎖Aが、その3’および5’末端のライゲーションを通じて環状化されて、オリゴヌクレオチドAを作り出すことをさらに特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第2のまたは合わせた反応混合物が、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCをさらに含み、部分的に消化された鎖Aが、3’末端で、Cの5’末端へライゲーションされて、オリゴヌクレオチドAを作り出すことをさらに特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
オリゴヌクレオチドCが、それを3’-5’エクソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾をさらに含むことをさらに特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1、第2、第3の、または合わせた反応混合物が、スプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含むことをさらに特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
Dが、Aの3’末端と相補的なオリゴヌクレオチド領域と、オリゴヌクレオチドCの5’末端またはAの5’末端のどちらかと相補的な領域とを含むことをさらに特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
Dが、3’修飾が原因で、またはDの3’末端とAの対応する領域との間のミスマッチのいずれかで、Aに対する伸長を受けることができないことをさらに特徴とする、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第1、第2の、または合わせた反応混合物が、5’-3’エクソヌクレアーゼをさらに含み、Aの5’末端が、5’-3’エクソヌクレアーゼ消化に対する耐性が与えられていることをさらに特徴とする、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
第1、第2の、または合わせた反応混合物がホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含むことをさらに特徴とする、請求項1から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
検出ステップの前またはその間に、以前のステップの生成物をピロホスファターゼまたはエクソヌクレアーゼで処理することをさらに特徴とする、請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
の加ピロリン酸分解を行って部分的に消化された鎖Aを形成する酵素が、Aも増幅することをさらに特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
検出を、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを使用して達成することをさらに特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
の複製配列の生成から生じる経時的なシグナルの増加を使用して、分析物中の標的配列の濃度を推測することをさらに特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
複数のプローブAを用い、それぞれが異なる標的配列に対して選択的であり、それぞれが同定領域を含むことをさらに特徴とし、Aの複製配列がこの同定領域を含み、したがって、同定領域の検出を通じて分析物中に存在する標的配列を推測することをさらに特徴とする、請求項1から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
同定領域の検出が、分子プローブを使用してまたはシーケンシングを通じて実施されることをさらに特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
方法の最終ステップが、
i.1つまたは複数のオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを使用して、加ピロリン酸分解ステップの生成物を標識するステップと、
ii.生成物の蛍光シグナルを測定するステップと、
iii.生成物を一組の変性条件に曝露させるステップと、
変性条件への曝露中の生成物の蛍光シグナルの変化をモニタリングすることによって、分析物中のポリヌクレオチド標的配列を同定するステップと
を含むことをさらに特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
1つまたは複数の核酸分析物が、複数の反応体積へと分割され、それぞれの体積が、様々な標的配列を検出するために導入された1つまたは複数のプローブオリゴヌクレオチドAを有することをさらに特徴とし、異なるプローブAが共通のプライミング部位を含み、単一のプライマーまたは単一組のプライマーを増幅に使用することを可能にすることをさらに特徴とする、請求項1から32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌、感染性疾患、および移植臓器拒絶の同定において使用されるものを含めた多数の診断的マーカーの存在を試験するために適切な、簡易化されたポリヌクレオチド配列検出方法に関する。これはまた、マーカーのパネルを信頼度高く低価格で同定しなければならないコンパニオン診断試験にも有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、実験室および診断的試料中に存在するDNAまたはRNAを、信頼度高く検出および/または定量することができる程度まで増幅するための、周知かつ強力な技法である。しかし、そのような分子を低レベルで含有する分析物試料を調査する目的に適用した場合、これはいくつかの制限に苦しむ。第1に、この技法は、少なければ単一の標的分子を検出することができる一方で、試料中に存在する他の核酸配列の望まない増幅が原因で偽の陽性結果を生じやすい。これにより、反応を開始させるために使用するオリゴヌクレオチドプライマーの選択が重要となり、立ち代ってこれは、所要レベルの特異性を有するプライマーの設計を比較的複雑にする。その結果、現在市場で利用可能な多くのPCRに基づく試験は特異性が制限されている。
【0003】
第2の欠点は、PCRに基づく方法の複合化は、プライマー-プライマーの相互作用を回避するために、実際には最大で数十標的配列(しばしば10個を超えない)に制限されており、比較的狭い操作ウィンドウの必要性をもたらすことである。
【0004】
別の問題は、PCR反応サイクルが指数関数的な様式であるため、標的の定量が困難であることである。反応効率の小さな変動が、生じる検出可能な材料の量に多大な影響を与える。したがって、適切な対照および較正を行った場合でも、定量は典型的には約3倍以内の正確さに制限される。
【0005】
最後に、PCR増幅方法による調査の標的とされた領域中の突然変異は、望まない副作用を有する場合がある。たとえば、標的生物が、試験プライマーが標的とする遺伝子領域中に突然変異を起こし、多数の偽陰性を生じたため、FDAに認可された試験を撤回しなければならなかった事例がある。逆に、特定の一塩基多型(SNP)が増幅の標的とされている場合、野生型変異体が存在する場合はPCR方法はしばしば偽陽性を示す。これの回避には非常に注意深いプライマー設計を要し、複合化の有効性をさらに制限する。このことは、癌の試験/スクリーニングまたはコンパニオン診断における一般的な要件である、SNPのパネルを検索する際に特に関連性がある。
【0006】
WO2020/016590号は、試料を一本鎖プローブと接触させ、プローブが標的と相補的である場合は加ピロリン酸分解酵素で消化され、消化されたプローブを検出する、標的核酸配列を検出する方法を記載する。この方法は溶液中で起こり、加ピロリン酸分解およびライゲーションの複数のステップを使用して標的配列を検出する。以下の発明は、その間に開示されたアッセイの、より少ない酵素を使用した簡易バージョンである。
【0007】
Ingramら(「改善された対立遺伝子特異的フットプリント法および自動クロマチン微細構造分析のためのPAP-LMPCR(PAP-LMPCR for improved, allele-specific footprinting and automated chromatin fine structure analysis)」、NUCLEIC ACIDS RESEARCH、第36巻、第3号、2008年1月21日)は、ライゲーション反応が加ピロリン酸分解誘導緩衝液の存在下で非常に非効率的である方法を教示する。本発明者らは、驚くべきことに、Ingramらの開示が反対の教唆をしている、効率的に進行する合わせた加ピロリン酸分解およびライゲーションステップを含む、WO2020/016590号の方法への改善を見出した。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは今回、本発明者らの以前の特許(WO20016590 A1号、PCT/GB2020/053361号、PCT/GB2020/053362号、PCT/GB2020/053363号、GB2020539.9号、およびGB2101176.2号)において用いた加ピロリン酸分解反応を使用した本発明者らの経験に基づく、改善された方法を開発した。遮断オリゴヌクレオチドを用いた組合せは、これらの制限の多くに打ち克つ。その際、これは、(1)一本鎖オリゴヌクレオチド基質または遮断基もしくはヌクレオチドミスマッチを含む二本鎖基質では効率的に進行しない反応である、加ピロリン酸分解の二本鎖特異性と、(2)非特異的結合を低下させることによって本発明の方法の特異性を増加させる、遮断オリゴヌクレオチドの能力とを利用する。したがって、本発明によれば、所定の核酸分析物中の標的ポリヌクレオチド配列を検出する方法であって、
(a)遮断オリゴヌクレオチドを、1つまたは複数の核酸分析物を含む第1の反応混合物に導入するステップであって、遮断オリゴヌクレオチドが、非標的ポリヌクレオチド配列の少なくとも部分組とアニーリングする、ステップと、
(b)(a)で生成された混合物を、
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
ii.加ピロリン酸分解酵素と、
iii.リガーゼと
を含む第2の反応に導入するステップであって、標的分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成する、ステップと、
(c)以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出するステップであって、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する、ステップと
を含む、方法が提供される。
【0009】
本発明の一態様では、試料中の所定の核酸分析物中のポリヌクレオチド標的配列を検出する方法であって、以下のステップ:
(a)分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有する、ステップと、
(b)1つまたは複数の単鎖核酸分析物を、
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
ii.加ピロリン酸分解酵素と、
iii.リガーゼと
を含む第1の反応混合物に導入するステップであって、分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成する、ステップと、
(c)以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出するステップであって、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する、ステップと
を含む、方法が提供される。
【0010】
一部の実施形態では、ステップ(a)は、分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有する、ステップを含む。
【0011】
一部の実施形態では、ステップ(a)は、分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の一本鎖分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有し、プライマーのうちの一方が他方よりも過剰で導入されている、ステップを含む。
【0012】
一部の実施形態では、ステップ(a)は、分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の一本鎖分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有し、プライマーのうちの1つまたは複数が5’保護されており、PCR産物を5’-3’エクソヌクレアーゼで処理する、ステップを含む。
【0013】
本発明の方法を適用することができる分析物は、天然に存在するまたは合成のDNAまたはRNA分子などの、探求中の標的ポリヌクレオチド配列を含めた核酸である。一実施形態では、分析物は、典型的には分析物および他の生体物質を含有する水溶液中に存在し、一実施形態では、分析物は、試験の目的のためには目的でない、他の背景核酸分子と共に存在する。一部の実施形態では、分析物は、これらの他の核酸成分と比較して低い量で存在する。好ましくは、たとえば、分析物が細胞物質を含有する生物学的検体に由来する場合は、方法のステップ(a)を行う前に、これらの他の核酸および外来生体物質の一部または全部を、濾過、遠心分離、クロマトグラフィー、または電気泳動などの試料調製技法を使用して除去する。適切には、分析物は、血液、血漿、痰、尿、皮膚、または生検などの、哺乳動物対象(特にヒト患者)から採った生体試料に由来する。一実施形態では、生体試料を溶解に供して、存在するすべての細胞を破壊することによって分析物を放出させる。他の実施形態では、分析物は、血液または血漿中に循環する無細胞DNAなど、試料自体内に遊離形態で既に存在し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1、初期PCR増幅において様々な濃度の遮断オリゴヌクレオチドを使用したEGFRエクソン19cosm12384突然変異の検出の結果である。結果は、使用した遮断オリゴヌクレオチドの濃度が高ければ高いほど、0%と0.1%AFとの間のCq値の相違が大きくなることを示す。
図2】実施例2、合わせた加ピロリン酸分解およびライゲーションステップの前の、初期PCR増幅に続く遮断オリゴヌクレオチドの導入、ならびに0.1%AFのT790Mの検出の結果である。結果は、遮断オリゴヌクレオチドを使用することが、より大きな0%と0.1%AFとの間のCq値の相違をもたらすことを示す。
図3】実施例3、0.1%AFのT790Mの検出の方法における、的配列と完全に相補的な様々な濃度の遮断オリゴヌクレオチドの使用の結果である。結果は、遮断オリゴヌクレオチドの存在が0%と0.1%AFとの間のCq値の相違を増加させ、最適な遮断オリゴの濃度が約80nMであることを示す。
図4】遮断オリゴヌクレオチドが初期PCR増幅中に存在し得る、本発明の一実施形態の例示的な一例を示す図である。遮断オリゴヌクレオチドは存在する野生型鎖とアニーリングし、PCRによるその増幅を防止する。これは、突然変異鎖のみの優先的な増幅を可能にする。
図5】遮断オリゴヌクレオチドが合わせた加ピロリン酸分解およびライゲーションステップのために存在する、本発明の一実施形態の例示的な一例を示す図である。遮断オリゴヌクレオチドは野生型分子と完全にアニーリングし、プローブAのアニーリングを防止する。遮断オリゴヌクレオチドと標的突然変異分子との間のミスマッチは、より低い融解温度をもたらし、これは、突然変異分子とアニーリングした遮断オリゴヌクレオチドが、加ピロリン酸分解に使用する高温で融解するか、またはプローブAによって追放されるかのどちらかである一方で、野生型分子とハイブリダイズしたものがアニーリングしたままであることを引き起こす。これは、突然変異鎖とのアニーリングが成功するプローブの画分、したがって本方法の結果として検出される蛍光シグナルレベルの有意な増加を生じる。
図6】突然変異鎖中に存在する標的配列と完全に相補的であるが、野生型鎖中の相当する配列とミスマッチである遮断オリゴヌクレオチドが、合わせた加ピロリン酸分解およびライゲーションステップについて存在する、本発明の一実施形態の例示的な一例を示す図である。遮断オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のミスマッチの存在が原因で、存在する任意の野生型鎖と不完全にアニーリングし、これが、遮断オリゴヌクレオチドの任意の加ピロリン酸分解、次いで、任意のプローブAの野生型鎖とのミスマッチアニーリングを防止する。遮断オリゴヌクレオチドは、存在する任意の突然変異鎖と完全にアニーリングし、完全に加ピロリン酸分解され、存在する任意のプローブAが突然変異鎖とアニーリングし、次いで加ピロリン酸分解およびライゲーションが起こることが可能となる。
図7】Aを環状化して分析物標的配列に対するAを形成することを示す略図である。Aは、3’-5’方向でAの3’末端から標的に対して進行的に消化されて部分的に消化された鎖Aを形成し、これをステップ(A)および(B)として示す。この進行的消化は、A/Aの5’末端と相補的な標的の領域を露呈させ、その後、Aの5’末端がこの領域とハイブリダイズし、これをステップ(C)において示す。その後、Aを一緒にライゲーションさせて、環状化Aを形成する、ステップ(D)。
図8】一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAが、標的ポリヌクレオチド配列とアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が標的ポリヌクレオチド配列と二本鎖複合体を形成することを示す図である。本発明のこの簡易化された実施形態では、標的とアニーリングしていないAが、どのように本方法のさらなるステップに参加しないかを例示するために、2つのA分子および1つの標的ポリヌクレオチド配列が存在する。この例示的な例では、Aの3’末端は標的ポリヌクレオチド配列とアニーリングする一方で、Aの5’末端はアニーリングしない。Aの5’末端は、5’化学遮断基、共通のプライミング配列、およびバーコード領域を含む。 部分的に二本鎖の第1の中間生成物は、加ピロリン酸分解酵素の存在下、3’-5’方向でAの3’末端から加ピロリン酸分解を受けて、部分的に消化された鎖A、分析物、および標的とアニーリングしなかった未消化のA分子を作り出す。
図9】Aが一本鎖トリガーオリゴヌクレオチドBとアニーリングしており、A鎖がBに対して5’-3’方向に伸長されて、オリゴヌクレオチドAを作り出すことを示す図である。この例示的な例では、トリガーオリゴヌクレオチドBは5’化学遮断を有する。すべての未消化のAはトリガーオリゴヌクレオチドBとアニーリングするが、5’-3’方向でBに対して伸長して本方法の後の部分のための標的である配列を生じることができない。本実施例では、Aを、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを用いてプライミングし、複数コピーのAまたはAの一領域が作り出される。
図10】Aが、スプリントオリゴヌクレオチドDとアニーリングし、その後、その3’および5’末端のライゲーションによって環状化されることを示す図である。今では環状化されたAを、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを用いてプライミングし、複数コピーのAまたはAの一領域が作り出される。この例示的な例では、スプリントオリゴヌクレオチドDは、3’修飾(この例示中では化学的)が原因で、またはDの3’末端とAの対応する領域との間のヌクレオチドミスマッチを通じてのいずれかで、Aに対して伸長することができない。
図11】スプリントオリゴヌクレオチドDの3’領域はAの3’領域とアニーリングする一方で、スプリントオリゴヌクレオチドDの5’領域はライゲーションプローブCの5’領域とアニーリングすることを示す図である。したがって、Aと、Cと、任意選択で、Cの5’末端に合わせるために5’-3’方向のAの伸長によって形成された中間領域とから構成される、第2の中間生成物Aが形成される。この例示的な例では、3’-5’エクソヌクレアーゼを使用してすべてのライゲーションしていないAを消化することができるように、ライゲーションプローブCは3’化学遮断基を有する。 Aを、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを用いてプライミングし、複数コピーのAまたはAの一領域が作り出される。
図12】遮断オリゴヌクレオチド(BO)をPPLステップの前またはその間に加えた場合の、0.1%AFのT790M突然変異の検出を示す図である。0%と0.1%AFとの間のCq値の相違を示す結果であり、どちらの条件においても遮断オリゴの存在が0と0.1%AFとの間の相違を増加させる。
図13】2つの異なるプライマー組を使用した場合の、EGFR受容体、A)Cosm6225およびB)Cosm6218に対する0.1%AFの突然変異の検出を示す図である。非相補的テイルを含むプライマーを初期PCRに使用した場合に、蛍光レベルの明白な増加をどちらのグラフ中にも見ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一態様では、試料中の所定の核酸分析物中のポリヌクレオチド標的配列を検出する方法であって、以下のステップ:
(a)遮断オリゴヌクレオチドを、1つまたは複数の核酸分析物を含む第1の反応混合物に導入するステップであって、遮断オリゴヌクレオチドが、非標的ポリヌクレオチド配列の少なくとも部分組とアニーリングする、ステップと、
(b)(a)で生成された混合物を、
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
ii.加ピロリン酸分解酵素と、
iii.リガーゼと
を含む第2の反応に導入するステップであって、標的分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成する、ステップと、
(c)以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出するステップであって、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する、ステップと
を含む、方法が提供される。
【0016】
本発明の一態様では、試料中の所定の核酸分析物中のポリヌクレオチド標的配列を検出する方法であって、以下のステップ:
(a)分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有する、ステップと、
(b)1つまたは複数の単鎖核酸分析物を、
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
ii.加ピロリン酸分解酵素と、
iii.リガーゼと
を含む第1の反応混合物に導入するステップであって、分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成する、ステップと、
(c)以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出するステップであって、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する、ステップと
を含む、方法が提供される。
【0017】
一部の実施形態では、ステップ(a)は、分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有する、ステップを含む。
【0018】
一部の実施形態では、ステップ(a)は、分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の一本鎖分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有し、プライマーのうちの一方が他方よりも過剰で導入されている、ステップを含む。
【0019】
一部の実施形態では、ステップ(a)は、分析物と任意選択で背景ゲノムDNAとから構成される生体試料をPCRに供することによって分析物の複製配列を生成することによって、1つまたは複数の一本鎖分析物を生体試料から誘導するステップであって、プライマーのうちの1つまたは複数が非相補的5’テイルを有し、プライマーのうちの1つまたは複数が5’保護されており、PCR産物を5’-3’エクソヌクレアーゼで処理する、ステップを含む。
【0020】
一部の実施形態では、5’保護されていない1つまたは複数のプライマーは、5’リン酸基を有し得る。
一部の実施形態では、第1の反応混合物は、1つまたは複数のプライマー、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、および増幅酵素をさらに含み、ステップ(a)中に、試料中に存在する核酸分析物は増幅を受け、所定の核酸分析物の増幅の後かつ(b)の前に、試料をプロテイナーゼでさらに処理する。
【0021】
一部の実施形態では、ステップ(a)の前に、試料中に存在する核酸分析物を増幅し、所定の核酸分析物の増幅の後に、試料をプロテイナーゼでさらに処理する。
一部の実施形態では、ステップ(a)の前に試料をプロテイナーゼで処理する。一部の実施形態では、ステップ(a)中に試料をプロテイナーゼで処理する。一部の実施形態では、ステップ(a)の後に試料をプロテイナーゼで処理する。
【0022】
一部の実施形態では、方法が以下のステップ:
(a)1つまたは複数の核酸分析物を、
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
ii.遮断オリゴヌクレオチドと、
iii.加ピロリン酸分解酵素と、
iv.リガーゼと
を含む、合わせた反応混合物に導入するステップであって、遮断オリゴヌクレオチドが、非標的ポリヌクレオチド配列の少なくとも部分組とアニーリングし、標的分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成する、ステップと、
(b)以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出するステップであって、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する、ステップと
を含むように、第1および第2の反応混合物を合わせる。
【0023】
一部の実施形態では、加ピロリン酸分解酵素を含む反応混合物は、ピロリン酸イオン供給源をさらに含む。
一部の実施形態では、生体試料中に存在するRNAの標的領域は、加ピロリン酸分解酵素を含む反応混合物に導入する前に、逆転写酵素によってDNAへと逆転写される。
【0024】
一部の実施形態では、これは、逆転写酵素および適切なヌクレオチドの使用を介して達成される。
一部の実施形態では、試料中に存在するRNAは、試料中に存在する核酸のPCRを介した任意の事前増幅と同時に、DNAへと転写される。
【0025】
一部の実施形態では、試料中に存在する任意のRNAのDNAへの転写は、試料中に存在する核酸のPCRを介した任意の事前増幅とは別個のステップで起こる。
以前にまたは続いて記載する方法のいずれかの一部の実施形態では、試料中に存在するRNAはDNAへと転写されない。
【0026】
そのような実施形態では、Aは、RNA配列に対する加ピロリン酸分解を受けて、部分的に消化された鎖Aを形成し、その後、方法は、以前にまたは続いて記載するように進行する。
【0027】
本方法の一部の実施形態では、
非標的核酸分析物が遮断オリゴヌクレオチドと不完全にアニーリングして、非標的分子から融解するために必要な程度まで加ピロリン酸分解によって消化されることができない中間生成物を形成し、
標的核酸分析物が遮断オリゴヌクレオチドと完全にアニーリングして、遮断オリゴヌクレオチドの3’末端で少なくとも部分的に二本鎖である中間生成物を形成し、遮断オリゴヌクレオチドが3’-5’方向で加ピロリン酸分解され、標的核酸分析物を放出し、
標的核酸分析物が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が二本鎖複合体を形成し、Aが、3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖Aを作り出し、Aがライゲーションを受けてAを形成し、
以前のステップの生成物に由来するシグナルを検出し、生成物が、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分であり、それらから分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測する
ように、遮断オリゴヌクレオチドは、標的核酸分析物と完全に相補的であり、非標的核酸分析物とミスマッチである。
【0028】
遮断オリゴヌクレオチドが初期PCR増幅中に存在し得る、本発明の一実施形態の例示的な一例を、図4中に見ることができる。遮断オリゴヌクレオチドは存在する野生型鎖とアニーリングし、PCRによるその増幅を防止する。これは、突然変異鎖のみの優先的な増幅を可能にする。
【0029】
遮断オリゴヌクレオチドが合わせた加ピロリン酸分解およびライゲーションステップのために存在する、本発明の一実施形態の例示的な一例を、図5中に見ることができる。遮断オリゴヌクレオチドは存在する野生型鎖と完全にアニーリングし、プローブAのミスマッチアニーリングを防止する。遮断オリゴヌクレオチドは存在する突然変異鎖と不完全にアニーリングし、合わせた加ピロリン酸分解に使用する温度が原因で融解するか、またはプローブAによって追放されるかのどちらかとなる。これは、突然変異鎖とのアニーリングが成功するプローブの画分、したがって本方法の結果として検出される蛍光シグナルレベルの有意な増加を生じる。
【0030】
突然変異鎖中に存在する標的配列と完全に相補的であるが、野生型鎖中の相当する配列とミスマッチである遮断オリゴヌクレオチドが、合わせた加ピロリン酸分解およびライゲーションステップについて存在する、本発明の一実施形態の例示的な一例を、図6中に見ることができる。遮断オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のミスマッチの存在が原因で、存在する任意の野生型鎖と不完全にアニーリングし、これが、遮断オリゴヌクレオチドの任意の加ピロリン酸分解、次いで、任意のプローブAの野生型鎖とのミスマッチアニーリングを防止する。遮断オリゴヌクレオチドは、存在する任意の突然変異鎖と完全にアニーリングし、完全に加ピロリン酸分解され、存在する任意のプローブAが突然変異鎖とアニーリングし、次いで加ピロリン酸分解およびライゲーションが起こることが可能となる。
【0031】
一部の実施形態では、遮断オリゴヌクレオチドは、それにエクソヌクレアーゼ分解または加ピロリン酸分解による消化に対する耐性を与えるために、修飾を含む。
一部の実施形態では、遮断オリゴヌクレオチドは、それにエクソヌクレアーゼ分解または加ピロリン酸分解による消化に対する耐性を与えるために、3’修飾を含む。
【0032】
一部の実施形態では、遮断オリゴヌクレオチドは、それにエクソヌクレアーゼ分解による消化に対する耐性を与えるために、5’修飾を含む。
一部の実施形態では、第2のまたは合わせた反応混合物は、Aの一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)をさらに含む。
【0033】
一部の実施形態では、第2のまたは合わせた反応混合物は、増幅/ポリメラーゼ酵素をさらに含む。
一部の実施形態では、加ピロリン酸分解反応の生成物は、検出ステップの前に、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドおよびdNTPを含む第3の反応混合物に導入される。
【0034】
一部の実施形態では、第3の反応混合物は、増幅/ポリメラーゼ酵素をさらに含む。
一部の実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、
- 少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、および増幅酵素、または
- ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)に適した試薬、または
- ライゲーション連鎖反応(LCR)に適した試薬
をさらに含み、加ピロリン酸分解酵素は、増幅を行うものと任意選択で同じ酵素である。
【0035】
一部の実施形態では、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)はホットスタートdNTPである。
ホットスタートデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)は、3’末端で熱不安定性保護基で修飾されたdNTPである。この修飾の存在は、ヌクレオチド保護基が熱活性化ステップを使用して除去されるまで、DNAポリメラーゼヌクレオチドの取り込みを遮断する。
【0036】
一実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)のための成分をさらに含む。
【0037】
一部の実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、5’リン酸を有するライゲーションプローブオリゴヌクレオチドC、Aの3’末端と相補的なスプリントオリゴヌクレオチドD、およびCの5’末端をさらに含み、部分的に消化された鎖Aが、3’末端で、Cの5’末端へライゲーションされて、オリゴヌクレオチドAを形成する。
【0038】
本実施形態では、反応混合物は、ヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)およびヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)をさらに含み、ヘアピンオリゴヌクレオチドのそれぞれがフルオロフォアおよびクエンチャーを含み、それぞれのオリゴヌクレオチドがヘアピン立体配置に保たれる場合に、フルオロフォアとクエンチャーは互いに接触している。HO1は、AがHO1とアニーリングし、「ヘアピン」構造を開いてフルオロフォアをクエンチャーから分離させるように設計されており、ここで今は「開いた」HO1は、今はHO2とアニーリングし、「ヘアピン」構造を開いてフルオロフォアをクエンチャーから分離させることができる。
【0039】
本実施形態では、1つのAの存在がヘアピンオリゴヌクレオチドの開口の連鎖反応を引き起こし、検出可能な蛍光シグナルの生成をもたらすことができるように、複数のヘアピンオリゴヌクレオチドが存在する。この方法は、文献中においてハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)として知られる。
【0040】
一部の実施形態では、フルオロフォア-クエンチャー対のフルオロフォアは、それだけには限定されないが、フルオレセインファミリー、カルボキシローダミンファミリー、シアニンファミリー、およびローダミンファミリーの色素から選択される。使用することができる他の色素ファミリーとしては、たとえば、ポリハロフルオレセインファミリー色素、ヘキサクロロフルオレセインファミリー色素、クマリンファミリー色素、オキサジンファミリー色素、チアジンファミリー色素、スクアレインファミリー色素、キレート化ランタニドファミリー色素、Molecular Probesから商品名Alexa Fluor Jの下で入手可能な色素ファミリー、ATTO-TEC(ドイツSiegen)から商品名Attoの下で入手可能な色素ファミリー、およびInvitrogen(カリフォルニア州Carlsbad)から商品名Bodipy Jの下で入手可能な色素ファミリーが挙げられる。フルオレセインファミリーの色素としては、たとえば、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、2’,4’,1,4,-テトラクロロフルオレセイン(TET)、2’,4’,5’,7’,1,4-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2’,7’-ジメトキシ-4’,5’-ジクロロ-6-カルボキシローダミン(JOE)、2’-クロロ-5’-フルオロ-7’,8’-融合フェニル-1,4-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(NED)、2’-クロロ-7’-フェニル-1,4-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(VIC)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、および2’,4’,5’,7’-テトラクロロ-5-カルボキシ-フルオレセイン(ZOE)が挙げられる。カルボキシローダミンファミリーの色素としては、テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラプロパノ-6-カルボキシローダミン(ROX)、テキサスレッド、R110、およびR6Gが挙げられる。シアニンファミリーの色素としては、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、およびCy7が挙げられる。フルオロフォアは、たとえば、Perkin-Elmer(カリフォルニア州Foster City)、Molecular Probes,Inc.(オレゴン州Eugene)、およびAmersham GE Healthcare(ニュージャージー州Piscataway)から容易に購入される。
【0041】
一部の実施形態では、フルオロフォア-クエンチャー対のクエンチャーは、蛍光クエンチャーまたは非蛍光クエンチャーであり得る。蛍光クエンチャーとしては、それだけには限定されないが、TAMRA、ROX、DABCYL、DABSYL、ニトロチアゾールブルー(NTB)を含むシアニン色素、アントラキノン、マラカイトグリーン、ニトロチアゾール、およびニトロイミダゾール化合物が挙げられる。フルオロフォアから吸収されたエネルギーを消散させる例示的な非蛍光クエンチャーとしては、Biosearch Technologies,Inc.(カリフォルニア州Novato)から商品名Black Hole(商標)の下で入手可能なもの、Epoch Biosciences(ワシントン州Bothell)から商品名Eclipse(商標) Darkの下で入手可能なもの、Anaspec,Inc.(カリフォルニア州San Jose)から商品名Qx1Jの下で入手可能なもの、Integrated DNA Technologies(アイオワ州Coralville)から商品名ZENおよびTAOの下で入手可能なもの、ならびにIntegrated DNA Technologies(アイオワ州Coralville)から商品名Iowa Black(商標)の下で入手可能なものが挙げられる。
【0042】
一部の実施形態では、フルオロフォア-クエンチャー対のフルオロフォアは、フルオレセイン、ルシファーイエロー、B-フィコエリスリン、9-アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4-アセトアミド-4’-イソチオ-シアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、スクシンイミジル(succinimdyl)1-ピレンブチレート、および4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2-,2’-ジスルホン酸誘導体であり得る。
【0043】
一部の実施形態では、フルオロフォア-クエンチャー対のフルオロフォアは、LC-Red 640、LC-Red 705、Cy5、Cy5.5、リサミンローダミンBスルホニルクロライド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミンxイソチオシアネート、エリスロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、またはランタニドイオン(たとえばユーロピウムもしくはテルビウム)の他のキレートであり得る。
【0044】
一部の実施形態では、本発明は、二重にクエンチされた蛍光標識したオリゴヌクレオチドを利用する。第2の内部クエンチャーを含めることは、色素とクエンチャーとの間の距離を短縮させ、第1のクエンチャーと協力して、より大きな全体的な色素クエンチングを提供し、背景を低下させ、シグナル検出を増加させる。第2および第1のクエンチャーは、以前に記載したクエンチャーのうちの任意のものであり得る。
【0045】
一代替実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、5’リン酸を有するライゲーションプローブオリゴヌクレオチドC、Aの3’末端と相補的なスプリントオリゴヌクレオチドD、およびCの5’末端を含み、部分的に消化された鎖Aが、3’末端で、Cの5’末端へライゲーションされて、オリゴヌクレオチドAを形成する。
【0046】
一部の実施形態では、Aの5’および3’末端を一緒にライゲーションさせて、環状化Aを形成する。
一部の実施形態では、Aを環状化させて、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCに対するAを形成する。
【0047】
一部の実施形態では、Aを環状化させて、スプリントオリゴヌクレオチドDに対するAを形成する。
一部の実施形態では、Aを環状化させて、標的配列に対するAを形成する。本実施形態では、3’-5’方向でAの3’末端からAの進行的消化によって露呈されてAを形成する、標的の領域は、A/Aの5’末端と相補的である。本実施形態では、リガーゼを使用してAの3’および5’末端をライゲーションさせて、環状化オリゴヌクレオチドAを形成し得る。これは、たとえば図7中に示されている。一実施形態では、A/Aの5’末端は、5~50個のヌクレオチドの長さである領域にわたって、標的と相補的である。一実施形態では、これは5~25個のヌクレオチドの長さである。一実施形態では、これは5~20個のヌクレオチドの長さである。一実施形態では、これは5~15個のヌクレオチドの長さである。一実施形態では、これは5~12個のヌクレオチドの長さである。一実施形態では、これは5~10個のヌクレオチドの長さである。
【0048】
一部の実施形態では、以前にまたは続いて記載するように、Aを環状化させて、Aを形成する。
一部の実施形態では、以前にまたは続いて記載するように、Aを部分的に消化された鎖Aから形成する。
【0049】
一実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、
- 基質アーム、部分的触媒核、およびセンサーアームを含む、オリゴヌクレオチドAと、
- 基質アーム、部分的触媒核、およびセンサーアームを含む、オリゴヌクレオチドBと、
- フルオロフォア-クエンチャー対を含む基質と
をさらに含み、Aの存在下でオリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒的に多成分の核酸酵素(MNAzyme)が形成されるように、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームがAのフランキング領域と相補的である。本実施形態では、MNAzymeはAの存在下でのみ形成され、検出可能な蛍光シグナルが生成されるようにフルオロフォア-クエンチャー対を含む基質を切断する。
【0050】
一部の実施形態では、フルオロフォア-クエンチャー対は、以前に記載した通りであり得る。
一部の実施形態では、加ピロリン酸分解、ライゲーション、および検出可能な蛍光シグナルの生成が、さらなる試薬の添加なしで起こるように、本発明の反応混合物を合わせる。
【0051】
一代替実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、部分的に二本鎖の核酸構築体であって、
- 一方の鎖が、少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、この鎖の一領域がAの一領域と相補的であり、この鎖を「基質」鎖と呼んでよく、
- 他方の鎖が、少なくとも1つのクエンチャーを含み、この鎖の一領域が、Aの存在下で部分的に二本鎖の核酸構築体が実質的により二本鎖となるように、基質鎖が相補的である領域に隣接するAの一領域と相補的であり、
実質的により二本鎖となるプロセスにおいて、二本鎖核酸構築体の基質鎖がRNA塩基で切断され、「他方の」鎖の少なくとも1つのクエンチャーが基質鎖の少なくとも1つのフルオロフォアにもはや十分近接しなくなることが原因で蛍光を生じる、核酸構築体をさらに含む。
【0052】
言い換えれば、部分的に二本鎖の核酸構築体は、Aの存在下でより大きな二本鎖部分を有する。
一部の実施形態では、フルオロフォア-クエンチャー対は、以前に記載した通りであり得る。
【0053】
一部の実施形態では、適切な緩衝液および/またはイオンなどのさらなる試薬が、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物中に存在する。
【0054】
一部の実施形態では、反応混合物はMg2+イオンをさらに含む。
一部の実施形態では、反応混合物はZn2+イオンをさらに含む。
一部の実施形態では、反応混合物はX2+イオンをさらに含み、Xは金属である。
【0055】
一部の実施形態では、反応混合物は1つまたは複数のX2+イオンをさらに含み、Xは金属である。
一代替実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、リガーゼ連鎖反応(LCR)のための試薬をさらに含む。
【0056】
一部の実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、
a.1つまたは複数のリガーゼと、
b.A上の隣接配列と相補的な2つ以上のLCRプローブオリゴヌクレオチドであって、プローブが、Aとのアニーリングが成功する場合、一方のLCRプローブの5’リン酸が他方のLCRプローブの3’OHと直接隣接している、LCRプローブオリゴヌクレオチドと
を含む。
【0057】
一部の実施形態では、Aの存在下では、2つのLCRプローブはAとのアニーリングが成功し、一緒にライゲーションされて、1つのオリゴヌクレオチド分子を形成し、続いてこれが、第2ラウンドの共有的ライゲーションの新しい標的として働き、目的の標的、この場合はAの幾何学的増幅をもたらす。ライゲーションされた生成物、または複製配列は、Aと相補的であり、次の増幅サイクルにおいて標的として機能する。したがって、特異的標的DNA配列の指数関数的増幅は、過剰なLCRプローブの存在下における変性、ハイブリダイゼーション、およびライゲーションの繰り返しサイクルを通じて達成される。このことから、Aの存在、ひいては標的ポリヌクレオチド配列の存在が暗示される。
【0058】
一部の実施形態では、Aの存在下では、2つのPCRプローブはAとのアニーリングが成功し、一緒にライゲーションされて、1つのオリゴヌクレオチド分子を形成し、その後、これが第2ラウンドの共有的ライゲーションの新しい標的として働き、目的の標的、この場合はAの幾何学的増幅をもたらし、その後、これを検出する。
【0059】
一部の実施形態では、ライゲーションされたオリゴヌクレオチド分子は、挿入色素を使用してリアルタイムで検出する。
一部の実施形態では、ライゲーションされたオリゴヌクレオチド分子は、ゲル電気泳動を使用して検出する。
【0060】
当業者には、ライゲーションされたオリゴヌクレオチド分子の検出を可能にするであろう数々の技法が存在することが理解されよう。
一部の実施形態では、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)はホットスタートdNTPである。
【0061】
一部の実施形態では、1つまたは複数のリガーゼは熱安定性である。
一部の実施形態では、1つまたは複数のリガーゼは天然に存在する。
別の実施形態では、1つまたは複数のリガーゼは操作されている。
【0062】
一部の実施形態では、1つまたは複数のリガーゼは、以前にまたは続いて開示されている任意のリガーゼから選択される。
一部の実施形態では、1つまたは複数のポリメラーゼは熱安定性である。
【0063】
一部の実施形態では、1つまたは複数のポリメラーゼは、以前にまたは続いて開示されている任意のポリメラーゼから選択される。
一部の実施形態では、1つまたは複数のポリメラーゼは天然に存在する。
【0064】
別の実施形態では、1つまたは複数のポリメラーゼは操作されている。
一部の実施形態では、1つまたは複数のポリメラーゼは、加ピロリン酸分解に使用するものと同じである。
【0065】
一部の実施形態では、本発明の1つまたは複数の酵素はホットスタート酵素である。
一部の実施形態では、本発明の1つまたは複数の酵素は熱安定性である。
一代替実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、
a.Aと相補的である、フルオロフォア-クエンチャー対を含むスプリントオリゴヌクレオチドと、
b.二本鎖特異的DNA消化酵素と
を含み、Aの存在下では、スプリントオリゴヌクレオチドは、フルオロフォア-クエンチャー対が分離し、蛍光シグナル、したがってAの存在が検出可能となるように消化される。
【0066】
一部の実施形態では、フルオロフォア-クエンチャー対は、以前に記載した通りであり得る。一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素はエクソヌクレアーゼである。別の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素は、校正活性を有するポリメラーゼである。別の実施形態では、反応混合物は、校正活性を有するエクソヌクレアーゼまたはポリメラーゼのうちの1つまたは複数の混合物を含む。
【0067】
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素はホットスタート酵素である。
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素は、本方法の加ピロリン酸分解反応が起こる温度で活性が低下している。
【0068】
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素は、本方法の加ピロリン酸分解反応が起こる温度で活性を有さない。
一部の実施形態では、Aの3’末端は、標的ポリヌクレオチド配列と完全に相補的である。
【0069】
一部の実施形態では、リガーゼは、一本鎖ライゲーション活性を実質的に欠く。
一部の実施形態では、部分的に消化された鎖Aを含む反応混合物を、検出ステップの前またはその間に、無機ピロホスファターゼに導入する。
【0070】
化学的科学では、メチル化とは、メチル基の基質への付加、またはメチル基による原子もしくは基の置換を示す。メチル化は、より大きな炭素鎖ではなく、具体的にメチル基を用いて水素原子を置き換えた、アルキル化の形態である。これらの用語は、化学、生化学、土壌科学、および生物科学において一般的に使用される。
【0071】
生物系では、メチル化は酵素によって触媒される。そのようなメチル化は、重金属の修飾、遺伝子発現の制御、タンパク質機能の制御、およびRNA代謝に関与する場合がある。重金属のメチル化は、生物系外で起こる場合もある。組織試料の化学的メチル化は、特定の組織学的染色人工産物を低下させるための一方法でもある。
【0072】
異常なDNAメチル化プロファイルは、多数の様々な複雑な病状に関連づけられている。腫瘍学では、血清DNA中の腫瘍抑制遺伝子の過剰メチル化は、小細胞肺癌の診断的マーカーとして使用することができる。糖尿病、関節リウマチ(RA)、および全身性エリテマトーデス(SLE)などの免疫疾患を有する患者では、免疫系の細胞の異常なDNAメチル化が見出される。反復要素ALU、LINE-1、およびSatellite 2における末梢血白血球(PBL)の示差的DNAメチル化(全DNAメチル化の測度)が、虚血性心疾患に関連していることが見出されている。
【0073】
脊椎動物におけるDNAメチル化は、典型的にはCpG部位(シトシン-リン酸-グアニン部位、すなわち、DNA配列中でシトシンの直後にグアニンがある場所)で起こり、このメチル化はシトシンから5-メチルシトシンへの変換をもたらす。Me-CpGの形成は酵素DNAメチルトランスフェラーゼによって触媒される。哺乳動物DNAの大部分はCpG部位の約40%がメチル化されているが、メチル化されたものが存在しない、GCに富むCpGアイランドとして知られる特定の領域(約65%のCG残基で構成される)が存在する。これらは、すべての遍在的に発現される遺伝子を含む、哺乳動物遺伝子の56%のプロモーターと関連している。ヒトゲノムの1~2%はCpGクラスターであり、CpGメチル化と転写活性との間に反比例関係が存在する。
【0074】
DNAメチル化は、シトシンピリミジン環の5位置またはアデニンプリン環の6窒素へのメチル基の付加を含む。この修飾は、細胞分裂を通じて遺伝することができる。DNAメチル化は、典型的には、接合体形成中に除去され、発生中の逐次的な細胞分裂を通じて再確立される。DNAメチル化は、高等生物における正常な生物発生および細胞分化の重大な部分である。DNAメチル化は、細胞が「どこに居たことがあるかを記憶する」ことができるように、細胞における遺伝子発現パターンを安定に変更させる。言い換えれば、胚発生中に膵島であるようにプログラミングされた細胞は、継続的なシグナルがそれらが膵島のままでいる必要があることを伝えなくても、生物の生涯にわたって膵島のままでいる。さらに、DNAメチル化は、時間と共に宿主のゲノム内に取り込まれた、ウイルス遺伝子および他の有害要素の発現を抑制する。DNAメチル化はまた、細胞が、単一のDNA不変配列から多細胞生命に必要な無数の特徴を形成することを可能にする、クロマチン構造の基礎も形成する。DNAメチル化はまた、ほぼすべての種類の癌の発生においても重要な役割を果たす。
【0075】
亜硫酸水素塩シーケンシングとは、DNAのメチル化パターンを決定するための、DNAの亜硫酸水素塩処理の使用である。DNAメチル化は最初に発見された後成的な印であり、依然として最も研究されている。これは、転写活性の抑圧にも関連づけられている。
【0076】
いくつかのmRNA修飾のうち、N6-メチルアデノシン(m6A)修飾が真核生物および核複製ウイルスにおける最も一般的な種類である。m6Aは、白血病、脳腫瘍、肝臓癌、乳癌、および肺癌を含む数々の癌種において顕著な役割を果たす。
【0077】
5-メチルシトシン(5mC)が最も研究されている後成的修飾である一方で、TET(10-11転座)酵素の触媒作用で5mCは5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)へと酸化される。研究により、5hmCの分布が組織特異的であり、様々な臓器および組織における5hmCの分布に相違があることが示されている。悪性組織における5hmCの発現の減少は、黒色腫を含む広範囲の様々な癌において一貫して示されている。ヒト乳房組織において合計15対の正常および癌腫試料を評価することによって、研究により、5hmCのレベルが健康な乳房組織と比較して癌群で劇的に低下していたことが示された。
【0078】
亜硫酸水素塩を用いたDNAの処理は、シトシン残基をウラシルへと変換するが、5-メチルシトシン残基は影響を受けないままである。したがって、亜硫酸水素塩処理は、DNA配列中に、個々のシトシン残基のメチル化状態に依存する特定の変化を導入し、DNAセグメントのメチル化状態に関する単一ヌクレオチド分解情報を与える。変更された配列に対して様々な分析を行って、この情報を取り出すことができる。したがって、目的の分析は、亜硫酸水素塩変換から生じる一塩基多型(シトシンおよびチミン)間を区別することに帰される。亜硫酸水素塩処理の際に5hmCが5mCへと変換され、これはシーケンシングするとCとして読み取られるため、5hmCと5mCとを識別することができない。5mCおよび5hmCの複合となるため、亜硫酸水素塩シーケンシングからのアウトプットはもはや単にDNAメチル化として定義することができない。Tet支援の酸化的亜硫酸水素塩シーケンシングの開発は今回、単一の塩基分解で2つの修飾間を識別することができる。
【0079】
5hmCは、TET支援の亜硫酸水素塩シーケンシング(TAB-seq)を使用して検出することができる。断片化されたDNAは、逐次的T4ファージβ-グルコシルトランスフェラーゼ(T4-BGT)、その後、10-11転座(TET)ジオキシゲナーゼ処理、その後、亜硫酸水素ナトリウムの添加を使用して、酵素修飾される。T4-BGTが5hmCをグルコシル化してベータ-グルコシル-5-ヒドロキシメチルシトシン(5ghmC)を形成し、その後、TETを使用して5mCを5caCに酸化する。5ghmCのみが続く亜硫酸水素ナトリウムによる脱アミノ化から保護され、これにより、シーケンシングによって5hmCを5mCから識別することが可能となる。
【0080】
酸化的亜硫酸水素塩シーケンシング(oxBS)は、5mCと5hmCとを識別するための別の方法を提供する。酸化試薬過ルテニウム酸カリウムが5hmCを5-ホルミルシトシン(5fC)へと変換し、続く亜硫酸水素ナトリウム処理が5fCをウラシルへと脱アミノ化する。5mCは未変化のままであり、したがって、この方法を使用して同定することができる。
【0081】
APOBECとカップリングした後成的シーケンシング(ACE-seq)は、亜硫酸水素塩変換を完全に排除し、5hmCを検出するために酵素的変換に依存する。この方法では、T4-BGTが5hmCを5ghmCへとグルコシル化し、アポリポタンパク質B mRNA編集酵素サブユニット3A(APOBEC3A)による脱アミノ化からこれを保護する。シトシンおよび5mCはAPOBEC3Aによって脱アミノ化され、チミンとしてシーケンシングされる。
【0082】
TET支援の5-メチルシトシンシーケンシング(TAmC-seq)は5mC座位を富化させ、2つの逐次的酵素反応、次いで親和性プルダウンを利用する。断片化されたDNAをT4-BGTで処理し、これが5hmCをグルコシル化によって保護する。その後、酵素mTET1を使用して5mCを5hmCへと酸化し、T4-BGTが、新しく形成された5hmCを、修飾されたグルコース部分(6-N3-グルコース)を使用して標識する。クリックケミストリーを使用してビオチンタグを導入し、これが、検出および全ゲノムプロファイリングのための5mC含有DNA断片の富化を可能にする。
【0083】
メチローム分析方法は広く3つの群に分けられる:制限酵素に基づくもの、クロマチン免疫沈降に基づくもの(ChIP)、または親和性に基づくおよび亜硫酸水素塩変換(遺伝子に基づく)ものである。制限酵素に基づく方法は、DNA配列を知らずに任意のゲノムに適用される、全メチル化分析のためのメチル化感受性制限酵素実験手法(RLGS、DMHなど)の使用を組み合わせることによる、小/大スケールDNAメチル化分析のためのメチル化感受性制限酵素である。しかし、大量のゲノムDNAが必要であり、この方法は、少量のDNAが回収される試料の分析には不適切となる。他方では、ChIPに基づく方法は、タンパク質に向けられた抗体を使用することによる、溶液からのタンパク質抗原の沈降を通じた、腫瘍における示差的なメチル化領域の同定に有用である。これらの方法はタンパク質に基づいており、癌研究において広範に適用されている。
【0084】
親和性富化は、メチル化DNAを残りのDNA集団から単離するためにしばしば使用される技法である。これは通常、抗体免疫沈降方法によって、またはメチルCpG結合ドメイン(MBD)タンパク質を用いて達成される。
【0085】
メチル化DNA免疫沈降(MeDIP)は、5-メチルシチジン抗体を利用してメチル化シトシンを特異的に認識する、抗体免疫沈降方法である。MeDIPキットは、5-メチルシチジン(5-mC)抗体が結合するために、インプットDNA試料が一本鎖であることを必要とする。
【0086】
メチル化DNA断片の富化のための別の方法は、組換えメチル結合タンパク質MBD2bまたはMBD2b/MBD3L1複合体を使用する。メチルCpG結合タンパク質富化戦略の一つの利点は、インプットDNA試料を変性させる必要がないことである。タンパク質は、メチル化DNAをそのネイティブ二本鎖形態で認識することができる。別の利点は、メチル化CpGDNAの富化を確実にするために、MBDタンパク質がCpG背景でメチル化されたDNAのみと結合することであり、これにより、この技法がCpGアイランドを研究するために理想的となる。
【0087】
一部の実施形態では、本発明の方法のステップ(a)の前またはその間に、1つまたは複数の核酸分析物が選択的に修飾される。
一部の実施形態では、ステップ(a)の前またはその間に、1つまたは複数の核酸分析物中のメチル化されていないシトシン塩基が化学的または酵素的に変換される。
【0088】
一実施形態では、未修飾のシトシン塩基は、メチルトランスフェラーゼ酵素によってウラシルへと変換される。
一実施形態では、この酵素はM.Ssslである。
【0089】
一実施形態では、未修飾のシトシン塩基は、デアミナーゼ酵素によってウラシルへと変換される。
酵素的メチル-seqワークフローは、シトシンをウラシルへと脱アミノ化するAPOBECの能力に依存する。APOBECは5mCおよび5hmCも脱アミノ化し、シトシンとその修飾形態とを区別することが不可能となる。5mCおよび5hmCを検出するために、この方法は、5mCおよび5hmCをAPOBECの基質ではない形態へと酵素的に修飾する、TET2および酸化エンハンサーも利用する。TET2酵素は5mCを5caCへと変換し、酸化エンハンサーは5hmCを5ghmCへと変換する。最終的に、シトシンはチミンとしてシーケンシングされ、5mCおよび5hmCはシトシンとしてシーケンシングされ、それによって、元の5mCおよび5hmC配列情報の完全性が保護される。
【0090】
一実施形態では、ステップ(a)の前またはその間に、1つまたは複数の核酸分析物を、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼに導入する。
一実施形態では、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼはMcrBCである。
【0091】
一実施形態では、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼはMspJIファミリーのメンバーである。
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはAspBHIである。一実施形態では、エンドヌクレアーゼはFspEIである。
【0092】
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはLpnPIである。
一実施形態では、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼはPvuRts1I/AbaSファミリーのメンバーである。
【0093】
一実施形態では、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼはIIM型エンドヌクレアーゼである。
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはDpnIである。
【0094】
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはBisIである。
一実施形態では、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼはIV型エンドヌクレアーゼである。
【0095】
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはEcoKMcrBCである。
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはSauUSIである。
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはGmrSDである。
【0096】
一実施形態では、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼは、DpnII制限エンドヌクレアーゼファミリーから選択される。
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはDpnIIである。
【0097】
一実施形態では、エンドヌクレアーゼはDpnIである。
一実施形態では、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼはHpaIである。
【0098】
一実施形態では、後成的修飾感受性または後成的修飾依存性の制限エンドヌクレアーゼはHpaIIである。
一部の実施形態では、ステップ(a)の前またはその間に、1つまたは複数の核酸分析物をメチル化感受性またはメチル化依存性制限のエンドヌクレアーゼに導入する。
【0099】
一部の実施形態では、ステップ(a)の前またはその間に、1つまたは複数の核酸分析物をメチル化感受性またはメチル化依存性制限のエンドヌクレアーゼに導入し、次いで、メチル化DNAのメチル化特異的多重鎖ライゲーション依存性プローブ増幅(MS-MLPA)を通じて、目的のメチル化状態を含有する標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅を行う。
【0100】
一部の実施形態では、ステップ(a)の前またはその間に、メチル化されたまたはメチル化されていない核酸分析物の集団を還元する。
一部の実施形態では、還元は、メチル化DNA免疫沈降(MeDIP)を使用して実施する。
【0101】
一部の実施形態では、還元は、MBD2bまたはMBD2b/MBD3L1複合体などのメチル結合タンパク質を使用して実施する。
当業者には、本発明を任意の後成的修飾の検出に向けて拡張してよく、標的ポリヌクレオチド配列のメチル化状態の検出に制限されないことが明らかであろう。たとえば、本発明を、ヒドロキシメチル化を含む他の後成的修飾、たとえば5mCのヒドロキシル化形態(5-hmC)の検出に、同等に適応させることができる。この最近認識された後成的修飾の形態は、遺伝子発現に影響を与える重要な後成的マーカーであり、CpGメチル化とは明確に異なる。他の後成的修飾は、メチルアデノシンなどがRNA上に現れ、本発明の方法によって検出することができる。
【0102】
一部の実施形態では、本発明による方法は、後成的修飾がメチル化であるものである。さらなる実施形態では、後成的修飾は、CpGアイランドでのメチル化である、またはCpGアイランドでのヒドロキシメチル化によるものである。
【0103】
一部の実施形態では、後成的修飾は、RNAまたはDNAのいずれか中のアデニンのメチル化である。
一部の実施形態では、本発明の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のクエンチャーの存在によって、加ピロリン酸分解および/またはエクソヌクレアーゼ消化に対する耐性が与えられている。
【0104】
一部の実施形態では、適切な洗浄緩衝液の添加後、生じる反応混合物を混合する。
一部の実施形態では、生じる反応混合物を渦攪拌によって混合する。
一部の実施形態では、生じる反応混合物を、混合物中に存在する1つまたは複数の磁気ビーズの運動によって混合する。
【0105】
一部の実施形態では、それぞれの洗浄ステップは、トリス.HCl pH7.5~8.0、5~20mM、NaCl 0.4~2M、EDTA 0.1~1mM、および/またはTween20 0~0.1%のうちの1つまたは複数を含む洗浄緩衝液の使用を含む。
【0106】
以前にまたは続いて記載する方法のいずれかの一部の実施形態では、1つまたは複数の反応混合物を合わせ得る。
一部の実施形態では、
- Aは、その3’および5’末端のライゲーションを通じて環状化されて、Aを作り出すこと、あるいは
- 第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCをさらに含み、ライゲーションAが起こってAを形成することが、Aの3’末端とCの5’末端とのライゲーションであること
のいずれかである。
【0107】
一部の実施形態では、Aのライゲーションは、
ステップ(b)中、
ステップ(c)中、または
ステップ(b)および(c)の間
に起こる。
【0108】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドCは、それを3’-5’エクソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾をさらに含む。
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドCは、それを5’-3’エクソヌクレアーゼ消化から保護する5’修飾をさらに含む。
【0109】
一部の実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、スプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含む。
【0110】
一部の実施形態では、Dは、Aの3’末端と相補的なオリゴヌクレオチド領域と、オリゴヌクレオチドCの5’末端またはAの5’末端のどちらかと相補的な領域とを含む。
【0111】
一部の実施形態では、Dは、3’修飾が原因で、またはDの3’末端とAの対応する領域との間のミスマッチのいずれかで、Aに対する伸長を受けることができない。
一部の実施形態では、方法は、ステップ(b)および(c)の間に行う2ステップの増幅をさらに含む。一部の実施形態では、反応体積を、2回目の増幅の前に2つ以上の別々の体積へと分割する。
【0112】
当業者には、伸長を防止するために使用し得る大量の3’修飾が存在することが理解されよう。
一部の実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、5’-3’エクソヌクレアーゼをさらに含み、Aの5’末端は、5’-3’エクソヌクレアーゼ消化に対する耐性が与えられている。
【0113】
一部の実施形態では、最終ステップの前またはその間に、以前のステップの生成物をピロホスファターゼで処理する。
一部の実施形態では、最終ステップの前またはその間に、以前のステップの生成物をエクソヌクレアーゼで処理する。
【0114】
一部の実施形態では、検出は、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを使用して達成する。
一部の実施形態では、Aの複製配列の生成から生じる経時的なシグナルの増加を使用して、分析物中の標的配列の濃度を推測する。
【0115】
一部の実施形態では、複数のプローブAを用い、それぞれのAが、異なる標的配列に対して選択的であり、同定領域を含み、さらに、Aの複製配列が同定領域を含み、したがって、同定領域の検出を通じて分析物中に存在する標的配列を推測することを特徴とする。
【0116】
複数のプローブAを用いる一部の実施形態では、複数の遮断オリゴヌクレオチドも用いる。
一部の実施形態では、同定領域の検出は、分子プローブを使用してまたはシーケンシングを通じて実施する。
【0117】
一部の実施形態では、本方法の最終ステップは、以下のステップをさらに含む:
i.1つまたは複数のオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを使用して、以前のステップの生成物を標識するステップと、
ii.生成物の蛍光シグナルを測定するステップと、
iii.生成物を一組の変性条件に曝露させるステップと、
変性条件への曝露中の生成物の蛍光シグナルの変化をモニタリングすることによって、分析物中のポリヌクレオチド標的配列を同定するステップ。
【0118】
一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分析物は、複数の反応体積へと分割され、それぞれの体積は、様々な標的配列を検出するために導入された1つまたは複数のプローブオリゴヌクレオチドAを有する。
【0119】
一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分析物を複数の反応体積へと分割し、それぞれの体積は、1つまたは複数のプローブオリゴヌクレオチドAを有する。
一部の実施形態では、異なるプローブAは、共通のプライミング部位を含み、単一のプライマーまたは単一組のプライマーを、Aの一領域の増幅に使用することを可能にする。
【0120】
一代替実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、1つまたは複数の部分的に二本鎖のDNA構築体をさらに含み、それぞれの構築体は1つまたは複数のフルオロフォアおよび1つまたは複数のクエンチャーを含有する。一部の実施形態では、構築体が部分的に二本鎖である場合、1つまたは複数のフルオロフォアおよび1つまたは複数のクエンチャーは、1つまたは複数のフルオロフォアの十分なクエンチングが起こるように、互いに十分に近く近接して位置する。
【0121】
一部の実施形態では、構築体は、それ自身に折り重なる自己相補的領域を有する、DNAの一方の鎖である。
一部の実施形態では、構築体は、プライマー対の一方のプライマーを含む。
【0122】
一部の実施形態では、第4の反応混合物は、プライマー対の他方のプライマーをさらに含む。
一部の実施形態では、構築体の一本鎖部分の一部分は、Aとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによってAに対して伸長する。一部の実施形態では、その後、プライマー対の他方のプライマーが、伸長した構築体とハイブリダイズする。その後、このプライマーが構築体に対して伸長し、自己相補的領域を追放する。したがって、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数の色素が十分に隔てられて蛍光シグナルが検出され、反応混合物中のAの存在が示される。
【0123】
そのような実施形態では、構築体はサンライズプライマー(Sunrise Primser)として知られ得る。
一部の実施形態では、構築体は2本の別々のDNA鎖を含む。
【0124】
一部の実施形態では、構築体の一本鎖部分の一部分は、Aとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによってAに対して伸長する。一部の実施形態では、その後、プライマー対の他方のプライマーが、伸長した構築体とハイブリダイズする。その後、このプライマーが構築体に対して二本鎖部分の方向に伸長し、DNA鎖のうちのより短い方を追放し、したがって、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数の色素が十分に隔てられて蛍光シグナルが検出され、反応混合物中のAの存在が示される。
【0125】
そのような実施形態では、構築体は分子ジッパー(Molecular Zipper)として知られ得る。
当業者には、サンライズプライマーおよび分子ジッパーのどちらについても、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数のクエンチャーの対が、それぞれの対応する構築体内の様々な位置に位置することが可能であることが理解されよう。主要な特長は、それぞれの対が互いに十分に近接して位置しており、Aの非存在下、すなわち伸長および鎖の追放が起こっていない場合は、蛍光シグナルが放射されないことである。
【0126】
以前にまたは続いて記載する方法のいずれかによる一部の実施形態では、試料中に存在するRNAはDNAへと転写されない。そのような実施形態では、Aは、RNA配列に対する加ピロリン酸分解を受けて、部分的に消化された鎖Aを形成し、その後、方法は、以前にまたは続いて記載するように進行する。
【0127】
以前にまたは続いて記載する方法のいずれかの一部の実施形態では、1つまたは複数の反応混合物を合わせ得る。本発明によれば、所定の核酸分析物中の標的ポリヌクレオチド配列を検出する方法がさらに提供される。本発明の様々な方法を適用することができる分析物は、上に言及した生体試料から、分析物を増幅するために設計された一連の予備ステップによって調製し、これを、典型的には著しい過剰で存在する背景ゲノムDNAから分離し得る。
【0128】
一部の実施形態では、分析物中の標的ポリヌクレオチド配列は、癌性腫瘍細胞のDNAまたはRNA内の遺伝子または染色体領域であり、たとえば1つまたは複数の一塩基多型(SNP)の形態の、1つまたは複数の突然変異の存在によって特徴づけられるであろう。したがって、本発明は、疾患再発のモニタリングおよび/または処置において有用となるであろう。処置の後に疾患がないと宣言された患者を、疾患の再発を検出するために経時的にモニタリングし得る。これは非浸潤的に行う必要があり、血液試料からの標的配列の高感度の検出を要する。同様に、一部の癌では、処置後に患者中に残る残留癌細胞が存在する。本発明を使用して、患者の血液中に存在するこれらの細胞(または無細胞DNA)のレベルをモニタリングすることにより、疾患の再発または現在の治療の失敗および代替方法へと切り替える必要性の検出が可能となる。
【0129】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列の検出は、疾患の処置中における患者試料の繰り返し試験を可能にして、治療に対する発生した耐性の早期検出を可能にする。たとえば、ゲフィチニブ、エルロチニブなどの表皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤は、非小細胞肺癌(NSCLC)のファーストライン処置として一般的に使用される。処置中に、腫瘍はしばしばEGFR遺伝子中に突然変異を発生し(たとえば、T790M、C797S)、これが処置に対する耐性を与える。これらの突然変異の早期検出が、代替治療へと患者を移行させることを可能にする。
【0130】
一部の実施形態では、分析物中の標的ポリヌクレオチド配列は、胎児由来のDNAまたはRNA内の遺伝子または染色体領域であり、たとえば1つまたは複数の一塩基多型(SNP)の形態の、1つまたは複数の突然変異の存在によって特徴づけられるであろう。したがって、本発明は、非常に低い対立遺伝子画分で、他の利用可能な試験技法よりも妊娠の初期段階で、突然変異を検出するために使用し得る。
【0131】
別の実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、それ以外は健康な個体に由来する遺伝子またはゲノム領域であり得るが、得られた遺伝情報は、貴重なコンパニオン診断情報の生成を支援して、ヒト集団内の1つまたは複数の定義された群にわたって医学的または治療的結論を下すことを可能にし得る。
【0132】
さらに別の実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、感染性疾患に特徴的、または特定の治療を用いた処置に対する感染性疾患の耐性に特徴的であってよく、たとえば、治療に対する耐性を与える、細菌もしくはウイルスの遺伝子もしくは染色体領域、またはその中の突然変異に特徴的なポリヌクレオチド配列である。
【0133】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、ドナーDNAに特徴的であり得る。移植した臓器が患者によって拒絶される場合、この臓器からのDNAは患者の血流内に流される。このDNAの早期検出は、拒絶の早期検出を可能にするであろう。これは、ドナーに特異的なマーカーのカスタムパネルを使用して、または、ドナー中に存在し、一部がレシピエント中に存在する、集団中で共通であることが知られている変異体のパネルを使用することによって、達成することができる。したがって、臓器レシピエントの経時的なルーチン的モニタリングが、特許請求した方法によって可能になる。
【0134】
臓器移植の成功は、ドナーにおけるいくつかの事象によって引き起こされる、臓器への累積傷害の全体的なレベルに依存する場合がある。これには、レシピエントにおける年齢、生活習慣、虚血/再灌流傷害(IRI)、および免疫応答が含まれる。研究により、IRIがドナー臓器における後成的変化を引き起こすことが示されている。C3遺伝子のプロモーター領域は腎臓において脱メチル化され、これは移植後の慢性腎症に関連している。DNAメチル化は、免疫系の細胞の機能を制御するため、移植片に対するバランスがとれた免疫応答の主要な貢献因子である。したがって、特定のDNA配列のメチル化状態の検出は、移植後合併症の危険性にある患者の同定を可能にすることができる。
【0135】
さらに別の実施形態では、分析物を、複数の標的配列、たとえば、癌の源、癌指示薬、または感染症の複数の源について同時にスクリーニングすることができるように、プローブの様々な組合せを使用した本方法の様々なバージョン(以下を参照)を並行して用いる。この手法では、本方法の並行適用によって得られた増幅産物を、1つもしくは複数のオリゴヌクレオチド結合色素、または分子ビーコン、ヘアピンプローブなどの配列特異的分子プローブからなる検出パネルと接触させる。したがって、本発明の別の態様では、少なくとも1つのプローブおよび任意選択で1つのライゲーションオリゴヌクレオチドの、標的ポリヌクレオチド配列に選択的な1つもしくは複数の化学的および生物学的プローブと組み合わせた使用、または増幅されたプローブ領域を同定するためのシーケンシングの使用と組み合わせた使用が提供される。
【0136】
一部の実施形態では、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAは、プライミング領域と検出する標的ポリヌクレオチド配列と相補的な3’末端とを含む。これによって、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物が作り出される。一部の実施形態では、このステップは、過剰なAの存在下、かつ分析物および任意の他の核酸分子を含有する水性媒体中で実施する。
【0137】
ステップ(b)中、第1の中間生成物の二本鎖領域は、そのA鎖の3’末端から3’-5’方向で加ピロリン酸分解される。その結果、A鎖は進行的に消化されて部分的に消化された鎖を生じ、これを本明細書中で以降Aと呼ぶ。プローブオリゴヌクレオチドが非標的配列と誤ってハイブリダイズする場合、加ピロリン酸分解反応はすべてのミスマッチで停止し、方法の続くステップが進行することを防止する。別の実施形態では、この消化は、Aが、安定な二重鎖を形成するために十分な分析物またはその中の標的領域との相補性を欠くまで、続く。この時点では、様々な鎖はその後、融解によって分離し、それによってAが一本鎖形態で生成される。典型的な加ピロリン酸分解条件下では、この分離は、分析物とAとの間に6~20個の相補的ヌクレオチドが存在する場合に起こる。
【0138】
別の実施形態では、消化は、Aが、加ピロリン酸分解酵素が結合するため、または加ピロリン酸分解(pyrophosphorolysising)反応が継続するために十分な、分析物またはその中の標的領域との相補性を欠くまで、継続する。これは、典型的には、分析物とプローブとの間に6~20個の相補的ヌクレオチドが残っている場合に起こる。一部の実施形態では、これは、6~40個の相補的ヌクレオチドが残っている場合に起こる。
【0139】
の5’および3’末端に対して相補性を有するスプリントオリゴヌクレオチドDを用いる別の実施形態では(以下を参照)、消化は、Aと標的との間の相補性の長さが、オリゴDが分析物分子をAから追放することがエネルギー的に好都合となる点まで縮小するまで、継続する。これは、典型的には、Aと分析物分子との間の相補性領域が、オリゴDとAの3’末端との間の相補性領域と同様またはそれよりも短い長さである場合に起こるが、Aの5’末端と既にハイブリダイズしていてよい、オリゴDの分子内ハイブリダイゼーションが好都合であることが原因でAと分析物分子との間の相補性がこれよりも長い場合にも、起こり得る。
【0140】
のライゲーションを、分析物分子をスプリントとして使用して行う別の実施形態では(図8を参照)、消化は、Aの3’および5’末端が隣接し、ニックによってのみ隔離されているように、Aの5’末端が分析物分子とハイブリダイズすることができるまで継続し、この時点で、これらはリガーゼによって一緒にライゲーションされ、消化はもはや進行することができない。
【0141】
適切には、加ピロリン酸分解は、反応媒体中、20~90℃の範囲の温度、少なくとも加ピロリン酸分解活性を示すポリメラーゼおよびピロリン酸イオン供給源の存在下で実施する。ポリヌクレオチドの消化に適用する加ピロリン酸分解反応に関するさらなる情報は、たとえば、J.Biol.Chem.244(1969)ページ3019~3028、または本発明者らの以前の特許出願中に見つけることができる。
【0142】
一部の実施形態では、加ピロリン酸分解ステップは、過剰なポリピロホスフェートの供給源の存在によって駆動され、適切な供給源としては、3個以上のリン原子を含有する化合物が挙げられる。
【0143】
一部の実施形態では、第2の反応混合物は過剰なポリピロホスフェートの供給源を含む。
一部の実施形態では、加ピロリン酸分解ステップは、過剰な修飾ピロホスフェートの供給源の存在によって駆動される。適切な修飾ピロホスフェートとしては、架橋酸素の代わりに他の原子もしくは基で置換されているもの、または他の酸素上に置換もしくは修飾基を有するピロホスフェート(もしくはポリピロホスフェート)が挙げられる。当業者には、本発明における使用に適切であろう、修飾ピロホスフェートの多数のそのような例が存在することが理解されよう。その非限定的な選択肢は以下である:
【0144】
【化1】
【0145】
一部の実施形態では、第2の反応混合物は、過剰な修飾ポリピロホスフェートの供給源を含む。
好ましい一実施形態では、ピロリン酸イオン供給源は、PNP、PCP、またはトリポリリン酸(PPPi)である。
【0146】
さらに、制限はしないが、加ピロリン酸分解ステップ(c)において使用するためのピロリン酸イオン供給源の例は、WO2014/165210号およびWO00/49180中に見つけ得る。
【0147】
一部の実施形態では、過剰な修飾ピロホスフェートの供給源は、Y-Hとして表すことができ、Yは、一般式(X-O)P(=B)-(Z-P(=B)(O-X))-に対応する[式中、nは、1~4の整数であり、それぞれのZ-は、-O-、-NH-、または-CH-から独立して選択され、それぞれのBは、独立してOまたはSのどちらかであり、X基は、-H、-Na、-K、アルキル、アルケニル、または複素環基から独立して選択され、ただし、ZおよびBがどちらも-O-に対応し、かつnが1である場合、少なくとも1つのX基はHではない]。
【0148】
一部の実施形態では、Yは、一般式(X-O)P(=B)-(Z-P(=B)(O-X))-に対応する[式中、nは1、2、3、または4である]。別の実施形態では、Y基は、一般式(X-O)P(=O)-Z-P(=O)(O-H)-に対応する[式中、X基のうちの1つは-Hである]。さらに別の好ましい実施形態では、Yは、一般式(X-O)P(=O)-Z-P(=O)(O-X)-に対応する[式中、X基のうちの少なくとも1つは、メチル、エチル、アリル、またはジメチルアリルから選択される]。
【0149】
一代替実施形態では、Yは、一般式(H-O)P(=O)-Z-P(=O)(O-H)-[式中、Zは、-NH-もしくは-CH-のどちらかである]または(X-O)P(=O)-Z-P(=O)(O-X)-[式中、X基は、すべて-Naもしくは-Kのどちらかであり、Zは-NH-もしくは-CH-のどちらかである]のどちらかに対応する。
【0150】
別の実施形態では、Yは、一般式(H-O)P(=B)-O-P(=B)(O-H)-に対応する[式中、それぞれのB基は、独立してOまたはSのどちらかであり、少なくとも1つはSである]。
【0151】
Yの好ましい実施形態の具体的な例としては、式(X1-O)(HO)P(=O)-Z-P(=O)(O-X2)のもの[式中、Zは、O、NH、またはCHであり、(a)X1はγ,γ-ジメチルアリルであり、X2は-Hである、または(b)X1およびX2はどちらもメチルである、または(c)X1およびX2はどちらもエチルである、または(d)X1はメチルであり、X2はエチルであり、もしくはその逆である]が挙げられる。
【0152】
一部の実施形態では、分子プローブを検出に使用する場合、プローブオリゴヌクレオチドAは、標的配列と相補的な領域の5’側にオリゴヌクレオチド同定領域を含むように構成され、用いる分子プローブは、この同定領域とアニーリングするように設計されている。一部の実施形態では、Aの3’領域のみが標的とアニーリングすることができる、すなわち、すべての他の領域は、加ピロリン酸分解ステップを実施する温度で安定な二重鎖が存在するために十分な分析物との相補性を欠く。ここおよび全体にわたって、用語「十分な相補性」とは、所定の領域が分析物上の所定の領域と相補性を有する範囲で、相補性領域が10ヌクレオチド長より長いことを意味する。
【0153】
本発明の方法のさらなる一態様では、任意の以前の実施形態の加リン酸分解ステップが、二本鎖特異的エクソヌクレアーゼを使用したエクソヌクレアーゼ消化ステップで置き換えられている代替実施形態が提供される。当業者には、二本鎖特異的エクソヌクレアーゼとしては、多数の他のもののうち、ExoIIIなどの3’-5’方向で読み取るもの、およびラムダExoなどの5’-3’方向で読み取るものが挙げられることが理解されよう。
【0154】
本発明の一部の実施形態では、エクソヌクレアーゼ消化ステップが二本鎖特異的5’-3’エクソヌクレアーゼを利用する場合、標的分析物と相補的であるのはAの5’末端であり、共通のプライミング配列および遮断基は、標的と相補的な領域の3’側上に位置する。さらなる実施形態では、分子プローブを検出に使用する場合、プローブオリゴヌクレオチドAは、標的配列と相補的な領域の3’側オリゴヌクレオチド同定領域を含むように構成され、用いる分子プローブは、この同定領域とアニーリングするように設計されている。
【0155】
エクソヌクレアーゼ消化ステップが二本鎖特異的5’-3’エクソヌクレアーゼを利用する本発明の実施形態では、存在するすべての他の核酸分子を消化する一方で、Aおよび部分的に消化された鎖Aを含むすべての材料を未変化に残す目的で、3’から5’のエクソヌクレアーゼ活性を有するエクソヌクレアーゼを、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物に、任意選択で加えることができる。適切には、このエクソヌクレアーゼ分解に対する耐性は、本出願中の他の箇所に記載されているように達成される。
【0156】
本発明の好ましい一実施形態では、Aの5’末端またはプライミング領域の5’側の内部部位に、エクソヌクレアーゼ分解に対する耐性が与えられている。これによって、および加ピロリン酸分解ステップの後またはそれと同時に、存在するすべての他の核酸分子を消化する一方で、Aおよび部分的に消化された鎖Aを含むすべての材料を未変化に残す目的で、5’-3’エクソヌクレアーゼ活性を有するエクソヌクレアーゼを反応媒体に任意選択で加えることができる。適切には、このエクソヌクレアーゼ分解に対する耐性は、1つまたは複数の遮断基をオリゴヌクレオチドA内の所要の点に導入することによって達成される。一部の実施形態では、これらの遮断基は、ホスホロチオエート連結および当分野において一般的に使用される他の主鎖修飾、C3スペーサー、リン酸基、修飾塩基などから選択され得る。
【0157】
一部の実施形態では、同定領域は、ユニークな配列を有するバーコード領域を含む、またはそれを内部に包埋しており、増幅した成分Aに適用する配列特異的分子プローブを使用して間接的、またはこれらの成分のシーケンシングによって直接、同定されるように適応されている。使用し得る分子プローブの例としては、それだけには限定されないが、分子ビーコン、TaqMan(登録商標)プローブ、Scorpion(登録商標)プローブなどが挙げられる。
【0158】
一部の実施形態では、A鎖またはその所望の領域は、複数の、典型的には数百万個のコピーが作製されるように、増幅を受ける。これは、Aの一領域、続いてそれに由来する任意の複製配列を、たとえばそれ上の相補的領域とアニーリングすることができる順方向/逆方向またはセンス/アンチセンスの対の形態で提供される、一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを用いたプライミングすることによって達成される。その後、プライミングされた鎖が増幅の起点となる。増幅方法としては、それだけには限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅、およびローリングサークル増幅などの熱サイクリングおよび等温方法が挙げられ、ローリングサークル増幅は、Aが環状化されている場合に適用可能である。これらの手段のうちの任意のものによって、Aの一領域および一部の例ではその配列相補体の、多数の複製配列コピーを容易に迅速に作製することができる。これらの増幅方法のうちの任意のものを行うための正確な方法は当業者に周知であり、用いる正確な条件および温度レジームは、読者に指示する一般的な文献中において容易に利用可能である。具体的には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の場合、方法は、一般に、プライマーオリゴヌクレオチドを、A鎖に対して、5’-3’方向で、ポリメラーゼおよび様々な単一ヌクレオシド三リン酸の供給源を使用して、相補鎖が生成されるまで伸長するステップと、生じた二本鎖生成物を脱ハイブリダイズさせて、A鎖および相補鎖を再生するステップと、A鎖およびそのすべての複製配列を再プライミングするステップと、それ以降、これらの伸長/脱ハイブリダイゼーション/再プライミングステップを複数回繰り返して、A複製配列を信頼度高く検出することができるレベルまで、A複製配列の濃度を蓄積するステップとを含む。
【0159】
一部の実施形態では、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCをさらに含み、部分的に消化された鎖Aは、Cの5’末端の3’末端側でライゲーションされる一方で、別の実施形態では、Aは、その3’および5’末端のライゲーションを通じて環状化され、そのそれぞれの場合でオリゴヌクレオチドAが作り出される。
【0160】
一部の実施形態では、Aのライゲーションは、
ステップ(b)中、または
ステップ(c)中、または
ステップ(b)および(c)の間
に起こる。
【0161】
一部の実施形態では、Aは、ライゲーションの前に任意選択で5’-3’方向に伸長される。
一部の実施形態では、この任意選択の伸長およびライゲーションは、標的オリゴヌクレオチドに対して行う一方で、別の実施形態では、これらは、伸長および/またはライゲーションの前にAがアニーリングするさらなるスプリントオリゴヌクレオチドDの付加を通じて行う。一部の実施形態では、Dは、Aの3’末端と相補的なオリゴヌクレオチド領域と、オリゴヌクレオチドCの5’末端またはAの5’末端のどちらかと相補的な領域とを含む。別の実施形態では、Dは、3’末端修飾が原因で、またはDの3’末端とAの対応する領域との間のヌクレオチドミスマッチを通じてのいずれかで、Aに対して伸長することができない。
【0162】
一部の実施形態では、ライゲーションプローブCは、スプリントオリゴヌクレオチドDの5’末端領域の少なくとも一部と、または標的オリゴヌクレオチドと相補的な5’領域を有する。そのような手段によって、A鎖が、Aと、Cと、任意選択で、Cの5’末端に合わせるために5’-3’方向のAの伸長によって形成された中間領域とから構成される、第2の中間生成物が形成される。そのような実施形態では、プライマーをステップ(d)において用いる場合、これらは、AとCとのライゲーションが起こった部位を含む少なくともAの一領域を増幅するように選択される。本実施形態では、本発明者らは、増幅および/または検出の前に3’-5’エクソヌクレアーゼを使用してすべてのライゲーションしていないAを消化することができるように、C上に3’遮断基を含めることが有利であることを見出した。
【0163】
一部の実施形態では、加ピロリン酸分解反応によって生じたヌクレオシド三リン酸を加水分解によって除去し、それによって、加ピロリン酸分解反応が継続することができ、順方向の重合反応に競合で負けないことを確実にするために、第2のもしくは合わせた反応混合物、または加ピロリン酸分解ステップの生成物を検出ステップの前に導入する第3の反応混合物は、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含む。
【0164】
一部の実施形態では、ピロリン酸イオンを加水分解し、さらなる加ピロリン酸分解が起こり、順方向の重合反応が有利になることを防止するために、ステップ(c)の前またはその間に、以前のステップの生成物をピロホスファターゼで処理する。一部の実施形態では、ステップ(c)の前またはその間に、以前のステップの生成物をエクソヌクレアーゼで処理する。
【0165】
一部の実施形態では、Aの加ピロリン酸分解を行って部分的に消化された鎖Aを形成する酵素は、Aも増幅する。当業者には、多数のそのような酵素が存在することが理解されよう。
【0166】
オリゴヌクレオチドAを検出し、得られた情報を、ポリヌクレオチド標的配列が元の分析物中に存在するかしないか、および/またはそれに関連する特性を推測するために使用することができる。たとえば、これによって、癌性腫瘍細胞に特徴的な標的配列を、探している具体的なSNPを参照して検出し得る。さらなる例として、癌性腫瘍細胞に特徴的な標的配列を、探している具体的なメチル化部位を参照して検出し得る。
【0167】
別の実施形態では、ウイルスまたは細菌のゲノムに特徴的な標的配列(その突然変異を含む)を検出し得る。複製配列またはAの同定領域を検出するための多数の方法を用いることができ、たとえば、オリゴヌクレオチド結合色素、蛍光標識分子ビーコンまたはヘアピンプローブなどの配列特異的分子プローブが挙げられる。あるいは、Aまたはその複製配列の直接シーケンシングを、用いたまたは当分野において報告されている直接シーケンシング方法のうちの1つを使用して行うことができる。オリゴヌクレオチド結合色素、蛍光標識したビーコンまたはプローブを用いる場合、刺激電磁放射源(レーザー、LED、ランプなど)と放射された蛍光を検出するように配置された光検出器とを含む配置を使用して生じるシグナルを検出し、特異的に設計されたアルゴリズムを使用してマイクロプロセッサまたはコンピュータによって分析することができるデータストリームを含むシグナルを、それから生成することが好都合である。
【0168】
一部の実施形態では、検出は、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを使用して達成する。そのような実施形態では、Aの複製配列の生成から生じる経時的なシグナルの増加を使用して、分析物中の標的配列の濃度を推測する。一部の実施形態では、本方法の最終ステップは、以下のステップをさらに含む:
i.1つまたは複数のオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを使用して、ステップ(b)の生成物を標識するステップと、
ii.生成物の蛍光シグナルを測定するステップと、
iii.生成物を一組の変性条件に曝露させるステップと、
変性条件への曝露中の生成物の蛍光シグナルの変化をモニタリングすることによって、分析物中のポリヌクレオチド標的配列を同定するステップ。
【0169】
本発明の別の態様では、複数コピーのAまたはAの一領域を、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを使用して標識する、本発明の任意の以前の実施形態のステップを特徴とする、所定の核酸分析物中の標的ポリヌクレオチド配列を同定する方法が提供される。これらの複数コピーの蛍光シグナルを測定し、複数コピーを一組の変性条件に曝露させる。その後、変性条件への曝露中の複数コピーの蛍光シグナルの変化をモニタリングすることによって、標的ポリヌクレオチド配列を同定する。
【0170】
一部の実施形態では、変性条件は、温度を変動させる、たとえば、二本鎖が解離し始める点まで温度を増加させることによって提供し得る。それに加えてまたはその代わりに、変性条件は、条件が酸性もしくはアルカリ性であるようにpHを変動させることによって、あるいは、強酸もしくは塩基、濃縮無機塩、または有機溶媒、たとえばアルコールなどの、添加剤または薬剤を加えることによっても提供し得る。
【0171】
本発明の別の態様では、哺乳動物対象、特にヒト患者を、感染性疾患、癌の存在についてスクリーニングするため、またはコンパニオン診断情報を生成する目的の、上述の方法の使用が提供される。
【0172】
本発明のさらなる一態様では、上述の方法において使用するための対照プローブが提供される。本発明の実施形態には、特異的標的配列または複数の配列の存在が蛍光シグナルの生成によって解明されるものが含まれる。そのような実施形態では、試料中に存在する非標的DNAから生成される一定レベルのシグナルが必然的に存在し得る。所定の試料では、この背景シグナルは「真」のシグナルよりも後の発生を有するが、この発生は試料間で変動し得る。したがって、低濃度の標的配列または複数の配列の存在の正確な検出は、標的配列の非存在下でどのシグナルが予想されるかの知識に依存する。人工的な試料では参照が利用可能であるが、患者からの真の「ブラインド」試料では、これは当てはまらない。対照プローブ(E)は、それぞれのアッセイプローブの予想される背景シグナルプロファイルを決定するために利用する。対照プローブは、試料中に存在すると予想されない配列を標的とし、このプローブから生成されるシグナルを、標的配列の非存在下における試料からのシグナル生成予測率を推測するために使用することができる。
【0173】
したがって、所定の核酸分析物中の標的ポリヌクレオチド配列を検出する方法であって、以下のステップ:
a.続いてまたは同時発生的のどちらかで、3’末端領域が標的配列と少なくとも部分的にミスマッチである第2の一本鎖プローブオリゴヌクレオチドEを使用して、試料の別個のアリコートまたは同じアリコートのどちらかを使用して、第2の検出チャネルを使用して、方法のステップを繰り返すステップと、
b.試料中にいかなる標的分析物も非存在である場合の、Aから生成されると予想される背景シグナルを推測するステップと、
c.(a)で推測された予想される背景シグナルと、標的分析物の存在下で観察された実際のシグナルとの比較を通じて、分析物中のポリヌクレオチド標的配列の存在または非存在を推測するステップと
を特徴とする、以前に記載した方法のうちの任意のものによる、方法が提供される。
【0174】
一部の実施形態では、対照プローブ(E)とAとを試料の別個の部分に加える一方で、別の実施形態では、EとAとを試料の同じ部分に加え、異なる検出チャネル(たとえば異なる色の色素)を使用してそのそれぞれのシグナルを測定する。その後、Eによって生成されるシグナルを利用して、試料中のポリヌクレオチド標的配列の非存在下においてAによって生成されると予想される背景シグナルを推測し、それを補正し得る。たとえば、背景シグナルの補正は、Eから観察されるシグナルを、Aから観察されるものから減算することを含み得る、または、変動条件下でAおよびEによって生成された相対的シグナルの検量線を使用した、Aから観察されるシグナルの較正を通じたものであり得る。
【0175】
一部の実施形態では、単一のEを使用して、生成され得るすべてのアッセイプローブを較正することができる。
一部の実施形態では、別個のEを使用して、初期増幅ステップで生成された試料DNAのそれぞれの複製配列を較正し得る。それぞれの複製配列は、複数の突然変異/目的の標的配列を含有し得るが、単一のEが、すべてのアッセイプローブを単一の複製配列に対して較正するために十分である。
【0176】
さらなる実施形態では、別個のEをそれぞれの標的配列に使用し得る。たとえば、C>T突然変異が標的とされている場合、患者において起こることが知られていない、同じ部位のC>G突然変異を標的とするEを設計することができる。様々な条件下でEによって生成されたシグナルプロファイルを、較正反応において評価することができ、これらのデータを使用して、C>T変異体が存在しない場合に、C>T変異体を標的とするアッセイプローブから予想されるシグナルを推測する。
【0177】
本発明の方法の特異性は、遮断オリゴヌクレオチドの導入によって改善させ得る。たとえば、遮断オリゴヌクレオチドを導入して、野生型DNAの少なくとも一部分とハイブリダイズし、Aの標的ポリヌクレオチド配列のみとのアニーリングを促進し、野生型とのアニーリングは促進しないようにすることができる。その代わりにまたはそれに加えて、遮断オリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の特異性を改善させて、存在するすべての野生型配列の増幅を防止するために使用することができる。使用する一般的技法は、PCRプライマー間でアニーリングし、PCRポリメラーゼによって追放または消化することができないオリゴヌクレオチドを設計することである。オリゴヌクレオチドは、非標的の(通常は健康な)配列とアニーリングする一方で、標的(突然変異)配列とミスマッチである(しばしば単一の塩基で)ように設計される。このミスマッチは2つの配列に対する異なる融解温度をもたらし、オリゴヌクレオチドは、PCR伸長温度で非標的配列とアニーリングしたままである一方で、標的配列から解離するように設計される。
【0178】
遮断オリゴヌクレオチドは、しばしば、PCRポリメラーゼのエクソヌクレアーゼ活性によるその消化を防止するため、または標的と非標的配列との間の融解温度差異を増強させるために、修飾を有し得る。
【0179】
ロックド核酸(LNA)または他の融解温度を変更する修飾を遮断オリゴヌクレオチド内に取り込むことは、標的および非標的配列に対するオリゴヌクレオチドの融解温度の差異を顕著に増加させる場合がある。
【0180】
したがって、遮断オリゴヌクレオチドを使用する本発明の一実施形態が提供される。一部の実施形態では、遮断オリゴヌクレオチドは、消化または追放されないことを確実にするために、加ピロリン酸分解(PPL)反応に対して耐性でなければならない。これは、いくつかの様々な方法で、たとえば、その3’末端でのミスマッチを介して、またはホスホロチオエート結合もしくはスペーサーなどの修飾を通じて、達成することができる。
【0181】
遮断オリゴヌクレオチドを使用する本発明のそのような実施形態または一態様では、所定の核酸分析物中の標的ポリヌクレオチド配列を検出する方法は、一本鎖遮断オリゴヌクレオチドを、非標的ポリヌクレオチド配列の少なくとも部分組と、同じステップの前またはその間にアニーリングさせることを特徴とし、分析物標的配列が、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAとアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が、分析物標的配列と二本鎖複合体を形成する。
【0182】
一部の実施形態では、遮断オリゴヌクレオチドは、その3’末端でのミスマッチを介して、加ピロリン酸分解反応に対して耐性となっている。別の実施形態では、遮断オリゴヌクレオチドは、3’遮断基の存在を介して耐性となっている。別の実施形態では、遮断オリゴヌクレオチドは、スペーサーまたは他の内部修飾の存在を介して耐性となっている。さらなる実施形態では、遮断オリゴヌクレオチドは、融解温度を増加させる修飾または修飾ヌクレオチド塩基をどちらも含み、加ピロリン酸分解に対する耐性が与えられている。
【0183】
本明細書中における「ホスファターゼ酵素」への言及とは、本発明の方法によって生成されたヌクレオシド三リン酸を加水分解によって除去する能力を有する、任意の酵素またはその機能的断片をいう。これには、リン酸モノエステルをリン酸イオンおよびアルコールへと切断する能力を有する、任意の酵素またはその機能的断片が含まれる。
【0184】
本明細書中における「ピロホスファターゼ酵素」への言及とは、1個のピロリン酸イオンから2個のリン酸イオンへの変換を触媒する能力を有する、任意の酵素またはその機能的断片をいう。
【0185】
これには、無機ピロホスファターゼおよび無機ジホスファターゼも含まれる。非限定的な例は、熱安定性無機ピロホスフェート(TIPP)である。
一部の実施形態では、任意の以前に記載した実施形態の改変バージョンが提供され、ピロホスファターゼの使用は任意選択である。
【0186】
本発明の方法の一部の実施形態は、図8~11中に見ることができる。
図8では、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAが、標的ポリヌクレオチド配列とアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖である第1の中間生成物を作り出し、Aの3’末端が標的ポリヌクレオチド配列と二本鎖複合体を形成する。本発明のこの簡易化された実施形態では、標的とアニーリングしていないAが、どのように本方法のさらなるステップに参加しないかを例示するために、2つのA分子および1つの標的ポリヌクレオチド配列が存在する。この例示的な例では、Aの3’末端は標的ポリヌクレオチド配列とアニーリングする一方で、Aの5’末端はアニーリングしない。Aの5’末端は、5’化学遮断基、共通のプライミング配列、およびバーコード領域を含む。
【0187】
部分的に二本鎖の第1の中間生成物は、加ピロリン酸分解酵素の存在下、3’-5’方向でAの3’末端から加ピロリン酸分解を受けて、部分的に消化された鎖A、分析物、および標的とアニーリングしなかった未消化のA分子を作り出す。
【0188】
図9では、Aが一本鎖トリガーオリゴヌクレオチドBとアニーリングしており、A鎖がBに対して5’-3’方向に伸長されて、オリゴヌクレオチドAを作り出す。この例示的な例では、トリガーオリゴヌクレオチドBは5’化学遮断を有する。すべての未消化のAはトリガーオリゴヌクレオチドBとアニーリングするが、5’-3’方向でBに対して伸長して本方法の後の部分のための標的である配列を生じることができない。本実施例では、Aを、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを用いてプライミングし、複数コピーのAまたはAの一領域が作り出される。
【0189】
図10では、Aが、スプリントオリゴヌクレオチドDとアニーリングし、その後、その3’および5’末端のライゲーションによって環状化される。今では環状化されたAを、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを用いてプライミングし、複数コピーのAまたはAの一領域が作り出される。この例示的な例では、スプリントオリゴヌクレオチドDは、3’修飾(この例示中では化学的)が原因で、またはDの3’末端とAの対応する領域との間のヌクレオチドミスマッチを通じてのいずれかで、Aに対して伸長することができない。
【0190】
図11では、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’領域がAの3’領域とアニーリングする一方で、スプリントオリゴヌクレオチドDの5’領域がライゲーションプローブCの5’領域とアニーリングする。したがって、Aと、Cと、任意選択で、Cの5’末端に合わせるために5’-3’方向のAの伸長によって形成された中間領域とから構成される、第2の中間生成物Aが形成される。この例示的な例では、3’-5’エクソヌクレアーゼを使用してすべてのライゲーションしていないAを消化することができるように、ライゲーションプローブCは3’化学遮断基を有する。
【0191】
を、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを用いてプライミングし、複数コピーのAまたはAの一領域が作り出される。
本発明の一部の実施形態では、試料中に存在する所定の核酸分析物中の標的ポリヌクレオチド配列を検出する方法において使用するためのキットであって、方法は、
(a)以前にまたは続いて記載する遮断オリゴヌクレオチドと、
(b)標的ポリヌクレオチド配列と第1の中間生成物を形成することができる一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAであって、前記中間生成物が少なくとも部分的に二本鎖である一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
(c)リガーゼと、
(d)第1の中間生成物をAの末端から3’-5’方向で消化して、部分的に消化された鎖Aを作り出すことができる、加ピロリン酸分解酵素と、
(e)適切な緩衝液と
を含む、キットが提供される。
【0192】
一実施形態では、Aの3’末端は標的配列と相補的である。
一実施形態では、Aの3’末端は標的配列と完全に相補的である。
一実施形態では、キットは、Aの一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを含む。
【0193】
一実施形態では、キットは増幅酵素をさらに含む。
一実施形態では、キットは、1つまたは複数のプライマーをさらに含み、プライマーのうちの1つまたは複数は、非相補的5’テイルを有する。
【0194】
一実施形態では、プライマーのうちの1つまたは複数は5’リン酸を有する。
一実施形態では、プライマーのうちの1つまたは複数は5’保護されている。
一実施形態では、Aの3’末端は、標的ポリヌクレオチド配列と完全に相補的である。
【0195】
一実施形態では、リガーゼは、一本鎖ライゲーション活性を実質的に欠く。
一部の実施形態では、キットは、標的ポリヌクレオチド配列と第1の中間生成物を形成することができる一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAであって、前記中間生成物が少なくとも部分的に二本鎖である一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
(a)以前にまたは続いて記載する遮断オリゴヌクレオチドと、
(b)リガーゼと、
(c)第1の中間生成物をAの末端から3’-5’方向で消化して、部分的に消化された鎖Aを作り出すことができる、加ピロリン酸分解酵素と、
(d)適切な緩衝液と
を含む。
【0196】
一部の実施形態では、キットは、代わりに、
- A上の隣接配列と相補的である、2つ以上のライゲーション連鎖反応(LCR)プローブオリゴヌクレオチドであって、プローブのアニーリングが成功している場合は、一方のLCRプローブの5’リン酸が他方のLCRプローブの3’OHと直接隣接している、プローブオリゴヌクレオチドと、
- 1つまたは複数のリガーゼと
をさらに含み得る。
【0197】
一部の実施形態では、Aの存在下では、2つのLCRプローブはAとのアニーリングが成功し、一緒にライゲーションされて、1つのオリゴヌクレオチド分子を形成し、続いてこれが、第2ラウンドの共有的ライゲーションの新しい標的として働き、目的の標的、この場合はAの幾何学的増幅をもたらす。ライゲーションされた生成物、または複製配列は、Aと相補的であり、次の増幅サイクルにおいて標的として機能する。したがって、特異的標的DNA配列の指数関数的増幅は、過剰なLCRプローブの存在下における変性、ハイブリダイゼーション、およびライゲーションの繰り返しサイクルを通じて達成される。このことから、Aの存在、ひいては標的ポリヌクレオチド配列の存在が暗示される。
【0198】
一部の実施形態では、Aの存在下では、2つのPCRプローブはAとのアニーリングが成功し、一緒にライゲーションされて、1つのオリゴヌクレオチド分子を形成し、その後、これが第2ラウンドの共有的ライゲーションの新しい標的として働き、目的の標的、この場合はAの幾何学的増幅をもたらし、その後、これを検出する。
【0199】
一部の実施形態では、キットは、代わりに、
- ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCと、
- スプリントオリゴヌクレオチドDと
をさらに含んでよく、AおよびCが一緒にライゲーションされてAを形成することができるように、Cは5’リン酸を有し、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’末端はCの5’末端と相補的であり、Dの5’末端はAの3’末端と相補的である。
【0200】
一部の実施形態では、キットは、
- フルオロフォア-クエンチャー対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)であって、HO1はAと相補的であり、Aとアニーリングした場合に、HO1のヘアピン構造が開き、フルオロフォア-クエンチャー対が分離する、HO1と、
- フルオロフォア-クエンチャー対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)であって、HO2は開いたHO1と相補的であり、HO1とアニーリングした場合に、HO2のヘアピン構造が開き、フルオロフォア-クエンチャー対が分離する、HO2と
をさらに含み得る。
【0201】
一部の実施形態では、キットは、複数のHO1およびHO2をさらに含み得る。
一部の実施形態では、キットは、代わりに、基質アーム、部分的触媒核、およびセンサーアームを含む、オリゴヌクレオチドAと、
- 基質アーム、部分的触媒核、およびセンサーアームを含む、オリゴヌクレオチドBと、
- フルオロフォアクエンチャー対を含む基質と
をさらに含んでよく、Aの存在下でオリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒的に多成分の核酸酵素(MNAzyme)が形成されるように、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームがAのフランキング領域と相補的である。
【0202】
一部の実施形態では、キットは、代わりに、部分的に二本鎖の核酸構築体であって、
- 一方の鎖が、少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、この鎖の一領域がAの一領域と相補的であり、この鎖を「基質」鎖と呼んでよく、
- 他方のスタンドが、少なくとも1つのクエンチャーを含み、この鎖の一領域が、Aの存在下で部分的に二本鎖の核酸構築体が実質的により二本鎖となるように、基質鎖が相補的である領域に隣接するAの一領域と相補的である
、核酸構築体をさらに含み得る。
【0203】
言い換えれば、部分的に二本鎖の核酸構築体は、Aの存在下でより大きな二本鎖部分を有する。
一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つのRNA塩基を除去するための酵素をさらに含み得る。
【0204】
一部の実施形態では、酵素はウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)であり、RNA塩基はウラシルである。
一部の実施形態では、キットは、代わりに、
- その蛍光が、互いとまたは1つもしくは複数の蛍光クエンチャーのいずれかとのその近接によってクエンチされるように配置された、1つのまたは複数のフルオロフォアを含む、ライゲーション部位を含むAの一領域と相補的であるオリゴヌクレオチドと、
- 二本鎖特異的DNA消化酵素と
をさらに含んでよく、Aの存在下で、標識されたオリゴヌクレオチドは、フルオロフォアが互いからまたはその対応するクエンチャーから分離されており、蛍光シグナル、ひいてはAの存在が検出可能であるように、消化される。
【0205】
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素はエクソヌクレアーゼである。
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素は校正活性を有するポリメラーゼである。
【0206】
一部の実施形態では、キットのフルオロフォアは、フルオレセインファミリー、カルボキシローダミンファミリー、シアニンファミリー、ローダミンファミリー、ポリハロフルオレセインファミリー色素、ヘキサクロロフルオレセインファミリー色素、クマリンファミリー色素、オキサジンファミリー色素、チアジンファミリー色素、スクアレインファミリー色素、およびキレート化ランタニドファミリー色素の色素から選択され得る。
【0207】
一部の実施形態では、キットのフルオロフォアは、市販の色素のうちの任意のものから選択され得る。
一部の実施形態では、キットのクエンチャーは、商品名Black Hole(商標)、Eclipse(商標)Dark、Qx1J、およびIowa Black(商標)の下で入手可能なものから選択され得る。
【0208】
一部の実施形態では、キットのクエンチャーは、市販のクエンチャーのうちの任意のものから選択され得る。
一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数の部分的に二本鎖のDNA構築体をさらに含んでよく、それぞれの構築体は1つまたは複数のフルオロフォアおよび1つまたは複数のクエンチャーを含有する。一部の実施形態では、構築体が部分的に二本鎖である場合、1つまたは複数のフルオロフォアおよび1つまたは複数のクエンチャーは、1つまたは複数のフルオロフォアの十分なクエンチングが起こるように、互いに十分に近く近接して位置する。
【0209】
一部の実施形態では、構築体は、それ自身に折り重なる自己相補的領域を有する、DNAの一方の鎖である。
一部の実施形態では、構築体は、プライマー対の一方のプライマーを含む。
【0210】
一部の実施形態では、キットは、プライマー対の他方のプライマーをさらに含み得る。
一部の実施形態では、構築体の一本鎖部分の一部分は、Aとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによってAに対して伸長する。一部の実施形態では、その後、プライマー対の他方のプライマーが、伸長した構築体とハイブリダイズする。その後、このプライマーが構築体に対して伸長し、自己相補的領域を追放する。したがって、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数の色素が十分に隔てられて蛍光シグナルが検出され、Aの存在が示される。
【0211】
そのような実施形態では、構築体はサンライズプライマーとして知られ得る。
一部の実施形態では、構築体は2本の別々のDNA鎖を含む。
一部の実施形態では、構築体の一本鎖部分の一部分は、Aとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによってAに対して伸長する。一部の実施形態では、その後、プライマー対の他方のプライマーが、伸長した構築体とハイブリダイズする。その後、このプライマーが構築体に対して二本鎖部分の方向に伸長し、DNA鎖のうちのより短い方を追放し、したがって、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数の色素が十分に隔てられて蛍光シグナルが検出され、Aの存在が示される。
【0212】
そのような実施形態では、構築体は分子ジッパーとして知られ得る。
当業者には、サンライズプライマーおよび分子ジッパーのどちらについても、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数のクエンチャーの対が、それぞれの対応する構築体内の様々な位置に位置することが可能であることが理解されよう。主要な特長は、それぞれの対が互いに十分に近接して位置しており、Aの非存在下、すなわち伸長および鎖の追放が起こっていない場合は、蛍光シグナルが放射されないことである。
【0213】
一実施形態では、キットはピロリン酸イオン供給源をさらに含む。適切なピロリン酸イオン供給源は以前に記載したとおりである。
一部の実施形態では、キットは、適切な陽性および陰性対照をさらに含む。
【0214】
一部の実施形態では、キットは、以前に記載したとおりである1つまたは複数の対照プローブ(E)をさらに含み得る。
一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数の対照プローブ(E)および1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドをさらに含み得る。
【0215】
一部の実施形態では、Aの5’末端は、5’-3’エクソヌクレアーゼ消化に対する耐性が与えられていてよく、キットは、5’-3’エクソヌクレアーゼをさらに含み得る。
【0216】
一部の実施形態では、キットは、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCをさらに含み得る。
一部の実施形態では、キットは、スプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含み得る。
【0217】
一部の実施形態では、キットは、CおよびDをどちらも含み得る。
ライゲーションプローブCは、それを3’-5’エクソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾をさらに含み得る。
【0218】
Dは、Aの3’末端と相補的なオリゴヌクレオチド領域と、オリゴヌクレオチドCの5’末端またはAの5’末端のいずれかと相補的な領域とを含み得る。
一部の実施形態では、Dは、3’修飾が原因で、またはDの3’末端とAもしくはCの対応する領域との間のミスマッチを通じてのいずれかで、Aに対する伸長を受けることができない場合がある。
【0219】
一部の実施形態では、キットは、試料中に存在する標的ポリヌクレオチド配列の初期増幅のための、dNTP、ポリメラーゼ、および適切な緩衝液をさらに含み得る。
一部の実施形態では、キットは、高忠実度ポリメラーゼを取り込んだdUTP、dUTP、およびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含み得る。
【0220】
一部の実施形態では、キットは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、キットは、ピロホスファターゼをさらに含み得る。ピロホスファターゼはホットスタートであり得る。
【0221】
一部の実施形態では、キットはプロテイナーゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含み得る。
【0222】
一部の実施形態では、キットは、それぞれが異なる標的配列に対して選択的であり、それぞれが同定領域を含む、複数のAをさらに含み得る。
一部の実施形態では、キットは、RNA鋳型からのDNAの形成のための酵素をさらに含み得る。
【0223】
一部の実施形態では、酵素は逆転写酵素である。
一部の実施形態では、キットの1つまたは複数の酵素はホットスタートであり得る。
一部の実施形態では、キットの1つまたは複数の酵素は熱安定性であり得る。
【0224】
一部の実施形態では、キットは、適切な洗浄および緩衝試薬をさらに含み得る。
一部の実施形態では、増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じである。
一部の実施形態では、増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じである。
【0225】
キットは、本明細書中に記載の処理に従った、ポリヌクレオチドの一部分を単離および/または精製するための精製装置および試薬をさらに含み得る。適切な試薬は当分野で周知であり、ゲル濾過カラムおよび洗浄緩衝液が挙げられる。
【0226】
一部の実施形態では、キットは、以前に記載した通りであり得る後成的感受性および/または後成的依存性制限酵素をさらに含む。
一部の実施形態では、キットは、メチル化感受性および/またはメチル化依存性制限酵素をさらに含む。
【0227】
一部の実施形態では、キットは、1つまたはメチルCpG結合ドメイン(MBD)タンパク質をさらに含む。
一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数の5-メチルシチジン(5-mC)抗体をさらに含む。
【0228】
一部の実施形態では、キットは、MBD2bタンパク質のうちの1つもしくは複数および/またはMBD2b/MBD3L1複合体のうちの1つもしくは複数をさらに含む。
一部の実施形態では、キットは、メチル化特異的多重鎖ライゲーション依存性プローブ増幅(MS-MLPA)に適切な試薬をさらに含む。
【0229】
本発明の一実施形態では、
第1の領域、第2の領域、および第3の領域の間の少なくとも1つの流路を含む装置であって、第1の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
dNTPと、
少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドと、
試料中に存在するDNAの初期増幅のための増幅酵素と
を含み、第2の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
標的ポリヌクレオチド配列と第1の中間生成物を形成することができる一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAであって、前記中間生成物が少なくとも部分的に二本鎖である一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
第1の中間生成物をAの末端から3’-5’方向で消化して、部分的に消化された鎖Aを作り出すことができる、加ピロリン酸分解酵素と
を含み、第3の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
dNTPと、
緩衝液と、
増幅酵素と、
もしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分に由来するシグナルを検出するための手段と
を含み、第2の領域のウェルまたは第3の領域のウェルが、Aの一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドをさらに含む、装置が提供される。
【0230】
一部の実施形態では、第1の領域の1つまたは複数のウェルは、以前にまたは続いて記載した1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、第2の領域の1つまたは複数のウェルは、以前にまたは続いて記載した1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドを含む。
【0231】
一部の実施形態では、第1の領域のウェルは、
- dNTPと、
- 1つまたは複数の一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドと、
- 試料中に存在するDNAの初期増幅のための増幅酵素と
を含み、プライマーのうちの1つまたは複数は非相補的5’テイルを有する。
【0232】
一部の実施形態では、プライマーのうちの1つまたは複数は5’リン酸を有する。
一部の実施形態では、プライマーのうちの1つまたは複数は5’保護されている。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、第3の領域の1つまたは複数のウェル内に位置する。
【0233】
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の第3の領域内に位置する。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の隣接領域内に位置する。
【0234】
一部の実施形態では、第1の領域のそれぞれのウェルのdNTPは、dUTP、dGTP、dATP、およびdCTPであってよく、それぞれのウェルは、高忠実度ポリメラーゼを取り込んだdUTPおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含み得る。
【0235】
一部の実施形態では、第3の領域のそれぞれのウェルのdNTPは、dUTP、dGTP、dATP、およびdCTPであってよく、それぞれのウェルは、高忠実度ポリメラーゼを取り込んだdUTPおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含み得る。
【0236】
一部の実施形態では、第2の領域のそれぞれのウェルは、ピロリン酸イオン供給源をさらに含み得る。
一部の実施形態では、Aの5’末端は、5’-3’エクソヌクレアーゼ消化に対する耐性が与えられていてよく、第2の領域のウェルは、5’-3’エクソヌクレアーゼをさらに含み得る。
【0237】
一部の実施形態では、第2または第3の領域のそれぞれのウェルは、リガーゼと、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCまたはスプリントオリゴヌクレオチドDとをさらに含み得る。
【0238】
ライゲーションプローブCは、それを3’-5’エクソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含み得る。
スプリントオリゴヌクレオチドDは、Aの3’末端と相補的なオリゴヌクレオチド領域と、オリゴヌクレオチドCの5’末端またはAの5’末端のどちらかと相補的な領域とを含み得る。
【0239】
Dは、3’修飾が原因で、またはDの3’末端とAもしくはCの対応する領域との間のミスマッチを通じてのいずれかで、Aに対する伸長を受けることができない場合がある。
【0240】
一部の実施形態では、dNTPはホットスタートであってよく、第2の領域のそれぞれのウェルは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第2の領域のそれぞれのウェルは、ピロホスファターゼをさらに含み得る。
【0241】
一部の実施形態では、ピロホスファターゼはホットスタートであり得る。
一部の実施形態では、第3の領域のそれぞれのウェルは、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含み得る。
【0242】
一部の実施形態では、第2の領域のそれぞれのウェルは、同定領域を含む標的配列に選択的な少なくとも1つまたは複数の異なるAを含み得る。
一部の実施形態では、第2の領域中の増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じであり得る。
【0243】
一部の実施形態では、1つまたは複数のウェルを含む第4の領域が存在してよく、それぞれのウェルはプロテイナーゼを含んでよく、前記第4の領域は第1および第2の領域の間に位置し得る。
【0244】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルが、
dNTPと、
緩衝液と、
増幅酵素と、
もしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分に由来するシグナルを検出するための手段と
をさらに含むように、装置の第2および第3の領域を合わせ得る。
【0245】
第2の領域のウェルは、以前にまたは続いて記載した1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドをさらに含み得る。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、第2の領域の1つまたは複数のウェル内に位置する。
【0246】
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の第2の領域内に位置する。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の隣接領域内に位置する。
【0247】
一部の実施形態では、
第1の領域および第2の領域の間の流路を含む装置であって、第1の領域が1つまたは複数のウェルを含み、1つまたは複数のウェルが、
標的ポリヌクレオチド配列と第1の中間生成物を形成することができる一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAであって、前記中間生成物が少なくとも部分的に二本鎖である一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
第1の中間生成物をAの末端から3’-5’方向で消化して、部分的に消化された鎖Aを作り出すことができる、加ピロリン酸分解酵素と、
とライゲーションしてオリゴヌクレオチドAを作り出すことができる、1つまたは複数のリガーゼと
を含み、第2の領域が1つまたは複数のウェルを含む、装置が提供される。
【0248】
第1の領域のウェルは、以前にまたは続いて記載した1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第1の領域の1つまたは複数のウェルは、加ピロリン酸分解反応を順方向に駆動するためのイオン供給源をさらに含み得る。
【0249】
一部の実施形態では、イオンはピロリン酸イオンである。
一部の実施形態では、Aの5’末端は、5’-3’エクソヌクレアーゼ消化に対して耐性であり、第1の領域のウェルは、5’-3’エクソヌクレアーゼをさらに含む。
【0250】
一部の実施形態では、装置は、流路によって第1の領域と連結された、1つまたは複数のウェルを含む第3の領域をさらに含んでよく、第3の領域の1つまたは複数のウェルは、
dNTPと、
一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドと、
増幅酵素と
を含む。
【0251】
第3の領域のウェルは、以前にまたは続いて記載した1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第3の領域のdNTPは、dUTP、dGTP、dCTP、およびdATPであってよく、
増幅酵素は高忠実度ポリメラーゼを取り込んだdUTPであってよく、
第3の領域の1つまたは複数のウェルは、ウラシル-DNA N-グリコシラーゼをさらに含み得る。
【0252】
一部の実施形態では、装置は、1つまたは複数のウェルを含む第1および第3の領域の間に位置する第4の領域をさらに含んでよく、1つまたは複数のウェルはプロテイナーゼを含み得る。
【0253】
一部の実施形態では、第1または第2の領域の1つまたは複数のウェルは、リガーゼと、Aの一領域と相補的であるライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCとをさらに含み得る。
【0254】
一部の実施形態では、第1または第2の領域の1つまたは複数のウェルは、リガーゼと、Aの一領域と相補的であるスプリントオリゴヌクレオチドDとをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第1または第2の領域の1つまたは複数のウェルは、リガーゼと、スプリントオリゴヌクレオチドDと、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCとをさらに含み得る。
【0255】
一部の実施形態では、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCは、それを3’-5’エクソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含み得る。
一部の実施形態では、Dは、Aの3’末端と相補的なオリゴヌクレオチド領域と、オリゴヌクレオチドCの5’末端またはAの5’末端のどちらかと相補的な領域とを含み得る。
【0256】
一部の実施形態では、Dは、3’修飾が原因で、またはDの3’末端とAもしくはCの対応する領域との間のミスマッチを通じてのいずれかで、Aに対する伸長を受けることができない場合がある。
【0257】
一部の実施形態では、第1の領域の1つまたは複数のウェルは、それぞれが異なる標的配列に対して選択的であり、それぞれが同定領域を含む、少なくとも1つまたは複数の異なるAを含み得る。
【0258】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、
dNTPと、
緩衝液と、
増幅酵素と、
もしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分に由来するシグナルを検出するための手段と
を含み得る。
【0259】
第2の領域のウェルは、以前にまたは続いて記載した1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドをさらに含み得る。
本発明の実施形態は、dNTP、緩衝液、増幅酵素、などを含む1つまたは複数の領域中に位置する1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドを含み得る。
【0260】
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、第2の領域の1つまたは複数のウェル内に位置する。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の第2の領域内に位置する。
【0261】
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の隣接領域内に位置する。
一部の実施形態では、第2の領域の1つまたは複数のウェルは、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含み得る。
【0262】
一部の実施形態では、装置の増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じである。
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、
- A上の隣接配列と相補的である、2つ以上のライゲーション連鎖反応(LCR)プローブオリゴヌクレオチドであって、プローブのアニーリングが成功している場合は、一方のLCRプローブの5’リン酸が他方のLCRプローブの3’OHと直接隣接している、プローブオリゴヌクレオチドと、
- 1つまたは複数のリガーゼと
をさらに含む。
【0263】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、
- ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCと、
- スプリントオリゴヌクレオチドDと
を含んでよく、AおよびCが一緒にライゲーションされてオリゴヌクレオチドAを形成することができるように、Cは5’リン酸を有し、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’末端はCの5’末端と相補的であり、Dの5’末端はAの3’末端と相補的である。
【0264】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、
- フルオロフォア-クエンチャー対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)であって、HO1はAと相補的であり、Aとアニーリングした場合に、HO1のヘアピン構造が開き、フルオロフォア-クエンチャー対が分離する、HO1と、
- フルオロフォア-クエンチャー対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)であって、HO2は開いたHO1と相補的であり、HO1とアニーリングした場合に、HO2のヘアピン構造が開き、フルオロフォア-クエンチャー対が分離する、HO2と
をさらに含み得る。
【0265】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、複数のHO1およびHO2をさらに含み得る。
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、
- 基質アーム、部分的触媒核、およびセンサーアームを含む、オリゴヌクレオチドAと、
- 基質アーム、部分的触媒核、およびセンサーアームを含む、オリゴヌクレオチドBと、
- フルオロフォアクエンチャー対を含む基質と
をさらに含んでよく、Aの存在下でオリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒的に多成分の核酸酵素(MNAzyme)が形成されるように、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームがAのフランキング領域と相補的である。
【0266】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、部分的に二本鎖の核酸構築体であって、
- 一方の鎖が、少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、この鎖の一領域がAの一領域と相補的であり、この鎖を「基質」鎖と呼んでよく、
- 他方のスタンドが、少なくとも1つのクエンチャーを含み、この鎖の一領域が、Aの存在下で部分的に鎖となった核酸構築体が実質的により二本鎖となるように、基質鎖が相補的である領域に隣接するAの一領域と相補的である
、核酸構築体を含み得る。
【0267】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、少なくとも1つのRNA塩基を除去するための酵素をさらに含み得る。
一部の実施形態では、酵素はウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)であり、RNA塩基はウラシルである。
【0268】
一部の実施形態では、第2の領域の1つまたは複数のウェルは、
その蛍光が、互いとまたは1つもしくは複数の蛍光クエンチャーのいずれかとのその近接によってクエンチされるように配置された、1つのまたは複数のフルオロフォアを含む、ライゲーション部位を含むAの一領域と相補的であるオリゴヌクレオチドと、
二本鎖特異的DNA消化酵素と
をさらに含んでよく、Aの存在下で、標識されたオリゴヌクレオチドは、フルオロフォアが互いからまたはその対応するクエンチャーから分離されており、蛍光シグナル、ひいてはAの存在が検出可能であるように、消化される。
【0269】
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素はエクソヌクレアーゼである。
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素は校正活性を有するポリメラーゼである。
【0270】
一部の実施形態では、フルオロフォアは、フルオレセインファミリー、カルボキシローダミンファミリー、シアニンファミリー、ローダミンファミリー、ポリハロフルオレセインファミリー色素、ヘキサクロロフルオレセインファミリー色素、クマリンファミリー色素、オキサジンファミリー色素、チアジンファミリー色素、スクアレインファミリー色素、およびキレート化ランタニドファミリー色素の色素から選択される。
【0271】
一部の実施形態では、装置のフルオロフォアは、市販の色素のうちの任意のものから選択され得る。
一部の実施形態では、装置のクエンチャーは、商品名Black Hole(商標)、Eclipse(商標)Dark、Qx1J、Iowa Black(商標)、ZEN、および/またはTAOの下で入手可能なものから選択される。
【0272】
一部の実施形態では、装置のクエンチャーは、市販のクエンチャーのうちの任意のものから選択され得る。
一部の実施形態では、第2の領域の1つまたは複数のウェルは、1つまたは複数の部分的に二本鎖のDNA構築体をさらに含んでよく、それぞれの構築体は1つまたは複数のフルオロフォアおよび1つまたは複数のクエンチャーを含有する。一部の実施形態では、構築体が部分的に二本鎖である場合、1つまたは複数のフルオロフォアおよび1つまたは複数のクエンチャーは、1つまたは複数のフルオロフォアの十分なクエンチングが起こるように、互いに十分に近く近接して位置する。
【0273】
一部の実施形態では、構築体は、それ自身に折り重なる自己相補的領域を有する、DNAの一方の鎖である。
一部の実施形態では、構築体は、プライマー対の一方のプライマーを含む。
【0274】
一部の実施形態では、第2の領域の1つまたは複数のウェルは、プライマー対の他方のプライマーをさらに含み得る。
一部の実施形態では、構築体の一本鎖部分の一部分は、Aとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによってAに対して伸長する。一部の実施形態では、その後、プライマー対の他方のプライマーが、伸長した構築体とハイブリダイズして、Aを表示する。その後、このプライマーが構築体に対して伸長し、自己相補的領域を追放する。したがって、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数の色素が十分に隔てられて蛍光シグナルが検出され、Aの存在が示される。
【0275】
そのような実施形態では、構築体はサンライズプライマーとして知られ得る。
一部の実施形態では、構築体は2本の別々のDNA鎖を含む。
一部の実施形態では、構築体の一本鎖部分の一部分は、Aとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによってAに対して伸長する。一部の実施形態では、その後、プライマー対の他方のプライマーが、伸長した構築体とハイブリダイズして、Aを表示する。その後、このプライマーが構築体に対して二本鎖部分の方向に伸長し、DNA鎖のうちのより短い方を追放し、したがって、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数の色素が十分に隔てられて蛍光シグナルが検出され、Aの存在が示される。
【0276】
そのような実施形態では、構築体は分子ジッパーとして知られ得る。
当業者には、サンライズプライマーおよび分子ジッパーのどちらについても、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数のクエンチャーの対が、それぞれの対応する構築体内の様々な位置に位置することが可能であることが理解されよう。主要な特長は、それぞれの対が互いに十分に近接して位置しており、Aの非存在下、すなわち伸長および鎖の追放が起こっていない場合は、蛍光シグナルが放射されないことである。
【0277】
一部の実施形態では、1つまたは複数の領域の1つまたは複数のウェルは、ピロホスファターゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、装置の1つまたは複数の領域の1つまたは複数のウェルは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含み得る。
【0278】
一部の実施形態では、装置の第1の領域の1つまたは複数のウェルは、RNA鋳型からのDNAの形成のための酵素をさらに含み得る。
一部の実施形態では、酵素は逆転写酵素である。
【0279】
一部の実施形態では、装置中に存在する1つまたは複数の酵素はホットスタートである。
一部の実施形態では、装置中に存在する1つまたは複数の酵素は熱安定性である。
【0280】
一部の実施形態では、装置の第1および第2の領域を合わせる。
本発明の一部の実施形態では、
- 第1の領域、第2の領域、および第3の領域の間の少なくとも1つの流路を含む装置であって、第1の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
- dNTPと、
- 少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドと、
- 試料中に存在するDNAの初期増幅のための増幅酵素と
を含み、第2の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
- 標的ポリヌクレオチド配列と第1の中間生成物を形成することができる一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAであって、前記中間生成物が少なくとも部分的に二本鎖である一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
- 第1の中間生成物をAの末端から3’-5’方向で消化して、部分的に消化された鎖Aを作り出すことができる、加ピロリン酸分解酵素と
を含み、第3の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
- dNTPと、
- 緩衝液と、
- 任意選択で増幅酵素と、
- 任意選択で、Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分に由来するシグナルを検出するための手段と
を含み、第2の領域のウェルまたは第3の領域のウェルが、Aの一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドをさらに含む、装置が提供される。
【0281】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、
- dNTPと、
- 1つまたは複数の一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドと、
- 試料中に存在するDNAの初期増幅のための増幅酵素と
を含み、プライマーのうちの1つまたは複数は非相補的5’テイルを有する。
【0282】
一部の実施形態では、プライマーのうちの1つまたは複数は5’リン酸を有する。
一部の実施形態では、プライマーのうちの1つまたは複数は5’保護されている。
一部の実施形態では、第2の領域のウェルに存在していた加ピロリン酸分解酵素は第3の領域のウェルまで運ばれ、ここで加ピロリン酸分解酵素がdNTPおよび適切な緩衝液の存在下でAの増幅を行う。
【0283】
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、第3の領域の1つまたは複数のウェル内に位置する。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の第3の領域内に位置する。
【0284】
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の隣接領域内に位置する。
一部の実施形態では、第1の領域のそれぞれのウェルのdNTPは、dUTP、dGTP、dATP、およびdCTPであってよく、それぞれのウェルは、高忠実度ポリメラーゼを取り込んだdUTPおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含み得る。
【0285】
一部の実施形態では、第2の領域のそれぞれのウェルは、ピロリン酸イオン供給源をさらに含み得る。
一部の実施形態では、Aの5’末端は、5’-3’エクソヌクレアーゼ消化に対する耐性が与えられていてよく、第2の領域のウェルは、5’-3’エクソヌクレアーゼをさらに含み得る。
【0286】
一部の実施形態では、第2または第3の領域のそれぞれのウェルは、リガーゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第2または第3の領域のそれぞれのウェルは、リガーゼと、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCまたはスプリントオリゴヌクレオチドDとをさらに含み得る。
【0287】
ライゲーションプローブCは、それを3’-5’エクソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含み得る。
スプリントオリゴヌクレオチドDは、Aの3’末端と相補的なオリゴヌクレオチド領域と、オリゴヌクレオチドCの5’末端またはAの5’末端のどちらかと相補的な領域とを含み得る。
【0288】
Dは、3’修飾が原因で、またはDの3’末端とAもしくはCの対応する領域との間のミスマッチを通じてのいずれかで、Aに対する伸長を受けることができない場合がある。
【0289】
一部の実施形態では、dNTPはホットスタートであり得る。
一部の実施形態では、第2の領域のそれぞれのウェルは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含み得る。
【0290】
一部の実施形態では、第2の領域のそれぞれのウェルは、ピロホスファターゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、ピロホスファターゼはホットスタートである。
【0291】
一部の実施形態では、第3の領域のそれぞれのウェルは、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第2の領域のそれぞれのウェルは、同定領域を含む標的配列に選択的な少なくとも1つまたは複数の異なるAを含み得る。
【0292】
一部の実施形態では、第2の領域中の増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じであり得る。
一部の実施形態では、1つまたは複数のウェルを含む第4の領域が存在してよく、それぞれのウェルはプロテイナーゼを含んでよく、前記第4の領域は第1および第2の領域の間に位置し得る。
【0293】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルが、
- dNTPと、
- 緩衝液と、
- 増幅酵素と、
もしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分に由来するシグナルを検出するための手段と
をさらに含むように、装置の第2および第3の領域を合わせ得る。
【0294】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルが、
- 任意選択でdNTPと、
- 任意選択で増幅酵素と、
- 緩衝液と、
- 標識したオリゴヌクレオチドプローブと
をさらに含むように、装置の第2および第3の領域を合わせ得る。
【0295】
一部の実施形態では、第2の領域のウェルに存在していた加ピロリン酸分解酵素を利用して、dNTPおよび適切な緩衝液の存在下でAの増幅を行う。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、第2の領域の1つまたは複数のウェル内に位置する。
【0296】
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の第2の領域内に位置する。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、装置の隣接領域内に位置する。
【0297】
一部の実施形態では、第1の領域は、流体界面を介して試料容器と流体接続し得る。
本発明の一部の実施形態では、
- 第1、第2、第3、および第4の領域の間の少なくとも1つの流路を含む装置であって、第1の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、核酸を選択的に修飾するための手段を含み、
第2の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
- dNTPと、
- 少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドと、
- 試料中に存在するDNAの初期増幅のための増幅酵素と
を含み、第3の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
- 標的ポリヌクレオチド配列と第1の中間生成物を形成することができる一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAであって、前記中間生成物が少なくとも部分的に二本鎖である一本鎖プローブオリゴヌクレオチドAと、
- 第1の中間生成物をAの末端から3’-5’方向で消化して、部分的に消化された鎖Aを作り出すことができる、加ピロリン酸分解酵素と
を含み、第4の領域が1つまたは複数のウェルを含み、それぞれのウェルが、
- dNTPと、
- 緩衝液と、
- 任意選択で増幅酵素と、
- Aもしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分に由来するシグナルを検出するための手段と
を含み、第3の領域のウェルまたは第4の領域のウェルが、Aの一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドをさらに含む、装置が提供される。
【0298】
一部の実施形態では、核酸を選択的に修飾するための手段は、標的ポリヌクレオチド配列中の未修飾のシトシン塩基を変換することができる化学薬品であり得る。
一部の実施形態では、核酸を選択的に修飾するための手段は、標的ポリヌクレオチド配列中の未修飾のシトシン塩基を変換することができる酵素であり得る。
【0299】
一部の実施形態では、第2または第3の領域のウェルは、制限エンドヌクレアーゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第1および第2の領域の間に1つまたは複数のウェルを含む領域が位置していてよく、それぞれのウェルは、制限エンドヌクレアーゼを含み得る。
【0300】
一部の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、未修飾のシトシン塩基の化学的または酵素的変換によって作製された標的ポリヌクレオチド配列中の配列を認識し得る。
一部の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼが認識し得る標的ポリヌクレオチド配列中の配列は、未修飾のシトシン塩基の化学的または酵素的変換によって除去される。
【0301】
一部の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、メチル化感受性またはメチル化依存性制限のエンドヌクレアーゼであり得る。
一部の実施形態では、第2の領域のウェルは、後成的修飾したDNAの修飾特異的多重鎖ライゲーション依存性プローブ増幅(MS-MLPA)のための試薬を含み得る。
【0302】
一部の実施形態では、第1および第2の領域の間に1つまたは複数のウェルを含む領域が位置していてよく、それぞれのウェルは、PCRのための試薬を含み得る。
一部の実施形態では、第1および第2の領域の間に1つまたは複数のウェルを含む領域が位置していてよく、それぞれのウェルは、後成的修飾したまたは未修飾の標的配列の集団の還元のための試薬を含み得る。
【0303】
一部の実施形態では、後成的修飾したまたは未修飾の標的配列の集団の還元のための試薬は、後成的修飾したDNA免疫沈降、任意選択でメチル化DNA免疫沈降(MeDIP)のための試薬である。
【0304】
一部の実施形態では、後成的修飾したまたは未修飾の標的配列の集団の還元のための試薬は、MBD2bまたはMBD2b/MBD3L1複合体などのメチル結合タンパク質である。
【0305】
一部の実施形態では、後成的修飾したまたは未修飾の標的配列の集団の還元のための試薬は、第1の領域の1つまたは複数のウェル内に位置する。
装置の一部の実施形態では、後成的修飾はメチル化であり得る。一部の実施形態では、後成的修飾はCpGアイランドでのメチル化であり得る。一部の実施形態では、後成的修飾はCpGアイランドでのヒドロキシメチル化であり得る。
【0306】
一部の実施形態では、第2、第3、または第4の領域のウェルは、
- dNTPと、
- 少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドと、
- 増幅酵素と
を含み得る。
【0307】
一部の実施形態では、それぞれのウェルのdNTPは、dUTP、dGTP、dATP、およびdCTPであってよく、それぞれのウェルは、高忠実度ポリメラーゼを取り込んだdUTPおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含み得る。
【0308】
一部の実施形態では、それぞれのウェルは、ピロリン酸イオン供給源をさらに含み得る。
一部の実施形態では、Aの5’末端は、5’-3’エクソヌクレアーゼ消化に対する耐性が与えられていてよく、第2または第3の領域のウェルは、5’-3’エクソヌクレアーゼをさらに含み得る。
【0309】
一部の実施形態では、第3または第4の領域のそれぞれのウェルは、リガーゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第3または第4の領域のそれぞれのウェルは、リガーゼと、ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCまたはスプリントオリゴヌクレオチドDとをさらに含み得る。
【0310】
ライゲーションプローブCは、それを3’-5’エクソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含み得る。
スプリントオリゴヌクレオチドDは、Aの3’末端と相補的なオリゴヌクレオチド領域と、オリゴヌクレオチドCの5’末端またはAの5’末端のどちらかと相補的な領域とを含み得る。
【0311】
Dは、3’修飾が原因で、またはDの3’末端とAもしくはCの対応する領域との間のミスマッチを通じてのいずれかで、Aに対する伸長を受けることができない場合がある。
【0312】
一部の実施形態では、dNTPはホットスタートであり得る。
一部の実施形態では、第3の領域のそれぞれのウェルは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含み得る。
【0313】
一部の実施形態では、第3の領域のそれぞれのウェルは、ピロホスファターゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、第4の領域のそれぞれのウェルは、ピロホスファターゼをさらに含み得る。
【0314】
一部の実施形態では、ピロホスファターゼはホットスタートである。
一部の実施形態では、第4の領域のそれぞれのウェルは、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含み得る。
【0315】
一部の実施形態では、第3の領域のそれぞれのウェルは、同定領域を含む標的配列に選択的な少なくとも1つまたは複数の異なるAを含み得る。
一部の実施形態では、第4の領域中の増幅酵素および第3の領域中の加ピロリン酸分解酵素は同じであってよく、したがって、一部の実施形態では、第4の領域中の増幅酵素は不要である。
【0316】
一部の実施形態では、1つまたは複数のウェルを含む第5の領域が存在してよく、それぞれのウェルはプロテイナーゼを含んでよく、前記第5の領域は第1および第2の領域の間に位置し得る。
【0317】
一部の実施形態では、第5の領域は第2および第3の領域の間に位置し得る。
一部の実施形態では、第3の領域のウェルが、
- dNTPと、
- 緩衝液と、
- 増幅酵素と、
もしくはその一部分、または複数コピーのA、または複数コピーのその一部分に由来するシグナルを検出するための手段と
をさらに含むように、装置の第3および第4の領域を合わせ得る。
【0318】
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、第3の領域内に位置する。
一部の実施形態では、シグナルを検出するための手段は、隣接領域内に位置する。
一部の実施形態では、第3または第4の領域のウェルは、
- A上の隣接配列と相補的である、2つ以上のライゲーション連鎖反応(LCR)プローブオリゴヌクレオチドであって、プローブのアニーリングが成功している場合は、一方のLCRプローブの5’リン酸が他方のLCRプローブの3’OHと直接隣接している、プローブオリゴヌクレオチドと、
- 1つまたは複数のリガーゼと
をさらに含み得る。
【0319】
一部の実施形態では、装置の増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じである。
一部の実施形態では、第3の領域のウェルは、
- ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドCと、
- スプリントオリゴヌクレオチドDと
を含んでよく、AおよびCがライゲーションされてオリゴヌクレオチドAを形成することができるように、Cは5’リン酸を有し、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’末端はCの5’末端と相補的であり、Dの5’末端はAの3’末端と相補的である。
【0320】
一部の実施形態では、第3の領域のウェルは、
- フルオロフォア-クエンチャー対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)であって、HO1はAと相補的であり、Aとアニーリングした場合に、HO1のヘアピン構造が開き、フルオロフォア-クエンチャー対が分離する、HO1と、
- フルオロフォア-クエンチャー対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)であって、HO2は開いたHO1と相補的であり、HO1とアニーリングした場合に、HO2のヘアピン構造が開き、フルオロフォア-クエンチャー対が分離する、HO2と
をさらに含み得る。
【0321】
一部の実施形態では、第3の領域のウェルは、複数のHO1およびHO2をさらに含み得る。
一部の実施形態では、第3の領域のウェルは、
- 基質アーム、部分的触媒核、およびセンサーアームを含む、オリゴヌクレオチドAと、
- 基質アーム、部分的触媒核、およびセンサーアームを含む、オリゴヌクレオチドBと、
- フルオロフォアクエンチャー対を含む基質と
をさらに含んでよく、Aの存在下でオリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒的に多成分の核酸酵素(MNAzyme)が形成されるように、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームがAのフランキング領域と相補的である。
【0322】
一部の実施形態では、第3の領域のウェルは、部分的に二本鎖の核酸構築体であって、
- 一方の鎖が、少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、この鎖の一領域がAの一領域と相補的であり、この鎖を「基質」鎖と呼んでよく、
- 他方のスタンドが、少なくとも1つのクエンチャーを含み、この鎖の一領域が、Aの存在下で部分的に鎖となった核酸構築体が実質的により二本鎖となるように、基質鎖が相補的である領域に隣接するAの一領域と相補的である
、核酸構築体を含み得る。
【0323】
一部の実施形態では、第3の領域のウェルは、少なくとも1つのRNA塩基を除去するための酵素をさらに含み得る。
一部の実施形態では、酵素はウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)であり、RNA塩基はウラシルである。
【0324】
一部の実施形態では、第3の領域の1つまたは複数のウェルは、
その蛍光が、互いとまたは1つもしくは複数の蛍光クエンチャーのいずれかとのその近接によってクエンチされるように配置された、1つのまたは複数のフルオロフォアを含む、ライゲーション部位を含むAの一領域と相補的であるオリゴヌクレオチドと、
二本鎖特異的DNA消化酵素と
をさらに含んでよく、Aの存在下で、標識されたオリゴヌクレオチドは、フルオロフォアが互いからまたはその対応するクエンチャーから分離されており、蛍光シグナル、ひいてはAの存在が検出可能であるように、消化される。
【0325】
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素はエクソヌクレアーゼである。
一部の実施形態では、二本鎖特異的DNA消化酵素は校正活性を有するポリメラーゼである。
【0326】
一部の実施形態では、フルオロフォアは、フルオレセインファミリー、カルボキシローダミンファミリー、シアニンファミリー、ローダミンファミリー、ポリハロフルオレセインファミリー色素、ヘキサクロロフルオレセインファミリー色素、クマリンファミリー色素、オキサジンファミリー色素、チアジンファミリー色素、スクアレインファミリー色素、およびキレート化ランタニドファミリー色素の色素から選択される。
【0327】
一部の実施形態では、装置のフルオロフォアは、市販の色素のうちの任意のものから選択され得る。
一部の実施形態では、装置のクエンチャーは、商品名Black Hole(商標)、Eclipse(商標)Dark、Qx1J、Iowa Black(商標)、ZEN、および/またはTAOの下で入手可能なものから選択される。
【0328】
一部の実施形態では、装置のクエンチャーは、市販のクエンチャーのうちの任意のものから選択され得る。
一部の実施形態では、第3の領域のウェルは、1つまたは複数の部分的に二本鎖のDNA構築体を含んでよく、それぞれの構築体は1つまたは複数のフルオロフォアおよび1つまたは複数のクエンチャーを含有する。一部の実施形態では、構築体が部分的に二本鎖である場合、1つまたは複数のフルオロフォアおよび1つまたは複数のクエンチャーは、1つまたは複数のフルオロフォアの十分なクエンチングが起こるように、互いに十分に近く近接して位置する。
【0329】
一部の実施形態では、構築体は、それ自身に折り重なる自己相補的領域を有する、DNAの一方の鎖である。
一部の実施形態では、構築体は、プライマー対の一方のプライマーを含む。
【0330】
一部の実施形態では、第3の領域のウェルは、プライマー対の他方のプライマーをさらに含み得る。
一部の実施形態では、構築体の一本鎖部分の一部分は、Aとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによってAに対して伸長する。一部の実施形態では、その後、プライマー対の他方のプライマーが、伸長した構築体とハイブリダイズする。その後、このプライマーが構築体に対して伸長し、自己相補的領域を追放する。したがって、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数の色素が十分に隔てられて蛍光シグナルが検出され、反応混合物中のAの存在が示される。
【0331】
そのような実施形態では、構築体はサンライズプライマーとして知られ得る。
一部の実施形態では、構築体は2本の別々のDNA鎖を含む。
一部の実施形態では、構築体の一本鎖部分の一部分は、Aとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによってAに対して伸長する。一部の実施形態では、その後、プライマー対の他方のプライマーが、伸長した構築体とハイブリダイズして、Aを表示する。その後、このプライマーが構築体に対して二本鎖部分の方向に伸長し、DNA鎖のうちのより短い方を追放し、したがって、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数の色素が十分に隔てられて蛍光シグナルが検出され、反応混合物中のAの存在が示される。
【0332】
そのような実施形態では、構築体は分子ジッパーとして知られ得る。
当業者には、サンライズプライマーおよび分子ジッパーのどちらについても、1つまたは複数のフルオロフォアと1つまたは複数のクエンチャーの対が、それぞれの対応する構築体内の様々な位置に位置することが可能であることが理解されよう。主要な特長は、それぞれの対が互いに十分に近接して位置しており、Aの非存在下、すなわち伸長および鎖の追放が起こっていない場合は、蛍光シグナルが放射されないことである。
【0333】
一部の実施形態では、1つまたは複数の領域の1つまたは複数のウェルは、ピロホスファターゼをさらに含み得る。
一部の実施形態では、装置の1つまたは複数の領域の1つまたは複数のウェルは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含み得る。
【0334】
一部の実施形態では、装置の第2の領域の1つまたは複数のウェルは、RNAからDNAへの転写のための酵素をさらに含み得る。
一部の実施形態では、酵素は逆転写酵素である。
【0335】
一部の実施形態では、装置中に存在する1つまたは複数の酵素はホットスタートである。
一部の実施形態では、装置中に存在する1つまたは複数の酵素は熱安定性である。
【0336】
一部の実施形態では、装置の第2および第3の領域を合わせる。
一部の実施形態では、装置の第3および第4の領域を合わせる。
一部の実施形態では、1つの領域の1つもしくは複数のウェルの間および/または装置の1つもしくは複数の領域の間に、1つまたは複数の流体経路が位置する。
【0337】
一部の実施形態では、第1の領域は、流体界面を介して試料容器と流体接続し得る。
一部の実施形態では、加熱および/または冷却要素が装置の1つまたは複数の領域に存在し得る。
【0338】
一部の実施形態では、加熱および/または冷却を、装置の1つまたは複数の領域に適用させ得る。
一部の実施形態では、装置のそれぞれの領域は、独立して少なくとも100または200個のウェルを含み得る。
【0339】
一部の実施形態では、装置のそれぞれの領域は、独立して、約100から300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500個、またはそれより多くのウェルを含み得る。ウェルは任意の形状のものであってよく、その位置は、基質上の任意の形式またはパターンで配置され得る。
【0340】
一部の実施形態では、ウェル基質は、金属(たとえば、非限定来な例として、金、白金、もしくはニッケル合金)、セラミック、ガラス、または他のPCR適合性ポリマー材料、あるいは複合材料から構築することができる。ウェル基質は複数のウェルを含む。
【0341】
一部の実施形態では、ウェルは、ウェル基質中に止まり穴または通し穴として形成し得る。ウェルは、ウェル基質内に、たとえば、レーザードリル(たとえばエキシマーまたは固体レーザー)、超音波エンボス、熱エンボス加工リソグラフィー、ニッケル鋳型の電気鋳造、射出成形、および射出圧縮成形によって作製し得る。
【0342】
一部の実施形態では、個々のウェル体積は、0.1~1500nl、一実施形態では0.5~50nLの範囲であり得る。それぞれのウェルは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、または500nLの体積を有し得る。
【0343】
一部の実施形態では、ウェル寸法は、任意の形状、たとえば、環状、楕円形、正方形、長方形、卵形、六角形、八角形、錐体、および当業者に知られている他の形状のウェルを有し得る。
【0344】
一部の実施形態では、ウェル形状は、軸に沿って変動する断面領域を有し得る。たとえば、正方形の穴が、第1の大きさから第1の大きさのほんの一部である第2の大きさまで先細になり得る。
【0345】
一部の実施形態では、ウェル寸法は、直径および深度がほぼ等しい正方形であり得る。
一部の実施形態では、ウェルを定義する壁は非平行であり得る。
一部の実施形態では、ウェルを定義する壁は、一点に収束し得る。ウェル寸法は、ウェル基質の合計体積容量から誘導することができる。
【0346】
一部の実施形態では、ウェル深度は25μm~1000μmの範囲であり得る。
一実施形態では、ウェルは、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1000μmの深度を有し得る。
【0347】
一部の実施形態では、ウェル直径は約25μm~約500μmの範囲であり得る。
一部の実施形態では、ウェルは、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、または500μmの幅を有し得る。
【0348】
一部の実施形態では、装置の1つまたは複数の領域の一部分を、流体の接着を促すまたは妨げるために修飾し得る。ウェルを定義する表面を親水性材料でコーティングし(または親水性となるように修飾し)、したがって流体の保持を促し得る。
【0349】
一部の実施形態では、装置の1つまたは複数の領域の一部分を、疎水性材料でコーティングし(または疎水性となるように修飾し)、したがってそれ上への流体の保持を妨げ得る。当業者には、過剰な流体の排出を促すために、流体が好ましくはウェル内に保たれるが上部表面上には保たれないように、他の表面処理を行い得ることが理解されよう。
【0350】
一部の実施形態では、ウェル基質のウェルは、整列した列とカラムの単純な幾何学的パターン、または斜めもしくは六角形に配置されるパターンを有するようにパターン形成し得る。一実施形態では、ウェル基質のウェルは、無秩序パターンまたはアイソジオメトリック設計パターンなどの複雑な幾何学的パターンを有するようにパターン形成し得る。
【0351】
一部の実施形態では、試薬の相互汚染の防止を助けるために、ウェルは、互いに幾何学的に隔てられているおよび/または大きな深度対幅の比を特長としていてよい。
一部の実施形態では、装置は、油または他の化学的溶液などのプロセス流体を装置の領域のうちの1つまたは複数へと提供するために使用することができる、1つまたは複数の補助領域を含み得る。そのような補助領域は、金属箔または薄膜などの1つまたは複数の膜、弁、および/または圧力で切断可能な基質(すなわち、補助領域もしくは流路の隣接部分内の流体からの事前に決定された量の圧力に供された場合に破損する材料)を介して、装置の領域のうちの1つまたは複数と流体接続させ得る。
【0352】
一部の実施形態では、装置の流路は、非常に曲がりくねった部分を含み得る。流路の注入路と装置の領域のうちの1つまたは複数との間の曲がりくねった通路は、流体プロセスの制御および取扱いに役立つことができる。曲がりくねった通路は、流路を通る油の流れに干渉する場合があるガス気泡の形成を減らすことを助けることができる。
【0353】
一部の実施形態では、装置は、ガスを装置の1つまたは複数の領域のウェルから排出させる一方で、流体を通過させないことを可能にする、ガス透過膜をさらに含み得る。ガス透過膜は、ガス透過接着剤によって装置のウェル基質に接着させ得る。一実施形態では、膜はポリジメチルシロキサン(PDMS)から構築し、20~1000μmの範囲の厚さを有し得る。一部の実施形態では、膜は100~200μmの範囲の厚さを有し得る。
【0354】
一部の実施形態では、金属からウェルへの熱伝達を可能にするために、ウェル基質のすべてまたは一部分は伝導性金属部分(たとえば金)を含有し得る。一実施形態では、熱伝達を可能にするために、ウェルの内部表面を金属でコーティングし得る。
【0355】
一部の実施形態では、適切な試薬で装置の1つまたは複数の領域のウェルを充填した後、クロストークを防止するために、隔離油または熱伝導性液体を装置に適用し得る。
一部の実施形態では、装置の1つまたは複数の領域のウェルは、錐体と同様に、大きな直径からより小さな直径へと先細となるような形状にし得る。勾配壁を有する錐体形状のウェルは、試薬の非接触堆積方法(たとえばインクジェット)の使用を可能にする。錐体形状はまた、乾燥も助け、ガス透過膜が存在する場合に気泡および漏れを防止することが見出されている。
【0356】
一部の実施形態では、試料流体を(たとえば圧力を介して)装置の流路に沿って進めることによって、装置の1つまたは複数の領域のウェルを充填し得る。流体が装置の1つまたは複数の領域のウェルを通過する際、それぞれのウェルが流体で充填され、これは表面張力を介してウェル内に主に保持される。以前に記載したように、試料流体が通過する際のウェルの完全かつ均一な充填を促すために、装置のウェル基質の一部分を所望に応じて親水性/疎水性物質でコーティングし得る。
【0357】
一部の実施形態では、装置の1つまたは複数の領域のウェルを、充填後に油で「キャッピング」し得る。これは、ウェル基質を熱サイクリングに供する際に蒸発を減らすことを助けることができる。一実施形態では、油キャッピングの後、熱伝導率を改善させるために水溶液を装置の1つまたは複数の領域に充填することができる。
【0358】
一部の実施形態では、流体およびすべての気泡の運動を停止させるために、静止水溶液を装置の1つまたは複数の領域内で加圧し得る。
一部の実施形態では、装置の1つまたは複数の領域のウェルの隔離のため、および熱伝導率を提供するために、鉱物油などの油を使用し得る。しかし、フッ化液体(たとえば3M FC-40)などの任意の熱伝導性液体を使用することができる。本開示における油への言及には、当分野の当業者が適用可能であると理解するであろう代替物が含まれると理解されるべきである。
【0359】
一部の実施形態では、装置は1つまたは複数のセンサーアセンブリをさらに含み得る。
一部の実施形態では、1つまたは複数のセンサーアセンブリは、光ファイバー面板(FOFP)と連結させた電荷結合素子(CCD)/相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器を含み得る。フィルターをFOPFの上部に重ね、ウェル基質に対してまたはそれに隣接して配置し得る。一実施形態では、フィルターをCCDの上部に直接重ね(結合させ)、その上にFOPFを配置することができる。
【0360】
一部の実施形態では、装置の1つまたは複数の領域が、100%までの湿度、または熱サイクリング中の過剰蒸発を防止するために少なくとも十分な湿度を有するように、蒸留水などの水和流体を、第1の領域または補助領域のうちの1つ内で加熱し得る。
【0361】
一部の実施形態では、装置の充填が完了した後、装置と熱接触している外部装置によってウェル基質を加熱して、PCRのための熱サイクリングを行い得る。
一部の実施形態では、RFID、キュリー点、誘導加熱、またはマイクロ波加熱などの非接触加熱方法を用い得る。これらおよび他の非接触加熱方法は当業者がよく知っているであろう。熱サイクリング中、装置は、以前に記載したセンサー配置を介して化学反応についてモニタリングし得る。
【0362】
一部の実施形態では、装置の領域のうちの1つまたは複数のウェルのうちの1つまたは複数中に堆積させる試薬は、事前に決定された配置で堆積される。
一部の実施形態では、
試料流体を装置の流路に提供するステップであって、装置が第1の領域、第2の領域、および第3の領域の間の少なくとも1つの流路を含み、第1、第2、および第3の領域が独立して1つまたは複数のウェルを含むステップと、
第2の領域の1つまたは複数のウェルが増幅した流体でコーティングされるように、第2の領域を、第1の領域からの増幅した流体で充填するステップと、
1つまたは複数のウェルが増幅した流体の少なくとも一部で湿ったままであるように、増幅した流体を第2の領域から排出するステップと、
第3の領域の1つまたは複数のウェルがこの流体でコーティングされるように、第3の領域を、第2の領域から排出された流体で充填するステップと、
1つまたは複数のウェルがこの流体の少なくとも一部で湿ったままであるように、流体を第3のチャンバーから排出するステップと
を含む方法が提供される。
【0363】
本方法の一部の実施形態では、流路は無弁であり得る。
本方法の一部の実施形態では、排出された第2の領域を疎水性物質で充填し得る。
本方法の一部の実施形態では、排出された第3の領域を疎水性物質で充填し得る。
【0364】
本方法の一部の実施形態では、疎水性物質は、第2および第3の領域と流体連結している油チャンバーから供給し得る。
本方法の一部の実施形態では、試料流体は、曲がりくねった様式の流路に沿って送り得る。
【0365】
一部の実施形態では、方法は、加熱および冷却サイクルを第1、第2、または第3の領域のうちの1つまたは複数に適用することをさらに含み得る。
本発明の様々なさらなる態様および実施形態は、本開示に鑑みて当業者に明らかとなるであろう。
【0366】
本明細書中で使用する場合、「および/または」とは、2つの指定した特長または成分のそれぞれの、他方を伴うまたは伴わない具体的な開示として解釈されるべきである。たとえば、「Aおよび/またはB」は、それぞれが本明細書中に個々に記載されている場合と同程度に、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBのそれぞれの具体的な開示であるとして解釈されるべきである。
【0367】
内容によりそうでないと指示されない限りは、上に記載した特長の説明および定義は、本発明のいかなる特定の態様または実施形態に限定されず、記載されているすべての態様および実施形態に同等に適用される。
【0368】
当業者には、本発明は、いくつかの実施形態を参照して例として記載されているが、本発明は開示した実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲中に定義されている本発明の範囲から逸脱せずに、代替実施形態を構築することができることがさらに理解されよう。
【0369】
本明細書中で使用する「磁気微粒子」とは、磁場によって引き寄せられる磁気応答性の微粒子である。本発明の方法において使用する磁気微粒子は、DNA、RNA、またはPNAと結合することができる表面を作り出すポリマーコーティングによって全体的に囲まれる、磁性金属酸化物コアを含む。磁性金属酸化物コアは好ましくは酸化鉄であり、鉄はFe2+およびFe3+の混合物である。好ましいFe2+/Fe3+比は好ましくは2/1であるが、約0.5/1から約4/1まで変動することができる。
【0370】
当業者には、用語「推測する」を使用する場合、たとえば、「特定の配列の存在または非存在を推測する」の場合、これは、AもしくはAのコピー、またはAの一領域もしくは領域Aのコピーの存在または非存在に基づいて、特定の特長の存在または非存在を決定することをいうが理解されよう。
【0371】
当業者には、「プライマー」が記載されている実施形態は、その範囲内に、本文書中の以前にまたは続いて記載されているプライマーを含むことが理解されよう。
当業者には、「プライマー」が装置の特定の領域/ウェル内に位置する、または特定の反応混合物中に存在するとして記載されている実施形態は、その範囲内に、以前にまたは続いて記載した1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドも同じ領域/ウェルまたは反応混合物内に存在する実施形態を含むことが理解されよう。
【0372】
当業者には、「一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA」が装置の特定の領域/ウェル内に位置する、または特定の反応混合物中に存在するとして記載されている実施形態は、その範囲内に、以前にまたは続いて記載した1つまたは複数の遮断オリゴヌクレオチドも内部に存在する実施形態を含むことが理解されよう。
【実施例
【0373】
実施例1:EGFRエクソン19cosm12384突然変異の検出
本実施例では、様々な濃度の遮断オリゴヌクレオチドを初期PCR増幅において利用した。
a.PCR増幅
以下に対応する混合物を調製した:
1×Q5U緩衝液
200nMのプライマーミックス1
20U/mLのQ5Uポリメラーゼ
10U/mLの熱不安定性UDG
0.4ng/uLの断片化されたヒトゲノムDNA
+/-0.2aMの突然変異オリゴヌクレオチド
0~300nMの遮断オリゴヌクレオチド
合計体積 50uL
Q5緩衝液
Q5緩衝液は市販供給業者NEBから入手可能である。
【0374】
プライマーミックス1:
FWD(配列番号1):
5’-C*C*C*AACCAAGCTCTCTTGAGGATCTTG-3’
REV(配列番号2):
5’-/5Phos/GGGACCTTACCTTATACACCGTGCCG-3’
FWD(配列番号3):
5’-G*C*C*TCCCTCGCGCCATCAGAAGGTGAGAAAGTTAAAATTCCCGTC-3’
REV(配列番号4):
5’-/5Phos/GCCTTGCCAGCCCGCTCAGACAGCAAAGCAGAAACTCACATCG-3’
FWD(配列番号5):
5’-G*C*C*TCCCTCGCGCCATCAGCATCTGCCTCACCTCCACCG-3’
REV(配列番号6):
5’-/5Phos/GCCTTGCCAGCCCGCTCAGATATTGTCTTTGTGTTCCCGGAC-3’
FWD(配列番号7):
5’-G*A*A*GCCACACTGACGTGCCTCTC-3’
REV(配列番号8):
5’-/5Phos/AGGCAGATGCCCAGCAGGCGGCA-3’
FWD(配列番号9):
5’-A*C*G*TACTGGTGAAAACACCGCAG-3’
REV(配列番号10):
5’-/5Phos/GCCTCCTTCTGCATGGTATTCTTT-3’
FWD(配列番号11):
5’-G*C*C*TCCCTCGCGCCATCAGAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGAG-3’
REV(配列番号12):
5’-/5Phos/GCCTTGCCAGCCCGCTCAGGAATTAGCTGTATCGTCAAGGCACTCTTG-3’
FWD(配列番号13):
5’-C*T*G*GTCCCTCATTGCACTGTACTCC-3’
REV(配列番号14):
5’-/5Phos/AGAAACCTGTCTCTTGGATATTCTCGACAC-3’
FWD(配列番号15):
5’-/5Phos/GCCTCCCTCGCGCCATCAGCCACAAAATGGATCCAGACAACTGTTCAAA-3’
REV(配列番号16):
5’-G*C*C*TTGCCAGCCCGCTCAGTCTTCATGAAGACCTCACAGTAAAAATAGGTGA-3’
FWD(配列番号17):
5’-/5Phos/CCCCCAGCCCTCTGACGTCC-3’
REV(配列番号18):
5’-A*T*C*TTCTGCTGCCGTCGCTTGA-3’
FWD(配列番号19):
5’-T*A*C*CCTTGTCCCCAGGAAGCATA-3’
REV(配列番号20):
5’-/5Phos/ATGCCCAGAAGGCGGGAGACAT-3’
突然変異オリゴヌクレオチド(配列番号21):
5’-CTGTCATAGGGACTCTGGATCCCAGAAGGTGAGAAAGTTAAAATTCCCGTCGCTATCAAGGTTCCGAAAGCCAACAAGGAAATCCTCGATGTGAGTTTCTGCTTTGCTGTGTGGGGGTC-3’
遮断オリゴヌクレオチド(配列番号22):
5’-/5Phos/CTATCAAGGAATTAAGAGAAGCAACATCTCCGAAAGCCAACAAGG/3InvdT/-3’
はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端リン酸を表し、/3InvdT/は3’末端逆位dTを表す]
その後、この混合物をインキュベートした:
37℃ 1分間
55℃ 10分間
98℃ 1分間
(98℃ 10秒間
63℃ 15秒間
72℃ 15秒間)×50
72℃ 5分間
4℃ ∞
b.プロテイナーゼK処理
以下に対応する混合物を調製した:
0.44×プロテイナーゼK緩衝液
20U/mLのプロテイナーゼK
40uLの混合物、ポイントa
合計体積 90uL
1×プロテイナーゼK緩衝液の組成物
トリスアセテート、pH=8.0 10mM
酢酸カリウム 25mM
酢酸マグネシウム 5mM
Tween-20 0.1%
その後、この混合物を55℃で5分間、95℃で10分間インキュベートした。
【0375】
c.加ピロリン酸分解(PPL)およびライゲーション
以下に対応する混合物を調製した:
1×BFF6
20U/mLのクレノウ(エキソ-)
100U/mLの大腸菌リガーゼ
2U/mLのアピラーゼ
100U/mLのラムダエキソ
0.5mMのPPi
20nMのプローブオリゴヌクレオチド
30nMのスプリントオリゴヌクレオチド
2.2uLのポイントbからの混合物。
合計体積 10uL
1×BFF6組成物
トリスアセテート、pH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
Tween-20 0.1%
プローブ(配列番号23):
5’-/5Phos/A*T*G*TTCGATGAGCTTTGACAATACTTGATCGATGCAGATATAGGATGTTGCGAGCTTTCGGAACCTTGATA-3’
スプリントオリゴヌクレオチド(配列番号24):
5’-TGTCAAAGCTCATCGAACATTTCCGAAAGCCATCGG-3’
はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端リン酸を表す]
その後、この混合物を45℃で30分間インキュベートした。
【0376】
d.検出-RCA
以下に対応する混合物を調製した:
2.66×等温緩衝液(53.2mMのトリス-HCl、26.6mMの(NHSO、133mMのKCl、5.32mMのMgSO、0.266%のTween-20、pH8.8)
0.28uMのプライマーミックス2
284.4U/mLのBST2.0 WarmStart
14.67U/mLのTIPP
1.06mMのdNTP
Syto82色素 3uM
1.2uLのポイントcからの反応混合物。
合計体積 11.2uL
プライマーミックス2:
フォワード(配列番号25):
5’-TGCAACATCCTATATCTGC-3’
リバース(配列番号26):
5’-TAGCTTTGACAATACTTGA-3’
はホスホロチオエート結合を表す]
その後、混合物を60℃で90分間インキュベートした。蛍光測定を1分毎にとった。結果を図1に示す。結果は、遮断オリゴヌクレオチドの濃度が高ければ高いほど、0%と0.1%AFとの間のCq値の相違が大きくなることを示す。
【0377】
実施例2:合わせた加ピロリン酸分解およびライゲーションステップの前の、初期PCR増幅に続く遮断オリゴヌクレオチドの導入、ならびに0.1%AFのT790Mの検出。
a.PCR増幅
以下に対応する混合物を調製した:
1×Q5U緩衝液
200nMのプライマーミックス1(実施例1と同様、配列番号1~20)
20U/mLのQ5Uポリメラーゼ
10U/mLの熱不安定性UDG
0.4ng/uLの断片化されたヒトゲノムDNA
+/-0.2aMの突然変異オリゴヌクレオチド
合計体積 50uL
その後、この混合物をインキュベートした:
37℃ 1分間
55℃ 10分間
98℃ 1分間
(98℃ 10秒間
63℃ 15秒間
72℃ 15秒間)×50
72℃ 5分間
4℃ ∞
Q5緩衝液
Q5緩衝液は市販供給業者NEBから入手可能である。
【0378】
突然変異オリゴヌクレオチド(配列番号27):
5’-CATCTGCCTCACCTCCACcgTgcagcTcaTcaTgcagcTcaTgcccTTcggcTgccTccTggacTaTgTCCGGGAACACAAAGACAATAT-3’
はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端リン酸を表す]
b.プロテイナーゼK処理
以下に対応する混合物を調製した:
0.44×プロテイナーゼK緩衝液
20U/mLのプロテイナーゼK
40uLの混合物、ポイントa
合計体積 90uL
その後、この混合物を55℃で5分間、95℃で10分間インキュベートした。
【0379】
1×プロテイナーゼK緩衝液の組成物
トリスアセテート、pH=8.0 10mM
酢酸カリウム 25mM
酢酸マグネシウム 5mM
Tween-20 0.1%
c.遮断オリゴのアニーリング
2.2uLの混合物、ポイントb
30nMの遮断オリゴヌクレオチド
合計体積 5uL
その後、この混合物を95℃で5分間インキュベートし、4℃まで冷却した。
【0380】
遮断オリゴヌクレオチド(配列番号28):
5’-ATGAGCTGCGTGATGAGA-3’
はホスホロチオエート結合を表す]
d.加ピロリン酸分解(PPL)およびライゲーション
以下に対応する混合物を調製した:
1×BFF6
20U/mLのクレノウ(エキソ-)
100U/mLの大腸菌リガーゼ
2U/mLのアピラーゼ
100U/mLのラムダエキソ
0.5mMのPPi
10nMのプローブオリゴヌクレオチド
15nMのスプリントオリゴヌクレオチド
5uLのポイントcからの混合物。
合計体積 10uL
その後、この混合物を45℃で30分間インキュベートした。
【0381】
1×BFF6組成物
トリスアセテート、pH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
Tween-20 0.1%
プローブ(配列番号29):
5’-/5Phos/A*T*G*TTCGATGAGCTTTGACAATACTTGAGCACGGCAGATATAGGATGTTGCGAAGGGCATGAGCTGCATGATG-3’
スプリントオリゴヌクレオチド(配列番号30):
5’-CAAAGCTCATCGAACATATGCCCTTCGCAACT/3InvdT/-3’
はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端リン酸を表し、/3InvdT/は3’末端逆位dTを表す]
e.検出-RCA
以下に対応する混合物を調製した:
2.66×等温緩衝液(53.2mMのトリス-HCl、26.6mMの(NHSO、133mMのKCl、5.32mMのMgSO、0.266%のTween-20、pH8.8)
0.28uMのプライマーミックス2(実施例1と同様、配列番号25および26)
284.4U/mLのBST2.0 WarmStart
14.67U/mLのTIPP
1.06mMのdNTP
Syto82色素 3uM
1.2uLのポイントdからの反応混合物。
合計体積 11.2uL
その後、混合物を60℃で90分間インキュベートした。蛍光測定を1分毎にとった。この結果は図2中に見ることができる。遮断オリゴヌクレオチドが存在する場合、0%と0.1%AFとの間のCq値の相違が増加する。
【0382】
実施例3:0.1%AFのT790Mの検出の方法における、目的配列と完全に相補的な様々な濃度の遮断オリゴヌクレオチドの使用
a.PCR増幅
以下に対応する混合物を調製した:
1×Q5U緩衝液
200nMのプライマーミックス1(実施例1と同様、配列番号1~20)
20U/mLのQ5Uポリメラーゼ
10U/mLの熱不安定性UDG
0.4ng/uLの断片化されたヒトゲノムDNA
+/-0.2aMの突然変異オリゴヌクレオチド(実施例2と同様、配列番号27)
合計体積 50uL
その後、この混合物をインキュベートした:
37℃ 1分間
55℃ 10分間
98℃ 1分間
(98℃ 10秒間
63℃ 15秒間
72℃ 15秒間)×50
72℃ 5分間
4℃ ∞
Q5緩衝液
Q5緩衝液は市販供給業者NEBから入手可能である。
【0383】
b.プロテイナーゼK処理
以下に対応する混合物を調製した:
0.44×プロテイナーゼK緩衝液
20U/mLのプロテイナーゼK
40uLの混合物、ポイントa
合計体積 90uL
その後、この混合物を55℃で5分間、95℃で10分間インキュベートした。
【0384】
1×プロテイナーゼK緩衝液の組成物
トリスアセテート、pH=8.0 10mM
酢酸カリウム 25mM
酢酸マグネシウム 5mM
Tween-20 0.1%
c.遮断オリゴのアニーリング
2.2uLの混合物、ポイントb
0~120nMの遮断オリゴヌクレオチド
合計体積 5uL
その後、この混合物を95℃で5分間インキュベートし、4℃まで冷却した。
【0385】
遮断オリゴヌクレオチド(配列番号31):
5’-AGCCGAAGAGCATGAGCTGCATGATG-3’
はホスホロチオエート結合を表す]
d.加ピロリン酸分解(PPL)およびライゲーション
以下に対応する混合物を調製した:
1×BFF6
20U/mLのクレノウ(エキソ-)
100U/mLの大腸菌リガーゼ
2U/mLのアピラーゼ
100U/mLのラムダエキソ
0.5mMのPPi
10nMのプローブオリゴヌクレオチド(実施例2と同様、配列番号29)
15nMのスプリントオリゴヌクレオチド(実施例2と同様、配列番号30)
5uLのポイントcからの混合物。
合計体積 10uL
その後、この混合物を45℃で30分間インキュベートした。
【0386】
1×BFF6組成物
トリスアセテート、pH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
Tween-20 0.1%
e.検出-RCA
以下に対応する混合物を調製した:
2.66×等温緩衝液(53.2mMのトリス-HCl、26.6mMの(NHSO、133mMのKCl、5.32mMのMgSO、0.266%のTween-20、pH8.8)
0.28uMのプライマーミックス2(実施例1と同様、配列番号25および26)
284.4U/mLのBST2.0 WarmStart
14.67U/mLのTIPP
1.06mMのdNTP
Syto82色素 3uM
1.2uLのポイントdからの反応混合物。
合計体積 11.2uL
その後、混合物を60℃で90分間インキュベートした。蛍光測定を1分毎にとった。この結果は図3中に見ることができる。結果は、遮断オリゴヌクレオチドの存在が0%と0.1%AFとの間のCq値の相違を増加させることを示す。
【0387】
実施例4:
a.PCR
以下に対応するPCR混合物を調製した:
400nMのプライマーミックス1またはプライマーミックス2
20U/mLのQ5Uポリメラーゼ
10U/mLの熱不安定性UDG
0.4ng/uLの断片化されたヒトゲノムDNA
+/-0.2aMの突然変異オリゴヌクレオチド1
+/-0.2aMの突然変異オリゴヌクレオチド2
合計体積:50uL
プライマーミックス1:
FWD(配列番号32):
5’-A*A*G*TTAAAATTCCCGTCGCTA-3’
REV(配列番号33):
5’-/5Phos/AGCAAAGCAGAAACTCACATCG-3’
プライマーミックス2:
FWD(配列番号34):
5’-G*C*C*TCCCTCGCGCCATCAGAAGTTAAAATTCCCGTCGCTA-3’
REV(配列番号35):
5’-/5Phos/GCCTTGCCAGCCCGCTCAGAGCAAAGCAGAAACTCACATCG-3’
突然変異オリゴヌクレオチド1(配列番号36):
5’-CTGTCATAGGGACTCTGGATCCCAGAAGGTGAGAAAGTTAAAATTCCCGTCGCTATCAAGACATCTCCGAAAGCCAACAAGGAAATCCTCGATGTGAGTTTCTGCTTTGCTGTGTGGGGGTC-3’
突然変異オリゴヌクレオチド2(配列番号37):
5’-CTGTCATAGGGACTCTGGATCCCAGAAGGTGAGAAAGTTAAAATTCCCGTCGCTATCAAGGAAGCAACATCTCCGAAAGCCAACAAGGAAATCCTCGATGTGAGTTTCTGCTTTGCTGTGTGGGGGTC-3’
はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端リン酸を表す]
その後、以下に詳述するようにこの混合物をインキュベートした:
37℃ 1分間
55℃ 10分間
98℃ 1分間
(98℃ 10秒間
60℃ 15秒間
72℃ 15秒間)×50
72℃ 5分間
4℃ ∞
b.プロテイナーゼK処理
以下に対応する混合物を調製した:
0.44×A7緩衝液
20U/mLのプロテイナーゼK
40uLの混合物、ポイントa
合計体積 90uL
1×A7
トリスアセテート、pH=8.0 10mM
酢酸カリウム 25mM
酢酸マグネシウム 5mM
Triton-X 100、0.1%
その後、この混合物を55℃で5分間、95℃で10分間インキュベートした。
【0388】
c.加ピロリン酸分解(PPL)およびライゲーション
以下に対応する混合物を調製した:
1×BFF1
20U/mLのクレノウ(エキソ-)
100U/mLの大腸菌リガーゼ
1.2U/mLのアピラーゼ
100U/mLのラムダエキソ
0.25mMのPPi
20nMのプローブオリゴヌクレオチド1またはプローブオリゴヌクレオチド2
30nMのスプリントオリゴヌクレオチド1またはスプリントオリゴヌクレオチド2
1.25uLのポイントbからの混合物。
合計体積 10uL
1×BFF1組成物
トリスアセテート、pH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
Triton-X 100、0.1%
プローブオリゴヌクレオチド1(配列番号38):
5’/5Phos/A*T*G*TTCGATGAGCTTTGACAATACTTGATCGATGCAGATATAGGATGTTGCGATCGGAGATGTCTTGATAG-3’
スプリントオリゴヌクレオチド1(配列番号39):
5’-TGTCAAAGCTCATCGAACATACATCTCCGAAATCGG-3’
プローブオリゴヌクレオチド2(配列番号40):
5’/5Phos/A*T*G*TTCGATGAGCTTTGACAATACTTGATCGATGCAGATATAGGATGTTGCGACGGAGATGTTGCTTCCTTGA-3’
スプリントオリゴヌクレオチド2(配列番号41):
5’-TGTCAAAGCTCATCGAACATCAACATCTCTCGCAAG-3’
はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端リン酸を表す。
【0389】
その後、この混合物を45℃で15分間インキュベートした。
d.検出-RCA
以下に対応する混合物を調製した:
2.66×等温緩衝液(53.2mMのトリス-HCl、26.6mMの(NHSO、133mMのKCl、5.32mMのMgSO、0.266%のTween-20、pH8.8)
0.28uMのプライマーミックス2(実施例2と同様、配列番号25および26)
284.4U/mLのBST2.0 WarmStart
14.67U/mLのTIPP
1.06mMのdNTP
Syto82色素 3uM
1.25uLのポイントcからの反応混合物。
合計体積 11.25uL
その後、混合物を60℃で90分間インキュベートした。蛍光測定を1分毎にとった。この結果は図13中に見ることができる。
【0390】
実施例5:遮断オリゴヌクレオチド(BO)をPPLステップの前またはその間に加えることの効果を示すデータ:
以下に対応する混合物を調製した:
200nMのプライマーミックス1(実施例1と同様、配列番号1~20)
20U/mLのQ5Uポリメラーゼ
10U/mLの熱不安定性UDG
0.4ng/uLの断片化されたヒトゲノムDNA
+/-0.2aMの突然変異オリゴヌクレオチド(実施例1と同様、配列番号21)
合計体積 50uL
その後、この混合物をインキュベートした:
37℃ 1分間
55℃ 10分間
98℃ 1分間
(98℃ 10秒間
63℃ 15秒間
72℃ 15秒間)×50
72℃ 5分間
4℃ ∞
b.プロテイナーゼK処理
以下に対応する混合物を調製した:
0.44×プロテイナーゼK緩衝液
20U/mLのプロテイナーゼK
40uLの混合物、ポイントa
合計体積 90uL
その後、この混合物を55℃で5分間、95℃で10分間インキュベートした。
【0391】
1×プロテイナーゼK緩衝液の組成物
トリスアセテート、pH=8.0 10mM
酢酸カリウム 25mM
酢酸マグネシウム 5mM
Tween-20 0.1%
c.PPLステップの前の遮断オリゴヌクレオチドの添加
c.1.遮断オリゴのアニーリング
2.2uLの混合物、ポイントb
30nMの遮断オリゴヌクレオチド(実施例3と同様、配列番号31)
合計体積 5uL
その後、この混合物を95℃で5分間インキュベートし、4℃まで冷却した。
【0392】
c.2.加ピロリン酸分解(PPL)およびライゲーション
以下に対応する混合物を調製した:
1×BFF6
20U/mLのクレノウ(エキソ-)
100U/mLの大腸菌リガーゼ
2U/mLのアピラーゼ
100U/mLのラムダエキソ
0.5mMのPPi
5nMのそれぞれのプローブオリゴヌクレオチド
10nMのそれぞれのスプリントオリゴヌクレオチド
5uLの混合物c.1。
合計体積 10uL
その後、この混合物を45℃で30分間インキュベートした。
【0393】
1×BFF6組成物
トリスアセテート、pH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
Tween-20 0.1%
T790Mプローブ(配列番号42):5’-
/5Phos/A*T*G*TTCGATGAGCTTTGACAATACTTGAGCACGGCAGATATAGGATGTTGCGAAGGGCATGAGCTGCATGATG-3’
T790Mスプリントオリゴヌクレオチド(配列番号43):5’-CAAAGCTCATCGAACATATGCCCTTCGCAACT/3InvdT/-3’
G719X_6239プローブ(配列番号44):5’
/5Phos/A*T*G*TTCGATGAGCTTTGACAATACTTGACATGCGCAGATATAGGATGTTGCGAAACGCACCGGAGGCCAGCACTTTG-3’
G719X_6239スプリントオリゴヌクレオチド(配列番号45):5’-TGTCAAAGCTCATCGAACATCCGGTGCGTTCGGCAA-3’
G719X_6252プローブ(配列番号46):5’
/5Phos/C*TGTCCAGTGAGCTTTGACAATACTTGACATGCCGAGTAATGAGAGTTTCGCAAACGCACCGGAGCTCAGCACTTTG-3’
G719X_6252スプリントオリゴヌクレオチド(配列番号47):5’-TGTCAAAGCTCACTGGACAGCCGGTGCGTTCGGCAA-3’
G719X_6253プローブ(配列番号48):5’
/5Phos/A*CCTGATCTGAGCTTTGACAATACTTGACATGCGAGCAATTAGGTAGTGTCGTAACGCACCGGAGCACAGCACTTTG-3’
G719X_6253スプリントオリゴヌクレオチド(配列番号49):5’-TGTCAAAGCTCAGATCAGGTCCGGTGCGTTCGGCAA-3’
はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端リン酸を表し、/3InvdT/は3’末端逆位dTを表す]
d.PPLステップ中の遮断オリゴヌクレオチドの添加
以下に対応する混合物を調製した:
1×BFF6
20U/mLのクレノウ(エキソ-)
100U/mLの大腸菌リガーゼ
2U/mLのアピラーゼ
100U/mLのラムダエキソ
0.5mMのPPi
5nMのプローブオリゴヌクレオチド(実施例5、ステップcと同様、配列番号42、44、46、48)
10nMのスプリントオリゴヌクレオチド(実施例5、ステップcと同様、配列番号43、45、47、49)
2.2uLの混合物b。
30nMの遮断オリゴヌクレオチド(実施例3と同様、配列番号31)
合計体積 10uL
その後、この混合物を45℃で30分間インキュベートした。
【0394】
1×BFF6組成物
トリスアセテート、pH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
Tween-20 0.1%
e.検出-RCA
以下に対応する混合物を調製した:
2.66×Thermopol(53.2mMのトリス-HCl、26.6mMの(NHSO、2.66mMのKCl、5.32mMのMgSO、0.266%のTween-20、pH8.8)
1×プライマーミックス2
571.4U/mLのBST2.0 WarmStart
1.07mMのdNTP
1.2uLのポイントdまたはcからの反応混合物。
合計体積 11.2uL
プライマーミックス2は以下からなる:
40μMのプライマー1(配列番号50):5’-TAGCTTTGACAATACTTGA-3’
10μMのプライマー2(配列番号51):5’-/5Cy5/A*CTGACCAGCTCCATGACAATCGCTGTCGCCATGATCGATCGCAACATCCTATATCTGCGC
10μMのプライマー3(配列番号52):5’-/5TEX615/A*CTGACCAGCTCCATGACAATCGCTGTCGCCATGATCGATGCGAAACTCTCATTACTCGGC
10μMのプライマー4(配列番号53):5’-/5HEX/T*ACGACCGACTCACTCCTTACAGCAGTCCGCAGTATGCTACGACACTACCTAATTGCTCGC
10μMのプライマー5(配列番号54):5’-/5ATTO488N/T*ACGACCGACTCACTCCTTACAGCAGTCCGCAGTATGCTTCGGTGATCAGTCCTCGATG
20μMのプライマー6(配列番号55):5’-TCGATCATGGCGACAGCGATTGTCATGGAGCTGGTCAGT/3IAbRQSp/
20μMのプライマー7(配列番号56):5’-AGCATACTGCGGACTGCTGTAAGGAGTGAGTCGGTCGTA/3IABkFQ/
はホスホロチオエート結合を表し、/5Cy5/はCy5色素を表し、/5TEX615/AはTexasRed色素を表し、/5HEX/はHex色素を表し、/5ATTO488N/はAtto488色素を表し、/3IAbRQSp/はIowa Black(登録商標)RQクエンチャーを表し、/3IABkFQ/はIowa Black(登録商標)FQを表す]
その後、混合物を58℃で120分間インキュベートした。4つの読取りチャネルにおける蛍光測定を1分毎にとった。この結果は図12中に見ることができる。
【0395】
実施例6:本発明の方法のさらなる応用
ヒト癌における関連性の高いメチル化遺伝子(HRMG)のメチル化頻度
【0396】
【表1】
【0397】
肺癌バイオマーカーのメチル化
肺癌は、その症状の顕在化が遅いおよび胸部X線撮影などのスクリーニング技法の感度が低いことを含めたいくつかの理由により、癌関連の死亡率の主な原因である。腫瘍細胞から落ちたDNA断片が、癌の分子ポートレートへの好都合かつ最小限に浸潤性のアクセスを提供することができ、これらのDNA断片は、癌患者の血液から単離した無細胞DNA(cfDNA)中に見出される。血漿中の無細胞循環腫瘍DNA(ctDNA)は全癌ゲノムの代理を表し、ctDNAは、多くの癌患者において、特に疾患の初期において全cfDNAの0.05%以下という低い割合を示す。これらの特性は、ctDNAの異常なメチル化を有望な癌バイオマーカーにし、最近の高スループット調査により、対にした腫瘍組織からのctDNAとDNAとの間のメチル化プロファイルにおける変化の対応が実証されている。肺癌の診断学および予後診断のためのメチル化マーカーのリストを以下に示す。
【0398】
【表2】
【0399】
TERTおよびMGMTプロモーターのメチル化と脳癌に対する影響
-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子は、DNA修復に関与する、進化的に保存されており、遍在的に発現されるメチルトランスフェラーゼをコードしている。MGMTは、グアニンのO6位置からアルキル付加物を除去して、DNA損傷を防止し、正常細胞に対して保護効果を与える。しかし、MGMTの内在性機能はまた、テモゾマイド(TMZ)などのアルキル化剤を用いた化学療法の、そうしなければ致死的である効果から、腫瘍細胞を保護する。その対応する遺伝子プロモーターのメチル化を通じたMGMTのサイレンシングまたは発現の低下が、グレードIV神経膠腫の50%において観察されており、DNA修復を損なわせ、その結果、TMZなどの薬剤に対する化学感受性が増加する。したがって、MGMTプロモーターのメチル化状態は、アルキル化化学療法に対する感度のバイオマーカーとしての潜在性を有し、最終的に臨床診療に影響を与える。予測的および予後的なバイオマーカーのどちらとしてのその能力も大規模に研究されているが、現在では、MGMT遺伝子プロモーターのメチル化の評価の最適方法に関するコンセンサスは存在しない。
【0400】
テロメア維持は染色体末端の完全性を保護し、ヒト癌の顕著な特徴である複製による不死化を可能にする。テロメア逆転写酵素(TERT)癌遺伝子は、テロメア維持を司っており、通常は幹細胞の部分組中でのみ発現される、テロメラーゼホロ酵素の律速触媒サブユニットをコードしている。TERT遺伝子は癌細胞のおよそ90%で再活性化され、これらの細胞種の無限の増殖および不死化が可能となる。TERT調節不全の根底にある様々な遺伝的および後成的機構が同定されており、TERTプロモーター領域の過剰メチル化が癌細胞のユニークな特徴を表す。興味深いことに、TERT遺伝子の転写開始部位の上流(UTSS)において、突然変異ではなくメチル化が、小児脳腫瘍におけるTERT発現の増加および予後不良に強く関連していることが見出された。多種多様な癌細胞種におけるTERTプロモーターの過剰メチル化の普及を考えると、この後成的修飾が有用な予後的バイオマーカーを表す。
遺伝子がメチル化されている/されていない、前立腺癌遺伝子などのメチル化
前立腺癌は、最も頻繁に診断される非皮膚悪性腫瘍であり、西洋の工業先進国における男性の癌関連の死の主な原因である。良性と癌性の前立腺組織の間に多数のDNAメチル化の変化が観察され、変化はしばしば初期および反復性であり、これは潜在的な機能的役割を示唆している。複数の全ゲノム研究によって、いくつかの遺伝子および遺伝子ファミリーが前立腺癌において反復的に過剰メチル化されていることが報告されている。この遺伝子および遺伝子ファミリーとしては、それだけには限定されないが、GSTP1、MGMT、AR、ER、VHL、RB1、APC、DAPK、CD44、AOX1、APC、CDKN2A、HOXD3、PTGS2、RARB、WT1、ZNF154、C20orf103、EFS、HOXC11、LHX9、RUNX3、TBX15、BARHL2、BDNF、CCDC8、CYP27A1、DLX1、EN2、ESR1、FBLN1、FOXE3、GP5、FRSP、HHEX、HOXA3、HOXD4、HOXD8。IRX1、KIT、LBX1、LHX2、NKX2-1、NKX2-2、NKX2-5、PHOXRA、POU3F3、RHCG、SIX6、TBX3、TMEM106、VAX1、およびWNT2が挙げられる。
膵癌マーカーのメチル化
膵管腺癌(PDAC)は、最も致命的な癌種のうちの1つである。この形態の癌は、現在利用可能な初期診断試験がないため診断するのが困難であり、これは、診断が、疾患が既に進行した状態で起こることを意味する(診断された事例の75%を超える例がステージIII/IVの疾患である)。これは、高い死亡率の記録をもたらしている。PDACの初期の発生および/または進行を捕らえることができる信頼性のあるバイオマーカーの欠如が原因で、初期診断は困難と証明されている。現在、PDACを有する患者の予後的監視のための、唯一のFDA認可されたバイオマーカーは、炭水化物抗原19-9(CA19-9またはシアリル化ルイス抗原)である。この抗原は、疾患の検出について低い感度および特異性を示す。したがって、その使用は、他の循環バイオマーカー組み合わせて使用しない限りは、診断目的には勧められない。
【0401】
最近の研究により、無細胞DNA(cfDNA)のメチル化分析が、診断的潜在性を有するバイオマーカーを発見するための有望な非浸潤性手法を表すことが示されている。cfDNAメチル化を、新生物発生前の病変または慢性膵炎(CP)における疾患特異的シグネチャの同定に利用することが可能であり得る。CPはしばしばPDACに先行するため、所定遺伝子組の動的DNAメチル化パターンが疾患の進行の根底にあり得る。導管細胞マーカーであるCUX2は、PDACにおけるシグナルの増加を示しており、導管およびエイシング(acing)細胞マーカーであるREG1Aは、慢性膵炎における漸増するシグナルを示している。バイオマーカーADAMTS1およびBNC1は、原発性PDACおよび新生物発生前の膵臓上皮内新形成(PIN)において高いメチル化頻度を有することが見られている(ADAMTS1およびBNC1についてそれぞれ25%および70%)。ADAMTS1およびBNC1の合わせたcfDNAメチル化を、膵癌の初期診断(すなわちステージIおよびII)に利用し得る。潜在的なバイオマーカーのリストを以下に示す。
【0402】
【表3】
【0403】
KRAS検出
KRAS遺伝子は細胞増殖を制御し、これが突然変異した場合、この負のシグナル伝達が破壊され、細胞は連続的に増殖することができ、しばしば癌へと発達する。単一のアミノ酸の置換、特に単一のヌクレオチドの置換が、様々な癌、すなわち、肺腺癌、粘液性腺腫、膵臓腺管癌、および結腸直腸癌に関連づけられる活性化突然変異の原因である。KRAS突然変異は、たとえば肺癌において予後的バイオマーカーとして使用されている。
【0404】
KRAS中のドライバー突然変異は、20%までのヒト癌と関連づけられており、標的化治療がこの突然変異およびその関連する疾患に対して開発中であり、そのような治療の一部の非限定的なリストは、以下の表中に見ることができる。
【0405】
【表4】
【0406】
KRAS突然変異の存在は、EGFR阻害剤パニツムマブ(Vectibix)およびセツキシマブ(Erbitux)に対して非常に乏しい応答を反映することが見出されている。KRASをコードしている遺伝子中の活性化突然変異は結腸直腸癌の30%~50%で起こり、研究により、その腫瘍がKRAS遺伝子のこの突然変異したバージョンを発現する患者は、パニツムマブおよびセツキシマブに応答しないことが示されている。野生型KRAS遺伝子の存在は、患者がこれらの薬物に応答することの保証ではないが、研究により、セツキシマブが、野生型KRAS腫瘍を有する転移性結腸直腸癌患者において有意な有効性を有することが示されている。EGFR拮抗剤エルロチニブまたはゲフィチニブについて、KRAS突然変異を保有しない患者における60%の応答率と比較して、KRAS突然変異(野生型EGFR)について陽性である肺癌患者は5%以下と推定される応答率を有する。
【0407】
結腸直腸癌におけるセツキシマブ治療(抗EGFR治療)に対する獲得耐性の頻繁な駆動因子である、KRAS突然変異(活性化または過剰発現)の出現の早期検出は、遅延または逆方向耐性に対する処置の改変(たとえば、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ[MEK]阻害剤の早期開始)を可能にし、したがって、本発明の方法が患者のKRAS状態の素早く安価な検出を可能にすることは、有利である。
【0408】
突然変異の非限定的なリストは、G12D、G12A、G12C、G13D、G12V、G12S、G12R、A59T/E/G、Q61H、Q61K、Q61R/L、K117N、およびA146P/T/Vである。
【0409】
突然変異のさらなる非限定的なリストを以下の表に示す。
【0410】
【表5】
【0411】
BRAF検出
BRAFは、細胞成長の指示に関与しているシグナルを細胞内に送ることに関与している、B-Rafと呼ばれるタンパク質をコードしているヒト遺伝子である。これは、一部のヒト癌において突然変異していることが示されている。B-Rafは、成長シグナル伝達プロテインキナーゼのRafキナーゼファミリーのメンバーであり、数ある中でとりわけ細胞分裂に影響を与える、MAPキナーゼ/ERKシグナル伝達経路の制御において役割を果たす。
【0412】
特定の他の遺伝性のBRAF突然変異が先天性欠損症を引き起こす。
ヒト癌に関連づけられている、30個を超えるBRAF遺伝子の突然変異が同定されている。90%の事例では、ヌクレオチド1799でチミンがアデニンで置換されている。これは、ヒト癌において見出される活性化セグメント中のコドン600でバリン(V)がグルタミン酸(E)によって置換されることをもたらす(ここではV600Eと呼ぶ)。この突然変異は、
- 結腸直腸癌
- 黒色腫
- 乳頭甲状腺癌
- 非小細胞肺癌
- エナメル上皮腫
において広く観察されている。
【0413】
見出された他の突然変異の非限定的なリストは、R461I、I462S、G463E、G463V、G465A、G465E、G465V、G468A、G468E、N580S、E585K、D593V、F594L、G595R、L596V、T598I、V599D、V599E、V599K、V599R、V600K、およびA727Vである。
【0414】
BRAF突然変異によって駆動される癌を処置する薬物が開発されている。ベムラフェニブおよびダブラフェニブは、後期黒色腫の処置のためにFDAによって認可されている。以前の最良の化学療法剤ダカルバジンの7~12%と比較して、ベムラフェニブ(vumerafenib)を用いた処置に対する応答率は転移性黒色腫について53%であった。
ERBB2/HER2検出
ヒト表皮成長因子受容体2(HER2)は、CD340(表面抗原分類340)、原癌遺伝子Neu、Erbb2(げっ歯動物)、またはERBB2(ヒト)としても知られ、ERBB2遺伝子によってコードされているタンパク質である。この癌遺伝子の増幅または過剰発現は、侵襲性の乳癌の進行において重要な役割を果たす。ERBB2遺伝子の過剰発現はまた、卵巣、胃、肺腺癌、および侵襲性形態の子宮癌、ならびに30%の唾液腺管癌において起こることも知られている。過剰発現の非存在において受容体のリガンド非依存的発射を引き起こす構造的変更も同定されている。
【0415】
数々の標的化治療がこの突然変異およびその関連する疾患に対して認可され、開発中であり、そのような治療の一部の非限定的なリストは、以下の表中に見ることができる。
【0416】
【表6】
【0417】
HER2試験は、予後診断を評価し、処置に対する応答をモニタリングし、標的化治療(トラスツズマブなど)の適合性を決定するために、乳癌患者においてルーチン的に行う。トラスツズマブは高価であり、重篤な副作用(心毒性)に関連づけられているため、HER2+患者のみがそれを受けるように選択することが重要であり、したがって、本発明の方法が患者のHER2状態の素早く安価な検出を可能にすることは、有利である。
【0418】
一実施形態では、本発明の方法を使用してERBB2エクソン20挿入突然変異の存在または非存在を検出する。
ERBB2突然変異のさらなる非限定的なリストを以下の表に示す。
【0419】
【表7】
【0420】
EML4-ALK検出
EML4-ALKは、棘皮動物微小管関連タンパク質様4(EML4)遺伝子と未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子との異常な遺伝子融合である。この遺伝子融合はタンパク質EML4-ALKの生成をもたらし、これは癌細胞の悪性挙動を促進および維持すると考えられている。EML4-ALK陽性肺癌は、その細胞がこの突然変異を含有する原発性悪性肺腫瘍である。
【0421】
数々の標的化治療がこの突然変異およびその関連する疾患に対して認可され、開発中であり、そのような治療の一部の非限定的なリストは、以下の表中に見ることができる。
【0422】
【表8】
【0423】
EML4-ALK遺伝子融合は、非小細胞肺癌(NSCLC)のおよそ5%の原因であり、毎年米国で約9,000件および世界中で約45,000件の新規事例が存在する。
EML4-ALKの数々の変異体が存在し、すべての変異体が、形質転換活性に必要なEML4 N末端部分中およびALKエクソン20のキナーゼドメイン中に、必須のコイルドコイルドメインを有する。EML4のエクソン13とALKのエクソン20との融合(変異体1:V1)、EML4のエクソン20とALKのエクソン20との融合(V2)、およびEML4のエクソン6とALKのエクソン20との融合(V3)が、より一般的な変異体の一部である。これらの様々な変異体の臨床的意義は、最近になってやっと明らかになっている。
【0424】
V3は、化学療法および放射線療法などの非チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)処置の後に、より短い無進行生存(PFS)を有する可能性が高い患者の選択に適切なマーカーとして出現した。EML4-ALKのV1およびV2と比較して、V3が第一および第二世代処置ラインを受ける患者のより短いPFSおよびより悪い全生存(OS)に関連しているというさらなる証拠が存在する。
【0425】
また、V3陽性患者が、耐性突然変異の発生を通じて発生し、野生型V3のより高いIC50が原因の不完全な腫瘍細胞抑制によって促進される可能性が高い、第1および第2の処置ラインに対する耐性を発生することも見出された。不都合のV3の検出を使用して、より侵襲性の監視および処置戦略を要する患者を選択することができる。V3を有する患者に第三世代ロルラチニブを投与することは、V1を有するものを超える、より長いPFSを与える場合があり、したがって、本発明の方法が患者が有し得る変異体の素早く安価な検出を可能にすることは、有利であると考えられる。
【0426】
本発明の方法はさらに、それだけには限定されないが、G1202R、G1269A、E1210K、D1203、S1206C、L1196M、F1174C、I1171T、I1171N/S、V1180L、T1151K、およびC1156Yなどの耐性突然変異の検出を可能にする。
【0427】
たとえば、G1202Rは、薬物結合との干渉を引き起こし、第一および第二世代のALK阻害剤に対する高レベルの耐性を与える、溶媒先端突然変異である。したがって、本発明の方法が、この突然変異を保有し得る患者の同定を可能にし、第一または第二ではなく第三世代処置での処置開始から恩恵を受けることが有利である。
【0428】
EML4-ALK突然変異のさらなる非限定的なリストを以下の表に示す。
【0429】
【表9】
【0430】
EGFR検出
癌遺伝子としての表皮成長因子受容体(EGFR)の同定は、肺癌のためのゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ブリガチニブ、およびイコチニブ、ならびに結腸癌のためのセツキシマブなどの標的化治療の開発をもたらした。しかし、多くの人がこれらの治療に対して耐性を生じる。2つの主な耐性源は、T790M突然変異およびMET癌遺伝子である。
【0431】
EGFR突然変異はEGFRエクソン18~21中に起こり、エクソン18、19、および21中の突然変異は、EGFR-TKI(チロシンキナーゼ阻害剤)を用いた処置の適合性を示す。エクソン20中の突然変異(いくつかの突然変異を例外とする)は、腫瘍がEGFR-TKI耐性であり、EGFR-TKIを用いた処置に適切でないことを示す。
【0432】
2つの最も一般的なEGFR突然変異は、エクソン19の短いインフレーム欠失およびエクソン21中のヌクレオチド2573での点突然変異(CTGからCGG)であり、コドン858でのロイシンのアルギニンによる置換(L858R)をもたらす。これら2つの突然変異は一緒になって、非小細胞肺癌(NSCLC)におけるすべてのEGFR突然変異の約90%を占める。NSCLCを有する患者におけるこれらの突然変異のスクリーニングを使用して、どの患者がTKIに応答するかを予測することができる。
【0433】
したがって、本発明の方法が、これらの突然変異を保有し、TKIでの処置開始から恩恵を受け得る患者の同定を可能にすることが、有利である。当業者には、本発明の方法がEGFR突然変異の範囲の同定を可能にすることが理解されよう。そのような突然変異の網羅的でないリストは、G719X、Ex19Del、S768I、Ex20Ins、およびL861Qである。
【0434】
突然変異のさらなる非限定的なリストを以下の表に示す。
【0435】
【表10-1】
【0436】
【表10-2】
【0437】
ROS1
ROS1は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)タンパク質と構造的類似性を有する受容体チロシンキナーゼ(遺伝子ROS1によってコードされている)であり、c-ros癌遺伝子によってコードされている。
【0438】
ROS1突然変異の非限定的なリストを以下の表に示す。
【0439】
【表11】
【0440】
RET原癌遺伝子
RET原癌遺伝子は、細胞外シグナル伝達分子のグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーのメンバーのための受容体チロシンキナーゼをコードしている。
【0441】
RET突然変異の非限定的なリストを以下の表に示す。
【0442】
【表12】
【0443】
METエクソン14
METエクソン14スキッピングはNSCLCにおいておよそ5%の頻度で起こり、扁平および腺癌の組織学のどちらにおいても見られる。
【0444】
MET突然変異の非限定的なリストを以下の表に示す。
【0445】
【表13】
【0446】
NTRK原癌遺伝子
NTRK遺伝子融合はTRK融合タンパク質と呼ばれる異常タンパク質をもたらし、これは癌細胞が成長することを引き起こし得る。NTRK遺伝子融合は、脳、頭頸部、甲状腺、軟組織、肺、および結腸の癌を含めた一部の種類の癌において見つけ得る。神経栄養性チロシン受容体キナーゼ遺伝子融合とも呼ばれる。
【0447】
NTRK突然変異の非限定的なリストを以下の表に示す。
【0448】
【表14】
【0449】
パネル
本発明の一実施形態では、それぞれのAが標的突然変異と相補的である、複数のプローブ分子(A)を含むパネルが提供される。突然変異は、以前に記載したもしくは続いて記載する、または知られている任意の突然変異から選択され得る。したがって、当業者には、本発明の範囲内には、以前に記載したもしくは続いて記載する、または知られている原癌遺伝子または癌遺伝子のうちの任意のものに対する1つまたは複数の突然変異の検出に有用であり得るパネルが含まれることが理解されよう。
【0450】
一実施形態では、パネルは、それぞれが特異的標的突然変異と相補的な、5~500個の個々のプローブ分子を含む。一実施形態では、パネルは、それぞれが特異的標的突然変異と相補的な、5~400個の個々のプローブ分子を含む。一実施形態では、パネルは、それぞれが特異的標的突然変異と相補的な、5~300個の個々のプローブ分子を含む。一実施形態では、パネルは、それぞれが特異的標的突然変異と相補的な、5~200個の個々のプローブ分子を含む。一実施形態では、パネルは、それぞれが特異的標的突然変異と相補的な、5~100個の個々のプローブ分子を含む。一実施形態では、パネルは、それぞれが特異的標的突然変異と相補的な、5~50個の個々のプローブ分子を含む。
【0451】
一実施形態では、同じ突然変異に特異的な複数のプローブ分子が存在し得る。一実施形態では、パネルのそれぞれの突然変異に対して特異的な1つのみのプローブ分子が存在し得る。
【0452】
一実施形態では、複数のプローブ分子を含み、1つまたは複数のプローブがEGFR突然変異と相補的である、1つまたは複数のプローブがKRAS突然変異と相補的である、1つまたは複数のプローブがERBB2/HER2突然変異と相補的である、1つまたは複数のプローブがEML4-ALK突然変異と相補的である、1つまたは複数のプローブがROS1突然変異と相補的である、1つまたは複数のプローブがRET突然変異と相補的である、および1つまたは複数のプローブがMET突然変異と相補的である、パネルが提供される。
【0453】
一実施形態では、複数のプローブ分子を含み、1つまたは複数のプローブがEGFR突然変異と相補的であり得る、1つまたは複数のプローブがKRAS突然変異と相補的であり得る、1つまたは複数のプローブがERBB2/HER2突然変異と相補的であり得る、1つまたは複数のプローブがEML4-ALK突然変異と相補的であり得る、1つまたは複数のプローブがROS1突然変異と相補的であり得る、1つまたは複数のプローブがRET突然変異と相補的であり得る、および1つまたは複数のプローブがMET突然変異と相補的であり得る、パネルが提供される。
【0454】
一実施形態では、1つまたは複数のEGFR、KRAS、BRAF、ERBB2/HER2、EML4-ALK、ROS1、RET、MET突然変異に選択的なプローブのパネルが提供される。
【0455】
一実施形態では、EGFR突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
一実施形態では、KRAS突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
一実施形態では、BRAF突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0456】
一実施形態では、ERBB2/HER2突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
一実施形態では、EML4-ALK突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0457】
一実施形態では、ROS1突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
一実施形態では、RET突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
一実施形態では、NTRK突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0458】
一実施形態では、ROS1突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
一実施形態では、METエクソン14突然変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0459】
一実施形態では、1つまたは複数のコード配列(CDS)に選択的な複数のプローブ分子を含むパネルが提供される。
一実施形態では、以前に記載したパネルのうちの1つまたは複数を使用した、1つまたは複数の突然変異を検出する方法が提供される。
【0460】
一実施形態では、以前に記載したパネルのうちの1つまたは複数を使用した、1つもしくは複数の突然変異の存在もしくは非存在を検出する方法が提供される。
一実施形態では、以前にまたは続いて記載したものであり得るパネルを、以前にまたは続いて記載したものであり得る1つまたは複数の試薬と組み合わせて含むキットが提供される。
【0461】
当業者には、Aを開示するキットの実施形態は、その範囲内に、複数のAを含むパネルが存在する実施形態を含むことが理解されよう。
当業者には、本出願の開示が、捕捉オリゴヌクレオチドBを含むパネルの実施形態をさらに包含することが理解されよう。これは、AおよびBが同じオリゴヌクレオチドCの領域である実施形態を含む。
【0462】
一実施形態では、メチル化検出パネルが提供される。
一実施形態では、メチル化検出キットが提供される。
コンパニオン診断
本発明の方法は、適切な治療の選択の指導を助けるために使用し得る試料中の特定の遺伝子マーカーを検出するために、使用することができる。これらのマーカーは、腫瘍特異的な突然変異であってよい、または野生型ゲノム配列であってよく、組織、血液、または任意の他の種類の患者試料を使用して検出し得る。マーカーは後成的マーカーであり得る。
耐性のモニタリング
疾患の処置中における患者試料の繰り返し試験は、治療に対する発生した耐性の早期検出を可能にし得る。この一例として、応用は非小細胞肺癌(NSCLC)においてあり、表皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤(たとえば、ゲフィチニブ、エルロチニブ)をファーストライン処置として一般的に使用する。処置中に、腫瘍はしばしばEGFR遺伝子中に突然変異を発生することができ(たとえば、T790M、C797S)、これが薬物に対する耐性を与える。これらの突然変異の早期検出が、患者を代替治療(たとえばTagrisso)へと移行させることを可能にし得る。患者のDNAへの後成的変化が耐性の発生を示す場合がある。
【0463】
典型的には、耐性の発生についてモニタリングしている患者は、繰り返し組織生検を実施するには病気が重すぎる場合がある。また、繰り返し組織生検は、高価、浸潤性、かつ関連するリスクを抱える場合もある。血液から試験することが好ましいが、妥当な採血試料中に存在する目的の突然変異が非常に低いコピー数である場合がある。したがって、モニタリングは、定期的に行うことができるように方法の実施が単純かつ対費用効果が高い、本発明の方法を使用した血液試料からの高感度の試験を要する。
再発のモニタリング
本応用例では、処置の後に疾患がないと宣言された患者を、疾患の再発を検出するために経時的にモニタリングし得る。これは非浸潤的に行う必要があり、血液試料からの標的配列の高感度の検出を要する。本発明の方法を使用することによって、定期的に行うことができる単純かつ低価格な方法が提供される。標的とする配列は、目的の疾患において共通であることが知られている一般的な突然変異であり得る、または、寛解前の腫瘍組織中における変異体の検出に基づいた、具体的な患者のために設計された標的のカスタムパネルであることができる。
微小残存病変(MRD)のモニタリング
一部の癌では、処置後に患者中に残る残留癌細胞が存在し、これは癌および白血病における再発の主要な原因である。MRDのモニタリングおよび試験はいくつかの重要な役割を有する:処置が癌を根絶させたか、または微量が残っているかを決定すること、様々な処置の有効性を比較すること、患者の寛解状態をモニタリングすることおよび白血病の再発を検出すること、ならびにこれらのニーズを最も満たす処置を選択すること。
スクリーニング
疾患の早期検出のための集団スクリーニングは、特に癌診断学において長年の目標である。課題は二重である:多すぎない偽陰性で疾患の確信的な検出を可能にするマーカーのパネルの同定、ならびに十分な感度および十分に低い価格を有する方法の開発。本発明の方法を使用して、シーケンシングに基づく診断学よりもはるかに単純なワークフローおよび低い価格で、PCRに基づく試験よりも大きな突然変異のパネルに対処することができる。
臓器移植片拒絶
移植した臓器がレシピエントによって拒絶される場合、この臓器からのDNAはレシピエントの血流内に流される。このDNAの早期検出は、拒絶の早期検出を可能にするであろう。これは、ドナーに特異的なマーカーのカスタムパネルを使用して、または、ドナー中に存在し、一部がレシピエント中に存在する、集団中で共通であることが知られている変異体のパネルを使用することによって、達成することができる。臓器レシピエントの経時的なルーチン的モニタリングは、本明細書中に開示した本発明の低価格かつ単純なワークフローによって可能にすることができる。
非浸潤性出生前試験(NIPT)
胎児DNAが母体血中に存在することが長く知られており、NIPT市場は現在、突然変異を同定し、特定の染色体のコピー数を数えて胎児の異常の検出を可能にするためにシーケンシングを使用する企業ですっかり飽和している。本明細書中に開示した本発明の方法は、非常に低い対立遺伝子画分で突然変異を検出し、胎児DNAのより早期の検出を潜在的に可能にする能力を有する。所定の集団における共通の突然変異の同定は、母性もしくは胎児のDNAのどちらか中に存在し得る突然変異を標的とするアッセイを開発すること、または妊娠の初期段階での異常の検出を可能にすることを可能にするであろう。
【0464】
本発明の様々なさらなる態様および実施形態は、本開示に鑑みて当業者に明らかとなるであろう。
本明細書中で使用する場合、「および/または」とは、2つの指定した特長または成分のそれぞれの、他方を伴うまたは伴わない具体的な開示として解釈されるべきである。たとえば、「Aおよび/またはB」は、それぞれが本明細書中に個々に記載されている場合と同程度に、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBのそれぞれの具体的な開示であるとして解釈されるべきである。
【0465】
内容によりそうでないと指示されない限りは、上に記載した特長の説明および定義は、本発明のいかなる特定の態様または実施形態に限定されず、記載されているすべての態様および実施形態に同等に適用される。
【0466】
当業者には、本発明は、いくつかの実施形態を参照して例として記載されているが、本発明は開示した実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲中に定義されている本発明の範囲から逸脱せずに、代替実施形態を構築することができることがさらに理解されよう。
【0467】
当業者には、「部分的に消化された鎖A」への言及は、標的分析物配列とハイブリダイズした場合に、3’-5’方向で、相補性の欠如が原因で鎖が解離するまで、Aの進行的消化によって形成された一本鎖オリゴヌクレオチドをいい得ることが理解されよう。
【0468】
当業者には、「部分的に二本鎖の」核酸への言及は、1つまたは複数の部分が二本鎖であり、1つまたは複数の部分が一本鎖である核酸をいい得ることが理解されよう。
当業者には、「実質的に二本鎖」核酸への言及は、1つまたは複数の部分が二本鎖であり、1つまたは複数のより少ない部分が一本鎖である核酸をいい得ることが理解されよう。
図1
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【配列表】
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【国際調査報告】