(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】細胞外ベシクルを負荷する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/127 20060101AFI20240206BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240206BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240206BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240206BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240206BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/55 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240206BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240206BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240206BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240206BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/70 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20240206BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240206BHJP
C12N 5/00 20060101ALI20240206BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240206BHJP
【FI】
A61K9/127
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/64
A61K47/55
A61K47/54
A61K47/65
A61K47/42
A61P43/00 111
A61K48/00
A61K45/00
A61K38/02
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K31/713
A61K31/70
A61K31/196
C12N15/88 Z
C12N5/00
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549583
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022016825
(87)【国際公開番号】W WO2022178147
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522228126
【氏名又は名称】ロンザ セールス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LONZA SALES AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】エリス, キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】ノイズ, アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ウッド, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BD32
4B065BD50
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4B065CA44
4C076AA19
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4C084AA03
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4C084NA20
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
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4C086MA03
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4C086MA24
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4C086NA20
4C086ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA53
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA44
4C206NA13
4C206NA20
(57)【要約】
本開示は、EVにペイロードを負荷する方法に関する。一部の態様では、ペイロードとEVとは、EVの外側表面に関連するペイロードの量が増加するように、特定の負荷条件(例えば、本開示の塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度)で混合される。細胞外ベシクルを産生するための方法及び疾患又は障害を処置するために細胞外ベシクルを使用するための方法も本明細書において提供される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約200mM、約190mM、約180mM、約170mM、約160mM、約150mM、約140mM、約130mM、約120mM、又は約110mM未満の濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、前記ペイロードを前記細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記塩濃度が、約1mM~約150mMの間、約5mM~約150mMの間、約10mM~約150mMの間、約20mM~約150mMの間、約30mM~約150mMの間、約40mM~約150mMの間、約50mM~約150mMの間、約60mM~約150mMの間、約70mM~約150mMの間、約80mM~約150mMの間、約10mM~約130mMの間、約20mM~約130mMの間、約30mM~約130mMの間、約40mM~約130mMの間、約50mM~約130mMの間、約10mM~約120mMの間、約20mM~約120mMの間、約30mM~約120mMの間、約40mM~約120mMの間、約50mM~約120mMの間、約60mM~約120mMの間、約70mM~約120mMの間、約80mM~約120mMの間、約50mM~約100mMの間、約100mM~約150mMの間、又は約90mM~約110mMの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩濃度が、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170m、約180mM、又は約190mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記塩濃度が、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、又は約150mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約200mM~約450mMの間の濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、前記ペイロードを前記細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法。
【請求項6】
前記塩濃度が、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、又は約450mMである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記塩が、NaCl(塩化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)、PO
4(リン酸塩)、CaCl
2(塩化カルシウム)、MgCl
2(塩化マグネシウム)、Mg
2SO
4(硫酸マグネシウム)、ZnCl
2(塩化亜鉛)、MnCl
2(塩化マンガン)、MnSO
4(硫酸マンガン)、NaSCN(チオシアン酸ナトリウム)、KSCN(チオシアン酸カリウム)、LiCl(塩化リチウム)、K
2HPO
4(リン酸二カリウム)、Na
2SO
4(硫酸ナトリウム)、NaPO
4(リン酸ナトリウム)、K
2SO
4(リン酸カリウム)、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ヨウ化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、三塩化クロム、硫酸クロム、クエン酸ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化イットリウム(III)、硫酸カリウム、塩化第一鉄、クエン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化第二鉄、アルギニン-HCl、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記塩を含む前記負荷緩衝剤が、前記塩を含まないか又は前記塩の濃度がより低い対応する負荷緩衝剤と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、前記EVに対する前記ペイロードの前記負荷を増加させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、4℃より高い負荷温度で、前記ペイロードを前記細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法。
【請求項10】
前記負荷温度が、約5℃~約40℃の間、約10℃~約40℃の間、約15℃~約40℃の間、約20℃~約40℃の間、約25℃~約40℃の間、約30℃~約40℃の間、約35℃~約40℃の間、約5℃~約38℃の間、約10℃~約38℃の間、約15℃~約38℃の間、約20℃~約38℃の間、約25℃~約38℃の間、約30℃~約38℃の間、約35℃~約38℃の間、約5℃~約37℃の間、約10℃~約37℃の間、約15℃~約37℃の間、約20℃~約37℃の間、約25℃~約37℃の間、約30℃~約37℃℃の間、又は約35℃~約37℃の間である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記負荷温度が、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記負荷温度が、前記負荷温度よりも低い参照温度での負荷と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、前記EVに対する前記ペイロードの前記負荷を増加させる、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約1時間より長い負荷期間、前記ペイロードを前記細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法。
【請求項14】
前記負荷期間が、約1時間~約48時間の間、約1時間~約42時間の間、約1時間~約36時間の間、約1時間~約30時間の間、約1時間~約24時間の間、約6時間~約48時間の間、約6時間~約42時間の間、約6時間~約36時間の間、約6時間~約30時間の間、約6時間~約24時間の間、約12時間~約48時間の間、約12時間~約42時間の間、約12時間~約36時間の間、約12時間~約30時間の間、又は約12時間~約24時間の間である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記負荷期間が、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、約48時間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、又は約7日間である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記負荷期間が、前記負荷期間よりも短い参照期間での負荷と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、前記EVに対する前記ペイロードの前記負荷を増加させる、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、200mM未満の濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、約5℃~約50℃の間の負荷温度で、1時間~約48時間の間の負荷期間、前記ペイロードを前記細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法。
【請求項18】
前記塩濃度が、約1mM~約150mMの間、約5mM~約150mMの間、約10mM~約150mMの間、約20mM~約150mMの間、約30mM~約150mMの間、約40mM~約150mMの間、約50mM~約150mMの間、約60mM~約150mMの間、約70mM~約150mMの間、約80mM~約150mMの間、約10mM~約130mMの間、約20mM~約130mMの間、約30mM~約130mMの間、約40mM~約130mMの間、約50mM~約130mMの間、約10mM~約120mMの間、約20mM~約120mMの間、約30mM~約120mMの間、約40mM~約120mMの間、約50mM~約120mMの間、約60mM~約120mMの間、約70mM~約120mMの間、約80mM~約120mMの間、約50mM~約100mMの間、約100mM~約150mM、又は約90mM~約110mMの間である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記塩濃度が、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170m、約180mM、又は約190mMである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記塩濃度が、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、又は約150mMである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記塩が、NaCl(塩化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)、PO
4(リン酸塩)、CaCl
2(塩化カルシウム)、MgCl
2(塩化マグネシウム)、Mg
2SO
4(硫酸マグネシウム)、ZnCl
2(塩化亜鉛)、MnCl
2(塩化マンガン)、MnSO
4(硫酸マンガン)、NaSCN(チオシアン酸ナトリウム)、KSCN(チオシアン酸カリウム)、LiCl(塩化リチウム)、K
2HPO
4(リン酸二カリウム)、Na
2SO
4(硫酸ナトリウム)、NaPO
4(リン酸ナトリウム)、K
2SO
4(リン酸カリウム)、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ヨウ化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、三塩化クロム、硫酸クロム、クエン酸ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化イットリウム(III)、硫酸カリウム、塩化第一鉄、クエン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化第二鉄、アルギニン-HCl、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記負荷温度が、約5℃~約40℃の間、約10℃~約40℃の間、約15℃~約40℃の間、約20℃~約40℃の間、約25℃~約40℃の間、約30℃~約40℃の間、約35℃~約40℃の間、約5℃~約38℃の間、約10℃~約38℃の間、約15℃~約38℃の間、約20℃~約38℃の間、約25℃~約38℃の間、約30℃~約38℃の間、約35℃~約38℃の間、約5℃~約37℃の間、約10℃~約37℃の間、約15℃~約37℃の間、約20℃~約37℃の間、約25℃~約37℃の間、約30℃~約37℃の間、又は約35℃~約37℃の間である、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記負荷温度が、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、又は約50℃である、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記負荷期間が、約1時間~約48時間の間、約1時間~約42時間の間、約1時間~約36時間の間、約1時間~約30時間の間、約1時間~約24時間の間、約6時間~約48時間の間、約6時間~約42時間の間、約6時間~約36時間の間、約6時間~約30時間の間、約6時間~約24時間の間、約12時間~約48時間の間、約12時間~約42時間の間、約12時間~約36時間の間、約12時間~約30時間の間、又は約12時間~約24時間の間である、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記負荷期間が、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、又は約48時間である、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記塩濃度が、約50mM~約150mMの間であり、前記負荷温度が、約30℃~約40℃の間であり、前記負荷期間が、約20時間~約30時間の間である、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記塩濃度が、約50mM~約150mMの間であり、前記負荷温度が、約30℃~約40℃の間であり、前記負荷期間が、約12時間~約30時間の間である、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約100mMの濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、約37℃の負荷温度で、約24時間の間の負荷期間、前記ペイロードを前記細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法。
【請求項29】
ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約150mM~約450mMの間の濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、約37℃~約70℃の間の負荷温度で、約24時間~約7日間の間の負荷期間、前記ペイロードを前記細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法。
【請求項30】
前記塩濃度が、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、又は約450mMである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記塩が、NaCl(塩化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)、PO
4(リン酸塩)、CaCl
2(塩化カルシウム)、MgCl
2(塩化マグネシウム)、Mg
2SO
4(硫酸マグネシウム)、ZnCl
2(塩化亜鉛)、MnCl
2(塩化マンガン)、MnSO
4(硫酸マンガン)、NaSCN(チオシアン酸ナトリウム)、KSCN(チオシアン酸カリウム)、LiCl(塩化リチウム)、K
2HPO
4(リン酸二カリウム)、Na
2SO
4(硫酸ナトリウム)、NaPO
4(リン酸ナトリウム)、K
2SO
4(リン酸カリウム)、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ヨウ化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、三塩化クロム、硫酸クロム、クエン酸ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化イットリウム(III)、硫酸カリウム、塩化第一鉄、クエン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化第二鉄、アルギニン-HCl、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記負荷温度が、約37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃である、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記負荷期間が、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、又は約7日間である、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記塩濃度での前記負荷温度における前記負荷期間での前記負荷が、前記塩を含まない、4℃の温度の、及び/又は1時間の期間の負荷と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、前記細胞外ベシクルに対する前記ペイロードの負荷を増加させる、請求項17~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記混合するステップの後に、前記EVに負荷されたペイロードの量を測定するステップと、前記EVの負荷密度を決定するステップとをさらに含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
1つ又は複数の負荷パラメーターが、前記EVの前記負荷密度をさらに増加させるために調整され、前記1つ又は複数の負荷パラメーターが、前記負荷緩衝剤の塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、EV供給濃度、又はこれらの組合せから選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記EVに負荷されたペイロードの前記量が、粒子カウンター、NTA、紫外線吸収、可視吸収、蛍光、近赤外、赤外、静的光散乱、動的光散乱、オブスキュレーション、ラマン分光法、濁度、又はこれらの組合せを使用して測定される、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記混合するステップが、バッチモード、セミバッチモード、半連続モード、又は連続モードで起こる、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
細胞外ベシクル(EV)への負荷後に、EVからのペイロードの解離を減少させる方法であって、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法に従って、前記ペイロードを前記EVに負荷するステップを含む、方法。
【請求項40】
前記EVからの前記ペイロードの前記解離が、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法に従わずに、前記ペイロードが前記EVに負荷された場合に観察される対応する解離と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約100%低減される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ペイロードが負荷された細胞外ベシクル(EV)の安定性を増加させる方法であって、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法に従って、前記ペイロードを前記EVに負荷するステップを含む、方法。
【請求項42】
前記ペイロードが負荷された前記EVの前記安定性が、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法に従わずに、前記ペイロードが前記EVに負荷された場合に観察される対応する安定性と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ペイロードが負荷された後に、細胞外ベシクルの1つ又は複数の特性を改善する方法であって、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法に従って、前記ペイロードを前記EVに負荷するステップを含む、方法。
【請求項44】
前記1つ又は複数の特性が、粒子間相互作用、粒子剛性、粒子サイズ、又はこれらの組合せを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記1つ又は複数の特性の前記改善が、前記EVの濾過性の増加を可能にする、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記負荷緩衝剤が、1つ又は複数の構成成分をさらに含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記1つ又は複数の構成成分が、トリス、スクロース、グルコース、トレハロース、マンノース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ヒスチジン、アルギニン、メチオニン、トリプトファン、チロシン、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ポリマー、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80及び20)、キレート剤(例えば、EDTA、クエン酸塩)、無機酸、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記1つ又は複数の構成成分が、スクロースである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記スクロースが、約10%w/v未満、約9%w/v未満、約8%w/v未満、約7%w/v未満、約6%w/v未満、約5%w/v未満、約4%w/v未満、約3%w/v未満、又は約2.5%w/v未満の濃度である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記スクロースが、約1%w/v~約10%w/vの間、約2%w/v~約10%w/vの間、約3%w/v~約10%w/vの間、約4%w/v~約10%w/vの間、約5%w/v~約10%w/vの間、約1%w/v~約8%w/vの間、約2%w/v~約8%w/vの間、約3%w/v~約8%w/vの間、約4%w/v~約8%w/vの間、約5%w/v~約8%w/vの間、約1%w/v~約5%w/vの間、約2%w/v~約5%w/vの間、約3%w/v~約5%w/vの間、約4%w/v~約5%w/vの間、又は約5%w/v~約6%w/vの間の濃度である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記負荷緩衝剤が、約100~約600mOsm/kgの間のモル浸透圧濃度である、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記負荷緩衝剤が、約275~約450の間、約280~約450の間、約300~約450の間、約275~約400の間、約280~約400の間、約300~約400の間、約275~約380の間、約280~約380の間、約300~約380の間、約275~約350の間、約280~約350の間、約300~約350の間、約275~約310の間、約280~約310の間、又は約300~約310mOsm/kgの間のモル浸透圧濃度である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記負荷緩衝剤が、約360、約370、約380、約390、約395、又は約400mOsm/kgのモル浸透圧濃度である、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
前記負荷緩衝剤が、約6~約8の間のpHである、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記pHが、約6~約7の間又は約7~約8の間である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記pHが、約6、約7、又は約8である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記負荷緩衝剤が、約9のpHである、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記ペイロードが、ペプチド、小分子、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、PMO、mRNA、miRNA、lcRNA、アンタゴミル、tRNA、siRNA、ペプチド核酸、細胞透過性ペプチド、アジュバント、タンパク質、炭水化物、糖、アミノ酸、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記ペイロードが、核酸を含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記核酸が、約40未満、約35未満、約30未満、約25未満、約20未満、約19未満、約18未満、約17未満、約16未満、又は約15未満のヌクレオチドの長さの連続配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記核酸が、約10~約30の間、約14~約30の間、約15~約30の間、約16~約30の間、約17~約30の間、約18~約30の間、約19~約30の間、約20~約30の間、約10~約25の間、約14~約25の間、約15~約25の間、約16~約25の間、約17~約25の間、約18~約25の間、約19~約25の間、約20~約25の間、約10~約22の間、約14~約22の間、約15~約22の間、約16~約22の間、約17~約22の間、約18~約22の間、約19~約22の間、又は約20~約22の間の長さの連続配列を含む、請求項59又は60に記載の方法。
【請求項62】
前記核酸が、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つ又は複数の遺伝子に特異的に結合し、前記1つ又は複数の遺伝子にコードされるタンパク質の発現を低下させる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記1つ又は複数の遺伝子が、STAT6、Kras、Nras、PMP22、C/EBPβ、STAT3、NLRP3、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記負荷緩衝剤中の前記ペイロードが、約100~約1000μMの間の濃度である、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記負荷緩衝剤中の前記ペイロードが、約100μM~約200μMの間、約200μM~約300μMの間、約300μM~約400μMの間、約400μM~約500μMの間、約500μM~約600μMの間、約600μM~約700μMの間、約700μM~約800μMの間、約800μM~約900μMの間、又は約900μM~約1000μMの間の濃度である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記負荷緩衝剤中の前記ペイロードが、約100μM、約200μM、約300μM、約400μM、約500μM、約600μM、約700μM、約800μM、約900μM、又は約1000μMの濃度である、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記負荷緩衝剤中の前記ペイロードが、約1000μM~約2500μMの間の濃度である、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記ペイロードが、配列番号41~112のいずれか1つに記載されているヌクレオチド配列を含み、前記ペイロードの前記濃度が、約600μMである、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記ペイロードが、アンカー部分にコンジュゲートされている、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記アンカー部分が、ステロール、GM1、脂質、リン脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、又はこれらの組合せを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記アンカー部分が、少なくとも約6個の炭素原子、少なくとも7個の炭素原子、少なくとも8個の炭素原子、少なくとも9個の炭素原子、少なくとも10個の炭素原子、少なくとも11個の炭素原子、少なくとも12個の炭素原子、少なくとも13個の炭素原子、少なくとも14個の炭素原子、少なくとも15個の炭素原子、少なくとも16個の炭素原子、少なくとも17個の炭素原子、少なくとも18個の炭素原子、少なくとも19個の炭素原子、少なくとも20個の炭素原子、少なくとも25個の炭素原子、少なくとも30個の炭素原子、少なくとも35個の炭素原子、少なくとも40個の炭素原子、少なくとも45個の炭素原子、少なくとも50個の炭素原子、少なくとも55個の炭素原子、少なくとも60個の炭素原子、少なくとも65個の炭素原子、少なくとも70個の炭素原子、少なくとも75個の炭素原子、少なくとも80個の炭素原子、少なくとも85個の炭素原子、又は少なくとも90個の炭素原子を含む、請求項70又は71に記載の方法。
【請求項73】
前記アンカー部分が、ステロール、ステロイド、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、セコステロイド、そのアナログ、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項71又は72に記載の方法。
【請求項74】
前記アンカー部分が、エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール、コレステロール、24S-ヒドロキシコレステロール、ラノステロール、シクロアルテノール、フコステロール、サリンゴステロール、カンペステロール、β-シトステロール、シトスタノール、コプロスタノール、アベナステロール、スチグマステロール、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記アンカー部分が、
【化1】
からなる群から選択される構造を有する、コレステロール又は誘導体である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記アンカー部分がステロイドを含み、ステロイドは、ジヒドロテストステロン、ウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン、プロゲステロン、コルチゾール、又はこれらの任意の組合せである、請求項71~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記アンカー部分が、脂質を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
前記アンカー部分が、C
2~C
60鎖を含む、請求項71~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記アンカー部分が、C
4~C
40、C
2~C
38、C
2~C
36、C
2~C
34、C
2~C
32、C
2~C
30、C
4~C
30、C
2~C
28、C
4~C
28、C
2~C
26、C
4~C
26、C
2~C
24、C
4~C
24、C
6~C
24、C
8~C
24、C
10~C
24、C
2~C
22、C
4~C
22、C
6~C
22、C
8~C
22、C
10~C
22、C
2~C
20、C
4~C
20、C
6~C
20、C
8~C
20、C
10~C
20、C
2~C
18、C
4~C
18、C
6~C
18、C
8~C
18、C
10~C
18、C
12~C
18、C
14~C
18、C
16~C
18、C
2~C
16、C
4~C
16、C
6~C
16、C
8~C
16、C
10~C
16、C
12~C
16、C
14~C
16、C
2~C
15、C
4~C
15、C
6~C
15、C
8~C
15、C
9~C
15、C
10~C
15、C
11~C
15、C
12~C
15、C
13~C
15、C
2~C
14、C
4~C
14、C
6~C
14、C
8~C
14、C
9~C
14、C
10~C
14、C
11~C
14、C
12~C
14、C
2~C
13、C
4~C
13、C
6~C
13、C
7~C
13、C
8~C
13、C
9~C
13、C
10~C
13、C
10~C
13、C
11~C
13、C
2~C
12、C
4~C
12、C
6~C
12、C
7~C
12、C
8~C
12、C
9~C
12、C
10~C
12、C
2~C
11、C
4~C
11、C
6~C
11、C
7~C
11、C
8~C
11、C
9~C
11、C
2~C
10、C
4~C
10、C
2~C
9、C
4~C
9、C
2~C
8、C
2~C
7、C
4~C
7、C
2~C
6、又はC
4~C
6鎖を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記アンカー部分が、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、ポリ不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、ポリカルボン酸、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項71~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記アンカー部分が、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸及びn-ドトリアコンタン酸、並びにプロピオン酸、n-吉草酸、エナント酸、ペラルゴン酸、ヘンデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ヘネイコサン酸、トリコサン酸、ペンタコサン酸、ヘプタコサン酸などの奇数の炭素原子を有するもの、又はこれらの任意の組合せである直鎖脂肪酸を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記アンカー部分が、分岐脂肪酸、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソカプリル酸、イソカプリン酸、イソラウリン酸、11-メチルドデカン酸、イソミリスチン酸、13-メチル-テトラデカン酸、イソパルミチン酸、15-メチル-ヘキサデカン酸、イソステアリン酸、17-メチルオクタデカン酸、イソアラキン酸、19-メチルエイコサン酸、α-エチルヘキサン酸、α-ヘキシルデカン酸、α-ヘプチルウンデカン酸、2-デシルテトラデカン酸、2-ウンデシルテトラデカン酸、2-デシルペンタデカン酸、2-ウンデシルペンタデカン酸、Fine oxocol1800酸(日産化学工業株式会社(Nissan Chemical Industries,Ltd.)の製品)、イソブチル基で終結するアンテイソ脂肪酸、6-メチル-オクタン酸、8-メチル-デカン酸、10-メチル-ドデカン酸、12-メチル-テトラデカン酸、14-メチル-ヘキサデカン酸、16-メチルオクタデカン酸、18-メチルエイコサン酸、20-メチルドコサン酸、22-メチルテトラコサン酸、24-メチルヘキサコサン酸、及び26-メチルオクタコサン酸、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項71~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記アンカー部分が、4-デセン酸、カプロレイン酸、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸、ラウロレイン酸、4-テトラデセン酸、5-テトラデセン酸、9-テトラデセン酸、パルミトレイン酸、6-オクタデセン酸、オレイン酸、9-オクタデセン酸、11-オクタデセン酸、9-エイコセン酸、cis-11-エイコセン酸、セトオレイン酸、13-ドコセン酸、15-テトラコセン酸、17-ヘキサコセン酸、6,9,12,15-ヘキサデカテトラエン酸、リノール酸、リノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、パリナリン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、又はこれらの任意の組合せである不飽和脂肪酸を含む、請求項71~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記アンカー部分が、α-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、α-ヒドロキシパルミチン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、ω-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシアラキン酸、9-ヒドロキシ-12-オクタデセン酸、リシノール酸、α-ヒドロキシベヘン酸、9-ヒドロキシ-trans-10,12-オクタデカジエン酸、カモレン酸、イプロール酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、又はこれらの任意の組合せであるヒドロキシ脂肪酸を含む、請求項71~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記アンカー部分が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、D,L-リンゴ酸、又はこれらの任意の組合せであるポリカルボン酸を含む、請求項71~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記アンカー部分が、リン脂質を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項87】
前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、又はこれらの任意の組合せである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記アンカー部分が、ビタミンを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項89】
前記アンカー部分が、ビタミンD、ビタミンK、ナイアシン、ピリドキシン(pyridoxone)、ビタミンE、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記アンカー部分が、前記ペイロードと前記アンカー部分との間にリンカーをさらに含む、請求項70~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記リンカーが、非切断性リンカーを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記非切断性リンカーが、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセロール、アルキル、ホスホロチオエート、スクシンイミド、マレイミド、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記非切断性リンカーが、式R3-(O-CH
2-CH
2)
n-又はR3-(0-CH
2-CH
2)
n-O-(式中、R3は、水素、メチル又はエチルであり、nは、2~200の間の整数である)によって特徴付けられるポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記非切断性リンカーが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール(TEG)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、ペンタエチレングリコール、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記リンカーが、式((R3-O-(CH
2-CHOH-CH
2O)
n-)(式中、R3は、水素、メチル又はエチルであり、nは、3~200の間の整数である)を有するポリグリセロール(PG)を含む、請求項90又は91に記載の方法。
【請求項96】
前記リンカーが、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール(TG)、ペンタグリセロール、ヘキサグリセロール(HG)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項90又は91に記載の方法。
【請求項97】
前記リンカーが、アルキルを含む、請求項90又は91に記載の方法。
【請求項98】
前記リンカーが、切断性リンカーを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項99】
前記切断性リンカーが、酸化還元切断性リンカー、活性酸素種切断性リンカー、pH依存性切断性リンカー、酵素切断性リンカー、プロテアーゼ切断性リンカー、エステラーゼ切断性リンカー、酸化還元酵素切断性リンカー、ホスホリパーゼ切断性リンカー、ホスファターゼ切断性リンカー、光活性化切断性リンカー、自己犠牲リンカー、又はこれらの任意の組合せである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記切断性リンカーが、自己犠牲リンカーである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記切断性リンカーが、シンナミル基、ナフチル基、ビフェニル基、複素環式環、ホモ芳香族基、クマリン、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピロール、ピラゾール、ピリジン、イミダゾン、トリアゾール、又はこれらの任意の組合せである、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記リンカーが、式:
-A
a-Y
y-
(式中、各-A-は、独立的にアミノ酸単位であり、aは、独立的に1~12の整数であり;-Y-は、スペーサー単位であり、yは、0、1、又は2である)を有する、請求項99~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
-A
a-が、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、又はヘキサペプチドである、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
aが2であり、-A
a-が、バリン-アラニン、バリン-シトルリン、グルタミン酸-バリン-シトルリン、フェニルアラニン-リシン、N-メチルバリン-シトルリン、グリシン-ヒスチジン-ロイシン-グリシン、シクロヘキシルアラニン-リシン、及びベータ-アラニン-リシンからなる群から選択される、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
-A
a-が、バリン-アラニン、又はバリン-シトルリン、又はグルタミン酸-バリン-シトルリンである、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
-A
a-が、アルギニン、リシン、又はその両方である、請求項102に記載の方法。
【請求項107】
yが1である、請求項102~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
-Y-が-自己犠牲スペーサーである、請求項102~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
-Y
y-が、式(V):
【化2】
(式中、各R
2は、独立的にC
1~8アルキル、-O-(C
1~8アルキル)、ハロゲン、ニトロ、又はシアノであり;mは、0~4の整数である)を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
mが、0、1、又は2である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
mが、0である、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記切断性リンカーが、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメート又はバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートである、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記アンカー部分が、
【化3】
を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項114】
(i)配列番号41~112のいずれか1つに記載されているヌクレオチド配列を含むペイロード、及び(ii)表1又は表2のリンカーの組合せから選択されるリンカーを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項115】
前記ペイロードが、コレステロールにコンジュゲートされている、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記ペイロードが、5’GbsCbsAbsdAsdGsdAsdTs(5MdC)s(5MdC)s(5MdC)sdGsdGsdAsdTsdTs(5MdC)sdGsGbsTbsCb3’を含み、NbがLNAであり、dNはDNAであり、(5MdC)が5-メチル-dCであり、sはホスホロチオエートであり、TEGはトリエチレングリコールであり、HEGはヘキサエチレングリコールである、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記ペイロードが、TEG-HEGによってコレステロールに連結されている、請求項114又は115に記載の方法。
【請求項118】
前記細胞外ベシクルが、少なくとも約1×10
11、少なくとも約2×10
11、少なくとも約3×10
11、少なくとも約4×10
11、少なくとも約5×10
11、少なくとも約6×10
11、少なくとも約7×10
11、少なくとも約8×10
11、少なくとも約9×10
11、少なくとも約1×10
12、少なくとも約2×10
12、少なくとも約3×10
12、少なくとも約4×10
12、少なくとも約5×10
12、少なくとも約6×10
12、少なくとも約7×10
12、少なくとも約8×10
12、少なくとも約9×10
12、少なくとも約1×10
13、少なくとも約2×10
13、少なくとも約3.0×10
13p/mL、少なくとも約4×10
13p/mL、少なくとも約5×10
13p/mL、少なくとも約6×10
13p/mL、少なくとも約7×10
13p/mL、少なくとも約8×10
13p/mL、少なくとも約9×10
13p/mL、又は少なくとも約1×10
14個の粒子/mLの濃度である、請求項1~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記細胞外ベシクルが、約1×10
12~約5×10
13個の間の粒子/mL、約1×10
12~約4×10
13個の間の粒子/mL、約1×10
12~約3×10
13個の間の粒子/mL、約1×10
12~約2×10
13個の間の粒子/mL、約2×10
12~約5×10
13個の間の粒子/mL、約2×10
12~約4×10
13個の間の粒子/mL、約2×10
12~約3×10
13個の間の粒子/mL、約2×10
12~約2×10
13個の間の粒子/mL、約3×10
12~約5×10
13個の間の粒子/mL、約3×10
12~約4×10
13個の間の粒子/mL、約3×10
12~約3×10
13個の間の粒子/mL、約3×10
12~約2×10
13個の間の粒子/mL、約4×10
12~約5×10
13個の間の粒子/mL、約4×10
12~約4×10
13個の間の粒子/mL、約4×10
12~約3×10
13個の間の粒子/mL、約4×10
12~約2×10
13個の間の粒子/mL、約5×10
12~約5×10
13個の間の粒子/mL、約5×10
12~約4×10
13個の間の粒子/mL、約5×10
12~約3×10
13個の間の粒子/mL、又は約5×10
12~約2×10
13個の間の粒子/mLの濃度である、請求項1~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記細胞外ベシクルが、約5×10
12~約2×10
13個の間の粒子/mLの濃度である、請求項1~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記細胞外ベシクルが、約1×10
13個の粒子/mLの濃度である、請求項1~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記細胞外ベシクルが、前記細胞外ベシクルの膜にタンパク質をさらに含む、請求項1~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記タンパク質が、プロスタグランジンF2受容体陰性調節因子(PTGFRNタンパク質);ベイシジン(BSGタンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(IGSF2タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8タンパク質);インテグリンベータ-1(ITGB1タンパク質);インテグリンアルファ-4(ITGA4タンパク質);4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2タンパク質);ATPトランスポータータンパク質のクラス(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4タンパク質);これらの機能的断片;及びこれらの任意の組合せを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記タンパク質が、PTGFRNタンパク質又はその機能的断片を含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
請求項1~124のいずれか一項に記載の方法によって調製された細胞外ベシクル。
【請求項126】
細胞外ベシクルの外部表面にペイロードを含む細胞外ベシクルであって、前記細胞外ベシクルの前記表面のペイロードの数が、少なくとも約1,000個、少なくとも約2,000個、少なくとも約3,000個、少なくとも約4000個、少なくとも約5000個、少なくとも約6000個、少なくとも約7000個、少なくとも約8000個、少なくとも約9000個、少なくとも約10,000個、少なくとも約11,000個、少なくとも約12000個、少なくとも約13,000個、少なくとも約14,000個、少なくとも約15,000個、少なくとも約16,000個、少なくとも約17,000個、少なくとも約18,000個、少なくとも約20,000個、少なくとも約25,000個、又は少なくとも約30,000個である、細胞外ベシクル。
【請求項127】
前記細胞外ベシクルの前記表面のペイロードの数が、約5,000~約20,000個の間、約6,000~約20,000個の間、約7,000~約20,000個の間、約8,000~約20,000個の間、約9,000~約20,000個の間、約10,000~約20,000個の間、約5,000~約18,000個の間、約6,000~約18,000個の間、約7,000~約18,000個の間、約8,000~約18,000個の間、約9,000~約18,000個の間、約10,000~約18,000個の間、約5,000~約15,000個の間、約6,000~約15,000個の間、約7,000~約15,000個の間、約8,000~約15,000個の間、約9,000~約15,000個の間、又は約10,000~約15,000個の間である、請求項126に記載の細胞外ベシクル。
【請求項128】
前記細胞外ベシクルの前記表面のペイロードの数が、約10,000~約15,000個の間である、請求項126に記載の細胞外ベシクル。
【請求項129】
前記ペイロードが、配列番号41~112のいずれか1つに記載されているヌクレオチド配列を含む、請求項126~128のいずれか一項に記載の細胞外ベシクル。
【請求項130】
前記ペイロードが、ステロール、GM1、脂質、リン脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、又はこれらの組合せにコンジュゲートされている、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記ペイロードが、コレステロールにコンジュゲートされている、請求項130に記載の細胞外ベシクル。
【請求項132】
前記ペイロードが、5’GbsCbsAbsdAsdGsdAsdTs(5MdC)s(5MdC)s(5MdC)sdGsdGsdAsdTsdTs(5MdC)sdGsGbsTbsCb3’(配列番号48)を含み、NbがLNAであり、dNがDNAであり、(5MdC)が5-メチル-dCであり、sがホスホロチオエートである、請求項126~131のいずれか一項に記載の細胞外ベシクル。
【請求項133】
前記ペイロードが、TEG-HEGによってコレステロールに連結されている、請求項132に記載の細胞外ベシクル。
【請求項134】
請求項125~133のいずれか一項に記載の細胞外ベシクルを含む細胞外ベシクルの集団。
【請求項135】
前記細胞外ベシクルの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%が、請求項126~133のいずれか一項に記載の細胞外ベシクルである、請求項134に記載の細胞外ベシクルの集団。
【請求項136】
請求項125~133のいずれか一項に記載の細胞外ベシクル又は請求項134若しくは135のいずれか一項に記載の細胞外ベシクルの集団を含む組成物。
【請求項137】
請求項125~133のいずれか一項に記載の細胞外ベシクル又は請求項134若しくは135に記載の細胞外ベシクルの集団を含む医薬組成物。
【請求項138】
それを必要とする対象における疾患又は状態を処置する方法であって、請求項125~133のいずれか一項に記載の細胞外ベシクル又は請求項134若しくは135に記載の細胞外ベシクルの集団を、それを必要とする前記対象に投与するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本PCT出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年2月17日に出願された米国特許仮出願第63/150,497号の優先権の利益を主張する。
【0002】
[EFS-WEBにより電子的に提出された配列表への言及]
[0002]本出願において提出された電子的に提出された配列表(名称:4000_126PC02_Seqlisting_ST25.txt、サイズ:464,866バイト;及び作成日:2022年2月17日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]本開示は、細胞外ベシクル(EV)にペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を負荷する方法に関する。一部の態様では、方法は、負荷プロセス中に以下のうちの1つ又は複数をモジュレートするステップを含む:塩濃度、温度、負荷時間、及び供給濃度。本開示は、本明細書に記載の方法を使用して負荷されるペイロードを含むEV(例えば、エクソソーム)にも関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]多くの生物活性化合物は、治療を目的とする強力な生物活性を有する。しかし、これらの化合物は、非標的器官において毒性を呈することが多い。非標的組織への曝露を制限するための1つの方法は、小分子を、治療用化合物を特定の細胞型に向けることができる抗体などの親和性に基づく試薬に化学的にコンジュゲートさせることであるが(Dosio,Fら、Toxins(Basel) 3(7):848~883(2011))、このアプローチは、抗体に結合することができる目的の化合物の分子数(典型的には、抗体当たり2~6個の分子)、及び非標的細胞に結合せずに、標的となる関連疾患/エフェクター細胞に特異的に結合する抗体の利用可能性/存在によって制限される。これらの2つの問題は、それぞれ効力の低下及びと全身毒性の増加によって抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の使用を制限する。したがって、特定の組織又は器官を選択的に標的とする一方で、同時に治療用化合物への全身曝露を全体的に制限することができる、ADCよりも高いペイロードを有する送達系が必要とされている。
【0005】
[0005]EVは、細胞内伝達の重要なメディエーターである。薬物送達ビヒクルとして、EVは、多くの治療分野における新しい治療モダリティーとして、従来の薬物送達方法(例えば、ペプチド免疫、DNAワクチン)よりも多くの利点をもたらす。しかしながら、その利点にもかかわらず、多くのEVの臨床的有効性は限られている。例えば、樹状細胞に由来するエクソソーム(DEX)は、手術不能の非小細胞肺がん(NSCLC)を有する患者における第一選択化学療法後の維持免疫療法として、第II相臨床試験で検討された。しかし、主要評価項目(化学療法中止の4か月後に無増悪生存(PFS)を示す患者の少なくとも50%)に達しなかったため、試験は終了した。Besse,B.ら、Oncoimmunology 5(4):e1071008(2015)。
【0006】
[0006]したがって、EVに基づく技術の治療的使用及び他の適用をより良好に可能にするためには、新しい、より効果的な操作されたEV(例えば、より高いペイロード濃度を含む)が必要である。
【発明の概要】
【0007】
[0007]ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約200mM、約190mM、約180mM、約170mM、約160mM、約150mM、約140mM、約130mM、約120mM、又は約110mM未満の濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、ペイロードを細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0008】
[0008]一部の態様では、塩濃度は、約1mM~約150mMの間、約5mM~約150mMの間、約10mM~約150mMの間、約20mM~約150mMの間、約30mM~約150mMの間、約40mM~約150mMの間、約50mM~約150mMの間、約60mM~約150mMの間、約70mM~約150mMの間、約80mM~約150mMの間、約10mM~約130mMの間、約20mM~約130mMの間、約30mM~約130mMの間、約40mM~約130mMの間、約50mM~約130mMの間、約10mM~約120mMの間、約20mM~約120mMの間、約30mM~約120mMの間、約40mM~約120mMの間、約50mM~約120mMの間、約60mM~約120mMの間、約70mM~約120mMの間、約80mM~約120mMの間、約50mM~約100mMの間、約100mM~約150mM、又は約90mM~約110mMの間である。ある特定の態様では、塩濃度は、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170m、約180mM、又は約190mMである。一部の態様では、塩濃度は、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、又は約150mMである。
【0009】
[0009]ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約200mM~約450mMの間の濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、ペイロードを細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法も本明細書において提供される。一部の態様では、塩濃度は、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、又は約450mMである。
【0010】
[0010]上記で提供される方法のいずれかについて、一部の態様では、塩は、NaCl(塩化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)、PO4(リン酸塩)、CaCl2(塩化カルシウム)、MgCl2(塩化マグネシウム)、Mg2SO4(硫酸マグネシウム)、ZnCl2(塩化亜鉛)、MnCl2(塩化マンガン)、MnSO4(硫酸マンガン)、NaSCN(チオシアン酸ナトリウム)、KSCN(チオシアン酸カリウム)、LiCl(塩化リチウム)、K2HPO4(リン酸二カリウム)、Na2SO4(硫酸ナトリウム)、NaPO4(リン酸ナトリウム)、K2SO4(リン酸カリウム)、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ヨウ化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、三塩化クロム、硫酸クロム、クエン酸ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化イットリウム(III)、硫酸カリウム、塩化第一鉄、クエン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化第二鉄、アルギニン-HCl、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、塩を含む緩衝剤は、塩を含まないか又は塩の濃度がより低い対応する負荷緩衝剤と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVに対するペイロードの負荷を増加させる。
【0011】
[0011]ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、4℃より高い負荷温度で、ペイロードを細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0012】
[0012]一部の態様では、負荷温度は、約5℃~約40℃の間、約10℃~約40℃の間、約15℃~約40℃の間、約20℃~約40℃の間、約25℃~約40℃の間、約30℃~約40℃の間、約35℃~約40℃の間、約5℃~約38℃の間、約10℃~約38℃の間、約15℃~約38℃の間、約20℃~約38℃の間、約25℃~約38℃の間、約30℃~約38℃の間、約35℃~約38℃の間、約5℃~約37℃の間、約10℃~約37℃の間、約15℃~約37℃の間、約20℃~約37℃の間、約25℃~約37℃の間、約30℃~約37℃の間、又は約35℃~約37℃の間である。ある特定の態様では、負荷温度は、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃である。
【0013】
[0013]一部の態様では、負荷温度は、負荷温度よりも低い参照温度での負荷と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVに対するペイロードの負荷を増加させる。
【0014】
[0014]ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約1時間より長い負荷期間、ペイロードを細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0015】
[0015]一部の態様では、負荷期間は、約1時間~約48時間の間、約1時間~約42時間の間、約1時間~約36時間の間、約1時間~約30時間の間、約1時間~約24時間の間、約6時間~約48時間の間、約6時間~約42時間の間、約6時間~約36時間の間、約6時間~約30時間の間、約6時間~約24時間の間、約12時間~約48時間の間、約12時間~約42時間の間、約12時間~約36時間の間、約12時間~約30時間の間、又は約12時間~約24時間の間である。ある特定の態様では、負荷期間は、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、約48時間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、又は約7日間である。
【0016】
[0016]一部の態様では、負荷期間は、負荷期間よりも短い参照期間での負荷と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVに対するペイロードの負荷を増加させる。
【0017】
[0017]ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、200mM未満の濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、約5℃~約50℃の間の負荷温度で、1時間~約48時間の間の負荷期間、ペイロードを細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法も本明細書において提供される。
【0018】
[0018]一部の態様では、塩濃度は、約1mM~約150mMの間、約5mM~約150mMの間、約10mM~約150mMの間、約20mM~約150mMの間、約30mM~約150mMの間、約40mM~約150mMの間、約50mM~約150mMの間、約60mM~約150mMの間、約70mM~約150mMの間、約80mM~約150mMの間、約10mM~約130mMの間、約20mM~約130mMの間、約30mM~約130mMの間、約40mM~約130mMの間、約50mM~約130mMの間、約10mM~約120mMの間、約20mM~約120mMの間、約30mM~約120mMの間、約40mM~約120mMの間、約50mM~約120mMの間、約60mM~約120mMの間、約70mM~約120mMの間、約80mM~約120mMの間、約50mM~約100mMの間、約100mM~約150mM、又は約90mM~約110mMの間である。ある特定の態様では、塩濃度は、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170m、約180mM、又は約190mMである。一部の態様では、塩濃度は、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、又は約150mMである。
【0019】
[0019]一部の態様では、塩は、NaCl(塩化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)、PO4(リン酸塩)、CaCl2(塩化カルシウム)、MgCl2(塩化マグネシウム)、Mg2SO4(硫酸マグネシウム)、ZnCl2(塩化亜鉛)、MnCl2(塩化マンガン)、MnSO4(硫酸マンガン)、NaSCN(チオシアン酸ナトリウム)、KSCN(チオシアン酸カリウム)、LiCl(塩化リチウム)、K2HPO4(リン酸二カリウム)、Na2SO4(硫酸ナトリウム)、NaPO4(リン酸ナトリウム)、K2SO4(リン酸カリウム)、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ヨウ化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、三塩化クロム、硫酸クロム、クエン酸ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化イットリウム(III)、硫酸カリウム、塩化第一鉄、クエン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化第二鉄、アルギニン-HCl、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0020】
[0020]一部の態様では、負荷温度は、約5℃~約40℃の間、約10℃~約40℃の間、約15℃~約40℃の間、約20℃~約40℃の間、約25℃~約40℃の間、約30℃~約40℃の間、約35℃~約40℃の間、約5℃~約38℃の間、約10℃~約38℃の間、約15℃~約38℃の間、約20℃~約38℃の間、約25℃~約38℃の間、約30℃~約38℃の間、約35℃~約38℃の間、約5℃~約37℃の間、約10℃~約37℃の間、約15℃~約37℃の間、約20℃~約37℃の間、約25℃~約37℃の間、約30℃~約37℃の間、又は約35℃~約37℃の間である。ある特定の態様では、負荷温度は、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、又は約50℃である。
【0021】
[0021]一部の態様では、負荷期間は、約1時間~約48時間の間、約1時間~約42時間の間、約1時間~約36時間の間、約1時間~約30時間の間、約1時間~約24時間の間、約6時間~約48時間の間、約6時間~約42時間の間、約6時間~約36時間の間、約6時間~約30時間の間、約6時間~約24時間の間、約12時間~約48時間の間、約12時間~約42時間の間、約12時間~約36時間の間、約12時間~約30時間の間、又は約12時間~約24時間の間である。ある特定の態様では、負荷期間は、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、又は約48時間である。
【0022】
[0022]一部の態様では、塩濃度は、約50mM~約150mMの間であり、負荷温度は、約30℃~約40℃の間であり、負荷期間は、約20時間~約30時間の間である。一部の態様では、塩濃度は、約50mM~約150mMの間であり、負荷温度は、約30℃~約40℃の間であり、負荷期間は、約12時間~約30時間の間である。
【0023】
[0023]本開示は、ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約100mMの濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、約37℃の負荷温度で、約24時間の負荷期間、ペイロードを細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法もさらに提供する。
【0024】
[0024]一部の態様では、塩濃度での負荷温度における負荷期間中の負荷は、塩を含まない、4℃の温度の、及び/又は1時間の期間の負荷と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、細胞外ベシクルに対するペイロードの負荷を増加させる。
【0025】
[0025]ペイロードを細胞外ベシクルに負荷する方法であって、約150mM~約450mMの間の濃度の塩を含む負荷緩衝剤中で、約37℃~約70℃の間の負荷温度で、約24時間~約7日間の間の負荷期間、ペイロードを細胞外ベシクルと混合するステップを含む、方法も本明細書において提供される。一部の態様では、塩濃度は、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、又は約450mMである。一部の態様では、塩は、NaCl(塩化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)、PO4(リン酸塩)、CaCl2(塩化カルシウム)、MgCl2(塩化マグネシウム)、Mg2SO4(硫酸マグネシウム)、ZnCl2(塩化亜鉛)、MnCl2(塩化マンガン)、MnSO4(硫酸マンガン)、NaSCN(チオシアン酸ナトリウム)、KSCN(チオシアン酸カリウム)、LiCl(塩化リチウム)、K2HPO4(リン酸二カリウム)、Na2SO4(硫酸ナトリウム)、NaPO4(リン酸ナトリウム)、K2SO4(リン酸カリウム)、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ヨウ化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、三塩化クロム、硫酸クロム、クエン酸ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化イットリウム(III)、硫酸カリウム、塩化第一鉄、クエン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化第二鉄、アルギニン-HCl、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0026】
[0026]上記パラグラフに記載の方法について、一部の態様では、負荷温度は、約37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃である。一部の態様では、負荷期間は、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、又は約7日間である。
【0027】
[0027]上記で提供される方法のいずれかについて、一部の態様では、方法は、混合するステップの後に、EVに負荷されたペイロードの量を測定するステップと、EVの負荷密度を決定するステップとをさらに含む。一部の態様では、1つ又は複数負荷パラメーターは、EVの負荷密度をさらに増加させるために調整され、1つ又は複数の負荷パラメーターは、負荷緩衝剤の塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、EV供給濃度、又はこれらの組合せから選択される。一部の態様では、EVに負荷されたペイロードの量は、粒子カウンター、ナノ粒子追跡分析(NTA)、紫外線吸収、可視吸収、蛍光、近赤外、赤外、静的光散乱、動的光散乱、オブスキュレーション、ラマン分光法、濁度、又はこれらの組合せを使用して測定される。
【0028】
[0028]細胞外ベシクル(EV)への負荷後に、EVからのペイロードの解離を減少させる方法であって、本明細書において提供される負荷方法(例えば、上記で提供されるものなど)のいずれかに従って、ペイロードをEVに負荷するステップを含む、方法も本明細書において提供される。一部の態様では、EVからのペイロードの解離は、本明細書において提供される負荷方法のいずれかに従わずに、ペイロードがEVに負荷された場合に観察される対応する解離と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約100%低減される。
【0029】
[0029]ペイロードが負荷された細胞外ベシクル(EV)の安定性を増加させる方法であって、本明細書において提供される負荷方法のいずれかに従って、ペイロードをEVに負荷するステップを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様では、ペイロードが負荷されたEVの安定性は、本開示の負荷方法のいずれかに従わずに、ペイロードがEVに負荷された場合に観察される対応する安定性と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上増加する。
【0030】
[0030]本開示は、ペイロードが負荷された後に、細胞外ベシクルの1つ又は複数の特性を改善する方法であって、本明細書において提供される負荷方法のいずれかに従って、ペイロードをEVに負荷するステップを含む、方法をさらに提供する。一部の態様では、1つ又は複数の特性は、粒子間相互作用、粒子剛性、粒子サイズ、又はこれらの組合せを含む。一部の態様では、1つ又は複数の特性の改善は、EVの濾過性の増加を可能にする。
【0031】
[0031]上記で提供される方法のいずれかについて、一部の態様では、負荷緩衝剤は、1つ又は複数の構成成分をさらに含む。ある特定の態様では、1つ又は複数の構成成分は、トリス、スクロース、グルコース、トレハロース、マンノース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ヒスチジン、アルギニン、メチオニン、トリプトファン、チロシン、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ポリマー、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80及び20)、キレート剤(例えば、EDTA、クエン酸塩)、無機酸、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0032】
[0032]一部の態様では、負荷緩衝剤は、スクロースをさらに含む。ある特定の態様では、スクロースは、約10%w/v未満、約9%w/v未満、約8%w/v未満、約7%w/v未満、約6%w/v未満、約5%w/v未満、約4%w/v未満、約3%w/v未満、又は約2.5%w/v未満の濃度である。一部の態様では、スクロースは、約1%w/v~約10%w/vの間、約2%w/v~約10%w/vの間、約3%w/v~約10%w/vの間、約4%w/v~約10%w/vの間、約5%w/v~約10%w/vの間、約1%w/v~約8%w/vの間、約2%w/v~約8%w/vの間、約3%w/v~約8%w/vの間、約4%w/v~約8%w/vの間、約5%w/v~約8%w/vの間、約1%w/v~約5%w/vの間、約2%w/v~約5%w/vの間、約3%w/v~約5%w/vの間、約4%w/v~約5%w/vの間、又は約5%w/v~約6%w/vの間の濃度である。
【0033】
[0033]一部の態様では、負荷緩衝剤は、約100~約600mOsm/kgの間のモル浸透圧濃度である。一部の態様では、負荷緩衝剤は、約275~約450の間、約280~約450の間、約300~約450の間、約275~約400の間、約280~約400の間、約300~約400の間、約275~約380の間、約280~約380の間、約300~約380の間、約275~約350の間、約280~約350の間、約300~約350の間、約275~約310の間、約280~約310の間、又は約300~約310mOsm/kgの間のモル浸透圧濃度である。ある特定の態様では、負荷緩衝剤は、約360、約370、約380、約390、約395、又は約400mOsm/kgのモル浸透圧濃度である。一部の態様では、負荷緩衝剤は、約100~約600mOsm/kgの間のモル浸透圧濃度である。
【0034】
[0034]一部の態様では、負荷緩衝剤は、約6~約8の間のpHである。ある特定の態様では、pHは、約6~約7の間又は約7~約8の間である。一部の態様では、pHは、約6、約7、又は約8である。一部の態様では、負荷緩衝剤は、約9のpHである。
【0035】
[0035]一部の態様では、本明細書において提供される負荷方法のいずれかを使用してEVに負荷され得るペイロードは、ペプチド、小分子、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、PMO、mRNA、miRNA、lcRNA、アンタゴミル、tRNA、siRNA、ペプチド核酸、細胞透過性ペプチド、アジュバント、タンパク質、炭水化物、糖、アミノ酸、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0036】
[0036]一部の態様では、ペイロードは、核酸を含む。一部の態様では、核酸は、約40未満、約35未満、約30未満、約25未満、約20未満、約19未満、約18未満、約17未満、約16未満、又は約15未満のヌクレオチドの長さの連続配列を含む。
【0037】
[0037]核酸が、約10~約30の間、約14~約30の間、約15~約30の間、約16~約30の間、約17~約30の間、約18~約30の間、約19~約30の間、約20~約30の間、約10~約25の間、約14~約25の間、約15~約25の間、約16~約25の間、約17~約25の間、約18~約25の間、約19~約25の間、約20~約25の間、約10~約22の間、約14~約22の間、約15~約22の間、約16~約22の間、約17~約22の間、約18~約22の間、約19~約22の間、又は約20~約22の間の長さの連続配列を含む、請求項39に記載の方法。
【0038】
[0038]一部の態様では、ペイロードは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の遺伝子に特異的に結合し、1つ又は複数の遺伝子にコードされるタンパク質の発現を低下させる。一部の態様では、1つ又は複数の遺伝子は、STAT6、Kras、Nras、PMP22、C/EBPβ、STAT3、NLRP3、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0039】
[0039]一部の態様では、負荷緩衝剤中のペイロードは、約100μM~約1000μMの間の濃度である。一部の態様では、負荷緩衝剤中のペイロードは、約100μM~約200μMの間、約200μM~約300μMの間、約300μM~約400μMの間、約400μM~約500μMの間、約500μM~約600μMの間、約600μM~約700μMの間、約700μM~約800μMの間、約800μM~約900μMの間、又は約900μM~約1000μMの間の濃度である。ある特定の態様では、負荷緩衝剤中のペイロードは、約100μM、約200μM、約300μM、約400μM、約500μM、約600μM、約700μM、約800μM、約900μM、又は約1000μMの濃度である。一部の態様では、負荷緩衝剤中のペイロードは、約1000μM~約2500μMの間の濃度である。一部の態様では、ペイロードは、配列番号41~112のいずれか1つに記載されているヌクレオチド配列を含み、ペイロードの濃度は、約600μMである。
【0040】
[0040]一部の態様では、ペイロードは、アンカー部分にコンジュゲートされている。ある特定の態様では、アンカー部分は、ステロール、GM1、脂質、リン脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、又はこれらの組合せを含む。
【0041】
[0041]一部の態様では、アンカー部分は、少なくとも約6個の炭素原子、少なくとも7個の炭素原子、少なくとも8個の炭素原子、少なくとも9個の炭素原子、少なくとも10個の炭素原子、少なくとも11個の炭素原子、少なくとも12個の炭素原子、少なくとも13個の炭素原子、少なくとも14個の炭素原子、少なくとも15個の炭素原子、少なくとも16個の炭素原子、少なくとも17個の炭素原子、少なくとも18個の炭素原子、少なくとも19個の炭素原子、少なくとも20個の炭素原子、少なくとも25個の炭素原子、少なくとも30個の炭素原子、少なくとも35個の炭素原子、少なくとも40個の炭素原子、少なくとも45個の炭素原子、少なくとも50個の炭素原子、少なくとも55個の炭素原子、少なくとも60個の炭素原子、少なくとも65個の炭素原子、少なくとも70個の炭素原子、少なくとも75個の炭素原子、少なくとも80個の炭素原子、少なくとも85個の炭素原子、又は少なくとも90個の炭素原子を含む。
【0042】
[0042]一部の態様では、アンカー部分は、ステロール、ステロイド、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、セコステロイド、若しくはそのアナログ、又はこれらの任意の組合せを含む。ある特定の態様では、アンカー部分は、エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール、コレステロール、24S-ヒドロキシコレステロール、ラノステロール、シクロアルテノール、フコステロール、サリングステロール、カンペステロール、β-シトステロール、シトスタノール、コプロスタノール、アベナステロール、スチグマステロール、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、アンカー部分は、
【化1】
からなる群から選択される構造を有する、コレステロール又は誘導体である。
【0043】
[0043]一部の態様では、アンカー部分はステロイドを含み、ステロイドは、ジヒドロテストステロン、ウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン、プロゲステロン、コルチゾール、又はこれらの任意の組合せである。ある特定の態様では、アンカー部分は、脂質を含む。
【0044】
[0044]一部の態様では、アンカー部分は、C2~C60鎖を含む。ある特定の態様では、アンカー部分は、C4~C40、C2~C38、C2~C36、C2~C34、C2~C32、C2~C30、C4~C30、C2~C28、C4~C28、C2~C26、C4~C26、C2~C24、C4~C24、C6~C24、C8~C24、C10~C24、C2~C22、C4~C22、C6~C22、C8~C22、C10~C22、C2~C20、C4~C20、C6~C20、C8~C20、C10~C20、C2~C18、C4~C18、C6~C18、C8~C18、C10~C18、C12~C18、C14~C18、C16~C18、C2~C16、C4~C16、C6~C16、C8~C16、C10~C16、C12~C16、C14~C16、C2~C15、C4~C15、C6~C15、C8~C15、C9~C15、C10~C15、C11~C15、C12~C15、C13~C15、C2~C14、C4~C14、C6~C14、C8~C14、C9~C14、C10~C14、C11~C14、C12~C14、C2~C13、C4~C13、C6~C13、C7~C13、C8~C13、C9~C13、C10~C13、C10~C13、C11~C13、C2~C12、C4~C12、C6~C12、C7~C12、C8~C12、C9~C12、C10~C12、C2~C11、C4~C11、C6~C11、C7~C11、C8~C11、C9~C11、C2~C10、C4~C10、C2~C9、C4~C9、C2~C8、C2~C7、C4~C7、C2~C6、又はC4~C6鎖を含む。
【0045】
[0045]一部の態様では、アンカー部分は、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、ポリ不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、ポリカルボン酸、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0046】
[0046]一部の態様では、アンカー部分は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸及びn-ドトリアコンタン酸、並びにプロピオン酸、n-吉草酸、エナント酸、ペラルゴン酸、ヘンデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ヘネイコサン酸、トリコサン酸、ペンタコサン酸、ヘプタコサン酸などの奇数の炭素原子を有するもの、又はこれらの任意の組合せである直鎖脂肪酸を含む。一部の態様では、アンカー部分は、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソカプリル酸、イソカプリン酸、イソラウリン酸、11-メチルドデカン酸、イソミリスチン酸、13-メチル-テトラデカン酸、イソパルミチン酸、15-メチル-ヘキサデカン酸、イソステアリン酸、17-メチルオクタデカン酸、イソアラキン酸、19-メチルエイコサン酸、α-エチルヘキサン酸、α-ヘキシルデカン酸、α-ヘプチルウンデカン酸、2-デシルテトラデカン酸、2-ウンデシルテトラデカン酸、2-デシルペンタデカン酸、2-ウンデシルペンタデカン酸、ファインオキソコール(Fine oxocol) 1800酸(日産化学工業株式会社(Nissan Chemical Industries,Ltd.)の製品)、6-メチル-オクタン酸、8-メチル-デカン酸、10-メチル-ドデカン酸、12-メチル-テトラデカン酸、14-メチル-ヘキサデカン酸、16-メチルオクタデカン酸、18-メチルエイコサン酸、20-メチルドコサン酸、22-メチルテトラコサン酸、24-メチルヘキサコサン酸、及び26-メチルオクタコサン酸などのイソブチル基で終結するアンテイソ脂肪酸、又はこれらの任意の組合せである分岐脂肪酸を含む。一部の態様では、アンカー部分は、4-デセン酸、カプロレイン酸(caproleic acid)、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸、ラウロレイン酸(lauroleic acid)、4-テトラデセン酸、5-テトラデセン酸、9-テトラデセン酸、パルミトレイン酸、6-オクタデセン酸、オレイン酸、9-オクタデセン酸、11-オクタデセン酸、9-エイコセン酸、cis-11-エイコセン酸、セトオレイン酸、13-ドコセン酸、15-テトラコセン酸、17-ヘキサコセン酸、6,9,12,15-ヘキサデカテトラエン酸、リノール酸、リノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、パリナリン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、又はこれらの任意の組合せである不飽和脂肪酸を含む。一部の態様では、アンカー部分は、α-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、α-ヒドロキシパルミチン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、ω-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシアラキン酸、9-ヒドロキシ-12-オクタデセン酸、リシノール酸、α-ヒドロキシベヘン酸、9-ヒドロキシ-trans-10,12-オクタデカジエン酸、カモレン酸、イプロール酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、又はこれらの任意の組合せであるヒドロキシ脂肪酸を含む。一部の態様では、アンカー部分は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、D,L-リンゴ酸、又はこれらの任意の組合せであるポリカルボン酸を含む。
【0047】
[0047]一部の態様では、アンカー部分は、リン脂質を含む。一部の態様では、リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、又はこれらの任意の組合せである。
【0048】
[0048]一部の態様では、アンカー部分は、ビタミンを含む。一部の態様では、アンカー部分は、ビタミンD、ビタミンK、ナイアシン、ピリドキシン、ビタミンE、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0049】
[0049]一部の態様では、アンカー部分は、ペイロードとアンカー部分との間にリンカーをさらに含む。
【0050】
[0050]一部の態様では、リンカーは、非切断性リンカーを含む。一部の態様では、非切断性リンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセロール、アルキル、ホスホロチオエート、スクシンイミド、マレイミド、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、非切断性リンカーは、式R3-(O-CH2-CH2)n-又はR3-(0-CH2-CH2)n-O-(式中、R3は、水素、メチル又はエチルであり、nは、2~200の間の整数である)によって特徴付けられるポリエチレングリコール(PEG)を含む。一部の態様では、非切断性リンカーは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール(TEG)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、ペンタエチレングリコール、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、リンカーは、式((R3-O-(CH2-CHOH-CH2O)n-)(式中、R3は、水素、メチル又はエチルであり、nは、3~200の間の整数である)を有するポリグリセロール(PG)を含む。一部の態様では、リンカーは、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール(TG)、ペンタグリセロール、ヘキサグリセロール(HG)、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、リンカーは、アルキルを含む。
【0051】
[0051]一部の態様では、リンカーは、切断性リンカーを含む。一部の態様では、切断性リンカーは、酸化還元切断性リンカー、活性酸素種切断性リンカー、pH依存性切断性リンカー、酵素切断性リンカー、プロテアーゼ切断性リンカー、エステラーゼ切断性リンカー、酸化還元酵素切断性リンカー、ホスホリパーゼ切断性リンカー、ホスファターゼ切断性リンカー、光活性化切断性リンカー、自己犠牲リンカー、又はこれらの任意の組合せである。一部の態様では、切断性リンカーは、自己犠牲リンカーである。一部の態様では、切断性リンカーは、シンナミル基、ナフチル基、ビフェニル基、複素環式環、ホモ芳香族基、クマリン、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピロール、ピラゾール、ピリジン、イミダゾン、トリアゾール、又はこれらの任意の組合せである。
【0052】
[0052]一部の態様では、リンカーは、式:
-A
a-Y
y-
(式中、各-A-は、独立的にアミノ酸単位であり、aは、独立的に1~12の整数であり;-Y-は、スペーサー単位であり、yは、0、1、又は2である)を有する。一部の態様では、-A
a-は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、又はヘキサペプチドである。一部の態様では、aは2であり、-A
a-は、バリン-アラニン、バリン-シトルリン、グルタミン酸-バリン-シトルリン、フェニルアラニン-リシン、N-メチルバリン-シトルリン、グリシン-ヒスチジン-ロイシン-グリシン、シクロヘキシルアラニン-リシン、及びベータ-アラニン-リシンからなる群から選択される。一部の態様では、-A
a-は、バリン-アラニン、又はバリン-シトルリン、又はグルタミン酸-バリン-シトルリンである。一部の態様では、-A
a-は、アルギニン、リシン、又はその両方である。一部の態様では、yは、1である。一部の態様では、-Y-は、自己犠牲スペーサーである。一部の態様では、-Y
y-は、式(V):
【化2】
(式中、各R
2は、独立的にC
1~8アルキル、-O-(C
1~8アルキル)、ハロゲン、ニトロ、又はシアノであり;mは、0~4の整数である)を有する。一部の態様では、mは、0、1、又は2である。一部の態様では、mは、0である。一部の態様では、切断性リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメート又はバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートである。
【0053】
[0053]一部の態様では、アンカー部分は、
【化3】
を含む。
【0054】
[0054]一部の態様では、方法は、(i)ペイロードが、配列番号41~112のいずれか1つに記載されているヌクレオチド配列を含むこと、及び(ii)表1又は表2のリンカーの組合せから選択されるリンカーを含む。
【0055】
[0055]一部の態様では、ペイロードは、コレステロールにコンジュゲートされている。一部の態様では、ペイロードは、5’GbsCbsAbsdAsdGsdAsdTs(5MdC)s(5MdC)s(5MdC)sdGsdGsdAsdTsdTs(5MdC)sdGsGbsTbsCb3’を含み、NbはLNAであり、dNはDNAであり、(5MdC)は5-メチル-dCであり、sはホスホロチオエートであり、TEGはトリエチレングリコールであり、HEGはヘキサエチレングリコールである。一部の態様では、ペイロードは、TEG-HEGによってコレステロールに連結されている。
【0056】
[0056]一部の態様では、細胞外ベシクルは、少なくとも約1×1011、少なくとも約2×1011、少なくとも約3×1011、少なくとも約4×1011、少なくとも約5×1011、少なくとも約6×1011、少なくとも約7×1011、少なくとも約8×1011、少なくとも約9×1011、少なくとも約1×1012、少なくとも約2×1012、少なくとも約3×1012、少なくとも約4×1012、少なくとも約5×1012、少なくとも約6×1012、少なくとも約7×1012、少なくとも約8×1012、少なくとも約9×1012、少なくとも約1×1013、少なくとも約2×1013、少なくとも約3×1013、少なくとも約4×1013、少なくとも約5×1013、少なくとも約6×1013、少なくとも約7×1013、少なくとも約8×1013、少なくとも約9×1013、又は少なくとも約1×1014個の粒子/mLの濃度である。一部の態様では、細胞外ベシクルは、約1×1012~約5×1013個の間の粒子/mL、約1×1012~約4×1013個の間の粒子/mL、約1×1012~約3×1013個の間の粒子/mL、約1×1012~約2×1013個の間の粒子/mL、約2×1012~約5×1013個の間の粒子/mL、約2×1012~約4×1013個の間の粒子/mL、約2×1012~約3×1013個の間の粒子/mL、約2×1012~約2×1013個の間の粒子/mL、約3×1012~約5×1013個の間の粒子/mL、約3×1012~約4×1013個の間の粒子/mL、約3×1012~約3×1013個の間の粒子/mL、約3×1012~約2×1013個の間の粒子/mL、約4×1012~約5×1013個の間の粒子/mL、約4×1012~約4×1013個の間の粒子/mL、約4×1012~約3×1013個の間の粒子/mL、約4×1012~約2×1013個の間の粒子/mL、約5×1012~約5×1013個の間の粒子/mL、約5×1012~約4×1013個の間の粒子/mL、約5×1012~約3×1013個の間の粒子/mL、又は約5×1012~約2×1013個の間の粒子/mLの濃度である。一部の態様では、細胞外ベシクルは、約5×1012~約2×1013個の間の粒子/mLの濃度である。一部の態様では、細胞外ベシクルは、約1×1013個の粒子/mLの濃度である。
【0057】
[0057]一部の態様では、細胞外ベシクルは、細胞外ベシクルの膜内にタンパク質をさらに含む。一部の態様では、タンパク質は、プロスタグランジンF2受容体陰性調節因子(PTGFRNタンパク質);ベイシジン(BSGタンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(IGSF2タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3タンパク質);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8タンパク質);インテグリンベータ-1(ITGB1タンパク質);インテグリンアルファ-4(ITGA4タンパク質);4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2タンパク質);ATPトランスポータータンパク質のクラス(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B4タンパク質);これらの機能的断片;及びこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、タンパク質は、PTGFRNタンパク質又はその機能的断片を含む。
【0058】
[0058]本明細書で開示されている方法のいずれか1つによって調製される細胞外ベシクルが本明細書において提供される。
【0059】
[0059]細胞外ベシクルの外部表面にペイロードを含む細胞外ベシクルであって、細胞外ベシクル表面のペイロードの数が、少なくとも約1000、少なくとも約2000、少なくとも約3000、少なくとも約4000、少なくとも約5000、少なくとも約6000、少なくとも約7000、少なくとも約8000、少なくとも約9000、少なくとも約10,000、少なくとも約11,000、少なくとも約12000、少なくとも約13,000、少なくとも約14,000、少なくとも約15,000、少なくとも約16,000、少なくとも約17,000、少なくとも約18,000、少なくとも約20,000、少なくとも約22,000、少なくとも約24,000、少なくとも約26,000、少なくとも約28,000、少なくとも約30,000、少なくとも約35,000、又は少なくとも約40,000である、細胞外ベシクルが本明細書において提供される。一部の態様では、細胞外ベシクル表面のペイロードの数は、約5,000~約20,000個、約6,000~約20,000個、約7,000~約20,000個、約8,000~約20,000個、約9,000~約20,000個、約10,000~約20,000個、約5,000~約18,000個、約6,000~約18,000個、約7,000~約18,000個、約8,000~約18,000個、約9,000~約18,000個、約10,000~約18,000個、約5,000~約15,000個、約6,000~約15,000個、約7,000~約15,000個、約8,000~約15,000個、約9,000~約15,000個、又は約10,000~約15,000個の間である。一部の態様では、細胞外ベシクルの表面のペイロードの数は、約10,000~約15,000個の間である。一部の態様では、ペイロードは、配列番号41~112のいずれか1つに記載されているヌクレオチド配列を含む。
【0060】
[0060]一部の態様では、本明細書で開示されている細胞外ベシクルのペイロードは、ステロール、GM1、脂質、リン脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、又はこれらの組合せにコンジュゲートされている。一部の態様では、ペイロードは、コレステロールにコンジュゲートされている。一部の態様では、ペイロードは、構造:5’GbsCbsAbsdAsdGsdAsdTs(5MdC)s(5MdC)s(5MdC)sdGsdGsdAsdTsdTs(5MdC)sdGsGbsTbsCb3’を含み、ここで、NbはLNAであり、dNはDNAであり、(5MdC)は5-メチル-dCであり、sはホスホロチオエートである。
【0061】
[0061]本開示は、本明細書に記載の細胞外ベシクルのいずれかを含む、細胞外ベシクルの集団をさらに提供する。一部の態様では、細胞外ベシクルの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%は、本明細書に記載の細胞外ベシクルのいずれか1つの細胞外ベシクルである。
【0062】
[0062]本明細書に記載の細胞外ベシクル又は細胞外ベシクルの集団のいずれかを含む組成物も本明細書において提供される。本明細書に記載の細胞外ベシクル又は細胞外ベシクルの集団を含む医薬組成物が本明細書において提供される。
【0063】
[0063]それを必要とする対象における疾患又は状態を処置する方法であって、本明細書に記載の細胞外ベシクル又は細胞外ベシクルの集団を投与するステップを含む、方法も本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1A】
図1Aは、細胞外ベシクルのASO負荷に対する時間及び温度を増加させることの効果を示す。
図1Bは、超遠心分離(UC)及びCapto Core 700樹脂(CC700)を使用するクロマトグラフィーによるクリーンアップ後の、EVに負荷されたASOの濃度を示す。
【
図1B】
図1Aは、細胞外ベシクルのASO負荷に対する時間及び温度を増加させることの効果を示す。
図1Bは、超遠心分離(UC)及びCapto Core 700樹脂(CC700)を使用するクロマトグラフィーによるクリーンアップ後の、EVに負荷されたASOの濃度を示す。
【
図2A】
図2A及び2Bは、本明細書で開示されているペイロード(例えば、ASO)をコンジュゲートするために使用することができる2つの例示的なコレステロール部分の例示を提供する。
図2Aは、Chol2の構造を提供する。
図2Bは、Chol4の構造を提供する。
【
図2B】
図2A及び2Bは、本明細書で開示されているペイロード(例えば、ASO)をコンジュゲートするために使用することができる2つの例示的なコレステロール部分の例示を提供する。
図2Aは、Chol2の構造を提供する。
図2Bは、Chol4の構造を提供する。
【
図3A】
図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gは、本明細書において提供される負荷方法を使用して、EVに負荷することができる例示的なASOの配列を列挙する表を提供する。
図3Aでは、ASOは、STAT6転写物を標的とする。
図3Bでは、ASOは、KRAS転写物を標的とする。
図3Cでは、ASOは、NRAS転写物を標的とする。
図3Dでは、ASOは、PMP22転写物を標的とする。
図3Eでは、ASOは、C/EBPβ転写物を標的とする。
図3Fでは、ASOは、STAT3転写物を標的とする。
図3Gでは、ASOは、NLRP3転写物を標的とする。
【
図3B】
図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gは、本明細書において提供される負荷方法を使用して、EVに負荷することができる例示的なASOの配列を列挙する表を提供する。
図3Aでは、ASOは、STAT6転写物を標的とする。
図3Bでは、ASOは、KRAS転写物を標的とする。
図3Cでは、ASOは、NRAS転写物を標的とする。
図3Dでは、ASOは、PMP22転写物を標的とする。
図3Eでは、ASOは、C/EBPβ転写物を標的とする。
図3Fでは、ASOは、STAT3転写物を標的とする。
図3Gでは、ASOは、NLRP3転写物を標的とする。
【
図3C】
図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gは、本明細書において提供される負荷方法を使用して、EVに負荷することができる例示的なASOの配列を列挙する表を提供する。
図3Aでは、ASOは、STAT6転写物を標的とする。
図3Bでは、ASOは、KRAS転写物を標的とする。
図3Cでは、ASOは、NRAS転写物を標的とする。
図3Dでは、ASOは、PMP22転写物を標的とする。
図3Eでは、ASOは、C/EBPβ転写物を標的とする。
図3Fでは、ASOは、STAT3転写物を標的とする。
図3Gでは、ASOは、NLRP3転写物を標的とする。
【
図3D】
図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gは、本明細書において提供される負荷方法を使用して、EVに負荷することができる例示的なASOの配列を列挙する表を提供する。
図3Aでは、ASOは、STAT6転写物を標的とする。
図3Bでは、ASOは、KRAS転写物を標的とする。
図3Cでは、ASOは、NRAS転写物を標的とする。
図3Dでは、ASOは、PMP22転写物を標的とする。
図3Eでは、ASOは、C/EBPβ転写物を標的とする。
図3Fでは、ASOは、STAT3転写物を標的とする。
図3Gでは、ASOは、NLRP3転写物を標的とする。
【
図3E】
図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gは、本明細書において提供される負荷方法を使用して、EVに負荷することができる例示的なASOの配列を列挙する表を提供する。
図3Aでは、ASOは、STAT6転写物を標的とする。
図3Bでは、ASOは、KRAS転写物を標的とする。
図3Cでは、ASOは、NRAS転写物を標的とする。
図3Dでは、ASOは、PMP22転写物を標的とする。
図3Eでは、ASOは、C/EBPβ転写物を標的とする。
図3Fでは、ASOは、STAT3転写物を標的とする。
図3Gでは、ASOは、NLRP3転写物を標的とする。
【
図3F】
図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gは、本明細書において提供される負荷方法を使用して、EVに負荷することができる例示的なASOの配列を列挙する表を提供する。
図3Aでは、ASOは、STAT6転写物を標的とする。
図3Bでは、ASOは、KRAS転写物を標的とする。
図3Cでは、ASOは、NRAS転写物を標的とする。
図3Dでは、ASOは、PMP22転写物を標的とする。
図3Eでは、ASOは、C/EBPβ転写物を標的とする。
図3Fでは、ASOは、STAT3転写物を標的とする。
図3Gでは、ASOは、NLRP3転写物を標的とする。
【
図3G】
図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gは、本明細書において提供される負荷方法を使用して、EVに負荷することができる例示的なASOの配列を列挙する表を提供する。
図3Aでは、ASOは、STAT6転写物を標的とする。
図3Bでは、ASOは、KRAS転写物を標的とする。
図3Cでは、ASOは、NRAS転写物を標的とする。
図3Dでは、ASOは、PMP22転写物を標的とする。
図3Eでは、ASOは、C/EBPβ転写物を標的とする。
図3Fでは、ASOは、STAT3転写物を標的とする。
図3Gでは、ASOは、NLRP3転写物を標的とする。
【
図4】
図4は、様々な量のマウス及びヒトのSTAT6を標的とするASOを負荷したEVによる処置後の肝臓におけるSTAT6発現のノックダウンを示す。様々なEVの具体的なASO密度が括弧内に示されている。STAT6発現は、対照(PBS単独で処置又はビヒクル対照で処置)に対して正規化して示されている。
【
図5】
図5は、異なる脂質リンカーを用いて合成した4つの異なるASO配列の負荷密度(EVごとのASO)の比較を提供する。ASOは、以下の:緑色蛍光タンパク質(「EGFP」)、ホタルルシフェラーゼ(「FFLUC」)、ウミシイタケルシフェラーゼ(「RLUC」)、及び治療遺伝子(「治療遺伝子」)のいずれか1つを標的とした。Toco=トコフェロール、Chol=コレステロール、Pal=パルミチン酸、C6=ヘキサメチレン、C8=オクタメチレン、TEG=テトラエチレングリコール、HEG=ヘキサエチレングリコール。
【発明を実施するための形態】
【0065】
[0069]本開示は、EVに(例えば、EVの外側表面に)ペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を負荷する方法であって、負荷プロセスの1つ又は複数のパラメーター(本明細書において「負荷パラメーター」と称される)をモジュレートするステップ(例えば、増加させるか又は低下させるステップ)を含む、方法を対象とする。一部の態様では、1つ又は複数のパラメーターは、塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、EV供給濃度、又はこれらの組合せを含む。本明細書で実証されるように、1つ又は複数のパラメーターをモジュレートするステップは、EVに(例えば、EVの外側表面に)負荷されるペイロードの量を増加させることができる。様々な態様の非限定的な例が本開示に示されている。
【0066】
[0070]本開示がより詳細に説明される前に、本発明が説明される特定の組成物又は処理ステップに限定されず、当然のことながら変更されてもよいことが理解されるべきである。本開示を読めば当業者には明らかなように、本明細書において記載及び例示された個々の態様の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離する又はそれと組み合わせることができる個別の構成成分及び特徴を有する。任意の記載された方法は、記載された事象の順序又は論理的に可能な他の順序で実施することができる。
【0067】
[0071]本明細書で示される見出しは、本開示の様々な態様の限定ではなく、全体として本明細書を参照して定義され得る。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定されるため、本明細書で使用される用語は、単に特定の態様を説明するためのものに過ぎず、限定的であることを意図しないことも理解されるべきである。
【0068】
[0072]したがって、すぐ下に定義される用語は、全体として本明細書を参照してより十分に定義される。
【0069】
I.定義
[0073]本発明の記載をより容易に理解することができるように、ある特定の用語が最初に定義される。さらなる定義は詳細な説明全体を通して記載されている。
【0070】
[0074]用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の実体は、その実体のうちの1つ又は複数を指すことに留意されるべきであり、例えば、「ヌクレオチド配列」は、1つ又は複数のヌクレオチド配列を表すことが理解される。このように、用語「1つの(a)(又は「1つの(an)」)」、「1つ又は複数の(one or more)」、及び「少なくとも1つの(at least one)」は、本明細書において互換的に使用され得る。特許請求の範囲が任意選択のいずれかの要素を除外するように起草できることにさらに留意されたい。このように、この記載は、請求項要素の記載と併せて、「単に(solely)」、「単に(only)」などの排他的用語を使用する場合、又は否定的限定を使用する場合の先行詞としての役割を果たすことを意図する。
【0071】
[0075]さらに、「及び/又は(and/or)」は、本明細書で使用される場合、他の要件若しくは構成要素を有するか又は有さない、2つの特定の要件又は構成要素のそれぞれについての具体的開示として解釈されるべきである。よって、本明細書において「A及び/又はB(A and/or B)」などの句において使用される用語「及び/又は(and/or)」は、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)、並びに「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/又はC(A,B,and/or C)」などの句において使用される用語「及び/又は(and/or)」は、以下の態様のそれぞれを包含することを意図する:A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)。
【0072】
[0076]本明細書において「含む(comprising)」という表現で態様が記載されている場合には、「からなる(consisting of)」及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載されている別の類似の態様も提供されることが理解される。
【0073】
[0077]別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示に関する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology、Juo,Pei-Show、第2版、2002年、CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology、第3版、1999年、Academic Press;及びthe Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology、改訂版、2000年、Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くについて一般的な辞書を当業者に提供する。
【0074】
[0078]単位、接頭辞、及び記号は、国際単位系(SI)で認められている形式で表記されている。数値範囲は、その範囲を規定する数値を包含する。値の範囲が記載されている場合、その範囲の上限と下限の間に介在する各整数値、及びその各分数も、このような値の間の各下位範囲と一緒に具体的に開示されていることが理解されるべきである。任意の範囲の上限及び下限は、その範囲に独立的に含まれることもその範囲から除外されることもあり、いずれか一方、いずれも、又は両方の限界値が含まれる各範囲も、本開示に包含される。よって、本明細書に記載された範囲は、記載された端点を包含する、その範囲内の値のすべての略記であると理解される。例えば、1~10という範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群に由来する任意の数、数の組合せ、又は下位範囲を含むことが理解される。
【0075】
[0079]値が明示的に記載されている場合、記載された値とほぼ同じ量(quantity)又は量(amount)である値も本開示の範囲内であることが理解されるべきである。組合せが開示されている場合、その組合せの要素の各部分的組合せも具体的に開示されており、本開示の範囲内である。逆に、異なる要素又は要素の群が個別に開示されている場合、その組合せも開示されている。ある開示のいずれかの要素が複数の選択肢を有することが開示されている場合、各選択肢が単一で又は他の選択肢とのいずれかの組合せで除外されるその開示の例も本明細書で開示されており;ある開示の2つ以上の要素がこのような除外を有する可能性があり、このような除外を有する要素のすべての組合せが本明細書で開示されている。
【0076】
[0080]ヌクレオチドは、一般的に受け入れられている1文字コードで呼ばれる。別段に示されていなければ、ヌクレオチド配列は5’から3’の方向で左から右に書かれる。ヌクレオチドは、本明細書において、IUPAC-IUB生化学命名法委員会によって推奨される一般的に知られている1文字記号で呼ばれる。したがって、Aはアデニンを表し、Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表し、Tはチミンを表し、Uはウラシルを表す。
【0077】
[0081]アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの方向で左から右に書かれる。アミノ酸は、本明細書において、IUPAC-IUB生化学命名法委員会によって推奨される一般的に知られている3文字記号又は1文字記号で呼ばれる。
【0078】
[0082]用語「約(about)」は、およそ(approximately)、およそ(roughly)、およそ(around)、又はその領域内を意味するために本明細書で使用される。用語「約」が数値範囲と併せて使用される場合、記載された数値の上下に境界を拡張することによってその範囲を修正する。一般に、用語「約(about)」は、例えば10パーセントの上下(高低)の変動によって、記載された値の上下に数値を修正することができる。
【0079】
[0083]用語「投与(administration)」、「投与する(administering)」、及びこれらの文法的変形は、本開示のEVなどの組成物を、薬学的に許容できる経路を介して対象に導入することを指す。本開示のEVなどの組成物の対象への導入は、腫瘍内、経口的、肺内、経鼻、非経口的(静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下)、直腸内、リンパ内、髄腔内、眼周囲、又は局所的を含む任意の好適な経路によるものである。投与には、自己投与及び他者による投与が含まれる。好適な投与経路は、組成物又は薬剤がその意図する機能を発揮することを可能にする。例えば、好適な経路が静脈内である場合、組成物は、組成物又は薬剤を対象の静脈に導入することによって投与される。
【0080】
[0084]本明細書で使用される場合、用語「アゴニスト」は、受容体に結合し、受容体を活性化して生物学的応答を引き起こす分子を指す。受容体は、内因性アゴニスト又は外因性アゴニストのいずれかによって活性化され得る。内因性アゴニストの非限定的な例としては、ホルモン、神経伝達物質、及び環状ジヌクレオチドが挙げられる。外因性アゴニストの非限定的な例としては、薬物、小分子、及び環状ジヌクレオチドが挙げられる。アゴニストは、完全アゴニスト、部分アゴニスト、又は逆アゴニストであり得る。
【0081】
[0085]用語「アミノ酸置換」は、親配列又は参照配列(例えば、野生型配列)に存在するアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置き換えることを指す。アミノ酸は、親配列又は参照配列(例えば、野生型ポリペプチド配列)において、例えば、化学的ペプチド合成を介して、又は当技術分野で公知の組換え方法によって置換され得る。したがって、「X位の置換」という言及は、X位に存在するアミノ酸の代替アミノ酸残基による置換を指す。一部の態様では、置換パターンは、図式AnYによって記載することができ、ここで、Aは、n位に天然に又は元々存在するアミノ酸に対応する1文字コードであり、Yは、置換アミノ酸残基である。一部の態様では、置換パターンは、図式An(YZ)によって記載することができ、ここで、Aは、n位に天然に又は元々存在するアミノ酸を置換するアミノ酸残基に対応する1文字コードであり、Y及びZは、Aを置き換えることができる代替の置換アミノ酸残基である。
【0082】
[0086]用語「アニオン」及び「カチオン」は、それぞれ、負及び正に荷電したイオンを指す。「二価の」カチオンは、原子価が2+のカチオンを指す。二価のカチオンの例としては、以下に限定されないが、Ca2+、Mg2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Ba2+、Sr2+、Al2+、Ag2+、Cu2+、及びMn2+が挙げられる。「一価の」カチオンは、原子価が1+のカチオンを指す。一価のカチオンの例としては、以下に限定されないが、Li+、K+、Na+、NH4
+、Cu+が挙げられる。アニオンの例としては、以下に限定されないが、SCN-、Cl-、SO4
-、及びPO4が挙げられる。一部の態様では、アニオン及び/又はカチオン(例えば、一価のカチオン又は二価のカチオン)は、塩、例えば、相補的な原子価の少なくとも1つのアニオンと少なくとも1つのカチオンとの混合物中に存在し得る。本明細書で開示されているアニオン又はカチオンを含む任意の塩を本明細書で開示されている方法において使用することができる。
【0083】
[0087]本明細書で使用される場合、用語「アンタゴニスト」は、受容体に結合した際に、それ自体が生物学的応答を惹起するのではなく、アゴニストに媒介される応答を遮断又は減弱させる分子を指す。多くのアンタゴニストは、受容体上の構造的に規定された結合部位で内因性リガンド又は基質と競合することによってその効力を実現する。アンタゴニストの非限定的な例としては、アルファ遮断剤、ベータ遮断剤、及びカルシウムチャネル遮断剤が挙げられる。アンタゴニストは、競合的、非競合的、又は不競合的なアンタゴニストであり得る。
【0084】
[0088]本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、天然又は部分的若しくは全体的に合成的に産生された免疫グロブリン、及びその断片を包含する。この用語は、免疫グロブリン結合ドメインと相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質も網羅する。「抗体」は、抗原と特異的に結合し、それを認識する、免疫グロブリン遺伝子由来のフレームワーク領域を含むポリペプチド又はその断片も含む。抗体という用語の使用は、全抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、その断片を含むことを意味し、一本鎖抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ、マウス-ヒト、マウス-霊長類、霊長類-ヒトモノクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体断片、例えば、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’、及びF(ab’)2、F(ab1)2、Fv、dAb、及びFd断片、ダイアボディ、及び抗体関連ポリペプチドをさらに含む。抗体は、所望の生物学的な活性又は機能を示す限り、二特異性抗体及び多重特異性抗体を含む。本開示の一部の態様では、生物学的に活性な分子は、抗体又はその抗原結合断片を含む分子である。
【0085】
[0089]用語「抗体-薬物コンジュゲート」及び「ADC」は、互換的に使用され、治療剤(本明細書において、薬剤、薬物、又は薬学的有効成分と称されることがある)又は薬剤に、例えば共有結合的に連結した抗体を指す。本開示の一部の態様では、生物学的に活性な分子は、抗体-薬物コンジュゲートである。
【0086】
[0090]本明細書で使用される場合、目的の1つ又は複数の値に適用される用語「およそ(approximately)」は、記載された基準値に類似する値を指す。ある特定の態様では、用語「およそ(approximately)」は、別段記載されていない限り又はそうでなければ文脈から明らかでない限り(このような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)、記載された基準値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又はそれより低い割合のいずれかの方向(より大きい又はより小さい)に収まる値の範囲を指す。
【0087】
[0091]用語「アリール」は、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル及びアントラセニルが挙げられる。炭素環式芳香族基は、非置換であっても、又は-C1~8アルキル、-O-(C1~8アルキル)、-アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)2-、-NHC(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)R’、-OH、-ハロゲン、-N3、-NH2、-NH(R’)、-N(R’)2及び-CN(式中、各R’は、独立的に、H、-C1~8アルキル、又はアリールである)を含むがこれらに限定されない1つ又は複数の基で置換されていてもよい。
【0088】
[0092]用語「アリーレン」は、2つの共有結合を有するアリール基を指し、以下の構造:
【化4】
[式中、フェニル基は、非置換であっても、又は-C
1~8アルキル、-O-(C
1~8アルキル)、-アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH
2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)
2-、-NHC(O)R’、-S(O)
2R’、-S(O)R’、-OH、-ハロゲン、-N
3、-NH
2、-NH(R’)、-N(R’)
2及び-CN(式中、各R’は、独立的に、H、-C
1~8アルキル、又はアリールである)を含むがこれらに限定されない最大4つの基で置換されていてもよい]に示されているオルト、メタ、又はパラ立体配置であってもよい。
【0089】
[0093]本明細書で使用される場合、用語「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、アリール基又はヘテロアリール基がアルキル基に結合して、ラジカルである-アルキル-アリール及び-アルキル-ヘテロアリールを生じるこれらのラジカルを含むことを意味し、アルキル、アリール及びヘテロアリールは本明細書において定義されている。例示的な「アリールアルキル」又は「アラルキル」基は、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等を含む。
【0090】
[0094]本明細書で使用される場合、用語「アリールオキシ」は、-O-アリールという基を指し、アリールは本明細書において定義されている通りである。ある特定の態様では、アリールオキシ基のアリール部分は、フェニル又はナフチルである。
【0091】
[0095]用語「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族の」は、N、O、S、Si及びB(例えば、N、O及びS)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、1~5個のヘテロ原子、例えば1~3個のヘテロ原子)を含有する、ポリ不飽和5、6又は7員の芳香族部分を指し、窒素及び硫黄の原子は任意選択的に酸化されており、窒素原子(複数可)は任意選択的に四級化されている。「ヘテロアリール」基は、単一の環であるか又は他のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキル環(例えば、1~3個の他の環)に融合され得る。「ヘテロアリール」基が融合したアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環を含む場合、「ヘテロアリール」基は、ヘテロアリール環を介して分子の残りの部分に結合している。ヘテロアリール基は、炭素原子又はヘテロ原子を介して、分子の残りの部分に結合され得る。
【0092】
[0096]一部の態様では、ヘテロアリール基は、4~10個の炭素原子並びにO、S及びNから選択される1~5個のヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ピリダジニル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ピリドピリジル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソオキサジニル、ベンゾイソオキサジニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジル-N-オキシド、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロイソクマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサゾリノニル、ピロリルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシド、ピリダジニルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、キノリニルN-オキシド、インドリルN-オキシド、インドリニルN-オキシド、イソキノリルN-オキシド、キナゾリニルN-オキシド、キノキサリニルN-オキシド、フタラジニルN-オキシド、イミダゾリルN-オキシド、イソオキサゾリルN-オキシド、オキサゾリルN-オキシド、チアゾリルN-オキシド、インドリジニルN-オキシド、インダゾリルN-オキシド、ベンゾチアゾリルN-オキシド、ベンゾイミダゾリルN-オキシド、ピロリルN-オキシド、オキサジアゾリルN-オキシド、チアジアゾリルN-オキシド、トリアゾリルN-オキシド、テトラゾリルN-オキシド、ベンゾチオピラニルS-オキシド、ベンゾチオピラニルS,S-ジオキシドが挙げられる。例示的なヘテロアリール基としては、イミダゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、及びピリジルが挙げられる。他の例示的なヘテロアリール基としては、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、ピリジン-4-イル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、及び6-キノリルが挙げられる。上述のアリール及びヘテロアリール環系の各置換基は、以下に記載する許容できるアリール基置換基群から選択される。
【0093】
[0097]本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、別段に記載されていない限り、指定された数の炭素原子(例えば、C1~C10は1~10個の炭素原子を意味する)を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。典型的には、アルキル基は1~24個の炭素原子を有し、例えば1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子又は1~6個の炭素原子を有する。「低級アルキル」基は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。用語「アルキル」は、二価及び多価のラジカルを含む。適宜、例えば、式がアルキル基が二価であることを示す場合又は置換基が接合して環を形成している場合には、用語「アルキル」は「アルキレン」を含む。アルキルラジカルの非限定的な例としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、並びに例えばn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル及びn-オクチルのホモログ及び異性体が挙げられる。
【0094】
[0098]用語「アルキレン」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、二価の(ジラジカル)アルキル基を意味し、アルキルは本明細書において定義されている。「アルキレン」は、以下に限定されないが、-CH2CH2CH2CH2-によって例示される。一部の態様では、「アルキレン」基は、1~24個の炭素原子を含み、例えば10個以下の炭素原子(例えば、1~8個又は1~6個の炭素原子)を有する。「低級アルキレン」基は、1~4個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0095】
[0099]用語「アルケニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、2~24個の炭素原子、及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルケニル基は、2~10個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する。ある特定の態様では、アルケニル基は、2~8個の炭素原子又は2~6個の炭素原子及び1~3個の二重結合を有する。例示的なアルケニル基としては、ビニル、2-プロペニル、1-ブタ-3-エニル、クロチル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、2-イソペンテニル、1-ペンタ-3-エニル、1-ヘキサ-5-エニルなどが挙げられる。
【0096】
[0100]用語「アルキニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、2~24個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の不飽和又は多価不飽和炭化水素ラジカルを指す。典型的な「アルキニル」基は、2~10個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する。本開示の一態様では、アルキニル基は、2~6個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する。例示的なアルキニル基としては、プロパ-1-イニル、プロパ-2-イニル(すなわち、プロパルギル)、エチニル及び3-ブチニルが挙げられる。
【0097】
[0101]用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)は、それらの従来の意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して分子の残りの部分に結合しているアルキル基を指す。
【0098】
[0102]用語「ヘテロアルキル」は、それ自体で又は別の用語と組み合わせて、記述した数の炭素原子(例えば、C2~C10、又はC2~C8)及び例えば、N、O、S、Si、B及びP(ある特定の態様では、N、O及びS)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる安定な、直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを指し、窒素、硫黄及びリン原子は任意選択的に酸化され、窒素原子(複数可)は任意選択的に四級化されている。ヘテロ原子(複数可)は、ヘテロアルキル基の内部の任意の位置に配置されている。ヘテロアルキル基の例としては、以下に限定されないが、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-CH2-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、及び-CH=CH-N(CH3)-CH3が挙げられる。最大2個のヘテロ原子は、例えば、-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3のように連続的であり得る。
【0099】
[0103]用語「ヘテロアルキレン」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、以下に限定されないが、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-及び-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-によって例示されているように、ヘテロアルキルに由来する二価のラジカルを指す。典型的には、ヘテロアルキル基は、3~24個の原子(炭素及び水素を除くヘテロ原子)を有する(3~24員のヘテロアルキル)。別の例では、ヘテロアルキル基は、合計3~10個の原子(3~10員のヘテロアルキル)又は3~8個の原子(3~8員のヘテロアルキル)を有する。適宜、例えば、式がヘテロアルキル基が二価であることを示す場合又は置換基が接合して環を形成している場合には、用語「ヘテロアルキル」は「ヘテロアルキレン」を含む。
【0100】
[0104]用語「シクロアルキル」は、それ自体で又は他の用語と組み合わせて、3~24個の炭素原子、例えば、3~12個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、非芳香族炭素環式ラジカル(例えば、C3~C8シクロアルキル又はC3~C6シクロアルキル)を表す。シクロアルキルの例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチル等が挙げられる。用語「シクロアルキル」は、架橋した、多環式(例えば、二環式)構造、例えば、ノルボルニル、アダマンチル及びビシクロ[2.2.1]ヘプチルも含む。「シクロアルキル」基は、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル)及び非芳香族(例えば、炭素環式又は複素環式の)環から選択される少なくとも1つ(例えば、1~3個)の他の環に融合され得る。「シクロアルキル」基が融合したアリール、ヘテロアリール又は複素環式環を含む場合、「シクロアルキル」基は、炭素環式環を介して分子の残りの部分に結合している。
【0101】
[0105]用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環式の」、「複素環」、又は「ヘテロシクリル」は、それ自体で又は他の用語と組み合わせて、例えば、N、O、S、Si、B及びP(例えば、N、O及びS)から選択される少なくとも1つであって最大5個のヘテロ原子を含有する炭素環式の非芳香族環(例えば、3~8員の環及び例えば、4、5、6又は7員の環)であって、窒素、硫黄及びリン原子が任意選択的に酸化されており、窒素原子(複数可)が任意選択的に四級化されている(例えば、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子)、炭素環式の非芳香族環、又は当業者に公知の安定な組合せで、少なくとも1つであって最大10個のヘテロ原子(N、O及びSから選択される1~5個のヘテロ原子)を含有する4~8員の環の融合環系を表す。例示的なヘテロシクロアルキル基は、融合フェニル環を含む。「複素環式」基が融合したアリール、ヘテロアリール又はシクロアルキル環を含む場合、「複素環式」基は、複素環を介して分子の残りの部分に結合している。ヘテロ原子は、複素環が分子の残りの部分に結合している位置を占め得る。
【0102】
[0106]本明細書で使用される場合、用語「に関連した」は、第1の部分(例えば、ペイロード)と第2の部分(例えば、EV)との間の相互作用を指す。例えば、一部の態様では、第1の部分は、第2の部分内に封入され得る(例えば、ペイロードは、EVの内腔内に存在し得る)。一部の態様では、第1の部分は、第2の部分に連結され得るか又は融合され得る(例えば、ペイロードは、EVの外側表面及び/又は内腔表面に連結され得る)。
【0103】
[0107]用語「生物学的に活性な分子」は、本明細書で使用される場合、アンカー部分を介してEVに結合することができる任意の分子を指し、分子は、それを必要とする対象において治療効果若しくは予防効果を有することができるか、又は診断目的で使用することができる。一部の態様では、目的のこのような分子は、本明細書において、「目的の部分」とも称される。したがって、例として、生物学的に活性な分子という用語は、タンパク質(例えば、抗体、タンパク質、ポリペプチド、並びにそれらの誘導体、断片、及びバリアント)、脂質及びそれらの誘導体、炭水化物(例えば、糖タンパク質中のグリカン部分)、又は小分子を含む。一部の態様では、生物学的に活性な分子は、抗原、アジュバント、免疫モジュレーター、標的部分、又はこれらの組合せを含む。このような生物学的に活性な分子の非限定的な例は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2020/0191361号において提供される。ある特定の態様では、生物学的に活性な分子はペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)である。
【0104】
[0108]用語「C1~8アルキル」は、本明細書で使用される場合、1~8個の炭素原子を有する直鎖の又は分岐した、飽和炭化水素を指す。代表的な「C1~8アルキル」基としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及び2-メチルブチルが挙げられる。
【0105】
[0109]用語「C1~10アルキレン」は、式-(CH2)1~10-の飽和した直鎖炭化水素基を指す。C1~10アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、及びデカレンが挙げられる。
【0106】
[0110]用語「C3~8炭素環」は、3、4、5、6、7又は8員の飽和又は不飽和非芳香族炭素環式環を指す。代表的なC3~8炭素環としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、及びシクロオクタジエニルが挙げられる。C3~8炭素環式基は、非置換であっても、又は-C1~8アルキル、-O-(C1~8アルキル)、アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)2-、-NHC(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)R’、-OH、-ハロゲン、-N3、-NH2、-NH(R’)、-N(R’)2及び-CN(式中、各R’は、独立的に、H、-C1~8アルキル、又はアリールである)を含むがこれらに限定されない1つ又は複数の基で置換されていてもよい。
【0107】
[0111]用語「C3~8カルボシクロ」は、炭素環式の水素原子のうちの1つ又は複数が結合で置き換えられている、上記で定義されたC3-8炭素環式基を指す。
【0108】
[0112]用語「C3~8複素環」は、環の炭素原子のうちの1~4つが、O、S及びNからなる群から選択されるヘテロ原子で独立的に置き換えられている芳香族又は非芳香族C3~8炭素環を指す。C3~8複素環の代表的な例としては、以下に限定されないが、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェン、インドリル、ベンゾピラゾリル、クマリニル、イソキノリニル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、キノリニル、ピリミジニル、ピリジニル、ピリドニル、ピラジニル、ピリダジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル及びテトラゾリルが挙げられる。C3~8複素環は、非置換であっても、又は-C1~8アルキル、-O-(C1~8アルキル)、-アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)2-、-NHC(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)R’、-OH、-ハロゲン、-N3、-NH2、-NH(R’)、-N(R’)2、及び-CN(式中、各R’は、独立的に、H、-C1~8アルキル、又はアリールである)を含むがこれらに限定されない最大7つの基で置換されていてもよい。
【0109】
[0113]用語「C3~8ヘテロシクロ」は、ヘテロ環式基の水素原子のうちの1つが結合で置き換えられている、上記で定義されたC3-8複素環式基を指す。C3~8ヘテロシクロは、非置換であっても、又は-C1~8アルキル、-O-(C1~8アルキル)、-アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)2-、-NHC(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)R’、-OH、-ハロゲン、-N3、-NH2、-NH(R’)、-N(R’)2及び-CN(式中、各R’は、独立的に、H、-C1~8アルキル、又はアリールである)を含むがこれらに限定されない最大6つの基で置換されていてもよい。
【0110】
[0114]「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。よって、ポリペプチドにおけるアミノ酸が同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸で置き換えられている場合、その置換は保存的であると考えられる。ある特定の態様では、アミノ酸のストリングは、側鎖ファミリーのメンバーの順序及び/又は組成が異なる構造的に類似するストリングと保存的に置き換えることができる。
【0111】
[0115]本明細書で使用される場合、用語「保存された」は、比較される2つ以上の配列の同じ位置に非改変状態で存在するものである、それぞれポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列のヌクレオチド又はアミノ酸残基を指す。比較的保存されたヌクレオチド又はアミノ酸は、配列の他所に出現するヌクレオチド又はアミノ酸より関連性の高い配列の間で保存されているものである。
【0112】
[0116]一部の態様では、2つ以上の配列は、これらが互いに100%同一であれば、「完全に保存されている」か又は「同一」であると言われる。一部の態様では、2つ以上の配列は、これらが互いに少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、又は少なくとも95%同一であれば、「高度に保存されている」と言われる。一部の態様では、2つ以上の配列は、これらが互いに約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%、又は約99%同一であれば、「高度に保存されている」と言われる。一部の態様では、2つ以上の配列は、これらが互いに少なくとも30%同一、少なくとも40%同一、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、又は少なくとも95%同一であれば、「保存されている」と言われる。一部の態様では、2つ以上の配列は、これらが互いに約30%同一、約40%同一、約50%同一、約60%同一、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、又は約99%同一であれば、「保存されている」と言われる。配列の保存は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの全長に適用してもよく、又はその一部、領域若しくは特徴に適用してもよい。
【0113】
[0117]用語「賦形剤」及び「担体」は、互換的に使用され、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。
【0114】
[0118]本明細書で使用される場合、用語「細胞外ベシクル」、「EV」、及びその文法上の変形は、互換的に使用され、内部空間を囲む膜を含む細胞由来のベシクルを指す。細胞外ベシクルは、これらが由来する細胞よりも小さな直径を有するすべての膜結合ベシクル(例えば、エクソソーム、ナノベシクル)を含む。一部の態様では、細胞外ベシクルは、直径は20nm~1000nmの範囲であり、内部空間(すなわち、内腔)内に、細胞外ベシクルの外部表面に提示されて、及び/又は膜にまたがって、様々な高分子ペイロードを含み得る。一部の態様では、ペイロードは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/又はこれらの組合せを含み得る。ある特定の態様では、細胞外ビヒクルは、エクソソームタンパク質を含む。例としてであって限定されないが、細胞外ベシクルは、アポトーシス小体、細胞の断片、直接的又は間接的な操作(例えば、連続的な押出し又はアルカリ溶液による処理)によって細胞から導出されたベシクル、小胞化したオルガネラ、及び生細胞によって産生されたベシクル(例えば、直接的な原形質膜の出芽又は後期エンドソームの原形質膜との融合によって)を含む。細胞外ベシクルは、生きた若しくは死んだ生物、外植された組織若しくは器官、原核細胞若しくは真核細胞、及び/又は培養細胞に由来し得る。一部の態様では、細胞外ベシクルは、1つ又は複数の導入遺伝子産物を発現する細胞によって産生される。別段に示されていない限り、EVは、エクソソーム、ナノベシクル、ミクロソーム、マイクロベシクル、細胞外体、アポトーシス体、又はこれらの組合せを含む。ある特定の態様では、本開示に対して有用なEVは、エクソソームである。
【0115】
[0119]本明細書で使用される場合、用語「エクソソーム」は、20~300nm(例えば、40~200nm)の間の直径を有する細胞外ベシクルを指す。エクソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含み、一部の態様では、直接的な原形質膜の出芽又は後期エンドソームの原形質膜との融合によって、細胞(例えば、産生細胞)から生じ得る。ある特定の態様では、エクソソームは、エクソソームタンパク質を含む。後述するように、エクソソームは、産生細胞に由来し、そのサイズ、密度、生化学的パラメーター、又はこれらの組合せに基づいて産生細胞から単離することができる。一部の態様では、本開示のエクソソームは、1つ又は複数の導入遺伝子産物を発現する細胞によって産生される。
【0116】
[0120]本明細書で使用される場合、用語「機能的断片」は、タンパク質の機能を保持するタンパク質の断片を指す。例えば、一部の態様では、エクソソームタンパク質、例えばPTGFRNの機能的断片は、生物学的に活性な分子を、EVの内腔面又は外部表面に係留する能力を保持する。
【0117】
[0121]断片が機能的断片であるか否かは、ウエスタンブロット、FACS解析及び断片と例えばGFPのような自己蛍光タンパク質との融合を含む、EVのタンパク質含量を決定するための当技術分野で公知の任意の方法によって評価することができる。
【0118】
[0122]本明細書で使用される場合、生物学的に活性な分子を、本開示のEVの内腔又は外部表面に「係留する(anchoring)」とは、生物学的に活性な分子を、それぞれ、EVの内腔又は外部表面に、共有結合により結合させることを指す。
【0119】
[0123]本明細書で使用される場合、用語「相同性」は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)間及び/又はポリペプチド分子間の全体的関連性を指す。一般に、用語「相同性」は、2つの分子間の進化的関係を意味する。よって、相同である2つの分子は、共通の進化的祖先を有することになる。本開示の文脈では、相同性という用語は、同一性と類似性の両方を包含する。
【0120】
[0124]一部の態様では、ポリマー分子は、分子内のモノマーの少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%が同一である(正確に同じモノマーである)か又は類似する(保存的置換)場合に、互いに「相同」であると考えられる。「相同な」という用語は、少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチド又はポリペプチドの配列)間の比較を必然的に指す。
【0121】
[0125]本開示の文脈では、置換(これらがアミノ酸置換として言及される場合でも)は、核酸レベルで行われ、すなわち、アミノ酸残基を代替のアミノ酸残基で置換することは、第1のアミノ酸をコードするコドンを第2のアミノ酸をコードするコドンで置換することによって行われる。
【0122】
[0126]本明細書で使用される場合、用語「同一性」は、ポリマー分子間、例えば、ポリペプチド分子又はポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)間の全体的モノマー保存を指す。いずれのさらなる修飾語も有さない「同一な」という用語、例えば、タンパク質Aはタンパク質Bと同一であるとは、配列が100%同一(100%の配列同一性)であることを意味する。2つの配列が、例えば「70%同一である」という記載は、これらが、例えば、「70%の配列同一性」を有するという記載と等しい。
【0123】
[0127]例えば、2つのポリペプチド配列の同一性パーセントの計算は、2つの配列を最適な比較のためにアラインさせることによって実施することができる(例えば、最適なアライメントのために第1のポリペプチド配列と第2のポリペプチド配列の一方又は両方にギャップを導入することができ、同一でない配列は比較するために無視することができる)。ある特定の態様では、比較のためにアラインされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%である。次いで、対応するアミノ酸位置におけるアミノ酸が比較される。
【0124】
[0128]第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸によって占められている場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適アライメントに導入される必要のあるギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一な位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0125】
[0129]タンパク質配列とヌクレオチド配列の両方のアライメントに好適なソフトウェアプログラムは、様々な供給源から入手可能である。配列同一性のパーセントを決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターのBLASTウェブサイトから入手可能なBLASTプログラム一式の一部であるbl2seqである。bl2seqは、BLASTN又はBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用する2つの配列間の比較を実施する。BLASTNは核酸配列を比較するために使用されるが、一方、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムは、例えば、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSS一式の一部である、Needle、Stretcher、Water、又はMatcherであり、欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)(worldwideweb.ebi.ac.uk/Tools/psa)からも入手可能である。
【0126】
[0130]配列アライメントは、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal X又はClustal Omega)、MUSCLEなどのような当技術分野で公知の方法を使用して行うことができる。
【0127】
[0131]ポリヌクレオチド又はポリペプチド参照配列とアラインする単一のポリヌクレオチド又はポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ独自の配列同一性パーセントを有し得る。配列同一性パーセントの値は小数点以下第2位を四捨五入することに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は80.1に切り捨てられ、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は80.2に切り上げられる。長さの値は常に整数となることにも留意されたい。
【0128】
[0132]ある特定の態様では、第1のアミノ酸配列(又は核酸配列)の第2のアミノ酸配列(又は核酸配列)に対する同一性百分率(%ID)は、%ID=100×(Y/Z)として計算され、ここで、Yは、第1及び第2の配列のアライメント(目視検査又は特定の配列アライメントプログラムによってアラインされたもの)において完全一致としてスコア化されたアミノ酸残基(又は核酸塩基)の数であり、Zは、第2の配列中の残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第1の配列の第2の配列に対する同一性パーセントは、第2の配列の第1の配列に対する同一性パーセントよりも高くなる。
【0129】
[0133]当業者は、配列同一性パーセントの計算のための配列アラインメントの生成が一次配列データによって排他的に駆動されるバイナリ配列間比較に限定されないことを認識するであろう。また、配列アライメントは、配列データを、構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能データ(例えば、突然変異の位置)、又は系統学的データなどの異種供給源からのデータと統合することによって生成され得ることも認識されるであろう。異種データを統合して多重配列アライメントを生成する好適なプログラムは、www.tcoffee.org、或いはEBIなどから入手可能なT-Coffeeである。配列同一性パーセントを計算するために使用される最終的なアライメントは、自動的又は手動で精選され得ることも認識されるであろう。
【0130】
[0134]「免疫応答」は、本明細書で使用される場合、外来物質又は異常細胞、例えばがん性細胞に対する脊椎動物内の生物学的応答を指し、この応答は、これらの物質及びそれらに起因する疾患に対して生物を保護する。免疫応答は、免疫系の1つ又は複数の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞又は好中球)と、これらの細胞又は肝臓によって産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の作用によって媒介され、侵入病原体、病原体に感染した細胞若しくは組織、がん性細胞若しくは他の異常細胞、又は自己免疫若しくは病的炎症の場合には正常なヒトの細胞若しくは組織を、選択的に標的とする、それに結合する、それに対して損傷を与える、それを破壊させる、及び/又はそれを脊椎動物の体から排除する。免疫反応には、例えば、T細胞、例えば、エフェクターT細胞、Th細胞、CD4+細胞、CD8+T細胞、若しくはTreg細胞の活性化若しくは阻害、又は免疫系の任意の他の細胞、例えば、NK細胞の活性化若しくは阻害が含まれる。したがって、免疫応答には、体液性免疫応答(例えば、B細胞によって媒介される)、細胞免疫応答(例えば、T細胞によって媒介される)、又は体液性免疫応答と細胞免疫応答の両方が含まれ得る。本開示の一部の態様では、生物学的に活性な分子は、免疫応答を誘発することが可能な分子である。
【0131】
[0135]一部の態様では、免疫応答は、「阻害性」免疫応答である。阻害性免疫応答は、刺激(例えば、抗原)の効果を遮断するか又は減少させる免疫応答である。ある特定の態様では、阻害性免疫応答は、刺激に対する阻害性抗体の産生を含む。一部の態様では、免疫応答は、「刺激性」免疫応答である。刺激性免疫応答は、標的抗原(例えば、腫瘍抗原又はウイルス)を破壊し、取り除くことができるエフェクター細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球)の生成をもたらす免疫応答である。
【0132】
[0136]本明細書で使用される場合、用語「単離された」、「精製された」、「抽出された」、及びそれらの文法上の変形は、互換的に使用され、1つ又は複数の精製工程、例えば所望のEV、例えばエクソソーム調製物の選択又は濃縮を経た、所望のEV(例えば、既知又は未知の量及び/又は濃度の複数のEV)調製物の状態を指す。一部の態様では、単離すること又は精製することは、本明細書で使用される場合、EVを産生細胞を含有する試料から取り除く、部分的に取り除く(例えば、その画分)工程である。一部の態様では、単離されたEVの組成物は検出可能な望ましくない活性を有さないか、或いは、望ましくない活性のレベル又は量が許容可能なレベル若しくは量であるか又はそれを下回る。一部の態様では、単離されたEVの組成物は、許容できる量及び/又は濃度であるか又はそれを上回る、所望のEVの量及び/又は濃度を有する。一部の態様では、単離されたEVの組成物は、組成物が得られる出発材料(例えば、産生細胞調製物)と比較して濃縮されている。この濃縮は、出発材料と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.999%、少なくとも約99.9999%であるか、又は99.9999%を超え得る。一部の態様では、単離されたEVの調製物は、残留生物由来物質を実質的に含まない。一部の態様では、単離されたEVの調製物は、いずれかの夾雑する生体物質を100%含まないか、少なくとも約99%含まないか、少なくとも約98%含まないか、少なくとも約97%含まないか、少なくとも約96%含まないか、少なくとも約95%含まないか、少なくとも約94%含まないか、少なくとも約93%含まないか、少なくとも約92%含まないか、少なくとも約91%含まないか、又は少なくとも約90%含まない。残留生体由来物質は、アビオティック物質(化学物質を含む)又は不要な核酸、タンパク質、脂質、若しくは代謝産物を含み得る。残留生体由来物質を実質的に含まないとは、EVの組成物が検出可能な産生細胞を含有しないこと、及びEVのみが検出可能であることも意味し得る。
【0133】
[0137]用語「連結した」、「融合した」、及びその文法上の変形は、互換的に使用され、それぞれ、第2の部分、例えば第2のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列に、共有結合又は非共有結合により接合した第1の部分、例えば、第1のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を指す。第1の部分は、第2の部分に直接接合若しくは並置され得るか、或いは介在する部位が第1の部分を第2の部分に共有結合により接合させ得る。用語「連結した」は、C末端又はN末端における第1の部分の第2の部分への融合だけでなく、第1の部分(又は第2の部分)全体の、第2の部分(又はそれぞれ、第1の部分)のいずれか2点、例えばアミノ酸への挿入も含む。一態様では、第1の部分はペプチド結合又はリンカーによって第2の部分に連結されている。第1の部分は、ホスホジエステル結合又はリンカーによって第2の部分に連結され得る。リンカーは、ペプチド若しくはポリペプチド(ポリペプチド鎖では)又はヌクレオチド若しくはヌクレオチド鎖(ヌクレオチド鎖では)又は任意の化学部分(ポリペプチド若しくはポリヌクレオチド鎖又は任意の化学分子では)であり得る。用語「連結した」は、ハイフン(-)によっても示される。
【0134】
[0138]本明細書で使用される場合、用語「負荷すること」又は「負荷された」は、目的の部分(例えば、ペイロード、例えば、ASO)の、EV中への導入、EV上への導入、又はそうでなければ、目的の部分がEVに関連するようにEVに関連付けること指す。本明細書に記載されているように、一部の態様では、ペイロードを負荷されたEVは、ペイロードがEVの外側表面に連結されているか又はそれとコンジュゲートしているEVを指す。
【0135】
[0139]用語「負荷効率」は、溶液中の全ペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)と比較した、EVに負荷されたペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の比率(例えば、負荷されたペイロード/ペイロードの合計)を指す。本開示から明らかなように、一部の態様では、負荷効率の増加は、参照値(例えば、本開示とは異なる負荷方法で観察された負荷効率)と比較して、溶液(EVとペイロードとの混合物を含む)中のペイロード(例えば、ASO)がより多くEV上に負荷されたことを意味する。指定されない限り、用語「負荷効率」及び「負荷密度」は、本明細書において交換可能に使用することができる。
【0136】
[0140]本明細書で使用される場合、用語「内腔を操作されたEV」は、操作されたEVの内腔の内腔表面が修飾前のEV又は天然に存在するEVのものと異なるように、EVの膜又は内腔の内腔表面の組成が修飾されたEVを指す。
【0137】
[0141]操作するステップは、EVの内腔及び/又は内腔表面が変化するように、直接的にEVの内腔(すなわち、EV内の空隙)又はEVの膜、特にEVの内腔表面内であり得る。例えば、膜は、EVの内腔表面が修飾されるように、タンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成において修飾される。同様に、内腔内の含有物が変更され得る。組成は、化学的、物理的、若しくは生物学的な方法によって、又は化学的、物理的、若しくは生物学的な方法によって以前に修飾された細胞から生成されることによって変化させることができる。具体的には、組成は、遺伝子工学によって、又は遺伝子工学によって以前に修飾された細胞から生成されることによって変化させることができる。一部の態様では、内腔を操作されたEVは、EVの内腔表面若しくは内腔に露出され得るか、又はEVの内側の層に露出された部分のアンカーポイント(結合)となり得る、外因性タンパク質(すなわち、EVが天然には発現しないタンパク質)又はその断片若しくはバリアントを含む。
【0138】
[0142]本明細書で使用される場合、用語「巨大分子」は、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、代謝物、又はその組合せを指す。
【0139】
[0143]用語「修飾された」は、本明細書に記載のEVに関連して使用される場合、修飾されたEVが天然に存在するEVと異なるように、EV及び/又はその産生細胞を変更又は操作することを指す。一部の態様では、本明細書に記載の修飾されたEVは、天然に存在するEVの膜と比較して、タンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成が異なる膜を含む。例えば、本明細書で実証されるように、本明細書に記載のEVは、EVにおいて天然には見られないペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の量が増加するように修飾されている。ある特定の態様では、このような膜への修飾は、EVの外側表面を変化させる(例えば、表面を操作されたEV)。ある特定の態様では、膜へのこのような修飾は、EVの内腔表面を変化させる(例えば、本明細書に記載の内腔を操作されたEV)。
【0140】
[0144]本明細書で使用される場合、用語「修飾されたタンパク質」又は「タンパク質修飾」は、タンパク質の非突然変異アミノ酸配列に対して少なくとも15%の同一性を有するタンパク質を指す。タンパク質の修飾は、タンパク質の断片又はバリアントを含む。タンパク質の修飾は、タンパク質の断片又はバリアントに対する化学的、又は物理的修飾をさらに含み得る。
【0141】
[0145]本明細書で使用される場合、用語「モジュレートする」、「修飾する」、及びこれらの文法上の変形は、特定の濃度、レベル、発現、機能又は挙動に適用された場合、例えば、アンタゴニスト又はアゴニストとして作用するために、特定の濃度、レベル、発現、機能又は挙動を、増加させるか又は低下させる、例えば、直接的又は間接的に、促進する/刺激する/上方調節する又は妨げる/阻害する/下方調節することによって、変更する能力を一般に指す。一部の事例では、モジュレーターは、対照と比較して、又は一般的に予測される平均活性レベルと比較して、又は対照の活性レベルと比較してある特定の濃度、レベル、活性若しくは機能を増加及び/又は低下させ得る。
【0142】
[0146]本明細書で使用される場合、用語「ナノベシクル」は、20~250nmの間(例えば、30~150nmの間)の直径を有する細胞外ベシクルを指し、ナノベシクルが操作なしに細胞によって産生されないように直接的又は間接的な操作によって細胞(例えば、産生細胞)から生成される。ナノベシクルを産生する細胞の適切な操作としては、以下に限定されないが、連続的押出し、アルカリ溶液による処理、超音波処理、又はこれらの組合せが挙げられる。一部の態様では、ナノベシクルの産生は、産生細胞の破壊をもたらす可能性がある。一部の態様では、本明細書に記載のナノベシクルの集団は、原形質膜からの直接出芽又は後期エンドソームの原形質膜との融合によって細胞から誘導されるベシクルを実質的に含まない。ナノベシクルは、一旦産生細胞から誘導されると、そのサイズ、密度、生化学的パラメーター、又はこれらの組合せに基づいて、産生細胞から単離され得る。
【0143】
[0147]本明細書で使用される場合、用語「ペイロード」は、本明細書に記載のEVと接触した標的(例えば、標的細胞)で作用する生物学的に活性な分子(例えば、治療剤)を指す。EVに導入することができるペイロードの非限定的な例としては、ヌクレオチド(例えば、検出可能な部分若しくは毒素を含むヌクレオチド、又は転写を破壊するヌクレオチド)、核酸(例えば、酵素などのポリペプチドをコードするDNA若しくはmRNA分子、又はmiRNA、dsDNA、lncRNA、siRNA、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)、ペプチドがコンジュゲートしたホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PPMO)、及びアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの調節機能を有するRNA分子)、アミノ酸(例えば、検出可能な部分若しくは毒素を含むアミノ酸、又は翻訳を破壊するアミノ酸)、ポリペプチド(例えば、酵素)、脂質、炭水化物、及び小分子(例えば、小分子薬物及び毒素)などの治療剤が挙げられる。一部の態様では、ペイロードは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0144】
[0148]用語「薬学的に許容できる担体」、「薬学的に許容できる賦形剤」、及びこれらの文法上の変形は、ヒトを含む動物において使用するための、米国連邦政府の規制当局によって承認されたか、又は米国薬局方に列挙された薬剤のいずれか、並びに対象への組成物の投与を禁止する程度まで望ましくない生理学的効果の生成を引き起こさず、且つ投与された化合物の生物活性及び特性を無効にしない任意の担体又は希釈剤を包含する。医薬組成物の調製に有用であり、一般に安全で、無毒性であり、望ましい賦形剤及び担体が含まれる。
【0145】
[0149]本明細書で使用される場合、用語「医薬組成物」は、本明細書に記載の化合物(例えば、EV)のうちの1つ又は複数を、薬学的に許容できる担体及び賦形剤などの1つ又は複数の他の化学構成成分と混合若しくは混和させるか、又はその中に懸濁させたものを指す。医薬組成物の1つの目的は、対象へのEVの調製物の投与を容易にすることである。
【0146】
[0150]用語「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらのアナログ、又はそれらの混合物を含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指す。この用語は分子の一次構造を指す。よって、この用語には、三本鎖、二本鎖及び一本鎖のデオキシリボ核酸(「DNA」)、並びに三本鎖、二本鎖及び一本鎖のリボ核酸(「RNA」)が含まれる。例えば、アルキル化、及び/又はキャッピングによる修飾形態のポリヌクレオチド、並びに非修飾形態のポリヌクレオチドも含まれる。ある特定の態様では、用語「ポリヌクレオチド」は、tRNA、rRNA、hRNA、siRNA及びmRNAを含む、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有する)、ポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有する)、スプライシングされたか又はスプライシングされていないかにかかわらず、プリン塩基又はピリミジン塩基のN-又はC-グリコシドである他の種類のポリヌクレオチド、並びに非ヌクレオチド骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸「PNA」)及びポリモルホリノポリマー、並びにポリマーが、DNA及びRNAに見られるような塩基対合及び塩基スタッキングを可能にする立体配置で核酸塩基を含有する他の合成配列特異的核酸ポリマーを含む。特定の態様では、ポリヌクレオチドは、mRNAを含む。ある特定の態様では、mRNAは、合成mRNAである。一部の態様では、合成mRNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。一部の態様では、ある特定の分類のすべての核酸塩基は、非天然核酸塩基で置き換えられている(例えば、本明細書で開示されているポリヌクレオチドのすべてのウリジンは、非天然核酸塩基、例えば5-メトキシウリジンで置き換えられている可能性がある)。本開示の一部の態様では、生物学的に活性な分子は、ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)である。
【0147】
[0151]用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは、修飾されたアミノ酸を含み得る。この用語は、天然に又は介入;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は標識構成成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作若しくは修飾によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1つ又は複数のアナログ(例えば、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸、及びクレアチンなどの非天然アミノ酸を含む)を含有するポリペプチド、及び当技術分野で公知の他の修飾もこの定義内に含まれる。
【0148】
[0152]用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、任意のサイズ、構造、又は機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。ポリペプチドは、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、ホモログ、オルソログ、パラログ、前記のものの断片及び他の均等物、バリアント、及びアナログを含む。ポリペプチドは、単一のポリペプチドであっても、又は二量体、三量体若しくは四量体などの多分子の複合体であってもよい。これらは、一本鎖又は複数鎖のポリペプチドも含み得る。最も一般的なジスルフィド連結は、複数鎖のポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的アナログであるアミノ酸ポリマーにも当てはまる可能性がある。一部の態様では、「ペプチド」は、50アミノ酸長未満であるか又はそれに等しい、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50アミノ酸長であり得る。
【0149】
[0153]用語「防止する(prevent)」、「防止すること(preventing)」、及びその変形は、本明細書で使用される場合、疾患、障害及び/若しくは状態の発症を部分的若しくは完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/若しくは状態の1つ若しくは複数の症状、特徴、若しくは臨床症状の発症を部分的若しくは完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/若しくは状態の1つ若しくは複数の症状、特徴、若しくは症状の発症を部分的若しくは完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/若しくは状態からの進行を部分的若しくは完全に遅延させること;並びに/又は疾患、障害、及び/若しくは状態に関連する病態を発症するリスクを低下させることを指す。一部の態様では、転帰を防止することは、予防的処置によって実現される。
【0150】
[0154]本明細書で使用される場合、用語「産生細胞」は、EVを生成するために使用される細胞を指す。産生細胞は、in vitroで培養される細胞であるか、又はin vivoの細胞であり得る。産生細胞としては、以下に限定されないが、EVを生成するのに有効であることが知られている細胞、例えば、HEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、間葉系幹細胞(MSC)、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪間葉系幹細胞、RPTEC/TERT1細胞が挙げられる。ある特定の態様では、産生細胞は、抗原提示細胞ではない。一部の態様では、産生細胞は、樹状細胞、B細胞、マスト細胞、マクロファージ、好中球、Kupffer-Browicz細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、又はこれらのいずれかの組合せではない。
【0151】
[0155]本明細書で使用される場合、「予防の」は、疾患若しくは状態の発症を予防するために、又は疾患若しくは状態に関連する症状を防止若しくは遅延させるために使用される治療法又は一連の作用を指す。
【0152】
[0156]本明細書で使用される場合、「予防」は、健康を維持し、出血エピソードの発症を予防若しくは遅延させるために、又は疾患若しくは状態に関連する症状を防止若しくは遅延させるためにとられる手段を指す。
【0153】
[0157]「組換え」ポリペプチド又はタンパク質は、組換えDNA技術によって産生されるポリペプチド又はタンパク質を指す。操作された宿主細胞において発現される組換えによって産生されたポリペプチド及びタンパク質は、本開示の目的のために単離されたと考えられ、任意の好適な技法によって分離され、画分化され、又は部分的若しくは実質的に精製された天然ポリペプチド又は組合せポリペプチドも同様である。本明細書で開示されているポリペプチドは、当技術分野で公知の方法を使用して組換えによって産生され得る。或いは、本明細書で開示されているタンパク質及びペプチドは、化学的に合成することができる。本開示の一部の態様では、EVに存在するエクソソームタンパク質は、産生細胞においてエクソソームタンパク質を過剰発現させることによって組換えにより産生され、その結果、得られたEV中のエクソソームタンパク質のレベルは、このようなエクソソームタンパク質を過剰発現していない産生細胞のEV中に存在するエクソソームタンパク質のレベルに対して有意に増加する。
【0154】
[0158]本明細書で使用される場合、用語「エクソソームタンパク質」は、EVの表面で特定されたEVタンパク質を指す。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第10,195,290号を参照されたい。エクソソームタンパク質の非限定的な例としては、プロスタグランジンF2受容体陰性調節因子(「PTGFRN」);ベイシジン(「BSG」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(「IGSF2」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(「IGSF3」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(「IGSF8」);インテグリンベータ-1(「ITGB1」);インテグリンアルファ-4(「ITGA4」);4F2細胞表面抗原重鎖(「SLC3A2」);及びATPトランスポータータンパク質のクラス(「ATP1A1」、「ATP1A2」、「ATP1A3」、「ATP1A4」、「ATP1B3」、「ATP2B1」、「ATP2B2」、「ATP2B3」、「ATP2B」)が挙げられる。一部の態様では、エクソソームタンパク質は、全タンパク質又はその断片(例えば、機能的断片、例えば、EVの外部表面又は内腔表面に別の部位を係留することが可能な最小断片)であり得る。一部の態様では、エクソソームタンパク質は、生物学的に活性な分子を、EVの外部表面又は内腔に係留することができる。本開示に関して使用することができる他のエクソソームタンパク質の非限定的な例としては、アミノペプチダーゼN(CD13);Neprilysin、別名膜メタロエンドペプチダーゼ(MME);エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー1(ENPP1);Neuropilin-1(NRP1);CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリン、LAMP2、及びLAMP2Bが挙げられる。
【0155】
[0159]Eの内腔内で特定されたさらなるエクソソームタンパク質。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2020/0347112を参照されたい。エクソソームタンパク質の非限定的な例としては、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(「MARCKS」)、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(「MARCKSL1」)、及び脳酸可溶性タンパク質1(「BASP1」)が挙げられる。一部の態様では、エクソソームタンパク質は、全タンパク質又はその断片(例えば、機能的断片、例えばEVの内腔表面に部位を係留することが可能な最小断片)であり得る。一部の態様では、エクソソームは、部分をEVの内腔表面に係留させ得る。本開示の一部の態様では、部分はエクソソームに共有結合され得る。
【0156】
[0160]本明細書で使用される場合、用語「類似性」は、ポリマー分子間、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)間及び/又はポリペプチド分子間の全体的関連性を指す。ポリマー分子の互いへの類似性パーセントの計算は、類似性パーセントの計算では当技術分野で理解されている保存的置換を考慮に入れること以外は、同一性パーセントの計算と同じように実施することができる。類似性のパーセンテージが、使用される比較スケール、すなわち、アミノ酸が、例えば、それらの進化的近接性、電荷、体積、可撓性、極性、疎水性、芳香族性、等電点、抗原性、又はこれらの組合せに従って比較されるかどうかに依存することが理解される。
【0157】
[0161]用語「スペーサー」は、本明細書で使用される場合、2つの間隔のあいた部分(例えば、切断性リンカー及び生物学的に活性な分子)を共有結合により連結させて、通常安定な異なる分子にすることが可能な二官能性の化学的部分を指す。
【0158】
[0162]別段に示されていない限り、1つ又は複数の立体中心を有する化合物への言及は、その各立体異性体、及び立体異性体のすべての組合せを意図する。
【0159】
[0163]用語「対象」、「患者」、「個体」、及び「宿主」、並びにこれらの変形は、本明細書で互換的に使用され、診断、処置、又は治療が所望される、ヒト、飼育動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、及び実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)、特にヒトを含むがこれらに限定されない任意の哺乳動物対象を指す。本明細書に記載の方法は、ヒトの治療と獣医学的適用の両方に適用可能である。
【0160】
[0164]本明細書で使用される場合、用語「実質的に含まない」は、EVを含む試料が、質量/体積(m/v)パーセンテージ濃度で、10%未満の巨大分子、例えば夾雑物しか含まない。一部の画分は、0.001%未満、0.01%未満、0.05%未満、0.1%未満、0.2%未満、0.3%未満、0.4%未満、0.5%未満、0.6%未満、0.7%未満、0.8%未満、0.9%未満、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、又は10%未満(m/v)の巨大分子しか含有しない場合がある。
【0161】
[0165]本明細書で使用される場合、用語「表面を操作されたEV」は、操作されたEVの表面が修飾前のEV又は天然に存在するEVの表面と異なるように、EVの膜又は表面の組成が修飾されたEVを指す。
【0162】
[0166]本明細書で使用される場合、用語「表面を操作されたエクソソーム」は、操作されたエクソソームの表面が修飾前のエクソソーム又は天然に存在するエクソソームの表面と異なるように、エクソソームの膜又は表面(外部表面又は内腔表面)の組成が修飾されたエクソソームを指す。
【0163】
[0167]操作は、EVの表面が変化するように、EVの表面及び/又は膜内でなされ得る。例えば、膜は、例えば、タンパク質、脂質、小分子、炭水化物、又はこれらの組合せの組成が修飾され得る。組成は、化学的、物理的、若しくは生物学的な方法によって、又は化学的、物理的、若しくは生物学的な方法によって以前に若しくは同時に修飾された細胞から生成されることによって変化させることができる。具体的には、組成は、遺伝子工学によって、又は遺伝子工学によって以前に修飾された細胞から生成されることによって変化させることができる。一部の態様では、表面を操作されたEVは、EVの表面に露出され得るか、又はEVの表面に露出された部分のアンカーポイント(結合)となり得る、外因性タンパク質(すなわち、EVが天然には発現しないタンパク質)又はその断片若しくはバリアントを含む。一部の態様では、表面を操作されたEVは、EVの表面に露出され得るか、又はEVの表面に露出された部分のアンカーポイント(結合)となり得る、より高い発現の(例えば、より多数の)天然のEV、例えばエクソソームタンパク質(例えば、PTGFRN)又はその断片若しくはバリアントを含む。
【0164】
[0168]本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」は、それを必要とする対象に所望の治療効果、薬理学的効果及び/又は生理学的効果をもたらすのに十分である、本明細書に記載のEVを含む試薬又は医薬化合物の量である。治療有効量は、予防を治療と考えることができるため、「予防有効量」であり得る。
【0165】
[0169]用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」、又は「処置すること(treating)」は、本明細書で使用される場合、例えば、疾患又は状態の重症度の低減;疾患経過期間の低減;疾患又は状態に関連する1つ又は複数の症状の軽快又は排除;疾患又は状態を必ずしも治癒させることなく、疾患又は状態を有する対象に有益な効果を提供することを指す。この用語は、疾患若しくは状態又はその症状の予防又は防止も含む。一態様では、用語「処置すること(treating)」又は「処置(treatment)」は、対象において抗原に対する免疫応答を誘導することを意味する。
【0166】
[0170]本明細書で使用される場合、分子(例えば、機能的分子、抗原、又はエクソソームタンパク質)の「バリアント」という用語は、当技術分野で公知の方法によって比較すると、別の分子とある特定の構造的及び機能的同一性を共有する分子を指す。例えば、タンパク質のバリアントは、別のタンパク質における置換、挿入、欠失、フレームシフト又は再配列を含み得る。
【0167】
[0171]天然に存在するバリアントは、「対立遺伝子バリアント」と呼ばれ、生物の染色体上の所与の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替形態のうちの1つを指す(Genes II、Lewin,B.編、John Wiley & Sons、New York(1985))。これらの対立遺伝子バリアントは、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドレベルで変化する可能性があり、本開示に含まれる。或いは、天然に存在しないバリアントは、突然変異誘発技法又は直接的合成によって産生され得る。
【0168】
[0172]タンパク質操作及び組換えDNA技術の公知の方法を使用して、ポリペプチドの特徴を改善又は変更するためにバリアントが生成され得る。例えば、1つ又は複数のアミノ酸は、生物学的機能を実質的に喪失させずに、分泌タンパク質のN末端又はC末端から欠失され得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ronら、J. Biol. Chem. 268:2984~2988頁(1993)は、3、8、又は27個のアミノ末端のアミノ酸残基を欠失させた後にもヘパリン結合活性を有するバリアントKGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンガンマは、このタンパク質のカルボキシ末端から8~10個のアミノ酸残基を欠失させた後に、最大10倍高い活性を呈した。(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Dobeliら、J. Biotechnology 7:199~216頁(1988))。
【0169】
[0173]さらに、バリアントが天然に存在するタンパク質と同様の生物活性を保持することが多いことを実証する十分な証拠がある。例えば、Gayle及び共同研究者(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、J. Biol. Chem 268:22105~22111頁(1993))は、ヒトサイトカインIL-1aの広範な変異解析を行った。彼らは、ランダム突然変異誘発を使用して、3,500個を超える個々のIL-1a変異体を生成し、分子の全長にわたってバリアント当たり平均2.5個のアミノ酸を変化させた。複数の変異が、可能性のあるすべてのアミノ酸位置で調査された。研究者らは、「分子の大部分が、(結合又は生物活性)にほとんど影響を与えることなく変更され得る」ことを発見した。(要約を参照されたい)。実際、調査された3500を超えるヌクレオチド配列のうち、野生型と活性が有意に異なるタンパク質を産生したのは、23個の固有のアミノ酸配列だけであった。
【0170】
[0174]上述したように、バリアント又は誘導体は、例えば、修飾されたポリペプチドを含む。一部の態様では、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖タンパク質のバリアント又は誘導体は、化学修飾及び/又は内因性修飾の結果である。一部の態様では、バリアント又は誘導体は、in vivo修飾の結果である。一部の態様では、バリアント又は誘導体は、in vitro修飾の結果である。さらに一部の態様では、バリアント又は誘導体は、産生細胞における細胞内修飾の結果である。
【0171】
II.ペイロードの負荷方法
[0175]EVの負荷効率が増加するように、EVにペイロードを負荷する方法が本明細書に記載されている。
【0172】
[0176]一部の態様では、EVを生成する方法は、目的の1つ又は複数の部分(例えば、ペイロード)をEV中又はEV上に直接的に導入することによって単離されたEVを修飾するステップを含む。例えば、本明細書に記載されているように、ペイロード(例えば、ASO)は、例えば、本明細書に記載の負荷条件下で、ペイロードをEVと混合するステップによってEVに導入され得る。一部の態様では、ペイロードをEVと混合するステップにより、コレステロールがEVの脂質膜と相互作用し、それにより、ペイロードをEVの外側表面に結合させることが可能になるように、ペイロードをコレステロールにコンジュゲートする。本明細書で使用される場合、用語「混合するステップ」は、EVにペイロードが負荷され得る、例えば、ペイロードがEVの外側表面に関連する(例えば、外部表面にコンジュゲートされる)、ペイロードがEVの内腔表面に関連する(例えば、内腔表面にコンジュゲートされる)、ペイロードがEVの内腔内に存在するように、又はこれらの任意の組合せであるように、ペイロードとEVとをより近接させるプロセスを指す。別段に示されていない限り、混合するステップは、当技術分野で公知の任意の好適な方法を使用して実施することができる。例えば、一部の態様では、混合するステップは、バッチモードで起こり得る(例えば、ペイロード及びEVは、混合プロセスの開始時に添加される)。一部の態様では、混合するステップは、連続的プロセスで起こり得る(例えば、ペイロード及びEVは、混合プロセスの経過中に、例えば連続的撹拌槽反応器(CSTR)中で、混合物に連続的に添加される)。一部の態様では、混合するステップは、セミバッチモードで起こり得る。一部の態様では、混合するステップは、半連続モードで起こり得る。
【0173】
[0177]ある特定の態様では、1つ又は複数の部分(例えば、ペイロード)は、トランスフェクションによってEVに導入される。一部の態様では、1つ又は複数の部分(例えば、ペイロード)は、カチオン性の脂質及びポリマーなどの合成巨大分子を使用してEV中に導入され得る(Papapetrouら、Gene Therapy 12: S118~S130頁(2005))。ある特定の態様では、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、又はポリブレンなどの化学物質は、1つ又は複数の部分(例えば、ペイロード)をEVに導入するために使用することができる。
【0174】
[0178]一部の態様では、1つ又は複数の部分(例えば、ペイロード)は、EVの表面にコンジュゲートされ得る(すなわち、EVの外側表面又はEVの内腔表面にコンジュゲートされ得るか又は直接的に連結され得る)。コンジュゲーションは、当技術分野で公知の方法によって、化学的又は酵素的に実現され得る。
【0175】
[0179]一部の態様では、EVは、化学的にコンジュゲートされた1つ又は複数の部分(例えば、ペイロード)を含む。化学的コンジュゲーションは、本明細書で開示されているリンカー又は親和性リガンドを使用して又は使用せずに、1つ又は複数の部分(例えば、ペイロード及び/又は標的部分)を別の分子に共有結合させることによって達成され得る。このようなコンジュゲートの形成は、当業者の技術の範囲内であり、コンジュゲーションを達成するための様々な技法が公知であり、コンジュゲートされる物質によってガイドされる特定の技法が選択される。ある特定の態様では、ポリペプチドがEVにコンジュゲートされる。一部の態様では、脂質、炭水化物、核酸、及び小分子などの非ポリペプチドがEVにコンジュゲートされる。
【0176】
[0180]本明細書に記載されるように、本明細書において提供される方法を使用してペイロードをEVに負荷することは、負荷効率を増加させるだけでなく、EVの1つ又は複数の追加の特性も改善させ得る。本明細書において実証されるように(例えば、実施例6を参照されたい)、一部の態様では、本明細書において提供される負荷パラメーター(例えば、塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、EV供給濃度)は、ペイロードの負荷後にEVの安定性を改善することができる。本明細書で使用される場合、用語「安定性」は、化合物(例えば、本明細書に記載のものなどのペイロードが負荷されたEV)の、貯蔵寿命を通して特定の制限内で、その化学的、物理的、微生物学的、及び/又は生物製剤的特性を保持する能力を指す。例えば、一部の態様では、ペイロードを負荷したEVは、複数の(例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、又は少なくとも5回の)凍結及び解凍処置後に安定なままである。一部の態様では、ペイロードを負荷したEVは安定なままであり、次の精製ステップの間も凝集しにくい。いかなる理論にも拘束されるものではないが、安定性が増すため、ペイロードは、EVに負荷されると、EVに関連したままである。したがって、一部の態様では、本明細書において提供される負荷方法は、EV負荷後のEVからのペイロードの解離を減少させるのに役立つ。また、本開示から明らかなように、一部の態様では、負荷効率の増加により、EVの効力を改善することができる(例えば、実施例4を参照されたい)。
【0177】
II.A.塩濃度
[0181]一部の態様では、本開示は、EVにペイロードを負荷する方法であって、塩を含む緩衝剤(本明細書において「負荷緩衝剤」とも称される)中でペイロードをEVと混合するステップを含み、塩の濃度(「塩濃度」)が、参照緩衝剤(例えば、塩を含まないか又は本開示の負荷緩衝剤の塩濃度よりも低い塩濃度を有する対応する緩衝剤)と比較して、増加している、方法を提供する。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、参照緩衝剤の塩濃度と比較して、約0.1倍より高いか、約0.2倍より高いか、約0.3より高いか、約0.4より高いか、約0.5より高いか、約0.6より高いか、約0.7より高いか、約0.8より高いか、約0.9より高いか、約1より高いか、約2より高いか、約3より高いか、約4より高いか、約5より高いか、約6より高いか、約7より高いか、約8より高いか、約9より高いか、約10より高いか、約15より高いか、約20より高いか、約25より高いか、約30より高いか、約35より高いか、約40倍より高いか、約45倍より高いか、又は約50倍より高い。
【0178】
[0182]一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、少なくとも約1mM、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約20mM、少なくとも約30mM、少なくとも約40mM、少なくとも約50mM、少なくとも約60mM、少なくとも約70mM、少なくとも約80mM、少なくとも約90mM、少なくとも約100mM、少なくとも約110mM、少なくとも約120mM、少なくとも約130mM、少なくとも約140mM、少なくとも約150mM、少なくとも約160mM、少なくとも約170mM、少なくとも約180mM、少なくとも約190mM、少なくとも約200mM、少なくとも約225mM、少なくとも約250mM、少なくとも約275mM、少なくとも約300mM、少なくとも約325mM、少なくとも約350mM、少なくとも約375mM、少なくとも約400mM、少なくとも約425mM、少なくとも約450mM、少なくとも約475mM、又は少なくとも約500mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約500mM未満、約475mM未満、約450mM未満、約425mM未満、約400mM未満、約375mM未満、約350mM未満、約325mM未満、又は約300mM未満である。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約200mM未満、約190mM未満、約180mM未満、約170mM未満、約160mM未満、約150mM未満、約140mM未満、約130mM未満、約120mM未満、又は約110mM未満である。
【0179】
[0183]一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約1mM~約150mMの間、約5mM~約150mMの間、約10mM~約150mMの間、約20mM~約150mMの間、約30mM~約150mMの間、約40mM~約150mMの間、約50mM~約150mMの間、約60mM~約150mMの間、約70mM~約150mMの間、約80mM~約150mMの間、約10mM~約140mMの間、約20mM~約140mMの間、約30mM~約140mMの間、約40mM~約140mMの間、約50mM~約140mMの間、約10mM~約130mMの間、約20mM~約130mMの間、約30mM~約130mMの間、約40mM~約130mMの間、約50mM~約130mMの間、約10mM~約120mMの間、約20mM~約120mMの間、約30mM~約120mMの間、約40mM~約120mMの間、約50mM~約120mMの間、約60mM~約120mMの間、約70mM~約120mMの間、約80mM~約120mMの間、約50mM~約100mMの間、約100mM~約150mMの間、又は約90mM~約110mMの間である。
【0180】
[0184]一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170m、約180mM、又は約190mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、又は約150mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約100mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約110mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約120mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約130mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約140mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約150mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約90mMである。ある特定の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約80mMである。
【0181】
[0185]一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約25mM~約500mMの間である。一部の態様では、塩濃度は、約150mM~約450mMの間である。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約150mM以上である。例えば、一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約175mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約200mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約225mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約250mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約275mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約300mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約325mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約350mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約375mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約400mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約425mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約450mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約475mMである。一部の態様では、負荷緩衝剤の塩濃度は、約500mMである。
【0182】
[0186]本明細書で実証されるように、負荷緩衝剤の塩濃度は、EV中のペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の負荷効率に影響を及ぼし得る。例えば、出願人は、負荷緩衝剤の塩濃度(例えば、特に、本明細書で開示されている塩濃度の範囲内)の増加によってEVの負荷効率が増加し得ることを特定した。したがって、一部の態様では、本明細書で開示されている塩濃度のうちの1つ又は複数を含む負荷緩衝剤中でペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)をEVと混合するステップにより、参照緩衝剤(塩を含まないか又は塩を含むがより低い濃度の塩を含む)中でのEVにおけるペイロードの負荷と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVにおける(例えば、外側表面への、内腔表面への、及び/又は内腔内への)ペイロードの負荷を増加させる。本開示から明らかであるように、ペイロードの負荷の増加は、EVのペイロード濃度の増加をもたらす。
【0183】
[0187]例えば、一部の態様では、塩濃度が増加した(例えば、本明細書に記載の塩濃度の範囲)負荷緩衝剤中でペイロードとEVとを混合するステップにより、EVの外側表面に関連するペイロードの量(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの数)が増加する。一部の態様では、EVの外側表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照緩衝剤と共に負荷された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、塩濃度が増加した負荷緩衝剤中でペイロードとEVとを混合するステップにより、EVの内腔表面に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照緩衝剤と共に負荷された場合のEVの内腔表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上増加している。一部の態様では、塩濃度が増加した負荷緩衝剤中でペイロードとEVとを混合するステップにより、EVの内腔に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照緩衝剤と共に負荷された場合のEVの内腔内のペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、塩濃度が増加した負荷緩衝剤中でペイロードとEVとを混合するステップにより、EVの外側表面、EVの内腔表面、EVの内腔、又はこれらの任意の組合せに関連するペイロードの量が増加する。
【0184】
[0188]本明細書に記載の負荷緩衝剤は、当技術分野で公知の任意の好適な塩を含み得る。一部の態様では、塩は、一価の塩、二価の塩、三価の塩、又はこれらの組合せを含む。ある特定の態様では、塩は、一価の塩を含む。一部の態様では、塩は、二価の塩を含む。一部の態様では、塩は、三価の塩を含む。このような塩の非限定的な例は、以下にさらに提供される。一部の態様では、塩は、NaCl(塩化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)、PO4(リン酸塩)、CaCl2(塩化カルシウム)、MgCl2(塩化マグネシウム)、Mg2SO4(硫酸マグネシウム)、ZnCl2(塩化亜鉛)、MnCl2(塩化マンガン)、MnSO4(硫酸マンガン)、NaSCN(チオシアン酸ナトリウム)、KSCN(チオシアン酸カリウム)、LiCl(塩化リチウム)、K2HPO4(リン酸二カリウム)、Na2SO4(硫酸ナトリウム)、NaPO4(リン酸ナトリウム)、K2SO4(リン酸カリウム)、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ヨウ化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、三塩化クロム、硫酸クロム、クエン酸ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化イットリウム(III)、硫酸カリウム、塩化第一鉄、クエン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化第二鉄、アルギニン-HCl、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、塩は、NaClを含む。
【0185】
[0189]一部の態様では、負荷効率の増加は、以下のいずれかによって実現され得る:塩若しくは塩濃度の変更、pHの変更、又は有機修飾剤、有機溶媒、小分子、洗剤、両性イオン、アミノ酸、ポリマー、ポリオール(例えば、スクロース、グルコース、トレハロース、マンノース、ソルビトール、マンニトール、グリセロールなど)、抗酸化剤(例えば、メチオニン)、EDTA、EGTA、ポリソルベート20、ポリソルベート80、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及び/若しくは尿素の添加、溶液の極性を変更する賦形剤の添加、EVの構造をモジュレートする賦形剤の添加、又はこれらの任意の組合せ。
【0186】
[0190]一部の態様では、負荷効率の増加は、一価の塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、塩化リチウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、及びヨウ化カリウム)、2価若しくは3価の塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、三塩化クロム、硫酸クロム、クエン酸ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化イットリウム(III)、リン酸カリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、塩化第一鉄、クエン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、又は塩化第二鉄)、又はこれらの組合せの濃度を増加させることによって実現され得る。
【0187】
II.B.負荷温度
[0191]本明細書において実証されるように、出願人は、ペイロードとEVとが混合される温度を上昇させること(本明細書において「負荷温度」とも称される)によって、EVの負荷効率も増加され得ることをさらに特定した。したがって、一部の態様では、本開示は、EVにペイロードを負荷する方法であって、約0℃より高い負荷温度(例えば、約2℃より高いか又は約4℃より高い)で、ペイロードをEVと混合するステップを含む、方法を提供する。一部の態様では、負荷温度は、少なくとも約0℃、少なくとも約1℃、少なくとも約2℃、少なくとも約3℃、少なくとも約4℃、少なくとも約5℃、少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約37℃、少なくとも約40℃、少なくとも約45℃、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、又は少なくとも約80℃である。一部の態様では、負荷温度は、約0℃~約40℃の間、約1℃~約40℃の間、約2℃~約40℃の間、約3℃~約40℃の間、約4℃~約40℃の間、約5℃~約40℃の間、約10℃~約40℃の間、約15℃~約40℃の間、約20℃~約40℃の間、約25℃~約40℃の間、約30℃~約40℃の間、約35℃~約40℃の間、約5℃~約38℃の間、約10℃~約38℃の間、約15℃~約38℃の間、約20℃~約38℃の間、約25℃~約38℃の間、約30℃~約38℃の間、約35℃~約38℃の間、約5℃~約37℃の間、約10℃~約37℃の間、約15℃~約37℃の間、約20℃~約37℃の間、約25℃~約37℃の間、約30℃~約37℃の間、又は約35℃~約37℃の間である。一部の態様では、負荷温度は、約0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、又は約80℃である。
【0188】
[0192]一部の態様では、負荷温度は、約0℃~約80℃の間である。一部の態様では、負荷温度は、約37℃~約70℃の間である。一部の態様では、負荷温度は、約37℃である。一部の態様では、負荷温度は、約40℃である。一部の態様では、負荷温度は、約45℃である。一部の態様では、負荷温度は、約50℃である。一部の態様では、負荷温度は、約55℃である。一部の態様では、負荷温度は、約60℃である。一部の態様では、負荷温度は、約65℃である。一部の態様では、負荷温度は、約70℃である。一部の態様では、負荷温度は、約75℃である。一部の態様では、負荷温度は、約80℃である。
【0189】
[0193]一部の態様では、本明細書に記載の負荷温度でペイロードとEVとを混合するステップにより、参照温度(例えば、負荷温度より低い)でのEVにおけるペイロードの負荷と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVにおける(外側表面への、内腔表面への、及び/又は内腔内への)ペイロードの負荷が増加する。本開示から明らかであるように、ペイロードの負荷の増加は、EVのペイロード濃度の増加をもたらす。
【0190】
[0194]一部の態様では、ペイロードとEVとが混合される負荷温度を上昇させることにより、EVの外側表面に関連するペイロードの量(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの数)が増加する。一部の態様では、EVの外側表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照温度で負荷された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、ペイロードとEVとが混合される負荷温度を上昇させることにより、EVの内腔表面に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照温度で負荷された場合のEVの内腔表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、ペイロードとEVとが混合される負荷温度を上昇させることにより、EVの内腔に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照温度で負荷された場合のEVの内腔内のペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、ペイロードとEVとが混合される負荷温度を上昇させることにより、EVの外側表面、EVの内腔表面、EVの内腔、又はこれらの任意の組合せに関連するペイロードの量が増加する。
【0191】
II.C.負荷期間
[0195]本明細書で実証されるように、一部の態様では、ペイロードとEVとを混合させる時間(本明細書において「負荷期間」とも称される)を増加させることにより、EVにおけるペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の負荷効率も増加し得る。一部の態様では、本開示は、EVにペイロードを負荷する方法であって、少なくとも約5分(例えば、少なくとも約1時間)の負荷期間、ペイロードをEVと混合するステップを含む、方法を提供する。ある特定の態様では、負荷期間は、約5分~約48時間の間、約5分~約42時間の間、約5分~約36時間の間、約5分~約40時間の間、約5分~約24時間の間、約10分~約48時間の間、約10分~約42時間の間、約10分~約36時間の間、約10分~約30時間の間、約10分~約24時間の間、約20分~約48時間の間、約20分~約42時間の間、約20分~約36時間の間、約20分~約30時間の間、約20分~約24時間の間、約30分~約48時間の間、約30分~約42時間の間、約30分~約36時間の間、約30分~約30時間の間、約30分~約24時間の間、約1時間~約48時間の間、約1時間~約42時間の間、約1時間~約36時間の間、約1時間~約30時間の間、約1時間~約24時間の間、約6時間~約48時間の間、約6時間~約42時間の間、約6時間~約36時間の間、約6時間~約30時間の間、約6時間~約24時間の間、約12時間~約48時間の間、約12時間~約42時間の間、約12時間~約36時間の間、約12時間~約30時間の間、又は約12時間~約24時間の間である。ある特定の態様では、負荷期間は、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、又は約48時間である。
【0192】
[0196]一部の態様では、負荷期間は、約1時間~約10日間の間である。一部の態様では、負荷期間は、約24時間~約7日間の間である。一部の態様では、負荷期間は、約1時間である。一部の態様では、負荷期間は、約6時間である。一部の態様では、負荷期間は、約12時間である。一部の態様では、負荷期間は、約24時間である。一部の態様では、負荷期間は、約2日間である。一部の態様では、負荷期間は、約3日間である。一部の態様では、負荷期間は、約4日間である。一部の態様では、負荷期間は、約5日間である。一部の態様では、負荷期間は、約6日間である。一部の態様では、負荷期間は、約7日間である。一部の態様では、負荷期間は、約8日間である。一部の態様では、負荷期間は、約9日間である。一部の態様では、負荷期間は、約10日間である。
【0193】
[0197]一部の態様では、本明細書に記載の負荷期間(例えば、少なくとも約24時間)でペイロードとEVとを混合するステップにより、参照期間(例えば、負荷期間より短い)でのEVにおけるペイロードの負荷と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVにおける(外側表面への、内腔表面への、及び/又は内腔内への)ペイロードの負荷が増加する。本開示から明らかであるように、ペイロードの負荷の増加は、EVのペイロード濃度の増加をもたらす。
【0194】
[0198]一部の態様では、負荷期間を増加させることにより、EVの外側表面に関連するペイロードの量(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの数)が増加する。一部の態様では、EVの外側表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照期間でEVと混合された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、負荷期間を増加させることにより、EVの内腔表面に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照期間でEVと混合された場合のEVの内腔表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、負荷期間を増加させることにより、EVの内腔に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照期間でEVと混合された場合のEVの内腔表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、負荷期間を増加させることにより、EVの外側表面、EVの内腔表面、EVの内腔、又はこれらの任意の組合せに関連するペイロードの量が増加する。
【0195】
II.D.ペイロード供給濃度
[0199]一部の態様では、本明細書において提供されるEVにペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を負荷する方法は、EVとペイロードとが混合されるペイロード供給濃度を増加させるステップを含み、ペイロード供給濃度の増加は、ペイロードの負荷効率を増強する。本明細書で使用される場合、用語「ペイロード供給濃度」は、本明細書に記載の負荷方法において、EVと混合されるペイロードの量を指す。
【0196】
[0200]一部の態様では、ペイロード供給濃度は、少なくとも約10μM、少なくとも約20μM、少なくとも約30μM、少なくとも約40μM、少なくとも約50μM、少なくとも約60μM、少なくとも約70μM、少なくとも約80μM、少なくとも約90μM、少なくとも約100μM、少なくとも約150μM、少なくとも約200μM、少なくとも約250μM、少なくとも約300μM、少なくとも約350μM、少なくとも約400μM、少なくとも約450μM、少なくとも約500μM、少なくとも約550μM、少なくとも約600μM、少なくとも約650μM、少なくとも約700μM、少なくとも約750μM、少なくとも約800μM、少なくとも約850μM、少なくとも約900μM、少なくとも約950μM、少なくとも約1000μM、少なくとも約1050μM、少なくとも約1100μM、少なくとも約1150μM、少なくとも約1200μM、少なくとも約1250μM、少なくとも約1300μM、少なくとも約1350μM、少なくとも約1400μM、少なくとも約1450μM、少なくとも約1500μM、少なくとも約1600μM、少なくとも約1700μM、少なくとも約1800μM、少なくとも約1900μM、少なくとも約2000μM、少なくとも約2100μM、少なくとも約2200μM、少なくとも約2300μM、少なくとも約2400μM、少なくとも約2500μM、少なくとも約2600μM、少なくとも約2700μM、少なくとも約2800μM、少なくとも約2900μM、又は少なくとも約3000μMである。一部の態様では、ペイロード供給濃度は、約600μMである。一部の態様では、ペイロード供給濃度は、約800μMである。
【0197】
[0201]一部の態様では、ペイロード供給濃度は、約50μM~約1000μMの間、約100μM~約1000μMの間、約200μM~約1000μMの間、約300μM~約1000μMの間、約400μM~約1000μMの間、約500μM~約1000μMの間、約50μM~約900μMの間、約100μM~約900μMの間、約200μM~約900μMの間、約300μM~約900μMの間、約400μM~約900μMの間、約500μM~約900μMの間、約50μM~約800μMの間、約100μM~約800μMの間、約200μM~約800μMの間、約300μM~約800μMの間、約400μM~約800μMの間、約500μM~約800μMの間、約50μM~約700μMの間、約100μM~約700μMの間、約200μM~約700μMの間、約300μM~約700μMの間、約400μM~約700μMの間、又は約500μM~約700の間である。一部の態様では、ペイロード供給濃度は、約1000μM~約1100μMの間、約1200μM~約1300μMの間、約1300μM~約1400μMの間、約1400μM~約1500μMの間、約1500μM~約1600μMの間、約1600μM~約1700μMの間、約1700μM~約1800μMの間、約1800μM~約1900μMの間、約1900μM~約2000μMの間、約2000μM~約2100μMの間、約2100μM~約2200μMの間、約2200μM~約2300μMの間、約2300μM~約2400μMの間、約2400μM~約2500μMの間、約2500μM~約2600μMの間、約2600μM~約2700μMの間、約2700μM~約2800μMの間、約2800μM~約2900μMの間、又は約2900μM~約3000μMの間である。
【0198】
[0202]本明細書に記載されるように、一部の態様では、ペイロード供給濃度を増加させることにより、参照ペイロード供給濃度(例えば、本明細書に記載のペイロード供給濃度より低い)と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVにおける(外側表面への、内腔表面への、及び/又は内腔内への)ペイロードの負荷が増加する。本開示から明らかであるように、ペイロードの負荷の増加は、EVのペイロード濃度の増加をもたらす。
【0199】
[0203]一部の態様では、ペイロード供給濃度を増加させることにより、EVの外側表面に関連するペイロードの量(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの数)が増加する。一部の態様では、EVの外側表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照ペイロード供給濃度でEVと混合された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、ペイロード供給濃度を増加させることにより、EVの内腔表面に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照ペイロード供給濃度でEVと混合された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、ペイロード供給濃度を増加させることにより、EVの内腔に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照ペイロード供給濃度でEVと混合された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、ペイロード供給濃度を増加させることにより、EVの外側表面、EVの内腔表面、EVの内腔、又はこれらの任意の組合せに関連するペイロードの量が増加する。
【0200】
II.E.EV供給濃度
[0204]一部の態様では、本開示は、EVにペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を負荷する方法であって、EV供給濃度を増加させてペイロードとEVとを混合するステップを含み、EV供給濃度の増加によりペイロードの負荷効率が増強される、方法を提供する。本明細書で使用される場合、用語「EV供給濃度」は、本開示の負荷方法において、ペイロードと混合されるEVの量を指す。
【0201】
[0205]一部の態様では、EV供給濃度は、少なくとも約1×1011個の粒子/mL(p/mL)、少なくとも約2×1011p/mL、少なくとも約3×1011p/mL、少なくとも約4×1011p/mL、少なくとも約5×1011p/mL、少なくとも約6×1011p/mL、少なくとも約7×1011p/mL、少なくとも約8×1011p/mL、少なくとも約9×1011p/mL、少なくとも約0.1×1013p/mL、少なくとも約0.2×1013p/mL、少なくとも約0.3×1013p/mL、少なくとも約0.4×1013p/mL、少なくとも約0.5×1013p/mL、少なくとも約0.6×1013p/mL、少なくとも約0.7×1013p/mL、少なくとも約0.8×1013p/mL、少なくとも約0.9×1013p/mL、少なくとも約1.0×1013p/mL、少なくとも約1.1×1013p/mL、少なくとも約1.2×1013p/mL、少なくとも約1.3×1013p/mL、少なくとも約1.4×1013p/mL、少なくとも約1.5×1013p/mL、少なくとも約1.6×1013p/mL、少なくとも約1.7×1013p/mL、少なくとも約1.8×1013p/mL、少なくとも約1.9×1013p/mL、少なくとも約2.0×1013p/mL、少なくとも約2.1×1013p/mL、少なくとも約2.2×1013p/mL、少なくとも約2.3×1013p/mL、少なくとも約2.4×1013p/mL、少なくとも約2.5×1013p/mL、少なくとも約2.6×1013p/mL、少なくとも約2.7×1013p/mL、少なくとも約2.8×1013p/mL、少なくとも約2.9×1013p/mL、少なくとも約3.0×1013p/mL、少なくとも約4×1013p/mL、少なくとも約5×1013p/mL、少なくとも約6×1013p/mL、少なくとも約7×1013p/mL、少なくとも約8×1013p/mL、少なくとも約9×1013p/mL、又は少なくとも約1×1014p/mLである。一部の態様では、EV供給濃度は、約1.0×013p/mLである。一部の態様では、EV供給濃度は、約1.4×1013p/mLである。一部の態様では、EV供給濃度は、約6.0×1012p/mLである。
【0202】
[0206]一部の態様では、EV供給濃度は、約0.2×1013p/mL~約2.0×1013p/mLの間、約0.4×1013p/mL~約2.0×1013p/mLの間、約0.6×1013p/mL~約2.0×1013p/mLの間、約0.8×1013p/mL~約2.0×1013p/mLの間、約1.0×1013p/mL~約2.0×1013p/mLの間、約0.2×1013p/mL~約1.8×1013p/mLの間、約0.4×1013p/mL~約1.8×1013p/mLの間、約0.6×1013p/mL~約1.8×1013p/mLの間、約0.8×1013p/mL~約1.8×1013p/mLの間、約1.0×1013p/mL~約1.8×1013p/mLの間、約0.2×1013p/mL~約1.6×1013p/mLの間、約0.4×1013p/mL~約1.6×1013p/mLの間、約0.6×1013p/mL~約1.6×1013p/mLの間、約0.8×1013p/mL~約1.6×1013p/mLの間、約1.0×1013p/mL~約1.6×1013p/mLの間、約0.2×1013p/mL~約1.4×1013p/mLの間、約0.4×1013p/mL~約1.4×1013p/mLの間、約0.6×1013p/mL~約1.4×1013p/mLの間、約0.8×1013p/mL~約1.4×1013p/mLの間、約1.0×1013p/mL~約1.4×1013p/mLの間、約0.2×1013p/mL~約1.2×1013p/mLの間、約0.4×1013p/mL~約1.2×1013p/mLの間、約0.6×1013p/mL~約1.2×1013p/mLの間、約0.8×1013p/mL~約1.2×1013p/mL、又は約1.0×1013p/mL~約1.2×1013p/mLの間である。一部の態様では、EV供給濃度は、約2×1013p/mL~約1×1014p/mLの間、約3×1013p/mL~約1×1014p/mLの間、約4×1013p/mL~約1×1014p/mLの間、約5×1013p/mL~約1×1014p/mLの間、約6×1013p/mL~約1×1014p/mLの間、約7×1013p/mL~約1×1014p/mLの間、約8×1013p/mL~約1×1014p/mLの間、又は約9×1013p/mL~約1×1014p/mLの間である。
【0203】
[0207]一部の態様では、EV供給濃度を増加させることにより、参照EV供給濃度(例えば、本明細書に記載の供給濃度より低い)と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVにおける(外側表面への、内腔表面への、及び/又は内腔内への)ペイロードの負荷が増加する。本開示から明らかであるように、ペイロードの負荷の増加は、EVのペイロード濃度の増加をもたらす。
【0204】
[0208]一部の態様では、EV供給濃度を増加させることにより、EVの外側表面に関連するペイロードの量(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの数)が増加する。一部の態様では、EVの外側表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照EV供給濃度でEVと混合された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、EV供給濃度を増加させることにより、EVの内腔表面に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔表面に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照EV供給濃度でEVと混合された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、EV供給濃度を増加させることにより、EVの内腔に関連するペイロードの量が増加する。一部の態様では、EVの内腔に関連するペイロードの量は、参照量(例えば、ペイロードが参照EV供給濃度でEVと混合された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。一部の態様では、EV供給濃度を増加させることにより、EVの外側表面、EVの内腔表面、EVの内腔、又はこれらの任意の組合せに関連するペイロードの量が増加する。
【0205】
[0209]本開示から明らかなように、一部の態様では、本開示の負荷方法は、本明細書に記載のものなどの複数の(例えば、2つ以上の)負荷パラメーターをモジュレートするステップを含み得る。一部の態様では、塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、EV供給濃度、又はこれらの組合せを増加させる。
【0206】
[0210]例えば、一部の態様では、本明細書において提供されるEVにペイロードを負荷する方法は、負荷緩衝剤の塩濃度(例えば、約150mM以上)と負荷温度(例えば、約37℃以上)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、ペイロードとEVとがこのような条件下で混合される場合、負荷効率は、ペイロードとEVとが、(i)塩濃度が低下した負荷緩衝剤中で、(ii)低下した負荷温度で、又は(iii)塩濃度が低下した負荷緩衝剤中で、かつ低下した負荷温度で混合された場合に観察される負荷効率と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。
【0207】
[0211]一部の態様では、本明細書において提供される負荷方法は、複数の負荷パラメーターをモジュレートして、EV中のペイロードの負荷効率を増加させるステップを含み得る。例えば、一部の態様では、本明細書において提供されるEVにペイロードを負荷する方法は、負荷緩衝剤の塩濃度(例えば、約150mM以上)と負荷期間(例えば、少なくとも約24時間)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、方法は、負荷温度(例えば、約37℃以上)と負荷期間(例えば、少なくとも約24時間)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、本明細書において提供される負荷方法は、負荷緩衝剤の塩濃度を増加させるステップ(例えば、約150mM以上)と、負荷温度を上昇させるステップ(例えば、約37℃以上)と、負荷期間を増加させるステップ(例えば、少なくとも約24時間)とを含む。一部の態様では、ペイロードとEVとがこのような条件下で混合される場合、負荷効率は、ペイロードとEVとが、(i)塩濃度が低下した負荷緩衝剤中で、(ii)低下した負荷温度で、(iii)より短い負荷期間で、又は(iv)(i)~(iii)のいずれかの組合せで混合された場合に観察される負荷効率と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。
【0208】
[0212]一部の態様では、本明細書において提供される負荷方法は、負荷緩衝剤の塩濃度(例えば、約150mM以上)とペイロード供給濃度(例えば、約800μM以上)との両方を増加させるステップを含み得る。一部の態様では、負荷方法は、負荷温度(例えば、約37℃以上)とペイロード供給濃度(例えば、約800μM以上)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、本明細書において提供されるEVにペイロードを負荷する方法は、負荷期間(例えば、少なくとも約24時間)とペイロード供給濃度(例えば、約800μM以上)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、負荷効率を増加させるために、本明細書において提供される負荷方法は、負荷緩衝剤の塩濃度(例えば、約150mM以上)、負荷温度(例えば、約37℃以上)、負荷期間(例えば、少なくとも約24時間)、及びペイロード供給濃度(例えば、約800μM以上)を増加させるステップを含む。一部の態様では、ペイロードとEVとがこのような条件下で混合される場合、負荷効率は、ペイロードとEVとが、(i)塩濃度が低下した負荷緩衝剤中で、(ii)低下した負荷温度で、(iii)より短い負荷期間で、(iv)低下したペイロード供給濃度で、又は(v)(i)~(iv)のいずれかの組合せで混合された場合に観察される負荷効率と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。
【0209】
[0213]一部の態様では、本明細書において提供されるEVにペイロードを負荷する方法は、負荷緩衝剤の塩濃度(例えば、約150mM以上)とEV供給濃度(例えば、約1.4×1013p/mL以上)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、負荷方法は、負荷温度(例えば、約37℃以上)とEV供給濃度(例えば、約1.4×1013p/mL以上)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、負荷方法は、負荷期間(例えば、少なくとも約24時間)とEV供給濃度(例えば、約1.4×1013p/mL以上)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、負荷方法は、ペイロード供給濃度(例えば、約800μM以上)とEV供給濃度(例えば、約1.4×1013p/mL以上)との両方を増加させるステップを含む。一部の態様では、本明細書に記載のEV負荷方法は、負荷緩衝剤の塩濃度(例えば、約150mM以上)、負荷温度(例えば、約37℃以上)、負荷期間(例えば、少なくとも約24時間)、ペイロード供給濃度(例えば、約800μM以上)、及びEV供給濃度(例えば、約1.4×1013p/mL以上)を増加させるステップを含む。一部の態様では、ペイロードとEVとがこのような条件下で混合される場合、負荷効率は、ペイロードとEVとが、(i)塩濃度が低下した負荷緩衝剤中で、(ii)低下した負荷温度で、(iii)より短い負荷期間で、(iv)低下したペイロード供給濃度で、(v)低下したEV供給濃度で、又は(vi)(i)~(v)のいずれかの組合せで混合された場合に観察される負荷効率と比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。
【0210】
[0214]本明細書において実証されるように、EVの負荷効率を増加させるために、上記で提供される負荷パラメーター(塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、及びEV供給濃度)のすべてを調整する(例えば、増加させる)必要はない。一部の態様では、本明細書に記載の負荷パラメーターのうちの1つ又は複数を増加させることにより、負荷効率に悪影響を及ぼすことなく、他の負荷パラメーターを一定に保つか又は低下させることができる。例えば、一部の態様では、塩濃度、負荷温度、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度は、負荷時間が本明細書において提供される値未満である間に増加させることができる(例えば、本明細書に記載される範囲まで)(例えば、セクションII.Cを参照されたい)。したがって、本明細書に記載の1つ又は複数の負荷パラメーター(例えば、塩濃度、負荷温度、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度)が増加した場合、負荷期間は約1時間未満であり得る。ある特定の態様では、負荷期間は、約30秒、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、又は約1時間であり得る。同様に、負荷期間を増加させることにより、負荷効率に悪影響を及ぼすことなく、他の負荷パラメーター(例えば、塩濃度、負荷温度、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度)を一定に保つか又は低下させることができる。
【0211】
[0215]一部の態様では、EVにペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を負荷する方法であって、(i)少なくとも約1mMの塩濃度を有する負荷緩衝剤中で、(ii)約4℃より高い負荷温度で、及び(iii)少なくとも約1時間の負荷期間で、ペイロードをEVと混合するステップを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様では、(i)負荷緩衝剤の塩濃度は、約200mM未満であり、(ii)負荷温度は、約5℃~約40℃の間であり、(iii)負荷期間は、約1時間~約48時間の間である。ある特定の態様では、(i)塩濃度は、約50mM~約150mMの間であり、(ii)負荷温度は、約15℃~約40℃の間であり、(iii)負荷期間は、約12時間~約36時間の間である。ある特定の態様では、(i)塩濃度は、約100mMであり、(ii)負荷温度は、約37℃であり、(iii)負荷期間は、約24時間である。一部の態様では、(i)塩濃度は、約1mM~約500mMの間であり、(ii)負荷温度は、約0℃~約80℃の間であり、(iii)負荷期間は、約5分~約10日間の間である。一部の態様では、(i)塩濃度は、約150mM~約450mMの間であり、(ii)負荷温度は、約37℃~約70℃の間であり、(iii)負荷期間は、約24時間~約7日間の間である。
【0212】
[0216]一部の態様では、上記例示的な方法は、ペイロード供給濃度、EV供給濃度、又はその両方を増加させるステップをさらに含む。したがって、ある特定の態様では、(i)負荷緩衝剤の塩濃度は、約200mM未満であり、(ii)負荷温度は、約5℃~約40℃の間であり、(iii)負荷期間は、約1時間~約48時間の間であり、(iv)ペイロード供給濃度は、約50μM~約1000μMの間であり、(v)EV供給濃度は、約0.2×1013p/mL~約2.0×1013p/mLの間である。ある特定の態様では、(i)塩濃度は、約50mM~約150mMの間であり、(ii)負荷温度は、約15℃~約40℃の間であり、(iii)負荷期間は、約12時間~約36時間の間であり、(iv)ペイロード供給濃度は、約100μM~約1000μMの間であり、(v)EV供給濃度は、約0.5×1013p/mL~約2.0×1013p/mLの間である。一部の態様では、(i)塩濃度は、約100mMであり、(ii)負荷温度は、約37℃であり、(iii)負荷期間は、約24時間であり、(iv)ペイロード供給濃度は、約600μMであり、(v)EV供給濃度は、約1.0×1013p/mLである。一部の態様では、(i)塩濃度は、約1mM~約500mMの間であり、(ii)負荷温度は、約0℃~約80℃の間であり、(iii)負荷期間は、約5分間~約10日間の間であり、(iv)ペイロード供給濃度は、約10μM~約2500μMの間であり、(v)EV供給濃度は、約1×1011p/mL~約1×1014p/mLの間である。一部の態様では、(i)塩濃度は、約150mM~約450mMの間であり、(ii)負荷温度は、約37℃~約70℃の間であり、(iii)負荷期間は、約24時間~約7日間の間であり、(iv)ペイロード供給濃度は、約6×1012p/mL~約1.4×1013p/mLの間である。
【0213】
[0217]一部の態様では、上記記載の塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度を使用して、EVにペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を負荷することにより、低下した塩濃度(例えば、塩を含まない緩衝剤)、低下した負荷温度(例えば、約4℃以下)、より短い負荷期間(例えば、約1時間以下)、低下したペイロード供給濃度(例えば、約50μM未満)、及び/又は低下したEV供給濃度(例えば、約0.5×1013p/mL未満)によりペイロードを付加することと比較して、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVにおける(例えば、外側表面への、内腔表面への、及び/又は内腔内への)ペイロードの負荷が増加する。
【0214】
[0218]一部の態様では、上記記載の塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度を使用することにより、参照量(例えば、ペイロードが、低下した塩濃度(例えば、塩を含まない緩衝剤)、低下した負荷温度(例えば、約4℃以下)、より短い負荷期間(例えば、約1時間以下)、低下したペイロード供給濃度(例えば、約50μM未満)、及び/又は低下したEV供給濃度(例えば、約0.5×1013p/mL未満)を使用して負荷された場合のEVの外側表面におけるペイロードの量)と比較して、例えば少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVの外側表面に関連するペイロードの量(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの数)が増加する。一部の態様では、上記記載の塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度を使用することにより、参照量(例えば、ペイロードが、低下した塩濃度(例えば、塩を含まない緩衝剤)、低下した負荷温度(例えば、約4℃以下)、より短い負荷期間(例えば、約1時間以下)、低下したペイロード供給濃度(例えば、約50μM未満)、及び/又は低下したEV供給濃度(例えば、約0.5×1013p/mL未満)を使用して負荷された場合の、EVの内腔表面におけるペイロードの量)と比較して、例えば、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVの内腔表面に関連するペイロードの量(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの数)が増加する。一部の態様では、上記記載の塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度を使用することにより、参照量(例えば、ペイロードが、低下した塩濃度(例えば、塩を含まない緩衝剤)、低下した負荷温度(例えば、約4℃以下)、より短い負荷期間(例えば、約1時間以下)、低下したペイロード供給濃度(例えば、約50μM未満)、及び/又は低下したEV供給濃度(例えば、約0.5×1013p/mL未満)を使用して負荷された場合の、EVの内腔内のペイロードの量)と比較して、例えば、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、EVの内腔に関連するペイロードの量(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの数)が増加する。
【0215】
II.F.他の負荷パラメーター
II.F.1.スクロース濃度
[0219]一部の態様では、本明細書に記載の負荷方法は、負荷プロセス中に、1つ又は複数のさらなるパラメーターをモジュレートするステップをさらに含み得る。例えば、一部の態様では、本開示にとって有用な負荷緩衝剤(例えば、本明細書に記載された濃度の範囲内の塩を含む)は、1つ又は複数の構成成分をさらに含む。このような1つ又は複数の構成成分の非限定的な例としては、スクロース、ヒスチジン、アルギニン、メチオニン、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、又はこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0216】
[0220]一部の態様では、本開示に関して使用され得る負荷緩衝剤は、スクロースをさらに含む。ある特定の態様では、負荷緩衝剤中のスクロースの濃度は、少なくとも約1%w/v、少なくとも約2%w/v、少なくとも約3%w/v、少なくとも約4%w/v、少なくとも約5%w/v、少なくとも約6%w/v、少なくとも約7%w/v、少なくとも約8%w/v、少なくとも約9%w/v、又は少なくとも約10%w/vである。一部の態様では、スクロースの濃度は、約10%w/v、約9%w/v、約8%w/v、約7%w/v、約6%w/v、約5%w/v、約4%w/v、約3%w/v、約2%w/v、又は約1%w/vである。
【0217】
[0221]一部の態様では、負荷緩衝剤中のスクロースの濃度は、約1%w/v~約10%w/vの間、約2%w/v~約10%w/vの間、約3%w/v~約10%w/vの間、約4%w/v~約10%w/vの間、約5%w/v~約10%w/vの間、約1%w/v~約9%w/vの間、約2%w/v~約9%w/vの間、約3%w/v~約9%w/vの間、約4%w/v~約9%w/vの間、約5%w/v~約9%w/vの間、約1%w/v~約8%w/vの間、約2%w/v~約8%w/vの間、約3%w/v~約8%w/vの間、約4%w/v~約8%w/vの間、約5%w/v~約8%w/vの間、約1%w/v~約7%w/vの間、約2%w/v~約7%w/vの間、約3%w/v~約7%w/vの間、約4%w/v~約7%w/vの間、約5%w/v~約7%w/vの間、約1%w/v~約6%w/vの間、約2%w/v~約6%w/vの間、約3%w/v~約6%w/vの間、約4%w/v~約6%w/vの間、又は約5%w/v~約6%w/vの間である。ある特定の態様では、負荷緩衝剤のスクロース濃度は、約5%w/vである。
【0218】
II.F.2.モル浸透圧濃度
[0222]一部の態様では、本明細書に記載の負荷方法は、本明細書に記載されているペイロードとEVとを混合するために使用される負荷緩衝剤のモル浸透圧濃度をモジュレートするステップを含む。ある特定の態様では、負荷緩衝剤のモル浸透圧濃度は、約100mOsm/kg~約600mOsm/kgの間(例えば、約250mOsm/kg~約500mOsm/kgの間)である。ある特定の態様では、負荷緩衝剤のモル浸透圧濃度は、約275mOsm/kg~約450mOsm/kgの間、約280mOsm/kg~約450mOsm/kgの間、約300mOsm/kg~約450mOsm/kgの間、約275mOsm/kg~約400mOsm/kgの間、約280mOsm/kg~約400mOsm/kgの間、約300mOsm/kg~約400mOsm/kgの間、約275mOsm/kg~約380mOsm/kgの間、約280mOsm/kg~約380mOsm/kgの間、約300mOsm/kg~約380mOsm/kgの間、約275mOsm/kg~約350mOsm/kgの間、約280mOsm/kg~約350mOsm/kgの間、約300mOsm/kg~約350mOsm/kgの間、約275mOsm/kg~約310mOsm/kgの間、約280mOsm/kg~約310mOsm/kgの間、又は約300mOsm/kg~約310mOsm/kgの間である。
【0219】
[0223]一部の態様では、負荷緩衝剤のモル浸透圧濃度は、約360mOsm/kg、約370mOsm/kg、約380mOsm/kg、約390mOsm/kg、約395mOsm/kg、又は約400mOsm/kgである。一部の態様では、負荷緩衝剤のモル浸透圧濃度は、約395mOsm/kgである。
【0220】
II.F.3.pH
[0224]一部の態様では、本開示に関して使用することができる(例えば、ペイロードをEVと混合するために)負荷緩衝剤は、約6~約8の間のpHを有する。ある特定の態様では、負荷緩衝剤のpHは、約6~約7の間又は約7~約8の間である。一部の態様では、pHは、約6、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、又は約8である。ある特定の態様では、負荷緩衝剤のpHは、約7.2である。一部の態様では、本開示にとって有用な負荷緩衝剤は、約9のpHを有する。
【0221】
II.G.ペイロード
[0225]当業者にとって明らかであるように、本明細書において提供される負荷方法は、EVに当技術分野で公知の任意の好適なペイロードを負荷するために使用することができる。本明細書に記載の方法を使用して、EVに負荷することができるペイロードの非限定的な例としては、ペプチド、小分子、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)、mRNA、miRNA、lcRNA、アンタゴミル、tRNA、siRNA、ペプチド核酸、細胞透過性ペプチド、アジュバント、タンパク質、炭水化物、糖、アミノ酸、又はこれらの任意の組合せが挙げられる。一部の態様では、ペイロードは、核酸を含む。一部の態様では、ペイロードは、ペプチドを含む。一部の態様では、ペイロードは、小分子を含む。ある特定の態様では、ペイロードは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)(本明細書において、「アンチセンスASO」及び「オリゴマー」とも称される)を含む。一部の態様では、ペイロードは、mRNAを含む。一部の態様では、ペイロードは、miRNAを含む。一部の態様では、ペイロードは、lcRNAを含む。一部の態様では、ペイロードは、アンタゴミルを含む。一部の態様では、ペイロードは、tRNAを含む。一部の態様では、ペイロードは、siRNAを含む。一部の態様では、ペイロードは、ペプチド核酸を含む。一部の態様では、ペイロードは、細胞透過性ペプチドを含む。一部の態様では、ペイロードは、アジュバントを含む。一部の態様では、ペイロードは、タンパク質を含む。一部の態様では、ペイロードは、炭水化物を含む。一部の態様では、ペイロードは、糖を含む。一部の態様では、ペイロードは、アミノ酸を含む。ある特定の態様では、ペイロードは、ペイロードの溶解度を増加させるように設計されたドメイン(例えば、荷電置換基)を含む。このようなドメインの非限定的な例としては、細胞透過性ペプチド、ポリアニオン(例えば、ポリグルタミン酸)、ポリカチオン(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリエチレンイミン)、及びこれらの組合せが挙げられる。したがって、本明細書に記載の負荷方法を使用して、EVの外側表面に関連するASOの数を増加させることができる。
【0222】
[0226]一部の態様では、本開示にとって有用なペイロード(例えば、ASO)は、約10~約30、例えば、10~20、14~20、16~20、又は15~25ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。ある特定の態様では、ペイロードは、20ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、18ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、19ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、17ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、16ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、15ヌクレオチド長である。一部の態様では、ペイロードは、14ヌクレオチド長である。一部の態様では、ペイロードは、13ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、12ヌクレオチド長である。一部の態様では、ペイロードは、11ヌクレオチド長である。さらなる態様では、ペイロードは、10ヌクレオチド長である。
【0223】
[0227]一部の態様では、ペイロードは、約10~約50ヌクレオチド長、例えば、約10~約45、約10~約40、約10若しくは約35、又は約10~約30の連続ヌクレオチド配列を含む。ある特定の態様では、ペイロードは、21ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、22ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、23ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、24ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、25ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、26ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、27ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、28ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、29ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、30ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、31ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、32ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、33ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、34ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、35ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、36ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、37ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、38ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、39ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、40ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、41ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、42ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、43ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、44ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、45ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、46ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、47ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、48ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、49ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ペイロードは、50ヌクレオチド長である。
【0224】
[0228]様々な態様では、本開示のペイロード(例えば、ASO)は、RNA(ユニット)を含まない。一部の態様では、ペイロードは、1つ又は複数のDNAユニットを含む。ある特定の態様では、本開示にとって有用なペイロードは、直鎖状分子であるか又は直鎖状分子として合成される。一部の態様では、ペイロードは、一本鎖分子であり、例えば、同じペイロード内の同等の領域(すなわち、二重鎖)と相補的な、少なくとも3、4又は5個の連続ヌクレオチドの短い領域は含まない-この点で、ペイロードは(本質的に)二本鎖ではない。一部の態様では、ペイロードは、本質的に二本鎖ではない。一部の態様では、ペイロードは、siRNAではない。様々な態様では、本明細書に記載の負荷方法に関して使用することができるペイロードは、完全に連続ヌクレオチド領域からなる。よって、一部の態様では、ペイロードは、実質的に自己相補的ではない。
【0225】
[0229]一部の態様では、本開示は、ペイロード(例えば、ASO)の断片を含む。例えば、本開示は、本明細書で開示されているペイロード(例えば、ASO)の少なくとも1つのヌクレオチド、少なくとも2つの連続ヌクレオチド、少なくとも3つの連続ヌクレオチド、少なくとも4つの連続ヌクレオチド、少なくとも5つの連続ヌクレオチド、少なくとも6つの連続ヌクレオチド、少なくとも7つの連続ヌクレオチド、少なくとも8つの連続ヌクレオチド、又は少なくとも9つの連続ヌクレオチドを含む。本明細書で開示されている配列のいずれかの断片は、本開示の一部として企図される。
【0226】
[0230]一部の態様では、本開示にとって有用なペイロードは、1つ又は複数のヌクレオシドアナログを含む。ある特定の態様では、ヌクレオシドアナログのうちの1つ又は複数は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシドアナログ(LNA)、又はこれらの任意の組合せを含む。ある特定の態様では、ヌクレオシドアナログのうちの1つ又は複数は、糖修飾ヌクレオシドである。さらなる態様では、糖修飾ヌクレオシドは、親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである。一部の態様では、ヌクレオシドアナログのうちの1つ又は複数は、二環式の糖を含むヌクレオシドを含む。ある特定の態様では、ヌクレオシドアナログのうちの1つ又は複数は、LNAを含む。さらなる態様では、ヌクレオシドアナログのうちの1つ又は複数は、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0227】
[0231]一部の態様では、本明細書において提供される負荷方法を使用して、EVに負荷することができるペイロードは、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)、ペプチドがコンジュゲートしたホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PPMO)、又はその両方を含む。
【0228】
II.G.1.標的
[0232]当業者にとって明らかであるように、目的の任意の特定の分子(例えば、遺伝子)を標的とするペイロードは、本開示に関して使用することができる。例えば、一部の態様では、本明細書において提供される負荷方法は、任意の分子(例えば、遺伝子)に関して使用することができ、ここで、分子に特異的に結合するペイロード(例えば、ASO)を生成することができる。したがって、一部の態様では、本開示にとって有用なペイロード(例えば、ASO)は、細胞内の目的の任意の遺伝子又はタンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は阻害する)ことが可能である。このような標的の非限定的な例は、以下にさらに記載される。
【0229】
II.G.1.a.STAT6
[0233]一部の態様では、本明細書において提供されるペイロード(例えば、ASO)は、細胞内の目的の任意の遺伝子又はタンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は阻害する)ことが可能である。ある特定の態様では、本明細書に記載の(例えば、本開示の負荷方法を使用して、EVに負荷することができる)ペイロードは、STAT6 pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とする。一部の態様では、ペイロードは、STAT6タンパク質のすべてのアイソフォームを標的とすることが可能である。ある特定の態様では、ペイロードは、特定のSTAT6アイソフォーム(例えば、アイソフォーム1とアイソフォーム2、アイソフォーム1とアイソフォーム3、又はアイソフォーム2とアイソフォーム3)を標的とする。別段に示されていない限り、用語「STAT6」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するSTAT6を指し得る。
【0230】
[0234]STAT6(STAT6)は、シグナル伝達兼転写活性化因子6としても公知である。STAT6/STAT6のシノニムが公知であり、IL-4 STAT;STAT、インターロイキン4誘導型;転写因子IL-4 STAT;STAT6B;STAT6C;及びD12S1644が挙げられる。ヒトSTAT6遺伝子の配列は、公的に入手可能なGenBank受託番号NC_000012.12:c57111413-57095404に見い出すことができる。ヒトSTAT6遺伝子は、染色体位置12q13.3の57111413~57095404、相補配列に見られる。
【0231】
[0235]ヒトSTAT6 pre-mRNA転写物の配列(配列番号2)は、染色体12q13.3の残基57111413~57095404の逆相補配列、相補配列に対応する。STAT6 mRNA配列(GenBank受託番号NM_001178078.1)は、配列番号4のヌクレオチド「t」がmRNA中の「u」として示されていることを除いて、配列番号4に与えられている。ヒトSTAT6タンパク質の配列は、公的に入手可能な受託番号P42226-1(カノニカル配列、配列番号3)、P42226-2(配列番号5)、及びP42226-3(配列番号5)に見い出すことができ、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0232】
[0236]ヒトSTAT6遺伝子産物の天然バリアントは公知である。例えば、ヒトSTAT6タンパク質の天然バリアントは、M118R、D419N、及びこれらの任意の組合せから選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含有し得る。選択的スプライシングから生じるヒトSTAT6タンパク質のさらなるバリアントも当技術分野で公知である。STAT6アイソフォーム2(UniProtにおける識別子:P42226-2)は、カノニカル配列(配列番号4)と以下のように異なる:配列番号4に対して、残基1~174の欠失及び175PSE177の175MEQ177への置換。STAT6アイソフォーム3(識別子:P42226-3)の配列は、カノニカル配列(配列番号4)と以下のように異なる:配列番号4に対して、残基1~110の欠失。したがって、本明細書に記載のペイロード(例えば、ASO)は、STAT6タンパク質の天然バリアントの発現を低下させるか又は阻害するように設計され得る。
【0233】
[0237]ペイロード(例えば、ASO)の標的核酸配列の一例は、STAT6 pre-mRNAである。配列番号2は、ヒトSTAT6ゲノム配列(すなわち、染色体12q13.3のヌクレオチド57111413~57095404の逆相補配列、相補配列)を表す。配列番号2は、配列番号2のヌクレオチド「t」がpre-mRNAの「u」として示されていることを除いて、STAT6 pre-mRNA配列と同一である。ある特定の態様では、「標的核酸」は、STAT6タンパク質をコードする核酸のイントロン又はその天然に存在するバリアント、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、標的核酸は、STAT6タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。また一部の態様では、標的核酸は、STAT6タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、例えば、研究又は診断において使用される場合、「標的核酸」は、上記DNA又はRNA核酸標的に由来するcDNA又は合成オリゴヌクレオチドであり得る。STAT6 pre-mRNAによってコードされるヒトSTAT6タンパク質配列は、配列番号3として示されている。一部の態様では、標的核酸は、STAT6タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、又はその両方を含む。
【0234】
[0238]一部の態様では、本開示のペイロード(例えば、ASO)は、STAT6転写物のイントロン内の領域、例えば、配列番号11にハイブリダイズする。ある特定の態様では、ペイロードは、STAT6転写物のエクソン内の領域、例えば配列番号11にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、STAT6転写物のエクソン-イントロン接合部内の領域、例えば、配列番号11にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、STAT6転写物内の領域(例えば、イントロン、エクソン、又はエクソン-イントロン接合部)、例えば、配列番号11にハイブリダイズする。
【0235】
[0239]一部の態様では、本明細書で開示されているSTAT6転写物を標的とするペイロードの、STAT6をコードするmRNA転写物への結合は、STAT6の発現レベル及び/又は活性レベルを低下させ得る。
【0236】
[0240]一部の態様では、ペイロードは、STAT6転写物を特異的に標的とし得るASOを含む。一部の態様では、ASOのヌクレオチド配列、又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号41~50(すなわち、
図3Aの配列)のいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば約100%の配列同一性を有する。
【0237】
[0241]一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号41~50からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも10個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するSTAT6転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。
【0238】
[0242]一部の態様では、ASOは、配列番号41に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号42に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号43に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号44に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号45に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号46に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号47に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号48に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号49に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号50に記載されている配列を含む。
【0239】
[0243]一部の態様では、ASOは、配列番号41~50に記載されている配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一の配列を含むか又はそれからなる。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は配列番号41~50からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含む。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号41~50からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するSTAT6転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の置換を除いて、配列番号41~50からなる群から選択される配列のうちの1つから選択されるか、又はそれを含み、置換されたASOは、STAT6転写物に結合し得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号41~50からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するSTAT6転写物に対して相補的な1、2、3、又は4個のさらなる5’及び/又は3’ヌクレオチドを任意選択的に含み得る。
【0240】
II.G.1.b KRAS
[0244]一部の態様では、本明細書において提供されるペイロード(例えば、ASO)は、例えば、細胞内のKRAS mRNA又はKRASタンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は阻害する)ことが可能である。ある特定の態様では、本明細書に記載の(例えば、本開示の負荷方法を使用して、EVに負荷することができる)ペイロードは、KRAS pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とする。一部の態様では、ペイロードは、KRASタンパク質のすべてのアイソフォームを標的とすることが可能である。ある特定の態様では、ペイロードは、特異的なKRASアイソフォームを標的とする。別段に示されていない限り、用語「KRAS」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するKRASを指し得る。
【0241】
[0245]KRASは、様々な名称で当技術分野で公知である。このような名称には、KRAS Proto-Oncogene、GTPase;V-Ki-Ras2 Kirsten Rat Sarcoma 2 Viral Oncogene Homolog;GTPase KRas;C-Ki-Ras;K-Ras 2;KRAS2;RASK2;V-Ki-Ras2 Kirsten Rat Sarcoma Viral Oncogene Homolog;Kirsten Rat Sarcoma Viral Proto-Oncogene;Cellular Transforming Proto-Oncogene;Cellular C-Ki-Ras2 Proto-Oncogene;Transforming Protein P21;PR310 C-K-Ras Oncogene;C-Kirsten-Ras Protein;K-Ras P21 Protein;及びOncogene KRAS2が挙げられる。
【0242】
[0246]ヒトKRAS遺伝子の配列は、染色体位置12p12.1及び公的に入手可能なGenBank受託番号NC_000012(25,204,789~25,250,936)に見い出すことができる。ヒト野生型KRAS転写物のゲノム配列は、NC_000012の残基25,204,789~25,250,936の逆相補配列(配列番号11)に対応する。配列番号7で与えられるKRAS G12Dゲノム配列は、ヌクレオチド位置5,587においてグアニンからアデニンへの置換を有する点で配列番号11とは異なる。例示的なKRAS G12D mRNA配列は、配列番号33のヌクレオチド「t」がmRNA中の「u」として示されていることを除いて、配列番号9に与えられている。配列番号9で与えられるKRAS G12D mRNAは、ヌクレオチド位置225においてグアニンからアデニンへの置換を有する点で野生型mRNA配列(例えば、GenBank受託番号NM_004985.5;配列番号13)とは異なる。ヒトKRASタンパク質の配列は、公的に入手可能な受託番号:P01116(カノニカル配列)、A8K8Z5、B0LPF9、P01118、及びQ96D10に見い出すことができ、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0243】
[0247]ヒトKRASタンパク質(P01116)には選択的スプライシングから得られる2つのアイソフォームが存在する。アイソフォーム2A(受託番号:P01116-1;配列番号14)は、カノニカル配列である。これは、K-Ras4Aとしても公知である。アイソフォーム2B(受託番号:P01116-2;K-Ras4Bとしても公知;配列番号12)は、以下のように、カノニカル配列とは異なる:(i)151~153:RVE→GVD;及び(ii)165~189:QYRLKKISKEEKTPGCVKIKKCIIM(配列番号15)→KHKEKMSKDGKKKKKKSKTKCVIM(配列番号16)。一部の態様では、本明細書で開示されているペイロードは、KRASタンパク質のアイソフォーム2A、アイソフォーム2B、又はその両方の発現を低下させるか又は阻害し得る。
【0244】
[0248]ヒトKRAS遺伝子産物の天然バリアントは公知である。例えば、ヒトKRASタンパク質の天然バリアントは、K5E、K5N、G10GG、G10V、G12A、G12C、G12F、G12I、G12L、G12R、G12S、G12V、G13C、G13D、G13E、G13R、G13V、V14I、L19F、T20M、Q22E、Q22H、Q22K、Q22R、Q25H、N26Y、F28L、E31K、D33E、P34L、P34Q、P34R、I36M、R41K、D57N、T58I、A59T、G60D、G60R、G60S、G60V、Q61A、Q61H、Q61K、Q61L、Q61P、Q61R、E63K、S65N、R68S、Y71H、T74A、L79I、R97I、Q99E、M111L、K117N、K117R、D119G、S122F、T144P、A146P、A146T、A146V、K147E、K147T、R149K、L159S、I163S、R164Q、I183N、I84M、又はこれらの組合せから選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含有し得る。KRASタンパク質アイソフォーム2Bに対して特異的である天然バリアントは、V152G、D153V、F156I、F156L、又はこれらの組合せから選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含有する。本開示のペイロードは、KRASタンパク質のバリアント(例えば、当技術分野で公知の任意のバリアント)のうちの1つ又は複数の発現を低下させるか又は阻害するように設計され得る。一部の態様では、KRAS変異体は、G12Dのアミノ酸置換を有する。一部の態様では、本開示のペイロードは、1つ又は複数のKRAS変異体を標的とする。ある特定の態様では、ペイロードが標的とするKRAS変異体は、KRAS G12D(配列番号8)である。KRAS G12D mRNA及びKRAS G12Dタンパク質の例示的な配列は、それぞれ、配列番号9及び配列番号8に与えられる。
【0245】
[0249]一部の態様では、本明細書で開示されているペイロード(例えば、ASO)の標的核酸配列は、KRAS pre-mRNAの1つ又は複数の領域を含む。例えば、配列番号7(上記)は、配列番号7のヌクレオチド「t」がpre-mRNAの「u」として示されていることを除いて、KRAS pre-mRNA配列と同一である。本明細書で使用される場合、用語「標的核酸配列」は、本明細書で開示されているペイロードに対して相補的である核酸配列を指す。ある特定の態様では、標的核酸配列は、KRASタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、標的核酸配列は、KRASタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのイントロン、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。さらなる態様では、標的核酸配列は、KRASタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、例えば、研究又は診断において使用される場合、標的核酸は、本明細書に記載のDNA又はRNA核酸標的に由来するcDNA又は合成オリゴヌクレオチドであり得る。一部の態様では、標的核酸は、KRASタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、又はその両方を含む。
【0246】
[0250]したがって、一部の態様では、本明細書で開示されているペイロード(例えば、ASO)は、KRAS転写物のエクソン領域、例えば、配列番号7又は配列番号9にハイブリダイズする。一部の態様では、本開示のペイロードは、KRAS転写物のイントロン領域、例えば配列番号7にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、KRAS転写物のエクソン-イントロン接合部、例えば、配列番号7にハイブリダイズする。一部の態様では、本開示のペイロードは、KRAS転写物(例えば、イントロン、エクソン、又はエクソン-イントロン接合部)内の領域、例えば配列番号7にハイブリダイズし、ペイロードは、本明細書の他の箇所に記載されている設計を有する。
【0247】
[0251]一部の態様では、本明細書で開示されているペイロードの標的核酸配列は、KRAS mRNA、例えば、配列番号9である。したがって、ある特定の態様では、本明細書で開示されているペイロードは、KRAS mRNAの1つ又は複数の領域にハイブリダイズし得る。一部の態様では、本開示のペイロードは、KRASタンパク質の特定のアイソフォームをコードするmRNAを標的とする。ある特定の態様では、本明細書で開示されているペイロードは、その任意のバリアント(本明細書に記載のもの)を含むKRASタンパク質のすべてのアイソフォームを標的とし得る。一部の態様では、本開示のペイロードによって標的とされ得るKRASタンパク質は、G12Dアミノ酸置換を含む。
【0248】
[0252]一部の態様では、ペイロードは、KRAS転写物を特異的に標的とし得るASOを含む。一部の態様では、ASOのヌクレオチド配列、又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号51~61(すなわち、
図3Bの配列)のいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば約100%の配列同一性を有する。
【0249】
[0253]一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号51~61からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも10個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するKRAS転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。
【0250】
[0254]一部の態様では、ASOは、配列番号51に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号52に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号53に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号54に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号55に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号56に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号57に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号58に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号59に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号60に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号610に記載されている配列を含む。
【0251】
[0255]一部の態様では、ASOは、配列番号51~61に記載されている配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一の配列を含むか又はそれからなる。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は配列番号51~61からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含む。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号51~61からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するKRAS転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の置換を除いて、配列番号51~61からなる群から選択される配列のうちの1つから選択されるか、又はそれを含み、置換されたASOは、KRAS転写物に結合し得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号51~61からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するKRAS転写物に対して相補的な1、2、3、又は4個のさらなる5’及び/又は3’ヌクレオチドを任意選択的に含み得る。
【0252】
II.G.1.c NRAS
[0256]一部の態様では、本明細書において提供されるペイロード(例えば、ASO)は、例えば、細胞内のNRas mRNA又はNRasタンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は阻害する)ことが可能である。ある特定の態様では、本明細書に記載の(例えば、本開示の負荷方法を使用して、EVに負荷することができる)ペイロードは、NRas pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とする。一部の態様では、ペイロードは、NRasタンパク質のすべてのアイソフォームを標的とすることが可能である。ある特定の態様では、ペイロードは、特異的なNRasアイソフォームを標的とする。別段に示されていない限り、用語「NRas」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するNRasを指し得る。
【0253】
[0257]NRasは、ゴルジ装置と原形質膜との間を行き来する膜タンパク質をコードするがん遺伝子である。NRasをコードするゲノムDNAは、染色体位置1p13.2(すなわち、GenBank受託番号NG_007572の5001~17438までのヌクレオチド)に見い出すことができる。具体的には、パルミトイル化の非存在下で、GFPタグ付きN-RasがサイトゾルとER/ゴルジ体膜との間で迅速な交換を受けること、及び野生型GFP-N-Rasが非小胞体機構によってゴルジ複合体へリサイクルされることが、タイムラプス顕微鏡とフォトブリーチング技法との組合せによって明らかにされた。N-rasの変異は、黒色腫、甲状腺癌、奇形癌、線維肉腫、神経芽腫、横紋筋肉腫、バーキットリンパ腫、急性前骨髄球性白血病、T細胞白血病、及び慢性骨髄性白血病において記載されている。発癌性N-Rasは、マウスにおいて急性骨髄性白血病(AML)又は慢性骨髄単球性白血病(CMML)様疾患を誘導し得る。
【0254】
[0258]神経芽腫RASウイルスがん遺伝子(NRas)は、様々な名称で当技術分野で公知である。このような名称には、GTPase NRas、N-rasタンパク質パート4、神経芽腫RASウイルス(v-ras)がん遺伝子ホモログ 神経芽腫RASウイルスがん遺伝子ホモログ、形質転換タンパク質N-Ras、及びv-ras神経芽腫RASウイルスがん遺伝子ホモログを含む。
【0255】
[0259]NRAS遺伝子は、主に細胞分裂の調節に関与するN-Rasと呼ばれるタンパク質を作製するための指示を与える。ヒトNRASをコードするmRNA配列は、NCBI参照配列NM_002524.5に見出すことができ、コード配列(配列番号19)によって表される。
【0256】
[0260]ヒトNRas遺伝子産物の天然バリアントは公知である。例えば、ヒトNRasタンパク質の天然バリアントは、G12D、G13D、T50I、G60E、及びこれらの任意の組合せから選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含有し得る。G13R、Q61K、Q61R、及びP34Lなどの選択的スプライシングから得られるヒトNRasタンパク質のさらなるバリアントも当技術分野で公知である。したがって、本開示のペイロードは、NRasタンパク質の天然バリアントの発現を低下させるか又は阻害するように設計され得る。
【0257】
[0261]配列番号17は、配列番号17のヌクレオチド「t」がpre-mRNAの「u」として示されていることを除いて、NRas pre-mRNA配列と同一である。ある特定の態様では、「標的核酸」は、NRasタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのイントロン、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。ある特定の態様では、標的核酸は、NRasタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。ある特定の態様では、標的核酸は、NRasタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、例えば、研究又は診断において使用される場合、「標的核酸」は、上記DNA又はRNA核酸標的に由来するcDNA又は合成オリゴヌクレオチドであり得る。NRas pre-mRNAによってコードされるヒトNRasタンパク質配列は、配列番号18として示されている。ある特定の態様では、標的核酸は、NRasタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、又はその両方を含む。
【0258】
[0262]ある特定の態様では、本開示のペイロードは、NRas mRNA又はタンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は除去する)ことも可能である。この点に関して、本開示のペイロードは、典型的には、ヒト細胞、例えば腫瘍細胞などの哺乳動物細胞において、NRas mRNAレベルの低下により、NRasタンパク質の間接的阻害に影響を及ぼし得る。特に、本開示は、NRas pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とするペイロードを対象とする。別段に示されていない限り、用語「NRas」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するNRasを指し得る。
【0259】
[0263]一部の態様では、本開示のペイロードは、NRAS転写物のイントロン内の領域、例えば配列番号17又は配列番号19にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、NRAS転写物のエクソン内の領域、例えば配列番号17又は配列番号19にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、NRAS転写物のエクソン-イントロン接合部内の領域、例えば配列番号17又は配列番号19にハイブリダイズする。一部の態様では、本開示のペイロードは、NRAS転写物内の領域(例えば、イントロン、エクソン、又はエクソン-イントロン接合部)、例えば、配列番号17又は配列番号19にハイブリダイズする。
【0260】
[0264]一部の態様では、本開示のペイロードは、NRas転写物内の複数の標的領域(例えば、ゲノム配列、配列番号17)にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、NRas転写物内の2つの異なる標的領域にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、NRas転写物内の3つの異なる標的領域にハイブリダイズする。一部の態様では、NRas転写物内の複数の領域(例えば、ゲノム配列、配列番号17)にハイブリダイズするペイロードは、NRas転写物内の単一の領域(例えば、ゲノム配列、配列番号17)にハイブリダイズするペイロードと比較して、NRas発現を低下させることにおいてより強力である(例えば、より低いEC50を有する)。
【0261】
[0265]一部の態様では、ペイロード(例えば、ASO)は、NRASタンパク質の特定のアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1、NCBI ID:NP_001229821.1)をコードするmRNAを標的とする。一部の態様では、ペイロードは、NRasタンパク質のすべてのアイソフォームを標的とする。ある特定の態様では、ペイロードは、NRasタンパク質の2つのアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1とアイソフォーム2(NCBI ID:NP_009089.4)、アイソフォーム2とアイソフォーム3(NCBI ID:NP_001123995)、及びアイソフォーム3とアイソフォーム4(NCBI ID:NP_001229820.1))を標的とする。
【0262】
[0266]本開示のペイロードは、NRas転写物の領域の相補配列に対応する連続ヌクレオチド配列、例えば、配列番号17に対応するヌクレオチド配列を含む。
【0263】
[0267]一部の態様では、本明細書で開示されているNRas転写物を標的とするペイロード(例えば、ASO)の、NRasをコードするmRNA転写物への結合は、NRasの発現レベル及び/又は活性レベルを低下させ得る。
【0264】
[0268]一部の態様では、ペイロードは、NRas転写物を特異的に標的とし得るASOを含む。一部の態様では、ASOのヌクレオチド配列、又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号62~71(すなわち、
図3Cの配列)のいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば約100%の配列同一性を有する。
【0265】
[0269]一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号62~71からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも10個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するNRas転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。
【0266】
[0270]一部の態様では、ASOは、配列番号62に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号63に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号64に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号65に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号66に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号67に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号68に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号69に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号70に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号71に記載されている配列を含む。
【0267】
[0271]一部の態様では、ASOは、配列番号62~71に記載されている配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一の配列を含むか又はそれからなる。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は配列番号62~71からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含む。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号62~71からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するNRas転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の置換を除いて、配列番号62~71からなる群から選択される配列のうちの1つから選択されるか、又はそれを含み、置換されたASOは、NRas転写物に結合し得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号62~71からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するNRas転写物に対して相補的な1、2、3、又は4個のさらなる5’及び/又は3’ヌクレオチドを任意選択的に含み得る。
【0268】
II.G.1.d PMP22
[0272]一部の態様では、本明細書において提供されるペイロード(例えば、ASO)は、例えば、細胞内のPMP22 mRNA又はPMP22タンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は阻害する)ことが可能である。ある特定の態様では、本明細書に記載の(例えば、本開示の負荷方法を使用して、EVに負荷することができる)ペイロードは、PMP22 pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とする。一部の態様では、ペイロードは、PMP22タンパク質のすべてのアイソフォームを標的とすることが可能である。ある特定の態様では、ペイロードは、特異的なPMP22アイソフォームを標的とする。別段に示されていない限り、用語「PMP22」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するSTAT6を指し得る。
【0269】
[0273]末梢性ミエリンタンパク質22(PMP22)は、成長停止特異的タンパク質3(GAS-3)としても公知であり、PMP22遺伝子によってコードされている。PMP22は、160個のアミノ酸から構成される22kDaの膜貫通型糖タンパク質であり、末梢神経系のシュワン細胞で主に発現される。シュワン細胞は、PMP22の高発現を示し、コンパクトミエリン中の総タンパク質含量の2~5%を占め得る。コンパクトミエリンは、末梢神経細胞のミエリン鞘の大部分である、神経軸索を電気的に絶縁する保護脂肪層である。成体の中枢神経系では、PMP22の発現レベルは比較的低い。
【0270】
[0274]ヒトでは、PMP22遺伝子は、染色体17p11.2に位置し、およそ40kbに及ぶ。この遺伝子はヒトと齧歯類の両方で保存されている6つのエクソンを含有し、そのうちの2つは5’非翻訳エクソン(1a及び1b)であり、同一のコード配列を有する2つの異なるRNA転写物を生じる。2つの転写物は5’非翻訳領域が異なり、それぞれ発現を調節するプロモーターを有する。残りのエクソン(2~5)は、PMP22遺伝子のコード領域を含み、転写後修飾(すなわち、選択的スプライシング)の後に一緒に接合される。PMP22タンパク質は、4つの膜貫通ドメイン、2つの細胞外ループ(ECL1及びECL2)、及び1つの細胞内ループによって特徴付けられる。ECL1は、2つのPMP22タンパク質間のホモ親和性相互作用を媒介することが示唆されているが、ECL2は、PMP22タンパク質とミエリンタンパク質ゼロ(MPZ又はMP0)間のヘテロ親和性相互作用を媒介することが示されている。
【0271】
[0275]PMP22は、コンパクトミエリンの形成及び維持において不可欠な役割を果たす。シュワン細胞が神経軸索と接触すると、PMP22の発現は著しく上方調節されるが、軸索の変性又は切断時にはPMP22は下方調節される。PMP22は、他の細胞及び細胞外マトリックスとの接着に関与し、またミエリンの機能を支えるタンパク質である閉鎖帯(zonula-occludens)1及びオクルディンとの関連を示している。細胞接着機能と共に、PMP22はシュワン細胞の増殖中も上方調節され、細胞周期の調節における役割が示唆される。PMP22は、神経以外の組織でも検出可能であり、その発現は、成長停止特異的(gas-3)機能を果たすことが示されている。
【0272】
[0276]PMP22遺伝子の不適切な遺伝子投与は、ミエリン鞘の異常なタンパク質合成及び機能を引き起こす可能性がある。ミエリンの構成成分は化学量論的に設定されているため、構成成分の発現が不規則になると、ミエリンの不安定化及び神経障害を引き起こす可能性がある。PMP22遺伝子発現の変化は、シャルコーマリートゥース1A型(CMT1A)、デジェリンソッタス病、及び遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)などの種々の神経障害と関連している。PMP22が多すぎると(例えば、遺伝子の重複が原因)、CMT1Aとなる。PMP22の遺伝子重複は、CMTの最も一般的な遺伝的原因であり、PMP22の過剰産生により、複数のシグナル伝達経路に欠陥が生じ、KNOX20、SOX10及びEGR2のような転写因子が機能不全に陥る。
【0273】
[0277]ヒトPMP22遺伝子の配列は、公的に入手可能なNCBI RefSeq受託番号NM_000304に見出すことができる。代替のRefSeq mRNA転写物は、それぞれ、受託番号NM_001281455、NM-001281456、NM-153321、及びNM_153322を有する。ヒトPMP22遺伝子は、染色体位置17p12の15,229,777~15,265,326に見られる。
【0274】
[0278]ヒトPMP22 pre-mRNA転写物の配列(配列番号20)は、染色体位置17p12の残基15,229,777~15,265,326の逆相補配列に対応する。PMP22 mRNA配列(GenBank受託番号NM_000304.4)は、配列番号21に与えられる。ヒトPMP22タンパク質の配列は、公的に入手可能なUniprot受託番号Q01453(カノニカル配列、配列番号23)に見出すことができる。潜在的なPMP22アイソフォームは、それぞれ、Uniprot受託番号A8MU75、J3KQW0、A0A2R8Y5L5、J3KT36、及びJ3QS08を有する。本明細書で開示されている受託番号に対応するデータベース実体の公的に入手可能なコンテンツは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0275】
[0279]ヒトPMP22遺伝子産物の天然バリアントは公知である。例えば、ヒトPMP22タンパク質の天然バリアントは、L16P、S22F、Δ25~26、D37V、V65F、S72L、S79C、G93R、L105R、G107V、T118N、L147R、H12Q、L16P、L19P、M69K、L71P、S72L、S72P、S72W、S76I、S79P、L80P、L80R、Δ84、G100E、G100R、L105R、C109R、S149R、G150C、G150D、R157W、S22F、V30M、A67T、S23T、W28R、A67P、Δ115-118、及びこれらの任意の組合せから選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含有し得る。
【0276】
[0280]本開示のペイロードは、PMP22タンパク質の天然バリアントの発現を低下させるか又は阻害するように設計され得る。
【0277】
[0281]ペイロードの標的核酸配列の一例は、PMP22 pre-mRNAである。配列番号20は、ヒトPMP22ゲノム配列(すなわち、染色体17p12のヌクレオチド15229777~15265326の逆相補配列、相補配列)を表す。配列番号20は、配列番号20のヌクレオチド「t」がpre-mRNAの「u」として示されていることを除いて、PMP22pre-mRNA配列と同一である。
【0278】
[0282]一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、PMP22転写物内の核酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%相補的である。一部の態様では、ペイロードは、ヒト細胞(例えば、シュワン細胞)におけるPMP22タンパク質発現を低下させることが可能であるが、ヒト細胞はPMP22タンパク質を発現する。
【0279】
[0283]一部の態様では、本開示のペイロード(例えば、ASO)は、PMP22転写物のイントロン内の領域、例えば配列番号20にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、PMP22転写物のエクソン内の領域、例えば配列番号20にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、PMP22転写物のエクソン-イントロン接合部内の領域、例えば配列番号20にハイブリダイズする。
【0280】
[0284]一部の態様では、本開示のペイロードは、PMP22転写物内の複数の標的領域(例えば、ゲノム配列、配列番号20)にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、PMP22転写物内の2つの異なる標的領域にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、PMP22転写物内の3つの異なる標的領域にハイブリダイズする。一部の態様では、PMP22転写物内の複数の領域(例えば、ゲノム配列、配列番号20)にハイブリダイズするペイロードは、PMP22転写物内の単一の領域(例えば、ゲノム配列、配列番号20)にハイブリダイズするペイロードと比較して、PMP22発現を低下させることにおいてより強力である(例えば、より低いEC50を有する)。
【0281】
[0285]一部の態様では、本明細書で開示されているPMP22転写物を標的とするペイロード(例えば、ASO)の、PMP22をコードするmRNA転写物への結合は、PMP22の発現レベル及び/又は活性レベルを低下させ得る。
【0282】
[0286]一部の態様では、ペイロードは、PMP22転写物を特異的に標的とし得るASOを含む。一部の態様では、ASOのヌクレオチド配列、又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号72~81(すなわち、
図3Dの配列)のいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば約100%の配列同一性を有する。
【0283】
[0287]一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号72~81からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも10個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するPMP22転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。
【0284】
[0288]一部の態様では、ASOは、配列番号72に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号73に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号74に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号75に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号76に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号77に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号78に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号79に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号80に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号81に記載されている配列を含む。
【0285】
[0289]一部の態様では、ASOは、配列番号72~81に記載されている配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一の配列を含むか又はそれからなる。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は配列番号72~81からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含む。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号72~81からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するPMP22転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の置換を除いて、配列番号72~81からなる群から選択される配列のうちの1つから選択されるか、又はそれを含み、置換されたASOは、PMP22転写物に結合し得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号72~81からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するPMP22転写物に対して相補的な1、2、3、又は4個のさらなる5’及び/又は3’ヌクレオチドを任意選択的に含み得る。
【0286】
II.G.1.e C/EBPβ
[0290]一部の態様では、本明細書において提供されるペイロード(例えば、ASO)は、例えば、細胞内のC/EBPβ mRNA又はCEBP/βタンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は阻害する)ことが可能である。ある特定の態様では、本明細書に記載の(例えば、本開示の負荷方法を使用して、EVに負荷することができる)ペイロードは、CEBP/β pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とする。一部の態様では、ペイロードは、CEBP/βタンパク質のすべてのアイソフォームを標的とすることが可能である。ある特定の態様では、ペイロードは、特異的なCEBP/βアイソフォームを標的とする。別段に示されていない限り、用語「CEBP/β」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するCEBP/βを指し得る。
【0287】
[0291]CEBP/β(CEBP/β)は、CCAAT/エンハンサーに結合するタンパク質ベータとしても公知である。CEBP/β/CEBP/βのシノニムは公知であり、C/EBPベータ;肝臓活性化タンパク質;LAP;肝臓濃縮阻害タンパク質;LIP;核因子NF-IL6;転写因子5;TCF-5;CEBPB;CEBPb;CEBPβ;CEBP/B;及びTCF5が含まれる。ヒトCEBP/β遺伝子の配列は、公的に入手可能なGenBank受託番号NC_000020.11(50190583..50192690)に見出すことができる。ヒトCEBP/β遺伝子は、50190583~50192690の染色体位置20q13.13に見られる。
【0288】
[0292]ヒトCEBP/β pre-mRNA転写物の配列(配列番号251)は、染色体20q13.13の残基50190583~50192690の逆相補配列に対応する。CEBP/β mRNA配列(GenBank受託番号NM_001285878.1)は、配列番号27のヌクレオチド「t」がmRNA中の「u」として示されていることを除いて、配列番号27に与えられている。ヒトCEBP/βタンパク質の配列は、公的に入手可能な受託番号P17676(カノニカル配列、配列番号26)、P17676-2(配列番号28)、及びP17676-3(配列番号29)に見出すことができ、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0289】
[0293]ヒトCEBP/β遺伝子産物の天然バリアントは公知である。例えば、ヒトCEBP/βタンパク質の天然バリアントは、A241P、A253G、G195S、及びこれらの任意の組合せから選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含有し得る。選択的スプライシングから得られるヒトCEBP/βタンパク質のさらなるバリアントも当技術分野で公知である。CEBP/βアイソフォーム2(UniProtの識別子:P17676-2)は、カノニカル配列(配列番号27)と以下のように異なる:配列番号27に対して、残基1~23の欠失。CEBP/β アイソフォーム3(識別子:P17676-3)の配列は、カノニカル配列(配列番号23)と以下のように異なる:配列番号27に対して、残基1~198の欠失。したがって、本明細書に記載のペイロード(例えば、ASO)は、タンパク質の天然バリアントの発現を低下させるか又は阻害するように設計され得る。
【0290】
[0294]ペイロードの標的核酸配列の一例は、CEBP/β pre-mRNAである。配列番号25は、ヒトCEBP/βゲノム配列(すなわち、染色体20q13.13のヌクレオチド50190583~50192690の逆相補配列)を表す。配列番号25は、配列番号25のヌクレオチド「t」がpre-mRNAの「u」として示されていることを除いて、CEBP/β pre-mRNA配列と同一である。ある特定の態様では、「標的核酸」は、CEBP/βタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのイントロン、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。ある特定の態様では、標的核酸は、CEBP/βタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。ある特定の態様では、標的核酸は、CEBP/βタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、例えば、研究又は診断において使用される場合、「標的核酸」は、上記DNA又はRNA核酸標的に由来するcDNA又は合成オリゴヌクレオチドであり得る。CEBP/β pre-mRNAによってコードされるヒトCEBP/βタンパク質配列は、配列番号26として示されている。ある特定の態様では、標的核酸は、CEBP/βタンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、又はその両方を含む。
【0291】
[0295]一部の態様では、本開示のペイロード(例えば、ASO)は、CEBP/β転写物のイントロン内の領域、例えば配列番号25にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、CEBP/β転写物のエクソン内の領域、例えば配列番号251にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のASOは、CEBP/β転写物のエクソン-イントロン接合部内の領域、例えば配列番号25にハイブリダイズする。一部の態様では、本開示のペイロードは、CEBP/β転写物(例えば、イントロン、エクソン、又はエクソン-イントロン接合部)内の領域、例えば配列番号25にハイブリダイズし、ペイロードは、本明細書の他の箇所に記載されている式5’A-B-C3’による設計を有する。
【0292】
[0296]一部の態様では、ペイロードは、CEBP/βタンパク質の特定のアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1)をコードするmRNAを標的とする。一部の態様では、ペイロードは、CEBP/βタンパク質のすべてのアイソフォームを標的とする。ある特定の態様では、ペイロードは、CEBP/βタンパク質の2つのアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1とアイソフォーム2、アイソフォーム1とアイソフォーム3、又はアイソフォーム2とアイソフォーム3)を標的とする。
【0293】
[0297]一部の態様では、本明細書で開示されているCEBPb転写物を標的とするペイロード(例えば、ASO)の、CEBPbをコードするmRNA転写物への結合は、CEBPbの発現レベル及び/又は活性レベルを低下させ得る。
【0294】
[0298]一部の態様では、ペイロードは、CEBPb転写物を特異的に標的とし得るASOを含む。一部の態様では、ASOのヌクレオチド配列、又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号82~91(すなわち、
図3Eの配列)のいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば約100%の配列同一性を有する。
【0295】
[0299]一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号82~91からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも10個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するCEBPb転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。
【0296】
[0300]一部の態様では、ASOは、配列番号82に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号83に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号84に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号85に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号86に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号87に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号88に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号89に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号90に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号91に記載されている配列を含む。
【0297】
[0301]一部の態様では、ASOは、配列番号82~91に記載されている配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一の配列を含むか又はそれからなる。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は配列番号82~91からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含む。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号82~91からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するCEBPb転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の置換を除いて、配列番号82~91からなる群から選択される配列のうちの1つから選択されるか、又はそれを含み、置換されたASOは、CEBPb転写物に結合し得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号82~91からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するCEBPb転写物に対して相補的な1、2、3、又は4個のさらなる5’及び/又は3’ヌクレオチドを任意選択的に含み得る。
【0298】
II.G.1.f STAT3
[0302]一部の態様では、本明細書において提供されるペイロード(例えば、ASO)は、細胞内の目的の任意の遺伝子又はタンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は阻害する)ことが可能である。ある特定の態様では、本明細書に記載の(例えば、本開示の負荷方法を使用して、EVに負荷することができる)ペイロードは、STAT3 pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とする。一部の態様では、ペイロードは、STAT3タンパク質のすべてのアイソフォームを標的とすることが可能である。ある特定の態様では、ペイロードは、特異的なSTAT3アイソフォームを標的とする。別段に示されていない限り、用語「STAT3」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するSTAT3を指し得る。
【0299】
[0303]シグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)は、様々な名称で当技術分野で公知である。このような名称には、DNA結合タンパク質APRF、及び急性期応答因子が含まれる。ヒトSTAT3をコードするmRNAは、Genbank受託番号NM_003150.3において見い出すことができ、配列(配列番号32)によって表される。
【0300】
[0304]ヒトSTAT3遺伝子産物の天然バリアントは公知である。例えば、ヒトSTAT3タンパク質の天然バリアントは、R382L、R382Q、OR R382W、及びこれらの任意の組合せから選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含有し得る。R382W、F384L、F384S、T389I、N395Y、R423Q、N425Y、H437Y、Del-463、S611N、F621V、T622I、V637L、V637M、Del-644、Y657C、P330S、K392R、N646K、K658N、Del-701、又はT716Mなどの選択的スプライシングから生じるヒトSTAT3タンパク質のさらなるバリアントも当技術分野で公知である。したがって、本開示のペイロードは、STAT3タンパク質の天然バリアントの発現を低下させるか又は阻害するように設計され得る。
【0301】
[0305]配列番号30は、配列番号30のヌクレオチド「t」がpre-mRNAの「u」として示されていることを除いて、STAT3 pre-mRNA配列と同一である。ある特定の態様では、「標的核酸」は、STAT3タンパク質をコードする核酸のイントロン又はその天然に存在するバリアント、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。ある特定の態様では、標的核酸は、STAT3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。ある特定の態様では、標的核酸は、STAT3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、例えば、研究又は診断において使用される場合、「標的核酸」は、上記DNA又はRNA核酸標的に由来するcDNA又は合成オリゴヌクレオチドであり得る。STAT3 pre-mRNAによってコードされるヒトSTAT3タンパク質配列は、配列番号31として示されている。ある特定の態様では、標的核酸は、STAT3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、又はその両方を含む。
【0302】
[0306]一部の態様では、標的核酸は、STAT3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、例えば、研究又は診断において使用される場合、「標的核酸」は、上記DNA又はRNA核酸標的に由来するcDNA又は合成オリゴヌクレオチドであり得る。STAT3 pre-mRNAによってコードされるヒトSTAT3タンパク質配列は、配列番号32として示されている。ある特定の態様では、標的核酸は、STAT3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、又はその両方を含む。
【0303】
[0307]一部の態様では、ペイロード(例えば、ASO)は、STAT3転写物のイントロン内の領域、例えば配列番号30又は配列番号32にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、STAT3転写物のエクソン内の領域、例えば配列番号41又は配列番号32にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、STAT3転写物のエクソン-イントロン接合部内の領域、例えば配列番号30又は配列番号32にハイブリダイズする。一部の態様では、本開示のペイロードは、STAT3転写物(例えば、イントロン、エクソン、又はエクソン-イントロン接合部)内の領域、例えば配列番号30又は配列番号32にハイブリダイズする。
【0304】
[0308]一部の態様では、ペイロードは、STAT3タンパク質の特定のアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1)をコードするmRNAを標的とする。一部の態様では、ペイロードは、STAT3タンパク質のすべてのアイソフォームを標的とする。ある特定の態様では、ペイロードは、STAT3タンパク質の2つのアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1(UniProt ID:P40763-1)とアイソフォーム2(UniProt ID:P40763-2)、アイソフォーム2とアイソフォーム3(UniProt ID:P40763-3)を標的とする。
【0305】
[0309]一部の態様では、本開示のペイロードは、STAT3転写物のイントロン内の領域、例えば配列番号30又は配列番号32にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、STAT3転写物のエクソン内の領域、例えば配列番号30又は配列番号32にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、STAT3転写物のエクソン-イントロン接合部内の領域、例えば配列番号30又は配列番号32にハイブリダイズする。一部の態様では、本開示のペイロードは、STAT3転写物(例えば、イントロン、エクソン、又はエクソン-イントロン接合部)内の領域、例えば配列番号30又は配列番号32にハイブリダイズし、ペイロードは、本明細書の他の箇所に記載されている式5’A-B-C3’による設計を有する。
【0306】
[0310]一部の態様では、本開示のペイロードは、STAT3転写物内の複数の標的領域(例えば、ゲノム配列、配列番号30)にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、STAT3転写物内の2つの異なる標的領域にハイブリダイズする。一部の態様では、ペイロードは、STAT3転写物内の3つの異なる標的領域にハイブリダイズする。一部の態様では、STAT3転写物内の複数の領域(例えば、ゲノム配列、配列番号30)にハイブリダイズするペイロードは、STAT3転写物内の単一の領域(例えば、ゲノム配列、配列番号30)にハイブリダイズするペイロードと比較して、STAT3発現を低下させることにおいてより強力である(例えば、より低いEC50を有する)。
【0307】
[0311]本開示のペイロードは、STAT3転写物の領域の相補配列に対応する連続ヌクレオチド配列、例えば、配列番号30に対応するヌクレオチド配列を含む。
【0308】
[0312]一部の態様では、本明細書で開示されているSTAT3転写物を標的とするペイロードの、STAT3をコードするmRNA転写物への結合は、STAT3の発現レベル及び/又は活性レベルを低下させ得る。
【0309】
[0313]一部の態様では、ペイロードは、STAT3転写物を特異的に標的とし得るASOを含む。一部の態様では、ASOのヌクレオチド配列、又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号92~101(すなわち、
図3Fの配列)のいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば約100%の配列同一性を有する。
【0310】
[0314]一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号92~101からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも10個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するSTAT3転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。
【0311】
[0315]一部の態様では、ASOは、配列番号92に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号93に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号94に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号95に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号96に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号97に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号98に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号99に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号100に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号101に記載されている配列を含む。
【0312】
[0316]一部の態様では、ASOは、配列番号92~101に記載されている配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一の配列を含むか又はそれからなる。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は配列番号92~101からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含む。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号92~101からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するSTAT3転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の置換を除いて、配列番号92~101からなる群から選択される配列のうちの1つから選択されるか、又はそれを含み、置換されたASOは、STAT3転写物に結合し得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号92~101からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するSTAT3転写物に対して相補的な1、2、3、又は4個のさらなる5’及び/又は3’ヌクレオチドを任意選択的に含み得る。
【0313】
II.G.1.g NLRP3
[0317]一部の態様では、本明細書において提供されるペイロード(例えば、ASO)は、細胞内の目的の任意の遺伝子又はタンパク質の発現を下方調節する(例えば、低下させるか又は阻害する)ことが可能である。ある特定の態様では、本明細書に記載の(例えば、本開示の負荷方法を使用して、EVに負荷することができる)ペイロードは、NLRP3 pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とする。一部の態様では、ペイロードは、NLRP3タンパク質のすべてのアイソフォームを標的とすることが可能である。ある特定の態様では、ペイロードは、特異的なNLRP3アイソフォームを標的とする。別段に示されていない限り、用語「NLRP3」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するSTAT6を指し得る。
【0314】
[0318]NLRP3(NLRP3)は、NLRファミリーピリンドメイン含有3としても公知である。別段に示されていない限り、用語「NLRP3」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)に由来するNLRP3を指し得る。NLRP3/NLRP3のシノニムは公知であり、NLRP3;C1orf7;CIAS1;NALP3;PYPAF1;ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチリピート及びピリンドメイン含有3;寒冷誘発性自己炎症性症候群1タンパク質;クリオピリン;NACHT、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質3;アンジオテンシン/バソプレッシン受容体AII/AVP様;キャタピラータンパク質1.1;CLR1.1;寒冷誘発性自己炎症性症候群1タンパク質;及びPYRIN含有APAF1様タンパク質1が挙げられる。ヒトNLRP3遺伝子の配列は、公的に入手可能なGenBank受託番号NC_000001.11:247416156-247449108に見い出すことができる。ヒトNLRP3遺伝子は、染色体位置1q44の247,416,156~247,449,108に見られる。
【0315】
[0319]ヒトNLRP3 pre-mRNA転写物の配列(配列番号33)は、染色体1q44の残基247,416,156~247,449,108の逆相補配列に対応する。NLRP3 mRNA配列(GenBank受託番号NM_001079821.2)は、配列番号35のヌクレオチド「t」がmRNA中の「u」として示されていることを除いて、配列番号35に与えられている。ヒトNLRP3タンパク質の配列は、公的に入手可能な受託番号で見出すことができる:Q96P20、(カノニカル配列、配列番号34)、Q96P20-2(配列番号36)、Q96P20-3(配列番号37)、Q96P20-4(配列番号38)、Q96P20-5(配列番号39)、及びQ96P20-6(配列番号40)に見出すことができ、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0316】
[0320]ヒトNLRP3遺伝子産物の天然バリアントは公知である。例えば、ヒトNLRP3タンパク質の天然バリアントは、D21H、I174T、V200M、R262L、4262P、R262W、L266H、D305G、D305N、L307P、Q308K、F311S、T350M、A354V、L355P、E356D、H360R、T407P、T438I、T438N、A441T、A441V、R490K、F525C、F525L、G571R、Y572C、F575S、E629G、L634F、M664T、Q705K、Y861C、及びR920Q、並びにこれらの任意の組合せから選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含有し得る。選択的スプライシングから生じるヒトNLRP3タンパク質のさらなるバリアントも当技術分野で公知である。NLRP3 アイソフォーム1(UniProtの識別子:Q96P20-2)は、カノニカル配列(配列番号35)と以下のように異なる:配列番号35に対して、残基721~777及び836~892の欠失。NLRP3アイソフォーム3(識別子:Q96P20-3)の配列は、カノニカル配列(配列番号35)と以下のように異なる:配列番号35に対して、残基720~1036の欠失。NLRP3アイソフォーム4(識別子:Q96P20-4)の配列は、カノニカル配列(配列番号35)と以下のように異なる:配列番号35に対して、残基721~777の欠失。NLRP3アイソフォーム5(識別子:Q96P20-5)の配列は、カノニカル配列(配列番号35)と以下のように異なる:配列番号35に対して、残基836~892の欠失。NLRP3アイソフォーム6(識別子:Q96P20-6)の配列は、カノニカル配列(配列番号35)と以下のように異なる:配列番号35に対して、残基776~796の欠失。したがって、本開示のペイロードは、NLRP3タンパク質の天然バリアントの発現を低下させるか又は阻害するように設計され得る。
【0317】
[0321]ペイロードの標的核酸配列の一例は、NLRP3 pre-mRNAである。配列番号33は、ヒトNLRP3ゲノム配列(すなわち、染色体1q44のヌクレオチド247,416,156~247,449,108の逆相補配列)を表す。配列番号33は、配列番号33のヌクレオチド「t」がpre-mRNAの「u」として示されていることを除いて、NLRP3 pre-mRNA配列と同一である。ある特定の態様では、「標的核酸」は、NLRP3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのイントロン、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。ある特定の態様では、標的核酸は、NLRP3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。ある特定の態様では、標的核酸は、NLRP3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、例えば、研究又は診断において使用される場合、「標的核酸」は、上記DNA又はRNA核酸標的に由来するcDNA又は合成オリゴヌクレオチドであり得る。NLRP3 pre-mRNAによってコードされるヒトNLRP3タンパク質配列は、配列番号35として示されている。ある特定の態様では、標的核酸は、NLRP3タンパク質をコードする核酸又はその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、又はその両方を含む。
【0318】
[0322]一部の態様では、ペイロード(例えば、ASO)は、NLRP3転写物のイントロン内の領域、例えば、配列番号33にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、NLRP3転写物のエクソン内の領域、例えば配列番号33にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のペイロードは、NLRP3転写物のエクソン-イントロン接合部内の領域、例えば配列番号33にハイブリダイズする。一部の態様では、本開示のペイロードは、NLRP3転写物(例えば、イントロン、エクソン、又はエクソン-イントロン接合部)内の領域、例えば配列番号33にハイブリダイズする。
【0319】
[0323]一部の態様では、ペイロードは、NLRP3タンパク質の特定のアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1)をコードするmRNAを標的とする。一部の態様では、ペイロードは、NLRP3タンパク質のすべてのアイソフォームを標的とする。ある特定の態様では、ペイロードは、NLRP3タンパク質の2つのアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1とアイソフォーム2、アイソフォーム3とアイソフォーム4、及びアイソフォーム5とアイソフォーム6)を標的とする。
【0320】
[0324]一部の態様では、本明細書で開示されているNLRP3転写物を標的とするペイロードの、NLRP3をコードするmRNA転写物への結合は、NLRP3の発現レベル及び/又は活性レベルを低下させ得る。
【0321】
[0325]一部の態様では、ペイロードは、NLRP3転写物を特異的に標的とし得るASOを含む。一部の態様では、ASOのヌクレオチド配列、又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号102~112(すなわち、
図3Gの配列)のいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば約100%の配列同一性を有する。
【0322】
[0326]一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号102~112からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも10個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するNLRP3転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。
【0323】
[0327]一部の態様では、ASOは、配列番号102に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号103に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号104に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号105に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号106に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号107に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号108に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号109に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号110に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号111に記載されている配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号112に記載されている配列を含む。
【0324】
[0328]一部の態様では、ASOは、配列番号102~112に記載されている配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一の配列を含むか又はそれからなる。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は配列番号102~112からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含む。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号102~112からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するNLRP3転写物と比較した場合に、1、2、3、又は4個のミスマッチを任意選択的に含み得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の置換を除いて、配列番号102~112からなる群から選択される配列のうちの1つから選択されるか、又はそれを含み、置換されたASOは、NLRP3転写物に結合し得る。一部の態様では、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、配列番号102~112からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20個の連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれを含み、ASO(又はその連続ヌクレオチド部分)は、対応するNLRP3転写物に対して相補的な1、2、3、又は4個のさらなる5’及び/又は3’ヌクレオチドを任意選択的に含み得る。
【0325】
II.G.2 アンカー部分
[0329]1つ又は複数のアンカー部分(AM)を使用して、ペイロード(又は目的の任意の他の部分)をEV(例えば、エクソソーム)に係留することができる。一部の態様では、ペイロードは、アンカー部分に直接的に連結されている。一部の態様では、ペイロードは、本明細書に記載のものなどのリンカーを介してアンカー部分に連結されている。一部の態様では、ペイロードは、「反応性基」(RG;例えば、アミン、チオール、ヒドロキシ、カルボン酸、又はアジド)と「反応性部分」(RM;例えば、マレイミド、スクシネート、NHS)との間の反応により、アンカー部分及び/又はリンカーに結合され得る。いくつかの可能性のある合成経路、例えば:
[AM]-/反応性部分/+/反応性基/-[ペイロード]
[AM]-[リンカー]n-/反応性部分/+/反応性基/-[ペイロード]
[AM]-/反応性部分/+/反応性基/-[リンカー]n-[ペイロード]
[AM]-[リンカー]n-/反応性部分/+/反応性基/-[リンカー]n-[ペイロード]
が想定される。
【0326】
[0330]アンカー部分を、EVの脂質二重層中に挿入し、ペイロードの負荷を可能にし得る。一部の態様では、アンカー部分はペイロードに化学的にコンジュゲートされ、その疎水特性を増強し、それによって、ペイロードによるEVへの負荷を増強することができる。一部の態様では、アンカー部分は、ステロール(例えば、コレステロール)、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、又はこれらの組合せを含む。
【0327】
[0331]一部の態様では、アンカー部分は、脂質を含む。当技術分野で公知の任意の好適な脂質をアンカー部分(例えば、パルミチン酸又はグリコシルホスファチジルイノシトール)として使用することができる。一部の態様では、アンカー部分は、ステロール、例えば、コレステロールである。さらなる疎水性部分としては、例えば、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、又はビタミン(例えば、ビタミンD又はビタミンE)が挙げられる。
【0328】
[0332]一部の態様では、アンカー部分は、化学的に結合されている。ある特定の態様では、アンカー部分は、ペイロード(例えば、ASO)に酵素的に結合され得る。一部の態様では、アンカー部分は、細胞培養条件の修飾によりペイロードに結合され得る。例えば、ミリスチン酸が制限される培養培地を使用することによって、短鎖及び不飽和を含む一部の他の脂肪酸をN末端のグリシンに結合させることができる。例えば、BKチャネルでは、ミリステートがヒドロキシエステル連結を介して内部のセリン/トレオニン残基又はチロシン残基に翻訳後結合することが報告されている。
【0329】
[0333]アンカー部分は、任意の化学的に実行可能な位置、例えば、ペイロードの5’及び/又は3’末端で、リンカーの組合せを介して、直接的又は間接的にペイロードにコンジュゲートされ得る。ある特定の態様では、アンカー部分は、ペイロードの3’末端にのみコンジュゲートされる。ある特定の態様では、アンカー部分は、ペイロードの5’末端にのみコンジュゲートされる。一部の態様では、アンカー部分は、ペイロードの3’末端又は5’末端ではない位置にコンジュゲートされる。
【0330】
[0334]アンカー部分(それらの構造を含む)の非限定的な例は以下に提供される:
【表1】
【0331】
[0335]一部の態様では、本開示にとって有用なアンカー部分は、本明細書で開示されている2種類以上のアンカー部分を含む。例えば、一部の態様では、アンカー部分は、合わせて6~80個の炭素原子(すなわち、6~80の同等の炭素数(ECN))を有する2つの脂質、例えばリン脂質及び脂肪酸、又は2つのリン脂質、又は2つの脂肪酸、又は脂質及びビタミン、又はコレステロール及びビタミンなどを含み得る。
【0332】
[0336]一部の態様では、アンカー部分の組合せ、例えば、脂質(例えば、脂肪酸)の組合せは、6~80個、8~80個、10~80個、12~80個、14~80個、16~80個、18~80個、20~80個、22~80個、24~80個、26~80個、28~80個、30~80個、4~76個、6~76個、8~76個、10~76個、12~76個、14~76個、16~76個、18~76個、20~76個、22~76個、24~76個、26~76個、28~76個、30~76個、6~72個、8~72個、10~72個、12~72個、14~72個、16~72個、18~72個、20~72個、22~72個、24~72個、26~72個、28~72個、30~72個、6~68個、8~68個、10~68個、12~68個、14~68個、16~68個、18~68個、20~68個、22~68個、24~68個、26~68個、28~68個、30~68個、6~64個、8~64個、10~64個、12~64個、14~64個、16~64個、18~64個、20~64個、22~64個、24~64個、26~64個、28~64個、30~64個、6~60個、8~60個、10~60個、12~56個、14~56個、16~56個、18~56個、20~56個、22~56個、24~56個、26~56個、28~56個、30~56個、6~52個、8~52個、10~52個、12~52個、14~52個、16~52個、18~52個、20~52個、22~52個、24~52個、26~52個、28~52個、30~52個、6~48個、8~48個、10~48個、12~48個、14~48個、16~48個、18~48個、20~48個、22~48個、24~48個、26~48個、28~48個、30~48個、6~44個、8~44個、10~44個、12~44個、14~44個、16~44個、18~44個、20~44個、22~44個、24~44個、26~44個、28~44個、30~44個、6~40個、8~40個、10~40個、12~40個、14~40個、16~40個、18~40個、20~40個、22~40個、24~40個、26~40個、28~40個、30~40個、6~36個、8~36個、10~36個、12~36個、14~36個、16~36個、18~36個、20~36個、22~36個、24~36個、26~36個、28~36個、30~36個、6~32個、8~32個、10~32個、12~32個、14~32個、16~32個、18~32個、20~32個、22~32個、24~32個、26~32個、28~32個、又は30~32個のECNを有する。
【0333】
II.G.1.a.コレステロール及び他のステロール
[0337]一部の態様では、アンカー部分は、ステロール、ステロイド、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、セコステロイド、又は脂溶性を有するそのアナログを含む。一部の態様では、アンカー部分は、植物ステロール、菌類ステロール、又は動物ステロールなどのステロールを含む。例示的な動物ステロールとしては、コレステロール及び24S-ヒドロキシコレステロールが挙げられ、例示的な植物ステロールとしては、エルゴステロール(菌類ステロール)、カンペステロール、シトステロール、及びスチグマステロールが挙げられる。一部の態様では、ステロールは、エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール、コレステロール、24S-ヒドロキシコレステロール、ラノステロール、シクロアルテノール、フコステロール、サリンゴステロール、カンペステロール、β-シトステロール、シトスタノール、コプロスタノール、アベナステロール、及びスチグマステロールから選択される。ステロールは、遊離ステロール、アシル化ステロール(ステロールエステル)、アルキル化ステロール(ステリルアルキルエーテル)、硫酸化ステロール(硫酸ステロール)、又はグリコシド部分と連結しており(ステリルグリコシド)、それ自体がアシル化されている可能性のあるステロール(アシル化ステロールグリコシド)のいずれかとして見られる場合がある。
【0334】
[0338]一部の態様では、アンカー部分は、ステロイドを含む。一部の態様では、ステロイドは、ジヒドロテストステロン、ウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン、プロゲステロン、又はコルチゾールから選択される。
【0335】
[0339]例えば、ステロールは、直接的に又はステロールの利用可能な-OH基におけるリンカーの組合せを介してペイロード(例えば、ASO)にコンジュゲートされ得る。例示的なステロールは、以下に示されている一般的骨格を有する:
【化5】
【0336】
[0340]さらなる例として、エルゴステロールは以下の構造を有する:
【化6】
【0337】
[0341]コレステロールは以下の構造を有する:
【化7】
【0338】
[0342]したがって、一部の態様では、ステロール又はステロイドの遊離-OH基を使用して、直接的に又はリンカーの組合せを介して、ペイロードをステロール(例えば、コレステロール)又はステロイドにコンジュゲートさせる。一部の態様では、本明細書に記載のペイロード(例えば、ASO)をコンジュゲートさせるために使用することができるコレステロールは、
図2Aに示されている構造を有する。一部の態様では、本明細書に記載のペイロード(例えば、ASO)をコンジュゲートさせるために使用することができるコレステロールは、
図2Bに示されている構造を有する。本明細書で記載されているように、
図2Aに示されているコレステロールは、リンカー、例えば、トリエチレングリコール(本明細書において、「chol2」と称される)に結合され得る。一部の態様では、
図2Bに示されているコレステロールは、リンカー、例えば、テトラエチレングリコール(本明細書において、「chol4」と称される)に結合され得る。
【0339】
II.G.2.b.脂肪酸
[0343]一部の態様では、アンカー部分は、脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は、短鎖、中鎖、又は長鎖脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は、飽和脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は、不飽和脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は、モノ不飽和脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は、ポリ不飽和脂肪酸、例えばオメガ-3又はオメガ-6脂肪酸である。
【0340】
[0344]一部の態様では、脂質、例えば脂肪酸は、C2~C60鎖を有する。一部の態様では、脂質、例えば脂肪酸は、C2~C28鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸は、C2~C40鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸は、C2~C12又はC4~C12鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸は、C4~C40鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸は、C4~C40、C2~C38、C2~C36、C2~C34、C2~C32、C2~C30、C4~C30、C2~C28、C4~C28、C2~C26、C4~C26、C2~C24、C4~C24、C6~C24、C8~C24、C10~C24、C2~C22、C4~C22、C6~C22、C8~C22、C10~C22、C2~C20、C4~C20、C6~C20、C8~C20、C10~C20、C2~C18、C4~C18、C6~C18、C8~C18、C10~C18、C12~C18、C14~C18、C16~C18、C2~C16、C4~C16、C6~C16、C8~C16、C10~C16、C12~C16、C14~C16、C2~C15、C4~C15、C6~C15、C8~C15、C9~C15、C10~C15、C11~C15、C12~C15、C13~C15、C2~C14、C4~C14、C6~C14、C8~C14、C9~C14、C10~C14、C11~C14、C12~C14、C2~C13、C4~C13、C6~C13、C7~C13、C8~C13、C9~C13、C10~C13、C10~C13、C11~C13、C2~C12、C4~C12、C6~C12、C7~C12、C8~C12、C9~C12、C10~C12、C2~C11、C4~C11、C6~C11、C7~C11、C8~C11、C9~C11、C2~C10、C4~C10、C2~C9、C4~C9、C2~C8、C2~C7、C4~C7、C2~C6、又はC4~C6鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸は、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49、C50、C51、C52、C53、C54、C55、C56、C57、C58、C59、又はC60鎖を有する。
【0341】
[0345]一部の態様では、アンカー部分は、2つの脂肪酸を含み、その各々は、前記範囲又は数の炭素原子のいずれか1つを有する鎖を有する脂肪酸から独立的に選択される。一部の態様では、脂肪酸のうちの1つは、独立的に、C6~C21鎖を有する脂肪酸であり、1つは、独立的に、C12~C36鎖を有する脂肪酸である。一部の態様では、各脂肪酸は、11、12、13、14、15、16、又は17個の炭素原子の鎖を独立的に有する。
【0342】
[0346]好適な脂肪酸は、飽和直鎖脂肪酸、飽和分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、及びポリカルボン酸を含む。一部の態様では、このような脂肪酸は、最大32個の炭素原子を有する。
【0343】
[0347]有用な飽和直鎖脂肪酸の例としては、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸及びn-ドトリアコンタン酸などの偶数の炭素原子を有するもの、並びにプロピオン酸、n-吉草酸、エナント酸、ペラルゴン酸、ヘンデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ヘネイコサン酸、トリコサン酸、ペンタコサン酸、及びヘプタコサン酸などの奇数の炭素原子を有するものが挙げられる。
【0344】
[0348]好適な飽和分岐脂肪酸の例としては、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソカプリル酸、イソカプリン酸、イソラウリン酸、11-メチルドデカン酸、イソミリスチン酸、13-メチル-テトラデカン酸、イソパルミチン酸、15-メチル-ヘキサデカン酸、イソステアリン酸、17-メチルオクタデカン酸、イソアラキン酸、19-メチル-エイコサン酸、α-エチル-ヘキサン酸、α-ヘキシルデカン酸、α-ヘプチルウンデカン酸、2-デシルテトラデカン酸、2-ウンデシルテトラデカン酸、2-デシルペンタデカン酸、2-ウンデシルペンタデカン酸、及びFine oxocol1800酸(日産化学工業株式会社(Nissan Chemical Industries,Ltd.)の製品)が挙げられる。好適な飽和奇数炭素分岐脂肪酸としては、イソブチル基を末端に有するアンテイソ脂肪酸、例えば、6-メチル-オクタン酸、8-メチル-デカン酸、10-メチル-ドデカン酸、12-メチル-テトラデカン酸、14-メチル-ヘキサデカン酸、16-メチル-オクタデカン酸、18-メチル-エイコサン酸、20-メチル-ドコサン酸、22-メチル-テトラコサン酸、24-メチル-ヘキサコサン酸、及び26-メチルオクタコサン酸が挙げられる。
【0345】
[0349]好適な不飽和脂肪酸の例としては、4-デセン酸、カプロレイン酸、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸、ラウロレイン酸、4-テトラデセン酸、5-テトラデセン酸、9-テトラデセン酸、パルミトレイン酸、6-オクタデセン酸、オレイン酸、9-オクタデセン酸、11-オクタデセン酸、9-エイコセン酸、cis-11-エイコセン酸、セトオレイン酸、13-ドコセン酸、15-テトラコセン酸、17-ヘキサコセン酸、6,9,12,15-ヘキサデカテトラエン酸、リノール酸、リノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、パリナリン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。
【0346】
[0350]好適なヒドロキシ脂肪酸の例としては、α-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、α-ヒドロキシパルミチン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、ω-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシアラキン酸、9-ヒドロキシ-12-オクタデセン酸、リシノール酸、α-ヒドロキシベヘン酸、9-ヒドロキシ-trans-10,12-オクタデカジエン酸、カモレン酸、イプロール酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
【0347】
[0351]好適なポリカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、D,L-リンゴ酸などが挙げられる。
【0348】
[0352]一部の態様では、各脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラセロン酸、サイリン酸、ゲド酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸(hexatriacontylic acid)、ヘプタトリアコンタン酸、又はオクタトリアコンタン酸から独立的に選択される。
【0349】
[0353]一部の態様では、各脂肪酸は、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、ガンマ-リノール酸、ジホモ-ガンマ-リノール酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、ワクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレン酸、ボソペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、ニシン酸、ドコサヘキサエン酸、若しくはテトラコサノールペンタエン酸、或いは別のモノ不飽和又は多価不飽和脂肪酸から独立的に選択される。
【0350】
[0354]一部の態様では、脂肪酸の一方又は両方が、必須脂肪酸である。特定の必須脂肪酸の有益な健康効果を考慮すると、開示された治療薬が負荷されたエクソソームの治療効果は、そのような脂肪酸を治療剤に含めることによって増加される場合がある。一部の態様では、必須脂肪酸は、リノレン酸、ガンマ-リノレン酸、ジホモ-ガンマ-リノレン酸、アラキドン酸、アドレン酸、ドコサペンタエン酸n-6、アルファ-リノレン酸、ステアリドン酸、20:4n-3酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸n-3、又はドコサヘキサエン酸からなる群から選択されるn-6又はn-3必須脂肪酸である。
【0351】
[0355]一部の態様では、各脂肪酸は、all-cis-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、又はリポ酸から独立的に選択される。一部の態様では、脂肪酸は、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、又はリポ酸から選択される。脂肪酸の他の例としては、all-cis-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸(ALA又はall-cis-9,12,15-オクタデカトリエン酸)、ステアリドン酸(STD又はall-cis-6、9,12,15-オクタデカテトラエン酸)、エイコサトリエン酸(ETE又はall-cis-11,14,17-エイコサトリエン酸)、エイコサテトラエン酸(ETA又はall-cis-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA、クルパノドン酸又はall-cis-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸)、ドコサヘキサエン酸(DHA又はall-cis-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸)、テトラコサペンタエン酸(all-cis-9,12,15,18,21-ドコサヘキサエン酸)、又はテトラコサヘキサエン酸(ニシン酸又はall-cis-6,9,12,15,18,21-テトラコセン酸)が挙げられる。一部の態様では、脂肪酸は、リポ酸などの中鎖脂肪酸である。
【0352】
[0356]脂肪酸鎖は、その鎖の長さが大きく異なり、鎖の長さによって、例えば短鎖から極長鎖まで分類され得る。短鎖脂肪酸(SCFA)は、炭素数が約5以下の鎖を有する脂肪酸である(例えば、酪酸)。一部の態様では、脂肪酸は、SCFAである。中鎖脂肪酸(MCFA)は、炭素数約6~12の鎖を有する脂肪酸を含み、中鎖トリグリセリドを形成し得る。一部の態様では、脂肪酸は、MCFAである。長鎖脂肪酸(LCFA)は、炭素数13~21の鎖を有する脂肪酸を含む。一部の態様では、脂肪酸は、LCFAである。一部の態様では、脂肪酸は、LCFAである。極長鎖脂肪酸(VLCFA)には、22個以上の炭素、例えば、22~60、22~50、又は22~40個の炭素を有する脂肪酸が含まれる。一部の態様では、脂肪酸は、VLCFAである。
【0353】
II.G.2.c.リン脂質
[0357]一部の態様では、アンカー部分は、リン脂質を含む。リン脂質は、すべての細胞膜の主要な構成成分である脂質の分類である。これらは、その両親媒性特性のために脂質二重層を形成し得る。リン脂質分子の構造は、一般に、2つの疎水性脂肪酸「テール」とリン酸基からなる親水性「ヘッド」からなる。例えば、リン脂質は、以下の式:
【化8】
(式中、R
pは、リン脂質部分を表し、R
1及びR
2は、同一であっても異なっていてもよい不飽和を有するか又は有さない脂肪酸部分を表す)による脂質であり得る。
【0354】
[0358]リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択されてよい。
【0355】
[0359]特定のリン脂質は、脂質二重層、例えばエクソソーム膜の脂質二重層への融合を容易にし得る。例えば、カチオン性リン脂質は、膜の1つ又は複数の負に荷電したリン脂質と相互作用し得る。リン脂質の膜への融合は、脂質含有組成物のうちの1つ又は複数の要素が、膜に結合するか又は膜を通過するのを可能にし得る。
【0356】
[0360]脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択することができる。
【0357】
[0361]本開示のアンカー部分を使用するリン脂質は、天然又は非天然のリン脂質であり得る。分岐、酸化、環化、及びアルキンを含む修飾及び置換を有する天然種を含む非天然リン脂質種も企図される。例えば、リン脂質は、1つ又は複数のアルキン(例えば、1つ又は複数の二重結合が三重結合で置き換えられたアルケニル基)で官能基化されるか又はそれに架橋されていてもよい。適切な反応条件下で、アルキン基は、アジドに曝露されると、銅触媒による環化付加反応を起こし得る。
【0358】
[0362]リン脂質としては、以下に限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸などのグリセロリン脂質が挙げられる。
【0359】
II.G.2.d.リゾ脂質(例えば、リゾリン脂質)
[0363]一部の態様では、アンカー部分は、リゾ脂質、例えばリゾリン脂質を含む。リゾ脂質は、一方又は両方の脂肪アシル鎖が、一般には加水分解により除去された脂質の誘導体である。リゾリン脂質は、一方又は両方の脂肪アシル鎖が加水分解により除去されたリン脂質の誘導体である。
【0360】
[0364]一部の態様では、アンカー部分は、一方又は両方のアシル鎖が加水分解によって除去され、したがって、得られたリゾリン脂質が1つの脂肪酸アシル鎖を含むか又は脂肪酸アシル鎖を含まない、上に開示されているリン脂質のいずれかを含む。
【0361】
[0365]一部の態様では、アンカー部分は、リゾグリセロリン脂質、リゾグリコスフィンゴ脂質、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール、又はリゾホスファチジルセリンを含む。
【0362】
II.G.2.e.ビタミン
[0366]一部の態様では、アンカー部分は、脂溶性ビタミン、例えば、葉酸、ビタミンA、ビタミンE、ピリドキソン、ナイアシン、又はビタミンKを含む。
【0363】
[0367]一部の態様では、アンカー部分は、ビタミンAを含む。ビタミンAは、レチノール、レチナール、レチノイン酸、及びいくつかのプロビタミンAカロテノイド(特にベータカロテン)を含む不飽和栄養有機化合物の一群である。一部の態様では、アンカー部分は、レチノールを含む。一部の態様では、アンカー部分は、レチノイドを含む。レチノイドは、ビタミンAのビタマーである化学的化合物の分類であるか又はそれに化学的に関連する。一部の態様では、アンカー部分は、第1世代のレチノイド(例えば、レチノール、トレチノイン、イソトレアチノイン、又はアリトレチノイン)、第2世代のレチノイド(例えば、エトレチネート又はアシトレチン)、第3世代のレチノイド(例えば、アダパレン、ベキサロテン、又はタザロテン)、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0364】
II.G.3 リンカーの組合せ
[0368]一部の態様では、ペイロード(例えば、ASO)(又は本明細書に記載の目的の任意の他の部分)は、リンカーの組合せを介して本明細書で開示されているアンカー部分に連結されている。ある特定の態様では、リンカーの組合せは、複数の(例えば、2つ以上の)切断性リンカーを含む。ある特定の態様では、リンカーの組合せは、複数の(例えば、2つ以上の)非切断性リンカーを含む。一部の態様では、リンカーの組合せは、複数の(例えば、2つ以上の)非切断性リンカー及び切断性リンカーを含む。
【0365】
[0369]リンカーは、切断を受けやすく(「切断性リンカー」)、それによって、生物学的に活性な分子(例えば、ペイロード)の放出を容易にし得る。よって、一部の態様では、本明細書で開示されているリンカーの組合せは、切断性リンカーを含み得る。このような切断性リンカーは、例えば、生物学的に活性な分子(例えば、ペイロード、例えば、ASO)が活性なままである条件で、酸誘導性切断、光誘導性切断、ペプチダーゼ誘導性切断、エステラーゼ誘導性切断、活性酸素種誘導性切断、ジセレニド結合切断、及びジスルフィド結合切断を受けやすい可能性がある。或いは、リンカーは、切断に対して実質的に耐性である場合がある(「非切断性リンカー」)。一部の態様では、切断性リンカーは、スペーサーを含む。一部の態様では、スペーサーは、PEGである。
【0366】
[0370]一部の態様では、リンカーの組合せは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、若しくは少なくとも6個又はそれより多い本明細書で開示されている様々なリンカーを含む。一部の態様では、リンカーの組合せにおけるリンカーは、エステル連結(例えば、ホスホジエステル又はホスホロチオエートエステル)によって連結され得る。
【0367】
[0371]一部の態様では、リンカーは、アンカー部分とペイロード(例えばASO)との間の直接結合である。
【0368】
II.G.3.a 非切断性リンカー
[0372]一部の態様では、リンカーの組合せは、非切断性リンカーを含む。「非切断性リンカー」は、本開示の修飾された生物学的に活性な分子の2つ以上の構成成分(例えば、生物学的に活性な分子及びアンカー部分;生物学的に活性な分子及び切断性リンカー;アンカー部分及び切断性リンカー)を安定な共有結合様式で連結することができ、切断性リンカーについて上に列挙したカテゴリーに該当しない任意の化学的部分である。よって、非切断性リンカーは、酸誘導性切断、光誘導性切断、ペプチダーゼ誘導性切断、ペプチダーゼ誘導性切断、エステラーゼ誘導性切断及びジスルフィド結合の切断に対して実質的に耐性である。
【0369】
[0373]さらに、非切断性は、環状ジヌクレオチド及び/又は抗体がその活性を失わない条件下で、酸、感光性切断剤、ペプチダーゼ、エステラーゼ、又はジスルフィド結合を切断する化学的若しくは生理学的化合物によって誘導される切断に耐える、リンカー又はリンカーに隣接する化学結合の能力を指す。一部の態様では、生物学的に活性な分子は、別のリンカー、例えば、自己犠牲リンカーを介してリンカーに結合されている。
【0370】
[0374]一部の態様では、リンカーの組合せは、例えば、テトラエチレングリコール(TEG)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、スクシンイミド、又はこれらの任意の組合せを含む非切断性リンカーを含む。一部の態様では、非切断性リンカーは、生物学的に活性な分子を非切断性リンカーに連結させるスペーサー単位を含む。
【0371】
[0375]一部の態様では、1つ又は複数の非切断性リンカーは、一緒に連結したより小さい単位(例えば、HEG、TEG、グリセロール、C2~C12アルキルなど)を含む。一態様では、連結は、エステル連結(例えば、ホスホジエステル又はホスホロチオエートエステル)又は他の連結である。
【0372】
II.G.3.a.1 エチレングリコール(HEG、TEG、PEG)
[0376]一部の態様では、リンカーの組合せは、非切断性リンカーを含み、非切断性リンカーは、式R3-(O-CH2-CH2)n-又はR3-(0-CH2-CH2)n-O-(R3は、水素、メチル又はエチルであり、nは2~200の値を有する)によって特徴付けられるポリエチレングリコール(PEG)を含む。一部の態様では、リンカーはスペーサーを含み、スペーサーはPEGである。
【0373】
[0377]一部の態様では、PEGリンカーは、オリゴ-エチレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール(TEG)、ペンタエチレングリコール、又はヘキサエチレングリコール(HEG)リンカーである。
【0374】
[0378]一部の態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、又は200の値を有する。
【0375】
[0379]一部の態様では、nは、2~10の間、10~20の間、20~30の間、30~40の間、40~50の間、50~60の間、60~70の間、70~80の間、80~90の間、90~100の間、100~110の間、110~120の間、120~130の間、130~140の間、140~150の間、150~160の間、160~170の間、170~180の間、180~190の間、又は190~200の間である。
【0376】
[0380]一部の具体的態様では、nは、3~200、3~20、10~30、又は9~45の値を有する。
【0377】
[0381]一部の態様では、PEGは、分岐PEGである。分岐PEGは、中央のコア基から出ている3~10本のPEG鎖を有する。
【0378】
[0382]ある特定の態様では、PEG部分は、単分散ポリエチレングリコールである。本開示の文脈では、単分散ポリエチレングリコール(mdPEG)は、単一の、規定された鎖長及び分子量を有するPEGである。mdPEGは、典型的には、クロマトグラフィーによる重合混合物からの分離によって生成される。特定の式では、単分散PEG部分にはmdPEGの略号が付与される。
【0379】
[0383]一部の態様では、PEGは、Star PEGである。Star PEGは、中央のコア基から出ている10~100本のPEG鎖を有する。
【0380】
[0384]一部の態様では、PEGは、Comb PEGである。Comb PEGは、ポリマー骨格に通常グラフトされた複数のPEG鎖を有する。
【0381】
[0385]ある特定の態様では、PEGは、100g/mol~3000g/molの間、特に100g/mol~2500g/molの間、より詳細にはおよそ100g/mol~2000g/molのモル質量を有する。ある特定の態様では、PEGは、200g/mol~3000g/molの間、特に300g/mol~2500g/molの間、より詳細にはおよそ400g/mol~2000g/molのモル質量を有する。
【0382】
[0386]一部の態様では、PEGは、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1100、PEG1200、PEG1300、PEG1400、PEG1500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG2600、PEG2700、PEG2800、PEG2900、又はPEG3000である。ある特定の態様では、PEGは、PEG400である。ある特定の態様では、PEGは、PEG2000である。
【0383】
[0387]一部の態様では、本開示のリンカーの組合せは、いくつかのPEGリンカー、例えば、PEG、HEG、又はTEGリンカーに隣接した切断性リンカーを含み得る。
【0384】
[0388]一部の態様では、リンカーの組合せは、(HEG)n及び/又は(TEG)nを含み、nは、1~50の間の整数であり、各単位は、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル連結、又はこれらの組合せを介して接続されている。
【0385】
II.G.3.a.2.グリセロール及びポリグリセロール(PG)
[0389]一部の態様では、リンカーの組合せは、グリセロール単位又は式((R3-O-(CH2-CHOH-CH2O)n-)に記載のポリグリセロール(PG)を含む非切断性リンカーを含み、R3は、水素、メチル又はエチルであり、nは、3~200の値を有する。一部の態様では、nは3~20の値を有する。一部の態様では、nは10~30の値を有する。
【0386】
[0390]一部の態様では、PGリンカーは、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール(TG)、ペンタグリセロール、又はヘキサグリセロール(HG)リンカーである。
【0387】
[0391]一部の態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、又は200の値を有する。
【0388】
[0392]一部の態様では、nは、2~10の間、10~20の間、20~30の間、30~40の間、40~50の間、50~60の間、60~70の間、70~80の間、80~90の間、90~100の間、100~110の間、110~120の間、120~130の間、130~140の間、140~150の間、150~160の間、160~170の間、170~180の間、180~190の間、又は190~200の間である。
【0389】
[0393]これらの態様の一部の代替では、nは9~45の値を有する。一部の態様では、異種部分は、式(R3-O-(CH2-CHOR5-CH2-O)n-)に記載の分岐ポリグリセロールであり、R5は、水素又は式(R3-O-(CH2-CHOH-CH2-O)n-)に記載の直鎖グリセロール鎖であり、R3は、水素、メチル又はエチルである。一部の態様では、異種部分は、式(R3-O-(CH2-CHOR5-CH2-O)n-)に記載の多分岐ポリグリセロールであり、R5は、水素又は式(R3-O-(CH2-CHOR6-CH2-O)n-)に記載のグリセロール鎖であり、R6は、水素又は式(R3-O-(CH2-CHOR7-CH2-O)n-)に記載のグリセロール鎖であり、R7は、水素又は式(R3-O-(CH2-CHOH-CH2-O)n-)に記載の直鎖グリセロール鎖であり、R3は、水素、メチル又はエチルである。多分岐グリセロール及びその合成方法は、Oudshornら(2006) Biomaterials 27:5471~5479頁;Wilmsら(20100 Acc. Chem. Res. 43、129~41頁、及びそれらにおいて引用される参照文献に記載されている。
【0390】
[0394]ある特定の態様では、PGは、100g/mol~3000g/molの間、特に100g/mol~2500g/molの間、より詳細にはおよそ100g/mol~2000g/molのモル質量を有する。ある特定の態様では、PGは、200g/mol~3000g/molの間、特に300g/mol~2500g/molの間、より詳細にはおよそ400g/mol~2000g/molのモル質量を有する。
【0391】
[0395]一部の態様では、PGは、PG100、PG200、PG300、PG400、PG500、PG600、PG700、PG800、PG900、PG1000、PG1100、PG1200、PG1300、PG1400、PG1500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG2600、PG2700、PG2800、PG2900、又はPG3000である。特定の一態様では、PGは、PG400である。別の特定の態様では、PGは、PG2000である。
【0392】
[0396]一部の態様では、リンカーの組合せは、(グリセロール)n、及び/又は(HG)n及び/又は(TG)nを含み、nは、1~50の間の整数であり、各単位は、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル連結、又はこれらの組合せを介して接続されている。
【0393】
II.G.3.a.3.脂肪族(アルキル)リンカー
[0397]一部の態様では、リンカーの組合せは、例えば、プロピル、ブチル、ヘキシル、又はC2~C10アルキル若しくはC2~C6アルキルなどのC2~C12アルキルの少なくとも1つの脂肪族(アルキル)リンカーを含む。
【0394】
[0398]一部の態様では、リンカーの組合せは、アルキル鎖、例えば、非置換アルキルを含む。一部の態様では、リンカーの組合せは、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルレイアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、又はアルケニルヘテロシクリルアルキニルを含む。
【0395】
[0399]これらの構成成分は任意選択的に置換されている。置換は、アルコール、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシ)、直鎖若しくは分岐鎖アルキル(例えば、C1~C12アルキル)、アミン、アミノアルキル(例えば、アミノC1~C12アルキル)、ホスホラミダイト、ホスフェート、ホスホロアミデート、ホスホロジチオエート、チオホスフェート、ヒドラジド、ヒドラジン、ハロゲン、(例えば、F、Cl、Br、又はI)、アミド、アルキルアミド(例えば、アミドC1~C12アルキル)、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、エーテル、ハロゲン化スルホニル、イミデートエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロホルメート、カルボジイミド付加物、アルデヒド、ケトン、スルフヒドリル、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、アルキルスルホネート、C(=O)CH=CHC(=O)(マレイミド)、チオエーテル、シアノ、糖(例えば、マンノース、ガラクトース、及びグルコース)、α,β-不飽和カルボニル、アルキル水銀、又はα,β-不飽和スルホンを含む。
【0396】
[0400]脂肪族リンカーの例としては、以下の構造を含む:
-O-CO-O-
-NH-CO-O-
-NH-CO-NH-
-NH-(CH2)n1-
-S-(CH2)n1-
-CO-(CH2)n1-CO-
-CO-(CH2)n1-NH-
-NH-(CH2)n1-NH-
-CO-NH-(CH2)n1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CH2)n1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CH2)n1-NH-C-(=S)-
-CO-O-(CH2)n1-O-CO-
-C(=S)-O-(CH2)n1-O-CO-
-C(=S)-O-(CH2)n1-O-C-(=S)-
-CO-NH-(CH2)n1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CH2)n1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CH2)n1-O-C-(=S)-
-CO-NH-(CH2)n1-O-CO-
-C(=S)-NH-(CH2)n1-CO-
-C(=S)-O-(CH2)n1-NH-CO-
-C(=S)-NH-(CH2)n1-O-C-(=S)-
-NH-(CH2CH2O)n2-CH(CH2OH)-
-NH-(CH2CH2O)n2-CH2-
-NH-(CH2CH2O)n2-CH2-CO-
-O-(CH2)n3-S-S-(CH2)n4-O-P(=O)2-
-CO-(CH2)n3-O-CO-NH-(CH2)n4-
-CO-(CH2)n3-CO-NH-(CH2)n4-
-(CH2)n1NH-
-C(O)(CH2)n1NH-
-C(O)-(CH2)n1-C(O)-
-C(O)-(CH2)n1-C(O)O-
-C(O)-O-
-C(O)-(CH2)n1-NH-C(O)-
-C(O)-(CH2)n1-
-C(O)-NH-
-C(O)-
-(CH2)n1-C(O)-
-(CH2)n1-C(O)O-
-(CH2)n1-
-(CH2)n1-NH-C(O)-
n1は、1~40の間の整数(例えば、2~20、又は2~12)であり;n2は、1~20の間の整数(例えば、1~10、又は1~6)であり;n3及びn4は、同一であっても異なっていてもよく、1~20の間の整数(例えば、1~10、又は1~6)である。
【0397】
[0401]一部の態様では、リンカーの組合せは、(C3)n、(C4)n、(C5)n、(C6)n、(C7)n、若しくは(C8)n、又はこれらの組合せを含み、nは、1~50の間の整数であり、各単位は、例えば、リン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル連結、又はこれらの組合せを介して接続されている。
【0398】
II.G.3.b.切断性リンカー
[0402]一部の態様では、リンカーの組合せは、切断性リンカーを含む。用語「切断性リンカー」は、破壊又は切断され得る少なくとも1つの連結又は化学結合を含むリンカーを指す。切断は、例えば、ヌクレアーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、オキシダーゼ、エステラーゼ、若しくはレダクターゼによって、例えば、又は特定の生理化学条件、例えば、酸化還元環境、pH、活性酸素種の存在、若しくは特定の光波長によって媒介されてもよい。
【0399】
[0403]一部の態様では、切断性リンカーは、ジヌクレオチド若しくはトリヌクレオチド若しくはテトラペプチドリンカー、ジスルフィド、ジセレニド、イミン、ベータ-カルボン酸アミド、チオケタール、val-citジペプチド、グルタミン酸-バリン-シトルリントリペプチド、グリシン-ヒスチジン-ロイシン-グリシンテトラペプチド、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、切断性リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメート又はバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
【0400】
II.B.4.特定の例及びトポロジー
[0404]本開示の特定の態様では、リンカーの組合せは、式
[アルキルリンカー]m-[PEG1]n-[PEG2]o
(式中、m、n、及びoは、0又は1であり、m、n、及びoの少なくとも1つはゼロではない)
のリンカーからなる。このような式による例示的なリンカーの組合せは、C6-TEG-HEG、C6-HEG、C6-TEG、C6、TEG-HEG、TEG、C8-TEG-HEG、C8-HEG、C8-TEG、及びC8である。
【0401】
[0405]一部の態様では、リンカーの組合せは、1つ又は複数の切断性リンカー、例えば、酵素切断性リンカー及び自己犠牲リンカーと組み合わせて、非切断性リンカー(例えば、TEG又はHEG)を含む。
【0402】
[0406]具体的な態様では、リンカーの組合せは、以下に示されているように、リンカーの組合せTEG(非切断性リンカー)-Val-Cit(切断性リンカー)-pAB(自己犠牲リンカー)を含む。
【化9】
【0403】
[0407]アンカー部分とリンカーの組合せとの具体的な組合せは、以下の表に例示されている。
【0404】
【0405】
【0406】
[0408]本開示にとって有用な具体的なペイロード(例えば、ASO)は、以下に例示されている:
[コレステロール]-[TEG]-[HEG]-[ASO]
【化10】
[コレステロール]-[SMal]-[Val-Cit]-[pAB]-[ASO]
【化11】
[コレステロール]-[TEG]-[Val-Cit]-[C6]-[ASO]
【化12】
[コレステロール]-[TEG]-[SS]-[C6]-[ASO]
【化13】
ここで、[コレステロール]は、コレステロールアンカー部分であり、[TEG]は、TEG非切断性リンカーであり、[HEG]は、HEG非切断性リンカーであり、[SS]は、ジスルフィド酸化還元切断性リンカーであり、[C6]は、アルキル非切断性リンカーであり、[SMal]は、S-マレイミドであり、[Val-Cit]は、バリン-シトルリン切断性リンカーであり、[pAB]は、pAB自己犠牲リンカーである。一部の態様では、ペイロード(例えば、ASO)は、上記で提供される例示的な構造による構造を有し、ここで、1つ又は複数の構成成分は、例に示されたものと同じ分類の構成成分によって置き換えられている。例えば、[コレステロール]アンカー部分は、本明細書で開示されている別のアンカー部分によって置換され得るか、[TEG]は、本明細書で開示されている別のポリマー非切断性リンカー(例えば、HEG、PEG、PG)によって置換され得るか、[Val-Cit]は、別のペプチダーゼ切断性リンカーによって置き換えられ得るか、又は[pAB]は、別の自己犠牲リンカーによって置換され得る。
【0407】
III.EV
[0409]一部の態様では、本開示は、目的の部分(例えば、ペイロード、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)が増量するように修飾されたEVを提供する。例えば、本開示の他の箇所でさらに記載されているように、本明細書に記載の負荷条件(例えば、記載された塩濃度、負荷温度、負荷期間、ペイロード供給濃度、及び/又はEV供給濃度)で、EVにペイロード(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を負荷することにより、EV中のペイロードの負荷を増加させることができる。したがって、一部の態様では、本明細書に記載のEVはペイロードを含み、EVの外側表面に関連するペイロードの量(例えば、ペイロード濃度)は、参照EV(例えば、本明細書に記載の負荷方法を使用して修飾されなかったEV)と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍以上、増加している。
【0408】
[0410]一部の態様では、本開示のEVは、EVの外側表面にペイロードを含み、EVの外側表面のペイロードの数は、少なくとも約1,000個、少なくとも約2,000個、少なくとも約3,000個、少なくとも約4,000個、少なくとも約5,000個、少なくとも約6,000個、少なくとも約7,000個、少なくとも約8,000個、少なくとも約9,000個、少なくとも約10,000個、少なくとも約11,000個、少なくとも約12,000個、少なくとも約13,000個、少なくとも約14,000個、少なくとも約15,000個、少なくとも約16,000個、少なくとも約17,000個、少なくとも約18,000個、少なくとも約19,000個、少なくとも約20,000個、少なくとも約21,000個、少なくとも約22,000個、少なくとも約23,000個、少なくとも約24,000個、少なくとも約25,000個、少なくとも約30,000個、少なくとも約35,000個、少なくとも約40,000個、少なくとも約45,000個、又は少なくとも約50,000個である。一部の態様では、EVの外側表面のペイロードの数は、約5,000~約20,000個の間、約6,000~約20,000個の間、約7,000~約20,000個の間、約8,000~約20,000個の間、約9,000~約20,000個の間、約10,000~約20,000個の間、約5,000~約18,000個の間、約6,000~約18,000個の間、約7,000~約18,000個の間、約8,000~約18,000個の間、約9,000~約18,000個の間、約10,000~約18,000個の間、約5,000~約15,000個の間、約6,000~約15,000個の間、約7,000~約15,000個の間、約8,000~約15,000個の間、約9,000~約15,000個の間、又は約10,000~約15,000個の間である。一部の態様では、EVの外側表面のペイロードの数は、約10,000~約15,000個の間である。
【0409】
[0411]一部の態様では、EVの外側表面のペイロードは各々は同一である。一部の態様では、EVの外側表面のペイロードのうちの1つ又は複数は異なっている。本明細書に記載されているように、一部の態様では、本開示のEVは、1つ又は複数のさらなるペイロードを含み得る。ある特定の態様では、1つ又は複数のさらなるペイロードは、EVの外側表面に関連するか、EVの内腔表面に関連するか、又はこれらの組合せで、EVの内腔に存在し得る(すなわち、封入され得る)。
【0410】
[0412]本明細書に記載されているように、本開示にとって有用なEVは、約20~300nmの間の直径を有し得る。ある特定の態様では、本開示のEVは、約20~290nm、20~280nm、20~270nm、20~260nm、20~250nm、20~240nm、20~230nm、20~220nm、20~210nm、20~200nm、20~190nm、20~180nm、20~170nm、20~160nm、20~150nm、20~140nm、20~130nm、20~120nm、20~110nm、20~100nm、20~90nm、20~80nm、20~70nm、20~60nm、20~50nm、20~40nm、20~30nm、30~300nm、30~290nm、30~280nm、30~270nm、30~260nm、30~250nm、30~240nm、30~230nm、30~220nm、30~210nm、30~200nm、30~190nm、30~180nm、30~170nm、30~160nm、30~150nm、30~140nm、30~130nm、30~120nm、30~110nm、30~100nm、30~90nm、30~80nm、30~70nm、30~60nm、30~50nm、30~40nm、40~300nm、40~290nm、40~280nm、40~270nm、40~260nm、40~250nm、40~240nm、40~230nm、40~220nm、40~210nm、40~200nm、40~190nm、40~180nm、40~170nm、40~160nm、40~150nm、40~140nm、40~130nm、40~120nm、40~110nm、40~100nm、40~90nm、40~80nm、40~70nm、40~60nm、40~50nm、50~300nm、50~290nm、50~280nm、50~270nm、50~260nm、50~250nm、50~240nm、50~230nm、50~220nm、50~210nm、50~200nm、50~190nm、50~180nm、50~170nm、50~160nm、50~150nm、50~140nm、50~130nm、50~120nm、50~110nm、50~100nm、50~90nm、50~80nm、50~70nm、50~60nm、60~300nm、60~290nm、60~280nm、60~270nm、60~260nm、60~250nm、60~240nm、60~230nm、60~220nm、60~210nm、60~200nm、60~190nm、60~180nm、60~170nm、60~160nm、60~150nm、60~140nm、60~130nm、60~120nm、60~110nm、60~100nm、60~90nm、60~80nm、60~70nm、70~300nm、70~290nm、70~280nm、70~270nm、70~260nm、70~250nm、70~240nm、70~230nm、70~220nm、70~210nm、70~200nm、70~190nm、70~180nm、70~170nm、70~160nm、70~150nm、70~140nm、70~130nm、70~120nm、70~110nm、70~100nm、70~90nm、70~80nm、80~300nm、80~290nm、80~280nm、80~270nm、80~260nm、80~250nm、80~240nm、80~230nm、80~220nm、80~210nm、80~200nm、80~190nm、80~180nm、80~170nm、80~160nm、80~150nm、80~140nm、80~130nm、80~120nm、80~110nm、80~100nm、80~90nm、90~300nm、90~290nm、90~280nm、90~270nm、90~260nm、90~250nm、90~240nm、90~230nm、90~220nm、90~210nm、90~200nm、90~190nm、90~180nm、90~170nm、90~160nm、90~150nm、90~140nm、90~130nm、90~120nm、90~110nm、90~100nm、100~300nm、110~290nm、120~280nm、130~270nm、140~260nm、150~250nm、160~240nm、170~230nm、180~220nm、又は190~210nmの間の直径を有する。本明細書に記載のEVのサイズは、当技術分野で公知の方法によって測定することができる。
【0411】
[0413]一部の態様では、本明細書に記載のEVは、内側(内腔)表面と外側表面とを含む、二重脂質膜を含む。ある特定の態様では、内側(内腔)表面は、EVの内部コア(すなわち、内腔)に面する。ある特定の態様では、外側表面(本明細書において、「外部表面」とも称される)は、産生細胞又は標的細胞のエンドソーム、多小胞体、又は膜/細胞質と接触し得る。
【0412】
[0414]一部の態様では、EV膜は、脂質及び脂肪酸を含む。一部の態様では、EVは、リン脂質、糖脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、ステロール、コレステロール、及びホスファチジルセリンを含む。
【0413】
[0415]一部の態様では、EV膜は、内層及び外層を含む。内層及び外層の組成は、当技術分野で公知の二重層間分配アッセイによって決定することができ、例えば、Kuypersら、Biohim Biophys Acta 819:170頁(1985)を参照されたい。一部の態様では、外層の組成は、およそ70~90%の間のコリンリン脂質、およそ0~15%の間の酸性リン脂質、及びおよそ5~30%の間のホスファチジルエタノールアミンである。一部の態様では、内層の組成は、およそ15~40%の間のコリンリン脂質、およそ10~50%の間の酸性リン脂質、及びおよそ30~60%の間のホスファチジルエタノールアミンである。
【0414】
[0416]一部の態様では、EV膜は、グリカンなどの1つ又は複数の多糖類を含む。EVの表面のグリカンは、マレイミド部分又はグリカンとマレイミド部分を接続するリンカーへの付着物として機能し得る。グリカンは、EVの表面の1つ又は複数のタンパク質、例えば、PTGFRNポリペプチド、又はEVの脂質膜上に存在し得る。
【0415】
III.A.EV膜貫通ドメイン
[0417]一部の態様では、本開示にとって有用なEVは、1つ又は複数のEV膜貫通タンパク質(本明細書において、「エクソソームタンパク質」又は「EVタンパク質」とも称される)を含む。
【0416】
[0418]ある特定の態様では、1つ又は複数の膜貫通タンパク質は、トランスフェクションによってEVに導入される。一部の態様では、1つ又は複数の膜貫通タンパク質は、カチオン性の脂質及びポリマーなどの合成巨大分子を使用してEV中に導入され得る(Papapetrouら、Gene Therapy 12:S118~S130頁(2005))。ある特定の態様では、リン酸カルシウム、シクロデキストリン、又はポリブレンなどの化学物質は、1つ又は複数の膜貫通タンパク質をEVに導入するために使用することができる。
【0417】
[0419]一部の態様では、1つ又は複数の膜貫通タンパク質は、CD47、CD55、CD49、CD40、CD133、CD59、グリピカン-1、CD9、CD63、CD81、インテグリン、セレクチン、レクチン、カドヘリン、当業者に公知の他の類似ポリペプチド、又はこれらの任意の組合せであり得る。
【0418】
[0420]一部の態様では、1つ又は複数の膜貫通タンパク質は、産生細胞において膜貫通タンパク質を組換え発現させることによって、EVの膜に発現される。産生細胞から得られたEVは、マレイミド部分又はリンカーにコンジュゲートされるようにさらに修飾することができる。
【0419】
[0421]膜貫通タンパク質の例としては、以下に限定されないが、PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、ATPトランスポーター、又はその断片若しくはバリアント)が挙げられる。一部の態様では、膜貫通タンパク質は、CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリン、LAMP2、若しくはLAMP2B、又はこれらの任意の組合せであり得る。本開示に関して使用され得る他の膜貫通タンパク質の非限定的な例としては、アミノペプチダーゼN(CD13);ネプリライシン、別名膜メタロエンドペプチダーゼ(MME);エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー1(ENPP1);ニューロピリン-1(NRP1);又はこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0420】
[0422]一部の態様では、膜貫通タンパク質のさらなる例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年2月5日に発行された米国特許第10,195,290号及び2020年2月18日に発行された同第10,561,740号、並びに2018年8月24日に出願された国際出願第PCT/US2018/048026号(国際公開第2019/040920号として公開されている)に見い出すことができる。
【0421】
[0423]一部の態様では、本開示のEVは、天然に存在するEVのものと異なる内部スペース(すなわち、内腔)を含む。例えば、EVは、EVの内腔表面の組成が、天然に存在するEVのものと異なるタンパク質、脂質、又はグリカン含有量を有するように、変更され得る。
【0422】
[0424]一部の態様では、操作されたEVは、エクソソームの内腔表面の組成又は含有量を変化させる1つ若しくは複数のエクソソームタンパク質又はエクソソームタンパク質の修飾体若しくは断片をコードする外因性配列で形質転換された細胞から産生され得る。EVの内腔表面に発現され得るEVタンパク質の様々な修飾体又は断片を、本開示の態様に使用することができる。
【0423】
[0425]一部の態様では、EVの内腔表面を変化させ得るEVタンパク質としては、以下に限定されないが、MARCKSタンパク質、MARCKSL1タンパク質、BASP1タンパク質、又はこれらの任意の組合せが挙げられる。一部の態様では、エクソソームタンパク質は、Brain Acid Soluble Protein 1(BASP1タンパク質)を含む。BASP1タンパク質は、22kDaの神経組織濃縮酸性タンパク質(neuronal tissue-enriched acidic protein)又は神経軸索膜タンパク質(neuronal axonal membrane protein)NAP-22としても公知である。完全長ヒトBASP1タンパク質配列(異性体1)が以下に示されている。エクソソームタンパク質の非限定的な例としては、以下に限定されないが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年11月16日に出願された国際出願第PCT/US2018/061679(国際公開第2019/099942号として公開されている)、及び2019年5月22日に出願された国際出願第PCT/US2019/033629(国際公開第2020/101740号として公開されている)が挙げられる。
【0424】
IV.EVを産生する方法
[0426]一部の態様では、本開示にとって有用なEVを産生する方法は、産生細胞を目的の1つ又は複数の部分(例えば、EV膜貫通タンパク質)で修飾するステップを含む。
【0425】
[0427]一部の態様では、産生細胞は、哺乳動物細胞株、植物細胞株、昆虫細胞株、真菌細胞株、又は原核細胞株であり得る。ある特定の態様では、産生細胞は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞株の非限定的な例としては、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT-1080細胞株、HeLa細胞株、PERC-6細胞株、CEVEC細胞株、線維芽細胞株、羊膜細胞株、上皮細胞株、間葉系幹細胞(MSC)細胞株、及びこれらの組合せが挙げられる。ある特定の態様では、哺乳動物細胞株は、HEK-293細胞、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪間葉系幹細胞、RPTEC/TERT1細胞、又はこれらの組合せを含む。一部の態様では、産生細胞は、初代細胞である。ある特定の態様では、初代細胞は、哺乳動物の初代細胞、植物の初代細胞、昆虫の初代細胞、真菌の初代細胞、又は原核生物の初代細胞であり得る。
【0426】
[0428]一部の態様では、産生細胞は、抗原提示細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、ヘルパーT細胞、又は調節性T細胞(Treg細胞)などの免疫細胞ではない。一部の態様では、産生細胞は、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、マスト細胞、好中球、Kupffer-Browicz細胞、又はこのような細胞のいずれかに由来する細胞)ではない。一部の態様では、産生細胞は、天然に存在する抗原提示細胞ではない(すなわち、改変されている)。一部の態様では、産生細胞は、天然に存在する樹状細胞、B細胞、マスト細胞、マクロファージ、好中球、Kupffer-Browicz細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、又はこれらの任意の組合せではない。
【0427】
[0429]一部の態様では、目的の1つ又は複数の部分(例えば、EV膜貫通タンパク質)は、当業者に公知である方法で産生細胞に導入することができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2020/191369号を参照されたい。
【0428】
IV.A.EVの単離
[0430]一部の態様では、本明細書で開示されているEVを産生する方法は、EVを産生細胞から単離するステップを含む。ある特定の態様では、EVは、産生細胞によって細胞培養培地中に放出される。EVの単離についてのすべての公知の様式が本明細書における使用に好適であると考えられることが企図される。例えば、EVを培地又は他の供給源物質から分離するために、EVの物理的特性を用いることができ、電荷(例えば、電気泳動分離)、サイズ(例えば、濾過、分子ふるいなど)、密度(例えば、通常の遠心分離又は勾配遠心分離)、スベドベルグ定数(例えば、外力を有するか又は有さない沈降など)に基づく分離を含む。或いは、又はさらに、単離は、1つ又は複数の生物学的特性に基づいてもよく、表面マーカーを用いることができる方法(例えば、沈殿、固相への可逆的結合、FACS分離、特異的リガンド結合、非特異的リガンド結合、アフィニティー精製など)を含む。
【0429】
[0431]単離及び濃縮は、一般的で非選択的な様式で行うことができ、典型的には連続遠心分離を含む。或いは、単離と濃縮は、EV又は産生細胞特異的表面マーカーを使用するなど、より特異的で選択的な様式で行うことができる。例えば、特異的表面マーカーは、免疫沈殿、FACS選別、アフィニティー精製、ビーズ結合リガンドによる磁気分離で使用できる。
【0430】
[0432]一部の態様では、サイズ排除クロマトグラフィーを利用して、EVを単離することができる。サイズ排除クロマトグラフィー技法は、当技術分野で公知である。例示的な非限定的技法が本明細書において提供される。一部の態様では、空隙容量画分が単離され、目的のEVを含む。さらに、一部の態様では、EVは、当技術分野において一般的に知られているように、遠心分離技術(1つ又は複数のクロマトグラフィー画分の)によるクロマトグラフィー分離後にさらに単離することができる。一部の態様では、例えば、密度勾配遠心分離を利用して、細胞外ベシクルをさらに単離することができる。ある特定の態様では、産生細胞由来のEVを他の起源のEVからさらに分離することが望ましい場合がある。例えば、産生細胞に特異的な抗原抗体を使用する免疫吸着捕捉により、産生細胞由来のEVを非産生細胞由来のEVから分離することができる。
【0431】
[0433]一部の態様では、EVの単離は、差次的遠心分離、サイズベースの膜濾過、免疫沈殿、FACS選別、及び磁気分離を含むがこれらに限定されない方法の組合せに関与し得る。
【0432】
[0434]本明細書に記載の負荷効率の増加に加えて、異なる負荷パラメーターのうちの1つ又は複数(例えば、塩濃度)を調整することにより、負荷及び精製(例えば、クロマトグラフィー精製)後のEVからの目的の部分(例えば、ペイロード、例えば、ASO)の解離を大幅に低減することもできる。本明細書において実証されるように(例えば、例4を参照されたい)、精製ステップ中に高塩濃度(例えば、約100mMより高い)を維持することにより、低塩濃度下(例えば、約100mM未満)で負荷されたEVを精製する際に観察される解離と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約100%、EVからの目的の部分の解離を低減させることができる。
【0433】
V.治療用途
[0435]本明細書に記載されているように、本明細書に記載のEVは、目的の様々な部分(例えば、ペイロード、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を含むように迅速に操作することができ、これは、広範な疾患及び障害の処置に有用であり得る。したがって、一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象における疾患又は状態を処置する方法であって、本開示のEVを含む組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0434】
[0436]一部の態様では、本発明のEVで処置することができる疾患又は障害は、がんを含む。本開示により処置することができるがんの非限定的な例としては、結腸直腸がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))、膵臓がん(例えば、膵管腺癌(PDAC))、白血病、子宮がん、卵巣がん、膀胱がん、胆管がん、胃がん、又はこれらの任意の組合せが挙げられる。一部の態様では、がんは、結腸腺癌、直腸腺癌、膵臓腺癌、膵管腺癌(PDAC)、卵巣漿液性嚢胞腺癌、急性骨髄性白血病、精巣胚細胞腫瘍、肺腺癌、脳低悪性度神経膠腫、多形膠芽腫、ぶどう膜黒色腫、甲状腺癌、子宮体部子宮内膜癌、子宮癌肉腫、褐色細胞腫、傍神経節腫、及びこれらの任意の組合せから選択される。ある特定の態様では、がんは、骨髄性のがんである。一部の態様では、がんは、肝臓がんを含む。一部の態様では、がんは、肝細胞がん(HCC)を含む。一部の態様では、がんは、膵管腺癌(PDAC)を含み、一部の態様では、がんは、結腸直腸癌(CRC)を含む。一部の態様では、がんは、卵巣がんを含む。一部の態様では、がんは、軟膜腫を含む。
【0435】
[0437]がんを有する対象に投与される場合、ある特定の態様では、本開示のEVは、免疫応答を上方調節し、対象の免疫系の腫瘍標的化を増強することができる。一部の態様では、処置されるがんは、腫瘍微小環境への白血球(T細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球)の浸潤、又はいわゆる「ホット腫瘍」若しくは「炎症性腫瘍」によって特徴付けられる。一部の態様では、処置されるがんは、腫瘍微小環境への白血球浸潤のレベルが低いか又は検出されないこと、いわゆる「コールド腫瘍」又は「非炎症性腫瘍」によって特徴付けられる。一部の態様では、EVは、「コールド腫瘍」を「ホット腫瘍」に変換するのに十分な量及び時間で投与される。すなわち、前記投与は、腫瘍微小環境への白血球(T細胞など)の浸潤をもたらす。ある特定の態様では、がんは、膀胱がん、子宮頸がん、腎細胞がん、精巣がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頸部がん、及び卵巣がん、リンパ腫、肝臓がん、膠芽腫、黒色腫、骨髄腫、白血病、膵臓がん、又はこれらの組合せを含む。他の用語では、「遠位腫瘍」又は「遠隔腫瘍」は、元の(又は原発の)腫瘍から遠隔器官又は遠隔組織、例えばリンパ節に広がった腫瘍を指す。一部の態様では、本開示のEVは、転移拡散後の腫瘍を処置する。
【0436】
[0438]一部の態様では、EVは、対象の循環系に静脈内投与される。一部の態様では、EVは、好適な液体に注入され、対象の静脈に投与される。
【0437】
[0439]一部の態様では、EVは、対象の循環系に動脈内投与される。一部の態様では、EVは、好適な液体に注入され、対象の動脈に投与される。
【0438】
[0440]一部の態様では、EVは、髄腔内投与によって対象に投与される。
【0439】
[0441]一部の態様では、EVは、脳脊髄液(CSF)に到達するように、脊柱管内、又はくも膜下腔内に注射を介して投与される。
【0440】
[0442]一部の態様では、EVは、対象の1つ又は複数の腫瘍に腫瘍内投与される。
【0441】
[0443]一部の態様では、EVは、鼻腔内投与によって対象に投与される。一部の態様では、EVは、局所投与又は全身投与のいずれかの形態で鼻から気腹させることができる。ある特定の態様では、EVは、鼻腔スプレーとして投与される。
【0442】
[0444]一部の態様では、EVは、腹腔内投与により対象に投与される。一部の態様では、EVは、好適な液体に注入され、対象の腹膜内に注入される。一部の態様では、腹腔内投与は、EVのリンパ管への分布をもたらす。一部の態様では、腹腔内投与は、胸腺、脾臓、及び/又は骨髄へのEVの分布をもたらす。一部の態様では、腹腔内投与は、EVの1つ又は複数のリンパ節への分布をもたらす。一部の態様では、腹腔内投与は、頸部リンパ節、鼠径リンパ節、縦隔リンパ節、又は胸骨リンパ節のうちの1つ又は複数へのEVの分布をもたらす。一部の態様では、腹腔内投与は、EVの膵臓への分布をもたらす。
【0443】
[0445]一部の態様では、EVは、眼周囲投与により対象に投与される。一部の態様では、sは、眼周囲組織に注射される。眼周囲への薬物投与には、結膜下投与、前テノン嚢下投与、後テノン嚢下投与、及び眼球後投与の経路が含まれる。
【0444】
[0446]本開示のある特定の態様は、それを必要とする対象における脳腫瘍を処置する方法を対象とする。一部の態様では、方法は、本明細書に記載のEVの治療有効量を対象に投与するステップを含む。一部の態様では、EVは、脳腫瘍を処置するために、ペイロード(例えば、ASO)をCNSに標的化送達することが可能である。一部の態様では、EVは、対象における免疫応答を上方調節し、それによって、神経免疫障害に対する対象の免疫応答を増強することが可能である。一部の態様では、組成物は、対象に腫瘍内投与又は髄腔内投与される。
【0445】
[0447]対象における脳腫瘍の転移を防止する方法も本明細書において提供される。方法は、本明細書で開示されている組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含み、組成物は、対象における1箇所の脳腫瘍が、対象における別の箇所の1つ又は複数の腫瘍の増殖を促進するのを防止することが可能である。一部の態様では、組成物は、1箇所の第1の腫瘍に腫瘍内投与又は髄腔内投与され、第1の腫瘍に投与された組成物は、第2の箇所における1つ又は複数の腫瘍の転移を防止する。
【0446】
VI.医薬組成物及び投与方法
[0448]本開示は、対象に投与するのに好適な本明細書に記載のEVを含む医薬組成物も提供する。医薬組成物は、一般に、マレイミド部分を介して複数のEVに共有結合により連結した生物学的に活性な分子を含む複数のEV、及び対象への投与に好適な形態の薬学的に許容できる賦形剤又はキャリアを含む。薬学的に許容できる賦形剤又は担体は、投与される特定の組成物、及び組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定される。したがって、複数のEVを含む医薬組成物の多種多様な好適な製剤が存在する。(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa. 第18版(1990)を参照されたい)。医薬組成物は、一般に、無菌で、且つ米国食品医薬品局のすべての適正製造基準(GMP)規制を完全に遵守して製剤化される。一部の態様では、医薬組成物は、例えば、本明細書に記載のEVに共有結合により連結した小分子などの1つ又は複数の化学化合物を含む。
【0447】
[0449]一部の態様では、医薬組成物は、1つ又は複数の治療剤及び本明細書に記載のEVを含む。ある特定の態様では、EVは、薬学的に許容できる担体中で、1つ又は複数の追加の治療剤と同時に投与される。一部の態様では、EVを含む医薬組成物は、追加の治療剤の投与前に投与される。一部の態様では、EVを含む医薬組成物は、追加の治療剤の投与後に投与される。さらなる態様では、EVを含む医薬組成物は、追加の治療剤と同時に投与される。
【0448】
[0450]対象に投与するのに好適な形態で、所望の純度を有する本開示のEV、及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含む医薬組成物が本明細書において提供される。薬学的に許容できる賦形剤又は担体は、投与される特定の組成物、及び組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定され得る。したがって、複数の細胞外ベシクルを含む医薬組成物の多種多様な好適な製剤が存在する。(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa. 第21版(2005)を参照されたい)。医薬組成物は、一般に、無菌で、且つ米国食品医薬品局のすべての適正製造基準(GMP)規制を完全に遵守して製剤化される。
【0449】
[0451]一部の態様では、医薬組成物は、1つ又は複数の治療剤及び本明細書に記載のEVを含む。ある特定の態様では、EVは、薬学的に許容できる担体中で、1つ又は複数の追加の治療剤と同時に投与される。一部の態様では、EVを含む医薬組成物は、追加の治療剤の投与前に投与される。一部の態様では、EVを含む医薬組成物は、追加の治療剤の投与後に投与される。さらなる態様では、EVを含む医薬組成物は、追加の治療剤と同時に投与される。
【0450】
[0452]許容できる担体、賦形剤、又は安定剤は、用いられる投薬量及び濃度でレシピエント(例えば、動物又はヒト)に対して無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩を形成する対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はトゥイーン(TWEEN)(商標)、プルロニクス(PLURONICS)(商標)若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0451】
[0453]担体又は希釈剤の例には、以下に限定されないが、水、食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが含まれる。医薬活性物質に対するこのような媒体及び化合物の使用は当技術分野で周知である。いずれかの従来の培地又は化合物が本明細書に記載の細胞外ベシクルと不適合である場合を除き、組成物におけるその使用が企図される。補足的な治療剤もまた、組成物に組み込むことができる。典型的には、医薬組成物は、その意図する投与経路に適合するように製剤化される。本開示のEVは、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、筋肉内経路又は吸入剤として投与することができる。ある特定の態様では、EVを含む医薬組成物は、静脈内、例えば注射により投与される。EVは、EVが意図される疾患、障害又は状態を処置する際に少なくとも部分的に有効な他の治療剤と組み合わせて任意選択的に投与され得る。
【0452】
[0454]溶液又は懸濁物には、以下の構成成分:無菌希釈剤、例えば、水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗細菌化合物、例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート化合物、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩;及び張性の調整のための化合物、例えば、塩化ナトリウム又はデキストロースが含まれ得る。pHは、酸又は塩基、例えば、塩酸又は水酸化ナトリウムで調整され得る。調製物は、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器又は多回投与バイアルに封入することができる。
【0453】
[0455]注射可能な使用に好適な医薬組成物には、無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌粉末が含まれる。静脈内投与では、好適な担体には、生理的食塩水、静菌性水、クレモホールEL(Cremophor EL)(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)又はリン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。組成物は、一般に無菌であり、容易にシリンジできる程度に流動性がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒などであり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌化合物及び抗真菌化合物、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成され得る。所望により、等張化合物、例えば糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、及び塩化ナトリウムが組成物に添加され得る。注射用組成物の延長された吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる化合物、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
【0454】
[0456]本開示のEVを、有効量で、適切な溶媒中に、所望の場合本明細書に列挙される成分の1つ又は組合せと共に、組み込むことにより、無菌注射用溶液を調製することができる。一般に、分散液は、EVを、塩基性分散媒体及び所望の他の成分を含有する無菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。無菌の注射可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製の方法は、その予め無菌濾過した溶液から、活性成分プラス任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる、真空乾燥及び凍結乾燥である。EVは、EVの持続的又は拍動的放出を可能にするような様式で製剤化することができるデポー注射剤又は埋込み製剤の形態で投与することができる。
【0455】
[0457]本開示のEVを含む組成物の全身投与は、経粘膜手段によることもできる。経粘膜投与では、浸透させるバリアに適切な浸透剤が製剤に使用される。このような浸透剤は一般に当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与では、洗剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、例えば、鼻腔スプレーの使用によって達成され得る。
【0456】
[0458]ある特定の態様では、本開示のEVを含む医薬組成物は、医薬組成物から利益を受ける対象に静脈内投与される。ある特定の態様では、組成物は、リンパ系、例えば、リンパ管内注射又は結節内注射(例えば、Sentiら、PNAS 105(46):17908頁(2008)を参照されたい)、又は筋肉内注射、皮下投与、腫瘍内注射、胸腺、若しくは肝臓への直接注射によって投与される。
【0457】
[0459]ある特定の態様では、本開示のEVを含む医薬組成物は、液体懸濁液として投与される。ある特定の態様では、医薬組成物は、投与後にデポーを形成することが可能な製剤として投与される。ある特定の好ましい態様では、デポーは、EVを循環中にゆっくりと放出するか、又はデポー形態のままである。
【0458】
[0460]典型的には、薬学的に許容できる組成物は、夾雑物を含まないように高度に精製され、生体適合性であり、毒性がなく、対象への投与に適している。水が担体の構成成分である場合、水は高度に精製され、夾雑物、例えばエンドトキシンを含まないように処理される。
【0459】
[0461]薬学的に許容できる担体としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシ安息香酸塩、プロピルヒドロキシ安息香酸塩、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び/又は鉱油であり得るが、これらに限定されない。医薬組成物は、滑沢剤、湿潤剤、甘味剤、風味増強剤、乳化剤、懸濁化剤、及び/又は保存剤をさらに含み得る。
【0460】
[0462]本明細書に記載の医薬組成物は、本明細書に記載のEV、及び任意選択的に薬学的に活性な薬剤又は治療剤を含む。治療剤は、生物学的薬剤、低分子薬剤、又は核酸薬剤であり得る。
【0461】
[0463]本明細書に記載のEVを含む医薬組成物を含む剤形が提供される。一部の態様では、剤形は、静脈内注射用の液体懸濁剤として製剤化される。一部の態様では、剤形は、腫瘍内注射用の液体懸濁剤として製剤化される。
【0462】
[0464]本開示のEVは、他の薬物と同時に使用されてよい。具体的には、本開示のEVは、ホルモン治療剤、化学療法剤、免疫療法剤、細胞増殖因子又は細胞増殖因子受容体の作用を阻害する医薬などの医薬と一緒に使用されてよい。
【0463】
VII.キット
[0465]本開示は、本開示の1つ又は複数のEV、及び任意選択的に使用説明書を含むキット、又は製造品も提供する。一部の態様では、キット、又は製造品は、本開示の少なくとも1つのEV、及び使用説明書を含む、本明細書に記載の医薬組成物を含有する。一部の態様では、キット、又は製造品は、1つ又は複数の容器中に、本開示の少なくとも1つのEV、又はEVを含む医薬組成物を含む。当業者であれば、本開示のEV、本開示のEVを含む医薬組成物、又はそれらの組合せが、当技術分野で周知の確立されたキット形式の1つに容易に組み込まれ得ることを容易に認識するであろう。
【0464】
[0466]一部の態様では、キット、又は製造品は、EV、1つ若しくは複数の生物学的に活性な分子、1つ若しくは複数の生物学的に活性な分子をEVに共有結合させるための試薬、又はそれらの任意の組合せ、及び1つ又は複数の生物学的に活性な分子をEVに共有結合させるための反応を実行するための説明書を含む。
【0465】
[0467]一部の態様では、キットは、生物学的に活性な分子をEVにコンジュゲートするための試薬、及びコンジュゲーションを実行するための指示書を含む。
【0466】
[0468]本開示の実践には、別段に示されていない限り、当業者の技術範囲内である細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来技術を用いることになる。このような技法は、文献中で十分に説明されている。例えば、Sambrookら編(1989) Molecular Cloning A Laboratory Manual(第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrookら編(1992) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、(Cold Springs Harbor Laboratory、NY);D. N. Glover編、(1985) DNA Cloning、第I及びII巻;Gait編(1984) Oligonucleotide Synthesis;Mullisら 米国特許第4,683,195号;Hames及びHiggins編(1984) Nucleic Acid Hybridization;Hames及びHiggins編(1984) Transcription And Translation;Freshney(1987) Culture Of Animal Cells(Alan R. Liss,Inc.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal(1984) A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise、Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.、N.Y.);Miller及びCalos編(1987) Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells、(Cold Spring Harbor Laboratory);Wuら編、Methods In Enzymology、第154及び155巻;Mayer及びWalker編(1987) Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press、London);Weir及びBlackwell編、(1986) Handbook Of Experimental Immunology、第I~IV巻;Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1986););Crooke、Antisense drug Technology:Principles,Strategies and Applications、第2版 CRC Press(2007)並びにAusubelら(1989)におけるCurrent Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons、Baltimore、Md.)を参照されたい。
【0467】
[0469]上記で引用したすべての参照文献、及び本明細書で引用したすべての参照文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0468】
[0470]以下の例は、例示のために与えられるものであり、限定を目的とするものではない。
【実施例】
【0469】
実施例1-EV負荷に及ぼす塩濃度の効果
[0471]ペイロードの負荷効率を向上させるのに重要な様々な負荷パラメーターの特定を開始するために、ASO(例えば、STAT6を標的とする)を、異なるNaCl濃度(25mM、50mM、100mM、又は150mM)とスクロース濃度(2.5%、3.75%、又は5%)からなる負荷緩衝剤中でEVと混合した。ASOとEVとを37℃で24時間混合した。次いで、混合物を室温まで冷却し、次に、0.45μmの(PVDF)濾過で濾過した。濾液をサンプリングし、AEX-UHPLC(ASO含有量)及びナノ粒子追跡分析(NTA)(EV含有量)について試験し、クロマトグラフィークリーンアップの前にASO負荷効率を決定した。ASO含有量を決定するための代替方法の非限定的な例としては、(1)Quant-iT(商標)RiboGreen(商標)RNA試薬(例えば、溶液中のRNAを定量するための蛍光色素)、(2)260nmにおけるUV吸光度が挙げられる。EV含有量を測定するための代替方法の非限定的な例としては、(1)動的光散乱の強度及び(2)405nmでのUV吸光度が挙げられる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/246591号を参照されたい。
【0470】
[0472]以下の表3に示されているように、NaCl濃度を増加させると、エクソソームの外側表面にASOがより多く負荷された。試験した異なるNaCl濃度の中で、スクロース濃度にかかわらず、最大のASO負荷効率は150mMで観察された。これらの結果は、負荷緩衝剤の塩濃度をモジュレートすることが、EVの負荷効率を向上させるのに有用であり得ることを示唆している。
【0471】
【0472】
実施例2-EV負荷に及ぼす時間及び温度の効果
[0473]次に、EVへのASO負荷への負荷時間及び負荷温度の効果を特徴付けるために、EVを5℃、22℃、及び37℃で48時間までASOと混合した。次いで、混合物を冷却し、濾過し、濾液を実施例1に記載されているようにASO含有量とEV含有量について分析した。
【0473】
[0474]
図1Aに示されているように、負荷時間は、ASOとEVとが5℃(菱形)で混合された場合には影響を及ぼさなかった。対照的に、ASOとEVとを22℃又は37℃のいずれかで混合した場合、負荷時間の増加はASO負荷効率にプラスの効果をもたらした(それぞれ、
図1Aの四角と三角の記号を参照されたい)。22℃では、負荷プラトー(すなわち、EVのASO濃度がさらに増加しないこと)は、24時間付近から観察され始めた。37℃では、負荷時間の増加と共に、EV中のASO濃度が継続的に増加した。
【0474】
[0475]上記の結果は、負荷時間と負荷温度の両方がEVの負荷効率に影響を与え得ることを実証する。負荷時間と負荷温度の両方を増加させることによって、結果は、より強力なEV(すなわち、より多量の負荷されたペイロードを含む)を生成することが可能であることを示唆する。
【0475】
実施例3-EV負荷に及ぼす塩濃度、負荷時間、EV供給濃度、及びペイロード供給濃度をモジュレートする効果
[0476]異なる負荷パラメーター(例えば、本明細書に記載のもの)がEVの負荷効率に及ぼす影響をさらに評価するために、ASOとEVを以下の2つの負荷条件のうちの1つで混合した:(i)負荷緩衝剤:20mMのPO4、50mMのNaCl、5.0%のスクロース、pH7.2、混合する温度は室温で1時間であった(「負荷条件番号1」);及び(ii)負荷緩衝剤:20mMのPO4、100mMのNaCl、2.5%のスクロース、pH7.2、混合する温度は室温で24時間であった(「負荷条件番号2」)。さらなる変数として、EVとASOを様々な濃度で混合物に添加した。特に、EVは以下の供給濃度で添加した:1.4×1013、1.0×1013、又は6.0×1012。ASOは以下の供給濃度で添加した:800μM、600μM、400μM、200μM、又は100μM。次いで、ASO含有量及びEV含有量を先の実施例に記載したように測定した。
【0476】
[0477]表4及び表5(以下)に示されているように、ASO負荷効率は、EV供給濃度の増加とASO濃度の増加の両方に正の相関があった。例えば、EV供給濃度とASO濃度の両方が最大(それぞれ、1.4×1013及び800μM)である場合に、最も高い負荷効率(すなわち、EVのASO濃度が最も高い)が観察された。2つの負荷条件と同様に、負荷条件番号2でASOとEVとを混合した場合、ASO負荷効率はおよそ4倍に増加した。
【0477】
[0478]上記の結果は、塩濃度と負荷時間の増加がEVの負荷効率にプラスの効果をもたらすことを裏付ける。この結果は、EV供給濃度とASO供給濃度の両方が負荷効率に影響し得ることをさらに実証する。
【0478】
【0479】
【0480】
実施例4-EVの効力に関する負荷パラメーターの解析
[0479]異なる負荷パラメーターがEV負荷効率に及ぼす影響をさらに理解するために、2つの異なる抗STAT6 ASOをペイロードとして使用した:1つはヒトSTAT6を標的とし(「ヒトASO」)、もう1つはマウスSTAT6を標的とした(「マウスASO」)。マウスASOは、マウスSTAT6転写物と相補的な配列を含有し、ヒトASOはヒトSTAT6転写物と相補的である。マウス及びヒトのSTAT6転写物は全長が異なることは当業者には明らかであろう。先の実施例で提供した方法と同様に、マウス及びヒトのASOを、150mMの濃度のNaClを含む負荷緩衝剤中でEVと独立的に混合した。マウスASOは、以下の供給濃度のうちの1つで添加した:100mM、800mM、又は950mM。ヒトASOは、以下の供給濃度のうちの1つで添加した:100mM、800mM、又は1000mM。さらなる負荷条件は以下の通りであった:1×1013p/mLのEV供給濃度で37℃にて24時間。次いで、ASO含有量及びEV含有量を先の実施例に記載したように測定した。
【0481】
[0480]表6に示されているように、及び先のデータ(例えば、実施例3を参照されたい)と一致するように、ASO供給濃度を増加させると、EV当たりのASOの負荷がより大きくなった。これは、マウス及びヒトのASOの両方で観察され、本明細書において提供される負荷方法を使用して、配列長が異なるASOの負荷効率を高めることができることを示した。同様の結果(少なくとも負荷密度に関して)が、他の標的を標的とし、異なる脂質リンカーにコンジュゲートしたASOで観察された。例えば、
図5に示されているように、本明細書において提供される負荷方法を使用すると、対照負荷条件と比較して、平均して、ASO負荷が10~14倍増加することが観察された。
【0482】
【0483】
[0481]次に、得られるEVの効力を確認するために、マウス又はヒトのASOを負荷したEVを使用して、肝細胞におけるSTAT6発現をノックダウンさせた。
図4に示されているように、ASOの総質量を投与した場合、STAT6発現のノックダウンに有意差は見られず、ASOの負荷密度を高めることで、同じ治療効果を実現するために使用するEVはより少なくて済むことが実証された。
【0484】
[0482]上記の結果は、本明細書において提供される負荷方法によって、より強力なEVの生成が可能になり、それにより、より多くの患者を処置するために所与のバッチのEVの生成が可能になる。
【0485】
実施例5-クロマトグラフィー精製後のEVのASO濃度に及ぼす負荷温度、ナトリウム濃度、及びスクロース濃度の効果
[0483]本明細書に記載の異なる負荷パラメーターが精製後のEVのASO濃度に影響するかどうかを理解するために、高塩及び低スクロース(150mMのNaCl及び2.5%のスクロース)又は低塩及び高スクロース(50mMのNaCl及び5%のスクロース)の濃度のいずれかを含む負荷緩衝剤を使用して、EVとASOとを混合した。負荷温度は、24℃(すなわち、室温)又は37℃のいずれかであった。EVを、1×1013p/mLの供給濃度で混合物に添加した。ASOを、650μMの供給濃度で添加した。その後、EVとASOとの混合物を濾過し、Capto Core 700樹脂を用いたクロマトグラフィーによって、負荷されたEVをクリーンアップした。フロースルーは、RiboGreen蛍光により、EVを負荷したASOと遊離ASOとについて測定した。
【0486】
[0484]表7(下)に示されているように、EVとASOとを、塩濃度の高い負荷緩衝剤を使用し、37℃の負荷温度で混合した場合、EVのASO濃度が最も高かった。同じ負荷条件下で、遊離ASOの量が最も少ないことも観察された。低塩濃度の負荷緩衝剤を用いた場合、試験したいずれの負荷温度でも、ASOと共に負荷されたEVは少なく、フロースルーで観察された遊離ASOは多かった。負荷温度の上昇(37℃対24℃)により、低塩濃度負荷緩衝剤で観察された負荷効率は改善されたが、37℃の負荷温度にて高塩濃度で観察された負荷効率には及ばなかった。
【0487】
【0488】
[0485]上記の結果は、塩濃度と負荷温度の増加がEVの負荷効率にプラスの効果をもたらすことをさらに裏付ける。結果は、Capto Coreが負荷温度及び塩濃度に依存せずに遊離ASOをクリーンアップできることも実証し、その強固なクリーンアップ能力を示している。
【0489】
実施例6-クロマトグラフィー精製後のEVからのASO解離に及ぼす様々な負荷パラメーターの効果
[0486]次に、様々な負荷条件下でASOを負荷したEVにおけるクロマトグラフィー精製後のASO解離を評価した。簡単に説明すると、EVとASOとは、以下の2つの負荷緩衝剤のうち1つを使用して混合した:(i)CEF(20mMのPO4、50mMのNaCl、5%のスクロース);及び(ii)Hi(20mMのPO4、150mMのNaCl、2.5%のスクロース)。EVとASOとは、室温(約24℃)又は37℃のいずれかで混合した。次いで、ASOを負荷したEVをCapto Core 700樹脂を用いるクロマトグラフィーでクリーンアップした。Capto Core 700での洗浄後、EVから解離するASOに及ぼす希釈倍率、希釈剤、及び希釈物の保持時間の効果を評価し、結果を表8に示している。
【0490】
【0491】
[0487]遊離パーセントは、負荷されてクリーンアップされた物質を、より低い塩濃度を含有する負荷緩衝剤で希釈すると、より多くのASOがEVから解離することを示した。希釈倍率が高くなるにつれて、解離はより急激に進んだ。しかし、より高濃度の塩を含有する負荷緩衝剤(150mMのNaCl)で物質を希釈した場合、ASOの解離は観察されなかった。希釈したクリーンアップ物質を室温で20時間保持したところ、さらなる解離が観察されたのは、希釈液の塩濃度がより低い場合(50mM)のみであった。より高濃度の塩を含有する希釈液では、希釈した物質を室温で20時間保持しても解離は観察されなかった。このデータは、塩濃度を維持することによって、負荷されたエクソソームの安定性を最適化できることを示している。
【0492】
実施例7-ASOをEVに負荷するプロセスのスケーリング
[0488]上記開示から明らかなように、本明細書において提供される負荷方法は、様々なスケールでペイロードを負荷したEVを生成する際に有用であり得る。表9(以下)は、ラボスケール、非GMP、及びGMP生成のための例示的な負荷パラメーターを提供する。
【0493】
【0494】
[0489]特許請求の範囲を解釈するために使用されることを意図しているのは、要約及び要旨のセクションではなく、詳細な説明のセクションであることが認識されるべきである。要約及び要旨のセクションは、本発明者(ら)によって企図された本開示の1つ又は複数の例示的な態様を示すことができるが、すべてではなく、よって、本開示及び添付の特許請求の範囲を何らかの方法で限定することを意図するものではない。
【0495】
[0490]本開示は、指定された機能及びその関係の実行を例示する機能的構成要素の助けを借りて上述されてきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では、説明の便宜のために任意に定義されている。指定された機能及びその関係が適切に実施される限り、別の境界を定義することができる。
【0496】
[0491]具体的な態様についての前述の説明は、本開示の一般的な性質を十分に明らかにするため、他者は、当業者内の知識を適用することにより、過度の実験を行うことなく、本開示の一般的な概念から逸脱することなく、このような具体的な態様を様々な用途のために容易に修正及び/又は翻案することができる。したがって、このような翻案及び修正は、本明細書に提示された教示及び指針に基づいて、開示された態様の均等物の意味及び範囲内にあることが意図される。本明細書の用語又は語法は、教示及び指針に照らして当業者によって解釈されるべきものであるように、本明細書の語法又は用語は、説明のためのものであり、限定するためのものではないことを理解されたい。
【0497】
[0492]本開示の広さ及び範囲は、上述の例示的態様のいずれかによって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0498】
[0493]本出願を通じて引用される可能性のあるすべての引用文献(参照文献、特許、特許出願、及びウェブサイトを含む)の内容は、その中で引用された参照文献と同様に、いかなる目的であれ、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】