(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】心臓の病状を治療するためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240206BHJP
A61B 17/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61F2/24
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549604
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 US2022016674
(87)【国際公開番号】W WO2022178042
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523310538
【氏名又は名称】コンケイ メディカル システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ユアン, シー-シウン アルバート
(72)【発明者】
【氏名】ピットナー, アシュリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】スカロ, ジョーダン エム.
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA30
4C160BB30
4C160MM34
(57)【要約】
天然弁輪を治療するためのデバイスが、本明細書に開示される。いくつかの実施例では、本技術は、相互から独立して移動するように構成される、複数のアームと、アームに結合され、アームに対して移動するように構成される、結合器とを備える、デバイスを含む。本デバイスはさらに、複数のアンカを含むことができ、複数のアンカは、それぞれが、アームのうちの1つの遠位部分によって搬送され、弁輪において、またはそれに近接して、組織に係合するように構成される。本デバイスが、アームが結合器から離れるように軸方向および半径方向に延在するように、展開構成にあるとき、アームに対する結合器の移動は、アンカのうちの少なくともいくつか間の円周方向距離を減少させ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然弁輪を治療するためのデバイスであって、前記デバイスは、
複数のアームであって、前記複数のアームは、それぞれが、近位部分と、遠位部分とを有し、前記アームは、相互から独立して移動するように構成される、複数のアームと、
前記アームに結合され、前記アームに対して移動するように構成される結合器と、
複数のアンカであって、前記複数のアンカは、それぞれが、前記アームのうちの1つの遠位部分によって搬送され、前記弁輪において、またはそれに近接して、組織に係合するように構成される、複数のアンカと
を備え、
前記デバイスが、前記アームが前記結合器から離れるように軸方向および半径方向に延在するように展開構成にあるとき、前記アームに対する前記結合器の移動は、前記アンカのうちの少なくともいくつか間の円周方向距離を減少させる、デバイス。
【請求項2】
前記弁輪は、心臓弁輪であり、前記デバイスは、前記アンカが、弁オリフィスの平面の直上において、弁輪心臓組織内に埋め込まれるように、前記弁輪に近接して、かつその上方に、送達されるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記結合器は、前記アームに対して平行移動および/または回転するように構成される、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記アームは、相互から独立して平行移動および/または回転するように構成される、請求項1-3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記アームのそれぞれは、1つまたはそれを上回る係止要素を含み、前記アームに対する前記結合器の移動は、前記結合器を前記アームのうちの少なくともいくつか上の前記係止要素のうちの少なくともいくつかに係合させ、それによって、前記アームのそれぞれの軸方向位置を他のアームおよび/または前記結合器に対して固定する、請求項1-4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記アームが、展開構成にあるとき、前記アームに対する前記結合器の移動は、隣接するアーム間の角度を減少させる、請求項1-5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記アンカのそれぞれは、治療の完了に応じて、前記結合器およびアームが、前記患者から除去される一方、前記アンカが、前記弁輪に埋め込まれたまま残されるように、前記アームのうちの1つに取外可能に結合される、請求項1-6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記アンカのそれぞれは、単一アームに取り付けられる、請求項1-7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記アンカに結合される縫合糸をさらに備える、請求項1-8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記アームのうちのいくつかまたは全ては、管、中実ロッド、またはリボンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1-9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスは、前記弁輪に経皮的に送達されるように構成される、請求項1-10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
天然弁輪を治療するためのデバイスであって、前記デバイスは、
複数のアームと、
前記アームに結合される結合器であって、前記結合器は、前記アームに対して移動するように構成される、結合器と、
複数のアンカであって、前記複数のアンカは、それぞれが、前記アームのうちの1つの遠位部分によって搬送され、前記弁輪において、またはそれに近接して、埋め込まれるように構成される、複数のアンカと
を備え、
前記デバイスが、展開構成にあるとき、前記アームに対する前記結合器の移動は、前記アンカのうちの少なくともいくつか間の円周方向距離を減少させる、デバイス。
【請求項13】
天然弁輪を治療するためのシステムであって、前記システムは、
複数の伸長部材であって、前記複数の伸長部材は、それぞれが、近位領域と、遠位領域とを有する、複数の伸長部材と、
複数のアームであって、前記複数のアームは、前記弁輪において、またはそれに近接して、位置付けられるように構成され、前記アームのそれぞれは、近位部分と、遠位部分とを有し、前記遠位部分のそれぞれは、対応する伸長部材の遠位領域に結合される、複数のアームと、
前記アームに結合され、前記アームに対して移動するように構成される結合器と、
複数のアンカであって、前記複数のアンカは、それぞれが、前記アームのうちの1つの遠位部分に結合され、前記弁輪において、またはそれに近接して、組織に係合するように構成される、複数のアンカと
を備え、
前記アームが、展開構成にあるとき、前記アームに対する前記結合器の移動は、前記アンカによって包囲される面積を減少させる、システム。
【請求項14】
前記伸長部材は、第1の伸長部材であり、前記システムはさらに、近位領域と、遠位領域とを有する第2の伸長部材を備え、前記第2の伸長部材の遠位領域は、前記第2の伸長部材の移動が前記アームに対する前記結合器の移動を引き起こすように前記結合器に結合される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の伸長部材は、中実ロッドである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の伸長部材は、可撓性管である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2の伸長部材は、前記第1の伸長部材を囲繞する伸長シャフトである、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記伸長部材のうちの1つの回転および/または平行移動は、対応するアームの回転および/または平行移動を引き起こす、請求項13-17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記結合器は、前記アームに対して平行移動および/または回転するように構成される、請求項13-18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記アンカのそれぞれは、前記アームのうちの1つに取外可能に結合される、請求項13-19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記伸長部材のうちの1つの作動は、対応するアンカを対応するアームから取り外させる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記アンカに結合され、前記伸長部材に沿って近位に延在する縫合糸をさらに備える、請求項13-21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記アームが、前記弁輪において、またはそれに近接して位置付けられている間、前記弁輪における場所またはそれに近接する場所に前進されるように構成される撮像要素をさらに備える、請求項13-22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記アームのそれぞれは、1つまたはそれを上回る係止要素を含み、前記アームに対する前記結合器の移動は、前記結合器を前記アームのうちの少なくともいくつか上の前記係止要素のうちの少なくともいくつかに係合させ、それによって、前記アームのそれぞれの軸方向位置を他のアームおよび/または前記結合器に対して固定する、請求項13-23のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、それぞれ、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2021年11月1日に出願された、米国仮出願第63/263,354号、2021年7月20日に出願された、米国仮出願第63/223,965号、2021年3月8日に出願された、米国仮出願第63/200,455号、および2021年2月16日に出願された、米国仮出願第63/150,014号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本技術は、心臓の病状を治療するためのデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
弁逆流症(VR)は、心臓の弁のうちの1つ緊密に閉鎖することができないことによって、血液が、弁を通して後方に流動することを可能にする、一般的弁膜心疾患(VHD)である。患者は、息切れ、疲労、胸痛、心粗動を患い、時として、死亡に至り得る。75歳を超える人々の約15%が、弁膜心疾患を有し、米国人口の少なくとも2.5%および世界中では1億を超える人々に影響を及ぼしている。今日、外科手術による僧帽弁修復は、僧帽弁逆流を補正するための、堅牢かつ効果的手技であって、長年にわたる臨床経験および検証された証拠がある。しかしながら、高リスク患者における外科手術による僧帽弁介入は、依然として、困難な手技であって、30日死亡率は、3.1%に近い。死亡率は、機能的僧帽弁逆流を患う患者においてはさらにより高く、左心室駆出率の付随機能障害が、多くの場合、観察される。三尖弁逆流の治療はまた、深刻な障害に直面する。現在の製品は、視覚的撮像、ペースメーカーリード相互作用に関する問題点を有し、また、より大きい弁を伴う患者を治療することが不可能である。これらの理由から、新たな低リスクの経皮的方略が、変性および機能的生体構造の両方においてVHDを治療し、開心術と関連付けられる、潜在的合併症を最小限にするために必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本主題の技術は、例えば、
図1-39の参照を含む、下記に説明される、種々の側面に従って図示される。本主題の技術の側面の種々の実施例は、便宜上、付番された付記(1、2、3等)として説明される。これらは、実施例として提供され、本主題の技術を限定するものではない。
(付記1)
天然弁輪を治療するためのデバイスであって、デバイスは、
複数のアームであって、複数のアームは、それぞれが、近位部分と、遠位部分とを有し、アームは、相互から独立して移動するように構成される、複数のアームと、
アームに結合され、アームに対して移動するように構成される結合器と、
複数のアンカであって、複数のアンカは、それぞれが、アームのうちの1つの遠位部分によって搬送され、弁輪において、またはそれに近接して、組織に係合するように構成される、複数のアンカと
を備え、
デバイスが、アームが結合器から離れるように軸方向および半径方向に延在するように展開構成にあるとき、アームに対する結合器の移動は、アンカのうちの少なくともいくつか間の円周方向距離を減少させる、デバイス。
(付記2)
弁輪は、心臓弁輪であり、デバイスは、アンカが、弁オリフィスの平面の直上において、弁輪心臓組織内に埋め込まれるように、弁輪に近接して、かつその上方に、送達されるように構成される、付記1に記載のデバイス。
(付記3)
結合器は、アームに対して平行移動および/または回転するように構成される、付記1または付記2に記載のデバイス。
(付記4)
アームは、相互から独立して平行移動および/または回転するように構成される、付記1-3のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記5)
アームのそれぞれは、1つまたはそれを上回る係止要素を含み、アームに対する結合器の移動は、結合器をアームのうちの少なくともいくつか上の係止要素のうちの少なくともいくつかに係合させ、それによって、アームのそれぞれの軸方向位置を他のアームおよび/または結合器に対して固定する、付記1-4のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記6)
アームが、展開構成にあるとき、アームに対する結合器の移動は、隣接するアーム間の角度を減少させる、付記1-5のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記7)
アンカのそれぞれは、治療の完了に応じて、結合器およびアームが、患者から除去される一方、アンカが、弁輪に埋め込まれたまま残されるように、アームのうちの1つに取外可能に結合される、付記1-6のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記8)
アンカのそれぞれは、単一アームに取り付けられる、付記1-7のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記9)
アンカに結合される縫合糸をさらに備える、付記1-8のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記10)
アームのうちのいくつかまたは全ては、管、中実ロッド、またはリボンのうちの少なくとも1つを含む、付記1-9のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記11)
デバイスは、弁輪に経皮的に送達されるように構成される、付記1-10のいずれか1項に記載のデバイス。
(付記12)
天然弁輪を治療するためのデバイスであって、デバイスは、
複数のアームと、
アームに結合される結合器であって、結合器は、アームに対して移動するように構成される、結合器と、
複数のアンカであって、複数のアンカは、それぞれが、アームのうちの1つの遠位部分によって搬送され、弁輪において、またはそれに近接して、埋め込まれるように構成される、複数のアンカと
を備え、
デバイスが、展開構成にあるとき、アームに対する結合器の移動は、アンカのうちの少なくともいくつか間の円周方向距離を減少させる、デバイス。
(付記13)
天然弁輪を治療するためのシステムであって、システムは、
複数の伸長部材であって、複数の伸長部材は、それぞれが、近位領域と、遠位領域とを有する、複数の伸長部材と、
複数のアームであって、複数のアームは、弁輪において、またはそれに近接して、位置付けられるように構成され、アームのそれぞれは、近位部分と、遠位部分とを有し、遠位部分のそれぞれは、対応する伸長部材の遠位領域に結合される、複数のアームと、
アームに結合され、アームに対して移動するように構成される結合器と、
複数のアンカであって、複数のアンカは、それぞれが、アームのうちの1つの遠位部分に結合され、弁輪において、またはそれに近接して、組織に係合するように構成される、複数のアンカと
を備え、
アームが、展開構成にあるとき、アームに対する結合器の移動は、アンカによって包囲される面積を減少させる、システム。
(付記14)
伸長部材は、第1の伸長部材であり、システムはさらに、近位領域と、遠位領域とを有する第2の伸長部材を備え、第2の伸長部材の遠位領域は、第2の伸長部材の移動がアームに対する結合器の移動を引き起こすように、結合器に結合される、付記13に記載のシステム。
(付記15)
第2の伸長部材は、中実ロッドである、付記14に記載のシステム。
(付記16)
第2の伸長部材は、可撓性管である、付記14に記載のシステム。
(付記17)
第2の伸長部材は、第1の伸長部材を囲繞する伸長シャフトである、付記14に記載のシステム。
(付記18)
伸長部材のうちの1つの回転および/または平行移動は、対応するアームの回転および/または平行移動を引き起こす、付記13-17のいずれか1項に記載のシステム。
(付記19)
結合器は、アームに対して平行移動および/または回転するように構成される、付記13-18のいずれか1項に記載のシステム。
(付記20)
アンカのそれぞれは、アームのうちの1つに取外可能に結合される、付記13-19のいずれか1項に記載のシステム。
(付記21)
伸長部材のうちの1つの作動は、対応するアンカを対応するアームから取り外させる、付記20に記載のシステム。
(付記22)
アンカに結合され、伸長部材に沿って近位に延在する縫合糸をさらに備える、付記13-21のいずれか1項に記載のシステム。
(付記23)
アームが、弁輪において、またはそれに近接して位置付けられている間、弁輪における場所またはそれに近接する場所に前進されるように構成される、撮像要素をさらに備える、付記13-22のいずれか1項に記載のシステム。
(付記24)
アームのそれぞれは、1つまたはそれを上回る係止要素を含み、アームに対する結合器の移動は、結合器をアームのうちの少なくともいくつか上の係止要素のうちの少なくともいくつかに係合させ、それによって、アームのそれぞれの軸方向位置を他のアームおよび/または結合器に対して固定する、付記13-23のいずれか1項に記載のシステム。
(付記25)
患者の天然弁輪を治療するための方法であって、方法は、
弁輪において、またはそれに近接して、薄型送達構成において、デバイスを位置付けることであって、デバイスは、複数のアームと、アームに結合される結合器と、複数のアンカであって、複数のアンカのそれぞれは、アームのうちの1つに結合される、複数のアンカとを備える、ことと、
デバイスを展開構成に拡張させることであって、その中でアームは、結合器から離れるように半径方向に延在する、ことと、
アンカのうちの少なくともいくつかを用いて、弁輪において、またはそれに近接して、組織に係合することと、
アームに対して結合器を移動させることによって、弁オリフィスの形状を変化させることと
を含む、方法。
(付記26)
弁オリフィスの形状を変化させることは、弁オリフィスの面積を減少させることを含む、付記25に記載の方法。
(付記27)
弁オリフィスの形状を変化させた後、アンカに結合され、その間に延在する縫合糸の長さを実質的に固定することをさらに含む、付記25または付記26に記載の方法。
(付記28)
アンカをアームから取り外し、それによって、アンカを弁輪に埋め込まれたまま残すことと、
アームおよび結合器を患者から除去することと
をさらに含む、付記25-27のいずれか1項に記載の方法。
(付記29)
弁輪は、心臓弁輪であり、デバイスは、アンカが、弁オリフィスの平面の直上において、弁輪心臓組織内に埋め込まれるように、弁輪に近接して、かつその上方に、展開される、付記25-28のいずれか1項に記載の方法。
(付記30)
アームに対して結合器を移動させることは、a)隣接するアームおよび/またはb)隣接するアンカ間の角度および/または円周方向距離を減少させる、付記25-29のいずれか1項に記載の方法。
(付記31)
アームに対して結合器を移動させることは、アームに沿って、結合器を遠位に平行移動させることを含む、付記25-30のいずれか1項に記載の方法。
(付記32)
アームのうちの1つまたはそれを上回るものを、他のアームのうちの1つまたはそれを上回るものから独立して、回転および/または平行移動させることをさらに含む、付記25-31のいずれか1項に記載の方法。
(付記33)
デバイスを回転させ、アンカを用いて、組織に係合することをさらに含む、付記25-32のいずれか1項に記載の方法。
(付記34)
結合器を移動させることは、結合器を用いて、アームのうちの1つまたはそれを上回るもの上の1つまたはそれを上回る係止要素に係合し、それによって、アームを相互および/または結合器に対して縦方向に固定することを含む、付記25-33のいずれか1項に記載の方法。
(付記35)
デバイスは、弁輪に経皮的に位置付けられる、付記25-34のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の多くの側面は、以下の図面を参照すると、より深く理解されることができる。図面中の構成要素は、必ずしも、正確な縮尺ではない。代わりに、強調が、本開示の原理を明確に図示するために置かれる。
【0006】
【
図1】
図1は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、治療デバイスを示す。
【0007】
【
図2A】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、本技術のいくつかの実施形態による、第1および第2の位置における、治療デバイスの遠位アセンブリを示す。
【
図2B】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、本技術のいくつかの実施形態による、第1および第2の位置における、治療デバイスの遠位アセンブリを示す。
【0008】
【
図3】
図3Aおよび3Bは、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、
図2Aおよび2Bに示される、遠位アセンブリのアームの隔離図である。
【0009】
【
図4】
図4Aおよび4Bは、
図2Aおよび2Bに示され、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、遠位アセンブリと併用するために構成される、別のアームの隔離図である。
【0010】
【
図5】
図5Aおよび5Bは、それぞれ、本技術の治療デバイスと併用するために構成される、結合器の上部および斜視図である。
【0011】
【
図6A】
図6Aは、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、操作部材の側面図である。
【0012】
【0013】
【
図7】
図7および8は、それぞれ、本技術の治療デバイスと併用するために構成される、アンカアセンブリの斜視および断面図である。
【
図8】
図7および8は、それぞれ、本技術の治療デバイスと併用するために構成される、アンカアセンブリの斜視および断面図である。
【0014】
【
図9】
図9は、本技術に従って構成される、アンカの拡大隔離図である。
【0015】
【0016】
【
図11】
図11A-11Cは、本技術のいくつかの実施形態による、開閉構成に示される、弁輪に結合される、縫合糸の概略描写である。
【0017】
【
図12】
図12は、本技術のいくつかの実施形態による、閉鎖構成に示される、弁輪に結合される、縫合糸を図式的に描写する。
【0018】
【
図13】
図13Aおよび13Bは、開閉構成における、先行技術の縫合糸の概略描写である。
【0019】
【
図14】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図15】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図16】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図17】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図18】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図19】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図20】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図21】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図22】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図23】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【
図24】
図14-22、23A-23C、および24A-24Cは、本技術のいくつかの実施形態による、異なる結合器構成を示す。
【0020】
【
図25A】
図25Aおよび25Bは、それぞれ、第1および第2の位置に示される、本技術の治療デバイスと併用するために構成される、遠位アセンブリを示す。
【
図25B】
図25Aおよび25Bは、それぞれ、第1および第2の位置に示される、本技術の治療デバイスと併用するために構成される、遠位アセンブリを示す。
【0021】
【0022】
【
図26】
図26は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、遠位アセンブリを図示する。
【0023】
【
図27】
図27は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、遠位アセンブリを図示する。
【0024】
【
図28A】
図28Aは、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、遠位アセンブリを図示する。
【0025】
【0026】
【
図29】
図29および30は、それぞれ、本技術の治療デバイスと併用するために構成される、アンカアセンブリの斜視および断面図である。
【
図30】
図29および30は、それぞれ、本技術の治療デバイスと併用するために構成される、アンカアセンブリの斜視および断面図である。
【0027】
【
図31-1】
図31A-31Gは、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、異なるアンカを示す。
【
図31-2】
図31A-31Gは、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、異なるアンカを示す。
【0028】
【
図32】
図32Aおよび32Bは、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、アンカの異なる図である。
【0029】
【
図33】
図33-35は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、異なるアンカを示す。
【
図34】
図33-35は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、異なるアンカを示す。
【
図35】
図33-35は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、異なるアンカを示す。
【0030】
【
図36】
図36は、本技術の実施形態に従って構成される、仕上げデバイスを示す。
【0031】
【
図37】
図37A-37Dは、本技術の実施形態による、異なる位置における、
図36の仕上げデバイスの遠位部分を示す。
【0032】
【
図38】
図38および39は、異なる使用状態における、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、仕上げデバイスの遠位部分を示す。
【
図39】
図38および39は、異なる使用状態における、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、仕上げデバイスの遠位部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
本技術は、天然心臓弁等の心臓の構造を治療するためのデバイス、システム、および方法に関する。本技術のいくつかの実施形態は、例えば、天然心臓弁輪等の天然弁輪を再成形するためのデバイス、システム、および方法を対象とする。本技術のいくつかの実施形態の具体的詳細は、
図1-39を参照して下記に説明される。
【0034】
図1は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、心臓弁輪を治療するためのデバイス100を示す。デバイス100は、治療の間、体外に位置付けられるように構成される、ハンドル101を備える、近位部分100aと、心臓弁輪に近接して、その上方に、および/またはその中に経皮的に位置付けられるように構成される、遠位部分100bとを有する。デバイス100の遠位部分100bは、ハンドル101における1つまたはそれを上回るアクチュエータ(例えば、ボタン、スライダ、ノブ等)によって操作され、弁オリフィスの平面の直上および/またはその中において、複数のアンカを弁輪心臓組織内に埋め込むように構成される、遠位アセンブリ103を含む。デバイス100はさらに、ハンドル101から本デバイスの遠位部分100bまで遠位に延在する、伸長シャフト120と、1つまたはそれを上回る他のデバイス(本明細書に開示されるように、仕上げデバイス等)および/またはそれを通した縫合糸114を受容するための結合器129とを含んでもよい。
【0035】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、本技術のいくつかの実施形態による、第1および第2の位置における、遠位アセンブリ103の拡大図である。示されるように、遠位アセンブリ103は、結合器106と、結合器106を通して延在する、複数のアーム102と、アーム102の遠位端部分によって搬送される、複数のアンカアセンブリ122とを備えることができる。アンカアセンブリ122はそれぞれ、薄型構成において、対応するアンカ130を格納する。遠位アセンブリ103はさらに、アンカアセンブリ122間に延在する、縫合糸114を備える。前述の構成要素のそれぞれのいくつかのみが、下層構造を視認する容易性のために、図面で標識される。
【0036】
遠位アセンブリ103は、(例えば、天然弁輪に近接する)治療部位への血管内送達のために、伸長シャフト120内に薄型構成で配置されるように構成される。本薄型構成では、アーム102は、略線形であって、相互に略平行に延在することができる。伸長シャフト120からの解放に応じて、アーム102は、付勢され、アーム102のそれぞれがデバイス100の縦軸Lから離れるように半径方向に延在するように、湾曲構成をとることができる。本展開構成では、アンカアセンブリ122は、アーム102の位置を調整することによって修正され得る、形状を包囲する。本明細書に議論されるように、アーム102はそれぞれ、他のアーム102から独立して、回転および/または平行移動するように構成される。加えて、または代替として、アーム102にわたる結合器106の軸方向前進は、アーム102のそれぞれと縦軸Lとの間の角度を減少させ、それによって、アンカアセンブリ122をともにより近づくように引動させることができる。
図2Aでは、遠位アセンブリ103は、第1の展開構成に示され、その中でアーム102は、第1の角度において、デバイス100の縦軸Lから離れるように延在し、アンカアセンブリ122は、第1の面積を包囲する。
図2Bでは、デバイス100は、第2の展開構成に示され、その中で結合器106は、
図2Aにおけるその位置に対して遠位に前進されている。アーム102は、第1の角度より小さい、第2の角度において、縦軸Lから離れるように延在し、アーム102の遠位部分102bは、第1の面積より小さい、第2の面積を包囲する。
【0037】
縫合糸114は、デバイス100の治療部位への送達に先立って、アンカアセンブリ122および/またはアンカ130に結合されることができる。例えば、縫合糸114は、デバイス100の縦軸Lのまわりで、アンカ130および/またはアンカアセンブリ122間に延在する、ループ状部分114aと、ループ状部分114aの端部115a、115bからハンドル101(または別の体外場所)に戻るように近位に延在する、第1および第2の尾部114a、114bとを有することができる。縫合糸114の近位端は、結合器129において、ハンドル101から退出することができる。いくつかの実施形態では、ハンドル101は、随意に、デバイス100内の縫合糸114の長さを一時的に固定する、固着部材127を含む。固着部材127は、タブ、フック、ピン、クランプ、および/または縫合糸114の端部に固着するための任意の好適な手段であることができる。
【0038】
アーム102は、弁輪組織内へのアンカアセンブリ122および/またはアンカ130の設置を促進し、弁輪を再成形および/またはサイズ調整するように構成される。アーム102はそれぞれ、近位部分102aと、遠位部分102bとを備える。アーム102の近位部分102aは、ハンドル101まで近位に延在する、対応する伸長部材110(
図2Aのみに示される)に結合されることができ、アーム102の遠位部分102bは、対応するアンカアセンブリ122に結合されることができる。所与の伸長部材110の平行移動および/または回転は、対応するアーム102の平行移動および/または回転を引き起こす。ハンドル101は、複数のアクチュエータ(例えば、ボタン、スライダ、ノブ等)を含むことができ、それぞれ、伸長部材110のうちの1つの近位端部分に結合される。所与のアクチュエータの移動は、対応する伸長部材110の移動(したがって、対応するアーム102の移動)を引き起こす。いくつかの実施形態では、例えば、
図1に示されるように、アクチュエータは、伸長部材110の近位端部分に結合される、ノブ122を備える。ノブ122は、ハンドル101内に、対応する伸長部材110に結合する、線形延在部を有することができる。所与のノブ122の回転は、対応する伸長部材110の平行移動および回転(したがって、対応するアーム102の移動)を引き起こす。いくつかの実施形態では、伸長部材110および/またはアーム102の平行移動および/または回転を制御するためのアクチュエータは、スライダであって、スライダの平行移動は、対応する伸長部材110および/またはアーム102の平行移動を引き起こす。ある実施形態によると、アクチュエータのうちの単一の1つは、2つまたはそれを上回るアームの平行移動および/または回転を同時に制御してもよい。
【0039】
個々の伸長部材110は、例えば、ワイヤ、管(
図2Aに示されるように)、捻転ワイヤ(
図25Aに示されるように)、編組ワイヤ、編組管、コイル、および/または他の好適な構成を備えることができる。伸長部材110は、金属またはポリマー材料を備えることができる。いくつかの実施形態では、アーム102のそれぞれの近位端部分102aは、伸長部材110およびアーム102の両方の周囲に延在するバンド108を介して、伸長部材110のうちの1つの遠位端部分に実質的に固定される。バンド108は、伸長部材110およびアーム102の端部にわたって、それを辿って圧着されてもよい。伸長部材110は、他の固着手段を介して、アーム102に結合されることができる。例えば、その中で伸長部材110が、編組または捻転ワイヤを備える、それらの実施形態では、伸長部材110は、アーム102の端部にわたって、編組または捻転され(または、アーム102が、管である場合、アーム102の管腔の中に)、接着剤および/または圧着バンドを用いて、固着されることができる。ある実施形態では、デバイス100は、任意の伸長部材110を含まず、代わりに、アーム102は、ハンドルに戻るように近位に延在するために十分な長さを有する。
【0040】
図2Aおよび2Bに示される遠位アセンブリ103は、デバイス100の縦軸Lの周囲に均一に離間される、8つのアームを含む。いくつかの実施形態では、遠位アセンブリ103は、8つより多いまたはより少ないアーム(例えば、2つのアーム、3つのアーム、4つのアーム、5つのアーム、6つのアーム、7つのアーム、9つのアーム、10のアーム等)を含んでもよく、および/またはアーム102は、非均一に分散されてもよい。
【0041】
アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、可撓性管(例えば、金属管、ポリマー管、レーザ-切断管等)、中実ロッド、リボン、または他の好適な構造等の伸長要素を備えることができる。
図3Aおよび3Bは、
図2Aおよび2Bに示される、遠位アセンブリ103から隔離されるアーム102を図示する。アーム102は、
図3Aでは、薄型送達状態に、
図3Bでは、弛緩され、拘束されていない状態に示される。示されるように、少なくとも、弛緩され、拘束されていない状態では、アーム102はそれぞれ、個別のアーム102の縦軸に沿って、事前に設定された曲線および/または屈曲を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アーム102のうちのいくつかまたは全ては、アーム102がそれぞれ、送達シース(伸長シャフト120等)から解放されると、事前に設定された湾曲および/または屈曲された構成をとるように構成されるように熱処理されている、超弾性および/または弾力性材料(ニチノールまたは類似金属合金等)を備えることができる。アーム102は、その長さに沿って、連続的曲率半径を有することができる、または変動する曲率半径を有してもよい。いくつかの実施形態では、アーム102の曲率半径は、アーム102の遠位端部分102bに向かって減少する。
【0042】
アーム102のうちのいくつかまたは全ては、同一曲率を有することができる、またはアーム102のうちのいくつかまたは全ては、異なる曲率を有することができる。同様に、アーム102のうちのいくつかまたは全ては、同一曲率半径を有することができる、またはアーム102のうちのいくつかまたは全ては、異なる曲率半径を有することができる。アーム102のうちのいくつかまたは全ては、同一長さを有することができ、アーム102のうちのいくつかまたは全ては、異なる長さを有することができる。アーム102のうちのいくつかまたは全ては、同一断面形状を有することができ、アーム102のうちのいくつかまたは全ては、異なる断面形状を有することができる。アーム102のうちのいくつかまたは全ては、同一断面寸法を有することができ、アーム102のうちのいくつかまたは全ては、異なる断面寸法を有することができる。アーム102のそれぞれの曲率、長さ、断面形状、および断面寸法は、治療されるべき弁輪の形状および/またはサイズに基づいて、選択されることができる。
【0043】
アーム102のうちの少なくともいくつかは、第1の比較的に平滑な側と、結合器106(
図5A)上のアーム係合要素117に係合し、アームのうちの1つ、いくつか、または全ての軸方向位置を、結合器106に対して、および/または相互に対して、固着させるように構成される、複数の結合器係合要素を有する、第2の側とを備える。いくつかの実施形態では、アーム102および結合器106の対応する係合部材は、ラチェットと同様に、単一方向における移動を可能にするように構成される。これらおよび他の実施形態では、アーム102および結合器106の係合部材は、下記にさらに詳細に議論されるように、オペレータがアームのうちの1つを調節することを所望する場合、双方向移動を可能にする、統合された解放機構を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、例えば、
図3Aおよび3Bに示されるように、結合器係合要素は、アーム102の長さに沿って、切り欠き111によって離間される、複数の突出部112(個々に、近位から遠位方向に、112a-112fと標識される)を備える。例えば、いくつかの実施形態では、アーム102は、選択された部分(切り欠き111)が、ロッドの1つのみの円周方向側に沿って除去され、それによって、突出部112を残す、中実ロッドから作製される。突出部112は、中実ロッドの残された材料から形成されるため、突出部112におけるアーム102の直径は、材料が除去されていない、ロッドの任意の他の部分と同一である。アーム102のうちのいくつかまたは全ては、同一数の結合器係合要素112を有することができ、アーム102のうちのいくつかまたは全ては、異なる数の結合器係合要素112を有することができる。いくつかの実施形態では、係合要素は、結合器係合要素以外の固着構造を備えてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、例えば、
図3Aおよび3Bに示されるように、最近位切り欠き121は、より遠位の切り欠き111より長くあることができる。これは、医師に、結合器106と第1の(最近位)突出部112aを係合する前に、アーム102を近位または遠位に平行移動させる際に、(より短い長さを有する切り欠きに対して)より大きい自由度を提供する。同様に、近位切り欠き121の長さは、下記に議論されるように、アーム102もまた移動させずに、伸長構造105および結合器106が、最近位開始位置から進行し得る距離を決定付ける。
【0046】
突出部112は、斜面が付けられた近位表面113と、遠位に向いた段部115とを有することができる。斜面が付けられた近位表面113は、アーム102にわたる結合器106の遠位前進(または結合器106を通したアーム102の近位移動)を可能にする一方、段部115は、少なくとも、アーム102がある回転配向にあるとき、段部115を越えた結合器106の近位移動を防止する。アーム102は、アーム102の第1の側が、結合器106の中心に半径方向により近く、アーム102の第2の側が、結合器106の縁に半径方向により近いように、結合器106(
図5A参照)内の第1の開口部116のうちの1つを通して位置付けられるように構成される。そのような配向では、アーム102の第2の側、すなわち、突出部112を有する側は、結合器106上のアーム係合要素117と円周方向に整合される。
【0047】
いくつかの実施形態では、例えば、
図4Aおよび4Bに示されるように、アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、個別のアーム102を、デバイス100の縦軸Lに対して第1の角度で位置付けられる、略線形近位領域と、デバイス100の縦軸Lに対して第2の角度で位置付けられる(かつ近位領域に対して角度付けられる)、略線形遠位領域とに効果的に分割する、事前に設定された屈曲103aを有する。第2の領域は、個別のアーム102の縦軸に沿って、第1の領域の遠位にあることができ、第2の角度は、第1の角度を上回ることができる。遠位部分は、有利なこととして、線形であって、アンカ130が、接続されるべきアームの管の内側に延びることを可能にすることができる。より大きい曲率を屈曲103aに有することは、アーム102が、必要に応じて、結合器106からより大きい距離に延在することを可能にする。いくつかの実施形態では、近位領域および遠位領域は両方とも、湾曲される、近位領域および遠位領域は両方とも、線形である、または近位領域は、線形であって、遠位領域は、湾曲される。いくつかの実施形態では、アーム102は、連続的またはほぼ連続的曲線をとるように事前に設定される。
【0048】
いくつかの実施形態では、例えば、
図4Aおよび4Bに示されるように、アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、その個別の縦軸に沿って、複数の事前に設定された屈曲を有する。例えば、いくつかの実施形態では、アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、伸長部材110への接続部において、またはその近傍において、第1の事前に設定された屈曲103bと、アーム102の中間部分に沿って、第2の事前に設定された屈曲103aとを有することができる。第1の事前に設定された屈曲103bは、例えば、個別のアーム102の縦軸に沿って、最近位係止要素と関節アーム102と個別の伸長部材110との間の継合部との間にある、場所に配置されることができる。アーム102のうちの1つまたはそれを上回るものに沿って、1つまたはそれを上回る事前に設定された屈曲を有する、実施形態のいずれかでは、屈曲のいずれかの側上のアーム102の一部は、略線形である、または湾曲されることができる。
【0049】
図5Aおよび5Bは、それぞれ、結合器106の隔離された上部および斜視図である。結合器106は、いったん結合器106が、アーム102上の1つまたはそれを上回る結合器係合要素に係合すると(本明細書に詳述されるように)、アーム102を所望の空間配列に保持し、相互に対するアーム102の軸方向移動を阻止するように構成されてもよい。
図2Bに最良に示されるように、デバイス100は、結合器106とハンドル101との間に延在し、オペレータに、結合器106の平行移動および/または回転制御を提供するように構成される、伸長構造105を含むことができる。例えば、伸長構造105は、ハンドル101(
図1)上のスライダ126(または任意の他のアクチュエータ)に結合される、近位端部分と、結合器106に固定される、遠位端部分とを有することができる。伸長構造105は、伸長部材110と略平行に、伸長シャフト120を通して延在することができる。スライダ126の平行移動は、伸長構造105の平行移動を引き起こし、それによって、結合器106の平行移動を引き起こす。いくつかの実施形態では、伸長構造105および/または結合器106の平行移動を制御するためのアクチュエータは、ノブであって、ノブの回転は、伸長構造105の平行移動を引き起こす。開始最近位位置からの、伸長構造105および結合器106の遠位平行移動はまた、アーム102も遠位に移動させるわけではない。しかしながら、結合器106が、アーム102上の第1の切り欠きに到達すると、結合器106の継続された遠位移動は、アーム102を前方に押動させ、それによって、アーム102(および遠位アセンブリ103)を伸長シャフト120から排出する。結合器106をアーム102にわたって遠位に移動させるために(結合器係合要素112に係合するために)、ハンドル101上の1つまたはそれを上回るアクチュエータ124は、作動され、ハンドル101に対してアーム102の軸方向および/または回転位置を解放可能に固定することができる。ハンドル101は、結合器106に対する各アーム102の軸方向位置が他のアーム102の軸方向位置から独立し得るように、アーム102毎にアクチュエータ124を含むことができる。いくつかの実施形態では、単一アクチュエータ124は、軸方向および/または回転可能に、2つまたはそれを上回るアーム102を同時に固定することができる。アクチュエータ124は、ねじ、ノブ、クランプ、ボタン、および/または他の解放可能固定手段であることができる。
【0050】
伸長構造105は、中実ロッドまたは中空管であることができる。伸長構造105が中空管である、それらの実施形態では、縫合糸114(および/または他の構成要素)が、伸長構造105の管腔を通して、ハンドル101から遠位アセンブリ103まで延在することができる。いくつかの実施形態では、例えば、
図6Aおよび6Bに示されるように、伸長構造105は、レーザ切断管を備える。管の遠位端部分は、結合器106に固定されることができ(例えば、溶接、接着剤、スナップ嵌合、摩擦嵌合、圧着部、または他の好適な取付手段を介して)、近位端部分は、ハンドル101に結合されることができる。管は、任意の切断部を含まない、第1のより近位の部分105aと、その部分に沿って、管の可撓性を増加させる、一連の円周方向に延在する切断部を備える、第2のより遠位の部分105bとを有することができる。本増加された可撓性は、伸長構造が、心臓の近傍およびその中の鋭的旋回部の周囲を追跡することを可能にする。いくつかの実施形態では、レーザ切断部の角度は、約0.1度~約20度である。切断されない部分はまた、相互に約90度交互するように設計され、これは、管が複数の方向に屈曲することを可能にする。
【0051】
いくつかの実施形態では、伸長構造105は、伸長シャフトが伸長部材110を囲繞するように、伸長部材110を摺動可能に受容するように構成される、管腔を有する、伸長シャフトを備える。そのような実施形態では、伸長シャフトは、伸長シャフトの遠位端が結合器106の円周の周囲で結合器106に結合されるように、結合器106の直径に実質的に相当する、直径を有することができる。
【0052】
図5Aおよび5Bに示されるように、結合器106は、それを通して延在する、複数の開口部を有する、ディスクを備えることができる。複数の開口部は、1つまたはそれを上回る第1の開口部116と、1つまたはそれを上回る第2の開口部118とを含むことができる。第1の開口部116はそれぞれ、部分的または完全に、それを通してアーム102のうちの1つを受容するように構成されることができる。第2の開口部118は、本明細書に詳述されるように、伸長構造105の遠位端部分を受容するように構成されることができる。加えて、または代替として、第2の開口部118は、それを通して手技の間のより良好な可視化のための撮像要素、本デバイスが除去される前に、縫合糸を定位置に係止するように構成される、係止カテーテル、縫合糸114、切断カテーテル、係止および切断カテーテル等の本システムの1つまたはそれを上回る他の構成要素を受容するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、結合器106は、付加的開口部を含むことができる。
図5Aおよび5Bでは、第1の開口部116は、結合器106の円周のまわりで、均一に離間され、単一の第2の開口部118は、結合器106のより中心部分に位置付けられる。いくつかの実施形態では、第1および第2の開口部116、118は、例えば、
図14-24Cを参照して本明細書に説明されるような他の配列を有することができる。
【0053】
伸長構造105は、他の非中心場所において、結合器106に係合および/または結合することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、結合器106は、伸長構造105の遠位部分を受容し、および/またはそれに結合されるように構成される、第3の開口部(図示せず)を含み、第2の開口部118(中心または別様に位置するかどうかにかかわらず)は、それを通して縫合糸係止デバイスを受容するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、伸長構造105は、結合器106に係合し、結合器106に対して伸長構造105の軸方向位置を固着させるように構成される、1つまたはそれを上回る結合器係合要素を備えることができる。結合器係合要素は、アーム102を参照して本明細書に説明される、結合器係合要素のいずれかに類似することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、結合器106は、結合器106の外側縁から半径方向内向きに延在する、1つまたはそれを上回る陥凹119を備えることができる。陥凹119は、ハンドル101からデバイス100の遠位部分100bまでそれを通して通過する、ワイヤ、シャフト、または他の構成要素を受容するように構成されることができる。陥凹119は、結合器106が交互陥凹119および第1の開口部116を円周方向に備えるように、隣接する第1の開口部116間に位置付けられることができる。いくつかの実施形態では、結合器106は、例えば、
図2Aおよび
図14に示されるように、任意の陥凹119を含まない。
【0055】
図5Aに最良に示されるように、結合器106は、アーム102および/または伸長構造105の1つまたはそれを上回る結合器係合要素に係合するように構成される、1つまたはそれを上回る係合要素を含むことができる。例えば、結合器106は、第1の開口部116のうちの1つ、いくつか、または全て内に配置される、1つまたはそれを上回るアーム係合要素117を含むことができる。アーム係合要素117は、1つまたはそれを上回る結合器係合要素112および/またはアーム102の他の部分と係合し、それによって、アーム102に対して結合器106の軸方向移動のための可逆的ラチェット手段を作成するように構成されることができる。各アーム係合要素117は、所望に応じて、アーム102の回転および平行移動を可能にする一方、また、アーム102の選択的係合を可能にし、アーム102の近位移動を阻止するように構成される。上記に記載されるように、特定のアーム102の結合器係合要素112のうちの1つ、いくつか、または全ては、アーム102の片側のみに配置されることができ、結合器106のアーム係合要素117は、対応する第1の開口部116を画定する、内面の一部のみに沿って配置される、隆起を備えることができる。したがって、アーム102の結合器係合要素112は、アーム102の結合器係合要素112が第1の開口部116内のアーム係合要素117と円周方向に整合されると、第1の開口部116内のアーム係合要素130にのみ係合する(かつ定位置に係止する)。アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、アーム係合要素117との係合を促し、および/またはさらに固着させる、1つまたはそれを上回る屈曲(例えば、本明細書に説明されるように)を含むように形状設定されることができる。例えば、アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、アーム102が正しい配向に位置付けられると、アーム102がアーム係合要素117(または任意の他の係合要素)に向かって押勢されるように、半径方向外向きに付勢されてもよい。アーム102が、結合器係合要素112がアーム係合要素117との整合から外れるように回転される場合、アーム102は、アーム係合要素117から結合解除された状態になり、第1の開口部116に対して軸方向に移動することができる。アーム102を結合器106から結合解除する能力は、デバイス100の1つまたはそれを上回るアーム102の再位置付けを可能にし、これは、例えば、オペレータが、必要に応じて、アーム102を後方に引動させ、再位置付けすることを所望するとき、有益であり得る。
【0056】
いったんアーム102は、弁輪組織(上弁輪組織等)に対して所望の場所に位置付けられると、アンカアセンブリ122は、組織に近接および/または接触し、アーム102の軸方向および/または回転位置は、固定されることができ(例えば、アクチュエータ124を介して)、結合器106は、アーム102にわたって、遠位に前進され、それによって、結合器106のアーム係合要素117がアーム102の結合器係合要素112に係合するにつれて、アーム102を相互に向かって引動させ、(少なくとも一時的に)アーム102を定位置に係止することができる。
【0057】
アーム係合要素117は、任意の数の形状を有することができ、第1の開口部116内の任意の円周方向および/または軸方向位置に位置付けられてもよい。例えば、
図5Aに示されるように、アーム係合要素117のうちの1つ、いくつか、または全ては、略湾曲経路に沿って延在する、半径方向内面を有することができる。いくつかの実施形態では、アーム係合要素117は、略線形経路に沿って延在する、半径方向内面を有することができる。いくつかの実施形態では、アーム係合要素117のうちの1つ、いくつか、または全ては、略湾曲経路に沿って延在する、1つまたはそれを上回る部分と、略線形経路に沿って延在する、1つまたはそれを上回る部分とを有する、半径方向内面を有する。いくつかの実施形態では、アーム係合要素117は、対応する第1の開口部116内に単一突出部を備える。いくつかの実施形態では、アーム係合要素117は、特定の第1の開口部116内に複数の突出部を備える。第1の開口部116のうちの1つ、いくつか、または全ては、同一数のアーム係合要素117を有することができる。第1の開口部116のうちの1つ、いくつか、または全ては、異なる数のアーム係合要素117を有することができる。第1の開口部116のうちの1つ、いくつか、または全て内のアーム係合要素117は、同一形状を有することができる。第1の開口部116のうちの1つ、いくつか、または全て内のアーム係合要素117は、異なる形状を有することができる。第1の開口部のうちの1つ、いくつか、または全て内のアーム係合要素117は、概して、同一円周方向場所に位置付けられ、および/またはそれに跨架し、および/または同一弧長を有することができる。第1の開口部116のうちの1つ、いくつか、または全て内のアーム係合要素117は、異なる円周方向場所に位置付けられ、および/またはそれに跨架し、および/または異なる弧長を有することができる。アーム係合要素117は、第1の開口部116の180度以下、または160度以下、140度以下、120度以下、100度以下、90度以下、80度以下、60度以下、45度以下、30度以下、20度以下、10度以下、5度以下、4度以下、3度以下、2度以下、または1度以下に沿って延在してもよい。いくつかの実施形態では、アーム係合要素117のうちの1つ、いくつか、または全ては、360度またはそれを上回って、跨架してもよい。いくつかの実施形態では、第1の開口部116のうちの1つ、いくつか、または全ては、アーム係合要素117を含まない。
【0058】
本技術のいくつかの側面によると、結合器106は、加えて、または代替として、第2の開口部118内に1つまたはそれを上回る伸長構造係合要素を含む。例えば、いくつかの実施形態では、結合器106は、第2の開口部118および/または結合器106内の他の開口部のうちの1つまたはそれを上回るもの内に1つまたはそれを上回る隆起を有する。伸長構造係合要素は、アーム上のアーム係合要素および結合器係合要素に関して上記に説明されるものに類似する様式において、伸長構造105上の結合器係合要素とインターフェースすることができる。
【0059】
結合器106は、アーム102の一部を半径方向にともに保持するように構成され、アーム102はそれぞれ、結合器106の近位にある長さと、結合器106の遠位にある(かつそこから片持ち支持される)長さとを有する。いくつかの実施形態では、アーム102は、例えば、対応する伸長部材110の軸方向移動に応答して、開口部を通して、軸方向に摺動するように構成される。加えて、または代替として、アーム102は、例えば、対応する伸長部材110の回転に応答して、その個別の開口部内で回転することができる。
【0060】
アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、相互から独立して移動し、それによって、デバイス100の各アンカアセンブリ122および/またはアンカ130の独立調節を可能にするように構成されることができる。これは、オペレータに、係留のサイズおよび部位をカスタマイズするための局在化された幾何学的制御を提供する。いくつかの実施形態では、アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、相互から独立して、その独自の縦軸のまわりで回転するように構成される。加えて、または代替として、アーム102のうちの1つ、いくつか、または全ては、相互に対して軸方向に移動するように構成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、伸長シャフト120は、操向可能である。デバイス100は、伸長シャフト120の遠位端部分とハンドル101におけるアクチュエータ128との間に延在する、伸長部材(不可視)を備えることができる。伸長部材は、ワイヤ、縫合糸、管状部材等であることができる。第1の方向におけるアクチュエータ128の回転は、伸長部材を引動させ、それによって、伸長シャフト120の偏向および/または屈曲を引き起こす。第2の方向におけるアクチュエータ128の回転は、伸長部材上の張力を解放し、それによって、伸長シャフト120を直線化する。いくつかの実施形態では、アクチュエータ128は、(回転ではなく)平行移動を介して、伸長部材を作動させる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ128は、平行移動および回転を介して、伸長部材を作動させる。いくつかの実施形態では、デバイス100は、伸長シャフト120の遠位端部分とハンドル101における第2のアクチュエータ(図示せず)との間に延在する、第2の伸長部材を備える。第2の伸長部材上の張力は、アクチュエータ128に結合される伸長部材によって引き起こされる、偏向および/または屈曲の方向と異なる方向において、伸長シャフト120の偏向および/または屈曲を引き起こすことができる。
【0062】
上記に記載されるように、アンカ130および/またはアンカアセンブリ122はそれぞれ、アーム102の異なるものによって搬送されることができる。いくつかの実施形態では、アンカ130はそれぞれ、治療の完了に応じて、アーム102が、アンカ130および縫合糸114のみが弁輪に埋め込まれたまま、患者から除去され得る(デバイス100の残りとともに)ように、アーム102の対応するものに取外可能に結合されてもよい。例えば、アンカ130は、機械的または電気的に、アーム102の遠位部分102bから取外可能であることができる。いくつかの実施形態では、ハンドル101は、オペレータによってトリガされると、アンカ130のうちの1つ、いくつか、または全てを対応するアーム102から解放させる、アクチュエータを含む。
【0063】
図7および8は、アンカアセンブリ122の斜視および断面図である。アンカアセンブリ122は、対応するアーム102の遠位端部分102bに結合される、円筒形筐体182と、部分的または完全に、筐体182内に配置される、アンカ130とを備えることができる。一般に、アンカアセンブリ122は、アンカ130を治療部位に搬送し、所望の場所における組織の中へのアンカ130の挿入を促進するように構成される。いくつかの実施形態では、アンカアセンブリ122は、アーム102が、十分な軸方向力をアンカ130上に付与し、アンカ130を筐体182から排出するまで、アンカ130を筐体182の管腔内に含有するように構成される。
【0064】
図7および8に示されるように、筐体182は、近位端部分182aと、遠位端部分182bとを有する。筐体182の近位端部分182aは、開口部を画定し、それを通してアーム102の遠位端部分102bが、延在する。遠位端部分182bは、開口部186を画定し、それを通してアンカ130が、アンカ130が筐体102から排出されるとき、薄型状態において通過するように構成される。いくつかの実施形態では、筐体182は、随意に、遠位端表面から近位に延在する、直径方向に対向する切り欠き184を含む。切り欠き184は、縫合糸114(
図8のみに示される)の引込および送出長を受容し、隣接するアンカアセンブリ122間の縫合糸114の経路を誘導することに役立つように構成されることができる。筐体182は、アンカ130を略線形薄型送達状態において受容するように構成される、管腔を画定する、円筒形側壁を備えることができる。管腔は、アンカ130と筐体182の内面との間の摩擦力に基づいて、アンカ130が管腔内に留まるように定寸されてもよい。いくつかの実施形態では、アンカ130は、筐体182から解放されると、湾曲構成をとるように付勢され、したがって、その中に含有されると、筐体182の内面に対して外向きに継続的に押圧する。筐体182は、アーム102の遠位端に結合される、ガイド188を受容するように構成される、その長さの少なくとも一部に沿って延在する、スロット180を含むことができる。ガイド188は、スロット180に沿って、かつその中で摺動し、それによって、筐体182に対するアーム102の回転を防止するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、アーム102は、筐体182に対して回転する(またはその逆である)ように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、筐体182は、スロット180を含まず、および/またはアーム102は、ガイド188を含まない。
【0065】
使用時、オペレータは、筐体182の遠位端表面を押動させ、所望のアンカ挿入部位において、弁輪組織と接触させる(例えば、対応するアーム102の遠位前進によって)。組織は、筐体182の遠位移動に抵抗するが、オペレータは、対応するアーム102を遠位に押動し続け、それによって、筐体182に対してアーム102の遠位移動を押進させる。アーム102が、筐体182内で遠位に移動するにつれて、アーム102は、アンカ130を、筐体182の遠位開口部を通して、組織の中に押動させる。
【0066】
いくつかの実施形態では、デバイス100は、アンカ130に結合される、遠位端部分と、ハンドル101に結合される、近位端部分とを有する、伸長部材(例えば、ワイヤ、管等)(図示せず)を含む。例えば、伸長部材の遠位部分は、アンカ130内の開口部138を通して延在し、および/または別様に、アンカ130の近位部分130aに結合され、次いで、アーム102の管腔を通して(アーム102が管腔を含む場合)、またはアーム102に沿って、ハンドル101に戻るように近位に延在することができる。オペレータが、アンカ130の展開に満足しない場合、医師は、伸長部材を後方に引動し、アンカ130を、組織から外に、筐体182の中に戻るように近位に引動させることができる。
図9および31A-35を参照して議論される、アンカのいずれかに関して、筐体182の中へのアンカ130の抜去は、アンカ130の屈曲を直線化し、アンカ130を、筐体182の管腔内に嵌合する、半径方向圧潰および/または略線形外形に押進させる。
【0067】
治療の完了に応じて、アーム102は、アンカ130および縫合糸114のみが弁輪に埋め込まれたまま、患者から除去されてもよい(デバイス100の残りとともに)。アンカ130の着脱性は、特に、IRIS経カテーテル弁形成術リングシステム(Boston Scientific(Marlborough, Massachusetts))等の従来のデバイスと比較して、機械設備が患者内に殆ど残っていない状態で治療を可能にするため、有利である。アンカ130の着脱性はまた、医師が、弁置換手技または縁間修復を将来的に実施することを可能にする。FMR(MitraClipTM(Abbott Cardiovascular(MN, USA))等)のための典型的縁間修復療法は、弁を固定するための将来的介入の余地を可能にしない。いくつかの実施形態では、アンカ130のうちの1つまたはそれを上回るものは、対応するアーム102に固定されることができる(すなわち、非取外可能)。
【0068】
図9は、本技術に従って構成される、アンカ130の隔離図である。アンカ130は、縫合糸114に結合されるように構成される、近位部分130aと、弁輪組織に穿通し、その中に埋設されるように構成される、遠位部分130bとを備える。近位部分130aは、それを通して縫合糸114を受容するように構成される、開口部138を備える。いくつかの実施形態では、近位部分130aおよび/または開口部138は、デバイス100の構成要素(例えば、アーム102の遠位端部分、アンカアセンブリ122の一部、アンカアセンブリ筐体182の一部等)に取外可能に結合されるように構成されることができる。
図9に示されるように、アンカ130は、少なくとも2つのアーム132を備えることができ、その全部または一部は、組織内に埋設されるように構成される。少なくとも2つのアーム132はそれぞれ、弁輪組織に穿通するように構成される、遠位先端136を有する。いくつかの実施形態では、遠位先端136は、勾配が付けられ、鋭的表面を提供する。他の実施形態では、遠位先端136は、鈍的である。
【0069】
図9によって描写されるものを含む、いくつかの実施形態では、アンカ130は、それ自体上に戻るように屈曲され、開口部138を形成する、ワイヤ等の伸長部材から形成されることができる。ワイヤは、円形、長方形、正方形形状、または他の断面形状を有することができる。アーム132の近位端は、屈曲において連続的であって、遠位端は、アンカ130の遠位端部分130bに対応する。伸長部材は、ニチノール、コバルトクロム、および/またはそれらの合金等の超弾性および/または弾力性材料から形成されることができる。ワイヤは、約0.30mm~約0.50mm、約0.35mm~約0.45mm、約0.40mm~約0.45mm、約0.40mm、約0.43mm、または約0.45mmの直径を有することができる。より大きい直径ワイヤを使用することは、ワイヤの全体的表面積および強度を増加させるが、そのような堅牢性はまた、アンカ130とアンカアセンブリ筐体182との間の摩擦を増加させ、アンカ130を筐体182から押動させることをより困難にする。例えば、他は全て等しいとして、本発明者は、0.43mmまたはより大きいワイヤを使用して形成される、アンカが、0.40mmワイヤから形成されるアンカより展開することが著しく困難であることを見出した。
図33-35を参照して下記に議論されるように、いくつかの実施形態では、アンカ130は、材料(超弾性および/または弾力性材料を含む)のシートから切断される。いずれの場合も、伸長部材は、伸長部材が、アンカアセンブリ122の筐体182から解放されると、所望の湾曲形状をとるように付勢されるように、形状設定されることができる(例えば、熱処理を介して)。いくつかの実施形態では、伸長部材は、開口部138の平面が、それに沿って遠位先端136が延在する、方向から、約90度であるように、形状設定されることができる。
【0070】
図9に示されるように、いくつかの実施形態では、アーム132は、依然として、概して、同一経路に沿って延在しながら、アンカ130の近位部分130aと遠位部分130bとの間で相互にわたって交差してもよい。アーム132間の交点134は、付加的構造支持をアンカ130の組織係合部分に提供し、それによって、組織との固定を改良することができる。いくつかの実施形態では、アーム1302は、例えば、
図32Cおよび32Fを参照して示されるように、アンカ130の近位部分130aと遠位端部分130bとの間で交差しない。
【0071】
既存のアンカに対して本技術のアンカ130の優れた性能を実証するために、本発明者は、
図9に示される、アンカ設計の10のサンプル(「試験アンカ」)と、
図10に示される、先行技術アンカ設計の2つのサンプル群とにおいて、引張張力試験を実施した。試験アンカと異なり、先行技術アンカの脚部は、交差後、側方に発散する。先行技術群のうちの1つは、0.40mmニチノールワイヤを使用して作製された、8つのサンプルから成り(「第I群」)、他の先行技術群は、0.45mmニチノールワイヤを使用して作製された、7つのサンプルから成る(「第II群」)。試験アンカは、0.40mmニチノールワイヤから作製された。試験は、AMETEK DFE II力ゲージを使用して行われた。アンカが、単一アームおよびアンカアセンブリを使用して、ヒツジの心臓の中に挿入された。アンカの端部は、縫合糸で事前に取り付けられた。いったんアンカが、組織内に埋め込まれると、縫合糸の遊離した端部は、力ゲージに取り付けられ、引動され、力を測定した。アンカを組織から外まで引動させるために要求される最大力が、次いで、記録され、結果は、下記の表1に見られる。
【0072】
実証されるように、本技術のアンカ設計は、先行技術アンカの最大負荷の1.75倍を支持することができる。これは、第II群の増加されたワイヤサイズでも当てはまった。
【表1】
【0073】
使用時、デバイス100は、心臓弁輪等の天然弁輪において、またはそれに近接して、血管内で位置付けられることができ、アーム102は、薄型送達構成において、送達シース内に含有される。いくつかの実施形態では、アーム102は、伸長シャフト120の遠位端における開口部を通して、アーム102を押動させることによって、送達シースの拘束から解放されることができる。例えば、上記に記載されるように、結合器106は、アーム102の近位部分に係合し、その時点で、結合器106の継続された軸方向前進がまた、アーム102を前進させる(アームが、上記に議論されるように、1つまたはそれを上回るアクチュエータによって、軸方向に固定されない限り)まで、遠位に前進されることができる。いくつかの実施形態では、伸長シャフト120は、近位に引動され、アーム102を暴露し、それによって、アーム102が、デバイス100の縦軸Lから離れるように展開構成に半径方向に延在することを可能にすることができる。いずれの場合も、デバイス100は、アンカアセンブリ122が弁オリフィスの平面の直上の弁輪組織に近接して位置付けられるように、弁輪に近接して、かつその上方において、展開されることができる。
【0074】
アーム102は、独立して、特定の弁幾何学形状に従って、各アンカ130を精密に位置付けるように調節されることができる。したがって、本技術のデバイス100は、多種多様な弁輪形状およびサイズを治療するように構成される。いったんアンカアセンブリ122および/またはアンカ130が、弁輪組織に対して所望の位置に来ると、アーム102は、遠位に前進され、アンカ130をアンカアセンブリ122から外に、弁輪組織の中に押進させることができる。アーム102はそれぞれ、別個に前進され、アンカ130を展開することができる、またはアーム102のうちのいくつかまたは全ては、同時に前進され、アンカ130を同時に展開することができる。例えば、いくつかの実施形態では、結合器106の軸方向移動および/または回転は、アンカ130が、実質的に同時に、組織に係合し、および/またはその中に埋設され、それによって、手技時間を節約するように、アーム102の全てを同時に回転させる。いくつかの実施形態では、オペレータは、アーム102の第1のもののために、アンカ130を展開し、次いで、アーム102の第2のものと関連付けられる、アンカ130を展開する前に、アーム102の第2のものの位置を調節してもよい。いくつかの実施形態では、アーム102のうちの1つまたはそれを上回るものは、平行移動および/または回転され、部分的または完全に、アンカ130を組織から除去することができる。
【0075】
アンカ130が、弁輪組織に十分に固着されていると、結合器106は、アーム102に対して移動され(またはその逆)、アーム102をともに引動させ、弁輪を再成形および/またはサイズ調整することができる。一般に、結合器106をアーム102に対して遠位に前進させることは、a)隣接するアームおよび/またはb)隣接するアンカ間の角度および/または円周方向距離を減少させる。同様に、結合器106をアーム102に対して遠位に前進させることは、個々のアーム102と縦軸Lとの間の角度を減少させる。いくつかの実施形態では、結合器106は、アーム102に沿って、少なくとも第1(または最近位)のレベルの結合器係合要素112に係合するまで、アーム102にわたって遠位に前進されることができる。結合器係合要素112の段付き表面は、結合器106が溝112を越えて近位に移動することを防止し、したがって、結合器106とアーム102との間の軸方向移動を限定する。結合器106と結合器係合要素112の係合にかかわらず、アーム102は、結合器106内のその個別の開口部内で回転する能力を維持する。さらに、上記に議論されるように、いくつかの実施形態では、アーム102は、その個別の開口部内で回転し、その軸方向位置を係止解除することができる。オペレータが、弁輪の面積をなおもさらに減少させることを所望する場合、結合器106は、アーム102に沿って、第1のレベルの結合器係合要素112の遠位の少なくとも第2のレベルの結合器係合要素112に係合するまで、アーム102にわたって遠位に前進されることができる。いくつかの実施形態では、結合器106およびアーム102のうちの少なくとも1つは、定位置に保持されることができる一方、他のアーム102のうちの1つまたはそれを上回るものは、近位に引動され、次のレベルの結合器係合要素112に係合する。したがって、特定の修正の必要性に応じて、結合器106は、異なるアーム102上の異なるレベルの溝に係合するように構成される。例えば、結合器106は、同時に、アーム102のうちの1つ上の第1の結合器係合要素レベル112と、アーム102のうちの別のもの上の第2の結合器係合要素レベル112とに係合することができる。
【0076】
図11Aは、アーム102および/またはアンカ130が弁輪のサイズおよび/または形状を修正することに先立って、弁輪の周囲に延在する、縫合糸114のループ状部分114aを図式的に描写する。アンカ130の場所は、Xによって示され、縫合糸尾部114bは、示されない。いったんアンカ130が、穿通され、組織に固着され、弁輪の形状および/またはサイズが、修正されると(例えば、結合器106がアーム102を内向きに引動させることによって)、弁輪の外周は、修正に先立ったもの未満となり、したがって、ある程度の弛み123が、縫合糸114のループ状部分114a内に存在するであろう。いくつかの実施形態では、縫合糸114内の弛みは、例えば、オペレータが、ハンドル101(
図1)上の結合器129から延在する、縫合糸114の暴露される端部を引動させることによって、アーム102が弁輪をともに引動させるにつれて、除去されることができる。いずれの場合も、縫合糸114は、弁輪の形状および/またはサイズを修正する、内向き力を提供するのは、本デバイスのアーム102であるため、弁輪形状および/またはサイズを修正することに受動的にのみ関わる。
図13Aおよび13Bに図式的に実証されるように、これは、縫合糸を締着し、弁輪組織をともに引動させる、いくつかの先行技術デバイスと対照的である。
【0077】
いったん弁輪が、アーム102および/またはアンカ130によって、所望の形状および/またはサイズに修正されると、アンカ130間に延在する、縫合糸114の長さは、弁輪の外周の新しいより短い長さに近似するように調節されることができる(
図11Bに示されるように)。縫合糸114は、次いで、アーム102および本デバイスの残りの除去に応じて、縫合糸114がアンカ130を修正された形状に保持するように、その長さに固定されることができる。例えば、デバイス100は、縫合糸114の尾部114bにわたって遠位に前進され、それによって、尾部114bのより遠位の部分を合体させるように構成される、伸長シャフト(図示せず)を含むことができる。伸長シャフトの一実施例は、本明細書に開示される仕上げデバイスである。他のデバイスも、可能性として考えられる。伸長シャフトは、伸長シャフトの遠位端部分が、尾部が縫合糸114のループ状部分に分岐する場所に位置付けられるまで、前進されることができる。デバイス100はさらに、例えば、
図11Cにおける係止要素125によって示されるように、縫合糸114の長さを効果的に結着、固結、または別様に固定する、係止手段(伸長シャフトの中に組み込まれるか、または伸長シャフトと別個であるかのいずれかである)を含んでもよい。
図12を参照すると、いくつかの実施形態では、デバイス100は、ループ状部分114aの端部115a、115bにおいて、アンカ130内の開口部138に近接して送達される(例えば、伸長シャフトを介して)、係止要素127a、127b(図式的に示される)を含むことができる。係止要素127a、127bは、縫合糸114に固着され、アンカ130内の開口部138の断面寸法を上回る、断面寸法を有することができる。したがって、いったん定位置に来ると、係止要素127a、127bは、開口部138を通した縫合糸114の移動を防止する。いくつかの実施形態では、係止要素は、アーム102、アンカアセンブリ122、アンカ130、および/または縫合糸114の中に組み込まれ、治療部位に前進されるツールによって、係止位置に操作されることができる。いずれの場合も、縫合糸114は、次いで、伸長シャフト(または本明細書に開示される仕上げデバイスのうちの1つ等の別のツール)を用いて切断され、残りの縫合糸114を治療部位から除去してもよい。
I. 付加的実施形態
【0078】
図14は、本技術の治療デバイス100と併用するための結合器106の上面図である。結合器106は、
図5Aおよび5Bに関して説明される結合器106と実質的に同じであることができるが、結合器106は、その円周方向縁の中に切断される、陥凹を含まない。
【0079】
図15は、本技術の治療デバイス100と併用するための結合器106の上面図である。結合器106は、
図14に関して説明される結合器106と実質的に同じであることができるが、結合器106は、第1の開口部116内にアーム係合要素を含まない。
【0080】
図16は、本技術の治療デバイス100と併用するための結合器106の上面図である。結合器106は、
図15の結合器106に類似することができるが、結合器106は、カットアウト1500を有し、それを通して2つまたはそれを上回るアーム102が、延在するように構成される。同様に、
図17に示される、結合器106は、それを通して2つまたはそれを上回るアーム102を受容するように構成される、開口部1600を有する。
図16および17に示される、結合器は、アーム(すなわち、カットアウト1500または開口部1600を通して延在する、アーム)のうちの少なくともいくつかに係合せずに、結合器106の移動を可能にするため、有益であり得る。いくつかの実施形態では、アームのうちの1つまたはそれを上回るものは、アームの移動が結合器106の移動から結合解除されるように、任意の結合器係合要素を含まない。
【0081】
図18は、本技術の治療デバイスと併用するための結合器406の上面図である。結合器106と同様に、結合器406は、それを通して延在する、複数の開口部を有する、ディスクを備えることができる。複数の開口部は、1つまたはそれを上回る第1の開口部416と、1つまたはそれを上回る第2の開口部418とを含むことができる。第1の開口部416はそれぞれ、それを通してアーム102のうちの1つを受容するように構成されることができる。第2の開口部418は、結合器406を本システムの近位部分に結合するために、伸長構造の端部を受容するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、結合器406は、付加的開口部を含むことができる。
図5Aおよび5Bに示される結合器106と対照的に、結合器406の第2の開口部418は、ディスクの片側に位置付けられ、第1の開口部416は、ディスクの第2の側に配置される。そのような実施形態では、アーム102のうちの1つまたはそれを上回るものは、結合器106におけるオフセット位置付けを補償するために、より長くあり、および/またはより大きい曲率を有することができる。加えて、または代替として、第1の開口部416は、D形状に配列され、それによって、アーム102を類似形状に配向し、僧帽弁輪の天然輪郭を模倣することができる。いくつかの実施形態では、第1の開口部416は、他の形状に配列される、または他の構成を有することができる。第2の開口部418は、結合器の面積に沿って、任意の場所に位置付けられることができる。例えば、第2の開口部418は、第1の開口部416からオフセットされることができる(
図18に示されるように)、または第1の開口部416間に位置付けられてもよい(例えば、
図5Aおよび19に示されるように)。いずれの場合も、第2の開口部は、撮像要素(本明細書に説明されるように)、縫合糸、縫合糸を係止および/または切断するためのツール、および/または別の構成要素を受容するように定寸されてもよい。
【0082】
図19は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、例示的結合器506を示す。結合器506は、本明細書に開示されるデバイスのいずれかと併用されることができる。
図19に示されるように、いくつかの実施形態では、結合器506は、結合器506のまわりでD形状に配列される、複数の第1の開口部516と、第1の開口部516間にあって、それによって囲繞される、第2の開口部518とを含む。これら結合器および本明細書に開示される実施形態のいずれかの結合器では、結合器506は、非円形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、結合器506は、
図20に示されるように、D形状を有することができる。これらおよび他の実施形態では、結合器の形状は、正方形、長方形、楕円形、長円形、三角形、多角形等であることができ、および/または湾曲および/または線形縁を有することができる。
図20によって描写される実施形態では、D形状の結合器506は、D形状と、D形状に配列される、第1の開口部とを有する。いくつかの実施形態では、D形状の結合器506または本明細書に説明される任意の形状の結合器は、円形、長方形、楕円形、長円形、三角形、多角形等の他の配列における開口部を有する。
【0083】
図21は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、例示的結合器506を示す。結合器506は、本明細書に開示されるデバイスのいずれかと併用されることができる。
図21に示されるように、いくつかの実施形態では、結合器506は、結合器506のまわりでD形状に配列される、複数の第1の開口部516と、第1の開口部516間にあって、それによって囲繞される、第2の開口部518とを含む。
【0084】
図22に示されるように、いくつかの実施形態では、デバイス600は、送達シース603内に並置して配列されるように構成される、第1および第2の結合器606a、606bを含むことができる。第1の結合器および第2の結合器606a、606bは、それぞれ、それを通してアーム102を受容するように構成される、1つまたはそれを上回る第1の開口部616を含むことができる。送達シースの管腔内の残りの空間617は、それを通した縫合糸、伸長構造、撮像要素、および/または他の構成要素を受容するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の結合器606a、606bの一方または両方は、1つまたはそれを上回る第2の開口部を有する。第1および第2の結合器606a、606bは、同一数の開口部または異なる数の開口部および/または同一または異なる形状を有することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の結合器は、他の配列を有することができる。
【0085】
図23A-23Cは、その中でデバイスが、送達シース703内で共線形に配列される、第1および第2の結合器706a、706bを備える、構成を描写する。
図23Aでは、送達シース703の側壁の一部は、第1および第2の結合器を示すように除去されている。
図23Bは、第1の結合器706aの上面図であって、
図23Cは、第2の結合器706bの上面図である。第1および第2の結合器706a、706bは、
図23A-23Cに図式的に示されるように、1つまたはそれを上回る第1の開口部と、1つまたはそれを上回る第2の開口部とを有することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、結合器の機能は、2つの別個の構成要素に分裂されてもよい。
図24Aは、例えば、位置付け結合器805と、係止結合器807とを有する、デバイスの一部を示し、その両方とも、送達シース803の管腔内に配置される。
図24Aでは、送達シース803の側壁の一部は、結合器を示すために除去されている。
図24Bは、位置付け結合器805の上面図であって、
図24Cは、係止結合器807の上面図である。
図24A-24Cをともに参照すると、位置付け結合器805は、複数の開口部(それを通してアームを受容するように構成される第1の開口部816および1つまたはそれを上回る第2の開口部818等)を有し、アームおよび/または伸長部材を所望の配列において離間して保持するように構成されることができる。係止結合器807は、送達シースの内面805に固定されることができ、軸方向に回転または移動され、アームに沿って、係止要素に係合することができる。例えば、係止結合器807は、アーム上の1つまたはそれを上回る溝112と整合し、アームを定位置に係止するように移動されることができる。いくつかの実施形態では、切り欠きの代わりに、アームは、ねじ山を有することができ、係止結合器807は、次いで、ナットおよびボルト配列のように機能するであろう、すなわち、係止結合器は、アームに対して回転され(またはその逆)、係止結合器807をアームに対して遠位に移動させ、それによって、アームをともに引動させることができる。
【0087】
図25Aおよび25Bは、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、遠位アセンブリ2503を示す。遠位アセンブリ2503は、概して、
図2Aおよび2Bの遠位アセンブリ103に類似することができる。例えば、遠位アセンブリ103は、結合器係合要素112を有する、アーム102と、結合器106と、伸長部材110と、伸長構造105と、バンド108と、縫合糸114とを含む。アーム102は、アーム102内に形成される切り欠きがアーム102の管腔を暴露するように中空管を備えることができる。
【0088】
各アーム102の遠位端部分102bは、アンカ200に取外可能に結合されることができる。いくつかの実施形態では、アンカ200はそれぞれ、治療の完了に応じて、アーム102が、アンカ200および縫合糸114のみが弁輪に埋め込まれたまま、患者から除去され得るように(デバイス100の残りとともに)、アーム102の対応するものに取外可能に結合されてもよい。例えば、アンカ200は、機械的または電気的に、アーム102の遠位部分102bから取外可能であることができる。いくつかの実施形態では、ハンドルは、オペレータによってトリガされると、アンカ200のうちの1つ、いくつか、または全てを対応するアーム102から解放させる、アクチュエータを含む。例えば、解放機構の作動は、アーム102の遠位部分102bにおける結合要素をアンカ200の結合部分202における結合要素から係脱させることができる。いくつかの実施形態では、アーム102の遠位部分は、スロット107を有し、アンカ200の近位部分は、そのスロット内に乗設される、突出部203を有する。アンカを解放するために、対応するアーム102は、アンカ200上の突出部203がアーム102上のスロットの退出経路と整合された状態になるように、アンカに対して回転されることができる(またはその逆)。アーム102を旋回させ(時計回りまたは反時計回り)、アンカ200を解放すると、オペレータは、アンカ200が組織の中にさらに押動され、および/またはアンカのより多くの表面積が組織に接触するように、アーム102を組織に向かって遠位に押勢することができる。したがって、アーム102が、続いて、回転されると、組織は、アーム102を伴うアンカの回転に抵抗し、および/またはそれを防止する。より簡単に述べると、本デバイスは、押動および回転運動(時計回りまたは反時計回り)が、アンカ200のうちの1つ、いくつか、または全てをアーム102から係止解除するように構成され得る。これらおよび他の実施形態では、アーム102およびアンカ200は、アンカ200がアーム102の遠位端の中にスナップ嵌合するように、スナップ嵌合アセンブリを介して結合されてもよい。係脱するために、別の構成要素が、アームにわたって摺動し、アンカ200上のタブを管の中に戻るように押動させ、解放することに役立つことができる。加えて、または代替として、本デバイスは、1つまたはそれを上回る縫合糸またはワイヤを備え、アンカを対応するアームに保持してもよい。縫合糸またはワイヤが、ハンドルから外に引動されると、アンカ200も同様に、取り外される。
【0089】
アンカ200はそれぞれ、対応するアーム102に取外可能に結合するための結合部分202と、結合部分202から遠位に延在する、中間部分204と、中間部分204から離れるように側方に延在する、組織係合部分206とを有することができる(部分202、204、および206は、他の構成要素の視認の容易性のために、
図25Aおよび25Bのそれぞれにおいて、アンカ200のうちの1つ上にのみ標識される)。アンカ200のうちの1つの組織係合部分206の拡大図は、
図25Cに示される。組織係合部分206は、具体的場所において、非外傷的または外傷的に、弁輪組織に係合し、アンカ200を組織に固着させるように構成されることができる。例えば、組織係合部分206は、1つまたはそれを上回るフック、尖叉、返し、または他の固定構成要素を備えることができる。いくつかの実施形態では、組織係合部分206は、中間部分204から離れるように側方に延在する、第1の領域208と、第1の領域208から離れるように側方に延在する、第2の領域210とを含む。中間領域204の縦軸L3は、第1の領域208の縦軸L1に対して90度の角度で位置付けられることができる(
図25Cに示されるように)、または縦軸L3は、第1の領域208の縦軸L1に対して非90度の角度で位置付けられることができる。中間領域204と第2の領域208との間の角度は、所望の組織係合性質に基づいて、調節されることができる。例えば、中間領域204と第2の領域208との間の角度が、90度に近いほど、アンカを組織から除去することがより困難になるであろう。第2の領域210の縦軸L2は、第1の領域208の縦軸L1に対して非90度の角度で位置付けられることができる。第1の領域208と第2の領域210との間の角度は、所望の組織係合性質に基づいて、調節されることができる。いくつかの実施形態では、アンカ200のうちの1つ、いくつか、または全ては、対応するアーム102を前進および/または回転させることによって、後退可能であることができる。
【0090】
使用時、デバイス100は、心臓弁輪等の天然弁輪において、またはそれに近接して、血管内で位置付けられることができ、アーム102は、薄型送達構成において、送達シース内に含有される。いくつかの実施形態では、アーム102は、伸長シャフト120の遠位端における開口部を通してアーム102を押動させることによって、送達シースの拘束から解放されることができる。例えば、上記に記載されるように、結合器106は、アーム102の近位部分に係合し、その時点で、結合器106の継続された軸方向前進がまた、アーム102を前進させる(アームが、上記に議論されるように、1つまたはそれを上回るアクチュエータによって軸方向に固定されない限り)まで、遠位に前進されることができる。いくつかの実施形態では、伸長シャフト120は、近位に引動され、アーム102を暴露し、それによって、アーム102が、デバイス100の縦軸Lから離れるように展開構成に半径方向に延在することを可能にすることができる。いずれの場合も、デバイス100は、アンカアセンブリ122が弁オリフィスの平面の直上における弁輪組織に近接して位置付けられるように、弁輪に近接して、かつその上方に、展開されることができる。
【0091】
アーム102が、デバイス100の縦軸Lから離れるように延在するにつれて、アンカ200はまた、デバイス100の縦軸Lから離れるように、オリフィスの平面内またはその直上における弁輪組織に向かって、半径方向に移動する。アーム102の初期展開と関連付けられる、拡張力は、アンカ200を弁輪組織と接触させることができる。いくつかの実施形態では、デバイス100全体が、アンカ200の組織係合部分206が、弁輪組織に穿通する、またはさらに穿通するように、縦軸Lのまわりで回転されることができる。アーム102のそれぞれのものは、必要に応じて、独立して、回転および/または平行移動され、天然弁輪に沿って、各アンカ200を所望のアンカ点に位置付けることができる。アーム102の独立移動は、アンカ200の独立移動を可能にし、それによって、デバイス100が、多種多様な弁輪形状およびサイズを治療することを可能にする。いったんアンカ200が、弁輪組織に対して所望の位置に来ると、デバイス100の1つまたはそれを上回る構成要素は、作動され、アンカ200を弁輪組織と接触させるように移動されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、結合器106の軸方向移動および/または回転は、実質的に同時に、アンカ200を組織に係合させ、および/またはその中に埋設し、それによって、手技時間を節約するように、アーム102の全てを同時に回転させる。いくつかの実施形態では、アーム102のうちの1つまたはそれを上回るものは、平行移動および/または回転され、部分的または完全に、アンカ200を組織から除去する。
【0092】
オペレータは、次いで、取外機構をハンドルから作動させ、アンカ200を対応するアーム102から取り外し、それによって、アンカ102を弁輪に埋め込まれたまま残すことができる。アーム102、結合器106、伸長部材110、およびデバイス100の残りは、次いで、患者から抜去される。
【0093】
図26は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、天然心臓弁を治療するための遠位アセンブリ2603の遠位部分を示す。
図26の遠位アセンブリ2603は、
図25Aおよび25Bの遠位アセンブリ2503の構成要素に実質的に類似する、いくつかの構成要素を有することができる。しかしながら、遠位アセンブリ2503と対照的に、遠位アセンブリ2603は、アーム902から非取外可能である、アンカ904を含む。例えば、アンカ904は、アーム902と同一のモノリシック材料片の一部であることができる。
図26に示される、実施形態では、アーム902およびアンカ904は、単一金属管(例えば、ニチノール管または他の超弾性および/または弾力性材料)から切断される。いくつかの実施形態では、アンカ904およびアーム902は、別個に形成され、例えば、溶接等によって、恒久的にともに取り付けられてもよい。
【0094】
その中でアームおよびアンカが相互に恒久的に固定される、それらの実施形態では、アームは、伸長部材に取外可能に結合され、アンカとともに弁輪に埋め込まれたままであってもよい。例えば、アーム902の近位端部分902aはそれぞれ、結合部材909を介して、伸長部材(
図26には図示せず)の遠位端部分に解放可能に結合されることができる。いくつかの実施形態では、例えば、
図26に示されるように、アームの近位端は、同様にL形状である、別の構成要素の中に嵌合する、L形状の部片である。その構成要素は、編組ワイヤ上に圧着されることができ、したがって、1つの部片として作用する。デバイスは、2つのL形状の端部にわたって延び、2つの部片をともに保つ、別個の管を含むことができる。管が、後方に引動されると、2つのL形状の端部は、分離し、したがって、アームおよび結合器を患者内に残すことを可能にする。スナップ嵌合アセンブリ、係止配列、および他の構成および結合要素もまた、可能性として考えられる。例えば、構成要素は、糊着される、またはさらに、金属管の1つの部片から製造されることができる(管の後方端および前方端上でレーザ切断され、L形状接続を形成する)。これらおよび他の実施形態では、アーム902の近位端部分902aはそれぞれ、機械的または電気溶解取外手段を介して、伸長部材の遠位端部分に取外可能に結合されることができる。
【0095】
図27は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、天然心臓弁を治療するための遠位アセンブリ2703の遠位部分を示す。
図27の遠位アセンブリ2703は、
図25Aの遠位アセンブリ2503の構成要素に実質的に類似する、いくつかの構成要素を有することができる。しかしながら、遠位アセンブリ2503と対照的に、遠位アセンブリ2703は、アーム1002から非取外可能である、アンカ1004を含む。例えば、アンカ1004は、アーム1002と同一のモノリシック材料片の一部であることができる。
図27に示される、実施形態では、アーム1002およびアンカ1004は、平坦金属リボン(例えば、ニチノール管または他の超弾性および/または弾力性材料)から切断される。いくつかの実施形態では、アンカ1004およびアーム1002は、別個に形成され、例えば、溶接等によって、恒久的にともに取り付けられてもよい。アーム1002のそれぞれの近位端部分1002aは、結合器1009を介して、伸長部材1010の遠位端部分に解放可能に結合されることができる。例えば、結合器1009は、クリップであることができ、アーム1002のそれぞれの近位端部分1002aは、クリップの一部を受容するように構成される、開口部を含むことができる。本デバイスはさらに、クリップにわたって位置付けられるように構成され、クリップを係止位置(図示せず)に保持する、固着部材(管または他の構成要素等)を備えてもよい。いったん固着部材が、クリップから離れるように引動されると、クリップは、自由に開放し、対応するアームを解放する。これらおよび他の実施形態では、アーム1002の近位端部分1002aはそれぞれ、機械的または電気溶解取外手段を介して、伸長部材1010の遠位端部分に取外可能に結合されることができる。
【0096】
図28Aは、本技術のいくつかの実施形態による、第1の位置における、遠位アセンブリ2803を示す。
図28Bは、
図28Aに示される、本デバイスのアンカの拡大図である。
図28Aの遠位アセンブリ2803は、概して、
図25Aおよび25Bの遠位アセンブリ2503に類似することができるが、
図28Aおよび28Bに示されるアンカ1200は、下記に説明されるように、湾曲組織係合部分を備える。アンカ1200は、アームのための同一管から形成されることができる(例えば、レーザ穿設、CNC、EDM等を介して)、またはアームに取外可能に結合される、別個の構成要素であってもよい。
【0097】
アンカ1200は、近位部分1200aと、遠位部分1200bと、その間に延在する、縦軸Lとを有することができる。近位部分1200aは、対応するアーム102に取外可能に結合するための結合部分を含むことができ、アンカ1200はさらに、結合部分1200aと一致する、またはそこから遠位に延在する、中間部分1205を含むことができる。中間部分1205は、それを通して縫合糸を受容するように構成される、1つまたはそれを上回る開口部1205を含むことができる。
【0098】
アンカ1200はさらに、中間部分1205から離れるように延在する、組織係合部分1206を含むことができる。組織係合部分1206は、非外傷的または外傷的に、弁輪組織に係合し、具体的場所において、アンカ1200を組織に固着させるように構成されることができる。例えば、組織係合部分1206は、1つまたはそれを上回るフック、尖叉、返し、または他の固定構成要素を備えることができる。いくつかの実施形態では、組織係合部分1206は、ある角度で、中間部分1205から離れるように縦方向に延在する一方、同時に、アンカ1200の縦軸Lのまわりで湾曲する。組織係合部分1206は、例えば、アンカ1200の円周の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%を上回って、その周囲に湾曲することができる。組織係合部分1206は、中間部分1205の曲率半径を上回るまたはそれ未満である、曲率半径を有することができる。同様に、組織係合部分1206は、中間部分1205の半径方向最外部分を越えて、半径方向に延在することができる。組織係合部分1206は、湾曲した遠位に向いた側1208と、組織係合部分1206の残りから遠位に延在する、前縁1244(外傷性または非外傷性であり得る)と、近位に向いた側1242と、近位に延在する突出部1240とを含む。アンカを組織の中に係止するために、アームは、完全360度旋回未満で回転されることができる。例えば、アンカを組織の中に係止するために、アームは、270度未満、180度未満、135度未満、90度未満、45度未満、30度未満、20度未満、15度未満、10度未満、5度未満、10~90度、20~180度、45~180度等で回転されることができる。いくつかの実施形態では、アームは、完全旋回またはそれを上回って(1.25旋回、1.5旋回、1.75旋回、2旋回等)、回転されることができる。
【0099】
アンカ1200は、本明細書に開示される解放機構のいずれかを介して、対応するアームから取り外されることができる。
【0100】
図29および30は、アンカアセンブリ2922の斜視および断面図である。アンカアセンブリ2922は、所定の閾値を上回る軸方向力に応答して、対応するアンカ130を組織の中に展開し、それによって、送達システムからのアンカの偶発的展開を防止するように構成されることができる。
図18の拡大図に示されるように、アンカアセンブリ122は、筐体1802と、筐体1802によって搬送される、ばね荷重されたプッシャ1804とを備えることができる。筐体1802は、展開が所望されるまで、アンカを含有するように構成されることができる。使用時、医師は、対応するアーム102を遠位に押動させ、所望の固定部位において、筐体1802の遠位端表面1806を組織と接触して設置させる。医師は、筐体1802の遠位端を組織に対して押圧し続けることができ、これは、最終的に、アンカを筐体1802から組織の中に強制的に駆出する、ばね荷重されたプッシャをトリガする。
【0101】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、アンカに結合される、遠位端と、ハンドルに結合される、近位端とを有する、1つまたはそれを上回る伸長部材(ワイヤ、管等)を含む。医師が、展開に満足しない場合、医師は、ワイヤを後方に引動し、アンカを組織から外に筐体1802の中に戻るように近位に引動させることができる。
図9および31A-35を参照して本明細書で議論される、アンカのいずれかに関して、筐体1802の中へのアンカの抜去は、アンカの屈曲を直線化し、アンカを、筐体1802の管腔内に嵌合する、半径方向に圧潰された外形に押進させる。
【0102】
図31A-35は、複数の挿入アームを備える、本技術の種々のアンカを図示する。複数の挿入アームの使用は、単一挿入アームに対して、弁輪組織の改良された穿通および把持を提供し得る。
【0103】
図31A-31Gは、様々なアンカ設計1300、1310、1320、1330、1350、1360、1370(集合的に、「アンカ1340」と称される)を示し、それぞれ、送達システムの構成要素に取外可能に結合されるように構成される、近位端部分1300aと、弁輪組織に穿通し、その中に埋設されるように構成される、遠位端部分1300bとを備える。アンカ1340は、それ自体の上に戻るように屈曲され、2つのアーム1302を形成する、ワイヤ等の伸長部材から形成されることができる。アーム1302の近位端は、したがって、屈曲において継合され、遠位端は、アンカ1300の遠位端部分1300bに対応する。いくつかの実施形態では、遠位端は、勾配が付けられ、弁輪組織に穿通するための鋭的表面を提供する。他の実施形態では、遠位端は、鈍的である。縫合糸は、個別のアンカの近位端部分1300aにおける伸長部材内の屈曲によって形成される、開口部を通して螺入されることができる。
【0104】
図31A-31Gに示される、アンカ1340の伸長部材は、丸みを帯びた断面形状を有する、ワイヤを備える。他の実施形態では、アンカ1340を形成する、伸長部材および/またはワイヤは、任意の好適な断面形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、伸長部材は、長方形断面形状を有する、ワイヤを備える。伸長部材は、ニチノール、コバルトクロム、および/またはそれらの合金等の超弾性および/または弾力性材料から形成されることができる。そのような実施形態では、伸長部材は、所望の形状において、そのように形状設定されることができる(例えば、熱処理を介して)。
【0105】
いくつかの実施形態では、アーム1302は、例えば、アンカ1300および1320によって描写されるように、アンカの近位部分1300aと遠位端部分1300bとの間で交差しない。他の実施形態では、アーム1302は、例えば、アンカ1310および1330によって描写されるように、近位部分1300aと遠位端部分1300bとの間で相互にわたって交差する。アーム1302間の交点1304は、付加的構造支持をアンカの組織係合部分に提供し、それによって、組織との固定を改良することができる。
【0106】
図32Aおよび32Bは、本技術の実施形態による、アンカ1500の別の実施例の異なる図である。アンカ1500の特徴は、概して、
図31A-31Gのアンカ1340の対応する特徴に類似することができる。故に、同様の番号が、
図32Aおよび32Bにおける類似または同じ構成要素を識別するために使用される。本明細書のアンカ実施形態のいずれかでは、アームの交点の場所は、アンカの把持強度に影響を及ぼし得る。
【0107】
図33、34、および35は、本技術の実施形態による、アンカ1600、1600’、および1600’’の付加的実施例を図示する。アンカ1600、1600’、および1600’’の特徴は、概して、
図31A-31Gのアンカの対応する特徴に類似することができる。故に、同様の番号が、
図33-35における類似または同じ構成要素を識別するために使用され、
図33-35のアンカ1600、1600’、および1600’’の議論は、
図31A-31Gのアンカと異なる、それらの特徴に限定されるであろう。
【0108】
図9および31A-32Bの屈曲される伸長部材と対照的に、
図33-35に示される、アンカ1600、1600’、および1600’’は、レーザ切断された材料のシートから形成され、続いて、所望の形状に屈曲される(形状設定、冷間加工、または他の好適な方法を介して)。アンカ1600、1600’、および1600’’はさらに、材料の厚さを通して延在する、開口部1608を備え、それを通して縫合糸が、螺入されてもよい。アーム1602の外面の全部または一部は、平坦であることができ、これは、組織との改良された係合を提供し得る(丸みを帯びた表面に対して)。
【0109】
アンカ1600、1600’、および1600’’のいずれかは、アンカアセンブリ122および2922および遠位アセンブリ103を含む本明細書に開示される遠位アセンブリのいずれかと併用されることができる。
【0110】
図31A-35に示されるものを含む、本明細書に説明されるアンカ実施形態のいずれかに関して、アンカは、単一アームまたは2つを上回るアーム(例えば、3つのアーム、4つのアーム、5つのアーム等)を有することができる。その中でアンカが単一アームを備える、それらの実施形態では、アームは、2つのアーム実施形態の個々のアームより厚くてもよい。例えば、
図31A-35に示されるアンカに関して、伸長部材は、より大きい断面寸法を有することができる。
図33-35によって例示される、実施形態では、単一アームのアンカは、アーム1602のいずれかの厚さを上回る厚さを伴う、アームを有することができる。
【0111】
図36は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される、仕上げデバイス3600を図示する。仕上げデバイス3600は、いったん弁輪が所望の幾何学形状に再成形されると、縫合糸114を切断および/または係止するために、本技術の治療デバイス100と併用するために構成される。仕上げデバイス3600は、近位部分3600aと、遠位部分3600bとを備えることができる。仕上げデバイス3600は、近位部分3600aにおけるハンドル3602と、遠位部分3600bにおける仕上げ要素2021と、その間に延在する、伸長シャフト2022とを備えることができる。伸長シャフト2022は、縫合糸114の近位尾部にわたって、治療デバイス100のハンドル101上の結合器129(
図1)を通して、および伸長シャフト120を通して、遠位アセンブリ103まで摺動可能に位置付けられるように構成されることができる。いくつかの実施形態では、伸長シャフト2022は、伸長構造105の管腔を通して延在するように構成される。ある実施形態では、伸長シャフト202は、伸長シャフト120内の別個の管腔を通して延在する。
【0112】
仕上げ要素2021は、所望の長さの縫合糸114を弁輪に係止するように構成されることができ、および/または、縫合糸114を切断するように構成されることができる。
図37Aおよび37Bは、それぞれ、仕上げデバイス3600の仕上げ要素2021の拡大斜視および断面図である。仕上げ要素2021は、アンカ(本技術のアンカのいずれか等)の近位部分に結合されるように構成され、かつ縫合糸114を対応するアンカに対して定位置に固定するように構成される、係止アセンブリ2001を備えることができる。係止アセンブリ2001は、係止解除構成(
図37Aおよび37B)と係止構成(
図37Cに示される)との間で移動可能である。いくつかの実施形態では、係止アセンブリ2001は、例えば、別個の構成要素を介して、アンカに間接的に結合される。
【0113】
係止アセンブリ2001は、基部2002と、基部2002の管腔を通して延在する、プラグ2004とを備えることができる。基部2002は、管状本体部分2002bと、本体部分2002bから遠位に延在する、係止部分2002aとを備えることができる。係止部分2002aは、遠位方向に(本体部分2002bから離れるように)高さが増加する、斜面を備えることができる。本体部分2002bは、その側壁内に、それを通して縫合糸114を受容するように構成される、開口部2008を有することができる。本体部分2002bはまた、その外面の全部または一部に沿って螺入されることができる。
【0114】
プラグ2004は、基部2002の係止部分2002aに係合するように構成される、遠位部分2010と、ハンドル3602の近位に延在する、伸長部材2020に結合されるように構成される、近位部分(標識せず)とを有する、伸長部材を備えることができる。遠位部分2010は、近位に向いた辺縁2006を有することができる。オペレータが、プラグ2004を遠位に押動させるにつれて(伸長部材2020を介して)、遠位部分2010は、基部2002の係止部分2002aの斜面を上方に遠位に摺動する。辺縁2006が、斜面の遠位縁を越えて遠位に移動すると、辺縁2006は、斜面の遠位に向いた端部表面に当接し、それによって、
図37Cに示されるように、基部2002に対するプラグ2004の近位移動を防止する。プラグ2004が本前方位置にあると、縫合糸(図示せず)は、プラグ2004の中間部分2004bと本体部分2002bの内面との間に狭入される。プラグ2004の中間部分は、丸みを帯び(または他の断面形状であって)、中間部分が、基部2002の係止部分2002aの斜面を上方に前進することができず、したがって、また、プラグ2004が遠位に移動し続けることを防止するように定寸される、断面寸法を有することができる。
【0115】
依然として、
図37Cを参照すると、縫合糸114(図示せず)を切断するために、鋭的遠位縁2102を伴う、カッタ2100が、基部2002にわたって前進され、基部2002とカッタ2100の遠位縁2102との間の基部2002内の開口部2008を通して延在する、縫合糸の一部に楔着することができる。いくつかの実施形態では、カッタ2100は、カッタ2100を基部200にわたって回転させることによって、遠位に前進され、これは、剪断力を介して、縫合糸を切断することができる。そのような実施形態では、係止部材2000の基部2002の少なくとも近位部分の外面は、ねじ山付き(ねじ山2024等)であることができ、カッタ2100の内面は、相補的ねじ山を有することができる。いくつかの実施形態では、カッタ2100は、カッタ2100の回転を伴わずに、遠位に前進されることができる。例えば、カッタ2100は、前進され、開口部2008から外に延在する部分において、縫合糸を切断することができる。いずれの場合も、カッタ2100の近位端は、カッタ2100の回転および/または軸方向制御のために、ハンドル3602に戻るように延在する、伸長シャフト2022に結合されることができる。ハンドル3602におけるアクチュエータ2032(例えば、ノブ、スライダ等)の移動は、伸長シャフト2022を平行移動および回転させ、それによって、カッタ2100を回転および前進させることができる。伸長シャフト2022は、ポリマー管、金属管(例えば、ニチノール、ステンレス鋼等)であることができ、レーザ切断される場合とそうではない場合がある。縫合糸が、切断された後、カッタ2100は、近位に引動され、伸長部材2020とプラグ2004/係止要素2001との間の接続を暴露することができる。これは、伸長部材2020およびプラグ2004が、結合解除することを可能にし、それによって、デバイス3600が、抜去され、係止要素2001を治療部位に残すことを可能にする。
【0116】
図38は、本技術の治療システムと併用するための係止部材2000を描写する。係止部材2000は、アンカ(本技術のアンカのいずれか等)の近位部分に結合され、縫合糸を対応するアンカに対して定位置に固定するように構成されることができる。係止部材2000は、係止解除構成(図示せず)と係止構成(
図38に示される)との間で移動可能である。いくつかの実施形態では、係止部材2000は、例えば、別個の構成要素を介して、アンカに間接的に結合される。
【0117】
係止部材2000は、管状基部2002と、基部2002の管腔を通して延在する、プラグ2004とを備えることができる。基部2002は、本体部分2002bと、本体部分2002bから遠位に延在する、係止部分2002aとを備えることができる。係止部分2002aは、遠位方向に(本体部分2002bから離れるように)高さが増加する、斜面を備えることができる。本体部分2002bは、その側壁内に、開口部2008を有することができる。縫合糸は、遠位に開口部2008を通して、本体部分の管腔の中に、次いで、本体部分2002bの遠位開口部を通して外に延在することができる。
【0118】
プラグ2004は、遠位部分2004aと、中間部分2004bと、近位部分2004cとを有する、伸長部材を備えることができる。遠位部分2004aは、その遠位端に、近位に面した辺縁2006を有する、係合部分2010を備える。医師が、プラグ2004を遠位に押動させるにつれて、係合部分2010は、基部2002の係止部分2002aの斜面を上方に遠位に摺動する。辺縁2006が、斜面の遠位縁を越えて遠位に移動すると、辺縁2006は、斜面の遠位に面した端部表面に当接し、それによって、基部2002に対するプラグ2004の近位移動を防止する。プラグ2004が本前方位置にあると、縫合糸は、プラグ2004の中間部分2004bと基部2002の内面との間に狭入される。プラグ2004の中間部分2004bは、丸みを帯び(または他の断面形状であって)、中間部分2004が、基部2002の係止部分2002aの斜面を上方に前進することができず、したがって、また、プラグ2004が遠位に移動し続けることを防止するように定寸される、断面寸法を有することができる。プラグ2004の近位部分2004cは、送達システムの一部(アームの遠位部分等)に取外可能に結合されるように構成される。
【0119】
図39に示されるように、縫合糸を切断するために、鋭的遠位縁2102を伴う、カッタ2100が、基部2002にわたって前進され、基部2002とカッタ2100の遠位縁2102との間の基部2002内の開口部2008を通して延在する、縫合糸の一部に楔着することができる。いくつかの実施形態では、カッタ2100は、カッタ2100を回転させることによって、遠位に前進され(
図39に示されるように)、これは、剪断力を介して、縫合糸を切断することができる。そのような実施形態では、係止部材2000の基部2002の少なくとも近位部分の外面は、ねじ山付きであることができ、カッタ2100の内面は、相補的ねじ山を有することができる。いくつかの実施形態では、カッタ2100は、カッタ2100の回転を伴わずに、遠位に前進されることができる。例えば、カッタ2100は、前進され、開口部2008から外に延在する部分において、縫合糸を切断することができる。いずれの場合も、カッタの近位端は、カッタ2100の回転および/または軸方向制御のために、ハンドルの中およびノブの中に延びる、管に取り付けられるであろう、ハンドルに戻るように延在する、伸長管に結合されることができる。伸長管は、ポリマー管、金属管(例えば、ニチノール、ステンレス鋼等)であることができ、レーザ切断される場合とそうではない場合がある。
【0120】
本明細書に開示される実施形態のいずれかでは、カッタは、係止カテーテルにわたって、切断するための縫合糸に沿った場所まで追跡されるように構成される、別個のカテーテルであることができる。
【0121】
多くのペースメーカーリードは、典型的には、三尖弁輪の周囲に着座する。既存の弁輪修復デバイスは、多くの場合、リングを弁の弁輪の周囲に設置することを試みるとき、ペースメーカーリードを妨害する。本技術の設計は、有利なこととして、縫合糸ループ内に分断を含み、2つの縫合糸部分114bが、伸長シャフト120の中心を通して近位に延在する。これらの部分は、任意の擾乱をリードに引き起こすことなく、ペースメーカーリード間に設置されることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、伸長シャフト120の遠位端部分、各アンカアセンブリの端部、および/またはアームに配置される、1つまたはそれを上回る放射線不透過性マーカを備え、したがって、オペレータは、患者の中で追跡されるにつれた伸長シャフト120の場所と、組織の中へのアンカの埋込に先立った各アームの場所とを確認することができる。さらに、アンカアセンブリの端部上の放射線不透過性マーカを用いて、医師は、心臓壁に対する各アームの場所を確認することができる。縫合糸がシャフトの中心まで戻る、端部上の2つのアームは、異なるマーカ(例えば、2つのマーカバンド、より厚いバンド等)を有することができ、したがって、医師は、これらの2つの端部が既存のペースメーカーリードの周囲に設置され得るように、ハンドル101を回転させることによって、伸長シャフト120を慎重に回転させることができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、医師は、患者の弁直径を事前に測定することができる(通常の撮像技法を使用して)。アーム上の結合器係合要素の間隔は、既知であるため、ハンドル101は、結合器106が結合器係合要素の所与のレベルにあるときの、アーム102によって包囲される面積の直径に対応する、マーキングを有することができる。医師は、次いで、ハンドル101上のスライダを、事前にマークされる、ハンドル101のある点まで前進させることができる。ハンドル101上の各事前にマークされたスポットは、アーム内の次の結合器係合要素まで延びる、結合器106と相関するであろう。いったんアームが、好適なサイズまでそれを辿ってともに引動されると、手技は、継続し、医師は、各アームを制御し、対応するアンカを組織の中に展開することが可能となることができる。アンカの全てが、展開されると、医師は、次いで、結合器106をさらに前進させ、アームを最終直径および/または面積にもたらすことができる。
【0124】
複数のアームを有することの別の利点は、弁が傾斜付きであって(すなわち、本デバイスの進入路に対して角度付けられた平面にあって)、伸長シャフト120が弁に向かってそれを辿って直線に進む状況では、医師が、1つまたはそれを上回るアームをより短くし(アーム上の結合器係合要素が、結合器内のアーム係合要素と整合されず、後方に引動されるように、アームを回転させることによって)、他のアームを延在させ(アームを前方に押動させ)、傾斜付きインプラントを作成し、その傾斜付き弁を治療し得ることである。
【0125】
いくつかのデバイスは、使用されるべき弁と垂直である必要がある。本技術の遠位アセンブリは、弁の平面と垂直に弁に接近するが、依然として、傾斜付き弁を治療することができる。シャフトの遠位端を偏向または操向させるための付加的能力を用いることで、本技術のデバイスは、市販および開発中のものの両方の任意の他のデバイスより多くの弁(サイズ、位置、および形状)を治療することができる。
【0126】
本明細書に開示される実施形態のいずれかはさらに、撮像要素を含んでもよい。撮像要素は、心臓弁輪に近接して延在するように構成される、遠位部分を有する、伸長部材を備えてもよい。遠位部分は、本デバイスの送達および埋込の間、視覚的補助を医師に提供するように操作され得る、1つまたはそれを上回るセンサ(1つまたはそれを上回る超音波トランスデューサ、光学要素等)を有し、治療部位におけるデータを取得してもよい。例えば、センサは、心臓弁輪に対する本デバイスの位置の1つまたはそれを上回る画像を捕捉してもよい。本技術のデバイスおよびシステムはさらに、撮像カテーテルをインプラントに対して芯合させるように構成されてもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、撮像要素は、1つまたはそれを上回る超音波トランスデューサを備える。例えば、撮像要素の遠位部分は、縦方向に配置される、超音波トランスデューサと、円周方向に配置される、超音波トランスデューサとを備えてもよい。撮像要素は、血管内超音波法カテーテル(IVUS)または血管内心エコー検査(ICE)カテーテルであってもよい。いずれの場合も、撮像要素は、送達カテーテルの中心管腔内に含有され、それを辿って前進されてもよい。いくつかの実施形態では、撮像要素を弁輪の内側の周囲で回転させることによって、本デバイスおよび任意の弁尖の相対的位置は、弁輪の周囲およびその上方におけるアンカの正確な位置付けのために確認されるであろう。
【0128】
いくつかの実施形態では、撮像要素は、伸長シャフト120のオフセットされた非中心管腔内に含有され、それを辿って前進される。このように、撮像要素は、本デバイス、その取付または他の特徴、および駆動部構成要素に干渉しないであろう。いくつかの実施形態では、撮像要素は、弁輪の側面に位置し、それを撮像するように操向され、殆ど回転せず、本デバイスのアンカ点をより迅速に視認することを可能にしてもよい。オフセット管腔は、伸長シャフト120の遠位端に対してより近位から退出し得る。本より近位からの退出は、送達カテーテルの遠位端の全体的外形または直径を低減させるであろう。加えて、本より近位からの退出ポートは、弁輪の上方からの視認を可能にするであろう。オフセット管腔はまた、圧縮性であって、撮像要素が、オフセット管腔を通して前進されるまで、さらにより小さい外形を可能にし得る。
【0129】
撮像要素は、本デバイスと同一送達システムの中に統合されてもよい、または別様に、大動脈弁を通して等、別の進入部位を通して二次的に導入され、撮像およびアンカの設置のために、インプラントの近傍またはその内側に設置されてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、ソフトウェアまたは電子制御は、弁輪外周の周囲の半径方向断面画像を通して巡回し、回転、平行移動、または偏向を介して、撮像要素を物理的に移動させる必要性を軽減するために効果であり得る。より大きい円周方向トランスデューサアレイもまた、弁輪の遠位に設置され、送達カテーテルの空間限界に干渉せず、送達カテーテルの外形をさらに減少させ得る。いくつかの実施形態では、撮像要素のトランスデューサは、弁輪の3次元画像を発生させ得る。オペレータは、次いで、弁輪、弁尖、およびインプラントの相対的整合をより容易に確認し得る。
【0131】
いくつかの使用実施例では、デバイス100は、心臓の上室を分離する、中隔を横断して前進されることができる。撮像要素は、心臓の弁輪の上方の位置、例えば、僧帽弁輪、三尖弁輪、大動脈弁輪等に前進される。本デバイスは、弁輪の上方およびそれに近接する、伸長シャフトの遠位端から排出されることができる。一連の半径方向画像が、弁輪組織の中への挿入のために、アンカを適切に位置付けるために撮影されることができる。例えば、ICEカテーテルが、伸長シャフト120および/または伸長構造105の管腔を通して前進され、円周方向画像を捕捉するように位置付けられ、全てのアンカが、弁尖の上方において弁輪組織内に適切に設置および係留されていることを確認することができる。1つまたはそれを上回るアンカが、適切に位置付けられていない、または係留されていない場合、それらは、アームおよび本デバイスの残りの除去に先立って、回転可能に後退され、再位置付けされ、再係留されることができる。また、三尖弁の治療は、頸静脈を通したアクセスのために、本デバイスの挿入を伴い、それによって、本デバイスは、次いで、上大静脈を辿って、三尖弁輪に近接し、かつその上方において、右心房の中に前進され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、デバイス100は、大腿動脈を通して、下大静脈へ、そして、右心房の中に前進され、三尖弁を治療することができる。
結論
【0132】
実施形態の多くは、僧帽弁輪を再成形するためのシステム、デバイス、および方法に関して上記に説明されるが、本技術は、大動脈弁輪、三尖弁輪の再成形、または心臓またはいずれかの場所またはその中に位置する、任意の弁の任意の修正等、他の用途および/または他のアプローチにも適用可能である。治療のための弁に応じて、本デバイスは、任意の数のアームを有することができる。例えば、僧帽弁を治療するためのデバイスは、6つのアームを利用し得る一方、より大きい三尖弁を治療するためのデバイスは、8つのアームを要求し得る。さらに、本明細書に説明されるものに加え、他の実施形態も、本技術の範囲内である。加えて、本技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書に説明されるものと異なる構成、構成要素、または手技を有することができる。当業者は、したがって、故に、本技術が、付加的要素を伴う、他の実施形態を有し得る、または本技術が、
図1-39を参照して上記に示され、説明される、特徴のうちのいくつかを伴わずに、他の実施形態を有し得ることを理解するであろう。
【0133】
本技術の実施形態の説明は、包括的であること、または本技術を上記に開示される精密な形態に限定することを意図するものではない。文脈が許可する場合、単数形または複数形用語はまた、それぞれ、複数形または単数形用語を含んでもよい。本技術の具体的実施形態およびそのための実施例が、例証目的のために、上記に説明されるが、種々の均等物修正も、関連技術における当業者が認識するであろうように、本技術の範囲内で可能性として考えられる。例えば、ステップは、所与の順序で提示されるが、代替実施形態は、異なる順序において、ステップを実施してもよい。本明細書に説明される種々の実施形態はまた、組み合わせられ、さらなる実施形態を提供してもよい。
【0134】
さらに、単語「or(または)」は、2つまたはそれを上回るアイテムのリストを参照して、他のアイテムから排他的に、単一アイテムのみを意味するように明示的に限定されない限り、そのようなリスト内の「または」の使用は、(a)リスト内の任意の単一アイテム、(b)リスト内のアイテムの全て、または(c)リスト内のアイテムの任意の組み合わせを含むように解釈されるべきである。加えて、用語「comprising(~を備える)」は、全体を通して、任意のより多数の同一特徴および/または付加的タイプの他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙される特徴を含むことを意味するために使用される。また、具体的実施形態が、例証目的のために、本明細書に説明されているが、種々の修正が、本技術から逸脱することなく行われてもよいことを理解されたい。さらに、本技術のある実施形態と関連付けられる、利点が、それらの実施形態の文脈において説明されているが、他の実施形態もまた、そのような利点を呈し得、全ての実施形態が、必ずしも、本技術の範囲内に該当するために、そのような利点を呈する必要はない。故に、本開示および関連付けられる技術は、本明細書に明示的に図示または説明されていない、他の実施形態も包含することができる。
【0135】
本明細書で使用されるように、用語「generally(概して)」、「substantially(実質的に)」、「about(約)」、および類似用語は、程度の用語としてではなく、近似の用語として使用され、当業者によって認識されるであろう、測定または計算される値における固有の変動を考慮するように意図される。
【国際調査報告】