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特表2024-506729車両のステアリング装置用の弁装置、ステアリング装置ならびに弁装置を制御する方法および制御装置
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  • 特表-車両のステアリング装置用の弁装置、ステアリング装置ならびに弁装置を制御する方法および制御装置 図1
  • 特表-車両のステアリング装置用の弁装置、ステアリング装置ならびに弁装置を制御する方法および制御装置 図2
  • 特表-車両のステアリング装置用の弁装置、ステアリング装置ならびに弁装置を制御する方法および制御装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】車両のステアリング装置用の弁装置、ステアリング装置ならびに弁装置を制御する方法および制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/065 20060101AFI20240206BHJP
   B62D 5/30 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B62D5/065 B
B62D5/30
B62D5/065 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549895
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2022051739
(87)【国際公開番号】W WO2022175037
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021103817.0
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート ミラー
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333EB01
3D333EB11
3D333ED01
3D333ED10
3D333MA00
(57)【要約】
車両(100)のステアリング装置(102)用の弁装置(103)は、ポンプ装置(104)であって、このポンプ装置(104)の第1の出力接続部(114)または第2の出力接続部(116)に作動媒体を圧送するポンプ(112)と、このポンプ(112)を駆動するモータ(118)とを備えるポンプ装置(104)を備える。さらに、弁装置(103)は、弁(105)および/または貯留容器(108)であって、ポンプ装置(104)の第1の出力接続部(114)とポンプ装置(104)の第2の出力接続部(116)との間に接続されている弁(105)および/または貯留容器(108)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)のステアリング装置(102)用の弁装置(103)であって、
ポンプ装置(104)であって、該ポンプ装置(104)の第1の出力接続部(114)または第2の出力接続部(116)に作動媒体を圧送するポンプ(112)と、該ポンプ(112)を駆動するモータ(118)とを備えるポンプ装置(104)と、
弁(105)および/または貯留容器(108)であって、前記ポンプ装置(104)の前記第1の出力接続部(114)と前記ポンプ装置(104)の前記第2の出力接続部(116)との間に接続されている弁(105)および/または貯留容器(108)と
という構成を有する、弁装置(103)。
【請求項2】
少なくとも1つの逆止弁(137)を備え、該逆止弁(137)は、前記ポンプ装置(104)の前記第1の出力接続部(114)と前記弁(105)および/または前記貯留容器(108)との間に接続されており、かつ/または前記逆止弁(137)および/または別の逆止弁(139)が、前記ポンプ装置(104)の前記第2の出力接続部(116)と前記弁(105)および/または前記貯留容器(108)との間に接続されている、請求項1記載の弁装置(103)。
【請求項3】
前記逆止弁(137)は、前記作動媒体を前記第1の出力接続部(114)の方向に通流させるように構成されており、かつ/または前記別の逆止弁(139)は、前記作動媒体を前記第2の出力接続部(116)の方向に通流させるように構成されている、請求項2記載の弁装置(103)。
【請求項4】
少なくとも1つの付加的な逆止弁(200)を備え、該付加的な逆止弁(200)は、前記第1の出力接続部(114)と前記弁(105)の第1の弁接続部(136)との間に配置されており、前記付加的な逆止弁(200)は、前記作動媒体を前記第1の弁接続部(136)の方向に通流させるように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁装置(103)。
【請求項5】
少なくとも1つの別の逆止弁(202)を備え、該別の逆止弁(202)は、前記第2の出力接続部(116)と前記第1の弁接続部(136)との間に配置されており、前記別の逆止弁(202)は、前記作動媒体を前記第1の弁接続部(136)の方向に通流させるように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁装置(103)。
【請求項6】
前記弁(105)は前記貯留容器(108)に直接接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁装置(103)。
【請求項7】
前記弁(105)は比例弁として形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の弁装置(103)。
【請求項8】
前記弁(105)は、障害および/または電源故障が前記車両(100)の少なくとも一部で認識された場合に完全に開放されるように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の弁装置(103)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の弁装置(103)を制御する方法(300)であって、つまり
前記弁装置(103)の少なくとも部分的な開放を示す弁開放信号(140)および/または前記弁装置(103)の少なくとも部分的な閉鎖を示す弁閉鎖信号(142)を出力するステップ(302)
を含む、方法(300)。
【請求項10】
制御装置(110)であって、ステアリング装置(102)の弁装置(103)を開放するための弁開放信号(140)を前記弁装置(103)に供給しかつ/または前記弁装置(103)を閉鎖するための弁閉鎖信号(142)を前記弁装置(103)に供給するように、かつ/または請求項9記載の方法の前記ステップ(302)を対応するユニットで実施しかつ/または制御するように構成されている制御装置(110)。
【請求項11】
請求項9記載の方法(300)を実施しかつ/または制御するように構成されたコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11記載のコンピュータプログラムが記憶されている機械可読の記憶媒体。
【請求項13】
車両(100)用のステアリング装置(102)であって、つまり
請求項1から8までのいずれか1項記載の弁装置(103)と、
伝動装置(106)であって、ステアリングホイールに連結可能な入力軸(120)と、ピットマンアーム(122)に連結可能な出力軸(124)と、前記入力軸(120)から前記出力軸(124)にトルクを伝達するために第1の方向(126)および第2の方向(128)に可動の伝動要素(130)と、第1の作動媒体接続部(132)と、第2の作動媒体接続部(134)とを備え、前記第1の作動媒体接続部(132)は、作動媒体を使用して前記第1の方向(126)に前記伝動要素(130)を運動させるために、ポンプ装置(104)の第1の出力接続部(114)に接続されていて、前記第2の作動媒体接続部(134)は、前記作動媒体を使用して前記第2の方向(128)に前記伝動要素(130)を運動させるために、前記ポンプ装置(104)の第2の出力接続部(116)に接続されている、伝動装置(106)と、
請求項10記載の制御装置(110)と
を有する、ステアリング装置(102)。
【請求項14】
モータ(118)が、前記弁装置(103)が開放されている場合に前記ピットマンアーム(122)を運動させないように構成されている、請求項13記載のステアリング装置(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本アプローチは、車両のステアリング装置用の弁装置、ステアリング装置ならびに弁装置を制御する方法および制御装置に関する。
【0002】
車両のステアリングシステム、特に中型および大型の商用車の、パワーステアリングとも呼ばれるフロントアクスルステアリングシステムでは、例えばボール循環式のステアリング伝動機構を外部の一方向の液圧式のポンプによって運転することができる。ポンプとステアリング伝動機構との間の接続は、例えば外部の配管によって行うことができる。したがって、このようなステアリングシステムの個々の構成要素を車両内に分配して配置することができる。
【0003】
この背景を前にして、本アプローチの課題は、車両のステアリング装置用の改善された弁装置、改善されたステアリング装置、弁装置を制御する改善された方法および改善された装置を提供することである。
【0004】
この課題は、装置請求項1の特徴を有する弁装置、請求項9記載の方法、請求項10記載の制御装置、請求項11記載のコンピュータプログラムおよび請求項13記載のステアリング装置によって解決される。
【0005】
提案されたアプローチにより得ることができる利点は、例えば迅速な圧力降下またはコイルへの均一な熱負荷が可能になる点にある。
【0006】
この背景を前にして、車両のステアリング装置用の弁装置であって、ポンプ装置と弁および/または貯留容器とを有する弁装置が提案される。ポンプ装置は、このポンプ装置の第1の出力接続部または第2の出力接続部に作動媒体を圧送するポンプと、このポンプを駆動するモータとを有している。弁および付加的または代替的に貯留容器は、ポンプ装置の第1の出力接続部とポンプ装置の第2の出力接続部との間に接続されている。
【0007】
ステアリング装置は、例えば、車両、例えば商用車に使用可能である。つまり、ステアリング装置の一部であってもよい弁装置は、車両に使用することができる。ステアリング装置は、車両のドライバによって決定された操舵運動をアシストするように構成されていてもよい。なぜならば、車両は、例えば数トンもの重量を有することがあるからである。ポンプ装置は、例えば、作動媒体をステアリング装置によって圧送するように構成されていてもよい。モータは、例えばモータとして実現されていてもよく、ポンプは双方向の液圧ポンプとして実現されていてもよい。貯留容器は、例えば膨張容器とも呼ぶことができる。作動媒体は流体、例えば作動油であってもよい。
【0008】
一実施形態によれば、弁装置は、少なくとも1つの逆止弁を有していてもよく、この逆止弁は、ポンプ装置の第1の出力接続部と弁および付加的または代替的に貯留容器との間に接続されている。付加的または代替的には、逆止弁および付加的または代替的に別の逆止弁が、ポンプ装置の第2の出力接続部と弁および付加的または代替的に貯留容器との間に接続されていてもよい。逆止弁および付加的または代替的に別の逆止弁は、有利には、作動媒体の流れ方向を確定させるかまたは流れ方向に影響を与えるように構成されている。
【0009】
一実施形態によれば、逆止弁は、作動媒体を第1の出力接続部の方向に通流させるように構成されていてもよく、付加的または代替的には、別の逆止弁は、作動媒体を第2の出力接続部の方向に通流させるように構成されていてもよい。
【0010】
これによって、有利には、作動媒体の流れ方向を確定させることができるかまたは流れ方向に影響を与えることができる。
【0011】
一実施形態によれば、弁装置は、付加的な逆止弁を有していてもよく、この付加的な逆止弁は、第1の出力接続部と弁の第1の弁接続部との間に配置されている。付加的な逆止弁は、作動媒体を第1の弁接続部の方向に通流させるように構成されていてもよい。このような実施形態でも、これによって、有利には、作動媒体の流れ方向を確定させることができるかまたは流れ方向に影響を与えることができる。
【0012】
一実施形態によれば、弁装置は、別の逆止弁を有していてもよく、この別の逆止弁は、第2の出力接続部と第1の弁接続部との間に配置されている。別の逆止弁は、作動媒体を第1の弁接続部の方向に通流させるように構成されていてもよい。これによって、流体の別の有利な流れ方向を確定させることができるかまたは流れ方向に影響を与えることができる。
【0013】
一実施形態によれば、弁は貯留容器に直接接続されていてもよい。つまり、弁は貯留容器に流体接続されている。これによって、有利には、弁を用いて、作動媒体および付加的または代替的に作動媒体の一部を貯留容器内に流出させることができる。
【0014】
一実施形態によれば、弁は比例弁として形成されていてもよい。比例弁は、比例磁石を用いて弁開口の連続的な移行を可能にする連続動作弁であってもよい。これによって、有利には、例えば可変の体積流を弁によって実現することができる。
【0015】
一実施形態によれば、弁は、障害および付加的または代替的に電源故障が車両の少なくとも一部で認識された場合に完全に開放されるように構成されている。障害は、例えば機能故障であってもよい。有利には、弁の開放は安全機能として適用することができる。
【0016】
さらに、前述した変化形態のうちの1つの変化形態における弁装置を制御する方法であって、出力するステップを含む方法が提案される。出力するステップでは、弁装置の少なくとも部分的な開放を示す弁開放信号および付加的または代替的に弁装置の少なくとも部分的な閉鎖を示す弁閉鎖信号を出力される。
【0017】
方法は、例えばステアリング装置の弁装置用に特定されていてもよい。有利には、弁の開放度を決定することができる。方法は、例えばステアリング装置の制御装置によって実施することができる。
【0018】
この方法は、例えばソフトウエアまたはハードウエアでまたはソフトウエアとハードウエアとから成る混合形態で、例えば制御装置に実装されていてもよい。
【0019】
本明細書に一実施形態により提案された制御装置は、例えば、ステアリング装置の弁装置を開放するための弁開放信号を弁装置に供給しかつ付加的または代替的に弁装置を閉鎖するための弁閉鎖信号を弁装置に供給するように、かつ方法のステップを対応するユニットで実施するように構成されている。
【0020】
したがって、本明細書に提案された本アプローチは、本明細書に提案された方法の変化形態のステップを対応する装置で実施、制御もしくは実現するように構成された制御装置を提供する。また、制御装置の形態の本アプローチのこの実施変化形態によっても、本アプローチの根底にある課題を迅速かつ効果的に解決することができる。
【0021】
そのために、制御装置は、信号またはデータを処理する少なくとも1つの計算ユニット、信号またはデータを記憶する少なくとも1つの記憶ユニット、センサからのセンサ信号を読み込むかまたはアクチュエータにデータ信号または制御信号を出力する、センサまたはアクチュエータに対する少なくとも1つのインタフェース、および/または通信プロトコル内に埋め込まれたデータを読み込むかまたは出力する少なくとも1つの通信インタフェースを有していてもよい。計算ユニットは、例えば信号プロセッサ、マイクロコントローラまたはこれに類するものであってもよく、記憶ユニットは、フラッシュメモリ、EPROMまたは磁気式の記憶ユニットであってもよい。通信インタフェースは、データを無線でかつ/または有線で読み込むかまたは出力するように構成されていてもよく、有線でデータを読み込むかまたは出力することができる通信インタフェースは、これらのデータを、例えば電気式または光学式に対応するデータ伝送線路から読み込むかまたは対応するデータ伝送線路に出力することができる。
【0022】
制御装置とは、本明細書では、センサ信号を処理して、処理されたセンサ信号に応じた制御信号および/またはデータ信号を出力する電気的な装置であると理解することができる。制御装置は、ハードウエアのようにかつ/またはソフトウエアのように形成されていてもよいインタフェースを有していてもよい。ハードウエアのような構成では、インタフェースは、例えば、制御装置の種々異なる機能を内蔵している、いわゆるシステムASICの一部であってもよい。しかしながら、インタフェースが、固有の集積回路であるかまたは少なくとも部分的に不連続な素子から成っていることも可能である。ソフトウエアのような構成では、インタフェースは、例えば1つのマイクロコントローラに別の複数のソフトウエアモジュールと共に存在しているソフトウエアモジュールであってもよい。
【0023】
有利な構成では、制御装置によって、弁装置を制御する方法の制御が行われる。そのために、制御装置は、例えば、センサ信号、例えば弁装置を開放するための弁開放信号および/または弁装置を閉鎖するための弁閉鎖信号を利用することができる。制御は、アクチュエータ、例えば弁開放信号および/または弁閉鎖信号を供給するように構成された供給ユニットを介して行われる。
【0024】
さらに、前述した変化形態のうちの1つの変化形態における弁装置と、伝動装置と、制御装置とを有する車両用のステアリング装置が提案される。伝動装置は、ステアリングホイールに連結可能な入力軸と、ピットマンアームに連結可能な出力軸と、さらに、入力軸から出力軸にトルクを伝達するために第1の方向および第2の方向に可動の伝動要素と、第1の作動媒体接続部と、第2の作動媒体接続部とを有している。第1の作動媒体接続部は、作動媒体を使用して第1の方向に伝動要素を運動させるために、弁装置の第1の出力接続部に接続されていて、第2の作動媒体接続部は、作動媒体を使用して第2の方向に伝動要素を運動させるために、弁装置の第2の出力接続部に接続されている。
【0025】
ステアリング装置は、操舵運動をアシストするために、例えば商用車に実現されていてもよい。伝動装置は、例えばステアリング伝動機構とも呼ぶことができる。
【0026】
一実施形態によれば、モータは、弁装置が開放されている場合にピットマンアームを運動させないように構成されていてもよい。これによって、有利には、ステアリング装置が、例えば車両モータの作動時に無負荷状態に保たれる。
【0027】
本明細書に提案された本アプローチの実施例を以下の説明において図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施例によるステアリング装置を備えた車両を概略的に示すブロック回路図である。
図2】一実施例によるステアリング装置を概略的に示す図である。
図3】一実施例による弁装置を制御する方法を示すフローチャートである。
【0029】
本アプローチの好適な実施例の以下の説明では、種々異なる図面に示した類似の作用を有する要素に対して同じまたは類似の符号を使用し、これらの要素の説明の繰返しは省略する。
【0030】
図1には、一実施例によるステアリング装置102を備えた車両100の概略的なブロック回路図が示してある。車両100は、例えば、主として物品を運搬するように構成された商用車として実現可能である。車両100は数トンもの重量を有することがあるので、車両100はステアリング装置102を有している。ステアリング装置102は、例えば車両100のドライバのような車両100の乗員の操舵動作をアシストするように構成されている。そのために、ステアリング装置102は、ポンプ装置104と弁105および/または貯留容器108とを備えた弁装置103と、伝動装置106と、制御装置110とを有している。ポンプ装置104は、第1の出力接続部114または第2の出力接続部116に作動媒体を圧送するポンプ112と、例えば、ポンプ112を駆動するように構成された電気モータのようなモータ118と、ポンプ112およびモータ118を取り囲むように配置されたハウジングとを有しており、このハウジングを通して、第1の出力接続部114および第2の出力接続部116が案内されている。本実施例によれば、ポンプ112はモータ118と一緒に共通の軸に配置されている。モータ118は、本実施例によればディスクロータモータとして実現することができる。ポンプ112は、例えば双方向の液圧ポンプとして実現することができる。
【0031】
伝動装置106は、ステアリングホイールに連結可能な入力軸120と、ピットマンアーム122に連結可能な出力軸124とを有している。さらに、伝動装置106は、入力軸120から出力軸124にトルクを伝達するために第1の方向126と第2の方向128とに可動の伝動要素130を有している。さらに、伝動装置106は、第1の作動媒体接続部132と第2の作動媒体接続部134とを備えており、第1の作動媒体接続部132は、作動媒体を使用して第1の方向126に伝動要素130を運動させるために、第1の出力接続部114に接続されていて、第2の作動媒体接続部134は、作動媒体を使用して第2の方向128に伝動要素130を運動させるために、第2の出力接続部116に接続されている。本実施例によれば、入力軸120は、例えばトルクを車両100の、入力軸120が結合可能なまたは結合されたステアリングコラム(図示せず)からステアリング装置102に導入するように構成されている。入力軸120を介して導入されたトルクは、入力トルクとも呼ぶことができる。入力軸120は、本実施例によれば、ステアリングシステムのステアリングコラムを介して車両100のステアリングホイール(ここでは図示せず)に結合されているかもしくは機械的に連結されている。本実施例による出力軸124は、トルクをステアリング装置102から導出するかもしくはトルクをピットマンアーム122に出力するように構成されている。出力軸124を介して導出されたトルクは、出力トルクまたは出力パワーとも呼ぶことができる。伝動要素130は、本実施例によれば、入力軸120からのトルクを出力軸124に機械的に伝達しかつ/または入力トルクを出力トルクに変換するように構成されている。
【0032】
弁105および/または貯留容器108は、本実施例によれば、ポンプ装置104の第1の出力接続部114と第2の出力接続部116との間に接続されている。つまり、弁105は、本実施例によれば、相応に第1の弁接続部136と第2の弁接続部138とを有している。本実施例によれば、弁105は比例弁として実現されている。本実施例によれば、第1の弁接続部136は、第1の出力接続部114と第1の作動媒体接続部132との間に配置されている。同じく、本実施例によれば、第2の弁接続部138は、第2の出力接続部116と第2の作動媒体接続部134との間に配置されている。しかしながら、代替的な実施例によれば、弁105の配置形態は以下の図面でさらに詳しく述べるように可変である。弁105は、本実施例によれば、障害および/または電源故障が車両100の少なくとも一部で認識された場合に完全に開放するように構成されている。本実施例によれば、弁装置103は少なくとも1つの逆止弁137を有していて、この逆止弁137は、第1の出力接続部114と弁105および/または貯留容器108との間に接続されている。逆止弁137および/または別の逆止弁139は、ポンプ装置104の第2の出力接続部116と弁105および/または貯留容器108との間に接続されている。本実施例によれば、逆止弁137は、作動媒体を第1の出力接続部114の方向に通流させるように構成されている。別の逆止弁139は、作動媒体を第2の出力接続部116の方向に通流させるように構成されている。
【0033】
ステアリング装置102は、さらに、制御装置110を有しており、この制御装置110は、ステアリング装置102の弁108を開放するための弁開放信号140を弁105に供給しかつ/または弁108を閉鎖するための弁閉鎖信号142を弁105に供給するように構成されている。任意選択的に、制御装置110は、ステアリング装置102のモータ118を運転するためのモータ信号144をモータ118に供給するように構成されている。つまり、モータ118は、弁105が開放している場合にピットマンアーム122を運動させない。つまり、逆に、弁105は、弁105が閉鎖されている場合に、弁105を通る作動媒体の通流を阻止し、これによって、本実施例によれば、作動媒体が伝動装置106によって圧送され、車両100のドライバにより設定された操舵方向146をステアリングロッド148を介して車両ホイール150に伝達する。
【0034】
制御装置110は、任意選択的に本実施例によれば、モータ118を、温度を表示する温度信号152に相応して制御する。温度信号152は、一実施例によれば、例えばサーモメータのような温度センサ154から制御装置110に供給される。温度センサ154は、本実施例によれば、ポンプ装置104の一部として実現されているかまたは実現可能である。代替的に、温度センサ154は、別の形態で車両100に配置することもできる。任意選択的に、ポンプ装置104は入力接続部156をさらに有しており、この入力接続部156を介してポンプ装置104は、本実施例によれば、作動媒体を貯留する貯留容器108に接続されている。
【0035】
言い換えると、バックアップ弁とも呼ばれる多機能の弁105を備えた弁装置103が提供される。弁装置103は、本実施例によれば、操舵に使用するために、例えばトラックである車両100のステアリング装置102の形態で設けられている。本実施例によれば、ステアリング装置102は、双方向に作動するポンプ112、例えば液圧ポンプを介して制御される。
【0036】
ポンプ112は、伝動装置106に接続されている。弁装置103は、本実施例によれば、伝動装置106内に配置された複動式のシリンダの2つのシリンダ室を非常時に接続し、これによって、例えばエラー機能時または液圧的な増幅の故障時に車両100の操舵を可能にする。通常の走行運転では、短時間のもしくは僅かな開放によって種々異なる機能改善が可能になる。したがって、本明細書に提案された本アプローチによって、例えばシステム故障時の安全関連システムの緊急機能が可能となる。
【0037】
任意の接続横断面を形成することができるようにするために、弁105は、無通電にて作動媒体の十分な通路を形成する比例弁として形成されている。障害の認識時または電源故障時に、弁105は完全に開放される。ステアリング装置102の動的な運転特性を改善するために、迅速に開放するこの弁105は、各々のシリンダ室よりも迅速な圧力降下を可能にする。両シリンダ室のうちの一方のシリンダ室において一定の高い圧力がより長く保たれると、弁105が、例えば弁開放信号140を用いて幾分開放され、これによって、モータ118がゆっくりと回転し、ひいては、モータ118の全てのコイルへの熱負荷が均一になる。
【0038】
図2には、一実施例によるステアリング装置102の概略図が示してある。同図に示したステアリング装置102は、図1に記載したステアリング装置102に相当していてもよく、したがって、図1に記載したような車両に使用可能である。本実施例によれば、弁装置103は逆止弁137および別の逆止弁139のほかに、付加的な逆止弁200を有しており、この逆止弁200は、第1の出力接続部114と弁105の第1の弁接続部136との間に配置されており、付加的な逆止弁200は、作動媒体を第1の弁接続部136の方向に通流させるように構成されている。さらに、弁装置103は、本実施例によれば、別の逆止弁202も有していて、この別の逆止弁202は、第2の出力接続部116と第1の弁接続部136との間に配置されている。この別の逆止弁202は、作動媒体を第1の弁接続部136の方向に通流させるように構成されている。本実施例によれば、弁105は、貯留容器108に直接、例えば第2の弁接続部138を用いて接続されている。これによって、例えば、作動媒体が、膨張時に貯留容器108内に達することができる。
【0039】
言い換えると、本実施例によれば、弁105は、作動媒体が伝動装置の両シリンダのそれぞれ1つのシリンダから貯留容器108内に流出することができるように配置されている。つまり、弁105の開放による迅速な圧力降下時に、作動媒体の、圧縮性によって増大する体積が、貯留容器108内に排出される。これによって、例えば、シリンダ室内における残留圧を回避することができる。例えば、車両の走行中の僅かな操舵変位時にも、弁105は、より高いポンプ回転数を得るために、任意選択的に僅かしか開放されない。これによって、オイル膜の形成ひいてはポンプのより僅かな摩擦が可能になる。
【0040】
図3には、一実施例による、弁装置を制御する方法300のフローチャートが示してある。この方法300は、例えば図1または図2に記載したようなステアリング装置において実施することができる。方法300は、弁装置の少なくとも部分的な開放を示す弁開放信号および/または弁装置の少なくとも部分的な閉鎖を示す弁閉鎖信号を出力するステップ302を含んでいる。
【0041】
一実施例が、第1の特徴と第2の特徴との間に「および/または(かつ/または)」という接続詞を含んでいる場合には、この実施例は、一実施形態によれば、第1の特徴と第2の特徴とを共に有していて、別の実施形態によれば、第1の特徴だけまたは第2の特徴だけを有していると読む必要がある。
【符号の説明】
【0042】
100 車両
102 ステアリング装置
103 弁装置
104 ポンプ装置
105 弁
106 伝動装置
108 貯留容器
110 制御装置
112 ポンプ
114 第1の出力接続部
116 第2の出力接続部
118 モータ
120 入力軸
122 ピットマンアーム
124 出力軸
126 第1の方向
128 第2の方向
130 伝動要素
132 第1の作動媒体接続部
134 第2の作動媒体接続部
136 第1の弁接続部
137 逆止弁
138 第2の弁接続部
139 別の逆止弁
140 弁開放信号
142 弁閉鎖信号
144 モータ信号
146 操舵方向
148 ステアリングロッド
150 車両ホイール
152 温度信号
154 温度センサ
156 入力接続部
200 付加的な逆止弁
202 別の逆止弁
300 弁装置を制御する方法
302 出力するステップ
図1
図2
図3
【国際調査報告】