(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ステアリング装置を備えた車両のための制御装置、ステアリング装置、およびステアリング装置のための電動モータを冷却する方法
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20240206BHJP
B62D 5/065 20060101ALI20240206BHJP
B62D 5/18 20060101ALI20240206BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/065 B
B62D5/18
H02K9/19 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549896
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2022051497
(87)【国際公開番号】W WO2022175024
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021103818.9
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート ミラー
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
5H609
【Fターム(参考)】
3D232CC50
3D232DA63
3D232DA64
3D232DA67
3D232EB30
3D232EC03
3D232EC22
3D333EB01
3D333ED01
3D333JA03
3D333MA00
5H609BB01
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP06
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609RR31
5H609RR46
(57)【要約】
ステアリング装置(102)を備えた車両(100)用の制御装置(110)が提示され、ステアリング装置(102)は、ポンプ(112)および電動モータ(118)を含むポンプ装置(104)と、ギヤ装置(106)と、制御装置(110)とを含む。制御装置は、ステアリング装置(102)の通常動作フェーズ中、電動モータ(118)を冷却するために、モータ信号(140)を電動モータ(118)に供給して電動モータ(118)を動作させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリング装置(102)を備えた車両(100)のための制御装置(110)であって、
前記ステアリング装置(102)はポンプ装置(104)を備え、該ポンプ装置(104)は、該ポンプ装置(104)の第1の出口ポート(114)または第2の出口ポート(116)に作動媒体を圧送するポンプ(112)と、該ポンプ(112)を駆動する電動モータ(118)とを備えており、該電動モータ(118)は少なくとも部分的に、前記作動媒体によって取り囲まれており、かつ/または周囲が洗い流される状態におかれており、または周囲を洗い流し可能であり、
前記ステアリング装置(102)はギヤ装置(106)を備え、該ギヤ装置(106)は、ステアリングホイールに連結可能な入力軸(120)およびピットマンアーム(122)に連結可能な出力軸(124)と、前記入力軸(120)から前記出力軸(124)へトルクを伝達するために第1の方向(126)および第2の方向(128)に移動可能なギヤ部材(130)と、第1の作動媒体ポート(132)および第2の作動媒体ポート(134)とを備え、前記第1の作動媒体ポート(132)は、前記作動媒体を使用して前記ギヤ部材(130)を前記第1の方向(126)に移動させるために、前記第1の出口ポート(114)に接続されており、前記第2の作動媒体ポート(134)は、前記作動媒体を使用して前記ギヤ部材(130)を前記第2の方向(128)に移動させるために、前記第2の出口ポート(116)に接続されており、
当該制御装置(110)は、前記ステアリング装置(102)の通常動作フェーズ中、前記電動モータ(118)を冷却するために、モータ信号(140)を前記電動モータ(118)に供給して前記電動モータ(118)を動作させるように構成されている、
ステアリング装置(102)を備えた車両(100)のための制御装置(110)。
【請求項2】
前記電動モータ(118)の少なくとも1つのモータ巻線(208)を流れる電流を引き起こす信号として前記モータ信号(140)を供給するように構成されており、前記電流が流れた結果として前記電動モータ(118)のロータ(202)の旋回が生じる、請求項1記載の制御装置(110)。
【請求項3】
車両(100)のためのステアリング装置(102)であって、当該ステアリング装置(102)は以下の特徴を有する、すなわち、
ポンプ装置(104)が設けられており、該ポンプ装置(104)は、該ポンプ装置(104)の第1の出口ポート(114)または第2の出口ポート(116)に作動媒体を圧送するポンプ(112)と、該ポンプ(112)を駆動する電動モータ(118)とを備えており、該電動モータ(118)は少なくとも部分的に、前記作動媒体によって取り囲まれており、かつ/または周囲が洗い流される状態におかれており、または周囲を洗い流し可能であり、
ギヤ装置(106)が設けられており、該ギヤ装置(106)は、ステアリングホイールに連結可能な入力軸(120)およびピットマンアーム(122)に連結可能な出力軸(124)と、前記入力軸(120)から前記出力軸(124)へトルクを伝達するために第1の方向(126)および第2の方向(128)に移動可能なギヤ部材(130)と、第1の作動媒体ポート(132)および第2の作動媒体ポート(134)とを備え、前記第1の作動媒体ポート(132)は、前記作動媒体を使用して前記ギヤ部材(130)を前記第1の方向(126)に移動させるために、前記第1の出口ポート(114)に接続されており、前記第2の作動媒体ポート(134)は、前記作動媒体を使用して前記ギヤ部材(130)を前記第2の方向(128)に移動させるために、前記第2の出口ポート(116)に接続されており、
請求項1または2記載の制御装置(110)が設けられている、
車両(100)のためのステアリング装置(102)。
【請求項4】
前記電動モータ(118)のモータ巻線(208)は、前記作動媒体によって取り囲まれており、かつ/または周囲を洗い流し可能である、請求項3記載のステアリング装置(102)。
【請求項5】
前記ポンプ(112)および前記電動モータ(118)は、1つの共通の軸線を有し、かつ/または1つの共通のハウジング(200)内に配置されている、請求項3または4記載のステアリング装置(102)。
【請求項6】
前記ハウジング(200)は、前記作動媒体を流入口から該ハウジング(200)の内壁に沿って前記モータ巻線(208)へ案内するダクト(206)を有し、該ダクト(206)は、前記作動媒体を前記モータ巻線(208)の周囲で案内するように形成されている、請求項3から5までのいずれか1項記載のステアリング装置(102)。
【請求項7】
前記電動モータ(118)のロータ(202)は複数の永久磁石を有し、特に互いに隣り合う永久磁石は、前記作動媒体を通過させるスリット(204)によって離間されている、請求項3から6までのいずれか1項記載のステアリング装置(102)。
【請求項8】
前記スリット(204)は、前記ロータ(202)の旋回時に前記作動媒体を搬送するように形成されている、請求項7記載のステアリング装置(102)。
【請求項9】
前記ポンプ(112)は双方向液圧ポンプとして形成されている、請求項3から8までのいずれか1項記載のステアリング装置(102)。
【請求項10】
前記第1の出口ポート(114)と前記第2の出口ポート(116)との間に接続された弁(108)が設けられている、請求項3から9までのいずれか1項記載のステアリング装置(102)。
【請求項11】
前記電動モータ(118)は、前記弁(108)が開放されているときには前記ピットマンアーム(122)を動かさないように構成されている、請求項10記載のステアリング装置(102)。
【請求項12】
請求項3から11までのいずれか1項記載のステアリング装置(102)のための電動モータ(118)を冷却する方法(300)であって、当該方法(300)は以下のステップを含む、すなわち、
前記電動モータ(118)を動作させるために、モータ信号(40)を前記ステアリング装置(102)の前記電動モータ(118)に供給するステップ(302)を含む、
ステアリング装置(102)のための電動モータ(118)を冷却する方法(300)。
【請求項13】
請求項12記載の方法(300)を実施および/または制御するように構成されたコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のコンピュータプログラムが格納されている機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本アプローチは、ステアリング装置を備えた車両のための制御装置、ステアリング装置、およびステアリング装置のための電動モータを冷却する方法に関する。
【0002】
車両のステアリングシステムにおいて、特に中型商用車および大型商用車の、パワーアシストステアリングとも呼ばれる、前車軸ステアリングシステムにおいて、たとえばボール循環式ステアリングギヤを外部の一方向液圧ポンプによって駆動することができる。ポンプとステアリングギヤとの間の接続を、たとえば外部の配管によって行うことができる。付加的に、外部のオイルリザーバがサージタンクとして必要とされる場合がある。かくして、かかるステアリングシステムの個々の構成要素を車両内に分散配置することができる。
【0003】
独国実用新案第202019101522号明細書には、車両のための、特に商用車両のための、相応のステアリングアシスト装置が開示されている。
【0004】
このような背景を踏まえ、本アプローチの課題は、ステアリング装置を備えた車両のための改善された制御装置と、改善されたステアリング装置と、電動モータを冷却する改善された方法とを提供することである。
【0005】
この課題は、装置に関する請求項1の特徴を備えた制御装置、請求項3記載のステアリング装置、請求項12記載の方法、および請求項13記載のコンピュータプログラムによって解決される。
【0006】
提示されるアプローチによって達成可能な利点とは、ステアリング装置の構成要素のために必要とされる構造スペースを縮小できることにある。
【0007】
よって、ポンプ装置とギヤ装置と制御装置とを含むステアリング装置を備えた車両用の制御装置が提示される。ポンプ装置は、このポンプ装置の第1の出口ポートまたは第2の出口ポートに作動媒体を圧送するポンプと、このポンプを駆動する電動モータとを有し、その際に電動モータは少なくとも部分的に、作動媒体によって取り囲まれており、付加的にまたは択一的に周囲が洗い流される状態におかれており、または周囲を洗い流し可能である。ギヤ装置は、ステアリングホイールに連結可能な入力軸およびピットマンアームに連結可能な出力軸と、入力軸から出力軸へトルクを伝達するために第1の方向および第2の方向に移動可能なギヤ部材と、第1の作動媒体ポートおよび第2の作動媒体ポートとを有し、第1の作動媒体ポートは、作動媒体を使用してギヤ部材を第1の方向に移動させるために、第1の出口ポートに接続されており、第2の作動媒体ポートは、作動媒体を使用してギヤ部材を第2の方向に移動させるために、第2の出口ポートに接続されている。この場合、制御装置は、ステアリング装置の通常動作フェーズ中、電動モータを冷却するために、モータ信号を電動モータに供給して電動モータを動作させるように構成されている。
【0008】
車両をたとえば商用車として実現することができ、たとえば主として物品を搬送するように構成されたトラックとして実現することができる。かかる車両は数トンの重量を有する場合があるので、車両の運転者のステアリング運動をアシストするステアリング装置が有利である。ポンプ装置をたとえば、ステアリング装置を通して作動媒体を移動させるように構成することができる。作動媒体をこの場合にたとえば液圧オイルとして実現することができ、この液圧オイルをたとえば、電動モータの動作中に発生する熱を排出するように構成することができる。第1の出口ポートおよび第2の出口ポートをたとえば、ステアリング装置の管路システムに作動媒体を送出するように構成することができる。この管路システムをその際にたとえば、ホースまたはパイプの形態で実現することができる。車輪が所望の方向に旋回して、たとえば走行方向が可変であるようにする目的で、運転者のステアリング運動を車両の車軸に伝達するように、ギヤ部材を構成することができる。制御装置を、通常動作フェーズ中、ポンプ装置の電動モータに、たとえばモータ信号のような相応の信号を供給するステアリング装置の一部とすることができる。有利にはこれによって、たとえば過熱による損傷を回避することができるよう、電動モータを冷却することができる。通常動作フェーズをたとえば、車両が走行プロセスにある動作状態とすることができるけれども、車両の車両エンジンが動いている動作状態とすることもできる。
【0009】
1つの実施形態によれば制御装置は、電動モータの少なくとも1つのモータ巻線を流れる電流を引き起こすことができる信号として、モータ信号を供給するように構成されており、この電流が流れた結果として電動モータのロータの旋回が生じる。モータ巻線はたとえばコイルと呼ばれる場合もあり、このコイルを通って電流を流すことができる。ロータを有利には旋回可能なロータディスクとして実現することができ、このロータディスクを磁界によって旋回させることができる。磁界をその際にたとえば、モータ巻線を通って流れる電流によって発生させることができる。したがってモータ巻線を通って流れる電流は、ステアリング装置の動作の初期フェーズにおいて作動媒体の加熱に用いることができるロータの管路の加熱が発生するだけでなく、実際にロータの旋回も引き起こすほど強いのが望ましい。
【0010】
さらに車両用のステアリング装置が提示され、このステアリング装置はポンプ装置を有し、このポンプ装置は、このポンプ装置の第1の出口ポートまたは第2の出口ポートに作動媒体を圧送するポンプと、このポンプを駆動する電動モータとを備えており、その際に電動モータは少なくとも部分的に、作動媒体によって取り囲まれており、付加的にまたは択一的に周囲が洗い流される状態におかれている。さらにステアリング装置はギヤ装置を有し、このギヤ装置は、ステアリングホイールに連結可能な入力軸およびピットマンアームに連結可能な出力軸と、入力軸から出力軸へトルクを伝達するために第1の方向および第2の方向に移動可能なギヤ部材と、第1の作動媒体ポートおよび第2の作動媒体ポートとを有する。この場合、第1の作動媒体ポートは、作動媒体を使用してギヤ部材を第1の方向に移動させるために、第1の出口ポートに接続されており、第2の作動媒体ポートは、作動媒体を使用してギヤ部材を第2の方向に移動させるために、第2の出口ポートに接続されている。さらにステアリング装置は、先に述べたバリエーションのうち1つのバリエーションにおける制御装置を有する。
【0011】
ステアリング装置をたとえば、先に挙げたような車両において実現することができる。ステアリング装置はたとえば、先に提示したバリデーションのうち1つのバリエーションにおける制御装置を有することができる。有利にはこれによって、車両内部の構造スペースを効率的に利用することができる。
【0012】
1つの実施形態によれば、電動モータは、作動媒体によって取り囲まれた状態におくことができるモータ巻線を有することができる。つまりこのことは、有利にはモータ巻線から放出された熱を排出し、それによってモータ巻線を冷却する目的で、たとえば作動媒体をモータ巻線の周囲に流すことができる、ということを意味する。この場合に特に好適であるのは、電動モータの動作時に発生する熱をモータ巻線から迅速かつ効率的に排出できるようにする目的で、作動媒体を電動モータのモータ巻線の導体またはモータ巻線のハウジングの導体に直接に接触させることである。
【0013】
1つの実施形態によれば、ポンプおよび電動モータは1つの共通の軸線を有することができ、かつこれらを1つの共通のハウジング内に配置することができる。これによって有利には構造スペースを節約することができ、したがってたとえばポンプ装置を小型化して実現することができる。
【0014】
ハウジングは、作動媒体を流入口からこのハウジングの内壁に沿ってモータ巻線へ案内するダクトを有することができ、このダクトを、作動媒体をモータ巻線の周囲で案内するように形成することができる。有利には作動媒体は、ダクトをハウジングの内壁に配置することによって、搬出すべき熱を放出することができ、したがって作動媒体が新たに少なくともある程度までは冷えるようにすることができる。
【0015】
1つの実施形態によれば、電動モータのロータは複数の永久磁石を有することができ、その際に互いに隣り合う永久磁石を、作動媒体を通過させるスリットによって離間することができる。有利には作動媒体を、このようにしてスリットを通してダクト内に流すことができる。
【0016】
1つの実施形態によれば、ロータの旋回時に作動媒体を搬送するようにスリットを形成することができる。有利には、ロータが旋回するとただちに、つまり電流がモータ巻線を通って流れるとただちに、磁界が発生して永久磁石が磁界から突き放される、というようにして冷却プロセスを開始させることができる。
【0017】
1つの実施形態によればポンプを、双方向液圧ポンプとして形成することができる。有利にはこれによってポンプは、作動媒体をステアリング運動に従い第1の方向または第2の方向に圧送することができる。
【0018】
ステアリング装置はさらに、第1の出口ポートと第2の出口ポートとの間に接続された弁を有することができる。弁をたとえば、一例として緊急時に介入するように形成することができ、または作動媒体の加熱フェーズにおいて弁を動かすように形成することができ、それによってもピットマンアームの操作が行われることはない。
【0019】
1つの実施形態によれば、電動モータは、弁が開放されているときにはピットマンアームを動かすことができない。このようにして、安全保守機能を弁により実現することができる。
【0020】
さらに、先に挙げたバリエーションのうち1つのバリエーションにおけるステアリング装置のための電動モータを冷却する方法が提示される。その際にこの方法は、電動モータを動作させるために、ステアリング装置の電動モータにモータ信号を供給するステップを含む。
【0021】
この方法を、相応にたとえば商用車において使用することができる。
【0022】
この方法をたとえば、ソフトウェアまたはハードウェアまたはソフトウェアとハードウェアとの混合形態で、たとえば先に挙げたバリエーションのうち1つのバリエーションにおける制御装置に実装することができる。この場合、本明細書で提示する方法の1つのバリエーションのステップを、相応の装置において実施、制御もしくは実現することができる。本アプローチのこの変形実施形態によっても、本アプローチの基礎を成す課題を迅速にかつ効率的に解決することができる。
【0023】
この目的で制御装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニット、信号またはデータを格納するための少なくとも1つの記憶ユニット、センサからセンサ信号を読み込むための、またはアクチュエータにデータ信号または制御信号を送出するための、センサまたはアクチュエータに対する少なくとも1つのインタフェース、さらに付加的にまたは択一的に通信プロトコルに埋め込まれているデータを読み込むまたは送出するための、少なくとも1つの通信インタフェースを有することができる。計算ユニットをたとえば信号プロセッサ、マイクロコントローラまたは同等のものとすることができ、その際に記憶ユニットをフラッシュメモリ、EPROMまたは磁気記憶ユニットとすることができる。データを無線および/または有線で読み込むまたは送出するように、通信インタフェースを構成することができ、この場合、有線のデータを読み込むまたは送出することができる通信インタフェースは、それらのデータをたとえば電気的にまたは光学的に、対応するデータ伝送ラインから読み込むことができ、または対応するデータ伝送ラインに送出することができる。
【0024】
1つの有利な実施形態において、制御装置によって、ステアリング装置のための電動モータを冷却する方法の制御が行われる。この目的で制御装置はたとえば、モータ信号のようなセンサ信号にアクセスすることができる。モータ信号を供給するように構成された供給ユニットのようなアクチュエータを介して、制御が行われる。
【0025】
本明細書で提示されるアプローチの実施例について、図面を参照しながら以下の記載で詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】1つの実施例によるステアリング装置と制御装置とを備えた車両を示す概略図である。
【
図2】1つの実施例によるポンプ装置の断面概略図である。
【
図3】1つの実施例によるステアリング装置のための電動モータを冷却する方法を示すフローチャートである。
【0027】
本アプローチの好適な実施例の以下の説明では、それぞれ異なる図面に描かれ同様に作用する要素に対し、同じまたは類似した参照符号が用いられ、その際にそれらの要素について繰り返し説明はしない。
【0028】
図1には、1つの実施例によるステアリング装置102を備えた車両100の概略図が示されている。車両100をたとえば、主として物品を搬送するように構成された商用車として実現することができる。車両100は数トンの重量になる可能性があることから、車両100はステアリング装置102を有する。ステアリング装置102は、車両100の乗員のステアリングプロセスをアシストするように構成されている。この目的でステアリング装置102は、ポンプ装置104とギヤ装置106と制御装置110とを有する。単に任意選択的に、ステアリング装置102は弁108を有する。
【0029】
ポンプ装置104は、作動媒体をポンプ装置104の第1の出口ポート114または第2の出口ポート116に圧送するポンプ112と、このポンプ112を駆動するように構成された電動モータ118とを含む。ポンプ112を、たとえば双方向液圧ポンプとして実現することができる。ギヤ装置106は、ステアリングホイールに連結可能な入力軸120と、ピットマンアーム122に連結可能な出力軸124とを有する。さらにギヤ装置106は、入力軸120から出力軸124へトルクを伝達するために第1の方向126および第2の方向128に可動なギヤ部材130を有する。さらにギヤ装置106は、第1の作動媒体ポート132および第2の作動媒体ポート134を含み、この場合、第1の作動媒体ポート132は、作動媒体を使用してギヤ部材130を第1の方向126に移動させるために、第1の出口ポート114に接続されており、第2の作動媒体ポート134は、作動媒体を使用してギヤ部材130を第2の方向128に移動させるために、第2の出口ポート116に接続されている。ステアリング装置102はさらに制御装置110を有し、この制御装置110は、ステアリング装置102の通常動作フェーズ中、電動モータ118を冷却するために、モータ信号140を電動モータ118に供給して電動モータ118を動作させるように構成されている。
【0030】
任意選択的にステアリング装置102は、この実施例によれば第1の出口ポート114と第2の出口ポート116との間に接続された弁108を有する。つまりこのことは、弁108は本実施例によれば第1の弁ポート136と第2の弁ポート138とを有する、ということを意味する。本実施例によれば、第1の弁ポート136は、第1の出口ポート114と第1の作動媒体ポート132との間に配置されている。これと同様に本実施例によれば、第2の弁ポート138は、第2の出口ポート116と第2の作動媒体ポート134との間に配置されている。任意選択的に制御装置110は本実施例によれば、通常動作フェーズ中、ピットマンアーム122を動かすために、電動モータ118を動作させるモータ信号140を電動モータ118に供給し、弁108を閉鎖させる弁閉鎖信号144を弁108に供給するように構成されている。択一的な実施例によれば、制御装置110は、たとえば緊急状況において、弁108を開放するために弁開放信号142を弁108に供給するように構成されており、これによってステアリング運動が阻止される。つまりこのことが意味するのは、弁108は通常動作フェーズ中、作動媒体の通流をブロックし、その結果、作動媒体は本実施例によれば、ギヤ装置106を通って圧送され、車両100の運転者により予め設定されたステアリング方向146が、ステアリングロッド148を介して車輪150に伝達される、ということである。
【0031】
本実施例によれば入力軸120は、たとえば、車両100のここには図示されていないステアリングコラムからステアリング装置102にトルクを導入するように構成されており、このステアリングコラムに入力軸120を接続可能であり、またはこのステアリングコラムに入力軸120が接続されている。入力軸120を介して導入されるトルクは、入力トルクと呼ばれることもある。入力軸120は本実施例によれば、ステアリングシステムのステアリングコラムを介して、車両100のここには図示されていないステアリングホイールに接続されており、もしくは機械的に結合されている。出力軸124は本実施例によれば、ステアリング装置102からトルクを導出するように、もしくはピットマンアーム122へトルクを出力するように構成されている。出力軸124を介して導出されるトルクは、出力トルクまたは出力と呼ばれることもある。ギヤ部材130は本実施例によれば、入力軸120から出力軸124へトルクを機械的に伝達するように、かつ/または入力トルクを出力トルクに変換するように、構成されている。
【0032】
さらに制御装置110は本実施例によれば、電動モータ118のモータ巻線を流れる電流を引き起こす信号としてモータ信号140を供給するように構成されており、この電流が流れた結果として電動モータ118のロータの旋回が生じる。制御装置110は本実施例によれば任意選択的に、たとえば温度を示す温度信号152を読み取るように構成されている。温度信号152は本実施例によれば温度センサ154から、たとえば温度計から、制御装置110に供給される。温度センサ154は本実施例によれば、ポンプ装置104の一部として実現されているか、または実現可能である。択一的に温度センサ154を、別の手法で車両100内に配置することもできる。任意選択的にポンプ装置104はさらに入口ポート156を有し、この入口ポート156を介してポンプ装置104は本実施例によれば、作動媒体を蓄えるリザーバタンク158に接続されている。本実施例によれば、制御装置110はさらに、たとえば車両100の冷間始動を示す始動信号160に応答して、通常動作フェーズをアクティベートするように構成されている。
【0033】
換言すれば、オイル循環によって電動モータ118を冷却する可能性が提示される。つまりこのことが意味するのは、車両、たとえばトラック、のステアリングに適用するために、たとえばここではギヤ装置106と呼ばれる、たとえば電気液圧作動式のステアリングギヤが、双方向で動作するポンプ装置104を介して、たとえば液圧ポンプによって制御される、ということである。本明細書では第1の出口ポート114および第2の出口ポート116と呼ばれるポンプ装置104の両方のポートは、ギヤ装置106に接続されており、もっと正確に言えば、古典的な公知のステアリングギヤの少なくとも1つのシリンダに接続されている。ポンプ112を駆動する電動モータ118は、リザーバ容器または膨張容器とも呼ばれるリザーバタンク158の作動媒体によって取り囲まれている。この場合、電動モータ118の廃熱は作動媒体を介して排出され、その際に電動モータ118がオイル循環のために一緒に利用される。
【0034】
図2には、1つの実施例によるポンプ装置104の断面概略図が示されている。ここに図示したポンプ装置104を、
図1において説明したポンプ装置104に類似させることができ、または
図1において説明したポンプ装置104に相応させることができる。本実施例によれば、ポンプ112がポンプ装置104の中央に配置されており、電動モータ118と固定的に接続されている。ポンプ112および電動モータ118はこの場合、ハウジング200内に配置されており、このハウジング200は、ポンプ112も電動モータ118も取り囲んでおり、これらは1つの共通の軸線を有する。ハウジング200は本実施例によれば、外壁に複数のリブ201を有し、これらのリブ201は冷却効果を高めるように構成されている。したがってこれらのリブ201は、熱を周囲に伝達する目的で、ハウジング200の表面積拡大を向上させるように構成されている。
【0035】
電動モータ118に面する側で、ポンプ112はカバーで覆うように電動モータ118のT字型の結合箇所に接続されている。この結合箇所において電動モータ118のロータ202が、ポンプ112に対し垂直に配向された軸線203上に配置されている。ロータ202はこの場合にたとえば、通常運転フェーズにおいてポンプ112を中心に旋回するロータディスクとして形成されている。その一方でロータ202は本実施例によれば複数の永久磁石を有しており、この場合、互いに隣り合う永久磁石は、作動媒体を通過させるスリット204によって離間されている。スリット204はその際、ロータ202の旋回時に作動媒体を搬送するように形成されている。本実施例によればハウジング200は、作動媒体を流入口からハウジング200の内壁に沿って電動モータ118のここには図示されていないモータ巻線208へ案内するダクト206を有する。この場合、ダクト206は、作動媒体をモータ巻線208の周囲に案内するように形成されている。作動媒体の流れ方向はこの場合、図示された矢印210によって表される。本実施例によればこれによって、たとえば良好な熱結合を可能にする目的で、モータ巻線208が作動媒体によって取り囲まれている、ということも明確に示される。以上をまとめると、ポンプ112は、ポンプ出口212から出てダクト206を通りハウジング200の壁に沿ってモータ巻線208の方向に作動媒体を圧送し、1つの実施例によればこの壁において作動媒体が冷える。そこから作動媒体は本実施例によれば、モータ巻線208の周囲を流れ、スリット204を通ってハウジング壁の方向で、たとえば熱交換器214を通って、ポンプ出口212まで流れる。モータ巻線208が給電されることで、通常運転フェーズにおいて磁界が発生する。複数の永久磁石は、それらの極性に基づき磁界から突き放されるので、旋回可能なロータ202が旋回する。このようにして本実施例によれば、作動媒体の循環が行われ、この循環によって他方では、通常運転フェーズ中に発生する電動モータ118の熱が排出される。熱交換器214は、この熱交換器214のそばを通って流れる作動媒体によって、さらにいっそう高い熱排出を可能にし、ひいては冷却プロセスをアシストするように構成されている。
【0036】
ポンプ装置104内部に電動モータ118が組み込まれることから、ポンプ112および電動モータ118の冷却は制限されたかたちでしか可能でないため、本明細書で説明するアプローチが提示される。作動媒体内に電動モータ118を支承することによって、本実施例によれば冷却能力が著しく高められる。ポンプ112近くの熱交換器214から出発して作動媒体を圧送することによって、ダクト206は加熱された作動媒体を、シリンダ状に形成されたハウジング200の内壁全体に沿って案内して冷却する。作動媒体はその後の経路においてモータ巻線208の周囲を流れ、それらを冷却する。ロータ202において回転する永久磁石間のスリット204は、本実施例によればオイル循環のための駆動部として用いられるので、スリット204は循環ポンプの機能を果たす。
【0037】
図3には、1つの実施例によるステアリング装置のための電動モータを冷却する方法300のフローチャートが示されている。ステアリング装置を、
図1において説明したステアリング装置に対応させることができ、それに応じてこのステアリング装置は、
図2において説明したようなポンプ装置を有することができる。つまり方法300は、このポンプ装置を制御するように構成されている。方法300によって、電動モータを冷却するために作動媒体を使用する可能性がもたらされる。この目的で方法300は、電動モータを動作させるために、ステアリング装置の電動モータにモータ信号を供給するステップ302を含む。
【0038】
1つの実施例が、第1の特徴と第2の特徴との間に「および/または」の結合を含むならば、このことは、この実施例は1つの実施形態によれば第1の特徴も第2の特徴も有し、さらに別の1つの実施形態によれば第1の特徴のみかまたは第2の特徴のみを有する、というように読まれるべきものである。
【符号の説明】
【0039】
100 車両
102 ステアリング装置
104 ポンプ装置
106 ギヤ装置
108 弁
110 制御装置
112 ポンプ
114 第1の出口ポート
116 第2の出口ポート
118 電動モータ
120 入力軸
122 ピットマンアーム
124 出力軸
126 第1の方向
128 第2の方向
130 ギヤ部材
132 第1の作動媒体ポート
134 第2の作動媒体ポート
136 第1の弁ポート
138 第2の弁ポート
140 モータ信号
142 弁開放信号
144 弁閉鎖信号
146 ステアリング方向
148 ステアリングロッド
150 車輪
152 温度信号
154 温度センサ
156 入口ポート
158 リザーバタンク
160 始動信号
200 ハウジング
201 リブ
202 ロータ
203 軸線
204 スリット
206 ダクト
208 モータ巻線
210 矢印
212 ポンプ出口
214 熱交換器
300 方法
302 モータ信号を供給するステップ
【国際調査報告】