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特表2024-506748極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置及び同センサ装置を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置及び同センサ装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20240206BHJP
   H04N 23/40 20230101ALI20240206BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240206BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20240206BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240206BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/40 300
H04N23/56
H04N23/51
G03B15/00 L
C12M1/34 D
G03B15/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023565658
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 IL2022050052
(87)【国際公開番号】W WO2022153304
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/136,655
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR
(71)【出願人】
【識別番号】523265836
【氏名又は名称】クリンシュランス エセ.ア.エセ.
【住所又は居所原語表記】159 Plaza Paso Street BS AS - (1900) La Plata, Argentine
(71)【出願人】
【識別番号】523264655
【氏名又は名称】ナショナル・サイエンティフィック・アンド・テクニカル・リサーチ・カウンシル (コニセト)
【住所又は居所原語表記】Godoy Cruz 2290 C1425FQB Caba, Argentine
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【弁理士】
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】スロビンスキー,デミアン・グスタホ
(72)【発明者】
【氏名】ペラルタ,フアン・パブロ
【テーマコード(参考)】
4B029
5C122
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029AA09
4B029AA27
4B029BB11
4B029DG10
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB09
5C122DA12
5C122EA03
5C122GE01
5C122GE11
5C122GG17
5C122HB01
(57)【要約】
極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置が、(a)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(b)関心物体を照明するように構成された光源、(c)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、及び、(d)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段、を備えている。センサ及び光源を固定するための手段は、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置であって、
a.前記関心物体を画像化するように構成されたセンサ、
b.前記関心物体を照明するように構成された光源、
c.前記センサ及び前記光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び前記開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、及び、
d.前記ハウジング内に前記センサ及び前記光源を固定するための手段、を備え、
前記センサ及び前記光源を固定するための前記手段は、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記極低温環境は、生物学的物体を貯蔵するための極低温デバイスである、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記生物学的物体は、精液、胚、卵子、及びそれらの任意の組合せから成る群より選択される、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記真空シールされたハウジングの内部壁は、フィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちされている、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記ワイヤサスペンションはポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維で作られている、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、
前記光学窓は、石英で作られ、エポキシ封入剤によって前記開口内に接着されている、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記センサはCMOSセンサである、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記光源は発光ダイオードのアレイである、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、
前記アレイは前記センサを周って環状形状をしている、装置。
【請求項10】
極低温環境内の関心物体を操作するためのシステムであって、
a.前記関心物体を前記極低温環境の中へ設置するように及び当該関心物体を当該極低温環境から回収するように構成された把持器と、
b.極低温貯蔵デバイス内の関心物体を画像化するための極低温装置であって、以下を備える装置、即ち、
i.前記関心物体を画像化するように構成されたセンサ、
ii.前記関心物体を照明するように構成された光源、
iii.前記センサ及び前記光源を収容するハウジングであって、開口及び前記開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、
iv.前記ハウジング内に前記センサ及び前記光源を固定するための手段、及び、
v.前記センサによってキャプチャされた前記関心物体を表示するための手段、を備え、
前記センサ及び前記光源を固定するための前記手段は、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えている、極低温装置と、
を備えるシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記極低温環境は、生物学的物体を貯蔵するための極低温デバイスである、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記生物学的物体は、精液、胚、卵子、及びそれらの任意の組合せから成る群より選択される、システム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記真空シールされたハウジングの内部壁は、フィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちされている、システム。
【請求項14】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記ワイヤサスペンションはポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維で作られている、システム。
【請求項15】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記光学窓は、石英で作られ、エポキシ封入剤によって前記開口内に接着されている、システム。
【請求項16】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記センサはCMOSセンサである、システム。
【請求項17】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記光源は発光ダイオードのアレイである、システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記アレイは前記センサを周って環状形状をしている、システム。
【請求項19】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記把持器は、管状部材と、前記管状部材内に収容されたシャフトと、を備え、
前記シャフトは、その近位端及び遠位端を有し、前記近位端には、前記シャフトを前記管状部材に対して手動回転させるためのハンドルが設けられ、
前記把持器は、前記管状部材へ固定されたベベルギヤを更に備え、
前記ベベルギヤは、ピニオン及びアイドルギヤを備え、
前記ピニオンは前記シャフトの前記遠位端へ機械的に接続され、
前記アイドルギヤは、前記管状部材へブラケット式に取り付けられたスピンドルへ機械的に接続され、
前記スピンドルは、弾性的なやり方で前記関心物体を把持及び解放するのに有効なピッチを有するコイル状のばねを担持し、
前記極低温環境の内部底表面上に位置しているときの前記関心物体は、ばねのコイルとコイルの間に前記関心物体を押圧することによって把持可能であり、
前記把持器はストッパ部材を更に備え、把持されたときの前記関心物体は、前記ばねから前記関心物体を解放させる前記ストッパとの機械的接触を実現するまで、前記ハンドルによって前記シャフト及び前記ベベルギヤを介し手動回転可能である、システム。
【請求項20】
極低温環境内の関心物体を画像化する及び前記関心物体を操作する方法であって、以下の工程を備える方法、即ち、
a.極低温環境内の関心物体を操作するための装置を提供する工程であって、前記装置は、
i.前記関心物体を前記極低温環境の中へ設置するように及び当該関心物体を当該極低温環境から回収するように構成された把持器と、
ii.極低温貯蔵デバイス内の関心物体を画像化するための極低温装置と、を備え、前記極低温装置は、
1.前記関心物体を画像化するように構成されたセンサ、
2.前記関心物体を照明するように構成された光源、
3.前記センサ及び前記光源を収容するハウジングであって、開口及び前記開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、
4.前記ハウジング内に前記センサ及び前記光源を固定するための手段、及び、
5.前記センサによってキャプチャされた前記関心物体を表示するための手段、を備え、
前記センサ及び前記光源を固定するための前記手段は、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えている、装置を提供する工程と、
b.以下の工程から成る群、即ち、前記把持器によって前記生物学的物体を把持する工程、前記極低温環境の中へ前記生物学的物体を設置する工程、前記極低温環境内の前記生物学的物体を画像化する工程、前記極低温環境から前記生物学的物体を回収する工程、及び、前記工程の任意の組合せ、から成る群より選択された工程を遂行する工程と、を備える方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、
前記極低温環境は、生物学的物体を貯蔵するための極低温デバイスである、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の装置において、
前記生物学的物体は、精液、胚、卵子、及びそれらの任意の組合せから成る群より選択される、装置。
【請求項23】
極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置を製造する方法であって、以下の工程を備える方法、即ち、
a.前記熱的に絶縁されたセンサの構成要素を提供する工程であって、
i.前記関心物体を画像化するように構成されたセンサ、
ii.前記関心物体を照明するように構成された光源、
iii.前記センサ及び前記光源を収容するシール可能なハウジングであって、開口及び前記開口内に取り付けられた光学窓を有し、協働してシールされたハウジングを形成するように構成された2つの部分を有する、シール可能なハウジング、
iv.前記ハウジング内に前記センサ及び前記光源を固定するための手段であって、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えた手段、
v.前記熱的に絶縁されたセンサ装置をシールするための手段であって、Oリング及びエポキシ封入材料を更に備えた手段、
vi.前記センサ装置を前記極低温環境から熱的に絶縁するための手段であって、フィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを更に備えた手段、を備える前記熱的に絶縁されたセンサの構成要素を提供する工程と、
b.前記シール可能なハウジングの内部壁をフィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちする工程と、
c.前記シール可能なハウジング内に前記センサ及び前記光源を懸下する工程と、
d.前記シール可能なハウジングの前記2つの部分の間に前記Oリングを設置する工程と、
e.前記シール可能なハウジングを真空引きする工程と、
f.前記シール可能なハウジングを前記エポキシ封入材料によってシールする工程と、を備える方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、
前記Oリングは銀インジウムでメッキされている、方法。
【請求項25】
極低温環境での関心物体を操作するための把持器であって、
前記把持器は、管状部材と、前記管状部材内に収容されたシャフトと、を備え、前記シャフトは、その近位端及び遠位端を有し、前記近位端には、前記シャフトを前記管状部材に対して手動回転させるためのハンドルが設けられ、
前記把持器は、前記管状部材へ固定されたベベルギヤを更に備え、
前記ベベルギヤは、ピニオン及びアイドルギヤを備え、
前記ピニオンは、前記シャフトの前記遠位端へ機械的に接続され、
前記アイドルギヤは、前記管状部材へブラケット式に取り付けられたスピンドルへ機械的に接続され、
前記スピンドルは、弾性的なやり方で前記関心物体を把持及び解放するのに有効なピッチを有するコイル状のばねを担持し、
前記極低温環境の内部底表面上に位置しているときの前記関心物体は、ばねのコイルとコイルの間に前記関心物体を押圧することによって把持可能であり、
前記把持器はストッパ部材を更に備え、把持されたときの前記関心物体は、前記ばねから前記関心物体を解放させる前記ストッパとの機械的接触を実現するまで、前記ハンドルによって前記シャフト及び前記ベベルギヤを介し手動回転可能である、把持器。
【請求項26】
極低温環境での関心物体を操作する方法であって、以下の工程を備える方法、即ち、
a.極低温環境での関心物体を操作するための把持器を提供する工程であって、前記把持器は、管状部材と、前記管状部材内に収容されたシャフトと、を備え、前記シャフトはその近位端及び遠位端を有し、前記近位端には、前記シャフトを前記管状部材に対して手動回転させるためのハンドルが設けられ、
前記把持器は、前記管状部材へ固定されたベベルギヤを更に備え、
前記ベベルギヤは、ピニオン及びアイドルギヤを備え、
前記ピニオンは、前記シャフトの前記遠位端へ機械的に接続され、
前記アイドルギヤは、前記管状部材へブラケット式に取り付けられたスピンドルへ機械的に接続され、
前記スピンドルは、弾性的なやり方で前記関心物体を把持及び解放するのに有効なピッチを有するコイル状のばねを担持し、
前記極低温環境の内部底表面上に位置しているときの前記関心物体は、ばねのコイルとコイルの間に関心物体を押圧することによって把持可能であり、
前記把持器はストッパ部材を更に備え、把持されたときの前記関心物体は、前記ばねから前記関心物体を解放させる前記ストッパとの機械的接触を実現するまで、前記ハンドルによって前記シャフト及び前記ベベルギヤを介し手動回転可能である、把持器を提供する工程と、
b.極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置を提供する工程であって、前記装置は、
i.前記関心物体を画像化するように構成されたセンサ、
ii.前記関心物体を照明するように構成された光源、
iii.前記センサ及び前記光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び前記開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、及び、
iv.前記センサへ接続されていて、当該センサによってキャプチャされた前記極低温環境を視覚化するように構成されているディスプレイ、を備える熱的に絶縁されたセンサ装置を提供する工程と、
c.前記把持器及び前記熱的に絶縁されたセンサ装置を前記極低温装置内に固定する工程と、
d.前記極低温環境の底部の内部底表面上に位置している前記関心物体をばねのコイルとコイルの間に押圧して前記関心物体を把持する工程と、
e.前記関心物体を前記熱的に絶縁されたセンサ装置の視野の中へと操作する工程と、
f.前記ディスプレイ上で前記関心物体を視覚的に識別する工程と、
g.二者択一的に、前記関心物体を前記極低温環境の外へ操作する工程か、又は、前記極低温環境内で前記関心物体と前記ストッパの機械的接触を実現するまで前記ばねを手動回転させることによって前記関心物体を前記ばねから解放する工程と、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温画像化システムに関しており、より詳細には、極低温貯蔵デバイスの内部環境を検査するための及び極低温環境内の貯蔵物体を識別するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
極低温貯蔵デバイスによって消費されるエネルギーの主要部分は、内部環境を冷却するために使用されている。何らかのエネルギー放出性要素の挿入はエネルギー支出を生じさせる。それでもなお、極低温貯蔵デバイスの内部環境は周期的に目視検査されなければならない。貯蔵物体は、目視制御下に設置され且つ目視制御下に回収される。カメラシステムは、金属製ハウジング、電気回路板、及び熱源であるところの照明を含むので、伝導及び対流現象が極低温貯蔵デバイスの内部環境を温める。
【0003】
市販のCMOSカメラは-50°Cの温度まで動作可能であることを強調しておきたい。物理学実験での標準的実践は、センサの動作可能温度を確約するために発熱抵抗体を加えることである。
【0004】
デバイスがクライオゲン(液体窒素、液体アルゴン、液体ヘリウムなど)で冷却されている場合、画像化システム及び発熱抵抗体によって加わる入力パワーがボイルオフを増加させる。液化天然ガス又は液体アルゴン素粒子物理学実験の様な巨大な極低温貯蔵庫では、多少の液体を蒸発させる余裕があることを考えると、これは大きな問題ではない。
【0005】
大型容器のこの利点は、クライオゲンがより低い熱容量を有していることで、及び/又は容器がより小型であることで消失する。この場合、補充又は再凝縮なしに冷却寿命を延ばすには、冷却パワー1ワット1ワットが重要になる。
【0006】
ゆえに、小型容器にとっては、CMOS素子及び電子機器の正常動作状態を確約するうえで自己発熱効果を頼みとするためには、画像化システムを熱的に絶縁するのが望ましいのである。
【0007】
米国特許第7332720号は、外部の熱的放射を極低温カメラから離して反射し、極低温カメラを極低温温度の中に遮蔽して、内部の熱的放射が生成されないようにしたコールドシールドを開示している。極低温カメラは、レンズアセンブリと焦点面アレイを有している。
【0008】
極低温貯蔵デバイスを冷却する効率を改善するためには、極低温貯蔵デバイスの内部環境の中へ挿入可能なエネルギー放出性要素の熱的絶縁は最小限にされなければならない。したがって、入力パワーを最小限にするために自己発熱効果に基づき内部極低温環境との接触を最小限にした極低温カメラ及びLED装置を提供し、尚且つ市販のCMOS及び電子センサ装置のための特化された温度動作条件を獲得するという、長い間の切実でまだ対処されていないニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7332720号明細書
【発明の概要】
【0010】
以上より、発明の1つの目的は、極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置を開示することである。前述の極低温装置は、(a)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(b)関心物体を照明するように構成された光源、(c)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、及び、(d)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段、を備えている。
【0011】
発明の核心的目的は、センサ及び光源を固定するための手段であって、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えた手段を提供することである。
【0012】
発明の別の目的は、生物学的物体を貯蔵するための極低温デバイスである極低温環境を開示することである。
【0013】
発明の更なる目的は、精液、胚、卵子、及びそれらの任意の組合せから成る群より選択される生物学的物体を開示することである。
【0014】
発明の更なる目的は、前記真空シールされたハウジングの内部壁が、フィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちされていることを開示することである。
【0015】
発明の更なる目的は、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維又はポリアミド繊維で作られたワイヤサスペンションを開示することである。
【0016】
発明の更なる目的は、石英で作られ、エポキシ封入剤によって開口内に接着された光学窓を開示することである。
【0017】
発明の更なる目的は、CMOSセンサであるセンサを開示することである。
【0018】
発明の更なる目的は、発光ダイオードのアレイである光源を開示することである。
【0019】
発明の更なる目的は、センサを周って環状形状をしているアレイを開示することである。
【0020】
発明の更なる目的は、管状部材と、管状部材内に収容されたシャフトと、を備える把持器を開示することである。シャフトは、その近位端及び遠位端を有し、近位端には、シャフトを管状部材に対して手動回転させるためのハンドルが設けられている。把持器は、管状部材へ固定されたベベルギヤを更に備えている。ベベルギヤは、ピニオン及びアイドルギヤを備えている。ピニオンはシャフトの遠位端へ機械的に接続されている。アイドルギヤは、管状部材へブラケット式に取り付けられたスピンドルへ機械的に接続されている。スピンドルは、弾性的なやり方で関心物体を把持及び解放するのに有効なピッチを有するコイル状のばねを担持している。極低温環境の内部底表面上に位置しているときの関心物体は、ばねのコイルとコイルの間に関心物体を押圧することによって把持可能である。把持器は、ストッパ部材を更に備えている。把持されたときの関心物体は、ばねから関心物体を解放させるストッパとの機械的接触を実現するまで、ハンドルによってシャフト及びベベルギヤを介し手動回転可能である。
【0021】
発明の更なる目的は、極低温環境内の関心物体を操作するための熱的に絶縁された装置を開示することである。前述の装置は、(a)関心物体を極低温環境の中へ設置するように及び関心物体を極低温環境から回収するように構成された把持器と、(b)極低温貯蔵デバイス内の関心物体を画像化するための極低温装置と、を備え、極低温装置は、(i)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(ii)関心物体を照明するように構成された光源、(iii)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、(iv)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段、及び、(v)センサによってキャプチャされた関心物体を表示するための手段、を備えている。センサ及び光源を固定するための手段は、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンション、を更に備えている。
【0022】
発明の更なる目的は、極低温環境内の関心物体を画像化する及び関心物体を操作する方法を開示することである。前述の方法は、以下の工程を備え、即ち、(a)極低温環境内の関心物体を操作するための熱的に絶縁された装置を提供する工程であって、装置は、(i)関心物体を極低温環境の中へ設置するように及び関心物体を極低温環境から回収するように構成された把持器と、(ii)極低温貯蔵デバイス内の関心物体を画像化するための極低温装置と、を備え、極低温装置は、(1)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(2)関心物体を照明するように構成された光源、(3)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、(4)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段、及び、(5)センサによってキャプチャされた関心物体を表示するための手段、を備え、センサ及び光源を固定するための手段は、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンション、を更に備えている、熱的に絶縁された装置を提供する工程と、(b)以下の工程から成る群、即ち、把持器によって生物学的物体を把持する工程、極低温環境の中へ生物学的物体を設置する工程、極低温環境内の生物学的物体を画像化する工程、極低温環境から生物学的物体を回収する工程、及び、それら工程の任意の組合せ、から成る群より選択された工程を遂行する工程と、を備える。
【0023】
発明の更なる目的は、極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置を製造する方法を開示することである。前述の方法は、以下の工程を備え、即ち、(a)熱的に絶縁されたセンサの構成要素を提供する工程であって、(i)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(ii)関心物体を照明するように構成された光源、(iii)センサ及び光源を収容するシール可能なハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有し、協働してシールされたハウジングを形成するように構成された2つの部分を有する、シール可能なハウジング、(iv)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段であって、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えた手段、(v)熱的に絶縁されたセンサ装置をシールするための手段であって、Oリング及びエポキシ封入材料を更に備えた手段、(vi)センサ装置を極低温環境から熱的に絶縁するための手段であって、フィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを更に備えた手段、を備える熱的に絶縁されたセンサの構成要素を提供する工程と、(b)シール可能なハウジングの内部壁をフィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちする工程と、(c)シール可能なハウジング内にセンサ及び光源を懸下する工程と、(d)シール可能なハウジングの2つの部分の間にOリングを設置する工程と、(e)シール可能なハウジングを真空引きする工程と、(f)シール可能なハウジングをエポキシ封入材料によってシールする工程と、を備える。
【0024】
発明の更なる目的は、銀インジウムでメッキされたOリングを開示することである。
【0025】
発明の更なる目的は、極低温環境での関心物体を操作する方法を開示することであり、方法は以下の工程を備え、即ち、(a)極低温環境での関心物体を操作するための把持器を提供する工程であって、把持器は、管状部材と、管状部材内に収容されたシャフトと、を備え、シャフトは、その近位端及び遠位端を有し、近位端には、シャフトを管状部材に対して手動回転させるためのハンドルが設けられ、把持器は、管状部材へ固定されたベベルギヤを更に備え、ベベルギヤは、ピニオン及びアイドルギヤを備え、ピニオンは、シャフトの遠位端へ機械的に接続され、アイドルギヤは、管状部材へブラケット式に取り付けられたスピンドルへ機械的に接続され、スピンドルは、弾性的なやり方で関心物体を把持及び解放するのに有効なピッチを有するコイル状のばねを担持し、極低温環境の内部底表面上に位置しているときの関心物体は、ばねのコイルとコイルの間に関心物体を押圧することによって把持可能であり、把持器はストッパ部材を更に備え、把持されたときの関心物体は、ばねから関心物体を解放させるストッパとの機械的接触を実現するまで、ハンドルによってシャフト及びベベルギヤを介し手動回転可能である、把持器を提供する工程と、(b)極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置を提供する工程であって、(i)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(ii)関心物体を照明するように構成された光源、(iii)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、及び(iv)センサへ接続されていて、センサによってキャプチャされた極低温環境を視覚化するように構成されているディスプレイ、を備える熱的に絶縁されたセンサ装置を提供する工程と、(c)把持器及び熱的に絶縁されたセンサ装置を極低温装置内に固定する工程と、(d)極低温環境の底部の内部底表面上に置かれた関心物体をばねのコイルとコイルの間に押圧して関心物体を把持する工程と、(e)関心物体を熱的に絶縁されたセンサ装置の視野の中へと操作する工程と、(f)ディスプレイ上で関心物体を視覚的に識別する工程と、(g)二者択一的に、関心物体を極低温環境の外へ操作する工程か、又は、極低温環境内で関心物体とストッパの機械的接触を実現するまでばねを手動回転させることによって関心物体をばねから解放する工程と、を備える。
【0026】
発明を理解し、発明が実際にどのように実施され得るかを分かるようにするために、複数の実施形態が、添付図面を参照しながら非限定的な実施例としてこれより説明されるように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置の概念図である。
図2a】極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置の部分分解等角図である。
図2b】極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置の部分分解等角図である。
図2c】極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置の拡大等角図である。
図3】極低温環境内の関心物体を操作するための熱的に絶縁された装置の概略等角図である。
図4】極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置を製造する方法のフローチャートである。
図5】極低温環境中にそれぞれ取り付けられた熱的に絶縁されたセンサ装置と把持器の概略図である。
図6a】熱的に絶縁されたセンサ装置の前面図である。
図6b】熱的に絶縁されたセンサ装置の側面図である。
図7a】把持器の全体的な外観である。
図7b】把持器の近位部分の拡大図である。
図7c】把持器の遠位部分の拡大図である。
図8a】関心物体を把持した後の把持器の図である。
図8b】関心物体を解放する前の把持器の図である。
図9a】把持器の解放動作モードを描いている。
図9b図9aと共に、把持器の解放動作モードを描いている。
図10】極低温環境での関心物体を操作する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明は、当業者が前記発明を利用することを可能にするために提供されており、発明者によって企図されるところの、本発明を実施する最良の形態を示している。とはいえ、本発明の一般原理は、極低温環境内の関心物体を画像化するためのセンサ装置及び極低温環境内の関心物体を操作するための装置を提供するものであると具体的に定義されていることから、様々な修正形が、当業者にとって引き続き自明であるように適合されている。
【0029】
これより、極低温環境160内の関心物体を画像化するためのセンサ装置100を提示している図1を参照する。符号110は、CMOSセンサ及び照明器(図示せず)を含んでいて極低温環境160の中へ挿入可能な装置を指す。CMOSセンサからの映像信号は、ケーブルFPC120を介しコントローラ130によって受信される。得られたリアルタイム映像は、ケーブル140によってコントローラ130へ接続されたディスプレイ150によって表示される。
【0030】
次に、内部ハウジング部材113と、石英の様な光学的に透明な窓112を有するカバー111と、CMOSセンサ115と、を備えた挿入可能な装置110を示している図2a乃至図2cを参照する。LED117がCMOSセンサ115の周りに環状に配置されている。低い熱伝導率及び低温での高い強度によって特徴づけられるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(Kevlar:ケブラ)又はポリアミド繊維119によって、CMOSセンサ115及びLED117は内部ハウジング部材113内に一体に固定されている。溝121が、シール用Oリング(図示せず)を設置するために設計されている。
【0031】
Oリングは、室温にて装置を真空シールする(<10-5mbar)ために使用される。Oリングは低温でひび割れしやすいので、極低温にて装置が漏れるのを防止するために内部ハウジング部材113とカバー111の間の空間はエポキシ封入剤を充填されている。本発明の1つの実施形態によれば、Oリングは銀インジウムでメッキされている。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、内部ハウジング部材113とカバー111は、ねじ接合され、インジウムによってシールされることができる。
【0033】
CMOSセンサ115から外部に向かっての熱損失を低減するために、内部ハウジング部材113の内部壁はアルミ蒸着マイラーシート118によって裏打ちされている。
【0034】
次に、極低温環境内の関心物体を操作するための装置200を提示している図3を参照する。装置200は、支承ロッド240、把持器210、及び制御ハンドル220を備えている。把持器210は、バー240によって制御ハンドル220へ機械的に接続されている。極低温環境の画像を提供するCMOSセンサ及び関心物体を照明するように構成された照明器は、装置110の中に収容されている。ディスプレイ150は、キャプチャされた画像をユーザへ提示するように構成されている。要素210及び110を担持している装置200の部分は、極低温環境(図示せず)の中へ挿入可能であり、一方、ディスプレイ150と制御ハンドル220は外に留まり、極低温環境内の関心物体を操作する工程を可能にさせる。
【0035】
実施形態100及び200は、生物学的物体、具体的には、バイアル又は専用のホルダ(クライオトップ、クライオロック、ラピッド-Iなど)に入った凍結された精液、胚、及び卵子の様な関心物体を検査し及び操作するために設計されている。本発明は、これらの物体を極低温環境の中へ設置する工程、貯蔵中にそれらを検査する工程、及び極低温環境からそれらを回収する工程について、如何なる間違いも排除するために、それら工程の視覚的制御の技術的問題を解決する。
【0036】
次に図5を参照すると、極低温環境160と、関心物体を画像化するためのセンサ装置410と、固定用取付具165によって極低温環境160内に固定された把持器420と、を含む或る例示としての実施形態400が提示されている。
【0037】
次に、センサ装置の例示としての実施形態410の前面図及び側面図を提示している図6a及び6bを参照する。実施形態410は、ディスプレイ411と、多関節管状部材417と、極低温環境(図示せず)内にセンサ装置を固定するための取付具415と、ハンドル413と、センサ110(図2a-図2b)を収容しているケーシング419と、を含んでいる。
【0038】
次に、把持器の全体的な外観と近位部分及び遠位部分の拡大図をそれぞれ提示している図7a、図7b、及び図7cを参照する。図7aに示されている様に、把持器420は、内部シャフト(図示せず)、近位部分430、及び遠位部分450を有する管状部材440を備えている。図7bでは、近位部分430は、内部シャフト431と一体的に具現化されていてユーザの一方の手で手動回転可能であるハンドル433、を有している。内部シャフト431を管状部材440に対して回転させるときなど、管状部材440(図示せず)へ接続された部材435がユーザのもう一方の手によって保持される。図7cを参照して、遠位部分450はシャフト431へ機械的に接続された円錐状ピニオンギヤ452を含み、ピニオンギヤ452は、クランプ内にブラケット式に取り付けられたシャフト458へ接続された円錐状アイドルギヤ459と係合している。シャフト458は、その上にコイル状をしたばね457を担持している。ばね457のピッチは、ばねのコイルとコイルの間に関心物体を押圧することによって関心物体を把持するのに有効であるように選定されている。
【0039】
次に、関心物体把持後の把持器と関心物体解放前の把持器を示している図8a及び図8bを参照する。具体的には、図8aでは、位置450aにある遠位部分は、極低温環境の底部の内部表面にある関心物体を把持した後、関心物体を位置460aにて保持している。図8bは、関心物体をばねから解放する前に関心物体を位置460bへと回転させた後の遠位部分の位置450bに関している。
【0040】
次に、位置460での関心物体をばね457から解放する工程を描いている図9a及び9bを参照する。具体的には、ばねを時計回りに回転させたとき、関心物体がストッパ465に接触し、ばね457から解放される。
【0041】
次に、極低温環境での関心物体を操作する方法500のフローチャートを提示している図10を参照する。工程510と工程520では、関心物体を操作するための把持器と、関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置と、がそれぞれ提供される。把持器とセンサは極低温環境内に固定される(工程530)。極低温環境の内部底表面上に位置している関心物体が、関心物体をばねのコイルとコイルの間に押圧することによって把持される(工程540)。把持された関心物体は、センサの視野の中へと操作され(工程550)、ディスプレイ上で視覚的に識別される。必要に応じて、極低温環境内で関心物体とストッパの機械的接触を実現するまでばねを手動回転させることによって関心物体はばねから解放される(工程570a)か、又は、関心物体は極低温環境の外へ操作される(工程570b)。
【0042】
本発明によれば、極低温環境内の関心物体を画像化するためのセンサ装置が開示されている。前述の極低温装置は、(a)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(b)関心物体を照明するように構成された光源、(c)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、及び、(d)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段、を備えている。
【0043】
発明の核心的特徴は、センサ及び光源のための手段であって、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えた手段を提供することである。
【0044】
本発明の1つの実施形態によれば、極低温環境は、生物学的物体を貯蔵するための極低温デバイスである。
【0045】
本発明の更なる実施形態によれば、生物学的物体は、精液、胚、卵子、及びそれらの任意の組合せから成る群より選択される。
【0046】
本発明の更なる実施形態によれば、シールされたハウジングの内部壁は、フィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちされている。
【0047】
本発明の更なる実施形態によれば、ワイヤサスペンションはポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維又はポリアミド繊維で作られている。
【0048】
本発明の更なる実施形態によれば、光学窓は、石英で作られ、エポキシ封入剤によって開口内に接着されている。
【0049】
本発明の更なる実施形態によれば、センサはCMOSセンサである。
【0050】
本発明の更なる実施形態によれば、光源は発光ダイオードのアレイである。
【0051】
本発明の更なる実施形態によれば、アレイはセンサを周って環状形状をしている。
【0052】
発明の更なる目的は、管状部材と、管状部材内に収容されたシャフトと、を備える把持器を開示することである。シャフトは、その近位端及び遠位端を有し、近位端には、シャフトを管状部材に対して手動回転させるためのハンドルが設けられている。把持器は、管状部材へ固定されたベベルギヤを更に備えている。ベベルギヤは、ピニオン及びアイドルギヤを備えている。ピニオンはシャフトの遠位端へ機械的に接続されている。アイドルギヤは、管状部材へブラケット式に取り付けられたスピンドルへ機械的に接続されている。スピンドルは、弾性的なやり方で関心物体を把持及び解放するのに有効なピッチを有するコイル状のばねを担持している。極低温環境の内部底表面上に位置しているときの関心物体は、ばねのコイルとコイルの間に関心物体を押圧することによって把持可能である。把持器は、ストッパ部材を更に備えている。把持されたときの関心物体は、ばねから関心物体を解放させるストッパとの機械的接触を実現するまで、ハンドルによってシャフト及びベベルギヤを介し手動回転可能である。
【0053】
本発明の更なる実施形態によれば、発明の更なる目的は、極低温環境内の関心物体を操作するための装置を開示することである。前述の装置は、(a)関心物体を極低温環境の中へ設置するように及び関心物体を極低温環境から回収するように構成された把持器と、(b)極低温貯蔵デバイス内の関心物体を画像化するための極低温装置と、を備え、極低温装置は、(i)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(ii)関心物体を照明するように構成された光源、(iii)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、(iv)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段、及び、(v)センサによってキャプチャされた関心物体を表示するための手段、を備えている。センサ及び光源を固定するための手段は、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えている。
【0054】
本発明の更なる実施形態によれば、極低温環境内の関心物体を画像化する及び関心物体を操作する方法を開示することである。前述の方法は、以下の工程を備え、即ち、(a)極低温環境内の関心物体を操作するための装置を提供する工程であって、装置は、(i)関心物体を極低温環境の中へ設置するように及び関心物体を極低温環境から回収するように構成された把持器と、(ii)極低温貯蔵デバイス内の関心物体を画像化するための極低温装置と、を備え、極低温装置は、(1)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(2)関心物体を照明するように構成された光源、(3)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、(4)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段、及び、(5)センサによってキャプチャされた関心物体を表示するための手段、を備え、センサ及び光源を固定するための手段は、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えている、装置を提供する工程と、(b)以下の工程から成る群、即ち、把持器によって生物学的物体を把持する工程、極低温環境の中へ生物学的物体を設置する工程、極低温環境内の生物学的物体を画像化する工程、極低温環境から生物学的物体を回収する工程、及び、それら工程の任意の組合せ、から成る群より選択された工程を遂行する工程と、を備える。
【0055】
本発明の更なる実施形態によれば、極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置を製造する方法が開示されている。前述の方法は、以下の工程を備え、即ち、(a)熱的に絶縁されたセンサの構成要素を提供する工程であって、(i)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(ii)関心物体を照明するように構成された光源、(iii)センサ及び光源を収容するシール可能なハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有し、協働してシールされたハウジングを形成するように構成された2つの部分を有する、シール可能なハウジング、(iv)ハウジング内にセンサ及び光源を固定するための手段であって、低い熱伝導率によって特徴づけられるワイヤサスペンションを更に備えた手段、(v)熱的に絶縁されたセンサ装置をシールするための手段であって、Oリング及びエポキシ封入材料を更に備えた手段、(vi)センサ装置を極低温環境から熱的に絶縁するための手段であって、フィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを更に備えた手段、を備える熱的に絶縁されたセンサの構成要素を提供する工程と、(b)シール可能なハウジングの内部壁をフィルム状アルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで裏打ちする工程と、(c)センサ及び光源をシール可能なハウジング内に懸下する工程と、(d)シール可能なハウジングの2つの部分の間にOリングを設置する工程と、(e)シール可能なハウジングを真空引きする工程と、(f)シール可能なハウジングをエポキシ封入材料によってシールする工程と、を備える。
【0056】
本発明の更なる実施形態によれば、Oリングは銀インジウムでメッキされている。
【0057】
本発明の更なる実施形態によれば、極低温環境での関心物体を操作する方法が開示されている。前述の方法は以下の工程を備え、即ち、(a)極低温環境での関心物体を操作するための把持器を提供する工程であって、把持器は、管状部材と、管状部材内に収容されたシャフトと、を備え、シャフトは、その近位端及び遠位端を有し、近位端には、シャフトを管状部材に対して手動回転させるためのハンドルが設けられ、把持器は、管状部材へ固定されたベベルギヤを更に備え、ベベルギヤは、ピニオン及びアイドルギヤを備え、ピニオンは、シャフトの遠位端へ機械的に接続され、アイドルギヤは、管状部材へブラケット式に取り付けられたスピンドルへ機械的に接続され、スピンドルは、弾性的なやり方で関心物体を把持及び解放するのに有効なピッチを有するコイル状のばねを担持し、極低温環境の内部底表面上に位置しているときの関心物体は、ばねのコイルとコイルの間に関心物体を押圧することによって把持可能であり、把持器はストッパ部材を更に備え、把持されたときの関心物体は、ばねから関心物体を解放させるストッパとの機械的接触を実現するまで、ハンドルによってシャフト及びベベルギヤを介し手動回転可能である、把持器を提供する工程と、(b)極低温環境内の関心物体を画像化するための熱的に絶縁されたセンサ装置を提供する工程であって、(i)関心物体を画像化するように構成されたセンサ、(ii)関心物体を照明するように構成された光源、(iii)センサ及び光源を収容する真空シールされたハウジングであって、開口及び開口内に取り付けられた光学窓を有するハウジング、(iv)センサへ接続されていて、センサによってキャプチャされた極低温環境を視覚化するように構成されているディスプレイ、を備える熱的に絶縁されたセンサ装置を提供する工程と、(c)把持器及び熱的に絶縁されたセンサ装置を極低温装置内に固定する工程と、
(d)極低温環境の底部の内部底表面上に位置している関心物体をばねのコイルとコイルの間に押圧して関心物体を把持する工程と、(e)関心物体を熱的に絶縁されたセンサ装置の視野の中へと操作する工程と、(f)ディスプレイ上で関心物体を視覚的に識別する工程と、(g)二者択一的に、関心物体を極低温環境の外へ操作する工程か、又は、極低温環境内で関心物体とストッパの機械的接触を実現するまでばねを手動回転させることによって関心物体をばねから解放する工程と、を備える。
【符号の説明】
【0058】
100 センサ装置
110 極低温環境に挿入可能な装置
111 カバー
112 窓
113 内部ハウジング部材
115 CMOSセンサ
117 LED
118 アルミ蒸着マイラーシート
119 ケブラ又はポリアミド繊維
120 ケーブルFPC
121 溝
130 コントローラ
140 ケーブル
150 ディスプレイ
160 極低温環境
165 固定用取付具
200 操作するための装置
210 把持器
220 制御ハンドル
240 支承ロッド
400 実施形態
410 センサ装置
411 ディスプレイ
413 ハンドル
415 取付具
417 多関節管状部材
419 ケーシング
420 把持器
430 近位部分
431 シャフト
433 ハンドル
435 管状部材へ接続された部材
440 管状部材
450 遠位部分
450a 遠位部分の関心物体把持後保持位置
450b 遠位部分の関心物体解放前回転位置
452 円錐状ピニオンギヤ
457 コイル状ばね
458 シャフト
459 円錐状アイドルギヤ
460a 関心物体保持位置
460b 関心物体回転位置
465 ストッパ
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
【国際調査報告】