(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】脳ステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20240206BHJP
【FI】
A61F2/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570334
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2022052209
(87)【国際公開番号】W WO2022162219
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523292865
【氏名又は名称】イントレッサ・バスキュラー・エス・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヌールディヌ・フリッド
(72)【発明者】
【氏名】エリック・マルクー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097CC05
4C097CC16
4C097DD09
4C097DD10
(57)【要約】
多層構造体を有する、枝を含む動脈瘤の治療において使用するための埋め込み型管腔内プロテーゼ(1)であって、送達形態における径方向圧縮状態から径方向拡張状態へ拡張することができる、軸に沿って延在する少なくとも1つの自己拡張型編組骨格を含み、該自己拡張型編組骨格はワイヤにより形成されており、この自己拡張型編組骨格は任意の不透過カバー層を持たず、生体適合性材料で作製されている複数のワイヤ層を含み、管腔内プロテーゼの壁を形成し、各層がメッシュを形成し、該メッシュは前記層の複数のワイヤで格子を形成し、該メッシュは連結されており、該ワイヤは隣接する層のうちの少なくとも1つのメッシュに統合されており、自己拡張型編組骨格は、円形横断面および一定の直径を有する円筒形状の管腔を含む、埋め込み型管腔内プロテーゼにおいて、複数の層の異なる層は異なる表面被覆率を有し、内層の表面被覆率に対する外層の該表面被覆率の比率は少なくとも1.5であることを特徴とする、埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造体を有する、枝(3)を含む脳動脈瘤(4)の治療において使用するための脳の埋め込み型管腔内プロテーゼ(1)であって、送達形態における径方向圧縮状態から径方向拡張状態へ拡張することができる、軸に沿って延在する少なくとも1つの自己拡張型編組骨格を含み、前記自己拡張型編組骨格はワイヤにより形成されており、この自己拡張型編組骨格は任意の不透過カバー層を持たず、生体適合性材料で作製されている複数のワイヤ層(7、8、9)を含み、管腔内プロテーゼの壁を形成し、各層がメッシュを形成し、前記メッシュは前記層の複数のワイヤで格子を形成し、前記メッシュは連結されており、前記ワイヤは隣接する前記層のうちの少なくとも1つの前記メッシュに統合されており、前記自己拡張型編組骨格は、円形横断面および一定の直径を有する円筒形状の管腔を含む、埋め込み型管腔内プロテーゼ(1)において、所定の層内の管腔軸に平行な線(10、11)に交差するワイヤ数は、最内層よりも最外層において多いことを特徴とする、埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【請求項2】
前記最内層に対する前記最外層内の前記ワイヤ数は少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍である、請求項1に記載の埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【請求項3】
前記管腔内プロテーゼを形成する前記ワイヤ数は50~120本、好ましくは80~102本、好ましくは100本未満から成る、請求項1または2に記載の埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【請求項4】
3~5.5mmから成る公称直径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【請求項5】
前記管腔内プロテーゼを形成する前記ワイヤは、10~70μm、好ましくは20~50μm、より好ましくは30~40μmから成る直径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【請求項6】
内層の表面被覆率に対する外層の前記表面被覆率の比率は、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2である、請求項1から5のいずれか一項に記載の埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【請求項7】
前記最内層と前記最外層との間に配置されている少なくとも1つの中間層(8)を含み、前記中間層内の前記ワイヤ数は、前記最外層内の前記ワイヤ数と前記最内層内の前記ワイヤ数との間から成る、請求項1から6のいずれか一項に記載の埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【請求項8】
前記生体適合性材料は、チタン、ニチノールおよびニチノール・DFT(登録商標)・プラチナなどのニッケル・チタン合金、任意のタイプのステンレス鋼、またはPhynox(登録商標)などのコバルト・クロム・ニッケル合金から成る群から選択される金属基体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の埋め込み型管腔内プロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多層血管内プロテーゼ(ステント)に関する。
【背景技術】
【0002】
大脳血管系は、栄養物および他の必須の分子を供給することに加えて、血液脳関門(BBB)の重要な構成要素であり、それは、化学的性質の変動、免疫細胞の輸送、ならびに毒素および病原体の進入を制御することにより、脳微小環境の厳格な管理を維持する。
【0003】
脳の任意部分に到達するために、血液供給を3段階で示す。
【0004】
1)動脈血供給
4つの主動脈、すなわち各側の1つの内頸動脈(ICA)および1つの椎骨動脈(VA)が脳に供給する。旧来、両側の内頸動脈は前方循環と呼ばれ、一方椎骨脳底動脈系は後方循環を構成する。
【0005】
2)微小血管系血液供給
心臓血管系は、レベル0(頸動脈)からレベルN(毛細血管および細動脈)まで、これらの血管分岐の連続で構成されている。毛細血管および細動脈が血管圧および微小血管抵抗を制御する。細動脈抵抗を高めることにより動脈圧を保つことと、全領域が十分な灌流を受けて組織へ酸素を供給することを可能にすることとの間に、一定の「対立」が存在する。小血管内の抵抗の低下は、十分な抵抗による酸素灌流の平衡を維持して、系の血圧が降下しないように維持するはずである。文献に従って、細動脈内の正常血圧は、通常、30~70mmHgであり、一方、小静脈内の圧力は10mmHgから16mmHgまでである。他方、大動脈は単に導くだけであり、部位間での血液輸送を可能にする。これら大血管は非常に低い抵抗を有し、圧力制御において重要な役割を果たさない。小動脈(直径0.5mmから1mmまで)が全血管抵抗の30~40パーセントを制御し、それら小動脈と結合された細動脈(直径500μm)が、全血管抵抗の70から80パーセントまでを作り出す。該抵抗の略20から30パーセントまでが源を毛細血管および小静脈に発する。
【0006】
3)穿通枝の血管動態
穿通枝は、大脳動脈から発生する微小血管である。それらは、末端分枝(terminal division)、分岐部位、または親動脈接合部に近接しておりまたはそれらから近く、嚢状動脈瘤が最も頻繁に発生する(
図3参照)。穿通枝は、分岐フラクタルツリーで構成されている微小血管網への親動脈であり、該分岐フラクタルツリーで、流量は、効率的な輸送系を達成するために、可能な限り均等に分配される。
【0007】
分岐(branching's or bifucations)は、流れに、分岐における流量分割の過程の間、一定量の流量を失わせることができる。渦が生成されない低Re数(レイノルズ数)で、分岐角の増分が滞留効果の増大を引き起こし、最終的に分岐から離れて通常速度を回復させる。
【0008】
微小血管網は分岐フラクタルツリーで構成されており、そこで効率的な輸送系を達成するために、流量が可能な限り均等に分配される。この意味で、低Reでの分岐後の均一な速度プロファイルの発生は、流れにおける輸送効率の損失を効率的に最小限にする。
【0009】
他方、動脈瘤に起因する病変は、詳細には穿通枝を通る、周囲の流れ環境を変更する。該状態は、低Re数でも、その分岐レベルにおいて流れの滞留を引き起こすようである。該流れの障害は、全微小血管ツリーを通る血液分配に悪影響を及ぼしかつ穿通枝および毛細血管内で血栓形成を引き起こし得る狭窄を誘発し得る。
【0010】
安定性の損失および単一の単純な穿通血管への流れの欠乏は、必然的に、皮質障害およびラクナ梗塞(小梗塞)につながる。該ラクナ梗塞は、小出血および劣化に関連してしばしば見られる無症候性である。
【0011】
4)単分子層編組ワイヤメッシュ
米国特許第4,655,771号(特許文献1)により説明されている編組ワイヤメッシュが、一般的に、動脈瘤嚢内の流れを中断させるのに、減少させるのに、かつその結果として血液循環から動脈瘤を除外する凝血塊を促進するのに使用される。換言すれば、説明されているこの種のメッシュは流れを逸らすのに使用されるが、事実上、その乱流パターンを変更しない、単分子層編組である。
【0012】
効果的であるように、米国特許第4,655,771号(特許文献1)を受けて、脳動脈瘤を治療するのに使用される編組ワイヤメッシュは、低有孔性または高メッシュ密度を有さなければならない。この所望のパラメータを得るために、交差する要素間の軸方向に方向付けられた角度は、径方向に無負荷状態で約140度の高鈍角である。
【0013】
理想的には、この単分子層デバイスの主な目的は、管理された安定した血栓形成を誘発する嚢内血行動態環境を作り出すこと、および内皮化、親動脈再建の促進、jailされた側枝内に適切な流れを維持することである。
【0014】
構造体の有孔性がより低い程、嚢内血行動態がより効果的であると考えられるが、穿通枝の閉塞のリスクはより大きい。
【0015】
この種のデバイスに関する主な懸念は、
- 不安定なまたは無秩序な血栓形成および長期間に亘る動脈瘤壁の保護の欠如と密接に関連する可能性がある、治療後の遅発性出血に関連する合併症;
- デバイス内血栓症を防止するために処方された抗凝固療法と密接に関連する合併症;
- ステント内狭窄症またはステント内血栓症と密接に関連する合併症;
- デバイスによりjailされた穿通枝または他の動脈の閉塞と密接に関連する合併症
を含む。
【0016】
単分子層メッシュ設計は、枝を通る流量に影響を及ぼし得る限られた数の孔により画定されている。これらの孔数はその物理的能力よりも多くの流量を可能にすることができない。
【0017】
流量制限を強調するために例が与えられている:1枚の2次元シートメタルを採用することを考え、それを貫通してドリルで穴を開けた場合。流体が低流量でこの孔を通り抜けて流れるであろう。該流量を倍にするために、同一の大きさのもう1つの穴が流量を倍にするのに必要とされる。メタルシートの全表面の至る所により多くの穴をドリルで開けることにより、さらなる穴のための余地がなくなるまで、流量を増大し続けるであろう。米国特許第4,655,771号(特許文献1)により説明されているように、同は、至る所に均一の穴を備えた2次元編組メタルに当てはまるであろうと考えられる。
【0018】
流れが穿通枝へ分岐する場合、それはある量の流速を失い、その結果としてエネルギーを失い、それにより、以前に記載されているように助走域で再循環する。前述されている設計された制限に因り、単分子層デバイスは、該制限が流れ抵抗を高めるので、該単分子層によりjailされた穿通枝内の速度プロファイルを改善するのに役立たない。
【0019】
穿通枝の助走域における流れの滞留は狭窄症または血栓症につながる可能性がある。該文献は穿通枝閉塞率を13%と推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第4,655,771号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、多層構造体を有する、枝を含む脳動脈瘤の治療において使用するための脳埋め込み型管腔内プロテーゼであって、送達形態における径方向圧縮状態から径方向拡張状態へ拡張することができる、軸に沿って延在する少なくとも1つの自己拡張型編組骨格を含み、該自己拡張型編組骨格はワイヤにより形成されており、この自己拡張型編組骨格は任意の不透過カバー層を持たず、生体適合性材料で作製されている複数のワイヤ層を含み、管腔内プロテーゼの壁を形成し、各層がメッシュを形成し、該メッシュは前記層の複数のワイヤで格子を形成し、該メッシュは連結されており、該ワイヤは隣接する層のうちの少なくとも1つのメッシュに統合されており、自己拡張型編組骨格は、円形横断面および一定の直径を有する円筒形状の管腔を含む、脳埋め込み型管腔内プロテーゼにおいて、複数の層の異なる層は異なる表面被覆率を有し、内層の表面被覆率に対する外層の該表面被覆率の比率は少なくとも1.5であることを特徴とする、脳埋め込み型管腔内プロテーゼに関する。
【0022】
換言すれば、所定層内の管腔軸に平行な線に交差するワイヤ数は、最内層よりも最外層においてより多い。最内層に対する最外層内の該ワイヤ数の該比率は少なくとも1.5、好ましくは2であることが好ましい。
【0023】
管腔内プロテーゼを形成するワイヤ数は、少なくとも50本、好ましくは少なくとも80本、さらにより好ましくは少なくとも90本から成ることが好ましい。ワイヤ数は最大120本、より好ましくは最大102本であることが有利である。
【0024】
本発明の管腔内プロテーゼは、3~5.5mmから成る公称直径(外的制約のない直径)を有して、脳用途に特に適合されていることが有利である。
【0025】
管腔内プロテーゼを形成するワイヤは、10~70μm、好ましくは20~50μm、さらにより好ましくは30~40μmから成る直径を有することが好ましい。
【0026】
全ワイヤが同一直径を有することが有利である。
【0027】
内層の表面被覆率に対する外層の表面被覆率の比率は少なくとも2であることが有利である。
【0028】
埋め込み型管腔内プロテーゼは少なくとも3つの層を含み、中間層は、内層の表面被覆率と外層の表面被覆率の間から成る表面被覆率を有することが好ましい。換言すれば、中間層内のワイヤ数は、最外層のワイヤ数と最内層のワイヤ数との間から成る。
【0029】
埋め込み型管腔内プロテーゼの生体適合性材料は、チタン、ニチノールおよびニチノール・DFT(登録商標)・プラチナなどのニッケル・チタン合金、任意のタイプのステンレス鋼、またはPhynox(登録商標)などのコバルト・クロム・ニッケル合金から成る群から選択される金属基体を含むことが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】脳の後部に供給する椎骨動脈および前部に供給する頸動脈の概略図である。
【
図5】先行技術の単分子層ステント(Wallstent(商標))の図である。
【
図7】3つの異なる気孔率を有する、3つの組み合わせられた層の図である。
【
図8】3つの異なる気孔率を有する3つの組み合わせられた層の概略横断面図である。
【
図9】3つの異なる気孔率(すなわち、ワイヤ密度)を有する3つの組み合わせられた(または連結されたまたは編み合わされた)層の平面図である。
【
図10】本発明による埋め込み型管腔内プロテーゼの図である。
【
図11】本発明による、48/32/16のワイヤ密度を有する96本のワイヤで作製されているステントの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
3次元編みメッシュ
少なくとも追加編み合わせ(interweaved(interbraided))層を加えて、3次元編みメッシュを作製することにより、孔数は、所定の表面積のためのより多くの開放表面と共に増加する。これは、流れが、編み合わされた領域と編み込まれた領域の両方を通って起こり得ることを意味する。
【0032】
メッシュを通り抜ける流れ抵抗が、有孔性を特徴とするメッシュ形状の重要な特性である。
【0033】
(標準的なステントとしての)単分子層メッシュを通り抜けて横断する流れは限られた流量を有する。換言すれば、メッシュの1つの窓を通り抜ける流量は、その有孔性の一要素を構成する細孔容量を超えて増加しない。窓メッシュを通り抜ける流量を増加させることは、流路に対する抵抗を増大させる。
【0034】
この抵抗を低下させる唯一の方法は、広い表面上に分布され得る孔数を増加することである。
【0035】
管状メッシュ上にこれを行うことの唯一無二の可能性は、異なる連結層を備えた容積構造体(3次元)を有して、孔数を増加することである。(重なった単分子層は間に連結を有さずに孔数を増加するので、それらはより少ない孔分布を有する)
【0036】
先行技術に反して、より高いワイヤ密度、およびしたがってより高い表面被覆率(すなわち外層のみにより誘発される部分被覆率)を有する外層を有することが、流れを改善し、前記構造体でjailされた側血管上の圧力損失を低減することが発見されている。
【0037】
物理的試験:
物理的透過性試験を実施し、同一厚さを有する4つの異なる流量制限形態を用いて、流れ効率性を評価した。
- Ref: 流量制限のない基準(開放系)
(a) 1つの単分子層(
図6a)
(b) 各々同一有孔性(すなわち、ワイヤ密度2/2/2、
図6b参照)を有する、3つの独立したひとまとめにされた単分子層
(c) 層の同一窓サイズまたは同一有孔性(すなわち、ワイヤ密度2/2/2、
図6c参照)を有して連結された3つの単分子層
(d)
図6(d)および
図7から
図9までに概略的に示されている(外側層から内側層までの密度に相当するこれらの最後の数字は8/4/2の倍数である)、3つの異なる程度の有孔性を有する3つの組み合わせられた層、低ワイヤ密度(すなわち、低細孔密度)を有する下の編み(最内層)、中間の細孔密度(すなわち、中間ワイヤ密度)を有する中間の編み、および高細孔密度(すなわち、高ワイヤ密度)を有するより上の編み(最外層)。
【0038】
管腔内プロテーゼのSCRは、関係:SCR=Sw/Stによって定義される。ここで、「Sw」は、管腔内プロテーゼ内に構成されているワイヤにより覆われている実表面であり、「St」は、壁に対して垂直に観察された場合の管腔内プロテーゼの壁の全表面である。
【0039】
個々の層のSCRが、例えば、マイクロCTスキャンによりステントの3次元構造体を判定することによって判定されて、空領域および金属が占領する領域を各深さレベルで測定し、識別し、その結果を各深さレベルのSRCへ変換する。同測定は、各層内のワイヤ密度を推定するのにも使用され得る。
【0040】
水で満たされた2リットル容器を、管を介して、4mmの直径を有する放出開口部へ接続した。該放出開口部を、前述されている異なる流量制限を用いて連続して覆った。容器を空にする時間を、各形態に関して3度測定した。各場合の標準偏差は1%未満であった。
【0041】
【0042】
実際の編み合わされたステントを模倣して、異なるサンプルを3D印刷した。シミュレーションされたワイヤは約250μmの厚さであり、方眼格子として構造化した。サンプル(d)における内側から外側までのワイヤ密度は4/2/1であった。
【0043】
このデータに基づき、段階的な体積気孔率の細孔分布は抵抗を低下させ、その結果として流れを増進する。開いた表面領域は、メッシュの上流と下流との間に正の勾配圧力を誘発する。換言すれば、圧力勾配は流れを駆動する力として見られ、ここで、F=ΔP/Rである(R=流れに対してワイヤメッシュにより対抗される抵抗)。ΔP(圧力損失)の場合、流れに対する抵抗Rは低下する。
【0044】
抵抗の低下は、メッシュを横断する流れを、層流として滑らかにする。この現象は流れ灌流を増進する。
【0045】
小血管として、穿通枝は流れに対する抵抗を有し、それは脳組織の微小循環レベルで流量分布に影響を及ぼすので、メッシュの3次元体積の細孔分布は抵抗係数を低下させ、その結果として、流れおよびΔPを増大させる。
【0046】
結果として、デバイス設計は、最小限の水頭損失で、穿通枝を通り抜ける流れを増強し、安定させる能力を有する。
【0047】
Table 2(表2)は、本発明による好適な管腔内プロテーゼの例を示し、第1の例(96本のワイヤ)は
図11および
図12に対応する。
【0048】
【符号の説明】
【0049】
1 埋め込み型管腔内プロテーゼ
2 大動脈壁
3 側動脈(side artery)
5 大動脈直径
6 管腔内プロテーゼ管腔軸
7 最外層
8 中間層
9 最内層
10 最外層に交差する、管腔軸に平行な線
11 最内層に交差する、管腔軸に平行な線
12 中間層を横断する、管腔軸に平行な線
101 脳動脈
102 ウィリス輪
103 内頸動脈
104 脳底動脈
105 椎骨動脈
106 外頸動脈
107 総頸動脈
108 中大動脈
109 大脳動脈
110 軟膜脳動脈
111 穿通小動脈毛細血管(penetrating arteriole capillaries)
112 虚血領域
113 レンズ核線条体穿通枝
114 アテローム性動脈硬化プラーク
115 血栓
【国際調査報告】