(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】高温安定性エポキシ樹脂組成物及びこれを含む封止材
(51)【国際特許分類】
C08G 59/24 20060101AFI20240207BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C08G59/24
C09K3/10 L
C09K3/10 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522277
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2022005068
(87)【国際公開番号】W WO2023128067
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192147
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520069590
【氏名又は名称】ソリュース先端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】SOLUS ADVANCED MATERIALS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ホンソク
(72)【発明者】
【氏名】イム、ジョンテ
【テーマコード(参考)】
4H017
4J036
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB08
4H017AC16
4H017AD02
4H017AE05
4J036AA05
4J036AB01
4J036AB06
4J036AB07
4J036AD12
4J036AD13
4J036AJ08
4J036AJ09
4J036AJ11
4J036DA05
4J036DA10
4J036DB14
4J036DC21
4J036DC31
4J036DC40
4J036FA11
4J036FA12
4J036GA03
4J036GA06
4J036GA22
4J036GA24
4J036JA06
4J036JA07
(57)【要約】
本発明は、高温安定性エポキシ樹脂組成物及びこれを含む封止材に関し、インクジェット或いはディスペンス塗布方法など、低粘度の液体を噴射して隙間を充填させて硬化させる様々な方法に適用することができ、硬化の際に高接着力及び高温安定性の特性を有するので、有機もしくは無機発光ディスプレイ画面のガラス部品を接合、モールドすることができる高温安定性エポキシ樹脂組成物、及びこれを含む封止材に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物を含む高接着エポキシ樹脂;希釈エポキシ樹脂;及び硬化遅延剤;を含む、高温安定性エポキシ樹脂組成物:
【化1】
前記化学式1において、Gはグリシジル基含有有機基であり、X
1及びX
2はそれぞれ独立して水素又はメチル基であり、nはそれぞれ独立して1~10の整数であり、Rは置換もしくは無置換のC10~C100のアルキレン基又はアルケニレン基である。
【請求項2】
高温安定性エポキシ樹脂組成物は、高接着エポキシ樹脂5~150重量部、希釈エポキシ樹脂10~100重量部、及び硬化遅延剤0.01~1.0重量部を含む、請求項1に記載の高温安定性エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記希釈エポキシ樹脂は、i)置換もしくは無置換の炭素数5~100のアルキル基、アルキレン基、アルケニレン基を含むエポキシ樹脂、ii)シクロ脂肪族(cycloaliphatic)基を含むエポキシ樹脂、iii)芳香族エポキシ樹脂よりなる群から1種以上選択される、請求項1に記載の高温安定性エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記希釈エポキシ樹脂は、下記A-1~A-6よりなる群から選択される化合物を含んで製造される、請求項3に記載の高温安定性エポキシ樹脂組成物。
【化2】
【請求項5】
前記硬化遅延剤はアミドカルボン酸(Amide Carboxylic Acid)である、請求項1に記載の高温安定性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
熱硬化剤をさらに含む、請求項1に記載の高温安定性エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱硬化剤は潜在性熱硬化剤である、請求項6に記載の高温安定性エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の高温安定性エポキシ樹脂組成物を含む、ディスプレイ素子用封止材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温安定性エポキシ樹脂組成物及びこれを含む封止材に関し、インクジェット或いはディスペンス塗布方法など、低粘度の液体を噴射して隙間を充填して硬化させる様々な方法に適用することができ、硬化の際に高接着力及び高温安定性の特性を有する、有機もしくは無機発光ディスプレイ画面のガラス部品を接合、モールドすることができる高温安定性エポキシ樹脂組成物、及びこれを含む封止材に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイの高集積化、軽薄短小化などのユーザーの要求が変化するにつれて、封止材料は物理的、化学的にその性状と使用方法が変化してきた。従来は、電子ビーム及び蛍光物質入りの陰極線管、エミッタアレイの発光による電界放出ディスプレイ、プラズマガスの光電効果を利用したプラズマディスプレイパネル、液晶の電気的配列、動きを利用した液晶ディスプレイなどが産業界で広く使われてきたが、ディスプレイ自体の重量問題、動的画面表示の品質問題、発熱、バーンイン現象、高電力消費などの問題により、その性能と寿命が千差万別となってきた。このようなディスプレイの多様な欠点を改善するために、有機発光ディスプレイ装置が既に80年代後半から開発されてきた。有機発光ディスプレイは、従来のディスプレイに比べて低い重量を有し、優れた読み取り可能性、コントラスト比を有し、優れた電力効率と応答速度を有する。ところが、当該ディスプレイ装置もバーンイン現象、外部温度又は外部湿度の変化に対する弱点を持つということが知られている。
【0003】
従来は、かかる欠点を解決するために、高重量のガラス或いは透明無機物チャンバ内に有機発光ディスプレイ素子を閉じ込めて密封する方法を採用したが、これは、今後、製品の運用性、取り扱い信頼性及び薄型化に大きな問題を引き起こすおそれがある。ユーザーがディスプレイの形状を自由自在に調整するのに液相状態が一番有効である。このため、本発明では、従来の当面課題を解決するために、高接着力及び高温安定性の特性を有するディスプレイ素子の開発に利益となる素材を開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、インクジェット或いはディスペンス塗布方法など、低粘度の液体を噴射して隙間を充填して硬化させる様々な方法に適用することができ、硬化工程時に低レベルのガス発生が起こり、硬化の際に高接着力及び高温安定性の特性を有する、有機もしくは無機発光ディスプレイ画面のガラス部品を接合、モールドすることができる高温安定性エポキシ樹脂組成物、及びこれを含む封止材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の高温安定性エポキシ樹脂組成物は、下記化学式1で表される化合物を含む高接着エポキシ樹脂;希釈エポキシ樹脂;潜在性熱硬化剤;及び硬化遅延剤;を含むことを特徴とする。
【0006】
【0007】
前記化学式1において、Gはグリシジル基含有有機基であり、X1及びX2はそれぞれ独立して水素又はメチル基であり、nはそれぞれ独立して1~10の整数であり、Rは置換もしくは無置換のC10~C100のアルキレン基又はアルケニレン基である。
【0008】
前記高温安定性エポキシ樹脂組成物は、高接着エポキシ樹脂5~150重量部、希釈エポキシ樹脂10~100重量部、熱硬化剤0.5~5.0重量部、及び硬化遅延剤0.1~1.0重量部を含むことができる。
【0009】
前記希釈エポキシ樹脂は、i)置換もしくは無置換の炭素数5~100のアルキル基、アルキレン基、アルケニレン基を含むエポキシ樹脂、ii)シクロ脂肪族基を含むエポキシ樹脂、iii)芳香族エポキシ樹脂よりなる群から1種以上選択できる。
【0010】
前記希釈エポキシ樹脂は、下記A-1~A-6よりなる群から選択される化合物を含んで製造されることができる。
【0011】
【0012】
前記熱硬化剤は、潜在性熱硬化剤であり得る。
【0013】
前記硬化遅延剤は、アミドカルボン酸(Amide Carboxylic Acid)であり得る。
【0014】
上記目的を達成するための別の本発明のディスプレイ素子用封止材は、前記高温安定性エポキシ樹脂組成物を含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の液状エポキシ材料が持っている優れた加工性、電気的・機械的・化学的性質を有し、さらに優れた高温安定性の特性を有するので、組成物のユーザーが本材料の使用時に作業性、生産性、信頼性を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明によるエポキシ樹脂組成物についてより詳細に説明する。
【0017】
エポキシ樹脂は、硬化過程を介して、線状構造が3次元的な網状構造を有する代表的熱硬化性樹脂であって、耐熱性、耐食性、接着力、絶縁性などの物性に優れるため、電気電子材料の用途として工業的に極めて重要な位置を占めている。このようなエポキシ樹脂が電気電子材料分野に使用できる主な理由は、i)エポキシ樹脂及びその硬化剤の種類が多様であって、要求される物性を多様に提供することができ、ii)優れた接着力、機械的性質、耐化学性などの樹脂固有の物性に優れ、iii)他の熱硬化性樹脂に比べて硬化反応の際に収縮変形が小さく起こり、iv)1液型製品に適切にフォーミュレーションした場合、2液型製品への作製時に適切な硬化剤を使用した場合、保管寿命(shelf life)が長く、硬化反応の際に副産物が発生せず、v)トランスファー成形(transfer molding)、コーティング、キャスティング、手作業塗布などが可能であって複雑な形状を成形することができるため、電気部品のパッケージングに適するからである。
【0018】
また、本発明では、下記の高屈折エポキシ樹脂、希釈エポキシ樹脂及び高接着エポキシ樹脂を含むことにより、エポキシ固有の機械的、化学的、熱的性質を維持しながらも、硬化時に高接着力及び高温安定性を有する、エポキシ樹脂組成物を導出するようになった。
【0019】
(a)高接着エポキシ樹脂
本発明に係る高接着エポキシ樹脂は、下記化学式1で表される2官能性エポキシ樹脂であって、エポキシ組成物の硬化構造の寄与、ディスプレイの各基板間の応力解消、チップと基板に対する接着力の増進に使用できる。
【0020】
【0021】
前記化学式1において、Gはグリシジル基含有有機基であり、X1及びX2はそれぞれ独立して水素又はメチル基であり、nはそれぞれ独立して1~10の整数であり、Rは置換もしくは無置換のC10~C100のアルキレン基又はアルケニレン基である。
【0022】
前記化学式1で表される2官能性エポキシ樹脂としては、ジグリシジルエーテル系2官能性エポキシ樹脂が好ましく、具体的には、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ポリオレフィン付加ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ポリオレフィン付加ビスフェノールFジグリシジル型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
【0023】
本発明において、前記2官能性エポキシ樹脂は、5~150重量部で含まれることが好ましい。前記2官能性エポキシ樹脂の含有量が5重量部未満であれば、常温で製品を使用することができる時間が減少し、高温高湿信頼性に好ましい影響を与えない。また、組成物固有の硬度があまり上昇して割れやすく、接着力にも良くない影響を与えて好ましくない可能性がある。
【0024】
(b)希釈エポキシ樹脂
本発明による希釈エポキシ樹脂は、i)置換もしくは無置換の炭素数5~100のアルキル基、アルキレン基、アルケニレン基を含むエポキシ樹脂、ii)シクロ脂肪族基を含むエポキシ樹脂、iii)芳香族エポキシ樹脂よりなる群から1種以上選択されることができ、より詳細には、下記A-1~A-6よりなる群から選択される化合物から製造されることができる。
【0025】
【0026】
(c)熱硬化剤
本発明の熱硬化剤は、熱硬化性ポリマーであって、エポキシ樹脂がまともな機能を発揮するためには、これに適切な硬化剤が常に必要であり、硬化剤による硬化反応を介して、エポキシ樹脂が保有している固有の特性を発現する。従来は、アミン、酸、フェノール硬化剤などを使用し、他のプラスチック素材とは区別される接着性、電気的特性、高温高湿に対する抵抗性を持つように選別されて使用されてきた。代表的には、エポキシ樹脂とアミン硬化剤との反応は、次のとおりである。アミン硬化剤がエポキシ樹脂の環を攻撃して開環し、特定の位置に付いて大きくなったエポキシ-アミン分子が周辺のエポキシ樹脂を攻撃して連鎖反応が起こる。アミンの付いた分子がほとんど消費された後、反応が終了し、このように稠密な構造を作る反応を硬化反応と呼ぶ。この反応では、必ずヒドロキシ基が現れるようになり、接着力と製品の可使時間に有意な影響を与えるものの、耐湿性が悪くなり、信頼性が不安であって割れを起こすこともある。
【0027】
【0028】
本発明では、次のとおりに、エポキシ樹脂間の直接反応を引き起こす潜在性熱硬化剤を使用した。この反応では、前記エポキシ-アミン反応のようにヒドロキシ基が現れず、長い繊維状の分子構造を持つ硬化物を得ることができる。よって、従来のエポキシ-硬化剤反応とは異なり、長期信頼性に有利な構造を得ることができる。
【0029】
【0030】
ここに使用される潜在性熱硬化剤としては、任意の又は商業的に使用される硬化剤を含むことができる。具体的には、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムジシアンジアミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、オプトンCP-66、オプトンCP-77(株式会社ADEKA製、日本)、2-エチル-4メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、第四級アンモニウムボレート、(4-アセトキシフェニル)ベンジル(メチル)スルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、SI-B2、SI-B3、SI-B3A、SI-B4及びSI-B7(サムシン化学工業(株)製、韓国)よりなる群から選択される1種以上の化合物を使用することができる。
【0031】
本発明において、潜在性熱硬化剤は、0.5~5.0重量部で含まれることが好ましく、より好ましくは0.5~3.0重量部、よりさらに好ましくは0.5~1.5重量部であるのが良い。潜在性熱硬化剤の含有量が0.5重量部未満であれば、未硬化物が発生する可能性があって好ましくなく、潜在性熱硬化剤の含有量が1.5重量部超過であれば、常温或いは高温での可使時間の低下、硬化時の問題的な発熱リスク、及びディスペンス工程時のディスペンスニードルチップの結び-固まりをもたらすおそれがあるため、ユーザーの製品の使用に影響を及ぼすので好ましくない。
【0032】
本発明では、上述した潜在性熱硬化剤に代えて物理、化学的物性が発現すれば、一般な潜在性硬化剤を使用することができ、商業的に使用される製品を使用することができる。例えば、アジキュアMY-24、アジキュアMY-H、アジキュアPN-23、アジキュアPN-H、アジキュアPN-31、アジキュアPN-40、アジキュアPN-50、VDH、VDH-J、AH-154、ADH、DDH、SAH、IDH、SDH、LDH、UDH、アンカマイン2441、アンカマイン2442、アンカマイン2014AS、テクニキュアLC-80、テクニキュアLC-100、テクニキュアLC-214、テクニキュアMDU-11、テクニキュアPDU-250、テクニキュアIPDU-8、テクニキュアTDU-200、EH-4357、ノバキュアHX-3721、ノバキュアHX-3722、ノバキュアHX-3748、ノバキュアHX-3741、ノバキュアHX-3742、ノバキュアHX-3088、ノバキュアHX-3613、ノバキュアHX-3921HP、ノバキュアHX-3941HP、ノバキュアHX-3932HP、FXR-1081、FXR-1020、FXR-1060などを潜在性硬化剤として使用することができ、これらを単独で又は2種以上混合して使用することができる。これらの潜在性硬化剤は、エポキシ樹脂がイミダゾール硬化促進剤を包んでいるマイクロカプセル形態を持っており、80~100℃以下の高温でのみエポキシ組成物の硬化作用を促進させることができ、室温での保存安定性に寄与することができる。
【0033】
(d)硬化遅延剤を含む添加剤
本発明による添加剤は、硬化遅延剤を含むことができ、前記硬化遅延剤は、下記化学式2で表されるアミドであり得る。参考までに、通常40℃以上で保管するとき、カチオン開始剤が適用された組成物は、粘度変化が発生するが、これは、ルイス酸(Lewis acid)が発生するからである。
【0034】
【0035】
前記化学式2において、R3とR4は、互いに同一でも異なってもよく、アルキル基であり得る。
【0036】
従って、本発明は、前記硬化遅延剤の導入によって粘度変化の少ない高信頼性樹脂を得ることができる。
【0037】
参考まで、アミンは、反応性が高いため組成物添加時の高温安全性に劣るが、アミドカルボン酸(Amide Carboxylic Acid)は、下記の共鳴安定化を介してアミド反応性を低めることができ、これにより40℃以上ではカチオン熱開始剤のルイス酸と反応して硬化抑制による粘度変化を一緒に抑制することができ、これにより高温安定性を向上させることができる。
【0038】
【0039】
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて選択的に追加の添加剤をさらに含むことができる。追加の添加剤は、エポキシ組成物がチップと基板との隙間に流れ込む性質を高め、さらに隙間の空間が生じるのを防止するために使用され、例えば、BYK018、BYK019、BYK021、BYK024、BYK066N、BYK909、エトキシエタノール、モノエーテルグリコールポリエチレンなどを使用することができ、これに限定されるものではない。前記物質を単独で或いは2種以上混合して使用することが可能である。
【0040】
前記添加剤の含有量は、0.01~1.0重量部であり得る。添加剤の含有量が0.01重量部未満であれば、所望の効果を得ることができず、前記添加剤の含有量が1.0重量部超過であれば、過度に流動性が増加して物性低下をもたらすおそれがあるので、好ましくない。
【実施例】
【0041】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の保護範囲が下記実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
[実施例1~6/比較例.エポキシ樹脂組成物の製造]
下記表1の成分と含有量で希釈エポキシ樹脂及び接着エポキシ樹脂をプラネタリーミキサーに添加し、互いに均一性状となるように2時間常温、常圧で攪拌した後、硬化遅延剤及び潜在性熱硬化剤を定量して添加の後2時間常温、常圧で攪拌した。その後、真空中で脱泡した後、粘稠性の液体を得た。
【0043】
【0044】
(1)A-1:2官能液状エポキシ樹脂、(3’,4’-エポキシシクロヘキサン)メチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート[(3’,4’-Epoxycyclohexane)methyl 3,4-epoxycyclohexylcarboxylate]
(2)A-2:2官能固体状エポキシ樹脂、2H-インデノ[1,2-b:5,6-b’]ビスオキシレン(2H-Indeno[1,2-b:5,6-b’]bisoxirene)、オクタヒドロ-(octahydro-)
(3)A-3:2官能液状エポキシ樹脂、1,2-エポキシ-4-(エポキシエチル)シクロヘキサン(1,2-Epoxy-4-(epoxyethyl)cyclohexane)
(4)A-4:1官能液状エポキシ樹脂、(4-tert-ブチル-ベンジル)-オキシラン)[(4-tert-Butyl-benzyl)-oxirane]
(5)A-5:4官能液状エポキシ樹脂、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル(Pentaerythritol tetraglycidyl ether)
(6)A-6:1官能液状エポキシ樹脂、2-ビフェニルイルグリシジルエーテル(2-biphenylyl glycidyl ether)
(7)B-1:2官能液状エポキシ樹脂、ビスフェノールA-ビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体
(8)B-2:2官能液状エポキシ樹脂、2,2-Bis(4-グリシドキシフェニル)プロパン[2,2-Bis(4-glycidoxyphenyl)propane]
(9)E:添加剤、アミドカルボン酸(Amide Carboxylic Acid)化合物
(10)C:潜在性熱硬化剤、フェニルアミンボレート(Phenyl amine borate)
【0045】
[エポキシ樹脂組成物の基本評価]
前記実施例1~6で製造されたエポキシ樹脂組成物と、比較例1~2で製造されたエポキシ組成物の粘度、接着力、高温安定性(40℃)を評価し、その結果を下記表2に示す。
【0046】
【0047】
1.粘度:ブルックフィールドDV2T粘度計、コーンアンドプレート型CPA-51Zスピンドルを用いて25±5℃で測定し、30分後の粘度を記載
2.接着力:76mm×26mm×3mmのガラス板上にエポキシ組成物を0.01g塗布した後、圧着し、100℃、60分に調整されたオーブンで硬化させ、しかる後に、UTMで接着力を測定
3.高温安定性(40℃):ゴム栓でシールされたガラス瓶にエポキシ組成物と窒素ガスを充填し、40±5℃で放置し、1日単位で粘度を測定し、粘度変化率が初期粘度に対して1.2倍以下であれば記載
【0048】
前記表2に示すように、本発明の実施例1~6で製造されたエポキシ組成物は、適切な粘度レベル、高い接着力、良好な保管安定性を有することを確認することができた。特に、実施例1~6のようにアミドカルボン酸化合物を含んでいるとき、高温安定性が増加する様相を示した。特に、実施例1~6のように2官能のビスフェノールA-ビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体を使用するときに接着力と高温安定性の特性確保を示した。前記物性評価から、実施例1~6のエポキシ樹脂組成物はディスプレイ素子用封止剤の組成物として有用に使用できることを確認した。
【0049】
以上、本発明の内容の特定部分を詳細に説明したが、当業分野における通常の知識を有する者にとって、このような具体的記述は単に好適な実施形態に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものではないことは明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求の範囲とそれらの等価物によって定義されるというべきである。
【国際調査報告】