(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】食品容器用紙フタの製造方法及び食品容器用紙フタ
(51)【国際特許分類】
B31D 5/02 20170101AFI20240207BHJP
B65D 3/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B31D5/02
B65D3/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576132
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2022000123
(87)【国際公開番号】W WO2023132378
(87)【国際公開日】2023-07-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522478802
【氏名又は名称】ゴールデンパッケージ株式会社
【氏名又は名称原語表記】GOLDENPACKAGE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】586-74, Wolha-ro, Tongjin-eup, Gimpo-si, Gyeonggi-do 10010 Republicof Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ,インソク
(72)【発明者】
【氏名】イー,ドンチョル
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA07
3E075BB02
3E075CA01
3E075DC70
3E075GA03
(57)【要約】
本発明は、食品容器用紙フタの製造方法及び食品容器用紙フタに関し、その目的は、所定厚さの紙を使用して食品容器を覆い得る紙フタを製造し、紙フタの縁構造を改善することにより、食品容器のカーリング部(補強縁)とより堅実に密着した状態を保持でき、強度を著しく高めることにある。
そのために、本発明に係る食品容器用紙フタの製造方法は、上面及び下面が合成樹脂コーティング処理された原紙から、縁に放射状のシワを有するフタ成形紙を切り取るブランキング段階と、フタ成形紙に熱を加えながら圧着し、覆い板と、該覆い板の縁に沿って下方に折り曲がってなるスカート壁とを有する紙フタを成形する1次成形段階と、1次成形段階で作られた紙フタに熱を加えながら、スカート壁の大径部を下端に向かうにつれて外側に傾くように折り曲げて食品容器の上部との結合を案内するガイド部として形成し、且つ、ガイド部の上端を半円形の丸まった断面形状を有するように内側方向にカールし、食品容器の補強縁を外周で密着するように取り囲むことが可能なカーリング密着部として成形する2次成形段階と、を含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面(110)の最上部に断面形状が円形となるように外側にカールされて補強縁(111)が設けられた食品容器(100)の上部を覆うための食品容器用紙フタの製造方法であって、
上面及び下面が10~35ミクロンの厚さに合成樹脂コーティング(320)処理された原紙(300)から、紙フタ(200)の成形が可能なサイズでフタ成形紙(330)を切り取る段階であって、紙フタ(200)の成形を容易にするために、前記フタ成形紙(330)の縁に放射状にシワ(331)を形成するブランキング段階(S10)と、
前記ブランキング段階(S10)で作られた前記フタ成形紙(330)を1次成形装置(400)に供給した後、100℃~140℃の熱を加えながら圧着し、前記食品容器(100)の開放された上部を離隔して覆う覆い板(210)と、前記覆い板(210)の縁に沿って下方に折り曲がって前記食品容器(100)の補強縁(111)の外周を取り囲むように結合されるスカート壁(220)とを有する紙フタ(200)を成形する段階であって、前記スカート壁(220)が、前記覆い板(210)の縁とつながっており、下端が前記食品容器(100)の上端と接する小径部(221)と、前記小径部(221)の下端において前記食品容器(100)の補強縁(111)の上端と接触可能となるように丸まった形態の突段(222)をなしながら拡径し、前記食品容器(100)の上端部の外周を離隔して取り囲む大径部(223)とを有するように折り曲げる1次成形段階(S20)と、
前記1次成形段階(S20)で作られた紙フタ(200)を2次成形装置(500)に移動させた後、100℃~140℃の熱を加えながら、前記スカート壁(220)の大径部(223)を下端に向かうにつれて外側に傾くように折り曲げ、前記食品容器(100)の上部との結合を案内するガイド部(224)として形成し、且つ、前記ガイド部(224)の上端を、前記突段(222)の丸まった形態とつながりながら、半円形の丸まった断面形状を有するように内側方向にカールし、前記食品容器(100)の補強縁(111)の外周を密着して取り囲むことが可能なカーリング密着部(225)として成形する2次成形段階(S30)と、を含むことを特徴とする食品容器用紙フタの製造方法。
【請求項2】
前記合成樹脂コーティング(320)は、ポリエチレン(PE;polyethylene)、ポリプロピレン(PP;polypropylene)、ポリ乳酸(PLA;Polylactic Acid)、ポリエチレンテレフタレート(PET;polyethylene terephthalate)、シリコンのうち少なくともいずれか一つからなることを特徴とする、請求項1に記載の食品容器用紙フタの製造方法。
【請求項3】
前記1次成形段階(S20)では、
前記覆い板(210)の中央部位に、下方に凹入した覆い補強部(211)を成形することを特徴とする、請求項1に記載の食品容器用紙フタの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする食品容器用紙フタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品容器用紙フタの製造方法及び食品容器用紙フタに関し、より詳細には、環境にやさしい紙材料を使用し、縁をカールして強度を上げることができ、食品容器に堅実に適用することができる「食品容器用紙フタの製造方法及び該方法で製造された食品容器用紙フタ」に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品容器は、カップラーメンのような食べ物(即席食品)を収容するものから、水又は持ち帰りコーヒーのような飲料を収容できるものまで様々な分野に適用されている。最近では、環境問題を解決するために、使い捨て食品容器を紙の素材で作って使用している。
【0003】
また、使い捨て紙容器に用いられるフタも同様、環境問題を考慮して紙で作製している。大韓民国特許登録第10-0568560号(発明の名称:互換性が改善された紙フタ)には、紙を材料にして容器フタを作製し、カップ容器との安定した結合状態の保持及び外観上のよさを全て満たすための紙フタ構造が開示されている。
【0004】
大韓民国特許第10-0568560号の「互換性が改善された紙フタ」は、
図1に示すように、円形の平面状の本体部10の周縁に沿って垂直方向に折り曲げ延長されて形成されたフランジ部20と、該フランジ部20に沿って一定の間隔で短冊状に折られているシワ溝21と、前記フランジ部20と本体10とが会う内側コーナー部に沿って形成されている着脱溝11とを含むフタ体構造となっている。したがって、カップ容器30にフタ体を結合させる過程でカップ容器30のカーリング部31の直径が少しずつ異なっていてもその直径に応じてフランジ部20のサイズが変わるので、向上した互換性を有するという長所がある。
【0005】
しかしながら、上記のような「互換性が改善された紙フタ」構造では、フランジ部20のサイズが可変することにより、カップ容器30のカーリング部31からフタ体が分離しやすくなり、内容物がこぼれることがある。特に、カップ容器30のカーリング部31の上端部のみがフタ体の着脱溝11に収容されて密着した状態を保持するため、気密性を高めるには限界があり、互換性のために着脱溝11が本体10のフランジ部20と会う内側コーナー部に沿って形成されているため、フタ体が外れやすくなることもあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような短所を解決するためのものであり、発明の目的は、食品容器を覆い得る紙フタを所定厚さの紙で製造するが、紙フタの縁の構造を改善させることにより、食品容器のカーリング部(補強縁)とより堅実に密着した状態を保持でき、強度を著しく高めることができる「食品容器用紙フタの製造方法及び食品容器用紙フタ」を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような目的を達成するための本発明に係る食品容器用紙フタの製造方法は、壁面の最上部に断面形状が円形となるように外側にカールされて補強縁が設けられた食品容器の上部を覆うための食品容器用紙フタの製造方法であって、上面及び下面が10~35ミクロンの厚さに合成樹脂コーティング処理された原紙から、紙フタを成形可能なサイズでフタ成形紙を切り取るが、紙フタの成形を容易にするために、前記フタ成形紙の縁に放射状にシワを形成するブランキング段階と、前記ブランキング段階で作られた前記フタ成形紙を1次成形装置に供給した後、100℃~140℃の熱を加えながら圧着し、前記食品容器の開放された上部を離隔して覆う覆い板と、前記覆い板の縁に沿って下方に折り曲がって前記食品容器の補強縁の外周を取り囲むように結合されるスカート壁とを有する紙フタを成形するが、前記スカート壁が前記覆い板の縁とつながっており、下端が前記食品容器の上端と接する小径部と、前記小径部の下端において前記食品容器の補強縁上端と接触可能に丸まった形態の突段をなしながら拡径し、前記食品容器の上端部の外周を離隔して取り囲む大径部とを有するように折り曲げる1次成形段階と、前記1次成形段階で作られた紙フタを2次成形装置に移動させた後、100℃~140℃の熱を加えながら、前記スカート壁の大径部を下端に向かうにつれて次第に外側に傾くように折り曲げて前記食品容器の上部との結合を案内するガイド部として形成し、且つ、前記ガイド部の上端を、前記突段の丸まった形態とつながりながら、半円形の丸まった断面形状を有するように内側方向にカールし、前記食品容器の補強縁を外周で密着するように取り囲むことが可能なカーリング密着部として成形する2次成形段階と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る食品容器用紙フタの製造方法は、前記合成樹脂コーティングがポリエチレン(PE;polyethylene)、ポリプロピレン(PP;polypropylene)、ポリ乳酸(PLA;Polylactic Acid)、ポリエチレンテレフタレート(PET;polyethylene terephthalate)、シリコンの少なくともいずれか一つからなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る食品容器用紙フタの製造方法は、前記1次成形段階において前記覆い板の中央部位に、下方に凹入した覆い補強部を成形することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る食品容器用紙フタは、上記のような方法によって原紙からフタ成形紙を切り取り、このフタ成形紙で1次成形段階及び2次成形段階を経て製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のような本発明に係る食品容器用紙フタの製造方法及びこのような方法で製造された食品容器用紙フタによれば;所定の厚さの紙を用いて、食品容器を覆い得る紙フタを構成することはもとより、紙フタの縁に成形されたスカート壁は、食品容器の上端と接する小径部が形成され、小径部の下端から延長された大径部が、縁に向かうにつれて外側に傾くように折り曲がって食品容器の上部との結合を案内するガイド部として形成され、小径部と大径部との境界部位を丸まった断面形状を有するように内側方向にカールし、食品容器の補強縁を外周で密着して取り囲み得る帯状のカーリング密着部が形成される。したがって、食品容器の上部に紙フタを覆うと、スカート壁の中途に設けられたカーリング密着部が食品容器の補強縁を外周で全体的に包み、食品容器の開放された上部を堅実に覆うことができる長所がある。また、スカート壁の縁に外側に傾くように成形されたガイド部により、紙フタを食品容器の上方から下方に容易に覆うことができる作用効果がある。
【0012】
また、本発明に係る食品容器用紙フタの製造方法によれば;合成樹脂コーティングがポリエチレン(PE;polyethylene)、ポリプロピレン(PP;polypropylene)、ポリ乳酸(PLA;Polylactic Acid)、ポリエチレンテレフタレート(PET;polyethylene terephthalate)、シリコンの少なくともいずれか一つからなっており、1次成形段階及び2次成形段階で100℃~130℃の熱を加えながら紙フタが製造されるので、紙フタをより容易に且つ堅固に成形できる利点がある。
【0013】
また、本発明に係る食品容器用紙フタの製造方法によれば、覆い板の中央部位に下方に凹入した覆い補強部を成形して曲げ強度が大きくなり、よって、紙フタの製品信頼性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】大韓民国特許第10-0568560号に開示の交換性が改善された紙フタを示す図である。
【
図2】本発明が適用された食品容器と本発明に係る食品容器の紙フタを示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】本発明に係る食品容器用紙フタの製造方法を順次に示す工程ブロック図である。
【
図5】本発明に係る紙フタの製造方法においてブランキング段階を概略的に示す図である。
【
図6】本発明に係る紙フタの製造方法において1次成形段階及びこの段階で成形された紙フタを概略的に示す図である。
【
図7】本発明に係る紙フタの製造方法において2次成形段階及びこの段階で成形された紙フタを概略的に示す図である。
【
図8】本発明に係る紙フタの製造方法において2次成形段階及びこの段階で成形された紙フタを概略的に示す図である。
【
図9】本発明に係る紙フタの製造方法において2次成形段階及びこの段階で成形された紙フタを概略的に示す図である。
【
図10】本発明に係る紙フタを食品容器の上部に覆う過程を順次に示す断面図である。
【
図11】本発明に係る紙フタを食品容器の上部に覆う過程を順次に示す断面図である。
【0015】
[符号の説明]
【0016】
100:食品容器 110:壁面 111:補強縁
120:底面 200:紙フタ 210:覆い板
211:覆い補強部 220:スカート壁 221:小径部
222:突段 223:大径部 224:ガイド部
225:カーリング密着部 300:原紙 310:パルプ紙
320:合成樹脂コーティング 330:フタ成形紙 331:シワ
400:1次成形装置 500:2次成形装置 S10:ブランキング段階
S20:1次成形段階 S30:2次成形段階
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る好適な実施例を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
<本発明に係る紙フタの構成の説明>
【0019】
まず、
図2及び
図3に示すように、本発明が適用される食品容器100は、紙を材料とし、筒状の壁面110と底面120からなっており、壁面110の最上部には、断面形状が円形となるように外側にカールされた補強縁111が設けられている。食品容器100の壁面110は、パルプ単層紙を丸く巻いて、上部は広く、下部に向かって次第に狭くして両端部を重ねって接着させた、先細りの管状となっており、上部には、外側に巻いて食品容器の強度を高めるための補強縁111が形成されている。
【0020】
そして、前記のような食品容器100に適用される本発明に係る紙フタ200は、縁に放射状のシワを有するように、原紙から切り取ったフタ成形紙で成形して作製されるが、食品容器100の開放された上部を離隔して覆う覆い板210と、覆い板210の縁に沿って折り曲がって、食品容器100の補強縁111の外周を取り囲むように結合されるスカート壁220を備えている。紙フタ200の覆い板210の中央部位には、下方に凹入した覆い補強部211が成形されている。そして、紙フタ200のスカート壁220は、覆い板210の縁とつながっており、食品容器100の上端と接する小径部221と、小径部221の先端において段差をなしつつ拡径して食品容器100の最上端部の外周を離隔して取り囲むガイド部(224;大径部)と、小径部221の先端とガイド部224との境界部位を、丸まった断面形状を有するように内側方向にカールし、食品容器100の補強縁111の外周を密着して取り囲むことができるカーリング密着部225によって定義される。
【0021】
このような本発明に係る食品容器の紙フタ200は、衛生的で且つ環境にやさしいパルプ単層原紙から、紙フタ200の成形が可能なサイズでフタ成形紙を円盤状に切り取り、これらのフタ成形紙をフタ成形装置に連続して供給して作製する。
【0022】
<本発明に係る使い捨て容器用紙フタの製造方法の説明>
【0023】
次には、上記のように構成された本発明に係る紙フタの製造方法を、
図4~
図9を参照して説明する。
【0024】
本発明に係る食品容器の紙フタの製造方法は、
図4に示すように、原紙から、紙フタ200を成形できるサイズでフタ成形紙を円盤状に切り取るブランキング段階(S10)と;ブランキング段階(S10)で作られたフタ成形紙を用いて、覆い板210及びスカート壁220を有する紙フタ200を一次に成形する1次成形段階(S20)と;1次成形段階(S20)で作られた紙フタ200のスカート壁220の中途に丸まった断面形状を有するようにカーリング密着部225を成形すると同時にガイド部224を形成する2次成形段階(S30)とを含む。
【0025】
図5を参照すると、ブランキング段階(S10)は、原紙300から、紙フタ200を成形できるサイズでフタ成形紙330を円盤状に切り取る工程である。原紙300は、水分の侵入を防止するために、上面及び下面が合成樹脂でコーティング320処理された単層パルプ紙310を適用している。このような原紙300から、木型を用いて、紙フタ200を成形できるサイズでフタ成形紙330を円盤状に切り取るが(「トムソン工程」という。)、この過程で、フタ成形を容易にするために、フタ成形紙330の縁に放射状にシワ331を形成することが好ましい。すなわち、フタ成形紙330の縁に放射状に圧力をかけてシワ331を成形すると、このシワ331の線に沿って変形されながら紙フタ200の成形が容易になされる。本発明の実施例においてフタ成形紙330の原材料である原紙300は、単層パルプ紙310を適用するが、上面及び下面が合成樹脂で10~35ミクロン(μm)程度の厚さでコーティング320処理されたものを適用することが好ましい。また、原紙300に処理された合成樹脂コーティング320は、体内に吸収されず、健康上に危害のない、高分子物質の環境にやさしい合成樹脂素材を適用することが好ましく、ポリエチレン(PE;polyethylene)、ポリプロピレン(PP;polypropylene)、ポリ乳酸(PLA;Polylactic Acid)、ポリエチレンテレフタレート(PET;polyethylene terephthalate)、シリコンなどから選ばれるものを使用することができる。このような合成樹脂コーティング320は、パルプ紙310への水分侵入を防止する他、紙フタ200の成形にも役立つ。
【0026】
そして、1次成形段階(S20)は、
図6に示すように、ブランキング段階(S10)で作られたフタ成形紙330を1次成形装置400に供給して熱を加えながら、食品容器100の開放された上部を離隔して覆う覆い板210と、この覆い板210の縁に沿って下方に折り曲がって食品容器100の補強縁111の外周を取り囲むように結合されるスカート壁220とを有する紙フタ200を成形する工程である。覆い板210は、フタ成形紙330の中央部位に該当するものであり、その中央部位に下方に凹入した覆い補強部211が設けられている。覆い補強部211によって覆い板210の断面が変化して曲げ強度(FLEXURALSTRENGTH、BENDING STRENGTH)が増大し、よって、より丈夫なフタ200を作ることができる。また、1次成形段階(S20)では、スカート壁220が、覆い板210の縁とつながるとともに、下端が食品容器100の上端と接する小径部221と、この小径部221の下端(先端)において食品容器100の補強縁111の上端と接し得るように丸まった突段222をなしながら拡径して食品容器100の最上端部の外周を離隔して取り囲む大径部223を有するように、フタ成形紙330を折り曲げる。フタ成形紙330の縁には、前述したようにブランキング段階(S10)で放射状へシワ331が形成されているので、1次成形段階(S20)で小径部221及び大径部223によって定義されるスカート壁220の成形が容易になされる。
【0027】
2次成形段階(S30)は、
図7~
図9に示すように、1次成形段階(S20)で作られた紙フタ200を2次成形装置500に移動させた後、熱を加えながら、スカート壁220の大径部223を、下端(先端)に向かうにつれて外側に傾くように折り曲げてガイド部224として形成し、且つ、ガイド部224の上端を突段222の丸まった形態とつながりながら、半円形の丸まった断面形状を有するように内側方向にカールし、食品容器100の補強縁111の外周を密着して取り囲み得るカーリング密着部225として成形する工程である。ガイド部224は、食品容器100の上部との結合を容易にするためのものであり、このようなガイド部224の形成と同時にカーリング密着部225を成形することが好ましい。
【0028】
一方、本発明の実施例において、1次成形段階(S20)と2次成形段階(S30)において各成形装置(金型;400,500)がヒーターによって100℃~140℃(実施例では120℃)に余熱されている状態であり、このような状態で合成樹脂コーティング320が焼成変形するように、フタ成形紙330と一次に作られた紙フタ200を0.5~2秒の範囲以内(実施例では1秒)で熱を加えながら圧着することが好ましい。このような短時間加熱圧着工程により、フタ成形紙330の上面及び下面に処理された合成樹脂コーティング320が熱によって損傷されず、紙フタ200の成形が完了すると合成樹脂コーティング320が再び固まり、成形状態(焼成変形された状態)のままで保持される。すなわち、紙フタ200の成形が完了して合成樹脂コーティング320が冷めると、覆い板210及び小径部221と、ガイド部224及びカーリング密着部225などの成形状態がそのまま保持される。
【0029】
さらにいうと、本発明に係る製造方法で作られた紙フタ200は、
図9に示すように、スカート壁220が、覆い板210を食品容器100の開放部と離隔させるための小径部221と、小径部221の下端において食品容器100の補強縁111の上端と接し得るように丸まった形態の突段222を形成しながら拡径し、先端に向かうにつれて外側に傾くように折り曲がって食品容器100の上部との結合を案内するガイド部224と、ガイド部224の上端に、突段222とつながりながら、半円の丸まった断面形状を有するように内側方向にカールされ、食品容器100の補強縁111の外周を密着して取り囲み得るカーリング密着部225とを備える。
【0030】
これにより、
図10及び
図11に示すように、食品容器100に紙フタ200を上方から押して覆うと(
図10の矢印方向参照)、スカート壁220の中途に設けられたカーリング密着部225が食品容器100の補強縁111を外周で全体的に密着するように包み、食品容器100の開放された上部を堅実に覆うことができる。また、スカート壁220の縁に外側に傾くように成形されたガイド部224により、紙フタ200を食品容器100の上方から下方に容易に覆うことができ、このような構成により、自動化ラインにおいても紙フタ200を適用し、食品容器100を上方から下方に容易に押して覆うことができる。
【0031】
そして、本発明に係る食品容器用紙フタ200は、1次成形段階(S20)及び2次成形段階(S30)で100℃~130℃の熱を加えながら紙フタ200を製造するので、合成樹脂コーティング320の層が焼成変形し、より容易に且つ堅固に成形される。
【0032】
また、本発明に係る食品容器用紙フタ200は、覆い板210の中央部位に下方に凹入した覆い補強部211が成形されて曲げ強度が大きくなり、よって、紙フタ200の製品信頼性をより向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、環境にやさしい素材である紙材料を使用し、縁をカールして強度を高め、食品容器に堅実に適用できる「食品容器用紙フタの製造方法及び食品容器用紙フタ」の分野に幅広く利用可能である。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁
面の最上部に断面形状が円形となるように外側にカールされて補強
縁が設けられた食品容
器の上部を覆うための食品容器用紙フタの製造方法であって、
上面及び下面が10~35ミクロンの厚さに合成樹脂コーティン
グ処理された原
紙から、紙フ
タの成形が可能なサイズでフタ成形
紙を切り取る段階であって、紙フ
タの成形を容易にするために、前記フタ成形
紙の縁に放射状にシ
ワを形成するブランキング段
階と、
前記ブランキング段
階で作られた前記フタ成形
紙を1次成形装
置に供給した後、100℃~140℃の熱を加えながら圧着し、前記食品容
器の開放された上部を離隔して覆う覆い
板と、前記覆い
板の縁に沿って下方に折り曲がって前記食品容
器の補強
縁の外周を取り囲むように結合されるスカート
壁とを有する紙フ
タを成形する段階であって、前記スカート
壁が、前記覆い
板の縁とつながっており、下端が前記食品容
器の上端と接する小径
部と、前記小径
部の下端において前記食品容
器の補強
縁の上端と接触可能となるように丸まった形態の突
段をなしながら拡径し、前記食品容
器の上端部の外周を離隔して取り囲む大径
部とを有するように折り曲げる1次成形段
階と、
前記1次成形段
階で作られた紙フ
タを2次成形装
置に移動させた後、100℃~140℃の熱を加えながら、前記スカート
壁の大径
部を下端に向かうにつれて外側に傾くように折り曲げ、前記食品容
器の上部との結合を案内するガイド
部として形成し、且つ、前記ガイド
部の上端を、前記突
段の丸まった形態とつながりながら、半円形の丸まった断面形状を有するように内側方向にカールし、前記食品容
器の補強
縁の外周を密着して取り囲むことが可能なカーリング密着
部として成形する2次成形段
階と、を含むことを特徴とする食品容器用紙フタの製造方法。
【請求項2】
前記合成樹脂コーティン
グは、ポリエチレン(PE;polyethylene)、ポリプロピレン(PP;polypropylene)、ポリ乳酸(PLA;Polylactic Acid)、ポリエチレンテレフタレート(PET;polyethylene terephthalate)、シリコンのうち少なくともいずれか一つからなることを特徴とする、請求項1に記載の食品容器用紙フタの製造方法。
【請求項3】
前記1次成形段
階では、
前記覆い
板の中央部位に、下方に凹入した覆い補強
部を成形することを特徴とする、請求項1に記載の食品容器用紙フタの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする食品容器用紙フタ。
【国際調査報告】