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特表2024-506776絶縁ガラスユニット、当該絶縁ガラスユニットを製造する方法、及び当該絶縁ガラスユニット内で動的シェードを操作する方法、基材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】絶縁ガラスユニット、当該絶縁ガラスユニットを製造する方法、及び当該絶縁ガラスユニット内で動的シェードを操作する方法、基材
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20240207BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20240207BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20240207BHJP
   G02B 26/02 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
E06B9/264 A
H05B3/20 397C
E06B9/24 C
G02B26/02 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536986
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 IB2021062199
(87)【国際公開番号】W WO2022144705
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/138,528
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517413513
【氏名又は名称】ガーディアン・グラス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN GLASS, LLC
【住所又は居所原語表記】2300 Harmon Road, Auburn Hills, MI 48326-1714 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】コスクリクス ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】フィンチ ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス デヴィッド
【テーマコード(参考)】
2E043
2H141
3K034
【Fターム(参考)】
2E043AB03
2E043BB04
2H141MA04
2H141MB02
2H141MB52
2H141MC06
2H141MD03
2H141MF22
3K034AA03
3K034AA06
3K034AA15
3K034BA08
3K034BB05
3K034JA01
(57)【要約】
絶縁ガラス(IG)ユニットと共に使用可能な電気電位駆動シェード、当該シェードを含むIGユニット、及び/又は関連する方法。当該ユニットでは、動的シェードは、IGユニットを画定する基材(102、104)間に位置しており、後退位置と伸長位置との間で移動可能である。動的シェードは、透明導電体、及び絶縁体膜又は誘電体膜、並びにシャッタ(312)を含む、ガラス上の層を含む。シャッタは、弾性ポリマーベースの層及び導電性層を含む。第1の電圧が、透明導電体に印加されてシャッタを閉位置に伸長させ、第2の電圧が、停止部(504)に印加されてシャッタ(312)を閉位置に静電的に保持する。第1の電圧レベル及び第2の電圧レベルは、シャッタ(312)が閉位置に伸長されると低減されることができ、第1の電圧レベルへの低減は、第2の電圧レベルへの低減よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガラス(IG)ユニットであって、
第1の基材及び第2の基材であって、前記第1の基材及び前記第2の基材の各々が内部主表面及び外部主表面を有し、前記第1の基材の前記内部主表面が、前記第2の基材の前記内部主表面に面している、第1の基材及び第2の基材と、
スペーサシステムであって、前記第1の基材及び前記第2の基材を互いに実質的に平行に離間した関係に維持するのを助け、前記第1の基材と前記第2の基材との間に間隙を画定するように構成されている、スペーサシステムと、
アンカー及び停止部であって、前記停止部の少なくとも一部分が導電性である、アンカー及び停止部と、
少なくとも前記第1の基材と前記第2の基材との間に挿入された動的に制御可能なシェードであって、前記シェードは、
前記第1の基材の前記内部主表面上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層、
前記第1の導電性層の、前記第1の基材とは反対の側において、前記第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層、及び
第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、前記シャッタが、前記アンカーから前記停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ前記停止部から前記アンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタを含む、動的に制御可能なシェードと、
前記停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供された第2の誘電体層と、
制御回路であって、
前記可撓性基材を前記シャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層への第1の電圧、並びに
前記可撓性基材を前記停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、前記停止部の前記導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成されている、制御回路と、を備える、絶縁ガラス(IG)ユニット。
【請求項2】
前記停止部が、アルミニウム押出品を含む、請求項1に記載のIGユニット。
【請求項3】
前記停止部が、真鍮シムを含む、請求項1に記載のIGユニット。
【請求項4】
前記第2の誘電体層が、ポリイミドを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項5】
前記第1の導電性層が、第1の電極の一部を形成しており、前記第2の導電性層が、第2の電極の一部を形成しており、前記停止部の前記導電性部分が、第3の電極の一部を形成しており、前記第3の電極が、前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層から電気的に絶縁され、前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層とは独立して制御可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項6】
前記停止部の前記アンカーに面する表面が、前記シェードが前記シャッタ閉位置に伸長したときに、前記シェードの端部分を受け入れるように成形されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項7】
前記シェードの端部分が、前記シェードが前記シャッタ閉位置に伸長されたときにロール状であり、前記停止部の前記アンカーに面する表面が、前記シェードの前記ロール状端部分を受け入れるための湾曲部を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項8】
前記制御回路が、前記シャッタが前記シャッタ閉位置に保持されているときに、前記第1の導電性層に第3の電圧を提供するように更に構成されており、前記第3の電圧が、前記第1の電圧よりも低い、請求項1~7のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項9】
前記制御回路が、前記シャッタが前記シャッタ閉位置に保持されているときに、前記停止部の前記導電性部分に第4の電圧を提供するように更に構成されており、前記第4の電圧が、前記第2の電圧よりも低い、請求項1~8のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項10】
前記第4の電圧が、前記第3の電圧よりも高い、請求項9に記載のIGユニット。
【請求項11】
前記第1の電圧及び前記第2の電圧が同じである、請求項1~10のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項12】
前記制御回路が、前記第1の導電性層と電源との間に結合された第1のハーフブリッジ回路と、前記第2の導電性層と前記電源との間に結合された第2のハーフブリッジ回路と、前記停止部の前記導電性部分と前記電源との間に結合された第3のハーフブリッジ回路と、を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項13】
前記第1のハーフブリッジ回路及び前記第2のハーフブリッジ回路が、前記第1の電圧を提供するように制御され、前記第3のハーフブリッジ回路が、前記第2の電圧を提供するように制御される、請求項12に記載のIGユニット。
【請求項14】
前記制御回路が、前記可撓性基材を前記シャッタ閉位置に駆動するための前記第1の静電力が前記第1の電圧に基づいて生成された後に、前記停止部の前記導電性部分に前記第2の電圧を提供するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項15】
基材であって、
アンカー及び停止部であって、前記停止部の少なくとも一部分が導電性である、アンカー及び停止部と、
前記基材上に提供された動的に制御可能なシェードであって、前記シェードが、
前記基材上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層、
前記第1の導電性層の、前記基材とは反対の側において、前記第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層、及び
第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、前記シャッタが、前記アンカーから前記停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ前記停止部から前記アンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタを含む、動的に制御可能なシェードと、
前記停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供された第2の誘電体層と、を備え、
前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層並びに前記停止部の前記導電性部分が、全て、
前記可撓性基材を前記シャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層への第1の電圧、並びに
前記可撓性基材を前記停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、前記停止部の前記導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成された制御回路に接続可能である、基材。
【請求項16】
前記停止部の前記アンカーに面する表面が、前記シェードが前記シャッタ閉位置に伸長したときに前記シェードの端部分を受け入れるように成形されている、請求項15に記載の基材。
【請求項17】
前記シェードの前記端部分が、前記シェードが前記シャッタ閉位置に伸長されたときにロール状であり、前記停止部の前記アンカーに面する表面が、前記シェードの前記ロール状端部分を受け入れるための湾曲部を含む、請求項16に記載の基材。
【請求項18】
前記シャッタが前記シャッタ閉位置に保持されているときに、前記第1の導電性層に第3の電圧を提供可能であり、前記第3の電圧が、前記第1の電圧よりも低く、
前記シャッタが前記シャッタ閉位置に保持されているときに、前記停止部の前記導電性部分に第4の電圧を提供可能であり、前記第4の電圧が、前記第2の電圧よりも低く、前記第3の電圧よりも高い、請求項15~17のいずれか一項に記載の基材。
【請求項19】
前記制御回路が、前記第1の導電性層と電源との間に結合された第1のハーフブリッジ回路と、前記第2の導電性層と前記電源との間に結合された第2のハーフブリッジ回路と、前記停止部の前記導電性部分と前記電源との間に結合された第3のハーフブリッジ回路と、を含み、前記第1のハーフブリッジ回路及び前記第2のハーフブリッジ回路が、前記第1の電圧を提供するように制御され、前記第3のハーフブリッジ回路が、前記第2の電圧を提供するように制御される、請求項15~18のいずれか一項に記載の基材。
【請求項20】
絶縁ガラス(IG)ユニットの製造方法であって、前記方法が、
第1の基材及び第2の基材を有することであって、前記第1の基材及び前記第2の基材の各々が内部主表面及び外部主表面を有し、前記第1の基材の前記内部主表面が、前記第2の基材の前記内部主表面に面している、有することと、
アンカー及び停止部を提供することであって、前記停止部の少なくとも一部分が導電性であり、第2の誘電体層が、前記停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供されている、提供することと、
前記第1の基材及び/又は前記第2の基材上に動的に制御可能なシェードを提供することであって、前記シェードが、
前記第1の基材の前記内部主表面上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層、
前記第1の導電性層の、前記第1の基材とは反対の側において、前記第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層、及び
第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、前記シャッタが、前記アンカーから前記停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ前記停止部から前記アンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタを含む、提供することと、
前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層並びに前記停止部の前記導電性部分を制御回路に接続することであって、前記制御回路が、(a)前記可撓性基材を前記シャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層への第1の電圧、並びに(b)前記可撓性基材を前記停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、前記停止部の前記導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成されている、接続することと、
前記第1の基材及び前記第2の基材を、間隙がそれらの間に画定され、前記動的に制御可能なシェードが前記間隙に位置するように、実質的に平行な離間した関係で互いに接続することと、を含む、方法。
【請求項21】
前記停止部の前記アンカーに面する表面が、前記シェードが前記シャッタ閉位置に伸長したときに前記シェードの端部分を受け入れるように成形されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シェードの前記端部分が、前記シェードが前記シャッタ閉位置に伸長されたときにロール状であり、前記停止部の前記アンカーに面する表面が、前記シェードの前記ロール状端部分を受け入れるための湾曲部を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記シャッタが前記シャッタ閉位置に保持されているときに、前記第1の導電性層に第3の電圧を提供可能であり、前記第3の電圧が、前記第1の電圧よりも低く、
前記シャッタが前記シャッタ閉位置に保持されているときに、前記停止部の前記導電性部分に第4の電圧を提供可能であり、前記第4の電圧が、前記第2の電圧よりも低く、前記第3の電圧よりも高い、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
絶縁ガラス(IG)ユニット内で動的シェードを操作する方法であって、前記方法が、
請求項1~14のいずれか一項に記載のIGユニットを有することと、
前記第1の電圧を前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層に提供し、前記可撓性基材を前記シャッタ閉位置に駆動することと、
前記第2の電圧を前記停止部の前記導電性部分に提供し、前記可撓性基材を前記停止部に静電的にラッチするのを助けることと、
前記可撓性基材を前記シャッタ開位置に戻すことと、を含む、方法。
【請求項25】
前記シャッタが前記シャッタ閉位置に保持されているときに、前記第1の導電性層に第3の電圧を提供することを更に含み、前記第3の電圧が、前記第1の電圧よりも低い、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記シャッタが前記シャッタ閉位置に保持されているときに、前記停止部の前記導電性部分に第4の電圧を提供することを更に含み、前記第4の電圧が、前記第2の電圧よりも低い、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第4の電圧が、前記第3の電圧よりも高い、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の電圧及び前記第2の電圧が同じである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記停止部が、アルミニウム押出品又は真鍮シムである、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の導電性層が、第1の電極の一部を形成しており、前記第2の導電性層が、第2の電極の一部を形成しており、前記停止部の前記導電性部分が、第3の電極の一部を形成しており、前記第3の電極が、前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層から電気的に絶縁され、前記第1の導電性層及び前記第2の導電性層とは独立して制御可能である、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記停止部の前記アンカーに面する表面が、前記シェードが前記シャッタ閉位置に伸長したときに前記シェードの端部分を受け入れるように成形されている、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年7月15日に出願された米国特許出願第16/947,014号及び2020年2月03日に出願された米国特許出願第16/779,927号の一部継続出願である、2020年12月30日に出願された米国特許出願第17/138,528号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願は参照によりそれらの全体が援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明の特定の例示的実施形態は、絶縁ガラスユニット(insulating glass unit、IGユニット又はIGU)と共に使用され得るシェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。より具体的には、本発明の特定の例示的実施形態は、IGユニットと共に使用され得る、電位駆動シェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。
【背景技術及び発明の概要】
【0003】
建築部門は、世界の一次エネルギー消費の30~40%に相当することが示されている、そのエネルギー消費が高いことで知られている。特に、エネルギー効率の厳格性の低い建築基準で構築された古い構造体では、加熱、冷却、換気、及び照明などの運用コストが、この消費の大部分を占める。
【0004】
窓は、例えば、自然光、新鮮な空気、アクセス、及び外部世界への接続を提供する。しかしながら、それらはしばしば、無駄なエネルギーの重大な原因の典型でもある。建築用窓の使用を増加させる傾向が高まり、エネルギー効率及び人間の快適性の相反する利益をバランスさせることは、ますます重要になってきている。更に、地球温暖化及び二酸化炭素排出量に関する懸念が、新規なエネルギー効率の高いグレージングシステムの推進力になっている。
【0005】
この点に関して、窓は通常、建物の隔離において「弱いリンク」であり、ガラスのファサード全体を含むことが多い現代の建築設計を考慮すると、エネルギー浪費を制御及び低減する点で、より優れた絶縁窓を持つことが有利であろうことが明らかになる。したがって、絶縁性の高い窓の開発には、環境的にも経済的にも大きな利点がある。
【0006】
絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)が開発されており、建物及び他の構造物の絶縁性が向上している。図1は、例示的なIGユニットの断面概略図である。図1の例示的なIGユニットでは、第1の基材102及び第2の基材104は、実質的に平行であり、互いに離間している。スペーサシステム106は、第1の基材102及び第2の基材104の周辺部に提供され、基材を互いに実質的に平行に離間した関係に維持し、基材の間に間隙又は空間108を画定するのに役立つ。間隙108は、例えば、全体的なIGユニットの絶縁特性を改善するために、場合によっては不活性ガス(例えば、Ar、Kr、Xeなど)で少なくとも部分的に充填されてもよい。場合によっては、スペーサシステム106に加えて、任意選択の外側シールが提供されてもよい。
【0007】
窓は、冬の太陽光取得及び一年中の昼光の形態で建物に「エネルギーを供給する」能力を有するという点で、ほとんどの建物において固有の要素である。しかしながら、現在の窓技術は、多くの場合、冬の過剰な暖房コスト、夏の過剰な冷房コストにつながることが多く、多くの場合、光源の市販品の多くにおいて光が暗色化されるか又はオフにされることを可能にするという昼光の利益を捕捉し損ねている。
【0008】
薄膜技術は、窓性能を改善する1つの有望な方法である。薄膜は、例えば、製造中にガラス上に直接適用することができ、それに対応してより低コストで既に既存の窓に後付けすることができるポリマーウェブ上に適用することができる。過去20年間にわたって進歩が行われており、主に、静的又は「受動的」低放射率(低E)コーティングを使用することにより窓のU値を下げ、並びにスペクトル選択的低Eコーティングを使用することにより、太陽熱利得係数(solar heat gain coefficient、SHGC)を低減することによって、進歩が行われてきた。低Eコーティングは、例えば、図1に示され、図1に関連して記載されているものなどのIGユニットと関連して使用され得る。しかしながら、更なる強化が可能である。
【0009】
例えば、建物などへの改善された絶縁を提供するという要望を考慮に入れたより動的なIGユニットオプションを提供することが望ましいであろうことは、太陽が建物の内部に「エネルギーを供給」する能力を利用し、また、より「オンデマンド」方式でプライバシーを提供することが望ましいことが理解されるであろう。このような製品は、美的外観も満足することが望ましいことが理解されるであろう。
【0010】
特定の例示的実施形態は、これら及び/又は他の懸念事項に対処する。例えば、本発明の特定の例示的実施形態は、IGユニットと共に使用され得る電位駆動シェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。
【0011】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットが提供される。第1の基材及び第2の基材は、それぞれが内部主表面及び外部主表面を有し、第1の基材の内部主表面は、第2の基材の内部主表面に面している。スペーサシステムは、第1の基材及び第2の基材を互いに対して実質的に平行に離間した関係に維持し、それらの間に間隙を画定するのに役立つ。アンカー及び停止部が提供されており、停止部の少なくとも一部分は導電性である。動的に制御可能なシェードは、第1の基材と第2の基材との間に挿入される。シェードは、第1の基材の内部主表面上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層と、第1の導電性層の、第1の基材とは反対の側において、第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層と、第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、シャッタは、アンカーから停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ停止部からアンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含む。第2の誘電体層が、停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供されている。制御回路が、可撓性基材をシャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、第1の導電性層及び第2の導電性層への第1の電圧、並びに可撓性基材を停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、停止部の導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成されている。
【0012】
特定の例示的実施形態では、アンカー及び停止部を含む基材が提供され、停止部の少なくとも一部分は導電性である。動的に制御可能なシェードがその上に提供されており、シェードは、基材上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層と、第1の導電性層の、基材とは反対の側において、第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層と、第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、シャッタは、アンカーから停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ停止部からアンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含む。第2の誘電体層が、停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供されている。第1の導電性層及び第2の導電性層並びに停止部の導電性部分は、全て、可撓性基材をシャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、第1の導電性層及び第2の導電性層への第1の電圧、並びに可撓性基材を停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、停止部の導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成された制御回路に接続可能である。
【0013】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットの製造方法が提供される。方法は、第1の基材及び第2の基材であって、各々が内部主表面及び外部主表面を有し、第1の基材の内部主表面が、第2の基材の内部主表面に面している、第1の基材及び第2の基材を有することを含む。アンカー及び停止部が提供されている。停止部の少なくとも一部分が導電性である。第2の誘電体層が、停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供されている。動的に制御可能なシェードが、第1の基材及び/又は第2の基材上に提供されており、シェードは、第1の基材の内部主表面上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層と、第1の導電性層の、第1の基材とは反対の側において、第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層と、第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、シャッタは、アンカーから停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ停止部からアンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含む。第1の導電性層及び第2の導電性層並びに停止部の導電性部分は、制御回路に接続されており、制御回路は、(a)可撓性基材をシャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、第1の導電性層及び第2の導電性層への第1の電圧、並びに(b)可撓性基材を停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、停止部の導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成されている。第1の基材及び第2の基材は、間隙がそれらの間に画定され、動的に制御可能なシェードが間隙に位置するように、実質的に平行に離間した関係で互いに接続される。
【0014】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニット内で動的シェードを操作する方法が提供される。本方法は、本明細書に開示される技術に従って製造されたIGユニットを有することと、電源を選択的に作動させて、シャッタ開位置とシャッタ閉位置との間でポリマー基材を移動させることと、を含む。
【0015】
本明細書に記載の特徴、態様、利点、及び例示的実施形態は、更なる実施形態を実現するために組み合わされてもよい。
【0016】
これら及び他の特徴及び利点は、図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より良好かつより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示的な絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)の断面概略図である。
【0018】
図2】特定の例示的実施形態に関連して使用され得る、電位駆動シェードを組み込んだ例示的なIGUの断面概略図である。
【0019】
図3】特定の例示的実施形態による、シャッタ動作を可能にする、図2の実施例IGUの、例示的なガラス上の構成要素を示す断面図である。
【0020】
図4】特定の例示的実施形態による、図2の実施例IGUからの例示的なシャッタの断面図である。
【0021】
図5】特定の例示的実施形態による、図3の実施例からのガラス上の構成要素と図4の実施例からのシャッタ構成要素とを組み込んだ基材の平面図である。
【0022】
図6】特定の例示的実施形態による、2つの独立した電圧源を使用して実装された静電後退特徴を有する第1の例示的なシェードの概略図である。
【0023】
図7】特定の例示的実施形態による、電圧源を使用して実装された静電後退特徴を有する第2の例示的なシェードの概略図である。
【0024】
図8】特定の例示的実施形態による、静電後退に関連して使用可能な第1のシャッタの断面図である。
【0025】
図9】特定の例示的実施形態による、静電後退に関連して使用可能な第2のシャッタの断面図である。
【0026】
図10】特定の例示的実施形態による、静電後退に関連して使用可能な第3のシャッタの断面図である。
【0027】
図11】特定の例示的実施形態による、静電ラッチ停止バーを組み込んだ動的シェードシステムの一部分の概略図である。
【0028】
図12図11のシェードシステムが特定の例示的実施形態においてどのように動作し得るかを詳述するフローチャートである。
【0029】
図13】特定の例示的実施形態による、ラッチ停止バーを含むシャッタの動作を制御するための例示的システムの概略図である。
【0030】
図14】特定の例示的実施形態による、図13に関連して使用可能なコントローラの一部であり得る例示的な制御回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の特定の例示的実施形態は、IGユニットと共に使用され得る電位駆動シェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。ここでより詳細に図面を参照すると、図2は、特定の例示的実施形態に関連して使用され得る電位駆動シェードを組み込んだ例示的な絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)の断面概略図である。より具体的には、図2は、実質的に平行に離間した第1のガラス基材102及び第2のガラス基材104が、スペーサシステム106を使用して互いに分離され、間隙108がそれらの間に画定される点で、図1と同様である。第1の電位駆動シェード202a及び第2の電位駆動シェード202bは、それぞれ、第1の基材102及び第2の基材104の内側主表面に近接する間隙108内に提供される。以下に提供される説明から明確になるように、シェード202a及び202bは、シェード202aと202bと、基材102及び104の内面にそれぞれ形成された導電性コーティングとの間の電位差の生成によって制御される。また、以下に提供される説明から明確になるように、それぞれのシェード202a及び202bは、導電性コーティング(例えば、Al、Cr、ITOなどを含む層を含むコーティング)でコーティングされたポリマー膜を使用して作成され得る。アルミニウムコーティングされたシェードは、可視光の部分-完全反射、及び最大でかなりの量の総太陽エネルギーを提供し得る。
【0032】
シェード202a及び202bは通常、(例えば、巻き上げられて)後退されるが、例えば、「従来の」ブラインドのように、基材102及び104の少なくとも一部分を覆うために、適切な電圧が印加されたときに急速に伸長する(例えば、展開する)。巻き上げシェードは、非常に小さい直径を有してもよく、典型的には、第1の基材102と第2の基材104との間の間隙108の幅よりもはるかに小さくなり、これにより、それらの間で機能することができ、巻き上げられるときに本質的に視界から隠され得る。展開されたシェード202a及び202bは、それらのそれぞれ隣接する基材102及び104に強く付着する。
【0033】
シェード202a及び202bは、基材102及び104の可視又は「フレーム」領域の垂直長さの全て又は一部分に沿って、後退構成から伸長構成まで延びる。後退構成では、シェード202a及び202bは、フレーム領域を通る放射透過を実質的に可能にする第1の表面積を有する。伸長構成では、シェード202a及び202bは、フレーム領域を通る放射透過を実質的に制御する第2の表面積を有する。シェード202a及び202bは、それらが取り付けられる基材102及び104のフレーム領域の水平幅の全て又は一部分にわたって延在する幅を有してもよい。
【0034】
それぞれのシェード202a及び202bは、第1の基材102と第2の基材104との間に配設され、好ましくは、それぞれが、基材の頂部付近で、1つの端部で基材の内面(又は基材の上に配置された誘電体若しくは他の層)に取り付けられる。この点で、接着剤層を使用してもよい。図2では、シェード202a及び202bは、部分的に展開されて(部分的に伸長されて)示されている。シェード202a及び202b、並びに任意の接着剤層又は他の取り付け構造は、好ましくは、シェード202a及び202bが少なくとも部分的に展開されたときにのみ見られるように、視界から隠される。
【0035】
完全に巻き上げられたシェードの直径は、好ましくは約1~5mmであるが、特定の例示的実施形態では5mm超であってもよい。好ましくは、巻き上げられたシェードの直径は、迅速かつ繰り返される展開及び巻き上げ操作を容易にするために、典型的には約10~25mm(場合によっては10~15mm)である間隙108の幅以下である。図2の実施例では2つのシェード202a及び202bが示されているが、特定の例示的実施形態では1つのシェードのみが提供されてもよく、また、1つのシェードが内側又は外側基材102又は104のいずれかの内側表面上に提供されてもよいことも理解されよう。2つのシェードがある例示的な実施形態では、その組み合わせ直径は、例えば、両方のシェードの展開及び巻き上げ操作を容易にするために、好ましくは、間隙108の幅以下であることが好ましい。
【0036】
シェード202a及び202bを駆動するのに役立つ電子コントローラが提供されてもよい。電子コントローラは、例えば、好適なリード線などを介して、シェード202a及び202b並びに基材102及び104に電気的に接続されてもよい。リード線は、組み立てられたIGユニットを介して見えないようにすることができる。電子コントローラは、それぞれ、基材102及び104内の導電性層に対して、出力電圧をシェード202a及び202bに提供するように構成される。特定の例示的実施形態では、シェード202a及び202bを駆動するためにDC約100~600Vの範囲の出力電圧を使用することができる。この点に関して、外部AC又はDC電源、DC電池などが使用されてもよい。例えば、シェード202a及び202b、基材102及び104上の層などを含む製造パラメータ及び材料に応じて、より高い又はより低い出力電圧が提供され得ることが理解されるであろう。
【0037】
コントローラは、例えば、シェード202a及び202bが後退又は延長されるべきかどうかを示すために、手動スイッチ、遠隔(例えば、無線)制御、又は他の入力装置に連結されてもよい。特定の例示的実施形態では、電子コントローラは、制御信号を受信して復号するための命令を記憶するメモリに動作可能に結合されたプロセッサを含んでもよく、制御信号は、電圧を選択的に印加して、シェード202a及び202bの伸長及び/又は後退を制御する。他の機能が実現され得る更なる命令が提供されてもよい。例えば、ユーザ指定の又は他の時間にシェード202a及び202bが、伸長かつ後退するようにプログラムされ得るように、タイマーを提供することができ、ユーザ指定の屋内温度及び/又は屋外温度に達した場合に、シェード202a及び202bが伸長かつ後退するようにプログラムされ得るように、温度センサを提供することができ、構造体の外側の光の量などに基づいて、シェード202a及び202bが伸長し、後退するようにプログラムされ得るように、光センサを提供することができる。
【0038】
上述したように、2つのシェード202a及び202bが図2に示されているが、特定の例示的な実施形態は、単一のシェードのみを組み込んでもよい。更に、上述のように、かかるシェードは、IGユニット全体に沿って、かつ実質的に全体にわたって垂直方向及び水平方向に延在するように設計されてもよく、異なる例示的実施形態は、それらが配置されるIGユニットの部分のみを被覆するシェードを含んでもよい。このような場合、より選択可能な範囲を提供するため、マンティンバーなどの内部又は外部構造を考慮するため、プランテーションシャッタなどを模擬するためなど、複数のシェードが提供されてもよい。別の例として、第1のシェードは、窓の第1の部分(例えば、上部又は左/右部分)を覆うことができ、第2のシェードは、その窓の第2の部分(例えば、底部又は右/左)を覆うことができる。別の例として、所与の窓の異なる約3分の1の部分を覆うために、第1、第2、及び第3のシェードが提供されてもよい。
【0039】
特定の例示的実施形態では、シェードがその全長を展開することを防ぐのを助けるために、ロック抑制部がIGUの底部に、例えば、その幅の一部又は全部に沿って配設されてもよい。ロック抑制部は、金属などの導電性材料から製造されてもよい。ロック抑制部はまた、例えば、ポリプロピレン、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)などの低消散率ポリマーでコーティングされてもよい。
【0040】
シェード202a及び202bの動作の例示的な詳細が、図3図4に関連して提供される。より具体的には、図3は、特定の例示的実施形態による、シャッタ動作を可能にする、図2の実施例IGUの例示的な「ガラス上の」構成要素を示す断面図であり、図4は、特定の実施形態例による、図2の実施形態IGUの例示的なシャッタの断面図である。図3は、図2の基材102及び104のいずれか又は両方に使用され得るガラス基材302を示す。ガラス基材302は、ガラス上の構成要素304及びシャッタ312を支持する。特定の例示的実施形態では、巻かれていない場合、導電体404は、インク層406よりも基材302に近くてもよい。他の例示的実施形態では、この構成は、例えば、巻かれていないときに、導電体404がインク層406よりも基材302から遠くになり得るように、反転されてもよい。
【0041】
ガラス上の構成要素304は、透明な低ヘイズ接着剤310などを介して基材302に接着され得る誘電材料308と共に透明導電体306を含む。これらの材料は、好ましくは実質的に透明である。特定の例示的実施形態では、透明導電体306は、端子を介してコントローラへのリード線に電気的に接続される。特定の例示的実施形態では、透明導電体306は、コンデンサの固定電極として機能し、誘電材料308は、このコンデンサの誘電体として機能する。そのような場合、誘電体又は絶縁体膜が、第1の導電性層上に直接又は間接的に提供され、誘電体又は絶縁体膜がシャッタとは別個である。
【0042】
特定の例示的な実施形態では、シェード上に誘電体層の全てを置き、それによって、裸の導電性(平坦な)基材、例えば、導電性コーティングを支持するガラス基材を露出させることが可能であることが理解されるであろう。例えば、特定の例示的な実施形態では、ポリマー膜絶縁体308は、基材302の一部として提供され/統合されるのではなく、シャッタ312の一部として提供され/統合され得る。すなわち、シャッタ312は、誘電体又は絶縁体膜308をその上に更に支持し、その結果、少なくとも1つのポリマー基材がシャッタ閉位置にあり、シャッタが伸長されたときに、誘電体又は絶縁膜が、第1の導電性層に、それらの間に他の層がないように直接物理的に接触する。
【0043】
透明導電体306は、例えば、ITO、酸化スズ(例えば、SnO2又は他の好適な化学量論)などの任意の好適な材料から形成されてもよい。透明導電体306は、特定の例示的実施形態において、厚さ10~500nmであってもよい。誘電材料308は、特定の例示的実施形態では、低消散率ポリマーであってもよい。好適な材料としては、例えば、ポリプロピレン、FEP、PTFE、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(polyimide、PI)、及びポリエチレンナフタレート(polyethylene napthalate、PEN)などが挙げられる。誘電材料308は、特定の例示的実施形態では、1~30マイクロメートル(4~25マイクロメートル)の厚さを有してもよい。誘電材料308の厚さは、(例えば、より薄い誘電体層が典型的に信頼性を低下させるのに対して、より厚い誘電体層は、典型的には、動作目的のためにより高い印加電圧を必要とするため)、シェードの信頼性を、バランスをとるように選択することができる。
【0044】
既知のように、多くの低放射率(低E)コーティングは、導電性である。したがって、特定の例示的実施形態では、透明導電体306の代わりに低Eコーティングが使用されてもよい。低Eコーティングは、銀ベースの低Eコーティングであってもよく、例えば、Agを含む1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の層が誘電体層の間に挟まれてもよい。このような場合、接着剤310の必要性は、低減されるか、又は完全に除去されてもよい。
【0045】
シャッタ312は、弾性層402を含んでもよい。特定の例示的実施形態では、弾性層402の一方の面に導電体404が使用されてもよく、任意選択的に、他方の面に装飾インク406が適用されてもよい。特定の例示的実施形態では、導電体404は、透明であってもよく、示されるように、装飾インク406は、任意選択である。特定の例示的実施形態では、導電体404及び/若しくは装飾インク406は、半透明であってもよく、又は別の方法で、シャッタ312に着色若しくは審美的特徴を付与することができる。特定の例示的実施形態では、弾性層402は、例えば、PEN、PET、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)などの収縮性ポリマーから形成されてもよい。弾性層402は、特定の例示的実施形態では、1~25マイクロメートル厚であってもよい。導電体404は、異なる例示的実施形態において導電体306に使用されるものと同じ又は異なる材料から形成されてもよい。例えば、金属又は金属酸化物材料が使用されてもよい。特定の例示的実施形態では、例えば、ITO、Al、Ni、NiCr、酸化スズなどを含む層を含む厚さ10~50nmの材料を使用することができる。特定の例示的実施形態では、導電体404のシート抵抗は、40~200オーム/平方の範囲であってもよい。異なる伝導率値及び/又は厚さ(例えば、以下の表に記載される例示的な厚さなど)が、異なる例示的実施形態において使用され得ることが理解されるであろう。
【0046】
装飾インク406は、所望の可視色及び/又は赤外線を選択的に反射する、かつ/又は吸収する顔料、粒子、及び/又は他の材料を含んでもよい。特定の例示的実施形態では、追加の装飾インクが、弾性層402の反対側の導電体404の側において、シャッタ312に適用されてもよい。
【0047】
図2に示すように、シェード202a及び202bは、通常、らせん状ロールとして巻かれ、らせんの外側端部は、接着剤によって基材102及び104(例えば、基材の上の誘電体)に固着されている。導電体404は、端子を介してリード線などに電気的に接続されてもよく、導電体306をコンデンサの固定電極として、かつ誘電体308をコンデンサの誘電体として有する、コンデンサの可変電極として機能してもよい。
【0048】
電気駆動部が可変電極と固定電極との間に提供されるとき、例えば、電圧又は電荷又は電流の電気駆動が、シャッタ312の導電体404と基材302上の導電体306との間に印加されるとき、シャッタ312は、2つの電極間の電位差によって生成される静電力によって基材302に向かって引かれる。可変電極を引っ張ると、コイル状のシェードが展開する。可変電極上の静電力により、シャッタ312は、基材302の固定電極に対して確実に保持される。その結果、シェードのインクコーティング層406は、IGユニットを通る光路に挿入されることによって、特定の可視色及び/又は赤外線を選択的に反射又は吸収することを助ける。このようにして、展開したシェードは、特定の光又は他の放射を選択的に遮断する、かつ/又は反射することによって放射透過を制御し、それによって、IGユニットの全体的な機能を透過して、部分的若しくは選択的に透過性であるか、又は更には不透明であるように、IGユニットの全体的な機能を変化させる。
【0049】
可変電極と固定電極との間の電気駆動が除去されると、可変電極上の静電力も同様に除去される。弾性層402及び導電体404内に存在するばね定数により、シェードがその元の緊密な巻き位置に戻るようになる。シェードの動きは主に容量性回路によって制御されるため、電流は本質的に、シェードが展開中又は巻き上げ中のいずれかである間にのみ流れる。その結果、シェードの平均電力消費量は、非常に低い。このようにして、少なくともいくつかの例では、数年のシェードを操作するために、いくつかの標準的な単3電池を使用することができる。
【0050】
一実施例では、基材302は、譲受人から市販されている厚さ3mmの透明ガラスであってもよい。接着剤層310には、低ヘイズを有するアクリル系接着剤が使用されてもよい。導電体306には、100~300オーム/平方の抵抗を有するスパッタITOが使用されてもよい。ポリマー膜は、12マイクロメートル厚の低ヘイズ(例えば、<1%ヘイズ)PET材料であってもよい。装飾インク406として、Sun Chemical Inc.から入手可能なPVC系インクを、3~8マイクロメートルの厚さで適用してもよい。弾性層402として、厚さ6、12、又は25マイクロメートルであるDuPontから市販されているPEN材料を使用することができる。375nmの公称厚さを有する、Alを蒸着させた不透明導電体が使用されてもよい。透明なオプションのために、スパッタリングされたITOが使用されてもよい。両方の場合において、シート抵抗は、100~400オーム/平方であってもよい。(アルミニウムが使用される場合、シート抵抗は100オーム/平方未満であってもよい。特定の例示的実施形態では、シート抵抗は、更に1オーム/平方未満であってもよい。特定の例示的実施形態では、ITO又は他の導電性材料は、それらのそれぞれのポリマーキャリア層上にスパッタリングされるか、又は他の方法で形成されてもよい。当然ながら、これらの例示的な材料、厚さ、電気特性、並びにそれらの様々な組み合わせ及び部分的組み合わせなどは、特に特許請求されない限り限定するものとみなされるべきではない。
【0051】
上述の説明から理解されるように、動的シェード機構は、導電層を有するコイル状ポリマーを使用する。特定の例示的実施形態では、導電体は、ポリマー402と一体であるように形成されてもよく、又はポリマー402上に適用、堆積、又は他の方法で形成される外的コーティングであってもよい。同様に上述したように、装飾インク406は、透明な導電体材料(例えば、ITOに基づく)及び/又は部分的に透明若しくは不透明な導電層と共に使用されてもよい。不透明又は部分的に透明な導電層は、特定の例示的実施形態におけるインクの必要性をなくすことができる。この点に関して、特定の例示的実施形態では、金属又は実質的に金属材料が使用されてもよい。アルミニウムは、装飾インクと共に、又は装飾インクなしで使用され得る材料の一例である。
【0052】
1つ以上のオーバーコート層は、導電体上に提供されて、可視光反射を低減し、かつ/若しくはシェードの色を変化させて、より審美的に満足のいく製品を提供することに役立ってもよく、並びに/又は、位相シフタ層がそれらの間に出現するように、導電体を「分割」することによって役立ち得る。したがって、オーバーコートは、全体的なシェードの美的外観を改善するために含まれ得る。したがって、シャッタ312は、反射低減オーバーコート、誘電体鏡面オーバーコートなどを含み得る。そのような反射低減オーバーコート及び誘電体ミ鏡面オーバーコートは、導電体404の上に、かつ、装飾インク406の反対側に(例えば)PENを含むシェードポリマー402の主表面上に提供され得る。しかしながら、例えば、導電体404が透明でない場合、インク406は、提供される必要はないことが理解されるであろう。例えば、Alなどの鏡面コーティングは、装飾インク406の必要性をなくすことができる。また、反射低減オーバーコート及び誘電体鏡面オーバーコートは、特定の例示的実施形態では、導電体404の反対側に(例えば)PENを含むシェードポリマー402の主表面上に提供されてもよいことも理解されよう。
【0053】
光学干渉技術を使用して反射を低減することに加えて、又はその代わりに、テクスチャ加工された表面をベースポリマーに追加すること、導電層を化学的若しくは物理的に改質し、かつ/又はインク層を追加して、例えば、同じ又は類似の端部を達成するために、望ましくない反射の更なる低減などを達成することも可能である。
【0054】
薄膜及び/又はシャッタを含む他の材料は、全体的なシェードの機能に従って多数の巻き上げ及び展開動作に耐えなければならないことを考慮すると、材料は選択されてもよく、形成された全体層積層体は、それを容易にする機械的及び/又は他の特性を有することが理解されるであろう。例えば、薄膜層積層体における過剰な応力は、典型的には不利であると見られる。しかしながら、いくつかの場合では、過剰な応力は、ひび割れ、「層間剥離」/除去、並びに/又は導電体404及び/若しくは導電体404の上に形成された1つのオーバーコート層若しくは複数のオーバーコート層への他の損傷につながり得る。したがって、特定の実施形態例では、シャッタのポリマー基材上に形成された層と関連して、低応力(特に低引張応力)が特に望ましい場合がある。
【0055】
この点に関して、スパッタリングされた薄膜の接着は、とりわけ、堆積膜中の応力に依存する。応力を調整する1つの方法は、堆積圧力を使用することである。応力対スパッタ圧力は、単調曲線には追従せず、代わりに、本質的に各材料に固有であり、材料の蒸発温度(又は溶融温度)と基材温度との比の関数である遷移圧力で注入される。応力工学は、これらのガイドポストを念頭に置いて、ガス圧最適化によって達成することができる。
【0056】
考慮に入れることができるシェードの他の物理的及び機械的特性としては、ポリマーの弾性率及びポリマーの上に形成された層、層の密度比(応力/ひずみに影響を及ぼし得る)などが挙げられる。これらの特性は、内部反射、導電性などに対するそれらの効果とバランスをとることができる。
【0057】
既知のように、IGユニットの内部の温度は、非常に高くなり得る。例えば、図2の実施例による、黒色顔料を含むIGユニットは、例えば、シェードの黒色部分が高温の高日射気候(例えば、アリゾナ州などの米国南西の領域など)で太陽に面している場合には、87℃の温度に達し得ることが観察されている。PENは、PET(Tg=67~81℃)、ポリプロピレン又はPP(Tg=約32℃)などの他の一般的なポリマーと比較して、PENがより高いガラス転移温度(約120℃)を有するので、ロール可能/アンロール可能ポリマーにPEN材料を使用すると有利であり得る。更に、PENがガラス転移温度に近づく温度に曝露される場合、そうではない場合には有利な材料の機械的特性(材料の弾性率、降伏強度、引張強度、応力緩和弾性率などを含む)の性能は、特に高温曝露では経時的に劣化する場合がある。これらの機械的特性が著しく劣化すると、シェードはもはや機能しなくなる(例えば、シェードは後退しない)。
【0058】
シェードが高温環境によりよく耐えることを助けるために、PENからより高い温度耐性を有するポリマーへの置換が有利であり得る。2つの潜在的ポリマーとしては、PEEK及びポリイミド(PI又はカプトン)が挙げられる。PEEKは、約-142℃のTgを有し、カプトンHNは、約-380℃のTgを有する。これらの材料の両方は、PENと比較して、高温環境においてより良好な機械的特性を有する。これは、100℃を超える温度で特に当てはまる。以下のチャートは、PEN(Teonex)、PEEK、及びPI(カプトンHN)の機械的特性を参照する。UTSは、チャートにおける最終的な引張強度を表す。
【表1】
【0059】
シェード基材をその現在の材料(PEN)から、高温の機械的特性が増加した代替のポリマー(例えば、PEEK又はPI/カプトン)に変更することは、以下の意味で有利であり得ることが理解される。特にシェードが高温の気候に設置されている場合は、シェードが内部IG温度により良好に耐えることを可能にし得る。特定の実施形態例では、代替ポリマーの使用は、シャッタ及び/又はガラス上の層と関連して使用され得ることが理解されるであろう。
【0060】
加えて、又は代替として、特定の例示的実施形態は、染色されたポリマー材料を使用してもよい。例えば、染色PEN、PEEK、PI/カプトン、又は他のポリマーを使用して、各種の色及び/又は審美性を有するシェードを作り出すことができる。例えば、染色されたポリマーは、例えば、透明導電層が透明導電性コーティングなどである場合、透明/半透明の用途の実施形態に有利であり得る。
【0061】
代替のコイル状シェードのばね力を有益に修正して、様々な長さのために使用できるようにするために使用し得る。この点に関し、コイルの強度を増大させる導電層の特性には、弾性率の増加、ポリマー基材と導電層との間の熱膨張係数(coefficient of thermal expansion、CTE)の差の増加、及び弾性率対密度比の増加を含む。Al又はCrと比較してコイル強度を高めるために使用することができる純金属の一部としては、Ni、W、Mo、Ti、及びTaが挙げられる。研究された金属層の弾性率は、Alについての70GPaからMoについての330GPaの範囲であった。研究された金属層のCTEは、Alについての23.5×10-6/kからMoについての4.8×10-6/kまでの範囲であった。一般に、弾性率が高いほど、PEN又は他のポリマーと金属との間のCTEミスマッチがより大きいほど、密度がより低いほどなどで、コイル形成に関して材料選択がより良好になる。Mo及びTi系導電層をシェードに組み込むことは、Alで達成可能なものよりも著しく高いコイルのばね力をもたらしたことが見出されている。例えば、有利には、PEN、PEEK、PIなどに基づくポリマー基材を含み、(基材から離れる順番で)Alを含む層、続いてMoを含む層を支持し得る。Alよりも大きい弾性率及び低いCTEを有する、導電性コーティング内の薄膜層及び/又は導電性コーティング自体を提供され得る。
【0062】
シャッタとして使用されるPEN、PI、又は他のポリマー基材は、応力工学目的のAlを含む薄層を支持してもよく、薄層の上にMo、Tiなどを直接又は間接的に含む導電層を支持してもよい。導電層は、Al、Ti、ステンレス鋼などを含む耐食層を支持してもよい。これらの層の反対側の基材の側は、任意選択的に、装飾インクなどを支持することができる。
【0063】
図5は、特定の例示的実施形態による、図3の実施例からのガラス上の構成要素304と図4の実施例からのシャッタ構成要素312とを組み込んだ基材102の平面図である。シャッタ312は、シャッタ閉位置に移動するとき、アンカーバー502から停止部504に向かって伸長する。シャッタは、シャッタ開位置に移動するとき、停止部504からアンカーバー502に向かって後退する。
【0064】
特定の例示的実施形態は、光がシェードを通過することを可能にし、太陽の角度に基づいて漸進的な量の太陽透過率を提供する微小穿穴又は貫通穴を含んでもよい。
【0065】
更なる製造、動作、及び/又は他の詳細及び代替が実施されてもよい。例えば、米国特許第8,982,441号、同第8,736,938号、同第8,134,112号、同第8,035,075号、同第7,705,826号、及び同第7,645,977号、並びに2018年7月6日に出願された米国特許出願第16/028,546号を参照されたく、上記の文献のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。とりわけ、穿孔構成、ポリマー材料、導電性コーティング設計、応力工学概念、建材一体型太陽光発電設備(building-integrated photovoltaic、BIPV)、及び他の詳細が、その中に開示され、少なくともそれらの教示は、特定の例示的な実施形態に組み込まれ得る。
【0066】
上記の説明から理解されるように、動的シェード設計に関連付けられた1つの問題は、後退可能なシャッタの形成に関連する。特に、経時的に自動後退を可能にするのに十分なばね力を有する材料を選択し、かつ実装するために注意が払われ得る。多くの場合、後退に十分なばね力を有するようにシャッタが適切に作成されることを確実にするために、かつばね力が、窓又はシャッタが統合されている他の製品の寿命にわたって後退を引き起こすのに十分なままであることを確実にするために、製造パラメータを厳密に制御することが重要であろう。ばね定数が十分ではないか、又は経時的に劣化する場合、シャッタは、伸長された又は部分的に伸長された位置で「引っかかり」得る。これは、電圧が印加されない場合であっても、単純にばね定数が再圧延を引き起こすには不十分であるためであり得る。更に、ばね定数が適切に形成され、少なくとも理論に十分に高いままであっても、繰り返し使用後に、経時的な後退を提供し、静電荷が蓄積する可能性がある。この電荷蓄積は、電力が提供されていない場合でも、上記と同様の方法で、伸長された又は部分的に伸長された位置でシャッタを「引っかからせる」ことができる。この文脈において、シャッタの操作を妨げ得る自然現象を指し、(誘電体表面上の)表面電荷又は半永久静電偏光(誘電体積における)に関連すると考えられ得る「極スワッピング」は、シャッタの操作を妨げる可能性がある。また、閉鎖システムのために、経時的に「摩耗」した欠陥のあるシャッタ及び/又はシャッタ(複数)を修理し/又は交換することが困難であり、時には不可能であり得るため、過剰な電荷が蓄積しているシステム及び/又は極が切り替えられる。
【0067】
特定の例示的実施形態では、1つの電位を使用して、シャッタが一方向に伸長するのを助けることができ、別の電位は、シェードを第1の方向と反対の別の方向に後退させる。例えば、シャッタは、それに接続された回路が、ダウン力及びアップ力を提供する間に選択的に切り替え可能であり得るように、層積層体を用いて設計され得る。以下でより詳細に説明するように、後退を容易にするために、電場を提供することができる。特定の例示的な実施形態では、電場は、(例えば、シャッタが引っかかる場合に)後退を単純に促進するように設定され得る。特定の例示的な実施形態では、電場は、後退操作全体のために設定され得る。
【0068】
このようにして、特定の例示的な実施形態は、ポールスワッピング及び電荷蓄積の問題に対処するのに役立ち得るが、経時的なばねのエージング及び劣化と戦う(例えば、耐久性及び寿命の増強を促進する)アプローチも提供することができる。加えて、又は代替的に、特定の例示的な実施形態は、後退の開始時、及び/又は後退が失速するときに1回以上、少量の巻線を単に「促進する」ために使用され得るため、より低いばね定数を有する材料を使用することを可能にする。これはまた、製造公差が緩和され得、製造の容易さが促進され得るため、有利であり得る。
【0069】
特定の例示的な実施形態は、交互の導電性層及び誘電体層を有する動的シェードを提供する。例えば、導電性層と誘電体層との間で交互になっている少なくとも4つの層が、特定の例示的な実施形態で提供され得る。シェードが部分的にカールされるとき(例えば、シェードの一部が平坦なままである)とき、導電性層は、誘電体層によって互いに分離される。導電性層間に印加された電圧は、カールされた部分を平坦な部分に引き付け、シェードを後退させる電場を作成する。
【0070】
図6は、特定の例示的実施形態による、2つの独立した電圧源604a~604bを使用して実装された静電後退特徴を有する第1の例示的なシェード602の概略図である。図6では、シェードポリマーは明確にするために省略されている。2つの電圧源604a~604bは、独立して制御可能である。第1の電圧源は、標準的なシェードとして通常の機能を提供する。図6では、第1の電圧源604aは、下限電圧記号として示され、その負端子は、バックプレーン導電体に接続し、これは、ガラス上の構成要素304内の誘電体308の下に位置する導電体306であり得る(例えば、図3に関連して説明される)。通常の操作では、これは可変源であり、その極性及び電圧は逆になり得る。
【0071】
第2の電圧源は、逆回転力を作動させる。図6では、第2の電圧源604bは、上限電圧記号として示されている。第2の電圧源604bの電位差を増加させることにより、回転可能なシャッタ上の第1及び第2の導電性層606a~606bの間に電場Eが生成される。上記から理解されるように、第1及び第2の導電性層606a~606bは、第1及び第2の誘電体層608a~608bによって分離されている。結果として生じるトルクTは、反時計回りに作用して、(この概略図及びこの実施例の配向で)左に作用する力Fを生成する。操作中、結果として生じるトルクは、後退位置(垂直及び実質的に垂直の設備の上部に対して、概して上部)に向かって作用する力を生成する、広がりとは反対の回転方向(垂直及び実質的に垂直の設備に対して、概して反時計回り)において作用することが理解されよう。当然のことながら、トルクは、視点に部分的に依存することが理解されよう。例えば、シェードが左に広がるか、又は同じシェードが対向する縁から見られる場合、トルクは時計回りに現れる。
【0072】
図7は、特定の例示的な実施形態による、電圧源を使用して実装された静電後退特徴を有する第2の例示的なシェード702の概略図である。図7では、シェードポリマーは明確にするために省略されている。図7のシェード702は、図6のシェード602と同様である。上記のように、電位差を増加させることにより、回転可能なシャッタ上の第1及び第2の導電性層606a~606bの間に電場Eが生成される。第1及び第2の導電性層606a~606bは、第1及び第2の誘電体層608a~608bによって分離されている。結果として生じるトルクTは力Fを生成し、シャッタ全体が後退することを促進するように作用する。図7は、使用される制御回路704に関して図6とは異なる。例えば、特定の例示的な実施形態では、直列接続されたインダクタを有する二相Hブリッジは、3相ブリッジを形成する第3の電極を含むように伸長され、かつ一般化され得る。3相ブリッジ回路は、高電圧モータコントローラ(ハイブリッド自動車産業など)で一般的に使用される低コストのゲートドライバ技術を使用して実現することができる。回路704は、各ブリッジ出力端子と直列の3つの個別に接続されたインダクタを含み、高効率のエネルギー回復を可能にする。
【0073】
上記のように、100~600VのDCは、ほとんどの用途における伸長に適しており、同じ又は同様の範囲が後退に使用され得る。特定の例示的な実施形態では、ブリッジ出力端子の電圧出力は、電流を適切に制限することによって、供給電圧間の任意の場所に維持することができる。特定の例示的な実施形態では、適切なパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)波形を使用することができる。これに関して、PWMは概して、制御ループにフィードバック信号を提供するための電圧及び/又は電流測定を必要とする。正確なデューティサイクル及び持続時間は、当業者によって判定され得ることが理解されよう。特定の例示的な実施形態では、二相「Hブリッジ」又は三相ブリッジは、単一の電圧源のみが必要であるため、(例えば)図6の回路よりも有利であると見なされ得る。
【0074】
上述のように、シャッタ312は、(例えば、PENなどの、又はPENなどを含む)二軸配向ポリマー系層を含み得る。ポリマー系層は、一方の側の金属導電体でコーティングされ、続いて、一方又は両方の側にインクコーティングが施され得る。この構成では、インク層及びポリマー系層の両方が誘電体として作用する。
【0075】
図8は、特定の例示的な実施形態による、静電後退に関連して使用可能な第1のシャッタ312’の断面図である。静電後退で使用するためのシャッタ312’は、上記のように、交互の導電性層及び誘電体層を有し得る。例えば、図6図7に示されるように、特定の例示的実施形態では(例えば、シェードポリマー層に加えて)、4つの層が最低限として提供され得る。
【0076】
図8による静電後退で使用するためのシャッタ312’は、図4の実施例を適合するか、又は変更することによって構築され得る。例えば、特定の例示的な実施形態では、(例えば、PENなどの、又はPENなどを含む)ポリマー系層402の両側は、金属又は他の導電性コーティングでコーティングされ、続いて、一方又は両方の側にインクコーティングが施され得る。両側にインクを提供することは、シェードがシェードの両側から見たときに光沢のある金属の外観を有しないため、特定の例示的な実施形態では、より望ましい美的外観を作り出すのに役立ち得る。したがって、図8では、第1及び第2の導電性(例えば、金属)層606a~606bは、ポリマー系層402を挟み、第1及び第2の誘電体(例えば、インク)層608a~608bもまた、ポリマー系層402を挟む。図8に示すように、第1及び第2の誘電体層608a~608bは、ポリマー系層402に隣接する第1及び第2の導電性層606a~606bの表面の反対側の表面に提供される。
【0077】
層の例示的な厚さを以下の表に提供する。
【表2】
【0078】
概して、アルミニウムが層606bに使用される場合、少なくとも30nmの厚さは、良好な電気接触を可能にすることが望ましい。特定の例示的実施形態では、インク自体が、導電性のために調合され得ることが理解されるであろう。ある特定のそのような場合では、1つの導電性層(例えば、アルミニウムを含む層606b)は、導電性インク、例えば、層606b及び608bを単一層に本質的に組み合わせることで置き換えられ得る。
【0079】
特定の例示的な実施形態では、インク層は、同じ厚さ(例えば、2μm)を有する。異なるインク及び/又は色は不透明度が変化するが、厚さ2μmは概して、不透明なコーティングを生成するのに必要な最小値である。シェードポリマー(例えば、PEN)層及びアルミニウムの第1の導電性層は、静電後退機能を欠くシャッタの標準的な厚さであり得る。アルミニウムの「添加された」第2の導電性層は、アルミニウムの第1の導電性層未満の厚さで提供され得る。これは、シェードに対する機械的特性の変化を低減するのを助けるために、特定の例示的な実施形態では望ましい場合がある。例えば、亀裂又は剥離とは異なり、良好なばね定数を有する良好なシェードを実現することができる。この厚さの配置は、特定の例示的な実施形態では、例えば、平坦な材料を加工してカールを生成することを含む、シェードを形成する際に使用される熱プロセスとの適合性を維持するのを助けるのに有利であることが見出された。
【0080】
図9は、特定の例示的な実施形態による、静電後退に関連して使用可能な第2のシャッタ312の断面図である。図9の例示的な実施形態は、特定の例示的な実施形態では、差動張力積層によって生成され得る。例えば、2つ(以上)の主な構成要素が製造され得る。第1の成分は、(PET、PENなどの、又はPET、PENなどを含む)第1のポリマー系層902aを含み得る。この第1のポリマー系層902aは、その反対側の主表面上に、第1の誘電体(例えば、インク)層608a及び第1の導電性(例えば、金属)層606aを支持する。同様に、第2の成分は、(PET、PENなどの、又はPET、PENなどを含む)第2のポリマー系層902bを含み得る。第2のポリマー系層902bは、その反対側の主表面上に、第2の誘電体(例えば、インク)層608b及び第2の導電性(例えば、金属)層606bを支持する。
【0081】
機械的ばね力は、第1及び第2の導電性層902a~902b(上記のように、アルミニウムであり得るか、又はそれを含み得る)間の差動張力で発生する。感圧接着剤(pressure sensitive adhesive、PSA)又は「グルー」層904は、2つの構成要素を一緒に接続する。更に、接着剤904は、第1及び第2の導電性層902a~902bを分離するための誘電体として作用する。加えて、又は代替的に、特定の例示的な実施形態では、熱結合が使用され得る。これに関して、ポリエチレン(例えば、LDPE)は、他の処理操作と適合する妥当な温度で接着剤を添加せずに結合され得る。この例では、静電後退は、インク層608a~608b及びPET層902a~902bの両方を通って作用する電場によって引き起こされる。
【0082】
層の例示的な厚さを以下の表に提供する。
【表3】
【0083】
特定の例示的な実施形態では、上記の表において、アルミニウムを含む層606a及び606bを含む導電性(例えば、金属)層に異なる材料が使用され得、かつ/又は上記の表において、PETを含む層902a及び902bを含むポリマー(例えば、PET)層に異なる材料が使用され得る。例えば、PET、PENなどが使用され得る。特定の例示的な実施形態では、導電性層及びポリマー層の順序は、逆にされ得る。例えば、特定の例示的実施形態では、以下の層の順序:インク/導電性(例えば、金属)層/ポリマー/(任意選択の)グルー/ポリマー導電性(例えば、金属)層/インクが使用され得る。特定の例示的実施形態による、静電後退に関連して使用可能な第3のシャッタ312’’’の断面図である図10は、この配置を示している。この配置は、2つの導電性層を分離する誘電体の有効な厚さを増加させるのに役立つという点において、特定の例示的な実施形態では有利であり得る。これは、後退力に寄与しない固定値静電容量を減少させるが、電荷にエネルギーを必要とする。この配置では、同じ又は同様の厚さが使用され得る。
【0084】
総有効誘電体厚は、インク層の厚さ、及びPET層、並びに任意の閉じ込められた空気を含む。特定の例示的実施形態では、この厚さは、4~120μm、より好ましくは8~60μmであり得、例としては、14μmであり得る。特定の例示的な実施形態では、第1及び第2のインク層の厚さは、同じ又は実質的に同じであり得る。特定の例示的な実施形態では、第1及び第2のPET層の厚さは、同じ又は実質的に同じであり得る。特定の例示的な実施形態では、第1及び第2の導電性(例えば、金属アルミニウム又は他の材料)層の厚さは、同じ又は実質的に同じであり得る。この場合、「実質的に同じ」とは、15%超、より好ましくは10%超の厚さの変動を意味する。少なくともいくつかの場合に、一般的な厚さが、ここでは利用可能である。等しいアルミニウム厚を有する熱処理されたシェードの場合、アルミニウム層の応力は互いに相反して、例えば、非常に弱いシェードをもたらす。通常、単一のアルミニウム層の圧縮は、ポリマー(例えば、PEN)層の張力によって相殺される。)
【0085】
図8図9に関連して論じた実施例は、導電性及びポリマー系層のためのいくつかの候補材料を列挙するが、本明細書に記載の材料のいずれか(及び/又は他の好適な材料)は、それらの材料の代わりに、又はそれらと共に使用され得ることが理解されよう。例えば、特定の例示的な実施形態では、導電性層は、Al、Cu、Mo、Ti、NiCrなどのものであり得るか、又はそれを含み得る。銅は、利用可能な金属コーティングの高弾力性(降伏応力での弾性エネルギー貯蔵)を含み、最大シェード長が弾力性と直接相関することが見出されているという点で有利であることが見出された。高性能のために、例えば、60nmの銅を有するアルミニウムのインターリーブ構造が実装され得、高レベルの弾力性を提供し得る。特定の例示的な実施形態では、ポリマー系層は、PEN、PET、PIなどのものであり得るか、又はそれを含み得る。感圧接着剤が説明されてきたが、他の材料を使用して、ポリマー系及び/又は他の材料を一緒に接続し得ることが理解されよう。例えば、積層体及び他の接着剤が、使用され得る。
【0086】
本明細書に記載の静電後退概念の利点は、電場がシェード巻線間の圧力を増加させることである。この圧力は、層間の垂直力を増加させ、巻き間摩擦力を増加させる。巻き間静的摩擦力が十分に高い場合、巻線は互いに摺動することができない。摺動することなく、シェードは直線方向に追跡され、伸縮及び歪みを防止する。したがって、特定の例示的な実施形態は、歪み及び/又は伸縮の可能性を低減する(かつ、時には発生を防止する)という点で有利である。
【0087】
特定の例示的な実施形態では、シェードが完全に後退するまで、電圧を印加し、オンにしたままにすることができる。特定の例示的な実施形態では、電圧を提供して、1つ以上の事前定義された時間及び/又はタイミングパターンに従って後退するための静電力を生成することができる。例えば、後退がトリガされるとき、電圧が提供されて、直ちに、及び所定の時間間隔(例えば、2~5msごと)で、後退のための静電力を作成し得る。特定の例示的な実施形態では、シェードがその完全に後退した位置にあると判定されるまで、後退のための電圧は、所定のパターンに従ってサイクルされ、オフにされ得る。完全な後退の判定は、光学手段を使用して(例えば、シェードが配設されている物品の上部又は他の所望の場所にあるかどうかを判定するためにスキャンして)、電気的センシングを介して(例えば、配設されている物品の上部又は他の所望の場所に提供されるバスラインなどと接触する導電性層に基づいて)、(例えば、その完全な厚さを達成する回転によって引き起こされた)手動アクチュエータをトリガすることなどによって、行われ得る。
【0088】
特定の例示的な実施形態では、サイクルは、(例えば、試験などに基づいて)シェードが後退することが予想される期間にわたって行われ得る。例えば、シェードが10msで完全に後退することが知られているか、又は予想される場合、5パルスは、完全な後退を「促進する」ために、2ms間隔で提供され得る。
【0089】
加えて、又は後退を促進するためのパルスのための固定タイミングを提供する代替として、光学系、機械的アクチュエータ、電気的手段などを、後退を促進する「オンデマンド」電圧を提供するかどうかを判定するために、上記と同様の方法で使用することができる。すなわち、これらの手段は、シャッタが伸長された又は部分的に後退した位置のみで「引っかかって」いるかどうかを判定するのを助けるために提供され得る。固定タイミングが使用されているかどうかに関係なく、シャッタが固定されると判定された場合、後退回転に関連するトルクを促進するのを助けるために電圧が作成され得る。
【0090】
上記で使用することができる更に別の選択肢として、手動操作は、後退を促進するために電圧をトリガすることができる。この手動動作は、シャッタが引っかかっている、伸縮しているなどのことを人間のユーザが通知するときに、促進することができる。
【0091】
昇圧変圧器(例えば、フライバック変圧器)などが、例えば、極スワッピングの影響を更に低減するのを助けるために、特定の例示的実施形態に追加的又は代替的に組み込まれ得る。この点に関して、2020年7月15日に出願された米国特許出願第16/947,014号に記載されている技術を使用することができる。‘014号出願の内容全体は、参照により本明細書に援用される。
【0092】
シェードを伸長位置に保持するのに必要な電圧をまた更に低減する(及び潜在的には更にはなくす)のを助けるために、特定の例示的実施形態は、例えば、上述のロック抑制部の代わりに、修正されたラッチ停止バーを利用してもよい。特定の例示的実施形態の修正されたラッチ停止バーは、いくつかの例では、伸長したシェードが非常に小さい貯蔵エネルギーを維持することを可能にする。更に、ラッチ停止バーは、衝撃の危険を低減又は排除し、電力消費を低減し、バッテリ寿命を延ばすのを助けることができる。
【0093】
図11は、特定の例示的実施形態による、静電ラッチ停止バーを組み込んだ動的シェードシステムの一部分の概略図である。図11では、理解を容易にするために、第2の基材及びスペーサシステムが除去されている。図11の要素は、図3に示され、図3に関連して上述されたものと同様である。例えば、基材1102は、第1の誘電体1108によって支持された第1の導電性コーティング1106を含むガラス上の構成要素1104を支持する。これらのガラス上の構成要素1104は、透明な低ヘイズ接着剤1110を介して基材1102に結合されている。ガラス上の構成要素1104に関連して、上述したものと同じ又は類似の材料を使用することができる。例えば、第1の導電性コーティング1106は、ITOを含む層を含んでもよく、第1の誘電体1108は、例えば、PETなどのようなポリマーフィルム絶縁体であってもよい。
【0094】
シャッタ1112は、アンカーバー1122から静電ラッチ停止バー1124に向かって伸長している。シャッタロール1112aは、図11の概略図ではほぼ完全に伸長して示されている。図4及び関連する考察と同様に、シャッタ1112は、基材1102から離れる順に、任意選択の装飾インク層、シェードポリマーによって支持された第2の導電性コーティング、及び別の任意選択の装飾インク層を含む層を含む。シャッタ1112に関連して、上述したものと同一又は類似の材料を使用することができる。例えば、シェードポリマーはPENを含んでもよく、第2の導電性コーティングは、ITO、Al、Mo、又は別の金属を含み得る、といった具合である。
【0095】
図3図4に示され、図3図4に関連して記載される設計は、特定の例示的実施形態において使用され得るが、図8図10に示され、図8図10に関連して記載される設計は、異なる例示的実施形態に関連して使用され得ることが理解されるであろう。これは、ラッチ停止バー及びシャッタの電動後退の両方を実装することが望ましい状況において有用であり得る。
【0096】
ラッチ停止バー1124は、アンカーバー1122に面する表面上に誘電体材料1126を支持する。ラッチ停止バー1124自体は、例えば、アルミニウム押出品、真鍮シム、又は他の導電体などの比較的大きな導電性構造を含むことができる。アンカーバー1122に面するラッチ停止バー1124の面は、シャッタロール1112aが広げられたときにそれを収容するのを助ける輪郭を有することができる。図11に概略的に示すように、輪郭は湾曲しており、シャッタロール1112aの形状を概ね補完する。換言すれば、側断面で見たとき、シャッタロール1112aは概ね円形であり、ラッチ停止バー1124の輪郭の概ね半円形の切り欠き部によって受け入れられる。
【0097】
誘電体材料1126は、例えば、PI、PEN、PET、PMMAなどのポリマーベースの材料を含むことができる。特定の例示的実施形態では、PIテープ(例えば、カプトンテープ)が、アンカーバー1122に面するラッチ停止バー1124の面上に容易に適用され得る。
【0098】
特定の例示的実施形態では、ラッチ停止バー1124は、シェード(ガラス上の構成要素1104、シャッタ1112を含む)及びアンカーバー1122から電気的に絶縁される。いくつかの現在の設計とは異なり、アンカーバー1122及びラッチ停止バー1124は、互いに電気的に接続されていない。この設計は、ラッチ停止バー1124を別個に通電することを可能にする。
【0099】
この意味で、図11の例示的なシェードシステムには3つの別個の電極が提供されている。第1の電極は、ガラス上の構成要素1104に関連して画定されている。第2の電極は、アンカーバー1122及びシャッタ1112に関連して画定されている。第3の電極は、ラッチ停止バー1124に関連して画定されている。上記に示唆されたように、各電極は、特定の例示的実施形態では別個に作動され得る。
【0100】
例えば、単一の電極に提供される単一の電圧の文脈で、アンカーバー1122及びシャッタ1112を一緒に制御することが望ましい場合があることが理解されるであろう。これは、アンカーバー1122が、多くの「不動産」を提供し、例えば、非常に小さく、巻き上げられ、電気的接続を形成するための多くの表面積を有しない可能性があるシャッタ1112と比較して、電気的接続を形成することをより容易にするためである。しかしながら、特定の例示的実施形態では、別個の第4の電極が、アンカーバー1122に関連して画定される。そのような場合、電圧は、互いに独立して、アンカーバー1122及びシャッタ1112に印加され得る。
【0101】
図12は、図11のシェードシステムが特定の例示的実施形態においてどのように動作し得るかを詳述するフローチャートである。ステップS1202において、アンカーバー及びガラス上の構成要素に電圧が印加される。この点に関して、上記で考察した電圧範囲を使用することができる。ほとんどの用途のために、600Vの例示的な電圧が適切である。シャッタは、ステップS1204に示されるように、静電力の助けを借りて伸長される。これに関して、第1の電極及び第2の電極が使用される。
【0102】
静電ラッチ停止バーが使用されない場合、シャッタが完全に伸長され、ガラス上の誘電体(例えば、図11の第1の誘電体1108)が完全に充電されると、電圧を少なくともいくらか低減することが可能である。例えば、窓及びシェードのサイズ、システム全体が動作している温度などに応じて、静電ラッチ停止バーが使用されない場合、20~50Vをバックオフすることが可能であり得る。
【0103】
対照的に、特定の例示的実施形態では、ラッチ停止バー上の誘電体は、ステップS1206において充電される。この充電は、ステップS1204において参照されるシャッタ伸長の前、間、及び/又は後に行われ得る。充電は、ステップS1208に示すように、少なくともラッチ停止バー上の誘電体が充電されるまで継続する。好ましくは、ラッチ停止バー上の誘電体及びガラス上の誘電体の両方が完全に充電される。特定の例示的実施形態では、ラッチ停止バー上の誘電体が完全に充電される前に、ガラス上の誘電体が完全に充電されるように、充電を制御することができる。特定の例示的実施形態では、ラッチ停止バー上での充電が開始される前にガラス上の誘電体が完全に充電されるように、充電を制御することができる。
【0104】
完全に充電され、シャッタが完全に伸長されると、少なくともガラス上の構成要素に提供される電圧は、例えば、第1の電極に関連して低減される。特定の例示的実施形態では、アンカーバーに提供される電圧は、例えば、第2の電極に関連して、同様に低減され得る。
【0105】
特定の例示的実施形態では、ガラス上の構成要素に提供される電圧及びアンカーバーに提供される電圧は、同時に低減される。特定の例示的実施形態では、ガラス上の構成要素に提供される電圧は、アンカーバーに提供される電圧が低減される前に低減される。
【0106】
静電ラッチ停止バーに提供される電圧は低減されるが、低減の程度は、ガラス上の構成要素に関して行われる低減ほど大きくない場合がある。いくつかの例において、ラッチ停止バーに提供される電圧レベルは、維持されてもよく、又は実質的に維持されてもよい。静電ラッチ停止バーに提供される電圧を維持又は実質的に維持することは、連続的な電圧を提供することによって、又はそれに印加される電圧を一時的にのみ低減する(例えば、電圧をいくらか低減し、電圧を再び増加させる)ことによって実行され得る。同様に、静電ラッチ停止バーに提供される電圧の部分的な低減は、それに印加される電圧を、他の構成要素に印加される電圧とは独立した所望のレベルに低減することによって、又は全ての構成要素の電圧を低減し、次いでラッチ停止バーのための電圧を再び加えることによって実行され得る。特定の例示的実施形態では、ガラス上の構成要素及び/又はアンカーバーに提供される電圧は、低減され、ラッチ停止バーに伝達される。
【0107】
後者のオプションは、図12の例示的なフローチャートに示されている。すなわち、図12に示すように、ステップS1210において、アンカーバー、ガラス上の構成要素、及び停止バーに印加される電圧が低減される。次に、ステップS1212において、ラッチ停止バーに電圧が再び加えられる。
【0108】
例として、ステップS1210において、アンカーバー、ガラス上の構成要素、及びラッチバー停止部を含む回路全体に印加される電圧は、200~300V低減され得る。次に、例えば、窓のサイズ、シャッタの重量、動作温度などのような因子に応じて、ステップS1212に示すように、別個の回路を介して100~150Vを停止部に加えることができる。この例における結果は、窓に提供される300~400Vと、停止部に提供される400~450Vとを伴い得る。
【0109】
上述したような因子を使用して、個々の構成要素に対する適切な電圧レベル及び電圧レベル低減を決定することができる。一般に、ガラス上の電圧及びアンカーバー電圧は、少なくとも約20~25%、より好ましくは少なくとも約30%、場合によっては約33.33%~50%まで低減され得る。一般に、ラッチ停止バー電圧は、最大でおよそ少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約20%、場合によっては約25%~33%だけ低減することができる。
【0110】
いくつかの例では、アンカーバー及び/又はガラス上の構成要素に印加される電圧の一部分は、アンカーバー及び/又はガラス上の構成要素からラッチバーに向け直され得る(例えば、ステップS1210及びS1212において)。
【0111】
これは、動作コスト及びバッテリ使用に関して少なくともいくらかのわずかな節約をもたらし得る。しかしながら、上記で考察したような「極スワッピング」及び電荷蓄積が起こり得るため、スイッチング及び蓄積を軽減するために必要とされるエネルギーがより少なくなるので(特にフライバック変圧器などの昇圧変圧器が実装されない場合)、これらのそうでなければ一見わずかな節約が、かなり大きくなる可能性がある。
【0112】
図13は、特定の例示的実施形態による、ラッチ停止バー1124を含むシャッタ1112の動作を制御するための例示的なシステムの概略図である。図13に示す例示的なシステムは、シェード112、アンカーバー1122、及び/又はラッチ停止バー1124のガラス上の構成要素に電圧を印加するように構成された回路を含むコントローラ1310を含む。特定の例示的実施形態では、制御回路1310は、図12に示されるフローチャートを参照して考察された1つ以上の動作に従って、シェード112、アンカーバー1122及び/又はラッチ停止バー1124のガラス上の構成要素に電圧を提供するように構成され得る。
【0113】
コントローラ1310は、シェード112、アンカーバー1122、及び/又はラッチ停止バー1124のガラス上の構成要素に結合されている。コントローラは、電源1320を含んでもよく、及び/又は外部電源に結合されてもよい。電源1320は、AC及び/又はDC電源(例えば、DCバッテリ及び/又はDCバッテリを充電するためのAC電源)を含んでもよい。コントローラ1310は、電源1320によって供給される電圧をシェード112、アンカーバー1122及び/又はラッチ停止バー1124のガラス上の構成要素に独立して印加し、シャッタ1112、アンカーバー1122及び/又はラッチ停止バー1124のガラス上の構成要素に印加される電圧の放電を独立して制御するように構成されている。
【0114】
図14は、特定の例示的実施形態による、コントローラ1310の一部であり、図13に関連して使用され得る例示的な制御回路1350を示す。図14に示すように、電源1320からの電圧は、それぞれの電極と電源1320との間に結合された一対のスイッチを制御することによって異なる電極に提供される。インダクタが、放電中のエネルギー回収を可能にするために、スイッチと電極との間に直列に接続され得る。
【0115】
図14に示されるように、第1の対のスイッチS1及びS2は、シャッタ1112の第1の導電性層に電圧を提供するように制御され、第2の対のスイッチS3及びS4は、シャッタ1112の第2の導電性層に電圧を提供するように制御され、第3の対のスイッチS5及びS6は、ガラス上の構成要素1104の導電体に電圧を提供するように制御され、第4の対のスイッチS7及びS8は、ラッチ停止バー1124に電圧を提供するように制御される。特定の例示的実施形態では、低コストゲートドライバ技術を含む多相ブリッジ回路が、異なる電極に電圧を提供するために利用され得る。
【0116】
特定の例示的実施形態では、第1の対のスイッチS1及びS2並びに第2の対のスイッチS3及びS4は、シャッタ1112内の導電性層及びガラス上の構成要素1104内の導電性層に電圧を提供するように制御され得る。導電性層に電圧を提供することは、シャッタ1112の可撓性基材を閉位置に向かって駆動するための静電力を生成し得る。スイッチS7及びS8は、ラッチ停止バー1124の導電性部分に電圧を提供するように制御され得る。ラッチ停止バー1124の導電性部分に電圧を提供することは、シャッタ1112の可撓性基材をラッチ停止バー1124に静電的にラッチするのを助けるための静電力を生成することができる。
【0117】
図14には示されていないが、特定の例示的実施形態では、アンカーバー1122に電圧を別個に提供するために、追加の対のスイッチ及びインダクタが制御回路1350に含まれてもよい。
【0118】
制御回路1350は、動的シェードの異なる電極に提供される充電及び放電の独立制御を可能にする。スイッチは、アンカーバー、窓、及び停止バーに印加される電圧を低減し、ラッチ停止バー又は動的シェードの他の構成要素に電圧を再印加するように制御され得る。
【0119】
図12のフローチャートを参照して上記で考察したように、特定の例示的実施形態では、異なる電極への電圧出力は、低減されて再び加えられてもよい(例えば、ステップS1210及びS1212を参照)。制御回路1350は、動的シェードの異なる電極に提供される充電及び放電の独立制御を可能にする。スイッチは、アンカーバー、窓及び停止バーに印加される電圧を低減し、ラッチ停止バー又は動的シェードの他の構成要素に電圧を再印加するように制御され得る。
【0120】
特定の例示的実施形態では、電極への電圧出力は、電流の適切な制限によって低減され得る。特定の例示的実施形態では、適切なパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)波形を使用することができる。これに関して、PWMは概して、制御ループにフィードバック信号を提供するための電圧及び/又は電流測定を必要とする。正確なデューティサイクル及び持続時間は、当業者によって判定され得ることが理解されよう。電圧の低減及び再印加は、そのように限定されず、当業者に既知の他の技術によって、例えば、電源1320によって提供される電圧を制御することによって実行されてもよい。
【0121】
上記で提供された記載は、別個の独立して制御可能な電極設計を示唆するが、任意の好適な回路設計が、異なる例示的実施形態に関連して使用されてもよい。特定の例示的実施形態は、例えば、シャッタの電動後退に関連する上述の技術に関連して使用されるものと同一又は類似の回路設計を使用することができる。例えば、ラッチ停止バー電極を駆動する追加のハーフブリッジ出力が提供されてもよい。回路は、多相(例えば、三相)プッシュプル回路であってもよい。ラッチ停止バー及び電動後退が同じ設計で実装される場合、回路は、追加のハーフブリッジ出力段(例えば、第4のハーフブリッジ出力段)を含むように修正され得る。特定の例示的実施形態では、コントローラは、充電及び放電を制御するための一対のHブリッジ回路を含んでもよい。
【0122】
特定の例示的実施形態は静電ラッチ停止バーに関連して記載されるが、「バー」という用語の使用は、任意の特定の構造を示すものと理解されるべきではない。「停止部」の形状は、特定の例示的実施形態では、概ね細長いものであってもよい。しかしながら、異なる例示的実施形態では、停止部は、複数の停止セグメントを備えてもよい。停止部の形状は、全体として、特定の例示的実施形態では概ね矩形であってもよい。しかし、異なる例示的実施形態では、異なる形状を使用してもよい。例えば、上記の記載から理解されるように、受け部を、シャッタが伸長するアンカーバーに面する停止部の表面上に画定することができ、この受け部は、平坦、概ね半円形などであり得る。上記で考察したものと同様に、「バー」という用語は、「アンカーバー」という用語に関連して使用されているが、本明細書における「バー」という文言の使用は、アンカーの何らかの特定の形状を一般的に示すものではないことが理解されるであろう。
【0123】
本明細書に記載されるIGユニットは、表面1、2、3、及び4のうちのいずれか1つ以上に低Eコーティングを組み込んでもよい。上述のように、例えば、このような低Eコーティングは、シェードのための導電層として機能し得る。他の例示的な実施形態では、シェードに役立つこと及びシェードのための導電層に加えて、又はそれとは別に、低Eコーティングが別の内面に提供されてもよい。例えば、表面2に低Eコーティングを設けてもよく、表面3に対してシェードを設けてもよい。別の例では、シェード及び低Eコーティングの位置を反転させてもよい。いずれの場合も、別個の低Eコーティングは、表面3に対して提供されるシェードを操作するのを助けるために使用されても、使用されなくてもよい。特定の例示的実施形態では、表面2及び3上に提供される低Eコーティングは、銀ベースの低Eコーティングであってもよい。低Eコーティングの例は、米国特許第9,802,860号、同第8,557,391号、同第7,998,320号、同第7,771,830号、同第7,198,851号、同第7,189,458号、同第7,056,588号及び同第6,887,575号に明記されており、上記の文献のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。ITOなどに基づく低Eコーティングを内面及び/又は外面に使用してもよい。例えば、米国特許第9,695,085号及び同第9,670,092号を参照されたく、上記の文献のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの低Eコーティングは、特定の例示的実施形態に関連して使用され得る。
【0124】
反射防止コーティングは、IGユニットの主表面上に提供されてもよい。特定の例示的実施形態では、ARコーティングは、低Eコーティング及びシェードが提供されない各主表面上に提供されてもよい。例示的なARコーティングは、例えば、米国特許第9,796,619号及び同第8,668,990号、並びに米国特許出願公開第2014/0272314号に記載されており、上記の文献のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,556,066号も参照されたい。これらのARコーティングは、特定の例示的実施形態に関連して使用されてもよい。
【0125】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、例えば、商業用途及び/又は住宅用途の内窓及び外窓、天窓、ドア、冷蔵庫/冷凍庫などの陳列棚(例えば、それらのドア及び/又は「壁」用)、車両用途などを含む、多種多様な用途に組み込むことができる。
【0126】
特定の例示的実施形態は、2つの基材を含むIGユニットに関連して記載されているが、本明細書に記載される技術は、いわゆる三重IGユニットに関して適用され得ることが理解されるであろう。このようなユニットでは、実質的に平行に離間した第1の基材、第2の基材、及び第3の基材は、第1のスペーサシステム及び第2のスペーサシステムによって分離され、シェードは、最も内側の基材及び最も外側の基材の内面のうちの任意の1つ以上に隣接して、かつ/又は中間基材の表面の一方若しくは両方に隣接して提供されてもよい。
【0127】
特定の例示的実施形態は、ガラス基材を組み込むものとして記載されているが(例えば、本明細書に記載されるIGユニットの内側及び外側のペインの使用のために)記載されているが、他の例示的な実施形態は、そのようなペインの一方又は両方のための非ガラス基材を組み込んでもよいことが理解されるであろう。例えば、プラスチック、複合材料などを使用してもよい。ガラス基材が使用される場合、そのような基材は、熱処理され(例えば、熱強化されかつ/又は熱焼戻しされ)、化学熱焼戻しされ、アニールされた状態のままなどであってもよい。特定の例示的実施形態では、内側基材又は外側基材は、同じ又は異なる材料の別の基材に積層されてもよい。
【0128】
本明細書で使用するとき、「~上」及び「~によって支持されている」などの用語は、明示的に記載されない限り、2つの要素が互いに直接隣接していることを意味するものと解釈されるべきではない。換言すれば、第1の層は、第2の層との間に1つ以上の層が存在する場合であっても、第2の層「上」又は「によって支持されている」とされ得る。
【0129】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットが提供される。第1の基材及び第2の基材は、それぞれが内部主表面及び外部主表面を有し、第1の基材の内部主表面は、第2の基材の内部主表面に面している。スペーサシステムは、第1の基材及び第2の基材を互いに対して実質的に平行に離間した関係に維持し、それらの間に間隙を画定するのに役立つ。アンカー及び停止部が提供されており、停止部の少なくとも一部分は導電性である。動的に制御可能なシェードは、第1の基材と第2の基材との間に挿入される。シェードは、第1の基材の内部主表面上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層と、第1の導電性層の、第1の基材とは反対の側において、第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層と、第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、シャッタは、アンカーから停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ停止部からアンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含む。第2の誘電体層が、停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供されている。制御回路が、可撓性基材をシャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、第1の導電性層及び第2の導電性層への第1の電圧、並びに可撓性基材を停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、停止部の導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成されている。
【0130】
前段の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、停止部は、アルミニウム押出品、真鍮シムなどであり得る。
【0131】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、第2の誘電体層は、ポリイミドを含み得る。
【0132】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、第1の導電性層は、第1の電極の一部を形成してもよく、第2の導電性層は、第2の電極の一部を形成してもよく、停止部の導電性部分は、第3の電極の一部を形成してもよく、例えば、第3の電極は、第1の導電性層及び第2の導電性層から電気的に絶縁され、第1の導電性層及び第2の導電性層とは独立して制御可能である。
【0133】
前の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、停止部のアンカーに面する表面は、シェードがシャッタ閉位置に伸長したときにシェードの端部分を受け入れるように成形され得る。
【0134】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、シェードの端部分は、シェードがシャッタ閉位置に伸長されたときにロール状であってもよく、停止部のアンカーに面する表面は、シェードのロール状端部分を受け入れるための湾曲部を含んでもよい。
【0135】
前の6つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、制御回路は、シャッタがシャッタ閉位置に保持されているときに、第1の導電性層に第3の電圧を提供するように更に構成されてもよく、例えば、第3の電圧は、第1の電圧よりも低い。
【0136】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、制御回路は、シャッタがシャッタ閉位置に保持されているときに、停止部の導電性部分に第4の電圧を提供するように更に構成されてもよく、例えば、第4の電圧は、第2の電圧よりも低い。
【0137】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、第4の電圧は、第3の電圧よりも高くてもよい。
【0138】
前の9つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、第1の電圧及び第2の電圧は同じであってもよい。
【0139】
前の10個の段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、制御回路は、第1の導電性層と電源との間に結合された第1のハーフブリッジ回路と、第2の導電性層と電源との間に結合された第2のハーフブリッジ回路と、停止部の導電性部分と電源との間に結合された第3のハーフブリッジ回路と、を含んでもよい。
【0140】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、第1のハーフブリッジ回路及び第2のハーフブリッジ回路は、第1の電圧を提供するように制御されてもよく、第3のハーフブリッジ回路は、第2の電圧を提供するように制御されてもよい。
【0141】
前の12個の段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、制御回路は、可撓性基材をシャッタ閉位置に駆動するための第1の静電力が第1の電圧に基づいて生成された後に、停止部の導電性部分に第2の電圧を提供するように構成されてもよい。
【0142】
特定の例示的実施形態では、前の13個の段落のいずれかに記載の断熱ガラス(IG)ユニット内で動的シェードを操作する方法が提供される。第1の電圧は、第1の導電性層及び第2の導電性層に提供され、可撓性基材をシャッタ閉位置に駆動する。第2の電圧は、停止部の導電性部分に提供され、可撓性基材を停止部に静電的にラッチするのを助ける。可撓性基材は、シャッタ開位置に戻される。
【0143】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、シャッタがシャッタ閉位置に保持されているときに、第1の導電性層に第3の電圧が提供されてもよく、例えば、第3の電圧は、第1の電圧よりも低い。
【0144】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、シャッタがシャッタ閉位置に保持されているときに、停止部の導電性部分に第4の電圧が提供されてもよく、例えば、第4の電圧は、第2の電圧よりも低い。
【0145】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、第4の電圧は、第3の電圧よりも高くてもよい。
【0146】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、第1の電圧及び第2の電圧は同じであってもよい。
【0147】
前の5つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、停止部は、アルミニウム押出品又は真鍮シムであってもよい。
【0148】
前の6つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、第1の導電性層は、第1の電極の一部を形成してもよく、第2の導電性層は、第2の電極の一部を形成してもよく、停止部の導電性部分は、第3の電極の一部を形成してもよく、例えば、第3の電極は、第1の導電性層及び第2の導電性層から電気的に絶縁され、第1の導電性層及び第2の導電性層とは独立して制御可能である。
【0149】
前の7つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、停止部のアンカーに面する表面は、シェードがシャッタ閉位置に伸長したときにシェードの端部分を受け入れるように成形されてもよい。
【0150】
特定の例示的実施形態では、アンカー及び停止部を含む基材が提供され、停止部の少なくとも一部分は導電性である。動的に制御可能なシェードがその上に提供されており、シェードは、基材上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層と、第1の導電性層の、基材とは反対の側において、第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層と、第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、シャッタは、アンカーから停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ停止部からアンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含む。第2の誘電体層が、停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供されている。第1の導電性層及び第2の導電性層並びに停止部の導電性部分は、全て、可撓性基材をシャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、第1の導電性層及び第2の導電性層への第1の電圧、並びに可撓性基材を停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、停止部の導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成された制御回路に接続可能である。
【0151】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、停止部のアンカーに面する表面は、シェードがシャッタ閉位置に伸長したときにシェードの端部分を受け入れるように成形されてもよい。
【0152】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、シェードの端部分は、シェードがシャッタ閉位置に伸長されたときにロール状であってもよく、停止部のアンカーに面する表面は、シェードのロール状端部分を受け入れるための湾曲部を含んでもよい。
【0153】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、シャッタがシャッタ閉位置に保持されているときに、第1の導電性層に第3の電圧を提供可能であってもよく、例えば、第3の電圧は、第1の電圧よりも低く、シャッタがシャッタ閉位置に保持されているときに、停止部の導電性部分に第4の電圧を提供可能であってもよく、例えば、第4の電圧は、第2の電圧よりも低く、第3の電圧よりも高い。
【0154】
前の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、制御回路は、第1の導電性層と電源との間に結合された第1のハーフブリッジ回路と、第2の導電性層と電源との間に結合された第2のハーフブリッジ回路と、停止部の導電性部分と電源との間に結合された第3のハーフブリッジ回路と、を含んでもよく、第1のハーフブリッジ回路及び第2のハーフブリッジ回路は、第1の電圧を提供するように制御されてもよく、第3のハーフブリッジ回路は、第2の電圧を提供するように制御されてもよい。
【0155】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットの製造方法が提供される。方法は、第1の基材及び第2の基材を有することであって、第1の基材及び第2の基材の各々が内部主表面及び外部主表面を有し、第1の基材の内部主表面が、第2の基材の内部主表面に面している、有することを含む。アンカー及び停止部が提供されている。停止部の少なくとも一部分が導電性である。第2の誘電体層が、停止部のアンカーに面する表面上に直接又は間接的に提供されている。動的に制御可能なシェードが、第1の基材及び/又は第2の基材上に提供されており、シェードは、第1の基材の内部主表面上に直接又は間接的に提供された第1の導電性層と、第1の導電性層の、第1の基材とは反対の側において、第1の導電性層上に直接又は間接的に提供された第1の誘電体層と、第2の導電性層を支持する可撓性基材を含むシャッタであって、シャッタは、アンカーから停止部に向かってシャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつ停止部からアンカーに向かってシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含む。第1の導電性層及び第2の導電性層並びに停止部の導電性部分は、制御回路に接続されており、制御回路は、(a)可撓性基材をシャッタ閉位置に駆動するように第1の静電力を生成するための、第1の導電性層及び第2の導電性層への第1の電圧、並びに(b)可撓性基材を停止部に静電的にラッチするのを助けるように第2の静電力を生成するための、停止部の導電性部分への第2の電圧、を提供するように構成されている。第1の基材及び第2の基材は、間隙がそれらの間に画定され、動的に制御可能なシェードが間隙に位置するように、実質的に平行に離間した関係で互いに接続される。
【0156】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、停止部のアンカーに面する表面は、シェードがシャッタ閉位置に伸長したときにシェードの端部分を受け入れるように成形されてもよい。
【0157】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、シェードの端部分は、シェードがシャッタ閉位置に伸長されたときにロール状であってもよく、停止部のアンカーに面する表面は、シェードのロール状端部分を受け入れるための湾曲部を含んでもよい。
【0158】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、シャッタがシャッタ閉位置に保持されているときに、第1の導電性層に第3の電圧を提供可能であってもよく、例えば、第3の電圧は、第1の電圧よりも低く、シャッタがシャッタ閉位置に保持されているときに、停止部の導電性部分に第4の電圧を提供可能であってもよく、例えば、第4の電圧は、第2の電圧よりも低く、第3の電圧よりも高い。
【0159】
本発明は、現在実用的で好ましい実施形態と考えられるものと関連して説明されたが、本発明は、開示される実施形態及び/又は蒸着技術に限定されるものではなく、寧ろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
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【国際調査報告】