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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】発泡抑制組成物
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/04 20060101AFI20240207BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20240207BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20240207BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240207BHJP
   C08G 77/18 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B01D19/04 A
C08L83/06
C08L83/04
C08K3/22
C08G77/18
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023539802
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2021050059
(87)【国際公開番号】W WO2022148525
(87)【国際公開日】2022-07-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】レビン,ハギト
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ティアンユエ
【テーマコード(参考)】
4D011
4J002
4J246
【Fターム(参考)】
4D011CA01
4D011CC04
4D011CC06
4J002CP03X
4J002CP05W
4J002DJ016
4J002EA007
4J002FB266
4J002FD016
4J002FD207
4J002GT00
4J246AA03
4J246AB01
4J246BA020
4J246BA02X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA010
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA140
4J246CA14M
4J246CA14U
4J246CA14X
4J246FA132
4J246FA142
4J246FA322
4J246FA452
4J246FB202
4J246FC142
4J246FE02
4J246FE24
4J246FE26
4J246FE32
4J246GC41
4J246HA43
4J246HA56
(57)【要約】
発泡抑制組成物は、成分(A)及び成分(B)を含む。成分(A)は以下の式の単位を含む
(RO)(RO)(RO) SiO[SiRO][SiR(OR10)O]Si(RO)(RO)(RO)
成分(B)は充填剤を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む発泡抑制組成物。
以下の式の単位を含む成分(A)
(RO)(RO)(RO) SiO[SiRO][SiR(OR10)O]Si(RO)(RO)(RO)
[式中、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
10は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
添え字a、b、c、d、e、及びfは、各々0~3の範囲の値を有し、ただし、a+b+c+d+e+f=3であるという制限があり、Xは0~1000の整数であり、Yは1~1000の整数である。]及び
充填剤を含む成分(B)。
【請求項2】
成分(C)をさらに含み、成分(C)はM単位及びQ単位を含む樹脂であり、少なくとも1つのM単位は式(R11SiO1/2のものであり、少なくとも1つのQ単位が式SiO4/2のものであり、R11は水素原子、1~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基、又は6~40個の炭素原子と酸素原子に単結合した少なくとも1つのアルキルとを有する飽和若しくは不飽和の基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1種以上の水不溶性有機化合物を含む成分(D)をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
25℃及び1014.25hPaで10~2,000,000mPa・sの粘度並びに0.9~1.20g/mLの密度を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記充填剤が、ケイ素の酸化物、金属酸化物、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分(A)が、1メートル当たり20~40ミリニュートンの表面張力を示す疎水性流体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分(A)が、2,000~50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記成分(A)が、0~99モル%の量の[SiRO]単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記成分(A)が、99モル%以下の量の[SiR(OR10)O]単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
Yが10~1000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのR、R、R、又はR10の隣接する炭素原子が、1個以上の酸素原子又は窒素原子によって割り込まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物中の前記成分(B)と前記成分(C)との重量比が、95:5~5:95の範囲にある、請求項2に記載の組成物。
【請求項13】
Q単位に対するM単位のモル比が、好ましくは0.5~2.0の範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
前記成分(C)が、さらに式R11SiO3/2の単位又は式R11 SiO2/2の単位を含み、R11SiO3/2単位又はR11 SiO2/2単位が、成分(C)中の全ての単位の和に基づいて0.01~20モル%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
前記1種以上の水不溶性有機化合物の少なくとも1種が、900~1100hPaで100℃を超える沸点を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項16】
前記成分(A)が、10~99モル%の量の[SiRO]単位を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
前記成分(A)が、0~5モル%の量の[SiRO]単位を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項18】
前記成分(A)が、30~80モル%の量の[SiRO]単位を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記成分(A)が、90モル%以下の量の[SiR(OR10)O]単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
前記成分(A)が、95~99モル%の量の[SiR(OR10)O]単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
前記成分(A)が、20~80モル%の量の[SiR(OR10)O]単位を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
以下を含む水性洗剤。
請求項1に記載の組成物、及び
界面活性剤系であって、少なくとも1種の界面活性剤を含む界面活性剤系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡抑制組成物に関する。より詳細には、本発明は、多成分発泡抑制組成物に関する。また、本発明は、発泡抑制組成物を調製するためのプロセス及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、洗剤のような界面活性剤を含む水性系では、泡の発生は特定の条件下では望ましくない。したがって、洗剤はしばしば消泡剤を含むものである。例えば、洗濯用途では、フロントローディング方式(ドラム式)の洗濯機の使用は、泡が発生しやすい状態を作り出す。シロキサンベースの消泡剤は、これらの用途において特に有用であることが証明されている。しかし、このような消泡剤の製造は、典型的には複雑であり、費用がかかる。
【0003】
さらに、洗浄機から出る灰色の水は、通常、洗剤、油、及び汚れを含み、処理及び浄化のために地方自治体の施設に送られる。このように、洗濯プロセスは、シロキサンが生態系に入る経路となる可能性がある。一旦環境に入ると、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリジオルガノシロキサン(M-Dタイプの材料)は、繰り返しジメチルシロキシ単位の存在によって分解することが知られており、これは、環化経路を介して分解して、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンなどのより低分子量の環状シロキサンになる。例えば、アルファ,オメガ-シラノール末端シロキサン流体は、熱分解して環状シロキサンを形成することが知られており、末端シラノール基が再生される。ポリジオルガノシロキサンの分解又は脱重合は酸又はアルカリ触媒によっても起こり、ポリマーの主鎖を攻撃して環状シロキサンを形成し、ポリマーの断片を短縮させる。
【0004】
したがって、前記の欠陥を克服できる組成物を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
発泡抑制組成物の実施形態が提供される。
【0006】
一実施形態では、発泡抑制組成物は、成分(A)及び成分(B)を含む。成分(A)は以下の式の単位を含む。
(RO)(RO)(RO) SiO[SiRO][SiR(OR10)O]Si(RO)(RO)(RO)
式中、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
10は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基である。添え字a、b、c、d、e、及びfは、各々0~3の範囲の値を有し、ただし、a+b+c+d+e+f=3であるという制限があり、Xは0~1000の整数であり、Yは1~1000の整数である。成分(B)は充填剤を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、成分(A)は、メートル当たり20~40ミリニュートンの表面張力を示す疎水性流体である。
【0008】
他の実施形態では、成分(A)は、2,000~50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。
【0009】
さらに他の実施形態では、成分(A)は、0~99モル%の量の[SiRO]単位を含む。これらの実施形態のある特定のものにおいて、成分(A)は、10~99モル%の量の[SiRO]単位を含む。好ましくは、いくつかの実施形態において、成分(A)は、30~80モル%の量の[SiRO]単位を含む。しかし、他の実施形態では、成分(A)は0~5モル%の量の[SiRO]単位を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、成分(A)は、99モル%以下の量の[SiR(OR10)O]単位を含む。好ましくは、これらの実施形態では、成分(A)は、90モル%以下の量の[SiR(OR10)O]単位を含む。これらの実施形態のいくつかでは、成分(A)は20~80モル%の量の[SiR(OR10)O]単位を含む。これらの実施形態の他のものでは、成分(A)は、95~99モル%の量の[SiR(OR10)O]単位を含む。
【0011】
好ましくは、充填剤は、ケイ素の酸化物、金属酸化物、又はそれらの混合物を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに成分(C)を含む。ある特定の実施形態では、成分(C)はM単位及びQ単位を含む樹脂であり、少なくとも1つのM単位は式(R11SiO1/2であり、少なくとも1つのQ単位は式SiO4/2であり、R11は、水素原子、1~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基、又は6~40個の炭素原子と酸素原子に単結合した少なくとも1つのアルキルとを有する飽和又は不飽和の基である。
【0013】
ある特定の実施形態では、組成物中の成分(B)と成分(C)との重量比は、95:5~5:95の範囲にある。
【0014】
他の実施形態では、Q単位に対するM単位のモル比は0.5~2.0の範囲にある。
【0015】
さらに他の実施形態において、成分(C)は、式R11SiO3/2の単位又は式R11 SiO2/2の単位をさらに含み、ここで、R11SiO3/2単位又はR11 SiO2/2単位は、成分(C)中の全ての単位の和に基づいて、0.01~20モル%の量で存在する。
【0016】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに成分(D)を含む。ある特定の実施形態において、成分(D)は、1種以上の水不溶性有機化合物を含む。これらの実施形態のある特定のものにおいて、1種以上の水不溶性有機化合物の少なくとも1種は、900~1100hPaで100℃を超える沸点を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、組成物は、25℃及び1014.25hPaで10~2,000,000mPa・sの粘度並びに0.9~1.20g/mLの密度を示す。
【0018】
組成物のいくつかの実施形態において、Yは10~1000である。
【0019】
他の実施形態では、R、R、R、又はR10の少なくとも1個の隣接する炭素原子は、1個以上の酸素原子又は窒素原子によって割り込まれる。
【0020】
水性洗剤の実施形態も提供される。一実施形態では、水性洗剤は、前記発泡抑制組成物及び界面活性剤系の実施形態を含む。界面活性剤系は、少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、逆に明示的に明記されている場合を除き、種々の代替の配向及びステップシーケンスを仮定し得ることが理解されるべきである。また、以下の明細書に記載された特定の材料、物品、及び方法は、単に本発明の概念の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。したがって、開示された実施形態に関連する特定の特性、条件、又はその他の物理的特性は、特に明記しない限り、限定的とはみなされるべきではない。
【0022】
特定の実施形態では、発泡抑制組成物が提供される。この組成物は、水性系における泡の量の抑制に使用するのに適している。例えば、この組成物は水性洗濯洗剤の一部として提供され、洗濯用途に利用され得る。しかし、発泡抑制組成物は洗剤用途に限定されず、他の種類又はタイプの洗浄組成物において利用することができる。さらに、この組成物は、洗濯以外の用途に利用することができる。例えば、この組成物は、例えば、織物、パルプ、廃水、天然ガススクラビング、ポリマー分散物などの用途での発泡の抑制、又は農業用途若しくは水性系を含むその他の用途にも適している。
【0023】
発泡抑制組成物は、成分(A)を含む。いくつかの実施形態において、成分(A)は疎水性流体である。成分(A)は以下の式の単位を含む。
(RO)(RO)(RO) SiO[SiRO][SiR(OR10)O]Si(RO)(RO)(RO)
式中、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
10は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基である。添え字a、b、c、d、e、及びfは、各々0~3の範囲の値を有し、ただし、a+b+c+d+e+f=3であるという制限があり、Xは0~1000の整数であり、Yは1~1000の整数である。
【0024】
この実施形態では、成分(A)は、本明細書においてT単位とも呼ぶこともある少なくとも1つの[SiR(OR10)O]単位を含むポリオルガニルオキシシロキサンである。有利には、成分(A)のT単位がアルコキシ基を含む場合、発泡抑制組成物は、例えば、水性系における泡の量を抑制することができることが発見された。さらに、上記のT単位を含むことにより、環状ジオルガノシロキサンへの成分(A)の分解を防ぐことができる。
【0025】
が6~40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基である実施形態では、Rの隣接する炭素原子は、酸素(O)又は窒素(N)の1個以上の原子によって割り込まれ得る。Rが6~40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基である実施形態では、Rの隣接する炭素原子は、O又はNの1個以上の原子によって割り込まれ得る。Rが6~40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基である実施形態では、Rの隣接する炭素原子は、O又はNの1個以上の原子によって割り込まれ得る。R10が6~40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基である実施形態では、R10の隣接する炭素原子は、O又はNの1個以上の原子によって割り込まれ得る。O又はNの2個以上の原子が、少なくとも1つのR、R、R又はR10の隣接する炭素原子に割り込んでいる場合、O又はNの原子は互いに隣接しないことが好ましい。
【0026】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R、R、及びRの飽和又は不飽和の基は、1~12個の炭素原子を有する炭化水素基である。そのような炭化水素基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、エチニル基及びオクテニル基、並びにアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基が含まれる。メチル基及びエチル基が最も好ましい。いくつかの実施形態において、R、R、及びRの少なくとも80モル%はメチル基又はエチル基であり、R、R、及びRの少なくとも50モル%はメチル基又はエチル基である。
【0027】
いくつかの実施形態において、成分(A)は、[SiR(OR10)O]単位よりも、より多くの[SiRO]単位を含み、これは本明細書ではD単位とも呼ばれ得る。他の実施形態では、成分(A)は、[SiRO]単位よりも多くの[SiR(OR10)O]単位を含む。
【0028】
前記のように、Xは0~1000の整数である。これらの実施形態において、成分(A)は、0~99モル%の量の[SiRO]単位を含み得る。Xが0である実施形態では、成分(A)中の[SiRO]単位のモル%は5モル%以下でよい。好ましくは、Xが0である実施形態では、成分(A)中の[SiRO]単位のモル%は0モル%である。Xが正の整数であるが、例えば、0~50のような低い値を有する実施形態では、成分(A)中の[SiRO]単位のモル%は0~5モル%でよい。他の実施形態では、Xは10~1000、又はより好ましくは20~500であり得る。これらの実施形態では、Xは、成分(A)中の[SiRO]単位が10~99モル%の量で存在するような整数であってもよい。より好ましくは、これらの実施形態では、Xは、[SiRO]単位が30~80モル%の量で存在するような整数である。
【0029】
前記のように、Yは1~1000の整数である。これらの実施形態において、成分(A)は、99モル%以下の量の[SiR(OR10)O]単位を含み得る。好ましくは、これらの実施形態では、Yは、[SiR(OR10)O]単位が0モル%を超える量で存在するような整数である。好ましくは、Yは[SiR(OR10)O]単位が5モル%以上の量で存在するような整数である。このような実施形態の1つでは、[SiR(OR10)O]単位は5~99モル%の量で存在する。ある特定の実施形態では、Yは10以上である。例えば、Yは10~1000であり得る。好ましくは、Yは[SiR(OR10)O]単位が20モル%以上の量で存在するような整数である。例えば、一実施形態において、Yは、[SiR(OR10)O]単位が95モル%以上の量で存在するような整数である。例えば、成分(A)の[SiR(OR10)O]単位は95~99モル%であることができる。この実施形態では、Xは0~50であることができ、成分(A)中の[SiRO]単位のモル%は0~5モル%であることができる。しかし、いくつかの実施形態において、Yは、[SiR(OR10)O]単位が90モル%以下の量で存在するような整数である。例えば、いくつかの実施形態において、成分(A)は20~90モル%の[SiR(OR10)O]単位を含む。他の実施形態では、成分(A)は、0~90モル%の間の量の[SiR(OR10)O]単位を含み得る。例えば、[SiR(OR10)O]単位は5~90モル%の量で存在することができる。これらの実施形態において、Yは、成分(A)が20~80モル%の[SiR(OR10)O]単位を含むような整数であってもよい。
【0030】
成分(A)の特定の単位のモル%を記載する場合、記載されるモル%は成分(A)の単位の総数に基づくことに留意すべきである。特定のタイプの単位、例えば、D単位又はT単位のモル%は、標準の分析的核磁気分光法29Si(NMR)技術に基づいて決定することが好ましい。成分(A)のモル%を決定するために、T単位は29Si(NMR)スペクトル内で-40~-80ppmの範囲で定義され、D単位は29Si(NMR)スペクトル内で-21~-40ppmの範囲で定義される。
【0031】
成分(A)中の[SiRO]単位のモル%が5モル%を超える実施形態では、成分(A)の形成は遷移金属触媒の使用を含むことができる。遷移金属触媒は、ポリオルガノヒドロシロキサンを適切なアルコール、アルデヒド、又はケトンと反応させて成分(A)を形成するための脱水素又は還元カップリング法に有用である。脱水素又は還元経路の使用は、シロキサンポリマーを官能化する方法として、アルコール、アルデヒド、又はケトンを有する化学原料を使用することを可能にする。触媒に使用するのに適した金属の例としては、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、及びイリジウムが挙げられ、これらは、活性炭、アルミナ、又はシリカなどの微粉砕担体材料上に任意に固定することができる。成分(A)の形成に使用するのに適した均一触媒の具体例としては、[CuH(PPh)]、[RuCl(p-シメン)]、RhCl(PPh、及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられる。
【0032】
成分(A)中の[SiRO]単位のモル%が5モル%以下である実施形態では、当技術分野で既知のエステル交換法を利用して、より低い沸点のアルコールをより高い沸点のアルコールと交換することができる。これらの実施形態においては、ポリメチルメトキシシロキサン又はポリメチルエトキシシロキサンのようなシリコーンポリマーを、1種以上のアルコールと反応させて、Ti(OBu)のようなルイス酸触媒を用いてT単位を有する官能化ポリアルコキシシロキサンを生成することができる。このプロセスで、生成された全ての低沸点メタノール又はエタノールは合成中に除去できる。
【0033】
成分(A)の形成に使用するのに適したアルコールは、種々の第一級、第二級、又は第三級飽和又は不飽和アルコールから選択することができる。いくつかの実施形態において、これらのアルコールは6~40個の炭素原子を有する。これらの実施形態のいくつかでは、アルコールは、O又はNの1個以上の原子に割り込まれた1対の炭素原子を含むことができる。適切なアルコールの例としては、アニシルアルコール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、カルバクロール、シトロネロール、シス-6-ノネン-1-オール、シス-3-オクテノール、シクロヘキサノール、1-デカノール、6,8-ジメチルノナン-2-オール、ジヒドロカルベオール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、エバノール、オイゲノール、ゲラニオール、1-ヘプタノール、ヒドロシンナミルアルコール、シス-3-ヘキサノール、トランス-3-ヘキサノール、シス-4-ヘプテノール、イソボルネオール、イソオイゲノール、イソメントール(isomethol)、イソプレゴール、ラウリルアルコール、リナロール、リノレイルアルコール、メントール、a-メチルベンジルアルコール、ネロール、ノニルアルコール、トランス-2-ノネン-1-オール、トランス-2-シス-6-ノナジエノール、1-オクタノール、3-オクタノール、トランス-2-オクテノール、オレイルアルコール、b-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエタノール、3-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、ステアリルアルコール、a-テルピネオール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、チモール及びトリメチルシクロヘキサノールが挙げられる。成分(A)の形成に使用するのに適切な市販の材料は、酸素原子に割り込まれた炭素原子を有するアルコールアルコキシレート基を有し得る。そのようなアルコールアルコキシレートはEcosurf(商標)又はTergitol(商標)の商標の下で販売されており、ダウケミカル社から入手できるか、又はEmulan(R)、Lutensol(R)又はPluriol(R)の商標の下で販売されており、BASFから入手することができる。
【0034】
成分(A)を形成するために利用される還元カップリング法には、以下のアルデヒド、すなわち、シンナムアルデヒド、シス-4-デカナール、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ドデカナール、ヘキサデカナール、2-エチルヘキサナール、2-エチルオクタナール、ヒドロシンナムアルデヒド、5-メチルフルフラール、2-メチルペンテナール、1-ナフトアルデヒド、1-オクタナール、シリンガアルデヒド、Trivertal、バニラン、o-バニランエチルバニリンの1種以上を使用することを含むことができる。一方、ケトンを利用する場合、適切なケトンとしては、例えば、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチルシクロヘキサノン、Cyrene(商標)、2-デカノン、3-デカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、デカラクトン、イオノン、レボグルコセノン、2-オクタノン、及び3-オクタノンが挙げられる。
【0035】
成分(A)が形成された場合、成分(A)は実質的に直鎖状であってもよい。しかし、成分(A)には分枝が含まれていてもよい。分岐構造は、2つ以上の反応性アルコール官能基を含む連結剤、例えば、ジエチレングリコール、脱イオン水、グリセロール、1-フェニル-1,2-エタンジオール、2-フェニル-1,3-プロパンジオール、p-キシレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、1,8-オクタンジオール、トリエチレングリコール、及び2つ以上の反応性アルデヒド基を含む連結剤、例えば、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシアルデヒド、2,5-ビス(オクチルオキシ)テレフタルアルデヒド(telephthaldehyde)、及びグルタルアルデヒドを用いて、成分(A)に導入することができる。成分(A)中の[SiRO]単位のモル%が5モル%を超える実施形態では、上記の連結剤が適している。成分(A)中の[SiRO]単位のモル%が5モル%以下である実施形態では、アルコール官能基を有する連結剤が好ましい。
【0036】
好ましくは、成分(A)は疎水性流体である。いくつかの実施形態において、成分(A)は、1メートル当たり20~40ミリニュートン(mN/m)、好ましくは25~37mN/mの表面張力を有することが好ましい。成分(A)の表面張力は、Kruess K100 Force Tensiometerのようなフォーステンシオメータを利用して測定できる。成分(A)の表面張力を測定するために、テンシオメータは、まず校正分銅を使用することによって校正され、校正分銅の±0.5mg以内で測定されるべきである。脱イオン水試料を基準として試験し、72.4mN/mの±1.0mN/m以内で測定するべきである。次に、成分(A)37.5mLを4オンスの試料瓶に充填し、容器台に置くことで成分(A)の表面張力を測定できる。試料容器台は、試料表面が白金めっきプローブの底部の直下になるまで上げる。白金めっきプローブは、外部の加熱源と共に使用する前に洗浄することができる。表面張力の測定は22℃で行い、濡れの深さを5ミリメートル(mm)、スピードアップを5mm/分、スピードダウンを5mm/分とする。最初の損傷後に数回の測定を行うことができ、表面張力を与えるために平衡に達すると平均を計算することができる。
【0037】
他の実施形態では、成分(A)は、2,000~50,000ダルトン(Da)の範囲の重量平均分子量を有する。成分(A)の数平均分子量(Mw)は3,000~30,000Daの範囲が好ましい。分子量平均及び数平均分子量は、長さ300mm、幅7.5mmを有し、Agilent Technologiesから入手可能なPLgel MIXED-Bカラムと、25℃で1mL/分の流速及びTHF中の成分(A)の1%溶液100μLの注入量を用いたテトラヒドロフラン(THF)移動相とを利用したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定することができる。また、成分(A)は、DIN 53019により25℃で10(s-1)せん断速度条件下で、好ましくは25mm直径を有する円錐プレートを備えたレオメータを用いて、1~50,000mPaの範囲の粘度を示すことができる。好ましくは、これらの条件下で、成分(A)は1~20,000mPa・sの粘度を示す。より好ましくは、これらの条件下で、成分(A)は1~10,000mPa・sの粘度を示す。成分(A)の密度は、25℃で0.9~1.20グラム/ミリリットル(g/mL)の範囲にあり得、例えば、ASTM D333、ISO 2811、又はDIN 51757のような方法で記載されるように測定することができる。特に指定のない限り、成分(A)の密度を1014.25hPa及び20℃又は典型的には室温条件に関連する温度で測定する。
【0038】
発泡抑制組成物は、成分(B)を含む。成分(B)は充填剤を含む。好ましくは、成分(B)は充填剤である。いくつかの実施形態において、発泡抑制組成物は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、0.1~20重量部、より好ましくは1~10重量部の量の充填剤を含む。充填剤は、いずれの組合せにおいても、成分(A)又は成分(B)に添加することができる。
【0039】
充填剤は、単一の材料又は別個の材料の混合物であってもよい。好ましくは、発泡抑制組成物に使用される充填剤は、20~1000m/gのBET比表面積を有する材料を含む。ある特定の実施形態では、充填剤は、10μm未満の粒径を有する材料を含む。このような一実施形態では、充填剤は1~10μmの粒径を有する材料を含む。適切な充填剤材料は、100μm未満の弱凝集体サイズを有し得る。
【0040】
適切な充填剤材料には、例えば、シリカ(SiO)のようなケイ素の酸化物が含まれる。適切な充填剤には、例えば、二酸化チタン及び酸化アルミニウムのような金属酸化物も含まれる。金属石鹸、微粉砕石英、PTFE粉末、脂肪酸アミド、例えば、エチレンビスステアラミド、及び微粉砕疎水性ポリウレタンもまた、充填剤として利用され得る適切な材料である。上記材料の混合物も充填剤としての使用に適している。
【0041】
ケイ素の適切な酸化物は50~800m/gのBET比表面積を有する。これらの物質は燻蒸又は沈降させることができる。好ましい充填剤は、例えば、市販の疎水性シリカなどの前処理済シリカである。組成物中での使用に適している可能性がある市販の疎水性シリカの例は、HDK(R) H2000であり、これはヘキサメチルジシラザンで処理され、140m/gのBET比表面積を有し、Wacker Chemie AGから入手可能なフュームドシリカである。組成物中での使用に適している市販の疎水性シリカの別の例は、Sipernat(R) D10であり、これは、90m/gのBET比表面積を有し、Evonik Industries AGから入手可能なポリジメチルシロキサンで処理した沈降シリカである。
【0042】
いくつかの実施形態において、発泡抑制組成物は、成分(C)を含む。このような一実施形態では、成分(C)は、成分(A)100重量部に基づいて、1~10重量部で発泡抑制組成物中に存在する。これらの量では、成分(C)は成分(A)に可溶性であるか、部分的に不溶性であり得る。溶解度は当該技術分野で知られた方法によって測定することができる。他の実施形態では、組成物中の成分(B)と成分(C)との重量比は95:5~5:95の範囲にある。このような一実施形態では、組成物中の成分(B)と成分(C)との重量比は、80:20~20:80の範囲にある。
【0043】
ある特定の実施形態では、成分(C)は樹脂である。好ましくは、樹脂は、2種以上のタイプのシロキサン単位を含む。いくつかの実施形態において、樹脂は、M単位及びQ単位を含む。樹脂中のQ単位に対するM単位のモル比は0.5~2.0の範囲にあり得る。好ましくは、樹脂中のQ単位に対するM単位のモル比は0.6~1.0の範囲にある。成分(A)中の樹脂の溶解度は、樹脂中のQ単位に対するM単位の比に少なくとも部分的に依存し得る。
【0044】
実施形態では、少なくとも1つのM単位は式(R11SiO1/2のものであり、少なくとも1つのQ単位は式SiO4/2のものであり、R11は水素原子、1~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基、又は6~40個の炭素原子と酸素原子に単結合した少なくとも1つのアルキルとを有する飽和若しくは不飽和の基である。他の実施形態では、樹脂は式R11SiO3/2の単位又は式R11 SiO2/2の単位を含む。提供される場合、R11SiO3/2単位又はR11 SiO2/2単位は、成分(C)中の全ての単位の和に基づいて、0.01~20モル%の量で樹脂中に存在する。好ましくは、R11SiO3/2単位又はR11 SiO2/2単位は、樹脂中に、成分(C)中の全ての単位の和に基づいて、0.01~5モル%の量で存在する。樹脂はまた、メトキシ基又はエトキシ基のような遊離のSi結合した水酸基又はアルコキシ基を10重量%まで含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、樹脂は固体であることができる。他の実施形態では、25℃の温度及び1014.25hPaの圧力で測定した場合、樹脂は、直径25mmの円錐プレートを備えたレオメータを用いて、10(s-1)のせん断速度条件下で測定して1000mPa・sを超える粘度を示すことができる。上記の樹脂についてSECによって(ポリスチレン標準に対して)決定される重量平均分子量は、好ましくは200~200,000グラム/モルである。より好ましくは、上記の樹脂についてSECによって決定される重量平均分子量は、1000~20,000グラム/モルである。
【0046】
いくつかの実施形態において、発泡抑制組成物は、成分(D)を含む。好ましくは、成分(D)は、いずれの場合も成分(A)、(B)、及び使用される場合には(C)の総重量の100重量部に基づいて、0~1000重量部、より好ましくは0~100重量部の量で提供される。これらの実施形態では、成分(D)を利用して、分散物として発泡抑制組成物を提供することができる。好ましくは、成分(D)は、900~1100hPaの圧力、特に1014.25hPaで100℃を超える沸点を有する水不溶性有機化合物を含む。本明細書で使用される「水不溶性」という用語は、25℃及び1013.25hPaの圧力下での水への溶解度が2重量パーセント以下であることを意味する。適切な水不溶性有機化合物としては、鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソプロセスアルコール合成からの残渣、ペンタン-1,3-ジオールジイソブチレートなどの低分子量合成カルボン酸のエステル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸ドデシル、又はミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル、脂肪アルコール、低分子量アルコールのエーテル、フタレート、リン酸のエステル、及びワックスが挙げられる。数平均分子量が2000~4000のポリプロピレングリコールのポリマー、及び2700~5000の平均分子量及び1~7の親水性-親油性バランス(HLB)を有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドをベースとし、BASFからPluronic(R)及びTetronic(R)の商標下で販売されているブロックコポリマーもまた使用することができる。
【0047】
好ましくは、発泡抑制組成物が形成される場合、発泡抑制組成物は、成分の粘性混合物であり、外観を見ると、透明から不透明であり、無色から茶色がかっている。ある特定の実施形態では、発泡抑制組成物は、いずれの場合も25℃及び1014.25hPaでDIN 53019によって、好ましくは25mm径の円錐プレートを備えたレオメータで測定して、10~2,000,000mPa・s、好ましくは2,000~50,000mPa・sの粘度を示す。発泡抑制組成物は、例えば、所望の全ての成分を混合するなどの既知の方法によって調製することができる。成分の混合は、例えば、コロイドミル、溶解機、又はロータ-ステータホモジナイザーにおいて高いせん断力を生じることによって達成され得る。この混合操作は、例えば、充填剤に存在し得る空気の取り込みを防止するために、減圧下で行われることができる。
【0048】
発泡抑制組成物の実施形態は、水性系における泡の形成、特に洗濯中に洗剤組成物によって生成される泡を低減又は防止するために利用することができる。したがって、該組成物は水性洗剤に含まれてもよい。好ましくは、これらの実施形態において、水性洗剤は界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、少なくとも1種の界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物は、界面活性剤系での使用に適している。当該技術分野で知られた界面活性剤を水性洗剤に利用することができる。適切なアニオン性界面活性剤の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。適切な非イオン性界面活性剤には、アルコールエトキシレートが含まれ、これは、より低い洗浄温度、例えば、40℃での洗剤の有効性を保証する。しかし、例えば、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物などの他の界面活性剤を、界面活性剤系の一部として含めることができる。
【0049】
発泡抑制組成物が液体洗濯洗剤に利用される場合、その成分の相対割合は、洗剤配合物の密度に一致するように調節することができる。合体、クリーミング、沈降、又は分離の可能性を回避及び低減するために、発泡抑制組成物の密度は、洗剤中の他の成分、例えば、界面活性剤系の組合せによって提供される液体洗濯洗剤の密度と一致することが好ましい。好ましくは、これらの実施形態において、発泡抑制組成物の密度は、例えば、ASTM D333、ISO 2811、又はDIN 51757などの方法で定義される1.00~1.10g/mLである。発泡抑制組成物の密度を液体洗濯洗剤の密度と一致させることによって、上記の相溶性の問題を最小限にすることができる。
【0050】
発泡抑制組成物は、液体洗濯洗剤での使用に限定されないことを理解すべきである。発泡抑制は、望ましくない泡を最小限にするか、除去する必要があるあらゆる用途に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、発泡抑制組成物は、洗剤中に、又はエマルション、粉末、分散物、又は別の形態にさらに配合される別のタイプの洗浄組成物中に提供されてもよい。さらに、発泡抑制組成物は、有機ケイ素化合物が使用されることが知られている他の既知の発泡抑制用途に利用することができる。
【0051】
発泡抑制組成物は、例えば、エマルション、分散液などの液体形態で、又は別の形態、例えば、粉末で提供することができる。
【0052】
発泡抑制組成物が乳化形態で提供される実施形態では、シリコーンエマルションの調製に対し知られた乳化剤を利用することができる。適切な例としては、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性乳化剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、乳化剤の混合物を利用することが望ましい場合がある。これらの実施形態において、少なくとも1種の非イオン性乳化剤が利用されることが好ましい。適切な非イオン性乳化剤には、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸、10~20個の炭素原子を有するエトキシル化直鎖状又は分枝状アルコール、及び/又はグリセロールエステルが含まれる。得られたエマルションの安定性及び保存可能期間を増加させるために、増粘剤を用いることができる。例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル、例えば、キサンタンガムなどの天然増粘剤、及びポリウレタンなどの既知の増粘剤化合物、並びに防腐剤及び他の慣用の添加剤を、増粘剤として使用することができる。好ましくは、これらの実施形態では、エマルションは水を含む連続相を含む。
【0053】
発泡抑制組成物が分散液として提供される実施形態では、成分(A)、(B)、及び使用する場合、(C)を成分(D)に分散させることができる。本実施形態において、(D)成分は水不溶性の有機化合物であり、連続相を形成することができる。
【0054】
発泡抑制組成物が粉末として提供される実施形態では、発泡抑制組成物は成分(A)~(C)のみを含み、成分(D)は任意であることが好ましい。粉末形態の発泡抑制組成物を提供することは、例えば、噴霧乾燥又は凝集顆粒化などの当技術分野で既知の方法によって、及び既知の添加剤を利用することによって達成される。したがって、一例として、発泡抑制組成物が粉末形態である場合、それは、好ましくは、2~20重量%の発泡抑制組成物を含み、80~98重量%の粉末が1種以上の添加剤を含む。適切な添加剤は、例えば、ゼオライト、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、セルロース誘導体、尿素(誘導体)及び糖を含み得る。これらの粉末はまた、ワックス又は有機ポリマーを含み得る。
【0055】
上記の実施形態では、発泡抑制組成物は、発泡を抑制することが望ましいある特定の媒体において泡の形成を防止及び/又は減少させる方法で使用することができる。このような方法は、発泡抑制を提供すること、及び発泡抑制組成物を媒体に導入することを含むことができる。発泡抑制組成物は、例えば、上記の液体、エマルション、分散液、又は別の形態のうちの1つの形態で媒体に導入することができる。導入後、発泡抑制組成物を媒体と混合して、泡を防止又は減少させることができる。
【実施例
【0056】
以下の実施例は、発泡抑制組成物の実施形態をさらに説明し、開示することを目的としてのみ提示される。特に断りのない限り、実施例及びその調製物を記載するのに用いる全ての部及びパーセンテージは重量に関係する。さらに、特に指定しない限り、以下の実施例及びその調製を、1014.25hPa及び20℃で、又は反応体を追加の加熱又は冷却なしで、20℃で組み合わせたときに生じる温度で実施した。
【0057】
[実施例1の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン10.0グラムを、20mLの無水トルエン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した0.52グラムのStryker試薬[CuH(PPh(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び10.0グラムのn-ブタノール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む100mLフラスコに加え、激しく撹拌しながらStryker試薬及び無水トルエンの混合物に加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、FT-IRによって監視した。8時間の還流後のFTIRでは残存Si-Hは認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=ブトキシ基)の生成物18.0gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0058】
[実施例2の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン100.0グラムを、80mlの無水トルエン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した、活性炭上の4グラムのパラジウム(Pd/C)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び75.0gのシクロヘキサノール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む500mlのフラスクに加え、激しく撹拌しながらPd/C及び無水トルエンの混合物に加えた。得られた混合物を100℃まで加熱し、FT-IRで監視した。6時間の還流後のFTIRではSi-Hの残存は認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=シクロヘキソキシ基)の生成物160.0gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0059】
[実施例3の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン50.0グラムを、10mLの無水トルエン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した2グラムのStryker試薬[CuH(PPh(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び37.3グラムのシクロヘキサノン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む500mLフラスコに加え、激しく撹拌したStryker試薬及び無水トルエンの混合物に加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、FT-IRで監視した。7時間の還流後のFTIRでは残存Si-Hは認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=シクロヘキソキシ基)の暗灰色流体である生成物52.4gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0060】
[実施例4の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン50.0グラムを、10mLの無水キシレン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した2グラムのStryker試薬[CuH(PPh(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び37.3グラムの6,8-ジオキサビシロ[3.2.1]オクタノン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む500mLのフラスコに加え、激しく撹拌しながらStryker試薬(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び無水キシレンの混合物に加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、FT-IRで監視した。7時間の還流後のFTIRでは残存Si-Hは認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=6,8-ジオキサビシロ[3.2.1]オクトキシ基)の濃い暗灰色の流体である生成物52.4gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0061】
[実施例5の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン50.0グラムを、10mLの無水キシレン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した0.65グラムのStryker試薬[CuH(PPh(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び59グラムの1-ナフタルアルデヒド(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む500mLフラスコに加え、激しく撹拌しながらStryker試薬及び無水キシレンの混合物に加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、FT-IRで監視した。3時間の還流後のFTIRではSi-Hの残存は認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=1-オキシナフタレン基)のカラメル色の流体である生成物97.5gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0062】
[実施例6の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン50.0グラムを、10mLの無水キシレン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した0.5gのStryker試薬[CuH(PPh(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び51.7gの2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド(Trivertalの名称でSigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む500mLフラスコに加え、激しく撹拌しながらStryker試薬及び無水キシレンの混合物に加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、FT-IRで監視した。3時間の還流後のFTIRではSi-Hの残存は認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンメトキシ基)の淡褐色流体である生成物97.3gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0063】
[実施例7の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン50.0グラムを、10mLの無水キシレン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した1.5グラムのStryker試薬[CuH(PPh(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び42.0グラムのシクロヘキサンカルボキシアルデヒド(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む500mLフラスコに加え、激しく撹拌しながらStryker試薬及び無水キシレンの混合物に加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、FT-IRで監視した。3時間の還流後のFTIRではSi-Hの残存は認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=シクロヘキサンメトキシ基)の透明なわずかに緑色の流体である生成物80.5gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0064】
[実施例8の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン50.0グラムを、10mLの無水キシレン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した1.2グラムのStryker試薬[CuH(PPh(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び71.2グラムの2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む500mLフラスコに加え、激しく撹拌しながらStryker試薬及び無水キシレンの混合物に加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、FT-IRで監視した。3時間の還流後のFTIRではSi-Hの残存は認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=3-(p-イソプロピルフェニル-2-メチルプロポキシ基)の暗く不透明な流体である生成物80.5gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0065】
[実施例9の調製]
平均式(CH-Si-O-[SiH(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CHを有するポリオルガノシロキサン50.0グラムを、10mLの無水キシレン(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に溶解した1.2グラムのStryker試薬[CuH(PPh(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)及び50.2グラムの3-フェニルプロパナール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)を含む500mLフラスコに加え、激しく撹拌しながらStryker試薬及び無水キシレンの混合物に加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、FT-IRで監視した。3時間の還流後のFTIRではSi-Hの残存は認められなかった。この混合物を室温まで冷却し、Celite(R)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)に通して濾過した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、式(CH-Si-O-[SiR(CH)-O]40-[Si(CH-O]40-Si(CH(R=3-フェニルプロポキシ基)の透明な暗緑色の流体である生成物62.1gを得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0066】
[実施例1~9]
以下に記載され、表1に示される実施例1~9は、発泡抑制組成物の特定の実施形態を例示する。
【0067】
実施例1~9の発泡抑制組成物を調製するために、実施例1~9の調製の各生成物87.0部を、成分(B)3.0部、成分(C)5.0部、成分(D)5.0部と共に室温で10分間、溶解機中で混合した。成分(B)~(D)の各々は以下に記載の通りであった。成分Bは90m/gのBET比表面積を有する疎水性のポリジメチルシロキサン処理シリカである。成分(C)は、29Si-NMR及びIR分析により、40モル%のCHSiO1/2単位、50モル%のSiO4/2単位、8モル%のCOSiO3/2単位及び2モル%のHOSiO3/2単位からなり、7900g/モル(ポリスチレン標準物質に対する296g/モル~3,150,000g/モルの範囲)の重量平均モル質量を有することが示された室温で固体のシリコーン樹脂である。成分(D)は235~270℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物である。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例1~9と比較例である比較例1との発泡抑制性能を表2に報告する。実施例1~9の各々の発泡抑制性能は、以下に記載するように回転円筒試験を用いて測定した。
【0070】
各回転円筒試験は、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の両方を含む市販の液体洗剤100部に実施例1~9の各発泡抑制組成物0.0025部を加えることを含んでいた。次いで、実施例1~9の各消泡剤組成物を含む洗剤溶液1.8部を水300部に加えた。その後、得られた混合物を試験用円筒に加えた。各回転円筒試験を実施する前に、円筒を密閉した。円筒を密閉した後、円筒を30rpmで12分間回転させた。比較例1を、前記の回転円筒試験を用いて行った。しかし、比較例1については、実施例1~9のいずれの材料も円筒には含まれていなかった。上記のように円筒を回転させた後、直ちに実施例1~9及び比較例1について泡の高さを測定し、泡の高さをmmで記録した。
【0071】
【表2】
【0072】
表2で報告されている泡の高さが低いほど、発泡抑制性能は良好であった。表2に示すように、実施例1~9の発泡抑制組成物はいずれも、回転円筒試験を実施した後に生成した泡の高さを比較例1に対して増加させなかった。実際、実施例2~9の発泡抑制組成物は、比較例1に対して生成された発泡高さの減少を示し、これらの実施例の各々は、良好乃至非常に良好な発泡抑制を示した。
【0073】
[実施例10の調製]
75.0グラムのメトキシ官能性メチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG社から入手可能なSILRES(R) MSE 100)及び95.9グラムの2-フェニル-1-エタノール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をフラスコに加え、185℃まで加熱する。0.60gのTi(OBu)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をNの下でフラスコに加えた。それ以上メタノールが回収されなくなるまでこの混合物を180℃で3時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、追加の揮発性物質を、ロータリーエバポレーターを用いて除去して、式(RO)Si-[MeSiO(OR)]-Si(OR)(R=C(CH)の物質を含む薄い琥珀色の流体である148.0グラムの生成物を得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0074】
[実施例11の調製]
60.0グラムのメトキシ官能性メチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG社から入手可能なSILRES(R) MSE 100)及び74.8グラムの2-フェニル-1-エタノール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をフラスコに加え、180℃まで加熱する。0.23gのTi(OBu)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をNの下でフラスコに加えた。それ以上メタノールが回収されなくなるまでこの混合物を180℃で3時間加熱した。次いで、0.24グラムの水をフラスコに添加し、追加のメタノールが回収されなくなるまで、反応をさらに3時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、追加の揮発性物質を、ロータリーエバポレーターを用いて除去して、式(RO)Si-[MeSiO(OR)]-Si(OR)(R=C(CH)の物質を含む淡い琥珀色の流体である115.0グラムの生成物を得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0075】
[実施例12の調製]
54.3グラムのメトキシ官能性メチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG社から入手可能なSILRES(R) MSE 100)及び73.5グラムの3-フェニル-1-プロパノール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をフラスコに加え、180℃まで加熱する。0.21gのTi(OBu)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をNの下でフラスコに加えた。それ以上メタノールが回収されなくなるまでこの混合物を180℃で3時間加熱した。次いで、0.23グラムの水をフラスコに添加し、追加のメタノールが回収されなくなるまで、反応をさらに3時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、追加の揮発性物質を、ロータリーエバポレーターを用いて除去して、式(RO)Si-[MeSiO(OR)]-Si(OR)(R=C(CH)の物質を含む淡い琥珀色の流体である110.0グラムの生成物を得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0076】
[実施例13の調製]
50.7グラムのメトキシ官能性メチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG社から入手可能なSILRES(R) MSE 100)及び57.5グラムのシクロヘキサンメタノール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をフラスコに加え、180℃まで加熱する。0.18gのTi(OBu)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をNの下でフラスコに加えた。それ以上メタノールが回収されなくなるまでこの混合物を180℃で3時間加熱した。次いで、0.20グラムの水をフラスコに添加し、追加のメタノールが回収されなくなるまで、反応をさらに3時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、追加の揮発性物質を、ロータリーエバポレーターを用いて除去して、式(RO)Si-[MeSiO(OR)]-Si(OR)(R=C11CH)の物質を含む淡い琥珀色の流体である90グラムの生成物を得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0077】
[実施例14の調製]
34.7グラムのメトキシ官能性メチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG社から入手可能なSILRES(R) MSE 100)及び53.5グラムのゲラニオール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をフラスコに加え、180℃まで加熱する。0.18gのTi(OBu)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をNの下でフラスコに加えた。それ以上メタノールが回収されなくなるまでこの混合物を180℃で3時間加熱した。次いで、0.14グラムの水をフラスコに添加し、追加のメタノールが回収されなくなるまで、反応をさらに3時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、追加の揮発性物質を、ロータリーエバポレーターを用いて除去して、式(RO)Si-[MeSiO(OR)]-Si(OR)(R=C1017)の物質を含む淡い琥珀色の流体である75.0グラムの生成物を得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0078】
[実施例15の調製]
40.8グラムのメトキシ官能性メチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG社から入手可能なSILRES(R) MSE 100)及び50.8グラムの1-フェニル-1-エタノール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をフラスコに加え、180℃まで加熱する。0.26gのTi(OBu)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をNの下でフラスコに加えた。それ以上メタノールが回収されなくなるまでこの混合物を180℃で3時間加熱した。次いで、0.16グラムの水をフラスコに添加し、追加のメタノールが回収されなくなるまで、反応をさらに3時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、追加の揮発性物質を、ロータリーエバポレーターを用いて除去して、式(RO)Si-[MeSiO(OR)]-Si(OR)(R=CH(C)CH)の物質を含む淡い琥珀色の流体である77.0グラムの生成物を得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0079】
[実施例16の調製]
36.5グラムのメトキシ官能性メチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG社から入手可能なSILRES(R) MSE 100)及び49.5グラムの2-フェニル-1-プロパノール(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をフラスコに加え、180℃まで加熱する。0.16gのTi(OBu)(Sigma-Aldrich,USAから市販されている)をNの下でフラスコに加えた。それ以上メタノールが回収されなくなるまでこの混合物を180℃で3時間加熱した。次いで、0.15グラムの水をフラスコに添加し、追加のメタノールが回収されなくなるまで、反応をさらに3時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、追加の揮発性物質を、ロータリーエバポレーターを用いて除去して、式(RO)Si-[MeSiO(OR)]-Si(OR)(R=CH(C)CHCH)の物質を含む淡い琥珀色の流体である72.0グラムの生成物を得た。生成物の構造をH-NMR、29Si-NMR及びFTIR分析により確認した。
【0080】
[実施例10~16、10a、11a、及び14a]
実施例10~16、10a、11a、及び14aは、以下に説明され、表3に示されており、発泡抑制組成物のある特定の実施形態を例示する。
【0081】
実施例10~16の発泡抑制組成物を調製するために、実施例10~16の調製の各生成物87.0部を、成分(B)3.0部、成分(C)5.0部、成分(D)5.0部と共に、室温で、10分間溶解機中で混合した。成分(B)~(D)の各々は以下の通りであった。成分Bは90m/gのBET比表面積を有する疎水性のポリジメチルシロキサン処理シリカである。成分(C)は、29Si-NMR及びIR分析により、40モル%のCHSiO1/2単位、50モル%のSiO4/2単位、8モル%のCOSiO3/2単位及び2モル%のHOSiO3/2単位からなり、7900g/モル(ポリスチレン標準物質に対する296g/モル~3,150,000g/モルの範囲)の重量平均モル質量を有することが示された室温で固体のシリコーン樹脂である。成分(D)は235~270℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物である。
【0082】
実施例10a、11a、及び14aの発泡抑制組成物を調製するために、実施例10、11、及び14の調製の生成物97.0部を、成分(B)3.0部と共に室温で、10分間溶解機中で混合した。成分Bは上記の通りであった。
【0083】
【表3】
【0084】
実施例10~16、10a、11a、及び14aと比較例である比較例2との発泡抑制性能を表4に報告する。実施例10~16、10a、11a、及び14aの各々の発泡抑制性能を、以下に説明するように回転円筒試験を用いて測定した。
【0085】
各回転円筒試験は、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の両方を含む市販の液体洗剤(0.025重量%)100部に実施例10~16、10a、11a、及び14aのそれぞれの発泡抑制組成物0.0025部を添加することを含んでいた。次に、実施例10~16、10a、11a、及び14aのそれぞれの消泡組成物を含む洗剤溶液1.8部を水300部に加えた。その後、得られた混合物を試験用円筒に加えた。各回転円筒試験を実施する前に、円筒を密閉した。円筒を密閉した後、円筒を30rpmで12分間回転させた。比較例2は上記の回転円筒試験を用いて行った。しかし、比較例2については、実施例10~16の材料のいずれも円筒には含まれていなかった。上記のように円筒を回転させた後、直ちに実施例10~16、10a、11a、14a及び比較例2について泡の高さを測定し、泡の高さをmmで記録した。
【0086】
【表4】
【0087】
表4で報告されている泡の高さが低いほど、発泡抑制性能は良好であった。表4に示すように、実施例10~16、10a、11a及び14aのいずれの発泡抑制組成物も、回転円筒試験を実施した後に生成した泡の高さを比較例2に対して増加させなかった。実際に、実施例10~16、10a、11a及び14aの発泡抑制組成物の全ては、比較例2に対して生成された泡の高さの減少を示し、これらの例の各々は良好乃至非常に良好な発泡抑制を示した。
【0088】
前記の詳細な説明から、真の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正、追加、及び他の別の実施形態が可能であることは明白である。本明細書で議論された実施形態は、本発明の原理の最良の例示と、それによって当業者が様々な実施形態で本発明を使用することを可能にし、また意図される特定の使用に適した種々の修正を加えることを可能にするためのその実用用途を提供するために選択され、記載された。理解されるべきであるように、このような修正及び改変は全て本発明の範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む発泡抑制組成物。
以下の式の単位を含む成分(A)
(RO)(RO)(RO) SiO[SiRO][SiR(OR10)O]Si(RO)(RO)(RO)
[式中、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、水素原子、又は6~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
は、1~12個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
10、6~40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の基であり、
添え字a、b、c、d、e、及びfは、各々0~3の範囲の値を有し、ただし、a+b+c+d+e+f=3であるという制限があり、Xは0~1000の整数であり、Yは1~1000の整数である。]及び
充填剤を含む成分(B)。
【請求項2】
成分(C)をさらに含み、成分(C)はM単位及びQ単位を含む樹脂であり、少なくとも1つのM単位は式(R11SiO1/2のものであり、少なくとも1つのQ単位が式SiO4/2のものであり、R11は水素原子、1~40個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の基、又は6~40個の炭素原子と酸素原子に単結合した少なくとも1つのアルキルとを有する飽和若しくは不飽和の基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1種以上の水不溶性有機化合物を含む成分(D)をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
25℃及び1014.25hPaで10~2,000,000mPa・sの粘度並びに0.9~1.20g/mLの密度を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記充填剤が、ケイ素の酸化物、金属酸化物、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分(A)が、1メートル当たり20~40ミリニュートンの表面張力を示す疎水性流体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分(A)が、2,000~50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記成分(A)が、0~99モル%の量の[SiRO]単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記成分(A)が、99モル%以下の量の[SiR(OR10)O]単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
Yが10~1000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのR、R、R、又はR10の隣接する炭素原子が、1個以上の酸素原子又は窒素原子によって割り込まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物中の前記成分(B)と前記成分(C)との重量比が、95:5~5:95の範囲にある、請求項2に記載の組成物。
【請求項13】
Q単位に対するM単位のモル比が、好ましくは0.5~2.0の範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
前記成分(C)が、さらに式R11SiO3/2の単位又は式R11 SiO2/2の単位を含み、R11SiO3/2単位又はR11 SiO2/2単位が、成分(C)中の全ての単位の和に基づいて0.01~20モル%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
前記1種以上の水不溶性有機化合物の少なくとも1種が、900~1100hPaで100℃を超える沸点を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項16】
前記成分(A)が、10~99モル%の量の[SiRO]単位を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
前記成分(A)が、0~5モル%の量の[SiRO]単位を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項18】
前記成分(A)が、30~80モル%の量の[SiRO]単位を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記成分(A)が、90モル%以下の量の[SiR(OR10)O]単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
前記成分(A)が、95~99モル%の量の[SiR(OR10)O]単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
前記成分(A)が、20~80モル%の量の[SiR(OR10)O]単位を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
以下を含む水性洗剤。
請求項1に記載の組成物、及び
界面活性剤系であって、少なくとも1種の界面活性剤を含む界面活性剤系。
【国際調査報告】