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特表2024-506790C4炭化水素流からのブテンの三相分離を防止する方法
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  • 特表-C4炭化水素流からのブテンの三相分離を防止する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】C4炭化水素流からのブテンの三相分離を防止する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/08 20060101AFI20240207BHJP
   C07C 11/08 20060101ALI20240207BHJP
   B01D 3/40 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C07C7/08
C07C11/08
B01D3/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540548
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2022051334
(87)【国際公開番号】W WO2022161864
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】21153659.4
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523448406
【氏名又は名称】エボニック オクセノ ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ラトズ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ペイツ
(72)【発明者】
【氏名】アルミン マティアス リクス
(72)【発明者】
【氏名】タニタ バレリー シクス
(72)【発明者】
【氏名】モリッツ シュローダー
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス ポール
【テーマコード(参考)】
4D076
4H006
【Fターム(参考)】
4D076AA13
4D076AA22
4D076AA24
4D076BB04
4D076BB10
4D076BB23
4D076DA02
4D076DA05
4D076DA25
4D076FA15
4D076FA33
4D076GA02
4D076HA11
4D076JA03
4D076JA04
4H006AA02
4H006AB46
4H006AD13
4H006BB24
4H006BC51
4H006BC52
4H006BD35
4H006BD53
(57)【要約】
本発明は、適切な溶媒を用いた抽出蒸留により、ブテンだけでなくブタンも含むC4炭化水素流からブテンを分離する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒を用いた抽出蒸留により、少なくともブテンおよびブタンを含むC4炭化水素流からブテンを分離する方法であり、以下:
(a)供給蒸発装置内で液体C4炭化水素流が少なくとも部分的に蒸発され、気体C4炭化水素流が吸収装置へ供給され、液体溶媒が前記C4炭化水素流の上の液体分配装置を通って前記吸収装置へ供給され、
前記吸収装置は2個を超えるランダム充填床を有し、前記吸収装置において、前記C4炭化水素流と前記溶媒とが互いに接触されて、主にブテンが前記C4炭化水素流から前記溶媒へ移され、
その前記含有溶媒が前記吸収装置の液体回収装置に回収され、吸収蒸発装置に通され、次いで前記液体回収装置の下の前記吸収装置の底部に送られ、前記含有溶媒から主にブタンが脱ガスされ、
その後、前記含有溶媒が底部流として脱離装置に送られ、
前記吸収装置の頂部において、使用されるC4炭化水素流と比較してブタンが豊富な流れが得られ、それが少なくとも部分的に凝縮され、その凝縮液の一部が還流として前記吸収装置の頂部に戻される工程、
(b)前記含有溶媒、好ましくはNMPが前記脱離装置に供給され、
前記脱離装置は、前記吸収装置と比べて高温で、好ましくは低圧であり、前記脱離装置内でブテンが前記溶媒、好ましくはNMPから分離され、前記脱離装置の頂部においてブテンが豊富な流れが得られ、前記脱離装置の底部において少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒、好ましくはNMPが得られ、
前記少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒、好ましくはNMPが前記脱離装置内の前記液体回収装置に回収され、脱離蒸発装置に通され、次いで前記液体回収装置の下の前記脱離装置器の底部に送られ、前記溶媒中に残っているすべてのブテンが脱ガスされ、
その後、前記溶媒、好ましくはNMPが底部流として前記吸収装置に再循環される工程
を含み、
前記脱離装置の底部流として回収された前記溶媒の熱が、前記溶媒の熱を少なくとも1つの各熱交換器において、前記脱離装置に送られた前記含有溶媒の予熱のため、前記吸収蒸発装置内での蒸発のため、および前記液体C4炭化水素流の蒸発のために利用することにより、熱統合に利用され、
液相の少なくとも一部が、第1または第2ランダム充填床の上の前記液体分配装置で回収され、デキャンタ内で重液相と軽液相に分離され、前記重液相が前記吸収装置に戻され、および/または前記吸収装置内の還流が排出カップを介して前記吸収装置から回収され、スタティックミキサ内で前記液体溶媒と混合された後、前記液体溶媒とともに、前記第1ランダム充填床の上の前記液体分配装置に供給される、方法。
【請求項2】
使用する溶媒がNMPである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒または前記NMPは水を含み、その水分含有量が1重量%~10重量%、好ましくは4重量%~9重量%である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記脱離装置頂部で得られるブテンが豊富な流れは、前記溶媒由来の水をさらに含む、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記ブテンが豊富な流れは、前記脱離装置の頂部で回収され、凝縮に供され、
水とブテン含有生成物流とに凝縮され、互いに分離され、前記水が前記吸収装置に再循環される、請求項5記載の方法。
【請求項6】
凝縮から得られる前記ブテン含有生成物流のブテン含有量は、前記ブテン含有生成物流の全組成に対し、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%、特に好ましくは少なくとも86重量%である、請求項6記載の方法。
【請求項7】
ポンプを使用して、前記重液相が前記デキャンタから前記吸収装置へ移される、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記デキャンタで得られた前記軽液相が前記脱離装置へ送られる、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記軽液相は、最初に加熱され、フラッシュ容器へ送られ、そこで液相と気相が得られ、前記液相が前記脱離装置へ送られる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記フラッシュ容器からの前記気相は凝縮され、排出される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記脱離装置へ送られる前記含有溶媒の予熱は2段階で行われ、前記溶媒への第1の熱伝達が熱交換器内で行われ、前記溶媒への第2の熱伝達がケトル式蒸発装置内で行われる、請求項1~請求項10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
脱離蒸発装置での蒸発のための熱は、適切な熱伝達媒体、特に加熱蒸気を用いた熱伝達により熱交換器に導入され得る、請求項1~請求項11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
使用される前記加熱蒸気は、前記熱交換器内で少なくとも部分的に凝縮され、それにより、絶対圧10~20バール、好ましくは絶対圧12~17バール、温度150℃~200℃、好ましくは温度160℃~190℃の高温凝縮液が生成され、前記高温凝縮液は凝縮液容器に送られる、請求項1~請求項12のいずれか一項記載の方法
【請求項14】
前記凝縮液容器内の圧力は、前記熱交換器内の圧力よりも低く、それにより、前記加熱凝縮液の一部が再蒸発され、結果的に低圧蒸気として混合蒸気が得られる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記脱離蒸発装置用の前記加熱蒸気は、中圧蒸気と前記凝縮液容器内で得られる前記低圧蒸気とを供給する蒸気排出装置を用いて提供される、請求項1~請求項14のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な溶媒を用いた抽出蒸留により、ブテンだけでなくブタンも含むC4炭化水素流からブテンを分離する方法に関する。本発明による方法は、溶媒熱を異なる流の加熱に利用する熱統合を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
抽出蒸留によるブタン-ブテン混合物の分離はそれ自体知られている。これには、アルカンの相対揮発性を高めるために非プロトン性溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)またはアセトニトリル(ACN))が使用される。単一の抽出蒸留塔である吸収装置において、ブテンは好ましくは溶媒に溶解し、ブタンは塔頂生成物として分離される。その後、含有溶媒は、除去塔である脱離装置において高温でブテンを除去され、そのブテンは濃縮された形で塔頂生成物として得られる。次いで、ブテンが除去された溶媒は、抽出蒸留に再循環される。
【0003】
溶媒対原料比が高いため、熱統合は方法の経済性にとって非常に重要である。高温の溶媒は脱離装置の底部で得られ、そのエネルギー含量はさまざまな方法で利用され得る。米国特許出願公開第2014/0124358号明細書は、熱統合の課題を解決するといわれているオレフィンの選択的抽出方法を提示している。この文献は、脱離装置からの側流の加熱、脱離装置に送られる吸収装置の底部生成物の加熱、吸収装置の1つまたは複数の側流の加熱、および供給流の予熱に、高温溶媒のエネルギー含量を利用することを提案している。
【0004】
ブテン-ブタン混合物の分離では、エネルギー回収と吸収装置内の三相系の防止との両方が重要な機能である。ブタンが豊富な流れは、吸収装置の頭上を通過する。溶媒の一部が頭上を通過するのを防ぐために、溶媒を逆洗する必要がある。この目的を達成するために、n-ブタンを高い割合で含み得る一定量の還流を、吸収装置の上部にある逆洗領域に送る。しかし、n-ブタン含有量が高いと、吸収装置内に第2液相が発生しやすくなり、吸収装置の分離作業が妨げられるだけでなく、発泡の問題(ロス型発泡)を引き起こす可能性がある。統合された化学系にブテン-ブタン分離を統合することにより、より高いn-ブタン含量が、ブタン-ブテン分離への供給流中に存在し得ることも考慮しなければならない。しかし、供給流中のn-ブタン含有量が高いと、溶媒中のn-ブタンの平衡位置が移動し、その結果、第2液相が発生する可能性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0124358号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、第2液相の発生、ひいては泡形成の可能性を低減できる方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、ブタン-ブテン分離の分離効率上昇および最適なエネルギー利用を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に提案した方法の実施形態により達成できる。好ましい実施形態は、従属項に示している。本発明による方法は、溶媒を用いた抽出蒸留により、少なくともブテンおよびブタンを含むC4炭化水素流からブテンを分離する方法であり、以下:
(a)供給蒸発装置内で液体C4炭化水素流が少なくとも部分的に蒸発され、気体C4炭化水素流が吸収装置へ供給され、液体溶媒が前記C4炭化水素流の上の液体分配装置を通って前記吸収装置へ供給され、
前記吸収装置は2個を超えるランダム充填床を有し、前記吸収装置において、前記C4炭化水素流と前記溶媒とが互いに接触されて、主にブテンが前記C4炭化水素流から前記溶媒へ移され、
その前記含有溶媒が前記吸収装置の液体回収装置に回収され、吸収蒸発装置に通され、次いで前記液体回収装置の下の前記吸収装置の底部に送られ、前記含有溶媒から主にブタンが脱ガスされ、
その後、前記含有溶媒が底部流として脱離装置に送られ、
前記吸収装置の頂部において、使用されるC4炭化水素流と比較してブタンが豊富な流れが得られ、それが少なくとも部分的に凝縮され、その凝縮液の一部が還流として前記吸収装置の頂部に戻される工程、
(b)前記含有溶媒、好ましくはNMPが前記脱離装置に供給され、
前記脱離装置は、前記吸収装置と比べて高温で、好ましくは低圧であり、前記脱離装置内でブテンが前記溶媒、好ましくはNMPから分離され、前記脱離装置の頂部においてブテンが豊富な流れが得られ、前記脱離装置の底部において少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒、好ましくはNMPが得られ、
前記少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒、好ましくはNMPが前記脱離装置内の前記液体回収装置に回収され、脱離蒸発装置に通され、次いで前記液体回収装置の下の前記脱離装置器の底部に送られ、前記溶媒中に残っているすべてのブテンが脱ガスされ、
その後、前記溶媒、好ましくはNMPが底部流として前記吸収装置に再循環される工程
を含み、
前記脱離装置の底部流として回収された前記溶媒の熱が、前記溶媒の熱を少なくとも1つの各熱交換器において、前記脱離装置に送られた前記含有溶媒の予熱のため、前記吸収蒸発装置内での蒸発のため、および前記液体C4炭化水素流の蒸発のために利用することにより、熱統合に利用され、
液相の少なくとも一部が、第1または第2ランダム充填床の上の前記液体分配装置で回収され、デキャンタ内で重液相と軽液相に分離され、前記重液相が前記吸収装置に戻され、および/または前記吸収装置内の還流が排出カップを介して前記吸収装置から回収され、スタティックミキサ内で前記液体溶媒と混合された後、前記液体溶媒とともに、前記第1ランダム充填床の上の前記液体分配装置に供給される、方法である。
【0008】
本発明の方法の1つの利点は、第2液相の発生および/または泡形成のリスクを防止できる比較的簡単な装置設定である。これにより、本方法の分離効率が向上し、本方法のエネルギー的最適化が達成される。本発明による方法はさらに、高温溶媒を用いた熱統合による効率的なエネルギー回収を特徴とする。
【0009】
熱統合により、溶媒から熱が取り去られる。この理由は、他の流または塔が一緒に加熱されることだけではなく、むしろ、主に溶媒が吸収のために冷却されることにある。ブテンの吸収(工程a)は、通常、脱離(工程b)よりも低い温度で実施される。熱統合の過程で溶媒から十分な熱が取り去られる場合、すなわち溶媒が適切な温度である場合、溶媒は吸収装置に直接送られ得る。しかし、熱統合があるにもかかわらず、溶媒がまだ正しい温度になっていないことも考えられる。このような場合、溶媒は、熱統合後かつ吸収装置に入る前に、残留冷却装置に通され、適切な温度まで冷却され得る。
【0010】
本方法は、ブテン含有C4炭化水素流からのブテンの分離に関する。これらの流には、通常、ブテンだけでなくアルカン(n-ブタン、イソブタン) も含まれている。本明細書の文脈では、特段の記載がない限り、用語「ブタン」は、n-ブタンとイソブタンの両方を意味すると理解されるべきである。したがって、本発明による方法は、ブテンおよび/またはブタンの存在量が本方法を経済的に実施できる量である限り、少なくともブテンおよびブタンを含むいかなるC4炭化水素流を使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、使用されるC4炭化水素流は、本質的に、すなわち98重量%を超える程度、好ましくは99重量%を超える程度までブタンおよびブテンを含む。対応する流れは、不純物、あるいは1,3-ブタジエンまたはC5炭化水素などの他の炭化水素を少量含み得る。
【0011】
本発明による抽出方法では、使用される気体C4炭化水素流のブテンを主に溶解する液体溶媒が使用される。適切な溶媒は、非プロトン性溶媒、例えばN-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。本発明による方法は、好ましくは溶媒としてNMPを用いて行われる。本発明のさらに好ましい実施形態では、溶媒は、いずれの場合も溶媒の総量に対して、特に1重量%~10重量%、好ましくは4重量%~9重量%の範囲の水を含む。
【0012】
使用され得る吸収装置は、特に、少なくとも2つのランダム充填床からなるランダム充填床を含む。このようなカラムは、原則として当業者に知られている。好ましくは、第1ランダム充填床の上に、気相に溶媒が混入するのを阻止するための複数の理論トレイを有する逆洗領域が配置される。逆洗領域の上には、吸収装置の頂部があり、そこでは、使用するC4炭化水素流と比較してブタンが豊富な流れが得られる。各ランダム充填床の上には、液体分配装置が配置され、それによって液体が分配される。本発明による液体回収装置は、最後のランダム充填床の下に配置され、吸収装置の底部は、当該回収装置の下に配置される。吸収装置の正確な構造は、さまざまなパラメータに左右され、特定の態様で変わる。
【0013】
液体溶媒は、液体分配装置に供給され、C4炭化水素流の注入口の空間的に上にある吸収装置内に供給される。好ましい実施形態では、溶媒は、第1または第2ランダム充填床の上にある液体分配装置に供給され、C4炭化水素流は、第1または第2ランダム充填床の下にある1つまたは複数のランダム充填床内の吸収装置に加えられる。吸収装置内では、液体溶媒が下方に滴下し、(上昇する)蒸気状のC4炭化水素流と接触して、主にブテンを含むC4炭化水素流の一部を溶媒に移動させる。本発明のさらに好ましい実施形態では、溶媒に移されるC4炭化水素流の一部は、溶媒に移されるC4炭化水素流の一部の組成に対し、少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%のブテンを含む。これにより、使用されるC4炭化水素流中に存在するブテンの特に少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%が溶媒に移動するという結果が得られる。
【0014】
工程(a)では、C4炭化水素流と溶媒を、特に向流で互いに接触させる。 吸収装置の底部の温度は、好ましくは40℃~70℃、特に好ましくは45℃~65℃である。吸収装置内の上部圧力は、絶対圧3~7バール、好ましくは絶対圧4~6.5バールであり得る。
【0015】
充填された溶媒は、吸収装置内を下方に流れ、適切な液体回収装置、特にチムニートレイに回収される。液体回収装置内で得られる含有溶媒の温度は、好ましくは40℃~90℃、特に好ましくは45℃~65℃である。含有溶媒は、液体回収装置から回収され、吸収蒸発装置を通過し、次いで液体回収装置の下にある吸収装置の底部に通され、含有溶媒から主にブタンが脱ガスされる。吸収蒸発装置は、好ましくは、含有溶媒が蒸発装置を一度だけ通過するワンスルー蒸発装置である。これにより、可能な限り低い温度を達成することができ、汚染を防ぐことが可能になる。運転温度差がさらに大きくなるため、NMP流のエネルギー利用をさらに効率的に行うことができる。吸収蒸発装置は、多段装置として構成されてもよく、すなわち、吸収蒸発装置に属する複数の熱交換器/複数の蒸発装置が存在してもよい。
【0016】
次に、主にブテンを含む含有溶媒が底部に残り、そこから回収され、底部流として脱離装置に送られる。脱離装置に供給される吸収装置の底部流の温度は、好ましくは70℃~130℃、特に好ましくは85℃~120℃である。
【0017】
特に、使用されるC4炭化水素流と比較してブタンが豊富な流れが、吸収装置の頂部で得られる。この流れは、適切な装置、例えばコンデンサ内で少なくとも部分的に、好ましくは完全に凝縮され、凝縮液が得られる。次いで、その凝縮液の少なくとも一部が還流として吸収装置に送られる。還流は、好ましくは、吸収装置の逆洗領域の上方に供給され、そこから還流は、第1ランダム充填床の上方(逆洗領域の下方)の液体分配装置に送られる。液体溶媒は、第1ランダム充填床の上にある液体分配装置に連続的に供給され得る。この地点、またはその下に配置されるランダム充填床において、還流中のブタンの割合により、第2液相が発生する可能性があり、それは望ましくない泡の形成につながる。
【0018】
本発明はこの地点から始まる。液体溶媒および吸収装置への還流/逆洗領域から戻ってくる液体からなる液相は、第1ランダム充填床の上にある液体分配装置で回収され、デキャンタに送られる。そこでは、主にNMPからなる重液相と主に還流からのブタンからなる軽液相への分離が行われる。次いで、重液相は、吸収装置、特に吸収装置内の液体分配装置に戻される。軽液相は、プロセスから排出され、脱離装置に送られるか、またはさらなる分離を受け得る。この任意の1段階または複数段階の分離は、脱離装置に入る前に実施される。1つの選択肢は、軽液相を加熱してフラッシュ容器に送り、そこで液体溶媒を含む液相とブタンを含む気相とを得る。その後、液相のみが脱離装置に送られる。気相はフラッシュ容器から回収され、凝縮され、その後、例えばブタン含有生成物流と一緒にプロセスから排出されてよい。
【0019】
別の選択肢は、液相を第2ランダム充填床の上の液体分配装置で回収し、デキャンタに送る。第1ランダム充填床が「犠牲」になる。つまり、第1ランダム充填床内または第1ランダム充填床上で、第3相の発生が許される。その後になって初めて、適切な手段、つまりデキャンタを通過させることにより、これが妨げられる。第2ランダム充填床の上で回収された液相は、第1ランダム充填床に由来する混合物を含んでいる。
【0020】
第2液相の形成および関連する泡の形成も、本発明による別の方法で低減または防止することができる。本発明によれば、吸収装置への還流は、排出カップを介して吸収装置から、好ましくは完全に回収され得る。還流は、液体分配装置内で液体溶媒と接触しない。代わりに、還流は、スタティックミキサ内で液体溶媒と混合され、その後液体溶媒とともに吸収装置、特に吸収装置の第1ランダム充填床の上の液体分配装置に送られる。このようなスタティックミキサを使用すると、特に吸収器内の還流とNMPとの濃度差が小さいため、泡形成の傾向が低くなる。さらなる利点は、すべての泡形成が吸収装置の外側で起こり、吸収装置をより適切に取り扱うことができる点である。スタティックミキサは、再循環NMP用の残留冷却装置の上流と下流の両方に配置され得る。
【0021】
上記の2つの方法、つまり溶媒と混合する方法およびデキャンタを通過させる方法は、互いに組み合わされ得る。
【0022】
ブタンが豊富な流れは、溶媒に由来する水をさらに含み得る。この水は後続の工程で分離され得る。ブタンが豊富な流れは、吸収装置の頂部で回収され、一段階または多段階の凝縮に供され、ブタンも含む含水流およびブタン含有生成物流が凝縮される。これらの2つの流れは、適切な装置、例えばスパイダー内で互いに分離され得る。ブタン含有生成物流から分離された含水流は、その組成に応じて、吸収装置または脱離装置に送られ、および/またはプロセスから部分的に排出され得る。したがって、本明細書の文脈において、吸収装置への還流は、ブタン含有生成物流の一部を意味すると理解されるべきである。
【0023】
このようにして凝縮から得られたブタン含有生成物流は、依然として少量の水を含み得る。具体的には、ブタン含有生成物流の全組成に対し、最大で1500ppmwの量を含み得る。加えて、凝縮から得られるブタン含有生成物流は、残留ブテンをさらに含んでいてもよく、その流れは、ブタン含有生成物流の全組成に対し、通常20重量%未満、好ましくは15重量%未満、特に好ましくは5重量%未満のブテンを含む。
【0024】
得られたブタン含有生成物流の要件に応じて、凝縮後にブタン含有生成物流を、好ましくは乾燥カラム中で乾燥させて、依然として存在する水を分離することが必要となり得る。ブタン含有生成物流は、乾燥後に、最大で50ppmw、好ましくは25ppmwの水を含むことが好ましい。乾燥中に得られた水は、吸収装置内の凝縮に再利用され得る。
【0025】
吸収装置の底部で回収され、主にブテンを含む溶媒は、脱離装置に供給される。この目的のために、例えばポンプを使用して、含有溶媒が脱離装置に送られ得る。吸収装置の底部と比較して、脱離装置の底部は高温であり、かつ圧力がより低いことが好ましい。脱離装置の底部の温度は、好ましくは120℃~200℃、より好ましくは130℃~195℃である。脱離装置内のヘッド圧力は、絶対圧1~6バール、好ましくは絶対圧2~5バールであり得る。吸収装置に比べて温度が高く、好ましくは圧力が低いことにより、ブテンと、場合により依然として存在するすべてのブタンとが少なくとも部分的に溶媒から除去されるという結果が得られる。好ましい実施形態では、少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒は、最大で5000ppmwのブテン、特に好ましくは100~900ppmwのブテンを含有する。少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒は、脱離装置内を下方に流れ、脱離装置の液体回収装置に回収される。そこから、少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒は、脱離蒸発装置に通され、その後、液体回収装置の下の脱離装置の底部、具体的には煙突トレイに通されて、溶媒中に残っているブテンが脱ガスされる。脱離蒸発装置は、好ましくは、少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒が蒸発装置を一度だけ通されるワンスルー蒸発装置である。これにより、可能な限り低い温度を達成することができ、汚れを防ぐことが可能になる。脱離蒸発装置は、多段装置として構成され得る。すなわち、脱離蒸発装置に属する複数の熱交換器が存在し得る。その後、ブテンを含まない溶媒が底部に残り、そこから回収され、底部流として吸収装置に送られ、そこでブテン吸収用の溶媒として再利用される。
【0026】
吸収装置に送られる前に、ブテンを含まない溶媒は、部分的または完全に再生に供され、不純物、例えば、使用するC4炭化水素流中に存在する、および/またはオリゴマー化合物またはポリマー化合物などの脱離装置内の温度でブテンから形成される上記の副生成物が、溶媒、好ましくはNMPから除去され得る。この再生は、ブテンを含まない溶媒を容器に移し、絶対圧500ミリバール未満、より好ましくは絶対圧200ミリバール未満、温度100℃~150℃で蒸発させるように実施されることが好ましい。容器は、その容器に繋がるカラムを有し得る。特に、重ボイラは再生により分離される。ブテンを含まない溶媒の一部のみが再生に供される場合、その溶媒の再生部分は、その後、未再生溶媒と混合され、吸収装置に再循環される。
【0027】
次いで、使用するC4炭化水素流と比べて特にブテンが豊富な流れが脱離装置の頂部で得られる。このブテンが豊富な流れは、溶媒に由来する水をさらに含み得る。この水は、後続の工程で分離され得る。ブテンが豊富な流れは、脱離装置の頂部で回収され、一段階または多段階の凝縮に供され、水だけでなく有機物の残留物やブテン含有生成物流を含み得る含水流が凝縮される。これらの2つの流れは、適切な装置、例えばスパイダー内で互いに分離され得る。次に、ブテン含有生成物流から分離された含水流は、脱離装置に再循環され得る。有機物を除去するために、含水流の全部または一部を排出することも可能である。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、脱離装置の頂部で回収されたブテンが豊富な流れの凝縮は、2段階凝縮として構成され、第1段階では水が凝縮されて脱離装置に再循環され、第2段階ではブテン含有生成物流が凝縮される。ただし、残留水も第2段階で凝縮される場合もあり得る。この残留水は、適切な装置、例えばスパイダーを介してブテン含有生成物流から分離され得る。
【0029】
凝縮から得られるブテン含有生成物流は、ブテン含有生成物流の全組成に対し、好ましくは20重量%未満、より好ましくは16重量%未満のブタンを含有する。対照的に、凝縮から得られるブテン含有生成物流は、ブテン含有生成物流の全組成に対し、少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、特に好ましくは少なくとも86重量%のブテン含有量を有することが好ましい。
【0030】
本発明の特徴的要件は、脱離装置から吸収装置に向かう途中の溶媒の熱と、脱離蒸発装置で得られる高温凝縮液と、を使用する熱統合である。本発明によれば、脱離装置の底部流として回収される溶媒、好ましくはNMPの熱は、少なくとも1つの各熱交換器内で溶媒の熱を利用することにより、脱離装置に送られる含有溶媒の予熱、吸収蒸発装置内での蒸発、および液体C4炭化水素流の蒸発のための熱統合に利用される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、脱離装置に送られる含有溶媒の予熱は、2段階で行われる。脱離装置に送られる含有溶媒への最初の熱伝達は、熱交換器、好ましくは管束熱交換器で行われ、脱離装置に送られる含有溶媒への2回目の熱伝達は、ケトル蒸発装置内で行われる。このような実施形態は、上述の好ましい実施形態において、両段階、すなわち熱交換器内およびケトル蒸発装置内で含有溶媒に伝達される熱が、熱伝達媒体としての脱離装置の底部流として回収される溶媒に由来するという利点を有する。ケトル蒸発装置の使用には、脱離装置への導管内の供給圧力を低くできるという利点もある。通常、パイプ導管の破裂などの問題を引き起こす可能性があるパイプ導管内での蒸発を防ぐために、高い供給圧力が必要である。さらなる利点は、熱負荷が制限されるため、温度差が熱伝達にとって十分に大きいか、または大きいままであることが保証される点である。
【0032】
本発明によれば、少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒、好ましくはNMPは、脱離装置の液体回収装置に回収され、脱離蒸発装置に通され、溶媒中に残っているすべてのブテンが脱ガスされる。脱離蒸発装置での蒸発用の熱は、適切な熱伝達媒体からの熱伝達により熱交換器に導入され得る。熱伝達媒体は、特に、中圧または高圧蒸気の形で使用される加熱蒸気であり得る。好ましい加熱蒸気は、150℃~270℃、好ましくは160℃~250℃の温度の中圧蒸気である。中圧蒸気は、好ましくは絶対圧15~30バール、特に好ましくは絶対圧17~25バールの圧力を有する。30バールを超える絶対圧を有する蒸気も加熱蒸気として使用可能である。 このような加熱蒸気は、高圧蒸気とも呼ばれ得る。
【0033】
蒸発に使用される加熱蒸気は、熱交換器内で少なくとも部分的に凝縮を受けてもよく、その結果、絶対圧10~20バール、好ましくは絶対圧12~17バール、かつ温度150℃~200℃、好ましくは160℃~200℃の高温凝縮液が生成される。好ましくは、熱交換器の下流には、高温凝縮液を蒸気から分離し得る凝縮液容器が配置される。凝縮液容器内の圧力は、熱交換器内の圧力よりも低いことが好ましい。圧力が低いと、高温凝縮水の一部が蒸発し、その結果、混合蒸気、つまり加熱蒸気と減圧によって凝縮水容器内で蒸発した高温凝縮水との非凝縮部分が、凝縮液容器内の低圧蒸気として得られる。この場合、低圧蒸気は、0バールを超え、10バール未満の絶対圧力を有することが好ましい。低圧水蒸気の温度は、100℃~180℃が好ましい。
【0034】
得られた低圧蒸気には、依然としてエネルギーが含まれていますが、これは既知のどの方法でも利用されていない。ただし、これは、エネルギー的または経済的な観点からは有利ではない。しかしながら、このエネルギーは、本発明の好ましい実施形態において利用することができる。この目的を達成するために、脱離蒸発装置内での蒸発に使用される加熱蒸気は、好ましくは制御可能な蒸気排出装置(サーモコンプレッサー)を使用して提供され得る。次に、サーモコンプレッサーには、例えば適切な蒸気ネットワークから生じる使用する加熱蒸気、特に好ましく使用する中圧蒸気と、凝縮液容器からの低圧蒸気と、の両方が供給され、脱離蒸発装置用の熱伝達媒体である混合蒸気が形成される。したがって、この実施形態では、混合蒸気は加熱蒸気である。このような蒸気排出装置は、駆動蒸気で稼働し、負圧(蒸気排出装置内の背圧)によって容器から吸引蒸気を吸引し、次いで熱伝達媒体として使用される混合蒸気を形成できるように構成されている。この場合、駆動蒸気は、加熱蒸気/中圧蒸気であり、低圧蒸気は凝縮液容器から吸引蒸気として吸引され、駆動蒸気と混合される。
【0035】
このような実施形態の利点は明らかである。凝縮液容器内で得られる低圧蒸気のエネルギーを利用することができ、エネルギーとコストを節約できる。このような手順は、別の理由でも有利になり得る。使用する蒸気排出装置は、例えば特定のプロセスパラメータに従って、中圧蒸気および低圧蒸気の量を調整できるように制御可能であり得る。吸引蒸気の量は、駆動蒸気量により調整される。低圧蒸気および中圧蒸気の量は、例えば脱離装置内の温度に従って調整され得る。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、脱離装置は側方蒸発装置を備える。このような場合、側方蒸発装置に使用される熱伝達媒体は、蒸気排出装置からの混合蒸気であり、脱離蒸発装置は加熱蒸気として中圧蒸気を使用する。次いで、脱離蒸発装置および側方蒸発装置からの高温凝縮液は、上記の実施形態に従って凝縮液容器に送られる。次いで、得られた低圧蒸気は、蒸気排出装置で使用され、その混合蒸気は側方蒸発装置で使用される。この変形例の利点は、得られた高温凝縮液をさらに減圧して、より大量の低圧蒸気を提供できる点である。
【0037】
現在記載しているプロセスは、特にオリゴマー化および場合によりヒドロホルミル化を含む統合化学系において使用され得る。本発明に係る方法によるブテンの分離は、統合プラント内の様々な地点で使用されることが可能である。本発明によるブテンの分離を、統合化学プラント内の様々な地点で行うことも可能である。例えば、本明細書に記載するプロセスは、そのような統合系の始まりで使用され得る。使用するC4炭化水素流は、特にクラックC4、ラフィネート1、ラフィネート2、またはそれらの混合物であり得る。クラックC4および/またはラフィネート2が使用される場合、本発明による分離方法は、ブタジエンが選択的に水素化されるクラックC4の水素化、またはブタジエンがNMPまたはニトリルなどの溶媒で抽出的に除去されて、ブタジエンの含有量が減少するブタジエンの分離が、その上流に配置され得る。本発明に係る方法における分離作業を促進するために、抽出ブタジエン分離の下流かつ本発明に係る分離の上流に、水素異性化を配置することが可能である。なぜなら、これにより、1-ブテンが、より容易に溶媒に吸収される2-ブテンに転化されるためである。
【0038】
この分離方法が統合系の始まりで使用される場合、得られた生成物流は、MTBE合成に供給され、その後、好ましくは、1-ブテン分離、オリゴマー化、および精製オリゴマーの1回または複数回のヒドロホルミル化が連続して行われ得る。ヒドロホルミル化は、オリゴマー化からの生成物流により実施されてよく、これにより、その後の水素化後にジ-n-ブテンからINA(イソノナノール)を生成したり、トリブテンからITDA(イソトリデカナール)を生成したりすることが可能になる。同様に、ヒドロホルミル化は、オリゴマー化の未転化ブテンにより実施されてもよく、これにより、その後のアルドール縮合とそれに続く水素化の後に2-PH(2-プロピルヘプタノール)を生成することが可能になる。オリゴマー化からの未転化ブテンは、ヒドロホルミル化の代わりにさらなるオリゴマー化を操作するために、必要に応じて使用されることもできる。個々の工程の条件は、当業者にはよく知られている。個々の工程には、例えば生成物の分離または結果として得られた流の処理などのさらなる工程が含まれ得るが、本明細書中では明示的に言及しない。しかしながら、本発明による分離方法は、そのような統合系の他のどんな地点にも導入され得る。
【0039】
本発明の一実施形態では、本発明による分離方法で使用されるC4炭化水素流は、MTBEの分離後にMTBE合成か回収され、その後、ブテン含有生成物流が1-ブテン分離に供給され、その後、オリゴマー化と、その後の2-PHおよび/またはINAの生成のための1つまたは複数のヒドロホルミル化と、が連続して実施される。個々の工程には、例えば生成物の分離または結果として得られた流の処理などのさらなる工程が含まれ得るが、本明細書中では明示的に言及しない。
【0040】
本発明の一実施形態では、本発明による分離方法で使用されるC4炭化水素流は、MTBEの分離後にMTBE合成から回収され、その後、ブテン含有生成物流が1-ブテン分離に供給され、その後、オリゴマー化と、その後の2-PH、ITDAおよび/またはINAの生成のための1つまたは複数のヒドロホルミル化が連続して実施される。個々の工程には、例えば生成物の分離または結果として得られた流の処理などのさらなる工程が含まれ得るが、本明細書中では明示的に言及しない。
【0041】
本発明のさらなる実施形態では、本発明による分離方法で使用されるC4炭化水素流は、1-ブテン分離から回収され、その後、ブテン含有生成物流がオリゴマー化に供給され、その後、その後の2-PH、ITDAおよび/または INAの生成のための1つまたは複数のヒドロホルミル化が実施される。個々の工程には、例えば生成物の分離または結果として得られた流の処理などのさらなる工程が含まれ得るが、本明細書中では明示的に言及しない。
【0042】
本発明のさらなる実施形態では、本発明による分離方法は、統合系の末端で使用される。その場合、使用するC4-炭化水素流は、ヒドロホルミル化の下流の2-PH生成物から回収される。この場合、本発明による分離方法から得られるブテン含有生成物流は、再循環され、統合系内の適切な時地点で、例えば1-ブテンの分離、オリゴマー化、または1つまたは複数のヒドロホルミル化のために使用される。これにより、統合系全体の効率を高めることが可能になる。なぜなら、統合系の最終工程を通過した後であっても最大で20重量%のブテンが依然として存在し得るためである。
【0043】
本発明による分離方法が配置される統合系内の地点とは独立して、ブタン含有生成物流は、例えば断熱オリゴマー化、依然として存在するブテンの水素化、またはn-ブタンとイソブタンが互いに分離されるブタンのn/iso分離装置に供給され得る。n/iso分離装置はまた、断熱オリゴマー化の後に実施され得る。別の可能性は、MTBE合成、1-ブテン分離、オリゴマー化、およびヒドロホルミル化から構成される上述の統合系において、オリゴマー化の上流にブタン含有生成物流を含めることであろう。
【0044】
本発明の特に好ましい実施形態では、n/iso分離装置に必要なエネルギーは、脱離装置の頂部における2段階凝縮の第1段階との熱統合により、少なくとも部分的に影響を受け得る。これには、凝縮で得られたエネルギーが、従来技術のように周囲に単に放出されるのではなく、利用されるという利点がある。
【0045】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図面は例示であり、限定するものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明の基本構成を示す。
図2図2は、図1に示す実施形態とほぼ同一の実施形態を示す。
図3図3は、本発明の好ましい実施形態を示す。
図4図4は、本発明によるさらなる実施形態を示す。
【実施例
【0047】
図1は、本発明の基本構成を示す。液体C4炭化水素流は、熱交換器(4)を介して蒸発し、吸収装置(1)に送られる。溶媒は、必要に応じて、残留冷却装置(3)を介して所望の温度にされ、同様に吸収装置に送られる。その入口は、C4炭化水素流の入口よりも空間的に上にあり、この場合、液体分配装置(図示せず)へ繋がる第1ランダム充填床よりも上にある。そこから液相が回収され、デキャンタ(31)に送られる。軽液相は、(含有溶媒と一緒に)脱離装置に戻され、重液相は、ポンプ(32)を介して吸収装置(1)に戻される。吸収装置(1)の頂部で得られるのは、ブタンが豊富な流れであり、これが回収される。あり得る凝縮は示されておらず、還流のみが示されている。含有溶媒は、図面の煙突トレイで示されているように、吸収装置(1)の底部に回収される。含有溶媒の少なくとも一部は回収され、吸収蒸発装置(5)を介して吸収装置(1)の底部に送られる。含有溶媒は、吸収装置(1)の底部から回収され、ポンプ(9)を使用して、含有溶媒の予熱のために熱交換器(6)を経由して脱離装置(2)に送られ、そこで溶媒中に存在するブテンが溶媒から分離される。ブテンが豊富な流れは、脱離装置の上部で得られる。この流れは、図示されていない一段階または多段階の凝縮に供され得る。あり得る還流のみが示されている。少なくとも部分的にブテンを含まない溶媒は、図面の煙突トレイで示されているように、脱離装置(2)の底部に回収される。含有溶媒の少なくとも一部は回収され、脱離蒸発装置(7)を介して脱離装置(2)の底部に送られる。次いで、ブテンを含まない溶媒は、脱離装置(2)の底部から回収され、ポンプ(8)を使用して、含有溶媒の予熱のために熱交換器(6)を経由して吸収装置へ、C4炭化水素流の蒸発のために吸収蒸発装置(5)、熱交換器(4)へ、および残留冷却装置(3)へ再循環される。
【0048】
図2は、図1に示す実施形態とほぼ同一の実施形態を示す。相違点は、液相が第2ランダム充填床の上の液体分配装置(図示せず)から回収され、デキャンタ(31)に送られる点である。
【0049】
図3は、軽液相が適切な加熱装置(33)内で最初に加熱され、その後、フラッシュ容器(34)に供給される本発明の好ましい実施形態を示す。気相は排出されるが、さまざまな装備は示されていない。液相は、含有溶媒と一緒にフラッシュ容器(34)から脱離装置(2)に送られる。
【0050】
図4は、本発明によるさらなる実施形態を示す。還流は、排出カップを介して回収され、ポンプ(35)を介して残留冷却装置(3)の下流に配置されたスタティックミキサ(36)に送られる。スタティックミキサ(36)内で、還流は液体溶媒と混合され、その後、液体溶媒と一緒に、吸収装置(1)に送られる。あるいは、スタティックミキサ(36)は、残留冷却装置(3)の上流、すなわち熱交換器(4)のすぐ下流にすでに配置されていてもよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】