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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】電解セル
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20240207BHJP
   C25B 9/77 20210101ALI20240207BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240207BHJP
   C25B 13/08 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B9/77
C25B1/04
C25B13/08 305
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542491
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2022051176
(87)【国際公開番号】W WO2022175011
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021103699.2
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523263212
【氏名又は名称】ヴェーエーヴェー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】ルーク ウィープケ
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB04
4K021DB48
4K021DB50
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
本発明は、(i) 陽極室及び陰極室を形成する二つの金属製ハーフセル、(ii)陽極室及び陰極室にそれぞれ配置された陽極及び陰極、(iii)二つの電極を分離するセパレータ膜、(iv)各ハーフセルについて、反応物と生成物のための少なくとも1つの入口及び1つの出口、および(v)オプションとして、二つの電極をそれぞれの電極室に配置するスペーサー、を備えている。そして、二つの金属製ハーフセルはその周囲で接続されているが、電気的に絶縁されており、0.05mmから0.15mm、特に0.070mmから0.1mmの壁厚を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 陽極室及び陰極室を形成する二つの金属製ハーフセル、
(ii)陽極室及び陰極室にそれぞれ配置された陽極及び陰極、
(iii)二つの電極を分離するセパレータ膜、
(iv)各ハーフセルについて、反応物と生成物のための少なくとも1つの入口及び1つの出口、および
(v)オプションとして、二つの電極をそれぞれの電極室に配置するスペーサー、
を備えている、又はのみからなる電解セルであり、
前記二つの金属製ハーフセルは、その周囲で接続され且つ電気的に絶縁されており、0.05mmから0.15mm、特に0.070mmから0.1mmの壁厚を有する、電解セル。
【請求項2】
前記ハーフセルは、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、および異種原子をさらに含むこれら物質の合金からなる、請求項1に記載の電解セル。
【請求項3】
前記スペーサーは、弾力性要素である、請求項1又は請求項2に記載の電解セル。
【請求項4】
二つのハーフセルは、電気的に絶縁するプラスチックでそれら周囲で互いに接続されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電解セル。
【請求項5】
前記入口及び前記出口は、射出成形のプラスチック材料の溶接された注ぎ口である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電解セル。
【請求項6】
前記電解セルは真空補強されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電解セル。
【請求項7】
(i)請求項1に記載した少なくとも二つの電解セル、
(ii)2枚の(金属製の)圧力板、及び
(iii)少なくとも2本のテンションロッド、を備えている、又はのみからなる電解スタックであって、
(a)前記二つの圧力板は、互いに対向し、少なくとも2本のテンションロッドによって可動的または剛性的に離間され、
(b)少なくとも二つの前記電解セルは、最初の電解セルの陰極後壁が次の電解セルの陽極後壁に接触するように、二つの圧力板の間に互いに相対的に配置または積み重ねられており、
(c)前記圧力板は、少なくとも二つの真空補強電解セルとともに、固定された関連性を持つように、互いに間隔をあけて配置されている、電解スタック。
【請求項8】
前記電解スタックは、2から約150個の電解セルを含む、請求項7に記載の電解スタック。
【請求項9】
(i)請求項1に記載の少なくとも二つの電解セルを提供する工程、
(ii)二つの圧力板を提供する工程、及び
(iii)少なくとも二つのテンションロッドを提供する工程、のみからなる、又はを備える、電解スタックを製造する方法であって、
(a)少なくとも二つの前記電解セルは、低圧が適用されて真空補強され、
(b)工程(a)で真空補強された電解セルは、最初の前記電解セルの陰極後壁が次の前記電解セルの陽極後壁に接触するように、相対的に配置または積層されて電気的に直列に接続され、
(c)工程(b)に従って直列に接続された真空補強された電解セルは、少なくとも2本のテンションロッドによって2枚の圧力板の間に配置され、一定の関連性が生成され、
(d)一定の関連性が生成された電解セルの真空が再び解放される、電解スタックを製造する方法。
【請求項10】
電解スタックの製造における請求項1から請求項6の少なくとも1項に記載の電解セルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解技術の分野に位置し、新規な電解セルと、直列に接続されたセルを含む電解スタックと、スタックの製造方法、およびスタックの製造におけるセルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
今後30年以内に温室効果ガスを排出しない経済を実現する。これが、気候変動を食い止めるためにヨーロッパが宣言した目標である。再生可能エネルギーは、石油、石炭、ガスなどの化石燃料に取って代わるものである。持続可能なエネルギー供給改革の一環として、水素は重要な役割を果たす。
【0003】
クリーンモビリティ、電力と熱の効率的な供給、変動する再生可能エネルギーを相殺する備蓄として、代替燃料の基礎として、あるいは産業におけるプロセスガスとして、水素は、エネルギーキャリアとして非常に汎用性があり、セクターの境界を越えて使用することができ、相乗効果の大きな可能性を提供し、質量ベースでガソリンの3倍のエネルギー密度を含む。
【0004】
持続可能かつ経済的に生産される水素は、エネルギー、輸送、産業の各分野において、特に有害な温室効果ガスであるCO2の排出を大幅に削減し、気候変動と闘うための中心的な要素である。水素の用途は多種多様であるため、可能な限りグローバルなセクター間の水素経済の発展は、同時に新しいテクノロジーやビジネスモデルにとって非常に大きなチャンスを開くことになる。産業分野では、水素で作動するガスタービンが現在研究されている。燃料セルでは、自動車やバスに使用することができる。水素を使えば、排気ガスを出さずに走行できるだけでなく、電気自動車とは対照的に、長距離走行や迅速な燃料補給が可能になる。
【0005】
環境の観点から、水の電解による水素製造は特に注目されている。したがって、「グリーン水素」という表現もこの文脈で使われる。この方法は、塩素-アルカリ電解でも知られているように、いわゆる電解槽と呼ばれる結合電解セルで行われる。
【0006】
電解セルは、特許文献1がすでに知られており、少なくとも1対の電極、すなわち正極と負極、集電体と膜を含むハウジングから構成される。さらに、集電体と実質的に同一平面上に配置され、一方の側で集電体と接触し、同様に電極と同一平面上に延び、他方の側で電極と接触する、導電性で水力透過性の弾力性のあるマットレスを含む。
【0007】
特許文献2には、電気化学セル用の集電体が記載されており、この集電体は、圧縮可能で弾力性のある金属ワイヤの「サンドイッチ」層で構成され、広い圧縮範囲で所定の機械的負荷を与える。
【0008】
特許文献3は、それぞれが膜によって互いに分離された二つの電極を含む個々の要素からなる密封システムを有する従来の電解セルを提供する。非活性膜面積の割合は、ハーフシェルのフランジの面積と活性膜面積との間の比を0.045未満に設定することができるように、フランジによって最小化される。
【0009】
特許文献4によれば、電解セル内の弾性圧力は、コイルまたは織布ニッケルマットまたは強靭なニッケル合金によって伝達される。コイルの場合には巻数の数が、マットの場合には重ね合わせ層の数が、上から下へ段階的に増加するので、最終的に、アノード側で、同じ方向に増加し、少なくとも静水圧に類似した圧力プロファイルが得られる。
【0010】
特許文献5には、セパレータを備え、電流分配器によって押圧される弾性導電性要素によってセパレータと接触した状態に保たれる平面状の可撓性カソードを有する電解セルが記載されている。セルはさらに、セパレータを支持するパンチングシートまたはメッシュからなる陽極を含む。このセルは、モジュール式に配列して電解槽として使用することができ、末端のセルだけが電源に接続される。隣接するセル間の電気的導通は、各セルを区画するシェルの陽極外壁に固定された導電性コンタクトストリップによって確保され、陰極電流分配器および陽極構造の剛性と導電性エレメントの弾性とが協働して、均質な圧力分布で均一なカソード・セパレータ間の接触を維持すると同時に、コンタクトストリップへの適切な機械的負荷が確保される。これにより、弾性素子を使用することで電極の間隔が空くのを避けることができる。
【0011】
特許文献6は、少なくとも1つの第1の開口部を定義する少なくとも1つの閉じたフレームからなるフィルタープレス型の電解槽用モジュールを具備する。このモジュールは、シール材および電気絶縁材を表し、この材料は、フレームの表面を少なくとも部分的に覆っている。
【0012】
特許文献7は、陽極を有する陽極コンパートメントと、ガス拡散陰極を有する陰極ガスコンパートメントとを含む電解セルであって、二つの電極がイオン交換膜によって互いに分離されている電解セルを提案し、 前記陰極ガスコンパートメントの背面壁と前記ガス拡散カソードとの間に圧縮状態でクランプされる金属弾性要素と、を含み、前記弾性要素は、前記要素と前記背面壁との間の距離が重力方向に増加するように、前記陰極ガスコンパートメントにクランプされることを特徴としている。
【0013】
特許文献8は、角部を有する幾何学的形状を有する電解セル用絶縁フレームを提案している。このフレームは、平坦な設計であり、陽極側および陰極側ならびに外側端面および内側端面を有する。絶縁フレームは、内側端面に直接隣接する端部領域を有し、この端部領域は、角部の領域においてカットアウトの形態の開口部を有する。
【0014】
特許文献9によれば、セルの安定化は、陰極ガス室に設置された金属ジグザグプロファイルによって達成される。しかしながら、電解セルのこの形態は問題を引き起こす。物理学では、陽極コンパートメント内の静水圧は一定ではなく、重力方向に増加することが実際に要求される。したがって、弾力性のある内蔵部品によって及ぼされる圧力が静水圧に適応する、つまり重力方向に増加することが望ましく、達成されるべき目的の意味において全く十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許5,599,430号
【特許文献2】欧州特許1451389号
【特許文献3】欧州特許1766104号
【特許文献4】欧州公開公報1882758号
【特許文献5】欧州特許2356266号
【特許文献6】欧州特許2734658号
【特許文献7】欧州公開公報2746429号
【特許文献8】欧州特許2872675号
【特許文献9】特開2003-041388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
電解セルは、概略的には、陽極(A)と陰極(K)をそれぞれ収容する陽極室と陰極室と(AR,KR)から構成される。二つの電極は、一方ではダイヤフラムまたはセパレータ膜(S)によって互いに分離され、他方では、図1に概略的に示すように、弾力性または剛性スペーサー(X1、X2)によって対応するハウジング部分 「ハーフセル」 に固定されている。図にはさらに、周囲の二つの電極室を接続し、電気的に絶縁して外部に密封するシール(D)が見える。
【0017】
陽極室と陰極室とは、短絡が起こらないように互いに電気的に絶縁されていなければならない。最適な性能を得るためには、電極が表面全体にわたってセパレータ膜上に平らに、つまり隙間なく置かれることがさらに必要である。これは、セル内の1つ以上の弾力性のあるスペーサー(X1、X2)によって実現される。さらに、電解セルは大気に対してわずかに過剰な圧力下に置かれるため、シールには耐薬品性と耐圧性との両方が必要である。
【0018】
従来技術によれば、電解ハーフセルは、セルに十分な安定性を与え、電解槽または電解スタックの輸送中または設置中に破損しないようにするために、少なくとも0.5mmの厚さを有する金属シートから製造される。しかし、この場合、セルが非常に重く硬くなるという欠点があり、設置の際に問題が生じ、もちろん材料価格も高くなる。
【0019】
第1の実施形態において、本発明は、
(i) 陽極室及び陰極室を形成する二つの金属製ハーフセル、
(ii)陽極室及び陰極室にそれぞれ配置された陽極及び陰極、
(iii)二つの電極を分離するセパレータ膜、
(iv)各ハーフセルについて、反応物と生成物のための少なくとも1つの入口及び1つの出口、および
(v)オプションとして、二つの電極をそれぞれの電極室に配置するスペーサー、
を備えている、又はのみからなる。
ここで、二つの金属製ハーフセルはその周囲で接続されているが、電気的に絶縁されており、0.05mmから0.15mm、特に0.070mmから0.1mmの壁厚を有する。
【0020】
好ましくは、電解セルは、例えば0.5から0.15バールのわずかな低圧にかけられ、これにより電解セルは真空補強され、特に容易かつ安全に輸送され、その後積み重ねられる。
【0021】
驚くべきことに、科学的見解に反して、非常に薄い金属板、好ましくは金属箔を使用して、冒頭で述べた要件を完全に満たす電解セルを製造することが容易に可能であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】模式的に示した電解セルの説明図である。
図2】封止用組成物(D)が分布している周囲(P)の模式的断面図である。
図3】電解セルに用いられるプラスチック材料の注入口および排出口を示した図である。
図4】複数の電解セルを含む典型的な電解スタックを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
電解セル
【0024】
陽極と陰極とは、好ましくは図1に模式的に示すようにセル内に配置される。すなわち、二つの電極がその表面全体にわたって互いに隙間なく平坦に配置され、セパレータ膜のみが直接接触するように配置される。
【0025】
ハーフセルは、好ましくはステンレス鋼、ニッケル、チタン、および対応する合金からなり、合金は例えばバナジウムのような他の異種金属を含んでいてもよい。
【0026】
スペーサーは、例えば、先行技術の評価において冒頭に議論されたように、コイル、リング、フォーム、マットレスのような弾力性要素、または剛性構造とすることができる。それらは静的または弾力性であることができ、電極が平らになることを確実にするために、少なくとも1つの電極室に弾力性スペーサーを装備することが望ましい。
【0027】
二つのハーフセルは、その周囲で互いに接続されていなければならないが、互いに電気的に絶縁されていなければならない。これは、好ましくは、封止用組成物を導入することによって行うことができる。図2は、封止用組成物(D)が分布している周囲(P)の断面を模式的に示している。中央にはセパレータ膜(S)が見え、その両端も同様に封止用組成物で囲まれている。このようにして、セパレータ膜は同時にセル内に固定され、安定化される。
【0028】
プラスチック組成物は、プラスチック加工の従来の方法、すなわち、例えば、熱直接接合、接着剤接合、ホットメルトまたはラミネーションによって導入することができる。技術的に要求されないので、特に熱直接接合が好ましい。この方法は、射出成形とよく似た機能で、プラスチック材料は溶融され、シール面に射出される。ポリマーは冷却の結果、再び固体状態に変化し、二つのハーフセルを密封する。好適な電気絶縁プラスチック材料は、原則として熱可塑性プラスチックであり、ペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)およびポリフェニルスルフィド(PPS)は、その高い耐薬品性のために優先される。
【0029】
本発明のさらに好ましい実施形態では、生成物および反応物のための注入口および排出口は、二つのハーフセルの間の接合部に配置される。特に、図3に示された射出成形可能なプラスチック材料の溶接された注ぎ口のような、食品産業から知られている接続部が考慮される。対応する接続部または注ぎ口は、欧州公開公報2644530に開示されており、注ぎ口の性質に関するその開示は、参照により組み込まれる。接続部または注ぎ口は、垂直な長手方向中心軸(1)を有する注液流路(2)を備えたネック(3)と、それに接続され、好ましくは溶接線が設けられた二つの外側側面とを有し、これらの側面は、電解セルのシールに溶接するために設けられ、関連する側壁には、内側に複数の補強ウェブが配置されている。
【0030】
前述の排出口又は注ぎ口は、一般に、「ボート」とも呼ばれる基部を有し、その側壁は、その端部領域で互いに合流する外側の側壁面を有する。側面は、容器の二つの箔壁の間に、特に溶接されて接続される。垂直の縦方向の中心軸を有する流水路を持つネックに合流する首輪状の領域は、ボートまたは側面に形成され、典型的には一体である。このようなネックには外側に糸が付けられていることが多く、これは注水路を通って空にする前に、キャップで満たされたパウチを固定するためである。あるいは、ネックが少なくとも部分的にボートに直接合流することもできる。ボートの側面は、平坦、粗面、リブの有無、および/または溶接線を備えることができる。さらに、ネックは、充填または密封システムのガイドに使用できるガイドウェブを有することができる。
【0031】
欧州公開公報2644530によれば、接続部または注ぎ口は一般に超音波溶接によってシールに接続される。本発明では、溶接された注ぎ口は、好ましくは接合工程で直接導入される。
電解スタックおよびその製造方法
【0032】
個々の電解セルは、「電解槽」または「電解スタック」と呼ばれるグループにまとめることができる。したがって、本発明はさらに、以下の電解スタックを提供する。電解スタックは、
(i)冒頭に記載した少なくとも二つの電解セル、
(ii)2枚の(金属製の)圧力板、及び
(iii)少なくとも2本のテンションロッド、を備えている、又はのみからなる。
ここで、
(a)二つの圧力板は、互いに対向し、少なくとも2本のテンションロッドによって可動的または剛性的に離間され、テンションロッドによる接続部には、好ましくは高い電気抵抗または絶縁が存在する。
(b)少なくとも二つの電解セルは、二つの圧力板の間に互いに相対的に配置または積み重ねられており、それぞれの場合において、最初の電解セルの陰極後壁が次の電解セルの陽極後壁に接触する。
(c)圧力板は、少なくとも二つの真空補強電解セルとともに、固定された関連性を持つように、互いに間隔をあけて配置されている。
【0033】
本発明の電解スタックは、前述の電解セルを好ましくは3、4、5または最大約200個含む。好ましくは、約40から約150個、特に約60から約120個の電解セルを含む。
【0034】
典型的な電解スタックを図4に示すが、そこに見える電解セルは、それぞれ図1に従った構造を有する。
【0035】
同様に、電解スタックを製造するための方法は、
(i)請求項1に記載の少なくとも二つの電解セルを提供する工程、
(ii)二つの圧力板を提供する工程、及び
(iii)少なくとも二つのテンションロッドを提供する工程、のみからなる、又はを有する。
ここで
(a)少なくとも二つの電解セルは、低圧が適用されて真空補強される。
(b)工程(a)からの真空補強された電解セルは、最初の電解セルの陰極後壁が次の電解セルの陽極後壁と接触するように、相対的に配置または積層されて、電気的に直列に接続される。
(c)工程(b)に従って直列に接続された真空補強された電解セルは、少なくとも2本のテンションロッドによって2枚の圧力板の間に配置され、一定の関連性が生成される。
(d)一定の関連性が生成された電解セルの真空が再び解放される。
【0036】
本発明による構成により、従来の単セルの設計を壁厚の小さいセルにも適用することができる。本発明によれば、これらの薄いシートまたは箔がシェルとして使用され、接合部およびセパレータによって互いに電気的に分離され、内蔵部品は製造工程中に導入される。製造工程後、セルは低圧にさらされ、これにより内部の弾力性要素またはマットレスが予備圧縮される。同時に、この操作によってセルは真空補強され、次のような利点があり、これまでこの技術の先行技術にはなかったものである。
- フレキシブルコンポーネントの補強
- 真空リフティングシステムや機械式グリッパーシステムなどによる、補助を必要としない輸送性の達成
- 気密性のテスト
- 輸送による損傷の検出、及び
- システムの弾力性要素の予荷重。
【0037】
要素の予荷重の結果、セルは、クランプ装置を備える必要はないが、弾力性要素を一緒に押圧し、圧力板の変位を含む圧縮の可能性を提供するスタックに導入することができる。金属製の圧力板は、単にテンションロッドによって一緒に保持することができ、最初の組み立ての際に、真空補強された要素に単に接触させることができる。真空を解放することで、弾力性要素は外圧によって外部圧力による負荷を受けなくなり、圧力板によって所定の位置に保持されるようになる。
【0038】
得られたスタックは、例えば塩素-アルカリ電解に使用できるが、好ましい使用目的は水の電解による水素の製造である。
産業上の適用性
【0039】
本発明はさらに、電解スタックの製造における本発明による電解セルの使用を提供する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】