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特表2024-506810レーザシステムを動作させる方法、レーザシステム、及び蒸発システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】レーザシステムを動作させる方法、レーザシステム、及び蒸発システム
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/28 20060101AFI20240207BHJP
   G02B 27/09 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C23C14/28
G02B27/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544413
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2021051882
(87)【国際公開番号】W WO2022161606
(87)【国際公開日】2022-08-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512247223
【氏名又は名称】マツクス-プランク-ゲゼルシヤフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシヤフテン エー フアウ
【氏名又は名称原語表記】MAX-PLANCK-GESELLSCHAFT ZUR FOeRDERUNG DER WISSENSCHAFTEN E.V.
【住所又は居所原語表記】Hofgartenstrasse 8,80539 Muenchen, Bundesrepublik Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ウルフギャング
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029CA01
4K029DA03
4K029DB20
(57)【要約】
本発明は、蒸発システムの反応チャンバ内に配置されたターゲットの表面を加熱するためのレーザビームを提供するためのレーザシステムを動作させる方法に関する。レーザシステムは、少なくとも基本的に中央にピークがある強度プロファイルを有する少なくとも基本的に平行なレーザビームを提供するためのレーザ光源を備える。更に、本発明は、蒸発システムの反応チャンバ内に配置されたターゲットの表面を加熱するためのレーザシステムに関する。反応チャンバはチャンバウィンドウを備える。レーザシステムは、少なくとも基本的に中央にピークがある強度プロファイルを有する少なくとも基本的に平行なレーザビームを提供するためのレーザ光源を備える。更に、本発明は、反応チャンバ内に配置されたターゲットと、ターゲットの表面を加熱するための少なくとも1つのレーザシステムと、を備える蒸発システムに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発システム(60)の反応チャンバ(62)内に配置されたターゲット(66)の表面(68)を加熱することができるレーザビーム(22)を提供するためのレーザシステム(10)を動作させる方法であって、前記レーザシステム(10)は、少なくとも基本的に中央にピークがある強度プロファイル(24)を有する少なくとも基本的に平行なレーザビーム(22)を提供するためのレーザ光源(20)を備え、
前記方法は、
a)前記ターゲット(66)の前記表面(68)の温度情報を決定するステップと、
b)ステップa)で決定された前記温度情報に基づいて、より低い中心強度を有する前記レーザビーム(22)の適合強度プロファイル(24)を決定するステップと、
c)ステップb)で行われた前記決定に基づいて、前記レーザビーム(22)の前記強度プロファイル(24)を整形するステップと、
d)前記蒸発システム(60)の前記反応チャンバ(62)内に配置された前記ターゲット(66)の前記表面(68)を加熱するため、ステップc)で整形された前記適合強度プロファイル(24)を有する前記レーザビーム(22)を提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップa)における前記温度情報の前記決定は、
前記レーザ光源(20)によって提供された前記レーザビーム(22)の前記強度に基づいて前記温度情報を推定すること、
前記ターゲット(66)の前記表面(68)の前記中心で前記温度を測定することに基づいて前記温度情報を推定すること、
前記ターゲット(66)の前記表面(68)の前記外周縁(70)で前記温度を測定することに基づいて前記温度情報を推定すること、及び/又は、
前記ターゲット(66)の前記表面(68)の前記中心、前記外周縁(70)、及び、少なくとも1つの追加の位置、で前記温度を測定することに基づいて前記温度情報を推定すること、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターゲット(66)の前記表面(68)の前記各温度が、前記レーザビーム(22)で加熱された前記ターゲット(66)の前記表面(68)とは反対の前記ターゲット(66)の前記向こう側で、前記提供されたレーザビーム(22)に対して測定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲット(66)の前記表面(68)の前記各温度は、前記提供されたレーザビーム(22)の軸上で測定される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記新たに整形された強度プロファイル(24)は、回転対称である、請求項1から4のうち一項に記載の方法。
【請求項6】
蒸発システム(60)の反応チャンバ(62)内に配置されたターゲット(66)の表面(68)を加熱するためのレーザシステム(10)であって、
前記反応チャンバ(62)は、チャンバウィンドウ(64)を備え、
前記レーザシステム(10)は、少なくとも基本的に中央にピークがある強度プロファイル(24)を有する少なくとも基本的に平行なレーザビーム(22)を提供するためのレーザ光源(20)を備え、
前記レーザシステム(10)は、請求項1から5のうち一項に従った方法の少なくともステップc)を実行し、任意選択的にステップd)も実行するように構成されたビーム整形システム(30)を備える、レーザシステム(10)。
【請求項7】
前記ビーム整形システム(30)は、前記レーザビーム(22)の前記経路に沿って、少なくとも前記以下の整形要素(32、40、42、44、46、52)、すなわち、
前記レーザビーム(22)の直径(80)を調整するためのビーム望遠鏡(32)と、
前記平行レーザビーム(22)を少なくとも部分的に環状の強度プロファイル(24)を有する発散レーザビーム(22)に変換するための汎用の第1のアキシコン(40)と、
整形要素(44、46)として、前記レーザビーム(22)の前記環状強度プロファイル(24)の外側部分を切り取るためのクリッピングアパーチャ開口(48)を有するクリッピングアパーチャ(46)と、前記レーザビーム(22)の前記発散を補償すると共に前記発散レーザビーム(22)を平行レーザビーム(22)に変換するための汎用の第2のアキシコン(44)と、を備える光学アセンブリ(42)と、
前記ターゲット(66)の前記表面(68)へ向かう前記レーザビーム(22)を集束するためのフォーカス要素(52)と、
を備える、請求項6に記載のレーザシステム(10)。
【請求項8】
前記光学アセンブリ(42)内の前記クリッピングアパーチャ(46)は、前記レーザビーム(22)の前記経路に沿って前記第2のアキシコン(44)の上流に配置されている、請求項7に記載のレーザシステム(10)。
【請求項9】
前記光学アセンブリ(42)内の前記第2のアキシコン(44)は、前記レーザビーム(22)の前記経路に沿って前記クリッピングアパーチャ(46)の上流に配置されている、請求項7に記載のレーザシステム(10)。
【請求項10】
前記ビーム整形システム(30)の少なくとも2つの連続的に配置された整形要素(32、40、42、44、46、52)は、複合整形要素(32、40、42、44、46、52)に一体化されている、請求項7から9のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項11】
前記ビーム整形システム(30)の少なくともいくつかの部分は、前記反応チャンバ(62)の前記チャンバウィンドウ(64)の外側に配置されている、請求項6から10のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項12】
前記部分は、前記以下のコンポーネント、すなわち、前記ビーム望遠鏡(32)、前記第1のアキシコン(40)、前記光学アセンブリ(42)、前記クリッピングアパーチャ(46)、及び前記第2のアキシコン(40)のうち少なくともいくつか又は全てを含む、請求項11に記載のレーザシステム(10)。
【請求項13】
前記フォーカス要素(52)は、前記反応チャンバ(62)の前記チャンバウィンドウ(64)の外側に配置されている、請求項12に記載のレーザシステム(10)。
【請求項14】
前記第2のアキシコン(40)及び前記フォーカス要素(52)は、自由形式のレンズ又は自由形式のミラーに一体化されている、請求項13に記載のレーザシステム(10)。
【請求項15】
前記自由形式のミラーは、アクティブに調整可能な焦点距離を有する適応ミラーである、請求項14に記載のレーザシステム(10)。
【請求項16】
前記フォーカス要素(52)は、前記チャンバウィンドウ(64)の後の前記反応チャンバ(62)内に配置されている、請求項7から12のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項17】
前記ビーム望遠鏡(32)は、前記レーザビーム(22)の前記直径(80)を連続的に調整するための光学要素(34)を備える、請求項7から16のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項18】
前記ビーム望遠鏡(32)の前記光学要素(34)は、前記レーザビーム(22)の前記経路に沿って、整合されたフォーカス光学要素(34)とデフォーカス光学要素(24)のペアを備える、請求項17に記載のレーザシステム(10)。
【請求項19】
前記ビーム望遠鏡(32)の前記光学要素(34)は、前記レーザビーム(22)の前記経路に沿って、整合されたデフォーカス光学要素(34)とフォーカス光学要素(24)のペアを備える、請求項17に記載のレーザシステム(10)。
【請求項20】
前記光学要素(34)のペアは、前記レーザビーム(22)の前記経路に沿ってそれぞれの位置を含むと共に、少なくとも基本的に同一な、好ましくは完全に同一な各焦点位置を与えるためそれぞれの焦点距離を含むように整合されている、請求項18又は19に記載のレーザシステム(10)。
【請求項21】
前記レーザビーム(22)の前記経路に沿った前記光学要素(34)の前記各焦点距離は、連続的に調整することができる、請求項20に記載のレーザシステム(10)。
【請求項22】
前記ビーム望遠鏡(32)の前記光学要素(34)は、整合された少なくとも基本的に球形のレンズ(36、38)のペアであり、特に、整合された少なくとも基本的に球形の適応レンズ(36、38)のペアである、請求項17から21のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項23】
前記ビーム望遠鏡(32)の前記光学要素(34)は、整合されたミラーのペアであり、特に、整合された適応ミラーのペアである、請求項17から21のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項24】
前記ビーム整形システム(30)は、前記レーザビーム(22)の前記大まかな伝搬方向(28)を変化させるための偏向要素(50)を備え、
前記偏向要素(50)は、前記レーザビーム(22)の前記経路に沿って前記光学アセンブリ(42)の後のどこかに配置されている、請求項7から23のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項25】
前記偏向要素(50)は、前記レーザビーム(22)の前記経路に沿って前記チャンバウィンドウ(64)の前に配置された前記ビーム整形システム(30)の前記最後の要素である、請求項24に記載のレーザシステム(10)。
【請求項26】
前記偏向要素(50)は、分布ブラッグ反射器である、請求項24又は25に記載のレーザシステム(10)。
【請求項27】
前記レーザシステム(10)は、前記レーザビーム(22)の偏向中に前記偏向要素(50)内に堆積されたエネルギ量及び/又は前記偏向要素(50)を透過した光量を測定するためのセンサ要素(54)を備える、請求項24から26のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項28】
前記センサ要素(54)は、前記レーザビーム(22)の偏向中に前記偏向要素(50)内に堆積された前記エネルギ量及び/又は前記偏向要素(50)を透過した前記光量を前記偏向要素(50)の2つ以上の位置で測定するための位置敏感型センサ要素(54)である、請求項27に記載のレーザシステム(10)。
【請求項29】
前記センサ要素(54)は、前記ターゲット(66)の前記表面(68)が発する熱放射を測定するため、前記衝突レーザビーム(22)に対して、前記偏向要素(50)、特に前記分布ブラッグ反射器の前記向こう側で前記ターゲット(66)を指し示す前記レーザビーム(22)の前記光軸に対して軸上に配置されている、請求項26から請求項27又は28に記載のレーザシステム(10)。
【請求項30】
前記フォーカス要素(52)は、前記クリッピングアパーチャ開口(48)が前記ターゲット(66)の前記表面(68)の外周縁(70)及び/又はエッジ及び/又はコーナ上に投影されるような焦点距離を含む、請求項7から29のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項31】
前記フォーカス要素(52)は、前記チャンバウィンドウ(64)と前記ターゲット(66)との間で前記反応チャンバ(62)内に位置付けられた点状焦点ボリューム(26)上に前記レーザビーム(22)を集束する、請求項7から30のうち一項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項32】
前記レーザシステム(10)は、遮蔽アパーチャ開口(74)を有する遮蔽アパーチャ(72)を備え、
前記遮蔽アパーチャ(72)は、前記遮蔽アパーチャ開口(74)が前記焦点ボリューム(26)に位置するように配置されている、請求項31に記載のレーザシステム(10)。
【請求項33】
反応チャンバ(62)内に配置されたターゲット(66)と、前記ターゲット(66)の表面(68)を加熱するための少なくとも1つのレーザシステム(10)と、を備える蒸発システム(60)であって、
前記蒸発システム(60)は、前記少なくとも1つのレーザシステム(10)を動作させるための請求項1から3のうち一項に従った方法を適用するように適合された制御システム(76)を備え、及び/又は、
前記少なくとも1つのレーザシステム(10)は、請求項6から32のうち一項に従って構築されている、蒸発システム(60)。
【請求項34】
前記ターゲット(66)は、前記蒸発システム(60)の動作中に蒸発及び/又は昇華される材料を含む、請求項33に記載の蒸発システム(60)。
【請求項35】
前記ターゲット(66)は、前記蒸発システム(60)の動作中にコーティングされる材料を含む、請求項33又は34に記載の蒸発システム(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発システム(evaporation system)の反応チャンバ内に配置されたターゲットの表面を加熱することができるレーザビームを提供するためのレーザシステムを動作させる方法に関する。レーザシステムは、少なくとも基本的に均一な強度プロファイルを有する少なくとも基本的に平行なレーザビームを提供するためのレーザ光源を備える。また、本発明は、蒸発システムの反応チャンバ内に配置されたターゲットの表面を加熱するためのレーザシステムに関する。反応チャンバはチャンバウィンドウを備える。レーザシステムは、少なくとも基本的に均一な強度プロファイルを有する少なくとも基本的に平行なレーザビームを提供するためのレーザ光源を備える。更に、本発明は、反応チャンバ内に配置されたターゲットと、ターゲットの表面を加熱するための少なくとも1つのレーザシステムと、を備える蒸発システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸発システムや同様の用途では、固体及び/又は液体材料を含有する物体の表面を、特に、真空環境でレーザ放射によって加熱することがある。このような加熱は例えば、分子ビームエピタキシ(MBE:molecular beam epitaxy)等のエピタキシ技法との関連で知られており、溶接又は切削のようなレーザ用途でも概ね同様である。ほとんどの用途では、加熱表面の均一な加熱が望ましい。照射表面の均一な加熱を達成するため、主に波動光学要素を用いて、シルクハットプロファイル(top-hat profile)を達成するビーム整形が実施され、レーザ放射による均一なエネルギ堆積を保証している。
【0003】
図1の左側の像に、技術水準に従ったレーザシステム10を備える上述した蒸発システム60の可能な実施形態が示されている。レーザシステム10のレーザ光源20は、図1の中央の像に示されている均一なシルクハット強度プロファイル24を有するレーザビーム22を提供する。フォーカス要素52は、レーザビーム22を、蒸発システム60の反応チャンバ62のチャンバウィンドウ64を介して、加熱対象のターゲット66の表面68上に集束させる。
【0004】
しかしながら、パワーが大きくなり、従って加熱材料の温度が高くなると、照射表面68上に一定の出力密度で衝突する平坦な強度プロファイル24は、照射表面68で均一な温度を生じなくなる。これは図1の右側の像に示されている。この像において、上のグラフは、873Kから1473Kまでの範囲にわたる様々な温度について、ターゲット66の表面68上の各位置に対する測定強度と変換温度を示し、下のグラフは、表面68の全体的な温度に対して、ターゲット66の左エッジ(90)及び右エッジ(92)の近くでの表面68の温度の実際の偏差を示す。温度が上昇するにつれて、偏差90、92が大きくなることがはっきりと分かる。
【0005】
上記のことを踏まえて、本発明の目的は、上述した最新技術の欠点がない、レーザシステムを動作させる改良された方法、改良されたレーザシステム、及び改良された蒸発システムを提供することである。特に、本発明の目的は、ターゲット表面に生じる温度に関して、特にターゲット表面の温度の様々なターゲット値のため、好ましくはターゲット表面の温度の連続的に変化するターゲット値のため、ターゲット表面を均一に加熱することができる、レーザシステムを動作させる方法、レーザシステム、及び蒸発システムを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
この目的は、各独立特許請求項によって達成される。特に、この目的は、請求項1に記載されているターゲットの表面を加熱することができるレーザビームを提供するためのレーザシステムを動作させる方法、請求項6に記載されているターゲットの表面を加熱するためのレーザシステム、及び、請求項33に記載されている蒸発システムによって達成される。従属請求項は、本発明の好適な実施形態を記載する。また、本発明の第1の態様に係るレーザシステムを動作させる方法に関して記載されている詳細事項及び利点は、技術的意味の場合、本発明の第2の態様に係るレーザシステム及び本発明の第3の態様に係る蒸発システムも参照し、逆もまた同様である。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、目的は、蒸発システムの反応チャンバ内に配置されたターゲットの表面を加熱することができるレーザビームを提供するためのレーザシステムを動作させる方法によって達成される。レーザシステムは、少なくとも基本的に中央にピークがある強度プロファイルを有する少なくとも基本的に平行なレーザビームを提供するためのレーザ光源を備える。また、本発明に係る方法は、
a)ターゲットの表面の温度情報を決定するステップと、
b)ステップa)で決定された温度情報に基づいて、より低い中心強度を有するレーザビームの適合強度プロファイルを決定するステップと、
c)ステップb)で行われた決定に基づいて、レーザビームの強度プロファイルを整形するステップと、
d)蒸発システムの反応チャンバ内に配置されたターゲットの表面を加熱するため、ステップc)で整形された適合強度プロファイルを有するレーザビームを提供するステップと、
を含む。
【0008】
本発明に係る方法は、例えば、1つ以上のターゲット材料の熱蒸発及び/又は昇華のためのものとすることができる。代替案として、蒸発した及び/又は昇華した材料でコーティングされるターゲットの表面を加熱することも可能である。各ターゲットは、蒸発システムの反応チャンバ内に配置されている。反応チャンバは、適切な反応雰囲気を含むことができる及び/又は真空である。レーザ光源のレーザ光は、反応チャンバ内に結合され、ターゲットの表面に衝突する。ターゲットで吸収されたレーザエネルギによって、ターゲット表面の所望の加熱が行われる。
【0009】
しかしながら、上述のように、ほとんどの場合、少なくとも基本的に中央にピークがある強度プロファイルを有するレーザビーム、特に高強度レーザビームを用いたターゲット表面の加熱、従ってターゲット表面の高温は、ターゲット表面上の非均一な温度分布を招く。本発明に係る中央にピークがある強度プロファイルは、例えばガウス分布や他の単一ピーク分布を包含し、光軸及び/又は対称軸から遠ざかる放射方向で、好ましくは単調に減衰する。また、均一な分布も、本発明に係る単一ピークのプロファイルとして識別される。特に、例えばターゲットの側面の存在に起因して、ターゲット表面の外周縁に近付くにつれて放射損失が著しく大きくなるので、ターゲットの外周縁に近付くにつれてターゲット表面の温度は低下する。放射損失はTに比例するので、温度が上昇するとこの温度差は極めて急速に重大となる。
【0010】
この効果を補償するため、本発明に係る方法の第1のステップa)では、ターゲット表面の温度情報を決定する。実際の温度測定の他に、温度決定は、代替的に又は追加的に、レーザ光の強度を決定することも含み、更に、例えば、ターゲットの物理的及び/又は経験的モデル、過去に準備された計算及び/又はシミュレーションを用いることによって、そこから温度情報を導出することも含む。特に、温度情報を決定することは、ターゲット表面の中心における最高値及び/又は中心の近くにおける最高値から、ターゲット表面の外周縁及び/又はエッジ及び/又はコーナへ近付く方向での温度低下を識別すること、言い換えると、温度プロファイル及び温度勾配をそれぞれ識別することを可能とする。
【0011】
従って、ステップa)の後、ターゲットの表面、特にその中心及び外周縁のそれぞれにおける各温度の存在に関する温度情報が利用可能となる。温度情報は、表面温度プロファイルの精密なマッピングを含むことができる。追加的に又は代替的に、ターゲット表面の中心及び外周縁の温度及び/又はそれらの近くの温度の少なくとも1つの相対的な差のみで、本発明に係る温度情報を形成することも可能である。本発明に係る温度情報の別の例は、レーザ光源により与えられた初期レーザ強度と露光時間に基づく、及び/又は物理的及び/又は経験的モデル、過去に準備された計算及び/又はシミュレーションに基づく、予想温度の推定である。
【0012】
本発明に係る方法のステップa)の後に存在する温度情報に基づいて、次のステップb)では、強度プロファイルを決定する。ターゲット表面の温度プロファイルを生じる上述の効果、特にターゲット表面の外周縁に近付くにつれて大きくなる放射損失を補償するため、適合強度プロファイルは、中心の強度が低く、外周縁及び/又はエッジに近付くにつれて強度が高くなる。言い換えると、適合強度プロファイルが提供するレーザ光は、温度が低いターゲット表面領域では強度が高い。これにより、上述した効果を少なくとも部分的に補償することが可能となり、より均一なターゲット表面温度を達成することができる。
【0013】
本発明に係る方法の次の2つのステップc)及びd)は、ステップb)で決定した適合強度プロファイルを有するレーザ光を実際にターゲット表面上へ提供することを含む。
【0014】
ステップc)では、レーザ光源によって提供されたレーザビームの少なくとも基本的に均一な強度プロファイルを、ステップb)で決定された適合強度プロファイルに応じて整形する。整形は、例えば、レーザやミラー等の対応する光学要素及び/又は整形要素を備える適切なビーム整形システムによって実行できる。ステップc)の後、レーザビームの初期の少なくとも基本的に均一な強度プロファイルは、ステップb)で決定した適合強度プロファイルで置換される。
【0015】
本発明に係る方法の最後のステップd)は、適合強度プロファイルを有するレーザビームを実際にターゲット表面上へ提供することを含む。レーザビームは、蒸発システムの反応チャンバ内に結合され、ターゲットの表面へ誘導される。レーザビームの強度プロファイルが適切に適合されているので、特に、ターゲットのエッジにおける大きい放射損失を補償することができ、ターゲット表面の均一な温度プロファイルを達成できる。
【0016】
更に、本発明に係る方法は、ステップa)における温度情報の決定が、以下のうち少なくとも1つを含むことを含み得る。
レーザ光源によって提供されたレーザビームの強度に基づいて温度情報を推定すること、
ターゲットの表面の中心で温度を測定することに基づいて温度情報を推定すること、
ターゲットの表面の外周縁で温度を測定することに基づいて温度情報を推定すること、及び/又は
ターゲットの表面の中心、外周縁、及び少なくとも1つの追加の位置で温度を測定することに基づいて温度情報を推定すること。
【0017】
可能な温度情報決定方法のこのリストは完全なものではなく、技術的に可能であり妥当な場合は他の決定方法を実施できる。特に、本発明に係る方法の実際の実施では、例えば、利用可能なセンサ、計算能力、及び/又は建築スペースを考慮して、最も適切な決定方法を選択することができる。
【0018】
更に、本発明に係る方法は、レーザビームで加熱されたターゲットの表面とは反対のターゲットの向こう側で、提供されたレーザビームに対してターゲットの表面の各温度を測定することを含み得る。
【0019】
レーザビームによるターゲットの加熱は、ほとんどの適用例において、衝突レーザビームにより直接加熱される表面だけでなくターゲット全体の加熱を行うのに充分なものである。更に、本発明に係る方法のいくつかの適用例では、ターゲットは一方側で加熱されるが、レーザビームで直接加熱されたターゲット表面とは反対のターゲットの向こう側の均一な加熱は、達成するべき明白な目的である。従って、ターゲットの向こう側での各温度の測定及びこの向こう側の各温度の測定は、特に、衝突レーザビームとの干渉なしで必要なセンサ要素を配置できるので、適切に実現可能である。
【0020】
追加的に又は代替的に、本発明に係る方法は、ターゲットの表面の各温度が、提供されたレーザビームの軸上で測定されることを含み得る。
【0021】
好ましくは、この実施形態は、加熱されたターゲット表面から発する熱放射の波長とは異なるレーザビーム波長に調整された分布ブラッグ反射器を備えるレーザシステムを用いて実施できる。従って、一方では、ターゲットへ誘導されたレーザビームに対して軸上の分布ブラッグ反射器の向こう側に配置された適切なセンサ要素は分布ブラッグ反射器によってレーザ光に対して遮蔽され、他方では、分布ブラッグ反射器は少なくとも部分的にターゲット表面が発する熱放射に対して透明である。従って、加熱されたターゲット表面の各温度の直接的な測定も適切である。
【0022】
上述した全ての温度測定において、好ましくは、時間的及び/又は空間的な温度変動も測定することができる。
【0023】
更に、本発明に係る方法は、新たに整形された強度プロファイルが回転対称であることを特徴とすることができる。また、ほとんどの場合、レーザ光源によって最初に与えられたレーザビームの強度プロファイルも回転対称であるので、このそれぞれの回転対称性を適合強度プロファイルに提供することも好ましい。また、このような回転対称強度プロファイルは、45度の傾斜角の平坦な又は適切に整形された他のミラー上で各レーザビームを反射させた時に維持される。従って、回転対称性を妨害すること及び/又は破壊することなく、レーザビームの経路を容易に調整できる。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、目的は、蒸発システムの反応チャンバ内に配置されたターゲットの表面を加熱するためのレーザシステムによって達成される。反応チャンバはチャンバウィンドウを備え、レーザシステムは、少なくとも基本的に中央にピークがある強度プロファイルを有する少なくとも基本的に平行なレーザビームを提供するためのレーザ光源を備える。本発明に係るレーザシステムは、本発明の第1の態様に係る方法の少なくともステップc)を実行し、任意選択的にステップd)も実行するように構成されたビーム整形システムを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の第2の態様に係るレーザシステムは、本発明の第1の態様に係る方法の少なくともステップc)を実行し、任意選択的にステップd)も実行するように構成されている。ステップc)では、加熱されたターゲット表面の温度プロファイルを補償するため、レーザビームの強度プロファイルを適切に整形する。ステップd)は、適応的に整形されたレーザビームを実際にターゲット上に提供することを含む。従って、本発明の第1の態様に係る方法に関して、少なくともステップc)及び任意選択的にd)に関して上述した全ての特徴及び利点は、本発明の第1の態様に係る方法を実行するため用いられる本発明の第2の態様に係るレーザシステムによっても提供できる。
【0026】
好ましくは、本発明に係るレーザシステムは、ビーム整形システムがレーザビームの経路に沿って少なくとも以下の整形要素を備えることを特徴とすることができる。
レーザビームの直径を調整するためのビーム望遠鏡、
平行レーザビームを少なくとも部分的に環状の強度プロファイルを有する発散レーザビームに変換するための汎用の第1のアキシコン(generalized first axicon)、
整形要素として、レーザビームの環状強度プロファイルの外側部分を切り取る(clip)ためのクリッピングアパーチャ開口を有するクリッピングアパーチャと、レーザビームの発散を補償すると共に発散レーザビームを平行レーザビームに変換するための汎用の第2のアキシコンと、を備える光学アセンブリ、
ターゲットの表面へ向かうレーザビームを集束するためのフォーカス要素。
【0027】
上述の方法と同様に、本発明に係るレーザシステムも、例えば、1つ以上のターゲット材料の熱蒸発及び/又は昇華のために用いることができる。代替案として、蒸発した及び/又は昇華した材料でコーティングされるターゲットの表面を加熱することも可能である。各ターゲットは、蒸発システムの反応チャンバ内に配置されている。反応チャンバは、適切な反応雰囲気を含むことができる及び/又は真空である。レーザ光源のレーザ光を反応チャンバ内に結合するため、反応チャンバはチャンバウィンドウを含む。
【0028】
上述のようにターゲットのエッジに近付くと温度が低下する原因は、高温の場合、プランクの法則に従って、サンプルの前面及び後面から、更には側面を介して、著しい熱量が放射によって失われるからであることが分かっている。これは、中心から周縁への潜熱流を引き起こし、更に、この放射方向に沿って対応する温度勾配を引き起こす。サンプルは中心部で高温となり、周縁部で低温となる。本発明に係るレーザシステムは、ターゲットの外周縁側のこういった大きい放射損失を補償するように構築されている。
【0029】
前述のレーザ光源は、レーザ光のビームを提供する。このレーザ光はコヒーレントであり、少なくとも基本的に平行であり、特に、完全な平行に極めて近い。また、レーザ光は、少なくとも基本的に均一な強度プロファイルを含み、特に、完全に均一な強度プロファイルを含む。言い換えると、レーザ光源によって与えられるレーザ光は、好ましくは、理想的な平行シルクハット強度プロファイルを含む。
【0030】
レーザ光源によって与えられるレーザ光は、その後、本発明に係るレーザシステムのビーム整形システムによって変更される。概して、ビーム整形システムの全ての要素は、レーザビームの軸に対して位置合わせされ、従ってレーザビームの大まかな伝搬方向に対して位置合わせされている。
【0031】
レーザビームの経路に沿ったビーム整形システムの第1の要素はビーム望遠鏡である。このビーム望遠鏡は、レーザビームの直径を調整するために用いられる。レーザビームの少なくとも基本的に平行な位置合わせは、ビーム望遠鏡によって保持される。特に、ビーム望遠鏡は好ましくは、ターゲットにおいて実現される実際の強度プロファイルのために必要である適切な直径を選択することを可能とする。強度プロファイルに対する直径の影響については、以下で検討する。
【0032】
本発明に係るレーザシステムのビーム整形システムの2つの主要な要素は、第1の汎用アキシコンと第2の汎用アキシコンである。これらの汎用アキシコンは、例えば、厳密な(strictly)アキシコンとして、すなわち純粋な円錐レンズとして形成することができる。本発明に係る汎用アキシコンは、厳密なアキシコンの特徴を備える。しかしながら、純粋な円錐形からの制御された小さい逸脱によって、汎用アキシコンの後に提供される強度プロファイルを最適化することが可能となる。好ましくは、汎用アキシコンは自由形式の要素として提供することができる。以下では、明示的に述べられていない場合であっても、言及される全てのアキシコンはそのような汎用アキシコンである。
【0033】
第1の汎用アキシコンは、平行レーザビームを、少なくとも部分的に環状の強度プロファイルを有する発散レーザビームに変換する。言い換えると、第1のアキシコンの後、レーザ光は好ましくは円錐台形の光を形成する。この円錐台形の光は、第1のアキシコン後に広がり、強度プロファイルは円錐の周縁に近付くにつれて高くなり、円錐の中心に近付くにつれて低くなる。好ましくは、強度は、光円錐の周縁の近くでのみ部分的にシフトし、光円錐の中心の近くの強度はゼロでない。好ましくは、光円錐の中心の近くの強度は、ターゲット表面全体にわたって所望の加熱を保証するため充分な高さに保たれる。
【0034】
第1のアキシコンの後、整形要素として第2の汎用アキシコン及びクリッピングアパーチャを含む光学アセンブリが配置されている。
【0035】
第2のアキシコンは、第1のアキシコンによってレーザビームに誘発された発散を補償するため、従って、レーザビームを平行レーザビームに再変換するために用いられる。この目的のため、第2のアキシコンの焦点距離は好ましくは第1のアキシコンの焦点距離に整合され、特に、第1のアキシコンの焦点距離と等しい。更に、2つのアキシコンが円錐レンズとして形成されている場合、これらのアキシコンの円錐形状は好ましくは、それらの円錐角の同じ大きさであるが符号が異なるという意味で相補的とすることができる。要約すると、第2のアキシコンの後、レーザビームは再び少なくとも基本的に平行になるが、エッジに近付くにつれて高くなる強度プロファイルを含む。
【0036】
第1のアキシコンによって与えられる環状強度プロファイルの環状部、特にトーラスに似た環状部は、基本的に、2つの特徴的な長さによって記述できる。すなわち、環状部自体の幅と、トーラスの中心に対する環状部の半径である。半径は、第1のアキシコンによって誘発された発散と、第1及び第2のアキシコン間の距離と、によって規定される。
【0037】
上述のように、第1及び第2の汎用アキシコンは好ましくは円錐レンズである。好ましくは、アキシコンのペアは不変であり静止している。この場合、これらの変数、従って環状強度プロファイルの環状部の半径も固定である。それに対して、環状部の幅は、第1のアキシコンに衝突するレーザビームのビームスポットの大きさに直接依存する。言い換えると、環状強度プロファイルの環状部の幅はビーム直径に依存し、このビーム直径は上述の通り、ビーム望遠鏡によって実際に調整することができる。従って、ビーム望遠鏡でレーザビームの直径を調整することにより、ターゲットに衝突する環状強度プロファイルの形状の実際の実施形態を調整することが可能となる。極値として、一方では、基本的にシルクハット形状の強度プロファイル(環状部の幅は環状部の半径よりもはるかに大きく、特に少なくとも4倍以上である)、他方では、基本的にトーラス形状の強度プロファイル(環状部の幅は環状部の半径よりもはるかに小さい)を達成することができる。
【0038】
クリッピングアパーチャは、光学アセンブリによって提供される他の整形要素を形成する。クリッピングアパーチャはクリッピングアパーチャ開口を含み、これは好ましくは、レーザビームの大まかな伝搬方向に対して垂直に位置合わせされ、かつ、この伝搬方向に対して対称的である。
【0039】
クリッピングアパーチャは、レーザビームの環状強度プロファイルの外側部分を切り取り、これによってレーザビームの外側エッジを規定する。クリッピングアパーチャは、レーザシステムにより提供されるレーザビームの最終的な直径を規定することに加えて、特に強度分布のエッジの近くで強度分布の実際の形状も規定することができる。これは、レーザビームの中心に対して様々な半径で環状強度プロファイルのトーラス部分を切り取ることにより、最終的な強度分布の様々な形状が得られるからである。
【0040】
フォーカス要素は、本発明に係るレーザシステムのレーザビームの経路に沿ったビーム整形システムの最後の要素を形成する。このフォーカス要素によって、この時点で環状強度プロファイルを有するレーザ光をターゲットの方へ集束することができる。特に、フォーカス要素、従ってその焦点距離、従ってその焦点の位置は、例えば、ターゲットの大きさ、フォーカス要素とターゲットとの距離、及び/又は、第2のアキシコン後のレーザビームの直径に応じて選択することができる。要約すると、フォーカス要素は例えば、本発明に係るレーザシステムによって提供されるレーザビームが、ターゲットの表面を完全に及び/又は部分的に照明することを保証できる。
【0041】
要約すると、本発明に係るレーザシステムは、蒸発システムのターゲットの表面を加熱するためのレーザビームを提供することができる。特に、提供されるレーザビームはアクティブに調整可能な強度プロファイルを含み、このプロファイルは環状であり、外側エッジに近付くにつれて強度値が大きくなる。特に、加熱されたターゲットの温度が高い場合、これにより、ターゲット表面の外側部分における大きい放射損失を補償できるので、ターゲット表面を均一に加熱することが可能となり、結果として、本発明に係るレーザシステムで加熱されたターゲットの空間的に一定の表面温度、又は少なくとも基本的に一定の表面温度が得られる。
【0042】
更に、本発明に係るレーザシステムは、光学アセンブリ内のクリッピングアパーチャがレーザビームの光路に沿って第2のアキシコンの上流に配置されていることを特徴とすることができる。言い換えると、クリッピングアパーチャはアキシコンのペアの間に配置されている。レーザビームは第1のアキシコン後に発散するので、第1のアキシコン後のクリッピングアパーチャの位置、従ってこれらの要素間の距離は、レーザビームの外側カットオフを規定する。従って、クリッピングアパーチャにより与えられるカットオフは、第2のアキシコン後に与えられる平行レーザビームの直径及び/又は実際の強度プロファイルを実際に規定するので、クリッピングアパーチャの位置を選択すること又はアクティブに調整することは、ターゲット表面に提供され得る実際の強度プロファイルに影響を及ぼす。
【0043】
あるいは、本発明に係るレーザシステムは、光学アセンブリ内の第2のアキシコンがレーザビームの光路に沿ってクリッピングアパーチャの上流に配置されていることを含み得る。上述の実施形態とは異なり、この実施形態では、クリッピングアパーチャは第2のアキシコンの後に配置されているので、平行レーザビームが存在する位置にある。そのため、クリッピングアパーチャの実際の配置位置は、提供される強度分布にとって重要性が低い。これにより、本発明に係るレーザシステムのこの実施形態のセットアップは簡略化することができる。
【0044】
更に、本発明に係るレーザシステムは、ビーム整形システムの少なくとも2つの連続的に配置された整形要素を複合整形要素に一体化することによって向上させることができる。ビーム整形システムの2つの連続的に配置された整形要素を単一の整形要素に一体化することで、ビーム整形システムの整形要素の数を減らすことができる。結果として、ビーム整形システムの設置スペースの要件及び全体的な複雑さを軽減できる。
【0045】
更に、本発明に係るレーザシステムは、ビーム整形システムの少なくともいくつかの部分が反応チャンバのチャンバウィンドウの外側に配置されていることを特徴とすることができる。反応チャンバ内には、計画的な蒸発反応に適した反応雰囲気が含まれる。この反応雰囲気は、例えば高真空又は超高真空であり、最大で10-9mbar又はそれ以下とすることができる。あるいは、本発明に係る反応雰囲気として、例えばオゾンのような反応性ガスを含む実際の雰囲気も可能である。
【0046】
反応雰囲気を維持するため、反応雰囲気と反応チャンバ内の要素との望ましくない相互作用を回避しなければならない。ビーム整形システムの少なくともいくつかの部分を反応チャンバのチャンバウィンドウの外側に配置することにより、チャンバの外側にあるビーム整形システムの各部分では反応チャンバ内の反応雰囲気との相互作用が自動的に防止されるので、上記の相互作用の回避をいっそう容易に達成することができる。
【0047】
好ましくは、本発明に係るレーザシステムは、部分が、以下のコンポーネント、すなわち、ビーム望遠鏡、第1の汎用アキシコン、光学アセンブリ、クリッピングアパーチャ、及び第2の汎用アキシコン、のうち少なくともいくつか又は全てを含むことによって、更に向上する。列挙した部分の各々は、ビーム整形プロセスの重要部分を提供する。ビーム望遠鏡は、レーザビームの直径を規定する。第1及び第2の汎用アキシコンは、環状強度プロファイルを提供する。クリッピングアパーチャは、レーザビームの外側エッジの空間位置を提供する。光学アセンブリは、クリッピングアパーチャ及び第2のアキシコンの双方を含む。部分を反応チャンバの外側に配置すると、反応雰囲気との相互作用が回避される上述の利点に加えて、例えば調整及び/又は交換のためこれらの部分に容易にアクセスすることが可能となる。
【0048】
更に、本発明に係るレーザシステムは、フォーカス要素が反応チャンバのチャンバウィンドウの外側に配置されることを特徴とすることができる。フォーカス要素はレーザビームの経路に沿ったビーム整形システムの最後の要素を形成するので、本発明に係るレーザシステムのこの好適な実施形態では、ビーム整形システム全体が完全に反応チャンバのチャンバウィンドウの外側に配置される。従って、ビーム整形システムの全ての部分で、ビーム整形システムと反応チャンバ内の反応雰囲気との相互作用を回避することができる。更に、ビーム整形システムの全てのコンポーネントに対する容易なアクセスを提供できる。
【0049】
好ましくは、本発明に係るレーザシステムは、第2のアキシコン及びフォーカス要素を自由形式のレンズ又は自由形式のミラーに一体化することによって更に向上させることができる。ビーム整形システムのこれら2つの部分を単一の光学要素に一体化することで、ビーム整形システムの光学要素の数を減らすことができる。結果として、ビーム整形システムの設置スペースの要件及び全体的な複雑さを軽減できる。
【0050】
更に、本発明に係るレーザシステムの好適な実施形態では、自由形式のミラーはアクティブに調整可能な焦点距離を有する適応ミラーである。上述のように、自由形式のミラーは、第2のアキシコン及びフォーカス要素の双方の機能をそれぞれ提供する。アクティブに調整可能な焦点距離はフォーカス要素に割り当てられた機能であり、これによってビーム整形システムは、反応チャンバ内で加熱されるターゲットに対して少なくとも2つの作動距離、又はいくつかの作動距離、又は一連の様々な作動距離に適合させることができる。更に、焦点距離を調整することによって、加熱されるターゲットの照明も調整できる。
【0051】
あるいは、本発明に係るレーザシステムは、フォーカス要素がチャンバウィンドウの後の反応チャンバ内に配置されていることを特徴とすることができる。レーザビームのエネルギ密度はレーザビームの断面のエリアに結合されるので、当然、レーザビームの直径が大きくなると低くなる。従って、特に高い加熱パワーでは、チャンバウィンドウ内へのエネルギ堆積を最小限に抑えるため、チャンバウィンドウを通過する際にできる限り大きい直径のレーザビームを提供することが有利であり得る。フォーカス要素はレーザビームをターゲット表面上に集束させ、これによって必然的にレーザビームの直径を縮小させるので、フォーカス要素を反応チャンバ内に配置することにより、前述のようなチャンバウィンドウの照明エリアの最大化を達成できる。好ましくは、第2のアキシコンまでのビーム整形システムの他の全ての部分は、反応雰囲気の維持とビーム整形システムの要素のアクセス可能性という前述の利点を与えるため、反応チャンバのチャンバウィンドウの外側に配置される。
【0052】
本発明に係るレーザシステムの別の好適な実施形態において、ビーム望遠鏡は、レーザビームの直径を連続的に調整するための光学要素を備える。上述のように、ビーム望遠鏡が調整するビーム直径は、基本的に、アキシコンのペア及びクリッピングアパーチャによって提供される環状強度プロファイルの特性を規定する。特に、固定の第1のアキシコン、第2のアキシコン、及びクリッピングアパーチャを備えるビーム整形システムの実施形態では、ビーム望遠鏡は単独で、提供される強度プロファイルの特性に対して可能な調整を規定する。レーザビームのビーム直径を連続的に調整するための光学要素を実施することで、これにより提供される環状強度プロファイルの特性の調整も連続的に行うことができる。このため、本発明に係るレーザシステムのビーム整形システムによって与えられる強度プロファイルを、実際の加熱の必要性に合わせて基本的に良好に適合することが可能となる。
【0053】
更に、本発明に係るレーザシステムは、ビーム望遠鏡の光学要素が、レーザビームの経路に沿って、整合されたフォーカス光学要素とデフォーカス(defocusing)光学要素のペアを備えることを含み得る。
【0054】
言い換えると、ビーム望遠鏡内で最初にレーザビームが集束され、これにより、フォーカス光学要素の後ではレーザビームの直径が小さくなる。これに続いて配置されたデフォーカス要素は、この収束レーザビームを受け、基本的に平行なレーザビームに戻す。このため、フォーカス光学要素によって与えられるレーザビームの集束、デフォーカス要素によって与えられるレーザビームのデフォーカス、及びそれらの相対的な位置が、これらの光学要素の特性を相互に補償し合うように選択されるという意味で、フォーカス光学要素とデフォーカス光学要素は、整合されたペアを形成する。要約すると、ビーム望遠鏡のデフォーカス光学要素の後、直径が縮小した平行レーザビームを提供することができる。
【0055】
更に、フォーカス光学要素とデフォーカス光学要素との距離は、フォーカス光学要素の焦点位置がこの距離の外側になるように選択することが好ましい。これにより、レーザ強度が最高値に達し、従って発生し得る危険源に達する焦点ボリューム(focal volume)を回避することができる。
【0056】
あるいは、本発明に係るレーザシステムは、ビーム望遠鏡の光学要素が、レーザビームの経路に沿って、整合されたデフォーカス光学要素とフォーカス光学要素のペアを備えることを含み得る。
【0057】
言い換えると、ビーム望遠鏡内で最初にレーザビームがデフォーカスされ、これにより、デフォーカス光学要素の後ではレーザビームの直径が大きくなる。これに続いて配置されたフォーカス要素は、この発散レーザビームを受け、基本的に平行なレーザビームに戻す。このため、デフォーカス光学要素によって与えられるレーザビームのデフォーカス、フォーカス要素によって与えられるレーザビームの集束、及びそれらの相対的な位置が、これらの光学要素の特性を相互に補償し合うように選択されるという意味で、デフォーカス光学要素とフォーカス光学要素は、整合されたペアを形成する。要約すると、ビーム望遠鏡のフォーカス光学要素の後、直径が拡大した平行レーザビームを提供することができる。
【0058】
本発明に係るレーザシステムは、光学要素のペアが、レーザビームの経路に沿ってそれぞれの位置を含むと共に、少なくとも基本的に同一な、好ましくは完全に同一な各焦点位置を与えるためそれぞれの焦点距離を含むように整合されていることによって、更に向上させることができる。
【0059】
言い換えると、フォーカス要素及びデフォーカス光学要素の焦点の各位置は、それぞれ、相互に重なり合うか、又は少なくとも相互にすぐ近くに配置されている。2つの光学要素の順序とは無関係に、各焦点の位置のこの整合によって、光学要素のフォーカス及びデフォーカス特徴が整合されて相互に補償し合う。これにより、レーザビーム直径の調整中にレーザビームの平行な位置合わせを維持することが特に容易に保証され得る。
【0060】
好ましくは、本発明に係るレーザシステムは、レーザビームの経路に沿った光学要素の各焦点距離を連続的に調整できることによって、更に向上させることができる。
【0061】
上述のように、各焦点の位置が少なくとも基本的に同一であり、好ましくは完全に同一であるように、光学要素の各焦点距離は整合されている。これらの焦点距離を連続的に調整することによって、同時に、調整中のそれらの整合を維持することによって、整合された光学要素ペアの第2の光学要素におけるレーザビーム直径の大きさも連続的に調整できる。従って、各焦点距離を連続的に調整することにより、第2の光学要素後の、従ってビーム望遠鏡後の平行レーザビーム直径の連続的な調整を行うことができる。上述のように、この結果、本発明に係るレーザシステムのビーム整形システムによって与えられるレーザビームの環状強度プロファイルが連続的に変動する。
【0062】
特に、本発明に係るレーザシステムは、ビーム望遠鏡の光学要素が、整合された少なくとも基本的に球形のレンズのペアであり、特に、整合された少なくとも基本的に球形の適応レンズのペアであることによって、向上させることができる。
【0063】
上述のように、本発明に係る整合ペアは、2つの光学要素、従って2つの少なくとも基本的に球形のレンズの焦点位置が、少なくとも基本的に同一である、好ましくは完全に同一であることを特徴とすることができる。
【0064】
本発明に係る少なくとも基本的に球形のレンズとは、レンズ面を球形の一部によって近似できることを意味する。
【0065】
従って、第2のレンズが衝突集束レーザビームを再びデフォーカス又は集束するのと同様に、第1のレンズは衝突平行レーザビームを集束又はデフォーカスする。2つのレンズの焦点距離は整合されているので、この結果、第2の少なくとも基本的に球形のレンズの後に再び平行レーザビームが得られるが、実施形態に応じてその直径は縮小又は拡大している。
【0066】
2つのレンズは少なくとも基本的に球形であるので、各レンズの集束及びデフォーカスのそれぞれの特性は双方とも各レンズの球形部分全体にわたって一定である。従って、少なくとも基本的に球形のレンズの双方で、各レンズ上でのレーザの直径が各レンズの直径よりも小さいままである限り、第1のレンズに衝突するレーザビームの平行調整はビーム望遠鏡によって維持される。適応レンズを提供することにより、特に2つのレンズの相対的な位置を変更することなく、レンズの焦点距離のアクティブな調整を行うことができ、従って、レーザビームの直径を容易に変更すると共にアクティブに調整することができる。
【0067】
代替的な実施形態において、本発明に係るレーザシステムは、ビーム望遠鏡の光学要素が整合されたミラーのペアであり、特に、整合された適応ミラーのペアであることを含む。言い換えると、この代替的な実施形態では、整合された少なくとも基本的に球形のレンズのペアは、整合されたミラーのペアで置き換えられている。
【0068】
また、整合されたレンズのペアによって提供されたレーザビームに実行できる直径調整について上述した全ての特徴は、整合されたミラーのペアによっても提供できる。本発明に係るレーザシステムの実施形態では、ミラーの一方はレーザビームの集束を行い、他方のミラーはレーザビームのデフォーカスを行うが、レーザビームの経路に沿った2つのミラーに可能な双方の順序を実施することができる。
【0069】
好ましくは、ミラーは適応ミラーである。適応ミラーは、形状をアクティブに調整することができる反射面を含む。これにより、例えば、各適応ミラーの焦点距離をアクティブに調整できる。特に、第1の適応ミラーの焦点距離は、第2の適応ミラーに衝突するレーザビームのスポットの大きさを規定する。上述のように、第1の適応ミラーがフォーカス適応ミラーであると共に第2の適応ミラーがデフォーカス適応ミラーであるか、又はその逆とすることができる。
【0070】
ミラー、従ってそれらの各焦点距離は整合されているので、第2のミラーは衝突レーザビームを平行レーザビームに戻す。
【0071】
整合されたレンズのペアに関して上述したのと同様に、「整合された」という表現は、好ましくは適応型であるミラーのペアに関して、各ミラーの焦点位置が少なくとも基本的に同一である、好ましくは完全に同一であることを意味する。従って、現在の値とは無関係に焦点距離が整合される整合ミラーのペアを提供することにより、整合されたレンズのペアに関して上述したのと同様に、特に2つのミラーの相対的な位置を変更することなく、調整可能な直径を有する平行レーザビームを提供できる。別の実施形態において、本発明に係るレーザシステムは、ビーム整形システムがレーザビームの大まかな伝搬方向を変化させるための偏向要素を備えることを含み得る。偏向要素は、レーザビームの経路に沿って光学アセンブリの後のどこかに配置されている。
【0072】
光学アセンブリの後、特に第2のアキシコン及びクリッピングアパーチャの後、ビーム整形システムにおけるレーザビームのビーム整形は基本的に完了している。このため、光学アセンブリ後のどこかに偏向要素を配置することで、本発明に係るレーザシステムのビーム整形システムによって提供された環状強度プロファイルをすでに含むレーザビームの大まかな伝搬方向を変化させることができる。レーザビームの大まかな伝搬方向を変化させると、ビーム整形システムのレーザビームは、反応チャンバ内で必要とされるものとは異なる大まかな伝搬方向を含む可能性がある。従って、利用可能な構築スペースをいっそう効率的に用いることができる。更に、本発明に係るレーザシステムのセットアップの空間的要件を軽減することが可能となる。
【0073】
更に、本発明に係るレーザシステムは、偏向要素が、レーザビームの経路に沿ってチャンバウィンドウの前に配置されたビーム整形システムの最後の要素であることによって、向上させることができる。従って、偏向要素は反応チャンバのチャンバウィンドウの外側に配置されている。言い換えると、偏向要素は、反応チャンバの外側にあるビーム整形システムの最後の光学要素を形成する。
【0074】
レーザビームの経路に沿って偏向要素の前に配置されたビーム整形システムの全ての要素は容易にアクセス可能であり、すでに列挙した全ての利点を備えている。
【0075】
更に、偏向要素は好ましくはフォーカス要素の後に配置することができる。偏向要素はビーム整形システムの最後の要素を形成するので、レーザシステムのこの好適な実施形態では、ビーム整形システムは完全に反応チャンバの外側に配置されている。
【0076】
これにより、ビーム整形システムの全ての要素は容易にアクセス可能であり、ビーム整形システムにおける調整及び/又は保守の作業を円滑に進めることができる。
【0077】
好ましくは、本発明に係るレーザシステムは、偏向要素が分布ブラッグ反射器であることを含む。分布ブラッグ反射器は、特定の波長に対する優れた反射率を含む。分布ブラッグ反射器をレーザビームの波長に整合することによって、偏向要素に衝突するレーザビームの基本的に完全な反射を達成することができ、強度損失を回避するか又は少なくとも最小限に抑えることができる。
【0078】
本発明に係るレーザシステムの更に向上した実施形態において、レーザシステムは、レーザビームの偏向中に偏向要素内に堆積されたエネルギ量及び/又は偏向要素を透過した光量を測定するためのセンサ要素を備える。偏向要素内に堆積されたエネルギ量及び偏向要素を透過した光量は双方とも、偏向要素によって実際に反射されたレーザ光量に比例する。従って、偏向要素内に堆積されたエネルギ量及び/又は偏向要素を透過した光量を測定することにより、反射レーザビームの強度に関する、従ってターゲットに衝突するレーザ光の強度に関する情報を提供できる。特に、この測定は、本発明に係るレーザシステムによって行われるターゲットの加熱の閉ループ制御に使用することができる。
【0079】
好ましくは、本発明に係るレーザシステムは、センサ要素が、レーザビームの偏向中に偏向要素内に堆積されたエネルギ量及び/又は偏向要素を透過した光量を偏向要素の2つ以上の位置で測定するための位置敏感型センサ要素であることによって向上させることができる。
【0080】
本発明に係るレーザシステムはターゲットを加熱するためのレーザビームを提供し、特に、レーザビームは環状強度プロファイルを含む。この非均一強度プロファイルは、第2の汎用アキシコンの後に、従って偏向要素において、すでに存在している。
【0081】
位置敏感型センサ要素を用いることにより、強度プロファイルの非均一形状を少なくとも部分的に調べることができる。好ましくは、センサ要素は、少なくとも強度プロファイルの中央とエッジを区別するために充分な粒度と解像度の位置感度を含み、又は、環状プロファイルの半径と幅のような別の空間的細部を分解するために好適な、又は、特に回転対称の強度分布において強度プロファイルの決定的領域を測定するために充分な、粒度と解像度の位置感度を含む。
【0082】
また、本発明に係るレーザシステムは、センサ要素が、ターゲットの表面が発する熱放射を測定するため、衝突レーザビームに対して偏向要素の向こう側でターゲットを指し示すレーザビームの光軸に対して軸上に配置されていることを特徴とすることができる。
【0083】
言い換えると、これらのセンサ要素は、ターゲットの表面の温度を直接測定するために位置決めされ、使用可能となる。好ましくは、センサは、時間的及び/又は空間的な温度変動も測定するために使用可能となる。センサ要素は、ターゲットの局所的な又は平均的な表面温度を測定及び制御するように機能する。好ましくは、これらのセンサ要素は、光学高温測定のような非接触方法によって温度を測定する。
【0084】
センサは、加熱レーザビームの軸上で照射表面の温度を測定する。本発明によれば、これは、好ましくは分布ブラッグ反射器として提供される偏向要素の向こう側にセンサを配置することにより実行できる。これは更に、好ましくは、真空チャンバの外側の最後の光学要素である分布ブラッグ反射器が、レーザ波長で高い反射率を有することに加えて、加熱レーザ波長とは別の異なる波長範囲で高い透過率を有するように分布ブラッグ反射器を調整することで実行され得る。特に、この高い透過率は、ターゲットの表面が発する熱放射に予想される波長範囲内で選択される。
【0085】
例えば、約10μm波長のCOレーザを用いる場合、この好適な波長範囲が位置付けられる波長は、これより小さい波長であるが、加熱された材料のエミッタンスが大きいままであるように充分な大きさである。また、この波長範囲は、例えばZnSe等、レーザ入射ウィンドウ及び分布ブラッグミラーキャリア材料の高透過率の範囲内に収まる必要がある。10μm加熱レーザの場合、そのような好適波長範囲は典型的に7~9μmであり得る。
【0086】
本発明の別の実施形態によれば、レーザシステムは、フォーカス要素の焦点距離が、クリッピングアパーチャ開口がターゲットの表面の外周縁及び/又はエッジ及び/又はコーナ上に投影されるようなものであることを含み得る。言い換えると、反応チャンバ内のターゲット位置におけるレーザビームの大きさは、本発明に係るレーザシステムで加熱されるターゲット表面の大きさに整合されている。上述のように、ターゲットの周縁、エッジ、及び/又はコーナでは、加熱中に大きい放射損失が発生する。他方で、レーザビームの環状強度はレーザビームの外側エッジで最も高く、レーザビームのこの外側エッジはクリッピングアパーチャのクリッピングアパーチャ開口によって規定される。クリッピングアパーチャ開口をターゲット表面の外周縁及び/又はエッジ及び/又はコーナ上に投影することで、環状強度プロファイルが与えられたレーザビームの非均一強度による大きい放射損失の補償を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、保証することができる。
【0087】
更に、本発明に係るレーザシステムは、フォーカス要素が、チャンバウィンドウとターゲットとの間で反応チャンバ内に位置付けられた点状焦点ボリューム上にレーザビームを集束することを特徴とすることができる。点状焦点ボリュームは、レーザビームの最も小さい広がり(extent)を表し、従って最も高いエネルギ密度を表す。この焦点ボリュームをチャンバウィンドウとターゲットとの間に提供することで、焦点ボリュームの後にレーザビームが発散し、従って焦点ボリュームに対する距離の増大と共にエネルギ密度が低減することが自動的に保証される。偶発的にレーザビームがターゲットに当たらない場合、この発散により、反応チャンバのチャンバ壁に衝突する時のエネルギ密度が低いので、損害を全く引き起こさないか又は少なくとも重大な損害を引き起こさないことが保証される。
【0088】
更に、本発明に係るレーザシステムは、遮蔽アパーチャ開口を有する遮蔽アパーチャを備え、遮蔽アパーチャは、遮蔽アパーチャ開口が焦点ボリュームに位置するように配置されていることにより、向上させることができる。特に、本発明に係るレーザシステムを用いてターゲットの材料を蒸発及び/又は昇華させる蒸発システムでは、この蒸発及び/又は昇華した材料の一部はチャンバウィンドウへ向かう方向に移動する。遮蔽アパーチャ開口が焦点ボリュームの周囲にあるように遮蔽アパーチャを配置することで、衝突レーザビームにより蒸発及び/又は昇華したターゲット材料の堆積に対してチャンバウィンドウを最適に遮蔽することができる。これにより、チャンバウィンドウの保守間隔を延ばすことができる。
【0089】
本発明の第3の態様によれば、上記の目的は、反応チャンバ内に配置されたターゲットと、ターゲットの表面を加熱するための少なくとも1つのレーザシステムと、を備える蒸発システムによって達成される。本発明に係る蒸発システムは、この蒸発システムが、少なくとも1つのレーザシステムを動作させるための本発明の第1の態様に係る方法を適用するように適合された制御システムを備えること、及び/又は、少なくとも1つのレーザシステムが本発明の第2の態様に従って構築されていること、を特徴とする。
【0090】
本発明に係る蒸発システムは、少なくとも1つのレーザシステムを動作させるための本発明の第1の態様に係る方法を適用するように適合された制御システムを備えることができる。従って、本発明の第1の態様に係る方法に関して上述した全ての特徴及び利点は、本発明の第1の態様に係る方法を実行する本発明の第3の態様に係る蒸発システムによっても提供することができる。
【0091】
代替的に又は追加的に、本発明に係る蒸発システムは、本発明の第2の態様に係るレーザシステムを備えることができる。従って、本発明の第2の態様に係るレーザシステムに関して上述した全ての特徴及び利点は、本発明の第2の態様に係るレーザシステムを備える本発明の第3の態様に係る蒸発システムによっても提供することができる。
【0092】
更に、本発明に係る蒸発システムは、蒸発システムの動作中に蒸発及び/又は昇華される材料を含むターゲットを含み得る。言い換えると、本発明の第1の態様に係る方法及び/又は本発明の第2の態様に係るレーザシステムは、ターゲットの材料を蒸発及び/又は昇華させるための本発明の第3の態様に係る蒸発システムにおいて用いることができる。本発明の第1の態様に係る方法及び/又は本発明の第2の態様に係るレーザシステム及び、特に、環状強度プロファイルが提供されたレーザビームを用いることによって、ターゲット材料の、特にターゲット表面の周縁及び/又はエッジ及び/又はコーナの近くの、特に均一な蒸発及び/又は昇華を達成できる。
【0093】
追加的に又は代替的に、本発明に係る蒸発システムは、ターゲットが、蒸発システムの動作中にコーティングされる材料を含むことを含み得る。言い換えると、本発明の第1の態様に係る方法及び/又は本発明の第2の態様に係るレーザシステムは、蒸発及び/又は昇華した材料を上に堆積しなければならないターゲットを加熱するための蒸発システムにおいても使用できる。本発明の第1の態様に係る方法及び/又は本発明の第2の態様に係るレーザシステムを用いることによって、ターゲット材料の、特にターゲット表面の周縁及び/又はエッジ及び/又はコーナの近くの、特に均一な温度を達成することができ、この結果、堆積される材料のための特に均一な堆積環境が得られる。要約すると、これは、ターゲット表面の特に均一なコーティングを生じる。
【0094】
蒸発させるターゲット材料及びコーティングされるターゲット材料の双方を加熱するために本発明の第2の態様に係るレーザシステムを用いる際、ほとんどの場合で、好ましくは、本発明の第2の態様に係るレーザシステムの2つの別個の実体(entity)が用いられることに留意されたい。
【0095】
以下で、添付図面に示されている例示の実施形態を参照して、本発明を更に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】技術水準に従ったレーザシステムである。
図2】本発明に係る蒸発システムである。
図3】本発明に係るレーザシステムによって提供可能な強度プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図2は、本発明に係るレーザシステム10を備える本発明に係る蒸発システム60を示す。蒸発システム60は更に、ターゲット66が配置されている反応チャンバ62を備える。ターゲット66の表面68は、以下で記載されるレーザシステム10によって加熱される。レーザシステム10によるターゲット66の加熱は、ターゲット66の蒸発又はコーティングのために用いることができる。レーザ光源20によって提供されるレーザビーム22は、好ましくは回転対称である。更に、強度プロファイル24の回転対称性は維持されるか、あるいは、本発明に係るレーザシステム10のビーム整形システム30によって初めて実際に提供されることが好ましい。
【0098】
蒸発システム60は、本発明に係る方法を実行することができる。特に、蒸発システム60は、本発明に係る方法の各ステップを実行するか又は少なくとも実行を制御するための制御システム76を備える。以下では、蒸発システム60及びレーザシステム10のそれぞれの記載と共に、本発明に係る方法を記載する。
【0099】
レーザシステム10の主要部分はビーム整形システム30である。このビーム整形システム30の主要部分は、ビーム望遠鏡32、第1の汎用アキシコン40、及び、第2の汎用アキシコン44とクリッピングアパーチャ46とを含む光学アセンブリ42である。本発明に係るレーザシステム10の図示されている実施形態では、クリッピングアパーチャ46はレーザビーム22の経路に沿って第2のアキシコン44の前に配置されている。言い換えると、クリッピングアパーチャ46は2つのアキシコン40、44の間に置かれている。代替的な実施形態では、クリッピングアパーチャ46を第2のアキシコン44の後に配置することも可能である(図示せず)。
【0100】
ビーム整形システム30の他の要素は、フォーカス要素52及び追加の偏向要素50である。レーザシステム10の図示されている実施形態は、偏向要素50におけるレーザビーム22の大まかな伝搬方向28の偏向に沿っているので、図では伝搬方向28の変化は見えない。
【0101】
図示されている実施形態では、整形要素32、40、42、44、46、52は別個の実体として図示されている。本発明のレーザシステム10の別の実施形態によれば、ビーム整形システム30の少なくとも2つの連続して配置された整形要素32、40、42、44、46、52は、任意の適切な順序で、複合整形要素32、40、44、46、52に一体化することができる。
【0102】
レーザシステム10のレーザ光源20は、強度プロファイル24を有する少なくとも基本的に平行なレーザビーム22を提供する。強度プロファイル24は、多くの場合、ビーム整形システム30のビーム望遠鏡32の第1の光学要素34であるフォーカスレンズ36の隣に示されたガウス分布の形態を有する。あるいは、シルクハット強度プロファイル24(図示せず)等、少なくとも基本的に均一な強度プロファイル24も可能である。
【0103】
レーザビーム22を変更しない場合、通常はガウス分布であるこの強度プロファイル24によって、ターゲット66の表面68の非均一温度プロファイルが生じる。特に、ターゲット66の表面68の温度は、ターゲット66の表面68の外周縁70及び/又はエッジ及び/又はコーナに近付くにつれて低下する。温度プロファイルは、本発明に係る方法のステップa)で温度情報として決定される。これは例えば、温度センサ78が行う直接温度測定によって、及び/又は、以下で説明するように適切なセンサ要素54が強度プロファイル24を測定することによって間接的に行われる。蒸発システム60の制御システム76により、各測定の分析と実際の温度情報決定を行うことができる。
【0104】
決定された温度情報は、引き続き、本発明に係る方法の次のステップb)で用いられて、適合強度プロファイル24を決定する。このステップb)は、好ましくは蒸発システム10の制御システム76によって実行することができる。新たに決定される強度プロファイル24は、上述の温度プロファイルを補償するように、また、適合強度プロファイル24を有するレーザビーム22で照射された場合にターゲット66の表面68の均一な温度が得られるように、選択される。特に、ステップa)及びb)の繰り返しにより、閉ループ制御が可能となる。
【0105】
以下で、本発明に係る方法のステップc)に従ってビーム整形システム30が行う強度プロファイル24の実際の整形について記載する。
【0106】
図示されている実施形態における上述のビーム望遠鏡32は、整合された光学要素34のペアによって、特に、フォーカスレンズ36とデフォーカスレンズ38によって形成されている。レンズ36、38は、レンズ36、38の各焦点が同一であるか又は少なくとも基本的に同一であるように整合された焦点距離を備える。従って、フォーカスレンズ36によってデフォーカスレンズ38上に集束された平行レーザビーム22は、デフォーカスレンズ38によって平行レーザビーム22に戻される。
【0107】
本発明に係るレーザシステム10の図示されている実施形態はビーム望遠鏡32を備え、レーザビーム22の経路に沿った第1の光学要素34はフォーカス光学要素34すなわちフォーカスレンズ36であり、第2の光学要素34はデフォーカス光学要素34すなわちデフォーカスレンズ38であることに留意されたい。この配置の結果として、レーザビーム22の直径80は縮小する。ビーム望遠鏡20の代替的な実施形態では、光学要素34の順序を逆にすることにより、レーザビーム22の直径80を拡大することができる。
【0108】
特に、レンズ36、38の各焦点距離の上述した整合が維持されるならば、前述したようにレーザビーム22を平行な位置合わせに再び変換することは、2つのレンズ36、38の距離82とは独立して達成することができる。言い換えると、デフォーカスレンズ38の後に得られる平行レーザビーム22の直径80は、2つのレンズ36、38の実際の焦点距離に応じて変化する。
【0109】
従って、2つのレンズ36、38の整合された焦点距離を連続的に調整することにより、レーザビーム22の直径80の連続的な変動を達成できる。このレーザビーム22の直径80の変化も、図2の左側でデフォーカスレンズ38の隣に示されている。
【0110】
上述した整合レンズ36、38のペアの代わりに、好ましくは整合された適応ミラーのペア、すなわちフォーカスミラーとデフォーカスミラー(双方とも図示せず)を、ビーム望遠鏡32の光学要素34として用いることも可能である。整合された適応ミラーは、可変の焦点距離、好ましくは連続的に可変の焦点距離を含み、また、連続的に調整可能な直径80を有する平行レーザビーム22を提供することができる。レーザビーム22の拡大又は縮小した直径80を与えるため、レーザビーム22の経路に沿った2つのミラーの順序を上述のように選択することができる。適応ミラーを提供することにより、各ビーム望遠鏡20が与えるレーザビーム22の実際の直径80をアクティブに調整することが可能となる。
【0111】
レーザビーム22の経路に沿って、第1の汎用アキシコン40が続く。第1の汎用アキシコン40は、平行レーザビーム22をデフォーカスし、更に、レーザビーム22の通常は少なくとも基本的にガウス分布である強度プロファイル24を、第1の汎用アキシコン40の後、図2の左側に示されている環状強度プロファイル24に変換する。
【0112】
図示されている実施形態では、第1の汎用アキシコン40の後、クリッピングアパーチャ46及び第2の汎用アキシコン44を含む光学アセンブリ42が配置されている。レーザシステム10の図示されている実施形態では、第1のアキシコン40の後にクリッピングアパーチャ開口48を有するクリッピングアパーチャ46が配置されている。このクリッピングアパーチャ46は、レーザビーム22の環状強度プロファイル24の外側部分を切り取り、これによって強度プロファイル24の外側エッジの形状を規定する。あるいは、クリッピングアパーチャ46を第2のアキシコン44の後に配置することも可能である(図示せず)。
【0113】
クリッピングアパーチャ46の後、レーザビーム22の経路に沿って第2のアキシコン44が配置されている。2つのアキシコン40、44は焦点距離に関して整合されているので、第1のアキシコンの40に衝突する平行レーザビーム22は、第2のアキシコン44の後に再び平行レーザビーム22として提供される。しかしながら、図2の左側に再び示されているように、第2のアキシコン44の後に環状強度プロファイル24は維持されたままである。第1のアキシコン40及びその後の第2のアキシコン44は、好ましくは、厳密なアキシコンすなわち円錐レンズとして提供することができる。
【0114】
基本的に、光学アセンブリ42の後、従って第2のアキシコン44及びクリッピングアパーチャ46の後(これらの整形要素44、46の順序とは無関係に)、強度プロファイル24の整形、従って本発明に係る方法のステップc)に係るビーム整形プロセスは完了する。以下で、本発明に係る方法のステップd)、従って、ターゲット66の表面68を加熱するための適合強度プロファイル24を有するレーザビーム22の提供について記載する。
【0115】
最後から2番目の要素として、ビーム整形システム30は、ターゲット66の表面68上にレーザビーム22を集束するためのフォーカス要素52を備える。特に、フォーカス要素52の焦点距離は、クリッピングアパーチャ開口48がターゲット66の表面68の周縁70上に投影されるように選択される。これにより、高エネルギ密度を含む環状強度プロファイル24の外側部分が、図1を参照して上述したように大きい放射損失が発生するターゲット66の表面68の周縁70に衝突することが確実となる。従って、本発明に係るレーザシステム10により、この大きい放射損失を補償することが可能となる。
【0116】
好ましくは、図示されている実施形態で示すように、フォーカス要素52はレーザビーム22を、チャンバウィンドウ64とターゲット66との間の点状焦点ボリューム26上に集束することができる。これにより、焦点ボリューム26に遮蔽アパーチャ開口74が位置するように遮蔽アパーチャ72を配置することで、衝突レーザビーム22によってターゲット66から蒸発した材料からチャンバウィンドウ64を効果的に遮蔽することができる。
【0117】
上述のように、偏向要素50は、反応チャンバ62のチャンバウィンドウ64の前のビーム整形システム30の最後の要素として配置されている。言い換えると、この好適な実施形態では、ビーム整形システム30は完全に反応チャンバ62の外側に配置されており、反応チャンバ62を開くことなくビーム整形システム30の各要素にアクセス可能である。他の実施形態(図示せず)では、ビーム整形システム30のいくつかの部分を反応チャンバ62内に配置することも可能である。
【0118】
本発明に係るレーザシステム10の図示されている実施形態では、偏向要素50は、好ましくは位置敏感型のセンサ要素54によって検知される。この位置敏感型センサ要素54は、レーザビーム22の偏向中に偏向要素50内に堆積されたエネルギ及び/又は偏向要素50を透過した光を測定できる。この結果、特に上述の閉ループ制御で、レーザビーム22の環状強度プロファイル24を監視することができる。
【0119】
更に、偏向要素50は分布ブラッグ反射器として提供することができる。このような分布ブラッグ反射器は、衝突レーザビーム22の高反射、好ましくは少なくとも基本的に完全な反射を可能とするが、例えばターゲット66の加熱された表面68から発する熱放射のような異なる波長の光は分布ブラッグ反射器を通過できるように、選択することができる。この場合、位置敏感型センサ要素54は好ましくは、ターゲット66を指し示す光軸に対して軸上に配置され、ターゲット66の表面68が発する熱放射に対して敏感に提供され得る。従って、ターゲット66の表面68の温度分布及び/又はその空間的及び/又は時間的な変動の直接測定を行うことができる。結果として、上述の閉ループ制御を更に向上させることができる。
【0120】
図3に、本発明に係るレーザシステム10が提供する2つの強度プロファイル24が示されている。上の像はシルクハット強度プロファイル24を示し、下の像は環状強度プロファイル24を示す。図2を参照して上述した通り、ビーム整形システム30は強度プロファイル24を連続的に調整することができる。これは、図3の両矢印で、ビーム整形システム30のビーム望遠鏡32を参照し、特に、整合されたフォーカスレンズ36及びデフォーカスレンズ38のペアの可変焦点距離を参照して示されている。これにより強度プロファイル24は、ビーム整形システム30によって、シルクハット強度プロファイル24から、所望の手法でターゲット66を加熱するのに適した環状強度プロファイル24へ、アクティブに調整及び変動させることができる。
【符号の説明】
【0121】
10 レーザシステム
20 レーザ光源
22 レーザビーム
24 強度プロファイル
26 焦点ボリューム
28 伝搬方向
30 ビーム整形システム
32 ビーム望遠鏡
34 光学要素
36 フォーカスレンズ
38 デフォーカスレンズ
40 第1の汎用アキシコン
42 光学アセンブリ
44 第2の汎用アキシコン
46 クリッピングアパーチャ
48 クリッピングアパーチャ開口
50 偏向要素
52 フォーカス要素
54 センサ要素
60 蒸発システム
62 反応チャンバ
64 チャンバウィンドウ
66 ターゲット
68 表面
70 周縁
72 遮蔽アパーチャ
74 遮蔽アパーチャ開口
76 制御システム
78 温度センサ
80 直径
82 距離
90 偏差(左)
92 偏差(右)
図1
図2
図3
【国際調査報告】