(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】デュアルモータ駆動系アセンブリ及び車両
(51)【国際特許分類】
F16H 1/06 20060101AFI20240207BHJP
F16H 48/34 20120101ALI20240207BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20240207BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
F16H1/06
F16H48/34
B60T1/06 G
F16D63/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545186
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 CN2021098931
(87)【国際公開番号】W WO2022160551
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】202110138813.7
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ジャンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、 ピン
【テーマコード(参考)】
3J009
3J027
3J058
【Fターム(参考)】
3J009EA11
3J009EA21
3J009EA32
3J009EA38
3J009EA42
3J009FA07
3J027FB01
3J027HB16
3J027HC26
3J027HE03
3J027HF02
3J027HF41
3J027HG07
3J058AB21
3J058BA01
(57)【要約】
デュアルモータ駆動系アセンブリは、同軸に配置された第一モータ及び第二モータと、第一ギア伝動部と、第二ギア伝動部と、いくつかのアイドラー対(42、52)とを含み、第一ギア伝動部が第一モータによって駆動され、第二ギア伝動部が第二モータによって駆動され、各アイドラー対(42、52)は、第一ギア伝動部及び第二ギア伝動部にそれぞれ設けられ、第一モータの出力軸(15)と第一ギア伝動部の末端軸との間の距離(a)を増大させるために使用される。また、車両も開示されている。アイドラーが追加されたため、アイドラーの大きさを調整することで、アセンブリ内の入力軸と出力軸との中心間距離をより柔軟に調整し、大きな中心間距離の設計を実現して、この大きな中心間距離による構造空間を十分に活用して他の部品を取り付けることができ、それに、異なるお客様の空間配置要求及び性能要求に応じて調整することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルモータ駆動系アセンブリであって、同軸に配置された第一モータ及び第二モータと、第一ギア伝動部と、第二ギア伝動部と、いくつかのアイドラー対とを含み、前記第一ギア伝動部が前記第一モータによって駆動され、前記第二ギア伝動部が前記第二モータによって駆動され、各前記アイドラー対は、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部にそれぞれ設けられ、前記第一モータの出力軸と前記第一ギア伝動部の末端軸との間の距離を増大させるために使用される、ことを特徴とするデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項2】
前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部はいずれも二段ギア伝動であり、前記第一ギア伝動部と前記第二ギア伝動部とにおける各対応する段のギアが同一軸線上に設けられており、各前記アイドラー対が1段目ギア対の間及び/又は2段目ギア対の間にそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項3】
前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部はそれぞれ、1段目小ギアと、1段目大ギアと、2段目小ギアと、2段目大ギアとを含み、前記アイドラー対は、その数が一対であり、かつ前記1段目小ギアと前記1段目大ギアとの間に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項4】
前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、デフロック機構をさらに含み、前記デフロック機構が、前記第一モータの出力軸と前記第二モータの出力軸との間、又は、前記アイドラー対の両軸の間、又は、各段のギア軸の間に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項5】
前記デフロック機構は、可動ギアプレート組立体と、固定ギアプレート組立体と、固定電磁コイルと、リターンスプリングとを含み、前記可動ギアプレート組立体が、スプラインを介して一側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸と摺動連結されており、前記固定ギアプレート組立体が、スプラインを介して他側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸と固定連結されており、前記固定電磁コイルが、前記可動ギアプレート組立体の近傍のケースに固設されており、前記可動ギアプレート組立体と、前記可動ギアプレート組立体側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸との間には、前記リターンスプリングが設けられている、ことを特徴とする請求項4に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項6】
前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、パーキング機構をさらに含み、前記パーキング機構が、パーキングギアと、パーキングポールと、パーキングアクチュエータとを含み、前記パーキングギアが前記固定ギアプレート組立体の固定ギアプレートに統合されている、ことを特徴とする請求項5に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項7】
前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、サイクロイドポンプをさらに含み、前記サイクロイドポンプのインナーロータが前記アイドラーの軸に固定されており、前記サイクロイドポンプのアウターロータが前記サイクロイドポンプのインナーロータと噛み合う、ことを特徴とする請求項2に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項8】
前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部が伝動ケース内に設けられており、前記第一モータ及び前記第二モータが前記伝動ケースの両側に固定連結されており、
前記伝動ケースがブラケットに設けられており、前記ブラケットに車体フレームがさらに設けられており、かつ、車輪がロッカーアームを介して前記ブラケットと連結されている、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項9】
前記第一モータの軸受及び前記第二モータの軸受が、モータケース内のロータの両側にそれぞれ設けられ、第一モータのステータ及び第二モータのステータの引き出し線の軸方向長さ範囲以内にそれぞれ配置されており、かつ、前記第一モータの出力軸と前記第二モータの出力軸の末端には、それぞれ第一モータの軸補助軸受及び第二モータの軸補助軸受が設けられている、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリを含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力駆動設計の技術分野に属し、特に、デュアルモータ駆動系アセンブリ及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
純電気自動車の駆動系には、現在、主にシングルモータ集中型駆動とマルチモータ分散型駆動との2種類がある。現在市場に出回っている純電気自動車は、ほとんど集中駆動形態を採用しており、モータの駆動力は、ギア、シャフトなどを介してデファレンシャルに連結されており、左右のハーフシャフトにほぼ均等に配分されており、個々の車輪を独立して制御することができない。シングルモータ集中型駆動の電気自動車に対して、デュアルモータ分散型車輪独立駆動を採用する場合、その利点は、構造がコンパクトで、レイアウトが便利であり、車両の運転柔軟性が高いということにある。デュアルモータ独立駆動系は、空間レイアウト、減速機の各軸系にかかる力などを考慮して設計する必要がある。
【0003】
デュアルモータ駆動系の応用シーンの一部では、トランスアクスル空間の取り付け及び配置要件を満たすために大きな入出力中心間距離が必要とされており、例えば、この大きな中心間距離空間内に付属品の配置を増やすことで、製品の多様性を高めようとする。この場合、二段ギア伝動を採用すると、もし大きな中心間距離を設定するのであれば、従動ギアの直径を増大させる必要があり、動力アセンブリのエンベロープが大きくなり、取り付け及び配置要件を満たすことができなくなる一方で、三段ギア伝動を採用すると、ギアが多くなり、動力アセンブリの軸方向の幅が大きくなり、コストが高くなるなどの弊害がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題について、本発明は、上記問題を解消し、又は、上記問題を少なくとも部分的に解決するために、デュアルモータ駆動系アセンブリ及び車両を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明には、以下の技術案が用いられている。
【0006】
本発明の1つの局面では、デュアルモータ駆動系アセンブリが提供されており、前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、同軸に配置された第一モータ及び第二モータと、第一ギア伝動部と、第二ギア伝動部と、いくつかのアイドラー対とを含み、前記第一ギア伝動部が前記第一モータによって駆動され、前記第二ギア伝動部が前記第二モータによって駆動され、各前記アイドラー対は、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部にそれぞれ設けられ、前記第一モータの出力軸と前記第一ギア伝動部の末端軸との間の距離を増大させるために使用される。
【0007】
選択的に、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部はいずれも二段ギア伝動であり、前記第一ギア伝動部と前記第二ギア伝動部とにおける各対応する段のギアが同一軸線上に設けられており、各前記アイドラー対が1段目ギア対の間及び/又は2段目ギア対の間にそれぞれ設けられている。
【0008】
選択的に、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部はそれぞれ、1段目小ギアと、1段目大ギアと、2段目小ギアと、2段目大ギアとを含み、前記アイドラー対は、その数が一対であり、かつ前記1段目小ギアと前記1段目大ギアとの間に設けられている。
【0009】
選択的に、前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、デフロック機構をさらに含み、前記デフロック機構が、前記第一モータの出力軸と前記第二モータの出力軸との間、又は、前記アイドラー対の両軸の間、又は、各段のギア軸の間に設けられている。
【0010】
選択的に、前記デフロック機構は、可動ギアプレート組立体と、固定ギアプレート組立体と、固定電磁コイルと、リターンスプリングとを含み、前記可動ギアプレート組立体が、スプラインを介して一側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸と摺動連結されており、前記固定ギアプレート組立体が、スプラインを介して他側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸と固定連結されており、前記固定電磁コイルが、前記可動ギアプレート組立体の近傍のケースに固設されており、前記可動ギアプレート組立体と、前記可動ギアプレート組立体側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸との間には、前記リターンスプリングが設けられている。
【0011】
選択的に、前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、パーキング機構をさらに含み、前記パーキング機構が、パーキングギアと、パーキングポールと、パーキングアクチュエータとを含み、前記パーキングギアが前記固定ギアプレート組立体の固定ギアプレートに統合されている。
【0012】
選択的に、前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、サイクロイドポンプをさらに含み、前記サイクロイドポンプのインナーロータが前記アイドラーの軸に固定されており、前記サイクロイドポンプのアウターロータが前記サイクロイドポンプのインナーロータと噛み合う。
【0013】
選択的に、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部が伝動ケース内に設けられており、前記第一モータ及び前記第二モータが前記伝動ケースの両側に固定連結されており、
前記伝動ケースがブラケットに設けられており、前記ブラケットに車体フレームがさらに設けられており、かつ、車輪がロッカーアームを介して前記ブラケットと連結されている。
【0014】
選択的に、前記第一モータの軸受及び前記第二モータの軸受が、モータケース内のロータの両側にそれぞれ設けられ、第一モータのステータ及び第二モータのステータの引き出し線の軸方向長さ範囲以内にそれぞれ配置されており、かつ、前記第一モータの出力軸と前記第二モータの出力軸の末端には、それぞれ第一モータの軸補助軸受及び第二モータの軸補助軸受が設けられている。
【0015】
本発明のもう1つの局面では、上記のいずれか一項に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリを含む車両がさらに提供されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の利点及び有益な効果は、下記の通りになる。
アイドラーを増やすことで、入出力軸間の中心間距離を増大させ、大きな中心間距離というニーズを満たし、
さらに、アイドラーの増加によって生じる利用可能な軸方向空間を十分に活用して、電磁式デフロック機構(クラッチ)や機械式オイルポンプ(サイクロイドポンプ)の配置を行い、上記機能組立体の増加による軸方向寸法の増加を招くことがなく、
また、上記のデフロッククラッチは、異なる応用ニーズに応じてアイドラー軸やモータ軸に配置でき、各駆動輪の走行状態を独立して調節でき、運転に柔軟性をもたらすことができ、デフロック機能を設置することで、苦境から脱出する時や極限オフロードする時にデュアルモータの駆動力を合理的に結合させ、苦境から脱出する能力を高めることができ、パーキング機能(Pレンジ)を設置することで、パーキングの安全性及び信頼性を高めることができ、機械式サイクロイドポンプを設置することで、駆動系に潤滑及び冷却を加えることができ、これにより、駆動系の全体的な効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例におけるデュアルモータ駆動系アセンブリの構造模式図である。
【
図2】
図2は、本発明のもう1つの実施例におけるデュアルモータ駆動系アセンブリの構造模式図である。
【
図3】
図3は、上記
図1におけるデフロック機構(クラッチ)の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明白になるように、以下、本発明の具体的な実施例及び対応する図面と併せて、本発明の技術案を明確かつ完全に説明する。明らかなことに、記載された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて創造的な努力をせずに当業者によって得られた他のすべての実施例は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【0020】
「含む/包含する」、「…からなる」という用語、又はその他の任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しているため、一連の要素を含む製品、機器、手順又は方法は、それらの要素だけでなく、必要に応じて明示的に列挙されていない他の要素も含むか、又はこのような製品、機器、手順又は方法に固有の要素も含み得ることを理解されたい。これ以上の制限がない場合には、「…を含む/包含する」、「…からなる」という語句で限定される要素は、その要素を含む製品、機器、手順又は方法に別の同じ要素が存在することを排除しない。
【0021】
更に理解されたいのは、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の用語で指し示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づいており、本発明の説明を容易にし、説明を簡略化することのみを目的としており、言及された装置、部品又は構造が特定の方位を有し、特定の方位で構成又は操作されなければならないことを指し示したり示唆するものではなく、本発明に対する制限として理解されてはならない。
【0022】
本発明において、特に明示的な規定および限定がない限り、「取り付ける」、「繋ぐ」、「連結」、「固定」等の用語が広い意味で理解されるべきである。例えば、固定的な連結であってもよいし、着脱可能な連結であってもよいし、一体化されてもよい。また、機械的な連結であってもよいし、電気的な連結であってもよい。また、直接的に繋がれていてもよいし、中間媒体を介して間接的に繋がれていてもよいし、2つの要素の内部の連通または2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、本発明における上記の用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解可能である。
【0023】
本発明の技術的構想は、駆動系アセンブリに中間アイドラーを追加する形で、入出力軸の水平距離又は両軸の中心線間の直線距離である入出力軸間の中心間距離を増大させるという要件を満たし、また、上記駆動系アセンブリ内の有効空間を利用して、他の付属品(例えば、機械式オイルポンプ、デフロッククラッチなど)を配置し、車両の多様性のニーズを満たすことにある。
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の各実施例による技術案を詳しく説明する。
【0025】
図1及び
図2に示すデュアルモータ駆動系アセンブリを参照して、当該デュアルモータ駆動系アセンブリは、同軸に配置された第一モータ及び第二モータと、第一ギア伝動部と、第二ギア伝動部と、いくつかのアイドラー対(42、52)とを含み、前記第一ギア伝動部が前記第一モータによって駆動され、前記第二ギア伝動部が前記第二モータによって駆動され、各前記アイドラー対(42、52)は、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部にそれぞれ設けられ、前記第一モータの出力軸と前記第一ギア伝動部の末端軸との間の距離aを増大させるために使用される。
【0026】
上記実施形態は、ギア伝動チェーンにアイドラーを追加することで、水平方向におけるギア伝動の距離、即ち、前記第一、二モータの出力軸と前記第一、二ギア伝動部の末端軸との間の距離aを増大させ、これにより、駆動系のケース内に例えばデフロック機構、サイクロイドポンプのような他の機能コンポーネントを追加するために、及び、駆動系のケースの所在するブラケットに車体フレーム等の他のコンポーネントを設けるために、より大きな空間を提供した。
【0027】
1つの好ましい実施形態において、
図1を参照して、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部はいずれも二段ギア伝動であり、前記第一ギア伝動部と前記第二ギア伝動部とにおける各対応する段のギアが同一軸線上に設けられており、各前記アイドラー対が1段目ギア対の間及び/又は2段目ギア対の間にそれぞれ設けられており、その中では、各アイドラー対も同軸に設けられていることが好ましい。このように、構造が対称となり、より良好なバランス効果が得られる。
【0028】
具体的に、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部はそれぞれ、1段目小ギア(41、51)と、1段目大ギア(45、53)と、2段目小ギア(46、54)と、2段目大ギア(47、55)とを含み、前記アイドラー対(42、52)は、その数が一対であり、かつ前記1段目小ギア(41、51)と前記1段目大ギア(45、52)との間に設けられている。
【0029】
一実施形態において、前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、電磁クラッチ式や他の原理形式であり得るデフロック機構をさらに含み、当該ロック機構は、第一モータの出力軸と第二モータの出力軸とを同一軸になるようにロックし、出力される作用力を合力にすることで、車両の出力動力を向上させるためのものであり、特に、車輪が沼地や泥沼にはまったような場合に好適に用いられ、苦境から脱出する能力が向上する。
【0030】
上記デフロック機構は、前記第一モータの出力軸と前記第二モータの出力軸との間、又は、前記アイドラー対の両軸の間、又は、各段のギア軸の間に設けられており、好ましくは、前記第一モータの出力軸と前記第二モータの出力軸との間、又は、前記アイドラー対の両軸間に設けられており、そうすると、ロック効率がより高くなり、ケース製造の軸方向長さへの影響がより小さなる。
【0031】
好ましくは、1つの具体的な実施形態において、
図3に示すように、前記デフロック機構は、可動ギアプレート組立体31と、固定ギアプレート組立体35と、固定電磁コイル33と、リターンスプリング32とを含み、前記可動ギアプレート組立体31が、スプラインを介して一側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸と摺動連結されており、かつ固定コイル33の通電後に上記の軸に沿って固定ギアプレート組立体35に接近して係合可能であり、前記固定ギアプレート組立体35が、スプラインを介して他側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸と固定連結されており、前記固定電磁コイルが、前記可動ギアプレート組立体の近傍のケースに固設されており、前記可動ギアプレート組立体と、前記可動ギアプレート組立体側の出力軸又はアイドラー軸又はギア軸との間には、通電による係合が完了した後、可動ギアプレート組立体を元の位置に戻して保持するための前記リターンスプリング32が設けられている。
【0032】
一実施形態において、前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、パーキング機構をさらに含み、前記パーキング機構が、パーキングギアと、パーキングポールと、パーキングアクチュエータとを含み、前記パーキングギアが、前記固定ギアプレート組立体35の固定ギアプレートに統合されており、前記のパーキング機構が従来の具体的な構成を採用可能であり、ここで繰り返して説明しない。
【0033】
一実施形態において、前記デュアルモータ駆動系アセンブリは、サイクロイドポンプをさらに含み、前記サイクロイドポンプのインナーロータ43が前記アイドラー軸に固定されており、前記サイクロイドポンプのアウターロータ44が前記サイクロイドポンプのインナーロータ43と噛み合い、サイクロイドポンプは、歯間のシール容積の変化を利用してオイルの吸入とオイルの圧送を実現するものである。サイクロイドポンプは、オイル分配プレート(フロントカバー、リアカバー)、アウターロータ(従動輪)、及び、ポンプ体内に偏心して配置されたインナーロータ(主動輪)等からなり、ある角度範囲まで回転したときにオイルを吸入し、別の角度範囲まで回転したときにオイルを排出することができるため、駆動系ケース内におけるオイルの循環が実現され、駆動系の冷却及び潤滑が増大する。
【0034】
一実施形態において、前記第一ギア伝動部及び前記第二ギア伝動部が同一の伝動ケース内に設けられており、前記第一モータ及び前記第二モータが前記伝動ケースの両側に固定連結され、かつケースにおける駆動される車輪から離れた端に固定されており、ギア伝動部の末端軸、例えば2段目大ギアの所在する軸が、ユニバーサルジョイントを介して、駆動される車輪に連結される。
【0035】
特に、当該実施例において、車体フレーム等の機構の設置を実現するために、先行技術とは異なるブラケット構造が設けられており、そのうち、前記伝動ケースが上記ブラケットに設けられており、前記ブラケットに車体フレームがさらに設けられている。車体フレームは、自動車の前後アクスルに架け渡された通称ガーダというフレーム構造であり、自動車のベースとなる。一般的に2本の縦ビームと数本の横ビームからなり、サスペンション、フロントアクスル、リアアクスルを介して車輪に支持される。また、車輪の連結の必要に応じて、前記車輪をロッカーアームを介して前記ブラケットに連結してもよい。
【0036】
一実施形態において、前記第一モータの後軸受又は第一モータの主軸受(11、14)、及び、前記第二モータの後軸受及び第二モータの主軸受(21、24)が、第一モータケース及び第二モータケース内の、第一モータのロータ13及び第二モータのロータ23の両側にそれぞれ設けられ、第一モータのステータ12、第二モータのステータ22の引き出し線の軸方向長さ範囲以内に配置されており、これにより、軸受によって占有される軸方向長さが減少され、また、前記第一モータの出力軸と前記第二モータの出力軸の末端には、出力軸、1段目小ギアI、1段目小ギアIIの支持剛性を高め、騒音低減などの効果を奏するために、それぞれ第一モータの軸補助軸受16及び第二モータの軸補助軸受26が設けられている。
【0037】
本発明のもう1つの局面では、上記実施形態のいずれか一項に記載のデュアルモータ駆動系アセンブリを含む車両がさらに提供されている。
以下の2つの実施例によって、さらに詳しく説明する。
実施例1
【0038】
実施例1におけるデュアルモータ駆動系アセンブリについては、
図1及び前述の説明を参照されたい。なお、
図1におけるデフロック機構は、電磁クラッチによって第一モータの出力軸15及び第二モータの出力軸25をロックすることで実現可能であり、具体的に、以下の技術案を用いることができる。可動ギアプレート組立体31と第一モータの出力軸15とがスプラインを介して摺動連結され、固定ギアプレート組立体35と第二モータの出力軸25とがスプラインなどの連結方式によって固定連結され、固定ギアプレートにパーキングギアも統合されているため、構成部品の数及びアセンブリの軸方向寸法を効果的に減らすことができ、固定電磁コイル33が通電によって電磁力を発生させることで、可動ギアプレート組立体31が固定ギアプレート組立体35に向かって移動されて、ギアプレートの端面歯によって相互の噛み合い及びロックが実現され、第一モータの出力軸15と第二モータの出力軸25とをロックする役割が達成され、パワーの結合が実現され、また、可動ギアプレート組立体31と第一モータの出力軸15との間には、リターンスプリング32が配置されており、リターンスプリング32の役割としては、ロック不要時にデフロック開放の信頼性を保つことであり、当該リターンスプリング32が提供する必要のある力は、可動ギアプレート組立体31の重量、耐衝撃能力及び対応するリターン時間などの要素によって共同で決定される。前記デフロック機構の安定性をを高めるためには、前記第二モータの出力軸に補助支持軸受が設けられていてもよい。
【0039】
パーキング機構は、パーキングギア(固定ギアプレートと一体に設けられたもの)、パーキングポール、パーキングアクチュエータ等からなり(不図示)、パーキングが必要な場合には、デフロック機構をロックさせ、次にパーキング機構にパーキングイン動作を実行させる必要があり、1つのパーキング機構で第一モータの出力軸及び第二モータの出力軸を同時にロックできる目的が実現されることにより、車輪をロックする目的が達成される。
実施例2
【0040】
実施例2におけるデュアルモータ駆動系アセンブリについては、
図2及び前述の説明を参照されたい。なお、デフロック機構は、アイドラーI42及びアイドラーII52によって実現可能であり、具体的に、以下の技術案を用いることができる。可動ギアプレート組立体31とアイドラーI42とがスプラインを介して摺動連結され、固定ギアプレート組立体35とアイドラーII52とがスプラインなどの連結方式によって固定連結され、固定ギアプレートにパーキングギアも統合されているため、構成部品の数及びアセンブリの軸方向寸法を効果的に減らすことができ、固定電磁コイル33が通電によって電磁力を発生させることで、可動ギアプレート組立体31が固定ギアプレート組立体35に向かって移動されて、ギアプレートの端面歯によって相互の噛み合い及びロックが実現され、アイドラーIとアイドラーIIとをロックする役割が達成されて第一モータと第二モータとのロックが実現され、パワーの結合が実現され、また、可動ギアプレート組立体31とアイドラーIとの間には、リターンスプリング32が配置されており、リターンスプリング32の役割としては、ロック不要時にデフロック開放の信頼性を保つことであり、当該リターンスプリング32が提供する必要のある力は、可動ギアプレート組立体31の重量、耐衝撃能力及び対応するリターン時間などの要素によって共同で決定される。
【0041】
パーキング機構は、パーキングギア(この技術案では、固定ギアプレートと一体に設けられたもの)、パーキングポール、パーキングアクチュエータ等からなり(不図示)、パーキングが必要な場合には、デフロック機構をロックさせ、次にパーキング機構にパーキングイン動作を実行させる必要があり、1つのパーキング機構でアイドラーI及びアイドラーIIを同時にロックできる目的が実現されることにより、車輪をロックする目的が達成される。
【0042】
上述したのは、あくまでも本発明の実施形態であり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神及び原則内になされたいかなる変更、均等的置換、改良、拡張等、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0043】
11 第一モータの後軸受、12 第一モータのステータ、13 第一モータのロータ、14 第一モータの主軸受、15 第一モータの出力軸、16 第一モータの軸補助軸受;
21 第二モータの後軸受、22 第二モータのステータ、23 第二モータのロータ、24第二モータの主軸受、25第二モータの出力軸、26第二モータの軸補助軸受;
31 可動ギアプレート組立体、32 リターンスプリング、33 固定電磁コイル、34 補助支持軸受、35 固定ギアプレート組立体;
41 1段目小ギアI、42 アイドラーI、43 サイクロイドポンプのインナーロータ、44 サイクロイドポンプのアウターロータ、45 1段目大ギアI、46 2段目小ギアI、47 2段目大ギアI;
51 1段目小ギアII、52 アイドラーII、53 1段目大ギアII、54 2段目小ギアII、55 2段目大ギアII。
【国際調査報告】