(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】往復運動を備えたハードシールコンパクトな容積式ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240207BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20240207BHJP
F04B 9/04 20060101ALN20240207BHJP
【FI】
A61M5/142 500
A61M5/142 522
A61M5/145 500
F04B9/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545903
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 US2022014228
(87)【国際公開番号】W WO2022165119
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ イー.ピッツォチェロ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウッド
【テーマコード(参考)】
3H075
4C066
【Fターム(参考)】
3H075AA09
3H075BB03
3H075BB13
3H075BB30
3H075CC34
3H075DA03
3H075DA04
3H075DB03
3H075DB24
3H075EE02
3H075EE12
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066FF04
4C066NN04
4C066QQ72
4C066QQ76
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】
流体送達システム内に組み込むことができる、ハードシールの容積式ポンプが提供される。ポンプは、ハウジングと、ハウジング内に半径方向に配置されたスリーブと、スリーブ内に半径方向に配置されたピストンと、を含む。スリーブの第1の端部の外形は、ハウジングの第1の端部の対応する形状の内形に接触し、それにより、スリーブの第1の端部は、ハウジングの第1の端部内に密封される。ピストンは、スリーブ内で半径方向及び軸方向に移動可能であり、スリーブ内でのピストンの軸方向の往復運動により、ピストンの第1の端部と、スリーブの第1の端部との間に画定されたポンプ室を開閉する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容積式ポンプであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に半径方向に配置されたスリーブであって、前記スリーブの第1の端部の外形が、前記ハウジングの第1の端部の内形に接触し、前記ハウジングの前記第1の端部の前記内形が、前記スリーブの前記第1の端部の前記外形に対応し、それによって、前記スリーブの前記第1の端部を、前記ハウジングの前記第1の端部に密封する、スリーブと、
前記スリーブ内に半径方向に配置されたピストンであって、前記スリーブ内で前記ピストンの軸方向への往復運動が、前記ピストンの第1の端部と、前記スリーブの前記第1の端部内に配置されたプラグとの間に画定されたポンプ室を開閉する、ピストンと、
を備える、容積式ポンプ。
【請求項2】
前記スリーブの前記第1の端部の前記外形及び前記ハウジングの前記第1の端部の前記内形が、円錐形状である、請求項1に記載の容積式ポンプ。
【請求項3】
前記ハウジングの第2の端部を閉じるキャップと、
前記キャップと、前記スリーブの第2の端部との間に配置されたばねであって、前記キャップと前記ハウジングとの間の前記ばねの圧力が、前記スリーブを前記ハウジングの前記第1の端部に向かって付勢する、ばねと、
をさらに備える、請求項1に記載の容積式ポンプ。
【請求項4】
前記ピストンの前記第1の端部に配置されたピストンシールと、
前記プラグの端部に配置されたプラグシールと、
をさらに備え、
前記ピストンシールと前記プラグシールとがその間に前記ポンプ室を画定する、請求項1に記載の容積式ポンプ。
【請求項5】
前記スリーブに形成された、らせん状のスロットと、
前記ピストンから半径方向外側に延在するピンであって、前記ピンが、前記スロット内で移動可能であり、それによって、半径方向及び軸方向への前記ピストンの移動を制御する、ピンと、
をさらに備える、請求項1に記載の容積式ポンプ。
【請求項6】
前記ハウジングと前記スリーブが、ポリプロピレンからなる、請求項1に記載の容積式ポンプ。
【請求項7】
前記ハウジングを貫通して形成された入口ポート及び出口ポートをさらに備える、請求項1に記載の容積式ポンプ。
【請求項8】
流体送達システムであって、
リザーバと、
カニューレと、
ポンプであって、
入口ポート及び出口ポートが内部に形成されているハウジングであって、前記入口ポートが、前記リザーバと流体連通しており、前記出口ポートが、前記カニューレと流体連通している、ハウジングと、
前記ハウジング内に半径方向に配置されたスリーブであって、前記スリーブの第1の端部の外形が、前記ハウジングの第1の端部の内形に接触し、前記ハウジングの前記第1の端部の前記内形が、前記スリーブの前記第1の端部の前記外形に対応し、それによって、前記スリーブの前記第1の端部を、前記ハウジングの前記第1の端部に密封する、スリーブと、
前記スリーブ内に半径方向に配置されたピストンであって、前記スリーブ内の前記ピストンの軸方向の往復運動が、前記ピストンの第1の端部と、前記スリーブの前記第1の端部内に配置されたプラグとの間に画定されたポンプ室を開閉する、ピストンと、
を備え、
前記スリーブは、前記ポンプ室が前記入口ポートと連通する入口位置と、前記ポンプ室が前記出口ポートと連通する出口位置との間で移動可能である、ポンプと、
を備える、流体送達システム。
【請求項9】
前記スリーブの前記第1の端部の前記外形及び前記ハウジングの前記第1の端部の前記内形が、円錐形状である、請求項8に記載の流体送達システム。
【請求項10】
前記ポンプは、
前記ハウジングの第2の端部を閉じるキャップと、
前記キャップと、前記スリーブの第2の端部との間に配置されたばねであって、前記キャップと、前記ハウジングとの間の前記ばねの圧力が、前記スリーブを前記ハウジングの前記第1の端部に向かって付勢する、ばねと、
をさらに備える、請求項8に記載の流体送達システム。
【請求項11】
前記ポンプは、
前記ピストンの前記第1の端部に配置されたピストンシールと、
前記プラグの端部に配置されたプラグシールと、
をさらに備え、
前記ピストンシールと前記プラグシールとがその間に前記ポンプ室を画定する、請求項8に記載の流体送達システム。
【請求項12】
前記ポンプは、
前記スリーブに形成された、らせん状のスロットと、
前記ピストンから半径方向外側に延在するピンであって、前記ピンが、前記スロット内で移動可能であり、それによって、半径方向及び軸方向への前記ピストンの移動を制御する、ピンと、
をさらに備える、請求項8に記載の流体送達システム。
【請求項13】
前記ハウジングと前記スリーブが、ポリプロピレンからなる、請求項8に記載の流体送達システム。
【請求項14】
容積式ポンプであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に半径方向に配置されたスリーブであって、前記スリーブの外形が、前記ハウジングの内形に接触し、それによって、前記スリーブが、前記ハウジング内に密封される、スリーブと、
前記スリーブ内に半径方向に配置されたピストンであって、前記スリーブ内での前記ピストンの軸方向の往復運動が、前記ピストンの第1の端部と、前記スリーブの第1の端部との間に画定されたポンプ室を開閉する、ピストンと、
を備える、容積式ポンプ。
【請求項15】
前記スリーブの前記外形と前記ハウジングの前記内形が、円錐形状である、請求項14に記載の容積式ポンプ。
【請求項16】
前記スリーブ及び前記ハウジングに形成された、らせん状のスロットと、
前記ピストンから半径方向外側に延在するピンであって、前記ピンが、前記スロット内で移動可能であり、それによって、半径方向及び軸方向への前記ピストンの移動を制御する、ピンと、
をさらに備える、請求項14に記載の容積式ポンプ。
【請求項17】
前記スリーブは、前記ハウジング内で回転移動可能である、請求項14に記載の容積式ポンプ。
【請求項18】
前記ハウジングと前記スリーブが、ポリプロピレンからなる、請求項14に記載の容積式ポンプ。
【請求項19】
前記ハウジングを貫通して形成された入口ポート及び出口ポートをさらに備える、請求項14に記載の容積式ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月29日に出願された米国仮出願63/143,451号の利益を主張するものである。
【0002】
例示的な実施形態と一致する装置及び方法は、液体医薬品の皮下送達に適したポンプに関し、より詳細には、往復運動を有するハードシールでコンパクトな容積式ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、糖尿病患者が必要なときに適切なレベルのインスリン分泌を維持できないために生じる高血糖を特徴とする疾患群である。糖尿病は、治療されない場合、罹患した患者にとって危険である可能性があり、深刻な健康の合併症と早死につながる可能性がある。しかし、このような合併症は、糖尿病をコントロールし、合併症のリスクを減らすために、1つ以上の治療法を利用することで最小限に抑えることができる。
【0004】
糖尿病患者の治療法には、特殊な食事療法、経口薬、インスリン療法などがある。インスリン療法と糖尿病管理のための効果的な方法は、インスリンポンプを使用する注入療法又は注入ポンプ療法である。インスリン送達装置(IDD)は、必要なインスリンを分泌する非糖尿病患者の適切に作動する膵臓の機能及び挙動により密接に一致させるために、様々な速度で糖尿病患者にインスリンの連続注入を提供することができるインスリンポンプを含むことができ、インスリンポンプは、糖尿病患者の個々の必要性に基づいて、糖尿病患者が血糖値を目標範囲内に維持するのを助けることができる。注入ポンプ療法には、糖尿病患者の皮膚を貫通し、インスリンの注入が行われる、通常は注入針または柔軟なカテーテルの形の注入カニューレが必要である。注入ポンプ療法は、インスリンの継続的な注入、正確な投薬、およびプログラム可能な送達スケジュールの利点を提供する。
【0005】
現在、1型糖尿病の治療には、主に、2種類のインスリン連日投与法がある。第1のモードは、注射器とインスリンペンで、注射のたびに針を刺す必要があり、通常1日3~4回使用する。糖尿病を管理するために広く採用されているもう1つの効果的な治療法は、インスリンポンプの使用である。インスリンポンプは、インスリンを継続的に注入することにより、血糖値を個人の必要性に応じて目標範囲内に保つことができる。インスリンポンプを使うことで、ユーザーは、インスリン注射の効き具合をライフスタイルに合わせるのではなく、インスリン療法をライフスタイルに合わせることができる。
【0006】
従来のインスリンポンプは、皮下に留置したカテーテルを通して、迅速型または短時間作用型インスリンを24時間投与することができる。インスリン投与は通常、基礎速度で、かつボーラス投与量で投与される。基礎インスリンは、24時間継続的に投与され、食事と食事の間や一晩中、使用者の血糖値を一定の範囲に保つ。いくつかのインスリンポンプは、昼と夜の異なる時間帯に応じてインスリンの基礎速度を変化させるようにプログラムすることができる。ボーラス投与量は、通常、ユーザーが食事を摂るときに行われ、一般に、消費された炭水化物のバランスをとるためにインスリンを1回追加注射する。従来のインスリンポンプの中には、摂取した食事の大きさや種類に応じてボーラス投与量をプログラムできるものもある。また、従来のインスリンポンプは、ユーザーが食事のボーラスを計算する際に、低い血糖値を補うためにインスリンの補正ボーラス又は補助ボーラスを取り込むことを可能にする。
【0007】
従来のインスリンポンプは、他の糖尿病治療法に比べて多くの利点がある。インスリンポンプは、インスリンを一度に注射するのではなく、時間をかけて投与するため、通常、米国糖尿病学会が推奨する血糖値の範囲内での変動が少なくなる。また、従来のインスリンポンプは、患者が我慢しなければならない注射針の刺す回数を減らし、使用者にとって糖尿病管理がより簡単で効果的になり、使用者の生活の質をかなり向上させる。
【0008】
既存のインスリンポンプの主な欠点は、携帯性に優れているにもかかわらず、複数の部品が含まれており、重くて使いにくいことである。また、一般的に他の治療法よりも高価である。ライフスタイルの観点からは、従来のポンプとそれに付随するチューブや注入セットは、使用者にとって不便で煩わしいものであった。
【0009】
従来の注入ポンプとは異なり、パッチポンプは、流体リザーバ、ポンプ機構、およびカニューレを自動的に挿入する機構を含む流体コンポーネントの大部分又は全てを、患者の皮膚上の注入部位に粘着的に取り付けられる単一のハウジングに組み込んだ一体型装置であり、別個の注入セット又はチューブセットを使用する必要はない。一部のパッチポンプは、(インスレット社がOmniPod(登録商標)というブランド名で販売している1つのデバイスのように)別のコントローラー装置と無線で通信するものもあれば、完全に自己完結しているものもある。このような装置は、インスリンの供給がなくなると、3日毎など頻繁に交換される。
【0010】
パッチポンプは、糖尿病患者が装着する自己完結型のユニットとして設計されているため、使用者の活動を妨げないよう、できるだけ小型であることが望ましい。ユーザーの不快感を最小限にするためには、パッチポンプの全体寸法を最小限にすることが望ましい。しかし、パッチポンプ全体の寸法を最小化するためには、構成部品をできるだけ小型化する必要がある。
【0011】
さらに、ポンプ、及びパッチポンプや他のインスリン送達装置(IDD)の流体又は流体経路に接触する他のすべての部分は、滅菌の対象でなければならない。しかし、滅菌と経年劣化はエラストマー材料の特性を劇的に変化させる可能性があり、ポンプは液状シリコーンゴム(LSR)のようなエラストマー材料を利用する。流体経路にLSRを使用すると、一部の薬剤製剤を劣化させる可能性があることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
例示的な実施形態は、少なくとも上記の問題及び/又は欠点、並びに上記には記載されていない他の欠点に対処することができる。また、例示的な実施形態は、上述した欠点を克服する必要はなく、上述した問題のいずれも克服しない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
例示的な実施形態の一態様によれば、容積式ポンプは、ハウジングと、ハウジング内に半径方向に配置されたスリーブであって、スリーブの第1の端部の外側の円錐形状が、ハウジングの第1の端部の円錐形状の内側に接触し、それによってスリーブの第1の端部を、ハウジングの第1の端部に密封する、スリーブと、スリーブ内に半径方向に配置されたピストンと、を備える。スリーブ内のピストンの軸方向往復運動は、ピストンの第1の端部と、スリーブの第1の端部内に配置されたプラグとの間に画定されたポンプ室を開閉する。
【0014】
ポンプはさらに、ハウジングの第2の端部を閉じるキャップと、キャップとスリーブの第2の端部との間に配置された、ばねであって、キャップとハウジングとの間のばねの圧力が、スリーブをハウジングの第1の端部に向かって付勢する、ばねを含んでもよい。
【0015】
ポンプは、ピストンの第1の端部に配置されたピストンシールと、プラグの端部に配置されたプラグシールと、をさらに含むことができ、ピストンシールとプラグシールとは、その間にポンプチャンバを画定する。
【0016】
ポンプは、スリーブに形成されたらせん状のスロットと、ピストンから半径方向外側に延在するピンと、をさらに含むことができ、ピンはスロット内で移動可能であり、それによって半径方向及び軸方向のピストンの動きを制御する。
【0017】
ハウジングとスリーブは、ポリプロピレンで作られてもよい。
【0018】
ポンプは、ハウジングを貫通して形成された入口ポートと出口ポートとをさらに含むことができる。
【0019】
別の例示的な実施形態の一態様によれば、容積式ポンプは、ハウジングと、ハウジング内に半径方向に配置されたスリーブであって、スリーブの外形がハウジングの内形に接触し、それによってハウジング内にスリーブを密封する、スリーブと、スリーブ内に半径方向に配置されたピストンであって、スリーブ内でピストンの軸方向往復運動がピストンの第1の端部とスリーブの第1の端部との間に画定されたポンプ室を開閉する、ピストンと、を備える。
【0020】
ポンプは、スリーブ及びハウジングに形成されたらせん状のスロットと、ピストンから半径方向外側に延在するピンと、をさらに含むことができ、ピンはスロット内で移動可能であり、それによって半径方向及び軸方向のピストンの動きを制御する。
【0021】
スリーブは、ハウジング内で回転可動であってもよい。
【0022】
ハウジングとスリーブは、ポリプロピレンで作られてもよい。
【0023】
ポンプは、ハウジングを貫通して形成された入口ポートと、出口ポートと、をさらに含むことができる。
【0024】
別の例示的な実施形態の一態様によれば、流体送達システムは、リザーバ、カニューレ、及び、上述の例示的な実施形態の1つによるポンプを備える。ポンプの入口ポートは、リザーバと流体連通しており、ポンプの出口ポートは、カニューレと流体連通している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
上記及び/又は他の例示的な態様及び利点は、添付の図面と併せて参照される例示的な実施形態の以下の説明から明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【
図1】
図1は、例示的な実施形態による流体送達システムの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、第1の例示的な実施形態によるポンプの斜視断面図である。
【
図2B】
図2Bは、第1の例示的な実施形態によるポンプの別の斜視断面図である。
【
図2C】
図2Cは、第1の例示的な実施形態によるポンプの別の斜視断面図である
【
図3】
図3は、第1の例示的な実施形態によるポンプのピストン、シール、及び、プラグの斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、第2の例示的な実施形態によるポンプの斜視断面図である。
【
図4B】
図4Bは、第2の例示的な実施形態によるポンプの別の斜視断面図である。
【
図4C】
図4Cは、第2の例示的な実施形態によるポンプの斜視図である。
【0026】
次に、添付図面に示される例示的な実施形態を詳細に参照するが、ここで、同様の参照数字は、全体を通して同様の要素を指す。この点に関して、例示的な実施形態は、異なる形態を有してもよく、本明細書に記載された説明に限定されると解釈されることはない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
用語「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、及び/又は「備える(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが理解されよう。
【0028】
本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」等の用語が、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又は、セクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は、セクションは、これらの用語によって限定され得ないことがさらに理解されるであろう。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層又はセクションを、別の要素、構成要素、領域、層又はセクションと区別するためにのみ使用される。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」には、関連する列挙された項目の1つ又は複数のあらゆる組み合わせが含まれる。「少なくとも1つ」などの表現が、要素のリストの前にある場合、要素のリスト全体を変更し、リストの個々の要素は変更しない。さらに、本明細書に記載されている「ユニット」、「-er(-or)」及び「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能又は動作を実行するための要素を意味し、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装することができる。
【0030】
特定のシステムコンポーネントを指すために、さまざまな用語が使用される。会社によって、構成要素の名称が異なる場合があるが、本明細書は、名称は異なるが機能は異なる構成要素を区別する意図はない。
【0031】
これらの例示的な実施形態のうち、これらの例示的な実施形態が関係する技術分野における通常の技術者にとって自明である事項については、ここでは詳細に説明しない場合がある。
【0032】
1つ以上の例示的な実施形態は、LSRのような潜在的に不安定なエラストマー材料を流体経路から除去するハードシールを利用することができる。また、ポンプを小型化し、部品点数を減らすことで、組み立てや取り付けを容易にするために、ポンプからインターロックを省くこともある。1つまたは複数の例示的な実施形態はまた、投与エラーを回避するために、ピストン内の駆動クロスピンの適合を改善し、関連部品のサイズを変更することができる。螺旋は、クロスピンが2つの反対側で接触するように鏡面/反転させることができ、荷重と運動学的な動きのバランスをとり、投与精度の向上とより安定した操作につながる。
【0033】
図1は、流体送達システム100の概略図であり、リザーバから正確な量の流体を引き出すための計量サブシステム(ポンプ)200と流体連通するリザーバ120と、ユーザー101に薬剤を送達するためのカニューレ機構122と、を備える。カニューレ機構122は、チューブ及びパッチからなる注入セットによって注入部位に接続されてもよく、あるいは、カニューレ挿入機構が、計量サブシステム200内のハウジングに組み込まれてもよい。例示的な実施形態は、特定のリザーバ構成に限定されないが、リザーバ120は可撓性であってもよい。可撓性リザーバは、流体を供給するための内部アクチュエータ機構を持たないので、ポンプ200全体の設置面積を小さくし、よりコンパクトな設計にすることができる。リザーバは、例えば、注射器121によって充填ポート123を介して充填してもよいし、プレフィルドリザーバーやカートリッジを使用してもよい。
【0034】
マイクロコントローラ10は、ポンプ及びカニューレを制御するために、センサ及び回路11,12,13,14,15,17、ならびに、アクチュエータ16及び18とインターフェースするプリント回路基板(PCB)の形態をとることができる。電力は、ハウジング内の1つ以上のバッテリ19によって供給される。可聴フィードバック、視覚表示、及び、ユーザーが操作可能な制御装置(図示せず)は、投与量の設定、カニューレの展開、注入の開始、及び、ボーラス投与量を送達するために、PCBに操作可能に接続されたユニット上、又は、遠隔プログラミングユニット上に設けることができる。
【0035】
図2A、
図2B、及び、
図2Cは、第1の例示的な実施形態によるポンプ200を示す。
図2Aは、ハウジング210、ハウジング210の一端を閉じる負荷キャップ250、ハウジング内に配置されたスリーブ220、及び、スリーブ220内に配置されたプラグ240、シール部、及び、ピストン230を含むポンプ200の斜視図である。ハウジング210は、第1の端部210aが負荷キャップ250によって閉じられ、第2の端部210bがスリーブ220とプラグ240によって閉じられる。波形ワッシャーばね255は、キャップ250とスリーブ220の一端との間に配置され、スリーブ220の他端は、円錐形界面220aにおいてハウジング210の対応する内側円錐形内に嵌合する外側の円錐形状からなる。このようにして、キャップ250が、ばね255を押圧することにより、スリーブ220の円錐形状がハウジング210の円錐形状内に保持される。スリーブをハウジング内に保持するこの手段は、単なる一例である。スリーブとハウジングは円錐形以外の形状を有していてもよく、スリーブは、スリーブ220とハウジング210の間に密封力を生じさせるために理解されるように、熱かしめ、レーザー溶接、接着などの別の手段によってハウジング内に押圧保持されてもよい。さらに、波形ワッシャーとして説明したばね255は、別のタイプのばね、又は、力を提供するエラストマー材料であってもよい。潤滑剤は、ポンプ200のさまざまな構成要素間の摩擦及び摩耗特性を制御するために使用することができる。
【0036】
ハウジングは、リザーバ120からポンプ200への流体経路と流体連通する入口ポート211と、ポンプ200からカニューレ122への流体経路と流体連通する出口ポート212と、を有する。ポンプ200内で、入口ポート211及び出口ポート212は、ピストン230の位置に基づいて、スリーブ220内のポンプ室245と連通し得る。ポート211,212は、位置合わせの重なりを改善するために面取りされてもよく、1つ以上のスイッチ(図示せず)がポンプ200上に配置されて、モータの回転を逆転させるための動きの限界を検出してもよい。スリーブ内では、ポンプ室245は、プラグ240の側面にあるプラグシール241と、ピストン230の側面にあるピストンシール242によって囲まれる。プラグ240自体は、組立時にスリーブ220に接着され、スリーブ220とともに回転する。
【0037】
クロスピン231が、ピストン230から半径方向外側に延在し、スリーブ220のらせん状のスロット221内で移動する。スリーブ220は、ハウジング210内に回転方向にも軸方向にも固定される。ピストン230の回転により、ピン231がスリーブの周囲にらせん状に形成されたスロット221内で移動する。この例示的な態様に関して、スロット221は、らせん形状である。しかしながら、上述したように、スリーブ及びハウジングは、円錐形状以外であってもよく、それに応じて、当業者には理解されるように、スロットは、らせん形状以外であってもよい。したがって、ピストン230が回転すると、ピン231が、スロット221内で移動し、ピストン230も、プラグ240に接離するように移動することにより、ピストンシール242を移動させ、ポンプ室245を開閉させる。ピストン230は、
図2Cに示すように、一端に平坦なタブ235を有し、その上に、Oリングを備え、1つのOリングが、ピストン230とともに移動し、1つのOリングが、スリーブ220とともに移動するようにしてもよい。
【0038】
プラグ240は、プラグ240の角度位置を検出するスイッチ(図示せず)を作動させるために、ピン231と共に回転移動するハンドル246を含むことができる。
【0039】
この例示的な実施形態によれば、スリーブ220とハウジング210の構成要素は、硬質プラスチックで形成され、回転中及び滅菌・経時変化後に保持するのに十分な圧力によって一緒に保持される。硬質プラスチックは、当業者であれば理解できるように、ベスペル(登録商標)又はポリプロピレンであってもよい。
【0040】
ポンプ200は、ステッピングモータ(図示せず)によって、それぞれ通常運転時のピストンの2つの極端な位置を表す第1の角度位置と第2の角度位置との間で駆動することができる。ポンプ220が第1の位置から開位置に移動すると、ポンプ室245が開き、入口ポート211と連通し、流体をリザーバ120からポンプ室245に引き込む。ポンプ200が開位置から第2の位置に移動すると、ポンプ室245は閉じ、出口ポート212と連通し、流体をカニューレ122に向けて、出口ポート212に送り込む。
【0041】
図3は、第1の例示的な実施形態による、ポンプ200の内部のピストン、プラグ、及び、シール部分の斜視図である。
【0042】
図4A、
図4B、及び、
図4Cは、第2の例示的な実施形態によるポンプ300を示す。
図4Aは、スリーブ320と、スリーブ320内に配置されたピストン330とを含むポンプの一部の斜視図である。スリーブ320を囲むハウジング310が、
図4Bと
図4Cに示される。ハウジング310は、ピストン330が突出する第1の端部と、内部に入口ポート311と出口ポート312が形成された第2の端部を有する。スリーブ320は、ハウジング310内に配置され、ピストン330は、スリーブ320に対して長手方向に移動するが、スリーブ320は、ハウジング310内で回転し得る。ポンプ室345は、ピストン330の端部とスリーブ320の端部との間に画定され、スリーブ320の端部は、それを貫通して形成されたスリーブポート346を有する。これにより、スリーブ320内のポンプ室345は、スリーブ320の回転に応じて、スリーブポートを介して、入口ポート311又は出口ポート312と連通することができる。
【0043】
図4B及び
図4Cに示すように、二重クロスピン331が、ピストン330から反対方向に半径方向外側に延在し、スリーブ320及びハウジング310のスロット321内で移動する。スリーブ320は、ハウジング310内で軸方向に固定されているが、ハウジング310内で回転することができ、それにより入口ポート311又は出口ポート312のいずれかが、スリーブポート346を介して、ポンプ室345と連通する。
【0044】
ピストン330は、スリーブ320内で回転し、軸方向に移動することができる。ピストン330の回転により、ピン331がスリーブ320及びハウジング310のスロット321内で移動する。入口閉位置では、ピストンがハウジング310の端部に押し付けられ、ポンプ室345が閉鎖され、スリーブポート346が入口ポート311と連通するようにスリーブ320が回転される。ピストン330が、入口閉位置から入口開位置に移動すると、ピストンは、ポンプ室345から引き離され、ポンプ室345を開き、リザーバ120からポンプ室345内に流体を引き込む。次に、スリーブ320は、スリーブポート346が入口ポート311と連通する位置から、スリーブポート346が出口ポート312と連通する位置まで回転する。次いで、ピストン330は、出口開位置から出口閉位置に移動し、ピストン330の回転がピストンを動かしてポンプ室345を閉じ、ポンプ室345からカニューレ122に流体を送り出す。ピストン330が閉位置にあるとき、スリーブ320はスリーブポート346が出口ポート312と連通する位置からスリーブポート346が入口ポート311と連通する位置に再び切り替えられる。
【0045】
この例示的な実施形態によれば、スリーブ320とハウジング310の構成部品は、硬質プラスチックで形成され、回転中及び滅菌・経時変化後に保持するのに十分な圧力によって一緒に保持される。
【0046】
第1の実施形態例と同様に、ポンプ300は、ステッピングモータ(図示せず)によって駆動することができる。
【0047】
本明細書に記載された例示的な実施形態は、説明的な意味においてのみ考慮され、限定を目的とするものではないことを理解されたい。各例示的な実施形態内の特徴又は態様の説明は、他の例示的な実施形態における他の同様の特徴又は態様についても利用可能であると見なし得る。
【0048】
例示的な実施形態が図を参照して説明されてきたが、以下の特許請求の範囲によって定義される精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中で行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。
【国際調査報告】