(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ノンアルコールビール及びアルコールビールの迅速な製造方法
(51)【国際特許分類】
C12H 3/00 20190101AFI20240207BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240207BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240207BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240207BHJP
A23L 2/68 20060101ALI20240207BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20240207BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20240207BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20240207BHJP
C12C 11/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C12H3/00
A23L2/38 J
A23L2/52
A23L2/00 T
A23L2/00 B
A23L2/68
A23L2/66
C12G3/04
C12G3/06
C12C11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546539
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 US2022014634
(87)【国際公開番号】W WO2022165387
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523290551
【氏名又は名称】セリア,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】キース ビラ
【テーマコード(参考)】
4B115
4B117
4B128
【Fターム(参考)】
4B115LG02
4B115LH01
4B115LH07
4B115LH12
4B115LP02
4B115MA03
4B117LC03
4B117LG16
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4B117LK08
4B117LK13
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4B117LL01
4B117LL09
4B117LP05
4B128CP38
4B128CP39
(57)【要約】
好気性条件下で酵母を使用し、アルコール度数0.0%の麦芽飲料を迅速に醸造する方法。酵母は、好気性又は嫌気性条件下で発酵増殖した後、煮沸により不活性化される。甘味、アルデヒド含有量、風味有益成分、pH、口当たり、及び熱などの飲料の側面は、人気のあるスタイルのビールを模倣するように制御される。また、飲料をアルコールで強化して、ビール、コンブチャ、ハードセルツァー、ワイン、蒸留酒などのアルコール製品を短時間で製造することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料の製造方法であって、
a.モルトエキス、水、及び酵母を混合することと、
b.前記混合物を30℃以上35℃以下で2時間以上5時間以下曝気することと、
c.前記混合物にマルトデキストリン、水、乳酸、及びホップ溶液を添加することと、
d.沸騰するまで加熱することと、
e.冷却することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記飲料のアルコール含有量が、0%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モルトエキスと前記マルトデキストリンの量を調整して、前記飲料のコク及び甘味を変化させる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マルトデキストリンの添加後、ホップ、スパイス、ハーブ、特殊麦芽又はこれらの組み合わせからなる他の原料を添加する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコール含有量を、加熱前、加熱後、又はその両方で評価する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記飲料のアルデヒド含有量及び/又は風味有益成分が、製造中に酵母による部分発酵を可能にすることによって制御される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記飲料の口当たりが、タンパク質性ペプチドの添加によって制御される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記マルトデキストリン(maltodextran)の添加後、アリルイソチオシアネート、ジンゲロール、ショウガオール、パラドール及びジンゲロンからなる群から選択される材料を添加する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記飲料の風味が、ホップオイル、ホップエキス、特殊麦芽、天然香料、人工香料及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料の添加によって変化する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記飲料の風味が、カフェイン、ビタミンサプリメント、ミネラルサプリメント、コンブチャ、ハーブ、茶、スパイス、ビール、ワイン、蒸留酒、テルペン、カンナビノイド、合成カンナビノイド、シロシビンマッシュルーム、ペヨーテ、アヤワスカ、メスカリン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料の添加によって変化する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記添加により、風味及び/又は生理的及び/又は精神的な変化反応が得られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アルコールを前記麦芽飲料に添加して、伝統的な方法又は発酵よりも迅速な時間枠でアルコールビール、ワイン又は蒸留酒を製造する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
飲料の製造方法であって
a.麦芽及び水を混合することと、
b.少なくとも20分間、少なくとも75℃に加熱することと、
c.酵母を添加することと、
d.少なくとも3時間、少なくとも30℃で曝気することと、
e.沸騰するまで加熱することと、
f.冷却することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記飲料のアルコール含有量が、0%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1の加熱工程が、前記飲料のコク及び甘味を変化させるために、時間及び温度が調整される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の加熱工程の後に、ホップ、スパイス、ハーブ、特殊麦芽又はこれらの組み合わせからなる他の原料を添加する、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記アルコール含有量を、加熱前、加熱後、又はその両方で評価する、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記飲料のアルデヒド含有量及び/又は風味有益成分が、製造中に酵母による部分発酵を可能にすることによって制御される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記飲料の口当たりが、タンパク質性ペプチドの添加によって制御される、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の加熱工程の後に、アリルイソチオシアネート、ジンゲロール、ショウガオール、パラドール及びジンゲロンからなる群から選択される材料を添加する、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記飲料の風味が、ホップオイル、ホップエキス、特殊麦芽、天然香料、人工香料及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料の添加によって変化する、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記飲料の風味が、カフェイン、ビタミンサプリメント、ミネラルサプリメント、コンブチャ、ハーブ、茶、スパイス、ビール、ワイン、蒸留酒、テルペン、カンナビノイド、合成カンナビノイド、シロシビンマッシュルーム、ペヨーテ、アヤワスカ、メスカリン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料の添加によって変化される、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記添加により、風味及び/又は生理的及び/又は精神的な変化反応が得られる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
アルコールを前記麦芽飲料に添加して、伝統的な方法又は発酵よりも迅速な時間枠でアルコールビール、ワイン又は蒸留酒を製造する、請求項14~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在入手可能なアルコール度数0.5%までの麦芽飲料とは異なる、アルコール度数0%の麦芽飲料を迅速に製造する方法を対象とする。当該飲料は、アルコールで強化して、迅速な時間枠でアルコール製品を作製することができる。
【背景技術】
【0002】
現在、ビールテイスト飲料を含む、ノンアルコール麦芽飲料に対する消費者の関心が広がっている。これらの「ノンアルコール」飲料は、通常、アルコール度数(ABV)0.5%未満の残留アルコールを有する。
【0003】
従来のアルコール含有麦芽飲料は、酵母がモルトエキス(麦汁)中のグルコースを、エチルアルコールと炭酸ガス(CO2)に変換し、アルコール含有量と炭酸が増加することによって製造される。発酵プロセスは、冷却した麦汁を発酵容器に移し、酵母を添加することから始まる。これは、嫌気性環境で起こる。
【0004】
現在入手可能な幾つかのノンアルコール飲料は、発酵プロセスを抑えることによって製造され、それによって、発酵プロセス中に生成される麦芽風味を保持したまま、生成されるアルコールの量を減少させる。
【0005】
他のノンアルコール飲料は、完成品からアルコールを除去するか、発酵工程を完全に除去することによって製造される。麦芽風味は、他の手段によっても提供することができる。
【0006】
現在開示されているものには、好気性環境下でモルトエキス(麦汁)と酵母を結合させ、続いて加熱して、蒸発により残留アルコールを除去することによって提供される、麦芽及び酵母風味が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、アルコール度数0%の麦芽飲料を速く製造する方法のフローチャートを示し、アルコール度数0%の麦芽飲料を製造するための超高温マッシング方法を示す代替方法である。
【
図2】
図2は、麦芽飲料のコクに関するプロフィールのシミュレーションを行うための最適なRE:DE目標を示している。RE%(真性エキス%重量/重量)は、より重い種類のビールで増加し、DE(デキストロース当量又は甘味)は、それほど増加しない。望ましいビールの味を実現するには、REとDEとの間のバランスが重要である。
【発明の概要】
【0008】
伝統的に、多くの麦芽風味ビールタイプ飲料の風味は、酵母の導入による醸造原料のアルコール発酵中に由来する。提供されるのは、部分的に発酵した麦芽飲料であり、風味成分は麦芽、酵母、及び他の風味成分の添加によって提供され、その結果、Anton-Paar計器又は当業者に知られているような他の業界標準によって測定される、アルコール度数が0%の飲料が得られる。
【0009】
一実施形態では、好気性条件下で、モルトエキス、酵母及び水からなるベースを構築する工程を含む、部分的に発酵した麦芽飲料の製造方法である。酵母の好気的増殖は、アルデヒド化合物を代謝及び/又は除去しながら、ビールの所望の風味に関連する、エステルなどの化合物を生成する。混合物の酸味の制御は、食品グレードの酸の添加によって行われ、麦芽と酵母の混合物を煮沸させる(これによりペプチドが放出される)ことによって、製品の「口当たり」を制御し、最後に少量の温熱剤を添加して、消費時のアルコールの生理学的効果をシミュレートする。温熱剤の一例は、合成の形態で添加することも、イソチオシアネートを含む植物を添加することもできる、イソチオシアネートである。
【0010】
一実施形態では、好気性条件下で、麦芽及び水を含むベースを、超高温と組み合わせて構築し、次いで冷却し、酵母を添加する工程を含む、部分的に発酵した麦芽飲料の製造方法である。酵母の好気的増殖は、アルデヒド化合物を代謝及び/又は除去しながら、ビールの風味に関連する、エステルなどの化合物を生成する。混合物の酸味の制御は、食品グレードの酸の添加によって行われ、麦芽と酵母の混合物を煮沸させる(これによりペプチドが放出される)ことによって、製品の「口当たり」を制御し、最後に少量の温熱剤を添加して、アルコールの効果をシミュレートする。温熱剤の一例は、合成の形態で添加することも、イソチオシアネートを含む植物を添加することもできる、イソチオシアネートである。
【0011】
一実施形態では、製品(飲料)の風味は、ホップオイル、特殊麦芽、天然若しくは人工香料、又は果物、ハーブ、スパイス、若しくは野菜のいずれかの組み合わせの添加によって仕上げられ、所望のビール又は他の新製品の風味を作り出す。さらに、大麻、テルペン、カンナビノイド、合成カンナビノイド、マッシュルーム、ペヨーテ、及び風味と潜在的な生理的又は精神的変化反応の両方を提供するものを含む、他の化合物を添加することもできる。
【0012】
一実施形態では、本方法により、アルコール度数0%以上0.5%以下の製品よりも望ましい場合がある、アルコール度数0.0%の製品が製造される。また、発酵可能な原料と酵母との間の接触時間の合計と、混合物をエタノールの沸点(78.4℃)以上で保持する時間の長さとの組み合わせによって、完成品中のアルコールレベルを変化させることも可能である。これにより、不要なアルコールの蒸発を助けることができる。アルコール度数0.0%製品の製造後、規定量のアルコールを添加することも可能である。
【0013】
一実施形態では、酵母添加は、醸造所の「ホット」側で行われ、「コールド」側では行われない、すなわち、醸造所のほぼ室温で行われ、より低温の無菌発酵セラーでは行われない。酵母の種類は、伝統的なビール酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiae及びSaccharomyces uvarum)を含むことができるが、パン酵母、ワイン酵母、シャンパン酵母、蒸留酒酵母、及び任意の他の種類の家畜用酵又は工業用酵母、及びこれらの組み合わせなどの、他の種類の酵母を含むこともできる。糖を発酵できない他の微生物も使用でき、S.ludwigii、Pichia kluyveri、Zygosaccharomyces rouxii及びTorula delbrueckii並びにこれらの組み合わせを含むことができる。
【0014】
他の生物からの遺伝子及び形質を有する、遺伝子組換えされた又は古典的に組換えられた酵母又は他の微生物はまた、このプロセスにおいて教示される。
【0015】
酵母の添加は、比較的大量に添加され、したがって存在する可能性のある他の微生物と競合するため、無菌又は非無菌条件下で行われる。混合物は、殺菌のために煮沸される。
【0016】
酵母を使用して、発酵セラーで通常行われるような、低温、無菌、無酸素条件下ではなく、適切な曝気及び温度で、アルデヒドの風味(望ましくない「麦っぽい」風味の一因)を減少させる。一実施形態では、酵母、又は酵母と他の微生物との混合物を使用して、飲料製品の風味、香り、口当たり、又は舌触りを変化させる。酵母が生成する風味化合物には、酢酸イソアミル、酢酸フェネチル、及び酢酸アミルなどのエステルが含まれるが、これらはいずれも沸点が100℃を超えるため、一般的な醸造や煮沸の手順では、煮沸除去(蒸発)されない。これらのエステルは、完成品に残り、ビールのような風味と香りを提供する。さらに、酵母が煮沸されると、この単細胞微生物は破裂し、放出されたアミノ酸と小さなタンパク質が、アルコールを含む伝統的な発酵ビールに似た、良好な口当たり、舌触り、及びコクを提供する。
【0017】
「口当たり」(舌触り又は豊かさ)は、アルコールビールの本格的な口当たりをシミュレートするために、タンパク質性ペプチドを追加的に含有させることによって制御される。
【0018】
煮沸プロセスは、酵母を死滅させるため、あらゆる種類の酵母又は微生物を使用することができる。対照的に、典型的な醸造所は、使用する可能性のある優勢な酵母株との交差汚染を恐れて、外来酵母又は野生酵母を醸造施設に持ち込むことに反対することが多い。一実施形態では、本プロセスは、醸造プロセスに対する酵母株の汚染の脅威を除去する。
【0019】
コク及び甘味は、あらゆるビアスタイルのコク及び甘味をエミュレートするように調整することができる。
【0020】
プロセス全体が迅速であり、従来のノンアルコール麦芽飲料の製造が1週間以上6週間以下であるのに対し、1日で完成品を製造することができる。
【0021】
完成品にアルコールを添加することも可能であり、その結果、従来のアルコール含有製品が短時間で製造される。
【0022】
消費後のアルコールの生理的温熱効果は、醸造混合物にホースラディッシュなどのアブラナ科の植物を添加することによって導入される、少量のアリルイソチオシアネートを使用することによってエミュレートされる。一実施形態では、生理的温熱効果は、ショウガやグレインズ・オブ・パラダイスなどのショウガ科の植物から天然又は合成のジンゲロール、ショウガオール、パラドール又はジンゲロンを添加するなどの、他の天然及び人工的な手段によってもたらされる。
【0023】
定義
本明細書で使用する場合、「コク」という用語は、飲料の風味の豊かさを指す。水っぽい又は特徴のないものから、満腹感を与えるもの又は濃厚なものまで、様々な表現がある。
【0024】
本明細書で使用する場合、「超高温」という語句は、75℃以上100℃以下の間のマッシング温度を指す。一実施形態では、マッシング温度は、75℃以上85℃以下の範囲である。一実施形態では、マッシング温度は、80℃以上100℃以下の範囲である。一実施形態では、マッシング温度は、76℃以上86℃以下の範囲である。一実施形態では、超高温は80℃を指す。マッシング温度とは、マッシング及び/又は麦芽に固有の酵素活性を最適化するのに必要な温度を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「アルデヒド含有量」という語句は、完成品中に存在するアルデヒドの量を指す。アルデヒド含有量は、官能的閾値未満に減少する。これは、当該分野で周知の用語である。
【0026】
本明細書で使用する場合、「酵母暴露」という語句は、酵母細胞が有機基質を代謝することを可能にすることを指す。
【0027】
本明細書で使用する場合、「口当たり」という用語は、飲料の舌触り属性、すなわち口の中で触感を生じるものを指す。
【0028】
本明細書で使用する場合、「シミュレートしたアルコールの温熱」という語句は、アルコール飲料が人体の熱受容体に及ぼす影響を模倣するための様々な化合物の使用を指す。
【0029】
本明細書で使用する場合、「ホップオイル」という語句は、ホップの花又は球果から抽出された精油を指す。
【0030】
本明細書で使用する場合、「ホップ溶液」という語句は、液体エキス又は乾燥ホップ粉末又は乾燥ホップペレット又は天然ホップフラワーを指す。
【0031】
本明細書で使用する場合、「アルコールの添加」という語句は、アルコール飲料又は低アルコール飲料を作製するために、アルコール、粉末アルコール又は高アルコール含有液体を完成品に添加することを指す。さらに、酵母暴露(酵母が香料及びアルコールを生成している時間)を制御することによって、アルコールを添加することができ、暴露時間を長くすると、より多くの香料と少量のアルコールが生成される。この場合、アルコールの蒸発と損失を最小限に抑えるために、煮沸時間とのバランスをとる。
【0032】
本明細書で使用する場合、%真性エキス(%RE)という語句は、飲料の比重(gravity)の尺度であり、比重は、混合物中に存在する固形物(これには、発酵可能な糖が含まれる)の量を指す。REは、重量/重量比で表され、w/wは、飲料中の溶解固形物の含有量を表す。
【0033】
本明細書で使用する場合、デキストロース当量(DE)という語句は、混合物中に存在する単糖及び二糖のパーセントを指し、相対的な甘味に関連する。
【0034】
本明細書で使用する場合、部分的に発酵させたという語句は、好気性呼吸を受けている酵母によって生成された混合物を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、0%アルコールという語句は、0%アルコール、一実施形態では0.0%アルコール、一実施形態では0.00%アルコール、一実施形態では0.01%以上0.49%以下のアルコールを意味し、一実施形態では、0%は、アルコールが検出されないアルコール・タバコ税貿易局(TTB)又は他の政府機関によって決定されるアルコールフリーを意味し、アルコールは検出されないが、一実施形態では、0.01%以上0.5%未満はノンアルコールとみなされ、アルコールは、アントンパール社製の測定器又はその他の業界標準によって、体積に対する体積率でアルコール度数を測定する。あるいは、重量対重量で測定することもできる。アルコール度数は、ABVと呼ばれる。
【0036】
本明細書で使用する場合、酵母という用語は、真菌類のメンバーとして分類される真核の単細胞微生物を指す。
【0037】
本明細書で使用する場合、モルトエキスという用語は、発芽穀物から抽出された糖類を指す。
【0038】
本明細書で使用する場合、混合という用語は、振盪又は撹拌(agitating)による撹拌(stirring)を指す。
【0039】
本明細書で使用する場合、曝気という用語は、混合又は混合物中の空気若しくは酸素のバブリングなどの手段による空気の添加を指す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
アルコール度数0%のビールのような麦芽飲料を製造するための1つの方法が記載されており、本方法は、酵母による部分発酵を伴う麦芽ベースを構築する工程と、モルトエキス及びマルトデキストリンを混ぜることによって麦芽ベースのコク及び甘味を制御する工程と、を含む。工程1は、モルトエキス(乾燥又は液体)と、水と酵母の混合物を混ぜることからなる。これを撹拌し、31℃で4時間曝気する。工程2は、マルトデキストリン、水、乳酸、ホップ溶液を添加して、モルトエキス及びマルトデキストリンについて所望の%REを達成することからなる。モルトエキス及びマルトデキストリンの総重量は、エミュレートするアルコールビールの%真性エキスに基づいて計算される。一般的なビールの仕上がりREは、0.5%w/w以上10%w/w以下であり、w/wは、ビール中の溶解固形分を表す。例えば、8%w/w REは、100gの液体製品に8gのモルトエキスとマルトデキストリンを必要とする。ライトビールのREは、0.5%w/w以上2%w/w以下である。ラガービールやウィートタイプのビールのREは、3%w/w以上6%w/w以下である。ノンアルコール又はアルコールフリーの小麦タイプのビールは、5.4%w/wのREを目標としている。インディア・ペールエール(IPA)と重めのビールのREは、4%w/w以上8%w/w以下である。ノンアルコール又はアルコールフリーのIPAは、7.5%w/wのREを目標としている。これらのRE量を目標にすることによって、モルトエキスとマルトデキストリンの混合物を用いて、所望のビールのコクを再現することができる。
【0041】
記載された一実施形態では、REは、75℃以上85℃以下、最高100℃の超高マッシング温度を使用する全麦芽醸造プロセスにおいて制御される。一実施形態では、醸造者のマッシュ混合物は、水及び麦芽を含む。一実施形態では、さらに、麦芽付き又は麦芽なしの小麦(20%以上60%以下)、オーツ麦(1%以上10%以下)、米(10%以上60%以下)、トウモロコシ(10%以上60%以下)、ライ麦(1%以上5%以下)、ライ小麦(5%以上20%以下)、又はアマランサス、キヌア、ソルガム、テフ、及びスペルトなどの、いわゆる「古代」穀物を含む、他の穀物を含む。一実施形態では、古代穀物は、1%以上50%以下添加される。全ての添加は、全マッシング重量に対する重量パーセントで添加される。一実施形態では、デンプンをデキストリン質(未発酵の長鎖糖)と組み合わせて添加する。マッシングプロセスの間、マッシュ混合物は、煮沸する前に75℃以上の温度に加熱される。一実施形態では、マッシングプロセスの温度は、75℃以上100℃以下の範囲である。一実施形態では、低い発酵性及び最適なコクを有するREを製造するために、80℃を使用する。一実施形態では、マッシュ混合物を20分間加熱する。一実施形態では、マッシュ混合物を15分間以上20分間以下加熱する。一実施形態では、マッシュ混合物を20分間以上25分間以下加熱する。一実施形態では、マッシュ混合物を25分間以上30分間以下加熱する。一実施形態では、マッシュ混合物を30分間以上35分間以下加熱する。一実施形態では、マッシュ混合物を35分間以上40分間以下加熱する。
【0042】
完成品の甘味は、特定のデキストロース当量(DE)を目標にするために、モルトエキス(他の単糖を含むか含まないか)とマルトデキストリン、又は他のデキストリン原料の比率によって制御される。DEとは、単糖類と二糖類の割合であり、相対的な甘味に関係する。モルトエキスは、相対甘味度の高い単糖を多く含む(すなわち、DEが高い)。逆に、マルトデキストリンは、相対甘味度の低い単糖を少なく含む(すなわち、甘くない)。モルトエキスとマルトデキストリンの比率は、任意である。一実施形態では、ライト(ビール)飲料は、約0.5%w/w以上約2%w/w以下のREと約0.5%w/w以上約2%w/w以下のDEの比率を有する。一実施形態では、IPAスタイル(ビール)飲料は、約4%w/w以上約8%w/w以下のREと約3%w/w以上約6%w/w以下のDEの比率を有する。一実施形態では、小麦スタイル(ビール)飲料は、約3%w/w以上約6%w/w以下のREと約2%w/w以上4%w/w以下のDEの比率を有する。
【0043】
一実施形態では、本方法は、酵母暴露によりアルデヒドを減少させることを含む。未発酵ビール(「麦汁」とも呼ばれる)には、アルデヒドと呼ばれる風味活性化合物が多量に存在し、これがノンアルコールビールに存在すると、良くない風味をもたらす。アルデヒドは、モルトエキス画分に存在し、マルトデキストリン画分には存在しない。一実施形態では、ベースの麦芽画分のみを酵母及び水と混合し、0.01時間以上5時間以下又はそれ以上室温で保持して、アルデヒドをその風味の閾値未満に減少させる。一実施形態では、ベースの麦芽画分を酵母及び水と混合し、室温で3時間以上4時間以下保持する。一実施形態では、ベースの麦芽画分を酵母及び水と混合し、室温で2時間以上4時間以下保持する。一実施形態では、ベースの麦芽画分をイースト及び水と混合し、室温で4時間保持する。一実施形態では、マルトデキストリン、又は他のデキストリン原料画分がこの工程で添加される。この混合物は、ビール酵母を含み、0℃以上35℃以下の温度範囲で保持される。一実施形態では、温度範囲は28℃以上35℃以下である。一実施形態では、温度範囲は31℃以上32℃以下である。一実施形態では、35℃を超える温度で非醸造用酵母株が使用される。一実施形態では、追加の酵母株としては、パン酵母、ワイン酵母、シャンパン酵母、蒸留酒酵母、及び任意の他の種類の家畜用酵母又は工業用酵母が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、特定の糖を発酵させることができない微生物をさらに使用し、Saccharomycodes ludwigii、Pichia kluyveri、Zygosaccharomyces rouxii、及びTorula delbrueckiiを含むことができる。
【0044】
一実施形態では、遺伝子組換え酵母又は古典的に組換えられた酵母、又は他の生物からの遺伝子及び形質を有する他の微生物が使用される。
【0045】
一実施形態では、麦汁混合物中の良くない風味の化合物を減少させる働きをする他の微生物が使用される。
【0046】
一実施形態では、良くない風味を減少又は除去するために、酵母又は他の微生物の存在により、エステル及び高級アルコール(炭素原子数が3個以上のアルコール)などの風味有益成分が生成される。これらの風味有益成分の多くは、従来の醸造所で沸騰が起こる温度である100℃よりも高い沸点を持つため、煮沸工程を乗り越えて完成品中に存在する。これらの風味有益成分は、完成品の完成されたビールの風味を引き立てる。常に撹拌することで曝気と酸素を供給し、酵母が活性化して嫌気的又は好気的に増殖するため、この間のアルコール生成を最小限に抑えることができる。酵母の好気性増殖は、エステル香味化合物を更に生成し、アルデヒドの生成を防ぐ。曝気はまた、混合物を通して空気又は酸素をバブリングするなどの他の手段によっても達成できる。一実施形態では、不飽和植物油などの不飽和脂肪酸が豊富な溶液を使用して、酵母又は他の微生物に栄養を与える。この混合物は、煮沸されるため、無菌である必要はなく、無菌技術を使用する場合もある。保持時間後、酵母入り麦芽画分を、先に調製した上述のマルトデキストリン溶液に適切なRE濃度で添加し、混合物を0.1分以上煮沸して酵母を失活させ、生成する可能性のあるアルコールを煮沸(蒸発)除去し、溶液を滅菌する。一実施形態では、煮沸工程は、製品中の所望の最終アルコールレベルに応じて、0%から0.49%を超える範囲の所望のアルコール量を生成するように制御される。一実施形態では、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)によってアルコール度数が0.5以上2.5%以下と定義される低アルコールビール製品が、この製法で製造される。一実施形態では、醸造者は、製品が「ビール」と呼ばれるために、又は製品が要求される製品表示の点である政府機関(例えば、食品医薬品局)又は別の政府機関(例えば、TTB)の管轄下で、実証されたアルコールの製造が行われなければならない場合にアルコール発酵を行えることを、必要であれば実証することができる。
【0047】
一実施形態では、エキスのpHは、制御される。乳酸又は他の食品グレードの酸、例えばクエン酸、リン酸、又はLactobacillus delbrueckii、L.brevis、L.acidophilus、L.lactis、Pediococcus damnosus(以前はP.cerevisiaeと呼ばれ、現在はP.acidilacticiとして分類されている)などの酸産生細菌、酸性化麦芽、又は他の酸性化原料若しくは材料を使用した酸性調製物を使用して、pHを約3.0以上約6.5以下の範囲にある、完成したビールのpHまで低下させる。
【0048】
一実施形態では、「口当たり」は、タンパク質性ペプチドの添加によって制御される。口当たりは、ビールの舌触り属性として定義される。これは、酵母と麦芽の混合物を煮沸して、酵母細胞を死滅させ、溶解させ、酵母オリゴペプチド及びポリペプチドを放出させ、それによって製品の口当たりを改善することによって制御される。ペプチドは、オリゴペプチド(長さ2個以上20個以下のアミノ酸)及び最大約50個のアミノ酸のポリペプチドからなることができる。約50個のアミノ酸より大きいペプチドは、タンパク質として知られており、一般に醸造工程の煮沸工程には耐えられない。一実施形態では、ペプチドは、天然、化学的又は酵素的に、より大きなタンパク質の分解によって添加される。
【0049】
一実施形態では、発酵製品の調製物を添加して、最終的なノンアルコールビール製品をタンパク質性ペプチドで濃縮する。一実施形態では、これらの製品は、発酵させるための、アスペルギルス属などのカビ、又は既存の糖を乳酸に分解するための、ラクトバチルス属などの細菌を使用する、醤油(発酵小麦又は大豆)を含む。典型的に、口当たりを改善するために、1Lあたり0.1mLから50mL以上の範囲の発酵製品を使用する。一実施形態では、ノンアルコール(ビール)飲料における使用量は、1L当たり1mL以上5mL以下であり、好ましい使用量は、1L当たり3mLである。一実施形態では、低アルコール(ビール)飲料における使用量は、1L当たり1mL以上5mL以下であり、一実施形態における使用量は、1L当たり3mLである。一実施形態では、発酵製品である味噌、タウコ、コンブチャ由来のタンパク質性ペプチドが添加される。
【0050】
アルコールの「熱」をエミュレートするための一実施形態では、少量のアリルイソチオシアネートを、混合物に添加する。これは、合成又は単離されたアリルイソチオシアネートを添加することによって、又はこの化合物を含む少量の植物材料を添加することによって導入することができる。一実施形態では、古典的には十字花科(アブラナ科)と呼ばれ、ホースラディッシュ、カラシの種、カブ、ルタバガ、キャベツ、コールラビ、芽キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、及びケールを含む、アブラナ科の植物を添加する。ワサビ(ホースラディッシュとカラシの種から作られる)などの、これらの植物から作られる食品が使用される。1L当たり0.1μgから1000μg以上の範囲で使用して、アルコールの温熱と同様の熱反応を誘導することができる。一実施形態では、1L当たり約100μgを添加することで、アルコールに似た穏やかな温熱効果が得られる。植物又は食品は、所望のレベルの温熱効果を得るために、煮沸後の任意の時点でマッシュ混合物に添加される。アリルイソチオシアネートの沸点は、151℃であるため、溶液中に留まり、麦汁を100℃で煮沸させても蒸発することはない。アリルイソチオシアネートの一時的な熱は、唐辛子のカプサイシンの焼けるような余韻とは異なる。温熱効果はまた、ショウガやグレインズ・オブ・パラダイスなどの、ショウガ科の植物から得られるジンゲロール、ショウガオール、パラドール、又はジンゲロンの添加などの、他の天然及び人工的な手段によってエミュレートすることができる。
【0051】
IPAを製造するための一実施形態では、苦味及び他の風味付けのために、適切なホップオイル又はエキスが添加される。ホップオイル及びエキスは、非常に濃縮されていてもよく、オイル又はエキスの元の濃度に応じて、1L当たり0.01μgから100mg以上が使用することができる。一実施形態では、製品は、1L当たり0.01gから1000グラム超を使用して、ホップペレットなどのホップ原料でドライホッピングされる。一実施形態では、所望のビアスタイルをエミュレートするために、特殊麦芽が添加される。これらは濃縮エキスとして、又は粉砕麦芽として添加することができる。添加量は、1L当たり0.01gから1L当たり1000g超とすることができる。小麦麦芽は、小麦ビールの風味のために添加することができる。一実施形態では、スタウトビールに関連する風味のために、ロースト麦芽が添加される。一実施形態では、アンバーエールなどに関連する風味のために、カラメル麦芽が添加される。一実施形態では、天然香料及び人工香料が完成品に添加され、他の所望のビアスタイルや、セルツァーやコンブチャなどの新製品が作られる。一実施形態では、ハーブ、スパイス、茶、カフェイン、ビタミン及びミネラルサプリメント、メラトニン、ジュース、カンナビス、テルペン、カンナビノイド、合成カンナビノイド、シロシビンマッシュルーム、ペヨーテ、アヤワスカ、メスカリン、及び香味又は生理的及び精神的な変化反応を提供する他の品目などの原料が、完成品に添加される。一実施形態では、完成品は、所望のレベルまで炭酸化され、包装され、低温殺菌される。一実施形態では、炭酸は、約1.5vol/vol CO2の自然レベルから3.0vol/vol CO2を超える非常に高いレベルまでの範囲にある。
【0052】
一実施形態では、炭酸化方法は、自然炭酸飽和又は強制炭酸飽和のいずれかである。自然炭酸飽和は、酵母が発酵している短い時間の間に起こる。強制炭酸飽和は、1.5vol/volから3.0vol/vol又はそれ以上の範囲で、2.7の目標レベルを達成するために使用することができる。
【0053】
一実施形態では、記載されたプロセスによって製造されたノンアルコール製品は、アルコールの添加によってアルコール製品にされる。これは、アルコールを含有する製品、又は発酵させた高アルコール含有製品(高アルコールビール若しくはワインなど)、又は粉末アルコール製品を添加することによって達成される。このようにして作られた製品は、ビール、ワイン、コンブチャ、ハードセルツァーなど、伝統的に作られてきた製品に似ている。このプロセスでは、従来の1週間から6週間以上という時間枠に比べ、通常12時間未満という迅速な時間枠でアルコール飲料を製造できるため、コスト、労働力、材料の大幅な節約につながる。
【0054】
1つの一般的な態様は、飲料を製造するための方法を含む。本方法はまた、モルトエキス、水及び酵母を混合すること、混合物を30℃以上35℃以下で2時間以上5時間以下曝気すること、混合物にマルトデキストリン、水、乳酸及びホップ溶液を添加すること、煮沸する温度まで加熱すること、次いで冷却すること、を含む。
【0055】
実施態様は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。飲料のアルコール含有量が0%である方法。モルトエキス及びマルトデキストリンの量を調整して、前記飲料のコク及び甘味を変化させる。マルトデキストリンの添加後、ホップ、スパイス、ハーブ、特殊麦芽、又はこれらの組み合わせを含むことができる他の原料を添加する。アルコール含有量は、加熱前、加熱後、又はその両方で評価される。前記飲料のアルデヒド含有量及び/又は風味有益成分は、製造中に酵母による部分発酵を可能にすることによって制御される。前記飲料の口当たりは、タンパク質性ペプチドの添加によって制御される。マルトデキストリン(maltodextran)の添加後、アリルイソチオシアネート、ジンゲロール、ショウガオール、パラドール及びジンゲロンの群から選択される材料を添加する。前記飲料の風味は、ホップオイル、ホップエキス、特殊麦芽、天然香料、人工香料及びこれらの組み合わせを含むことができる群から選択される材料の添加によって変化する。前記飲料の風味は、カフェイン、ビタミンサプリメント、ミネラルサプリメント、コンブチャ、ハーブ、茶、スパイス、ビール、ワイン、蒸留酒、テルペン、カンナビノイド、合成カンナビノイド、シロシビンマッシュルーム、ペヨーテ、アヤワスカ、メスカリン、及びこれらの組み合わせを含むことができる群から選択される材料の添加によって変化する。添加により、風味及び/又は生理的及び/又は精神に作用する反応が得られる。アルコールを麦芽飲料に添加し、従来の方法や発酵よりも短時間でアルコールビール、ワイン、又は蒸留酒を製造する。飲料の製造方法には、麦芽と水を混合し、少なくとも75℃で20分間(15~40分間固定)加熱し、酵母を添加し、少なくとも30℃で3時間曝気し、請求項1に記載の加熱から煮沸まで必要なスペックに幅を持たせ、その後(スペックに60分間追加)冷却すること、を含むことができる。飲料のアルコール含有量は、0%である。第1の加熱工程は、前記飲料のコク及び甘味を変化させるために、時間及び温度を調整する。第1の加熱工程に続いて、ホップ、スパイス、ハーブ、特殊麦芽、又はこれらの組み合わせを含むことができる他の原料を添加する。アルコール含有量は、加熱前、加熱後、又はその両方で評価される。前記飲料のアルデヒド含有量及び/又は風味有益成分は、製造中に酵母による部分発酵を可能にすることによって制御される。前記飲料の口当たりは、タンパク質性ペプチドの添加によって制御される。第1の加熱工程に続いて、アリルイソチオシアネート、ジンゲロール、ショウガオール、パラドール及びジンゲロンを含むことができる群から選択される材料を添加する。前記飲料の風味は、ホップオイル、ホップエキス、特殊麦芽、天然香料、人工香料及びこれらの組み合わせを含むことができる群から選択される材料の添加によって変化する。前記飲料の風味は、カフェイン、ビタミンサプリメント、ミネラルサプリメント、コンブチャ、ハーブ、茶、スパイス、ビール、ワイン、蒸留酒、テルペン、カンナビノイド、合成カンナビノイド、シロシビンマッシュルーム、ペヨーテ、アヤワスカ、メスカリン、及びこれらの組み合わせを含むことができる群から選択される材料の添加によって変化する。添加により、風味及び/又は生理的及び/又は精神に作用する反応が得られる。
【実施例】
【0056】
実施例1
【表1】
40ガロンの80℃のお湯でマッシングし、80℃で30分間保持する。
80℃のお湯でブリューケトルに注ぎ、穀物をスパージする。
31℃まで冷却する。
酵母を添加し、曝気し、31℃で4時間混合する。
乳酸を添加する。
ホップを添加する。
温度を上げて沸騰させ、60分間煮沸する。
ホップ、オレンジピール、及びコリアンダーを添加する。
必要であれば、ワールプール又はフィルターで清澄する。
4℃でタンクに移し、5.0~6.0℃P、pHは4.15以上4.35以下にしなければならない。
濾過し、炭酸化し、包装する。
【0057】
実施例2
【表2】
穀物及びモルトエキスを40ガロンの31℃の水と混合する。
酵母を添加し、曝気し、31℃で4時間混合する。
乳酸を添加する。
ホップを添加する。
温度を上げて沸騰させ、60分間煮沸する。
ホップ、オレンジピール、及びコリアンダーを添加する。
必要であれば、ワールプール又はフィルターで清澄する。
4℃でタンクに移し、5.0~6.0℃P、pHは4.15以上4.35以下にしなければならない。
濾過し、炭酸化し、包装する。
【0058】
実施例3
【表3】
40ガロンの80℃のお湯でマッシングし、80℃で30分間保持する。
80℃のお湯でブリューケトルに注ぎ、穀物をスパージする。
31℃まで冷却する。
酵母を添加し、曝気し、31℃で4時間混合する。
乳酸を添加する。
ホップを添加する。
温度を上げて沸騰させ、60分間煮沸する。
ホップを添加する。
ワールプール又はフィルターで清澄する。
4℃でタンクに移し、6.5~7℃P、pHは4.15以上4.35以下にしなければならない。
ホップを乾燥させる。
濾過し、炭酸化し、包装する。
【0059】
実施例4
【表4】
モルトエキスを40ガロンの31℃の水と混合する。
酵母を添加し、曝気し、31℃で4時間混合する。
乳酸を添加する。
ホップを添加する。
温度を上げて沸騰させ、60分間煮沸する。
ホップを添加する。
ワールプール又はフィルターで清澄する。
4℃でタンクに移し、6.5~7℃P、pHは4.15以上4.35以下にしなければならない。
ホップを乾燥させる。
濾過し、炭酸化し、包装する。
【0060】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び組成物において様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】