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特表2024-506869NLRP3発現の異常に関連する疾患または障害を治療するためのMIRNA-485阻害剤の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】NLRP3発現の異常に関連する疾患または障害を治療するためのMIRNA-485阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240207BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240207BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240207BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240207BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20240207BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240207BHJP
   A61K 47/56 20170101ALI20240207BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240207BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61K45/00
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/113 Z
A61K31/7088
A61K48/00
A61K47/69
A61K9/127
A61K47/56
A61P11/00
A61P11/06
A61P37/08
A61P29/00
A61P25/00
A61P1/16
A61P1/00
A61P1/04
A61P37/06
A61P19/02
A61P37/02
A61P17/00
A61P5/14
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P13/12
A61P13/10
A61P9/10
A61P27/02
A61P15/00
A61P1/02
A61P3/00
A61P1/18
A61P27/16
A61P15/02
A61P11/04
A61P3/10
A61P19/06
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K39/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547411
(86)(22)【出願日】2022-02-05
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 IB2022051011
(87)【国際公開番号】W WO2022168007
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,518
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/146,519
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/146,523
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521564467
【氏名又は名称】バイオーケストラ カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リュ, ジン-ヒョブ
(72)【発明者】
【氏名】コ, ハン ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク, ヨン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ミン, ヒュン ス
(72)【発明者】
【氏名】リム, ユ ナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB24
4C076BB25
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC09
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC41
4C076DD51
4C076DD58
4C076EE06
4C076EE12
4C076EE16
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4C076EE24
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4C084MA56
4C084MA58
4C084MA59
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4C084ZA66
4C084ZA67
4C084ZA68
4C084ZA70
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA82
4C084ZA89
4C084ZA96
4C084ZB05
4C084ZB08
4C084ZB11
4C084ZB13
4C084ZB15
4C084ZB21
4C084ZC06
4C084ZC31
4C084ZC35
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4C086MA56
4C086MA58
4C086MA59
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4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA33
4C086ZA34
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4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA68
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA82
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB05
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZC06
4C086ZC31
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子発現レベルの増加に関連するものなど、肺疾患または肺障害、炎症性疾患または炎症性障害、及び/または代謝性疾患または代謝性障害を治療するためのmiRNA阻害剤の使用を含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、細胞内のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現を減少させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺疾患または肺障害の治療を必要とする対象の前記肺疾患または前記肺障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記miRNA阻害剤が、前記対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
肺疾患または肺障害に罹患した対象においてNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
前記対象の前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルが、参照対象(例えば、前記miRNA阻害剤の前記投与前の対象または前記miRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)の前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記肺疾患または前記肺障害が、前記対象のNLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルの増加に関連している、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記miRNA阻害剤が、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記インフラマソームが、NLRP3インフラマソームを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記miRNA阻害剤が、炎症を予防及び/または低減する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した肺疾患または肺障害の治療を必要とする対象の前記肺疾患または前記肺障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含み、前記miRNA阻害剤が前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルを減少させる、前記方法。
【請求項10】
前記肺疾患または前記肺障害が、喘息、アレルギー性気道炎症、外因性アレルギー性肺胞炎、花粉症、感染症(例えば、インフルエンザ感染)後の過剰炎症、珪肺、石綿肺、気管支拡張症、ベリリア症、タルコーシス、じん肺、閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、特発性肺線維症、肺炎、通常間質性肺炎(UIP)、落屑性間質性肺炎、肺炎、細気管支炎、気管支炎、リンパ性間質性肺炎、巨細胞性間質性肺炎、細胞性間質性肺炎、結核、嚢胞性線維症、気管支炎、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺高血圧症(例えば、特発性肺動脈高血圧症(IPAH)(原発性肺高血圧症(PPH)としても知られる)及び二次性肺高血圧症(SPH))、間質性肺疾患、肺水腫、気道の炎症、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
炎症性疾患または炎症性障害の治療を必要とする対象の前記炎症性疾患または前記炎症性障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
前記miRNA阻害剤が、前記対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
炎症性疾患または炎症性障害に罹患した対象においてNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
前記対象の前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルが、参照対象(例えば、前記miRNA阻害剤の前記投与前の対象または前記miRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)の前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記炎症性疾患または前記炎症性障害が、前記対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連している、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記miRNA阻害剤が、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減する、請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記インフラマソームが、NLRP3インフラマソームを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記miRNA阻害剤が、炎症を予防及び/または低減する、請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した炎症性疾患または炎症性障害の治療を必要とする対象の前記炎症性疾患または前記炎症性障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含み、前記miRNA阻害剤が前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルを減少させる、前記方法。
【請求項20】
前記炎症性疾患または前記炎症性障害が、多発性硬化症(MS)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、クリオピリン関連周期症候群(CAPS)、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(GvHD)、関節炎症、接触過敏症、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、類天疱瘡、橋本甲状腺炎、バセドウ病、グッドパスチャー病、皮膚筋炎)、リウマチ性多発筋痛(PMR)、腱炎、滑液包炎、乾癬、関節炎、巨細胞性動脈炎、進行性全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎(炎症性筋症)、天疱瘡、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性皮膚疾患、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症及び関連形態の血管炎(側頭動脈炎及び結節性多発動脈炎)、肝炎、遅発型過敏反応(ツタウルシ皮膚炎など)、脳炎、即時型過敏反応、花粉症、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血性損傷)、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、心内膜炎、子宮内膜炎、小腸炎、腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、線維症、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、中耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、尿嚢炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、及び外陰膣炎、血管炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、壊死性腸炎、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
代謝性疾患または代謝性障害の治療を必要とする対象の前記代謝性疾患または前記代謝性障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項22】
前記miRNA阻害剤が、前記対象のNLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルを減少させる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
代謝性疾患または代謝性障害に罹患した対象においてNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項24】
前記対象の前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルが、参照対象(例えば、前記miRNA阻害剤の前記投与前の対象または前記miRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)の前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する、請求項21または23に記載の方法。
【請求項25】
前記代謝性疾患または前記代謝性障害が、前記対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連している、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記miRNA阻害剤が、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減する、請求項21~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記インフラマソームが、NLRP3インフラマソームを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記miRNA阻害剤が、炎症を予防及び/または低減する、請求項21~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した代謝性疾患または代謝性障害の治療を必要とする対象の前記代謝性疾患または前記代謝性障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含み、前記miRNA阻害剤が前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルを減少させる、前記方法。
【請求項30】
前記代謝性疾患または前記代謝性障害が、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、痛風、肥満、I型糖尿病、II型糖尿病、またはそれらの組み合わせを含む、請求項21~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した疾患または障害の治療を必要とする対象の前記疾患または前記障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を前記対象に投与することを含み、前記miRNA阻害剤が前記NLRP3タンパク質及び/または前記NLRP3遺伝子のレベルを減少させる、前記方法。
【請求項32】
前記miRNA阻害剤が、NLRP3遺伝子の転写及び/またはNLRP3タンパク質の発現を減少させる、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
NLRP3遺伝子の転写及び/またはNLRP3タンパク質の発現の前記減少が、炎症の減少に関連している、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記対象の炎症が、参照対象(例えば、前記miRNA阻害剤の前記投与前の対象または前記miRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)の炎症と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記miRNA阻害剤がmiR-485-3pを阻害する、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記miR485-3pが、5’-gucauacacggcucuccucucu-3’(配列番号1)を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記miRNA阻害剤が、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)を含むヌクレオチド配列を含み、前記miRNA阻害剤が約6~約30ヌクレオチドの長さである、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記miRNA阻害剤が、前記ヌクレオチド配列の前記5’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記miRNA阻害剤が、前記ヌクレオチド配列の前記3’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記miRNA阻害剤が、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)、5’-GUGUAUGA-3’(配列番号3)、5’-CGUGUAUGA-3’(配列番号4)、5’-CCGUGUAUGA-3’(配列番号5)、5’-GCCGUGUAUGA-3’(配列番号6)、5’-AGCCGUGUAUGA-3’(配列番号7)、5’-GAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号8)、5’-AGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号9)、5’-GAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号10)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号11)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号12)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号13)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号14)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号15)、5’-UGUAUGAC-3’(配列番号16)、5’-GUGUAUGAC-3’(配列番号17)、5’-CGUGUAUGAC-3’(配列番号18)、5’-CCGUGUAUGAC-3’(配列番号19)、5’-GCCGUGUAUGAC-3’(配列番号20)、5’-AGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号21)、5’-GAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号22)、5’-AGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号23)、5’-GAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号24)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号25)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号26)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号27)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号28)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号29)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)からなる群から選択される配列を有する、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記miRNA阻害剤が、5’-TGTATGA-3’(配列番号62)、5’-GTGTATGA-3’(配列番号63)、5’-CGTGTATGA-3’(配列番号64)、5’-CCGTGTATGA-3’(配列番号65)、5’-GCCGTGTATGA-3’(配列番号66)、5’-AGCCGTGTATGA-3’(配列番号67)、5’-GAGCCGTGTATGA-3’(配列番号68)、5’-AGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号69)、5’-GAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号70)、5’-GGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号71)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号72)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号73)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号74)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号75)、5’-TGTATGAC-3’(配列番号76)、5’-GTGTATGAC-3’(配列番号77)、5’-CGTGTATGAC-3’(配列番号78)、5’-CCGTGTATGAC-3’(配列番号79)、5’-GCCGTGTATGAC-3’(配列番号80)、5’-AGCCGTGTATGAC-3’(配列番号81)、5’-GAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号82)、5’-AGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号83)、5’-GAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号84)、5’-GGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号85)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号86)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号87)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号88)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号89)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)からなる群から選択される配列を有する、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記miRNA阻害剤の配列が、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の配列同一性を有する、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記miRNA阻害剤が、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と少なくとも90%の類似性を有する配列を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記miRNA阻害剤が、1個の置換または2個の置換を有するヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記miRNA阻害剤が、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記miRNA阻害剤が、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記miRNA阻害剤が、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つの修飾ヌクレオチドが、ロックド核酸(LNA)、アンロックド核酸(UNA)、アラビノ核酸(ABA)、架橋核酸(BNA)、及び/またはペプチド核酸(PNA)である、請求項26に記載の方法。
【請求項49】
前記miRNA阻害剤が骨格修飾を含む、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記骨格修飾が、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)及び/またはホスホロチオエート(PS)修飾である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記miRNA阻害剤が、送達剤中で送達される、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記送達剤が、ミセル、エクソソーム、リピドイド、リポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、細胞外小胞、合成小胞、ポリマー化合物、ペプチド、タンパク質、細胞、ナノ粒子模倣体、ナノチューブ、コンジュゲート、ウイルスベクター、またはそれらの組み合わせを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記送達剤が、
[WP]-L1-[CC]-L2-[AM](式I)
または
[WP]-L1-[AM]-L2-[CC](式II)
(式中、
WPは、水溶性バイオポリマー部分であり、
CCは、カチオン性キャリア部分であり、
AMは、アジュバント部分であり、
L1及びL2は、独立して任意選択のリンカーである)を含むカチオン性キャリアユニットを含む、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
前記カチオン性キャリアユニットと前記単離ポリヌクレオチドとが、互いに混合される際に互いに結合してミセルを形成することができる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記結合が、共有結合によるものである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記結合が、非共有結合によるものである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記非共有結合が、イオン結合を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリグリセロール、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項53~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリグリセロール、またはポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)を含む、請求項53~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記水溶性ポリマーが、下式:
【化13】
(式中、nは、1~1000である)を含む、請求項53~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記nが、少なくとも約110、少なくとも約111、少なくとも約112、少なくとも約113、少なくとも約114、少なくとも約115、少なくとも約116、少なくとも約117、少なくとも約118、少なくとも約119、少なくとも約120、少なくとも約121、少なくとも約122、少なくとも約123、少なくとも約124、少なくとも約125、少なくとも約126、少なくとも約127、少なくとも約128、少なくとも約129、少なくとも約130、少なくとも約131、少なくとも約132、少なくとも約133、少なくとも約134、少なくとも約135、少なくとも約136、少なくとも約137、少なくとも約138、少なくとも約139、少なくとも約140、または少なくとも約141である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記nが、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約140~約150、または約150~約160である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記水溶性ポリマーが、直鎖状、分枝鎖状、または樹枝状である、請求項53~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記カチオン性キャリア部分が、1つ以上の塩基性アミノ酸を含む、請求項52~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記カチオン性キャリア部分が、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個、少なくとも約21個、少なくとも約22個、少なくとも約23個、少なくとも約24個、少なくとも約25個、少なくとも約26個、少なくとも約27個、少なくとも約28個、少なくとも約29個、少なくとも約30個、少なくとも約31個、少なくとも約32個、少なくとも約33個、少なくとも約34個、少なくとも約35個、少なくとも約36個、少なくとも約37個、少なくとも約38個、少なくとも約39個、少なくとも約40個、少なくとも約41個、少なくとも約42個、少なくとも約43個、少なくとも約44個、少なくとも約45個、少なくとも約46個、少なくとも約47個、少なくとも約48個、少なくとも約49個、または少なくとも約50個の塩基性アミノ酸を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記カチオン性キャリア部分が、約30個~約50個の塩基性アミノ酸を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記塩基性アミノ酸が、アルギニン、リシン、ヒスチジン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項64~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記カチオン性キャリア部分が、約40個のリシンモノマーを含む、請求項53~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記アジュバント部分が、免疫反応、炎症反応、及び/または組織微小環境を調節することができる、請求項53~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記アジュバント部分が、イミダゾール誘導体、アミノ酸、ビタミン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項53~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記アジュバント部分が、下式:
【化14】
(式中、G1及びG2のそれぞれは、H、芳香環、もしくは1~10アルキルであるか、またはG1とG2は一緒になって芳香環を形成し、nは1~10である)を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記アジュバント部分がニトロイミダゾールを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記アジュバント部分が、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、ジメトリダゾール、プレトマニド、オルニダゾール、メガゾール、アザニダゾール、ベンズニダゾール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記アジュバント部分が、アミノ酸を含む、請求項53~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記アジュバント部分が、下式:
【化15】
(式中、Arは、
【化16】
であり、
Z1及びZ2のそれぞれは、HまたはOHである)を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記アジュバント部分が、ビタミンを含む、請求項53~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記ビタミンが、環式環または環式ヘテロ原子環及びカルボキシル基またはヒドロキシル基を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記ビタミンが、下式:
【化17】
(式中、Y1及びY2のそれぞれは、C、N、O、またはSであり、nは1または2である)を含む、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンM、ビタミンH、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項70~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記ビタミンが、ビタミンB3である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記アジュバント部分が、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、または少なくとも約20個のビタミンB3を含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項82】
前記アジュバント部分が、約10個のビタミンB3を含む、請求項79~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記送達剤が、約120個~約130個のPEGユニットを有する水溶性バイオポリマー部分と、約30個~約40個のリシンを有するポリリシンを含むカチオン性キャリア部分と、約5個~約10個のビタミンB3を有するアジュバント部分と、を含む、請求項79~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記カチオン性キャリアユニットが、酵素分解から前記miRNA阻害剤を保護することができる、請求項53~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記miRNA阻害剤が、鼻腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脳室内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、腫瘍内投与、局所投与、またはそれらの任意の組み合わせで投与される、請求項1~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記送達剤が、ミセルである、請求項52に記載の方法。
【請求項87】
前記ミセルが、(i)約100個~約200個のPEGユニット、(ii)それぞれがアミン基を有する約30個~約40個のリシン、(iii)それぞれがチオール基を有する約15個~約20個のリシン、及び(iv)それぞれがビタミンB3に結合された約30個~約40個のリシンを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記ミセルが、(i)約120個~約130個のPEGユニット、(ii)それぞれがアミン基を有する約32個のリシン、(iii)それぞれがチオール基を有する約16個のリシン、及び(iv)それぞれがビタミンB3に結合された約32個のリシンを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記PEGユニットに標的化部分がさらに結合されている、請求項87または88に記載の方法。
【請求項90】
前記標的化部分が、LAT1標的化リガンドである、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記標的化部分が、フェニルアラニンである、請求項90に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年2月5日に出願された米国特許仮出願63/146,518号、2021年2月5日に出願された同第63/146,519号、及び2021年2月5日に出願された同第63/146,523号の利益を優先権の利益を主張するものであり、これらの各出願の全体を本明細書に参照によって援用するものである。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表の参照
本出願とともにASCIIテキストファイル(ファイル名:4366_043PC03_Seqlisting_ST25.txt、サイズ:79,344バイト、作成日:2022年2月4日)の形で提出される、電子的に提出される配列表の内容の全体を、参照によって本明細書に援用する。
【0003】
本開示は、疾患または障害、特にNLRP3発現の異常に伴うものを治療するためのmiR-485阻害剤(例えば、少なくとも1つのmiR-485結合部位を含むヌクレオチド分子をコードするポリヌクレオチド)の使用を提供するものである。
【背景技術】
【0004】
ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体(「NLR」)には、病原体関連分子パターン(「PAMP」)及び内因性分子を検出する細胞内受容体のファミリーが含まれる。NLRPは、パイリンドメインを含み、インフラマソームと呼ばれる多タンパク質複合体の形成に関与するNLRのサブファミリーを表す。これらの複合体には通常、1つまたは2つのNLRタンパク質、CARDドメイン(ASC)を有するアダプター分子アポトーシス関連スペック様タンパク質)(adapter molecule apoptosis associated speck-like containing a CARD domain)、及びプロカスパーゼ1が含まれる。例えば、NLRP3インフラマソームは、NLRP3足場、ASCアダプター、及びカスパーゼ1によって形成される。NLRP3インフラマソームは、さまざまな炎症促進性メディエーターの放出を誘導することにより、自然免疫に重要な役割を果たしている。したがって、NLRP3発現及び/または活性の異常は、肺疾患、炎症性疾患、代謝性疾患などの特定の疾患に関係していると考えられている。
【0005】
肺疾患は世界的に重要な健康上の課題となっている。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、急性下気道感染症、及び結核(TB)などの肺疾患は、全世界で重篤な病気及び死亡の最も一般的な原因の一つである。現在の治療選択肢(気管支拡張薬、ステロイド、酸素療法、呼吸リハビリテーションなど)の有効性は限定的であり、多くの場合、根本的な症状に対処するのみである。同様に、代謝性疾患(例えば、肥満や糖尿病など)は依然として全世界の人類の健康と福祉に対する最大の脅威の1つである。代謝性疾患に対する効果的な治療法は未だ存在していない。現在の治療選択肢(例えば、血圧、コレステロール、血糖値、食事及び/またはライフスタイルの変更を制御するための薬剤)は、代謝性疾患に関連する基礎的な症状に対処することのみに重点を置いている。同様に、炎症性疾患の場合、現在の治療選択肢(例えば、抗炎症薬、コルチコステロイド、ライフスタイルの変更、または炎症によるダメージが過剰な場合の手術)は、炎症性疾患に関連する基礎的な症状に対処することに主に重点を置いている。したがって、これらの疾患(例えば、肺疾患、炎症性疾患、代謝性疾患)を治療するための新規かつより効果的なアプローチが待望されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、肺疾患または肺障害の治療を必要とする対象の肺疾患または肺障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを低下させる。
【0007】
本明細書では、肺疾患または肺障害に罹患した対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0008】
いくつかの態様では、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルが、参照対象(例えば、miRNA阻害剤の投与前の対象、またはmiRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0009】
いくつかの態様では、治療可能な肺疾患または肺障害は、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加と関連している。いくつかの態様では、肺疾患または肺障害には、喘息、アレルギー性気道炎症、外因性アレルギー性肺胞炎、花粉症、感染症(例えば、インフルエンザ感染)後の過剰炎症、珪肺、石綿肺、気管支拡張症、ベリリア症、タルコーシス、じん肺、閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、特発性肺線維症、肺炎、通常間質性肺炎(UIP)、落屑性間質性肺炎、肺炎、細気管支炎、気管支炎、リンパ性間質性肺炎、巨細胞性間質性肺炎、細胞性間質性肺炎、結核、嚢胞性線維症、気管支炎、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺高血圧症(例えば、特発性肺動脈高血圧症(IPAH)(原発性肺高血圧症(PPH)としても知られる)及び二次性肺高血圧症(SPH))、間質性肺疾患、肺水腫、気道の炎症、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0010】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減する。いくつかの態様では、インフラマソームはNLRP3インフラマソームを含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は炎症を防止及び/または低減する。
【0011】
本明細書では、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した肺疾患または肺障害の治療を必要とする対象の肺疾患または肺障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含み、miRNA阻害剤がNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる、方法を提供する。
【0012】
本明細書では、炎症性疾患または炎症性障害の治療を必要とする対象の炎症性疾患または炎症性障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを低下させる。
【0013】
本明細書ではまた、炎症性疾患または炎症性障害に罹患した対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0014】
いくつかの態様では、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルが、参照対象(例えば、miRNA阻害剤の投与前の対象、またはmiRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0015】
いくつかの態様では、炎症性疾患または炎症性障害は、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加と関連している。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減する。いくつかの態様では、インフラマソームはNLRP3インフラマソームを含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は炎症を防止及び/または低減する。
【0016】
本明細書では、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した炎症性疾患または炎症性障害の治療を必要とする対象の炎症性疾患または炎症性障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含み、miRNA阻害剤がNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる、方法を提供する。
【0017】
いくつかの態様では、炎症性疾患または炎症性障害には、多発性硬化症(MS)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、クリオピリン関連周期症候群(CAPS)、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(GvHD)、関節炎症、接触過敏症、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、類天疱瘡、橋本甲状腺炎、バセドウ病、グッドパスチャー病、皮膚筋炎)、リウマチ性多発筋痛(PMR)、腱炎、滑液包炎、乾癬、関節炎、巨細胞性動脈炎、進行性全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎(炎症性筋症)、天疱瘡、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性皮膚疾患、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症及び関連形態の血管炎(側頭動脈炎及び結節性多発動脈炎)、肝炎、遅発型過敏反応(ツタウルシ皮膚炎など)、脳炎、即時型過敏反応、花粉症、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血性損傷)、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、線維症、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、中耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、尿嚢炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、及び外陰膣炎、血管炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、壊死性腸炎、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0018】
本明細書ではまた、代謝性疾患または代謝性障害の治療を必要とする対象の代謝性疾患または代謝性障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miRNA阻害剤」)を対象に投与することを含む、方法も提供される。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを低下させる。
【0019】
本明細書では、代謝性疾患または代謝性障害に罹患した対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0020】
いくつかの態様では、代謝性疾患または代謝性障害に罹患した対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルが、参照対象(例えば、miRNA阻害剤の投与前の対象、またはmiRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0021】
いくつかの態様では、代謝性疾患または代謝性障害は、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加と関連している。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減する。いくつかの態様では、インフラマソームはNLRP3インフラマソームを含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は炎症を防止及び/または低減する。
【0022】
本明細書では、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した代謝性疾患または代謝性障害を治療する必要のある対象のそのような代謝性疾患または代謝性障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、対象のNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを低下させる。
【0023】
いくつかの態様では、代謝性疾患または代謝性障害には、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、痛風、肥満、I型糖尿病、II型糖尿病、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0024】
本明細書では、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した疾患または障害の治療を必要とする対象のそのような疾患または障害を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(miRNA阻害剤)を対象に投与することを含み、miRNA阻害剤がNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる、方法を提供する。
【0025】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、NLRP3遺伝子の転写及び/またはNLRP3タンパク質の発現を減少させる。特定の態様では、NLRP3遺伝子の転写及び/またはNLRP3タンパク質の発現の減少は、炎症の減少と関連している。いくつかの態様では、miRNA阻害剤の投与後に、対象の炎症は、参照対象(例えば、miRNA阻害剤の投与前の対象またはmiRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)の炎症と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0026】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、miR485-3pを阻害する。いくつかの態様では、miR485-3pは、5’-gucauacacggcucuccucucu-3’(配列番号1)を含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)を含むヌクレオチド配列を含み、miRNA阻害剤は約6~約30ヌクレオチドの長さである。
【0027】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、ヌクレオチド配列の5’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、ヌクレオチド配列の3’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む。
【0028】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)、5’-GUGUAUGA-3’(配列番号3)、5’-CGUGUAUGA-3’(配列番号4)、5’-CCGUGUAUGA-3’(配列番号5)、5’-GCCGUGUAUGA-3’(配列番号6)、5’-AGCCGUGUAUGA-3’(配列番号7)、5’-GAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号8)、5’-AGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号9)、5’-GAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号10)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号11)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号12)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号13)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号14)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号15)、5’-UGUAUGAC-3’(配列番号16)、5’-GUGUAUGAC-3’(配列番号17)、5’-CGUGUAUGAC-3’(配列番号18)、5’-CCGUGUAUGAC-3’(配列番号19)、5’-GCCGUGUAUGAC-3’(配列番号20)、5’-AGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号21)、5’-GAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号22)、5’-AGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号23)、5’-GAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号24)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号25)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号26)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号27)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号28)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号29)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)からなる群から選択される配列を有する。
【0029】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-TGTATGA-3’(配列番号62)、5’-GTGTATGA-3’(配列番号63)、5’-CGTGTATGA-3’(配列番号64)、5’-CCGTGTATGA-3’(配列番号65)、5’-GCCGTGTATGA-3’(配列番号66)、5’-AGCCGTGTATGA-3’(配列番号67)、5’-GAGCCGTGTATGA-3’(配列番号68)、5’-AGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号69)、5’-GAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号70)、5’-GGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号71)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号72)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号73)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号74)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号75)、5’-TGTATGAC-3’(配列番号76)、5’-GTGTATGAC-3’(配列番号77)、5’-CGTGTATGAC-3’(配列番号78)、5’-CCGTGTATGAC-3’(配列番号79)、5’-GCCGTGTATGAC-3’(配列番号80)、5’-AGCCGTGTATGAC-3’(配列番号81)、5’-GAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号82)、5’-AGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号83)、5’-GAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号84)、5’-GGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号85)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号86)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号87)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号88)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号89)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)からなる群から選択される配列を有する。
【0030】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤の配列は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の配列同一性を有する。特定の態様では、miRNA阻害剤は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と少なくとも90%の類似性を有する。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、1個の置換または2個の置換を有するヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)を含む。
【0031】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、ロックド核酸(LNA)、アンロックド核酸(UNA)、アラビノ核酸(ABA)、架橋核酸(BNA)、及び/またはペプチド核酸(PNA)である。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、骨格修飾を含む。特定の態様では、骨格修飾は、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)及び/またはホスホロチオエート(PS)修飾である。
【0032】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、送達剤中で送達される。いくつかの態様では、送達剤は、ミセル、エクソソーム、リピドイド、リポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、細胞外小胞、合成小胞、ポリマー化合物、ペプチド、タンパク質、細胞、ナノ粒子模倣体、ナノチューブ、コンジュゲート、ウイルスベクター、またはそれらの組み合わせを含む。
【0033】
いくつかの態様では、送達剤は、下式:
[WP]-L1-[CC]-L2-[AM](式I)
または
[WP]-L1-[AM]-L2-[CC](式II)
(式中、
WPは、水溶性バイオポリマー部分であり、
CCは、カチオン性キャリア部分であり、
AMは、アジュバント部分であり、
L1及びL2は、独立して任意選択のリンカーである)を含むカチオン性キャリアユニットを含む。
【0034】
いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットと単離ポリヌクレオチド(すなわち、miRNA阻害剤)とは、互いに混合される際に互いに結合してミセルを形成することができる。いくつかの態様では、結合は、共有結合を介する。他の態様では、結合は、非共有結合を介する。特定の態様では、非共有結合はイオン結合を含む。
【0035】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリグリセロール、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリグリセロール、またはポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)を含む。
【0036】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、下式:
【化1】
(式中、nは、1~1000である)を有する。
【0037】
いくつかの態様では、nは、少なくとも約110、少なくとも約111、少なくとも約112、少なくとも約113、少なくとも約114、少なくとも約115、少なくとも約116、少なくとも約117、少なくとも約118、少なくとも約119、少なくとも約120、少なくとも約121、少なくとも約122、少なくとも約123、少なくとも約124、少なくとも約125、少なくとも約126、少なくとも約127、少なくとも約128、少なくとも約129、少なくとも約130、少なくとも約131、少なくとも約132、少なくとも約133、少なくとも約134、少なくとも約135、少なくとも約136、少なくとも約137、少なくとも約138、少なくとも約139、少なくとも約140、または少なくとも約141である。いくつかの態様では、nは、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約140~約150、または約150~約160である。
【0038】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、直鎖状、分枝鎖状、または樹枝状である。
【0039】
いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、1つ以上の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個、少なくとも約21個、少なくとも約22個、少なくとも約23個、少なくとも約24個、少なくとも約25個、少なくとも約26個、少なくとも約27個、少なくとも約28個、少なくとも約29個、少なくとも約30個、少なくとも約31個、少なくとも約32個、少なくとも約33個、少なくとも約34個、少なくとも約35個、少なくとも約36個、少なくとも約37個、少なくとも約38個、少なくとも約39個、少なくとも約40個、少なくとも約41個、少なくとも約42個、少なくとも約43個、少なくとも約44個、少なくとも約45個、少なくとも約46個、少なくとも約47個、少なくとも約48個、少なくとも約49個、または少なくとも約50個の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、約30~約50の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は、アルギニン、リシン、ヒスチジン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、約40個のリシンモノマーを含む。
【0040】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、免疫反応、炎症反応、または組織を調節することができる。いくつかの態様では、アジュバント部分は、イミダゾール誘導体、アミノ酸、ビタミン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0041】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、下式:
【化2】
(式中、G1及びG2のそれぞれは、H、芳香環、もしくは1~10アルキルであるか、またはG1とG2は一緒になって芳香環を形成し、nは1~10である)を有する。
【0042】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、ニトロイミダゾールを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、ジメトリダゾール、プレトマニド、オルニダゾール、メガゾール、アザニダゾール、ベンズニダゾール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、アミノ酸を含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、下式:
【化3】
【化4】
Z1及びZ2のそれぞれは、HまたはOHである)を有する。
【0043】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、ビタミンを含む。いくつかの態様では、ビタミンは、環式環または環式ヘテロ原子環及びカルボキシル基またはヒドロキシル基を含む。いくつかの態様では、ビタミンは、下式:
【化5】
(式中、Y1及びY2のそれぞれは、C、N、O、またはSであり、nは1または2である)を有する。
【0044】
いくつかの態様では、ビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンM、ビタミンH、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。特定の態様では、ビタミンは、ビタミンB3である。いくつかの態様では、アジュバント部分は、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、または少なくとも約20個のビタミンB3を含む。特定の態様では、アジュバント部分は、約10個のビタミンB3を含む。
【0045】
いくつかの態様では、送達剤は、約120個~約130個のPEGユニットを有する水溶性バイオポリマー部分と、約30個~約40個のリシンを有するポリリシンを含むカチオン性キャリア部分と、約5個~約10個のビタミンB3を有するアジュバント部分と、を含む。
【0046】
いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットは、酵素分解からmiRNA阻害剤を保護することができる。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、鼻腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脳室内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、腫瘍内投与、局所投与、またはそれらの任意の組み合わせで投与される。
【0047】
いくつかの態様では、送達剤はミセルである。特定の態様では、ミセルは、(i)約100個~約200個のPEGユニット、(ii)それぞれがアミン基を有する約30個~約40個のリシン、(iii)それぞれがチオール基を有する約15個~約20個のリシン、及び(iv)それぞれがビタミンB3に結合された約30個~約40個のリシンを含む。いくつかの態様では、ミセルは、(i)約120個~約130個のPEGユニット、(ii)それぞれがアミン基を有する約32個のリシン、(iii)それぞれがチオール基を有する約16個のリシン、及び(iv)それぞれがビタミンB3に結合された約32個のリシンを含む。
【0048】
いくつかの態様では、PEGユニットに治療部分がさらに結合されている。いくつかの態様では、標的化部分は、LAT1標的化リガンドである。いくつかの態様では、標的化部分は、フェニルアラニンである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本開示のキャリアユニットの例示的な構造を示す。提示される例は、アニオン性ペイロード、例えば、遺伝子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの核酸、例えば、miRNA(抗miR)と静電的に相互作用することができるカチオン性キャリア部分を含む。いくつかの態様では、AMは、WPとCCとの間に配置することができる。CC及びAMコンポーネントは、簡単のために直線的配置で描かれている。しかしながら、本明細書に述べられるように、いくつかの態様では、CC及びAMは、スキャフォールドの形で配置することもできる。
【0050】
図2A】BV2細胞におけるNLRP3転写物の発現に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。細胞に、miR-485阻害剤(50nM、100nM、または300nM)(それぞれ左から3番目、4番目、及び5番目の列)またはmiR-コントロール(100nM)(左から2番目の列)のいずれかをトランスフェクトし、その後、Aβオリゴマー(AβO)で処理した。非トランスフェクト細胞(左から1番目の列)及びLPS単独で処理した細胞を追加のコントロールとして用いた。
図2B】初代グリア細胞におけるNLRP3転写物の発現に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。細胞に、miR-485阻害剤(50nM、100nM、または300nM)(それぞれ左から3番目、4番目、及び5番目の列)またはmiR-コントロール(100nM)(左から2番目の列)のいずれかをトランスフェクトし、その後、Aβオリゴマー(AβO)で処理した。非トランスフェクト細胞(左から1番目の列)及びLPS単独で処理した細胞を追加のコントロールとして用いた。
【0051】
図3A】BV2細胞におけるASC転写物の発現に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。細胞に、miR-485阻害剤(50nM、100nM、または300nM)(それぞれ左から3番目、4番目、及び5番目の列)またはmiR-コントロール(100nM)(左から2番目の列)のいずれかをトランスフェクトし、その後、AβOで処理した。非トランスフェクト細胞(左から1番目の列)及びLPS単独で処理した細胞を追加のコントロールとして用いた。
図3B】初代グリア細胞におけるASC転写物の発現に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。細胞に、miR-485阻害剤(50nM、100nM、または300nM)(それぞれ左から3番目、4番目、及び5番目の列)またはmiR-コントロール(100nM)(左から2番目の列)のいずれかをトランスフェクトし、その後、AβOで処理した。非トランスフェクト細胞(左から1番目の列)及びLPS単独で処理した細胞を追加のコントロールとして用いた。
【0052】
図4A】LPS及び/またはAβオリゴマー処理初代ミクログリアによるIL-1β、IL-6、及びTNF-α産生に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである:(1)非処理ミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア、ならびに(4)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理し、miR-485阻害剤でトランスフェクトしたミクログリア(「LPS+miR-485阻害剤」)。miR-485阻害剤(100nM)によるトランスフェクションを行った場合または行わない場合の、LPS(1μg/mL)処理後24時間における初代ミクログリアからの上清中のIL-6(左のグラフ)及びTNF-α(右のグラフ)レベルの比較を示す。
図4B】LPS及び/またはAβオリゴマー処理初代ミクログリアによるIL-1β、IL-6、及びTNF-α産生に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである:(1)非処理ミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア、ならびに(4)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理し、miR-485阻害剤でトランスフェクトしたミクログリア(「LPS+miR-485阻害剤」)。LPS(1μg/mL)で3時間プライミングした後、1時間ATP処理した初代ミクログリアからの上清中のIL-1βタンパク質レベルの比較を示す。関連するグループからのミクログリアに、LPSによるプライミング中にmiR-485阻害剤をトランスフェクトした。
図4C】LPS及び/またはAβオリゴマー処理初代ミクログリアによるIL-1β、IL-6、及びTNF-α産生に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである:(1)非処理ミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア、ならびに(4)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理し、miR-485阻害剤でトランスフェクトしたミクログリア(「LPS+miR-485阻害剤」)。miR-485阻害剤(100nM)によるトランスフェクションを行った場合または行わない場合の、またはAβオリゴマー(2.5μM)処理後24時間における初代ミクログリアからの上清中のIL-6(左のグラフ)及びTNF-α(右のグラフ)レベルの比較を示す。
図4D】LPS及び/またはAβオリゴマー処理初代ミクログリアによるIL-1β、IL-6、及びTNF-α産生に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである:(1)非処理ミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア、ならびに(4)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理し、miR-485阻害剤でトランスフェクトしたミクログリア(「LPS+miR-485阻害剤」)。LPS(1μg/mL)で3時間プライミングした後、24時間Aβオリゴマー(2.5μM)で処理した初代ミクログリアからの上清中のIL-1βタンパク質レベルの比較を示す。関連するグループからのミクログリアに、Aβオリゴマーによる処理中にmiR-485阻害剤をトランスフェクトした。
図4E】LPS及び/またはAβオリゴマー処理初代ミクログリアによるIL-1β、IL-6、及びTNF-α産生に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである:(1)非処理ミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア、ならびに(4)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理し、miR-485阻害剤でトランスフェクトしたミクログリア(「LPS+miR-485阻害剤」)。miR-485阻害剤(100nM)によるトランスフェクションを行った場合または行わない場合の、LPS(1μg/mL)で24時間処理した後の初代ミクログリア中の相対的なTnf、Il-6、及び Il-1bのmRNA発現レベルの比較を示す。図4E及び4Fの両方で、mRNAレベルをActbに対して正規化した(n=3)。データはすべて、平均値±SEMである。ns:有意ではない。非処理コントロールと比較した場合、****p<0.0001。LPS、LPS+ATP、AβO、及びLPS+AβOで処理したコントロールと比較した場合、####p<0.0001。
図4F】LPS及び/またはAβオリゴマー処理初代ミクログリアによるIL-1β、IL-6、及びTNF-α産生に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである:(1)非処理ミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア、ならびに(4)LPS及び/またはAβオリゴマーで処理し、miR-485阻害剤でトランスフェクトしたミクログリア(「LPS+miR-485阻害剤」)。miR-485阻害剤(100nM)によるトランスフェクションを行った場合または行わない場合の、Aβオリゴマー(2.5μg/mL)で24時間処理した後の初代ミクログリア中の相対的なIl-1b、Il-6、及びTnfのmRNA発現レベルの比較を示す。図4E及び4Fの両方で、mRNAレベルをActbに対して正規化した(n=3)。データはすべて、平均値±SEMである。ns:有意ではない。非処理コントロールと比較した場合、****p<0.0001。LPS、LPS+ATP、AβO、及びLPS+AβOで処理したコントロールと比較した場合、####p<0.0001。
【0053】
図5A】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである。(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)(i)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP」または「LPS+AβO」)、及び(4)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理し、miR-485阻害剤をトランスフェクトしたミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP+miR-485阻害剤」または「LPS+AβO+miR-485阻害剤」)。ウエスタンブロットを使用して評価した、NLRP3、IL-1β(前駆体型及び切断型)、及びカスパーゼ-1(前駆体型及び切断型)のタンパク質レベルの比較を示す。LPSでプライミングしたミクログリアをATP(2.5mM)処理で1時間刺激した。miR-485阻害剤を LPSと同時トランスフェクトした。
図5B】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである。(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)(i)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP」または「LPS+AβO」)、及び(4)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理し、miR-485阻害剤をトランスフェクトしたミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP+miR-485阻害剤」または「LPS+AβO+miR-485阻害剤」)。図5Aに示されるウエスタンブロット結果の棒グラフ比較を示す。
図5C】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである。(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)(i)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP」または「LPS+AβO」)、及び(4)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理し、miR-485阻害剤をトランスフェクトしたミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP+miR-485阻害剤」または「LPS+AβO+miR-485阻害剤」)。ウエスタンブロットを使用して評価した、NLRP3、IL-1β(前駆体型及び切断型)、及びカスパーゼ-1(前駆体型及び切断型)のタンパク質レベルの比較を示す。LPSでプライミングしたミクログリアをAβオリゴマー(2.5μM)で24時間刺激し、miR-485阻害剤と同時トランスフェクトした。
図5D】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである。(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)(i)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP」または「LPS+AβO」)、及び(4)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理し、miR-485阻害剤をトランスフェクトしたミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP+miR-485阻害剤」または「LPS+AβO+miR-485阻害剤」)。5Cに示されるウエスタンブロット結果の棒グラフ比較を示す。
図5E】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである。(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)(i)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP」または「LPS+AβO」)、及び(4)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理し、miR-485阻害剤をトランスフェクトしたミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP+miR-485阻害剤」または「LPS+AβO+miR-485阻害剤」)。3時間のmiR-485阻害剤(100nM)の同時トランスフェクションを行ったLPS(1ng/mL)処理後の初代ミクログリア中のカスパーゼ-1活性(生物発光アッセイを使用して測定した)の比較を示す。サンプリングの1時間前にATP(2.5mM)を処理した。
図5F】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。各図に示される異なるグループは以下のとおりである。(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(「Con」)、(2)miR-485阻害剤でトランスフェクトしたが、LPS/Aβオリゴマーで処理していないミクログリア(「miR-485阻害剤」)、(3)(i)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理したが、miR-485阻害剤(「LPS」)は処理していないミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP」または「LPS+AβO」)、及び(4)LPSとATPまたは(ii)LPSとAβオリゴマーのいずれかで処理し、miR-485阻害剤をトランスフェクトしたミクログリア(それぞれ、「LPS+ATP+miR-485阻害剤」または「LPS+AβO+miR-485阻害剤」)。Aβオリゴマー(2.5μM)で24時間刺激し、miR-485阻害剤(100nM)を同時トランスフェクトした、LPSでプライミングしたミクログリア中のカスパーゼ-1活性(生物発光アッセイを使用して測定した)の比較を示す。データはすべて、平均値±SEMである。ns:有意ではない。非処理コントロールと比較した場合、**p<0.01及び***p<0.001。LPS+ATP及びLPS+Aβで処理したコントロールと比較した場合、##p<0.01及び###p<0.001。
【0054】
図6A】それぞれ初代ミクログリアから回収した上清中のIL-6及びTNF-αレベルに対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。IL-6(左のグラフ)及びTNF-α(右のグラフ)レベルを、以下の初代ミクログリアからの上清でELISAを使用して測定した。すなわち、(1)非処理及びmiR-485阻害剤をトランスフェクトしていないもの、(2)LPS(1μg/mL)で24時間処理したが、miR-485阻害剤はトランスフェクトしなかったもの、及び(3)LPS(1μg/mL)で24時間処理し、異なる用量のmiR-485阻害剤(10、50、250、または500nM)でトランスフェクトしたもの。
図6B】それぞれ初代ミクログリアから回収した上清中のIL-6及びTNF-αレベルに対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。IL-6(左のグラフ)及びTNF-α(右のグラフ)レベルを、以下の初代ミクログリアからの上清でELISAを使用して測定した。すなわち、(1)非処理及びmiR-485阻害剤をトランスフェクトしていないもの、(2)Aβオリゴマー(2.5μM)で24時間処理したが、miR-485阻害剤はトランスフェクトしなかったもの、及び(3)Aβオリゴマー(2.5μM)で24時間処理し、異なる用量のmiR-485阻害剤(10、50、250、または500nM)をトランスフェクトしたもの。
【0055】
図6C】以下の初代ミクログリアから回収した上清中のIL-1βレベルに対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。すなわち、(1)非処理かつmiR-485阻害剤をトランスフェクトしなかったもの、(2)LPSによるプライミングの後、(i)ATP(2.5mM)で1時間の処理(左のグラフ)または(ii)Aβオリゴマー(2.5μM)で24時間の処理(右のグラフ)のいずれかを行い、miR-485阻害剤はトランスフェクトしなかったもの、及び(3)LPSによるプライミングの後、(i)ATP(2.5mM)で1時間の処理(左のグラフ)または(ii)Aβオリゴマー(2.5μM)で24時間の処理(右のグラフ)のいずれかを行い、異なる用量のmiR-485阻害剤(10、50、250、または500nM)をトランスフェクトしたもの。LPSでプライミングし、ATPで処理した初代ミクログリアでは、LPSでのプライミング中にmiR-485阻害剤をトランスフェクトした。LPSでプライミングし、Aβで処理した初代ミクログリアでは、Aβでの処理時にmiR-485阻害剤をトランスフェクトした。データはすべて、平均値±SEMである。ns:有意ではない。非処理コントロールと比較した場合、***p<0.001及び****p<0.0001。LPS、Aβオリゴマー、LPS+ATP及びLPS+Aβオリゴマーで処理したコントロールと比較した場合、#p<0.05、##p<0.01、及び###p<0.001。
【0056】
図7A】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。図7Aは、以下の初代ミクログリアでウエスタンブロットを用いて測定したNLRP3及びIL-1β(前駆体型及び切断型)タンパク質レベルの比較を示す。(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPSなし、miR-485阻害剤なし)(1番目の列)、(2)LPS(1μg/mL)で24時間処理したがmiR-485阻害剤をトランスフェクトしなかったもの(2番目の列)、及び(3)LPS(1μg/mL)で24時間処理し、異なる用量のmiR-485阻害剤(それぞれ、50、100、または300nM)をトランスフェクトしたもの(3番目、4番目、及び5番目の列)。
図7B】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。初代ミクログリアにおける生物発光アッセイを使用して測定されたカスパーゼ-1活性の比較を示す。初代ミクログリアは、LPS処理細胞をATP(2.5mM)で1時間さらに刺激した点以外は、図7Aと同様である。関連する場合、miR-485阻害剤のトランスフェクションは、LPSでの処理時に行った。
図7C】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。以下の初代ミクログリアでウエスタンブロットを用いて測定したNLRP3及びIL-1β(前駆体型及び切断型)タンパク質レベルの比較を示す。(1)非処理のミクログリア(すなわち、Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(1番目の列)、(2)Aβオリゴマー(2.5μM)で24時間処理したがmiR-485阻害剤をトランスフェクトしなかったもの(2番目の列)、及び(3)Aβオリゴマー(2.5μM)で24時間処理し、異なる濃度のmiR-485阻害剤をトランスフェクトしたもの(3番目、4番目、及び5番目の列、それぞれ、50、100、または300nM)。
図7D】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。初代ミクログリアにおける生物発光アッセイを使用して測定されたカスパーゼ-1活性の比較を示す。初代ミクログリアは、AβO処理細胞を、AβOで刺激する前に最初にLPS(1μg/mL)で24時間プライミングした点以外は、図7Cと同様である。関連する場合、miR-485阻害剤のトランスフェクションは、LPSでの処理時に行った。
図7E】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。以下の初代ミクログリアにおけるNLRP3インフラマソーム関連遺伝子(Il-1β、Nlrp3、Asc)のmRNA発現レベルの比較を示す。すなわち、(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(1番目の列)、(2)LPSまたはAβオリゴマーで処理したがmiR-485阻害剤で処理しないもの(2番目の列)、及び(3)LPSまたはAβオリゴマーで処理し、異なる濃度のmiR-485阻害剤をトランスフェクトしたもの(3番目、4番目、及び5番目の列、それぞれ、50、100、または300nM)。
図7F】NLRP3インフラマソーム活性化の阻害を介したIL-1β産生の減少に対する、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の用量反応効果を示す。以下の初代ミクログリアにおけるNLRP3インフラマソーム関連遺伝子(Il-1β、Nlrp3、Asc)のmRNA発現レベルの比較を示す。すなわち、(1)非処理のミクログリア(すなわち、LPS/Aβオリゴマーなし、miR-485阻害剤なし)(1番目の列)、(2)LPSまたはAβオリゴマーで処理したがmiR-485阻害剤で処理しないもの(2番目の列)、及び(3)LPSまたはAβオリゴマーで処理し、異なる濃度のmiR-485阻害剤をトランスフェクトしたもの(3番目、4番目、及び5番目の列、それぞれ、50、100、または300nM)。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本開示は、少なくとも1つのmiR-485結合部位を含み、タンパク質をコードしていないヌクレオチド分子をコードするヌクレオチド配列を含む、miR-485阻害剤の使用に関する。いくつかの態様では、miRNA結合部位(複数可)は、内因性NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子を促進する、及び/またはその発現レベルを増加させる内因性のmiR-485に結合することができる。したがって、いくつかの態様では、本開示は、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させる必要のある対象においてSIRT1タンパク質及び/またはSIRT1遺伝子のレベルを減少させる方法であって、miR-485阻害剤(本明細書では「miRNA阻害剤」とも呼ばれる)を対象に投与することを含む方法に関する。さらなる態様では、対象におけるNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させることは、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加に関連した疾患または状態の治療に有用となりうる。本明細書に開示されるように、本開示により治療することが可能な疾患または障害は、肺疾患もしくは障害、炎症性疾患もしくは障害、代謝性疾患障害、またはそれらの組み合わせを含む。
【0058】
記載される特定の組成物またはプロセスステップは無論のこと異なりうることから、本開示をより詳細に記載するのに先立って、本開示は特定の組成物またはプロセスステップに限定されない点を理解されたい。本開示を読むことで当業者に明らかになるように、本明細書において記載及び例示される個々の態様の各々は、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離されまたはそれと組み合わされ得る個別の構成要素及び特徴を有する。記載されるいずれの方法も、記載される事象の順序で、または論理的に可能な他の任意の順序で実施することが可能である。
【0059】
本明細書に示される見出しは本開示の様々な態様を限定するものではなく、本開示の態様は、本明細書の全体を参照することによって定義され得るものである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるので、本明細書で使用される用語は、あくまで特定の態様を説明することを目的としたものであって、限定することを目的としたものではない点も理解されるべきである。
【0060】
I.用語
本開示をより容易に理解できるように、特定の用語を最初に定義する。本出願で使用する場合、本明細書に別段明記されない限り、以下の用語のそれぞれは、下記に記載する意味を有するものとする。追加の定義は、本出願の全体を通じて記載される。
【0061】
「a」または「an」なる用語で示される実体は、その実体の1つ以上を指し、例えば、「a nucleotide sequence(ヌクレオチド配列)」は、1つ以上のヌクレオチド配列を表すものとして理解される点に留意されたい。したがって、「a」(または「an」)、ならびに「one or more」(1つ以上の)、及び「at least one」(少なくとも1つの)は、本開示では互換的に用いられる場合がある。各請求項は、あらゆる任意選択的な要素を除外するように起草される場合もある点にも留意されたい。したがって、この記載は、請求項の要素の記載との関連において「~だけの」、「~のみ」などといった除外的な語の使用に対する、または否定による限定の使用に対する先行詞としての役割を有するものとする。
【0062】
さらに、「及び/または」は、本明細書で使用される場合、他方を伴うまたは伴わない2つの特定された特徴または構成要素の各々の特定の開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、用語「及び/または」は、語句で使用される場合、例えば、「A、B、及び/またはC」は、以下の態様の各々:A、B、及びC、A、B、またはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、及びC(単独)を包含することが意図される。
【0063】
態様が「含む」という言葉を用いて本明細書に記載されている場合はいつでも、「からなる」及び/または「本質的になる」の観点から記載される別の類似する態様も提供されることが理解される。
【0064】
別段の定義がなされないかぎり、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有するものとする。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press、The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press、及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示において使用される用語の多くの一般的辞書を当業者に提供する。
【0065】
単位、接頭辞、及び記号は、それらのSysteme International de Unites(SI)で承認された形式で示される。数値範囲は、その範囲を規定する数値を含むものとする。数値の範囲が記載されている場合、その範囲の記載された上限と下限との間にあるそれぞれの介在する整数値、及びそのそれぞれの分数もまた、そのような値の間のそれぞれの部分範囲とともに具体的に開示される点は理解されるべきである。任意の範囲の上限値及び下限値は独立してその範囲に含まれる場合も、その範囲から除外される場合もあるが、どちらかの限界値が含まれるか、どちらの限界値も含まれないか、または両方の限界値が含まれるそれぞれの範囲もまた、本開示に包含される。したがって、本明細書に記載される範囲は、記載される端点を含む、その範囲内のすべての値の簡略的な表記であるものとして理解される。例えば、1~10の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むものとして理解される。
【0066】
値が明示的に記載されている場合、記載されている値とほぼ同じ数または量である値もまた、本開示の範囲内に含まれる点を理解されたい。ある組み合わせが開示される場合、その組み合わせの要素の部分的な組み合わせのそれぞれも具体的に開示され、本開示の範囲内に含まれる。逆に、異なる要素または要素群が個別に開示される場合、それらの組み合わせも開示される。開示の任意の要素が複数の代替手段を有するものとして開示される場合、各代替手段が単独でまたは他の代替手段との任意の組み合わせで除外されるその開示の例も本明細書により開示される、開示の複数の要素がそのような除外を有し得、そのような除外を有する要素のすべての組み合わせが本明細書により開示される。
【0067】
ヌクレオチドは、それらの広く認められている1文字の略号で呼称する。特に断らない限り、ヌクレオチド配列は5’から3’の方向に左から右に記載する。本明細書においてヌクレオチドは、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される一般的に公知のヌクレオチドの1文字記号により表記される。したがって、「a」はアデニンを表し、「c」はシトシンを表し、「g」はグアニンを表し、「t」はチミンを表し、「u」はウラシルを表す。
【0068】
アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシ末端の方向に左から右に記載する。本明細書においてアミノ酸は、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される、一般的に公知のアミノ酸の3文字記号または1文字記号により表記される。
【0069】
「約」という用語は、本明細書では、およそ、大体、おおよそ、またはその範囲内の意味で使用される。用語「約」が、数値範囲と併せて使用される場合、それは、示された数値の上下に境界を広げることによってその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、例えば、上または下に10パーセント(より高いまたはより低い)の変動で、明示される値の上及び下に数値を修正することができる。
【0070】
本明細書で使用する場合、「アデノ随伴ウイルス」(AAV)なる用語には、これらに限定されるものではないが、AAVタイプ1、AAVタイプ2、AAVタイプ3(タイプ3A及び3Bを含む)、AAVタイプ4、AAVタイプ5、AAVタイプ6、AAVタイプ7、AAVタイプ8、AAVタイプ9、AAVタイプ10、AAVタイプ11、AAVタイプ12、AAVタイプ13、AAVrh.74、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、Gao et al.(J.Virol.78:6381(2004))及びMoris et al.(Virol. 33:375(2004))に開示されるAAV血清型及び系統群、ならびに現在知られているかもしくは今後発見される他の任意のAAVが含まれる(例えば、FIELDS et al.VIROLOGY,volume 2,chapter 69(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)を参照)。いくつかの態様では、「AAV」には、既知のAAVの誘導体が含まれる。いくつかの態様では、「AAV」には、改変された、または人工AAVが含まれる。
【0071】
「投与」、「投与すること」なる用語、及びその文法的変化形は、本開示のmiRNA阻害剤などの組成物を、薬学的に許容される経路により対象に導入することを指す。本開示のmiRNA阻害剤を含むミセルなどの組成物の対象への導入は、腫瘍内、経口、肺、鼻腔内、非経口(静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、もしくは皮下)、直腸、リンパ内、髄腔内、眼周または局所を含む任意の好適な経路によるものである。投与は、自己投与及び他者による投与を含む。適当な投与経路によって、組成物または薬剤はその目的とする機能を実行することができる。例えば、適当な経路が静脈内である場合、組成物は、組成物または薬剤を対象の静脈内に導入することによって投与される。
【0072】
本明細書で使用する場合、「~に関連した」という用語は、2つ以上の実体または性質間の密接な関係性のことを指す。例えば、本開示によって治療することが可能な疾患または状態を記述するために用いられる場合(例えば、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常なレベルに関連した疾患または状態)、「~に関連した」という用語は、対象がタンパク質及び/または遺伝子の異常な発現を示す場合に対象がその疾患または状態を罹患している可能性が高いことを指す。いくつかの態様では、タンパク質及び/または遺伝子の異常な発現は、疾患または状態を引き起こす。いくつかの態様では、異常な発現は疾患または状態を必ずしも引き起こさないが相関している。対象が、疾患または状態に関連したタンパク質及び/または遺伝子の異常な発現を示すかどうかを判定するために使用することができる適当な方法の非限定的な例を、本開示の他の箇所に示す。
【0073】
本明細書で使用する場合、「異常なレベル」という用語は、本明細書に記載の疾患または状態(例えば、本明細書に記載の肺疾患、炎症性疾患、及び代謝疾患など)に罹患していない参照対象とは異なる(例えば、増加した)レベル(発現及び/または活性)を指す。いくつかの態様では、異常なレベル(例えば、NLRP3)とは、参照対象(例えば、本明細書に記載の疾患または状態に罹患していない対象)における対応するレベルと比較して、少なくとも約0.1倍、少なくとも約0.2倍、少なくとも約0.3倍、少なくとも約0.4倍、少なくとも約0.5倍、少なくとも約0.6倍、少なくとも約0.7倍、少なくとも約0.8倍、少なくとも約0.9倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加したレベルを指す。他に示さない限り、「異常なレベル」、「異常な発現」、及び「異常な活性」という用語は互換的に使用することができる。例えば、いくつかの態様では、NLRP3の「異常なレベル」または「異常な発現」は、異常なNLRP3活性をもたらし得る。
【0074】
本明細書で使用する場合、対象とする1つ以上の値に適用される「およそ」という用語は、記載される参照値と同様の値を指す。ある特定の態様では、「ほぼ」という用語は、特に明記しない限り、または他のことが文脈から明らかでない限り、明示される参照値の両方向に(数を超えるか、またはそれ未満の)10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下の範囲内の値の範囲を指す(かかる数がとり得る値の100%を超える場合を除く)。
【0075】
本明細書で使用する場合、「保存された」という用語は、比較されている2つ以上の配列の同じ位置において不変に見出されるものである、それぞれポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基を指す。比較的保存されたヌクレオチドまたはアミノ酸は、配列において他の箇所に現れるヌクレオチドまたはアミノ酸よりも関連した配列間で保存されているものである。
【0076】
いくつかの態様では、2つ以上の配列は、それらが互いに100%同一である場合、「完全に保存されている」または「同一である」と言われる。いくつかの態様では、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも70%同一であるか、少なくとも80%同一であるか、少なくとも90%同一であるか、または少なくとも95%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。いくつかの態様において、2つ以上の配列は、互いに約70%同一である、約80%同一である、約90%同一である、約95%、約98%、または約99%同一である場合、「高度に保存された」と言われる。いくつかの態様では、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも30%同一であるか、少なくとも40%同一であるか、少なくとも50%同一であるか、少なくとも60%同一であるか、少なくとも70%同一であるか、少なくとも80%同一であるか、少なくとも90%同一であるか、または少なくとも95%同一である場合、「保存されている」と言われる。いくつかの態様では、2つ以上の配列は、それらが互いに約30%同一であるか、約40%同一であるか、約50%同一であるか、約60%同一であるか、約70%同一であるか、約80%同一であるか、約90%同一であるか、約95%同一であるか、約98%同一であるか、または約99%同一である場合、「保存されている」と言われる。配列の保存は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの全長に適用することができ、または部分、領域、もしくはそれらの特徴に適用することができる。
【0077】
本明細書で使用する場合、「由来する」という用語は、特定の分子もしくは生物または情報(例えば、アミノ酸または核酸の配列)を使用して、特定の分子もしくは生物から単離されるか、製造される構成要素を指す。例えば、第2の核酸配列に由来する核酸配列は、第2の核酸配列のヌクレオチド配列と同一であるか、または実質的に類似するヌクレオチド配列を含み得る。ヌクレオチドまたはポリペプチドの場合、派生した種は、例えば、自然に生じる変異誘発、人為的定方向突然変異誘発、または人為的ランダム変異誘発により得られ得る。ヌクレオチドまたはポリペプチドを派生させるために使用される変異誘発は、意図的に定方向、もしくは意図的にランダムであるか、または各々の組み合わせである。最初のものに由来する異なるヌクレオチドまたはポリペプチドを作製するためのヌクレオチドまたはポリペプチドの変異誘発は、ランダム事象(例えば、ポリメラーゼの不忠実さにより引き起こされる)であり得、派生したヌクレオチドまたはポリペプチドの同定は、例えば、本明細書において述べられる適切なスクリーニング法によりなされ得る。一部の態様では、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に由来するヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、それぞれ第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、少なくとも約58%、少なくとも約59%、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有し、ここで、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を保持する。
【0078】
本明細書で使用する場合、「コーディング領域」または「コーディング配列」とは、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの部分である。「終止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)は通常はアミノ酸に翻訳されないがコーディング領域の一部とみなすことができる。ただし、すべてのフランキング配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどはコーディング領域の一部ではない。コーディング領域の境界は、得られるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドンと、得られるポリペプチドのカルボキシ末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンとによって一般的に決定される。
【0079】
「相補的」及び「相補性」という用語は、ワトソン・クリック型塩基対形成則により互いに関連する2つ以上のオリゴマー(すなわち、それぞれが核酸塩基配列を含む)、またはオリゴマーと標的遺伝子との間を指す。例えば、核酸塩基配列「T-G-A(5’→3’)」は、核酸塩基配列「A-C-T(3’→5’)」に相補的である。相補性は「部分的」であってよく、その場合、所与の核酸塩基配列の核酸塩基のすべてより少ないものが塩基対形成則に従って他の核酸塩基配列と一致している。例えば、いくつかの態様では、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間の相補性は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%であり得る。したがって、特定の態様では、「相補性」という用語は、標的核酸配列(例えば、miR-485の核酸配列)との少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の一致または相補性を指す。または例のような、「完璧な」または「完全な」(100%)相補性が、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間に存在し得る。いくつかの態様では、核酸塩基配列間の相補性の程度は、配列間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に顕著な影響を与える。
【0080】
「下流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の3’側に存在するヌクレオチド配列を指す。ある特定の態様では、下流ヌクレオチド配列は、転写開始点に続く配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写開始部位の下流に存在する。
【0081】
「賦形剤」及び「キャリア」という用語は、互換的に使用され、化合物、例えば本開示のmiRNA阻害剤の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。
【0082】
本明細書で使用する場合、「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えばRNAまたはポリペプチドを生成するプロセスを指す。発現には、マイクロRNA結合部位、小分子ヘアピンRNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)、または他の任意のRNA産物へのポリヌクレオチドの転写が限定されることなく含まれる。発現には、メッセンジャーRNA(mRNA)へのポリヌクレオチドの転写、及びmRNAのポリペプチドへの翻訳が限定されることなく含まれる。発現によって、「遺伝子産物」が生成される。本明細書で使用する場合、遺伝子産物は、例えば遺伝子の転写によって生成されるRNAなどの核酸であってよい。本明細書で使用する場合、遺伝子産物は、核酸、遺伝子の転写によって生成されるRNAもしくはmiRNA、または転写産物から翻訳されたポリペプチドであってよい。本明細書に記載される遺伝子産物には、例えばポリアデニル化またはスプライシングなどの転写後修飾を有する核酸、または、例えばリン酸化、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、またはタンパク質分解開裂などの翻訳後修飾を有するポリペプチドがさらに含まれる。
【0083】
本明細書で使用する場合、「相同性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば核酸分子間の全体的関連性を指す。一般に、「相同性」という用語は、2つの分子の進化的関係を意味する。したがって、相同な2つの分子は、共通の進化的祖先を有する。本開示との関連で、相同性という用語は、同一性及び類似性の両方を包含する。
【0084】
いくつかの態様では、ポリマー分子は、分子における少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のモノマーが同一(厳密に同じモノマー)であるか、または類似する(保存的置換)場合、互いに「相同である」とみなされる。「相同である」という用語は、必然的に少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチド配列)間の比較を指す。
【0085】
本開示との関連で、置換(それらがアミノ酸置換と称される場合でも)は、核酸レベルで行われ、すなわち、アミノ酸残基を代替アミノ酸残基で置換することは、第1のアミノ酸をコードするコドンを第2のアミノ酸をコードするコドンで置換することによって行われる。
【0086】
本明細書で使用する場合、「同一性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、ポリヌクレオチド分子間の全体的なモノマー保存性を指す。いかなる追加の修飾語もない「同一である」という用語、例えば、「ポリヌクレオチドAはポリヌクレオチドBと同一である」は、ポリヌクレオチド配列同士が100%同一(100%の配列同一性)であることを意味する。例えば、「70%同一である」と2つの配列を表現することは、例えば、「70%配列同一性」を有するとそれらを表現することに等しい。
【0087】
2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の同一率(%)の計算は、例えば、最適な比較のために2つの配列をアラインメントすることにより実行され得る(例えば、最適なアラインメントのために第1及び第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の一方または両方にギャップが導入され得、同一でない配列が比較のために無視され得る)。特定の実施形態では、比較目的のためにアラインメントされる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。次いで、対応するアミノ酸位のアミノ酸、またはポリヌクレオチドの場合は塩基が比較される。
【0088】
第1の配列におけるある位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸またはヌクレオチドにより占められる場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一率(%)は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列により共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一率(%)の決定は、数学アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0089】
異なる配列同士(例えば、ポリヌクレオチド配列)をアラインするために使用することができる適当なソフトウェアプログラムは様々なソースから入手可能である。配列同一率(%)を決定するための適当なプログラムの1つに、米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なBLASTパッケージプログラムの一部であるbl2seqがある。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2個の配列間の比較を行う。BLASTNが核酸配列を比較するために使用されるのに対して、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の適当なプログラムとしては、例えば、バイオインフォマティクスプログラムパッケージEMBOSSの一部であり、European Bioinformatics Institute(EBI)よりworldwideweb.ebi.ac.uk/Tools/psaにおいてやはり入手可能なNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherがある。
【0090】
配列アライメントは、当該技術分野において公知の方法、例えば、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal X、またはClustal Omega)、MUSCLEなどを使用して実施され得る。
【0091】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列と整列する単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ、それら自体の配列同一率(%)を有することができる。配列同一率(%)は、10分の1の位に四捨五入される点に留意されたい。たとえば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられ、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数である点に留意されたい。
【0092】
所定の態様では、第2のアミノ酸配列(または核酸配列)に対する第1のアミノ酸配列(または核酸配列)の同一百分率(ID%)は、ID%=100x(Y/Z)(式中、Yは、第1及び第2の配列のアライメント(視覚検査または特定の配列アライメントプログラムによってアライメントされる)において同一一致としてスコア化されたアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは、第2の配列における残基の総数である)として計算される。第1の配列の長さが第2の配列を超える場合、第1の配列の第2の配列に対する同一率(%)は、第2の配列の第1の配列に対する同一率(%)より高くなるであろう。
【0093】
当業者であれば、配列同一率(%)を計算するための配列アラインメントの生成が、一次配列データによってのみ行われるバイナリー配列間比較に限定されない点は理解されよう。配列アライメントは、配列データを異種の供給源由来のデータ、例えば、構造データ(例えば、タンパク質結晶構造)、機能データ(例えば、変異の位置)、または系統学的データと統合することにより生成され得ることも理解されよう。異種データを統合してマルチプルアラインメントを生成する適当なプログラムとしてworldwidewebtcoffee.orgで入手できるか、あるいは例えばEBIからも入手できるT-Coffeeがある。配列同一率(%)を計算するために使用される最終的なアラインメントは、自動または手動のいずれかで管理され得ることも理解されよう。
【0094】
本明細書で使用する場合、「インフラマソーム」という用語は、炎症反応の活性化に関与する自然免疫系のサイトゾル性多タンパク質オリゴマーを指す。インフラマソームはカスパーゼ-1活性を活性化することができ、これにより、IL-1β、IL-18、IL-33を含む(ただし、これらに限定されない)さまざまな炎症性メディエーターのプロセシング及び活性化を制御する。例えば、それぞれ、本明細書に参照によりその全容を援用するところのWang,Z.,et al.,Oxid Med Cell Longev 2020: 4063562(Feb.17,2020);Lin,L.,et al.,PLoS Pathog 15(6):e1007795(Jun.2019)、Freeman,T.L.,et al.,Front Immunol 11: 1518(Jun.2020)、Ratajczak M.Z.,et al.,Leukemia 34(7):1726-1729(Jul.2020)、及びMangan,M.S.J.,et al.,Nat Rev Drug Discov 17(8): 588-606(Aug.2018)を参照されたい。
【0095】
本明細書で使用する場合、「単離された」、「精製された」、「抽出された」という用語、及びそれらの文法的変化形は、互換的に使用され、1つ以上の精製プロセスを受けた本開示の所望の組成物、例えば、本開示のmiRNA阻害剤の調製状態を指す。いくつかの態様では、本明細書で使用する場合、単離または精製は、夾雑物を含有する試料から本開示の組成物、例えば本開示のmiRNA阻害剤を取り出す、(例えば、画分を)部分的に取り出すプロセスである。
【0096】
いくつかの態様では、単離された組成物は、検出可能な望ましくない活性を有さないか、または代替的に、望ましくない活性のレベルもしくは量が許容可能なレベルまたは量以下である。他の態様では、単離された組成物は、許容可能な量及び/または濃度及び/または活性以上の量及び/または濃度の本開示の所望の組成物を有する。他の態様では、単離された組成物は、組成物が取得される出発物質と比較して濃縮される。この濃縮は、出発物質と比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.999%、少なくとも約99.9999%、または99.9999%超であり得る。
【0097】
いくつかの態様では、単離された調製物は、残留する生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの態様では、単離された調製物は、任意の混入している生物学的物質を100%、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約94%、少なくとも約93%、少なくとも約92%、少なくとも約91%、または少なくとも約90%含まない。残留する生物学的産物は、非生物物質(化学物質を含む)または不要な核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物を含み得る。
【0098】
本明細書で使用する場合、「連結された」という用語は、共有結合または非共有結合によりそれぞれ第2のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列に結合された、第1のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列を指す。第1のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列は、第2のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列に直接的に結合もしくは並列され得るか、または代替的に介在配列が第1の配列から第2の配列までに共有結合により加わり得る。「連結された」という用語は、第1のポリヌクレオチド配列の第2のポリヌクレオチド配列への5’末端または3’末端での融合を意味するだけでなく、第2のポリヌクレオチド配列(または第1のポリヌクレオチド配列)における任意の2つのヌクレオチドへの第1のポリヌクレオチド配列(またはそれぞれ第2のポリヌクレオチド配列)全体の挿入も含む。第1のポリヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーにより第2のポリヌクレオチド配列に連結され得る。リンカーは、例えば、ポリヌクレオチドであり得る。
【0099】
本明細書で使用する場合、「miRNA阻害剤」とは、miRNAの発現、機能、及び/または活性を減少させるか、変化させるか、及び/または調節することができる化合物を指す。miRNA阻害剤は、標的miRNA核酸配列と少なくとも部分的に相補的であるポリヌクレオチド配列であってよく、それにより、miRNA阻害剤は標的miRNA配列とハイブリダイズする。例えば、本開示のmiR-485阻害剤は、標的miR-485核酸配列と少なくとも部分的に相補的であるヌクレオチド分子をコードしたヌクレオチド配列を含み、それにより、miR-485阻害剤はmiR-485配列とハイブリダイズする。さらなる態様では、miR-485配列に対するmiR-485のハイブリダイゼーションは、miR-485の発現、機能、及び/または活性を減少させるか、変化させるか、及び/または調節する(例えば、ハイブリダイゼーションによって、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現の減少がもたらされる)。特に断らない限り、用語「miRNA阻害剤」と「miR-485阻害剤」とは互換的に使用することができる。
【0100】
「miRNA」、「miR」、及び「マイクロRNA」という用語は、互換的に使用され、RNAによる遺伝子調節に関与する真核生物において見出されるマイクロRNA分子を指す。この用語は、前駆体からプロセシングされた一本鎖RNA分子を指すために使用される。いくつかの態様では、「アンチセンスオリゴマー」という用語は、本開示のマイクロRNA分子を記述するために使用することもできる。本開示に関連するmiRNAの名称及びそれらの配列は、本明細書において提供される。マイクロRNAは、不完全な塩基対形成により標的mRNAを認識及びそれに結合し、標的mRNAの不安定化または翻訳阻害をもたらし、これにより、標的遺伝子発現を下方調節する。逆に、miRNA結合部位を含む分子(一般にmiRNAのシード領域に相補的な配列を含む分子)によるmiRNAの標的化は、miRNAにより誘発される翻訳阻害を低減または阻害し得、標的遺伝子の上方調節をもたらす。
【0101】
「ミスマッチ」または「複数のミスマッチ」という用語は、オリゴマー核酸塩基配列(例えば、miR-485阻害剤)における塩基対形成則に従って標的核酸配列(例えば、miR-485阻害剤)と一致しない1つ以上の核酸塩基(連続しているまたは離れているにかかわらず)を指す。多くの場合、完全な相補性が所望されるが、いくつかの態様では、標的核酸配列に対する1つ以上(好ましくは6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つ)のミスマッチが生じ得る。オリゴマー内の任意の位置でのバリエーションが含まれる。ある特定の態様では、本開示のアンチセンスオリゴマー(例えば、miR-485阻害剤)は、末端近くでの核酸塩基配列のバリエーション、内部でのバリエーションを含み、存在する場合、通常、5’及び/または3’末端の約6、5、4、3、2、または1サブユニット以内に存在する。いくつかの態様では、1つ、2つ、または3つの核酸塩基が除去されてもよく、依然としてオンターゲットの結合を与えることができる。
【0102】
本明細書で使用する場合、「調節する」、「修飾する」という用語、及びそれらの文法的変化形は、一般に、特定の濃度、レベル、発現、機能、または行動に適用される場合、例えば、アンタゴニストまたはアゴニストとして作用するために、特定の濃度、レベル、発現、機能、または行動を増加または減少させること、例えば、直接または間接的に、促進すること/刺激すること/上方調節することまたはそれらに干渉すること/それらを阻害すること/それらを下方調節することにより変化させる能力を指す。場合によっては、修飾因子は、ある特定の濃度、レベル、活性、または機能を、コントロールと比較して、または一般に予想される活性の平均レベルと比較して、もしくは活性の対照レベルと比較して増加及び/または減少させ得る。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiRNA阻害剤、例えばmiR-485阻害剤は、miR-485の発現、機能及び/または活性を調節する(例えば減少させる、変化させる、または失わせる)ことができ、それにより、NLRP3タンパク質もしくは遺伝子の発現及び/または活性を調節することができる。
【0103】
「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」、及びそれらの文法的変化形は、互換的に使用され、一本鎖形態または二重螺旋のいずれかでのリン酸エステルポリマー形態のリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、またはシチジン;「RNA分子」)もしくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、チミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)、またはそれらの任意のホスホエステルアナログ、例えば、ホスホロチオネート及びチオエステルを指す。一本鎖核酸配列は、一本鎖DNA(ssDNA)または一本鎖RNA(ssRNA)を指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNA、及びRNA-RNA螺旋が可能である。核酸分子及び特にDNAまたはRNA分子という用語は、分子の一次及び二次構造のみを指し、任意の特定の三次形態に限定されない。したがって、この用語は、とりわけ線形または環状DNA分子(例えば、制限フラグメント)、プラスミド、スーパーコイルDNA、及び染色体に見出される二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造について述べる際、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに相同な配列を有する鎖)に沿った5’~3’方向での配列のみを提供する通常の慣例に従って本明細書に記載され得る。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAとしては、限定されるものではないが、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、及び半合成DNAが挙げられる。本開示の「核酸組成物」は、本明細書に記載されるような1つ以上の核酸を含む。
【0104】
「薬学的に許容されるキャリア」、「薬学的に許容される賦形剤」という用語、及びそれらの文法的変化形は、ヒトを含む動物に使用するための米国連邦政府の規制機関により承認されたか、または米国薬局方に列挙される薬剤のいずれか、ならびに対象への組成物の投与を禁止する程度まで望ましくない生理作用の発生を引き起こさず、投与される化合物の生物活性及び特性を抑制しない任意のキャリアまたは希釈剤を包含する。医薬組成物を調製するのに有用であり、一般に安全で、非毒性であり、望ましい賦形剤及び担体が含まれる。
【0105】
本明細書で使用する場合、「医薬組成物」という用語は、1種以上の他の化学成分、例えば、薬学的に許容されるキャリア及び賦形剤と混合もしくは混ぜ合わされたか、またはそれらの中に懸濁された、例えば、本開示のmiRNA阻害剤などの本明細書に記載される化合物のうちの1種以上を指す。医薬組成物の1つの目的は、本開示のmiRNA阻害剤を含む製剤の対象への投与を促進することである。
【0106】
本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらのアナログ、またはそれらの混合物が挙げられるヌクレオチドの任意の長さのポリマーを指す。
【0107】
いくつかの態様では、この用語は分子の一次構造を指す。したがって、この用語は、三本鎖、二本鎖、及び一本鎖デオキシリボ核酸(「DNA」)、ならびに三本鎖、二本鎖、及び一本鎖リボ核酸(「RNA」)を含む。この用語は、例えば、アルキル化及び/またはキャッピングにより修飾されたポリヌクレオチド及び未修飾形態のポリヌクレオチドも含む。
【0108】
いくつかの態様では、「ポリヌクレオチド」という用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有する)、スプライシングされたまたはスプライシングされていないにかかわらず、tRNA、rRNA、shRNA、siRNA、miRNA及びmRNAを含む、ポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有する)、プリンまたはピリミジン塩基のN-またはC-配糖体である任意の他の種類のポリヌクレオチド、ならびに非ヌクレオチド骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸「PNA」)及びポリモルホリノポリマー、ならびにDNA及びRNAにおいて見出されるような塩基対形成及び塩基スタッキングを可能にする配置で核酸塩基を含有することを条件とする他の配列特異的合成核酸ポリマーを含む。
【0109】
本開示のいくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドであってよい。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチドは、RNAである。いくつかの態様では、RNAは、合成RNAである。いくつかの態様では、合成RNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。いくつかの態様では、ある特定の種類のすべての核酸塩基が、非天然核酸塩基と置き換えられている(例えば、本明細書において開示されるポリヌクレオチドにおけるすべてのウリジンが、非天然核酸塩基、例えば、5-メトキシウリジンと置き換えられ得る)。
【0110】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、例えばNLRP3遺伝子によりコードされた、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指して本明細書において互換的に使用される。ポリマーは、修飾アミノ酸を含み得る。これらの用語は、自然に修飾された、または、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合など、他の任意の操作もしくは改変などの介入により修飾されたアミノ酸ポリマーも包含される。例えば、1つ以上のアミノ酸アナログ(例えば、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸、及びクレアチンなどの非天然アミノ酸が挙げられる)、及び当該技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドも定義の範囲内に含まれる。本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」という用語は、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。
【0111】
ポリペプチドとしては、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、上述のもののホモログ、オーソログ、パラログ、フラグメント及び他の等価物、バリアント、ならびにアナログが挙げられる。
【0112】
ポリペプチドは、単一のポリペプチドであり得るか、またはダイマー、トリマー、もしくはテトラマーなどの多分子複合体であり得る。それらは、一本鎖または多連鎖ポリペプチドも含み得る。最も一般的に、ジスルフィド結合は、多鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的アナログであるようなアミノ酸ポリマーにも適用され得る。いくつかの態様では、「ペプチド」は、アミノ酸50個以下の長さ、例えば、アミノ酸約5個、約10個、約15個、約20個、約25個、約30個、約35個、約40個、約45個、または約50個の長さであり得る。
【0113】
本明細書で使用される場合、「肺疾患または肺障害」という用語は、肺(pulmonary)及び肺(lung)または呼吸器系に少なくとも部分的に影響を及ぼす任意の病態を指す。したがって、「呼吸器疾患または呼吸器系障害」及び「肺(lung)疾患または肺障害」という用語は、「肺(pulmonary)疾患または肺障害」と互換的に使用することができる。この用語は、例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、結核などの閉塞性及び非閉塞性状態の両方を包含することを意味する。肺疾患または肺障害のさらなる例は、本開示の他の箇所に示される。「閉塞性肺疾患」という用語は、呼吸器系に出入りする空気流の減少をもたらす任意の肺疾患または肺障害を指す。通常と比較した気流の減少は、例えば、FVCまたはFEV1によって、合計でまたは有限時間にわたって測定することができる。
【0114】
本明細書で使用する場合、「炎症性疾患または炎症性障害」という用語は、炎症により引き起こされる、炎症によりもたらされる、または炎症をもたらす状態を指す。「炎症性疾患または炎症性障害」という用語は、マクロファージ、顆粒球、及び/またはTリンパ球による過剰な反応を引き起こし、異常な組織損傷及び細胞死につながる調節不全の炎症反応も指す場合がある。本開示から明らかとなるように、炎症性疾患または炎症性障害は、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルの増加と関連し得る。炎症性疾患または炎症性障害は、急性または慢性の炎症状態のいずれかであり、感染性または非感染性の原因によって生じ得る。炎症性疾患または炎症性障害の非限定的な例としては、これらに限定されるものではないが、クリオピリン関連周期症候群(CAPS)、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(GvHD)、関節炎症、接触過敏症、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、類天疱瘡、橋本甲状腺炎、バセドウ病、グッドパスチャー病、皮膚筋炎)、リウマチ性多発筋痛(PMR)、腱炎、滑液包炎、乾癬、関節炎、巨細胞性動脈炎、進行性全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎(炎症性筋症)、天疱瘡、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性皮膚疾患、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症及び関連形態の血管炎(側頭動脈炎及び結節性多発動脈炎)、肝炎、遅発型過敏反応(ツタウルシ皮膚炎など)、脳炎、即時型過敏反応、花粉症、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血性損傷)、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、線維症、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、中耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、尿嚢炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、及び外陰膣炎、血管炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、壊死性腸炎、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0115】
本明細書で使用する場合、「代謝性疾患または代謝性障害」という用語は、代謝機能の変化または障害を特徴とする状態を指す。「代謝機能」とは、一般に、生体内で生じる広範な生化学プロセスを指す。代謝機能(本明細書では「代謝」とも呼ぶ)には主に、(1)細胞プロセスを行うために食物をエネルギーに変換する、(2)食物/燃料をタンパク質、脂質、核酸、及び一部の炭水化物の構成単位に変換する、及び(3)代謝老廃物の除去の3つの目的がある。代謝性疾患及び代謝性障害の非限定的な例は、本開示の全体を通じて示される。
【0116】
本明細書で使用する場合、「予防する」、「予防すること」という用語、及びそれらの変化形は、疾患、障害、及び/または状態の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状、特徴、または臨床徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状、特徴、または徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の進行を部分的または完全に遅延させること;及び/または疾患、障害、及び/または状態に関連する病理を生じるリスクを減少させることを指す。いくつかの態様では、転帰の予防は、予防的治療によって実現される。
【0117】
本明細書で使用する場合、「プロモーター」及び「プロモーター配列」という用語は互換可能であり、コーディング配列または機能性RNAの発現を制御することができるDNA配列を指す。一般的に、コーディング配列は、プロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは、天然遺伝子にその全体が由来してもよく、または自然界にみられる異なるプロモーターに由来する異なるエレメントで構成されてもよく、またはさらには、合成DNAセグメントを含んでもよい。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞タイプにおいて、または発生の異なる段階において、または異なる環境的もしくは生理学的条件に応じて、遺伝子の発現を誘導することができる点は、当業者には理解されよう。ほとんどの細胞タイプでほとんどの時間に遺伝子を発現させるプロモーターは一般的に「構成的プロモーター」と呼ばれる。特定の細胞タイプにおいて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。発生または細胞分化の特定の段階で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「発生特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する薬剤、生物学的分子、化学物質、リガンド、光などによる細胞の曝露または処理後に誘導されて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「誘導性プロモーター」または「調節可能なプロモーター」と呼ばれる。多くの場合で調節配列の正確な境界は完全には定義されていないことから、異なる長さのDNAフラグメントが同じプロモーター活性を有し得る点もさらに認識されよう。
【0118】
プロモーター配列の境界はその3’末端では転写開始部位であり、バックグラウンドよりも高い検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小の数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)に延びている。プロモーター配列内には、転写開始部位(例えばヌクレアーゼS1によるマッピングによって簡便に定義される)ばかりでなく、RNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)も見出される。いくつかの態様では、本開示とともに使用することができるプロモーターには、組織特異的プロモーターが含まれる。
【0119】
本明細書で使用する場合、「予防」とは、疾患もしくは状態の発症を予防するために、または疾患もしくは状態に関連する症状を予防または遅延させるために使用される治療的行動または行動方針を指す。
【0120】
本明細書で使用する場合、「予防法」は、健康を維持し、疾患または状態の発症を予防もしくは遅延させるために、または疾患もしくは状態に関連する症状を予防もしくは遅延させるために取られる手段を指す。
【0121】
本明細書で使用する場合、「遺伝子調節領域」または「調節領域」という用語は、コーディング領域の上流(5’側のノンコーディング配列)、その内部、またはその下流(3’側のノンコーディング配列)に位置して、転写、RNAプロセシング、または関連するコーディング領域の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節領域には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、またはステムループ構造が含まれ得る。コーディング領域が真核細胞内での発現のためのものである場合、ポリアデニル化シグナル及び転写終結配列がコーディング配列の3’側に通常は配置される。
【0122】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤(例えば、1つ以上のmiR-485結合部位を含むRNAをコードしたポリヌクレオチド)は、1つ以上のコーディング領域と機能的に関連付けられたプロモーター及び/または他の発現(例えば、転写)制御エレメントを含むことができる。機能的関連付けにおいて、遺伝子産物のコーディング領域は、1つ以上の調節領域と、その遺伝子産物の発現が調節領域(複数可)の影響または制御下に置かれるようにして関連付けられる。例えば、コーディング領域とプロモーターとは、プロモーター機能の誘導が、そのコーディング領域によってコードされたmRNAの転写をもたらし、かつプロモーターとコーディング領域との連結の性質が、プロモーターが遺伝子産物の発現を誘導する能力を妨げず、またはDNA鋳型が転写される能力も妨げない場合に、「機能的に関連付けられている」。プロモーター以外の他の発現制御エレメント、例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、及び転写終結シグナルを、遺伝子産物の発現を誘導するようにコーディング領域と機能的に関連付けることもできる。
【0123】
本明細書で使用する場合、「類似性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えばmiRNA分子)間の全体的関連性を指す。ポリマー分子同士の互いに対する類似率(%)の計算は、類似率(%)の計算が当該技術分野で理解されるところの保存的置換を考慮している点を除いて、同一率(%)の計算と同様にして行うことができる。類似率(%)は、用いられる比較尺度、すなわち、核酸同士が、例えばそれらの進化的な近さ、電荷、体積、柔軟性、極性、疎水性、芳香族性、等電点、抗原性、またはそれらの組み合わせのどれにしたがって比較されるかによって左右されることが理解される。
【0124】
「対象」、「患者」、「個体」、及び「宿主」なる用語、及びそれらの変化形は、本明細書において互換的に使用され、限定されるものではないが、ヒト、家庭用動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、及び実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)が挙げられる、診断、処置、または治療が所望される任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。本明細書に記載される方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。
【0125】
本明細書で使用する場合、「その必要がある対象」という表現は、例えば、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現レベルを減少させるためなど、本開示のmiRNA阻害剤(例えば、miR-485阻害剤)の投与から恩恵を受ける哺乳動物対象などの対象を含む。
【0126】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という用語は、所望の治療効果、薬理学的、及び/または生理学的効果をもたらす必要がある対象において所望の治療効果、薬理学的、及び/または生理学的効果をもたらすのに十分な、本開示のmiRNA阻害剤を含む試薬または医薬化合物の量である。治療有効量は、予防が治療とみなされ得る場合、「予防有効量」であり得る。
【0127】
本明細書で使用する場合、「治療する」、「治療」、または「治療すること」という用語は、例えば、疾患または状態の重症度の低減、疾患経過の期間の短縮、疾患または状態(例えば、、肺疾患、炎症性疾患、及び代謝性疾患)に関連する1つ以上の症状の改善または消失、疾患または状態の治癒を必ずしも伴わない、疾患または状態を有する対象に対する有益な効果の提供を指す。この用語には、疾患もしくは状態またはその症状の予防または防止も含まれる。
【0128】
「上流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の5’側に位置するヌクレオチド配列を指す。
【0129】
「ベクター」とは、宿主細胞内に核酸をクローニング及び/または導入するための任意の担体を指す。ベクターは、結合されたセグメントの複製をもたらすように別の核酸セグメントを結合させることができるレプリコンとすることができる。「レプリコン」とは、インビボで自律的な複製ユニットとして機能する(すなわち、それ自身の制御下で複製することができる)任意の遺伝子エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)のことを指す。「ベクター」という用語には、細胞に核酸をインビトロ、エクスビボ、またはインビボで導入するためのウイルス性及び非ウイルス性の担体が含まれる。例えば、プラスミド、改変真核生物ウイルス、または改変細菌ウイルスを含む数多くのベクターが当該技術分野で知られており、使用されている。適当なベクターへのポリヌクレオチドの挿入は、適当なポリヌクレオチドフラグメントを、相補的な粘着末端を有する選択されたベクターにライゲートすることによって行うことができる。
【0130】
ベクターは、ベクターを取り込んだ細胞の選択または特定を可能とする選択マーカーまたはレポーターをコードするように操作することができる。選択マーカーまたはレポーターの発現によって、ベクターに含まれる他のコーディング領域を取り込んで発現する宿主細胞を特定し、及び/または選択することが可能となる。当該技術分野において知られ、使用されている選択マーカーの例としては、アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ヒグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミドなどに対する耐性を与える遺伝子、ならびに表現型マーカーとして用いられる遺伝子、すなわち、アントシアン調節遺伝子、イソペンテニル基転移酵素遺伝子などが挙げられる。当該技術分野において知られ、使用されているレポーターの例としては、ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)などが挙げられる。選択マーカーはレポーターとみなすこともできる。
【0131】
II.使用方法
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性を調節することにより、治療効果(例えば、肺疾患、炎症性疾患及び/または代謝性疾患に罹患した対象における)を発揮することができる。本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、NLRP3遺伝子(及びそのコードするタンパク質)の発現及び/または活性を調節することができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、このような調節を通じて、miR-485阻害剤は、インフラマソームの形成及び/または活性化を含む(ただしこれらに限定されない)多くの生物学的プロセスに影響を与えることができる。インフラマソームの形成及び/または活性化には、通常、2つの段階が必要である。最初の段階には、病原体活性化分子パターン(PAMP)または危険活性化分子パターン(DAMP)がToll様受容体によって認識されるプライミングシグナルが関与し、核因子カッパB(NF-kB)媒介シグナル伝達の活性化につながり、これにより、不活性型NLRP3などのインフラマソーム関連成分の転写が増加する。第2の段階は、NLRP3のオリゴマー化と、それに続くNLRP3、ASC、及びプロカスパーゼ-1のインフラマソーム複合体へのアッセンブリである。これにより、プロカスパーゼ-1からカスパーゼ-1への変換と、成熟IL-1b及びIL-18のようなさまざまな炎症性メディエーターの産生及び分泌が引き起こされる。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載のmiR-485阻害剤は、NLRP3、ASC、及び/またはプロカスパーゼ-1の発現及び/または活性を低下させることによって、炎症の調節(例えば低減)を必要とする対象における炎症を調節することができ、これは、いくつかの態様では、本明細書に記載される疾患または障害の治療に有用であり得る。
【0132】
NLRP3の調節
いくつかの態様では、本開示は、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現を減少させる必要のある対象においてNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現を減少させる方法であって、miR-485活性を阻害する化合物(すなわち、miR-485阻害剤)を対象に投与することを含む方法を提供する。特定の態様では、miR-485活性を阻害することは、対象におけるNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現を減少させる。
【0133】
NLRP3(NLR family pyrin domain containing 3)(NLRファミリーピリンドメイン含有タンパク質3)は、ヒトではNLRP3遺伝子によってコードされるタンパク質である。NLRP3遺伝子はヒトの第1番染色体の長腕上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000001.11のヌクレオチド247,416,156~247,449,108(+鎖の方向))。NLRP3遺伝子及びそのコードするタンパク質の同義語は周知のものであり、「クリオピリン」、「CLR1.1」、「PYPAF1」、「NALP3」、「ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチリピート及びピリンドメイン含有3」、「風邪誘発性自己炎症症候群1タンパク質」、「NACHT、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質3」、「PYRIN含有APAF1様タンパク質1」、「難聴、常染色体優性34」、「Caterpillerタンパク質1.1」、「AGTAVPRL」、「NACHTドメイン、ロイシンリッチリピート、及びPYD含有タンパク質3」、「クリオピリン、NACHT、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質3」、「アンジオテンシン/バソプレシン受容体AII/AVP様」「C1orf7」、「CIAS1」、「DFNA34」、「FACS」、「All」、「AVP」、「FCU」、「MWS」、「FCAS1」、「KEFH」、及び「風邪自己炎症症候群1タンパク質」が含まれる。
【0134】
ヒトNLRP3タンパク質には、選択的スプライシングから生じる少なくとも6種類の既知のアイソフォームがある。NLRP3アイソフォーム2(UniProt識別番号:Q96P20-1)は1,036個のアミノ酸からなり、カノニカル配列として選択されている(配列番号123)。NLRP3アイソフォーム1(UniProt識別番号:Q96P20-2)は、922個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)721~777:欠失、及び(ii)836~892:欠失(配列番号124)。NLRP3アイソフォーム3(UniProt識別番号:Q96P20-3)は、719個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:720~1036:欠失(配列番号125)。NLRP3アイソフォーム4(UniProt識別番号:Q96P20-4)は、アミノ酸979個の長さであり、以下の点でカノニカル配列と異なる:721~777:欠失(配列番号126)。NLRP3アイソフォーム5(UniProt識別番号:Q96P20-5)は、アミノ酸979個の長さであり、以下の点でカノニカル配列と異なる:836~892:欠失(配列番号127)。NLRP3アイソフォーム6(UniProt識別番号:Q96P20-6)は、1,016個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:776~796:WLGRCGLSHECCFDISLVLSS→C(配列番号128)。下記表1に、異なるNLRP3アイソフォームの配列を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0135】
本明細書で使用する場合、「NLRP3」なる用語は、細胞によって天然に発現されるNLRP3のあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤はNLRP3アイソフォーム2の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤はNLRP3アイソフォーム1の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤はNLRP3アイソフォーム3の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤はNLRP3アイソフォーム4の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤はNLRP3アイソフォーム5の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤はNLRP3アイソフォーム6の発現を減少させることができる。さらなる態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤はすべてのNRG3アイソフォームの発現を減少させることができる。特に断らない限り、アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、アイソフォーム4、アイソフォーム5、及びアイソフォーム6を本明細書ではまとめて「NLRP3」と呼ぶ。
【0136】
いくつかの態様において、本開示のmiR-485阻害剤は、参照(例えば、miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象におけるNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現)と比較してNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、または少なくとも約300%減少させる。
【0137】
いずれか1つの理論に束縛されるものではないが、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、miR-485、例えばmiR-485-3pの発現及び/または活性を低下させることにより、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現を減少させる。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、miR-485-3pの発現及び/または活性を低下させることができる。
【0138】
いくつかの態様において、本開示のmiR-485阻害剤は、参照(例えば、miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象におけるmiR-485-3pの発現)と比較してmiR-485-3pの発現及び/または活性を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少させる。特定の態様において、本開示のmiR-485阻害剤は、参照(例えば、miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象におけるmiR-485-5pの発現)と比較してmiR-485-5pの発現及び/または活性を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少させる。さらなる態様において、本開示のmiR-485阻害剤は、参照(例えば、miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象におけるmiR-485-3p及びmiR-485-5pの発現)と比較してmiR-485-3p及びmiR-485-5pの両方の発現及び/または活性を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少させる。いくつかの態様では、miR-485-3p及び/またはmiR-485-5pの発現は、miR-485阻害剤の投与後に完全に阻害される。
【0139】
本明細書に記載されるように、本開示のmiR-485阻害剤は、対象に投与された場合にNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の発現を減少させることができる。したがって、いくつかの態様では、本開示は、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常な(例えば、減少した)レベルに関連した疾患または状態の治療を必要とする対象において、そのような疾患または状態を治療する方法を提供する。いくつかの態様では、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常な(例えば、増加した)レベルに関連する疾患または状態は、肺疾患、炎症性疾患、代謝性疾患、またはそれらの組み合わせ(例えば、本明細書に記載のものなど)を含む。。特定の態様では、方法は、miR-485を阻害する化合物(すなわち、miRNA阻害剤)を対象に投与することを含み、miRNA阻害剤は、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子のレベルを減少させ、それによりNLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常な(例えば、増加した)レベルに関連した疾患または状態を治療する。
【0140】
本開示から明らかとなるように、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常な(例えば、例えば増加した)レベルに関連したあらゆる疾患または状態を本開示によって治療することができる。
【0141】
肺疾患
いくつかの態様では、本開示は、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常な(例えば、増加した)レベルに関連した疾患または状態は、肺疾患を含む。特定の態様では、肺疾患には、喘息、アレルギー性気道炎症、外因性アレルギー性肺胞炎、花粉症、感染症(例えば、インフルエンザ感染)後の過剰炎症、珪肺、石綿肺、気管支拡張症、ベリリア症、タルコーシス、じん肺、閉塞性肺疾患、(COPD)、肺気腫、特発性肺線維症、肺炎、通常間質性肺炎(UIP)、落屑性間質性肺炎、肺炎、細気管支炎、気管支炎、リンパ性間質性肺炎、巨細胞性間質性肺炎、細胞性間質性肺炎、結核、嚢胞性線維症、気管支炎、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺高血圧症(例えば、特発性肺動脈高血圧症(IPAH)(原発性肺高血圧症(PPH)としても知られる)及び二次性肺高血圧症(SPH))、間質性肺疾患、肺水腫、気道の炎症、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0142】
本明細書に記載されるmiR-485阻害剤の投与は、肺疾患に関連した1つ以上の症状を改善することができる。このような症状の非限定的な例としては、息切れ、喘鳴、胸部圧迫感、慢性咳嗽、エネルギー不足、及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、本開示により治療可能な肺疾患は、全体的な肺低酸素症、局所的な肺低酸素症、肺水腫、肺動脈圧の上昇、肺血管抵抗の上昇、中心静脈圧の上昇、動脈血酸素飽和度の低下、息切れ、「ラ音」及び「パチパチ音」、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの状態によって特徴付けることができる。本明細書で使用する場合、「ラ音」及び「捻髪音」とは、胸部の聴診において正常な呼吸音に伴って聞こえる異常音を意味する。
【0143】
いくつかの態様では、本開示によって治療することが可能な肺疾患または肺障害は、さまざまな要因によって引き起こされるかまたはそれに関連し得る。このような要因としては、これらに限定されるものではないが、炎症、自己免疫疾患(強皮症や関節リウマチなど)、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、心臓の先天異常、肺の血栓(肺塞栓症)、うっ血性心不全、心臓弁膜症、感染症、長期間にわたる血中低酸素レベル、さまざまな薬物及び乱用物質、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0144】
いくつかの態様では、本明細書に記載のmiR-485阻害剤で治療可能な肺疾患または肺障害は、例えば肺内の炎症に関連している。本明細書で使用する場合、「炎症」という用語は、病原体、損傷した細胞、または病原体などの有害な刺激に対する体組織の複雑な生物学的反応を指す。炎症は急性または慢性に分類できる。「急性炎症」は、有害な刺激に対する身体の初期反応であり、血液から損傷組織への血漿及び白血球の移動の増加によって生じる。生化学的事象のカスケードが、局所の血管系、免疫系、及び損傷組織内のさまざまな細胞を含む炎症反応を伝播し、成熟させる。「慢性炎症」として知られる長期の炎症は、炎症部位に存在する細胞の種類の進行性の変化をもたらし、炎症プロセスによる組織の破壊と治癒が同時に起こることを特徴とする。
【0145】
炎症性疾患
いくつかの態様では、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常な(例えば、増加した)レベルに関連した疾患または状態は、炎症性疾患(例えば、本明細書に記載されるものなど)を含む。
【0146】
いくつかの態様では、本開示により治療することが可能な炎症性疾患または炎症性障害には、多発性硬化症(MS)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、クリオピリン関連周期症候群(CAPS)、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(GvHD)、関節炎症、接触過敏症、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、類天疱瘡、橋本甲状腺炎、バセドウ病、グッドパスチャー病、皮膚筋炎)、リウマチ性多発筋痛(PMR)、腱炎、滑液包炎、乾癬、関節炎、巨細胞性動脈炎、進行性全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎(炎症性筋症)、天疱瘡、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性皮膚疾患、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症及び関連形態の血管炎(側頭動脈炎及び結節性多発動脈炎)、肝炎、遅発型過敏反応(ツタウルシ皮膚炎など)、脳炎、即時型過敏反応、花粉症、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血性損傷)、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、線維症、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、中耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、尿嚢炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、及び外陰膣炎、血管炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、壊死性腸炎、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0147】
本明細書に記載されるmiR-485阻害剤の投与は、炎症性疾患に関連した1つ以上の症状を改善することができる。このような症状の非限定的な例としては、患部の腫れ、発赤、疼痛、硬直、患部の機能及び運動の喪失、疲労、発熱、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0148】
代謝性疾患
いくつかの態様では、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常な(例えば、増加した)レベルに関連した疾患または状態は、代謝性疾患または代謝性障害(例えば、本明細書に記載されるものなど)である。
【0149】
いくつかの態様では、本開示により治療することが可能な代謝性疾患には、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、痛風、肥満、I型糖尿病、II型糖尿病、またはそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの態様では、代謝性疾患には、遺伝性代謝障害(すなわち、1人以上の親から受け継いだ遺伝的欠陥によって引き起こされる)が含まれる。このような代謝性疾患の非限定的な例としては、家族性高コレステロール血症、ゴーシェ病、ハンター症候群、クラッベ病、メープルシロップ尿症、異染性白質ジストロフィー、ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、脳卒中様エピソード(MELAS)、ニーマンピック、フェニルケトン尿症(PKU)、ポルフィリン症、テイ・サックス病、ウィルソン病、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0150】
本明細書に記載されるmiR-485阻害剤の投与は、代謝性疾患に関連した1つ以上の症状を改善することができる。そのような症状の非限定的な例としては、倦怠感、食欲不振、腹痛、嘔吐、体重減少、体重増加、黄疸、発育遅延、発作、昏睡;尿、息、汗、または唾液の異常な臭い、高血圧、低血糖、中性脂肪の上昇、尿酸値の上昇、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0151】
いずれの理論にも束縛されるものではないが、いくつかの態様では、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の対象への投与は、対象の炎症の量を減少させることができる。特定の態様では、炎症の量の減少は、本明細書に記載の疾患(例えば、肺疾患、炎症性疾患、及び/または代謝性疾患)のいずれかに関連する1つ以上の症状を改善及び/または緩和することができる。特定の態様では、対象の炎症の量は、参照対象(例えば、miRNA阻害剤の投与前の同じ対象、またはmiRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少させる。
【0152】
対象の炎症の量は、当該技術分野では周知の任意の適当な方法を使用して測定することができる。例えば、本明細書に参照によりその全体を援用する、米国特許第7,598,080号、及びLeng,S.X.,et al., J Gerontol A Biol Sci Med Sci 63(8):879-884(Aug.2008)を参照されたい。例えば、いくつかの態様では、対象の炎症の量は、対象の1つ以上の炎症性メディエーターのレベルを測定することによって決定することができる。炎症性メディエーターの非限定的な例としては、プロスタグランジン、ロイコトリエン、血小板活性化因子、活性酸素種、一酸化窒素、サイトカイン、神経ペプチド、補体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、IL-1βを含む。いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、TNF-αを含む。いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、IL-6を含む。いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、TNF-α及びIL-1βの両方を含む。いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、TNF-α、IL-1β、IL-6、またはそれらの組み合わせを含む。
【0153】
本明細書で実証されるように、いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、細胞(例えば、LPS処理及び/またはAβO処理ミクログリア)による1つ以上の炎症性メディエーターの産生を減少させることができる。したがって、いくつかの態様では、本開示は、細胞(例えば、LPS処理及び/またはAβO処理ミクログリア)による1つ以上の炎症性メディエーターの産生を減少させる方法であって、細胞を、本明細書に記載のmiR-485阻害剤と接触させることを含む、方法に関する。いくつかの態様では、上記接触させることの後、細胞によって産生される炎症性メディエーターの量は、参照細胞(例えば、miR-485阻害剤と接触させなかった対応する細胞)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少する。
【0154】
本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、TNF-αを含む。いくつかの態様では、上記接触させることの後、細胞によって産生されるTNF-αの量は、参照細胞(例えば、miR-485阻害剤と接触させなかった対応する細胞)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少する。
【0155】
いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、IL-6を含む。したがって、いくつかの態様では、上記接触させることの後、細胞によって産生されるIL-6の量は、参照細胞(例えば、miR-485阻害剤と接触させなかった対応する細胞)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少する。
【0156】
いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、IL-1βを含む。したがって、いくつかの態様では、上記接触させることの後、細胞によって産生されるIL-1βの量は、参照細胞(例えば、miR-485阻害剤と接触させなかった対応する細胞)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少する。
【0157】
いくつかの態様では、上記接触させることはインビボで(例えば、それを必要とする対象への投与後に)行われる。いくつかの態様では、上記接触させることは、エクスビボで行われる。
【0158】
本明細書に記載されるように、インフラマソームは、自然免疫系の一部として炎症プロセスの活性化に重要な役割を果たしている。したがって、いずれか1つの理論に束縛されるものではないが、いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減することができ、ひいては炎症の量を低減することができる。本開示から明らかとなるように、いくつかの態様では、インフラマソームはNLRP3インフラマソームである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、これらに限定されるものではないが、NLRP3及びカスパーゼ-1などのインフラマソームの1つ以上の成分の発現を調節することによって、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減することができる。いくつかの態様では、miR-485阻害剤を対象に投与することは、対象におけるインフラマソームの量を、参照対象(例えば、miRNA阻害剤の投与前の同じ対象、またはmiRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)における炎症の量と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少させる。
【0159】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、当該技術分野では周知の任意の適当な経路で投与することができる。特定の態様では、miR-485阻害剤は、鼻腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脳室内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、腫瘍内投与、またはそれらの任意の組み合わせで投与される。
【0160】
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、1つ以上のさらなる治療薬と併用することができる。いくつかの態様では、さらなる治療薬とmiR-485阻害剤とは同時に投与される。特定の態様において、さらなる治療薬とmiR-485阻害剤とは順次投与される。
【0161】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は副作用を生じない。特定の態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、対象に投与される際に体重に悪影響を及ぼさない。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、対象に投与される際に死亡率の増加をもたらさず、病理学的異常も引き起こさない。
【0162】
III.本開示で有用なmiR-485阻害剤
本開示では、miR-485活性を阻害することができる化合物を開示する(miR-485阻害剤)。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、少なくとも1つのmiR-485結合部位を含むヌクレオチド分子をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、ヌクレオチド分子はタンパク質をコードしていない。本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、miR-485結合部位は、標的miRNA核酸配列(すなわち、miR-485)と少なくとも部分的に相補的であるため、miR-485阻害剤はmiR-485の核酸配列とハイブリダイズする。
【0163】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiRNA阻害剤のmiR-485結合部位は、miR-485の核酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。特定の態様では、miR-485結合部位は、miR-485の核酸配列と完全に相補的である。
【0164】
miR-485のヘアピン前駆体はmiR-485-5p及びmiR-485-3pの両方を生成することができる。本開示との関連で、「miR-485」は、特に断らない限り、miR-485-5p及びmiR-485-3pの両方を包含する。ヒト成熟miR-485-3pは、配列5’- GUCAUACACGGCUCUCCUCUCU-3’(配列番号1;miRBaseアクセッション番号MIMAT0002176)を有する。miR-485-3pの5’-UCAUACA-3’(配列番号49)の5’末端配列はシード配列である。ヒト成熟miR-485-5pは、配列5’-AGAGGCUGGCCGUGAUGAAUUC-3’(配列番号33;miRBaseアクセッション番号MIMAT0002175)を有する。miR-485-5pの5’-GAGGCUG-3’(配列番号50)の5’末端配列はシード配列である。
【0165】
当業者には明らかであるが、ヒト成熟miR-485-3pは、他の種のものと相当の配列類似性を有している。例えば、マウス成熟miR-485-3pは、ヒト成熟miR-485-3pと、5’末端及び3’末端のそれぞれで1個のアミノ酸が異なっている(すなわち、5’末端に余分な「A」があり、3’末端の「C」がない)。マウス成熟miR-485-3pは以下の配列を有する:
【化6】
(配列番号34;miRBaseアクセッション番号MIMAT0003129;下線部はヒト成熟miR-485-3pとの重複部分に相当する)。マウス成熟miR-485-5pの配列はヒトの配列と同一である:5’-agaggcuggccgugaugaauuc-3’(配列番号33;miRBaseアクセッション番号MIMAT0003128)。このような配列の類似性のため、いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、1つ以上の種に由来するmiR-485-3p及び/またはmiR-485-5pに結合することができる。特定の態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、ヒト及びマウスのmiR-485-3p及び/またはmiR-485-5pに結合することができる。
【0166】
いくつかの態様では、miR-485結合部位は、miR-485-3pの配列(またはその部分配列)と相補的(例えば、完全に相補的)な一本鎖のポリヌクレオチド配列である。いくつかの態様では、miR-485-3pの部分配列は、シード配列を含む。したがって、特定の態様では、miR-485結合部位は、配列番号49に記載される核酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列相補性を有する。特定の態様では、miR-485結合部位は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のミスマッチを除いてmiR-485-3pと相補的である。さらなる態様では、miR-485結合部位は、配列番号1に記載される核酸配列と完全に相補的である。
【0167】
いくつかの態様では、miR-485結合部位は、miR-485-5pの配列(またはその部分配列)と相補的(例えば、完全に相補的)な一本鎖のポリヌクレオチド配列である。いくつかの態様では、miR-485-5pの部分配列は、シード配列を含む。特定の態様では、miR-485結合部位は、配列番号50に記載される核酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列相補性を有する。特定の態様では、miR-485結合部位は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のミスマッチを除いてmiR-485-5pと相補的である。さらなる態様では、miR-485結合部位は、配列番号35に記載される核酸配列と完全に相補的である。
【0168】
miRNAのシード領域は、標的mRNAと緊密な二重鎖を形成する。多くのmiRNAは、標的mRNAの3’非翻訳領域(UTR)と不完全に塩基対合し、miRNAの5’近位の「シード」領域が対合特異性の大部分を与える。いずれの理論にも束縛されるものではないが、最初の9個のmiRNAヌクレオチド(シード配列を含む)がより高い特異性を与えるのに対して、この領域の3’側のmiRNAヌクレオチドはより低い配列特異性を与え、それにより、より高度のミスマッチした塩基対合を許容し、2~7位が最も重要であると考えられる。したがって、本開示の特定の態様では、miR-485結合部位は、miR-485のシード配列の全長にわたって完全に相補的(すなわち、100%の相補性)な配列を含む。
【0169】
本開示との関連で使用することができるmiRNA配列及びmiRNA結合配列としては、これらに限定されるものではないが、本明細書に示される配列表の配列の全部または一部、ならびにmiRNA前駆体配列、またはこれらのmiRNAのうちの1つ以上のものの相補体が挙げられる。その配列が、示されるmiRNAの成熟配列またはその相補的配列と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるようなmiRNAまたはその相補的配列を含めるために名前による特定のmiRNAまたはmiRNA結合部位を含む本開示のあらゆる態様も想到される。
【0170】
特定の態様では、本開示のmiRNA結合配列は、改変された配列がmiR-485に依然として特異的に結合できる限り、本明細書で提供される配列表に示される配列の5’末端、3’末端、または5’末端及び3’末端の両方にさらなるヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの態様では、本開示のmiRNA結合配列は、改変された配列がmiR-485に依然として特異的に結合できる限り、提供される配列表に示される配列に対して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のヌクレオチドにおいて異なり得る。
【0171】
miRNA結合分子またはmiRNAに関して本明細書に記載されるあらゆる方法及び組成物は、合成miRNA結合分子に関して実施することができる点も具体的に想到される。本開示のRNA配列に関連した開示は、対応するDNA配列に等しく適用できる点も理解されよう。
【0172】
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、ヌクレオチド配列の5’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、ヌクレオチド配列の3’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む。
【0173】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、約6~約30ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、7ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、8ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、9ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、10ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、miR-485阻害剤は、11ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、miR-485阻害剤は、12ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、13ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、14ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、15ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、miR-485阻害剤は、16ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、17ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、18ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、19ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、miR-485阻害剤は、20ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、21ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、22ヌクレオチドの長さである。
【0174】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、配列番号2~30から選択される配列と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、miR-485阻害剤は、配列番号2~30からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のミスマッチを場合により含んでもよい。
【0175】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)、5’-GUGUAUGA-3’(配列番号3)、5’-CGUGUAUGA-3’(配列番号4)、5’-CCGUGUAUGA-3’(配列番号5)、5’-GCCGUGUAUGA-3’(配列番号6)、5’-AGCCGUGUAUGA-3’(配列番号7)、5’-GAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号8)、5’-AGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号9)、5’-GAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号10)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号11)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号12)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号13)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号14)、または5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号15)を含む。
【0176】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-UGUAUGAC-3’(配列番号16)、5’-GUGUAUGAC-3’(配列番号17)、5’-CGUGUAUGAC-3’(配列番号18)、5’-CCGUGUAUGAC-3’(配列番号19)、5’-GCCGUGUAUGAC-3’(配列番号20)、5’-AGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号21)、5’-GAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号22)、5’-AGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号23)、5’-GAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号24)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号25)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号26)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号27)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号28)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号29)、またはAGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC(配列番号30)を有する。
【0177】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-TGTATGA-3’(配列番号62)、5’-GTGTATGA-3’(配列番号63)、5’-CGTGTATGA-3’(配列番号64)、5’-CCGTGTATGA-3’(配列番号65)、5’-GCCGTGTATGA-3’(配列番号66)、5’-AGCCGTGTATGA-3’(配列番号67)、5’-GAGCCGTGTATGA-3’(配列番号68)、5’-AGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号69)、5’-GAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号70)、5’-GGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号71)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号72)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号73)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号74)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号75)、5’-TGTATGAC-3’(配列番号76)、5’-GTGTATGAC-3’(配列番号77)、5’-CGTGTATGAC-3’(配列番号78)、5’-CCGTGTATGAC-3’(配列番号79)、5’-GCCGTGTATGAC-3’(配列番号80)、5’-AGCCGTGTATGAC-3’(配列番号81)、5’-GAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号82)、5’-AGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号83)、5’-GAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号84)、5’-GGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号85)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号86)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号87)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号88)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号89)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)からなる群から選択される配列を有する。
【0178】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiRNA阻害剤(すなわち、miR-485阻害剤)は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%同一であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と少なくとも90%の類似性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、1個の置換または2個の置換を有するヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む。特定の態様では、miRNA阻害剤は、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む。特定の態様では、miRNA阻害剤は、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)を含む。
【0179】
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示される配列、例えば、配列番号2~30のいずれか1つと、N末端に少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、または少なくとも5個のさらなる核酸、C末端に少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、または少なくとも5個のさらなる核酸、またはその両方と、を含む。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示される配列、例えば、配列番号2~30のいずれか1つと、N末端に1個のさらなる核酸及び/またはC末端に1個のさらなる核酸と、を含む。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示される配列、例えば、配列番号2~30のいずれか1つと、N末端に1個または2個のさらなる核酸及び/またはC末端に1個または2個のさらなる核酸と、を含む。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示される配列、例えば、配列番号2~30のいずれか1つと、N末端に1~3個のさらなる核酸及び/またはC末端に1~3個のさらなる核酸と、を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号29)を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)を含む。
【0180】
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、1個のmiR-485結合部位を含む。さらなる態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、少なくとも2個のmiR-485結合部位を含む。特定の態様では、miR-485阻害剤は、3個のmiR-485結合部位を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、4個のmiR-485結合部位を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5個のmiR-485結合部位を含む。特定の態様では、miR-485阻害剤は、6個以上のmiR-485結合部位を含む。いくつかの態様では、すべてのmiR-485結合部位は同じである。いくつかの態様では、すべてのmiR-485結合部位は異なる。いくつかの態様では、少なくとも1つのmiR-485結合部位が異なる。いくつかの態様では、すべてのmiR-485結合部位は、miR-485-3p結合部位である。他の態様では、すべてのmiR-485結合部位は、miR-485-5p結合部位である。さらなる態様では、miR-485阻害剤は、少なくとも1つのmiR-485-3p結合部位と、少なくとも1つのmiR-485-5p結合部位とを含む。
【0181】
III.a.化学修飾されたポリヌクレオチド
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、少なくとも1つの化学修飾されたヌクレオシド及び/またはヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを含む。本開示のポリヌクレオチドが化学修飾されている場合、ポリヌクレオチドは、「修飾ポリヌクレオチド」と呼ぶことができる。
【0182】
「ヌクレオシド」は、糖分子(例えば、ペントースまたはリボース)またはその誘導体を、有機塩基(例えば、プリンまたはピリミジン)またはその誘導体(本明細書において「核酸塩基」とも称される)とともに含有する化合物を指す。「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。修飾されたヌクレオチドは、1つ以上の修飾された非天然ヌクレオシドを含むように、任意の有用な方法により、例えば、化学的に、酵素的に、または組換えにより合成され得る。
【0183】
ポリヌクレオチドは、連結されたヌクレオシドの領域または複数の領域を含み得る。かかる領域は、可変的な骨格結合を有し得る。連結は、標準的なホスホジエステル結合であり得、その場合、ポリヌクレオチドはヌクレオチドの領域を含む。
【0184】
本明細書において開示される修飾されたポリヌクレオチドは、様々な異なる修飾を含み得る。いくつかの態様では、修飾されたポリヌクレオチドは、1種、2種、またはそれ以上(任意選択的に異なる)のヌクレオシドまたはヌクレオチド修飾を含有する。いくつかの態様では、修飾されたポリヌクレオチドは、1つ以上の所望の特性、例えば、未修飾ポリヌクレオチドと比較して改善された熱または化学安定性、低減された免疫原性、低減された分解、標的マイクロRNAに対する結合の増加、他のマイクロRNAまたは他の分子に対する低減された非特異的結合を示し得る。
【0185】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、化学修飾されている。本明細書で使用する場合、ポリヌクレオチドに関して、「化学修飾」または必要に応じて「化学修飾された」という用語は、アデノシン(A)、グアノシン(G)、ウリジン(U)、チミジン(T)、またはシチジン(C)リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドに対する、限定されるものではないが、それらの核酸塩基、糖、骨格、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるそれらの位置、パターン、パーセント、または集団のうちの1つ以上における修飾を指す。
【0186】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、同じヌクレオシド種類のすべてもしくはいずれかの均一な化学修飾、または同じヌクレオシド種類のすべてもしくはいずれかにおける同じ出発修飾の漸減滴定(downward titration)によって生成される修飾の群、またはランダムな組み込みを伴うことを除いて同じヌクレオシド種類のすべてもしくはいずれかの測定されたパーセントの化学修飾を有し得る。さらなる態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、ポリヌクレオチド全体にわたって同じヌクレオシド種類のうちの2つ、3つ、または4つの均一な化学修飾を有し得る(例えば、すべてのウリジン及びすべてのシトシンなどが、同じように修飾される)。
【0187】
修飾されたヌクレオチドの塩基対形成は、標準的なアデニン-チミン、アデニン-ウラシル、またはグアニン-シトシン塩基対だけでなく、ヌクレオチド及び/または非標準的もしくは修飾塩基を含む修飾ヌクレオチドの間で形成される塩基対も包含し、ここで、水素結合ドナー及び水素結合アクセプターの配置が、非標準的塩基と標準的塩基との間、または2つの相補的な非標準的塩基構造間の水素結合を可能にする。かかる非標準的塩基対形成の1つの例は、修飾された核酸塩基イノシンとアデニン、シトシン、またはウラシルとの間の塩基対形成である。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせが、本開示のポリヌクレオチドに組み込まれ得る。
【0188】
当業者は、特に注記される場合を除き、本出願に記載されるポリヌクレオチド配列は、代表的なDNA配列において「T」を列挙するが、配列がRNAを表す場合、「T」は「U」と置換されることを理解するであろう。例えば、本開示のTDは、RNAとして、DNAとして、またはRNA及びDNAユニットの両方を含むハイブリッド分子として投与され得る。
【0189】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、8つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18、20以上)の修飾された核酸塩基の組み合わせを含む。
【0190】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドにおける核酸塩基、糖、骨格結合、またはそれらの任意の組み合わせは、少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%修飾される。
【0191】
(i)塩基修飾
特定の態様では、化学修飾は、本開示(例えば、miR-485阻害剤)のポリヌクレオチド内の核酸塩基に存在する。いくつかの態様では、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオシドは、修飾されたウリジン(例えば、シュードウリジン(ψ)、2-チオウリジン(s2U)、1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)、1-エチル-シュードウリジン(e1ψ)、または5-メトキシ-ウリジン(mo5U))、修飾されたシトシン(例えば、5-メチル-シチジン(m5C))、修飾されたアデノシン(例えば、1-メチル-アデノシン(m1A)、N6-メチル-アデノシン(m6A)、または2-メチル-アデニン(m2A))、修飾されたグアノシン(例えば、7-メチル-グアノシン(m7G)または1-メチルグアノシン(m1G))、またはそれらの組み合わせである。
【0192】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、特定の修飾について均一に修飾される(例えば、完全に修飾される、配列全体にわたって修飾される)。例えば、ポリヌクレオチドは、同じ種類の塩基修飾、例えば、5-メチル-シチジン(m5C)により均一に修飾され得、これは、ポリヌクレオチド配列におけるすべてのシトシン残基が、5-メチル-シチジン(m5C)と置き換えられることを意味する。同様に、ポリヌクレオチドは、配列に存在する任意の種類のヌクレオシド残基について、修飾されたヌクレオシド、例えば、上記に記載されるもののいずれかとの置換により均一に修飾され得る。
【0193】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の修飾された核酸塩基の組み合わせを含む。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)における1種類の核酸塩基の少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%が、修飾された核酸塩基である。
【0194】
(ii)骨格修飾
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわちmiR-485阻害剤)は、ヌクレオシド間に任意の有用な結合を含むことができる。本開示の組成物において有用な、骨格修飾を含むそのような結合としては、これらに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:3’-アルキレンホスホネート、3’-アミノホスホロアミダート、アルケン含有骨格、アミノアルキルホスホロアミダート、アミノアルキルホスホトリエステル、ボラノホスフェート、-CH-O-N(CH)-CH-、-CH-N(CH)-N(CH)-CH-、-CH-NH-CH-、キラルホスホネート、キラルホスホロチオネート、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレン(メチルイミノ)、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、モルホリノ結合、-N(CH)-CH-CH-、ヘテロ原子ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオシド、ホスフィナート、ホスホロアミダート、ホスホロジチオエート、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、ホスホロチオネート、ホスホトリエステル、PNA、シロキサン骨格、スルファメート骨格、スルフィド、スルホキシド、及びスルホン骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにチオノホスホロアミダート。
【化7】
【0195】
いくつかの態様では、上記に開示される骨格結合の存在は、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)の安定性及び分解に対する耐性を増加させる。
【0196】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)における少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の骨格結合が修飾される(例えば、それらのすべてがホスホロチオエートである)。
【0197】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわち、miR-485阻害剤)に含めることができる骨格修飾は、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)及び/またはホスホロチオエート(PS)修飾を含む。
【0198】
(iii)糖修飾
本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)に組み込まれ得る修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドは、核酸の糖に対して修飾され得る。いくつかの態様では、糖修飾は、miR-485核酸配列に対するmiR-485阻害剤の結合の親和性を増加させる。LNAまたは2’-置換糖などの親和性改善ヌクレオチド類似体をmiR-485阻害剤に組み込むことによって、miR-485阻害剤の長さ及び/またはサイズを小さくすることができる。
【0199】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわち、miR-485阻害剤)における少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のヌクレオチドが糖修飾(例えば、LNA)を含有する。
【0200】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22ヌクレオチドユニットが糖修飾される(例えば、LNA)。
【0201】
一般に、RNAは、酸素を有する五員環である糖基リボースを含む。非限定的な例示的修飾ヌクレオチドとしては、リボースにおける酸素の(例えば、S、Se、またはアルキレン、例えば、メチレンまたはエチレンとの)置換;二重結合の付加(例えば、リボースのシクロペンテニルまたはシクロヘキセニルとの置換);リボースの環縮小(例えば、シクロブタンまたはオキセタンの四員環の形成);リボースの環拡大(例えば、追加の炭素またはヘテロ原子を有し、6または七員環の形成、例えば、アンヒドロヘキシトール、アルトリトール、マンニトール、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル、及びホスホロアミダート骨格も有するモルホリノ);多環式形態(例えば、トリシクロ);及び「アンロックド」形態、例えば、グリコール核酸(GNA)(例えば、R-GNAまたはS-GNA、ここで、リボースは、ホスホジエステル結合に結合されたグリコールユニットと置き換えられる)、トレオース核酸(TNA、ここで、リボースは、α-L-トレオフラノシル-(3’→2’)と置き換えられる)、及びペプチド核酸(PNA、ここで、2-アミノ-エチル-グリシン結合が、リボース及びホスホジエステル骨格と置き換わる)が挙げられる。糖基は、リボースにおける対応する炭素と反対の立体化学配置を有する1つ以上の炭素も含有し得る。したがって、ポリヌクレオチド分子は、糖として、例えば、アラビノースを含有するヌクレオチドを含み得る。
【0202】
リボースの2’ヒドロキシ基(OH)は、いくつかの異なる置換基で修飾または置換され得る。2’-位での例示的な置換としては、限定されるものではないが、H、ハロ、任意選択的に置換されたC1~6アルキル;任意選択的に置換されたC1~6アルコキシ;任意選択的に置換されたC6~10アリールオキシ;任意選択的に置換されたC3~8シクロアルキル;任意選択的に置換されたC3~8シクロアルコキシ;任意選択的に置換されたC6~10アリールオキシ;任意選択的に置換されたC6~10アリール-C1~6アルコキシ、任意選択的に置換されたC1~12(ヘテロシクリル)オキシ;糖(例えば、リボース、ペントース、または本明細書に記載されるいずれか);ポリエチレングリコール(PEG)、-O(CH2CHO)CHCHOR(ここで、Rは、Hまたは任意選択的に置換されたアルキルであり、nは、0~20(例えば、0~4、0~8、0~10、0~16、1~4、1~8、1~10、1~16、1~20、2~4、2~8、2~10、2~16、2~20、4~8、4~10、4~16、及び4~20)の整数である);「ロックド」核酸(LNA)(2’-ヒドロキシが、C1~6アルキレンまたはC1~6ヘテロアルキレン架橋により、同じリボース糖の4’-炭素に連結されており、ここで、例示的な架橋としては、メチレン、プロピレン、エーテル、アミノ架橋、アミノアルキル、アミノアルコキシ、アミノ、及びアミノ酸が挙げられる)が挙げられる。
【0203】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわち、miR-485阻害剤)に存在するヌクレオチド類似体は、例えば、2’-O-アルキル-RNAユニット、2’-OMe-RNAユニット、2’-O-アルキル-SNA、2’-アミノ-DNAユニット、2’-フルオロ-DNAユニット、LNAユニット、アラビノ核酸(ANA)ユニット、2’-フルオロ-ANAユニット、HNAユニット、INA(インターカレーティング核酸)ユニット、2’MOEユニット、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、LNAは、例えば、オキシLNA(例えば、β-D-オキシ-LNAまたはα-L-オキシ-LNA)、アミノLNA(例えば、β-D-アミノ-LNAまたはα-L-アミノ-LNA)、チオLNA(例えば、β-D-チオ-LNAまたはα-L-チオ-LNA)、ENA(例えば、β-D-ENAまたはα-L-ENA)、またはそれらの任意の組み合わせである。さらなる態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわちmiR-485阻害剤)に含めることができるヌクレオチド類似体は、ロックド核酸(LNA)、アンロックド核酸(UNA)、アラビノ核酸(ABA)、架橋核酸(BNA)、及び/またはペプチド核酸(PNA)を含む。
【0204】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわち、miR-485阻害剤)は、修飾されたRNAヌクレオチド類似体(例えば、LNA)及びDNAユニットの両方を含み得る。いくつかの態様では、miRNA阻害剤はギャップマーである。例えば、米国特許第8,404,649号、同第8,580,756号、同第8,163,708号、同第9,034,837号(これらのすべてが参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。いくつかの態様では、miRNA阻害剤はマイクロマーである。米国特許公開第US20180201928号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0205】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(少なくとも、miR-485阻害剤)は、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼ による速やかな分解を防止するための修飾を含むことができる。修飾としては、これらに限定されるものではないが、例えば、(a)末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、脱リン酸化、共役化、反転結合など)、3’末端修飾(共役化、DNAヌクレオチド、反転結合など)、(b)塩基修飾、例えば、修飾塩基、安定化塩基、不安定化塩基、または広範なパートナーのレパートリーと塩基対合する塩基、または共役化塩基による置換、(c)糖修飾(例えば、2’位または4’位における)または糖の置換、ならびに(d)ホスホジエステル結合の修飾または置換を含む、ヌクレオシド間結合の修飾が挙げられる。
【0206】
IV.ベクター及び送達システム
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、例えば、NLRP3タンパク質及び/またはNLRP3遺伝子の異常な(例えば、増加した)レベルに関連した疾患または条件に罹患した対象に、当該技術分野では周知のあらゆる関連する送達システムを用いて投与することができる。特定の態様では、送達システムはベクターである。したがって、いくつかの態様では、本開示は、本開示のmiR-485阻害剤を含むベクターを提供する。
【0207】
いくつかの態様では、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの態様では、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターである。いくつかの態様では、ウイルスベクターは、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、またはこれらの任意の組み合わせの血清型を有するAAVである。いくつかの態様では、アデノウイルスベクターは、第3世代アデノウイルスベクターである。ADEASY(商標)は、アデノウイルスベクターコンストラクトを作製するうえで圧倒的に最も一般的な方法である。このシステムは、シャトル(または導入)ベクター及びアデノウイルスベクターの2つのタイプのプラスミドで構成される。目的の導入遺伝子をシャトルベクターにクローニングし、検証し、制限酵素PmeIで直鎖化する。次いで、このコンストラクトを、PADEASY(商標)を含むBJ5183大腸菌細胞であるADEASIER-1細胞に形質転換する。PADEASY(商標)は、ウイルス産生に必要なアデノウイルス遺伝子を含んだ約33Kbのアデノウイルスプラスミドである。シャトルベクターとアデノウイルスプラスミドとは、アデノウイルスプラスミド内への導入遺伝子の相同組み換えを促進する一致した左右のホモロジーアームを有している。標準的なBJ5183に、スーパーコイルを形成したPADEASY(商標)とシャトルベクターを同時形質転換することもできるが、この方法は非組換えアデノウイルスプラスミドの高いバックグラウンドを生じる。次いで、組換えアデノウイルスプラスミドをサイズ及び適当な制限消化パターンについて検証し、導入遺伝子がアデノウイルスプラスミドに挿入され、他のパターンの組み換えが生じていないことを確認する。検証されると、組換えプラスミドは、ITRによって隣接された線状dsDNAコンストラクトを生成するためにPacIで線状化される。293または911細胞は、線状化コンストラクトでトランスフェクションされ、ウイルスは、約7~10日後に採取され得る。この方法以外にも、本明細書に開示される方法を実施するために、本願が出願された時点で当該技術分野において周知のアデノウイルスベクターコンストラクトを作製するための方法を用いることができる。
【0208】
いくつかの態様では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター(例えば第3または第4世代のレンチウイルスベクター)である。レンチウイルスベクターは、1つの細胞株に3つの別々のプラスミド発現システムをトランスフェクトする一過性トランスフェクションシステムで通常は作製される。これらには、導入ベクタープラスミド(HIVプロウイルスの部分)、パッケージングプラスミドまたはコンストラクト、及び異なるウイルスの異種エンベロープ遺伝子(env)を含むプラスミドが含まれる。ベクターの3つのプラスミドコンポーネントをパッケージング細胞に入れた後、これをHIVシェル内に挿入する。ベクターのウイルス部分は挿入配列を含んでいるため、ウイルスは細胞系で複製することはできない。現在の第3世代レンチウイルスベクターは、9つのHIV-1タンパク質のうちの3つのみ(Gag、Pol、Rev)をコードしており、これらは組換えによる複製能を有するウイルスの生成を防止するために別々のプラスミドから発現させられる。第4世代レンチウイルスベクターでは、レトロウイルスゲノムはさらに減らされている(例えば、TAKARA(登録商標)LENTI-X(商標)第4世代パッケージングシステムを参照)。
【0209】
当該技術分野では周知の任意のAAVベクターを本明細書に開示される方法で使用することができる。AAVベクターは既知のベクターを含んでよく、それらのバリアント、フラグメント、または融合体を含んでよい。いくつかの態様では、AAVベクターは、AAVタイプ1(AAV1)、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ウシAAV、エビAVV、ヘビAVV、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0210】
いくつかの態様では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されたAAVベクターから誘導される。
【0211】
いくつかの態様では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも2つのAAVベクターから誘導されるキメラベクターである。
【0212】
特定の態様では、AAVベクターは、当該技術分野では周知の少なくとも2つの異なるAAVベクターの領域を含む。
【0213】
いくつかの態様では、AAVベクターは、第1のAAV(例えば、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、またはこれらの任意の組み合わせ)に由来する末端逆位配列と、第2のAAV(例えば、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、またはこれらの任意の組み合わせ)に由来する第2の末端逆位配列と、を含む。
【0214】
いくつかの態様では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されたAAVベクターの部分を含む。いくつかの態様では、AAVベクターは、AAV2を含む。
【0215】
いくつかの態様では、AAVベクターは、スプライスアクセプター部位を含む。いくつかの態様では、AAVベクターは、プロモーターを含む。当該技術分野では周知の任意のプロモーターを本開示のAAVベクターで使用することができる。いくつかの実施態様では、プロモーターはRNA Pol IIIプロモーターである。いくつかの態様では、RNA Pol IIIプロモーターは、U6プロモーター、H1プロモーター、7SKプロモーター、5Sプロモーター、アデノウイルス2(Ad2)VAIプロモーター、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、Sv40プロモーター、PGK1プロモーター、Ubcプロモーター、ヒトβアクチンプロモーター、CAGプロモーター、TREプロモーター、UASプロモーター、Ac5プロモーター、ポリヘドリンプロモーター、CaMKIIaプロモーター、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、TEFプロモーター、GDSプロモーター、ADH1プロモーター、CaMV35Sプロモーター、またはUbiプロモーターである。特定の態様では、プロモーターは、U6プロモーターを含む。
【0216】
いくつかの態様では、AAVベクターは、構成的に活性なプロモーター(構成的プロモーター)を含む。いくつかの態様では、構成的プロモーターは、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、βアクチンプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、レトロウイルス末端反復配列(LTR)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、及び単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターからなる群から選択される。
【0217】
いくつかの態様では、プロモーターは、誘導性プロモーターである。いくつかの態様では、誘導性プロモーターは、組織特異的プロモーターである。特定の態様では、組織特異的プロモーターは、神経細胞、グリア細胞、または神経細胞及びグリア細胞の両方において、AAVベクターのコーディング領域の転写を誘導する。
【0218】
いくつかの態様では、AAVベクターは、1つ以上のエンハンサーを含む。いくつかの態様では、1つ以上のエンハンサーはAAV内に単独で、または本明細書に開示されるプロモーターとともに存在する。いくつかの態様では、AAVベクターは、3’UTRのポリ(A)テール配列を含むいくつかの態様では、3’UTRのポリ(A)テール配列は、bGHポリ(A)、アクチンポリ(A)、ヘモグロビンポリ(A)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、3’UTRのポリ(A)テール配列はbGHポリ(A)を含む。
【0219】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、送達剤とともに投与される。使用することができる送達剤の非限定的な例としては、エクソソーム、リピドイド、リポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、細胞外小胞、合成小胞、ポリマー化合物、ペプチド、タンパク質、細胞、ナノ粒子模倣体、ナノチューブ、ミセル、ウイルスベクター、またはコンジュゲートが挙げられる。
【0220】
したがって、いくつかの態様では、本開示は、本開示のmiRNA阻害剤(すなわちmiR-485阻害剤)と、送達剤と、を含む組成物も提供する。いくつかの態様では、送達剤は、例えば、ミセルに自己集合できるかまたはミセルに組み込むことができるキャリアユニットを含む。いくつかの態様では、送達剤は、下式:
[WP]-L1-[CC]-L2-[AM](式I)
または
[WP]-L1-[AM]-L2-[CC](式II)
(式中、
WPは、水溶性バイオポリマー部分であり、
CCは、正に帯電した(すなわち、カチオン性)キャリア部分であり、
AMは、アジュバント部分であり、
L1及びL2は、独立して、任意選択のリンカーである)を有するカチオン性キャリアユニットを含み、
カチオン性キャリアユニットは、約1:1のイオン比で核酸と混合される場合にミセルを形成する。したがって、いくつかの態様では、miRNA阻害剤とカチオン性キャリアユニットとは、互いに混合される際に互いに結合(例えば、共有結合または非共有結合を介して)することができる。
【0221】
いくつかの態様では、本開示のmiRNA阻害剤(すなわち、miR-485阻害剤)を含む組成物は、イオン結合を介してカチオン性キャリアユニットと相互作用する。
【0222】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリグリセロール、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリグリセロール、またはポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)を含む。いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、下式:
【化8】
(式中、nは、1~1000である)を有する。
【0223】
いくつかの態様では、nは、少なくとも約110、少なくとも約111、少なくとも約112、少なくとも約113、少なくとも約114、少なくとも約115、少なくとも約116、少なくとも約117、少なくとも約118、少なくとも約119、少なくとも約120、少なくとも約121、少なくとも約122、少なくとも約123、少なくとも約124、少なくとも約125、少なくとも約126、少なくとも約127、少なくとも約128、少なくとも約129、少なくとも約130、少なくとも約131、少なくとも約132、少なくとも約133、少なくとも約134、少なくとも約135、少なくとも約136、少なくとも約137、少なくとも約138、少なくとも約139、少なくとも約140、または少なくとも約141である。いくつかの態様では、nは、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約140~約150、または約150~約160である。
【0224】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、直鎖状、分枝鎖状、または樹枝状である。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、1つ以上の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7、少なくとも8つ、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、または少なくとも50の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、約30~約50の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は、アルギニン、リシン、ヒスチジン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、約40個のリシンモノマーを含む。
【0225】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、免疫反応、炎症反応、及び/または組織微小環境を調節することができる。いくつかの態様では、アジュバント部分は、イミダゾール誘導体、アミノ酸、ビタミン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、下式:
【化9】
(式中、G1及びG2のそれぞれは、H、芳香環、もしくは1~10アルキルであるか、またはG1とG2は一緒になって芳香環を形成し、nは1~10である)を有する。
【0226】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、ニトロイミダゾールを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、ジメトリダゾール、プレトマニド、オルニダゾール、メガゾール、アザニダゾール、ベンズニダゾール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、アミノ酸を含む。
【0227】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、下式:
【化10】
【化11】
Z1及びZ2のそれぞれは、HまたはOHである)を有する。
【0228】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、ビタミンを含む。いくつかの態様では、ビタミンは、環式環または環式ヘテロ原子環及びカルボキシル基またはヒドロキシル基を含む。いくつかの態様では、ビタミンは、下式:
【化12】
(式中、Y1及びY2のそれぞれは、C、N、O、またはSであり、nは1または2である)を有する。
【0229】
いくつかの態様では、ビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンM、ビタミンH、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ビタミンは、ビタミンB3である。
【0230】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、または少なくとも約20個のビタミンB3を含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、約10個のビタミンB3を含む。
【0231】
いくつかの態様では、組成物は、約120個~約130個のPEGユニットを有する水溶性バイオポリマー部分と、約30個~約40個のリシンを有するポリリシンを含むカチオン性キャリア部分と、約5個~約10個のビタミンB3を有するアジュバント部分と、を含む。
【0232】
いくつかの態様では、組成物は、(i)約100個~約200個のPEGユニットを有する水溶性バイオポリマー部分と、(ii)アミン基を有する約30個~約40個のリシン(例えば、約32個のリシン)と、(iii)それぞれがチオール基を有する約15個~20個のリシン(例えば、それぞれがチオール基を有する約16個のリシン)と、(iv)ビタミンB3に融合された約30個~40個のリシン(例えば、それぞれがビタミンB3に融合された約32個のリシン)と、を含む。いくつかの態様では、組成物溶解度、水溶性ポリマーに結合された標的化部分、例えばLAT1標的化リガンド、例えばフェニルアラニンをさらに含む。いくつかの態様では、組成物中のチオール基は、ジスルフィド結合を形成する。
【0233】
いくつかの態様では、組成物は、(1)(i)約100個~約200個のPEGユニットと、(ii)アミン基を有する約30個~約40個のリシン(例えば、約32個のリシン)と、(iii)それぞれがチオール基を有する約15個~20個のリシン(例えば、それぞれがチオール基を有する約16個のリシン)と、(iv)ビタミンB3に融合された約30個~40個のリシン(例えば、それぞれがビタミンB3に融合された約32個のリシン)と、を含むミセルと、(2)miR-485阻害剤(例えば、配列番号30)と、を含み、miR-485阻害剤はミセル内に封入される。いくつかの態様では、組成物は、PEGユニットに結合された標的化部分、例えばLAT1標的化リガンド、例えばフェニルアラニンをさらに含む。いくつかの態様では、ミセル中のチオール基は、ジスルフィド結合を形成する。
【0234】
本開示は、本開示のmiRNA阻害剤(すなわちmiR-485阻害剤、例えば配列番号30)を含むミセルであって、miRNA阻害剤と送達剤とが互いに結合した、ミセルも提供する。
【0235】
いくつかの態様では、結合は、共有結合、非共有結合、またはイオン結合である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットのカチオン性キャリア部分の正電荷は、溶液中で本明細書に開示されるmiR-485阻害剤と混合される際にミセルを形成するのに十分であり、溶液中のカチオン性キャリアユニットのカチオン性キャリア部分の正電荷とmiR-485阻害剤(または阻害剤を含むベクター)の負電荷の全体的イオン比は、約1:1である。
【0236】
いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットの正電荷、特にカチオン性キャリア部分の電荷は、溶液中で負に帯電したペイロード(例えば、核酸)と混合される際にミセルを形成するのに十分であり、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約20:1、約19:1、約18:1、約17:1、約16:1、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約1:20、約1:19、約1:18、約1:17、約1:16、約1:15、約1:14、約1:13、約1:12、約1:11、約1:10、約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、または約1;1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約2:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約3:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約4:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約5:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約6:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約7:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約8:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約9:1である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニット、特にそのカチオン性キャリア部分と負に荷電したペイロード(例えば、核酸)との全体のイオン比は、約10:1である。
【0237】
ミセルは、1つ以上の両親媒性分子から構成される水溶性またはコロイド状の構造または集合体である。両親媒性分子は、少なくとも1つの親水性(極性)部分及び少なくとも1つの疎水性(非極性)部分を含有する分子である。「典型的なミセル」は、親水性層または「殻」により囲まれた単一の、中心の、かつ主に疎水性の区画または「核」を有する。水溶液において、ミセルは、両親媒性分子の親水性の「頭部」領域が周囲の溶媒と接触しており、両親媒性分子の疎水性の単一尾部領域をミセル核に隔離している集合体を形成する。ミセルの形状は、ほぼ球状である。他の形状、例えば、楕円体、円柱、桿状構造、またはポリマソームも可能である。開示されるミセルの形状及びサイズ、ならびにしたがって、ローディング容量は、水溶性バイオポリマー(例えば、PEG)とカチオン性キャリア(例えば、ポリリシン)との間の比率を変化させることにより修飾され得る。比率に応じて、キャリアユニットは、小粒子、小型ミセル、ミセル、桿状構造、またはポリマソームとして組織化し得る。したがって、「本開示のミセル」という用語は、典型的なミセルだけでなく小粒子、小型ミセル、ミセル、桿状構造、またはポリマソームも包含する。
【0238】
本開示のミセルは、疎水性及び親水性部分を含有する単一の単分子ポリマー、または極性溶液(すなわち、水溶液)中で、臨界ミセル濃度(CMC)以上で形成された多数の両親媒性(すなわち界面活性剤)分子を含有する集合体の混合物のいずれかから構成され得る。ミセルは、1つ以上の両親媒性分子から自己組織化され、ここで、部分は、主に疎水性の内部核及び主に親水性の外側をもたらすように配向される。
【0239】
本開示のミセルは、5~約2000ナノメートルの範囲のサイズであり得る。いくつかの態様では、ミセルの直径は、約10nm~約200nmである。いくつかの態様では、ミセルの直径は、約1nm~約100nm、約10nm~約100nm、約10nm~約90nm、約10nm~約80nm、約10nm~約70nm、約20nm~約100nm、約20nm~約90nm、約20nm~約80nm、約20nm~約70nm、約30nm~約100nm、約30nm~約90nm、約30nm~約80nm、約30nm~約70nm、約40nm~約100nm、約40nm~約90nm、約40nm~約80nm、または約40nm~約70nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約30nm~約60nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約15nm~約90nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約15nm~約80nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約15nm~約70nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約15nm~約60nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約15nm~約50nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約20nm~約60nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約20nm~約50nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約20nm~約40nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約25nm~約35nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約32nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約100nm~約200nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約40nm~約50nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約50nm~約60nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約60nm~約70nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約70nm~約80nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約80nm~約90nmである。いくつかの態様では、本開示のミセルの直径は、約90nm~約100nmである。
【0240】
いくつかの態様では、本開示のミセルは、単一種類のカチオン性キャリアユニットを含む。他の態様では、本開示のミセルは、2種類以上のカチオン性キャリアユニット(例えば、標的細胞表面上の異なる受容体を標的とする)を含む。いくつかの態様では、本開示のミセルは、異なる標的化部分、(例えば、異なるペイロードを収容するための)異なるカチオン性キャリア部分、及び/または異なる疎水性及び/または架橋ユニットを有するカチオン性キャリアユニットを含み得る。
【0241】
ミセルをペイロード(例えば、miR-485阻害剤)とともに形成させるために、異なる種類のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを互いに組み合わせることができる。例えば、血液脳関門を標的とするために、本開示のミセルは、標的化部分に連結されたカチオン性(またはアニオン性)キャリアユニット及び標的化部分に連結されていないカチオン性(またはアニオン性)キャリアユニットを含み得る。いくつかの態様では、ミセルは、約50~約200のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。他の態様では、ミセルは、約50~約150、約50~約140、約50~約130、約50~約120、約50~約110、または約50~約100のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。いくつかの態様では、ミセルは、約60~約200のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。他の態様では、ミセルは、約60~約150、約60~約140、約60~約130、約60~約120、約60~約110、約60~約100、約60~約90、約60~約80、または約60~約70のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。いくつかの態様では、ミセルは、約70~約200のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。他の態様では、ミセルは、約70~約150、約70~約140、約70~約130、約70~約120、約70~約110、約70~約100、約70~約90、または約70~約80のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。いくつかの態様では、ミセルは、約80~約200のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。他の態様では、ミセルは、約80~約150、約80~約140、約80~約130、約80~約120、約80~約110、約80~約100、または約80~約90のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。いくつかの態様では、ミセルは、約90~約200のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。他の態様では、ミセルは、約90~約150、約90~約140、約90~約130、約90~約120、約90~約110、または約90~約100のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。いくつかの態様では、ミセルは、約100~約200のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。他の態様では、ミセルは、約100~約150、約100~約140、約100~約130、約100~約120、約100~約110、または約100~約100のカチオン性またはアニオン性キャリアユニットを含む。
【0242】
本開示は、(i)ヌクレオチド配列(例えば、miR-485阻害剤)、及び(ii)本明細書に記載されるカチオン性キャリアユニットを含むミセルも含む。いくつかの態様では、本開示は、(i)ヌクレオチド配列(例えば、miR-485阻害剤)、及び(ii)約80個~約120個(例えば、約85個~約115個、約90個~約110個、約95個~約105個)の本明細書に記載されるカチオン性キャリアユニットを含むミセルに関する。いくつかの態様では、ミセルは、(i)ヌクレオチド配列(例えば、miR-485阻害剤)、及び(ii)約80個~約120個(例えば、約80個、約85個、約90個、約95個、約100個、約105個、または約110個)の本明細書に記載されるカチオン性キャリアユニットを含む。いくつかの態様では、ミセルは、(i)ヌクレオチド配列(例えば、miR-485阻害剤)、及び(ii)約60個~約110個、例えば、約80個のカチオン性キャリアユニットを含み、(a)カチオン性キャリアユニットのうちの約45個~約90個、例えば、約80個は、[WP]-L1-[CC]-L2-[AM]を含み、(b)カチオン性キャリアユニットのうちの約45個~約55個、例えば、約50個は、[WP]-L1-[AM]-L2-[CC]を含み、ただし、WPは、(PEG)5000であり、CCは、約40個~約50個のリシン、例えば、約45個、約46個、約47個、約48個、約49個、または約50個のリシンであり、リシンのうちの約5個~約15個、約5個のリシンのそれぞれは、ビタミンB3(ニコチンアミド)に融合されている。いくつかの態様では、組成物溶解度、水溶性ポリマー部分[WP]に結合された標的化部分、例えばLAT1標的化リガンド、例えばフェニルアラニンをさらに含む。
【0243】
いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットは、酵素分解から本開示のmiRNA阻害剤(すなわち、miR-485阻害剤)を保護することができる(本明細書に参照によりその全体を援用する、2020年12月30日に公開されたPCT公開第WO2020/261227号を参照)。
【0244】
V.医薬組成物
いくつかの態様では、本開示は、対象に投与するのに適した本明細書に開示されるmiR-485阻害剤(例えば、miR-485阻害剤を含むポリヌクレオチドまたはベクター)を含む医薬組成物も提供する。医薬組成物は、一般的に、本明細書に記載されるmiR-485阻害剤(例えば、ポリヌクレオチドまたはベクター)と、薬学的に許容される賦形剤またはキャリアとを、対象への投与に適した形態で含む。薬学的に許容される賦形剤またはキャリアは、投与される特定の組成物、及び組成物を投与するために使用される特定の方法により部分的に決定される。
【0245】
したがって、本開示のmiR-485阻害剤を含む医薬組成物の多種多様な適当な製剤が存在する((例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.18th ed.(1990)を参照)。医薬組成物は一般に、無菌状態で、米国食品医薬品局の適正製造基準(GMP)規制のすべてに完全に準拠したものとして製剤化される。
【0246】
VI.キット
本開示は、本開示のmiRNA阻害剤(例えば、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、ベクター、または医薬組成物)と、必要に応じて使用説明書、例えば本明細書に開示される方法に従った使用説明書と、を含むキットまたは製品も提供する。いくつかの態様では、キットまたは製品は、miR-485阻害剤(例えば、本開示のベクター、例えばAAVベクター、ポリヌクレオチド、または医薬組成物)を1つ以上の容器に含む。いくつかの態様では、キットまたは製品は、miR-485阻害剤(例えば、本開示のベクター、例えばAAVベクター、ポリヌクレオチド、または医薬組成物)と、パンフレットと、を含む。本明細書に開示されるmiR-485阻害剤(例えば、本開示のベクター、ポリヌクレオチド、及び医薬組成物、またはこれらの組み合わせ)は、当該技術分野では周知の確立されたキット形式の1つに容易に組み込むことができる点は当業者には容易に認識されよう。
【0247】
以下の実施例は、例示のために示すものであって、限定のために示すものではない。
【実施例
【0248】
実施例
実施例1:miR-485阻害剤の調製
(a)アルキン修飾チロシンの合成:本開示のミセルをBBBのLAT1輸送体に誘導するためのカチオン性キャリアユニットの組織特異的標的化部分(TM、図1を参照)の合成のための中間体として、アルキン修飾されたチロシンを調製した。
【0249】
アセトニトリル(4.0ml)中、N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-チロシンメチルエステル(Boc-Tyr-OMe)(0.5g,1.69mmol)及びKCO(1.5当量,2.54mmol)の混合物を、臭化プロパルギル(1.2当量,2.03mmol)に滴下した。反応混合物を60℃で一晩加熱した。反応後、反応混合物を、水:酢酸エチル(EA)を使用して抽出した。次いで、有機層を、ブライン溶液を使用して洗浄した。粗製物を、フラッシュカラム(ヘキサン中、10%EA)により精製した。次に、得られた生成物を、1,4-ジオキサン(1.0ml)及び6.0MのHCl(1.0ml)中に溶解した。反応混合物を100℃で一晩加熱した。次に、ジオキサンを除去し、EAにより抽出した。水性NaOH(0.5M)溶液をpH値が7になるまで混合物に加えた。反応物質をエバポレーターで濃縮し、12000rpmで、0℃で遠心分離した。沈殿物を脱イオン水で洗浄して凍結乾燥した。
【0250】
(b)ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン)(PEG-PLL)の合成:この合成ステップにより、本開示のカチオン性キャリアユニットの水溶性バイオポリマー(WP)及びカチオン性キャリア(CC)を調製した(図1を参照)。
【0251】
ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン)を、モノメトキシPEG(MeO-PEG)を高分子開始剤として用いてLys(TFA)-NCAの開環重合により合成した。要約すると、MeO-PEG(600mg、0.12mmol)及びLys(TFA)-NCA(2574mg、9.6mmol)を、1Mのチオ尿素を含有するDMF及びDMF(またはNMP)中に別々に溶解した。Lys(TFA)-NCA溶液を、マイクロシリンジによりMeO-PEG溶液に滴下し、反応混合物を37 ℃で4日間撹拌した。反応ボトルをアルゴン及び真空によりパージした。すべての反応をアルゴン雰囲気下で行った。反応後、混合物を過剰量のジエチルエーテル中で沈殿させた。沈殿物をメタノールに再溶解し、冷ジエチルエーテル中で再び沈殿させた。次いで、沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥後に白色粉末を得た。PEG-PLL(TFA)のTFA基の脱保護を行うため、次のステップを行った。
【0252】
MeO-PEG-PLL(TFA)(500mg)をメタノール(60mL)に溶解し、1NのNaOH(6mL)をポリマー溶液に撹拌下で滴下した。混合物を撹拌しながら37℃で1日維持した。反応混合物を10mMのHEPESに対して4回及び蒸留水に対して透析した。凍結乾燥後にPEG-PLLの白色粉末を得た。
【0253】
(b)アジド-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン)(N-PEG-PLL)の合成:この合成ステップにより、本開示のカチオン性キャリアユニットの水溶性バイオポリマー(WP)及びカチオン性キャリア(CC)を調製した(図1を参照)。
【0254】
アジド-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン)を、アジド-PEG(N-PEG)を用いてLys(TFA)-NCAの開環重合により合成した。要約すると、N-PEG(300mg,0.06mmol)及びLys(TFA)-NCA(1287mg,4.8mmol)を、1Mのチオ尿素を含んだDMF及びDMF(またはNMP)に別々に溶解した。Lys(TFA)-NCA溶液を、マイクロシリンジによりN-PEG溶液に滴下し、反応混合物を37℃で4日間撹拌した。反応ボトルをアルゴン及び真空によりパージした。すべての反応をアルゴン雰囲気下で行った。反応後、混合物を過剰量のジエチルエーテル中で沈殿させた。沈殿物をメタノールに再溶解し、冷ジエチルエーテル中で再び沈殿させた。次いで、沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥後に白色粉末を得た。PEG-PLL(TFA)のTFA基の脱保護を行うため、次のステップを行った。
【0255】
-PEG-PLL(500mg)をメタノール(60mL)に溶解し、1NのNaOH(6mL)を撹拌しながらポリマー溶液に滴下した。混合物を撹拌しながら37℃で1日維持した。反応混合物を10mMのHEPESに対して4回及び蒸留水に対して透析した。凍結乾燥後にN-PEG-PLLの白色粉末を得た。
【0256】
(c)(メトキシまたは)アジド-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン/ニコチンアミド/メルカプトプロパンアミド)(N-PEG-PLL(Nic/SH))の合成: このステップでは、組織特異的アジュバント部分(AM、図1を参照)を本開示のカチオン性キャリアユニットのWP-CCコンポーネントに結合させた。カチオン性キャリアユニットに使用した組織特異的アジュバント部分(AM)は、ニコチンアミド(ビタミンB3)とした。このステップにより、図1に示されるカチオン性キャリアユニットのWP-CC-AMコンポーネントが得られる。
【0257】
アジド-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リジン/ニコチンアミド/メルカプトプロパンアミド)(N-PEG-PLL(Nic/SH))を、N-PEG-PLL及びニコチン酸のEDC/NHSの存在下での化学修飾により合成した。N-PEG-PLL(372mg,25.8μmol)及びニコチン酸(556.7mg,PEG-PLLのNH2に対して1.02当量)を、脱イオン水及びメタノール(1:1)の混合物に別々に溶解した。EDC・HCl(556.7mg,N-PEG-PLLのNHに対して1.5当量)をニコチン酸溶液に加え、NHS(334.2mg,PEG-PLLのNH2に対して1.5当量)を混合物に段階的に加えた。
【0258】
反応混合物をN-PEG-PLL溶液に加えた。反応混合物を撹拌しながら37℃で16時間維持した。16時間後、3,3’-ジチオジプロピオン酸(36.8mg,0.1当量)をメタノールに溶解し、EDC・HCl(40.3mg,0.15当量)、及びNHS(24.2mg,0.15当量)を脱イオン水にそれぞれ溶解した。次いで、NHS及びEDC・HClを、3,3’-ジチオジプロピオン酸溶液に順次加えた。粗製のN-PEG-PLL(Nic)溶液を加えた後、混合液を37℃で4時間撹拌した。
【0259】
精製を行うため、混合物をメタノールに対して2時間透析し、DL-ジチオトレイトール(DTT,40.6mg,0.15当量)を加えた後、30分間活性化した。
【0260】
DTTを除去するため、混合物を、メタノール、脱イオン水中50%のメタノール、脱イオン水に対して順次透析した。
【0261】
d)フェニルアラニン-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン/ニコチンアミド/メルカプトプロパンアミド)(Phe-PEG-PLL(Nic/SH))の合成:このステップでは、組織特異的標的化部分(TM)を上記のステップで合成したWP-CC-AMコンポーネントに結合させた。TMコンポーネント(フェニルアラニン)は、ステップ(a)で調製した中間体とステップ(c)の生成物との反応によって調製した。
【0262】
血管内の脳の内皮組織を標的化するため、LAT1を標的とするアミノ酸としてフェニルアラニンを、銅触媒の存在下でのN-PEG-PLL(Nic/SH)とアルキン修飾されたチロシンとの間のクリック反応により導入した。要約すると、N-PEG-PLL(Nic/SH)(130mg,6.5μmol)及びアルキン修飾されたフェニルアラニン(5.7mg,4.0当量)を脱イオン水(または50mMのリン酸ナトリウム緩衝液)に溶解した。次いで、CuSO4・H2O(0.4mg,25mol%)及びTris(3-ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン(THPTA,3.4mg,1.2当量)を脱イオン水に溶解し、N-PEG-PLL(Nic/SH)溶液を加えた。次いで、アスコルビン酸ナトリウム(3.2mg,2.5当量)を混合液に加えた。反応混合物を、室温で16時間撹拌しながら維持した。反応後、混合物を透析膜(MWCO=7,000)に移し、脱イオン水に対して1日間透析した。最終生成物を凍結乾燥後に得た。
【0263】
(E)ポリイオン複合体(PIC)ミセル製剤-上記に記載したようにして本開示のカチオン性キャリアユニットを調製した後、ミセルを作製した。本実施例に記載されるミセルは、アンチセンスオリゴヌクレオチドペイロードと組み合わされたカチオン性キャリアユニットからなるものである。
【0264】
MeO-PEG-PLL(Nic)またはPhe-PEG-PLL(Nic)とmiRNAを混合することによりナノサイズのPICミセルを調製した。PEG-PLL(Nic)を、0.5mg/mLの濃度でHEPES緩衝液(10mM)に溶解した。次いで、RNAse非含有水中のmiRNA溶液(22.5μM)を、miRNA阻害剤(配列番号2~30)(例えば、AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC;配列番号30)とポリマーとの比が2:1(v/v)となるようにポリマー溶液と混合した。
【0265】
ポリマーと抗miRNAとの混合比は、ミセル形成条件、すなわち、ポリマー(本開示のキャリア)中のアミンと抗miRNA(ペイロード)中のリン酸との比を最適化することにより決定した。ポリマー(キャリア)と抗miRNA(ペイロード)との混合物を、マルチボルテックスにより3000rpmで90秒間はげしく混合し、室温で30分間維持して、ミセルを安定化した。
【0266】
使用に先立ち、ミセル(10μMの抗miRNA濃度)を4℃で保存した。MeO-ミセルまたはPhe-ミセルを同じ方法を用いて調製し、ミセル調製時に両方のポリマーを混合することにより異なる量のPhe(25%~75%)を含有するミセルも調製した。
【0267】
実施例2:NLRP3発現に対するmiR-485阻害剤の効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤がNLRP3発現を調節できるかどうかを評価するため、BV2ミクログリア細胞(2×10)または初代グリア細胞を6ウェルプレートに一晩播種した。次いで、細胞に異なる用量(0nM、50nM、100nM、または300nM)のmiR-485阻害剤をトランスフェクトした。コントロール細胞は、miRコントロール(100nM)をトランスフェクトするか、トランスフェクトしないか、またはLPSで処理した。miR-485阻害剤またはmiRコントロールのいずれかをトランスフェクトした細胞は、最終濃度1μMの線維状アミロイドベータ(oAβまたはAβO)で24時間さらに処理した。24時間後、Trizol(Invitrogen)を使用して全RNAを単離した。個々のcDNAのリアルタイムPCR測定を、SYBR Green及びTaqManプローブを使用して行ってBio-RadリアルタイムPCRシステムにより二重鎖DNA形成を測定した。以下のプライマーを用いた:マウスNLRP3フォワード:5’-ATTACCCGCCCGAGAAAGG-3’(配列番号129)、リバース:5’-TCGCAGCAAAGATCCACACAG-3’(配列番号130)、GAPDHフォワード:5’-TGTGTCCGTCCTGGATCTGA-3’(配列番号131)、リバース:5’-CCTGCTTCACCACCTTCTTG-3’(配列番号:132)。GAPDHレベルを正規化に用いた。相対遺伝子発現を2-ΔΔct法により分析した。
【0268】
図2A及び2Aに示されるように、miRコントロールをトランスフェクトした細胞では、NLRP3の転写レベルは、ポジティブコントロール(すなわち、LPS単独で処理した細胞)の転写レベルと同等であった。これに対して、miR-485阻害剤をトランスフェクトした細胞は有意に低いレベルのNLRP3の転写物を発現した。NLRP3転写物の発現の減少が、試験したすべての用量で観察された。これらの結果は、本明細書に記載のmiR-485阻害剤がNLRP3インフラマソームを減少させるうえで有用であり、それにより、本明細書に記載の肺疾患、炎症性疾患、及び/または代謝性疾患などのNLRP3発現の上昇に関連する疾患または障害を治療できることを示唆している。
【0269】
実施例3:ASC発現に対するmiR-485阻害剤の効果の分析
上記の実施例3に示された結果を確認するため、ASC(adapter molecule apoptosis associated speck-like containing a CARD domain)(CARDドメインを有するアダプター分子アポトーシス関連スペック様タンパク質」(ASC)発現に対する本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果も評価した。本開示の他の箇所に記載されているように、ASCは、NLRP3インフラマソームに存在する別のタンパク質である。ASCの転写レベルを、実施例3に記載の方法を用いて測定した。以下のASC特異的プライマーを使用した:フォワード:5’-CTTGTCAGGGGATGAACTCAAAA-3’(配列番号133)、リバース:5’-GCCATACGACTCCAGATAGTAGC-3’(配列番号134)。
【0270】
図3A及び3Bに示されるように、本明細書に記載のmiR-485阻害剤は、ASCの転写レベルも低下させることができた。これらの結果は、本明細書に記載の肺疾患、炎症性疾患、及び/または代謝性疾患などのNLRP3発現の増加に関連する疾患または障害の治療における、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の治療能力を裏付けるものである。
【0271】
実施例4:炎症に対するmiR-485阻害剤の分析
炎症(例えば、神経炎症)に対する役割を評価するため、初代ミクログリアにおけるLPSまたはAβオリゴマー(AβO)誘発性炎症に対するmiR-485阻害剤の効果を評価した。具体的には、初代ミクログリアに、LPS及び/またはAβOの存在下または非存在下でmiR-485阻害剤またはmiR-コントロール(すなわち、miR-485に特異的でないもの)をトランスフェクトした。カノニカルなNLRP3インフラマソームの活性化を特異的に誘導するため、一部の初代ミクログリアをLPSと細胞外ATB活性化シグナルの両方の存在下でトランスフェクトした。次いで、約24時間後に、さまざまな炎症誘発性メディエーターの発現をタンパク質レベルとmRNAレベルの両方で評価した。
【0272】
図4Aに示されるように、LPS単独の存在下では、初代ミクログリアはIL-6及びTNF-αの両方を高いレベルで産生した。しかしながら、miR-485阻害剤をトランスフェクトした場合、LPS処理ミクログリアが産生するIL-6及びTNF-αの量はいずれも有意に減少した。同様の結果がAβO処理ミクログリアでも観察された(図4Cを参照)。IL-1βは別の主要な炎症性サイトカインであり、自然免疫細胞内のNLRP3インフラマソームなどのインフラマソーム複合体を介して放出される。図4B及び4Dに示されるように、miR-485阻害剤は、LPSまたはAβOで処理したミクログリアによるIL-1βの産生も有意に減少させた。IL-6、TNF-α、及びIL-1βの産生の減少が、遺伝子発現レベルでも確認された(図4E及び4Fを参照)。また、図6A~6Cに示されるように、IL-6、TNF-α、及びIL-1βの産生に対するmiR-485阻害剤の効果は用量依存的であった。
【0273】
実施例5:NLRP3インフラマソームに対するmiR-485阻害剤の分析
NLRP3インフラマソームの活性化は、転写因子核因子κB(NF-kB)によるインフラマソーム成分の転写増加と、DAMP誘導性のイオン流束、ミトコンドリアの活性酸素種(ROS)生成、またはリソソームの不安定化によって生成される第2のシグナルの2つのシグナルに依存しており、これによりインフラマソームのアセンブリ及び活性化が生じる。そこで、miR-485阻害剤がNLRP3インフラマソーム活性化に関与する2つのシグナルに作用することによってIL-1β産生を減少させるかどうかを評価するため(実施例4を参照)、NLRP3インフラマソーム活性化のさまざまなメディエーターを、LPS処理ミクログリアまたはAβO処理ミクログリアからの細胞抽出物におけるウエスタンブロッティングによって評価した。
【0274】
図5A~5Dに示されるように、LPS処理ミクログリア及びAβO処理ミクログリアの両方において、細胞にmiR-485阻害剤をさらにトランスフェクトした場合、成熟IL-1βの生成及びカスパーゼ-1活性が有意に減少し、プロカスパーゼ-1、プロIL-1β、NLRP3のレベルも低下した。さらに、生物発光アッセイを使用して測定したカスパーゼ-1活性の低下は、miR-485阻害剤がインフラマソーム複合体形成及びインフラマソーム活性化の2つのシグナルに作用することによってNLRP3インフラマソーム活性を弱めることができたことを裏付けるものである。実施例4で観察されたように、NLRP3インフラマソームに対するmiR-485阻害剤の阻害効果は用量依存的であった(図7A~7Dを参照)。さらに、図7E及び7Fに示されるように、miR-485阻害剤の抗炎症効果は、LPS処理ミクログリア及びAβO処理ミクログリアの両方におけるIL-1、NLRP3、IL-1β、及びASC遺伝子の発現の減少に基づいてさらに確認された。
【0275】
以上をまとめると、上記の結果は、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の抗炎症効果を実証するものであり、これらのmiR-485阻害剤が、本明細書に記載されるさまざまな疾患及び障害(例えば、肺疾患、炎症性疾患、及び代謝性疾患)の治療に適していることを示唆するものである。
【0276】
実施例6:肺疾患に対するmiR-485阻害剤の治療効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤がインビボで治療効果を奏し得るかどうかを評価するため、肺疾患の動物モデルを使用する。動物を、PBSまたはmiR-485阻害剤のいずれかで処置する。いくつかの態様では、miR-485阻害剤を、異なる用量、投与間隔、及び/または投与経路で動物に投与する。miR-485阻害剤の治療効果は、例えば、動物の炎症量を測定すること、及び/または肺疾患に関連するさまざまな臨床的徴候及び/または病理を観察することによって評価される。いくつかの態様では、NLRP3タンパク質及び/または遺伝子の発現も動物において評価される。
【0277】
実施例7:炎症性疾患に対するmiR-485阻害剤の治療効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤がインビボで治療効果を奏し得るかどうかを評価するため、炎症性疾患の動物モデルを使用する。動物を、PBSまたはmiR-485阻害剤のいずれかで処置する。いくつかの態様では、miR-485阻害剤を、異なる用量、投与間隔、及び/または投与経路で動物に投与する。miR-485阻害剤の治療効果は、例えば、動物の炎症量を測定すること、及び/または炎症性疾患に関連するさまざまな臨床的徴候及び/または病理を観察することによって評価される。いくつかの態様では、NLRP3タンパク質及び/または遺伝子の発現も動物において評価される。
【0278】
実施例8:代謝性疾患に対するmiR-485阻害剤の治療効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤がインビボで治療効果を奏し得るかどうかを評価するため、代謝性疾患の動物モデルを使用する。動物を、PBSまたはmiR-485阻害剤のいずれかで処置する。いくつかの態様では、miR-485阻害剤を、異なる用量、投与間隔、及び/または投与経路で動物に投与する。miR-485阻害剤の治療効果は、例えば、動物の炎症量を測定すること、及び/または代謝性疾患に関連するさまざまな臨床的徴候及び/または病理を観察することによって評価される。いくつかの態様では、NLRP3タンパク質及び/または遺伝子の発現も動物において評価される。
【0279】
***
特許請求の範囲を解釈するうえで、「発明の概要」及び「要約」のセクションではなく、「発明の詳細な説明」のセクションを用いることが意図されている点は認識されるべきである。発明の概要及び要約セクションは、本発明者(複数可)により意図される1つ以上であるが、すべてではない本開示の例示的態様を示し得、したがって、本開示及び添付の特許請求の範囲を如何様にも限定することを意図しない。
【0280】
本開示は、特定の機能及びそれらの関係の実施を示す機能的構成単位を用いて上記された。これらの機能的要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。特定の機能及びそれらの関係性が適切に実施されている限り、代替的な境界を定義することもできる。
【0281】
具体的な態様の上記の具体的な説明は本開示の一般的な性質を余すところなく示しているため、他者は、当業者の技能の範囲内の知識を適用することで、不要な実験を行うことなく、本開示の一般的概念から逸脱せずに、かかる具体的な態様を容易に改変し、及び/またはさまざまな用途に適合させることができる。したがって、そのような適合及び改変は、本明細書に示される教示及び助言に基づき、開示される態様の均等物の意味及び範囲内に包含されるものとする。本明細書における語句または用語は、説明を目的としたものであって、限定を目的とするものではなく、本明細書における語句または用語は本明細書の教示及び助言を考慮することで当業者によって理解されるはずである。
【0282】
本開示の幅及び範囲は、上記に記載した例示的な態様のいずれによっても限定されるべきでなく、下記の請求項及びそれらの均等物のみにしたがって定義されるべきものである。
【0283】
本出願全体を通じて引用され得る全ての引用参考文献(参考文献、特許、特許出願、及びウェブサイトを含む)の内容の全体を、あらゆる目的で、参照によって本明細書に明示的に援用し、また、それらに引用される文献も同様に援用する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
【配列表】
2024506869000001.app
【国際調査報告】