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特表2024-506874燃料電池用加湿器のカートリッジ及び燃料電池用加湿器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】燃料電池用加湿器のカートリッジ及び燃料電池用加湿器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240207BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240207BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547464
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 KR2022002551
(87)【国際公開番号】W WO2022196963
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0034617
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0057612
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0022629
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】イ アルム
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】イ ジユン
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC02
5H127AC10
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB34
5H127EE17
(57)【要約】
本発明は、両端が開放しているインナーケース(Inner Case)と、前記インナーケースに収容されている中空糸膜束と、前記インナーケースに第1軸方向に離隔して形成されたインナー流入口及びインナー流出口と、前記インナーケースの一端で前記中空糸膜束の一端を固定する第1ポット層と、前記インナーケースの他端で前記中空糸膜束の他端を固定する第2ポット層とを含み、前記第1軸方向に垂直な第2軸方向を基準として、前記第1ポット層がポッティングされるインナーケースの一端の内部のポット断面積及び前記中空糸膜束の膜断面積に基づくパッキング密度が0.405以上0.625以下である燃料電池用加湿器のカートリッジ及び燃料電池用加湿器に関するものである。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するための加湿モジュールと、
前記加湿モジュールの一端に結合した第1キャップと、
前記加湿モジュールの他端に結合した第2キャップと、を含み、
前記加湿モジュールは、
両端が開放しているミッドケースと、
前記ミッドケース内に配置された少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)と、を含み、
前記カートリッジは、
両端が開放しているインナーケース(Inner Case)と、
前記インナーケースに収容されている中空糸膜束と、
前記インナーケースに第1軸方向に離隔して形成されたインナー流入口及びインナー流出口と、
前記インナーケースの一端で前記中空糸膜束の一端を固定する第1ポット層と、
前記インナーケースの他端で前記中空糸膜束の他端を固定する第2ポット層と、を含み、
前記第1軸方向に垂直な第2軸方向を基準として、前記第1ポット層がポッティングされるインナーケースの一端の内部のポット断面積及び前記中空糸膜束の膜断面積に基づくパッキング密度が0.405以上0.625以下であることを特徴とする、燃料電池用加湿器。
【請求項2】
前記膜断面積は、前記中空糸膜束が有する中空糸膜のそれぞれの外径(External Diameter)に基づく単位断面積を合わせた値であり、
前記ポット断面積は前記第2軸方向を基準とする前記第1ポット層の断面積と前記膜断面積とを合わせた値であり、
前記パッキング密度は前記膜断面積を前記ポット断面積で割った値であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項3】
前記パッキング密度は0.51以上に具現されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項4】
前記パッキング密度は0.53以下に具現されることを特徴とする、請求項1または3に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項5】
前記中空糸膜束の幅を1とするとき、前記中空糸膜束の厚さは0.1以上0.8以下であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項6】
燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するための燃料電池用加湿器のカートリッジ(Cartridge)であって、
両端が開放しているインナーケース(Inner Case)と、
前記インナーケースに収容されている中空糸膜束と、
前記インナーケースに第1軸方向に離隔して形成されたインナー流入口及びインナー流出口と、
前記インナーケースの一端で前記中空糸膜束の一端を固定する第1ポット層と、
前記インナーケースの他端で前記中空糸膜束の他端を固定する第2ポット層と、を含み、
前記第1軸方向に垂直な第2軸方向を基準として、前記第1ポット層がポッティングされるインナーケースの一端の内部のポット断面積及び前記中空糸膜束の膜断面積に基づくパッキング密度が0.405以上0.625以下であることを特徴とする、燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項7】
前記膜断面積は、前記中空糸膜束が有する中空糸膜の外径に基づく断面積を合わせた値であり、
前記ポット断面積は前記第2軸方向を基準とする前記第1ポット層の断面積と前記膜断面積とを合わせた値であり、
前記パッキング密度は前記膜断面積を前記ポット断面積で割った値であることを特徴とする、請求項6に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項8】
前記パッキング密度は0.51以上に具現されることを特徴とする、請求項6に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項9】
前記パッキング密度は0.53以下に具現されることを特徴とする、請求項6または8に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【請求項10】
前記中空糸膜束の幅を1とするとき、前記中空糸膜束の厚さは0.1以上0.8以下であることを特徴とする、請求項6に記載の燃料電池用加湿器のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿された気体を燃料電池に供給するための燃料電池用加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池とは違い、水素と酸素が供給される限りは電気を生産し続けることができ、熱損失がないので、内燃機関に比べて効率が2倍程高いという長所がある。
【0003】
また、水素と酸素との結合によって発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質の排出が少ない。したがって、燃料電池は環境にやさしい他、エネルギー消費の増加による資源枯渇の心配も減らすことができるという長所がある。
【0004】
このような燃料電池は、使用される電解質の種類によって、大きく、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類できる。
【0005】
これらの各燃料電池は、根本的に同一原理によって作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。特に、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きいため小型化が可能な点から、小規模据置型発電装備の他に輸送システムにおいても最も有望なものと知られている。
【0006】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させる上で最も重要な要素の一つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane又はProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を保たせることである。高分子電解質膜が乾燥すると発電効率が急に低下するためである。
【0007】
高分子電解質膜を加湿する方法には、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイド弁を通してガス流動管に水分を直接供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
【0008】
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気だけを選択的に透過させる膜を用いて、高分子電解質膜に供給される空気に水蒸気を提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が、加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
【0009】
膜加湿方式に用いられる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合に単位体積当たりの透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造すると、接触表面積の広い中空糸膜を高集積化できるので、小容量でも燃料電池の加湿が十分となり、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から排出される高温の排ガス(off-gas)中の水分と熱を回収し、加湿器を用いて再使用できるという利点がある。
【0010】
図1は、通常の燃料電池用加湿器の概略分解斜視図である。
【0011】
図1に例示するように、通常の膜加湿方式の加湿器100は、外部から供給される空気と燃料電池スタック(図示せず)から排出される排ガスとの間に水分取替が起きる加湿モジュール110、及び該加湿モジュール110の両端に結合しているギャップ120を含む。
【0012】
前記ギャップ120のいずれか一方は、外部から供給される空気を前記加湿モジュール110に伝達し、他方は、前記加湿モジュール110によって加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
【0013】
前記加湿モジュール110は、排ガス湿潤気体流入口(off-gas inlet)111aと排ガス湿潤気体流出口(off-gas outlet)111bを有するミッドケース(mid-case)111、及び前記ミッドケース111内の複数の中空糸膜112を含む。前記中空糸膜112の束の両端は固定層113にポッティングされている。前記固定層113は、一般的にキャスティング(casting)方式で液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることによって形成される。前記中空糸膜112の末端がポッティングされている固定層113及び前記固定層113と前記ミッドケース111との間の樹脂層114が前記キャップ120の内部空間を前記ミッドケース111の内部空間から遮断する。前記固定層113と同様に、前記樹脂層114は、一般に、キャスティング方式で液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることによって形成される。
【0014】
外部から供給される空気は、前記中空糸膜112の中空に沿って流れる。前記排ガス湿潤気体流入口111aから前記ミッドケース111内に流入した排ガスは、前記中空糸膜112の外表面と接触した後、前記排ガス湿潤気体流出口111bを通って前記ミッドケース111から流出する。前記排ガスが前記中空糸膜112の外表面と接触する際に、前記排ガス中に含有されている水分が前記中空糸膜112を透過することにより、前記中空糸膜112の中空に沿って流れている空気を加湿する。
【0015】
最近には、水素電気車のように多様な使用先に燃料電池が用いられており、燃料電池の性能を高めるために、燃料電池用加湿器が高い加湿効率を有することが要求されている。したがって、燃料電池用加湿器の加湿効率を高めることができる技術の開発が切実に要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上述したような要求を解消しようと案出されたものであり、燃料電池が必要とする加湿効率を有することができる燃料電池用加湿器のカートリッジ及び燃料電池用加湿器を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記のような課題を解決するために、本発明は次のような構成を含むことができる。
【0018】
本発明による燃料電池用加湿器は、燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するための加湿モジュールと、前記加湿モジュールの一端に結合した第1キャップと、前記加湿モジュールの他端に結合した第2キャップとを含むことができる。前記加湿モジュールは、両端が開放しているミッドケースと、前記ミッドケース内に配置された少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)とを含むことができる。前記カートリッジは、両端が開放しているインナーケース(Inner Case)と、前記インナーケースに収容されている中空糸膜束と、前記インナーケースに第1軸方向に離隔して形成されたインナー流入口及びインナー流出口と、前記インナーケースの一端で前記中空糸膜束の一端を固定する第1ポット層と、前記インナーケースの他端で前記中空糸膜束の他端を固定する第2ポット層とを含むことができる。前記第1軸方向に垂直な第2軸方向を基準として、前記第1ポット層がポッティングされるインナーケースの一端の内部のポット断面積及び前記中空糸膜束の膜断面積に基づくパッキング密度が0.405以上0.625以下であり得る。
【0019】
本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジは、燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するための燃料電池用加湿器のカートリッジ(Cartridge)であって、両端が開放しているインナーケース(Inner Case)と、前記インナーケースに収容されている中空糸膜束と、前記インナーケースに第1軸方向に離隔して形成されたインナー流入口及びインナー流出口と、前記インナーケースの一端で前記中空糸膜束の一端を固定する第1ポット層と、前記インナーケースの他端で前記中空糸膜束の他端を固定する第2ポット層と、を含むことができる。前記第1軸方向に垂直な第2軸方向を基準として、前記第1ポット層がポッティングされるインナーケースの一端の内部のポット断面積及び前記中空糸膜束の膜断面積に基づくパッキング密度が0.405以上0.625以下であり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、中空糸膜束の割合に関連したパッキング密度を用いて燃料電池が必要とする加湿効率を有することができるように具現されることで、燃料電池の性能を向上させることに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】通常の燃料電池用加湿器の概略分解斜視図である。
【0022】
図2】本発明に係る燃料電池用加湿器の概略分解斜視図である。
【0023】
図3】本発明に係る燃料電池用加湿器を図2のI-I線を基準として示す概略分解断面図である。
【0024】
図4】本発明に係る燃料電池用加湿器を図2のI-I線を基準として示す概略結合断面図である。
【0025】
図5】本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジの概略平面図である。
【0026】
図6】本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジを図5のII-II線に沿って示す概略側断面図である。
【0027】
図7図6のA部を拡大して示す概略側断面図である。
【0028】
図8】パッキング密度による膜差圧、ケース差圧、及び総差圧の変化を示すグラフである。
【0029】
図9】パッキング密度による加湿効率の変化を示すグラフである。
【0030】
図10】パッキング密度による比較例及び実施例の加湿効率、膜差圧、ケース差圧、総差圧が記載された表である。
【0031】
図11図5のII-II線を基準に中空糸膜束を示す概念的側断面図である。
図12図5のII-II線を基準に中空糸膜束を示す概念的側断面図である。
【0032】
図13】本発明による燃料電池用加湿器においてミッドケースに2個のカートリッジが結合される実施例の概略分解斜視図である。
【0033】
図14】本発明による燃料電池用加湿器においてミッドケースに3個のカートリッジが結合される実施例の概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明に係る燃料電池用加湿器の実施例を、添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明による燃料電池用加湿器のカートリッジは本発明による燃料電池用加湿器に含まれることができるので、本発明による燃料電池用加湿器の実施例を説明しながら一緒に説明する。
【0035】
図2図4図10及び図11を参照すると、本発明に係る燃料電池用加湿器1は、燃料電池スタック(図示せず)から排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するためのものである。乾燥気体は、燃料ガス又は空気であってもよい。乾燥気体は湿潤気体によって加湿された後、前記燃料電池スタックに供給されることができる。本発明に係る燃料電池用加湿器1は、乾燥気体の加湿のための加湿モジュール2、前記加湿モジュール2の一端に結合した第1キャップ3、及び前記加湿モジュール2の他端に結合した第2キャップ4を含む。
【0036】
図2図5を参照すると、前記加湿モジュール2は、外部から供給された気体を加湿するものである。前記加湿モジュール2の一端には前記第1キャップ3が結合することができる。前記加湿モジュール2の他端には前記第2キャップ4が結合することができる。前記第1キャップ3は、乾燥気体を前記加湿モジュール2に伝達することができる。この場合、前記第2キャップ4は、前記加湿モジュール2で湿潤気体によって加湿された乾燥気体を、前記燃料電池スタックに伝達することができる。前記第1キャップ3は湿潤気体を前記加湿モジュール2に伝達することができる。この場合、前記第2キャップ4は前記加湿モジュール2で乾燥気体を加湿した後の湿潤気体を外部に排出することができる。
【0037】
前記加湿モジュール2は、ミッドケース(Mid-case)21、及び少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)22を含む。
【0038】
前記ミッドケース21は前記カートリッジ22が結合されたものである。前記カートリッジ22は前記ミッドケース21の内部に配置できる。前記ミッドケース21は両端が開放している。この場合、前記ミッドケース21には収容孔211が形成できる。前記収容孔211は前記ミッドケース21を第1軸方向(X軸方向)に貫くように形成できる。
【0039】
前記ミッドケース21にはミッド流入口212及びミッド流出口213が形成できる。前記ミッド流入口212は前記ミッドケース21の内部に湿潤気体または乾燥気体を流入させることができる。前記ミッド流出口213は前記ミッドケース21の内部から湿潤気体または乾燥気体を流出させることができる。前記ミッド流入口212及び前記ミッド流出口213は前記第1軸方向(X軸方向)に互いに離隔した位置に配置できる。
【0040】
前記ミッド流入口212及び前記ミッド流出口213を通して湿潤気体が流動する場合、湿潤気体は前記ミッド流入口212を通して前記ミッドケース21の内部を経て前記カートリッジ22の内部に供給された後、前記中空糸膜束221の外表面と接触することができる。この過程で、湿潤気体に含有されていた水分が前記中空糸膜束221を透過することで、前記中空糸膜束221の中空に沿って流れている乾燥気体を加湿することができる。加湿された乾燥気体は前記中空糸膜束221から流出した後、前記第2キャップ4を通して前記燃料電池スタックに供給できる。乾燥気体を加湿した後の湿潤気体は、前記カートリッジ22の外部に流出した後、前記ミッドケース21の内部を経て前記ミッド流出口213を通して前記ミッドケース21の外部に流出することができる。前記ミッド流入口212は前記燃料電池スタックに連結されることによって湿潤気体を受けることができる。この場合、湿潤気体は前記燃料電池スタックから排出される排ガス(Off-gas)であり得る。
【0041】
前記ミッド流入口212及び前記ミッド流出口213を通して乾燥気体が流動する場合、乾燥気体は前記ミッド流入口212を通して前記ミッドケース21の内部を経て前記カートリッジ22の内部に供給された後、前記カートリッジ22が有する中空糸膜束221の外表面に接触することができる。この過程で、前記中空糸膜束221の中空に沿って流れている湿潤気体の水分が前記中空糸膜束221を透過することで、前記カートリッジ22の内部に流入した乾燥気体を加湿することができる。加湿された乾燥気体は前記カートリッジ22の外部に流出した後、前記ミッドケース21の内部を経て前記ミッド流出口213を通して前記ミッドケース21の外部に流出した後、前記燃料電池スタックに供給できる。乾燥気体を加湿した後の湿潤気体は、前記中空糸膜束221から流出した後、前記第2キャップ4を通して外部に排出できる。前記第1キャップ3は前記燃料電池スタックに連結されることによって湿潤気体を受けることができる。この場合、湿潤気体は前記燃料電池スタックから排出される排ガス(Off-gas)であり得る。
【0042】
前記ミッド流入口212及び前記ミッド流出口213は前記ミッドケース21から突出することができる。前記ミッド流入口212及び前記ミッド流出口213は前記ミッドケース21から互いに同じ方向に突出することができる。前記ミッド流入口212及び前記ミッド流出口213は前記ミッドケース21から互いに異なる方向に突出することもできる。前記ミッド流入口212、前記ミッド流出口213、及び前記ミッドケース21は一体に形成されることもできる。
【0043】
前記カートリッジ22は前記ミッドケース21内に配置されるものである。前記カートリッジ22は中空糸膜束221を含むことができる。前記中空糸膜束221は、複数の 中空糸膜221aを含むことができる。前記中空糸膜束221は前記カートリッジ22に結合されてモジュール化することができる。これにより、前記カートリッジ22を前記ミッドケース21に結合させる工程により、前記中空糸膜束221は前記ミッドケース21の内部に設けられることができる。したがって、本発明に係る燃料電池用加湿器1は、前記中空糸膜束221に対する設置作業、分離作業、及び取替作業の容易性を向上させることができる。
【0044】
前記カートリッジ22は、インナーケース(Inner case)222を含むことができる。
【0045】
前記インナーケース222は両端が開放したものである。この場合、前記インナーケース222の両端には開口(Opening)が形成できる。前記インナーケース222の内部には前記中空糸膜束221が収容されている。前記中空糸膜束221は前記インナーケース222の内部に配置されてモジュール化することができる。前記中空糸膜束221は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、又はこれらのうち2以上の混合物で形成された高分子膜を含むことができる。
【0046】
前記カートリッジ22は第1ポット層223を含むことができる。前記第1ポット層223はインナーケース222の一端で前記中空糸膜束221の一端を固定するものである。この場合、前記第1ポット層223は前記中空糸膜束221の中空を塞げないように形成できる。前記第1ポット層223は、キャスティング工程によって、液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることによって形成できる。前記第1ポット層223は前記インナーケース222に前記中空糸膜束221の一端を固定することができる。前記第1ポット層223は一部が前記インナーケース222の内部に位置し、残りの一部が前記インナーケース222の外部に位置することができる。
【0047】
前記カートリッジ22は、第2ポット層224を含むことができる。前記第2ポット層224は前記インナーケース222の他端で前記中空糸膜束221の他端を固定するものである。この場合、前記第2ポット層224は前記中空糸膜束221の中空を塞げないように形成できる。よって、乾燥気体または湿潤気体は前記第2ポット層224及び前記第1ポット層223と干渉せずに前記中空糸膜束221の中空に供給でき、前記第2ポット層224及び前記第1ポット層223と干渉せずに前記中空糸膜束221の中空から流出することができる。前記第2ポット層224は、キャスティング工程によって、液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることによって形成できる。前記第2ポット層224は前記インナーケース210及び前記中空糸膜束221の他端を固定することができる。前記第2ポット層224は一部が前記インナーケース222の内部に位置し、残りの一部が前記インナーケース222の外部に位置することができる。前記第2ポット層224と前記第1ポット層223とは前記第1軸方向(X軸方向)に互いに離隔して配置できる。
【0048】
前記カートリッジ22は、インナー流入口225、及びインナー流出口226を含むことができる。
【0049】
前記インナー流入口225は前記インナーケース222に形成されたものである。前記インナー流入口225は前記インナーケース222の一側に形成できる。例えば、前記インナーケース222の一側は上面に相当することができる。前記インナー流入口225は前記インナーケース222の内部に湿潤気体または乾燥気体を流入させることができる。前記インナー流入口225は前記インナーケース222を貫通して形成できる。前記インナー流入口225は前記インナーケース222を貫く単一の貫通孔によって具現できる。図5に示すように、前記インナー流入口225は前記インナーケース222を貫く複数の貫通孔によって具現されることもできる。この場合、前記インナー流入口225は前記インナーケース222の相異なる部分を貫くように形成された複数の流入ウィンドウ225aを含むことができる。前記流入ウィンドウ225aは、前記第1軸方向(X軸方向)及び第2軸方向(Y軸方向)に沿ってそれぞれ互いに離隔して行列状を成すように配置できる。前記第2軸方向(Y軸方向)は前記第1軸方向(X軸方向)に対して垂直な軸方向である。
【0050】
前記インナー流出口226は前記インナーケース222に形成されたものである。前記インナー流出口226は前記インナーケース222の一側に形成できる。前記インナー流出口226は前記インナーケース222の内部から湿潤気体または乾燥気体を流出させることができる。前記インナー流出口226は前記インナーケース222を貫いて形成できる。前記インナー流出口226は前記インナーケース222を貫く一つの貫通孔によって具現できる。図5に示すように、前記インナー流出口226は前記インナーケース222を貫く複数の貫通孔によって具現されることもできる。この場合、前記インナー流出口226は、前記インナーケース222の相異なる部分を貫くように形成された複数の流出ウィンドウ226aを含むことができる。前記流出ウィンドウ226aは前記第1軸方向(X軸方向)及び前記第2軸方向(Y軸方向)のそれぞれに沿って互いに離隔して行列状を成すように配置できる。前記インナー流出口226及び前記インナー流入口225は前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔した位置に配置できる。
【0051】
前記インナー流出口226及び前記インナー流入口225を通して湿潤気体が流動する場合、湿潤気体は前記ミッド流入口212を通して前記ミッドケース21の内面と前記インナーケース222の外面との間に供給され、前記インナー流入口225を通して前記インナーケース222の内部に供給されて前記中空糸膜束221の外表面に接触することができる。この過程で、湿潤気体に含有されていた水分が前記中空糸膜束221を透過することで、前記中空糸膜束221の中空に沿って流れる乾燥気体を加湿することができる。加湿された乾燥気体は前記中空糸膜束221から流出した後、前記第2キャップ4を通して前記燃料電池スタックに供給できる。乾燥気体を加湿した後の湿潤気体は前記インナー流出口226を通して前記インナーケース222の外面と前記ミッドケース21の内面との間に流出し、前記ミッド流出口213を通して前記ミッドケース21の外部に流出することができる。
【0052】
前記インナー流出口226及び前記インナー流入口225を通して乾燥気体が流動する場合、乾燥気体は前記ミッド流入口212を通して前記ミッドケース21の内面と前記インナーケース222の外面との間に供給され、前記ミッド流入口212を通して前記インナーケース222の内部に供給されて前記中空糸膜束221の外表面に接触することができる。この過程で、前記中空糸膜束221の中空に沿って流れていた湿潤気体の水分が前記中空糸膜束221を透過することで、前記インナーケース222の内部に流入した乾燥気体を加湿することができる。加湿された乾燥気体は、前記インナー流出口226を通して前記インナーケース222の外面と前記ミッドケース21の内面との間に流出し、前記ミッド流出口213を通して前記ミッドケース21の外部に流出した後、前記燃料電池スタックに供給できる。乾燥気体を加湿した後の湿潤気体は、前記中空糸膜束221から流出した後、前記第2キャップ4を通して外部に排出できる。
【0053】
図2図4を参照すると、前記加湿モジュール2は、キャスティング(Casting)工程なしに、機械的組立によって前記ミッドケース21と前記カートリッジ22との間を密閉させるように具現できる。この場合、前記加湿モジュール2は、第1パッキング部材23を含むことができる。
【0054】
前記第1パッキング部材23は前記加湿モジュール2の一端に結合できる。よって、前記第1パッキング部材23は、前記第1キャップ3が前記中空糸膜束221のみと流体連通するようにすることができる。この場合、前記第1パッキング部材23は乾燥気体と湿潤気体とが直接的に混合されることを遮断することができる。前記第1パッキング部材23は、機械的組立によって前記加湿モジュール2の一端に気密に結合できる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、相対的に多くの工程時間を要求するキャスティング工程を省略することができるので、生産のための工程時間の短縮によって生産性を向上させることができる。前記第1パッキング部材23は弾性変形(Elastic Deformation)可能な素材から形成できる。例えば、前記第1パッキング部材23はゴム類から形成できる。前記第1パッキング部材23は、前記カートリッジ22と前記ミッドケース21との間を密閉するように、リング形に形成できる。
【0055】
前記加湿モジュール2は、第2パッキング部材24を含むことができる。
【0056】
前記第2パッキング部材24は前記加湿モジュール2の他端に結合できる。よって、前記第2パッキング部材24は前記第2キャップ4が前記中空糸膜束221のみと流体連通するようにすることができる。この場合、前記第2パッキング部材24は乾燥気体と湿潤気体とが直接的に混合されることを遮断することができる。前記第2パッキング部材24は機械的組立によって前記加湿モジュール2の他端に気密に結合できる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、相対的に多くの工程時間が要求されるキャスティング工程を省略することができるので、生産のための工程時間の短縮によって生産性を向上させることができる。前記第2パッキング部材24は弾性変形可能な材質から形成できる。例えば、前記第2パッキング部材24はゴム類から形成できる。前記第2パッキング部材24は前記カートリッジ22と前記ミッドケース21との間を密閉するようにリング形に形成できる。
【0057】
図2図4を参照すると、前記第1キャップ3は前記加湿モジュール2の一端に結合されたものである。前記第1キャップ3は、外部から供給される乾燥気体または湿潤気体を前記加湿モジュール2に伝達することができる。
【0058】
図2図4を参照すると、前記第2キャップ4は前記加湿モジュール2の他端に結合されたものである。前記第2キャップ4は、前記加湿モジュール2から伝達された乾燥気体または湿潤気体を外部に流出させることができる。前記加湿モジュール2から加湿された乾燥気体が伝達された場合、前記第2キャップ4は加湿された乾燥気体を前記燃料電池スタックに伝達することもできる。
【0059】
ここで、本発明による燃料電池用加湿器1は、パッキング密度によって加湿効率を向上させるように具現できる。これについて、図2図10を参照して詳細に説明すると次のようである。図10には、上から下にパッキング密度が小さいものから大きい順に比較例及び実施例が整列されている。
【0060】
前記パッキング密度は前記インナーケース222の内部体積と前記中空糸膜束221との間の割合に関するものである。前記パッキング密度が増加するほど前記インナーケース222の内部体積に対して前記中空糸膜束221が占める体積が大きいものであり、前記パッキング密度が減少するほど前記インナーケース222の内部体積に対して前記中空糸膜束221が占める体積が小さいものである。前記パッキング密度の増加は、前記中空糸膜束221が占める体積の増加及び前記インナーケース222の内部体積の減少のうちの少なくとも一つによってなされることができる。前記パッキング密度の減少は、前記中空糸膜束221が占める体積の減少及び前記インナーケース222の内部体積の増加のうちの少なくとも一つによってなされることができる。前記中空糸膜束221が占める体積の増加及び減少は、前記中空糸膜束221が有する中空糸膜221aの数の増加及び減少によってなされることができる。
【0061】
本発明による燃料電池用加湿器1において、前記パッキング密度は膜断面積及びポット断面積に基づいて算出することができる。
【0062】
前記膜断面積は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として、前記中空糸膜束221の断面積に相当することができる。前記中空糸膜束221の断面積は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として、前記中空糸膜束221が有する中空糸膜221aのそれぞれの単位断面積を合わせた値であり得る。前記単位断面積は前記中空糸膜221aの外径(External Diameter)221D(図7参照)に基づいて算出することができる。この場合、前記単位断面積は前記中空糸膜221aが有する中空221b(図7参照)の断面積を含む値である。
【0063】
前記ポット断面積は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として、前記第1ポット層223がポッティングされるインナーケース222の一端の内部の断面積に相当することができる。この場合、前記インナーケース222の一端の内部の断面積を前記インナーケース222の内部体積に相当する値と見なして前記パッキング密度を算出することができる。前記ポット断面積は前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とする前記第1ポット層223の断面積と前記膜断面積とを合わせた値に相当することができる。この場合、前記ポット断面積は前記インナーケース222の幅222H(図6参照)と前記インナーケース222の厚さ222T(図6参照)とを掛けた値であり得る。前記インナーケース222の幅222H及び前記インナーケース222の厚さ222Tは前記インナーケース222の内面を基準とするものである。前記インナーケース222の厚さ222Tは前記第1軸方向(X軸方向)及び前記第2軸方向(Y軸方向)の両方に対して垂直な第3軸方向(Z軸方向)を基準とするものである。一方、前記ポット断面積は、前記第2軸方向(Y軸方向)を基準として、前記第2ポット層224がポッティングされるインナーケース222の他端の内部の断面積と同じ値であり得る。
【0064】
上述したようなポット断面積及び膜断面積に基づいて前記パッキング密度を算出することができる。前記パッキング密度は前記膜断面積を前記ポット断面積で割った値であり得る。この場合、前記パッキング密度は、前記ポット断面積に対して前記膜断面積が占める割合と定義することができる。前記パッキング密度によって、本発明による燃料電池用加湿器1の加湿効率を変更することができる。これを具体的に説明すると次のようである。
【0065】
まず、前記パッキング密度が増加すると、前記膜断面積が増加することができる。前記膜断面積が増加するのに伴って前記中空糸膜束221が有する中空221bの断面積を合わせた値が増加するので、前記中空糸膜束221を乾燥気体または湿潤気体が通過することができる通過面積が増加することができる。よって、乾燥気体または湿潤気体が前記中空糸膜束221を通過するときに作用する差圧[以下、「膜差圧」という]が減少する。これは、図8に示すグラフで前記パッキング密度が増加するほど前記膜差圧が減少することから確認することができる。
【0066】
次に、前記パッキング密度が増加するほど前記膜差圧が減少するので、加湿効率が続けて増加しなければならないはずであるが、図9に示すように、前記パッキング密度が増加しても加湿効率は続けて増加しないことが分かる。その理由は、前記膜断面積が増加するのに伴い、前記インナーケース222の内部で湿潤気体または乾燥気体が通過することができる通過面積が相対的に減少するので、湿潤気体または乾燥気体が前記インナーケース222の内部を通過するときに作用する差圧[以下、「ケース差圧」という]が増加しながら加湿効率に影響を及ぼすからである。これは、図8に示すグラフで前記パッキング密度が増加するほど前記ケース差圧が増加することから確認することができる。前記パッキング密度が変化するのに伴い、前記膜差圧よりも前記ケース差圧が大きく変化するので、結果的に前記パッキング密度が変化することにより、前記カートリッジ22に作用する全体的な差圧[以下、「総差圧」という]の変化は前記ケース差圧の変化によってより大きい影響を受ける。これは、図8に示すグラフで前記総差圧と前記ケース差圧との間の類似度ことから確認することができる。
【0067】
上述したように、前記中空糸膜束221が有する中空糸膜221aの個数を増やすと、前記中空糸膜束221を乾燥気体または湿潤気体が通過することができる通過面積が増加するので、前記パッキング密度が増加するほど加湿効率が続けて向上するであろうと予想することができるが、実際には前記パッキング密度が増加するのに伴って前記インナーケース222の内部で湿潤気体または乾燥気体が通過することができる通過面積が減少することによって前記ケース差圧が増加するので、加湿効率が続けて向上しないことが分かる。
【0068】
これに基づき、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記パッキング密度が0.405以上0.625以下に具現できる。図8及び図9に示すように、百分率で示すと、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記パッキング密度が40.5%以上62.5%以下に具現できる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1は加湿効率を高めることができるパッキング密度を有するように具現されるので、燃料電池の性能を向上させることに寄与することができる。これを図8図10に基づいて具体的に説明すると次のようである。
【0069】
まず、前記パッキング密度が0.405未満(百分率:40.5%未満)の場合、前記インナーケース222の内部で湿潤気体または乾燥気体が通過することができる通過面積の増加によって前記ケース差圧は低いが、前記中空糸膜束221を乾燥気体または湿潤気体が通過することができる通過面積の減少によって前記膜差圧が著しく高いので、前記総差圧が高くなる。よって、前記パッキング密度が0.405未満の場合、27%未満の低い加湿効率を示す。例えば、前記パッキング密度が0.38(百分率:38%)の比較例1の場合、前記ケース差圧が4.3kPaと低いが前記膜差圧が14.1kPaと著しく高いので、18.4kPaの高い総差圧を示す。よって、比較例1は23.5%の低い加湿効率を示す。
【0070】
これとは違い、前記パッキング密度が0.405以上(百分率:40.5%以上)の場合、前記パッキング密度が0.405未満(百分率:40.5%未満)の場合に比べて前記ケース差圧が多少高いが前記膜差圧が著しく低いので、前記総差圧が著しく低くなる。よって、前記パッキング密度が0.405以上の場合、27%以上の高い加湿効率を示す。例えば、前記パッキング密度が0.405(百分率:40.5%)の実施例1の場合、比較例1に比べて前記ケース差圧が5.1kPaと多少高いが前記膜差圧が9.7kPaと著しく低いので、14.8kPaの低い総差圧を示す。よって、実施例1は比較例1よりも高い27.1%の加湿効率を示す。
【0071】
次に、前記パッキング密度が0.625超過(百分率:62.5%超過)の場合、前記中空糸膜束221を乾燥気体または湿潤気体が通過することができる通過面積の増加によって前記膜差圧が低いが、前記インナーケース222の内部で湿潤気体または乾燥気体が通過することができる通過面積の減少によって前記ケース差圧が著しく高いので、前記総差圧が高くなる。よって、前記パッキング密度が0.625超過の場合、27%未満の低い加湿効率を示す。例えば、前記パッキング密度が0.65(百分率:65%)の比較例2の場合、前記膜差圧が4.1kPaと低いが前記ケース差圧が13.8kPaと著しく高いので、17.9kPaの高い総差圧を示す。よって、比較例2は23.1%の低い加湿効率を示す。
【0072】
これとは違い、前記パッキング密度が0.625以下(百分率:62.5%以下)の場合、前記パッキング密度が0.625超過(百分率:62.5%超過)の場合よりも前記膜差圧が多少高いが前記ケース差圧が著しく低いので、前記総差圧が著しく低くなる。よって、前記パッキング密度が0.625以下の場合、27%以上の高い加湿効率を示す。例えば、前記パッキング密度が0.625(百分率:62.5%)の実施例2の場合、比較例2よりも前記膜差圧が5.3kPaと多少高いが前記ケース差圧が9.9kPaと著しく低いので、15.2kPaの低い総差圧を示す。よって、実施例2は比較例2よりも高い27%の加湿効率を示す。
【0073】
このように、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記パッキング密度が0.405以上0.625以下に具現されるので、前記パッキング密度が0.405以下または0.625超過に具現された比較例に比べて前記総差圧を著しく低めることによって高い加湿効率を有することができる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1は燃料電池スタックに供給される気体の加湿率を高めることができるので、燃料電池の性能を向上させることに寄与することができる。
【0074】
図2図10を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記パッキング密度が0.51以上(百分率:51%以上)に具現されることもできる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1はより高い加湿効率を有することができる。これを具体的に説明すると次のようである。
【0075】
前記パッキング密度が0.51(百分率:51%)の実施例3は、前記膜差圧が6.5kPaであり、前記ケース差圧が6.4kPaであり、前記膜差圧と前記ケース差圧との間の差が非常に小さいので、12.9kPaの低い総差圧を示す。よって、実施例3は30%に非常に近い29.9%の高い加湿効率を示す。このような実施例3の加湿効率は、前記パッキング密度が0.405(百分率:40.5%)の実施例1の27.1%の加湿効率に比べて向上したものである。
【0076】
一方、前記パッキング密度が0.435(百分率:43.5%)の実施例4は、前記膜差圧が7.9kPaであり、前記ケース差圧が6kPaであり、実施例3に比べて前記膜差圧と前記ケース差圧との間の差が大きいので、実施例3よりも大きい13.9kPaの総差圧を示す。よって、実施例4は、実施例3よりも低い29%の加湿効率を示す。しかし、実施例4も比較例1よりも著しく高い加湿効率を示すものであるだけでなく、実施例1よりも高い加湿効率を示すものである。
【0077】
図2図10を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記パッキング密度が0.53以下(百分率:53%以下)に具現されることもできる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1はより高い加湿効率を有することができる。これを具体的に説明すると次のようである。
【0078】
前記パッキング密度が0.53(百分率:53%)の実施例5は、前記膜差圧が6.3kPaであり、前記ケース差圧が6.6kPaであり、前記膜差圧と前記ケース差圧との間の差が非常に小さいので、12.9kPaの低い総差圧を示す。よって、実施例5は30%を超える30.1%の高い加湿効率を示す。このような実施例5の加湿効率は前記パッキング密度が0.625(百分率:62.5%)の実施例2の27%の加湿効率に比べて向上したものである。
【0079】
一方、前記パッキング密度が0.595(百分率:59.5%)の実施例6は、前記膜差圧が6.5kPaであり、前記ケース差圧が8.1kPaであり、実施例5に比べて前記膜差圧と前記ケース差圧との間の差が大きいので、実施例5よりも大きい14.3kPaの総差圧を示す。よって、実施例6は実施例5よりも低い28.9%の加湿効率を示す。しかし、実施例6も比較例2よりも著しく高い加湿効率を示すものであるだけでなく、実施例2よりも高い加湿効率を示すものである。
【0080】
図2図10を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記パッキング密度が0.51以上0.53以下(百分率:51%以上53%以下)に具現されることもできる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1は高い加湿効率を有することができるだけでなく、前記総差圧及び加湿効率に対する安全性を有することができる。これは、前記パッキング密度が0.51(百分率:51%)の実施例3及び前記パッキング密度が0.53(百分率:53%)の実施例5で前記膜差圧が12.9kPaと同一である点、加湿効率がおよそ30%であってほぼ同一である点、及び前記膜差圧と前記ケース差圧との間の差が0.3kPa以下であってほぼ同一であることにより、乾燥気体と湿潤気体とがほぼ同一の流動性を有する点から確認することができる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記パッキング密度が0.51以上0.53以下(百分率:51%以上53%以下)に具現されることにより、使用者に一定のレベル以上の品質を保障することができるので、製品信頼性を向上させることができる。
【0081】
図2図12を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器1において、前記中空糸膜束221の幅221Hを1とするとき、前記中空糸膜束221の厚さ221Tは0.1以上0.8以下に具現できる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1は多様な加湿効率を有するように具現されるので、多様な使用先に使用される燃料電池に適用することができる汎用性を向上させることができる。これを具体的に説明すると次のようである。以下で、前記中空糸膜束221の厚さ221Tに対する比は、前記中空糸膜束221の幅221Hが1であることを前提とするものである。
【0082】
まず、前記中空糸膜束221の厚さ221Tは前記第3軸方向(Z軸方向)を基準とするものである。前記中空糸膜束221の厚さ222Tは前記インナーケース222の内面の厚さ222Tと一致するかまたは前記インナーケース222の内面の厚さ222Tより小さくてもよい。前記中空糸膜束221の幅221Hは前記第2軸方向(Y軸方向)を基準とするものである。前記中空糸膜束221の幅221Hは前記インナーケース222の内面の幅222Hと一致するかまたは前記インナーケース222の内面の幅222Hよりも小さくてもよい。
【0083】
次に、前記中空糸膜束221の厚さ221Tが0.1未満の場合、前記中空糸膜束221の厚さ221Tがあまりにも薄くなって十分な数の中空糸膜221aを備えにくい。前記中空糸膜束221の厚さ221Tが0.8超過の場合、前記中空糸膜束221の厚さ221Tがあまりにも厚くなるので、相対的に内側に配置された中空糸膜221aの使用効率があまりにも低くなることがある。
【0084】
これとは違い、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記中空糸膜束221の厚さ221Tが0.1以上0.8以下に具現されるので、十分な数の中空糸膜221aを備えることができるだけでなく、相対的に内側に配置された中空糸膜221aの使用効率を高めることができる。
【0085】
一方、本発明による燃料電池用加湿器1において、前記中空糸膜束221の厚さ222Tが0.6超過0.8以下の場合、前記中空糸膜束221において相対的に内側に配置された中空糸膜221aの使用効率が多少低くなることがあるが、その代わりに前記中空糸膜束221の使用寿命がより延びることができる。この場合、本発明による燃料電池用加湿器1は加湿効率よりも使用寿命が重要な使用先に相応しく適用できる。
【0086】
また、本発明による燃料電池用加湿器1において、前記中空糸膜束221の厚さ222Tが0.1以上0.2未満の場合、前記中空糸膜束221の使用寿命が多少縮むことがあるが、その代わりに前記中空糸膜束221において相対的に内側に配置された中空糸膜221aの使用効率がより向上することができる。この場合、本発明による燃料電池用加湿器1は使用寿命よりも加湿効率が重要な使用先に相応しく適用できる。
【0087】
また、本発明による燃料電池用加湿器1において、前記中空糸膜束221の厚さ222Tが0.2以上0.6以下の場合、前記中空糸膜束221の使用寿命と前記中空糸膜束221において相対的に内側に配置された中空糸膜221aの使用効率とがバランスよく具現できる。この場合、本発明による燃料電池用加湿器1は加湿効率と使用寿命との間の均衡が重要な使用先に相応しく適用できる。
【0088】
このように、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記中空糸膜束221の厚さ221Tが0.1以上0.8以下に具現されるので、多様な加湿効率及び使用寿命を有するように具現できるので、多様な使用先に使用される燃料電池に適用することができる汎用性を向上させることができる。
【0089】
図13及び図14を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器1において、前記ミッドケース21内には2個以上のカートリッジ22が配置されることもできる。図13に示すように、前記ミッドケース21内には2個のカートリッジ22、22’が配置できる。図14に示すように、前記ミッドケース21内には3個のカートリッジ22、22’、22”が配置されることもできる。図示されてはいないが、前記ミッドケース21内には4個以上のカートリッジ22が配置されることもできる。
【0090】
以上で説明した本発明は、前述した実施例及び添付の図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるということが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】