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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】シャントセンサ埋め込み装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240207BHJP
   A61B 5/0215 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61B5/0215 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547476
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022014931
(87)【国際公開番号】W WO2022169865
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,263
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジー・バルデス
【テーマコード(参考)】
4C017
4C160
【Fターム(参考)】
4C017AA01
4C017AB04
4C017AC04
4C017EE01
4C017FF17
4C160DD55
4C160DD63
4C160MM33
(57)【要約】
センサ埋め込み装置が、流体導管を形成するシャント本体、シャント本体の第一の端部と関連付けられた第一のアンカー構造、シャント本体の第二の端部と関連付けられた第二のアンカー構造、第一のアンカー構造と結合されたセンサ装置、および第二のアンカー構造と結合されたアンテナを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ埋め込み装置であって、
流体導管を形成するシャント本体と、
前記シャント本体の第一の端部と関連付けられた第一のアンカー構造と、
前記シャント本体の第二の端部と関連付けられた第二のアンカー構造と、
前記第一のアンカー構造に結合されたセンサ装置と、
前記第二のアンカー構造に結合されたアンテナと、を備える、センサ埋め込み装置。
【請求項2】
前記センサ装置を前記アンテナに電気的に接続する電気コネクタをさらに備える、請求項1に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項3】
前記電気コネクタが、前記シャント本体の前記流体導管内に少なくとも部分的に配置される、請求項2に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項4】
前記アンテナが、磁気コアの周りに巻かれたコイルを含む、請求項1~3のいずれかに記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項5】
前記第一のアンカー構造が、前記流体導管の軸に対して半径方向外側に延在するように構成された一つ以上のアンカーアームを備え、前記センサ装置が、前記一つ以上のアンカーアームのうちの一つに結合される、請求項1~4のいずれかに記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項6】
前記センサ装置が、前記流体導管の前記軸の30°以内の方向に面するセンサ膜を含むセンサ変換器を含む、請求項5に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項7】
前記シャント本体が、その中に複数の開口を有するフレームを備える、請求項1~6のいずれかに記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項8】
前記第一のアンカー構造および前記第二のアンカー構造が、その間に組織壁の一部分を保持するように構成され、前記第一のアンカー構造および前記第二のアンカー構造が前記組織壁の前記一部分を保持するとき、前記組織壁の前記一部分は、前記センサ装置と前記アンテナとの間に配置される、請求項1~7のいずれかに記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項9】
前記第一のアンカー構造および前記第二のアンカー構造が、前記流体導管の軸に対して半径方向外側に突出するとき、前記センサ装置および前記アンテナは、前記流体導管の軸方向チャネルの半径方向外側にある、請求項1~8のいずれかに記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項10】
前記第一のアンカー構造および前記第二のアンカー構造が、前記センサ埋め込み装置の送達構成において、前記流体導管の前記軸に対して軸方向に突出するとき、前記センサ装置および前記アンテナは、前記流体導管の前記軸方向チャネル内にある、請求項9に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項11】
センサアセンブリであって、
人工シャント埋め込み装置の第一のアンカーに取り付けられるように構成されたセンサ装置と、
前記人工埋め込み装置の第二のアンカーに取り付けられるように構成されたアンテナコイルと、
前記センサ装置と前記アンテナコイルとの間に結合される電気コネクタと、を備える、センサアセンブリ。
【請求項12】
前記電気コネクタが、前記センサ装置と前記アンテナコイルを分離する組織壁を通って延在するように寸法設定される、請求項11に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
前記アンテナコイルが、前記センサ装置から前記電気コネクタを介してセンサシグナルを受信し、前記センサシグナルを無線で送信するように構成される、請求項11または請求項12に記載のセンサアセンブリ。
【請求項14】
センサ埋め込み装置であって、
管状フレームと、
前記管状フレームの第一の端部と関連付けられた第一のアンカー手段と、
前記管状フレームの第二の端部と関連付けられた第二のアンカー手段と、
前記第一のアンカー手段に結合されたセンサ装置と、
前記第二のアンカー手段に結合された無線送信器手段と、を備える、センサ埋め込み装置。
【請求項15】
前記センサ装置を前記送信器手段に電気的に接続するワイヤをさらに備える、請求項14に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項16】
前記ワイヤが、前記管状フレームを軸方向に横断する、請求項15に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項17】
前記ワイヤが、前記第一の端部と前記第二の端部との間の前記管状フレームの内側を走る、請求項16に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項18】
前記無線送信器手段が導電性コイルを含む、請求項14~17のいずれかに記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項19】
前記導電性コイルが円筒形磁気コアの周りに巻かれる、請求項18に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項20】
前記第一のアンカー手段が、前記管状フレームの軸に対して半径方向外側に延在するように構成された第一のアンカーアームを備え、
前記センサ装置が前記第一のアンカーアームに結合され、
前記第二のアンカー手段が、前記管状フレームの前記軸に対して半径方向外側に延在するように構成された第二のアンカーアームを備え、
前記送信器手段が前記第二のアンカーアームに結合される、請求項14~19のいずれかに記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項21】
前記第一のアンカー手段および前記第二のアンカー手段が、前記管状フレームの軸に対して半径方向外側に突出するとき、前記センサ装置および前記アンテナは前記管状フレームの半径方向外側にある、請求項14~20のいずれかに記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項22】
前記第一のアンカー手段および前記第二のアンカー手段が、前記管状フレームの前記軸に対して軸方向に配向されるとき、前記センサ装置および前記アンテナは、前記管状フレーム内に半径方向にある、請求項21に記載のセンサ埋め込み装置。
【請求項23】
流体をシャントする方法であって、
シャント埋め込み装置を送達カテーテル内の組織壁まで前進させることと、
前記組織壁に開口部を形成することと、
前記シャント埋め込み装置の第一のアンカー構造を前記組織壁の遠位側に展開することであって、前記第一のアンカー構造が、それに結合されたセンサ装置を有する、展開することと、
前記組織壁の前記開口部に前記シャント埋め込み装置の本体を展開することと、
前記シャント埋め込み装置の第二のアンカー構造を前記組織壁の近位側に展開することであって、前記第二のアンカー構造が、それに結合されたアンテナを有する、展開することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記組織壁の前記遠位側が、心臓の左心房内であり、前記組織壁の前記近位側が、前記心臓の冠静脈洞内である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
シャント埋め込み装置の製造方法であって、
管状導管を形成するように構成されたシャント本体を含むシャント構造、前記シャント本体の第一の軸方向端部と関連付けられた第一のアンカー構造、および前記シャント本体の第二の軸方向端部と関連付けられた第二のアンカー構造、を形成することと、
センサ装置を前記第一のアンカー構造に結合することと、
アンテナを前記第二のアンカー構造に結合することと、を含む、方法。
【請求項26】
前記センサ装置が、電気コネクタによって前記アンテナにテザーされる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記管状導管の内部を通して前記電気コネクタを走らせることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年2月5日に出願された、SHUNT SENSOR IMPLANT DEVICESと題された米国仮特許出願第63/146,263号に基づき、優先権を主張するものであり、その完全な開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、医療用埋め込み装置の分野に関する。
【0003】
関連技術の説明
様々な医療処置は、心臓の解剖学的構造内の医療用埋め込み装置の埋め込みを伴う。流体圧力などのこうした解剖学的構造と関連付けられた特定の生理学的パラメータは、患者の健康の見通しに影響を与え得る。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、一つ以上のセンサ埋め込み装置を使用して、左心房などの心臓の特定の心腔および/または血管に関連する生理学的パラメータの監視を促進するための、一つ以上の方法および/または装置を記載する。
【0005】
いくつかの実装では、本開示は、流体導管を形成するシャント本体、シャント本体の第一の端部と関連付けられた第一のアンカー構造、シャント本体の第二の端部と関連付けられた第二のアンカー構造、第一のアンカー構造と結合されたセンサ装置、および第二のアンカー構造と結合されたアンテナを含む、センサ埋め込み装置に関する。
【0006】
センサ埋め込み装置は、センサ装置をアンテナに電気的に接続する電気コネクタをさらに備えてもよい。例えば、電気コネクタは、シャント本体の流体導管内に少なくとも部分的に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナは、磁気コアの周りに巻かれたコイルを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、第一のアンカー構造は、流体導管の軸に対して半径方向外側に延在するように構成された一つ以上のアンカーアームを備え、センサ装置は、一つ以上のアンカーアームのうちの一つに結合される。例えば、センサ装置は、流体導管の軸の30°以内の方向に面するセンサ膜を含むセンサ変換器を含み得る。
【0008】
シャント本体は、その中に複数の開口を有するフレームを含み得る。いくつかの実施形態では、第一のアンカー構造および第二のアンカー構造は、その間に組織壁の一部分を保持するように構成され、第一のアンカー構造および第二のアンカー構造が組織壁の一部分を保持するとき、組織壁の一部分は、センサ装置とアンテナとの間に配置される。
【0009】
第一のアンカー構造および第二のアンカー構造が、流体導管の軸に対して半径方向外側に突出するとき、センサ装置およびアンテナは、流体導管の軸方向チャネルの半径方向外側にある、請求項1に記載のセンサ埋め込み装置。例えば、いくつかの実施形態では、第一のアンカー構造および第二のアンカー構造が、センサ埋め込み装置の送達構成において、流体導管の軸に対して軸方向に突出するとき、センサ装置およびアンテナは、流体導管の軸方向チャネル内にある。
【0010】
いくつかの実装では、本開示は、人工シャント埋め込み装置の第一のアンカーに取り付けられるように構成されたセンサ装置、人工埋め込み装置の第二のアンカーに取り付けられるように構成されたアンテナコイル、およびセンサ装置とアンテナコイルとの間に結合された電気コネクタを含む、センサアセンブリに関する。
【0011】
電気コネクタは、センサ装置とアンテナコイルを分離する組織壁を通って延在するように寸法設定されてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナコイルは、センサ装置から電気コネクタを介してセンサシグナルを受信し、センサシグナルを無線で送信するように構成される。
【0012】
いくつかの実装では、本開示は、管状フレーム、管状フレームの第一の端部と関連付けられた第一のアンカー手段、管状フレームの第二の端部と関連付けられた第二のアンカー手段、第一のアンカー手段に結合されたセンサ装置、および第二のアンカー手段に結合された無線送信器手段を含む、センサ埋め込み装置に関する。
【0013】
センサ埋め込み装置は、センサ装置を送信器手段に電気的に接続するワイヤをさらに備えてもよい。例えば、ワイヤは、管状フレームを軸方向に横断してもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤは、第一の端部と第二の端部との間の管状フレームの内側を走る。
【0014】
いくつかの実施形態では、無線送信器手段は、導電性コイルを含む。例えば、導電性コイルは、円筒形磁気コアの周りに巻かれてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、第一のアンカー手段は、管状フレームの軸に対して半径方向外側に延在するように構成された第一のアンカーアームを備え、センサ装置は第一のアンカーアームに結合され、第二のアンカー手段は、管状フレームの軸に対して半径方向外側に延在するように構成された第二のアンカーアームを備え、および、送信器手段は第二のアンカーアームに結合される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第一のアンカー手段および第二のアンカー手段が、管状フレームの軸に対して半径方向外側に突出するとき、センサ装置およびアンテナは管状フレームの半径方向外側にある。例えば、第一のアンカー手段および第二のアンカー手段が、管状フレームの軸に対して軸方向に配向されるとき、センサ装置およびアンテナは管状フレーム内に半径方向にあってもよい。
【0017】
いくつかの実装では、本開示は、流体をシャントする方法に関する。本方法は、シャント埋め込み装置を、送達カテーテル内の組織壁へと前進させることと、組織壁に開口部を形成することと、シャント埋め込み装置の第一のアンカー構造を組織壁の遠位側に展開することと、第一のアンカー構造が、センサ装置を結合していることと、組織壁の開口部にシャント埋め込み装置の本体を展開することと、シャント埋め込み装置の第二のアンカー構造を組織壁の近位側に展開することと、第二のアンカー構造が、アンテナを結合していることと、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、組織壁の遠位側は、心臓の左心房内であり、組織壁の近位側は、心臓の冠静脈洞内である。
【0019】
いくつかの実装では、本開示は、シャント埋め込み装置を製造する方法に関する。方法は、管状導管を形成するように構成されたシャント本体を含むシャント構造、シャント本体の第一の軸方向端部と関連付けられた第一のアンカー構造、およびシャント本体の第二の軸方向端部と関連付けられた第二のアンカー構造、を形成すること、センサ装置を第一のアンカー構造と結合させること、ならびにアンテナを第二のアンカー構造と結合させること、を含む。
【0020】
センサ装置は、電気コネクタによってアンテナにテザーされてもよい。例えば、本方法は、管状導管の内部を通して電気コネクタを走らせることをさらに含んでもよい。
【0021】
本開示を要約する目的で、特定の態様、利点、および新規の特徴が記載されている。全てのそのような利点は、必ずしも任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことが理解されるべきである。したがって、開示された実施形態は、本明細書に教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような一つの利点または利点の群を達成または最適化する様式で実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
様々な実施形態が、例解目的で添付図面に描写されており、決して本発明の範囲を限定していると解釈されるべきではない。加えて、異なる開示された実施形態の様々な特徴が、本開示の一部である追加の実施形態を形成するために組み合わせられ得る。図面全体を通して、参照番号は、参照要素間の対応を示すために再使用され得る。
【0023】
図1図1は、一つ以上の実施形態によるヒト心臓の例示的な表現を示す。
図2図2は、一つ以上の実施形態による、様々な心臓の腔および血管と関連付けられた圧力波形の例を示す。
図3図3は、左心房圧範囲を示すグラフを例示する。
図4図4は、一つ以上の実施形態による埋め込み装置を表すブロック図である。
図5図5は、一つ以上の実施形態による、患者と関連付けられた一つ以上の生理学的パラメータを監視するためのシステムを表すブロック図である。
図6図6は、一つ以上の実施形態による例示的なシャント構造を例示する。
図7図7は、一つ以上の実施形態による、心房中隔に埋め込まれたシャント構造を示す。
図8図8は、一つ以上の実施形態による、冠静脈洞と左心房との間の組織壁に埋め込まれたセンサ埋め込み装置を示す。
図9-1】図9-1は、一つ以上の実施形態による、センサ埋め込み装置の側面図を示す。
図9-2】図9-2は、一つ以上の実施形態によるセンサアセンブリを示す。
図10図10は、一つ以上の実施形態による、少なくとも部分的にそれに固定されたセンサ装置を有する、シャント型医療用埋め込み装置の一実施形態の軸方向図を示す。
図11図11は、一つ以上の実施形態による、少なくとも部分的にそれに固定されたセンサ装置を有する、シャント型医療用埋め込み装置の一実施形態の軸方向図を示す。
図12図12は、一つ以上の実施形態による、左心房に露出されたそのセンサを有する、冠静脈洞組織壁に埋め込まれたセンサ埋め込み装置を示す。
図13図13は、一つ以上の実施形態による、冠静脈洞に露出されたそのセンサを有する、冠静脈洞組織壁に埋め込まれたセンサ埋め込み装置を示す。
図14図14は、一つ以上の実施形態による、左心房に露出された装置のセンサを有する、心房中隔に埋め込まれたセンサ埋め込み装置を示す。
図15図15は、一つ以上の実施形態による、右心房に露出された装置のセンサを有する、心房中隔に埋め込まれたセンサ埋め込み装置を示す。
図16-1】図16-1、16-2、16-3、16-4、および16-5は、一つ以上の実施形態による、センサ埋め込み装置を埋め込むためのプロセスを例示するフロー図を提供する。
図16-2】同上。
図16-3】同上。
図16-4】同上。
図16-5】同上。
図17-1】図17-1、17-2、17-3、17-4、および17-5は、一つ以上の実施形態による、図16-1、16-2、16-3、16-4、および16-5のプロセスの動作に対応する心臓解剖学的構造および特定の装置/システムの画像を提供する。
図17-2】同上。
図17-3】同上。
図17-4】同上。
図17-5】同上。
図18図18は、一つ以上の実施形態による、肺静脈シャント処置のための特定のカテーテルアクセス経路を示す、ヒト心臓および関連する脈管構造の切り欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に提供される見出しは、単に便宜上のものであり、請求された発明の範囲または意味に必ずしも影響するものではない。
【0025】
特定の好ましい実施形態および実施例が以下に開示されているが、発明の主題は、具体的に開示された実施形態を越えて、他の代替的な実施形態および/または用途、ならびにその修正例および均等物に及ぶ。したがって、本明細書から生じ得る特許請求の範囲は、以下に説明される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示される任意の方法またはプロセスでは、方法またはプロセスの作用または動作は、任意の好適な順序で実施され得、必ずしも任意の特定の開示される順序に限定されない。様々な動作は、特定の実施形態を理解するのに有用であり得る様式で、複数の別個の動作として順次説明され得るが、記載の順序は、これらの動作が順序依存性であることを暗示するものとして解釈されるべきではない。加えて、本明細書に記載される構造、システム、および/または装置は、一体化された構成要素として、または別個の構成要素として具現化され得る。様々な実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様および利点が記載されている。全てのそのような態様または利点が、必ずしも任意の特定の実施形態によって達成されるとは限らない。したがって、例えば、様々な実施形態は、本明細書に同様に教示または示唆され得る他の態様または利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような一つの利点または利点の群を達成または最適化する様式で実施され得る。
【0026】
特定の参照番号は、一つ以上の点において類似し得る特徴を有する装置、構成要素、システム、特徴、および/またはモジュールの利便性の問題として、本開示の図セットの異なる図に渡り再使用される。しかしながら、本明細書に開示される実施形態のいずれかに関して、図面中の共通の参照番号の再利用は、こうした特徴、装置、構成要素、またはモジュールが同一であるか、または類似していることを必ずしも示さない。むしろ、当業者は、共通の参照番号の使用が、参照される主題間の類似性を暗示し得る程度に関して、文脈によって知らされ得る。特定の図の説明の文脈における特定の参照番号の使用は、その特定の図における識別された装置、構成要素、態様、特徴、モジュール、またはシステムに関連し、必ずしも別の図において同じ参照番号によって識別された任意の装置、構成要素、態様、特徴、モジュール、またはシステムに関連するものではないと理解することができる。さらに、共通の参照番号で識別された別個の図の態様は、特性を共有するか、または互いに完全に独立していると解釈されることができる。
【0027】
位置の特定の標準的な解剖学的用語は、本明細書では、好ましい実施形態に関して、動物、すなわちヒトの解剖学的構造を指すために使用される。「外側」、「内側」、「上部」、「下部」、「下」、「上」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」などの特定の空間的に相対的な用語および同様の用語が、一つの装置/要素または解剖学的構造の、別の装置/要素または解剖学的構造に対する空間的な関係を説明するために本明細書で使用されるが、これらの用語は、図面に例示される要素/構造間の位置関係を説明するために説明の容易さのために本明細書で使用されることが理解される。空間的に相対的な用語は、図面に示される配向に加えて、使用または動作中の要素/構造の異なる配向を包含することを意図していることを理解されたい。例えば、別の要素/構造の「上」として説明された要素/構造は、対象の患者または要素/構造の代替的な配向に関して、そのような他の要素/構造の下または横にある位置を表す場合があり、その逆も同様である。
【0028】
本開示は、センサ統合心臓シャントおよび/または他の医療埋め込み装置を使用した、患者の一つ以上の生理学的パラメータ(例えば、血圧)を監視するためのシステム、装置、および方法に関する。いくつかの実装では、本開示は、圧力センサもしくは他のセンサ装置を組み込むか、またはそれらと関連付けられた心臓シャントおよび/もしくは他の心臓埋め込み装置に関する。「と関連付けられた」という用語は、その広範かつ通常の意味に従って本明細書で使用される。例えば、第一の特徴部、要素、構成要素、装置、または部材が、第二の特徴部、要素、構成要素、装置、または部材「と関連付けられた」と記載される場合、そのような記載は、第一の特徴部、要素、構成要素、装置、または部材が、第二の特徴部、要素、構成要素、装置、または部材に、直接的かまたは間接的かにかかわらず、物理的に結合、取り付け、もしくは接続されるか、統合されるか、少なくとも部分的に内部に埋め込まれるか、または別様に物理的に関連していることを示すように理解されるべきである。心臓埋め込み装置に関連して、特定の実施形態が本明細書に開示される。しかしながら、本明細書に開示される特定の原理は、心臓の解剖学的構造に特に適用可能であるが、本開示によるセンサ埋め込み装置は、任意の好適なもしくは望ましい解剖学的構造に埋め込まれ得るか、または埋め込みのために構成され得ることが理解されるべきである。
【0029】
心臓生理学
心臓の解剖学的構造は、本明細書に開示される特定の発明の概念の理解を支援するために以下に記載される。ヒトおよび他の脊椎動物では、心臓は、概して、四つのポンプ室を有する筋肉性の器官を備え、その流れは、様々な心臓弁、すなわち、大動脈弁、僧帽弁(または二尖弁)、三尖弁、および肺動脈弁によって少なくとも部分的に制御される。弁は、心周期の様々な段階(例えば、弛緩および収縮)の間に存在する圧力勾配に応答して開閉して、心臓のそれぞれの領域および/または血管(例えば、肺、大動脈など)への血液の流れを少なくとも部分的に制御するように構成され得る。
【0030】
図1は、本発明の開示の特定の実施形態に関連する様々な特徴を有する心臓1の例示的な表現を示す。心臓1は、四つの心腔、すなわち、左心房2、左心室3、右心室4、および右心房5を含む。血流に関しては、概して、血液は、右心室4から肺動脈弁9を介して肺動脈11に流れ、これは、右心室4を肺動脈11から分離し、血液が肺に向かってポンピングされ得るように収縮期中に開き、拡張期中に閉じて、肺動脈11から心臓に血液が逆流するのを防ぐように構成されている。肺動脈11は、脱酸素化された血液を心臓の右側から肺に運ぶ。
【0031】
肺動脈弁9に加えて、心臓1は、三尖弁8、大動脈弁7、および僧帽弁6を含む、その中の血液の循環を支援するための三つの追加の弁を含む。三尖弁8は、右心房5を右心室4から分離する。三尖弁8は、概して、三つの尖点または弁尖を有し、概して、心室収縮中(すなわち、収縮期)に閉じ、心室拡張中(すなわち、拡張期)に開き得る。僧帽弁6は、概して、二つの尖点/弁尖を有し、左心房2を左心室3から分離する。僧帽弁6は、左心房2内の血液が左心室3に流入し得るように拡張期中に開き、適切に機能している場合は、血液が左心房2に逆流するのを防ぐように収縮期中に閉じるように構成されている。大動脈弁7は、左心室3を大動脈12から分離する。大動脈弁7は、血液が左心室3を出て大動脈12に入ることを可能にするように収縮期中に開き、血液が左心室3に逆流するのを防ぐように拡張期中に閉じるように構成されている。
【0032】
心臓弁は、概して、本明細書では弁輪と称される比較的密度の高い線維輪、および弁輪に取り付けられた複数の弁尖または尖点を含み得る。概して、弁尖または尖点のサイズは、心臓が収縮したときに対応する心腔内で結果として高まった血圧が、弁尖を少なくとも部分的に開き、心腔からの流れを可能にするようなものであり得る。心腔内の圧力が低下すると、後続の心腔または血管内の圧力が優勢になり、弁尖に向かって押し戻され得る。その結果として、弁尖/尖点は互いに並置し、それによって流路が閉じられる。心臓弁および/または関連する弁尖の機能障害(例えば、肺動脈弁機能障害)は、弁漏れおよび/または他の健康上の合併症をもたらし得る。
【0033】
房室(すなわち、僧帽および三尖)心臓弁は、弁尖の適切な癒合を促進および/または容易にし、その脱出を防止するために、それぞれの弁の弁尖を固設する腱索および乳頭筋(図示せず)の集合をさらに含む。乳頭筋は、概して、例えば、心室壁からの指様突出部を含み得る。弁の弁尖は、腱索によって乳頭筋に接続される。隔壁と呼ばれる筋肉の壁は、左側の心腔を右側の心腔から分離する。特に、心房中隔壁部分18(本明細書では、「心房中隔(atrial septum)」、「心房中隔(interatrial septum)」、または「中隔」と称される)は、左心房2を右心房5から分離するのに対し、心室中隔壁部分17(本明細書では、「心室中隔(ventricular septum)」、「心室中隔(interventricular septum)」、または「中隔」と称される)は、左心室3を右心室4から分離する。心臓1の下方先端14は、尖部と呼ばれ、一般に、鎖骨中線上またはその近く、第五肋間腔に位置する。
【0034】
冠静脈洞16は、結合されて心臓筋(心筋)から血液を収集する大きな血管を形成する静脈の集合を含む。冠静脈洞の小孔は、一部の患者においてはテベシウス弁によって少なくとも部分的に保護され得るが、示されるように、右心房5に開放されている。冠静脈洞は、左心房2の後面に沿って走っており、あまり酸素化されていない血液を右心房5に送達する。冠静脈洞は、概して、心臓の後ろ側にある左房室溝を横断的に走る。
【0035】
心臓圧および他のパラメータと関連付けられた健康状態
上記に参照されるように、心臓解剖学的構造と関連付けられた特定の生理学的状態またはパラメータは、患者の健康に影響し得る。例えば、鬱血性心不全は、心臓および/または身体を通る血液の比較的遅い移動と関連付けられた状態であり、これは、一つ以上の心腔における流体圧力の増加を引き起こす。その結果として、心臓は、身体の必要性を満たすのに十分な酸素をポンピングしない。心臓の様々な心腔は、より多くの血液を保持して身体を通してポンピングするように伸びることによって、または比較的硬くなるおよび/もしくは厚くなることによって、圧力増加に応答し得る。心臓の壁は、最終的に弱くなり、効率的にポンピングすることができなくなり得る。いくつかの事例では、腎臓は身体に流体を保持させることによって、心臓の非効率性に応答する場合がある。腕、脚、足首、足、肺、および/または他の器官における流体の蓄積は、身体を鬱血状態にし、これは、鬱血性心不全と称される。急性非代償性鬱血性心不全は、罹患および死亡の主要原因であり、したがって、鬱血性心不全の治療および/または予防は、医療において重大な関心事である。
【0036】
心不全(例えば、鬱血性心不全)の治療および/または予防は、有利には、心臓または他の解剖学的構造の一つ以上の腔または領域における圧力のモニタリングを伴い得る。上記に説明されるように、一つ以上の心腔または心臓の領域における圧力蓄積は、鬱血性心不全と関連付けられ得る。心臓圧の直接的または間接的なモニタリングなしで、鬱血性心不全の存在または発生を推定、決定、または予測することは困難であり得る。例えば、直接的または間接的な圧力モニタリングを伴わない治療またはアプローチは、体重、胸部インピーダンス、右心カテーテル挿入などを評価することなどの、患者の他の現在の生理学的状態を評価するか、または観察することを伴い得る。いくつかの解決策では、肺動脈楔入圧が、左心房圧の代替として測定され得る。例えば、圧力センサは、肺動脈内に配置または埋め込むことができ、それと関連付けられた読み取り値が、左心房圧の代替として使用され得る。しかしながら、肺動脈または特定の他の心腔または心臓の領域におけるカテーテルベースの圧力測定に関して、そのような圧力センサを維持するために侵襲的カテーテルの使用が必要とされ得、これは、不便であるか、または実装が困難であり得る。さらに、特定の肺関連状態は、肺動脈内の圧力読み取り値に影響し得、その結果、肺動脈圧と左心房圧との間の相関が望ましくないほど減弱され得る。肺動脈圧測定の代替として、右心室流出路における圧力測定は、左心房圧にも同様に関連し得る。しかしながら、そのような圧力読み取り値と左心房圧との間の相関は、鬱血性心不全の診断、予防、および/または治療に利用されるほど十分に強くない場合がある。
【0037】
左心房圧を導き出すかまたは推論するために、追加の解決策が実装され得る。例えば、拡張初期における重力からのピーク速度血流(E波)の心房収縮によって引き起こされる拡張期後期のピーク速度血流(A波)に対する比を表す、心臓の左心室の機能のマーカーであるE/A比が、左心房圧を測定するための代替として使用され得る。E/A比は、心エコーまたは他の画像技術を使用して決定され得、概して、E/A比の異常は、左心室が収縮の間の期間に適切に血液を充填することができないことを示唆し得、これは、上記で記載されたように、心不全の症状につながり得る。しかしながら、E/A比の決定は、概して、絶対圧力測定値を提供しない。
【0038】
鬱血性心不全を特定および/または治療するための様々な方法は、鬱血性心不全の症状の悪化および/または体重の変化の観察を伴う。しかしながら、そのような徴候は、比較的遅発的である、および/または比較的信頼できないように思われ得る。例えば、毎日の体重測定値は、顕著に変化し得(例えば、最大9%以上)、心臓関連合併症の兆候としては信頼できない場合がある。さらに、徴候、症状、体重、および/または他のバイオマーカをモニタリングすることによって誘導される治療は、臨床転帰を実質的に改善することが示されているわけではない。加えて、退院した患者については、そのような治療は、遠隔医療システムを必要とし得る。
【0039】
本開示は、例えば鬱血性心不全の患者について、再入院、罹患を低減するために、および/または患者の健康の見通しを改善するために、左心房、またはその圧力測定値が左心房圧および/もしくは一つ以上の他の血管/腔の圧力レベルを示す、他の腔または血管において、圧力を直接モニタリングすることによって、少なくとも部分的に鬱血性心不全の治療に関連する薬剤の投与を誘導するためのシステム、装置、および方法を提供する。
【0040】
心臓圧モニタリング
本開示の実施形態による心臓圧モニタリングは、鬱血性心不全および/もしくは他の生理学的状態を予防または治療するための積極的な介入機構を提供し得る。概して、拡張期および/または収縮期心不全と関連付けられた心室充満圧の増加は、入院につながる症状の発生前に起こり得る。例えば、心臓圧指標は、一部の患者に関しては、入院の数週間前に現れ得る。したがって、本開示の実施形態による圧力モニタリングシステムは、心不全の発症前に、適切なまたは所望の薬剤の滴定および/または投与を誘導することによって、入院事例を低減するために有利に実装され得る。
【0041】
呼吸困難は、息切れ、または十分に呼吸することができないという感覚によって特徴付けられる心臓圧指標を表す。呼吸困難は、心房圧上昇に起因し得、これは、圧力の逆流によって肺における流体蓄積を引き起こし得る。病態性呼吸困難は、鬱血性心不全に起因し得る。しかしながら、最初の圧力上昇と呼吸困難の発症との間には顕著な時間が経過し得、したがって、呼吸困難の症状は、心房圧上昇の十分な初期兆候を提供しない場合がある。本開示の実施形態に従って圧力を直接モニタリングすることによって、正常な心室充満圧が有利に維持され、それによって、呼吸困難などの心不全の影響を防止または低減することができる。
【0042】
上記に参照されるように、心臓圧に関して、左心房の圧力上昇は、心不全と特に相関し得る。図2は、一つ以上の実施形態による、様々な心臓の腔および血管と関連付けられた圧力波形の例を示す。図2に示された様々な波形は、一つ以上の圧力センサを、それぞれの例示および符号付けされた心臓の腔または血管に前進させるために右心カテーテル挿入を使用して得られた波形を表し得る。図2に示されるように、左心房圧を表す波形25は、鬱血性心不全の早期検出のための最良のフィードバックを提供するように考慮され得る。さらに、一般に、増加と左心房圧と肺鬱血との間に比較的強い相関が存在し得る。
【0043】
左心房圧は、一般に、左心室拡張末期圧と良好に相関し得る。しかしながら、左心房圧および拡張末期の肺動脈圧が顕著な相関を有し得るが、そのような相関は、肺血管抵抗が上昇するときに弱まり得る。すなわち、肺動脈圧は、概して、鬱血性心不全の特定の患者を含み得る様々な急性状態の存在下では、左心室拡張末期圧と適切に相関しない。例えば、心不全患者の約25%~83%に影響する肺高血圧症は、左側充満圧を推定するための肺動脈圧測定の信頼性に影響し得る。したがって、波形24によって表されるように、肺動脈圧測定単独では、特に、肺疾患および/または血栓塞栓症などの併存疾患を有する患者にとって、左心室拡張末期圧の不十分または不正確な指標となり得る。左心房圧は、僧帽弁閉鎖不全の存在および/または程度と少なくとも部分的にさらに相関し得る。
【0044】
左心房圧の読み取り値は、図2に示される他の圧力波形と比較して、呼吸状態などの他の状態によって歪むか、または影響する可能性が比較的低い場合がある。概して、左心房圧は、心不全の発現の最大二週間前などに、心不全を有意に予測し得る。例えば、左心房圧の増加、ならびに拡張期および収縮期心不全の両方が、入院の数週間前に起こり得、したがって、そのような増加の知識が、鬱血性心不全、例えば、鬱血性心不全の急性衰弱症状の発症を予測するために使用され得る。
【0045】
左心房圧モニタリングなどの心臓圧モニタリングは、鬱血性心不全を治療および/または予防するための薬剤の投与を導く機構を提供し得る。そのような治療は、有利には、再入院および罹患を低減するとともに、他の利益を提供し得る。本開示の実施形態による埋め込み型圧力センサは、心不全の症状またはマーカー(例えば、呼吸困難)の発現の二週間以上前に、心不全を予測するために使用され得る。心不全予測が本開示による心臓圧センサ実施形態を使用して認識されるとき、心臓機能不全の影響を予防または低減するのに役立ち得る、患者の薬剤レジメンへの修正などの薬剤介入を含む、特定の予防的措置が実装され得る。左心房における直接的な圧力測定は、有利には、心不全または他の合併症につながり得る圧力蓄積の正確な指標を提供し得る。例えば、心房圧上昇の傾向は、心臓機能不全の発症を判定または予測するために分析または使用され得、ここで薬物または他の療法が増強されて、圧力の低減をもたらし、さらなる合併症を予防もしくは低減し得る。
【0046】
図3は、概して、術後の心房細動、急性腎損傷、心筋損傷、心不全、および/または他の健康状態の実質的なリスクと関連しない、左心房圧の正常範囲301を含む左心房圧範囲を示すグラフ300を示す。本開示の実施形態は、特定のセンサ埋め込み装置の使用を介して、患者の左心房圧が正常範囲内である301か、正常範囲を上回る303か、または正常範囲を下回る302かどうかを判定するためのシステム、装置、および方法を提供する。心不全の増加したリスクと相関し得る正常範囲を上回って検出された左心房圧に関して、以下に詳細に記載される本開示の実施形態は、左心房圧をそれが正常範囲301内になるまで低減するための努力を報告し得る。さらに、急性腎損傷、心筋損傷、および/または他の健康上の合併症の増加したリスクと相関し得る正常範囲301を下回って検出された左心房圧に関して、以下に詳細に記載される本開示の実施形態は、圧力レベルを正常範囲301内にするために左心房圧を増加させる努力を容易にする役割を果たし得る。
【0047】
統合されたセンサを有する埋め込み装置
いくつかの実装では、本開示は、心臓シャントまたは他の埋め込み装置と関連付けられるか、またはそれらと統合されるセンサに関する。そのような統合された装置は、心不全および/または心臓機能に関連する他の健康上の合併症を治療および予防するための制御されたおよび/またはより効果的な療法を提供するために使用され得る。図4は、シャント(または他のタイプの埋め込み)構造39を備える埋め込み装置30を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、シャント構造39は、センサ装置37と物理的に統合される、および/またはそれに接続される。センサ装置37は、例えば、圧力センサ、または他のタイプのセンサであり得る。いくつかの実施形態では、センサ37は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)で具現化され得る、圧力変換器などの変換器32と、特定の制御回路34と、を備える。
【0048】
制御回路34は、変換器32から受信したシグナルを処理する、および/またはアンテナ38を使用して、変換器に関連付けられたシグナルを、生体組織を通じて無線で通信するように構成され得る。「制御回路」という用語は、その広範かつ通常の意味に従って本明細書で使用され、プロセッサ、処理回路、処理モジュール/ユニット、チップ、ダイ(例えば、来るまたはより多くの能動的および/もしくは受動的装置ならびに/または接続回路を含む半導体ダイ)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラム可能な論理装置、状態機械(例えば、ハードウェア状態機械)、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、ならびに/または回路および/もしくは動作命令のハードコーディングに基づいてシグナル(アナログおよび/もしくはデジタル)を操作する任意の装置の任意の集団を指し得る。本明細書で参照される制御回路は、単一のメモリ装置、複数のメモリ装置、および/または装置の組み込み回路に具現化され得る、一つ以上の記憶装置をさらに備え得る。そのようなデータ記憶部は、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、静的メモリ、動的メモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、データ記憶レジスタ、および/またはデジタル情報を記憶する任意の装置を含み得る。制御回路が、ハードウェアおよび/またはソフトウェア状態機械、アナログ回路、デジタル回路、および/または論理回路を含む実施形態では、任意の関連する動作命令を記憶するデータ記憶装置/レジスタは、状態機械、アナログ回路、デジタル回路、および/または論理回路を含む回路内に、またはその外部に組み込まれ得ることに留意されたい。変換器32および/またはアンテナ38は、制御回路34の一部とみなすことができる。
【0049】
アンテナ38は、銅線などの、導電性材料の一つ以上のコイルまたはループを含み得る。いくつかの実施形態では、変換器32、制御回路34、および/またはアンテナ38の少なくとも一部分は、任意のタイプの材料を備え得、かつ、有利には、少なくとも部分的に密封され得る、センサハウジング36内に少なくとも部分的に配置または収容される。例えば、ハウジング36は、いくつかの実施形態では、その中に収容される構成要素に対して機械的安定性および/または保護を提供し得るガラスまたは他の硬質材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジング36は、少なくとも部分的に可撓性である。例えば、ハウジングは、有利には、センサ37の折り曲げ、屈曲、または折り畳みを可能にして、カテーテルまたは他の導入手段を通した輸送を可能にし得る、ポリマーまたは他の可撓性の構造/材料を含み得る。
【0050】
変換器32は、任意のタイプのセンサ手段または機構を備え得る。例えば、変換器32は、力収集タイプ圧力センサであり得る。いくつかの実施形態では、変換器32は、ダイアフラム、ピストン、ブルドン管、ベローズ、またはその領域/表面にわたって適用された歪みもしくは撓みを測定する他の歪みもしくは撓み測定構成要素を含む。変換器32は、その少なくとも一部分がハウジング36内に収容されるか、またはそれに取り付けられるように、ハウジング36と関連付けられ得る。ステントまたは他の埋め込み構造「と関連付けられている」センサ装置/構成要素に関して、そのような用語は、埋め込み構造に物理的に結合、取り付け、もしくは接続、または統合されているセンサ装置または構成要素を指し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、変換器32は、適用された圧力に起因する歪みを検出するために接合または形成された歪みゲージを使用するように構成され得るピエゾ抵抗歪みゲージの構成要素を含むか、またはそれであり、圧力が構成要素/材料を変形するにつれて抵抗が増加する。変換器32は、ケイ素(例えば、単結晶)、ポリシリコーン薄膜、接合金属ホイル、厚膜、シリコンオンサファイア、スパッタリング薄膜、および/または類似のものなどを含むがこれらに限定されない任意のタイプの材料を組み込むことができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、変換器32は、ダイアフラムに適用された圧力に起因する歪みを検出するために可変キャパシタを形成するように構成されたダイアフラムおよび圧力空洞を含む静電容量式圧力センサの構成要素を含むか、またはそれである。静電容量式圧力センサの静電容量は、一般に、圧力がダイアフラムを変形させるにつれて減少し得る。ダイアフラムは、限定されるものではないが、金属、セラミック、ケイ素などを含む任意の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、変換器32は、電磁圧力センサの構成要素を備えるか、またはそれであり、インダクタンスの変化、線形可変変位変換器(LVDT)機能、ホール効果、または渦電流感知によってダイアフラムの変位を測定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、変換器32は、圧電歪みセンサの構成要素を備えるか、またはそれである。例えば、そのようなセンサは、水晶などの特定の材料における圧電効果に基づいて、感知機構に対する歪み(例えば、圧力)を決定することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、変換器32は、歪みゲージの構成要素を含むか、またはそれである。例えば、歪みゲージの実施形態は、変換器32の露出表面上またはそれと関連付けられた感圧要素を備え得る。いくつかの実施形態では、金属歪みゲージが、センサの表面に接着されるか、または薄膜ゲージが、スパッタリングもしくは他の技術によってセンサ上に適用され得る。測定要素または機構は、ダイアフラムまたは金属ホイルを含み得る。変換器32は、光学、電位差測定、共鳴、熱、イオン化、または他のタイプの歪みもしくは圧力センサなどの、任意の他のタイプのセンサまたは圧力センサを含み得る。
【0054】
図5は、一つ以上の実施形態による、患者44における一つ以上の生理学的パラメータ(例えば、左心房圧および/または体積)をモニタリングするためのシステム40を示す。患者44は、例えば、患者44の心臓(図示せず)または関連する生理機能に埋め込まれた医療用埋め込み装置30を有することができる。例えば、埋め込み装置30は、患者の心臓の左心房および/または冠静脈洞内に少なくとも部分的に埋め込むことができる。埋め込み装置30は、一つ以上のマイクロ電気機械システム(MEMS)装置(例えば、MEMS圧力センサ、または他のタイプのセンサ変換器)など、一つ以上のセンサ変換器32を含むことができる。
【0055】
特定の実施形態では、モニタリングシステム40は、センサ変換器32を含む埋め込み型内部サブシステムまたは装置30と、一つ以上のマイクロコントローラ、ディスクリート電子部品、ならびに一つ以上の電力および/またはデータ送信器38(例えば、アンテナコイル)を含む制御回路34と、を含む、少なくとも二つのサブシステムを備えることができる。モニタリングシステム40は、特定の制御回路41に電気的および/または通信可能に結合している無線トランシーバを含み得る、外部リーダ42(例えば、コイル)を含む外部(例えば、非埋め込み型)サブシステムをさらに含むことができる。特定の実施形態では、内部30および外部42サブシステムの両方は、それらの間に配置された患者組織を通した無線通信および/または電力送達のための対応するコイルアンテナを含む。センサ埋め込み装置30は、任意のタイプの埋め込み装置であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、埋め込み装置30は、人工シャントまたはステント装置/構造などの別の機能的埋め込み構造39と統合された圧力センサを備える。
【0056】
埋め込み装置30の特定の詳細が、示される拡大されたブロック30に示される。埋め込み装置30は、本明細書に説明される埋め込み/アンカー構造39を含み得る。例えば、埋め込み/アンカー構造39は、本開示全体を通して詳細に記載されるように、心臓の二つの腔および/または血管の間に流路を提供するために、組織壁におよび/またはその中に固定されるように構成された、経皮的に送達可能なシャント装置を含むことができる。特定の構成要素が、埋め込み装置30の一部分として図5に示されているが、センサ埋め込み装置30は、示された構成要素/モジュールのサブセットのみを備えることができ、示されていない追加の構成要素/モジュールを備えることができることを理解されたい。埋め込み装置は、図4に示される埋め込み装置の実施形態を表すことができ、その逆もまた同様である。埋め込み装置30は、有利に、一つ以上のセンサ変換器32を含むことができ、心房圧などの患者44の一つ以上の生理学的パラメータを示す応答を提供するように構成され得る。圧力変換器が記載されているが、センサ変換器32は、埋め込み装置30および/もしくは患者44と関連付けられた生理学的パラメータまたは状態と関連するシグナルを提供するための任意の好適なまたは望ましいタイプのセンサ変換器を備えることができる。
【0057】
センサ変換器32は、患者の健康に関連する一つ以上のパラメータを感知するために患者44内に位置付けられ得る一つ以上のMEMSセンサ、光学センサ、圧電センサ、電磁センサ、歪みセンサ/ゲージ、加速度計、ジャイロスコープ、ダイアフラムに基づくセンサおよび/または他のタイプのセンサを備え得る。変換器32は、フォースコレクタタイプ圧力センサであり得る。いくつかの実施形態では、変換器32は、ダイアフラム、ピストン、ブルドン管、ベローズ、またはその領域/表面にわたって適用された歪みもしくは撓みを測定する他の歪みもしくは撓み測定構成要素を含む。変換器32は、その少なくとも一部分がハウジング36内に収容されるか、またはそれに取り付けられるように、センサハウジング36と関連付けられ得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、変換器32は、適用された圧力に起因する歪みを検出するために接合または形成された歪みゲージを使用するように構成され得る歪みゲージの構成要素を含むか、またはそれである。例えば、変換器32は、ピエゾ抵抗歪みゲージの構成要素を含んでもよく、またはその構成要素であってもよく、圧力が歪みゲージの構成要素/材料を変形するにつれて抵抗が増加する。変換器32は、シリコーン、ポリマー、ケイ素(例えば、単結晶)、ポリシリコーン薄膜、接合金属ホイル、厚膜、シリコンオンサファイア、スパッタリング薄膜、および/または類似のものなどを含むがこれらに限定されない任意のタイプの材料を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、金属歪みゲージが、センサ表面に接着されるか、または薄膜ゲージが、スパッタリングまたは他の技術によってセンサ上に塗布され得る。測定要素または機構は、ダイアフラムまたは金属ホイルを含み得る。変換器32は、光学、電位差測定、共鳴、熱、イオン化、または他のタイプの歪みもしくは圧力センサなどの、任意の他のタイプのセンサまたは圧力センサを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、変換器32は、ダイアフラムに適用された圧力に起因する歪みを検出するために可変キャパシタを形成するように構成されたダイアフラムおよび圧力空洞を含む静電容量式圧力センサの構成要素を含むか、またはそれである。静電容量式圧力センサの静電容量は、一般に、圧力がダイアフラムを変形させるにつれて減少し得る。ダイアフラムは、限定されるものではないが、金属、セラミック、シリコーン、ケイ素、または他の半導体などを含む任意の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、変換器32は、インダクタンスの変化、線形可変変位変換器(LVDT)機能、ホール効果、または渦電流感知によってダイアフラムの変位を測定するように構成され得る電磁圧力センサの構成要素を含むか、またはそれである。いくつかの実施形態では、変換器32は、圧電歪みセンサの構成要素を備えるか、またはそれである。例えば、そのようなセンサは、水晶などの特定の材料における圧電効果に基づいて、感知機構に対する歪み(例えば、圧力)を決定することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、変換器32は、一つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)マイクロコントローラまたはチップを含み得る制御回路34に電気的および/または通信可能に結合される。制御回路34は、同調キャパシタ、抵抗器、ダイオード、インダクタなどの一つ以上のディスクリート電子部品をさらに含むことができる。
【0061】
特定の実施形態では、センサ変換器32は、示されたローカル外部モニタシステム42など、患者の身体の外側の装置に無線で送信できる電気シグナルを生成するように構成され得る。そのような無線データ送信を実施するために、埋め込み装置30は、シグナル処理回路およびアンテナ38などの無線周波数(RF)(または他の周波数帯域)伝達回路を含み得る。アンテナ38は、患者内に埋め込まれたアンテナコイルを含み得る。制御回路34は、電磁シグナルを送信するように構成された任意のタイプのトランシーバ回路を備えることができ、シグナルは、アンテナ38によって放射することができ、アンテナ38は、一つ以上の導電性ワイヤ、コイル、基板などを含み得る。埋め込み装置30の制御回路34は、例えば、装置30を使用して生成および/または送信されるシグナルに対していくらかの量の処理を実施するように構成された一つ以上のチップまたはダイを備えることができる。しかしながら、サイズ、コスト、および/または他の制約に起因して、埋め込み装置30は、いくつかの実施形態では独立した処理能力を含まない場合がある。
【0062】
埋め込み装置30によって生成された無線シグナルは、ローカル外部モニタ装置またはサブシステム42によって受信することができ、埋め込み装置30から無線シグナル伝達を受信するように構成されたリーダ/アンテナインターフェース回路モジュール43を含むことができ、患者44内に少なくとも部分的に配置される。例えば、モジュール43は、トランシーバ装置/回路を含み得る。
【0063】
外部ローカルモニタ42は、埋め込み装置30から無線シグナル伝達を受信する、および/またはワンド装置などの外部アンテナ48を使用して無線電力を埋め込み装置30に提供することができる。リーダ/アンテナインターフェース回路43は、埋め込み装置30からのシグナルを受信して増幅するように構成された無線周波数(RF)(または他の周波数帯域)フロントエンド回路を含むことができ、そのような回路は、一つ以上のフィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)、増幅器(例えば、低ノイズ増幅器)、アナログデジタル変換器(ADC)および/またはデジタル制御インターフェース回路、位相ロックループ(PLL)回路、シグナルミキサなどを含み得る。リーダ/アンテナインターフェース回路43は、ネットワーク49を介して遠隔モニタサブシステムまたは装置46にシグナルを送信するようにさらに構成され得る。リーダ/アンテナインターフェース回路43のRF回路は、ネットワーク49を介して送信されたシグナルを取り扱う/処理するため、および/または埋め込み装置30からシグナルを受信するための、デジタル/アナログ変換器(DAC)回路、電力増幅器、ローパスフィルタ、アンテナスイッチモジュール、アンテナなどのうちの一つ以上をさらに含み得る。特定の実施形態では、ローカルモニタ42は、埋め込み装置30から受信したシグナルの処理を実施するための制御回路41を含む。ローカルモニタ42は、イーサネット、Wi-Fiなどの既知のネットワークプロトコルに従ってネットワーク49と通信するように構成することができる。特定の実施形態では、ローカルモニタ42は、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、もしくは他のモバイルコンピューティングデバイス、または任意の他のタイプのコンピューティングデバイスを含む。
【0064】
特定の実施形態では、埋め込み装置30は、いくらかの量の揮発性および/または不揮発性データ記憶部を含む。例えば、そのようなデータ記憶部は、フローティングゲートトランジスタのアレイなどを利用するソリッドステートメモリを含み得る。制御回路34は、ある期間にわたって収集された感知されたデータを記憶するためにデータ記憶部を利用し得、記憶されたデータは、定期的にローカルモニタ42または別の外部サブシステムに送信され得る。特定の実施形態では、埋め込み装置30は、いかなるデータ記憶部も含まない。制御回路34は、センサ変換器32によって生成されたデータ、またはそれと関連付けられた他のデータの無線伝達を容易にするように構成され得る。制御回路34は、例えば、ネットワーク49を介して、ローカルモニタ42から、または遠隔モニタ46からなど、一つ以上の外部サブシステムから入力を受信するようにさらに構成され得る。例えば、埋め込み装置30は、一つ以上の構成要素またはセンサをアクティブ化/非アクティブ化することによって、または埋め込み装置30の動作もしくは性能に影響を与えることなどによって、埋め込み装置30の動作を少なくとも部分的に制御するシグナルを受信するように構成され得る。
【0065】
埋め込み装置30の一つ以上の構成要素は、一つ以上の電源35によって給電され得る。サイズ、コスト、および/または電気的な複雑さの懸念に起因して、電源35が、本質的に比較的最小限主義的であることが望ましい場合がある。例えば、埋め込み装置30内の高電力駆動電圧および/または電流は、埋め込み装置と関連付けられた心臓または他の身体部分の動作に悪影響を及ぼすか、またはそれと干渉し得る。特定の実施形態では、電源35は、例えば、短距離もしくは近距離無線電力伝達、または他の電磁結合機構の使用を通じて、埋め込み装置30の受動回路によって電力を外部源から無線で受信することができるように、本質的に少なくとも部分的に受動的である。例えば、ローカルモニタ42は、埋め込み装置30に電力を供給できるRF場を能動的に生成するイニシエータとして機能し得、それによって、埋め込み装置の電力回路が比較的単純な形態因子を取得することを可能にする。特定の実施形態では、電源35は、流体流、動きなどの環境源からエネルギーを得るように構成され得る。追加的または代替的に、電源35は、バッテリを備えることができ、有利には、モニタリング期間(例えば、3、5、10、20、30、40、もしくは90日、または他の期間)にわたって必要に応じて十分な電力を提供するように構成され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、ローカルモニタ装置42は、埋め込み装置30と遠隔モニタ46との間の中間通信装置として機能することができる。ローカルモニタ装置42は、埋め込み装置30と通信するように設計された専用の外部ユニットであり得る。例えば、ローカルモニタ装置42は、ウェアラブル通信装置、または患者44および埋め込み装置30に近接して容易に配置され得る他の装置であり得る。ローカルモニタ装置42は、埋め込み装置30からセンサベースの情報を抽出または要求するために、それを連続的、周期的、または散発的に調査するように構成され得る。特定の実施形態では、ローカルモニタ42は、ユーザインターフェースを備え、ユーザは、インターフェースを利用して、センサデータを閲覧するか、センサデータを要求するか、または別様にローカルモニタシステム42および/もしくは埋め込み装置30と相互作用し得る。
【0067】
システム40は、例えば、モニタリングされる心臓圧データを表示するおよび/もしくはそれと相互作用するためのモニタリングステーションまたはインターフェースを提供するように構成されたデスクトップコンピュータまたは他のコンピューティングデバイスであり得る二次ローカルモニタ47を含み得る。一実施形態では、ローカルモニタ42は、患者および/もしくは埋め込み装置30に物理的に近接して配置されるように構成されたウェアラブル装置または他の装置もしくはシステムであり得、ローカルモニタ42は、主に、埋め込み装置30に、および/またはそれから、シグナルを受信/送信し、そのようなシグナルを表示、処理、および/または操作するために二次ローカルモニタ47に提供するように設計されている。外部ローカルモニタシステム42は、埋め込み装置30からデータ結合を介して提供され得る、例えば装置IDなど、埋め込み装置30からの、または埋め込み装置30と関連付けられた、特定のメタデータを、受信および/または処理するように構成され得る。
【0068】
遠隔モニタサブシステム46は、ローカルモニタ装置42、二次ローカルモニタ47、および/または埋め込み装置30からネットワーク49を介して受信したモニタデータを受信、処理、および/または提示するように構成された、任意のタイプのコンピューティングデバイスまたはコンピューティングデバイスの集合であり得る。例えば、遠隔モニタサブシステム46は、有利には、病院、医師、または患者44と関連付けられた他のケア事業体などの医療事業体によって操作および/または制御され得る。本明細書に開示される特定の実施形態は、埋め込み装置からローカルモニタ装置42を介して間接的に遠隔モニタサブシステム46と通信することを記載しているが、特定の実施形態では、埋め込み装置30は、ローカルモニタ装置42を介して情報を中継する必要なく、ネットワーク49を介して遠隔モニタサブシステム46と通信することが可能な送信器を備えることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、変換器32、制御回路34、電源35、および/またはアンテナ38の少なくとも一部分は、任意のタイプの材料を備え得、かつ、有利には、少なくとも部分的に密封され得る、センサハウジング36内に少なくとも部分的に配置または収容される。例えば、ハウジング36は、いくつかの実施形態では、その中に収容される構成要素に対して機械的安定性および/または保護を提供し得るガラスまたは他の硬質材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジング36は、少なくとも部分的に可撓性である。例えば、ハウジングは、有利には、センサ30の折り曲げ、屈曲、または折り畳みを可能にして、カテーテルまたは他の経皮的導入手段を通した輸送を可能にし得る、ポリマーまたは他の可撓性の構造/材料を含み得る。
【0070】
心臓シャント埋め込み
図6は、一つ以上の実施形態による例示的なシャント/アンカー構造150を例示する。シャント構造150は、本明細書に開示される特定の実施形態による圧力センサ機能と統合され得る心臓埋め込み(例えば、図4または5に関連付けられたアンカーおよび/または心臓埋め込み構造)の実施形態を表し得る。シャント構造150は、拡張可能なシャントであってもよい。拡張されたとき、シャント150の中央流れチャネル166は、略円形または楕円形の開口部を画定し得る。チャネル166は、組織壁に穿刺開口部の側面を保持して、組織壁によって分離される心腔または心臓の血管の間に血流経路を形成するように構成され得る。例えば、シャント150は、冠静脈洞と左心房とを分離する壁に埋め込まれるように構成され得る。中央流れチャネル166は、平行四辺形形状のセルまたは開口部180のアレイを形成する薄い支柱179の略平行配置によって画定される一対の側壁170a、170bによって部分的に形成され得る。いくつかの実施形態では、実質的に全シャント150は、圧縮され、カテーテル(図示せず)に収まり、その後、拡張され、図6に示されるように弛緩した形状に戻るように構成されている超弾性支柱によって形成される。
【0071】
間にセルを形成する複数の相互接続された支柱を使用したシャント150の形成は、シャントの可撓性を少なくとも部分的に増加させ、それによって、その圧縮および埋め込み部位における拡張を可能にする役割を果たし得る。中央流れチャネル166の周囲の相互接続された支柱は、有利には、組織を開位置の穿刺穴で保持するのに十分な、剛性および構造を有するケージを提供する。中央流れチャネル166の端壁172a、172bは、側壁170a、170bを接続し、遠位および近位フランジ、または各側のアーム152、154の間に延在する役割を果たし得る。側壁170a、170bおよび端壁172a、172bは、一緒に、示されるように、管状格子を画定し得る。端壁172a、172bは、シャント150の中央流れ軸からわずかな角度で延在する薄い支柱179を含み得る。
【0072】
例示されたシャント150は、中央流れチャネル166を形成する開放セルの管状または円形格子を画定する支柱を含むが、いくつかの実施形態では、チャネルを構成する構造は、チャネル166の少なくとも一部分を通る実質的に連続的な壁表面を形成する。例示された実施形態では、シャント構造150の傾斜は、送達カテーテル(図示せず)内へのシャントの折り畳み、および標的組織壁の両側におけるフランジ/アーム152、154の拡張を容易にし得る。中央流れチャネル166は、シャント150の折り畳み状態と拡張状態との間で本質的に変化しないままであり得るが、それに対して、フランジ/アーム152、154は、角度付きの流れチャネルとの整列および非整列に移行し得る。
【0073】
本明細書に開示されるシャントの特定の実施形態は、実質的に円形の断面を有する流れチャネルを含むが、いくつかの実施形態では、本開示によるシャント構造は、卵形、長方形、ひし形、または楕円形の流れチャネル構成を有する。例えば、図5の例示された構成と比較して比較的細長い側壁は、長方形または卵形の流れチャネルを生成し得る。そのような形状のシャント流れチャネルは、より大きい穿刺に望ましいが、比較的小さい送達外形に折り畳まれるように依然として構成されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、遠位および近位のフランジ/アーム152、154の各々は、端壁172a、172bから外向きに湾曲し、拡張された構成で中央流れチャネル166からほぼ半径方向に離れた方を指すように構成されている。拡張されたフランジ/アームは、シャント150を標的組織壁に固設する役割を果たし得る。本開示の実施形態のセンサ装置/機能と統合され得るシャント、埋め込み、および/またはアンカー構造の追加の態様および特徴は、「Expandable Cardiac Shunt」と題された2017年10月17日発行の米国特許第9,789,294号に開示され、その開示は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。特定の実施形態は、図5に示され、かつ上記に説明されるものと同様のシャント構造の文脈で本明細書に開示されるが、本開示の実施形態による、圧力センサ機能と統合されたシャント構造または他の埋め込み装置は、シャントまたは他の目的もしくは機能にかかわらず、任意のタイプ、形態、構造、構成を有し得る、および/または任意の目的に使用されるように使用もしくは構成され得ることを理解されたい。
【0075】
図7は、一つ以上の実施形態による、心房中隔18に埋め込まれたシャント埋め込み/アンカー装置/構造73を示す。心房中隔壁18内の特定の位置は、シャント構造73に対して比較的安定したアンカー位置を提供するように選択または決定され得る。さらに、シャント装置/構造73は、将来の介入のために中隔壁18の将来の再交差を考慮して望ましい位置に埋め込まれ得る。心房中隔壁18におけるシャント装置/構造73の埋め込みは、有利には、左心房2と右心房5との間の流体連通を可能にし得る。
【0076】
シャント装置/構造73を使用した心房間シャントは、心房圧上昇に比較的感受性の高い患者に適している場合がある。例えば、心室および/または心房で圧力が上昇し、心筋細胞が圧力を受けると、心臓の筋肉は概して収縮する傾向があり過剰な血液を処理するのが比較的難しくなり得る。したがって、心室の収縮性が損なわれている患者については、心室が拡張または伸長するにつれて、心臓がそれに対して適切に応答または反応することができない可能性があるため、このような患者は心室および/または心房のより高い圧力に対してより敏感になる場合がある。さらに、左心房圧の上昇は呼吸困難を生じさせる可能性があり、したがって、心房間シャントを通して、左心房圧を低下させて呼吸困難を軽減し、および/または再入院の発生率を低減することが望ましい場合がある。例えば、心室が流体圧の蓄積に適応できないような機能障害を経験する場合、そのような流体は、心房内に停滞し、それによって心房圧を増大させ得る。心不全に関しては、左心室拡張末期圧の最小化が最重要となる場合がある。左心室拡張末期圧は左心房圧に関連する可能性があるため、心房内の流体の停滞は、肺内の流体の停滞を引き起こし、それによって、肺内の望ましくないおよび/または危険な流体の蓄積を引き起こす可能性がある。本開示の実施形態によるシャント装置を使用するなどの、心房間シャントは、左心房内の余分な流体を右心房に分流することができ、右心房の比較的高いコンプライアンスにより、追加の流体に適応し得る場合がある。
【0077】
いくつかの実装では、本開示の実施形態によるシャント装置/構造は、左心房から冠静脈洞を分離する壁に埋め込まれてもよく、その結果、心房間シャントは冠静脈洞を通して達成され得る。図8は、冠静脈洞16と左心房2との間の組織壁21に埋め込まれたシャント装置/構造83を示す。図8、およびいくつかの以下の図は、後面がページの上部に配向された状態で、上からの視点ですべてをカバーして見た心臓の断面を示す。
【0078】
左心房2と冠静脈洞16との間の壁21におけるシャント装置83の埋め込みを通じた左から右へのシャントは、いくつかの状況では、心房中隔を通じたシャントより好ましい場合がある。例えば、冠静脈洞16を通じたシャントは、低減された血栓および塞栓のリスクを提供し得る。冠静脈洞は、いくつかの理由から血栓/塞栓の存在を有する可能性が低い。第一に、冠血管系から右心房5への血液の排出は、毛細血管を通過したばかりであり、本質的に濾過された血液である。第二に、右心房における冠静脈洞の小孔14は、多くの場合、テベシウス弁と呼ばれる偽弁(図示せず)によって部分的に被覆される。テベシウス弁は、必ずしも存在するわけではないが、いくつかの研究は、ほとんどの心臓に存在し、また右心房圧におけるスパイクの事象で血栓または他の塞栓が侵入することを遮断し得ることを示す。第三に、それが排出される冠静脈洞と右心房との間の圧力勾配は、一般に、比較的低く、その結果、右心房の血栓または他の塞栓は、そこに残る可能性が高い。第四に、血栓/塞栓が冠静脈洞に侵入する事象では、右心房と左心房との間よりも、右心房と冠血管系との間にはるかに大きい勾配が存在することになる。おそらく、血栓/塞栓は、右心房圧が正常に戻り、次いで、塞栓が右心房に直接戻るまで、冠血管系をさらに下降して移動することになる。
【0079】
左心房と冠静脈洞との間にシャント構造83を配置するいくつかの追加の利点は、この解剖学的構造が、一般に、心房中隔組織よりも安定していることである。左心房血液を冠静脈洞に分流することによって、洞圧が少量だけ増加し得る。これは、冠血管系の血液を、心臓を通ってよりゆっくりと移動させ、灌流および酸素伝達を増加させる、これは、より効率的であり得、また瀕死の心筋が回復するのを助け得る。加えて、シャント装置/構造83を冠静脈洞の壁83に埋め込むことによって、心房中隔18への損傷が防止され得る。したがって、心房中隔18は、代替的な療法のための後からの経中隔アクセスのために保存され得る。経中隔アクセスの保存は、様々な理由で有利であり得る。例えば、心不全患者は、多くの場合、心房細動および/または僧帽弁逆流などの、いくつかの他の併存疾患を有し、これらの状態を治療するための特定の療法は、経中隔アクセスを必要とする。
【0080】
注目すべきは、冠静脈洞16と左心房2との間に埋め込み/構造83を配置する様々な利点に加えて、特定の欠点が考慮され得ることである。例えば、左心房2から冠静脈洞16へ血液をシャントすることによって、左心房2からの酸素を含む血液が、右心房5に渡され得、および/または右心房5からの酸素を含まない血液が、左心房2に渡され得、それらの両方が、心臓の適切な機能に関して望ましくない場合がある。
【0081】
センサ統合型埋め込み装置
上述のように、シャントおよび/または他の埋め込み装置/構造は、圧力および/または他の生理学的パラメータのインビボモニタリングを容易にするために、センサ、アンテナ/トランシーバ、および/または他の構成要素と統合されてもよい。本開示の実施形態によるセンサ装置は、任意の好適なまたは望ましい取り付けまたは統合機構または構成を使用して、心臓シャント構造/装置または他の埋め込み装置と統合され得る。図9-1は、一つ以上の実施形態による、シャント構造90および統合されたセンサアセンブリ61を備えるセンサ埋め込み装置60の側面図を示す。いくつかの実施形態では、センサアセンブリ61は、少なくとも部分的に、一体構造を形成するために、シャント構造90に組み込まれ得るか、またはシャント構造90に製造され得る。図9-2は、センサアセンブリ61の分離図(isolated view)を示す。
【0082】
いくつかの実施形態では、センサアセンブリ61は、センサ構成要素65およびアンテナ構成要素69を含む。センサ構成要素65は、上記で詳細に説明した任意のタイプのセンサ装置を備えてもよい。いくつかの実施形態では、センサ65は、示されるように、シャント構造90のアーム部材94に取り付けられてもよく、またはアーム部材94と統合されてもよい。例えば、センサ構成要素65が関連するアーム94は、概して、シャント構造90の遠位または近位の軸部分と関連付けられてもよい。すなわち、シャント構造90が埋め込まれた際、シャント構造90の一つ以上のアームは、シャント構造90の入口/遠位部分と関連付けられてもよく、一方で、一つ以上の他のアンカーアーム(例えば、アーム95)は、シャント構造90の出口/近位部分と関連付けられてもよい。遠位および近位側/部分は図9-1で識別されているが、識別された遠位部分/側は、識別された近位部分/側と同様に、シャント構造90の出口側または入口側であってもよいことが理解されるべきである。さらに、用語「遠位」および「近位」は、利便性のために使用され、センサ埋め込み装置60および/またはシャント構造90を埋め込むために使用される送達システム/装置に関する相対的配向を指す場合、または指さない場合がある。
【0083】
センサ65は、圧力センサ変換器などのセンサ要素67を含む。シャント構造90のアーム部材94に対して、センサ装置65は、アーム/アンカー94の遠位64、中位66、または近位68部分もしくは領域、またはその間の任意の部分に取り付けられ/位置付けられてもよい。例えば、図9-1の図示した実施形態は、アーム/アンカー94の中位領域66に配置されたセンサ65を含む。いくつかの実施形態では、センサ65によって取得された読み取り値は、埋め込み装置60が埋め込まれている患者の治療のための薬剤の滴定を誘導するために使用され得る。
【0084】
本明細書に説明されるように、センサアセンブリ61は、無線データおよび/またはパワートランスミッションを実装するように構成され得る。センサアセンブリ61は、このような目的のためにアンテナ構成要素69を含んでもよい。アンテナ69は、アンテナハウジング79内に少なくとも部分的に含まれてもよく、アンテナハウジング79には、無線データおよび/または電力通信機能を促進するように構成された特定の制御回路をさらに配置され得る。いくつかの実施形態では、アンテナ構成要素69は、誘導給電および/またはデータ送信を容易にし得る、一つ以上の導電性コイル62を含む。導電性コイルを含む実施形態では、こうしたコイルは、少なくとも部分的に磁気(例えば、フェライト、鉄)コア63の周りに巻かれ/配置されてもよい。
【0085】
アンテナ構成要素69は、シャント構造90のアーム/アンカー特徴部95に取り付けられてもよく、統合されてもよく、または別様に関連付けられてもよく、アーム95は、センサ装置65を支持するアーム/アンカー94とは別個のアーム/アンカーである。例えば、センサ構成要素65と同様に、アンテナ構成要素69は、アーム95の遠位部分、中位部分、および/または近位部分のうちの一つ以上に、取り付けられ得るか、または別様に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、アーム95は、アンテナ構成要素69が固定される細長い支柱/アーム特徴部98を含むが、一方でセンサ装置65は、それが関連するアーム94の類似の支柱/アーム機構に固定されていてもよく、または固定されていなくてもよい。例えば、アンテナ構成要素69および/またはセンサ構成要素65を、シャント構造90のそれぞれのアーム/アンカーに取り付けるのに好適であり得る固定/取り付け手段/機構は、2020年10月22日に出願され、「Sensor Integration in Cardiac Implant Devices」と題されたPCT出願番号PCT/US20/56746に開示される任意の特徴であってもよく、その内容は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。例えば、シャント構造90および/またはそのアームは、センサ構成要素65および/またはアンテナ構成要素69をそれぞれのアームおよび/または支柱、またはシャント構造90の他の構造特徴部に固定するように構成された、一つ以上のセンサおよび/またはアンテナ保持フィンガー、クランプ、ラップ、バンド、ベルト、クリップ、パウチ、ハウジング、収容体(encasement)、および/または類似のものを含み得る。
【0086】
図9-1に示すように、センサ構成要素65およびアンテナ構成要素69は、有利には、シャント構造90の対向する軸方向側/端部/部分と関連付けられてもよく、その結果、シャント構造90が組織壁に埋め込まれると、センサ装置65およびアンテナ装置69は、組織壁の対向側(S、S)上に配置され得る。こうした構成は、様々な理由から有利であり得る。例えば、センサ装置65およびアンテナ装置を、シャント構造90の対向する軸方向側S/S(例えば、遠位/近位および/または入口/出口側)に渡って分散させることによって、装置60の任意の所与の側上のセンサアセンブリ61の構造的な嵩高さおよび/または輪郭は、センサアセンブリ61全体が装置60の同じ軸方向側上に配置された場合よりも、比較的小さい場合がある。
【0087】
本明細書に記載されるように、シャント構造の軸方向側への言及は、シャント構造90および/またはバレル98を軸的に(および/または図9-1のように対角線的に)二等分する平面Pの対向する側を指し得る。平面Pは、シャント構造90のバレル部分98の軸に直交してもよく、および/またはシャント構造90が埋め込まれる組織壁と実質的に平行であってもよい。つまり、シャント構造90が組織壁(図9-1には図示せず、図12~14を参照されたい)に埋め込まれたとき、バレル98の軸は、組織壁表面に対して垂直な線/平面に対して斜め/角度付けされてもよく、当然のことながら、シャント軸の本明細書の記載は、図9-1に示すように、シャントバレルが、組織係合面Pに対して角度の付いた真の軸を有する実施形態/場合においても、組織壁係合面(例えば、図9-1に示す平面P)に対して実質的に垂直である軸/線に言及すると理解され得る。埋め込み構造の別個の軸方向側に配置される装置/構成要素の本明細書の記載は、組織係合面Pの異なる側を指すと理解され得る。平面Pは、シャント構造90のバレル部分98の支柱91の少なくとも一部と整列されてもよい(例えば、正確な整列の5°または10°以内)。
【0088】
さらに、本明細書の、シャント構造の異なる半径方向側に配置されるセンサアセンブリおよび/またはその構成要素の記載は、図9-1に示すように、直径面Pの正反対の側を指し得る。例えば、シャント構造が、シャント構造のバレル98の実質的に対向する円周部分から発せられる、および/またはシャント構造のバレル98の軸に対して実質的に対向する放射方向へ突出する、シャント構造の所与の軸方向側のアームを含む場合、こうしたアームは、シャント構造の異なるおよび/または対向する半径方向側にあるとみなされ得る。
【0089】
センサ構成要素65およびアンテナ構成要素69を、シャント構造90の対向する軸方向側に配置することは、埋め込み装置60が埋め込まれる組織壁の一方の側Sに関連付けられた一つの腔/血管におけるセンサ変換器67の配置/露出を可能にするために、さらに好ましい場合があり、ここで、側Sが、センサ構成要素65に関連する圧力および/または他の生理学的パラメータをモニタリングする標的である血管/腔と関連付けられ、一方、アンテナ構成要素69は、必ずしもモニタリングの標的/対象ではない、シャント構造90の対向側Sに関連付けられた別の血管/腔に配置され得る。例えば、一部の実例では、流体力学は、センサ側Sの標的腔/血管において、シャント構造90が埋め込まれる組織壁の反対側Sとは異なる場合があり、アンテナ構成要素69に関連する側Sの腔/血管の流体力学は、側Sよりも乱流が少ない場合がある。さらに、アンテナ構成要素69の構造をセンサ構成要素65の反対側Sに配置することによって、そうでなければアンテナ構成要素69をセンサ構成要素65と同じ軸方向側に配置することによって導入され得る、センサ標的側Sの望ましくない障害物を回避することができる。さらに、センサ構成要素65と同じ軸方向側にセンサ構成要素69を配置すると、感知/モニタリングされる流体に関連するセンサ機能および/または流体力学に対する望ましくない妨害または干渉が生じ得、その結果、図9-1に示す特定の構成は、有利にも、センサ装置65のセンサ機能に対して望ましくない干渉または影響することなく、センサアセンブリ61をシャント構造90と統合することを可能にし得る。さらに、図9-1に示すように、および本明細書に詳細に記載されるように、センサ構成要素65およびアンテナ構成要素69を分離/分散させることによって、送達カテーテル/シースおよび、または他の送達システム構成要素における装置60の送達が促進されてもよく、ならびに/またはセンサ埋め込み装置60は、以下でより詳細に記載するように、比較的より小さいプロファイルの送達/圧縮構成を仮定することが可能であってもよい。
【0090】
センサアセンブリ61は、電気コネクタ72をさらに含んでもよく、これは、センサ構成要素65とアンテナ構成要素69との間の電気シグナルを送信するように構成された一つ以上のワイヤまたは他の導電体を備え得る。いくつかの実施形態では、コネクタ72は、コネクタ72の電気および/または密封シーリング/カバーリングを提供するように構成されたコーティングまたは他のカバーリングを含む。アンテナ69におけるセンサ65間の電気的結合を提供することに加えて、コネクタ72は、センサアセンブリ61のこうした構成要素間の物理的テザー/結合を提供し得る。センサ65およびアンテナ69の物理的テザリング/結合は、センサ65またはアンテナ69のいずれかが、センサアセンブリ61から分離するのを防ぐための機構を提供してもよく、これは心臓循環における構成要素の自由な移動から生じる可能性のある重篤な健康上の合併症をもたらし得る。例えば、センサ65またはアンテナ69のうちの一つが、シャント構造90および/またはセンサアセンブリ61から除去されるか、または外れる場合、コネクタ72は、こうした外れた構成要素が循環内で自由になることを防止し得る。
【0091】
コネクタ72は、示されるように、シャント構造の対向する軸方向側でのセンサ構成要素65およびアンテナ構成要素69の分散配置を可能にするのに十分な長さを有してもよい。例えば、コネクタ72の長さは約0.5インチまたはそれ以上であってもよい。例えば、コネクタ72は、センサ構成要素65アンテナ構成要素69間のシグナル通信の目的のために必要な長さよりも長くてもよく、その目的は、シャント構造90のバレル98の軸方向長さを横切るのに十分な長さを有するこうした構成要素、ならびにアンテナ69からセンサ65を分離する、シャント構造90のアーム94、95それぞれの特定の近位部分および/または中位部分の間のテザーを提供することである。
【0092】
図9-1および本開示の様々な他の描写の実施形態は、センサ構成要素およびアンテナ構成要素が構造の対向する軸方向側で、シャント/埋め込み構造に固定されるセンサアセンブリに関するが、一部の実施形態では、センサ構成要素およびアンテナ構成要素は、シャント/埋め込み構造の同じ軸方向側と関連付けられてもよく、センサおよびアンテナ構成要素は、シャント/埋め込み構造の対向する半径方向側と関連付けられてもよい。例えば、センサおよびアンカー構成要素を電気的および/または物理的に結合するコネクタは、シャント構造90のバレル98を横切ってもよく(例えばそれによって形成される流体チャネル96を渡ることによってなど)、またはシャントバレル98の外側もしくは内側に沿って走ってもよい。
【0093】
センサアセンブリ61は、有利には生体適合性であり得る。例えば、センサ65およびアンテナ69は、ガラスまたは他の生体適合性材料を含むハウジングなどの、生体適合性ハウジングを備え得る。しかしながら、ダイアフラムまたは他の構成要素などの、センサ要素67の少なくとも一部分は、圧力読み取りまたは他のパラメータ感知が実装されることを可能にするために、いくつかの実施形態で、外部環境に露出され得る。アンテナハウジング79に関して、ハウジング79は、ガラス円筒形状などの、少なくとも部分的に硬質の円筒形または管状の形態を含み得る。いくつかの実施形態では、センサ65/67構成要素は、直径が約3mm以下である。アンテナ69は、約20mm以下の長さであり得る。
【0094】
センサアセンブリ61は、患者の身体の心臓または他の領域に埋め込まれたときに、外部システムと通信するように構成され得る。例えば、アンテナ69は、外部システムから無線で電力を受け取り、ならびに/または外部システムに、および/もしくは外部システムから、感知されたデータもしくは波形を通信し得る。センサアセンブリ61は、任意の好適なまたは望ましい方式で、シャント構造90に取り付けられ得るか、またはそれと統合され得る。例えば、いくつかの実装では、センサ65および/またはアンテナ69は、機械的取り付け手段を使用して、シャント構造90に取り付けられ得るか、またはそれと統合され得る。いくつかの実施形態では、センサ65、コネクタ72、および/またはアンテナ69は、シャント構造90に取り付けられるパウチまたは他のレセプタクルに収容され得る。
【0095】
センサ要素67は、圧力変換器を含み得る。例えば、圧力変換器は、半導体ダイアフラム構成要素を含むマイクロ電気機械システム(MEMS)変換器であり得る。いくつかの実施形態では、変換器は、シリコーンまたは他の可撓性材料から作製され得る、少なくとも部分的に可撓性または圧縮可能なダイアフラム構成要素を含み得る。ダイアフラム構成要素は、環境圧力の変化に応答して屈曲または圧縮されるように構成され得る。制御回路74は、前述の屈曲/圧縮に応答して生成されたシグナルを処理して、圧力読み取り値を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ダイアフラム構成要素は、窒化ケイ素(例えば、ドープされた窒化ケイ素)などの、その外側表面上の生体適合性層と関連付けられる。圧力変換器67のダイアフラム構成要素および/または他の構成要素は、有利には、センサアセンブリ構成要素の少なくともいくつかの気密シーリングを提供するために、センサ構成要素65のベース/ハウジング77に融合されるか、または別様にそれによって封止され得る。
【0096】
制御回路74は、本明細書に説明されるモニタリング機能を実施する、および/またはセンサシグナルの無線送信を容易にするようにプログラムおよび/もしくはカスタマイズされるか、または構成され得る一つ以上の電子特定用途向け集積回路(ASIC)チップまたはダイを含み得る。アンテナ69は、複数のコイル62(例えば、ワイヤコイル)の形態で、導電性材料で巻かれたフェライトコア63を含み得る。いくつかの実施形態では、コイルは、銅または他の金属を含む。アンテナ69は、有利には、磁気共鳴撮像の存在下で実質的な変位または加熱を結果的にもたらさないコイル幾何学的形状で構成され得る。いくつかの実装では、センサ埋め込み装置60は、送達カテーテル(図示せず)を使用して標的埋め込み部位に送達され得、送達カテーテルは、それを通してセンサアセンブリ61の前進に適応するように構成された空洞またはチャネルを含む。
【0097】
図10は、本開示の一つ以上の実施形態による、図9-1の埋め込み装置60の軸方向図を示す。具体的には、図10は、センサ構成要素65に関連付けられた埋め込み装置60の軸方向側に対応する軸方向図を示す。すなわち、センサ構成要素65は、アーム94に取り付けられ、アーム94と統合され、または別様にアーム94と関連付けられ、その側面が図10のページから外向きに示される。図10のページから外向きに示される側は、遠位側または近位側であってもよい。
【0098】
センサ構成要素65は、アーム94の一部分に機械的に取り付けられてもよく、または固定されてもよい。センサ65は、接着取り付けまたは機械的係合を含む、任意の好適なまたは望ましい取り付け手段によって、アンカー/アーム94に取り付けられてもよい。例えば、アーム94は、一つ以上のクランプ、ストラップ、タイ、縫合糸、カラー、クリップ、タブなどを含み得る、一つ以上の保持特徴部を備え得るか、またはそれらと関連し得る。そのような保持特徴部は、センサ65、またはその一部分を円周方向に収容または保持し得る。いくつかの実施形態では、センサ65は、特定の保持特徴部を通してセンサ65をスライドさせることによって、または押圧もしくは他の機械的な力を適用して、センサ65をアーム94にクリッピング、ロッキング、または他の方法で係合させることによってのいずれかで、機械的に力を適用して、アーム94に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、シャント構造90は、機械的な固定のためにセンサ65の一つ以上の側にポップアップまたは延在するように構成され得る一つ以上のタブを備え得る。そのようなタブは、形状記憶金属(例えば、ニチノール)または他の少なくとも部分的に剛性の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、センサ65は、アーム94に予め取り付けられる、および/または埋め込み前にそれと統合される。いくつかの実施形態では、センサ65は、一体構造を形成するために、シャント構造90に組み込まれ得るか、またはシャント構造90に製造され得る。例えば、いくつかの実施形態では、センサ65は、シャント構造90のアーム部材94に取り付けられてもよく、またはアーム部材94と統合されてもよい。
【0099】
図11は、本開示の一つ以上の実施形態による、図9-1の埋め込み装置60の別の軸方向図を示す。具体的には、図11は、アンテナ69に関連付けられた埋め込み装置60の軸方向側に対応する軸方向図を示す。すなわち、アンテナ構成要素69は、アーム95に取り付けられ、アーム95と統合され、または別様にアーム95と関連付けられ、その側面が図11のページから外向きに示される。図11のページから外向きに示される側は、遠位側または近位側であってもよい。
【0100】
アンテナ構成要素69は、アーム95の一部分に機械的に取り付けられてもよく、または固定されてもよい。アンテナ69は、接着取り付けまたは機械的係合を含む、任意の好適なまたは望ましい取り付け手段によって、アンカー/アーム95に取り付けられてもよい。例えば、アーム95は、一つ以上のクランプ、ストラップ、タイ、縫合糸、カラー、クリップ、タブなどを含み得る、一つ以上の保持特徴部を備え得るか、またはそれらと関連し得る。そのような保持特徴部は、アンテナ69、またはその一部分を円周方向に収容または保持し得る。いくつかの実施形態では、アンテナ69は、特定の保持特徴部を通してアンテナ69をスライドさせることによって、または押圧もしくは他の機械的な力を適用して、アンテナ69をアーム95にクリッピング、ロッキング、または他の方法で係合させることによってのいずれかで、機械的な力を適用して、アーム95に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、シャント構造90は、機械的な固定のためにアンテナ69の一つ以上の側にポップアップまたは延在するように構成され得る一つ以上のタブを備え得る。そのようなタブは、形状記憶金属(例えば、ニチノール)または他の少なくとも部分的に剛性の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、アンテナ69は、アーム95に予め取り付けられる、および/または埋め込み前にそれと統合される。いくつかの実施形態では、アンテナ69は、一体構造を形成するために、シャント構造90に組み込まれ得るか、またはシャント構造90に製造され得る。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナ69は、シャント構造90のアーム部材95に取り付けられてもよく、またはアーム部材95と統合されてもよい。
【0101】
上述のように、本開示の実施形態によるセンサ統合型シャント埋め込み装置は、左心房から冠静脈洞を分離する壁に埋め込まれてもよい。図12は、冠静脈洞16と左心房2との間の組織壁21に埋め込まれたセンサ埋め込み装置60を示す。冠静脈洞16は、概して、左心房2の周囲に連続しており、したがって、埋め込み装置60および/またはシャント構造90に対して、様々な考えられる許容可能な配置が存在する。埋め込み装置60の配置のために選択された標的部位は、CTスキャンまたはX線写真撮影などの、蛍光透視または血管内冠血管系エコー(IVUS)などの、非侵襲的診断手段によって予め決定された、特定の患者の組織が薄いかまたは低密度である領域内とされ得る。
【0102】
他の実施形態と同様に、センサ埋め込み装置60は、センサ構成要素65、アンテナ構成要素69、およびセンサ構成要素65をアンテナ構成要素69に電気的および/または物理的に結合するコネクタ構成要素72を含む、センサアセンブリ61を含む。センサアセンブリ61は、上で詳述するように分散された様式で、埋め込み構造90(例えば、シャント構造)に配置される、取り付けられる、および/または別様に固定もしくは関連付けられる。例えば、示されるように、センサアセンブリ61が、埋め込まれた際に、センサ構成要素65が組織壁21の心房側で少なくとも部分的に露出され、一方でアンテナ構成要素69が、組織壁21の冠静脈洞側で少なくとも部分的に露出/配置されるような様式で、埋め込み装置60に取り付けられるように、埋め込み装置60が構成され得る。センサアセンブリ61の対向する半径方向側に破線で示されたセンサアセンブリによって示されるように、センサアセンブリ61は、例えば、冠静脈洞の小孔および/または右心房に比較的近い側、または冠静脈洞の小孔および/または右心房から離れて配向された側など、構造90の任意の半径方向/円周方向側/部分に配置され得ることが理解されるべきである。
【0103】
センサ埋め込み装置60は、シャント構造90の対向する半径方向側に取り付けられた二つのセンサアセンブリを有し得る。こうした実施形態では、それぞれのセンサアセンブリのセンサ構成要素(およびアンテナ構成要素)は、シャント構造90の同じ軸方向側または対向する軸方向側に配置されてもよい。例えば、二つのセンサアセンブリを含み、ここでそのセンサ構成要素は、シャント構造90の対向する軸方向側に配置され、有利には、装置60が埋め込まれた組織壁の両側の二つの腔/血管における生理学的パラメータ(例えば、圧力)の測定を可能にし得る。組織壁の両側の腔/血管の両方で圧力を測定するための圧力センサ機能により、センサ埋め込み装置60は、有利には、腔/血管前後の差圧を決定するために使用され得るセンサシグナルを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、二つのセンサアセンブリは、埋め込み装置60と共に実装され、センサアセンブリは、異なるパラメータを測定するための異なるタイプのセンサ構成要素を含む。こうしたセンサ構成要素は、構造90の同じ軸方向側または対向する側に配置されてもよい。
【0104】
図13は、示されるように、センサ構成要素65が、組織壁21の冠静脈洞側で少なくとも部分的に露出され、一方でアンテナ構成要素69が、組織壁21の心房側で少なくとも部分的に露出/配置されるような様式で、埋め込まれ、構成されたセンサ埋め込み装置60を示す。センサアセンブリ61の対向する半径方向側に破線で示されたセンサアセンブリによって示されるように、センサアセンブリ61は、例えば、冠静脈洞の小孔および/または右心房に比較的近い側、または冠静脈洞の小孔および/または右心房から離れて配向された側など、構造90の任意の半径方向/円周方向側/部分に配置され得ることが理解されるべきである。
【0105】
上述のように、本開示の実施形態によるセンサ統合型シャント埋め込み装置は、心房中隔に埋め込まれてもよい。図14は、左心房2と右心房5との間の中隔壁18に埋め込まれたセンサ埋め込み装置60を示す。
【0106】
他の実施形態と同様に、図14に示すセンサ埋め込み装置60は、センサ構成要素65、アンテナ構成要素69、およびセンサ構成要素65をアンテナ構成要素69に電気的および/または物理的に結合するコネクタ構成要素72を含む、センサアセンブリ61を含む。センサアセンブリ61は、上で詳述するように分散された様式で、埋め込み構造90(例えば、シャント構造)に配置される、取り付けられる、および/または別様に固定もしくは関連付けられる。例えば、示されるように、センサアセンブリ61が、埋め込まれた際に、センサ構成要素65が中隔壁18の左心房側で少なくとも部分的に露出/配置され、一方でアンテナ構成要素69が、組織壁21の右心房側で少なくとも部分的に露出/配置されるような様式で、埋め込み装置60に取り付けられることにより、埋め込み装置60が構成され得る。
【0107】
図15は、示されるように、センサ構成要素65が、組織壁21の右心房側で少なくとも部分的に露出/配置され、一方でアンテナ構成要素69が、組織壁21の左心房側で少なくとも部分的に露出/配置されるような様式で、埋め込まれ、構成されたセンサ埋め込み装置60を示す。
【0108】
心房中隔壁18の特定の位置は、シャント構造90のための比較的安全なアンカー場所を提供するために、および血栓の比較的低いリスクを提供するために、選択または決定され得る。さらに、センサ埋め込み装置60は、将来の介入のために中隔壁18の将来の再交差を考慮して望ましい位置に埋め込まれ得る。心房中隔壁におけるセンサ埋め込み装置60の埋め込みは、有利には、左心房2と右心房5との間の流体連通を可能にし得る。心房中隔18の装置60により、センサ埋め込み装置60のセンサ65は、有利には、右心房5、左心房2、または両方の心房の圧力を測定するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、装置60は、複数のセンサを備え、一つのセンサが、右心房5および左心房2の各々に配置される。両方の心房で圧力を測定するための圧力センサ機能により、センサ埋め込み装置60は、有利には、心房間の差圧を決定するために使用され得るセンサシグナルを提供するように構成され得る。差圧の決定は、鬱血性心不全と関連付けられ得る肺内の流体蓄積をモニタリングするのに有用であり得る。
【0109】
図12~15に関連する装置および/または埋め込みのいずれかに従って達成される、生理学的パラメータ(例えば、圧力)感知機能と関連した左から右へのシャントは、有利には、心房圧上昇に比較的感受性の高い患者に適している場合がある。例えば、心室および/または心房で圧力が上昇し、心筋細胞が圧力を受けると、心臓の筋肉は概して収縮する傾向があり過剰な血液を処理するのが比較的難しくなる。したがって、心室の収縮性が損なわれている患者については、心室が拡張または伸長するにつれて、心臓がそれに対して適切に応答または反応することができない可能性があるため、このような患者は心室および/または心房のより高い圧力に対してより敏感になる場合がある。さらに、左側(例えば、左心房)の圧力の上昇は呼吸困難を生じさせる可能性があり、したがって、左から右へのシャントを通して、左側の圧力を低下させて呼吸困難を軽減し、および/または再入院の発生率を低減することが望ましい場合がある。例えば、心室が流体圧の蓄積に適応できないような機能障害を経験する場合、そのような流体は、心房内に停滞し、それによって心房圧を増大させ得る。心不全に関しては、左心室拡張末期圧の最小化が最重要となる場合がある。左心室拡張末期圧は左心房圧に関連する可能性があるため、心房内の流体の停滞は、肺内の流体の停滞を引き起こし、それによって、肺内の望ましくないおよび/または危険な流体の蓄積を引き起こす可能性がある。本開示の実施形態によるシャント装置を使用するなどの、左から右へのシャントは、心臓の左側の余分な流体を心臓の右側に分流することができ、右心房の比較的高いコンプライアンスにより、追加の流体に適応し得る場合がある。
【0110】
一部の状況では、患者が、患者の流体出力および/または圧力を制御するように設計された薬剤レジメンの対象となるため、左から右へのシャントは十分に効果的ではない場合がある。例えば、利尿薬を使用して、患者に過剰な流体を排出させることができる。したがって、本開示の実施形態による圧力センサ統合型埋め込みの使用は、そのような薬剤を滴定して流体状態を調整/修正する方法に関して、技術者または医師/外科医に知らせるための機構を提供し得る。したがって、本開示の実施形態は、有利なことに、左心房圧の望ましくない増加を低減または防止するための薬物介入を指示する役割を果たし得る。
【0111】
図16-1、16-2、16-3、16-4、および16-5は、一つ以上の実施形態による、センサ埋め込み装置を埋め込むためのプロセス1600を例示するフロー図を提供する。図17-1、17-2、17-3、17-4、および17-5は、本開示の一つ以上の実施形態による、図16-1、16-2、16-3、16-4、および16-5のプロセス1600の動作に対応する心臓解剖学的構造および特定の装置/システムの画像を提供する。
【0112】
ブロック1602で、プロセス1600は、送達システム70に、本明細書に詳細に開示されるようなシャント型センサ埋め込み装置など、送達構成でその中に配置されたセンサ埋め込み装置60を提供することを含む。図17-1の画像1702は、本開示の一つ以上の実施形態による、センサ埋め込み装置60のための送達システム70の部分断面図を示す。画像1702は、送達システム70の外側シース50内に配置されたセンサ埋め込み装置60を示す。送達システムの特定の実施形態が図17-1に示されるが、本開示の態様によるセンサ埋め込み装置は、任意の適切なまたは望ましい送達システムおよび/または送達システム構成要素を使用して送達および/または埋め込まれ得ることが理解されるべきである。
【0113】
図示した送達システム70は、内側カテーテル55を含み、これはプロセス1600の一つ以上の部分の間に外側シース50内に少なくとも部分的に配置され得る。いくつかの実施形態では、センサ埋め込み装置60のシャント構造90は、内側カテーテル55の周りに少なくとも部分的に配置されてもよく、シャント構造90は、プロセス1600の一つ以上の部分の間、外側シース50内に少なくとも部分的に配置される。例えば、内側カテーテル55は、示されるように、シャント構造90のバレル部分98内に配置されてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、送達システム70は、ガイドワイヤ53が少なくとも部分的にその中に配置され得るように構成されてもよい。例えば、ガイドワイヤ53は、示されるように、内側カテーテル55内など、シース50および/または内側カテーテル55の軸の領域内を走ってもよい。送達システム70は、ガイドワイヤ53にわたって前進して、送達システム70を標的埋め込み部位に誘導するように構成され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、送達システム70は、シース50、カテーテル55、および/または送達システム70の遠位端と関連付けられ得る先細のノーズコーン特徴部52を含む。いくつかの実装では、ノーズコーン特徴部52を利用して、中にセンサ埋め込み装置60が埋め込まれる、またはそれを通して送達システムが前進される、組織壁の開口部を拡張し得る。ノーズコーン特徴部52は、患者の蛇行した解剖学的構造を通した、および/または外側送達シースもしくは他の導管/経路を用いた送達システム70の遠位端の前進を、促進し得る。ノーズコーン52は、カテーテル55とは別個の構成要素であってもよく、またはカテーテル55と統合されていてもよい。いくつかの実施形態では、ノーズコーン52は、外側シース50の遠位端に隣接し、かつ/またはそれらと統合されている。いくつかの実施形態では、ノーズコーン52は、センサ埋め込み装置60および/もしくはその任意の部分、内部カテーテル55、または他の装置がそれを通して前進する際に、押される(urged)/バラバラに広げられる複数のフラップ型形態を含んでもよく、および/またはそれから形成されてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、センサ埋め込み装置60は、本明細書に詳細に記載されるように、それに取り付けられるか、または別様にそれに関連付けられるセンサアセンブリ61と共に、送達システム70内に配置され得る。いくつかの実施形態では、内側カテーテル55は、センサアセンブリ61のセンサ構成要素65、アンテナ構成要素69、コネクタ72、および/または他の特徴または態様の存在に適応するよう構成された、一つ以上のカットアウト、くぼみ、凹部、間隙、開口部、開口、穴、スリット、または他の特徴を含む。例えば、センサアセンブリ61は、図17-1に示す送達構成の、シャント構造90の内径内に少なくとも部分的に配置され得る。こうした構成では、センサアセンブリ構成要素は、内側カテーテル55の周りに比較的緊密に配置されるシャント構造90の能力に対する干渉を生じる場合があり、それによって、送達システムの外形が増大し、および/または送達システムを使用して送達されるセンサ埋め込み装置60の能力に影響を与える可能性がある。したがって、図17-1に示すように、内側カテーテル55は、センサカットアウトまたは他の調節特徴部57および/またはアンテナカットアウトまたは他の調節特徴部59などの、一つ以上のセンサ構成要素調節特徴部を含み得る。いくつかの実施形態では、調節特徴部57、59は、内側カテーテル55の長手方向および円周方向のカットアウトであり得る。調節特徴部57、59は、有利には、示されるように、それぞれのセンサアセンブリ構成要素のサイズおよび/または外形に対応するように寸法設定されてもよく、センサアセンブリ構成要素(例えば、センサ構成要素65および/またはアンテナ構成要素69)が内側カテーテル55の内径/空間内に半径方向に突出することを可能にしてもよい。
【0117】
埋め込みセンサ装置60は、その第一の端部(すなわち、遠位アンカーアーム)が、シャント構造90のバレル98および/またはセンサアセンブリ61の一つ以上の構成要素に対して遠位に配置されて、送達システム70内に位置付けられてもよい。第二の端部(すなわち、近位アンカーアーム)は、シャント構造90のバレル98および/またはセンサアセンブリ61の一つ以上の構成要素に対して少なくとも部分的に近位に位置付けられる。
【0118】
外側シース50は、センサ埋め込み装置60を標的埋め込み部位に移動させるために使用され得る。すなわち、センサ埋め込み装置60は、センサ埋め込み装置60が外側シース50の遠位部分内に少なくとも部分的に保持および/または固定されるように、少なくとも部分的に外側シース50の内腔内で標的埋め込み部位に前進され得る。
【0119】
ブロック1604で、プロセス1600は、その中に配置されたセンサ埋め込み装置60を有する送達システム70を使用して、患者の心臓の右心房にアクセスすることを含む。いくつかの実装では、送達システム70を用いて心臓解剖学的構造にアクセスすることは、一つ以上の手順またはステップに従い実施されて、ガイドワイヤ53を配置し、患者の心臓の左心房と冠静脈洞との間の開口部を形成し、および/または拡張し得るが、その詳細は、利便性および明確性のために省略される。
【0120】
ブロック1606で、プロセス1600は、送達システムを冠静脈洞16内に前進させて、左心房2から冠静脈洞16を分離する壁21に隣接する標的埋め込み部位まで進めることを含む。冠静脈洞16を介した標的壁21および左心房2へのアクセスは、任意の好適なまたは望ましい処置を使用して達成され得る。例えば、様々なアクセス経路が、本開示の実施形態による、圧力センサと統合されたか、または関連付けられた拡張可能なシャントを展開するために、心臓内および周囲でガイドワイヤおよびカテーテルを操作する際に利用され得る。いくつかの実施形態では、鎖骨下または頸静脈を通して上大静脈内へ(図示せず)、右心房5内へ、およびそこから冠静脈洞16内へのアクセスが達成され得る。あるいは、アクセス経路は、大腿静脈で始まり、下大静脈(図示せず)を通って心臓に入り得る。他のアクセス経路もまた、使用され得る、それらの各々は、典型的には、ガイドワイヤおよびカテーテルが血管系に挿入される経皮的切開を利用し、通常は封止されたイントロデューサを通して、そこから、システムは、医師が装置の遠位端を体外から制御することを可能にするように設計または構成され得る。
【0121】
いくつかの実装では、ガイドワイヤ53は、鎖骨下静脈または頸静脈を通り、上大静脈19を通り、そして右心房5を介して冠静脈洞16内に導入される。ガイドワイヤは、左心房2内にスパイラル構成に配置することができ、これはガイドワイヤを定位置に固定するのに役立つ場合がある。ガイドワイヤ53が経路を提供すると、イントロデューサシースは、例えば拡張器の使用によって、ガイドワイヤ53に沿って、患者の血管系内に経路指定され得る。送達カテーテルは、上大静脈を通して心臓の冠静脈洞まで前進し得、イントロデューサシースは、失血を防止するための止血弁を提供し得る。いくつかの実施形態では、展開カテーテルは、左心房の壁に開口部を形成および準備するように機能し得、別個の配置送達システム70が、示されるように、センサ埋め込み装置60の送達に使用される。他の実施形態では、展開システム70は、完全な機能性を有する穿刺準備および埋め込み送達カテーテルの両方として使用され得る。本出願では、「送達システム」という用語は、これらの機能のうちの一方または両方を有するカテーテル、またはイントロデューサを表すために使用される。
【0122】
ブロック1608では、プロセス1600は、壁21に形成された開口部99を通して左心房にアクセスすることを含む。例えば、ガイドワイヤ53は、ノーズコーン52による開口部99の貫通前に、開口部99を通って走るように配置されてもよい。開口部99は、送達システム70またはブロック1608の前に実装される他の送達システムに関連付けられた針(図示せず)を使用して、最初に形成され得る。いくつかの実装では、ノーズコーン特徴部52は、開口部99を少なくとも部分的に拡張するために使用され得るが、開口部99は、バルーン拡張器または他の器具を使用して以前に拡張されている場合がある。
【0123】
ブロック1610で、プロセス1600は、一つ以上のアンカーアーム94を展開することを含み、これは、壁21の心房側で、センサ埋め込み装置60の(としての)遠位アンカーアームとみなされ得る。遠位アーム94は、センサアセンブリ61のセンサ65構成要素と関連付けて、センサ構成要素65のセンサ変換器が左心房2内に露出されるようにすることができ、その結果、センサ構成要素65を使用して、圧力などの左心房に関連する生理学的パラメータを示すシグナルを取得することができる。
【0124】
ブロック1612で、プロセス1600は、組織壁21の冠静脈洞側にセンサ埋め込み装置60の一つ以上の近位アームを展開して、それによって、シャント構造90の遠位アームと近位アームとの間に壁21の部分を挟むことを含む。近位アーム95のうちの一つは、有利には、本明細書に詳細に説明するように、コネクタ72を介して、センサ構成要素65に物理的および/または電気的に結合/テザーされるアンテナ構成要素69と、そこで関連付けられてもよい。ブロック1614では、プロセス1600は、組織壁21に埋め込まれたセンサ埋め込み装置60を残して送達システムを抜去し、それによって、冠静脈洞16を介して左心房から心臓の右側へと、埋め込み装置60によって血流がシャントされ得ることを含む。
【0125】
冠静脈洞と左心房との間の壁における埋め込みのための本開示の実施形態によるセンサ装置/機能と統合され得るシャント構造を送達するためのプロセスの追加的な態様および特徴は、「Expandable Cardiac Shunt」と題された2017年10月17日発行の米国特許第9,789,294号に開示され、その開示は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。埋め込み装置60は、左心房/冠静脈洞壁に示されているが、埋め込み装置60は、左心房と右心房との間などの、他の心腔の間に位置付けられてもよい。
【0126】
図18は、一つ以上の実施形態による、センサ埋め込み装置を埋め込むための特定のカテーテルアクセス経路を示す、ヒト心臓および関連する脈管構造の切り欠き図である。図18は、本開示の態様によるセンサ装置の埋め込みに使用され得る様々なカテーテル111を示す。カテーテル111は有利には、例えば、右心房5、冠静脈洞16、左心房2、または他の解剖学的構造もしくは腔などへの途中で、それを通って前進され得る様々な血管および腔の横断を可能にするために、断面プロファイルが比較的小さく、操縦可能であり得る。特定の経カテーテルソリューションによる、右心房5、冠静脈洞16、または左心房2へのカテーテルアクセスは、下大静脈16(カテーテル111aにより示される)または上大静脈19(カテーテル111bにより示される)を介して行われてもよい。左心房へのさらなるアクセスは、(例えば、卵円窩のまたはその近くの領域で)心房中隔を横断することを伴い得る。
【0127】
左心房へのアクセスは、経大腿または他の経カテーテル処置を通じてなど、右心房および/または下大静脈を介するものとして、特定の実施例と関連して例示および説明されているが、本開示の実施例に従って他のアクセス経路/方法が実装され得る。例えば、心房中隔壁を通る中隔横断が不可能である場合、他のアクセス経路を左心房2に採用し得る。弱くなったおよび/または損傷した心房中隔を有する患者では、中隔壁とのさらなる係合は望ましくない場合があり、患者にさらなるダメージをもたらす。さらに、一部の患者では、中隔壁は、一つ以上の埋め込み装置または他の治療で占有されている場合があり、このような治療の点からみて中隔壁を横断することには耐えられない。経中隔アクセスの代替として、経大動脈アクセスが実施され得、送達カテーテル111cが、下行大動脈32、大動脈弓12、上行大動脈、および大動脈弁7を通過し、左心房2内に僧帽弁6を通って達し得る。あるいは、経心尖アクセスが、送達カテーテル111dによって示されるように、標的解剖学的構造にアクセスするために実施されてもよい。
【0128】
追加の実施形態
実施形態に応じて、本明細書に記載されるプロセスまたはアルゴリズムのいずれかの特定の作用、事象、または機能が、異なる順序で実施され得、追加され得、併合され得、または完全に除外され得る。したがって、特定の実施形態では、全ての記載された作用または事象が、プロセスの実践に必要であるわけではない。
【0129】
とりわけ、「できる(can)」、「できた(could)」、「得る(might)」、「得る(may)」、「例えば(e.g.)」などの本明細書で使用される条件付きの文言は、特に別段の記載がない限り、または使用される文脈内で別様に理解されない限り、その通常の意味で意図され、かつ特定の特徴、要素、および/またはステップを特定の実施形態が含むが、他の実施形態が含まないことを伝えることが概して意図される。したがって、そのような条件付きの文言は、特徴、要素、および/またはステップが、一つ以上の実施形態に任意の方法で必要とされること、あるいは一つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素、および/もしくはステップが含まれるか、または任意の特定の実施形態で実行されるかを判断するための論理を、著者の入力もしくは促しの有無にかかわらず、必然的に含むことを暗示することが概して意図されるものではない。「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、同義であり、それらの通常の意味で使用され、包括的に、非限定的な様式で使用され、追加の要素、特徴、作用、動作などを排除しない。また、「または」という用語は、その包括的な意味で使用され(かつその排他的な意味ではない)、そのため、例えば、要素のリストを接続するように使用されるとき、「または」という用語は、リスト内の要素のうちの一つ、いくつか、または全てを意味する。特に別段の記載がない限り、「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの接続的な文言は、項目、用語、要素などが、X、Y、またはZのいずれかであり得ることを一般的に伝えるために使用されるように文脈を用いて理解される。したがって、そのような接続的な文言は、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも一つ、Yのうちの少なくとも一つ、およびZのうちの少なくとも一つが各々存在することを必要とすることを暗示することが概して意図されるものではない。
【0130】
上記の実施形態の記載では、開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの一つ以上の理解を支援する目的で、様々な特徴が、単一の実施形態、図、またはその記載において一緒にグループ化されることがあることが理解されるべきである。しかしながら、この開示の方法は、任意の特許請求の範囲がその特許請求の範囲に明示的に列挙されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。さらに、本明細書の特定の実施形態に例解および/もしくは記載される任意の構成要素、特徴、もしくはステップは、任意の他の実施形態に適用されるか、またはそれらとともに使用され得る。さらに、構成要素、特徴、ステップ、または構成要素、特徴、もしくはステップのグループは、各実施形態に必要または不可欠であるわけではない。したがって、以下に開示および請求される本明細書の発明の範囲は、上記に記載された特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきであることが意図される。
【0131】
特定の順序的な用語(例えば、「第一」または「第二」)は、参照の容易さのために提供され得、必ずしも物理的特徴または順序を暗示するものではないことを理解されたい。したがって、本明細書で使用される場合、構造、構成要素、動作などの要素を修正するために使用される順序的な用語(例えば、「第一」、「第二」、「第三」など)は、いかなる他の要素に対する要素の優先順位または順序を必ずしも示すものではなく、むしろ、要素を、同様または同一の名称(順序的な用語の使用以外)を有する別の要素から概略的に区別し得る。加えて、本明細書で使用される場合、不定冠詞(「a」および「an」)は、「一つ」ではなく「一つ以上」を示し得る。さらに、条件または事象に「基づいて」実施される動作はまた、明示的に列挙されていない一つ以上の他の条件または事象に基づいて実施され得る。
【0132】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義される用語などの用語は、関連技術の文脈においてその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書に明示的に定義されない限り、理想化または過度に形式的な意味で解釈されないことが理解される。
【0133】
空間的に相対的な用語「外側」、「内側」、「上部」、「下部」、「下」、「上」、「垂直」、「水平」、および類似の用語は、図面に示されるように、一つの要素または構成要素と別の要素または構成要素との間の関係を説明するために、説明を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に描写される配向に加えて、使用中または動作中の装置の異なる配向を包含することを意図していることを理解されたい。例えば、図面に示される装置が裏返される場合、別の装置の「下」または「真下」に位置付けられる装置は、別の装置の「上」に配置され得る。したがって、「以下」という例解的な用語は、下位置および上位置の両方を含み得る。装置はまた、他の方向に配向され得、したがって、空間的に相対的な用語は、配向に応じて異なる解釈をすることができる。
【0134】
別途明示的な記載がない限り、「より少ない」、「より多い」、「より大きい」などの比較および/または量的用語は、平等の概念を包含することを意図している。例えば、「より少ない」は、厳密な数学的な意味での「より少ない」だけでなく、「以下」も意味し得る。
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【国際調査報告】