(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ガドリニウムキレート及びその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
A61K 49/12 20060101AFI20240207BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240207BHJP
A61K 49/14 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61K49/12
A61B5/055 383
A61K49/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547543
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2021127915
(87)【国際公開番号】W WO2022199028
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202110303742.1
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523295165
【氏名又は名称】蘇州哲磁医薬科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522438596
【氏名又は名称】南方医科大学
【氏名又は名称原語表記】SOUTHERN MEDICAL UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 1023, Shatai South Road, Baiyun District Guangzhou, Guangdong 510515 China
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】沈 折玉
(72)【発明者】
【氏名】盧 玉蝶
【テーマコード(参考)】
4C085
4C096
【Fターム(参考)】
4C085HH07
4C085KA09
4C085KA10
4C085KA11
4C085KA28
4C085KB12
4C085KB68
4C085KB70
4C085KB72
4C085KB74
4C085KB75
4C085KB76
4C085KB79
4C085KB82
4C096FC14
(57)【要約】
本発明は、ガドリニウムイオンと高分子とがキレート作用によって形成された錯体であるガドリニウムキレート及びその調製方法と使用を開示し、前記高分子は、カルボン酸含有系高分子重合体、アミノ基含有系高分子重合体、水酸基含有系高分子重合体、ポリエステル系高分子重合体、ポリエーテル系高分子重合体、ポリアミド系高分子重合体、タンパク質、ポリペプチド、多糖のうちの何れか一種又は二種以上の共重合体又は混合物を含む。本発明は、ガドリニウムイオンと高分子とをキレート作用により水溶性高分子薬物であるガドリニウムキレートに形成し、縦緩和率r1を向上させ、r2/r1比を低下させ、水溶性が良く、安定性が高く、同時に短時間で良好なイメージング効果を呈示させ、MRI時間を短縮させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガドリニウムイオンと高分子とがキレート作用によって形成された錯体であるガドリニウムキレートであって、前記高分子は、カルボン酸含有系高分子重合体、アミノ基含有系高分子重合体、水酸基含有系高分子重合体、ポリエステル系高分子重合体、ポリエーテル系高分子重合体、ポリアミド系高分子重合体、タンパク質、ポリペプチド、多糖のうちの何れか一種又は二種以上の共重合体又は混合物を含むことを特徴とするガドリニウムキレート。
【請求項2】
前記高分子の分子量が1000~1000000であることを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項3】
前記カルボン酸含有系高分子重合体は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2-エチルアクリル酸)、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸のうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項4】
前記アミノ基含有系高分子重合体は、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリエチレンイミンのうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項5】
前記水酸基含有系高分子重合体は、ポリセリン、ポリトレオニン、ポリチロシン、ポリビニルアルコールのうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項6】
前記ポリエステル系高分子重合体は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリメタクリル酸-2-ヒドロキシエチルのうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項7】
前記ポリエーテル系高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項8】
前記ポリアミド系高分子重合体は、ポリグルタミン、ポリアスパラギン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドのうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項9】
前記タンパク質は、ヒト由来タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質、組換えタンパク質のうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項10】
前記ポリペプチドは、RGDペプチド、β-アミロイドポリペプチドのうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項11】
前記多糖は、キトサン、アルギン酸ナトリウムのうちの何れか一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウムキレート。
【請求項12】
ガドリニウムイオンと高分子とをキレート反応させ、ガドリニウムキレートを得る工程を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のガドリニウムキレートの調製方法。
【請求項13】
磁気共鳴イメージング造影剤の調製における、請求項1~11のいずれか1項に記載のガドリニウムキレートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学材料技術分野に関し、特にガドリニウムキレート及びその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI)は、微小又は特異的病巣を高感度に検出し、見落とし又は誤診率を低減することができる。MRI造影剤は、MRI画像の品質を向上させることができる化学製剤として、MRI検査の重要な補足となっている。T1(縦緩和時間)とT2(横緩和時間)は、MRIの重要な組織特徴パラメータであり、試料中の常磁性物質(例えばガドリニウム、鉄、マンガンなど)が共鳴における水素原子に近い場合、プロトンが位置する磁場を効果的に変化させ、組織緩和時間T1、T2を短縮させることができ、これによって画像補強領域信号を増強させ、組織の信号対雑音比(ΔSNR)を向上させ、造影剤を用いてMRI組織のコントラストを強化することは、この特性を利用することである。MRI技術の臨床適用範囲は、MRI造影剤の添加によって大きく拡張され、臨床診断分野において非常に重要な利用価値がある。
【0003】
臨床上、T
1重み付けイメージング、T
2重み付けイメージング及びT
2
*重み付けイメージングは、組織画像取得において最もよく用いられるイメージングシーケンスである。それに対応して、MRI造影剤は、その増強特徴に応じて、陽性造影剤(T
1造影剤)と陰性造影剤(T
2造影剤)という2つのタイプに分けられる。T
2造影剤はイメージングが暗く、且つ磁気感受性アーチファクトが発生しやすいなどの特徴を有し、T
1造影剤が画像病巣領域を輝度向上させる効果がより顕著であるため、T
1造影剤は、軟組織検査に非常に明らかな利点を示す。緩和率は、MRI造影剤の性能を評価する重要な評価指標の一つである(縦緩和率r
1、横緩和率r
2)。一般的に、r
1値が大きく、且つr
2/r
1値が小さいほど、T
1重み付けイメージングに有利であり、同じ線量における画像の信号対雑音比が高くなり、これに対し、r
2値が大きく、且つr
2/r
1値が大きいほど、T
2重み付けイメージングに有利である。現在市販されているT
1造影剤は、ガドリニウム系造影剤を主とし、環状キレートと線状キレートとを含む。環状キレートとしては、
【0004】
線形及び大環状のガドリニウム系造影剤は、いずれも脳及び他の組織に微量のガドリニウム堆積が発生し、臨床スキャンにおいて、大用量のガドリニウム系造影剤を用いて正常組織と病変組織との間のコントラストを強化し、これは、ある患者群に腎毒性等の潜在リスクをもたらすおそれがある。より高感度な病巣検出を実現するとともに、線量の制限を考慮するように、現在、臨床診断に用いられる造影剤の使用量は、通常、グラムレベルである。造影剤の使用量を低減することは、高緩和性の化合物が低用量で検出されることができるか、又は等価用量で低緩和性の化合物とより大きな対比を形成し、造影効果がより優れているため、画像信号対雑音比を向上させるための非常に好ましい方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決することを目的とする。そのため、本発明は、極めて高い縦緩和率r1と極めて低いr2/r1比を有し、水溶性が良く、安定性が高く、短時間で良好なイメージング効果を示し、MRI時間を短縮できるガドリニウムキレートを提案するものである。
【0006】
本発明は、前記ガドリニウムキレートの調製方法及び使用を同時に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的には、本発明が講じた技術案は具体的に以下の通りである:
本発明の第1の態様によれば、ガドリニウムイオンと高分子とがキレート作用によって形成された錯体であるガドリニウムキレートを提供し、前記高分子は、カルボン酸含有系高分子重合体、アミノ基含有系高分子重合体、水酸基含有系高分子重合体、ポリエステル系高分子重合体、ポリエーテル系高分子重合体、ポリアミド系高分子重合体、タンパク質、ポリペプチド、多糖のうちの何れか一種又は二種以上の共重合体又は混合物を含む。
【0008】
本発明の第1の態様に係るガドリニウムキレートは、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0009】
本発明は、ガドリニウムイオンと高分子とをキレート作用により水溶性高分子薬物であるガドリニウムキレートに形成し、従来技術に比べて、高分子を用いてガドリニウムイオン又はガドリニウム酸化物を被覆して形成されたネットワーク架橋構造又はコアシェル構造は、縦緩和率r1を向上させ、r2/r1比を低下させ、水溶性が良く、安定性が高く、同時に短時間で良好なイメージング効果を呈示させ、MRI時間を短縮させることができる。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、前記高分子の分子量は1000~1000000であり、具体的な状況に応じて適切な高分子を選択することができる。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、前記カルボン酸含有系高分子重合体は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2-エチルアクリル酸)、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸のうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、前記アミノ基含有系高分子重合体は、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリエチレンイミンのうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、前記水酸基含有系高分子重合体は、ポリセリン、ポリトレオニン、ポリチロシン、ポリビニルアルコールのうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ポリエステル系高分子重合体は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリメタクリル酸-2-ヒドロキシエチルのうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ポリエーテル系高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ポリアミド系高分子重合体は、ポリグルタミン、ポリアスパラギン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドのうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、前記タンパク質は、ヒト由来タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質、組換えタンパク質のうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは、RGDペプチド、β-アミロイドポリペプチドのうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、前記多糖は、キトサン、アルギン酸ナトリウムのうちの何れか一種又は複数種を含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ガドリニウムイオンは、三価ガドリニウムイオンである。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、
ガドリニウムイオンと高分子とをキレート反応させ、ガドリニウムキレートを得る工程を含む、前記ガドリニウムキレートの調製方法を提供する。
【0022】
より具体的には、ガドリニウムイオン溶液と高分子溶液とを混合してキレート反応させ、ガドリニウムキレートを得る。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ガドリニウムイオン溶液の濃度は、10~1000mMであり、好ましくは50~250mMである。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、前記高分子溶液の濃度は、0.1~50mg/mLであり、好ましくは2.0~10mg/mLである。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、前記高分子溶液とガドリニウムイオン溶液との体積比は、1~1000:1であり、好ましくは25~50:1である。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ガドリニウムイオン溶液と高分子溶液は、いずれも水溶液である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ガドリニウムイオン溶液は、硝酸ガドリニウム、フッ化ガドリニウム、塩化ガドリニウム、臭化ガドリニウム、ヨウ化ガドリニウムのうちの何れか一種又は二種以上の混合溶液を含み、好ましくは硝酸ガドリニウム又は塩化ガドリニウム溶液である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ガドリニウムイオン溶液と高分子溶液とを混合した後の反応溶液のpHは、2.0~12.0であり、好ましくは約10である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、前記反応温度は、25~100℃であり、好ましくは100℃である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、前記反応時間は>10minであり、好ましくは30~120minである。
【0031】
本発明の第3の態様によれば、磁気共鳴イメージング造影剤(MRI造影剤)の調製における、前記ガドリニウムキレートの使用を提供する。
【0032】
従来技術に比べて、本発明は以下の有益な効果を有する:
本発明のガドリニウムキレートは、極めて高いr1値(>80mM-1s-1,1.5T;≧ 29mM-1s-1,3.0T)を有し、臨床において一般的に使用されているMRI造影剤(r1=4~7mM-1s-1,1.5T)よりもはるかに高く、関連技術において高分子重合体を用いて酸化ガドリニウムを被覆したMRI造影剤(>50mM-1s-1、1.5T)及びガドリニウムイオンとポリマーからなるポリマーネットワークマイクロスフェア造影剤(14mM-1s-1,3.0T)よりもはるかに高く、そしてr2/r1の比が極めて低い(r2/r1<2.0,1.5T)。新規なMRI造影剤として、本発明のガドリニウムキレートは、MRI画像の信号対雑音比を著しく向上させるだけでなく、優れた水溶性、7日間以内のガドリニウム(Ш)イオン放出率が極めて低く、安定で有効であるなどの利点を有し、低線量で迅速なイメージング効果を実現し、イメージング時間を短縮させ、強い実用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施例1におけるGd-PAAのMRI緩和率図である。
【
図2】実施例1におけるGd-PAAがpH=7.4の条件下で1~7日間のガドリニウムイオン放出率である。
【
図3】実施例1におけるGd-PAA、市販の造影剤Gadavist及び純水のT
1重み付けMRIイメージング図とそれに対するMRI信号強度である。
【
図4】実施例1で調製したGd-PAAの赤外吸収スペクトルである。
【
図5】実施例1における担癌マウスの体内にGd-PAAを注射したMRIイメージング図である。
【
図6】実施例2におけるGd-PASPの緩和率図である。
【
図7】実施例2におけるGd-PASPがpH=7.4の条件下で1~7日間のガドリニウムイオン放出率である。
【
図8】実施例2におけるGd-PASP、市販の造影剤Gadavist及び純水のT
1重み付けMRIイメージング図とそれに対するMRI信号強度である。
【
図9】実施例3におけるGd-HPMAの緩和率図である。
【
図10】実施例4におけるGd-PMAAの緩和率図である。
【
図11】実施例5におけるGd-PEAAの緩和率図である。
【
図12】実施例6におけるGd-γ-PGAの緩和率図である。
【
図13】実施例7におけるGd-ε-PLの緩和率図である。
【
図14】実施例8におけるGd-PLRの緩和率図である。
【
図15】実施例9におけるGd-PLHの緩和率図である。
【
図16】実施例10におけるGd-PEIの緩和率図である。
【
図17】実施例11におけるGd-PSerの緩和率図である。
【
図18】実施例12におけるGd-PThrの緩和率図である。
【
図19】実施例13におけるGd-PTyrの緩和率図である。
【
図20】実施例14におけるGd-PVAの緩和率図である。
【
図21】実施例15におけるGd-PLAの緩和率図である。
【
図22】実施例16におけるGd-PGAの緩和率図である。
【
図23】実施例17におけるGd-PCLの緩和率図である。
【
図24】実施例18におけるGd-PHEMAの緩和率図である。
【
図25】実施例19におけるGd-PEGの緩和率図である。
【
図26】実施例20におけるGd-PPGの緩和率図である。
【
図27】実施例21におけるGd-PTMGの緩和率図である。
【
図28】実施例22におけるGd-PolyQの緩和率図である。
【
図29】実施例23におけるGd-PHEAの緩和率図である。
【
図30】実施例24におけるGd-PAMの緩和率図である。
【
図31】実施例25におけるGd-PMAMの緩和率図である。
【
図32】実施例26におけるGd-HSAの緩和率図である。
【
図33】実施例27におけるGd-BSAの緩和率図である。
【
図34】実施例28におけるGd-RGDの緩和率図である。
【
図35】実施例29におけるGd-Aβの緩和率図である。
【
図36】実施例30におけるGd-CSの緩和率図である。
【
図37】実施例31におけるGd-SAの緩和率図である。
【
図38】実施例32におけるGd-PAA-PLAの緩和率図である。
【
図39】実施例33におけるGd-PGA-PEGの緩和率図である。
【
図40】実施例34におけるGd-PAA/PASPの緩和率図である。
【
図41】実施例35におけるGd-γ-PGA/PASPの緩和率図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、具体的な実施例を参照して本発明の技術案をさらに説明する。
【0035】
実施例1
ガドリニウムキレート(Gd-PAA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリアクリル酸(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PAAとした。
【0036】
実施例1による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例1で調製された試料に対し、そのガドリニウム回収率を算出し、90%より高い場合は、キレート効果が良く、且つ原料利用率が高いことを示す。実施例1で調製された試料、市販の造影剤Magnevist、Gadavist及び硝酸ガドリニウム溶液をそれぞれ少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、それぞれ1.5T、3.0T臨床MRIシステムと7.0Tの小動物MRIシステムにてインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間及び横緩和時間(T1、T2)を測定した。縦緩和率と横緩和率(r1、r2)を以下の式(cは造影剤中の磁性物質の濃度、Tは緩和時間であり、ここで、i=1又は2)により算出し、その結果を表1に示す。
【0037】
【0038】
【0039】
具体的には、
図1は、実施例1における試料Gd-PAAをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-PAA-1、Gd-PAA-2、Gd-PAA-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PAAの縦緩和率が56.23±1.69mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)の10倍以上、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高いことがわかった。また、1.5TMRIスキャンシステム試験からGd-PAAのr
1値が82.76±0.81mM
-1s
-1であることを取得するとともに、極めて低いr
2/r
1比(1.12±0.00)を有し、示したMRI造影効果が特に顕著である。
図2は、試料Gd-PAAがpH=7.4条件下で1~7日間のガドリニウム(Ш)イオンの放出状況である。試料Gd-PAAはほとんど放出されず(<0.2%)、実施例1による試料をMRIの造影剤として利用された時の安定性が高いことがわかった。
【0040】
表1におけるr
1値、r
2/r
1比とガドリニウムイオンの放出率を統合し、試料Gd-PAAを代表例とすると、7.0T磁場下でGd-PAA-a、市販の造影剤Gadavist及び純水のT
1重み付けMRI画像は、
図3に示すとおりであり、(a)においてTR=300ms、TE=6.5ms;(b)においてTR=100ms、TE=6.5ms;(c)は、Gd-PAA、Gadavist及び純水の相対MRI信号強度であり、****p<0.0001である。結果から、Gd-PAAのMRI信号強度が商用造影剤Gadavistよりはるかに高いことがわかった。
【0041】
図4を参照すると、代表的な試料Gd-PAAの赤外吸収スペクトル図である。3405cm
-1におけるポリアクリル酸の強く広い吸収ピークがO-Hの伸縮振動ピークであるのに対し、試料Gd-PAAのO-H伸縮振動ピークが3432cm
-1にシフトし、吸収ピークが狭くなって強度が弱くなり、ここでのO-H及び水素結合が破断するとともにGd
3+と反応することを示した。ポリアクリル酸は、1571cm
-1と1409cm
-1にカルボキシル基の逆対称及び対称伸縮振動吸収ピークが現れた。試料Gd-PAAは、1717cm
-1に新たなC=O伸縮振動吸収ピークが現れ、ポリアクリル酸のカルボキシル基における酸素とガドリニウムイオンが配位していることを示し、このことから、ガドリニウムキレートGd-PAAの生成が証明された。
【0042】
図5は、担癌マウスにGd-PAAキレートを尾静脈注射した後の異なる時間帯のMRIイメージング図(注射量5mg/kg)である。ここで(a)は尾静脈注射前、(b)は尾静脈注射15分間時のMRIイメージング図であり、(c)は尾静脈注射30分間時のMRIイメージング図であり、(d)はGd-PAAキレートを注射した後45分間のMRIイメージング図である。結果から、腫瘍部位のMRI信号が静脈内注射30min時に最も強くなることがわかった。このことから、この高分子キレートは、腫瘍組織のイメージングコントラストを著しく向上させるだけでなく、イメージング時間が比較的短く、臨床普及に有利であることがわかった。
【0043】
実施例2
ガドリニウムキレート(Gd-PASP)の調製
濃度4.0mg/mLのポリアスパラギン酸(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PASPとした。
【0044】
実施例2による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例2で調製された試料のガドリニウムの回収率が90%より高く、原料の利用率が高い。実施例2で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、それぞれ3.0T臨床MRIシステムと7.0TMRIシステムにてインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定した。算出した縦緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表2に示す。
【0045】
【0046】
具体的には、
図6は、実施例2における試料Gd-PASPをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-PASP-1、Gd-PASP-2、Gd-PASP-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PASPのr
1値は、56.70±1.34mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0047】
図7は、試料Gd-PASPがpH=7.4の条件下で1~7日間のガドリニウムイオン放出状況である。試料Gd-PASPはほとんど放出されず(<0.1%)、Gd-PASPはMRI造影剤に用いられる時に安定性に優れることがわかった。
【0048】
図8は、Gd-PASP、市販の造影剤Gadavist及び純水のT
1重み付けMRI画像と相応なMRI相対信号強度である。測定磁場は7.0T(Bruker、PharmaScan 70/16US)であった。ここで(a)においてTR=300ms、TE=6.5ms、(b)においてTR=100ms、TE=6.5ms、(c)はGd-PASP、Gadavist及び純水の相対MRI信号強度であり、****p<0.0001である。結果から、Gd-PASPのMRI信号強度がGadavistよりはるかに高いことがわかった。
【0049】
実施例3
ガドリニウムキレート(Gd-HPMA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリマレイン酸(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-HPMAとした。
【0050】
実施例3による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例3で調製された試料のガドリニウムの回収率が高く、原料の利用率が高い。実施例3で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定し、算出した縦緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表3に示す。
【0051】
【0052】
具体的には、
図9は、実施例3における試料Gd-HPMAをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-HPMA-1、Gd-HPMA-2、Gd-HPMA-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-HPMAのr
1値は、60.86±1.65mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0053】
実施例4
ガドリニウムキレート(Gd-PMAA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリメタクリル酸(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PMAAとした。
【0054】
実施例4による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例4で調製された試料のガドリニウムの回収率が高く、原料の利用率が高い。実施例4で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定し、算出した縦緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表4に示す。
【0055】
【0056】
具体的には、
図10は、実施例4における試料Gd-PMAAをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-PMAA-1、Gd-PMAA-2、Gd-PMAA-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PMAPAのr
1値は54.63±1.11mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0057】
実施例5
ガドリニウムキレート(Gd-PEAA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリ(2-エチルアクリル酸)(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PEAAとした。
【0058】
実施例5による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例5で調製された試料のガドリニウムの回収率が高く、原料の利用率が高い。実施例5で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定し、算出した縦緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表5に示す。
【0059】
【0060】
具体的には、
図11は、実施例5における試料Gd-PEAAをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-PEAA-1、Gd-PEAA-2、Gd-PEAA-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PEAAのr
1値は、53.13±0.64mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0061】
実施例6
ガドリニウムキレート(Gd-γ-PGA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリグルタミン酸(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-γ-PGAとした。
【0062】
実施例6による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例6で調製された試料のガドリニウムの回収率が高く、原料の利用率が高い。実施例6で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定し、算出した縦緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表6に示す。
【0063】
【0064】
具体的には、
図12は、実施例6における試料Gd-γ-PGAをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-γ-PGA-1、Gd-γ-PGA-2、Gd-γ-PGA-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-γ-PGAのr
1値は、45.59±1.23mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0065】
実施例7
ガドリニウムキレート(Gd-ε-PL)の調製
濃度4.0mg/mLのポリリジン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-ε-PLとした。
【0066】
実施例7による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例7で調製された試料のガドリニウムの回収率が高く、原料の利用率が高い。実施例7で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定し、最後に算出した縦方向緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表7に示す。
【0067】
【0068】
具体的には、
図13は、実施例7における試料Gd-ε-PLをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-ε-PL-1、Gd-ε-PL-2、Gd-ε-PL-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-ε-PLのr
1値は、41.61±1.20mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0069】
実施例8
ガドリニウムキレート(Gd-PLR)の調製
濃度4.0mg/mLのポリアルギニン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PLRとした。
【0070】
実施例8による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例8で調製された試料のガドリニウムの回収率が高く、原料の利用率が高い。実施例8で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定し、最後に算出した縦方向緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表8に示す。
【0071】
【0072】
具体的には、
図14は、実施例8における試料Gd-PLRをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-PLR-1、Gd-PLR-2、Gd-PLR-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PLRのr
1値は、38.90±0.78mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0073】
実施例9
ガドリニウムキレート(Gd-PLH)の調製
濃度4.0mg/mLのポリヒスチジン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PLHとした。
【0074】
実施例9による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例9で調製された試料のガドリニウムの回収率が高く、原料の利用率が高い。実施例9で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定し、最後に算出した縦方向緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表9に示す。
【0075】
【0076】
具体的には、
図15は、実施例9における試料Gd-PLHをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-PLH-1、Gd-PLH-2、Gd-PLH-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)では、ガドリニウムキレートGd-PLHのr
1値は、45.46±0.95mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0077】
実施例10
ガドリニウムキレート(Gd-PEI)の調製
濃度4.0mg/mLのポリエチレンイミン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PEIとした。
【0078】
実施例10による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例10で調製された試料のガドリニウムの回収率が90%より高く、原料の利用率が高い。実施例10で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T1、T2)を測定し、算出した縦緩和率と横緩和率(r1、r2)結果を表10に示す。
【0079】
【0080】
具体的には、
図16は、実施例10における試料Gd-PEIをMRI造影剤とした場合の緩和率図(3部の試料Gd-PEI-1、Gd-PEI-2、Gd-PEI-3を用いて3回の並列試験を行った)であり、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係において、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T臨床MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PEIのr
1値は、41.09±0.77mM
-1s
-1であり、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時にr
2/r
1の比が比較的に低く、示したMRI造影効果がより優れていることがわかった。
【0081】
実施例11
ガドリニウムキレート(Gd-PSer)の調製
濃度4.0mg/mLのポリセリン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PSerとした。
【0082】
実施例11による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例11で調製された試料のガドリニウムの回収率は88.3%であり、原料の利用率が高い。実施例11で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PSer-1、Gd-PSer-2、Gd-PSer-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図17に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PSerのr
1値は50.45±1.28mM
-1s
-1、r
2値は85.90±1.80mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.70±0.01であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0083】
実施例12
ガドリニウムキレート(Gd-PThr)の調製
濃度4.0mg/mLのポリスレオニン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PThrとした。
【0084】
実施例12による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例12で調製された試料のガドリニウムの回収率は88.3%であり、原料の利用率が高い。実施例12で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PThr-1、Gd-PThr-2、Gd-PThr-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図18に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PThrのr
1値は48.21±0.96mM
-1s
-1、r
2値は81.42±1.68mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.69±0.00であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0085】
実施例13
ガドリニウムキレート(Gd-PTyr)の調製
濃度4.0mg/mLのポリチロシン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PTyrとした。
【0086】
実施例13による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例13で調製された試料のガドリニウムの回収率は88.3%であり、原料の利用率が高い。実施例13で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PTyr-1、Gd-PTyr-2、Gd-PTyr-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図19に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PTyrのr
1値は45.31±1.42mM
-1s
-1、r
2値は78.51±1.61mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.73±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0087】
実施例14
ガドリニウムキレート(Gd-PVA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリビニルアルコール(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PVAとした。
【0088】
実施例14による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例14で調製された試料のガドリニウムの回収率は88.3%であり、原料の利用率が高い。実施例14で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PVA-1、Gd-PVA-2、Gd-PVA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図20に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PVAのr
1値は45.05±1.21mM
-1s
-1、r
2値は76.01±1.41mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.69±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0089】
実施例15
ガドリニウムキレート(Gd-PLA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリ乳酸(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PLAとした。
【0090】
実施例15による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例15で調製された試料のガドリニウムの回収率は89.3%であり、原料の利用率が高い。実施例15で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PLA-1、Gd-PLA-2、Gd-PLA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図21に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)である。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PLAのr
1値は40.41±0.90mM
-1s
-1、r
2値は66.25±1.12mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.64±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0091】
実施例16
ガドリニウムキレート(Gd-PGA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリグリコール酸(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PGAとした。
【0092】
実施例16による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例16で調製された試料のガドリニウムの回収率は90.9%であり、原料の利用率が高い。実施例16で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PGA-1、Gd-PGA-2、Gd-PGA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図22に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PGAのr
1値は43.81±0.98mM
-1s
-1、r
2値は71.22±0.26mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.63±0.03であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0093】
実施例17
ガドリニウムキレート(Gd-PCL)の調製
濃度4.0mg/mLのポリカプロラクトン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PCLとした。
【0094】
実施例17による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例17で調製された試料のガドリニウムの回収率は86.6%であり、原料の利用率が高い。実施例17で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PCL-1、Gd-PCL-2、Gd-PCL-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図23に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PCLのr
1値は42.10±0.65mM
-1s
-1、r
2値は69.42±0.81mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.65±0.01であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0095】
実施例18
ガドリニウムキレート(Gd-PHEMA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリメタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PHEMAとした。
【0096】
実施例18による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例18で調製された試料のガドリニウムの回収率は87.2%であり、原料の利用率が高い。実施例18で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PHEMA-1、Gd-PHEMA-2、Gd-PHEMA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図24に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PHEMAのr
1値は40.46±0.99mM
-1s
-1、r
2値は67.93±0.83mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.68±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0097】
実施例19
ガドリニウムキレート(Gd-PEG)の調製
濃度4.0mg/mLのポリエチレングリコール(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PEGとした。
【0098】
実施例19による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例19で調製された試料のガドリニウムの回収率は94.5%であり、原料の利用率が高い。実施例19で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PEG-1、Gd-PEG-2、Gd-PEG-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図25に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PEGのr
1値は34.93±0.50mM
-1s
-1、r
2値は55.53±0.77mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.59±0.01であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0099】
実施例20
ガドリニウムキレート(Gd-PPG)の調製
濃度4.0mg/mLのポリプロピレングリコール(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PPGとした。
【0100】
実施例20による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例20で調製された試料のガドリニウムの回収率は89.2%であり、原料の利用率が高い。実施例20で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PPG-1、Gd-PPG-2、Gd-PPG-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図26に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PPGのr
1値は35.94±0.76mM
-1s
-1、r
2値は57.52±0.90mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.60±0.01であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0101】
実施例21
ガドリニウムキレート(Gd-PTMG)の調製
濃度4.0mg/mLのポリテトラメチレングリコール(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PTMGとした。
【0102】
実施例21による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例21で調製された試料のガドリニウムの回収率は86.4%であり、原料の利用率が高い。実施例21で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PTMG-1、Gd-PTMG-2、Gd-PTMG-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図27に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PTMGのr
1値は34.47±0.65mM
-1s
-1、r
2値は55.34±0.92mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.61±0.00であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0103】
実施例22
ガドリニウムキレート(Gd-PolyQ)の調製
濃度4.0mg/mLのポリグルタミンPolyQ(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PolyQとした。
【0104】
実施例22による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例22で調製された試料のガドリニウムの回収率は88.7%であり、原料の利用率が高い。実施例22で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PolyQ-1、Gd-PolyQ-2、Gd-PolyQ-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図28に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PolyQのr
1値は39.05±0.23mM
-1s
-1、r
2値は60.79±0.82mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.56±0.01であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0105】
実施例23
ガドリニウムキレート(Gd-PHEA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリアスパラギン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PHEAとした。
【0106】
実施例23による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例23で調製された試料のガドリニウムの回収率は91.2%であり、原料の利用率が高い。実施例23で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PHEA-1、Gd-PHEA-2、Gd-PHEA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図29に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PHEAのr
1値は46.50±0.63mM
-1s
-1、r
2値は69.72±0.83mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.50±0.01であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0107】
実施例24
ガドリニウムキレート(Gd-PAM)の調製
濃度4.0mg/mLのポリアクリルアミド(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PAMとした。
【0108】
実施例24による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例24で調製された試料ガドリニウムの回収率は90.6%であり、原料の利用率が高い。実施例24で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PAM-1、Gd-PAM-2、Gd-PAM-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図30に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PAMのr
1値は49.40±0.61mM
-1s
-1、r
2値は78.21±0.63mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.58±0.01であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0109】
実施例25
ガドリニウムキレート(Gd-PMAM)の調製
濃度4.0mg/mLのポリメタクリルアミド(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PMAMとした。
【0110】
実施例25による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例25で調製された試料のガドリニウムの回収率は87.7%であり、原料の利用率が高い。実施例25で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PMAM-1、Gd-PMAM-2、Gd-PMAM-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図31に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-PMAMのr
1値は42.81±1.19mM
-1s
-1、r
2値は65.14±1.21mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.52±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0111】
実施例26
ガドリニウムキレート(Gd-HSA)の調製
濃度4.0mg/mLのヒト血清アルブミン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-HSAとした。
【0112】
実施例26による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例26で調製された試料のガドリニウムの回収率は90.2%であり、原料の利用率が高い。実施例26で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-HSA-1、Gd-HSA-2、Gd-HSA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図32に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-HSAのr
1値は34.43±0.54mM
-1s
-1、r
2値は59.92±1.57mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.74±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0113】
実施例27
ガドリニウムキレート(Gd-BSA)の調製
濃度4.0mg/mLの牛血清アルブミン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-BSAとした。
【0114】
実施例27による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例27で調製された試料のガドリニウムの回収率は85.6%であり、原料の利用率が高い。実施例27で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-BSA-1、Gd-BSA-2、Gd-BSA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図33に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-HSAのr
1値は34.88±1.06mM
-1s
-1、r
2値は59.92±1.57mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.72±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0115】
実施例28
ガドリニウムキレート(Gd-RGD)の調製
濃度4.0mg/mLのRGDペプチド(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-RGDとした。
【0116】
実施例28による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例28で調製された試料のガドリニウムの回収率は82.0%であり、原料の利用率が高い。実施例28で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-RGD-1、Gd-RGD-2、Gd-RGD-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図34に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-RGDのr
1値は38.81±0.34mM
-1s
-1、r
2値は61.61±0.35mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.59±0.01であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0117】
実施例29
ガドリニウムキレート(Gd-Aβ)の調製
濃度4.0mg/mLのβ-アミロイドポリペプチド(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-Aβとした。
【0118】
実施例29による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例29で調製された試料のガドリニウムの回収率は84.4%であり、原料の利用率が高い。実施例29で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-Aβ-1、Gd-Aβ-2、Gd-Aβ-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図35に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-Aβのr
1値は41.47±1.01mM
-1s
-1、r
2値は64.85±0.64mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.56±0.03であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0119】
実施例30
ガドリニウムキレート(Gd-CS)の調製
濃度4.0mg/mLのキトサン(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-CSとした。
【0120】
実施例30による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例30で調製された試料のガドリニウムの回収率は83.6%であり、原料の利用率が高い。実施例30で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-CS-1、Gd-CS-2、Gd-CS-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図36に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-CSのr
1値は35.75±1.10mM
-1s
-1、r
2値は60.30±0.72mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.69±0.03であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0121】
実施例31
ガドリニウムキレート(Gd-SA)の調製
濃度4.0mg/mLのアルギン酸ナトリウム(Mw=2000)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-SAとした。
【0122】
実施例31による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例31で調製された試料のガドリニウムの回収率は82.5%であり、原料の利用率が高い。実施例31で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-SA-1、Gd-SA-2、Gd-SA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図37に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステムにおいて、ガドリニウムキレートGd-SAのr
1値は36.65±0.92mM
-1s
-1、r
2値は60.84±0.66mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.67±0.03であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0123】
実施例32
ガドリニウムキレート(Gd-PAA-PLA)の調製
濃度4.0mg/mLのポリアクリル酸-ポリ乳酸(Mw=2000)共重合体溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PAA-PLAとした。
【0124】
実施例32による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例32で調製された試料のガドリニウムの回収率は88.6%であり、原料の利用率が高い。実施例32で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PAA-PLA-1、Gd-PAA-PLA-2、Gd-PAA-PLA-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図38に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PAA-PLAのr
1値は40.63±1.17mM
-1s
-1、r
2値は62.67±0.91mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.54±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0125】
実施例33
ガドリニウムキレート(Gd-PGA-PEG)の調製
濃度4.0mg/mLのポリグリコール酸-ポリエチレングリコール(Mw=2000)共重合体溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PGA-PEGとした。
【0126】
実施例33による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例33で調製された試料のガドリニウムの回収率は92.3%であり、原料の利用率が高い。実施例33で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステムによりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PGA-PEG-1、Gd-PGA-PEG-2、Gd-PGA-PEG-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図39に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PGA-PEGのr
1値は42.13±1.19mM
-1s
-1、r
2値は63.67±0.56mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.51±0.03であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0127】
実施例34
ガドリニウムキレート(Gd-PAA/PASP)の調製
濃度4.0mg/mLのポリアクリル酸/ポリアスパラギン酸(Mwはいずれも2000であった)の混合物(1:1)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終的に得られた生成物をGd-PAA/PASPとした。
【0128】
実施例34による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例34で調製された試料のガドリニウムの回収率は92.9%であり、原料の利用率が高い。実施例34で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-PAA/PASP-1、Gd-PAA/PASP-2、Gd-PAA/PASP-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図40に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-PAA/PASPのr
1値は45.47±0.82mM
-1s
-1、r
2値は68.18±0.65mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.50±0.02であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0129】
実施例35
ガドリニウムキレート(Gd-γ-PGA/PASP)の調製
濃度4.0mg/mLのポリグルタミン酸/ポリアスパラギン酸(Mwはいずれも2000であった)の混合物(1:1)溶液40mLを調製し、ポリマー溶液を100℃で還流まで加熱した。つぎに濃度125mMの硝酸ガドリニウム溶液0.8mLを反応系に添加し、100℃及び磁気撹拌下で60分間反応を続けた。溶液を室温まで冷却した後、膜透析により精製し、最終生成物をGd-γ-PGA/PASPとした。
【0130】
実施例35による試料に対して特徴付け及び性能テストを行った。実施例35で調製された試料のガドリニウムの回収率は82.8%であり、原料の利用率が高い。実施例35で調製された試料を少なくとも5種類の異なる濃度の水溶液に調製し、3.0T臨床MRIシステム(Philips、Ingenia)によりインビトロイメージングを行い、その縦緩和時間と横緩和時間(T
1、T
2)(3部の試料Gd-γ-PGA/PASP-1、Gd-γ-PGA/PASP-2、Gd-γ-PGA/PASP-3を用いて3回の並列試験を行った)を測定した。
図41に示すように、1/T
iのガドリニウム濃度に伴って変化する関係をプロットすると、フィッティングした直線の傾きは、T
i緩和率(i=1又は2)となる。3.0T MRIスキャンシステム(Philips、Ingenia)において、ガドリニウムキレートGd-γ-PGA/PASPのr
1値は29.47±1.65mM
-1s
-1、r
2値は54.55±2.32mM
-1s
-1、r
2/r
1は1.85±0.03であることがわかった。そのr
1値は、市販のガドリニウム系造影剤のr
1値(r
1=4~7mM
-1s
-1)よりもはるかに高く、且つ毒性が極めて高い遊離のガドリニウムイオン溶液よりも明らかに高く、同時に比較的低いr
2/r
1の比を有し、示したMRI造影効果がより優れている。
【0131】
上記実施例は、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の精神及び原理から逸脱することなく行われる他の変更、修正、置換、組み合わせ及び簡略化は、いずれも同等の置換方法であるべきであり、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものである。
【国際調査報告】