IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 無錫華潤上華科技有限公司の特許一覧

<>
  • 特表-静電気保護構造、及びその製造方法 図1
  • 特表-静電気保護構造、及びその製造方法 図2
  • 特表-静電気保護構造、及びその製造方法 図3
  • 特表-静電気保護構造、及びその製造方法 図4
  • 特表-静電気保護構造、及びその製造方法 図5
  • 特表-静電気保護構造、及びその製造方法 図6
  • 特表-静電気保護構造、及びその製造方法 図7
  • 特表-静電気保護構造、及びその製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】静電気保護構造、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/329 20060101AFI20240207BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240207BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240207BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H01L29/90 Z
H01L29/91 K
H01L27/04 H
H01L27/06 311B
H01L27/06 311C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547838
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2022073080
(87)【国際公開番号】W WO2022262274
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110658518.4
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512154998
【氏名又は名称】無錫華潤上華科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSMC TECHNOLOGIES FAB2 CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.8 Xinzhou Road Wuxi New District,Jiangsu 214028 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン ジュン
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038AV04
5F038AV05
5F038BH04
5F038BH06
5F038BH09
5F038BH13
5F048AB10
5F048AC10
5F048BA02
5F048BA12
5F048BE02
5F048BE03
5F048BE05
5F048CA01
5F048CC06
5F048CC10
(57)【要約】
本発明は、静電気保護構造及びその製造方法に関する。静電気保護構造は、基板と、埋込層と、第1のディープウェルと、第2のディープウェルと、第3のディープウェルと、を含み、第1のディープウェル内には、逆の導電型のウェル領域及び同一の導電型の高濃度ドーピング領域が設けられ、第2のディープウェル及び第3のディープウェル内には、同一の導電型のウェル領域及び高濃度ドーピング領域がそれぞれ設けられ、第1のディープウェル、第1のウェル領域、及び第2のウェル領域は、浮遊しており、第1の高濃度ドーピング領域は引き出され静電気電圧に接続され、第6の高濃度ドーピング領域は、接地される。静電気ポートに正の電圧を入力する場合、第1の高濃度ドーピング領域、第1のウェル領域、第2の高濃度ドーピング領域、第3の高濃度ドーピング領域、第2のウェル領域、及び第4の高濃度ドーピング領域は、共に互いに直列に接続されたトランジスタを構成することによって、順方向の耐電圧を実現し、静電気ポートに負の電圧を入力する場合、埋込層、第2のディープウェル、第3のウェル領域、第4のウェル領域、第3のディープウェル、基板、及び第1のディープウェルは、寄生トランジスタを形成し、第1のディープウェル及び第1のウェル領域はダイオードを形成し、寄生トランジスタ及びダイオードによって逆方向の耐電圧を実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電気保護構造であって、
第1導電型の基板と、
前記基板中に位置する、前記第1導電型とは逆の第2導電型の埋込層と、
前記埋込層の上面に位置するとともに浮遊して配置された、第1導電型の第1のディープウェルと、
前記埋込層の上面に位置するとともに一部の領域が前記基板に接触し、前記第1のディープウェルに隣接するとともに前記第1のディープウェルの外周に位置する、第2導電型の第2のディープウェルと、
前記埋込層上に位置するとともに前記基板に完全に接触し、前記第2のディープウェルに隣接するとともに前記第2のディープウェルの外周に位置する、第1導電型の第3のディープウェルと、を含み、
前記第1のディープウェルの上部表層には、互いに分離されるとともに浮遊して配置された第1のウェル領域及び第2のウェル領域が設けられ、前記第1のウェル領域及び前記第2のウェル領域は、いずれも第2導電型であり、前記第1のウェル領域の上部表層には、互いに分離された第1の高濃度ドーピング領域及び第2の高濃度ドーピング領域が設けられ、前記第2のウェル領域の上部表層には、互いに分離された第3の高濃度ドーピング領域及び第4の高濃度ドーピング領域が設けられ、前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第2の高濃度ドーピング領域、前記第3の高濃度ドーピング領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域は、第1導電型であり、前記第1の高濃度ドーピング領域は、第1の電極として引き出され静電気ポートに接続され、前記第2の高濃度ドーピング領域は、第2の電極として引き出され、前記第3の高濃度ドーピング領域は、第3の電極として引き出され前記第2の電極に電気的に接続され、前記第4の高濃度ドーピング領域は、第4の電極として引き出され、
前記第2のディープウェルの上部表層には、第2導電型の第3のウェル領域が設けられ、前記第3のウェル領域の上部表層には、浮遊する第2導電型の第5の高濃度ドーピング領域が設けられ、
前記第3のディープウェルの上部表層には、第1導電型の第4のウェル領域が設けられ、前記第4のウェル領域の上部表層には、第1導電型の第6の高濃度ドーピング領域が設けられ、前記第6の高濃度ドーピング領域は引き出され前記第4の電極と共に接地される
ことを特徴とする静電気保護構造。
【請求項2】
前記第1導電型は、P型であり、前記第2導電型は、N型であり、
前記静電気ポートに静電気電圧を入力する場合、前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第1のウェル領域、及び前記第2の高濃度ドーピング領域は、共に第1のPNPトランジスタを構成し、前記第3の高濃度ドーピング領域、前記第2のウェル領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域は、共に第2のPNPトランジスタを構成し、前記第1のPNPトランジスタと前記第2のPNPトランジスタとは、互いに直列に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項3】
前記静電気電圧が正の電圧である場合、
前記第1の電極は、前記第1のPNPトランジスタのエミッタとして機能し、前記第2の電極は、前記第1のPNPトランジスタのコレクタとして機能し、前記第1のウェル領域は、前記第1のPNPトランジスタのベースとして機能し、
前記第3の電極は、前記第2のPNPトランジスタのエミッタとして機能し、前記第4の電極は、前記第2のPNPトランジスタのコレクタとして機能し、前記第2のウェル領域は、前記第2のPNPトランジスタのベースとして機能する
ことを特徴とする請求項2に記載の静電気保護構造。
【請求項4】
前記静電気電圧が負の電圧である場合、
前記第1の電極は、前記第1のPNPトランジスタのコレクタとして機能し、前記第2の電極は、前記第1のPNPトランジスタのエミッタとして機能し、前記第1のウェル領域は、前記第1のPNPトランジスタのベースとして機能し、
前記第3の電極は、前記第2のPNPトランジスタのコレクタとして機能し、前記第4の電極は、前記第2のPNPトランジスタのエミッタとして機能し、前記第2のウェル領域は、前記第2のPNPトランジスタのベースとして機能する
ことを特徴とする請求項2に記載の静電気保護構造。
【請求項5】
前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第2の高濃度ドーピング領域、前記第3の高濃度ドーピング領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域の数は、いずれも少なくとも2つであり、
複数の前記第1の高濃度ドーピング領域同士の間は互いに分離され、複数の前記第2の高濃度ドーピング領域同士の間は互いに分離され、複数の前記第3の高濃度ドーピング領域同士の間は互いに分離され、複数の前記第4の高濃度ドーピング領域同士の間は互いに分離される
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項6】
複数の前記第1の高濃度ドーピング領域同士の間は、電気的に接続されて前記第1の電極として機能し、複数の前記第2の高濃度ドーピング領域同士の間は、電気的に接続されて前記第2の電極として機能し、複数の前記第3の高濃度ドーピング領域同士の間は、電気的に接続されて前記第3の電極として機能し、複数の前記第4の高濃度ドーピング領域同士の間は、電気的に接続されて前記第4の電極として機能する
ことを特徴とする請求項5に記載の静電気保護構造。
【請求項7】
前記第1のディープウェルの上部表層において前記第1のウェル領域と前記第2のウェル領域との間には、少なくとも1つの第5のウェル領域が更に設けられ、前記第5のウェル領域は、前記第1のウェル領域及び前記第2のウェル領域とそれぞれ分離され、前記第5のウェル領域は、第2導電型であり、
各前記第5のウェル領域の上部表層には、第1導電型の第7の高濃度ドーピング領域及び第8の高濃度ドーピング領域が設けられ、各前記第5のウェル領域における前記第7の高濃度ドーピング領域は、隣接する前記第5のウェル領域における前記第8の高濃度ドーピング領域に電気的に接続され、前記第1のウェル領域に隣接する前記第7の高濃度ドーピング領域は、前記第2の高濃度ドーピング領域に電気的に接続され、前記第2のウェル領域に隣接する前記第8の高濃度ドーピング領域は、前記第3の高濃度ドーピング領域に電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項8】
前記第1導電型は、P型であり、前記第2導電型は、N型であり、
前記静電気ポートに静電気電圧を入力する場合、前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第1のウェル領域、及び前記第2の高濃度ドーピング領域は、共に第1のPNPトランジスタを構成し、前記第3の高濃度ドーピング領域、前記第2のウェル領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域は、共に第2のPNPトランジスタを構成し、前記第7の高濃度ドーピング領域、前記第5のウェル領域、及び前記第8の高濃度ドーピング領域は、共に第3のPNPトランジスタを構成し、前記第1のPNPトランジスタ、複数の前記第3のPNPトランジスタ、及び前記第2のPNPトランジスタは、互いに直列に接続される
ことを特徴とする請求項7に記載の静電気保護構造。
【請求項9】
前記第1のディープウェルの上部表層には、複数の第6のウェル領域が更に設けられ、複数の前記第6のウェル領域は、前記第1のウェル領域及び前記第2のウェル領域と交互に配置され、前記第6のウェル領域は、第1導電型である
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項10】
前記第2のディープウェルは、前記第1のディープウェルの外周を取り囲む環状構造であり、前記第3のディープウェルは、前記第2のディープウェルの外周を取り囲む環状構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項11】
前記第3のウェル領域の側壁の幅は、前記第2のディープウェルの側壁の幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項12】
前記第4のウェル領域の側壁の幅は、前記第3のディープウェルの側壁の幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項13】
前記第1のディープウェルの上部表層に位置し、前記第1のディープウェルの上面から前記第1のウェル領域まで貫通し、前記第1の高濃度ドーピング領域及び前記第2の高濃度ドーピング領域と交互に配置される第1の分離構造と、
前記第1のディープウェルの上部表層に位置し、前記第1のディープウェルの上面から前記第2のウェル領域まで貫通し、前記第3の高濃度ドーピング領域及び前記第4の高濃度ドーピング領域と交互に配置される第2の分離構造と、を更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項14】
前記第2のディープウェル及び前記第3のディープウェルの上部表層に位置するとともに、前記第5の高濃度ドーピング領域と前記第6の高濃度ドーピング領域との間に位置する第3の分離構造と、
前記第4のウェル領域の上部表層に位置するとともに、前記第1の高濃度ドーピング領域と前記第5の高濃度ドーピング領域との間、及び前記第4の高濃度ドーピング領域と前記第5の高濃度ドーピング領域との間に位置する第4の分離構造と、を更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の静電気保護構造。
【請求項15】
第1導電型の基板を提供することと、
前記基板中に、前記第1導電型とは逆の第2導電型の埋込層を形成することと、
前記埋込層の上面に、浮遊して配置された第1導電型の第1のディープウェルを形成することと、
一部の領域が前記基板に接触し、前記第1のディープウェルに隣接するとともに前記第1のディープウェルの外周に位置する第2導電型の第2のディープウェルを、前記埋込層の上面に形成することと、
前記基板に完全に接触し、前記第2のディープウェルに隣接するとともに前記第2のディープウェルの外周に位置する第1導電型の第3のディープウェルを、前記埋込層上に形成することと、
互いに分離されるとともに浮遊して配置された、第2導電型の第1のウェル領域及び第2のウェル領域を、前記第1のディープウェルの上部表層に形成し、前記第1のウェル領域の上部表層に、互いに分離された第1の高濃度ドーピング領域及び第2の高濃度ドーピング領域を形成し、前記第2のウェル領域の上部表層に、互いに分離された第3の高濃度ドーピング領域及び第4の高濃度ドーピング領域を形成し、前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第2の高濃度ドーピング領域、前記第3の高濃度ドーピング領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域は、第1導電型であり、前記第1の高濃度ドーピング領域を第1の電極として引き出し静電気ポートに接続し、前記第2の高濃度ドーピング領域を第2の電極として引き出し、前記第3の高濃度ドーピング領域を第3の電極として引き出し前記第2の電極に電気的に接続し、前記第4の高濃度ドーピング領域を第4の電極として引き出すことと、
前記第2のディープウェルの上部表層に、第2導電型の第3のウェル領域を形成し、前記第3のウェル領域の上部表層に、浮遊する第2導電型の第5の高濃度ドーピング領域を形成することと、
前記第3のディープウェルの上部表層に、第1導電型の第4のウェル領域を形成し、前記第4のウェル領域の上部表層に、第1導電型の第6の高濃度ドーピング領域を形成し、前記第6の高濃度ドーピング領域を引き出し前記第4の電極と共に接地させることと、を含む
ことを特徴とする静電気保護構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の技術分野に関し、特に、静電気保護構造、及びその製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2021年6月15に中国特許庁に提出された、出願番号が2021106585184、発明名称が「静電気保護構造、及びその製造方法」である中国特許出願に基づき優先権を主張し、該特許出願の内容全体を参照により本出願に組み込む。
【背景技術】
【0003】
ここでの説明は、本発明に関連する背景情報を提供するものに過ぎず、必ずしも例示的な技術を構成するものではない。
【0004】
集積回路における高電圧デバイスの応用がますます広くなるにつれて、その静電気放電(Electrostatic Discharge、ESD)防止能力に対する要求もますます高まっている。通常、高電圧静電気保護構造は、高電圧に耐える要求を達成するために、複数の低電圧デバイスを直列に接続した構造となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の高電圧静電気保護構造は、通常、順方向の耐電圧には問題ないが、逆方向の高電圧には耐えられず、順方向のESD保護能力と逆方向のESD保護能力とが一致しないという問題があった。
【0006】
本発明のいくつかの実施例によると、静電気保護構造、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
静電気保護構造であって、第1導電型の基板と、前記基板中に位置する、前記第1導電型とは逆の第2導電型の埋込層と、前記埋込層の上面に位置するとともに浮遊して配置された、第1導電型の第1のディープウェルと、前記埋込層の上面に位置するとともに一部の領域が前記基板に接触し、前記第1のディープウェルに隣接するとともに前記第1のディープウェルの外周に位置する、第2導電型の第2のディープウェルと、前記埋込層上に位置するとともに前記基板に完全に接触し、前記第2のディープウェルに隣接するとともに前記第2のディープウェルの外周に位置する、第1導電型の第3のディープウェルと、を含み、前記第1のディープウェルの上部表層には、互いに分離されるとともに浮遊して配置された第1のウェル領域及び第2のウェル領域が設けられ、前記第1のウェル領域及び前記第2のウェル領域は、いずれも第2導電型であり、前記第1のウェル領域の上部表層には、互いに分離された第1の高濃度ドーピング領域及び第2の高濃度ドーピング領域が設けられ、前記第2のウェル領域の上部表層には、互いに分離された第3の高濃度ドーピング領域及び第4の高濃度ドーピング領域が設けられ、前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第2の高濃度ドーピング領域、前記第3の高濃度ドーピング領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域は、第1導電型であり、前記第1の高濃度ドーピング領域は、第1の電極として引き出され静電気ポートに接続され、前記第2の高濃度ドーピング領域は第2の電極として引き出され、前記第3の高濃度ドーピング領域は第3の電極として引き出され前記第2の電極に電気的に接続され、前記第4の高濃度ドーピング領域は第4の電極として引き出され、前記第2のディープウェルの上部表層には、第2導電型の第3のウェル領域が設けられ、前記第3のウェル領域の上部表層には、浮遊する第2導電型の第5の高濃度ドーピング領域が設けられ、前記第3のディープウェルの上部表層には、第1導電型の第4のウェル領域が設けられ、前記第4のウェル領域の上部表層には、第1導電型の第6の高濃度ドーピング領域が設けられ、前記第6の高濃度ドーピング領域は引き出され前記第4の電極と共に接地される。
【0008】
一実施例において、前記第1導電型は、P型であり、前記第2導電型は、N型であり、前記静電気ポートに静電気電圧を入力する場合、前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第1のウェル領域、及び前記第2の高濃度ドーピング領域は、共に第1のPNPトランジスタを構成し、前記第3の高濃度ドーピング領域、前記第2のウェル領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域は、共に第2のPNPトランジスタを構成し、前記第1のPNPトランジスタと前記第2のPNPトランジスタとは、互いに直列に接続される。
【0009】
一実施例において、前記静電気電圧が正の電圧である場合、前記第1の電極は、前記第1のPNPトランジスタのエミッタとして機能し、前記第2の電極は、前記第1のPNPトランジスタのコレクタとして機能し、前記第1のウェル領域は、前記第1のPNPトランジスタのベースとして機能し、前記第3の電極は、前記第2のPNPトランジスタのエミッタとして機能し、前記第4の電極は、前記第2のPNPトランジスタのコレクタとして機能し、前記第2のウェル領域は、前記第2のPNPトランジスタのベースとして機能する。
【0010】
一実施例において、前記静電気電圧が負の電圧である場合、前記第1の電極は、前記第1のPNPトランジスタのコレクタとして機能し、前記第2の電極は、前記第1のPNPトランジスタのエミッタとして機能し、前記第1のウェル領域は、前記第1のPNPトランジスタのベースとして機能し、前記第3の電極は、前記第2のPNPトランジスタのコレクタとして機能し、前記第4の電極は、前記第2のPNPトランジスタのエミッタとして機能し、前記第2のウェル領域は、前記第2のPNPトランジスタのベースとして機能する。
【0011】
一実施例において、前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第2の高濃度ドーピング領域、前記第3の高濃度ドーピング領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域の数は、いずれも少なくとも2つであり、複数の前記第1の高濃度ドーピング領域同士の間は互いに分離され、複数の前記第2の高濃度ドーピング領域同士の間は互いに分離され、複数の前記第3の高濃度ドーピング領域同士の間は互いに分離され、複数の前記第4の高濃度ドーピング領域同士の間は互いに分離される。
【0012】
一実施例において、複数の前記第1の高濃度ドーピング領域同士の間は、電気的に接続されて前記第1の電極として機能し、複数の前記第2の高濃度ドーピング領域同士の間は、電気的に接続されて前記第2の電極として機能し、複数の前記第3の高濃度ドーピング領域同士の間は、電気的に接続されて前記第3の電極として機能し、複数の前記第4の高濃度ドーピング領域同士の間は、電気的に接続されて前記第4の電極として機能する。
【0013】
一実施例において、前記第1のディープウェルの上部表層において前記第1のウェル領域と前記第2のウェル領域との間には、少なくとも1つの第5のウェル領域が更に設けられ、前記第5のウェル領域は、前記第1のウェル領域及び前記第2のウェル領域とそれぞれ分離され、前記第5のウェル領域は、第2導電型であり、各前記第5のウェル領域の上部表層には、第1導電型の第7の高濃度ドーピング領域及び第8の高濃度ドーピング領域が設けられ、各前記第5のウェル領域における前記第7の高濃度ドーピング領域は、隣接する前記第5のウェル領域における前記第8の高濃度ドーピング領域に電気的に接続され、前記第1のウェル領域に隣接する前記第7の高濃度ドーピング領域は、前記第2の高濃度ドーピング領域に電気的に接続され、前記第2のウェル領域に隣接する前記第8の高濃度ドーピング領域は、前記第3の高濃度ドーピング領域に電気的に接続される。
【0014】
一実施例において、前記第1のディープウェルの上部表層には、複数の第6のウェル領域が更に設けられ、複数の前記第6のウェル領域は、前記第1のウェル領域及び前記第2のウェル領域と交互に配置され、前記第6のウェル領域は、第1導電型である。
【0015】
一実施例において、前記第2のディープウェルは、前記第1のディープウェルの外周を取り囲む環状構造であり、前記第3のディープウェルは、前記第2のディープウェルの外周を取り囲む環状構造である。
【0016】
静電気保護構造の製造方法は、第1導電型の基板を提供することと、前記基板中に、前記第1導電型とは逆の第2の導電型の埋込層を形成することと、前記埋込層の上面に、浮遊して配置された第1導電型の第1のディープウェルを形成することと、一部の領域が前記基板に接触し、前記第1のディープウェルに隣接するとともに前記第1のディープウェルの外周に位置する第2導電型の第2のディープウェルを、前記埋込層の上面に形成することと、前記基板に完全に接触し、前記第2のディープウェルに隣接するとともに前記第2のディープウェルの外周に位置する第1導電型の第3のディープウェルを、前記埋込層上に形成することと、互いに分離されるとともに浮遊して配置された、第2導電型の第1のウェル領域及び第2のウェル領域を、前記第1のディープウェルの上部表層に形成し、前記第1のウェル領域の上部表層に、互いに分離された第1の高濃度ドーピング領域及び第2の高濃度ドーピング領域を形成し、前記第2のウェル領域の上部表層に、互いに分離された第3の高濃度ドーピング領域及び第4の高濃度ドーピング領域を形成し、前記第1の高濃度ドーピング領域、前記第2の高濃度ドーピング領域、前記第3の高濃度ドーピング領域、及び前記第4の高濃度ドーピング領域は、第1導電型であり、前記第1の高濃度ドーピング領域を第1の電極として引き出し静電気ポートに接続し、前記第2の高濃度ドーピング領域を第2の電極として引き出し、前記第3の高濃度ドーピング領域を第3の電極として引き出し前記第2の電極に電気的に接続し、前記第4の高濃度ドーピング領域を第4の電極として引き出すことと、前記第2のディープウェルの上部表層に、第2導電型の第3のウェル領域を形成し、前記第3のウェル領域の上部表層に、浮遊する第2導電型の第5の高濃度ドーピング領域を形成することと、前記第3のディープウェルの上部表層に、第1導電型の第4のウェル領域を形成し、前記第4のウェル領域の上部表層に、第1導電型の第6の高濃度ドーピング領域を形成し、前記第6の高濃度ドーピング領域を引き出し前記第4の電極と共に接地させることと、を含む。
【0017】
本発明の1つ又は複数の実施例の詳細は、以下の図面及び説明で示される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、本発明の実施例又は例示的な技術における技術的解決策をより明確に説明するために、実施例又は例示的な技術の説明に必要な図面について簡単に説明する。以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な努力を払わずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができることが明らかであろう。
図1】一実施例における静電気保護構造の断面構成模式図である
図2】一実施例における静電気保護構造の断面構成模式図である
図3】一実施例における静電気保護構造の断面構成模式図である
図4】一実施例における静電気保護構造の断面構成模式図である
図5】一実施例における静電気保護構造の等価模式図である
図6】一実施例における静電気保護構造の断面構成模式図である
図7】一実施例における静電気保護構造の製造方法のフローチャートである。
図8】一実施例における静電気保護構造の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明への理解を容易にするために、関連図面を参照して本発明をより完全に説明する。本発明の好適な実施例を図面に示す。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施例に限定されない。逆に、これらの実施例は、本発明の開示内容をより徹底的かつ完全的にすることを目的として提供される。
【0020】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるような意味を有する。本明細書において、本発明の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明する目的のみで使用され、本発明を限定することを意図するものではない。
【0021】
理解すべきものとして、要素又は層が他の要素又は層「...上にある」、「...に隣接する」、「に接続される」、又は「に結合される」と呼ばれる場合、直接他の要素又は層上にあるか、直接他の要素又は層に隣接するか、直接他の要素又は層に接続又は結合されてもよいし、或は、介在する要素又は層が存在してもよい。逆に、要素が他の要素又は層に対して「直接...上にある」、「直接...に隣接する」、「に直接接続される」、又は「に直接結合される」と呼ばれる場合には、介在する要素又は層が存在しない。理解すべきものとして、第1、第2、第3などの用語を使用して説明様々な要素、部品、領域、層、導電型及び/又は部分、これらの要素、部品、領域、層、導電型及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、層、導電型又は部分と、もう1つ他の要素、部品、領域、層、導電型又は部分とを区分するために用いられる。したがって、本明細書の教示から逸脱することなく、後述する第1の要素、部品、領域、層、又は部分は、第2の要素、部品、領域、層、又は部分として表すことができる。例を挙げて言えば、第1導電型を第2導電型と呼び、同様に、第2導電型を第1導電型と呼ぶことができる。第1導電型と第2導電型とは、異なる導電型であり、例えば、第1導電型はP型であり、第2導電型はN型であってもよいし、或は、第1導電型はN型であり、第2導電型はP型であってもよい。
【0022】
「...下にある」、「...下方にある」、「の下の」、「...の下にある」、「...の上にある」、「の上の」等の空間関係用語は、ここでは、図面に示された1つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を説明するために用いられる。理解すべきものとして、図面に示された方位に加えて、空間関係用語は、使用及び動作中のデバイスの異なる方位を更に含む。例えば、図面のデバイスが反転する場合、「他の要素の下にある」、「その下にある」、又は「その下方にある」要素又は特徴の方位が他の要素又は特徴の「上にある」に変えることとして説明される。したがって、例示的な用語である「...下方にある」及び「...下にある」は、上及び下のような2つの方位を含むことができる。なお、デバイスは、他の方位(例えば、90度回転又は他の方位)を含んでもよく、ここで使用される空間用語もそれに応じて解釈される。
【0023】
本明細書で使用される場合、単数形の「一」、「1つ」、及び「前記/当該」は、文脈で明らかにそうでないことを示していない限り、複数形も含むことができる。更に理解すべきものとしては、「含む/含有する」又は「有する」などの用語は、説明される特徴、全体、ステップ、操作、部品、部分、又はそれらの組み合わせの存在を指定するが、1つ又は複数の別の特徴、全体、ステップ、操作、部品、部分、又はそれらの組み合わせの存在又は付加の可能性を排除しない。それと同時に、本明細書において、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0024】
図1は、一実施例の静電気保護構造の構成模式図である。静電気保護構造10は、基板100と、埋込層200と、第1のディープウェル300と、第2のディープウェル400と、第3のディープウェル500と、を含む。
【0025】
本実施例において、基板100は、第1導電型であり、基板100内には、注入された埋込層200が形成され、埋込層200は、第1導電型とは逆の第2導電型である。例示的に、本実施例において、第1導電型は、P型であり、第2導電型は、N型である。
【0026】
本実施例において、第1のディープウェル300は、埋込層200上に位置するとともに、浮遊して配置され、第1導電型である。
【0027】
ここで、第1のディープウェル300と埋込層200とは、逆の導電型を有し、第1のディープウェル300と埋込層200とは、異なるドーピング濃度勾配を有し、それにより、第1のディープウェル300と埋込層200との間にはPN接合を形成することができる。したがって、静電気保護構造が静電気電圧に接続されると、第1のディープウェル300と埋込層200との間は、静電気放電の潜在的経路の1つとして機能することができる。
【0028】
ここで、第1のディープウェル300の上部表層には、互いに分離されるとともに浮遊して配置された第1のウェル領域310と第2のウェル領域320とが設けられ、第1のウェル領域310及び第2のウェル領域320は、いずれも第2導電型であり、第1のウェル領域310の上部表層には、互いに分離された第1の高濃度ドーピング領域311と第2の高濃度ドーピング領域312とが設けられ、第2のウェル領域320の上部表層には、互いに分離された第3の高濃度ドーピング領域321と第4の高濃度ドーピング領域322とが設けられ、第1の高濃度ドーピング領域311、第2の高濃度ドーピング領域312、第3の高濃度ドーピング領域321、及び第4の高濃度ドーピング領域322は、第1導電型であり、第1の高濃度ドーピング領域311は第1の電極J1として引き出され静電気ポートHに接続され、第2の高濃度ドーピング領域312は第2の電極J2として引き出され、第3の高濃度ドーピング領域321は、第3の電極J3として引き出され第2の電極J2に電気的に接続され、第4の高濃度ドーピング領域322は、第4の電極J4として引き出される。
【0029】
ここで、静電気ポートHは、一方向又は双方向の耐電圧が要求とされるポートであり、静電気電圧を入力するために用いられ、静電気電圧は、例えば高電圧の静電気電圧であってもよい。本実施例の静電気保護構造は、一方向の耐電圧が必要とされる場合には、順方向の耐電圧又は逆方向の耐電圧を行うことができ、双方向の耐電圧が必要とされる場合には、順方向の耐電圧及び逆方向の耐電圧を行うことによって、接続された静電気を放電することができる。ここで、第4の電極J4は、静電気保護構造の静電気ポートLとして機能する。
【0030】
ここで、第1のディープウェル300は、第1のウェル領域310及び第2のウェル領域320とは逆の導電型を有するとともに、第1のウェル領域310及び第2のウェル領域320とは異なるドーピング濃度勾配を有するため、第1のディープウェル300と第1のウェル領域310との間、及び第1のディープウェル300と第2のウェル領域320との間には、PN接合を形成することができ、それにより、静電気ポートHに静電気電圧を入力すると、第1のウェル領域310と第1の高濃度ドーピング領域311との間、及び第1のウェル領域310と第2の高濃度ドーピング領域312との間は、静電気放電の潜在的経路の1つのとして機能することができる。
【0031】
ここで、第1のウェル領域310は、第1の高濃度ドーピング領域311及び第2の高濃度ドーピング領域312とは逆の導電型を有するとともに、第1の高濃度ドーピング領域311及び第2の高濃度ドーピング領域312とは異なるドーピング濃度勾配を有するため、第1のウェル領域310と第1の高濃度ドーピング領域311との間には、PN接合を形成することができ、第1のウェル領域310と第2の高濃度ドーピング領域312との間には、PN接合を形成することができるとともに、第1のウェル領域310と第1の高濃度ドーピング領域311との間のPN接合と、第1のウェル領域310と第2の高濃度ドーピング領域312との間に形成されたPN接合とは、電圧バイアスが逆であり、これにより、静電気ポートHに静電気電圧を入力すると、第1のウェル領域310と第1の高濃度ドーピング領域311との間、及び第1のウェル領域310と第2の高濃度ドーピング領域312との間は、静電気放電のための潜在的経路の1つのとして機能することができる。
【0032】
ここで、第2のウェル領域320は、第3の高濃度ドーピング領域321及び第4の高濃度ドーピング領域322とは逆の導電型を有するとともに、第3の高濃度ドーピング領域321及び第4の高濃度ドーピング領域322とは異なるドーピング濃度勾配を有するため、第2のウェル領域320と第3の高濃度ドーピング領域321との間には、PN接合を形成することができ、第2のウェル領域320と第4の高濃度ドーピング領域322との間には、PN接合を形成することができるとともに、第2のウェル領域320と第3の高濃度ドーピング領域321との間のPN接合と、第2のウェル領域320と第4の高濃度ドーピング領域322との間に形成されたPN接合とは、電圧バイアスが逆であり、これにより、静電気ポートHに静電気電圧を入力すると、第2のウェル領域320と第3の高濃度ドーピング領域321との間、及び第2のウェル領域320と第4の高濃度ドーピング領域322との間は、静電気放電のための潜在的経路の1つのとして機能することができる。
【0033】
ここで、第1の高濃度ドーピング領域311は、第1の電極J1として引き出され静電気ポートHに接続され、第2の高濃度ドーピング領域312は、第2の電極J2として引き出され、第3の高濃度ドーピング領域321は、第3の電極J3として引き出され第2の電極J2に電気的に接続され、第4の高濃度ドーピング領域322は、第4の電極J4として引き出されるため、静電気ポートHに静電気電圧を入力するとともに、第1のウェル領域310と第2の高濃度ドーピング領域312との間のPN接合がブレークダウンされると、第3の電極J3と第2の電極J2との間は、電流がターンオンされ、第1の高濃度ドーピング領域311、第1のウェル領域310、第2の高濃度ドーピング領域312、第3の高濃度ドーピング領域321、第2のウェル領域320、及び第4の高濃度ドーピング領域322は、異なる電圧バイアスを有する静電気放電の潜在的経路を形成する。
【0034】
いくつかの実施例において、図2に示されたように、第1の高濃度ドーピング領域311、第2の高濃度ドーピング領域312、第3の高濃度ドーピング領域321、及び第4の高濃度ドーピング領域322の数は、いずれも少なくとも2つであり(図2は、数がいずれも2つである例である)、複数の第1の高濃度ドーピング領域311同士の間は、互いに分離され、複数の第2の高濃度ドーピング領域312同士の間は、互いに分離され、複数の第3の高濃度ドーピング領域321同士の間は、互いに分離され、複数の第4の高濃度ドーピング領域322同士の間は、互いに分離される。ここで、複数の第1の高濃度ドーピング領域311同士の間は、電気的に接続されて第1の電極J1として機能し、複数の第2の高濃度ドーピング領域312同士の間は、電気的に接続されて第2の電極J2として機能し、複数の第3の高濃度ドーピング領域321同士の間は、電気的に接続されて第3の電極J3として機能し、複数の第4の高濃度ドーピング領域322同士の間は、電気的に接続されて第4の電極J4として機能する。したがって、各電極は複数の高濃度ドーピング領域に対応し、各電極の静電気保護中の静電気放電能力の向上に有利である。
【0035】
ここで、第1の高濃度ドーピング領域311、第2の高濃度ドーピング領域312、第3の高濃度ドーピング領域321、及び第4の高濃度ドーピング領域322の数は、実際の要求に応じて設定することができ、例えば、実際の静電気電圧の大きさに応じて設定することができる。静電気電圧がより高い場合、製品の大きさが許容できる範囲内でより多い数を設定することができ、静電気電圧がより小さい場合、より少ない数を設定することができる。
【0036】
いくつかの実施例において、第1導電型がP型であり、第2導電型がN型であり、静電気ポートHに静電気電圧を入力すると、第1の高濃度ドーピング領域311、第1のウェル領域310、及び第2の高濃度ドーピング領域312は、共に第1のPNPトランジスタを構成し、第3の高濃度ドーピング領域321、第2のウェル領域320、及び第4の高濃度ドーピング領域322は、共に第2のPNPトランジスタを構成し、第1のPNPトランジスタと第2のPNPトランジスタとは、互いに直列に接続される。PNPトランジスタを利用してESD保護を行うことにより、その維持電圧をより高くすることができる。
【0037】
更に、静電気ポートHに正の電圧を入力する場合、第1の電極J1は、第1のPNPトランジスタのエミッタであり、第2の電極J2は、第1のPNPトランジスタのコレクタであり、第1のウェル領域310は、第1のPNPトランジスタの浮遊ベースであり、第3の電極J3は、第2のPNPトランジスタのエミッタであり、第4の電極J4は、第2のPNPトランジスタのコレクタであり、第2のウェル領域320は、第2のPNPトランジスタの浮遊ベースである。ここで、静電気ポートHに正の電圧を入力する場合、静電気保護構造は順方向の耐電圧モードにあり、第1のPNPトランジスタのエミッタと浮遊ベースの順バイアスによって、第1のPNPトランジスタの浮遊ベースとエミッタがブレークダウンされ、ブレークダウンに起因するアバランシェ電流が第2のPNPトランジスタのエミッタを通過し、第1のPNPトランジスタと第2のPNPトランジスタとの間の直列接続を実現し、順方向の静電気保護の静電気放電の主経路を形成し、高電圧に耐える要求を達成する。
【0038】
更に、静電気ポートHに負の電圧を入力する場合、第1の電極J1は、第1のPNPトランジスタのコレクタであり、第2の電極J2は、第1のPNPトランジスタのエミッタであり、第3の電極J3は、第2のPNPトランジスタのコレクタであり、第4の電極J4は、第2のPNPトランジスタのエミッタである。
【0039】
したがって、異なる静電気電圧を入力する場合、第1のPNPトランジスタと第2のPNPトランジスタのコレクタとエミッタを入れ替えることができ、双方向の耐電圧の一致性をより容易に実現することができる。
【0040】
説明すべきものとして、他の実施例において、PNPトランジスタを構成することに限定されず、他の層構造を設けることによって、他のデバイス種類、例えばPMOSデバイス、具体的にはGDPMOSデバイスの静電気保護構造を形成してもよい。
【0041】
いくつかの実施例において、図3に示されたように、第1のディープウェル300の上部表層において第1のウェル領域310と第2のウェル領域320との間には、少なくとも1つの第5のウェル領域330(図3は、図2に示された実施例の基に1つの第5のウェル領域330を追加した実施例を示す)が更に設けられ、第5のウェル領域330は、第1のウェル領域310及び第2のウェル領域320と分離され、第5のウェル領域330は、第2導電型であり、各第5のウェル領域330の上部表層には、第1導電型の第7の高濃度ドーピング領域331及び第8の高濃度ドーピング領域が設けられ、各第5のウェル領域330の第7の高濃度ドーピング領域331は、隣接する第5のウェル領域330における第8の高濃度ドーピング領域332に電気的に接続され、第1のウェル領域310に隣接する第7の高濃度ドーピング領域331は、第2の高濃度ドーピング領域312に電気的に接続され、第2のウェル領域320に隣接する第8の高濃度ドーピング領域332は、第3の高濃度ドーピング領域321に電気的に接続される。これにより、第1の高濃度ドーピング領域311、第1のウェル領域310、第2の高濃度ドーピング領域312、第7の高濃度ドーピング領域331、第5のウェル領域330、第8の高濃度ドーピング領域332、第3の高濃度ドーピング領域321、第2のウェル領域320、及び第4の高濃度ドーピング領域322は、異なる電圧バイアスを有する静電気放電の潜在的経路を形成する。
【0042】
第1導電型がP型であり、第2導電型がN型であり、静電気ポートHに静電気電圧を入力すると、第1の高濃度ドーピング領域311、第1のウェル領域310、及び第2の高濃度ドーピング領域312は、共に第1のPNPトランジスタを構成し、第3の高濃度ドーピング領域321、第2のウェル領域320、及び第4の高濃度ドーピング領域322は、共に第2のPNPトランジスタを構成し、第7の高濃度ドーピング領域331、第5のウェル領域330、及び第8の高濃度ドーピング領域332は、共に第3のPNPトランジスタを構成し、第1のPNPトランジスタ、複数の第3のPNPトランジスタ、及び第2のPNPトランジスタは、互いに直列に接続される。ここで、静電気ポートHに正の電圧を入力すると、静電気保護構造は順方向の耐電圧モードにあり、第1のPNPトランジスタのエミッタと浮遊ベースの順バイアスによって、第1のPNPトランジスタの浮遊ベースとエミッタがブレークダウンされ、ブレークダウンに起因するアバランシェ電流が第3のPNPトランジスタのエミッタを通過し、第3のPNPトランジスタのエミッタと浮遊ベースの順バイアスによって、第2のPNPトランジスタの浮遊ベースとエミッタがブレークダウンされ、ブレークダウンに起因するアバランシェ電流が第2のPNPトランジスタのエミッタを通過し、それにより、第1のPNPトランジスタと第3のPNPトランジスタとの間の直列接続、及び第3のPNPトランジスタと第2のPNPトランジスタとの間の直列接続を実現し、順方向の静電気保護の静電気放電の主経路を形成して、静電気耐電圧の能力を更に向上させると同時に、より高い静電気維持電圧を有し、ラッチアップ効果を生じにくくすることができる。
【0043】
ここで、第3のPNPトランジスタの数は、静電気電圧の異なるグレードに応じて設定することができ、静電気電圧のグレードが高いほど、より多い第3のPNPトランジスタを設定して、より高いグレードの静電気保護を解決することができる。
【0044】
いくつかの実施例において、図4に示されたように、第1のディープウェル300の上部表層には、複数の第6のウェル領域340が更に設けられ、複数の第6のウェル領域340は、第1のウェル領域310及び第2のウェル領域320と交互に配置され、第6のウェル領域340は、第1導電型である。
【0045】
ここで、第6のウェル領域340は、第1のウェル領域310及び第2のウェル領域320と交互に配置され、第1のウェル領域310及び第2のウェル領域320とは逆の導電型及び同一のドーピング濃度勾配を有するため、第6のウェル領域340によって、第1のウェル領域310と第2のウェル領域320とが分離され、第1のウェル領域310と第2のウェル領域320とが静電気耐電圧中に互いに影響を与えることが回避される。更に、第2のディープウェル400に近い第6のウェル領域340は、第1のウェル領域310と第3のウェル領域との間に位置する。第6のウェル領域340と第1のウェル領域310及び第2のウェル領域320とは逆の導電型及び同一のドーピング濃度勾配を有するため、第6のウェル領域340によって、第1のウェル領域310と第3のウェル領域とが分離され、第1のウェル領域310と第3のウェル領域とが静電気耐電圧中に互いに影響を与えることが回避される。
【0046】
本実施例において、第2のディープウェル400は、埋込層200の上面に位置するとともに、一部の領域が基板100に接触し、第2導電型であり、第2のディープウェル400は、第1のディープウェル300に隣接するとともに、第1のディープウェル300の外周に位置する。
【0047】
ここで、第2のディープウェル400は、埋込層200の上面に位置するとともに、一部の領域が基板100に接触し、第1のディープウェル300に隣接する。第2のディープウェル400及び埋込層200は第1のディープウェル300及び基板100とは逆の導電型及び異なるドーピング濃度勾配を有するため、第2のディープウェル400及び埋込層200と基板100との間には、PN接合を形成することができ、第2のディープウェル400及び埋込層200と第1のディープウェル300との間には、PN接合を形成することができ、静電気ポートHを介して電圧を入力すると、第2のディープウェル400及び埋込層200と基板100との間、及び第2のディープウェル400及び埋込層200と第1のディープウェル300との間は、静電気放電の潜在的経路の1つとなることができる。ここで、第2のディープウェル400は、第1のディープウェル300と第3のディープウェル500との間に位置するとともに、第1のディープウェル300及び第3のディープウェル500とは逆の導電型を有し、それにより、第2のディープウェル400によって、第1のディープウェル300と第3のディープウェル500とが分離される。
【0048】
ここで、第2のディープウェル400の上部表層には、第2導電型の第3のウェル領域410が設けられ、第3のウェル領域410の上部表層には、浮遊する第2導電型の第5の高濃度ドーピング領域411が設けられる。第5の高濃度ドーピング領域411が浮遊して静電気保護構造の分離ポートとして引き出される。例示的に、第3のウェル領域410の側壁の幅は、第2のディープウェル400の側壁の幅よりも小さいし、それにより、第3のウェル領域410は、隣接する第1のディープウェル300及び第3のディープウェル500とそれぞれ分離される。
【0049】
いくつかの実施例において、第2のディープウェル400は、第1のディープウェル300の外周を取り囲む環状構造であり、第3のディープウェル500は、第2のディープウェル400の外周を取り囲む環状構造であり、それにより、第2のディープウェル400と第3のディープウェル500とは、二重環構造を形成し、内部の第1のディープウェル300とともに静電気放電ための放電経路を形成すると同時に、同一の導電型のウェル領域間の互いの影響を効果的に防止することもでき、静電気保護性能を効果的に向上させる。
【0050】
本実施例において、第3のディープウェル500は、埋込層200上に位置するとともに基板100に接触し、第1導電型であり、第3のディープウェル500は、第2のディープウェル400に隣接するとともに、第2のディープウェル400の外周に位置する。
【0051】
ここで、第3のディープウェル500は、埋込層200上に位置するとともに、基板100に完全に接触し、第2のディープウェル400に隣接する。第3のディープウェル500及び基板100は、第2のディープウェル400及び埋込層200とは逆の導電型を有するため、第3のディープウェル500及び基板100と第2のディープウェル400及び埋込層200との間には、PN接合を形成することができ、静電気ポートHを介して電圧を入力すると、第3のディープウェル500及び基板100と第2のディープウェル400及び埋込層200との間は、静電気放電のための潜在的経路の1つとなることができる。
【0052】
ここで、第3のディープウェル500の上部表層には、第1導電型の第4のウェル領域510が設けられ、第4のウェル領域510の上部表層には、第1導電型の第6の高濃度ドーピング領域511が設けられ、第6の高濃度ドーピング領域511は引き出され第4の電極J4と共に接地され、即ち、第6の高濃度ドーピング領域511は引き出され第4の電極J4と共に基板に接続される。例示的に、第4のウェル領域510の側壁の幅は、第3のディープウェル500の側壁の幅よりも小さいし、それにより、第4のウェル領域510は、隣接する第2のディープウェル400と分離される。
【0053】
ここで、第4のウェル領域510、第3のディープウェル500及び基板100と、埋込層200、第2のディープウェル400、及び第3のウェル領域410とは、逆の導電型及び異なるドーピング濃度勾配を有するため、第4のウェル領域510、第3のディープウェル500、及び基板100と、埋込層200、第2のディープウェル400、及び第3のウェル領域410との間には、PN接合を形成することができる。埋込層200、第2のディープウェル400、及び第3のウェル領域410と、第1のディープウェル300とは、逆の導電型及び異なるドーピング濃度勾配を有するため、埋込層200、第2のディープウェル400、及び第3のウェル領域410と、第1のディープウェル300との間には、PN接合を形成することができる。
【0054】
以下、図5を参照して、静電気保護構造が2つのPNPトランジスタを含む例を挙げて、静電気保護構造の双方向静電気保護の過程を説明する。
【0055】
静電気ポートHに正の電圧を入力すると、静電気保護構造は、順方向の耐電圧モードにあり、即ち、第1の高濃度ドーピング領域311と浮遊する第1のウェル領域310との間に形成されたPN接合(図5のPN1を参照)は、順バイアス状態にあり、第1のウェル領域310と第2の重ドーピングとの間に形成されたPN接合(図5のPN2を参照)は、逆バイアス状態にあり、第3の高濃度ドーピング領域321と浮遊する第2のウェル領域320との間に形成されたPN接合(図5のPN3を参照)は、順バイアス状態にあり、第2のウェル領域320と第4の重ドーピングとの間に形成されたPN接合(を参照図5のPN4)は、逆バイアス状態にある。第1のウェル領域310と第2の重ドーピングとの間に形成されたPN接合がブレークダウンされると、第1の高濃度ドーピング領域311、第1のウェル領域310、及び第2の高濃度ドーピング領域312は、共に第1のPNPトランジスタQ1を構成し、第3の高濃度ドーピング領域321、第2のウェル領域320、及び第4の高濃度ドーピング領域322は、共に第2のPNPトランジスタQ2を構成し、第1のPNPトランジスタQ1及び第2のPNPトランジスタQ2によって順方向の耐電圧を行うことによって、より高い静電気維持電圧を有し、ラッチアップ効果を生じにくくすることができる。
【0056】
静電気ポートHが負の電圧に接続されると、静電気保護構造は、負耐電圧モードにあり、即ち、接地された第6の高濃度ドーピング領域511は、正の電圧に接続されることに相当し、それにより、第4のウェル領域510、第3のディープウェル500、及び基板100と、埋込層200、第2のディープウェル400、及び第3のウェル領域410との間に形成されたPN接合(図5のPN5を参照)は、順バイアス状態にあり、埋込層200、第2のディープウェル400、及び第3のウェル領域410と、第1のディープウェル300との間のPN接合(図5のPN6を参照)は、逆バイアス状態にあり、第1のディープウェル300と第1のウェル領域310との間のPN接合(図5のPN7を参照)は、順バイアス状態にあり、且つ、第2のディープウェル400及び埋込層200と第1のディープウェル300との間のPN接合の耐電圧が非常に高いので、第2のPNPトランジスタQ2の浮遊ベースとエミッタのブレークダウン電圧より低くなることはない。それにより、埋込層200、第2のディープウェル400、及び第3のウェル領域410は、浮遊ベースに相当し、第4のウェル領域510、第3のディープウェル500、及び基板100は、エミッタに相当し、第1のディープウェル300は、コレクタに相当し、埋込層200、第2のディープウェル400、第3のウェル領域410、第4のウェル領域510、第3のディープウェル500、基板100、及び第1のディープウェル300は、寄生PNPトランジスタQ3を形成する。第1のディープウェル300は、ダイオードの正極に相当し、第1のウェル領域310は、ダイオードDの負極に相当し、第1のディープウェル300と第1のウェル領域310は、ダイオードDを形成し、それにより、寄生PNPトランジスタQ3及びダイオードDによって逆方向の耐電圧を実現することができると同時に、静電気保護構造により高い静電気維持電圧を持たせ、ラッチアップ効果を生じにくくすることができる。
【0057】
このため、静電気保護構造が順方向の耐電圧モードにあると、第1のPNPトランジスタQ1と第2のPNPトランジスタQ2との直列接続能力を利用して順方向の耐電圧を行うことによって、より高い静電気維持電圧を有し、ラッチアップ効果を生じにくくすることができる。静電気保護構造が負の耐電圧モードにある場合にも、第1のPNPトランジスタQ1と第2のPNPトランジスタQ2との直列接続能力を利用すると同時に、並列に接続された高耐電圧PNPトランジスタQ3とダイオードDとを利用することによって、より高い静電気維持電圧を有し、ラッチアップ効果を生じにくくすることができる。したがって、静電気保護構造は、双方向の耐電圧の一致性を実現することができる。
【0058】
本実施例によって提供される静電気保護構造は、第1導電型の基板100と、第2導電型の埋込層200と、第1導電型の第1のディープウェル300と、第2導電型の第2のディープウェル400と、第1導電型の第3のディープウェル500と、を含み、第1のディープウェル300中には、逆の導電型のウェル領域及び同一の導電型の高濃度ドーピング領域が設けられ、第2のディープウェル400及び第3のディープウェル500中には、同一の導電型のウェル領域及び高濃度ドーピング領域がそれぞれ設けられる。ここで、第1のディープウェル300、第1のウェル領域310、及び第2のウェル領域320は、浮遊しており、第1の高濃度ドーピング領域311は引き出され静電気電圧に接続され、第6の高濃度ドーピング領域511は、接地される。静電気ポートHに正の電圧を入力すると、静電気保護構造は順方向の耐電圧モードにあり、第1の高濃度ドーピング領域311、第1のウェル領域310、及び第2の高濃度ドーピング領域312は、共に第1のPNPトランジスタQ1を構成し、第3の高濃度ドーピング領域321、第2のウェル領域320、及び第4の高濃度ドーピング領域322は、共に第2のPNPトランジスタQ2を構成し、第1のPNPトランジスタQ1及び第2のPNPトランジスタQ2によって順方向の耐電圧を行うことによって、より高い静電気維持電圧を有し、ラッチアップ効果を生じにくくすることができる。静電気ポートHに負の電圧を入力すると、静電気保護構造は、逆方向の耐電圧モードにあり、埋込層200、第2のディープウェル400、第3のウェル領域410、第4のウェル領域510、第3のディープウェル500、基板100、及び第1のディープウェル300は、寄生PNPトランジスタを形成し、第1のディープウェル300と第1のウェル領域310は、ダイオードを形成し、寄生PNPトランジスタ及びダイオードによって逆方向の耐電圧を実現することができると同時に、静電気保護構造により高い静電気維持電圧を持たせ、ラッチアップ効果を生じにくくすることができる。したがって、静電気保護構造は、双方向の耐電圧の一致性を実現することができる。
【0059】
図6は、一実施例の静電気保護構造の構成模式図である。上記の実施例の静電気保護構造に基づいて、本実施例における静電気保護構造は、第1の分離構造と、第2の分離構造と、第3の分離構造と、第4の分離構造と、を更に含む。
【0060】
本実施例において、第1の分離構造600は、第1のディープウェル300の上部表層に位置するとともに、第1のディープウェル300の上面から第1のウェル領域310まで貫通し、第1の分離構造600は、第1の高濃度ドーピング領域311及び第2の高濃度ドーピング領域312と交互に配置され、それにより、第1の高濃度ドーピング領域311と第2の高濃度ドーピング領域312とが分離され、第1の高濃度ドーピング領域311と第2の高濃度ドーピング領域312とが静電気放電中に互いに影響を与えることが回避される。
【0061】
本実施例において、第2の分離構造700は、第1のディープウェル300の上部表層に位置するとともに、第1のディープウェル300の上面から第2のウェル領域320まで貫通し、第2の分離構造700は、第3の高濃度ドーピング領域321及び第4の高濃度ドーピング領域322と交互に配置され、それにより、第3の高濃度ドーピング領域321と第4の高濃度ドーピング領域322とが分離され、第3の高濃度ドーピング領域321と第4の高濃度ドーピング領域322とが静電気放電中に互いに影響を与えることが回避される。
【0062】
本実施例において、第3の分離構造800は、第2のディープウェル400及び第3のディープウェル500の上部表層に位置するとともに、第5の高濃度ドーピング領域411及び第6の高濃度ドーピング領域511との間に位置し、それにより、第5の高濃度ドーピング領域411と第6の高濃度ドーピング領域511とが分離され、第5の高濃度ドーピング領域411と第6の高濃度ドーピング領域511とが静電気放電中に互いに影響を与えることが回避される。
【0063】
本実施例において、第4の分離構造910は、第4のウェル領域510の上部表層に位置するとともに、第1の高濃度ドーピング領域311と第5の高濃度ドーピング領域411との間、及び第4の高濃度ドーピング領域322と第5の高濃度ドーピング領域411との間に位置し、それにより、第1の高濃度ドーピング領域311と第5の高濃度ドーピング領域411とが分離され、第4の高濃度ドーピング領域322と第5の高濃度ドーピング領域411とが分離され、静電気保護構造の分離性能を更に向上させる。
【0064】
本実施例において、第5の分離構造920は、第3のディープウェル500の上部表層に位置することにより、静電気保護構造を他のデバイスから分離し、静電気保護構造の分離性能を更に向上させる。
【0065】
一実施例において、上記第1の分離構造600、第2の分離構造700、第3の分離構造800、第4の分離構造910、及び第5の分離構造920は、シャロートレンチ分離構造であってもよい。
【0066】
本実施例における静電気保護構造によれば、第1の分離構造600、第2の分離構造700、第3の分離構造800、第4の分離構造910、及び第5の分離構造920によって、デバイスの分離性能を効果的に向上させることができる。
【0067】
本実施例は、上記の実施例に記載の静電気保護構造を製造するための、静電気保護構造の製造方法を更に提供する。図7に示されたように、この製造方法は、以下のステップを含む。
【0068】
ステップ110において、第1導電型の基板を提供する。
【0069】
ステップ120において、基板中に、第1導電型とは逆の第2導電型の埋込層を形成する。
【0070】
ステップ130において、埋込層の上面に、浮遊して配置された第1導電型の第1のディープウェルを形成する。
【0071】
ステップ140において、一部の領域が基板に接触し、第1のディープウェルに隣接するとともに第1のディープウェルの外周に位置する第2導電型の第2のディープウェルを、埋込層の上面に形成する。
【0072】
ステップ150において、基板に完全に接触し、第2のディープウェルに隣接するとともに第2のディープウェルの外周に位置する第1導電型の第3のディープウェルを、埋込層上に形成する。
【0073】
ステップ160において、互いに分離されるとともに浮遊して配置された、第2導電型の第1のウェル領域および第2のウェル領域を、第1のディープウェルの上部表層に形成し、第1のウェル領域の上部表層に、互いに分離された第1の高濃度ドーピング領域及び第2の高濃度ドーピング領域を形成し、第2のウェル領域の上部表層に、互いに分離された第3の高濃度ドーピング領域及び第4の高濃度ドーピング領域を形成する。
【0074】
ここで、第1の高濃度ドーピング領域、第2の高濃度ドーピング領域、第3の高濃度ドーピング領域、及び第4の高濃度ドーピング領域は、第1導電型であり、第1の高濃度ドーピング領域を第1の電極として引き出し静電気ポートに接続し、第2の高濃度ドーピング領域を第2の電極として引き出し、第3の高濃度ドーピング領域を第3の電極として引き出し第2の電極に電気的に接続し、第4の高濃度ドーピング領域を第4の電極として引き出す。
【0075】
ステップ170において、第2のディープウェルの上部表層に第2導電型の第3のウェル領域を形成し、第3のウェル領域の上部表層に浮遊する第2導電型の第5の高濃度ドーピング領域を形成する。
【0076】
ステップ180において、第3のディープウェルの上部表層に第1導電型の第4のウェル領域を形成し、第4のウェル領域の上部表層に第1導電型の第6の高濃度ドーピング領域を形成し、第6の高濃度ドーピング領域を引き出し第4の電極と共に接地させる。
【0077】
ここで、ステップ110~ステップ180は、図1図2の実施例に記載の静電気保護構造を製造するために用いられ、関連説明は、図1図2の実施例における関連説明を参照すればよい。ここで、「形成」の方法は、従来の製造方式を採用することができるため、ここでは限定されない。
【0078】
ここで、ステップ130~ステップ150は、同時または順次に実行することができ、ステップ160~ステップ180は、同時または順次に実行することができる。
【0079】
本実施例によって提供される製造方法は、双方向の耐電圧を行うことができる静電気保護構造を製造することができ、それと同時に、静電気保護構造により高い静電気維持電圧を持たせ、ラッチアップ効果を生じにくくすることができる。
【0080】
いくつかの実施例において、製造方法は、以下のステップを更に含む。
【0081】
ステップ190において、第1のディープウェルの上部表層において第1のウェル領域と第2のウェル領域との間に、少なくとも1つの第5のウェル領域を形成し、第5のウェル領域は、第1のウェル領域及び第2のウェル領域とそれぞれ分離され、第2導電型であり、各第5のウェル領域の上部表層に第1導電型の第7の高濃度ドーピング領域及び第8の高濃度ドーピング領域を形成し、各第5のウェル領域における第7の高濃度ドーピング領域は、隣接する第5のウェル領域における第8の高濃度ドーピング領域に電気的に接続され、第1のウェル領域に隣接する第7の高濃度ドーピング領域は、第2の高濃度ドーピング領域に電気的に接続され、第2のウェル領域に隣接する第8の高濃度ドーピング領域は、第3の高濃度ドーピング領域に電気的に接続される。
【0082】
ここで、ステップ190は、図3の実施例に記載の静電気保護構造を製造するために用いられ、関連説明は、図3の実施例における関連説明を参照すればよい。ここで、「形成」の方法は、従来の製造方式を採用することができるため、ここでは限定されない。
【0083】
いくつかの実施例において、製造方法は、以下のステップを更に含む。
【0084】
ステップ200において、第1のディープウェルの上部表層に複数の第6のウェル領域を形成し、複数の第6のウェル領域は、第1のウェル領域及び第2のウェル領域と交互に配置され、第6のウェル領域は、第1導電型である。
【0085】
ここで、ステップ200は、図4の実施例に記載の静電気保護構造を製造するために用いられ、関連説明は、図4実施例における関連説明を参照すればよい。ステップ200は、上記の実施例におけるステップ130~ステップ150と、同時または順次に実行することができる。ここで、「形成」の方法は、従来の製造方式を採用することができるため、ここでは限定されない。
【0086】
一実施例において、図8に示されたように、製造方法は、以下のステップを更に含む。
【0087】
ステップ210において、第1のディープウェルの上部表層に第1の分離構造を形成し、第1の分離構造は、第1のディープウェルの上面から第1のウェル領域まで貫通し、第1の分離構造は、第1の高濃度ドーピング領域及び第2の高濃度ドーピング領域と交互に配置される。
【0088】
ステップ220において、第2のディープウェルの上部表層に第2の分離構造を形成し、第2の分離構造は、第1のディープウェルの上面から第2のウェル領域まで貫通し、第2の分離構造は、第3の高濃度ドーピング領域及び第4の高濃度ドーピング領域と交互に配置される。
【0089】
ステップ230において、第2のディープウェル及び第3のディープウェルの上部表層に第3の分離構造を形成し、第3の分離構造は、第5の高濃度ドーピング領域と第6の高濃度ドーピング領域との間に位置する。
【0090】
ステップ240において、第4のウェル領域の上部表層に第4の分離構造を形成し、第4の分離構造は、第1の高濃度ドーピング領域と第5の高濃度ドーピング領域との間、及び第4の高濃度ドーピング領域と第5の高濃度ドーピング領域との間に位置する。
【0091】
ステップ250において、第3のディープウェルの上部表層に第5の分離構造を形成する。
【0092】
ここで、ステップ210は、図6の実施例に記載の静電気保護構造を製造するために用いられ、関連説明は、図6の実施例における関連説明を参照すればよい。ステップ210~ステップ250は、同時または順次に実行することができる。ここで、「形成」の方法は、従来の製造方式を採用することができるため、ここでは限定されない。
【0093】
本明細書の記載において、「いくつかの実施例において」、「他の実施例において」等の表現による記載は、当該実施例又は例示を組み合わせて説明する具体的な特徴、構造、材料、或は特徴は本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意図している。本明細書において、上記の用語に対する模式的な記載は、必ずしも同一の実施例又は例を意味するものではない。
【0094】
以上説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲内であると考えられるべきである。
【0095】
上記の実施例は、本願のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、その叙述は具体的かつ詳細であるが、本願の発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願の思想から逸脱することなく、本願の範囲に含まれるいくつかの変形および改善を行うことができることに留意されたい。したがって、本願の特許の範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】