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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】コールドプレート分岐流れパターン
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240207BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548664
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021060022
(87)【国際公開番号】W WO2022173481
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/175,084
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】セイビアズ,キンバリー
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA07
5E322AA10
5E322DA04
5E322FA01
5F136CB08
5F136CB27
5F136FA01
5F136FA12
5F136FA51
5F136GA02
5F136GA31
5F136GA40
(57)【要約】
コールドプレート(12)は、外側ハウジング及び外側ハウジング内の流体回路(28)を含む。流体回路は、外側ハウジングの第1の側壁(22)に位置する流体入口(24)と、外側ハウジングの第1の側壁に位置する流体出口(26)と、流体入口と流体出口との間に配置され流体入口と流体出口とを流体接続する一次チャネル(30)と、を含む。一次チャネルは、流体入口の下流にある入口脚部(40)と、流体出口の上流にある出口脚部(44)と、入口脚部と出口脚部とを流体接続する接続部分(42)と、を含む。流体回路は、一次チャネルの入口脚部から分岐する第1の二次チャネル(32)と、一次チャネルの出口脚部から分岐する第2の二次チャネル(32)と、をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールドプレートであって、
外側ハウジングと、
前記外側ハウジング内の流体回路であって、
前記外側ハウジングの第1の側壁に位置する流体入口と、
前記外側ハウジングの前記第1の側壁に位置する流体出口と、
前記流体入口と前記流体出口との間に配置され、前記流体入口と前記流体出口とを流体接続する、一次チャネルであって、
前記流体入口の下流にある入口脚部と、
前記流体出口の上流にある出口脚部と、
前記入口脚部と前記出口脚部とを流体接続する接続部分と、
を含む、前記一次チャネルと、
前記一次チャネルの前記入口脚部から分岐する第1の二次チャネルと、
前記一次チャネルの前記出口脚部から分岐する第2の二次チャネルと、
を含む、前記流体回路と、
を含む、コールドプレート。
【請求項2】
前記一次チャネルがU字形の幾何学的形状を有するように、前記出口脚部が前記入口脚部に対して並行である、請求項1に記載のコールドプレート。
【請求項3】
前記入口脚部と前記出口脚部の間にある芯体内に配置され、少なくとも部分的に、前記第1の二次チャネルと第2の一次チャネルとを画定する中央壁をさらに含む、請求項2に記載のコールドプレート。
【請求項4】
前記第1の二次チャネルと前記第2の二次チャネルのそれぞれが、前記入口脚部と前記出口脚部とを直接流体接続する、請求項3に記載のコールドプレート。
【請求項5】
前記中央壁が蛇行する幾何学的形状を有し、前記第1の二次チャネルと前記第2の二次チャネルのそれぞれが、前記中央壁に切断される、請求項3に記載のコールドプレート。
【請求項6】
前記中央壁内に配置された複数の三次チャネルをさらに含む、請求項5に記載のコールドプレート。
【請求項7】
前記複数の三次チャネルの第1のサブセットが、前記第1の二次チャネルから分岐し、前記第1の二次チャネルを前記出口脚部に流体接続する、請求項6に記載のコールドプレート。
【請求項8】
前記三次チャネルの第2のサブセットが、前記第1の二次チャネルから分岐し、前記第1の二次チャネルを前記第2の二次チャネルに流体接続する、請求項7に記載のコールドプレート。
【請求項9】
前記三次チャネルの第3のサブセットが、前記第1の二次チャネルから分岐し、前記第1の二次チャネルを前記出口脚部に流体接続する、請求項8に記載のコールドプレート。
【請求項10】
前記三次チャネルの第4のサブセットが、前記入口脚部から分岐し、前記入口脚部を前記第2の二次チャネルに流体接続する、請求項9に記載のコールドプレート。
【請求項11】
前記一次チャネルが第1の平均断面積を有する、請求項6に記載のコールドプレート。
【請求項12】
前記第1の二次チャネルと前記第2の二次チャネルのうちの1つが第2の平均断面積を有する、請求項11に記載のコールドプレート。
【請求項13】
前記複数の三次チャネルのうちの1つが、第3の平均断面積を有する、請求項12に記載のコールドプレート。
【請求項14】
前記第1の平均断面積は、前記第2の平均断面積より大きく、前記第2の平均断面積は、前記第3の平均断面積より大きい、請求項13に記載のコールドプレート。
【請求項15】
前記複数の三次チャネルのうちの少なくとも1つが、ある量の流体が流れることができるように構成された、内部フィンと、孔を有する固体材料と、格子構造のうちの1つを含む、請求項6に記載のコールドプレート。
【請求項16】
前記流体回路が、冷却流体の流れを、第1の方向及び前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に同時に通すために構成される、請求項1に記載のコールドプレート。
【請求項17】
コールドプレートアセンブリであって、
外側ハウジングと、
前記外側ハウジング内の流体回路であって、
流体入口と、
流体出口と、
前記流体入口と前記流体出口との間に配置され、前記流体入口と前記流体出口とを流体接続する一次チャネルと、
前記一次チャネルから分岐する複数の二次チャネルと、
前記二次チャネルから分岐し、前記複数の二次チャネルのうちの第1のチャネルと、前記複数の二次チャネルのうちの第2のチャネルを流体接続する複数の三次チャネルと、
を含む、前記流体回路と、
前記外側ハウジングに取付けられ、前記外側ハウジングと熱交換関係にある、少なくとも1つの発熱部品と、
を含む、コールドプレートアセンブリ。
【請求項18】
前記流体回路内に配置され、前記一次チャネルを少なくとも部分的に画定する周壁と、前記流体回路内に配置され、前記一次チャネルと前記複数の二次チャネルとを少なくとも部分的に画定する中央壁と、をさらに含む、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記三次チャネルが前記中央壁内に配置されている、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記周壁及び前記中央壁のうちの1つを通って配置された少なくとも1つの孔をさらに含み、前記少なくとも1つの孔が、締結具を収容するように構成される、請求項19に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般にコールドプレートに関し、より具体的には、分岐チャネルを備えたコールドプレート流体回路に関する。
【0002】
多くの熱管理システムは、発熱する電子機器を冷却するためにコールドプレートを使用する。ほとんどのコールドプレートは、プレート全体に単一の流体を流し、関連する電子機器からの廃熱を吸収するように設計されている。さまざまな標準設計は、Uターンまたはその他の迂回路の内部流体チャネルを含み、フィンを含む場合もある。現在の設計プロセスと製造方法では、複雑なコールドプレートの設計が制限され、その結果、熱伝導能力が制限される。コールドプレート全体にわたる熱伝導と流動性能を改善するには、新しい流体チャネル設計が望ましい。
【発明の概要】
【0003】
コールドプレートは、外側ハウジング及び外側ハウジング内の流体回路を含む。流体回路は、外側ハウジングの第1の側壁に位置する流体入口と、外側ハウジングの第1の側壁に位置する流体出口と、流体入口と流体出口との間に配置され流体入口と流体出口とを流体接続する一次チャネルとを含む。1次チャネルは、流体入口の下流にある入口脚部と、流体出口の上流にある出口脚部と、入口脚部と出口脚部を流体接続する接続部分と、を含む。流体回路は、一次チャネルの入口脚部から分岐する第1の二次チャネルと、一次チャネルの出口脚部から分岐する第2の二次チャネルと、をさらに含む。
【0004】
コールドプレートアセンブリは、外側ハウジングと、外側ハウジング内の流体回路と、外側ハウジングに取付けられ、外側ハウジングと熱交換関係にある、少なくとも1つの発熱部品と、を含む。流体回路は、流体入口と、流体出口と、流体入口と流体出口との間に配置され、流体入口と流体出口とを流体接続する一次チャネルと、を含む。流体回路は、一次チャネルから分岐する複数の二次チャネルと、複数の二次チャネルのうちの第1のチャネル及び複数の二次チャネルのうちの第2のチャネルから分岐する複数の三次チャネルと、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】コールドプレートアセンブリの斜視図である。
図2】コールドプレートを通って配置された流体回路を示すために、カバープレートが取り外されたコールドプレートアセンブリの上面図である。
図3】流体回路の三次チャネルの簡略化した断面図である。
図4】流体回路の三次チャネルの、別の実施形態の簡略化した断面図である。
図5】流体回路の三次チャネルの、第2の別の実施形態の簡略化した断面図である。
図6】流体回路の三次チャネルの、第3の別の実施形態の簡略化した断面図である。
図7】コールドプレートを通って配置された流体回路を示すために、カバープレートが取り外された、別のコールドプレートアセンブリの上面図である。
【0006】
上で特定された図は本開示の1つまたは複数の実施形態を明らかにするものであるが、説明で述べられるように、他の実施形態も企図される。いかなる場合も、本開示は、本発明を代表として提示するものであり、限定するものではない。当業者であれば、本発明の原理の範囲及び趣旨に収まる他の多数の修正及び実施形態を考案することができることを理解されたい。図面は一定の縮尺で描かれていない場合があり、本発明の出願及び実施形態には、図面に具体的に示されていない特質及び構成要素が含まれる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、分岐パターンを有するコールドプレート流体回路を示す。流体回路は、一次チャネルと、一次チャネルから分岐する二次チャネルと、いくつかの実施形態では、二次チャネルから分岐する三次チャネルと、を含む。分岐パターンは、単一のチャネルの流体回路を備える従来の設計と比較して、均一な流れ分布及び熱伝導を可能にする。
【0008】
図1は、コールドプレート12と、コールドプレート12と熱的に接続する少なくとも1つの発熱部品14とを含むコールドプレートアセンブリ10の簡略化した斜視図である。概略的に示されているが、発熱部品14は、以下でより詳細に説明するように、コールドプレート12に取り外し可能に取り付けられるなど、コールドプレート12と物理的に接触する電子部品であり得る。
【0009】
コールドプレート12は、カバープレート18、反対側に配置されたベースプレート20、及び4つの側壁22を含む外側ハウジング16を含む。外側ハウジング16は、熱管理用途に適した金属または非金属材料から形成され得る。流体入口24及び流体出口26は、図1に示されるように、横方向の側壁22に配置される。流体入口24は、冷却流体F(図2に表示)を受けるための、冷却流体Fのソースと接続するポートまたは他の開口であってもよく、流体出口26は、使用済みの冷却流体Fを排出するためのポートまたは他の開口であってもよい。図示の実施形態では、流体入口24と流体出口26は同じ側壁22に配置されているが、別の実施形態では、流体入口24が第1の側壁22に配置されてもよく、流体出口26は他の場所、例えば、側壁22に隣接して、または側壁22の反対側に配置されてもよい。
【0010】
図1の実施形態では、外側ハウジング16は、コールドプレート12に、x軸に沿った長さL、y軸に沿った幅W、及びz軸に沿った高さHを有するほぼ長方形の三次元構造を提供する。図示のように、コールドプレート12の寸法はL>W>Hであるが、本明細書では、例えば空間的制約及び/または熱伝導要件に基づいて他の寸法も考慮される。したがって、コールドプレート12は、直方体(L=W>H)または立方体(L=W=H)などの他の多角形の幾何学的形状を有し得る。別の実施形態では、コールドプレート12は、丸い形状、湾曲した側面及び平坦な側面を有する形状、またはより自由な形状を形成するために1つまたは複数の湾曲した側面を有し得る。
【0011】
図2は、外側ハウジング16によって画定される内部空間に配置された流体回路28を露出させるためにカバープレート18を除いて示されるコールドプレート12の上面図である。コールドプレート12の流体回路28は、一次チャネル30、二次チャネル32、及び三次チャネル34を含む。周壁36及び中央壁38は共に、一次チャネル30、二次チャネル32、及び三次チャネル34を少なくとも部分的に画定する。より具体的には、壁36及び38は、様々なチャネルを画定するためにx、y、及びz軸に沿って可変的に延びる固体金属または非金属材料から形成され得る。ある実施形態では、周壁36及び/または中央壁38は、ほぼ連続的な単一壁構造として、または壁構造を形成するようにグループ化された個別の壁部分として形成され得る。
【0012】
図2に示される実施形態では、一次チャネル30は、同じ側壁22に配置された流体入口24と流体出口26とを流体接続するためのほぼU字形の幾何学的形状を有する。したがって、U字形の一次チャネル30は、入口24のすぐ下流にあり、ほぼx軸に沿って配置された、一次チャネル30の一部として入口脚部40を含む。一次チャネル30の接続部分42は、ほぼy軸に沿って配置され、入口脚部40を出口脚部44に流体接続する。出口脚部44は流体出口26のすぐ上流にあり、入口脚部40とほぼ平行である。
【0013】
二次チャネル32は一次チャネル30から分岐する。図2に示される実施形態では、二次チャネル32は、いくぶん湾曲した形状を有するが、入口脚部40及び出口脚部44のそれぞれからほぼ垂直に(いくつかの部分がy軸に沿って配置されて)分岐し、中央壁38の蛇行/曲がりくねった形状により互いに噛み合う構成を有する。別の実施形態は、追加的/代替的に、接続部分42から分岐する二次チャネル32(複数可)を含み得る。
【0014】
三次チャネル34は二次チャネル32から分岐しており、中央壁38の固体材料内に配置されている。三次チャネル34は、いくつかの三次チャネル34がほぼx軸に沿って配置され、他のいくつかの三次チャネル34がほぼy軸に沿って配置され、さらに他の三次チャネルがx軸とy軸との間に角度を付けて配置され得るように、様々な方向に分岐する。三次チャネル34の配置により、以下でより詳細に説明するように、一次チャネルと二次チャネルとの流体相互接続が可能になる。
【0015】
1つまたは複数の孔46は、壁36及び/または38の固体材料、ならびに外側ハウジング16の一部(例えば、ベースプレート20)を貫通してさらに形成され得る。孔46は、コールドプレート12を発熱部品14またはマウントなどの別の構造に取り外し可能に取り付けるための締結具(図示せず)を収容するように構成される。
【0016】
一次チャネル30、二次チャネル32、及び三次チャネル34は、断面積Aを有し得る。断面積は、チャネルの断面形状によって画定されてもよく、たとえば、円形の断面形状の場合、A=πrであり(図3に図示)、楕円形の場合はA=πrであり、r及びrがそれぞれ長軸及び短軸を表す。四角形の断面形状の場合、A=LWであり、Lは長さ、Wは幅である。湾曲部分及び/または平坦な部分を含む他の、より不規則な幾何学的形状も本明細書で企図される。一次チャネル30、二次チャネル32、及び/または三次チャネル34のいずれかの断面形状及び/または面積は、流量要件及び/または設計の最適化に基づいて、個々のチャネルの長さに沿って変化し得る。
【0017】
一般に、一次チャネル30の平均断面積は二次チャネル32の平均断面積より大きく、二次チャネル32の平均断面積は三次チャンネル34の平均断面積より大きい。さらに、図2に示されるように、二次チャネル32の数は一次チャネルの数(1つ)よりも多く、三次チャネル34の数は二次チャネル32の数よりも多い。
【0018】
図2は、流体回路28を通る冷却流体Fの流れパターンを示す矢印を含む。しかしながら、考えられるすべての流路が矢印で示されているわけではないことを理解されたい。冷却流体Fは、いくつかの非限定的な例を挙げると、水、空気、油、エチレングリコール、または冷媒であり得る。冷媒などの冷却流体はいずれも、さらに二相(例えば、蒸気-液体)流であり得る。
【0019】
動作中、冷却流体Fは、流体入口24を介して流体回路28に入り、一次チャネル30の入口脚部40に沿って第1の方向に移動する。冷却流体の一部は入口脚部40から分岐する二次チャネル32(入口側二次チャネル32)に流入し、冷却流体の他の一部は一次チャネル30に残り、接続部分42及び出口脚部44に沿って流れる。冷却流体は、出口脚部に沿って、入口脚部40内の冷却流体とは反対の方向に流れる。入口側二次チャネル32に入る冷却流体は、特定の二次チャネル32を画定する中央壁38の一部に形成された分岐する三次チャネル34を通って流れる。図2に示されるように、三次チャネル34のサブセットは、入口側二次チャネル32を出口脚部44に流体接続する。三次チャネル34の別のサブセットは、入口側二次チャネル32を、出口脚部44から分岐する二次チャネル32(出口側二次チャネル32)に流体接続する。三次チャネル34のさらに別のサブセットは、入口側二次チャネル32を接続部分42に流体接続する。最後に、三次チャネル34のさらに別のサブセットは、入口脚部40から直接分岐し、出口側二次チャネル32まで延びて、入口脚部40と出口側二次チャネル32とを流体接続する。使用済みの冷却流体Fは、流体出口26を介して流体回路28から排出される。使用済みの冷却流体は、一般に、発熱部品14からの廃熱の吸収により、流体入口24における冷却流体Fの温度よりも高い温度を有する。流体回路28内のチャネルの分岐設計及び相互接続により、冷却流体Fが、一次、二次、三次チャネルを使用してx軸及びy軸によって画定される流体回路28の平面をほぼ同時に流れることができるため、コールドプレート12全域における流体の流れのより均一な分布及び熱伝導が可能になる。
【0020】
図2に示される実施形態では、流体入口24及び流体出口26は両方とも共通の側壁22に配置されているが、他の配置も可能である。例えば、別の実施形態では、流体出口26を隣接または対向する側壁22内に配置し得る。もう一つの別の実施形態では、共通の側壁22または別個の側壁22に複数の流体入口24及び/または複数の流体出口26を含み得る。いずれの場合でも、流体回路28は、一次チャネル30がすべての流体入口24とすべての流体出口26を流体接続するように調整され得る。
【0021】
例示的な実施形態では、コールドプレート12は、積層造形によって部分的または全体的に形成され得る。金属部材(例えば、インコネル、アルミニウム、チタンなど)の場合、積層造形プロセスの例は、いくつかの非限定的な例を挙げると、直接金属レーザー焼結(DMLS)、レーザーネットシェイプ製造(LNSM)、電子ビーム製造(EBM)などの粉末床融合技術を含む。ポリマーまたはプラスチック部材の場合は、ステレオリソグラフィー(SLA)を使用できる。セラミック材料の場合は、バインダージェッティング、光重合、SLA、または材料堆積法を使用できる。積層造形は、壁36及び38の形状、流体回路28の分岐パターン、及び/または個々の流体チャネルの様々な幾何学形状などの独特の幾何学形状を得るのに特に有用である。しかしながら、ろう付けなどの他の適切な製造プロセスを使用することもできる。
【0022】
複雑なチャネル形状及び分岐パターンに加えて、個々のチャネルは、チャネルの内側部分(すなわち、流体処理部分)に特徴を含み得る。図3は、三次チャネル34の簡略化された断面図であり、開放チャネル(すなわち、内部空間には何も形成されていない)として示されている。図4、5、及び6は、それぞれ内部特徴を有する別の三次チャネル34’、34’’、及び34’’’の簡略化された断面図である。
【0023】
図3に示されるように、三次チャネル34は、その半径rによって画定される断面積を有する。ほぼ円形の断面として示されているが、前述したように、三次チャネル34は他のタイプの対称な、または不規則な幾何学的形状を有することができることを理解されたい。図4の実施形態では、三次チャネル34’は内部フィン48を含む。フィン48は、例えば、所望の流体の流れ特性(例えば、方向、速度など)に基づいて、三次チャネル32A内に均一または不均一に分布され得る。比較的真っ直ぐな縁部で示されているが、フィン48は様々な幾何学的形状を有し得る。したがって、フィン48は積層造形によって形成され、所望の分布及び形状を達成し得る。図5は、三次チャネル34’’が固体マトリックス材料52内に孔50を含むもう一つの別の実施形態を示す。固体マトリックス材料52は、三次チャネル34’’が図2の三次チャネル34のように中央壁38内に配置され得るため、中央壁38を形成する固体材料と同等であり得る。三次チャネル34’’は、例えば、中心壁38の、より密に充填された(固体)領域に比べて造形材料が低密度で充填され、孔50により多孔質のチャネル34’’が形成され、ある量の冷却流体Fが三次チャネル34’’を通過できるように、選択された位置に中央壁38を積層造形することによって形成され得る。三次チャネル34’’は、例えば、構造上の要件には、より中実の材料が都合がよく、孔50が流体の流れの要件を満たすのに十分である場合に望ましい可能性がある。図6は、内部格子ネットワークを備えた三次チャネル34’’’を示す。このような実施形態は、例えば流体回路の構造的剛性を高める場合に望ましい可能性がある。さらに、別の実施形態は、三次チャネル34、34’、34’’、及び/または34’’’の1つまたはそれらの組み合わせを含み得ることが考えられる。別の実施形態では、三次チャネル34’、34’’、及び/または34’’’の特徴が、追加的または代替的に、一次チャネル30及び/または二次チャネル32内に含まれ得る。
【0024】
図7は、流体回路128を示す別のコールドプレート112の上面図である。流体回路128の配置の特定の態様の他に、コールドプレート112は、コールドプレート12と実質的に類似であり得る(例えば、サイズ、寸法、製造、発熱部品14(複数可)との関係等)。図7に示されるように、流体回路128は、周壁136及び中央壁138を含むが、個別の壁部分として形成されている場合は図示の通りである。周壁136及び中央壁138は一次チャネル130を共に画定するが、一次チャネル130は一次チャネル30に類似のU字形の幾何学的形状を有し、流体入口124と流体出口126とを流体接続する。中央壁138の部分は、二次チャネル132を画定する。一次チャネル130は、入口脚部140と、接続部分142と、出口脚部144とを含む。二次チャネル132は、一次チャネル130の入口脚部140と出口脚部144に対してほぼ垂直に、かつ一次チャネル130の入口脚部140と出口脚部144との間に(すなわち、y軸に沿って)配置される。この点において、二次チャネル32のそれぞれが壁38に切断され、1つまたは複数の三次チャネル34によって入口脚部40と出口脚部44とを間接的に流体接続するのに対し、二次チャネル132は入口脚部140と出口脚部144とを直接流体接続するので、二次チャネル132は図2の二次チャネル32とは異なる。しかしながら、入口脚部140と出口脚部144との間に二次チャネル132を配置することにより、流体回路128の操作中に、冷却流体Fがx軸とy軸の両方に沿って依然として流れることができるようになっている。一次チャネル30及び二次チャネル32と同様に、一次チャネル130と、二次チャネル32のいずれかは、(例えば、チャネルからチャネルへ、または単一のチャネルに沿って)変化し得る断面積を有してもよい。さらに、一次チャネル130の平均断面積は、二次チャネル132の平均断面積より大きくてもよい。
【0025】
上述のコールドプレート12及び112は、代替的に、上で述べられていない様々な構成を有してもよい。例えば、流体回路28は、熱伝導要件及び/または設計パラメータに基づいて、三次チャネル(例えば、五次、六次、七次など)を越えるさらなる分岐段を含み得る。一般に、任意の実施形態における最終(n番目)の分岐段は、流体回路の面全域で流体回路の前の段を流体接続する。様々な壁及びチャネルが、本明細書で説明されていない幾何学的形状をさらに有し得る。さらに、別の流体回路が、温かい流体を受け取り、冷却の代わりに加熱を必要とする関連部品へ、流体からの熱を戻すように構成され得る。このような実施形態では、流体回路から排出される流体は、一般に、流体回路に入る流体よりも低い温度を有することになる。比較的高温の流体を受け取ることは、例えば、システム、車両などを低温浸透状態においている、またはその状態にした後に、または一般に、関連する電子機器の全体的なパフォーマンスを向上させるのに役立つことがある。
【0026】
本開示のコールドプレートは、多くの利点を有する。分岐した流体回路の設計は、従来の流体回路よりも、さらに熱伝導及び流れ分布を高めることができる。これにより、熱負荷が高い場合及び/またはアセンブリのサイズ及び重量が大きくなることが望ましくない場合の用途に有利な、比較的小型のコールドプレートアセンブリを可能にする。
【0027】
可能な実施形態の考察
以下は、本発明の可能な実施形態の非排他的な説明である。
【0028】
コールドプレートは、外側ハウジング及び外側ハウジング内の流体回路を含む。流体回路は、外側ハウジングの第1の側壁に位置する流体入口と、外側ハウジングの第1の側壁に位置する流体出口と、流体入口と流体出口との間に配置され流体入口と流体出口とを流体接続する一次チャネルとを含む。1次チャネルは、流体入口の下流にある入口脚部と、流体出口の上流にある出口脚部と、入口脚部と出口脚部を流体接続する接続部分と、を含む。流体回路は、一次チャネルの入口脚部から分岐する第1の二次チャネルと、一次チャネルの出口脚部から分岐する第2の二次チャネルと、をさらに含む。
【0029】
先の段落のコールドプレートは、追加的及び/または代替的に、以下の特徴、構成、及び/または追加の構成要素のうちのいずれか1つ以上を任意選択で含み得る。
【0030】
上記のコールドプレートでは、一次チャネルがU字形の幾何学的形状を有するように、出口脚部が、入口脚部と並行であり得る。
【0031】
上記のコールドプレートのいずれも、入口脚部と出口脚部の間にある芯体内に配置された中央壁をさらに含んでもよく、中央壁は、少なくとも部分的に、第1の二次チャネル及び第2の一次チャネルとを画定する。
【0032】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、第1の二次チャネルと第2の二次チャネルのそれぞれは、入口脚部と出口脚部とを直接流体接続する。
【0033】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、中央壁は蛇行する幾何学的形状を有し、第1の二次チャネルと第2の二次チャネルのそれぞれが、中央壁に切断され得る。
【0034】
上記のコールドプレートのいずれも、中央壁内に配置された複数の三次チャネルをさらに含み得る。
【0035】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、複数の三次チャネルのうちの第1のサブセットは、第1の二次チャネルから分岐し、第1の二次チャネルを出口脚部に流体接続し得る。
【0036】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、三次チャネルの第2のサブセットは、第1の二次チャネルから分岐し、第1の二次チャネルを第2の二次チャネルに流体接続し得る。
【0037】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、三次チャネルの第3のサブセットは、第1の二次チャネルから分岐し、第1の二次チャネルを出口脚部に流体接続し得る。
【0038】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、三次チャネルの第4のサブセットは、入口脚部から分岐し、入口脚部を第2の二次チャネルに流体接続し得る。
【0039】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、一次チャネルは第1の平均断面積を有し得る。
【0040】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、第1の二次チャネル及び第2の二次チャネルのうちの1つは、第2の平均断面積を有し得る。
【0041】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、複数の三次チャネルのうちの1つは、第3の平均断面積を有し得る。
【0042】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、第1の平均断面積は、第2の平均断面積より大きくてもよく、第2の平均断面積は、第3の平均断面積より大きくてもよい。
【0043】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、複数の三次チャネルのうちの少なくとも1つは、ある量の流体が流れることができるように構成された、内部フィン、孔を有する固体材料及び格子構造のうちの1つを含み得る。
【0044】
上記のコールドプレートのいずれにおいても、流体回路は、冷却流体の流れを、第1の方向及び第1の方向に対して垂直な第2の方向に同時に通すために構成され得る。
【0045】
コールドプレートアセンブリは、外側ハウジングと、外側ハウジング内の流体回路と、外側ハウジングに取付けられ、外側ハウジングと熱交換関係にある、少なくとも1つの発熱部品と、を含む。流体回路は、流体入口と、流体出口と、流体入口と流体出口との間に配置され、流体入口と流体出口とを流体接続する一次チャネルと、を含む。流体回路は、一次チャネルから分岐する複数の二次チャネルと、複数の二次チャネルのうちの第1のチャネル及び複数の二次チャネルのうちの第2のチャネルから分岐する複数の三次チャネルと、をさらに含む。
【0046】
先の段落のアセンブリは、追加的及び/または代替的に、以下の特徴、構成、及び/または追加の構成要素のうちのいずれか1つ以上を任意選択で含み得る。
【0047】
上記のアセンブリは、流体回路内に配置され一次チャネルを少なくとも部分的に画定する周壁と、流体回路内に配置され一次チャネルと複数の二次チャネルとを少なくとも部分的に画定する中央壁と、をさらに含み得る。
【0048】
上記のアセンブリのいずれにおいても、三次チャネルは中央壁内に配置され得る。
【0049】
上記のアセンブリのいずれも、周壁及び中央壁の1つを通って配置された少なくとも1つの孔をさらに含み、少なくとも1つの孔は、締結具を収容するように構成され得る。
【0050】
本発明を例示的実施形態(複数可)に関して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができ、また均等物をその要素に対して置き換えることができることを当業者ならば理解するであろう。加えて、本発明の必須の範囲から逸脱することなく、多くの修正を行って特定の状況または材料を本発明の教示に適合させることができる。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態(複数可)に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】