(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】低骨格筋刺激を伴う不可逆的電気穿孔による心臓アブレーションのためのパルスシーケンス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548684
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 US2022015966
(87)【国際公開番号】W WO2022173939
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クープ、ブレンダン イー.
(72)【発明者】
【氏名】シュロス、アラン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴルジツキ、ジョナサン ティ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK16
4C160KK24
4C160KK37
4C160KK63
4C160MM38
(57)【要約】
患者の標的組織を治療するための電気穿孔アブレーションシステム。電気穿孔アブレーションシステムは、アブレーションカテーテルと電気穿孔発生器とを含む。アブレーションカテーテルは、ハンドルと、遠位端を有するシャフトと、シャフトの遠位端に位置し、電気パルスに応答して標的組織内で電場を発生させるように空間的に配置されたカテーテル電極とを含む。電気穿孔発生器は、カテーテル電極に動作可能に結合され、電気穿孔パルスシーケンスで電気パルスを1つ以上のカテーテル電極に送達するように構成される。電気穿孔パルスシーケンスは複数のパルスバーストを含み、複数のパルスバーストの各々は、電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離されたパルスを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の標的組織を治療するための電気穿孔アブレーションシステムにおいて、
アブレーションカテーテルであって、
ハンドルと、
遠位端を有するシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に位置し、電気パルスに応答して前記標的組織内で電場を発生させるように空間的に配置されたカテーテル電極とを含む、アブレーションカテーテルと、
前記カテーテル電極に動作可能に結合され、電気穿孔パルスシーケンスで前記電気パルスを1つ以上のカテーテル電極に送達するように構成される、電気穿孔発生器とを含み、
前記電気穿孔パルスシーケンスは複数のパルスバーストを含み、前記複数のパルスバーストの各々は、電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離されたパルスを含む、電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項2】
前記パルスの各々が、正のパルス部分と負のパルス部分とを含む二相パルスである、請求項1に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項3】
前記正のパルス部分および前記負のパルス部分の各々が1~5マイクロ秒のパルス幅を有し、前記二相パルスは0~10マイクロ秒の前記正のパルス部分と前記負のパルス部分との間の位相間遅延を有する、請求項2に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項4】
前記正のパルス部分が、基準線から測定して+500~+2500ボルトの正のパルス振幅を有し、前記負のパルス部分が、基準線から測定して-500~-2500ボルトの負のパルス振幅を有する、請求項2または3に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項5】
前記複数のパルスバーストが、複数の心拍にわたって前記患者に印加される、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項6】
前記複数のパルスバーストが、複数の心拍にわたって心拍につき1つのパルスバーストで前記患者に印加される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項7】
前記複数のパルスバーストの各パルスバーストが、心拍におけるR波にゲート制御され、330ミリ秒未満の前記心拍の不応時間のうちの1つ以上の間、かつ100~250ミリ秒ウィンドウ内で印加される、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項8】
前記電気穿孔パルスシーケンスが、少なくとも50パルスを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項9】
前記複数のパルスバーストが少なくとも5つのパルスバーストを含み、前記パルスバーストの各々は少なくとも10パルスを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項10】
患者の標的組織を治療するための電気穿孔アブレーションシステムにおいて、
アブレーションカテーテルであって、
ハンドルと、
遠位端を有するシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に位置し、電気パルスに応答して前記標的組織内で電場を発生させるように空間的に配置されたカテーテル電極とを含む、アブレーションカテーテルと、
前記カテーテル電極に動作可能に結合され、電気穿孔パルスシーケンスで前記電気パルスを1つ以上のカテーテル電極に送達するように構成される、電気穿孔発生器とを含み、
前記電気穿孔パルスシーケンスは、複数の心拍にわたって心拍につき1つのパルスバーストで印加される複数のパルスバーストを含み、前記複数のパルスバーストの各々は、不可逆的電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離された二相パルスを含む、電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項11】
前記複数のパルスバーストの各パルスバーストが、前記心拍におけるR波にゲート制御され、前記心拍の心室不応期中に印加される、請求項10に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【請求項12】
前記二相パルスの各々が、正のパルス部分と負のパルス部分とを含み、前記正のパルス部分と前記負のパルス部分との間の位相間遅延は、0~10マイクロ秒であり、前記正のパルス部分および前記負のパルス部分の各々は、1~5マイクロ秒のパルス幅を有する、請求項10または11に記載の電気穿孔アブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の組織をアブレーションするための医療装置、システム、および方法に関する。より具体的には、本開示は、電気穿孔による組織のアブレーションのための医療装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アブレーション処置は、患者における多くの異なる状態を治療するために使用される。アブレーションは、心不整脈、良性腫瘍、癌性腫瘍を治療するため、および手術中の出血を制御するために使用され得る。通常、アブレーションは、高周波(RF)アブレーションおよびクライオアブレーションを含む熱アブレーション技術によって達成される。RFアブレーションでは、プローブが患者に挿入され、高周波の波がプローブを介して周囲の組織に伝送される。高周波の波は熱を発生させ、熱は周囲の組織を破壊し、血管を焼灼する。クライオアブレーションでは、中空針またはクライオプローブが患者に挿入され、低温の熱伝導性流体がプローブを通って循環されることで周囲の組織を凍結して死滅させる。RFアブレーションおよびクライオアブレーション技術は、細胞壊死を通じて組織を無差別に死滅させるが、これは、食道内の組織、横隔神経細胞、および冠動脈内の組織などの、そうでなければ健康な組織を損傷または死滅させることがある。
【0003】
別のアブレーション技術は、電気穿孔を使用する。電気穿孔または電気透過処理では、電場を細胞に印加して細胞膜の透過性を増加させる。電気穿孔は、電場の強度に応じて、可逆的または不可逆的であり得る。電気穿孔が可逆的である場合、細胞膜の増加した透過性は、細胞が治癒および回復する前に、化学物質、薬物、および/またはデオキシリボ核酸(DNA)を細胞に導入するために使用され得る。電気穿孔が不可逆的である場合、影響を受けた細胞はアポトーシスによって死滅する。
【0004】
不可逆的電気穿孔(IRE)は、一連の短い高電圧パルスを使用して、アポトーシスによって細胞を死滅させるのに十分強い電場を発生させる。心臓組織のアブレーションでは、IREは、RFアブレーションおよびクライオアブレーションなどの熱アブレーション技術による無差別な死滅に対する安全かつ有効な代替手段であり得る。IREは、標的組織を死滅させる電界強度および持続時間であるが、非標的心筋組織、赤血球、血管平滑筋組織、内皮組織、および神経細胞などの他の細胞または組織を永久的には損傷させない電界強度および持続時間を使用することによって、心筋組織などの標的組織を死滅させるために使用され得る。
【0005】
いくつかのIRE処置では、電気穿孔電気パルスは、骨格筋刺激(SMS)および関与の望ましくない副作用を引き起こす。SMSを回避しながら有効なIREエネルギーを送達する方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
例1は、患者の標的組織を治療するための電気穿孔アブレーションシステムである。電気穿孔アブレーションシステムは、アブレーションカテーテルと電気穿孔発生器とを含む。アブレーションカテーテルは、ハンドルと、遠位端を有するシャフトと、シャフトの遠位端に位置し、電気パルスに応答して標的組織内で電場を発生させるように空間的に配置されたカテーテル電極とを含む。電気穿孔発生器は、カテーテル電極に動作可能に結合され、電気穿孔パルスシーケンスで電気パルスを1つ以上のカテーテル電極に送達するように構成される。電気穿孔パルスシーケンスは複数のパルスバーストを含み、複数のパルスバーストの各々は、電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離されたパルスを含む。
【0007】
例2は、パルスの各々が、正のパルス部分と負のパルス部分とを含む二相パルスである、例1のシステムである。
例3は、正のパルス部分および負のパルス部分の各々が1~5マイクロ秒のパルス幅を有し、二相パルスは0~10マイクロ秒の正のパルス部分と負のパルス部分との間の位相間遅延を有する、例2のシステムである。
【0008】
例4は、正のパルス部分が、基準線から測定して+500~+2500ボルトの正のパルス振幅を有し、負のパルス部分が、基準線から測定して-500~-2500ボルトの負のパルス振幅を有する、例2および3のいずれか1つのシステムである。
【0009】
例5は、複数のパルスバーストが、複数の心拍にわたって患者に印加される、例1~4のいずれか1つのシステムである。
例6は、複数のパルスバーストが、複数の心拍にわたって心拍につき1つのパルスバーストで患者に印加される、例1~5のいずれか1つのシステムである。
【0010】
例7は、複数のパルスバーストの各パルスバーストが、心拍におけるR波にゲート制御され、330ミリ秒未満の心拍の不応時間のうちの1つ以上の間、かつ100~250ミリ秒ウィンドウ内で印加される、例1~6のいずれか1つのシステムである。
【0011】
例8は、電気穿孔パルスシーケンスが、少なくとも50パルスを含む、例1~7のいずれか1つのシステムである。
例9は、複数のパルスバーストが少なくとも5つのパルスバーストを含み、パルスバーストの各々は少なくとも10パルスを含む、例1~8のいずれか1つのシステムである。
【0012】
例10は、患者の標的組織を治療するための電気穿孔アブレーションシステムである。電気穿孔アブレーションシステムは、アブレーションカテーテルと電気穿孔発生器とを含む。アブレーションカテーテルは、ハンドルと、遠位端を有するシャフトと、シャフトの遠位端に位置し、電気パルスに応答して標的組織内で電場を発生させるように空間的に配置されたカテーテル電極とを含む。電気穿孔発生器は、カテーテル電極に動作可能に結合され、電気穿孔パルスシーケンスで電気パルスを1つ以上のカテーテル電極に送達するように構成される。電気穿孔パルスシーケンスは、複数の心拍にわたって心拍につき1つのパルスバーストで印加される複数のパルスバーストを含み、複数のパルスバーストの各々は、不可逆的電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離された二相パルスを含む。
【0013】
例11は、複数のパルスバーストの各パルスバーストが、心拍におけるR波にゲート制御され、心拍の心室不応期中に印加される、例10のシステムである。
例12は、二相パルスの各々が、正のパルス部分と負のパルス部分とを含み、正のパルス部分と負のパルス部分との間の位相間遅延は、0~10マイクロ秒であり、正のパルス部分および負のパルス部分の各々は、1~5マイクロ秒のパルス幅を有する、例10および11のいずれか1つのシステムである。
【0014】
例13は、不可逆的電気穿孔によって患者の標的組織をアブレーションする方法である。本方法は、複数の心拍にわたって複数のパルスバーストを送達することを含む不可逆電気穿孔パルスシーケンスを送達することを含み、複数のパルスバーストの各々は、不可逆的電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離された二相性パルスを含む。
【0015】
例14は、複数の心拍にわたって複数のパルスバーストを送達することが、各々が1~5マイクロ秒のパルス幅を有する正のパルス部分および負のパルス部分を各々有する二相パルスを送達することを含む、例13の方法である。
【0016】
例15は、複数の心拍にわたって複数のパルスバーストを送達することが、0~10マイクロ秒の位相間遅延によって分離された正のパルス部分および負のパルス部分を各々有する二相パルスを送達することを含む、例13の方法である。
【0017】
例16は、患者の標的組織を治療するための電気穿孔アブレーションシステムである。電気穿孔アブレーションシステムは、アブレーションカテーテルと電気穿孔発生器とを含む。アブレーションカテーテルは、ハンドルと、遠位端を有するシャフトと、シャフトの遠位端に位置し、電気パルスに応答して標的組織内で電場を発生させるように空間的に配置されたカテーテル電極とを含む。電気穿孔発生器は、カテーテル電極に動作可能に結合され、電気穿孔パルスシーケンスで電気パルスを1つ以上のカテーテル電極に送達するように構成される。電気穿孔パルスシーケンスは複数のパルスバーストを含み、複数のパルスバーストの各々は、電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離されたパルスを含む。
【0018】
例17は、パルスの各々が、正のパルス部分と負のパルス部分とを含む二相パルスである、例16のシステムである。
例18は、正のパルス部分および負のパルス部分の各々が1~5マイクロ秒のパルス幅を有し、二相パルスは0~10マイクロ秒の正パルス部分と負パルス部分との間の位相間遅延を有する、例17のシステムである。
【0019】
例19は、正のパルス部分が、基準線から測定して+500~+2500ボルトの正のパルス振幅を有し、負のパルス部分が、基準線から測定して-500~-2500ボルトの負のパルス振幅を有する、例17のシステムである。
【0020】
例20は、複数のパルスバーストが、複数の心拍にわたって患者に印加される、例16のシステムである。
例21は、複数のパルスバーストが、複数の心拍にわたって心拍につき1つのパルスバーストで患者に印加される、例16のシステムである。
【0021】
例22は、複数のパルスバーストの各パルスバーストが、心拍におけるR波にゲート制御され、330ミリ秒未満の心拍の不応時間のうちの1つ以上の間、かつ100~250ミリ秒ウィンドウ内で印加される、例16のシステムである。
【0022】
例23は、電気穿孔パルスシーケンスが少なくとも50パルスを含む、例16のシステムである。
例24は、複数のパルスバーストが、少なくとも5つのパルスバーストを含む、例16のシステムである。
【0023】
例25は、パルスバーストの各々が少なくとも10パルスを含む、例16のシステムである。
例26は、電気穿孔パルスシーケンスが不可逆的電気穿孔パルスシーケンスである、例16のシステムである。
【0024】
例27は、患者に取り付けられ、電気パルスに応答して患者内で電場を発生させるように構成される、表面パッチ電極を備える、例16のシステムである。
例28は、患者の標的組織を治療するための電気穿孔アブレーションシステムである。電気穿孔アブレーションシステムは、アブレーションカテーテルと電気穿孔発生器とを含む。アブレーションカテーテルは、ハンドルと、遠位端を有するシャフトと、シャフトの遠位端に位置し、電気パルスに応答して標的組織内で電場を発生させるように空間的に配置されたカテーテル電極とを含む。電気穿孔発生器は、カテーテル電極に動作可能に結合され、電気穿孔パルスシーケンスで電気パルスを1つ以上のカテーテル電極に送達するように構成される。電気穿孔パルスシーケンスは、複数の心拍にわたって心拍につき1つのパルスバーストで印加される複数のパルスバーストを含み、複数のパルスバーストの各々は、不可逆的電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離された二相パルスを含む。
【0025】
例29は、複数のパルスバーストの各パルスバーストが、心拍におけるR波にゲート制御され、心拍の心室不応期中に印加される、例28のシステムである。
例30は、二相パルスの各々が、正のパルス部分と負のパルス部分とを含み、正のパルス部分および負のパルス部分の各々は、1~5マイクロ秒のパルス幅を有する、例28のシステムである。
【0026】
例31は、二相パルスの各々が、正のパルス部分と負のパルス部分とを含み、正のパルス部分と負のパルス部分との間の位相間遅延は、0~10マイクロ秒である、例28のシステムである。
【0027】
例32は、不可逆的電気穿孔によって患者の標的組織をアブレーションする方法である。本方法は、複数の心拍にわたって複数のパルスバーストを送達することを含む不可逆電気穿孔パルスシーケンスを送達することを含み、複数のパルスバーストの各々は、不可逆的電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離された二相性パルスを含む。
【0028】
例33は、複数の心拍にわたって複数のパルスバーストを送達することが、各々が1~5マイクロ秒のパルス幅を有する正のパルス部分および負のパルス部分を各々有する二相パルスを送達することを含む、例32の方法である。
【0029】
例34は、複数の心拍にわたって複数のパルスバーストを送達することが、0~10マイクロ秒の位相間遅延によって分離された正のパルス部分および負のパルス部分を各々有する二相パルスを送達することを含む、例32の方法である。
【0030】
例35は、複数の心拍にわたって複数のパルスバーストを送達することが、心拍につき1つのパルスバーストを送達することを含む、例32の方法である。
複数の実施形態が開示されているが、本開示のさらに他の実施形態は、本開示の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本開示の主題の実施形態による、電気生理学システムを使用して患者を治療するための、および患者の心臓を治療するための例示的な臨床設備を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の主題の実施形態による、カテーテルに含まれるシャフトの遠位端および電極対間の相互作用を図示する図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の主題の実施形態による、電極対間の相互作用によって発生する軸線方向の電場を示する図である。
【
図2C】
図2Cは、本開示の主題の実施形態による、カテーテルにおける電極対間の相互作用によって発生する円周方向の電場を示する図である。
【
図3】
図3は、本開示の主題の実施形態による、電気穿孔発生器によって発生するパルスバーストのパルスバースト部分を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の主題の実施形態による、効果的で永続性のある損傷領域と、骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域とを示すグラフを示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の主題の実施形態による、骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域のパルス間長さに対する依存性のグラフを示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の主題の実施形態による、パルスバースト内のパルス数に対する、骨格筋刺激を表す加速度のグラフを示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の主題の実施形態による、効果的で永続性のある電気穿孔損傷を作成しつつ骨格筋刺激を制限または低減する電気穿孔パルスシーケンスを示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の主題の実施形態による、効果的で永続性のある損傷を達成しつつ、制限または低減された骨格筋刺激を示すグラフを示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の主題の実施形態による、不可逆的電気穿孔によって患者の標的組織をアブレーションする方法を示す図である。
【0032】
本開示は、様々な修正形態および代替形態を受け入れることができるが、特定の実施形態が図面において例として示されており、以下で詳細に説明されている。しかしながら、その意図は、本開示を説明される特定の実施形態に限定することではない。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内に入るすべての修正形態、均等物、および代替形態を包含するものとする。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、本開示の範囲、適用性、または構成を限定することを意図するものでは決してない。むしろ、以下の説明は、本開示の例示的な実施形態を実装するためのいくつかの実際的な例示を提供する。構成、材料、および/または寸法の例は、選択された要素に対して提供される。当業者は、言及される例の多くが様々な適切な代替形態を有することを認識するであろう。
【0034】
図1は、本開示の主題の実施形態による、電気生理学システム50を使用して患者20を治療するための、および患者20の心臓30を治療するための例示的な臨床設備10を示す図である。電気生理学システム50は、電気穿孔システム60と、電気解剖学的マッピング(EAM)システム70とを含み、EAMシステム70は、位置特定場発生器80と、マッピングおよびナビゲーションコントローラ90と、ディスプレイ92とを含む。また、臨床設備10は、撮像機器94(Cアームによって表される)などの追加の機器と、オペレータが電気生理学システム50の様々な態様を制御することを可能にするように構成されたフットコントローラ96などの様々なコントローラ要素とを含む。当業者によって理解されるように、臨床設備10は、
図1に示されていない他の構成要素および構成要素の配置を有してもよい。
【0035】
電気穿孔システム60は、電気穿孔カテーテル105と、導入器シース110と、表面パッチ電極115と、電気穿孔発生器130とを含む。また、実施形態では、電気穿孔システム60は加速度計117を含み、加速度計117は、別個のセンサまたは表面電極パッチ115の一部であり得る。加えて、電気穿孔システム60は、電気穿孔システム60の構成要素を互いにおよびEAMシステム70の構成要素に機能的に接続するように動作する様々な接続要素(例えば、ケーブル、アンビリカルなど)を含む。接続要素のこの配置は、本開示にとって決定的に重要なものではなく、当業者は、本明細書に説明される様々な構成要素が様々な方法で相互接続され得ることを認識するであろう。
【0036】
実施形態では、電気穿孔システム60は、患者の心臓30における標的組織に電場エネルギーを送達することで組織アポトーシスを生じさせ、組織が電気信号を伝導できないようにするように構成される。電気穿孔発生器130は、電気穿孔システム60の機能的態様を制御するように構成される。実施形態では、電気穿孔発生器130は、本明細書でより詳細に説明されるように、パルスシーケンスを発生させ、電気穿孔カテーテル105に、およびいくつかの実施形態では、表面パッチ電極115に供給するためのパルス発生器として動作可能である。実施形態では、電気穿孔発生器130は、パルスシーケンスを発生させ、電気穿孔カテーテル105の電極に供給するためのパルス発生器として動作可能であり、電気エネルギーは、双極パルスとして、すなわち、電気穿孔カテーテル105の2つ以上の電極間に供給される。実施形態では、電気穿孔発生器130は、パルスシーケンスを発生させ、電気穿孔カテーテル105の少なくとも1つの電極および表面パッチ電極115に供給するためのパルス発生器として動作可能であり、電気エネルギーは、単極パルスとして、すなわち、電気穿孔カテーテル105の少なくとも1つの電極と表面パッチ電極115との間に供給される。実施形態では、電気穿孔発生器130は、加速度計117から感知信号を受信するように動作可能であり、受信した感知信号に基づいて、パルスシーケンスを発生させ、電気穿孔カテーテル105に、およびいくつかの実施形態では、表面パッチ電極115に供給するためのパルス発生器として作用する。
【0037】
実施形態では、電気穿孔発生器130は、電気穿孔カテーテルシステム60の機能的態様を制御および/または実行するためにメモリからコードを実行する1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ、および/またはコンピュータを含む。実施形態では、メモリは、1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ、および/もしくはコンピュータの一部、ならびに/またはワールドワイドウェブ等のネットワークを通してアクセス可能なメモリ容量の一部であってもよい。
【0038】
実施形態では、導入器シース110は、それを通って電気穿孔カテーテル105が患者の心臓30の中の特定の標的部位に設置され得る送達導管を提供するように動作可能である。しかしながら、導入器シース110は、電気生理学システム50全体に対する状況を提供するために本明細書で図示および説明されているが、本明細書で説明される様々な実施形態の新規な態様にとって必須ではないことが理解されよう。
【0039】
EAMシステム70は、電気穿孔システム60の様々な機能構成要素の位置を追跡し、目的の心腔の高忠実度の3次元解剖学的マップおよび電気解剖学的マップを生成するように動作可能である。実施形態では、EAMシステム70は、Boston Scientific Corporationによって販売されているRHYTHMIA(登録商標)HDxマッピングシステムであってもよい。また、実施形態では、EAMシステム70のマッピングおよびナビゲーションコントローラ90は、EAMシステム70の機能的態様を制御および/または実行するためにメモリからのコードを実行する1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ、および/またはコンピュータを含み、メモリは、実施形態において、1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ、および/もしくはコンピュータの一部、ならびに/またはワールドワイドウェブなどのネットワークを通してアクセス可能なメモリ容量の一部であってもよい。
【0040】
当業者によって理解されるように、
図1に示される電気生理学システム50の描写は、システム50の様々な構成要素の全般的な概観を提供することを意図しており、本開示が構成要素の任意のセットまたは構成要素の配置に限定されることを暗示する意図は決してない。例えば、当業者は、追加のハードウェア構成要素、例えば、ブレークアウトボックス、ワークステーションなどが電気生理学システム50に含まれてもよく、含まれる可能性が高いことを容易に認識するであろう。
【0041】
EAMシステム70は、場発生器80を介して位置特定場を発生させることで心臓30の周りの位置特定ボリュームを画定し、例えば電気穿孔カテーテル105などの追跡されるデバイス(複数可)上の1つ以上の位置センサまたは感知要素は、マッピングおよびナビゲーションコントローラ90によって処理され得る出力を生成することで位置特定ボリューム内のセンサの位置、およびその結果として対応するデバイスの位置を追跡する。図示される実施形態では、デバイス追跡は、磁気追跡技術を使用して達成され、それによって、場発生器80は、位置特定ボリュームを画定する磁場を発生させる磁場発生器であり、追跡されるデバイス上の位置センサは、磁場センサである。
【0042】
他の実施形態では、インピーダンス追跡手段が、様々なデバイスの位置を追跡するために採用されてもよい。そのような実施形態では、位置特定場は、例えば、表面電極などの外部の場発生器配置によって、または心臓内カテーテルなどの体内または心臓内デバイスによって、またはその両方によって発生する電場である。これらの実施形態では、位置感知要素は、マッピングおよびナビゲーションコントローラ90によって受信および処理される出力を生成して位置特定ボリューム内の様々な位置感知電極の位置を追跡する、追跡されるデバイス上の電極を構成してもよい。
【0043】
実施形態では、EAMシステム70は、磁気追跡機能およびインピーダンス追跡機能の両方を備える。そのような実施形態では、インピーダンス追跡の正確さは、いくつかの事例では、前述のRHYTHMIA(登録商標) HDxマッピングシステムを使用して可能であるように、磁気位置センサを備えたプローブを使用して、目的の心腔内で電場発生器によって誘導される電場のマップを最初に作成することによって向上させることができる。1つの例示的なプローブは、Boston Scientific Corporationによって販売されているINTELLAMAP ORION(登録商標)マッピングカテーテルである。
【0044】
使用される追跡手段にかかわらず、EAMシステム70は、例えば、電気穿孔カテーテル105または感知電極を備えた別のカテーテルもしくはプローブによって取得される心臓の電気的活動と共に、様々な追跡されるデバイスの位置情報を利用して、心腔の詳細な3次元幾何学的解剖学的マップまたは表現、ならびに目的の心臓の電気的活動が幾何学的解剖学的マップ上に重ね合わされた電気解剖学的マップを生成し、ディスプレイ92を介して表示する。さらに、EAMシステム70は、幾何学的解剖学的マップおよび/または電気解剖学的マップ内の様々な追跡されるデバイスのグラフィカル表現を生成することができる。
【0045】
EAMシステム70は、例示的な臨床設備10の包括的な描写を提供するために電気穿孔システム60と組み合わせて示されているが、EAMシステム70は、電気穿孔システム60の動作および機能にとって必須ではない。すなわち、実施形態では、電気穿孔システム60は、EAMシステム70または任意の同等の電気解剖学的マッピングシステムとは独立して使用されてもよい。
【0046】
図示の実施形態では、電気穿孔カテーテル105は、ハンドル105aと、シャフト105bと、以下でさらに説明する電気穿孔電極配置150とを含む。ハンドル105aは、電気穿孔電極配置150を所望の解剖学的位置に位置決めするためにユーザによって操作されるように構成される。シャフト105bは、遠位端105cを有し、全般的に、電気穿孔カテーテル105の長手方向軸線を画定する。示されるように、電気穿孔電極配置150は、シャフト105bの遠位端105cに、またはその近くに位置する。実施形態では、電気穿孔電極配置150は、電気穿孔発生器130に電気的に結合されて、電気パルスシーケンスまたはパルス列を受け取り、それによって、不可逆的電気穿孔によって標的組織をアブレーションするための電場を選択的に発生させる。
【0047】
実施形態では、表面パッチ電極115は、患者の胸部など、患者20の身体に取り付けることができる導電性電極を含む。導電性電極を含む表面パッチ電極115は、電気穿孔発生器130に電気的に結合されて、システム内の電気エネルギーのリターン経路またはシンク(sink)として働き、電気穿孔発生器130から電気パルスシーケンスまたはパルス列を受け取り、それによって電気エネルギー源として働くとともに、不可逆的電気穿孔によって標的組織をアブレーションするための電場を選択的に発生させる。実施形態では、表面パッチ電極115は、電気穿孔カテーテル105および電気穿孔電極配置150によって受け取られる電気エネルギーのためのリターンまたはシンクとして働く。実施形態では、表面パッチ電極115は、電気エネルギー源として働き、電気穿孔電極配列150を含む電気穿孔カテーテル105は、供給された電気エネルギーのリターンまたはシンクとして働く。
【0048】
実施形態では、電気穿孔システム60は、患者の胸部などの患者20の身体に取り付けられ、電気穿孔発生器130に電気的に結合され得る加速度計117を含む。加速度計117は、患者の骨格筋系の収縮を感知するように構成される。加速度計117からの信号は、患者の骨格筋系が収縮しているかどうかを決定するために、信号を処理する電気穿孔発生器130によって受信される。
【0049】
また、実施形態では、標的組織および標的組織を取り囲む組織の局所インピーダンスを測定して、損傷の有効性を評価するためにアブレーション前およびアブレーション後の値を計算してもよい。
【0050】
電気穿孔システム60は、複数のパルスバーストを含む電気穿孔パルスシーケンスを生成するように動作可能であり、複数のパルスバーストの各々は複数のパルスを含む。電気穿孔発生器130は、電気穿孔カテーテル105のカテーテル電極に動作可能に結合され、電気穿孔パルスシーケンスで電気パルスをカテーテル電極および/または表面パッチ電極115のうちの1つ以上に送達するように構成される。電気穿孔パルスシーケンスは、電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するように構成される。実施形態では、電気穿孔パルスシーケンスは、標的組織をアブレーションするように構成されたIREパルスシーケンスである。実施形態では、電気穿孔パルスシーケンスは、標的組織に不可逆的損傷を引き起こすように構成された一連の電気穿孔パルスである。
【0051】
複数のパルスバーストの各々は、パルス間長さまたはパルス間の遅延によって分離されたパルスを含む。実施形態では、パルスの各々は、正のパルス部分と負のパルス部分とを含む二相パルスであり、実施形態では、パルス間長さは、電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒である。いくつかの実施形態では、複数のパルスバーストは、複数の心拍にわたって患者に印加され、いくつかの実施形態では、複数のパルスバーストのうちの1つのパルスバーストが、心拍毎に印加される。
【0052】
図2A~
図2Cは、例示的な実施形態による電気穿孔電極配置150を含む電気穿孔カテーテル105の特徴を示す。
図2Aに示す実施形態では、電気穿孔電極配置150は、3次元電極アレイに配置された複数の電極201a、201b、201c、201d、201e、201fを含み、電極201a、201b、201c、201d、201e、201fのそれぞれが、軸線方向に(すなわち、長手方向軸線LAの方向に)、長手方向軸線LAの周りで円周方向に、および/または長手方向軸線LAに対して半径方向に、互いに間隔を置いて配置されるようになっている。いくつかの実施形態では、電極201a、201b、201c、201d、201e、201fは各々、電気穿孔発生器130(
図1)を介して個々に、選択的にアドレス可能であることで、各々が電気穿孔発生器130から電気パルスシーケンスを受け取ることができる複数のアノード-カソード電極対を画定し、その結果、IREを介した標的組織のアブレーションを含む、電気穿孔を介して組織を選択的に標的化することができる電場を生成することができる。
図2Aは、電気穿孔カテーテル105に含まれる電極201(例えば、201a、201b、201c、201d、201e、201f)間に形成される電極対間の相互作用(例えば、電場を形成する電流フロー)を概略的に示す。この図では、相互作用は、電極201の間の電流フローを示す対になった矢印(例えば、a-d、b-e、d-f)として示される。また、電極対(例えば、201aと201d、201bと201e、201dと201f)は、それらのそれぞれの電流フロー(例えば、a-d、b-e、d-f)がラベル付けされて示される。
【0053】
図2Bは、電気穿孔カテーテル105における電極対間の相互作用によって発生する電界210を示す図である。この図では、軸線方向に配向された電場210が、左心房223と左下肺静脈225との間の小孔221に位置付けられて示されている。実施形態では、軸線方向に配向された電場210は、電気パルスを、軸線方向に間隔を置いて配置されたアノードおよびカソードに送達することによって生成される。
【0054】
図2Cもまた、電気穿孔カテーテル105における電極対間の相互作用によって発生する電界210を示す図である。しかし、ここでは、電場210は円周方向に配向されている。実施形態では、円周方向に配向された電場210は、円周方向に間隔を置いて配置されたアノード(「A」)およびカソード(「C」)に電気パルスを送達することによって生成される。
【0055】
図2A~
図2Cは、複数の電場210が、同時におよび/または連続して、軸線方向および円周方向に発生し得ることを示す。例えば、実施形態では、軸線方向および円周方向に配向された電場210は、それぞれの電極201への電気パルスの送達のタイミングを選択的に制御することによって、事前定義されたシーケンスで非同時に発生し得る。加えて、電極対のセット間の互い違いの相互作用によって引き起こされる断続的に発生する電場210、ならびに軸線方向および円周方向以外の電場配向は、本開示の範囲を超えないことが理解される。
【0056】
図2Aに見られるように、電気穿孔電極配置150は、複数の電極対(例えば、アノード-カソード対)を選択的に画定するように配置された複数の個別にアドレス可能な電極201(例えば、アノードまたはカソード)を含み得る。各アノード-カソード対は、パルスシーケンスがそこに送達されるときに電場を発生させるように構成されてもよい。複数のアノード-カソード対は、第1のアノード-カソード対、第2のアノード-カソード対、および第3のアノード-カソード対のうちの少なくとも2つを含んでもよい。第1のアノード-カソード対は、第1のパルスシーケンスがそこに送達されるとき、長手方向軸線に対して概ね円周方向に配向される第1の電場を発生させるように配置されてもよい。第2のアノード-カソード対は、第2のパルスシーケンスがそこに送達されるとき、長手方向軸線と概ね同じ方向に配向された第2の電場を発生させるように配置されてもよい。第3のアノード-カソード対は、第3のパルスシーケンスがそこに送達されるとき、長手方向軸線に対して概ね横断方向に配向された第3の電場を発生させるように配置されてもよい。実施形態では、第1、第2、および第3のパルスシーケンスの任意の組み合わせが、同時にまたは断続的に送達されてもよく、様々な形態をとってもよい。
【0057】
実施形態では、電気穿孔電極配置150は、電極201a、201b、201c、201d、201e、201fを、遠位に位置する第1の領域およびより近位に位置する第2の領域に構造的に配置するように構成されてもよい。したがって、電極対は、第1の領域と第2の領域との間の電気穿孔電極配置150内の様々な電極201にわたって形成され得る。例えば、電極201dおよび201fは、電極対を形成するように構成されてもよい。同様に、電極201aおよび201d、または電極201bおよび201e、またはそれらの組み合わせを選択して、それぞれの電極対を形成してもよい。したがって、電極対は、軸線方向に間隔を置いて配置された電極、横方向に間隔を置いて配置された電極、または円周方向に間隔を置いて配置された電極を含み得る。加えて、実施形態では、所与の電極(例えば、201d)は、電場210を発生させるために、少なくとも2つの電極対における共通電極として機能してもよい。
【0058】
図2Bは、電気穿孔電極配置150によって発生し得る例示的な電場210の図を示す。電気穿孔電極配置150は、少なくとも1つのパルスシーケンスがそこに送達されるときに多方向の電場210を発生させるように構成されてもよい。多方向の電界210は、長手方向軸に対して、概ね軸線方向、円周方向、および横断方向のうちの少なくとも2つの方向を含んでもよい。本明細書で使用される場合、横断は、長手方向軸線に対して任意の非平行な角度を意味し得る。説明したように、電気穿孔電極配置150は、少なくとも1つの電気穿孔パルスシーケンスを生成するように構成された電気穿孔発生器130に動作可能に結合するように構成されてもよい。電気穿孔電極配置150は、電気穿孔発生器130から少なくとも1つの電気穿孔パルスシーケンスを受け取るように構成されてもよい。したがって、電気穿孔電極配置150および電気穿孔発生器130は、互いに動作可能に通信していてもよい。本開示では、そのような通信を使用して、少なくとも実質的に隙間のない電界210を発生させることができる。
【0059】
電気穿孔電極配置150によって発生する電場210における望ましくない隙間は、制限され得るか、または少なくとも実質的に排除され得る。そのような隙間は、潜在的に、損傷の隙間をもたらし、したがって、例えば、カテーテルの複数の再位置付けを必要とし得る。重なり合う電場210は、そのような隙間の数を少なくとも実質的に制限することができる。実施形態では、第1のパルスシーケンスセットにおいて発生する電場210の少なくともいくつかは、互いに少なくとも部分的に重なり合ってもよい。例えば、複合電場211における隣接する電場210(例えば、軸線方向、横断方向、および/または円周方向)は、複合電場211内に隙間がないように制限されるように、互いに交差してもよい。重なり合いは、隣接する電場210の周辺またはその付近で生じてもよく、または1つ以上の隣接する電界210の圧倒的多数または大部分にわたって生じてもよい。本開示において、隣接するとは、隣り合う電極201、またはそうでなければ互いに近い電極201を意味する。電気穿孔発生器は、重なり合う電場を発生させる際に使用されるパルスシーケンスを発生させるように構成されてもよい。
【0060】
様々な実施形態における電気穿孔電極配置150の構成は、現在知られているか後に開発されるかにかかわらず、3次元電極構造に適した任意の形態をとることができる。例示的な実施形態では、電気穿孔電極配置150は、スプラインバスケットカテーテルの形態であってもよく、それぞれの電極201a、201b、201c、201d、201e、201fは、当技術分野で知られている任意の方法で複数のスプライン上に配置される。実施形態では、電気穿孔電極配置150は、拡張可能なバルーン上に形成されてもよく、例えば、電極は、バルーン表面上に配置されたフレキシブル回路分岐または個々のトレース上に形成される。他の実施形態では、電気穿孔電極配置150は、拡張可能なメッシュの形態であってもよい。要するに、電気穿孔電極配置150を形成するために使用される特定の構造は、本開示の実施形態にとって必須ではない。
【0061】
実施形態では、電気穿孔システム60は、電気穿孔電極配列150の複数の電極201a、201b、201c、201d、201e、201fのうちの少なくとも1つ、ならびにいくつかの実施形態では、表面パッチ電極115を使用して、電場エネルギーを患者の心臓30における標的組織に送達することで、組織アポトーシスを生じさせ、組織が電気信号を伝導することを不可能にするように構成される。実施形態では、電気穿孔発生器130は、パルスシーケンスを発生させ、電気穿孔電極配置150の複数の電極201a、201b、201c、201d、201e、201fのうちの2つ以上に供給するためのパルス発生器として動作可能であり、電気エネルギーは、双極パルスとして、すなわち、電気穿孔電極配置150の複数の電極201a、201b、201c、201d、201e、201fのうちの2つ以上の間に供給される。実施形態では、電気穿孔発生器130は、パルスシーケンスを発生させ、電気穿孔電極配列150の複数の電極201a、201b、201c、201d、201e、201fのうちの少なくとも1つの電極に供給するためのパルス発生器として動作可能であり、電気エネルギーは、単極パルスとして、すなわち、電気穿孔電極配列150の複数の電極201a、201b、201c、201d、201e、201fのうちの少なくとも1つの電極と表面パッチ電極115との間に供給される。
【0062】
過剰な骨格筋刺激を回避しながら効果的で永続性のある損傷を達成することは、パルスシーケンスにおけるパルスバーストの数、パルスバーストにおけるパルスの数、パルスシーケンスにおけるパルスの総数、パルス幅、パルス振幅、およびパルスバーストにおけるパルス間の間隔などの複数のパルスシーケンス特性を最適化することを含む困難な作業である。
【0063】
図3は、本開示の主題の実施形態による、電気穿孔発生器130によって発生するパルスバーストのパルスバースト部分300を示す図である。説明したように、電気穿孔システム60は、複数のパルスバーストを含む電気穿孔パルスシーケンスを発生させるように動作可能であり、複数のパルスバーストの各々は複数のパルスを含む。実施形態では、電気穿孔パルスシーケンスは、少なくとも5つのパルスバーストを含む。実施形態では、複数のパルスバーストのうちの1つ以上は、少なくとも10の二相パルスなどの少なくとも10パルスを含む。実施形態では、複数のパルスバーストのうちの1つ以上は、10~60の二相パルスなどの10~60パルスを含む。いくつかの実施形態では、電気穿孔パルスシーケンスは、合計で少なくとも50パルスを含む。
【0064】
パルスバースト部分300は、3つの二相パルス302、304、306を含む。二相パルス302、304、306の各々は、二相パルス302が正のパルス302aと負のパルス302bとを含み、二相パルス304が正のパルス304aと負のパルス304bとを含み、二相パルス306が正のパルス306aと負のパルス306bとを含むように、正のパルスと負パルスとを含む。
【0065】
二相パルス302、304、306の各々は、正のパルス幅(PPW)308、負のパルス幅(NPW)310、位相間遅延(IPhD)312、正のパルス振幅(PPA)314、および負のパルス振幅(NPA)316のようなパルス特性を有する。また、パルス302、304、306などのパルスは、パルス302、304、306の各々の間のパルス間長さまたは遅延(IPD)318によって分離される。実施形態では、パルス間長さ318は、電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒である。
【0066】
正のパルス幅308と負のパルス幅310とを含むパルス幅、正のパルス振幅314と負のパルス振幅316とを含むパルス振幅、およびパルス間長さ318などの特性は、過剰な骨格筋刺激を回避しながら、効果的で永続性のある損傷を達成するように最適化される。
【0067】
図4は、本開示の主題の実施形態による、効果的で永続性のある損傷領域402と、骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域404とを示すグラフを示す図である。グラフ400において、効果的で永続性のある損傷領域402は線406の上にあり、骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域404は線408の下にある。
【0068】
グラフ400は、x軸に沿った正のパルス幅308および負のパルス幅310などのパルス幅410と、y軸に沿った正のパルス振幅314および負のパルス振幅316などのパルス振幅412とのグラフである。この例では、正のパルス幅308および負のパルス幅310は等しいかまたは同じであり、正のパルス振幅314および負のパルス振幅316は等しいかまたは同じである。
【0069】
骨格筋刺激をほとんどまたは全く伴わずに効果的で永続性のある損傷を達成するための設計目標414は、線406と線408との間にあり、この場所で、効果的で永続性のある損傷領域402は、骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域404と重なる。図示のように、設計目標414は、パルス幅410が比較的小さく、パルス振幅412が比較的大きいまたは高いところに位置している。
【0070】
図5は、本開示の主題の実施形態による、骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域404のパルス間長さ318に対する依存性のグラフ500を示す図である。グラフ500は、x軸に沿った正のパルス幅308および負のパルス幅310などのパルス幅502と、y軸に沿った正のパルス振幅314および負のパルス振幅316などのパルス振幅504とのグラフである。この例では、正のパルス幅308および負のパルス幅310は等しいかまたは同じであり、正のパルス振幅314および負のパルス振幅316は等しいかまたは同じである。
【0071】
グラフ500では、パルス間長さ318が2マイクロ秒の場合、線506の下に骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域404が位置し、パルス間長さ318が40マイクロ秒の場合、線508の下に骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域404が位置する。したがって、パルス間長さ318を増加させることにより、骨格筋刺激がほとんどないか全くない領域404が増加し、パルス間長さ318を増加させることにより、より少ない骨格筋刺激を引き起こす。また、パルス間長さ318を増加させることは、損傷有効性にほとんどまたは全く影響を及ぼさず、損傷有効性に有益でさえあり得ることが見出されている。
【0072】
図6は、本開示の主題の実施形態による、パルスバースト604におけるのパルス数に対する、骨格筋刺激を表す加速度602のグラフ600を示す図である。加速度602は、ミリG(mG)で測定される。また、この例では、加速度測定は、正のパルス幅308および負のパルス幅310の各々について6マイクロ秒のパルス幅、2マイクロ秒の位相間遅延312、および40マイクロ秒のパルス間長さ318を使用して行われた。
【0073】
グラフ600に示すように、加速度は、パルスバースト606において3パルスで約1500mG(14.71m/s2)、パルスバースト608において15パルスで約1700mG(16.67m/s2)、パルスバースト610において30パルスで約2000mG(19.61m/s2)、パルスバースト612において60パルスで約2600mG(25.49m/s2)であった。したがって、加速度602によって測定される骨格筋刺激は、パルスバーストにおけるパルスの数が増加するにつれて増加する。
【0074】
パルスバーストにおけるパルスの数を増加させることにより、より良好な損傷有効性および不可逆性がもたらされ、パルスバーストにおける40を超えるパルスの後に生じる利益はほとんどないことが見出されている。しかしながら、骨格筋刺激を制限するために、パルスバーストにおけるより少ないパルスは、より少ない骨格筋刺激をもたらすので、実施形態では、パルスバースト614につき20パルスが、最適動作パラメータとして選択された。また、電気穿孔パルスシーケンスのいくつかの実施形態では、パルスシーケンスによって合計100パルスが印加されるように、パルスバースト614につき20パルスを有する5つのパルスバーストが選択された。
【0075】
図7は、本開示の主題の実施形態による、効果的で永続性のある電気穿孔損傷を作成しつつ骨格筋刺激を制限または低減する電気穿孔パルスシーケンスを示す
図700である。実施形態では、電気穿孔パルスシーケンス700は、不可逆的電気穿孔パルスシーケンスである。
【0076】
現在の例では、電気穿孔パルスシーケンス700は、患者の心臓に印加される5つのパルスバースト702、704、706、708、710を含み、それぞれ、心拍712、714、716、718、720につき1つのパルスバーストである。実施形態では、パルスバースト702、704、706、708、710の各々は、心拍712、714、716、718、720のうちの対応する1つにおけるR波にゲート制御され、330ミリ秒未満の心拍の不応時間のうちの1つ以上の間、かつ100~250ミリ秒ウィンドウ内で印加される。
【0077】
他の例および実施形態では、電気穿孔パルスシーケンスは、患者の心臓に印加される複数のパルスバーストを含み、2つ以上のパルスバーストを心拍中に印加することができ、心拍中にパルスバーストを印加しなくてもよい。これらの例および実施形態では、パルスバーストは、少なくともパルスバースト間の最小時間を伴って、心拍中に非同期的に供給される。また、これらの例および実施形態では、パルスバーストは、心拍におけるR波にゲート制御されてもされなくてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、現在の例において、電気穿孔パルスシーケンス700は、10または15以上のパルスバーストなど、5つを超えるパルスバーストを含む。また、他の実施形態では、1つを超えるパルスバーストを1つの心拍の間に印加することができ、いくつかの実施形態では、1つ以上のパルスバーストが1つの心拍に印加され、一連の心拍の後まで後続の心拍にパルスバーストが印加されないように、心拍をスキップすることができる。
【0079】
現在の例では、5つのパルスバースト702、704、706、708、710の各々は、20の二相パルスを含む。したがって、電気穿孔パルスシーケンス700は、5つのパルスバースト702、704、706、708、710の各々において20の二相パルスを含み、電気穿孔パルスシーケンス700において合計100の二相パルスを含む。他の実施形態では、電気穿孔パルスシーケンス700は、パルスバーストの各々において、少なくとも10の二相パルスなどの少なくとも10パルスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電気穿孔パルスシーケンス700は、パルスバーストの各々において、10~60の二相パルスなどの10~60パルスを含む。また、他の実施形態では、電気穿孔パルスシーケンス700は、少なくとも50の二相パルスなどの合計で少なくとも50パルスを含む。
【0080】
例として、第1のパルスバースト702は、図示された二相パルス722、724、726を含む20の二相パルスを含む。二相パルス722、724、726と同様に、20の二相パルスの各々は、二相パルス722が正のパルス722aと負のパルス722bとを含み、二相パルス724が正のパルス724aと負のパルス724bとを含み、二相パルス726が正のパルス726aと負のパルス726bとを含むように、正のパルスと負パルスとを含む。
【0081】
二相パルス722、724、726は、正のパルス幅(PPW)728、負のパルス幅(NPW)730、位相間遅延(IPhD)732、正のパルス振幅(PPA)734、および負のパルス振幅(NPA)736を含むパルス特性を有する。また、パルスは、20の二相パルスのシーケンスにおいて隣接するパルス間のパルス間長さまたは遅延(IPD)738によって分離される。
【0082】
これらの特性は、過剰な骨格筋刺激を回避しながら、効果的で永続性のある損傷を達成するように最適化することができ、最適化される。電気パルスは、カテーテル105の電極201および/または表面パッチ電極115を介して印加されてもよい。
【0083】
過剰な骨格筋刺激を回避しながら効果的で永続性のある損傷を達成するように最適化された例示的な一実施形態では、正のパルス幅(PPW)728および負のパルス幅(NPW)730の各々は、2マイクロ秒のパルス幅を有し、位相間遅延(IPhD)732は2マイクロ秒であり、基準線740から測定される正のパルス振幅(PPA)734は+500~+2500ボルトであり、基準線740から測定される負のパルス振幅(NPA)736は-500~-2500ボルトであり、パルス間長さ738は200~350マイクロ秒であり、電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を制限および低減する。いくつかの実施形態では、基準線740から測定される正のパルス振幅(PPA)734は、+1200~+2500ボルトであり、いくつかの実施形態では、基準線740から測定される負のパルス振幅(NPA)736は、-1200~-2500ボルトである。いくつかの実施形態では、基準線740は0ボルトである。
【0084】
他の実施形態では、正のパルス幅(PPW)728および負のパルス幅(NPW)730の各々は、1~5マイクロ秒のパルス幅を有し、いくつかの実施形態では、位相間遅延(IPhD)732は、0~10マイクロ秒である。
【0085】
図8は、本開示の主題の実施形態による、効果的で永続性のある損傷を達成しつつ、制限または低減された骨格筋刺激を示すグラフ800を示す図である。グラフ800は、mGで測定されたピークxyz加速度804に対する観察された刺激評価802を表示する。グラフ800のデータは、ブタモデルに関連して収集されたものであり、したがって、ヒトにも指向的に適用可能であることが理解されたい。
【0086】
刺激評価802は、以下に基づいて選択される:0は、骨格筋刺激が観察されないことを示す;1は、局所的な動悸があるが、全体的な刺激も横隔結節刺激もないことを示す;2は、身体の揺れを伴う胴体の目に見える動きを示す;3は、身体の揺れを伴う胴体のより激しい目に見える動きを示す;4は、電気穿孔パルスシーケンスの送達が、身体にショックを与える除細動器のように見えることを示す。
【0087】
本明細書に説明され、
図7の説明に記載されるような電気穿孔パルスシーケンスを印加することは、806で示されるドットをもたらし、刺激評価802は1以下であり、ピークxyz加速度804は1500mG(14.71m/s
2)未満である。これは、4以上の刺激評価802および約2800mG(27.45m/s
2)以上のピークxyz加速度804である、808で示される高線量ドットを含む、グラフ800内の他のドットとは対照的である。
【0088】
したがって、本明細書に説明される電気穿孔パルスシーケンスを印加することによって、電気穿孔システムは、効果的で永続性のある電気穿孔アブレーション損傷を達成しつつ、骨格筋刺激を制限または低減することを達成する。
【0089】
図9は、本開示の主題の実施形態による、不可逆的電気穿孔によって患者の標的組織をアブレーションする方法を示す図である。
900において、本方法は、電気穿孔パルス発生器によって、複数のパルスバーストを含む電気穿孔パルスシーケンスを発生させることを含む。実施形態では、電気穿孔パルス発生器は、電気穿孔発生器130のようなものである。
【0090】
902において、方法は、複数の心拍にわたる複数のパルスバーストを含む電気穿孔パルスシーケンスを送達することを含み、複数のパルスバーストの各々は、不可逆的電気穿孔損傷を作成しつつ筋肉刺激を低減するために、200~350マイクロ秒のパルス間長さによって分離された二相性パルスを含む。
【0091】
実施形態では、本方法は、複数の心拍にわたって心拍につき1つのパルスバーストで複数のパルスバーストを送達することを含む。他の実施形態では、本方法は、1つの心拍中に1つを超えるパルスバーストを送達することを含み、いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のパルスバーストが1つの心拍に印加され、一連の心拍の後までパルスバーストが後続の心拍に印加されないように、1つ以上の心拍をスキップすることを含む。
【0092】
また、実施形態では、本方法は、パルスバーストの各々を心拍のうちの対応する1つにおけるR波にゲート制御することを含み、いくつかの実施形態では、本方法は、330ミリ秒未満の心拍の不応時間のうちの1つ以上の間、かつ100~250ミリ秒ウィンドウ内にパルスバーストを印加することを含む。
【0093】
加えて、実施形態では、本方法は、各々が1~5マイクロ秒のパルス幅を有する、正のパルス部分および負のパルス部分を各々が有する二相パルスを送達することを含む。また、実施形態では、本方法は、0~10マイクロ秒の位相間遅延によって分離された正パルス部分および負パルス部分を各々が有する二相パルスを送達することを含む。加えて、いくつかの実施形態では、本方法は、基準線740から測定して+1200~+2500ボルトの正のパルス振幅(PPA)734を送達することを含み、いくつかの実施形態では、本方法は、基準線740から測定して-1200~-2500ボルトの負のパルス振幅(NPA)736を送達することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、基準線740から測定して+1200~+2500ボルトの正のパルス振幅(PPA)734を送達することを含み、いくつかの実施形態では、本方法は、基準線740から測定して-1200~-2500ボルトの負のパルス振幅(NPA)736を送達することを含む。いくつかの実施形態では、基準線740は0ボルトである。
【0094】
本開示の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な修正および追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本開示の範囲はまた、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、および説明された特徴の全てを含まない実施形態を含む。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲内に入るすべてのそのような代替形態、修正形態、および変形形態を、そのすべての均等物とともに包含することが意図される。
【国際調査報告】