(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】飛行特性の異なるアンカーを備えた発射体発射システム
(51)【国際特許分類】
F41B 15/00 20060101AFI20240207BHJP
F41B 15/10 20060101ALI20240207BHJP
F41B 11/00 20130101ALI20240207BHJP
【FI】
F41B15/00 A
F41B15/10
F41B11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549541
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2021055854
(87)【国際公開番号】W WO2022177612
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518340935
【氏名又は名称】ラップ テクノロジーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】セロビック、ミラン
(72)【発明者】
【氏名】リヒター、デイビッド、ティー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ノリス、エルウッド、ジー.
(57)【要約】
【要約】
発射体展開システムは、一対のアンカー(14a、14b)およびペレットを連結するつなぎ綱(16)を有する絡みつき発射体(12)を含む。発射体ケーシング(44)は、一対のソケット(30a、30b)を含み、各ソケットは、前記一対のアンカーの一方を担持する大きさである。少なくとも1つの圧力源(50)は、前記発射対ケーシングから対象者(100)に向かって前記アンカーの一方または両方を排出することができる。前記絡みつき発射体(12)または前記発射体ケーシング(44)の少なくとも一方は、前記発射体ケーシング(44)から排出された後、前記一対のアンカー(14a、14b)が異なる飛行特性で前記対象者(100)に向かって移動するように構成することができる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射体展開システムであって、
一対のアンカーと前記アンカーを連結するつなぎ綱とを含む、絡みつき発射体と、
発射体ケーシングであって、
一対のソケットであって、各ソケットは、前記一対のアンカーのうちの一方を担持する大きさである、前記一対のソケットと、
少なくとも1つの圧力源であって、当該圧力源は、前記発射体ケーシングから対象者に向けて前記アンカーの一方または両方を排出することができる、前記圧力源と
前記絡みつき発射体または前記発射体ケーシングのうちの少なくとも一方は、前記発射体ケーシングから展開された後、前記一対のアンカーが異なる飛行特性で前記対象物に向かって移動するように構成することができるものである、
前記発射体ケーシングと
を有する、発射体展開システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記一対のアンカーは、材質、体積、形状、表面仕上げ、質量、外径、抗力係数のうち少なくとも1つが互いに異なる、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記アンカーは、前記発射体ケーシングの前部に対して異なる前方位置で前記ソケット内に配置される、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムにおいて、各ソケットは、関連する圧力源に流体連通しており、一方のソケット内の流体抵抗は他方のソケット内の流体抵抗に対して変化する、システム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムにおいて、各ソケットは、関連する圧力源に流体連通しており、各圧力源の出力は異なるシステム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムにおいて、各ソケットは、関連する圧力源に流体連通しており、前記圧力源は、異なる時間に独立して作動可能である、システム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムにおいて、前記一対のアンカーは、外径が一致し、前記一対のソケットは、内径が異なる、システム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムにおいて、前記一対のソケットは内径の表面仕上げが異なる、システム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムにおいて、前記一対のアンカーのそれぞれに隣接する前記つなぎ綱のセクションは、相対位置、重量、表面仕上げ、抗力係数のうちのいずれか1つが異なる、システム。
【請求項10】
絡みつき発射体発射装置によって運ばれる絡みつき発射体を展開する方法であって、当該絡みつき発射体発射装置は、一対のソケットを含み、各ソケット内に一対のアンカーの各々が1つずつ運ばれ、前記アンカーを連結するつなぎ綱を含むものである、前記方法は、
前記一対のアンカーが異なる飛行特性で前記発射装置から展開されるように、それによって前記アンカーの各々をそれぞれのソケット内で前方に推進するために、1若しくはそれ以上の圧力源を起動する工程を有する、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、さらに、
前記一対のアンカーの一方にそれぞれ関連する一対の圧力源を、異なる時間に起動する工程を有するものである、方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法において、前記一対のアンカーは、材質、体積、形状、表面仕上げ、質量、外径、抗力係数のうち少なくとも1つが互いに異なる、方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、前記アンカーは、起動する工程が、前記アンカーが異なるタイミングで前記それぞれのソケットから出させるように、前記発射体ケーシングの前部に対して異なる前方位置で前記ソケット内に配置される、方法。
【請求項14】
請求項10記載の方法において、各ソケットは、関連する圧力源に流体連通しており、一方のソケット内の流体抵抗は、他方のソケット内の流体抵抗に対して変化する、方法。
【請求項15】
請求項10記載の方法において、各ソケットは、関連する圧力源に流体連通しており、各圧力源の出力は異なる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月18日に出願された米国特許出願番号第17/179、341号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、敵対的な人物や逃走する人物を阻止または制圧するのに役立つ、殺傷力の低い射撃武器システムに関する。
【背景技術】
【0003】
警察官や軍人が、敵対的な状況に対処するために、銃器以外の武器や装置を使用することが有益であることは、以前から認識されている。銃器は法執行に必要な道具ではあるが、時として不当なレベルの武力を提供する。多くの場合、法執行要員は、銃器の使用に頼らずに事態に対処することを望むかもしれない。しかし、手と手を使った戦闘は望ましい代替手段ではないと認められている。
【0004】
少なくともこのような理由から、テーザー銃(商標)のような射撃可能な交戦装置が、このような状況に対する代替的なアプローチを提供するために開発されてきた。このような電気的筋力障害(「EMD」)武器は、ある程度の成功を収めて使用されているが、このような装置が主張されているほど安全かどうか、あるいは多くの状況に対して適切なレベルの武力であるかどうかについては、議論が続いている。メースやペッパースプレーのような他の範囲交戦解決策は、範囲が非常に限られており、対象者に与える苦痛や、そのような解決策が警察官や見物人に影響を与える可能性から、しばしば批判されている。
【0005】
少なくともこれらの理由から、本出願人は、警察官または法執行官が安全かつ確実に、拘束または一時的に阻害された対象を拘束するために使用することができる商業的に成功したBOLAWRAP(商標登録)ブランドの発射装置を開発した。本出願人によって開発された発射装置は、広範な使用を享受し続けているが、発射装置の機能性を改善する努力は継続中である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、一対のアンカーと、前記アンカーを連結するつなぎ綱とを含む絡みつき発射体を含む発射体展開システムが提供される。発射薬ケーシングは、一対のソケットを含むことができ、各ソケットは、前記一対のアンカーの一方を担持する大きさである。少なくとも1つの選択的に作動可能な圧力源は、前記発射体ケーシングから被験体に向けて前記アンカーの一方または両方を排出することができる。前記絡みつき発射体または前記発射体ケーシングの少なくとも一方は、前記発射体ケーシングから展開された後、前記一対のアンカーが異なる飛行特性で前記対象者に向かって移動するように構成することができる。
【0007】
本技術の別の態様に従って、発射体展開システムが提供され、発射体ケーシングを含むものであって、発射体ケーシングは、一対のソケットであって、各ソケットは、一対のアンカーを連結するつなぎ綱を有する絡みつき発射体の前記一対のアンカーのうちの一方を担持する大きさである、一対のソケットと、一対の圧力源であって、各圧力源は、前記発射体ケーシングから対象者に向かって前記絡みつき発射体を展開するために、前記ソケットの一方から前記アンカーのうちの一方を排出することができる圧力波を発生させることができる、圧力源とを有する。制御装置は、前記圧力源の一方または両方を作動させるように操作可能であってもよい。前記発射体展開システムは、前記発射体ケーシングから前記アンカーをそれぞれ異なる飛行特性を示すように展開するように構成することができる。
【0008】
本技術の別の側面に従って、発射体展開システムで使用するための絡みつき発射体が提供される。前記絡みつき発射体は、一対のアンカーと、アンカーを連結するつなぎ綱とを含むことができる。前記一対のアンカーの各々は、前記一対のアンカーの各々の飛行特性に影響を与える複数の物理的特性を含むことができる。前記一対のアンカーのうちの一方の前記複数の物理的特性のうちの少なくとも1つは、前記一対のアンカーが前記発射体展開システムから発射された後に異なる飛行特性を有するように、前記一対のアンカーのうちの他方の前記複数の物理的特性のうちの対応する少なくとも1つと異なることができる。
【0009】
本技術の別の態様によれば、絡みつき発射体によって運ばれる絡みつき発射体を展開する方法が提供され、前記絡みつき発射体は、一対のソケットを含み、各ソケット内に運ばれる一対のアンカーの各1つと、前記アンカーを連結するつなぎ綱とを備える。本方法は、前記一対のアンカーが異なる飛行特性で前記発射装置から展開されるように、それによって前記アンカーの各々をそれぞれのソケット内で前方に推進させるために、1若しくはそれ以上の選択的に作動可能な圧力源を起動する方法を含むことができる。
【0010】
本発明の付加的な特徴および利点は、本発明の特徴を例示的に示す添付図面と併せて、以下に続く詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図面は、本発明を実施するための例示的な実施形態を示す。同様の参照数字は、図面における本発明の異なる図または実施形態における同様の部品を指す。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に従って実質的に全長まで延ばされた絡みつき発射体の上面図、底面図、正面図または背面図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1の発射体のアンカーまたはペレットおよびつなぎ綱の一部の側面図である。
【
図3A】
図3Aは、絡みつき発射体が発射された対象者の上面図であり、絡みつき発射体は、前記対象者に係合する前の段階的な位置で示されている。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの前記対象者および発射体の上面図であり、前記絡みつき発射体が前記対象者に係合した直後に示されている。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による前記対象者の一部の正面図であり、絡みつき発射体が前記対象者の脚に係合する直前を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による絡みつき発射体の2つのアンカーを保持する例示的な発射カートリッジまたはケーシングの上面概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態による絡みつき発射体の2つのアンカーを保持する例示的な発射カートリッジまたはケーシングの上面概略図である。
【
図7】
図7は、2つのアンカーおよび前記つなぎ綱の一部が示された、本技術の実施形態による絡みつき発射体の部分斜視図である。
【
図8】
図8は、本技術の別の実施形態による絡みつき発射体の部分図であり、2つのアンカーおよび前記つなぎ綱の一部が示されている。
【
図9】
図9は、2つのアンカーおよび前記つなぎ綱の一部が示された、技術の別の実施形態による絡みつき発射体の部分図である。
【
図10】
図10は、2つのアンカーおよび前記つなぎ綱の一部が示された、本技術の別の実施形態に従った絡みつき発射体の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面に図示された例示的な実施形態を参照し、本明細書では、具体的な言葉を用いて同じことを説明する。それにもかかわらず、本発明の範囲の限定はそれによって意図されないことが理解されるであろう。本明細書に例示された発明の特徴の変更およびさらなる修正、ならびに本明細書に例示された発明の原理の追加的な適用は、関連技術に精通し、本開示を所有している当業者であれば、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0013】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「a」および「the」は、文脈から明らかに指示がない限り、複数の参照語を含むことができる。したがって、例えば、「アンカー」への言及は、文脈が指示する場合、そのようなアンカーの1若しくはそれ以上を含むことができる。
【0014】
本明細書において、「飛行特性」という用語は、発射カートリッジまたはケーシングから発射され、前方に移動し、標的とする対象者に異なるタイミングで到達するアンカーの移動挙動を説明するために使用される。前記アンカーの相対的な飛行特性を変化させることにより、前記アンカーが前記対象者に「巻き付く」際に、前記アンカーが前記対象者に対して異なる前方位置にあるため、前記アンカーが互いに衝突する可能性が低くなる。「飛行特性」とは、アンカーの速度、カートリッジから排出されるときのアンカーの相対的な前方位置、カートリッジに対する軌道の角度、アンカーの空気抵抗(または抗力係数)、および/またはアンカーの速度に影響を与える発射体またはつなぎ綱の一部の空気抵抗(または抗力係数)を指すことができる。
【0015】
本明細書で使用される「抗力係数」という用語は、絡みつき発射体、アンカー、つなぎ綱、または本明細書で議論される他の物体の質を指すものと理解され、発射体から展開された後、そのような物体が空気中を移動する際の流体力学的抗力に影響を与える。
【0016】
本明細書において、「実質的に」という用語は、作用、特性、性質、状態、構造、品目、または結果の完全なまたはほぼ完全な範囲または程度を指す。任意の例として、「実質的に」封入されている物体は、完全に封入されているか、ほぼ完全に封入されている物品のいずれかである。絶対的完全性からの正確な逸脱の許容度は、場合によっては特定の文脈に依存する。しかし、一般的に言えば、完成に近い状態とは、絶対的かつ完全な完成が得られた場合と同じ全体的な結果をもたらすような状態である。ある作用、特性、性質、状態、構造、項目、または結果の完全な欠如、またはそれに近い欠如を意味する否定的な意味合いで使用される場合も、「実質的に」の使用は同様に適用可能である。別の任意の例として、ある成分または要素を「実質的に含まない」組成物であっても、その結果として測定可能な影響がない限り、実際にそのような項目を含んでいる場合がある。
【0017】
本明細書において、「約」という用語は、ある値が終点より「少し上」または「少し下」である可能性を提供することにより、数値範囲の終点に柔軟性を与えるために使用される。
【0018】
本明細書では、本発明の様々な構成要素を説明し請求するために、相対的な方向性の用語を使用することがある。このような用語には、限定するものではないが、「上向き」、「下向き」、「水平」、「垂直」などが含まれる。これらの用語は、一般的に、限定を意図するものではなく、本発明の様々な特徴を最も明確に説明し、主張するために使用される。このような用語が何らかの限定を伴わなければならない場合には、本開示の文脈において当業者に一般的に知られ理解されている用法に限定されることが意図される。
【0019】
本明細書において、アンカーの位置とケーシングの位置との関係が論じられる場合、一般的に、その関係は、前記ケーシングの最前部、すなわち、前記アンカーの展開後、論じられる前記アンカーに最も近い前記ケーシングの部分との関係であると理解される。
【0020】
本明細書において、複数の項目、構造要素、構成要素、および/または材料は、便宜上、共通のリストで示されることがある。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが、別個の固有のメンバーとして個々に識別されるものとして解釈されるべきである。従って、このようなリストの個々のメンバーは、反対の指示がない限り、共通のグループにおける提示のみに基づいて、同じリストの他のメンバーと事実上等価であると解釈されるべきではない。
【0021】
本明細書では、数値データを範囲形式で表現または提示する場合がある。このような範囲形式は、単に利便性と簡潔性のために使用されるものであり、したがって、範囲の限界として明示的に記載された数値だけでなく、あたかも各数値および部分的な範囲が明示的に記載されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値または小範囲を含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。一例として、「約1~約5」という数値範囲は、明示的に言及された約1~約5の値だけでなく、指示された範囲内の個々の値や部分的な範囲も含むと解釈すべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、1、2、3、4、および5と同様に、2、3、および4などの個々の値、ならびに1~3、2~4、および3~5などの部分的な範囲である。
【0022】
この原則は、最小値または最大値として1つの数値のみを記載する範囲にも適用される。さらに、このような解釈は、範囲の広さや記載されている特性に関係なく適用されるべきである。
【0023】
本技術は、攻撃的または逃走する対象者の進行を阻害しまたは拘束するための補助として効果的に使用することができる、わなまたは絡め手システムと称されることもある、殺傷能力の低い武器システムに関する。本技術に係る装置は、法執行機関、保安要員または軍人が、対象者を拘束したいが、致死的または有害な力の使用または近接した手と手の戦闘を望まない場合に、対象者の歩行、走行または腕の使用を一時的に妨げるために有利に使用することができる。この技術は、対象者が通常の方法で動き続けることが困難な程度に、前記対象者の腕や脚を一時的に繋いだり、縛ったりする方法を提供する。
【0024】
本技術は、対象者の身体の様々な部分に向けることができるが、以下の議論では、主に対象者の脚を一時的に繋ぐ、または縛るための本技術の使用に焦点を当てる。しかしながら、本技術はこの用途に限定されないことを理解されたい。場合によっては、腕と脚の両方など、前記対象者の身体の複数の部位を対象とすることもできる。
【0025】
図1~4に概略的に示すように、本技術は、対象者の脚部に向けて展開可能な絡みつき発射体12を含む。前記発射体が脚に接触すると、前記発射体は脚に巻き付き、それによって対象者を絡め取るか、または捕らえる。前記発射体は、少なくとも一つの可撓性つなぎ綱16と、前記つなぎ綱によって結合された一対のアンカーまたはペレット14a、14bを含む。
図1~
図4に示すアンカーは、残りの図から理解されるように、前記アンカーは所望により洗練された構造を含むことができるように示されている。対象者を絡め捕る前記絡みつき発射体により、前記対象者は一時的に部分的または完全に無力化され、それにより逃走または攻撃する能力が制限される。本技術の前記絡みつき発射体は、発射体によって対象(
図3A~4の100)に向けて発射される。適切な発射装置と共に使用するための例示的な発射カートリッジまたはケーシングの一部が、例えば
図5および
図6に示されている。5および6に示す。機能する発射装置には、前記図に示したものよりも多くの構造が必要になる可能性が高いが、当業者であれば、全体的なシステム内での本構成要素の機能および動作を容易に理解するであろう。
【0026】
前記絡みつき発射体を推進するために使用されるエネルギー源は様々であるが、非限定的な例として、圧縮ガス、空砲カートリッジ、爆薬/可燃物、機械バネ、電磁アセンブリ、化学組成物などを含むことができる。
【0027】
一般的に言えば、本発明の絡みつき発射体と共に使用する発射体は、比較的速い速度で対象者100に向かって発射体を発射する。典型的には、前記発射体は、約6フィート~約30フィート(1.8から9.1メートル)の間の距離から対象者に向かって発射することができ、約0.5秒未満(銃口で約400~600フィート/秒(122~183メートル/秒)で移動)で前記対象者に係合する。前記発射装置から発射された後、前記絡みつき発射体は前記対象者の脚に複数回巻き付き、前記対象者は一時的に効果的に動くことができなくなる。前記絡みつき発射体は、ある程度の距離から発射することができるため、法執行官は、対象者から安全な距離を保ちつつも、前記対象者を効果的かつ安全に一時的に拘束、行動不能または妨害することができる。
【0028】
前記絡みつき発射体の動作は、
図3Aから
図4に概略的に示されている。発射装置によって発射された後、前記発射体12は対象者100に向かって移動する。前記発射体が前記対象者に向かって移動するにつれて、ペレット14a、14bは互いに離れて移動する。前記アンカーが互いに離れるにつれて、前記つなぎ綱16はよりピンと張った構成に引っ張られる。
図3Aに示すように、前記対象者に係合する前に、前記つなぎ綱が完全にピンと張った構成に達しない場合があることに留意されたい。一旦前記発射体が前記対象者に係合すると(これらの図に示す例では、前記対象者の脚が係合する)、前記ペレットとつなぎ綱は前記対象者に巻き付き、それによって前記対象者を一時的に絡め取り、および/または無力化する。
【0029】
図1は、前記発射体12をその全長「LO」まで伸ばした状態を示している。一実施形態では、前記つなぎ綱の全長は、前記アンカーまたはペレット(La1)の長さよりもはるかに長い。全長は、7フィート(2.14メートル)またはそれ以上のオーダーであり得る。前記ペレットは、約1.5インチ(3.81cm)のオーダーの長さ「La1」(
図2a)と、約1/8インチ~約3/8インチ(0.32~0.95cm)のオーダーの直径「Da」とを有することができる。本技術の実施形態は様々であるが、一般に、前記ペレットを比較的小さなサイズに維持し、それによって、展開前に前記ペレットを収容する前記発射体ケーシングの全体的なサイズの要件を制限し、前記ペレットが前記対象者に直接接触した場合の衝撃を低減することが望ましい。このようにして、本技術は軽量で手持ち式の装置で提供することができる。
【0030】
図 3Aおよび3Bは、本技術の例示的な応用例を示している。これらの図は、様々な構成要素の基本的な機能を説明するために提供される。これらの図における前記様々な構成要素の相対的なサイズおよび位置は、縮尺通りに描かれていない場合があり、前記アンカーと前記つなぎ綱の位置の間の関係が正確に示されていない場合があることを理解されたい。
図3Aは、前記発射体から展開された後の前記発射体12の一連の構成/位置を示す。参照番号15aに示すように、前記つなぎ綱16は、前記アンカー14a、14bが前方に離れて移動するにつれて、前記アンカー14a、14bの後方に引きずられる。参照番号15bに示す位置では、前記アンカーは前方に前進し、さらに離れており、前記つなぎ綱をピンと張った構成により近い構成に引っ張っている。参照番号15cに示す位置は、前記つなぎ綱16が前記対象者100に接触する直前の位置である。この後、前記アンカーは前記対象者に対してより小さな軌道で周回し始め、前記対象者に完全に巻き付くまで周回する。以前の巻き付き状況では、まれに前記アンカー同士が衝突することがあった。このような場合、係合に失敗する可能性がある。本技術は、このような事態を回避するための様々な機能を提供する。
【0031】
図3Aから理解されるように、レベル72は、前記発射体12が前記対象者100に係合する接触点を表す。 図示の場合、アンカー14bは、アンカー14aよりもレベル72に到達した時点で前記発射装置からさらに移動している。このため、前記アンカーの相対的な軌道は異なる。これは、例えば
図3Bに模式的に示されている。アンカー14aは、前記軌道上で一致する点で、アンカー14bよりも前記対象者の身体に近い。このため、前記アンカーは互いに衝突しないような位置に配置され、接触することなく容易に互いを通過する。
【0032】
前記2つのアンカーが異なる飛行特性を持つことになるシステムと方法を提供することにより、2つのアンカーが前記対象者の前記レベルを破る時間が異なる。本技術は、前記アンカーが異なる飛行特性を示すことができる様々な方法を提供する。これらの異なる飛行特性は、前記アンカーが様々な時間に前記対象者に到達することを可能にし、それにより、前記対象者の周りを周回する前記アンカーの衝突の危険性を低減する。本技術は、前記アンカー、前記つなぎ綱または前記発射体ケーシングを改良することにより、これらの利点を提供することができる。
【0033】
次に
図5に目を向けると、発射体ケーシング44の例示的な概略図が、前記アンカーを発射することができる1つの方法を示している。前記ケーシングは、一対のソケット30a、30bを含むことができ、各ソケットは、それぞれ、前記一対のアンカー14a、14bの一方を担持する大きさおよび形状とすることができる。前記ケーシングは、少なくとも1つの選択的に作動可能な圧力源50を運ぶことができる。前記図には2つの圧力源50a、50bが示されているが、以下に示す実施例の多くは、前記ソケットの両方に圧力を供給する単一の圧力源を用いて実現することができる。前記圧力源は、一旦開始されると、前記発射体ケーシングから対象者に向かって前記アンカーの一方または両方を排出することができる。前記圧力源の一方または両方を作動させることができる1若しくはそれ以上の制御装置52を設けることができる。
【0034】
図5および
図6の構成要素は、概略的に示されている。
図5および
図6は、前記圧力源と制御装置の物理的性質が大きく異なる可能性があるため、概略的に示されている。一実施例では、前記圧力源50a、50bは、粉末を含むが弾丸を含まない周知の空弾であり得る。開始されると、これらは、前記アンカー14a、14bをそれぞれ前記ソケット30a、30bから大きな力で推進する大きな圧力波を発生する。この基本的な実施例では、前記制御装置52は、前記空弾の点火薬を強制的に打撃して放電を引き起こす機械的機構を含むことができる。他の実施例では、前記空弾の点火薬を電子的に作動させることができ、この場合、前記制御装置は電子的なものとなる。他の実施例では、前記圧力源は、圧縮ガスシリンダ、ばね機構、電子アクチュエータ、電磁アセンブリ、化学組成物などを含むことができる。
【0035】
いずれの圧力源および制御装置システムを利用しても、前記絡みつき発射体12または前記発射体ケーシング44のいずれか一方または両方を、前記一対のアンカーが前記発射体ケーシングから展開された後に異なる飛行特性で前記対象者に向かって移動するように構成することができる。前記発射体ケーシング44に関連して、これはいくつかの方法で達成できる。
図6に実施例を示す一実施形態では、前記アンカー12a、12bは、前記発射体44の前面46に対して異なる前方位置に開始前に位置決めすることができる。長さLbは長さLaより短い。前記アンカーが同じような発射時刻に同じような圧力波を経験すると仮定すると、ペレット14bは、それらが前記ケーシングから展開されるとき、ペレット14aよりわずかに先に移動する。これにより、最終的に
図3Aに示す前記構成に到達するときに、所望のオフセットが生じる。
【0036】
図には明示されていないが、同様の配置で、各ソケットを関連する圧力源に流体連通させることができる。ソケット内の一方のアンカーから各圧力源までの流体距離は、他方のソケット内の他方のアンカーから他方の圧力源までの流体距離に対して変化させることができる。言い換えれば、前記圧力波が前記アンカーに係合するまでに移動しなければならない距離を変えることができる。この結果、一方のアンカーを他方のアンカーよりも迅速にケーシングから展開させることができる。同じようなことは、一方のソケットを他方のソケットより長く形成することによっても達成できる。前記短いソケットは、前記アンカーを展開する際にそれほど大きな圧力を発生させない可能性が高く、その結果、飛行特性が変化する。
【0037】
より一般的に言えば、前記2つのソケットは、非対称な流体制限を含むように構成することができる。例えば、上述したように、流体距離を変化させる、または異なる内部制限を前記ソケット、1若しくはそれ以上の滞留箇所などに含めることができる。これらの変化する特徴のそれぞれは、前記異なる飛行特性をもたらす流体差を作り出すために前記ソケットに導入することができる。
【0038】
別の例では、圧力源50aは圧力源50bに対して変化させることができる。例えば、圧力源50aは圧力源50bよりも大きな圧力波を提供することができ、前記異なる飛行特性をもたらす。この実施例において前記空弾が使用される場合、前記空弾はより多くの推進剤、または異なるタイプの推進剤を運ぶことができる。また、同じ効果をもたらすために、大きさに関係なく、圧力波をより速くまたはゆっくりと発生させる異なる推進剤のタイプを選択することができる。別の実施例では、制御装置52(この参照は、単一の制御装置または2つの独立した制御装置を含むことができる)は、独立した時間に圧力源50a、50bを起動することができる。例えば、圧力源50bは、圧力源50aの4~8ms(ミリ秒)前に開始され得る。これは、電子制御装置52または機械制御装置のいずれかを使用して達成することができる。
【0039】
別の実施例では、アンカー14a、14bは、外径(例えば
図2BのDa)のような物理的特性が実質的に一致するように設けることができる。しかし、前記ソケット30a、30bの内径は変化させることができる。つまり、それぞれのアンカーとそのソケットとの間の摩擦嵌合、すなわちクリアランスを変化させることができる。このようにして、前記アンカーの前記ソケット内での相対的な動きを変化させることができる。あるアンカーは、より自由に動くが、別のアンカーはより制限され、それほど速く動かないかもしれない。このようにクリアランスが異なると、前記ソケット内の前記圧力波の進展にも影響を与え、やはり前記異なる飛行特性をもたらす。さらに、前記ソケット30a、30bの内面仕上げを変化させることができる。例えば、一方の表面(例えば、
図5の31)は、他方の表面よりも滑らかであったり、滑らかでなかったりすることがあり、これは、前記それぞれのソケットを通る前記アンカーの移動速度に影響する。
【0040】
図5に示されているように、前記ソケット30aと30bは、前記ケーシング44の中心線に対して概して外側に傾斜している。この結果、前記アンカーは、前記ソケットから展開されて前方に移動する際に、互いに離れて移動する。結果として生じる力により、前記つなぎ綱16は、前記対象者に係合する前に、前記アンカー間で緊張する傾向にある構成に引っ張られる。出願人の従来のシステムでは、それぞれの角度α
aと度α
bは等しい。すなわち、前記それぞれのアンカーは、前記ケーシング44の中心線に対して外側に等しい角度で移動する。しかし、本技術の一態様によれば、前記アンカー14a、14bの飛行特性に所望の差を生じさせるために、前記角度を相対的に変化させることができる。例えば、角度α
bは角度α
aよりも小さくすることができ、その結果、アンカー14bはアンカー14aよりも前方へ直進する。
【0041】
図7から
図10は、前記絡みつき発射体の様々な構成要素の物理的特性を変化させて、前記アンカーに異なる飛行特性を生じさせる前記技術のさらなる実施形態を示す。これらの実施例も概略的に示されており、縮尺通りでない場合や、前記アンカー間の前記物理的差異を正確に詳細に表していない場合がある。示された各実施例において、前記アンカーは、概してアンカーの残りの部分よりも直径が大きいベース部分を含む。これは一般に、前記圧力波が前記アンカーに力を加える前記アンカーの部分である。
図7に示す例では、前記アンカー14a
1の基部18’は、アンカー14b
1の対応する特徴よりも大きな体積で形成されている。前記アンカーが同じ材料から形成されていると仮定すると、この結果、アンカー14a
1は14b
1よりも質量が大きくなり、前記ケーシングから展開された後の前進速度が遅くなる可能性が高い。また、アンカー14a
1の前記基部の質量や大きさの増加は、前記アンカーがソケットを通過する速度や、前記ソケットから展開された後に空気中を移動する速度にも影響する可能性がある。
【0042】
図8に示す例では、アンカー14b2は、アンカー14a2と類似の構成を含むが、長さLa2とLb2の比較からわかるように、長さが短い。このように、アンカー14b2は、前記ケーシングから展開された後、より大きな前進速度を有すると考えられる。
【0043】
図9に示す例では、アンカー14a3の前記基部の外面20は、アンカー14b3の基部の外面20’とは異なる表面仕上げで形成されている。この違いは前記ペレットの飛行特性に多くの影響を与える。第一に、異なる表面処理により、前記ソケットの内面との摩擦係合が異なり、前記アンカーが前記ソケットに沿って移動する速度に影響を与えることがある。さらに、前記アンカーの抗力係数に影響する表面領域20、20’に変更を加えることができる。これにより、前記アンカーが空中を移動する際の速度を遅くすることができ、また、前記アンカーが空中を移動する際の軌道に所望の変化をもたらすことができる。
【0044】
図に示した物理的特性に加えて、前記アンカーは異なる材料で形成することもでき、前記アンカーの相対質量に影響を与えることがある。このような材質の変化は、前記アンカーの前記抗力係数や前記ソケットの内面との前記摩擦係数にも影響する。さらに、前記アンカーの一方の外側の基部は、他方のアンカーよりもわずかに大きな直径(例えば、
図2BのDa)で形成することができる。これにより、前記アンカーがそれぞれのソケットに沿って移動する速度に影響を与えることができる。
【0045】
提供した具体例に加えて、他の変形や処理を前記発射体ケーシングまたはアンカーのいずれかに組み込んで、異なる飛行特性を作り出すことができる。また、上述したような特徴を前記アンカーと前記ケーシングの両方に組み込むことができる。すなわち、前記ケーシング44の前記ソケット30a、30bの物理的特性は互いに相対的に変化してもよく、関アンカー14a、14bの物理的特性は互いに相対的に変化してもよく、あるいはその両方でもよい。
【0046】
図10は、前記各アンカーに隣接する前記つなぎ綱のセクションが互いに異なる技術の別の態様を示す。図示の例では、アンカー14b4に隣接する前記つなぎ綱のセクション16’は、アンカー14a4の対応するセクションと異なる。このセクションは、例えば、表面仕上げの違い、追加の重量などを含み得る。さらに、前記つなぎ綱が前記アンカーに取り付けられる位置も変えることができる。また、前記つなぎ綱が各アンカーに隣接して巻かれる方法は、前記ケーシングまたは筐体内の各つなぎ綱に隣接する貯蔵配置と同様に、変化させることができる。これらの特徴または変更のそれぞれは、他のアンカーに対するそれぞれのアンカーの飛行特性を変えることができる。
【0047】
上記で概説した構成に加えて、本技術は、絡みつき発射体およびそれに関連する発射装置およびカートリッジを製造、構成、展開および装填する様々な方法も提供する。一つの具体例では、絡みつき発射体発射装置によって運ばれる絡みつき発射体を展開する方法が提供され、前記絡みつき発射体は、一対のソケットを含み、各ソケットに運ばれる一対のアンカーの各1つと、前記アンカーを接続するつなぎ綱とを備える。本方法は、1若しくはそれ以上の選択的に作動可能な圧力源を開始し、それにより、前記一対のアンカーが異なる飛行特性で前記発射装置から展開されるように、それぞれの前記アンカーをそれぞれのソケット内で前方に推進させることを含むことができる。
【0048】
本方法はさらに、前記一対のアンカーの一方にそれぞれ関連する一対の圧力源を、異なるタイミングに起動する工程を含むことができる。
【0049】
上記の配置は、本発明の原理を適用するための例示であることを理解されたい。本発明を図面に示し、本発明の例示的な実施形態(単数または複数)に関連して上述したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の修正および代替的な配置を考案することができる。当業者であれば、実施例に示した本発明の原理および概念から逸脱することなく、多数の変更を加えることができることは明らかであろう。
【国際調査報告】