IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピュアウィック コーポレイションの特許一覧

特表2024-506933流体収集システムで用いられるポータブル流体収集パッド及び関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】流体収集システムで用いられるポータブル流体収集パッド及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/452 20060101AFI20240207BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20240207BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20240207BHJP
   A61G 7/02 20060101ALI20240207BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20240207BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61F5/452
A61G5/10 704
A61G5/12 701
A61G7/02
A61F13/534 100
A61F13/15 141
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549629
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022016942
(87)【国際公開番号】W WO2022178229
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,640
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518427339
【氏名又は名称】ピュアウィック コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PureWick Corporation
【住所又は居所原語表記】2030 Gillespie Way, Suite 109, El Cajon, CA 92020, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤング ジョイナー メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】アブデラーラ デーナ アフマド
(72)【発明者】
【氏名】クルカーニ ビナヤカ
(72)【発明者】
【氏名】アーンショー オードリー
(72)【発明者】
【氏名】シャンシー パトリック ハドソン
【テーマコード(参考)】
3B200
4C040
4C098
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA13
3B200BA01
3B200BA05
3B200BA07
3B200BB22
3B200EA14
4C040FF11
4C098AA09
4C098CC31
4C098CC39
4C098CD01
4C098CE10
(57)【要約】
諸実施形態は流体例えば体液を収集する装置、システム及び方法に関する。一例たる流体収集システムは、被検体から流体を収集する流体収集装置と、流体収集パッドとを、有するものとすることができる。その流体収集パッドを、クッションと、内部に吸収性部分が配置されている流体収集容器とを、有するものとすることができる。その流体収集容器をそのクッション内に配置することができ、チューブのうち第1部分を、流体収集装置に結合させうるよう構成し、第2部分を、流体収集容器内に配置することができる。チューブの第2部分を、パーフォレート加工されたものとすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から流体を収集するため流体収集装置で用いられる流体収集パッドであって、
クッションと、
内部に吸収性部分が配置されており、前記クッション内に配置されうるよう構成されている流体収集容器と、
前記流体収集装置に結合させうるよう構成された第1部分、及び前記流体収集容器内に配置された第2部分、を有し、前記第2部分がパーフォレート加工されているチューブと、
を備えることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項2】
請求項1に記載の流体収集パッドであって、前記チューブの前記第2部分が、前記流体収集容器全体を通じ蛇状配列にて配置され、及び/又は、前記吸収性部分内に一体化されていることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流体収集パッドであって、前記チューブの前記第2部分が穿孔を有し、前記穿孔が、前記流体が前記第2部分内を流れているときに前記流体収集容器全体を通じて前記流体を均一に拡散させるべく分散配置されていることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の流体収集パッドであって、前記吸収性部分が、
疎水性ビーズを含有する少なくとも1個の層と、
吸収性素材を含有する少なくとも1個の層と、
前記少なくとも1個の疎水性ビーズ含有層と前記少なくとも1個の吸収性素材含有層との間に位置するメッシュ層と、
を有し、前記チューブの前記第2部分が前記少なくとも1個の疎水性ビーズ含有層内に配置されていることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項5】
請求項4に記載の流体収集パッドであって、前記吸収性素材に糊化澱粉が含まれることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の流体収集パッドであって、更にクッションカバーを備え、前記クッションカバー内に配置されることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の流体収集パッドであって、前記クッションがポケットを有し、前記ポケットが、前記流体収集容器のうち少なくとも一部分を保持しうる大きさに設定されていることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の流体収集パッドであって、前記クッションカバーが1本又は複数本のストラップを有し、前記ストラップが、椅子、車椅子及びベッドのうち少なくとも一つに備わる1個又は複数個の構造部材に前記クッションを固定しうるよう構成されていることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の流体収集パッドであって、前記流体収集容器が、防漏素材で構成されており且つ前記クッションからの取外し及び交換が可能なものであることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項10】
請求項1に記載の流体収集パッドであって、更に、前記流体の臭いを少なくとも部分的に中和するよう構成された臭い中和剤を備えることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項11】
ポータブル流体収集システムであって、
少なくともユーザの尿道の付近に配置されるように構成された流体収集装置と、
クッション、
内部に吸収性部分が配置されており、前記クッション内に配置されている流体収集容器、及び
前記流体収集装置に結合させうるよう構成された第1部分、並びに前記流体収集容器内に配置された第2部分、を有し、前記第2部分がパーフォレート加工されているチューブ、
を有する流体収集パッドと、
前記流体収集パッド及び前記流体収集装置と通流状態にあり、前記流体収集装置から前記チューブを通じ前記流体収集容器内へと流体を引き込むよう構成されているポンプと、
を備えることを特徴とするポータブル流体収集システム。
【請求項12】
請求項11に記載の流体収集パッドであって、前記チューブの前記第2部分が、前記流体収集容器全体を通じ蛇状配列にて配置され、及び/又は、前記吸収性部分内に一体化されていることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の流体収集パッドであって、前記チューブの前記第2部分が穿孔を有し、前記穿孔が、前記流体が前記第2部分内を流れているときに前記流体収集容器全体を通じて前記流体を均一に拡散させるべく分散配置されていることを特徴とする流体収集パッド。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載のポータブル流体収集システムであって、更にクッションカバーを備え、前記クッションカバー内に前記流体収集パッドが配置されていることを特徴とするポータブル流体収集システム。
【請求項15】
請求項11に記載のポータブル流体収集システムであって、前記ポンプに蠕動ポンプが含まれることを特徴とするポータブル流体収集システム。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載のポータブル流体収集システムであって、前記ポンプが前記流体収集装置と前記流体収集容器との間で前記チューブに結合されていることを特徴とするポータブル流体収集システム。
【請求項17】
請求項11~16のいずれか1項に記載のポータブル流体収集システムであって、前記ポンプが、椅子、車椅子及びベッドのうち少なくとも一つに備わる1個又は複数個の構造部材に着脱自在に実装されうるよう構成されていることを特徴とするポータブル流体収集システム。
【請求項18】
請求項11に記載のポータブル流体収集システムであって、更に、前記流体収集容器に結合されており前記流体収集システムに関する少なくとも一種類の特性を指し示すよう構成されているセンサを備えることを特徴とするポータブル流体収集システム。
【請求項19】
請求項18に記載のポータブル流体収集システムであって、前記センサが、前記流体収集容器内の前記流体の体積を指し示す特性を検出するよう構成されていることを特徴とするポータブル流体収集システム。
【請求項20】
請求項11に記載のポータブル流体収集システムであって、更にインジケータパネルを備え、前記インジケータパネルが、アラーム、ディスプレイ、前記流体収集容器の飽和ステータス又は体積ステータス、及びポンプ動作ステータスのうち少なくとも一つを有することを特徴とするポータブル流体収集システム。
【請求項21】
ポータブル流体収集システムを組み立てる方法であって、
流体収集パッドを椅子、車椅子及びベッドのうち少なくとも一つに着脱自在に固定し、
少なくともユーザの尿道の付近に流体収集装置を配置し、
前記流体収集装置を前記流体収集パッドに流体的に結合させ、
前記流体収集パッドを、
クッションと、
内部に吸収性部分が配置されており、前記クッション内に配置されうるよう構成されている流体収集容器と、
前記流体収集装置に結合させうるよう構成された第1部分、並びに前記流体収集容器内に配置された第2部分、を有し、前記第2部分がパーフォレート加工されているチューブと、
を有するものとし、且つ
前記流体収集装置から前記チューブを通じ前記流体収集容器内へと流体を引き込むよう構成されているポンプを、前記チューブの前記第1部分に結合させることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、流体収集システムを椅子、車椅子及びベッドのうち少なくとも一方に着脱自在に固定する際に、前記流体収集容器を前記クッション内に配置し、前記クッションをクッションカバー内に置き、前記クッションカバーにてポケット内に前記流体収集パッドを包み込み、
前記流体収集容器内の前記流体の体積が所定体積に達し又はそれを上回ったときに前記流体収集パッドを取り外して交換することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、流体収集システムを椅子、車椅子及びベッドのうち少なくとも一方に着脱自在に固定する際に、前記クッションカバーに結合されている1本又は複数本のストラップを、椅子、車椅子又はベッドに備わる1個又は複数個の構造部材に固定することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願では、2021年2月18日付米国暫定特許出願第63/150640号に基づく優先権を主張し、この参照によりその開示の全容を本願に繰り入れる。
【背景技術】
【0002】
人間は、可動性に制約又は障害があって通常の排尿プロセスが困難又は不可能なことがある。例えば、その人が手術を受け又は障害を有していて可動性が損なわれていることがある。また例えば、その人の移動条件が、パイロット、運転手及び危険場所作業者が経験するそれらのように、制約されていることもある。加えて、その人からの流体収集が監視目的で又は臨床試験のため必要とされることもある。
【0003】
おまるや尿路カテーテル、例えばフォーリーカテーテルを用いることで、そうした状況のうちある種のものには対処することができる。しかしながら、おまるや尿路カテーテルには、それらに関わる幾つかの問題がある。例えば、おまるでは不快感、こぼれその他の衛生問題が生じがちである。尿路カテーテルは不快、苦痛なことがあり、また尿路感染症を引き起こすこともある。従来の流体収集装置には、患者が仰臥位で床に就いているときの使用に限定されるものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、流体収集装置のユーザ及び製造者は、新しい改善型の流体収集装置、システム及び方法を探求し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願開示の諸実施形態は流体収集システム及び流体収集システム使用方法に関する。ある実施形態によれば、流体収集システムを、被検体から流体を収集するため流体収集装置で用いられる流体収集パッドを、有するものとすることができる。ある実施形態によれば、その流体収集パッドを、クッションと、内部に吸収性部分が配置されている流体収集容器と、流体収集装置に結合させうるよう構成された第1部分並びに流体収集容器内に配置された第2部分を有するチューブとを、有するものとすることができる。そのチューブの第2部分を、パーフォレート加工(穿孔処理)されたものとすることができる。ある実施形態によれば、その流体収集容器が、そのクッション内に配置されうるよう構成される。
【0006】
ある種の実施形態によれば、ポータブル流体収集システムを、ユーザの尿道の少なくとも付近に位置決めされうるよう構成された流体収集装置と、流体収集パッドと、ポンプとを、有するものとすることができる。その流体収集パッドを、クッションと、内部に吸収性部分が配置されている流体収集容器と、流体収集装置に結合させうるよう構成された第1部分並びに流体収集容器内に配置された第2部分を有するチューブとを、有するものとすることができる。そのチューブの第2部分を、パーフォレート加工されたものとすることができる。ある種の実施形態によれば、その容器をそのクッション内に配置することができる。そのポンプを流体収集パッド及び流体収集装置と通流させることができる。そのポンプを、流体収集装置からチューブ経由で流体収集容器内へと流体を引き込むよう構成することができる。
【0007】
ある実施形態のポータブル流体収集システム組立方法では、流体収集パッドを、椅子、車椅子及びベッドのうち少なくとも一つに、着脱自在に固定することができる。本方法では、また、ユーザの尿道の少なくとも付近に流体収集装置を位置決めし、その流体収集装置を、流体収集パッドに、流体的に結合させることができる。その流体収集パッドを、クッションと、内部に吸収性部分が配置されている流体収集容器と、流体収集装置に結合させうるよう構成された第1部分並びにその流体収集容器内に配置された第2部分を有するチューブとを、有するものとすることができる。そのチューブの第2部分を、パーフォレート加工されたものとすることができる。その流体収集容器を、そのクッション内に配置されうるよう構成することができる。本方法では、また、その流体収集装置からチューブを通じ流体収集容器内へと流体を引き込めるよう構成されているポンプを、そのチューブの第1部分に結合させる。
【0008】
開示諸実施形態の何れに属する特徴も、限定なく互いに組み合わせて用いることができる。加えて、本件開示の他の諸特徴及び利点が、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)にとり、後掲の詳細記述及び添付図面の考察を通じ明らかとなろう。
【0009】
図面には本件開示の幾つかの実施形態が描かれており、それら図面に示されている様々な外観及び実施形態中の同一又は類似の要素又は特徴が同一の参照符号により指し示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るポータブル流体収集システムのブロック図である。
図2A】一実施形態に係り車椅子に固定されているポータブル流体収集システムの等角図である。
図2B図2Aのポータブル流体収集システムの車椅子抜きでの等角図である。
図2C】一実施形態に係り車椅子に結合されている流体収集パッド、クッションカバー及びポンプの等角図である。
図2D】一実施形態に係る流体収集パッド及びクッションカバーの等角図である。
図2E】一実施形態に係るポンプの模式図である。
図3A】一実施形態に係る流体収集パッドの部分切欠前方等角図である。
図3B図3Aの流体収集パッドの断面図である。
図4】一実施形態に係るポータブル流体収集システム組立方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願開示の諸実施形態は流体収集システム及び関連する方法に関する。流体収集装置ユーザの多くは可動性に制約があり、主要な移動手段としての車椅子を、頼りにしていることが多い。また、多くのユーザは、一日のうちかなりの部分を座位又は仰臥位で過ごすものである。そのため、ユーザ及び介護者にとっては、流体収集システムを個別的且つ可搬的なものとし、ユーザがその流体収集システムを用い家庭でも移動中でも流体を収集できるようにすることが、有益である。
【0012】
本願記載の多くの実施形態では、流体収集システムがコンパクトであり、車椅子に固定又は実装されうるように構成されている。ある種の実施形態によれば、その流体収集システムを、椅子、車椅子又はベッドに固定又は実装することができるのに加え、ユーザ付近の面上に配置又は載置することができる。本願記載の諸実施形態の流体収集システムは可搬且つ個別的なものにすることができるので、ユーザの失禁について他人に注意喚起することなくユーザが社会活動に参加することが可能となる。諸実施形態の流体収集パッドは、座位における安楽性を改善し更には個別性をもたらすクッションを、有するものとすることができる。ある種の実施形態によれば、流体収集パッドを、その内部に吸収性部分が配置された流体収集容器を有するものと、することができる。その流体収集容器を、クッション内に配置されうるよう構成することができる。それら流体収集容器、パッド及び/又はシステムの諸部分を、除去可能及び交換可能なものとすることができる。そのパッドを臭い中和剤入りのものとすることができる。更に、流体収集システムを、少なくとも流体収集パッドを内部保持し座又はベッド外の観点からはそのパッドが見えにくくなるよう構成された、クッションカバーを有するものとすることができる。流体収集パッドは、クッション外部の観点からは見えにくくすることができ、及び/又は、流体収集容器内に保持されている流体を見えにくくしている。
【0013】
図1は、一実施形態に係る流体収集システム10のブロック図である。本流体収集システム10は、本願記載の流体収集システムの諸実施形態の何れに組み込むこともできる。本システム10は、流体収集装置12(例.本願開示の流体収集アセンブリのうち何れか)、流体収集容器14及びポンプ16を有している。流体収集装置12、流体収集容器14及びポンプ16は、1本又は複数本のチューブ18(例.医療用チューブ)を介し互いに流体的に結合させることができる。例えば、流体収集装置12を、チューブ18を介し流体収集容器14及びポンプ16のうち一方又は双方に可作動的に結合させることができる。ある種の実施形態によれば、ポンプ16を椅子、車椅子又はベッドに固定すること、及び/又は、流体収集装置12・流体収集容器14間でチューブ18に直結することができる。流体収集装置12内に収集された流体(例.尿その他の体液)を、その流体収集装置12に結合されているチューブ18を介し、その流体収集装置12から除去することができる。チューブ18に加わる吸引(例.真空)力に応じた吸引力を、そのチューブ18のインレットを介し流体収集装置12のチャンバ内に導入することができる。
【0014】
吸引力は、ポンプ16によりチューブ18へと直接的に印加しても間接的に印加してもよい。吸引力を、流体収集容器14を介し間接的に印加することもできる。例えば、チューブ18のアウトレットを流体収集容器14の内部領域内に配置し又はそこに流体的に結合させ、付加的なチューブ18をその流体収集容器14からポンプ16へと延設すればよい。こうすることで、ポンプ16によって、流体収集容器14を介し流体収集装置12へと吸引を加えることができる。吸引力を、ポンプ16の働きで直接的に印加することもできる。例えば、チューブ18をポンプ16内に配置すればよい。ある種の実施形態によれば、ポンプを蠕動ポンプとすることで、チューブ18の一部分の圧縮により本システム10に吸引力が印加され、流体がポンピングされて、導路18内で動くようにすることができる。ある種の実施形態によれば、それと同じチューブ18又は付加的なチューブ18をポンプ16から流体収集装置12外の点へ、例えば流体収集容器14へと延設することもできる。そうした例では、ポンプ16を流体収集装置12・流体収集容器14間に配置することができる。
【0015】
流体収集容器14は、その内部に流体を留め置けるようにサイズ設定及び形状設定すればよい。流体収集容器14は、本願にて更に詳述される通り、バッグ(例.排液バッグ)とすることも、流体例えば体液を貯留できる他の何らかの封入容器とすることもできる。ある種の例によれば、チューブ18を流体収集装置12から延設し、その容器内の第1の点にて流体収集容器14に取り付けることができる。付加的なチューブ18を、その容器上の第2の点にて流体収集容器14に取り付け、ポンプ16まで延設して取り付けることができる。こうすることで、真空(例.吸引)が流体収集容器14を介し流体収集装置12を通じて引き込まれるように、することができる。流体例えば尿を、ポンプ16を用い流体収集装置12から排出させることができる。
【0016】
ポンプ16は、手動真空ポンプ及び電動真空ポンプ、ダイアフラムポンプ、渦巻ポンプ、容積型ポンプ、磁気駆動ポンプ、蠕動ポンプ等、真空を作り出せるよう構成されたあらゆるポンプのうち、1個又は複数個を有するものとすることができる。ポンプ16によりもたらされる真空又は吸引で、流体収集装置12から流体を除去することができる。ある種の例によれば、ポンプ16への動力供給を、電源コード(例.電源ソケットに接続されたそれ)、1個又は複数個の電池、更には人力(例.手操作式真空ポンプ)のうち、1個又は複数個により行うことができる。ある種の例によれば、ポンプ16を、流体収集装置12の外側、表面又は内部にフィットするようサイズ設定及び形状設定することができる。例えば、ポンプ16を、1個又は複数個の小型化ポンプ、或いは1個又は複数個のマイクロポンプを有するものとしてもよい。本願開示の真空源を、スイッチ、ボタン、プラグ、リモートコントローラその他、ポンプ16を作動させるのに適した何らかの装置を、1個又は複数個有するものとすることもできる。
【0017】
本願記載の流体収集システムの多くの実施形態は、ユーザにより装用されるよう、表面例えばテーブル、ベッド上に配置されるよう、及び/又は、ベッド、椅子又は車椅子に固定可能又は実装可能なように、構成される。ここで、図2Aには、車椅子102に固定され、実装され、或いは他の何らかのやり方により車椅子102により運ばれる、流体収集システム100が示されている。本流体収集システム100を、図2Aに示されていない他の支持器、例えば棚、腕木(ブラケット)、小袋(パウチ)、吊り帯(スリング)等で以て車椅子102に実装することもできる。他の諸実施形態によれば、本流体収集システム100がユーザ及び/又は介護者により装用されるようにすることもできる。車椅子102に実装されるにせよユーザにより装用されるにせよ、本流体収集システム100では、ユーザが、その流体収集システム100を個別的に使用及び/又は輸送することができる。
【0018】
車椅子102は多種多様な従来型車椅子の何れであってもよく、数ある標準的部材のなかでも背104、2個のハンドル106及び2個の肘掛108を有するものとすることができる。本流体収集システム100は流体収集パッド110を有するものとすることができる。ある種の実施形態によれば、流体収集パッド110を、そのクッション112上にユーザが座ることが可能で本流体収集システム100の一部分がそのクッション112内に所在するクッション112を、有するものとすることができる。クッションカバー又は容器支持器を、車椅子102上に着脱自在に固定、実装又は載置されるよう、且つ本流体収集システム100を支えるよう構成して、組み込むこともできる。
【0019】
次に、図2Bには、一実施形態に係り車椅子102から取り外されている流体収集システム100の諸部材が示されている。本流体収集システム100は、流体収集パッド110、その内部に流体収集容器(図示せず)があるクッション112、クッションカバー124又は容器支持器、流体収集装置114、ポンプ116及びチューブ118を有するものとすることができる。図2Bに示されている実施形態では、チューブ118を、流体収集装置114に結合させうるよう構成された第1部分118aと、流体収集容器内に配置された第2部分118bとを、有するものとすることができる。流体収集装置114を、ユーザの尿道の少なくとも付近に位置決めされうるよう構成することができる。図2Bに示されている流体収集装置114は女性用の流体収集装置であるが、それに代え流体収集装置114を男性用の流体収集装置とすることもできる。例えば国際特許出願第PCT/US2019/029616号には、本願開示の諸実施形態の何れでも使用できる男性用、女性用双方の流体収集装置の様々な実施形態が記載されているので、この参照によりその開示の全容を繰り入れることにする。更に、流体収集装置114を、本流体収集システム100にて、様々な種類、変種及びサイズの男性用又は女性用流体収集装置間で交換可能なものとすることもできる。一般に、流体収集装置114は、ユーザの尿道に近接又は隣接配置されうるようサイズ設定された面を有していて、そのユーザから離れたところに流体その他の流体群を毛管現象で移動させうるようその面が構成されているものと、することができる。流体その他の流体群をその面から流体収集装置114内のリザーバへと毛管現象で移動させてもよい。
【0020】
ある種の実施形態によれば、チューブ118を、第1部分118a、第2部分118b及び少なくとも1個のカプリング119を有するものとすることができる。カプリング119は、チューブ118が切り離されるよう分離させることができる。チューブ118を切り離し、流体収集パッド110、ポンプ116、流体収集装置114その他、本流体収集システム100のあらゆる構成部材を交換することができる。ある種の実施形態によれば、カプリング119を防漏クイックディスコネクトとすることができる。他の諸実施形態によれば、カプリング119をねじ型コネクタとすることや、他の何らかの好適な配管コネクタとすることができる。
【0021】
次に、図2C及び図2Dに示されるように、ある種の実施形態によれば、流体収集パッド110を、クッション112を有するものとすることができる。クッション112を、被検体又はユーザを支えるよう、また断熱安楽層がユーザに提供されるよう、構成することができる。流体収集容器120をクッション112内に配置することができる。クッション112を発泡体(フォーム)で以て形成し、ユーザに快楽な圧縮感をもたらすことができる。ある種の実施形態によれば、クッション112をポリウレタン、積層ポリウレタン、網状フォーム、ポリエステル、ポリファイバその他の好適素材とすることができる。ある実施形態ではクッション112が高密度粘弾性ポリウレタンフォーム、通称メモリフォームで形成される。別のある実施形態によれば、そのフォームをゲル状粘弾性フォームとすることができる。ある種の実施形態では流体収集容器120がクッション112内に配置される。クッション112を、ポケット122を有するものとすることができる。そのポケット122を、その内部に流体収集容器120のうち少なくとも一部分が入るようサイズ設定及び寸法設定することができる。他の諸実施形態によれば、流体収集容器120を、クッション112に隣り合うよう構成することができる。
【0022】
流体収集パッド110をクッションカバー124内に配置することができる。流体収集パッド110がクッションカバー124内に配置されている場合、その流体収集パッド110にアクセスするための開口126をクッションカバー124に設けるとよい。開口126は、スリーブ、ジッパー、フックアンドループファスナ(面ファスナ)材その他、流体収集パッド110へのアクセス及び/又はその交換を行える好適な開口スタイル又は方法によるものと、することができる。ある種の実施形態によれば、流体収集パッド110にアクセスし及び/又はそれと結合させるため、クッションカバー124に他の配管用開口又は窓を設けることができる。クッションカバー124は何れの好適素材で構成することもでき、綿、ナイロン、ビニール、皮、布その他、何れの表装素材を有するものともすることができる。クッションカバーは、除去可能且つ洗浄可能なものとすることができる。ある種の実施形態によれば、クッションカバー124を、その内部に流体収集パッド110のうち少なくとも一部分が入るようサイズ設定及び寸法設定することができる。ある種の実施形態によれば、流体収集パッド110全体がクッションカバー124内に入るようにすることができる。
【0023】
クッションカバー124は、車椅子102、椅子又はベッドに固定しうるよう構成された1本又は複数本のストラップ(紐)128を、有するものとすることができる。ストラップ128は、そのストラップ128を車椅子102に可調固定しうるよう構成された1個又は複数個のファスナ、例えばバックル、クリップ及び/又はフックアンドループファスナ材のうち少なくとも一つを有するものと、することができる。ストラップ128は、椅子、ベッド、車椅子その他、好適な構造の構造部材内に挿入しうるようにサイズ設定及び寸法設定することができる。ストラップ128は、必要に応じユーザ又は介護者がそのストラップ128を調整してクッションカバー124を動かすことができるよう、寸法設定することができる。それらストラップ128に代え又は加え、ある種の実施形態によれば、他の固定装置、例えばボタン、Velcro(登録商標)、スナップロックその他の好適な装置を利用し、流体収集パッド110を車椅子102に固定することができる。ある種の実施形態によれば、クッションカバー124を、1本又は複数本のストラップ128を用いひとまとめに装着しうるように構成することで、流体収集パッド110の入れ替え又は取り換えをより容易なことにすることができる。
【0024】
次に、図2Eに示されるように、ある種の実施形態によれば、本流体収集システム100を、ポンプ116を有するものとすることができる。ポンプ116を流体収集パッド110及び流体収集装置114に対し通流状態にすることができる。先に概述した通り、ポンプ116は、流体収集装置114からチューブ118を通じ流体収集容器120内へと流体を引き込むよう、構成することができる。ポンプ116は流体収集装置114に対し通流状態としうるものであり、流体収集装置114の内部領域から流体を除去するよう、また流体収集装置114からチューブ118を通じ流体収集容器120内へと流体を吸引するのに効果的な吸引力を生み出すよう、構成されている。
【0025】
動作時には、ポンプ116の作動によって、チューブ118を介し流体収集装置114側に少なくとも部分真空を引き込んで、流体を流体収集パッド110に押し込むことができる。他の諸実施形態によれば、流体収集システム100におけるポンプ116の配置にもよるが、ポンプ116により流体収集容器120内に少なくとも部分真空を引き込むこと、ひいてはチューブ118を介し流体収集装置114側に少なくとも部分真空を押し込むことができる。ある種の実施形態では、ポンプ116により作り出された真空により、流体収集装置114内の流体がチューブ118aの第1部分を通じ最終的には流体収集容器120内へと引き込まれ、貯留及び廃棄に供される。ポンプ116は、流体収集容器120に直接固定されるのでもよいし、椅子、ベッド及び車椅子のうち少なくとも一つに備わる構造部材に固定されるのでもよい。ある種の実施形態によれば、チューブ118によりポンプ116を流体収集容器120の内部領域と流体的に結合させることができる。
【0026】
ポンプ116は、手動真空ポンプ及び電動真空ポンプ、ダイアフラムポンプ、渦巻ポンプ、容積型ポンプ、磁気駆動ポンプ、蠕動ポンプ等、真空を作り出せるよう構成された何らかのポンプのうち1個又は複数個を有するものとすることができる。例えば、そのポンプを、その流量が約25ml/分である蠕動ポンプを有するものと、することができる。ポンプ流量にはあらゆる好適範囲を含めることができる。ある種の実施形態によれば、ポンプ116を、可変速度ポンプ及び/又は連続ポンプを有するものとすることができる。例えば、ポンプ116を、可変速度ポンプを有するものとし、その可変速度ポンプを、流体がチューブ118を通じ流体収集容器120内へと通っていることがそのポンプに結合されているセンサにより検出されるまでは低速で動作させ、検出されたときにはそのポンプ116を調整してより高い速度にすることで、流体収集装置114が濡れることやそこに流体たまりができることを防ぐことができる。ポンプ116により真空又は吸引をもたらし流体収集装置114から流体を除去することができる。ある種の実施形態によれば、ポンプ116に対し1個又は複数個の電池により給電することができる。ある種の例によれば、ポンプ116を、椅子、車椅子102及びベッドのうち少なくとも一つに備わる1個又は複数個の構造部材に着脱自在に実装されうるよう、サイズ設定及び形状設定することができる。ある種の実施形態によれば、そのポンプを、流体収集パッド110内、例えばポケット122内やクッションカバー124内に所在させうるよう、サイズ設定又は形状設定することができる。例えば、その真空源を、1個又は複数個の小型化ポンプ116、或いは1個又は複数個のマイクロポンプ116を有するものとすることができる。ポンプ116を、スイッチ、ボタン、プラグ、リモートコントローラその他、ポンプ116を作動させるのに適した何らかの装置を1個又は複数個有するものと、することができる。
【0027】
本流体収集システム100は、インジケータパネル130をも有するものとすることができる。インジケータパネル130は、本流体収集システム100に関連する少なくとも一種類の特性を指示するよう、構成することができる。ある種の実施形態によれば、インジケータパネル130をセンサ132及び/又はコントローラ133(図3A参照)に結合させることができる。センサ132により、流体収集容器120内にある流体の体積に関連する特性の周期的又は連続的な読み値を採取することができる。センサ132が、流体収集容器120内にある流体の体積が所定の閾値(例えば流体収集容器120の総体積の75%又は90%)に達し又はそれを上回ったことを指し示しているときに、そのセンサ132から得られる読み値に基づき、電子アラートその他の指示を、コントローラ133からインジケータパネル130及び/又は電子デバイス(図示せず)へと供給することができる。その電子アラートを受領したときに、その電子デバイスを振動又は鳴音させること、及び/又は、インジケータパネル130により警告することで、流体収集容器120を交換するようユーザや介護者に提案することができる。ユーザや介護者は、それを受けチューブ118aの第2部分を本流体収集システム100から切り離し、クッションカバー124の開口126を介し流体収集パッド110から流体収集容器120を取り外すことができる。流体収集容器120をクッション112から取り外せるので、ユーザや介護者は、その流体収集容器120を新しい流体収集容器と入れ替え、その新しい流体収集容器120をポケット122内に挿入し、クッションカバー124の開口126を閉じ、チューブ118bの第2部分をつなぎなおすことができる。
【0028】
ある種の実施形態によれば、センサ132やコントローラ133からのデータに基づき、インジケータパネル130により、アラーム、表示、流体収集容器流体飽和又は流体体積ステータスのうち少なくとも一つを提示することができ、またポンプ動作ステータスを提示することもできる。ある種の実施形態によれば、流体レベルが所定レベルに達したので流体収集容器120を空にせよ、電池を交換又は再充電せよ、及び/又は、ポンプ116の真空又は吸引レベルを調整せよ、とユーザ又は介護者に通知するよう、インジケータパネル130を構成することができる。
【0029】
コントローラ133により、流体収集容器120が所定の飽和又は流体体積レベルであるとの警告を電子デバイスに送信し、その流体収集容器120の交換を勧めるようにしてもよい。ある種の実施形態によれば、コントローラ133により警報及び指示を送信すること、例えば指定された時間及び/又は体積間隔、或いはポンプ不調、流体収集容器120における漏れ、及び/又は、インジケータパネル130用電池の残量低下を通知することができる。インジケータパネル130に、指示を提示する表示パネルを組み込んでもよい。コントローラ133に、通知や警告を他の電子デバイスに送るよう構成された通信インタフェースを組み込んでもよい。例えば、コントローラ133を、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fiを介しそのユーザ又は介護者の他の電子デバイス及び/又は携帯電話へと、指定された無線周波数にて通知や警告を送るよう、構成することができる。ある種の実施形態によれば、インジケータパネル130をポンプ116上に組み込むことができる。ある種の実施形態によれば、コントローラ133がそのユーザ又は介護者の電子デバイスへと信号を無線送信し、その電子デバイス又はスマートフォンに対し直に指示を供給することができる。その他の指示たりうるものには、インジケータパネル130及び/又はポンプ116のうち少なくとも一方に給電する電池が残量低下しているとの警告がある。流体収集容器120の交換が推奨されるときに、コントローラ133からそのユーザ又は介護者の電子デバイスへと警告を無線送信することができる。
【0030】
ある種の実施形態によれば、本流体収集システム100を、ポンプ116、インジケータパネル130、センサ132及びコントローラ133のうち少なくとも一つ又は全てに電力を供給するよう構成された、電池(図示せず)又は他の何らかの電源を有するものと、することができる。ある種の実施形態によればその電池にリチウムイオン電池を含めることができる。ある種の実施形態によればその電池にアルカリ電池や再充電性電池を含めることができる。他の諸実施形態によればその電源を標準的な電気アウトレット(コンセント)とすることができる。
【0031】
次に、図3Aに示されるように、本流体収集システム100は、流体収集装置114をポンプ116及び流体収集容器120に結合させるチューブ118をも有している。チューブ118は、流体収集装置114に結合されうるよう構成されている第1部分118aと、流体収集容器120内に配置された第2部分118bとを有している。第1部分118a及び第2部分118bは、可撓プラスチック配管を有するものとすることができる。ある種の実施形態によれば、第1部分118aのうち少なくとも一部分を、実質的に不透明なものとすることで、第1部分118a内の流体の看取を妨げることができる。ある種の実施形態によれば、第2部分118bを、流体収集容器120の全体を通じ蛇状配列にて配置することができる。他の構成(例.様々なループ)をなす第2部分118bも、流体収集容器120全体を通じ均一に流体が拡散されるように実施することができる。
【0032】
ある種の実施形態によれば、流体収集容器120を、約1リットル~約3リットル、約1リットル、約2リットル又は約3リットルの流体を内部保持するものとすることができる。流体収集容器120は、全体的に封入型で防漏と見なせるものにすることができる。例えば、流体収集容器120を、封止プラスチックバッグを有するものとすることも、リジッドプラスチック容器を有するものとすることもできる。流体収集容器120の内部には吸収性部分134が配置されている。ある種の実施形態によれば、吸収性部分134を、流体収集装置114から受け取った流体をその内部に受け入れて保持するよう、サイズ設定することができる。吸収性部分134を流体収集容器120内に統合すること、従って流体収集パッド110の内部領域内に除去自在に配置することができ、ひいてはユーザ又は介護者が吸収性部分134込みで流体収集容器120を挿入及び/又は除去することが可能となる。そうするために、汚れた吸収性部分134から、流体収集容器120を流体収集パッド110から取り外して新品の流体収集容器120と交換すべきときが、わかるようにすることができる。ある種の実施形態によれば、吸収性部分134を、2個の向かい合う略平坦又は平板な表面を有する形状、即ち大まかにはクッション112の形状に、形成することができる。ある種の実施形態によれば、吸収性部分134を他の形状、サイズ及び構成にて形成することができる。ある種の実施形態によれば、吸収性部分134をラインとすること、及び/又は、流体収集容器120の1個又は複数個の内表面に固定することができる。
【0033】
センサ132を、流体収集容器120と可作動的に連携させること、並びに少なくとも流体収集容器120内の吸収性部分134及び/又は流体の体積に関連する特性を検出するよう、構成することができる。ある種の実施形態によれば、センサ132を、流体収集容器120の(内部又は外部にある)インレットに、或いはチューブ118の終端に、所在させ又は配置することができる。ある実施形態によれば、センサ132をチューブ118に沿い及び/又はその内部に配置することや、吸収性部分134内に置くことができる。ある種の実施形態によれば、センサ132を、自センサを流体に直に接触させることなく少なくともその流体の体積に関連する特性の連続又は周期的フィードバックを行えるよう構成された、超音波センサ、レーザセンサ又は紫外(UV)センサを有するものとすることができる。センサ132を非接触流体センサ、例えば静電容量性センサ、誘導性センサ、重量計測センサ又は機械式フロート(浮き)を有するものとすることができる。センサ132を、そのセンサ132の少なくとも一部分が流体収集容器120の内部領域の内側にある態で流体収集容器に固定することができる。ある種の実施形態によれば、センサ132を流体収集容器120の頂部に配置し、流体収集容器120の内部領域内で流体が集まっているところに向けることができる。
【0034】
ある種の実施形態によれば、本流体収集システム100を、コントローラ133をも有するものとすることができる。そのコントローラ133を、例えば有線又は無線接続によりセンサ132と通信するよう構成することができる。ある種の実施形態によれば、センサ132にコントローラ133を組み込むことができる。コントローラ133は、少なくともセンサ132により収集されたデータを記憶するイレーザブルプログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)が装備された印刷回路基板(PCB)を、有するものとすることができる。コントローラ133は、流体収集容器120内にある流体の流体レベル、体積又は飽和度を計算するよう構成された、プロセッサを有するものとすることができる。コントローラ133は、他の電子デバイス例えばそのユーザ又は介護者のスマートフォン、車椅子102に固定されておりモジュール及び/又はディスプレイを有する電子デバイス、及び/又は、ヘルスケアシステムに備わる電子デバイスへと通知又は警告を送るよう構成された、通信インタフェースを有するものとすることができる。例えば、その通信インタフェースを、他の電子デバイス例えばそのユーザ又は介護者のスマートフォンや車椅子102に固定されている電子デバイスへとBluetooth(登録商標)又はWi-Fiを介し指定無線周波数で通知又は警告を送るよう、構成することができる。先に論じた通り、コントローラ133に、外付け又は内蔵電池、例えば再充電可能型電池により給電してもよい。
【0035】
ある種の実施形態によれば、コントローラ133を、少なくともポンプ116のステータスに関連する特性についてそのユーザの介護者の電子デバイスへと警告を無線送信するよう、構成することができる。ある種の実施形態によれば、コントローラ133を、ポンプ116を動作させ及び/又は制御するよう構成することができる。ある種の実施形態によれば、コントローラ133により、流体収集装置114及び/又は流体収集容器120内のセンサ132により検出される流体体積のステータスに基づき、ポンプ116を制御することができる。例えば、センサ132からのデータに基づき、コントローラ133によりポンプ116を始動させて、流体収集装置114から流体収集容器120へと流体を流すことができる。流体収集容器120内にある流体の体積が所定の閾値に達したときに、コントローラ133によりポンプ116を状態固定することができる。ある種の実施形態によれば、コントローラ133により、警告や指定された頻度、例えば指定された時間及び/又は体積間隔を無線送信することができる。コントローラ133及びポンプ116のうち少なくとも一方に給電する電池が残量低下したときに、コントローラ133が、インジケータパネル130と、或いはそのユーザ又は介護者の電子デバイスと、無線通信することができる。ポンプ116又は流体収集システム100に機能不全があるときに、コントローラ133がインジケータパネル130に、或いはそのユーザ又は介護者の電子デバイスに、警告を無線送信することができる。ある種の実施形態によれば、コントローラ133を、ポンプ116の全動作を制御するよう構成することができる。
【0036】
ある種の実施形態によれば、センサ132を、流体収集容器120内における流体のレベルを検出するよう構成されたレベル送信機を有するものと、することができる。ある種の実施形態によれば、センサ132を、超音波レベルセンサを有するものとすることができる。ある例によれば、センサ132により、そのセンサ132と流体収集容器120内にある流体の表面との間の距離を用い、その流体収集容器120内にある流体の体積を決定することができる。
【0037】
次に、図3Bに示されるように、流体収集容器120をクッション112の下方に配置することで、流体収集パッド110上に座り又は横たわるユーザにとっての安楽性を改善することができる。流体収集容器120を、上述の通り、少なくとも蛇状配列にてその流体収集容器120全体を通じチューブの第2部分118bが組み込まれたものとすることができる。チューブ118の第2部分118bを、パーフォレート加工されたものとすることができる。チューブ118のそれら穿孔(パーフォレーション)136を、流体が第2部分118b内を流れているときに流体収集容器120全体を通じ均一にその流体が拡散するよう、散在させることができる。ある種の実施形態によれば、チューブ118の穿孔136のなかに、流体分布を改善すべく様々な形状、サイズ及び所在個所の孔を含めることができる。チューブ118の穿孔136のなかに、好適な流体分布を達成すべく、そのチューブ118の円孔、スリットその他の窓を含めることができる。流体がチューブ118内を流れているときに、その流体をそのチューブ118から流出させ、流体収集容器120の吸収性部分134内へと流入させることができる。ある種の実施形態によれば、それらの穿孔136を、何であれ、流体収集容器120内への流体の吸収が改善される空間配列にて設けることができる。ある種の実施形態によれば、それら穿孔136をチューブ118の頂部及び/又は底部に配置することができる。他の諸実施形態によれば、それら穿孔136をチューブ118の側部に、或いはチューブ118の周縁を巡り、配置することができる。それらの穿孔136を、流体が第2部分118b内を流れているときにその流体が流体収集容器120全体を通じ均一に拡散するよう、散在させることができる。ある種の実施形態によれば、それらの穿孔136を、チューブ118の直径の1/16倍のものとすることができる。他の諸実施形態によれば、流れ及び/又は流体分布が改善されるよう、それらの穿孔をチューブ118の直径の1/16倍超又は1/16倍未満とすることができる。
【0038】
流体収集容器120の吸収性部分134を、疎水性ビーズ138を含有する少なくとも1個の層と、吸収性素材140を含有する少なくとも1個の層と、その少なくとも1個の疎水性ビーズ含有層と少なくとも1個の吸収性素材140含有層との間に位置するメッシュ層142とを、有するものとすることができる。吸収性部分134は、「フランス排水溝(盲下水)」や「排水場」と同様に流体を分散させるよう、構成することができる。チューブ118を少なくとも1個の疎水性ビーズ138含有層内に配置することで、穿孔136やチューブ118を詰まらせることなくそれら穿孔136から流体が流出されるようにすることができる。その後、流体は疎水性ビーズ138の狭間を通り吸収性素材140内に浸み込むので、そこでその流体を吸収することができる。チューブ118を蛇状配列にて配置し穿孔136を散在させることで、吸収性部分134全体を通じ均一に流体を拡散させ、交換が必要になるまでの流体収集パッド110の使用可能寿命や容量を最大化することができる。
【0039】
ある実施形態によれば、少なくとも1個の疎水性ビーズ138含有層を少なくとも1個の吸収性素材140含有層の上方に所在させ、重力の助けで流体がチューブ118から吸収性素材140へと流入するようにすることができる。ある種の実施形態によれば、チューブ118bの第2部分を疎水性ビーズ138の少なくとも1個の層内に配置し及び/又は一体化させることができる。疎水性ビーズ138は、プラスチックその他、何れの非吸収性素材でも構成することができる。疎水性ビーズ138は、ラテックス、シリカ、セラミクス、ガラス、金属その他、好適な疎水性素材のうち少なくとも一つとすることができる。疎水性ビーズ138は、使い捨て及び/又は再生利用可能なものとすることができる。ある種の実施形態によれば、疎水性ビーズ138を、チューブ118bを取り巻き吸収性部分134を通じた流体移動を助けるよう、ひいては何れの吸収性素材140も穿孔136に詰まらずチューブ118から吸収性素材140への流体の流れを邪魔しないよう、構成することができる。ある種の実施形態によれば、そのビーズ直径を、少なくとも、穿孔136の直径より大きく且つメッシュ層142の何れの孔及び/又は穿孔よりも大きな直径とすることができる。
【0040】
ある種の実施形態によれば、吸収性素材140に糊化澱粉(ゼラチン状澱粉)を含有させることができる。吸収性素材140に馬鈴薯澱粉やコーンスターチを含有させることができる。ある種の実施形態によれば、吸収性素材140に合成吸収材、例えばポリエステルその他の何らかの親水性吸収性素材を、含有させることができる。ある種の実施形態によれば、その吸収性素材に織又は不織シート素材、セルロース質パルプ、合成パルプ、パルプ繊維、スポンジ素材その他、好適な合成又は天然素材を含有させることができる。他の諸実施形態によれば、吸収性素材140に、ハイドロゲルを拡充及び/又は形成するよう構成されたナノマテリアル又はナノファイバ膜を含有させることができる。ある種の実施形態によれば、吸収性素材140を吸水性ファブリックの態に織られたものとすることができる。ある種の実施形態によれば、吸収性素材140に生分解性素材、非生分解性素材、或いは生分解性素材と非生分解性素材の組合せを含有させることができる。ある種の実施形態によれば、吸収性素材140を、流体を吸収するパウダー状稠度のものとすることができる。パウダー状吸収材は、流体を吸収するのでゲル様状態へと転化させることができる。他の諸実施形態によれば、吸収性素材140に、流体を収集及び吸収し自素材とその流体をゲル様状態へと転化させるおむつ状吸収性素材を、含有させることができる。吸収性素材140を、流体が配管118bの第2部分内を流れているとき流体収集容器120全体を通じ均一にその流体を拡散させる素材で、構成及び/又は構築することもできる。吸収性素材140を、蛇状構成にて配置された配管118により穿孔136を通じ流体が拡散されているとき多少とも吸収品質を呈する素材からなる個別的な諸部分で、構成することもできる。言い換えれば、吸収性素材140内に吸収特性が異なる諸層を設けることで、流体収集パッド110の容量を改善することができる。ある種の実施形態によれば、吸収性素材140の層を組み込むことで、吸収性部分134内での流体吸収や均一分布を改善することができる。
【0041】
ある種の実施形態によれば、メッシュ層142を、少なくとも1個の疎水性ビーズ138含有層と、少なくとも1個の吸収性素材140含有層との間に、配置することができる。チューブ118bの第2部分を少なくとも1個の疎水性ビーズ138含有層内に配置し、メッシュ層142により吸収性素材140をチューブ118から分離させることで、穿孔136が詰まるのを防ぐことができる。メッシュ142の素材を吸収性素材140に対する障壁として働かせることができる。メッシュ層142を、繊維群が一緒に織り込まれたニット状構造(編み込み構造)とし、透水層を作り出すことができる。ある種の実施形態によれば、メッシュ層142をポリエステル、ナイロンその他のあらゆる好適素材で構成することができる。メッシュ層142により吸収性部分134に構造性を与えること、ひいてはそのメッシュ層142をより頑健な素材、例えばリジッド又はセミリジッドなプラスチック又は金属で構成することもできる。
【0042】
流体収集パッド110を、流体の臭いを少なくとも部分的に中和するよう構成された臭い中和剤144入りのものとすることができる。ある種の実施形態によれば、重曹及び/又はラベンダーを入れることで、より心地よい香りをもたらし臭いを中和することができる。ある種の実施形態によれば、臭い中和剤144を吸収性部分134内に入れることができる。臭い中和剤144を吸収性素材140及び/又はメッシュ層142内に一体化させることもできる。
【0043】
ある種の実施形態によれば、チューブ118bの第2部分を吸収性部分134の内部及び/又は表面に配置することができる。これらの実施形態によれば、疎水性ビーズ138含有層及び/又はメッシュ層を吸収性部分134から省くことができる。吸収性素材140に、ゲル化せず及び/又はチューブ118bの第2部分の穿孔136を詰まらせない素材を、含有させることができる。ある種の実施形態によれば、吸収性素材140により、チューブ118bの第2部分から離れる方へと毛管現象で流体を動かすことができる。
【0044】
図4は、一実施形態に係るポータブル流体収集システム組立方法200のフロー図である。本方法200には、流体収集パッドを椅子、車椅子及びベッドのうち少なくとも一つに着脱自在に固定する動作210が含まれている。本方法200には、ユーザの尿道の少なくとも付近に流体収集装置を配置する動作220も含まれている。本方法200には、その流体収集装置をその流体収集パッドに流体的に結合させる動作230も含まれている。ある種の実施形態では、その流体収集パッドが、クッションと、その内部に吸収性部分が配置されておりそのクッション内に配置しうるよう構成されている流体収集容器と、流体収集装置に結合されうるよう構成された第1部分並びに流体収集容器内に配置された第2部分を有するチューブとを、有するものとされる。チューブの第2部分は、パーフォレート加工されたものとすることができる。
【0045】
本方法には、ポンプをその流体収集システムに結合させる動作240も含まれている。ある種の実施形態によれば、そのポンプをチューブの第1部分に結合させることができる。ある種の実施形態によれば、そのポンプを、流体収集装置からチューブを通じ流体収集容器内へと流体を引き込むよう構成することができる。ある種の実施形態によれば、そのポンプを、椅子、車椅子又はベッドに備わる1個又は複数個の構造部材に固定することができる。動作240にて、流体収集容器と通流しておりその流体収集装置からチューブの第1部分を通じ流体収集パッド内へと流体を引き込めるよう構成されているポンプを、椅子、ベッド又は車椅子に実装することもできる。
【0046】
本方法200により、本願記載の流体収集システムの何れも組み立てることができる。例えば、容器支持器を車椅子に着脱自在に固定する動作210にて、クッションカバーにつながっている1本又は複数本のストラップを、椅子、車椅子又はベッドに備わる1個又は複数個の構造部材に、固定することができる。ある種の実施形態によれば、流体収集システムを椅子、車椅子及びベッドのうち少なくとも一つに着脱自在に固定する動作210にて、流体収集容器をクッション内に配置しそのクッションをクッションカバー内に置くことができる。ある種の実施形態では、そのクッションカバーのポケット内に流体収集パッドが包み込まれる。動作210にて、流体収集容器内にある流体の体積が所定体積に達し又はそれを上回ったときに、流体収集パッドを取り外し交換することができる。ある種の実施形態によれば、流体収集容器内にある流体の体積をセンサによって監視することができる。
【0047】
ある種の実施形態によれば、流体収集パッドをクッションのポケットから取り除き、チューブ側のカプリングの働きで流体収集システムから切り離して、廃棄することができる。その上で、新しい流体収集パッドを流体収集システムに結合させ、クッションのポケットに再び入れることができる。ある種の実施形態によれば、開口を有するクッションカバーを、そのクッションカバー内に流体収集パッドがあり個別性がもたらされるものとすることができる。
【0048】
上述した方法200の諸動作は、例示を目的としたものである。例えば、本方法200の諸動作を別の順序で実行すること、複数個の動作に分けること、修正すること、補充すること、或いは結合させることもできる。ある種の実施形態によれば、本方法200の諸動作のうち1個又は複数個を本方法200から省くことができる。本方法200の諸動作の何れも、本願開示のポータブル流体収集システムの何れかの使用を伴うものとすることができる。
【0049】
本願で用いられている語「約」又は「実質的に」は、「約」又は「実質的」により修飾される語につき±10%又は±5%のばらつきが許容されることを表している。更に、語「未満」、「以下」、「よりも大きい」、「よりも多い」又は「以上」は、端点として、その語「未満」、「以下」、「よりも大きい」、「よりも多い」又は「以上」により修飾される値を伴っている。
【0050】
本願では様々な態様及び実施形態が開示されているが、他の態様及び実施形態も考えられる。本願開示のそれら様々な態様及び実施形態は例示を目的としたものであり、限定することを意図するものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】