IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイスティ コーポレーション オーワイの特許一覧

特表2024-506936超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料、その製品および製造方法
<>
  • 特表-超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料、その製品および製造方法 図1
  • 特表-超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料、その製品および製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料、その製品および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/04 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
B27N3/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549644
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2022053967
(87)【国際公開番号】W WO2022175394
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】20215161
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523311085
【氏名又は名称】アイスティ コーポレーション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パーナネン,ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリクソン,アンッティ
【テーマコード(参考)】
2B260
【Fターム(参考)】
2B260AA02
2B260BA19
2B260CB01
2B260EA01
(57)【要約】
少なくとも60~80重量%のリグノセルロース繊維および/または再生セルロース繊維と0~10重量%の発泡剤とを含む超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料であって、この材料はある量または重量の難燃剤をさらに含むか、あるいはある量のセルロースおよび/または木質繊維は難燃性特性を有し、本繊維複合材の火災成長率は<120W/sであって、本繊維複合材の総発熱量は単一燃焼物方法(EN 13823)によれば<7.5MJであり、かつ超低密度の繊維複合発泡成形材料の密度は<150kg/mである、超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料。対応する製造方法および製品も提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
・60~80重量%のリグノセルロース繊維および/または再生セルロース繊維と、
・0~10重量%の発泡剤と
を含む超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料であって、
前記材料はある量または重量の難燃剤をさらに含むか、あるいはある量の前記リグノセルロース繊維および/または再生セルロース繊維は難燃性特性を有し、前記繊維複合材の火災成長率は<120W/sであって、前記繊維複合材の総発熱量は単一燃焼物方法(EN 13823)によれば<7.5MJであり、かつ前記超低密度の繊維複合発泡成形材料の密度は<150kg/mである、
超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項2】
前記発泡材料の密度は<120kg/mである、請求項1に記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項3】
前記発泡材料の密度は<100kg/mである、請求項1に記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項4】
前記発泡材料の密度は>20kg/mである、前記請求項のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項5】
前記発泡材料の密度は>40kg/mである、請求項1~3のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項6】
20~40重量%の難燃剤を含む、前記請求項のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項7】
前記発泡剤の量は<10重量%である、前記請求項のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項8】
前記発泡剤の量は<5重量%である、請求項1~6のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項9】
前記発泡剤の量は<1重量%である、請求項1~6のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項10】
前記難燃剤はリン、カリウム、ホウ素、窒素、硫黄、ケイ素または鉱質ベースの難燃剤、遅延剤を含有するポリマーハロゲン、塩素化パラフィン、有機塩またはグラファイトベースの難燃剤あるいはそれらの組み合わせである、前記請求項のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項11】
前記難燃剤はコーティングとして前記材料の表面にあるか、あるいは前記材料は前記難燃剤で処理された不織布、織物、紙またはフェルトによってコーティングされている、前記請求項のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項12】
前記発泡剤はドデシル硫酸塩、ポリオキソエチレン(20)ソルビタンモノラウレートまたはアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシドあるいはそれらの組み合わせである、前記請求項のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項13】
前記材料の圧縮、曲げ強度および耐水性などの機械的特性を向上させるためにナノセルロース、極小セルロース、澱粉、アルキルケテンダイマー、ポリビニルアルコールおよびラテックスの群から選択される機能的添加剤を含む、前記請求項のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項14】
前記機能的添加剤の量は<10重量%である、前記請求項のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項15】
前記機能的添加剤の量は<5重量%である、請求項1~13のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項16】
前記機能的添加剤の量は<2重量%である、請求項1~13のいずれかに記載の超低密度の繊維複合発泡成形材料。
【請求項17】
請求項1に記載の超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料を含む製品。
【請求項18】
・繊維懸濁液および少なくとも発泡剤を発泡装置に供給する工程と、
・前記懸濁液および前記少なくとも発泡剤を撹拌して繊維発泡体を形成する工程であって、この繊維発泡体の形成はガスを前記発泡装置の中に撒き散らすことにより向上させることができる工程と、
・パイプラインおよび前記成形装置内の矩形状出口を通して汲み出すことにより前記繊維発泡体を放出してウェブを作り出す工程と、
・ある量の難燃剤を前記繊維懸濁液または繊維発泡体の中、前記ウェブの1つ以上の表面あるいはこれらの組み合わせに添加する工程と
を含む、超低密度の繊維複合発泡成形材料を作製するための方法。
【請求項19】
前記ウェブを所定の乾燥固形分値を超えるまで乾燥させ、かつそれをシート状に切断して前記製品を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
所定の乾燥固形分値は60~80%である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ある量の難燃剤を前記製品の1つ以上の表面に添加する、請求項18~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記製品の1つ以上の表面に難燃性コーティングを作り出すために、前記難燃剤を前記材料の中、前記ウェブ/製品の1つ以上の表面に添加するか、あるいは前記製品の1つ以上の製品表面に難燃剤処理された不織布、織物、紙またはフェルトを被覆または積層する、請求項18~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法により作製される、超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、リグノセルロース繊維を含む超低密度繊維複合材に関する。本発明はさらに、難燃性特性を有する超低密度材料ならびにその製品および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオベースの低密度材料は、油ベースの発泡材料の再生可能な生分解性代替物を提供する。発泡成形技術は、建築および包装材料を含むリサイクル可能かつ持続可能材料の資源効率的な生産を可能にする。他方、セルロースは軽量かつ手頃である豊富な資源である。
【0003】
セルロース繊維ベースの材料の製造方法は湿式、半乾式および乾式法に分けることができる。半乾式および乾式法は<100kg/mなどの低密度多孔質材料を作製するのに適している。しかしこれらの方法では、適切な材料強度を得るために結合剤が必要とされる。水生成および発泡成形を含む湿式法では水素結合により十分な材料強度が得られるため、結合剤は必要とされない。しかし水生成は、密度が<100kg/mの超低密度材料を作製するのに適していない。発泡成形では発泡剤が必要とされ、発泡剤残留物が材料の中に残る。
【0004】
米国特許出願公開第2009068430号(Homatherm AG)は、30~300kg/mの密度を有する木質繊維断熱材およびその製造方法に関する。材料は50~90重量%のセルロースおよび/または木質繊維、2~15重量%の難燃剤および5~30重量%の結合剤(bico繊維)を含む。この製造方法は乾式および半乾式技術を含む。
【0005】
国際公開第2015066806号(FPInnovations社)は10~150kg/mの密度を有する超低密度繊維複合材を作製する方法に関する。この方法は発泡成形技術を利用し、0~30重量%のセルロースフィラメント、発泡剤、接着剤、サイジング剤および耐火化合物などの少なくとも2種類の添加剤を含む。この複合材は連続オーバーフロー発泡プロセスによって作製する。
【0006】
国際公開第2012006714号(FPInnovations社ら)は、10~120kg/mの密度を有する>90%w/wの天然繊維を含む超低密度発泡複合材に関する。この複合材は、3次元網目構造を生じさせる液体成形プロセスによって調製し、ここでは接着は繊維中のヒドロキシル基による水素結合によって達成する。この複合材は、少なくとも1種の界面活性剤および少なくとも1種のコポリマーを含む。外部コポリマーはリグノセルロース材料と反応し、繊維間に相間拡散または機械的絡み合いを形成する。この複合材はモールド法によって作製する。
【0007】
米国特許出願公開第2014000981号(Silfverhuth,E.)は、天然繊維、発泡プラスチック粒子、無機充填剤、結合剤、難燃剤および腐敗防止剤を含む低密度防火コーティングおよびプレート状音響要素を提供する。発泡剤を材料に添加することもできる。プラスチック発泡粒子を利用して30~100kg/mの密度および最大70mmの厚さを達成する。連続気泡および独立発泡プラスチック粒子の両方を使用し、それらの割合は所望の音響特性に従って調整することができる。
【0008】
従来の技術の欠点の1つは、材料強度を高めるために合成の結合剤および/または化学薬品を使用しなければならないことである。例えば、米国特許出願公開第2009068430号および米国特許出願公開第2014000981号では合成の結合剤が使用される。国際公開第2012006714号は結合手段として水素結合を利用するが、水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基が必要とされる。
【0009】
従来の技術の欠点の1つは、材料強度を高めるために合成の結合剤および/または化学薬品を使用しなければならないことである。本発明はセルロース繊維ベースの複合材のための向上した性質の組み合わせも提供する。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、従来の技術の限界および欠点から生じる1つ以上の問題を少なくとも軽減することにある。この目的は、超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料、その製品および製造方法の様々な実施形態によって達成される。
【0011】
本発明のいくつかの利点としては、セルロース繊維ベースの複合材のための向上した性質の組み合わせが挙げられる。本開示により、結合剤を使用することなく多孔質かつ超低密度の繊維複合発泡成形材料に対して十分な強度および難燃性を達成することができる。
【0012】
本発明の態様によれば、少なくとも
・60~80重量%のリグノセルロース繊維および/または再生セルロース繊維と、
・0~10重量%の発泡剤と
を含む超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料であって、
本材料はある量または重量の難燃剤をさらに含むか、あるいはある量のリグノセルロース繊維および/または再生セルロース繊維は難燃性特性を有し、本繊維複合材の火災成長率は<120W/sであって、本繊維複合材の総発熱量は単一燃焼物(Single Burning Item)方法(EN 13823)によれば<7.5MJであり、かつ超低密度の繊維複合発泡成形材料の密度は<150kg/mである、
超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料が提供される。
【0013】
一実施形態では、本発泡成形材料の密度は<120kg/mである。別の実施形態では、本発泡成形材料の密度は<100kg/mである。一実施形態では、本発泡成形材料の密度は>20kg/mである。一実施形態では、本発泡成形材料の密度は>40kg/mである。
【0014】
好ましい一実施形態では、本発泡成形材料は<10重量%の発泡剤を含む。別の実施形態では、本発泡成形材料は<5重量%の発泡剤を含む。さらなる実施形態では、本発泡成形材料は<1重量%の発泡剤を含む。
【0015】
一実施形態では、発泡剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、アルキルグルコシドまたはアルキルポリグルコシドあるいはそれらの組み合わせを含む。
【0016】
一実施形態では、本発泡成形材料は、リン、カリウム、ホウ素、窒素、硫黄、ケイ素または鉱質ベースの難燃剤、ポリマー(ハロゲン含有)難燃剤、塩素化パラフィン、有機塩またはグラファイトベースの難燃剤あるいはそれらの組み合わせの群から選択される難燃剤を含む。
【0017】
好ましい一実施形態では、難燃剤は本材料の表面にある。
【0018】
一実施形態では、本発泡成形材料は、圧縮および/または耐水性および/または曲げ強度を高めるために<10重量%の添加剤を含む。別の実施形態では、本発泡成形材料は<5重量%の添加剤を含む。さらなる実施形態では、本発泡成形材料は<2重量%の添加剤を含む。
【0019】
本発明の態様によれば、請求項1に記載の超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形材料を含む製品が提供される。
【0020】
本発明の態様によれば、
・繊維懸濁液および少なくとも発泡剤を発泡装置に供給する工程と、
・当該懸濁液および少なくとも発泡剤を撹拌して繊維発泡体を形成する工程であって、この繊維発泡体の形成はガスを発泡装置の中に撒き散らすことにより向上させることができる工程と、
・パイプラインおよび成形装置内の矩形状出口を通して汲み出すことにより繊維発泡体を放出してウェブを作り出す工程と、
・ある量の難燃剤を繊維懸濁液または繊維発泡体の中、ウェブの1つ以上の表面あるいはこれらの組み合わせに添加する工程と
を含む、超低密度の繊維複合発泡成形材料を作製するための方法が提供される。
【0021】
一実施形態では、ウェブを80%の乾燥固形分を超えるまで乾燥させ、かつそれをシート状に切断して本製品を形成する。
【0022】
一実施形態では、1つ以上の製品表面に難燃性コーティングを作り出すために、難燃剤を本材料の中または本製品の1つ以上の表面に添加するか、あるいは本製品の1つ以上の製品表面に難燃剤処理された不織布、織物、紙またはフェルトを被覆または積層する。
【0023】
一実施形態では、ウェブを所定の乾燥固形分値を超えるまで乾燥させ、かつそれをシート状に切断して本製品を形成する。一実施形態では所定の乾燥固形分値は60~80%である。
【0024】
一実施形態では、ある量の難燃剤を本製品の1つ以上の表面に添加する。
【0025】
本発明の態様によれば、超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形製品を請求項16に記載の方法により作製する。
【0026】
「発泡体の積層」としても知られている「発泡成形」という用語は本明細書では、非常に強い混合および発泡剤により水および繊維の懸濁液に空気を含ませる任意の従来の技術を指す。
【0027】
故に「発泡成形」材料という用語は、発泡成形法により作製された材料/製品である。
【0028】
「ウェブ」という用語は、発泡成形法により作製され、かつ乾燥固形分が80%未満である連続材料を指すように使用される。
【0029】
「難燃剤(fire-retardant)」という用語は本明細書では、火災の成長の開始を防止するか遅らせるための化学薬品または材料に添加される充填剤を指す。この意味では、「難燃剤(fire-retardant)」、「難燃剤(fire-resistant)」および「難燃剤(flame-retardant)」という表現は同義で使用することができる。
【0030】
「リグノセルロース繊維」および「セルロース系繊維」という用語は本開示において同義で使用することができる。
【0031】
本発明の異なる実施形態は、詳細な説明の考察により明らかになるであろう。
【0032】
本発明のいくつかの例示的な実施形態について添付の図面を参照しながらより詳しく考察する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本開示に係る方法の一実施形態を示す。
図2】本開示に係る製品の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のいくつかの詳細な実施形態が本明細書に開示されている。
【0035】
超低密度発泡成形複合材は、リグノセルロース繊維および/または再生セルロース繊維(60~80重量%)を含む。リグノセルロース繊維は、原木繊維、紙パルプならびに綿、フラックスリネンおよび麻などの天然繊維を含んでもよい。他の好適な繊維源としては、リサイクル繊維、カッターおよびウッドチップなどのサイドストリーム、屑ならびに藁が挙げられる。再生セルロース繊維は、例えばビスコースおよびリヨセル繊維であってもよい。
【0036】
本材料は難燃剤(20~40重量%)を含む。好適な難燃剤のいくつかの例は、リン、カリウム、ホウ素、窒素、硫黄、ケイ素または鉱質ベースの難燃剤、ポリマー(ハロゲン含有)難燃剤、塩素化パラフィン、有機塩またはグラファイトベースの難燃剤あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0037】
発泡剤はアニオン性、非イオン性、カチオン性および双性イオン性発泡剤あるいはそれらの組み合わせから選択される。アニオン性発泡剤は、例えばドデシル硫酸ナトリウムであってもよい。非イオン性発泡剤は、例えばポリオキソエチレン(20)ソルビタンモノラウレートまたはアルキルグルコシドまたはアルキルポリグルコシドであってもよい。また発泡剤は、ポリビニルアルコールのようなポリマーまたはタンパク質ベースの薬剤であってもよい。
【0038】
本材料は、本材料の圧縮、曲げ強度および/または耐水性を高めるための機能的添加剤も含んでいてもよい。添加剤はナノセルロース、極小セルロース、澱粉、アルキルケテンダイマー、ポリビニルアルコールまたはラテックスあるいはそれらの組み合わせの群から選択されてもよい。
【0039】
現在の欧州分類規格EN 13501-1は、建築材料をそれらの火災挙動に関して7つのクラス、すなわちA1、A2、B、C、D、EおよびFにランク付けしている。この規格は、煙発生(s1、s2、s3)および有炎滴下物/粒子の形成(d0、d1およびd2)に関するこれらの製品の分類も与える。一般に5つの異なる試験方法、すなわちEN ISO 1182、EN ISO 1716、EN 13823、EN ISO 9239-1、EN ISO 11925-2を使用して当該クラスを決定する。
建築製品(床材を除く)
クラスA1:EN ISO 1182およびEN ISO 1716
クラスA2:EN ISO 1182またはEN ISO 1716およびEN 13823(SBI)
クラスB、CおよびD:EN 13823(SBI)およびEN ISO 11925-2
クラスE:EN ISO 11925-2
クラスF:火災挙動は決定されず
【0040】
本発明は、欧州分類規格によれば分類Bに達するための利点を有する。
【0041】
図1は、本開示に係る方法(100)の一実施形態を示す。本方法のために使用可能な発泡装置またはそのようなシステムは、パイプまたはそのような導管を介してノズルに接続する少なくとも容器/タンク/コンテナを備えていてもよく、そのノズルから本材料を放出することができる。最初に、リグノセルロース繊維を水と混合することにより繊維懸濁液を調製する(102)。次いで発泡剤を懸濁液の中に添加し(103)、混合物を容器/タンク/コンテナまたはパイプ/バレル中で機械的に混合すると繊維発泡体が形成される(104)。代わりまたは追加として、懸濁液および少なくとも発泡剤を撹拌して繊維発泡体を作製する工程は、ガスを発泡装置の中に撒き散らすことにより向上させてもよい(105)。繊維発泡体をパイプラインを通して矩形状ノズルの中に汲み出し、このノズルが繊維発泡体をワイヤ上に均一に分散させ、このワイヤを使用して重力および負圧の助けを借りて水を除去する(106)。赤外線またはマイクロ波または熱風吹き付けなどの加熱装置を用いて水の除去を向上させてもよい。ワイヤセクション後に、ウェブを乾燥セクションの中に移し、乾燥させる(108)。赤外線、マイクロ波または熱風吹き付けを用いて水を蒸発させる。乾燥セクション後の材料の典型的な乾燥固形分は、80~95%または少なくとも60~80%である。乾燥セクション後に本材料を切断セクションに移す(108)。切断セクションの前および/または後にスプレー、フィルム、発泡体またはカーテンコーティングのような適当なコーティング方法により、難燃剤を材料の少なくとも1つ表面に添加する(112)。あるいは、難燃剤を懸濁液または繊維発泡体に添加してもよい。さらに切断段階の前または後に、難燃剤で処理された不織布、フェルト、織物または紙を材料の表面に積層することにより仕上げてもよい(110)。
【0042】
本方法の超低密度かつ難燃性の繊維複合発泡成形製品の例が図2に示されている。
【0043】
以下の実施例は、本発明の全範囲を限定することなく本発明のいくつかの実施形態および態様を例示するために与えられている。
【実施例
【0044】
実施例1:発泡成形材料の製造
【0045】
材料A
界面活性剤のTween20(投与量8g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量4g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー3%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が50%になるまで続けた。
【0046】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0047】
この材料の両面にクエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は90kg/mであった。
【0048】
材料B
界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)をリサイクル綿ベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が45%になるまで続けた。
【0049】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は75kg/mであった。
【0050】
材料C
界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)をケミサーモメカニカルパルプ(割合50%)およびリサイクル綿(割合50%)ベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が45%になるまで続けた。
【0051】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は75kg/mであった。
【0052】
吸音特性
規格ISO 10534-2に従ってインピーダンス管方法により、材料A、BおよびCの吸音率を評価した。被験試料の直径は63mmであり、当該試料の後ろに180mmのエアキャップを用いてこの試料を装着した。材料についての125~2000Hzの1/1オクターブバンドでの垂直入射吸音率が表1に表されている。
【表1】
【0053】
実施例2:発泡成形材料の製造
【0054】
材料D
界面活性剤のTween20(投与量0.3g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量0.3g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が55%になるまで続けた。
【0055】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0056】
この材料の両面にクエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は85kg/mであった。
【0057】
材料E
澱粉、ナノクレイおよび硫酸マグネシウムを、そのコンシステンシーが3%であるケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液に添加した。澱粉の投与量はセルロース繊維重量の1%であり、ナノクレイはセルロース繊維重量の30%であり、硫酸マグネシウムはセルロース繊維重量の50%であった。材料の投与後に懸濁液を約1分間混合した。界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量0.9g/l)を懸濁液の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が50%になるまで続けた。
【0058】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。
【0059】
クエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を一度乾燥させた材料の両面に噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の15%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の30%であった)。噴霧後に、材料の乾燥物質含有量は約50%であった。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを25mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は80kg/mであった。
【0060】
材料F
界面活性剤のTween20(投与量0.3g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量0.3g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が55%になるまで続けた。
【0061】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0062】
この材料の両面に炭酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の15%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の30%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は97kg/mであった。
【0063】
材料G
界面活性剤のTween20(投与量0.3g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量0.3g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が55%になるまで続けた。
【0064】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0065】
この材料の両面に炭酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は100kg/mであった。
【0066】
材料H
炭酸カリウムベースの難燃性物質をそのコンシステンシーが3%であるケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液に添加した。難燃剤の投与量はセルロース繊維重量の50%であった。材料の投与後に懸濁液を約1分間混合した。界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)を懸濁液の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が50%になるまで続けた。
【0067】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。
【0068】
炭酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を一度乾燥させた材料の両面に噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の15%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の30%であった)。噴霧後に、材料の乾燥物質含有量は約50%であった。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は99kg/mであった。
【0069】
材料I
澱粉、ナノクレイおよび硫酸マグネシウムを、そのコンシステンシーが3%であるケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液に添加した。澱粉の投与量はセルロース繊維重量の1%であり、ナノクレイはセルロース繊維重量の30%であり、硫酸マグネシウムはセルロース繊維重量の50%であった。材料の投与後に懸濁液を約1分間混合した。界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量0.9g/l)を懸濁液の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が50%になるまで続けた。
【0070】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。
【0071】
炭酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を一度乾燥させた材料の両面に噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の15%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の30%であった)。噴霧後に、材料の乾燥物質含有量は約50%であった。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを24mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は94kg/mであった。
【0072】
材料J
界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)をリサイクル綿ベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が45%になるまで続けた。
【0073】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0074】
この材料の両面にクエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は108kg/mであった。
【0075】
材料K
界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)をケミサーモメカニカルパルプ(割合50%)およびリサイクル綿(割合50%)ベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が45%になるまで続けた。
【0076】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0077】
この材料の両面にクエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は113kg/mであった。
【0078】
材料L
界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)をリサイクル綿ベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が45%になるまで続けた。
【0079】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0080】
この材料の両面に炭酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は116kg/mであった。
【0081】
材料M
界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)をケミサーモメカニカルパルプ(割合50%)およびリサイクル綿(割合50%)ベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が45%になるまで続けた。
【0082】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0083】
この材料の両面に炭酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は124kg/mであった。
【0084】
材料N
界面活性剤のTween20(投与量0.3g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量0.3g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2.7%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が55%になるまで続けた。
【0085】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0086】
この材料の両面に炭酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面においてセルロース繊維重量の17.5%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の35%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。最後に、熱曝露を受ける材料表面にケイ酸カルシウムベースの塗料(量186g/m)を塗布した。材料の最終密度は108kg/mであった。
【0087】
難燃特性
規格ISO 5660-1に準拠したコーンカロリーメーター方法により、材料D、E、F、G、H、I、J、K、L、MおよびNの難燃特性を評価した。被験試料面積は10×10cmであり、利用した熱照射レベルは50kW/mであった。材料について測定した最大発熱速度(HRRmax)が表2に表されている。
【表2】
【0088】
実施例3:発泡成形材料の製造
【0089】
材料O
界面活性剤のTween20(投与量8g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量4g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー3%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が50%になるまで続けた。
【0090】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0091】
この材料の両面にクエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の15%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の30%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は80kg/mであった。
【0092】
材料P
界面活性剤のTween20(投与量8g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量4g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー3%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が50%になるまで続けた。
【0093】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0094】
この材料の両面にクエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は90kg/mであった。
【0095】
材料Q
カルボキシメチルセルロースおよび硫酸マグネシウムをそのコンシステンシーが3%であるケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液に添加した。カルボキシメチルセルロースの投与量はセルロース繊維重量の5%であり、硫酸マグネシウムはセルロース繊維重量の100%であった。材料の投与後に懸濁液を約1分間混合した。界面活性剤のTween20(投与量6.5g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量0.9g/l)を懸濁液の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が50%になるまで続けた。
【0096】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを17mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0097】
この材料の両面にクエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の15%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の30%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は80kg/mであった。
【0098】
難燃特性
規格EN 13823に準拠した単一燃焼物方法により、材料O、PおよびQの難燃特性を評価した。この方法では試験片、すなわち短翼495mm×1500mmおよび長翼1000mm×1500mmを試験装置の試料ホルダー内に筋違いに固定した。材料について測定した火災成長速度(FIGRA)および総発熱量(THR600)が表3に表されている。
【表3】
【0099】
実施例4:発泡成形材料の製造
【0100】
材料R
界面活性剤のTween20(投与量8g/l)およびドデシル硫酸ナトリウム(投与量4g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー3%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が50%になるまで続けた。
【0101】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0102】
この材料の両面にクエン酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は90kg/mであった。
【0103】
材料S
界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム(投与量0.6g/l)をケミサーモメカニカルパルプベースの繊維懸濁液(コンシステンシー2%)の中に添加し、円筒状のタンク内で非常に強い混合により繊維発泡体を調製した。この混合は繊維発泡体の空気含有量が60%になるまで続けた。
【0104】
繊維発泡体を針金の底を有する型の中に注ぎ、繊維発泡体の乾燥物質含有量が約10%になるまで重力により排出させた。濡れた繊維発泡体を針金の上の型から取り出して乾燥器に入れ、この材料を70℃で乾燥させた。一度乾燥させた材料をその両面に水を噴霧することにより50%の乾燥物質含有量になるまで再度濡らした。再度濡らした材料をプラスチックバッグの中に入れ、4時間にわたって水分をこの材料の中で均一にした。最後に、再度濡らした材料を手作業でスペーサを20mm厚にした状態で2枚のプレートの間で押し、70℃の乾燥器の中で乾燥させた。
【0105】
この材料の両面に炭酸カリウムベースの難燃性物質を含む懸濁液を噴霧した。難燃剤の投与量は両面に対してセルロース繊維重量の20%であった(噴霧した難燃剤の総量はセルロース繊維重量の40%であった)。噴霧後に、材料を70℃の乾燥器の中で乾燥させた。材料の最終密度は100kg/mであった。
【0106】
放出チャンバー試験方法により、材料RおよびSの揮発性有機化合物放出を評価した。被験試料面積は0.25mであった。放出チャンバー試験パラメータならびに適用した試料採取および試験方法が表4および表5に表されている。28日後の放出試験の結果が表6に表されている。
【表4】
【表5】
【表6】
【0107】
本発明の範囲はその均等物と共に添付の特許請求の範囲によって決定される。当業者であれば、開示されている実施形態は単に例示を目的として構成されており、本明細書において考察されている革新的な中心となる支えは、本発明の各特定の使用事例により良好に適するさらなる実施形態、実施形態の組み合わせ、変形および均等物を包含するという事実を理解するであろう。
図1
図2
【国際調査報告】