(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ナノバブル発生器
(51)【国際特許分類】
F15D 1/02 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
F15D1/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549822
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022016815
(87)【国際公開番号】W WO2022178141
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518322953
【氏名又は名称】モリアー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】パジーニ フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】スコルテン ブルース
(57)【要約】
ナノバブル発生装置は、液体担体を受けるように適合した内部キャビティと、液体インレットと、液体アウトレットとを規定する細長のハウジング;ハウジングの内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、加圧気体を受けるように適合した第一端部と、第二端部と、多孔性側壁とを含む、気体透過性部材;および、液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した導電体を含む。気体透過性部材の外面に平行に流れる液体担体の流速が、乱流条件を作り出すための液体の乱流閾値より大きくなるように、ハウジングおよび気体透過性部材が構成され、それによって、液体が気体透過性部材の外面から気体を剪断して液体担体中にナノバブルを形成することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一端部と第二端部とを具備し、液体インレットと、液体アウトレットと、液体源から液体担体を受けるように適合した内部キャビティとを規定する、細長のハウジング;
(b)該ハウジングの該内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、気体源から加圧気体を受けるように適合した第一端部と、第二端部と、該第一および第二端部の間に延在する多孔性側壁とを具備し、内面と、外面と、ルーメンとを規定する、気体透過性部材;
(c)該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで流れる際に、該気体透過性部材の該外面に平行な磁束を発生させるように適合した、少なくとも1つの導電体
を具備し、
該液体源からの該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで該気体透過性部材の該外面に平行に流れる際に、その流速が、乱流条件を作り出すための該液体の乱流閾値より大きくなるように、該ハウジングおよび気体透過性部材が構成されており、それによって、該液体が該気体透過性部材の該外面から気体を剪断して該液体担体中にナノバブルを形成することを可能にする、
液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための装置。
【請求項2】
気体透過性部材が導電性である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
導電体が電磁コイルを具備する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
電磁コイルがステーターを具備する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
導電体がワイヤを具備する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、液体担体を回転させるように適合した、螺旋形部材
を具備する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
螺旋形部材が、気体透過性部材、ハウジング、またはその両方と一体化したパターンの形態である、請求項6記載の装置。
【請求項8】
液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した電磁コイルを、螺旋形部材が具備する、請求項7記載の装置。
【請求項9】
導電体がハウジングの外部上に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項10】
導電体がハウジングの内部キャビティ内に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項11】
導電体が気体透過性部材の外面上に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項12】
導電体が気体透過性部材の下流に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項13】
導電体が気体透過性部材の上流に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項14】
ハウジングの内部キャビティ内に位置するハイドロフォイルをさらに具備する、請求項1記載の装置。
【請求項15】
ハイドロフォイルが気体透過性部材の上流に位置する、請求項14記載の装置。
【請求項16】
ハイドロフォイルが気体透過性部材の下流に位置する、請求項14記載の装置。
【請求項17】
ハイドロフォイルが気体透過性部材に物理的に取り付けられている、請求項1記載の装置。
【請求項18】
(a)第一端部と第二端部とを具備し、液体インレットと、液体アウトレットと、液体源から液体担体を受けるように適合した内部キャビティとを規定する、細長のハウジング;
(b)該ハウジングの該内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、気体源から加圧気体を受けるように適合した第一端部と、第二端部と、該第一および第二端部の間に延在する多孔性側壁とを具備し、内面と、外面と、ルーメンとを規定する、気体透過性部材;
(c)1つまたは複数の導電体であって、そのうち1つは、該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで流れる際に該気体透過性部材の該外面に平行な磁束を発生させるように適合した電磁コイルを具備する、1つまたは複数の導電体;
(d)該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで流れる際に、該液体担体を回転させるように適合した、螺旋形部材;および
(e)該ハウジングの該内部キャビティ内に位置するハイドロフォイル
を具備し、
該液体源からの該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで該気体透過性部材の該外面に平行に流れる際に、その流速が、乱流条件を作り出すための該液体の乱流閾値より大きくなるように、該ハウジングおよび気体透過性部材が構成されており、それによって、該液体が該気体透過性部材の該外面から気体を剪断して該液体担体中にナノバブルを形成することを可能にする、
液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための装置。
【請求項19】
螺旋形部材が電磁コイルを具備する、請求項18記載の装置。
【請求項20】
請求項1または請求項18記載の装置を用いて、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための方法であって
(a)液体源からの液体担体を、気体透過性部材の外面にて乱流閾値を上回る乱流を作り出す流速で、ハウジングの液体インレットを通って該ハウジングの内部キャビティ内に導入する段階;
(b)該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで流れる際に、該気体透過性部材の該外面に平行な磁束を印加する段階;および
(c)ルーメン内の圧力が該ハウジングの該内部キャビティ内の圧力より大きくなるように選択された気体圧力にて、気体源からの加圧気体を該気体透過性部材の該ルーメン内に導入し、それによって気体を多孔性側壁に通らせて該気体透過性部材の該外面上にナノバブルを形成する段階
を含み、
該液体インレットから該液体アウトレットまで該気体透過性部材の該外面に平行に流れる該液体担体は、該気体透過性部材の該外面からナノバブルを取り込んで、該液体担体とその中に分散した該ナノバブルとを含む組成物を形成する、
方法。
【請求項21】
気体透過性部材の外面に平行な振動磁束を印加する段階を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
気体透過性部材の外面に平行な高周波の振動磁束を印加する段階を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
(a)第一端部と第二端部とを具備し、内部キャビティと、気体源からの加圧気体を該内部キャビティ内に導入するように適合した気体インレットとをさらに具備する、細長のハウジング;
(b)該ハウジングの該内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、液体源から液体を受けるように適合した液体インレットと、液体アウトレットと、該液体インレットと該液体アウトレットとの間に延在する多孔性側壁とを具備し、内面と、外面と、液体が通って流れるルーメンとを規定する、気体透過性部材;
(c)液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで流れる際に、該気体透過性部材の該内面に平行な磁束を発生させるように適合した、少なくとも1つの導電体
を具備し、
該液体源からの該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで該気体透過性部材の該内面に平行に流れる際に、その流速が、乱流条件を作り出すための該液体の乱流閾値より大きくなるように、該ハウジングおよび気体透過性部材が構成され、それによって、該液体が該気体透過性部材の該内面から気体を剪断して該液体担体中にナノバブルを形成することを可能にする、
液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための装置。
【請求項24】
請求項23記載の装置を用いて、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための方法であって、
(a)液体源からの液体担体を、気体透過性部材の外面にて乱流閾値を上回る乱流を作り出す流速で、ハウジングの液体インレットを通って該気体透過性部材の内部キャビティ内に導入する段階;
(b)該液体担体が該液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、該気体透過性部材の内面に平行な磁束を印加する段階;および
(c)該ハウジングの該内部キャビティ内の圧力が該気体透過性部材の内部における圧力より大きくなるように選択された気体圧力にて、気体源からの加圧気体を該ハウジングの該内部キャビティ内に導入し、それによって気体を多孔性側壁に通らせて該気体透過性部材の該内面上にナノバブルを形成する段階
を含み、
該液体インレットから該液体アウトレットまで該気体透過性部材の該内面に平行に流れる液体担体は、該気体透過性部材の該内面からナノバブルを取り込んで、該液体担体とその中に分散した該ナノバブルとを含む組成物を形成する、
方法。
【請求項25】
気体透過性部材の内面に平行な振動磁束を印加する段階を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
気体透過性部材の内面に平行な高周波の振動磁束を印加する段階を含む、請求項25記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる、2021年2月18日に提出された米国特許仮出願第63/150,973号に対する優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、液体担体中でのナノバブルの発生に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ナノバブルは液体担体中で長時間安定しており、液体担体中で合体を生じることなく輸送できる。これらの特性により、ナノバブルは、水処理、植物生育、水産養殖、および滅菌を含むさまざまな分野において有用となっている。
【発明の概要】
【0004】
概要
第一の局面において、液体担体中のナノバブルを含む組成物を発生させるための装置を説明する。本装置は、(a)第一端部と第二端部とを含み、かつ液体インレットと、液体アウトレットと、液体源から液体担体を受けるように適合した内部キャビティとを規定する、細長のハウジング;(b)ハウジングの内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、気体源から加圧気体を受けるように適合した第一端部と、第二端部と、第一および第二端部の間に延在する多孔性側壁とを含み、内面と、外面と、ルーメンとを規定する、気体透過性部材;および(c)液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した、少なくとも1つの導電体を含む。液体源からの液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで気体透過性部材の外面に平行に流れる際に、その流速が、乱流条件を作り出すための液体の乱流閾値より大きくなるように、ハウジングおよび気体透過性部材は構成され、それによって、液体が気体透過性部材の外面から気体を剪断して液体担体中にナノバブルを形成することを可能にする。
【0005】
いくつかの態様において、気体透過性部材は導電性である。導電体は電磁コイル(例えばステーター)またはワイヤであってもよい。いくつかのケースにおいて、装置は、一方が気体透過性部材であり他方が例えば電磁コイルまたはワイヤである、一対の導電体を含む。
【0006】
いくつかの態様において、装置は、液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、液体担体を回転させるように適合した螺旋形部材を含む。螺旋形部材は、気体透過性部材、ハウジング、またはその両方と一体化したパターンの形態であってもよい。他の態様において、螺旋形部材は、液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した電磁コイルを含む。後者のケースにおいて、螺旋形部材は導電性部材の役割も行う。
【0007】
導電体は、ハウジングの外部上、ハウジングの内部キャビティ内、または気体透過性部材の外面上に位置していてもよい。導電体はまた、気体透過性部材の下流または上流に位置していてもよい。
【0008】
装置は、ハウジングの内部キャビティ内に位置するハイドロフォイルをさらに含んでいてもよい。ハイドロフォイルは気体透過性部材の上流または下流に位置していてもよい。いくつかの態様において、ハイドロフォイルは気体透過性部材に物理的に取り付けられる。ハイドロフォイルは、液体担体がハイドロフォイルを通り過ぎて流れる際に液体担体を回転させる。
【0009】
第二の局面において、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための第二の装置を説明する。本装置は、(a)第一端部と第二端部とを含み、かつ液体インレットと、液体アウトレットと、液体源から液体担体を受けるように適合した内部キャビティとを規定する、細長のハウジング;(b)ハウジングの内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、気体源から加圧気体を受けるように適合した第一端部と、第二端部と、第一および第二端部の間に延在する多孔性側壁とを含み、内面と、外面と、ルーメンとを規定する、気体透過性部材;(c)1つまたは複数の電極であって、そのうち1つは、液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した電磁コイルである、1つまたは複数の電極;(d)液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、液体担体を回転させるように適合した螺旋形部材;および(e)ハウジングの内部キャビティ内に位置するハイドロフォイルを含む。液体源からの液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで気体透過性部材の外面に平行に流れる際に、その流速が、乱流条件を作り出すための液体の乱流閾値より大きくなるように、ハウジングおよび気体透過性部材は構成され、それによって、液体が気体透過性部材の外面から気体を剪断して液体担体中にナノバブルを形成することを可能にする。
【0010】
いくつかの態様において、螺旋形部材は電磁コイルを含む。
【0011】
第三の局面において、本発明の第一および第二の局面において説明した装置を用いて、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための方法を説明する。本方法は、(a)液体源からの液体担体を、気体透過性部材の外面にて乱流閾値を上回る乱流を作り出す流速で、ハウジングの液体インレットを通ってハウジングの内部キャビティ内に導入する段階;(b)液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の外面に平行な磁束を印加する段階;および(c)ルーメン内の圧力がハウジングの内部キャビティ内の圧力より大きくなるように選択された気体圧力にて、気体源からの加圧気体を気体透過性部材のルーメン内に導入し、それによって気体を多孔性側壁に通らせて気体透過性部材の外面上にナノバブルを形成する段階を含む。液体インレットから液体アウトレットまで気体透過性部材の外面に平行に流れる液体担体は、気体透過性部材の外面からナノバブルを取り込んで、液体担体とその中に分散したナノバブルとを含む組成物を形成する。
【0012】
いくつかの態様において、流速は少なくとも2 m/sである。本方法は、例えば高周波の振動磁束など、振動磁束を印加する段階を含んでもよい。
【0013】
第四の局面において、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための第三の装置を説明する。本装置は、(a)第一端部と第二端部とを含み、内部キャビティと、気体源からの加圧気体を内部キャビティ内に導入するように適合した気体インレットとをさらに含む、細長のハウジング;(b)ハウジングの内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、液体源から液体を受けるように適合した液体インレットと、液体アウトレットと、液体インレットと液体アウトレットとの間に延在する多孔性側壁とを含み、内面と、外面と、液体が通って流れるルーメンとを規定する、気体透過性部材;および(c)液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の内面に平行な磁束を発生させるように適合した、少なくとも1つの導電体を含む。液体源からの液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで気体透過性部材の内面に平行に流れる際に、その流速が、乱流条件を作り出すための液体の乱流閾値より大きくなるように、ハウジングおよび気体透過性部材は構成され、それによって、液体が気体透過性部材の内面から気体を剪断して液体担体中にナノバブルを形成することを可能にする。
【0014】
第五の局面において、本発明の第四の局面において説明した装置を用いて、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための方法を説明する。本方法は、(a)液体源からの液体担体を、気体透過性部材の外面にて乱流閾値を上回る乱流を作り出す流速で、ハウジングの液体インレットを通って気体透過性部材の内部キャビティ内に導入する段階;(b)液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の内面に平行な磁束を印加する段階;および(c)ハウジングの内部キャビティ内の圧力が気体透過性部材の内部における圧力より大きくなるように選択された気体圧力にて、気体源からの加圧気体をハウジングの内部キャビティ内に導入し、それによって気体を多孔性側壁に通らせて気体透過性部材の内面上にナノバブルを形成する段階を含む。液体インレットから液体アウトレットまで気体透過性部材の内面に平行に流れる液体担体は、気体透過性部材の内面からナノバブルを取り込んで、液体担体とその中に分散したナノバブルとを含む組成物を形成する。
【0015】
いくつかの態様において、流速は少なくとも2 m/sである。本方法は、例えば高周波の振動磁束など、振動磁束を印加する段階を含んでもよい。
【0016】
上述した装置および方法の各々において、液体源からの液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで気体透過性部材の内面または外面に平行に流れる際に、その流速が、乱流条件を作り出すための液体の乱流閾値より大きくなるように、装置を構成することは、ナノバブル合体を最小化する。液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に気体透過性部材の内面または外面に平行な磁束(例えば高周波の振動磁束)を発生させるための、少なくとも1つの導電体を含んでいることは、ナノバブル生成およびナノバブル生成率の両方を増大させる。流体中のナノバブルの存在を検出するために、導電体の抵抗の変化の測定が用いられてもよい。
【0017】
螺旋形部材は、液体担体に角速度を伝えて渦巻きを引き起こし、それによって気体透過性部材と液体ストリームとの間の境界面におけるナノバブル捕捉の効率を高めることによって、ナノバブル生成およびナノバブル生成率をさらに増大させる。ハイドロフォイルは、ハイドロフォイルの表面に基づき装置を通って流れる流体中に高乱流領域を作り出し、かつハイドロフォイルの下流に乱流の後縁を作り出すことによって、ナノバブル生成およびナノバブル生成率をさらに増大させる。
【0018】
上述した装置および方法はさまざまな用途に用いることができる。例として、例えば水体(body of water)を酸素化および/または汚染物質除去するための廃水処理などの水処理がある。別の例として、酸素または他の栄養素を送達するために本発明の組成物を使用できる、水産養殖および植物生育がある。なお他の例として、例えば温水浴槽または温泉において塩素などの化学物質の使用を最少化またはなくすためなどの、洗浄および滅菌がある。
【0019】
本発明の1つまたは複数の態様の詳細を添付の図面および以下の説明において述べる。本発明の他の特徴、目的、および利点は、その説明および図面から、そして添付の特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的な装置の上面図である。
【
図2】
図2Aは、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的な装置の上面図である。
図2Bは、
図2Aの装置の側断面図である。
【
図3】
図3Aは、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的な装置の上面図である。
図3Bは、
図3Aの装置の側断面図である。
【
図4】
図4Aは、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的な装置の上面図である。
図4Bは、
図4Aの装置の側断面図である。
【
図5】
図5Aは、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的な装置の上面図である。
図5Bは、
図5Aの装置の側断面図である。
【
図6】
図6Aは、液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的な装置の上面図である。
図6Bは、
図6Aの装置の側断面図である。
【
図7】液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的な装置の上面図である。
【
図8】液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的な装置の上面図である。
【
図9A】例示的なハイドロフォイルの透視図である。
【0021】
さまざまな図面内の同様の参照記号は同様の要素を指し示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本開示は液体担体中にナノバブルを生成するための装置を説明する。ナノバブルは1マイクロメートル(?m)未満の直径を有する。いくつかの態様において、ナノバブルは500ナノメートル(nm)に等しいかまたはそれ未満の直径を有する。いくつかの態様において、ナノバブルは200ナノメートル(nm)に等しいかまたはそれ未満の直径を有する。
【0023】
本明細書に説明する装置および方法は、液体担体中にナノバブルを形成するための剪断に加えて、スーパーキャビテーション、渦度、および/または磁界(好ましくは高周波振動磁界)の組み合わせを選択的に印加する。
【0024】
図1Aおよび1Bは、例示的な装置100のそれぞれ上面図および側断面図を示した模式図である。
図1Cは、装置100のコンポーネントが互いから分離して示されている、装置100の分解図を示した模式図である。装置100はハウジング101と、透過性部材103と、導電体105とを含む。細長のハウジング101は、第一端部101aと、第二端部101bと、液体源から液体担体を受けるように適合した内部キャビティとによって規定される。ハウジング101はインレットとアウトレットとを含む。第一端部101aがインレットであってもよく、第二端部101bがアウトレットであってもよい。
【0025】
装置100は、ハウジング101の内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材103を含む。透過性部材103は内面と、外面と、ルーメンとを規定する。透過性部材103は、気体源から加圧気体を受けるように適合した第一端部103aと、第二端部103bと、第一および第二端部103a、103bの間に延在する多孔性側壁103cとを含んでいてもよい。透過性部材103の第一端部103aが開放端であってもよく、透過性部材103の第二端部103bが閉鎖端であってもよい。
【0026】
ハウジング101および透過性部材103は、液体源からの液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで透過性部材103の外面に平行に流れる際に、その流速が、乱流条件を作り出すための液体の乱流閾値より大きくなるようにアレンジされてもよく、それによって、液体が気体透過性部材の外面から気体を剪断して液体担体中にナノバブルを形成することを可能にする。
【0027】
図1A~Cに示すように、装置100は、ハウジング101の内部キャビティ内に位置する、螺旋形部材(例えば螺旋状電極)の形態である導電体105を含む。導電体105は、液体担体がハウジング101の液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、透過性部材103の外面に平行な磁束を発生させるように適合している。好ましくは、導電体105は高周波の振動磁束を発生させるように適合している。
【0028】
導電体105は透過性部材103の外面上に位置してもよい。導電体105は透過性部材103の少なくとも一部分を囲んでもよい。導電体105はまた他の形態で実施されてもよい。例えば、いくつかの態様において、導電体105はワイヤを含む。いくつかの態様において、導電体105は1つまたは複数の電極を含む。いくつかの態様において、導電体105は電磁コイル(例えばステーター)の形態である。いくつかの態様において、透過性部材103が導電体105として役立ってもよい。
【0029】
いくつかの態様において、装置100は、液体担体(例えば水)を提供する液体源に接続される。いくつかの態様において、液体源は、吸込みラインを介してポンプに接続された水容器または水体である。いくつかの態様において、ポンプは変速ポンプである。いくつかの態様において、ポンプは、制御弁を伴う吐出しラインを介して装置100に接続される。いくつかの態様において、吐出しラインはハウジング101と流体連絡している。例えば、液体担体は、ポンプから、制御弁を通り、吐出しラインを通って、第一端部101aに流れる。装置100への液体担体の圧力と流速とを制御するために制御弁の開口率が調整されてもよい。
【0030】
装置100は、装置100を通って流れる液体担体中に回転を誘発するように形状決定されたハイドロフォイル150を任意で含んでいてもよい。いくつかの態様において、ハイドロフォイル150は、装置100を通って流れる液体担体中にスーパーキャビテーションを誘発するように(例えばテーパー表面および/またはカーブ表面を伴って)形状決定される。例えば、ハイドロフォイル150は、ハイドロフォイル150の表面に基づき装置100を通って流れる流体中に高乱流領域を作り出し、かつハイドロフォイル150の下流に乱流の後縁を作り出すように、形状決定されてもよい。本開示において、「下流(downstream)」および「上流(upstream)」という用語は、例えば装置100を通る、液体担体の全体的な流れの方向に関連する。例えば、
図1A~Bにおいて、装置100を通る液体担体の全体的な流れの方向は左から右であるので、「下流」は「~の右に」と相関し、「上流」は「~の左に」と相関する。
【0031】
図1Bに示すように、ハイドロフォイル150はハウジング101の内部キャビティ内に位置していてもよい。ハイドロフォイル150の少なくとも一部分が透過性部材103の上流に位置していてもよい。ハイドロフォイル150は透過性部材103に物理的に取り付けられてもよい。ハイドロフォイルの他の実施形態もまた企図されうる。例えば、いくつかの態様において、ハイドロフォイル150の少なくとも一部分が透過性部材103の下流に位置していてもよい。ハイドロフォイル150と、他の1つまたは複数のコンポーネント(螺旋形部材および/または導電体105など)とが、装置100を通って流れる流体中に協同的に回転を誘発してもよい。
【0032】
いくつかの態様において、装置100がマウント151を任意で含んでいてもよい。マウントは、2つまたはそれ以上のコンポーネントを装置内で一緒に連結するのに役立ってもよい。
図1A~Bに示すように、透過性部材103と、任意でハイドロフォイル150とが、マウント151に連結されていてもよい。ハウジング101がマウント151に連結されていてもよく、例えばハウジング101の第一端部101aがマウント151に連結されていてもよい。コンポーネントを一緒に連結するためのさまざまな手段が適用されてもよい。例えば、ハウジング101の第一端部101aがマウント151の内部ボアと係合してもよい。マウント151が、それに連結されたコンポーネント内への流体インレットポートおよび/またはアウトレットポートを提供してもよい。例えば、マウント151が、透過性部材103の第一端部103aと流体連絡しているポート151aを規定してもよい。ポート151は気体を透過性部材103内に導入するために用いられてもよい。
【0033】
装置100は気体源に接続される。上述したように、気体源は、透過性部材103の第一端部103aと流体連絡しているポート151a(マウント151によって規定される)に接続されてもよい。気体は、透過性部材103の第一端部103aに、そしてルーメン内に、流れてもよい。気体が透過性部材103のルーメンから細孔を通って流れる際に、ナノバブルが形成されてもよく、かつ液体の乱流閾値を上回る流速で透過性部材103の外面をわたって流れる液体担体によって透過性部材103の外面から剪断されてもよい。
【0034】
いくつかの態様において、装置100によって形成されたナノバブルを含有する液体担体は、装置100から(例えば第二端部101bから)出て、吐出しラインに流れる。いくつかの態様において、装置100によって形成されたナノバブルを含有する液体担体は、装置100から出て、選択可能な複数の(例えば水容器または水体中の)吐出しラインに流れる。
【0035】
図2Aおよび2Bは例示的な装置200の模式図である。装置200は、装置100と同じ特徴のうち1つまたは複数(例えば透過性部材103、マウント151)を含むが、いくつかの相違もまた存在する。例えば装置200はセグメント化されたハウジング201を含む。ハウジング201のセグメントはマウント151によって連結されてもよい。マウント151はハウジング201の第一端部201aと第二端部201bとの間に位置してもよい。
【0036】
図2A~Bの装置200は複数の導電体205、207もまた含む。導電体205は、透過性部材103の下流でハウジング201の外部上に位置する電磁コイル(例えばステーター)である。導電体205は、透過性部材103の上流でハウジング201の内部キャビティ内に位置する螺旋形部材207(例えばコイル電極)である。螺旋形部材207は、ハウジング201の内周壁に沿ってポジショニングされた螺旋状バッフル(またはコイル状ワイヤ)を含んでいてもよい。螺旋形部材207は、液体担体が装置200を通って(例えば液体インレットから液体アウトレットまで)流れる際に、液体担体を回転させるように適合していてもよい。装置100の導電体105と同様に、螺旋形部材207もまた、液体担体が装置200を通って(例えば液体インレットから液体アウトレットまで)流れる際に、透過性部材103の外面に平行な磁束(例えば高周波振動磁界)を発生させるように適合した、電磁コイルとして役立ってもよい。
【0037】
いくつかの態様において、螺旋形部材207は、液体担体を回転させる、透過性部材103もしくはハウジング201またはその両方と一体化した特徴であってもよい。例えば、螺旋形部材207は、表面近傍を流れる液体担体を回転させる、透過性部材103もしくはハウジング201またはその両方の壁上の、1つまたは複数の表面特徴を含んでいてもよい。表面特徴が壁上のキャビティおよび/または突起を含んでいてもよい。例えば螺旋形部材207は、いくつかの態様において、ハウジングの内壁に沿って形成された螺旋形状の表面を含んでいてもよい。
【0038】
本明細書に提供する装置がさまざまな導電体構成を含んでいてもよい。いくつかの態様において、1つまたは複数の導電体(例えば導電体205または螺旋形部材207)は装置200の別々のコンポーネントである。例えば、導電体205および螺旋形部材207は、(
図2A~Bに示すように)ハウジング201に直接連結された別々のコンポーネントであってもよく、または(
図1A~Bに示すように)ハウジング201から間隔が空いていてもよい。例えば、螺旋形部材207は、透過性部材103の外面に連結されかつその周りに配された螺旋状バッフルの形態であってもよい。いくつかの態様において、1つまたは複数の電極の少なくとも一部分が、透過性部材103の上流、下流、または概ね同じ位置にポジショニングされていてもよい。
【0039】
図3Aおよび3Bに別の例示的な装置300を示す。装置300は前述した装置(例えば装置100、200)と同じいくつかの特徴(例えば透過性部材103)を含むが、本セクションでは装置300に存在する相違点に焦点を当てる。例えば装置300は、透過性部材103の上流に位置する電気ステーター305と、透過性部材103の少なくとも一部分を囲む螺旋形部材307とを含む、ハウジング301内に位置する複数の導電体を有する。螺旋形部材307は望ましいサイズにされてもよい。例えば装置300の螺旋形部材307は、螺旋形部材307の一部分が透過性部材103の下流に延在するように、透過性部材103より長い。いくつかの態様において、螺旋形部材307は、縦方向に沿って透過性部材より長いか、短いか、または概ね同じ長さであってもよい。
【0040】
図4Aおよび4Bに別の例示的な装置400を示す。装置400は前述した装置(例えば装置100、200、300)と同じいくつかの特徴(例えば透過性部材103)を含むが、本セクションでは装置400に存在する相違点に焦点を当てる。例えば装置400は、ハウジング401の外部上に位置する、螺旋形部材(例えば螺旋状電極)の形態である導電体405を含む。例えば導電体405は、ハウジング401の外部に直接連結されかつその周りに配されたコイル状ワイヤ(または単にコイル)を含んでいてもよい。装置400の導電体405は透過性部材103の上流に位置する。いくつかの態様において、導電体405の少なくとも一部分が透過性部材103の下流または概ね同じ位置に位置していてもよい。いくつかの態様において、導電体がマウント405上に配されていてもよい。
【0041】
図5Aおよび5Bに別の例示的な装置500を示す。装置500は前述した装置(例えば装置100、200、300、400)と同様のいくつかの特徴(例えば透過性部材103)を含むが、本セクションでは装置500に存在する相違点に焦点を当てる。装置500は、ハウジング501の外部上に位置し、透過性部材103の概ね下流でハウジング501のアウトレット端501bの近くにポジショニングされた、螺旋形部材(例えば螺旋状電極)の形態である導電体505を含む。
【0042】
図6Aおよび6Bに別の例示的な装置600を示す。装置600は前述した装置(例えば装置100、200、300、400、500)と同様のいくつかの特徴(例えば透過性部材103)を含むが、本セクションでは装置600に存在する相違点に焦点を当てる。装置600の導電体605は、ハウジング601の外部上に位置する電磁コイル(例えばステーター)を含み、透過性部材103の上流でハウジングインレット601aの近くに位置する。
【0043】
図7に別の例示的な装置700を示す。装置700は、ハウジング701の外部上に位置する、電磁コイル(例えばステーター)の形態である導電体705を含む。装置700の導電体705は透過性部材と概ね同じ位置に位置し、透過性部材103の一部分を囲む。
【0044】
図8に、透過性部材103の下流でハウジング801の外部上に位置する電磁コイル(例えばステーター)である導電体105を含む、別の例示的な装置800を示す。
【0045】
図9A~Cに例示的なハイドロフォイル150を示す。ハイドロフォイルは、ハイドロフォイル150の下流で流体(例えば液体担体)の流れの中に乱流を作り出すように構成された非対称形状を含む。ハイドロフォイル150の形状は、ハイドロフォイルの周りを流れる流体中に回転を誘発する、互いからオフセットした湾曲ウィング(一対のテーパー端)を含んでいてもよい。ハイドロフォイル150は、透過性部材103の第一端部103aに連結可能な連結要素(例えば、
図9Aに示すディフューザーマウント内の雌ねじ部分))を任意で含む。ハイドロフォイル150の形状は、装置100を通って流れる流体中に回転を誘発してもよく、そして
図1A~Bの透過性部材103の周りで流体を(例えば螺旋状の様式で)渦巻かせる。ハイドロフォイル150の説明を装置100に関して上述したが、本明細書に説明する装置200、300、400、500、600、700、または800のいずれにも同じ概念が適用できる。
【0046】
図10A~Cに、本明細書に説明する装置に任意で含まれてもよい例示的なマウント151を示す。上述したように、マウントは、例えば
図1A~Bのハイドロフォイル150など、本明細書に説明する装置の1つまたは複数のコンポーネントに連結されてもよい。
【0047】
図11は、本明細書に説明する装置のいずれか1つにおいて実施されてもよい例示的な気体透過性部材103の模式図である。透過性部材103は、ナノバブルを発生させるために気体が通過できる複数の細孔を規定する。細孔の各々が、50 ?mに等しいかまたはそれ未満の直径を有してもよい。いくつかの態様において、細孔の各々が、200 nm~50 ?mの範囲内である直径を有する。細孔は均一のサイズであってもよく、またはさまざまなサイズであってもよい。細孔は、透過性部材103の表面(例えば外面)にわたって均一またはランダムに分布していてもよい。細孔は、任意の規則的な(例えば円形の)形状または不規則な形状を有してもよい。いくつかの態様において、透過性部材103は導電性であり、細長の電極として役立つ。
【0048】
液体が透過性部材103の外面の周りを流れる際に、透過性部材103の表面に沿ってナノバブルを発生させるために気体が透過性部材103のルーメンから細孔を通って流れるように、気体が透過性部材103内に流入されてもよい。透過性部材103の周りを流れる流体が透過性部材からナノバブルを剪断して、ナノバブルに富んだ液体をもたらす。
【0049】
図12は例示的な装置1200の模式図である。前述の例示的な装置と異なり、装置1200は、気体源から気体を受けるように適合したハウジング1201と、液体源から液体担体を受けるように適合した透過性部材1203とを含む。透過性部材1203は、(
図11に示した)透過性部材103と実質的に同様であってもよい。装置1200において、液体は透過性部材1203内に流入され、気体は透過性部材1203の外面の周りを流れる。気体は細孔を通って透過性部材1203のルーメン内に流入してナノバブルを発生させ、そのナノバブルは透過性部材1203内を流れる液体中に剪断および分散される。
【0050】
装置1200のハウジング1201は、閉鎖端である第一端部1201aと第二端部1201bとを含む。気体が、気体源から、ハウジング1201によって規定されるポート1201cを通って、ハウジング1201の内部キャビティ内に流れる。
図12においてハウジング1201の中央付近に位置するものとして示されているが、ポート1201cが気体がハウジング1201の内部キャビティに入るための入口を提供する限り、ポート1201cはハウジング1201の任意の点に位置してよい。
【0051】
透過性部材1203は、液体担体を受けるように適合した液体インレットとして役立ってもよい第一端部1203aを有する。透過性部材1203は、その壁を気体が通過することを可能にする細孔を含む。透過性部材1203は、ハウジング内の気体が透過性部材1203の壁を横切って流れるように、ハウジング1201の内部キャビティ内に封入される。透過性部材1203の細孔を通って透過性部材1203のルーメン内まで気体を流すために圧力が印加される。気体が透過性部材1203の細孔を通って流れる際にナノバブルが形成される。ナノバブルが形成される際に、透過性部材1203のルーメンを通って流れる液体担体がこれを透過性部材1203の内面から剪断する。透過性部材1203の第二端部1203bは、形成されたナノバブルを運んでいる液体担体を吐出するための開放端またはアウトレットであってもよい。
【0052】
図12の装置1200は、ハウジング1201の外部上に位置する、電磁コイル(例えばステーター)の形態である導電体1205を含む。導電体1205は透過性部材1203の少なくとも一部分を囲み、ポート1201cの上流に位置する。上述のセクションにおいて説明したように、1つまたは複数の導電体がさまざまな方式で実施されてもよい。
【0053】
装置1200は、本明細書において前述したように、透過性部材1203を通って流れる液体中に回転を誘発するためのコンポーネント(例えば螺旋形部材および/またはハイドロフォイル)を任意で含んでいてもよい。その任意的コンポーネントはハウジング1201の内部キャビティ内に位置していてもよい。例えばその任意的コンポーネントが透過性部材1203に連結されてもよい。いくつかの態様において、その任意的コンポーネントは透過性部材1203と一体化している。例えば、その任意的コンポーネントは、透過性部材1203の内面近くに配された螺旋状バッフルまたはコイルを含む、螺旋形部材であってもよい。いくつかの態様において、その任意的コンポーネントの少なくとも一部分は透過性部材1203の上流または下流に位置する。いくつかの態様において、装置1200は、装置1200を通って流れる流体中に協同的に回転を誘発してもよい、ハイドロフォイル、螺旋形部材、および/または導電体1205を含む。
【0054】
本明細書に説明するいずれの装置および方法も、1 ?m未満の平均直径を有するナノバブルを液体体積中に生成することを含む。いくつかの態様において、ナノバブルは、約10 nm~約500 nm、約75 nm~約200 nm、または約50 nm~約150 nmの範囲の平均直径を有する。本組成物中のナノバブルは、バブルの平均直径が1 ?m未満である、単峰分布の直径を有してもよい。いくつかの態様において、本明細書に説明する装置および方法によって生成されるいずれの組成物もナノバブルを含むが、マイクロバブルは伴わない。
【0055】
対象事項の特定の態様を説明した。とはいえ、さまざまな改変、置換、および変更が行われうることが理解されるであろう。
【国際調査報告】