(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】GABA-Aポジティブアロステリック調節物質のヘミ-クエン酸塩およびその結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07J 43/00 20060101AFI20240207BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240207BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240207BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240207BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240207BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240207BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C07J43/00 CSP
A61K31/58
A61K47/12
A61K47/32
A61K9/20
A61P25/24
A61P25/08
A61P25/00
A61P25/22
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549823
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022016612
(87)【国際公開番号】W WO2022178000
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522014219
【氏名又は名称】プラクシス プレシジョン メディシンズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネヴィル ドリス
(72)【発明者】
【氏名】ハシャシュ アフマド
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン カール
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヨハン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C091
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD29
4C076DD41C
4C076DD67
4C076EE16
4C076EE31
4C076FF09
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
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4C086DA12
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
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4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZA02
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4C086ZA12
4C086ZC02
4C091AA01
4C091BB01
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE02
4C091EE04
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA07
4C091PB02
4C091QQ01
4C091RR20
4C091SS01
4C091SS05
(57)【要約】
化合物1のヘミ-クエン酸塩、その結晶形態、その調製方法、その医薬組成物、およびその使用方法が、本明細書に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する化合物1の実質的に純粋なヘミ-クエン酸塩。
【化1】
【請求項2】
前記ヘミ-クエン酸塩が、約5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する、請求項1に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項3】
前記ヘミ-クエン酸塩が、化合物1のモノ-クエン酸塩を実質的に含まない、請求項2に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項4】
前記ヘミ-クエン酸塩が、水和物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項5】
前記ヘミ-クエン酸塩が、約0重量%~約5重量%の水分含量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項6】
前記ヘミ-クエン酸塩が、セスキ水和物である、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項7】
前記ヘミ-クエン酸塩が、結晶形態Iである、請求項1~6のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項8】
前記結晶形態Iが、約4.4重量%の水分含量を有し、約65.2±2.0℃の第一のピーク値および約126.3±2.0℃の第二のピーク値を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項7に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項9】
前記結晶形態Iが、25~125℃の温度範囲において、約0.0%~4.4%の重量損失を有する熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す、請求項7または8に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項10】
前記ヘミ-クエン酸塩が、前記化合物1の結晶形態IAである、請求項1~9のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項11】
前記結晶形態IAが、回折角2-シータで以下のピーク:5.3±0.2、10.6±0.2、14.5±0.2、15.9±0.2、17.2±0.2、17.6±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2のうちの少なくとも一つを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、請求項10に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項12】
前記結晶形態IAが、前記回折角2-シータで以下のピーク:5.3±0.2、10.6±0.2、14.5±0.2、15.9±0.2、17.2±0.2、17.6±0.2、20.5±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2のうちの少なくとも三つを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、請求項10または11に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項13】
前記結晶形態IAが、前記回折角2-シータで以下のピーク:5.3±0.2、14.5±0.2、および25.5±0.2を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、請求項10~12のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項14】
前記結晶形態IAが、
図1に実質的に示されるX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、請求項10~13のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項15】
前記ヘミ-クエン酸塩が、化合物1の結晶形態IBである、請求項1~7のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項16】
前記結晶形態IBが、前記回折角2-シータで以下のピーク:5.4±0.2、10.9±0.2、14.5±0.2、16.3±0.2、17.1±0.2、17.5±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2のうちの少なくとも一つを含むXRPDパターンを示す、請求項15に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項17】
前記結晶形態IBが、前記回折角2-シータで以下のピーク:5.4±0.2、10.9±0.2、14.5±0.2、16.3±0.2、17.1±0.2、17.5±0.2、20.3±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2のうちの少なくとも三つを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、請求項15または16に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項18】
前記結晶形態IBが、前記回折角2-シータで以下のピーク:5.4±0.2、14.5±0.2、および25.5±0.2を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、請求項15~17のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項19】
前記結晶形態IBが、
図2に実質的に示されるX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、請求項15~18のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項20】
前記形態Iが、以下の:
a=34.7Å、
b=8.3Å、
c=31.7Å、
α=90°、
β=108.5°、
γ=90°、
空間群C2、および
分子/非対称単位2、に実質的に類似する単位セルパラメータによって定義され、
前記結晶形態が、約173Kにある、請求項7に記載のヘミ-クエン酸塩。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のヘミ-クエン酸塩および少なくとも一つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項22】
前記組成物が約40℃および75%の相対湿度で約6カ月間保存された後、前記組成物中の前記化合物1の化学的純度が、少なくとも約98%である、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記組成物が約40℃および75%の相対湿度で約6カ月間保存された後、前記組成物が、前記組成物中の化合物1の総重量に基づき、約0.5重量%以下の化合物1のC-17エピマーを含む、請求項21または22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
潤滑剤をさらに含み、前記医薬組成物中の前記潤滑剤の割合が、約4重量%未満である、請求項21~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物中の前記潤滑剤の割合が、約3重量%未満である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬組成物中の前記潤滑剤の割合が、約2.5重量%未満である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記医薬組成物中の前記潤滑剤の割合が、約2重量%未満である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記医薬組成物中の前記潤滑剤の割合が、約1重量%~約2重量%である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項24~28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
クロスポビドンをさらに含む、請求項21~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記医薬組成物中の前記クロスポビドンの割合が、約3重量%~約8重量%である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
約25重量%の化合物1のヘミ-クエン酸塩、
約2重量%のステアリン酸マグネシウム、および
約7重量%のクロスポビドンを含む、請求項21~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記組成物が、5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
経口送達用に製剤化されている、請求項21~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
錠剤である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記錠剤の張力が、少なくとも1.7メガパスカル(MPa)である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記錠剤の張力が、約1.7MPa~約4.5MPaである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記錠剤が、約2.5分未満の崩壊時間を有する、請求項35~37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
以下の式を有する化合物1のヘミ-クエン酸塩を調製する方法であって、
【化2】
前記方法が、
(a)化合物1のモノ-クエン酸塩をC
1-C
2アルコール中に溶解して、溶液を得ること、および
(b)前記溶液を水に加えて、化合物1の前記ヘミ-クエン酸塩を得ることを含む、方法。
【請求項40】
化合物1の前記ヘミ-クエン酸塩を単離すること、および乾燥させることをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
以下の式を有する化合物1のヘミ-クエン酸塩を調製する方法であって、
【化3】
前記方法が、
(a)化合物1のモノ-クエン酸塩を水中に懸濁すること、および
(b)化合物1の前記ヘミ-クエン酸塩を単離することを含む、方法。
【請求項42】
化合物1の前記ヘミ-クエン酸塩を乾燥させることをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項39~42のいずれか一項に記載のプロセスに従い調製される、化合物1のヘミ-クエン酸塩。
【請求項44】
それを必要とする患者に、治療上有効量の請求項21~38のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、疾患または状態を治療する方法であって、前記疾患または状態が、うつ病、てんかん、双極性障害、または不安から選択される、方法。
【請求項45】
前記うつ病が、大うつ病性障害、産後うつ病、または治療抵抗性うつ病から選択される、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月18日に出願された米国仮出願番号第63/150,782号の優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オンのヘミ-クエン酸塩、その結晶形態、ならびにそのような塩および結晶形態を調製するプロセス、ならびにその医薬組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オン(化合物1)は、合成向神経活性ステロイドである。その主要分子標的は、γ-アミノ酪酸タイプA(GABA-A)受容体であり、チャネル機能のポジティブアロステリック調節因子(PAM)として作用する。化合物1の構造式が以下に示される。
【化1】
【0004】
向神経活性ステロイドGABA-A PAMは、てんかん、産後うつ病、および大うつ病において臨床的有効性を示している。
【0005】
化合物1の合成は、米国出願公開第2004/0034002号および第2009/0118248号に記載され、化合物1遊離塩基の結晶形態は、米国特許出願公開第2006/0074059号に記載され、化合物1を含有する医薬組成物は、米国特許出願公開第2009/0131383号に記載され、化合物1の塩の結晶多形は、米国特許出願公開第2020/0071350号に記載され、それらすべては、参照によりその全体がすべての目的のため本明細書に組み込まれる。
【0006】
化合物1は、下部GI管に見られるpHでは不十分に可溶性であり、これは、化合物1の経口生物学的利用能を制限し得る。溶解性の改善を達成するため、例えば、米国特許出願公開第2020/0071350号に記載されるように、化合物1の様々な塩形態およびこれらの塩の多形形態が開発され、試験された。米国特許出願公開第2020/0071350号に開示さるように、化合物1のモノ-クエン酸塩は、安定性の向上、結晶特性の改善、および溶解の改善を含む、好ましい全体的な特性を有すると決定された。化合物1のモノ-クエン酸塩は、1:1の3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オン対クエン酸のモル比を有する。
【0007】
それにもかかわらず、化合物1のモノ-クエン酸塩の製剤化は、特に、経口投与のための錠剤(「モノ-クエン酸錠剤」)として、困難であることが分かった。治療有用性を成功させるために、有効な化合物の物理化学的特性が、製造および医薬処理手順全体を通して、ならびに貯蔵、出荷、およびその最終的な治療的使用の間、分かっているか、または合理的に予測できることが重要である。一部の治療化合物は望ましい治療特性を呈することができるが、治療化合物は、化学的または処理特性の不良など、望ましくない物理化学的特性を有し得るため、これらの治療特性を適切な医薬組成物に翻訳することは必ずしも可能ではない。
【0008】
したがって、化合物1の塩の製剤の改善、およびそれを作製するためのプロセスに対するニーズがあり、化合物1の塩は、望ましい治療有用性と物理化学的特性の両方を有する。
【発明の概要】
【0009】
要約
本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩、その結晶形態、ならびにこのような塩および結晶形態を作製し、使用する方法を提供する。本開示はまた、化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物を提供する。
【0010】
本開示によれば、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態は、米国特許出願公開第2020/0071350号に記載されるモノ-クエン酸塩を含む、他の塩形態と比較して驚くほど改善された特徴を示すことが、現在発見されている。こうした改善された特性には、限定されるものではないが、強化された化学的および物理的安定性、より長い貯蔵寿命、改善された処理特性、および改善された溶解特性が含まれる。さらに、本明細書に記載されるように、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、モノ-クエン酸塩を含む、他の塩形態より、特に、錠剤の形態の経口製剤の開発により適している。
【0011】
一態様では、本開示は、化合物1の実質的に純粋なヘミ-クエン酸塩を提供し、3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オン対クエン酸塩のモル比は、約2:1である。一部の実施形態では、本開示は、以下の式を有する化合物1の実質的に純粋なヘミ-クエン酸塩を提供する。
【化2】
【0012】
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、化合物1のモノ-クエン酸塩を実質的に含まない。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、水和物である。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、チャネル水和物である。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約0重量%~約5重量%の水分含量を有する。
【0013】
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、一水和物である。他の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、化合物1の各分子に対して1分子未満の水を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、無水水和物である。他の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、無水である。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、セスキ水和物である。
【0014】
一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態を提供する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態は、本明細書に開示される結晶形態Iである。一部の実施形態では、結晶形態Iは、約4.4重量%の水分含量を有し、一部の実施形態では、結晶形態Iは、約65.2±2.0℃の第一のピーク値および約126.3±2.0℃の第二のピーク値を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを呈する。一部の実施形態では、結晶形態Iは、25~125℃の温度範囲で約0.0%~4.4%の重量損失を有する熱重量分析(TGA)サーモグラムを呈する。
【0015】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、チャネル水和物形態IAである。一部の実施形態では、結晶形態IAは、回折角2-シータで以下のピーク:5.3±0.2、10.6±0.2、14.5±0.2、15.9±0.2、17.2±0.2、17.6±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2の少なくとも一つを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを呈し、一部の実施形態では、結晶形態IAは、回折角2-シータで以下のピークの少なくとも三つ:5.3±0.2、10.6±0.2、14.5±0.2、15.9±0.2、17.2±0.2、17.6±0.2 20.5±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを呈する。一部の実施形態では、結晶形態IAは、回折角2-シータで以下のピーク:5.3±0.2、14.5±0.2、および25.5±0.2を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを呈する。一部の実施形態では、結晶形態Iは、
図1(形態IA)と実質的に類似するX線粉末回折(XRPD)パターンを呈する。
【0016】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、チャネル水和物形態IBである。一部の実施形態では、結晶形態Iは、
図2(形態IB)と実質的に類似するXRPDパターンを呈する。一部の実施形態では、結晶形態IBは、回折角2-シータで以下のピーク:5.4±0.2、10.9±0.2、14.5±0.2、16.3±0.2、17.1±0.2、17.5±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2の少なくとも一つを含むXRPDパターンを呈し、一部の実施形態では、結晶形態IBは、回折角2-シータで以下のピーク:5.4±0.2、10.9±0.2、14.5±0.2、16.3±0.2、17.1±0.2、17.5±0.2、20.3±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2の少なくとも三つを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを呈する。一部の実施形態では、結晶形態IBは、回折角2-シータで以下のピーク:5.4±0.2、14.5±0.2、および25.5±0.2を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを呈する。形態IBは、驚くほど安定であり、高湿度の条件下でも、水和が増加した形態(例えば、形態IA)に容易に戻らないことが見出された。
【0017】
本明細書に開示される特定の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、以下の:a=34.7Å、b=8.3Å、c=31.7Å、α=90°、β=108.5°、γ=90°、空間群C2、および分子/非対称単位2に実質的に類似する単位セルパラメータによって定義され、結晶形態は、約173Kにある。
【0018】
特定の態様では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iを含む医薬組成物が本明細書に開示され、結晶形態IBと結晶形態IAの重量比は、約5:1超、約10:1超、約20:1超、約50:1超、または約100:1超である。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、化合物1のヘミ-クエン酸塩のチャネル水和物形態IBを含み、化合物1のヘミ-クエン酸塩のチャネル水和物形態IAを実質的に含まない。
【0019】
本開示は、式:
【化3】
を有する化合物1のヘミ-クエン酸塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供し、組成物は、化合物1のモノ-クエン酸塩を実質的に含まない。特定の実施形態では、医薬組成物は、錠剤などの経口投薬形態である。一部の実施形態では、医薬組成物は、化合物1のヘミ-クエン酸塩のチャネル水和物形態IAを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、化合物1のヘミ-クエン酸塩のチャネル水和物形態IBを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、化合物1のヘミ-クエン酸塩のチャネル水和物形態IAおよび形態IBの混合物を含む。特定の実施形態において、医薬組成物が、約40℃および75%の相対湿度で約6カ月間保存された後、組成物中の化合物1のヘミ-クエン酸塩の化学的純度は、少なくとも約98%であり、特定の実施形態では、医薬組成物が、約40℃および75%の相対湿度で約6カ月間保存された後、組成物は、組成物中の化合物1の総重量に基づき、約0.5重量%以下の化合物1のC-17エピマーを含む。
【0020】
一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中の潤滑剤の割合は、約4重量%未満、例えば、約3重量%未満、約2.5重量%未満、または約2重量%未満である。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.5重量%~約3重量%、例えば、約1重量%~約2重量%の重量のステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤(例えば、約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、または約3重量%のステアリン酸マグネシウム)を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、クロスポビドンをさらに含み、特定の実施形態では、医薬組成物中のクロスポビドンの割合は、約3重量%~約8重量%である。特定の実施形態では、医薬組成物は、約25重量%の化合物1のヘミ-クエン酸塩、約2重量%のステアリン酸マグネシウム、および約7重量%のクロスポビドンを含む。
【0021】
一部の実施例において、本開示は、酸性溶液に接触する際にゲル化または沈殿しない化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物を提供する。理論に拘束されるものではないが、酸性媒体中の化合物1のヘミ-クエン酸塩の安定性は、化合物1の意図しないゲル化を最小化し、ゲル化は、生物学的利用能の減少をもたらし得ると考えられる。
【0022】
一部の実施形態では、本開示は、約20%~約30重量%(例えば、約20重量%、約22重量%、約25重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%または約30重量%)の化合物1のヘミ-クエン酸塩および約1重量%~約3重量%、約1.5重量%~約2.5重量%、または約1.75重量%~約2.25重量%のステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物中の化合物1のヘミ-クエン酸塩は、チャネル水和物形態IAである。他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1のヘミ-クエン酸塩は、チャネル水和物形態IBである。一部の実施形態では、医薬組成物中の化合物1のヘミ-クエン酸塩は、チャネル水和物形態IAおよびチャネル水和物形態IBの混合物である。特定の実施形態では、医薬組成物は、5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。
【0023】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、経口送達用に製剤され、一部の実施形態では、医薬組成物は、錠剤である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む錠剤を提供し、錠剤の張力は、少なくとも約1.7メガパスカル(MPa)である。一部の実施形態では、錠剤は、約1.7MPa~約4.5MPaの張力を有する。一部の実施形態では、錠剤は、約1.7MPa~約3.5MPaの張力を有する。一部の実施形態では、錠剤は、約2.5分未満の崩壊時間を有する。
【0024】
別の態様では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩を調製する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(a)C1-C2アルコール中に化合物1のモノ-クエン酸塩を溶解して溶液を生成すること;および(b)溶液を水に加えて、化合物1のヘミ-クエン酸塩を得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)化合物1のモノ-クエン酸塩を水中で懸濁すること;および(b)化合物1のヘミ-クエン酸塩を単離することを含む。一部の実施形態では、方法は、化合物1のヘミ-クエン酸塩を単離し、乾燥させることをさらに含む。また、本明細書に開示される方法に従って調製された化合物1のヘミ-クエン酸塩が本明細書に開示される。
【0025】
なお別の態様では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩を投与する方法を提供する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、経口投与される。本開示はまた、それを必要とする患者に、治療上有効量の化合物1のヘミ-クエン酸塩を投与することを含む、疾患、障害、または状態を処置する方法を提供する。特定の実施形態では、疾患、障害、または症状は、てんかん、産後うつ病、大うつ病性障害、双極性障害、治療抵抗性うつ病、および不安から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本出願は、添付の図面と併せて取られた以下の説明を参照することによって理解することができる。
【0027】
【
図1】
図1は、約90%の相対湿度(形態IA)(高湿度パターン)における化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iのチャネル水和物のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0028】
【
図2】
図2は、約5%の相対湿度(形態IB)(低湿度パターン)における化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iのチャネル水和物のXRPDパターンを示す。
【0029】
【
図3】
図3は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムおよび熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
【0030】
【
図4】
図4は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロットを示す。
【0031】
【
図5】
図5は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態I(形態IA)のセスキ水和物の偏光顕微鏡(PLM)画像を示す。
【0032】
【
図6】
図6は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IのXRPDパターンを示し、試験前(より低いパターン、MeOH_H
2O)および室温でのDVS後(高いパターン)のバルク生成物を示す。
【0033】
【
図7】
図7は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IのXRPDパターンを示し、試験前(より低いパターン、MeOH_H
2O)および40℃でのDVS後(高いパターン)のバルク生成物を示す。
【0034】
【
図8】
図8は、単結晶X線回折(SCXRD)溶液からの化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの非対称単位セルを提供する。温度因子楕円体は、50%の信頼区間で示される。明確にするために、水素原子は省略されている。
【0035】
【
図9】
図9は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iにおける溶媒とアニオンの相互作用、および水素結合相互作用におけるドナーと受容体間の距離を示す。
【0036】
【
図10】
図10は、様々な相対湿度(RH)レベル(5%RH、10%RH、20%RH、30%RH、80%RH、および90%RH)における化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IのXRPDパターンを示す。また、比較のために、化合物1のモノ-クエン酸塩無水物(「形態IV」)、化合物1のモノ-クエン酸塩(「形態A;空気乾燥」)、メタノールおよび水から再結晶された化合物1のヘミ-クエン酸塩(「形態I;MeOH/H
2O」)、ならびに化合物1の遊離塩基のXRPDパターンも示されている。
【0037】
【
図11】
図11は、化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)(下部)、化合物1のヘミ-クエン酸塩(形態I)(中央)、および化合物1のモノ-クエン酸塩無水物(形態IV)(上部)のXRPDパターンの比較を示す。
【0038】
【
図12】
図12は、40℃/75%RHで保存された密封ボトル中の化合物1のヘミ-クエン酸塩(形態I;「1カ月」と「2カ月」の両方における左カラム)または化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A;「1カ月」と「2カ月」の両方における右カラム)を含有する錠剤製剤についての、経時的な化合物1の分解生成物であるC17エピマーの量を比較するグラフである。
【0039】
【
図13】
図13は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iを含有する酸性化錠剤製剤の経時的な化合物1の放出率を示すグラフである。錠剤は、最初に使用されたか、または40℃/75%RHで2週間、1カ月、もしくは2カ月維持された。
【0040】
【
図14】
図14は、化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)を含有する酸性化錠剤製剤の経時的な化合物1の放出率を示すグラフである。錠剤は、最初に使用されたか、または40℃/75%RHで2週間、1カ月、もしくは2カ月間貯蔵された。
【0041】
【
図15】
図15は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの三つの製剤混合物の打錠中の平均パンチ圧(MPa)の関数としてのコンパクト張力(MPa)を示すグラフである。
【0042】
【
図16】
図16は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの三つの製剤混合物の打錠中の異なる駆出固体画分値の関数としてのコンパクト張力(MPa)を示すグラフである。
【0043】
【
図17】
図17は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの三つの製剤混合物の打錠中の異なる駆出固体画分値の関数としての平均パンチ圧(MPa)を示すグラフである。
【0044】
【
図18】
図18は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの三つの製剤混合物の打錠中の平均パンチ圧(MPa)の関数としての駆出力(kN)を示すグラフである。
【0045】
【
図19】
図19は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの三つの製剤混合物の打錠中の独立固体画分の関数としての駆出固体画分を示すグラフである。
【0046】
【
図20】
図20は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの三つの製剤混合物の打錠中の平均パンチ圧(MPa)の関数としての離脱力(N)を示すグラフである。
【0047】
【
図21】
図21は、化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aおよび化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの産出圧を示す。
【0048】
【
図22】
図22は、化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aおよび化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの産出圧の結果の比較を示す。
【0049】
【
図23】
図23は、化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aおよび化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iのコンパクトパンチ圧の関数としての付着力を示す。
【0050】
【
図24】
図24は、実施例14に記載される化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aおよび化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの駆出力のプロットを示す。
【0051】
【
図25】
図25は、実施例14に記載される試験した化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aおよび化合物1のヘミ-クエン酸塩形態I製剤についての押出/離脱力のプロットを示す。
【0052】
【
図26】
図26は、時間の関数としての異なる量のステアリン酸マグネシウムを有する、化合物1のモノ-クエン酸の錠剤製剤におけるC17エピマー生成を示すグラフである。
【0053】
【
図27】
図27は、実施例14に記載される、上部パンチ圧(MPa)の関数としての張力(MPa)をグラフ化することによって測定された、20mgの化合物1のモノ-クエン酸塩錠剤製剤および20mgの化合物1のヘミ-クエン酸塩錠剤の錠剤性を示すグラフである。
【0054】
【
図28】
図28は、実施例14に記載される、張力(MPa)の関数としてのピッキング指数(TS/AS)をグラフ化することによって測定された、20mgの化合物1のモノ-クエン酸塩錠剤製剤および20mgの化合物1のヘミ-クエン酸塩錠剤のピッキング指数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
I.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての専門用語、表記ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は、請求される主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することが意図される。ある場合では、一般的に理解される意味を有する用語は、明確化および/または容易な参照のために本明細書において定義され、本明細書におけるこのような定義の包含は、当該技術分野で一般的に理解されることとの実質的な相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0056】
本開示全体を通して、請求される主題の様々な態様が、範囲形式で提示される。当然のことながら、範囲形式の記載は、単に利便性および簡潔性のためであり、請求される主題の範囲に対する非柔軟な制限として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能な部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、値の範囲が提供される場合、文脈が別段に明確に指さない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の単位の10分の1までの各介在する値、およびその記載された範囲内の他の記載された値または介在する値は、記載された範囲内の特に除外された制限を条件として、本開示内に包含されると理解される。記載される範囲が、限度の一方または両方を含む場合、それらに含まれる限度のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本開示に含まれる。一部の実施形態では、二つの対向するオープンエンドの範囲が特徴について提供され、そのような説明では、それら二つの範囲の組み合わせが、本明細書で提供されることが想定される。例えば、一部の実施形態では、特徴が、約10単位よりも大きいことが記載され、特徴が、約20単位未満であること(別の文などにおいて)が記載され、したがって、約10単位~約20単位の範囲が、本明細書に記載されている。
【0057】
用語「約」は、数値のすぐ前にあるとき、範囲(例えば、その値のプラスまたはマイナス10%)を意味する。例えば、「約50」は、45~55を意味し、「約25,000」は、本開示の文脈が別段示さない限り、22,500~27,500などを意味することができるか、またはそのような解釈と一致しない。例えば、「約49、約50、約55、...」などの数値のリストで、「約50」は、先行する値と後続する値との間の間隔(複数可)の半分未満、例えば、49.5超から52.5未満にまでにわたる範囲を意味する。さらに、「約未満」の値または「約より大きい」値という語句は、本明細書で提供される用語「約」の定義を考慮して理解されるべきである。同様に、一連の数値または値の範囲(例えば、「約10、20、30」、または「約10~30」)に先行する場合の用語「約」は、シリーズ内のすべての値、または範囲の終点をそれぞれ指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「非プロトン性(aprotic)溶媒」、「非プロトン性(nonprotic)溶媒」または「非プロトン性(non-protic)溶媒」という用語は、強塩基性反応物の存在下で容易には脱プロトン化されない有機溶媒または有機溶媒の混合物を指す。非プロトン性溶媒の非限定的な例としては、エーテル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、N-メチルピロリジノン(NMP)、ホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、メチルイソブチルケトン、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、スルホラン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、テトラメチル尿素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、またはヘキサメチルホスホルアミド、ジエトキシメタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、テトラヒドロピラン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、t-ブチルメチルエーテルなどが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「担体」は、担体、賦形剤、および希釈剤を包含し、物質、組成物またはビヒクル、例えば、一つの器官、または身体の一部から、別の器官または身体の一部への医薬剤の運搬または輸送に関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材を意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「化合物1」という用語は、以下の式を有する3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オンを指す。
【化4】
化合物1は、非結晶性、結晶性、塩形態、遊離塩基、水和物、無水物、および/または溶媒和物を含む、任意の形態であってもよい。
【0061】
用語「化合物1ヘミ-クエン酸塩」および「化合物1のヘミ-クエン酸塩」は、本明細書において互換的に使用され、以下の式を有する、約2:1の3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オン対クエン酸塩のモル比を有する化合物1の塩を指す。
【化5】
【0062】
用語「化合物1モノ-クエン酸塩」および「化合物1のモノ-クエン酸塩」は、本明細書において互換的に使用され、以下の式を有する、1:1の3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オン対クエン酸塩のモル比を有する化合物1の塩を指す。
【化6】
化合物1のモノ-クエン酸塩は、例えば、米国特許出願公開第2020/0071350号において以前に開示されており、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、化合物1のモノ-クエン酸塩の「形態A」は、米国特許出願公開第2020/0071350号に開示される化合物1のモノ-クエン酸塩の形態Aを指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「多形」は、化学物質の結晶形態を指す。多型は、同じ構造式を維持しながら、異なる結晶形態に結晶化する(すなわち、化合物中の共有結合は、異なる結晶形態で同じである)化合物の能力として特徴付けることができる。所定の原体の結晶多形は、同じ方法で互いに結合された同じ原子を含有する原体の任意の他の結晶多形と化学的に同一であるが、その結晶形態は異なり、安定性、溶解度、融点、バルク密度、流れ特性などの一つまたは複数の物理的特性、または生物学的利用能などの薬理学的特性に影響を与える可能性がある。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「チャネル水和物」は、その結晶格子内に可変数の水分子を組み込むことができる化合物の結晶形態を指す。このように、結晶格子は、空隙体積、またはチャネルを含有し、これに水分子を組み込むことができる。特定の実施形態では、チャネル水和物は、0重量%~5重量%の水を含有してもよく、特定の実施形態では、水分含量の変化(例えば、水分の喪失)は、完全に可逆的であってもよい。特定の実施形態では、チャネル水和物は、セスキ水和物であってもよく、特定の実施形態では、チャネル水和物は、無水物であってもよい。所定の原体の結晶性チャネル水和物は、同じ薬物の任意の他の結晶性チャネル水和物と同一または類似の結晶構造を有してもよいが、安定性、溶解性、融点、バルク密度、流れ特性などの物理的特性、または生物学的利用能などの薬理学的特性が異なっていてもよい。
【0065】
別段示されない限り、用語「障害」は、本開示において、疾患、状態、または病気という用語を意味し、かつ互換的に使用される。
【0066】
用語「有効量」および「治療上有効量」は、本開示において互換的に使用され、患者に投与された場合、意図される結果を得ることができる化合物、またはその塩、溶媒和物もしくはエステルの量を指す。例えば、化合物1のヘミ-クエン酸塩の有効量は、患者におけるうつ病などの疾患、障害、または状態の少なくとも一つの症状を低減するために必要な量である。「有効量」または「治療上有効量」を含む実際の量は、障害の重症度、患者のサイズおよび健康状態、ならびに投与経路を含むが、これらに限定されない、多数の条件に応じて変化するであろう。当業者は、医療技術分野で公知の方法を使用して適切な量を容易に決定することができる。
【0067】
本明細書で使用される場合、文脈が別途明確に示さない限り、用語「一部の実施形態では」、「他の実施形態では」、または類似のものは、本開示のすべての態様の実施形態を指す。
【0068】
用語「異性体」は、同じ化学式を有するが、異なる立体化学式、構造式、または原子の特別な配置を有し得る化合物を指す。異性体の例としては、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、幾何異性体、およびアトロピソマーが挙げられる。
【0069】
用語「ピーク」は、標準的なXRPD収集技術を使用して試料から得られたXRPDディフラクトグラム(またはパターン)において実質的な強度を有する線を指し、実質的は、ピークがベースラインと区別可能であることを示す。例えば、ピークは、例えば、XRPDディフラクトグラム内の最大ピークの強度の少なくとも約10%である強度を有するXRPDディフラクトグラム内の線であってもよい。
【0070】
本明細書で使用される場合、語句「薬学的に許容可能な」は、妥当な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した、健全な医学的判断の範囲内にあるそれらの化合物、物質、組成物、および/または投薬形態を指すために本明細書において用いられる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「プロトン性溶媒」という用語は、任意の未反応の強塩基性反応中間体をプロトン化する目的で酸として機能することができる溶媒または溶媒混合物を指す。プロトン性溶媒の非限定的な例としては、水、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-、2-、または3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、グリセロールなどが挙げられる。
【0072】
酸コフォーマーが、約23℃(すなわち、室温)で固体であり、化合物1と酸コフォーマーとの間のプロトン移動がないか、または部分的なプロトン移動である場合、コフォーマーおよび化合物1の共結晶がもたらされる。本明細書で使用される場合、用語「塩」は、化合物1の共結晶形態を包含する。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に類似している」は、XRPDパターン、DSCサーモグラムなどの分析スペクトルが、参照スペクトルと非常に類似していることを意味する。例えば、当業者であれば、ピーク位置とその強度の両方における全体的なパターンを評価および比較することによって、実質的に類似する二つのXRPDパターンを特定することができるであろう。
【0074】
患者に関して本明細書で使用される場合、用語「処置すること」は、患者の障害の少なくとも一つの症状を改善することを指す。処置は、障害を改善するか、または少なくとも部分的に回復することができる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「治療効果」という用語は、方法および/または組成物によってもたらされる望ましいまたは有益な効果を指す。例えば、うつ病を処置する方法は、方法が患者におけるうつ病の少なくとも一つの症状を低減する場合、治療効果をもたらす。
【0076】
本明細書で使用される場合、記号「≦」は、「以下」または「以下」を意味し、「<」は、「未満」を意味し、「≧」は、「以上」または「以上」を意味し、「>」は、「超」を意味する。さらに、純度または不純物含量に関連して本明細書で使用される場合、数値は、正確な数だけでなく、数値のおよその範囲も含む。例えば、語句「99.0%の純度」は、約99.0%の純度を示す。
【0077】
II.化合物1のヘミ-クエン酸塩
本開示は、化合物1の塩に関する。一部の実施形態では、塩は、化合物1のヘミ-クエン酸塩であり、3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オン対クエン酸塩のモル比は、約2:1である(「化合物1のヘミ-クエン酸塩」)。
【0078】
一部の実施形態では、本開示は、以下の式を有する化合物1の実質的に純粋なヘミ-クエン酸塩を提供する。
【化7】
【0079】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、化合物1のモノ-クエン酸塩を実質的に含まない。化合物1のモノ-クエン酸塩は、1:1の3α-ヒドロキシ-3β-メトキシメチル-21-(1’-イミダゾリル)-5α-プレグナン-20-オン対クエン酸のモル比を有する。一部の実施例において、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、例えば、化合物1のモノ-クエン酸塩の結晶形態Aを実質的に含まないこと、および/または化合物1のモノ-クエン酸塩の結晶形態Cを実質的に含まないことを含む、米国特許出願公開第2020/0071350号に開示されている化合物1の結晶性モノ-クエン酸塩塩形態を実質的に含まない。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約4重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約3重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約2重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約1重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約0.5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、または約0.2重量%以下の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約0.2重量%以下の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。
【0080】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、本明細書に記載される、結晶形態Iである。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、チャネル水和物、例えば、約0重量%~約5重量%、例えば、約0重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、または約5重量%の水分含量を有するチャネル水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、約5重量%の水分含量を有するチャネル水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、約5重量%未満の水分含量を有するチャネル水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、約4重量%未満の水分含量を有するチャネル水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、約3重量%未満の水分含量を有するチャネル水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、約2重量%未満の水分含量を有するチャネル水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、約1重量%未満の水分含量を有するチャネル水和物である。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、セスキ水和物である。他の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、一水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、無水水和物である。
【0081】
本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、室温および約20~90%の相対湿度で約2重量%~約4重量%の水分含量、例えば、約2重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%または約4重量%の水分含量を有するチャネル水和物である。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、40℃および約20~90重量%の相対湿度で約3重量%~約5重量%の水分含量、例えば、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、または約5重量%の水分含量を有するチャネル水和物である。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、本明細書に開示される、形態IAであり、本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態Iは、本明細書に開示される、形態IBである。
【0082】
一部の実施形態では、チャネル水和物を含む結晶形態は、X線粉末回折パターン(XRPD)によって決定される格子間平面間隔によって特徴付けられる。XRPDディフラクトグラムは、典型的には、ピークの強度対ピークの位置、すなわち、回折角2θ(二シータ)を度でプロットした図によって表される。所定のXRPDディフラクトグラムの特徴ピークを、ピーク位置およびそれらの相対強度に従って選択して、特定の結晶構造を同じ化合物の他の結晶形態と便宜的に区別することができる。最も強いピークに対するピークの%強度は、I/Ioとして表されてもよい。
【0083】
当業者は、同じ化合物の所定の結晶形態のXRPDピーク位置および/または強度の測定値が、誤差範囲内で変動することを認識する。度2θの値は、適切な誤差限度を許容する。典型的には、誤差限度は、「±」によって表される。例えば、約「8.716±0.3」の度数2θは、約8.716+0.3、すなわち、約9.016~約8.716-0.3、すなわち、約8.416の範囲を示す。試料調製技術に応じて、装置、ヒト動作変動などに適用されるキャリブレーション技術によって、当業者は、XRPDについての適切な誤差限度が、約±0.7;±0.6;±0.5;±0.4;±0.3;±0.2;±0.1;±0.05以下であり得ることを認識する。
【0084】
XRPD分析に使用される方法および装置のさらなる詳細は、実施例のセクションにおいて記載される。
【0085】
一部の実施形態では、結晶形態は、示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。DSCサーモグラムは、典型的には、ワット/グラム(「W/g」)の単位で正規化された熱流量を、測定された試料温度℃に対してプロットする図によって表される。DSCサーモグラムは、通常、外挿された開始温度および終了(アウトセット)温度、ピーク温度、および融合熱について評価される。DSCサーモグラムのピーク特徴値は、この結晶構造を他のものと区別するために、多くの場合、特徴ピークとして使用される。
【0086】
当業者は、同じ化合物の所定の結晶形態についてのDSCサーモグラムの測定値が、誤差限度内で変動することを認識する。℃で表される単一のピーク特徴値の値は、適切な誤差限度を可能にする。典型的には、誤差限度は、「±」によって表される。例えば、「約53.09±2.0」の単一ピーク特徴値は、約53.09+2、すなわち、約55.09~約53.09-2、すなわち、約51.09の範囲を示す。試料調製技術に応じて、装置、ヒト動作変動などに適用されるキャリブレーション技術によって、当業者は、単一のピーク特徴値についての適切な限度誤差が、±2.5;±2.0;±1.5;±1.0;±0.5以下であり得ることを認識する。
【0087】
DSCサーモグラム分析に使用される方法および装置のさらなる詳細は、実施例のセクションにおいて記載される。
【0088】
本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、結晶である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、結晶形態I(「化合物1のヘミ-クエン酸塩(形態I)」)である。化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態Iは、部分的には、環境の相対湿度によって決定され得る、複数の水和状態で存在し得ることが見出された。化合物1のヘミ-クエン酸塩のこれらの異なる水和形態は、異なる物理的特性を示し、その一部は、以下に記載される、医薬組成物の開発に有利であり得る。さらに、異なる水和形態は、異なるXRPDパターンを示し得る。例えば、
図1は、90%の相対湿度での化合物1のヘミ-クエン酸塩のチャネル水和物形態IAのXRPDパターンを示す。実施例1で考察されるように、この高水和形態は、化合物1のヘミ-クエン酸塩のセスキ水和物であると決定され、本明細書では化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAと称される。特定の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、5.3±0.2、10.6±0.2、14.5±0.2、15.9±0.2、17.2±0.2、17.6±0.2 20.5±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2度2-シータからなる群から選択されるピークの少なくとも一つ、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、少なくとも五つ、少なくとも六つ、少なくとも七つ、またはすべてを含む。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、5.3±0.2、10.6±0.2、15.9±0.2、17.2±0.2、および20.5±0.2度2-シータからなる群から選択されるピークの少なくとも一つ、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、少なくとも五つ、少なくとも六つ、少なくとも七つ、またはすべてを含む、約90%の相対湿度でのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、5.3±0.2、14.5±0.2、および25.5±0.2度2-シータでのピークを含む、例えば、約90%の相対湿度でのXRPDパターンを示す。特定の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、
図1に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを有する。
【0089】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態Iは、5.2±0.2、10.6±0.2、14.4±0.2、15.9±0.2、17.2±0.2、20.5±0.2、22.9±0.2および25.5±0.2度2-シータからなる群から選択されるピークの少なくとも一つ、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、少なくとも五つ、少なくとも六つ、少なくとも七つ、またはすべてを含む、高いパーセンテージの相対湿度でのXRPDパターンを示す。こうした実施形態では、高いパーセンテージの相対湿度は、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、もしくは約90%超の相対湿度;または約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約70%~約99%、約70%~約95%、もしくは約80%~約90%の相対湿度である。
【0090】
一部の実施形態では、本開示の化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、表1に示されるピークを含むXRPDパターンを示す。各ピークの相対強度のパーセントは、高さに基づいて計算されてもよい。
【0091】
図10に示すように、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、90%未満の相対湿度で持続し得る。例えば、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、約30%~約90%の相対湿度で優性の形態であり得る。したがって、一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、
図1と実質的に類似する、約30%の相対湿度、約40%の相対湿度、約50%の相対湿度、約60%の相対湿度、約70%の相対湿度、約80%の相対湿度、および/または約90%の相対湿度でのXRPDパターンを示す。
【0092】
図10にさらに示すように、XRPDパターンのピークは、約30%未満の相対湿度で右にシフトし、これは、化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態IBの存在を示す。例えば、20%以下の相対湿度では、新しいチャネル水和物が、化合物1のヘミ-クエン酸塩のチャネル水和物形態IAとは異なる、優性の形態となり得る。
図2は、非常に低い相対湿度(5%)での化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態IのXRPDパターンを示す。低い水和形態は、本明細書では化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBと称される。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBは、5.4±0.2、10.9±0.2、14.5±0.2、16.3±0.2、17.1±0.2、17.5±0.2、20.3±0.2、21.0±0.2、および25.5±0.2度2-シータからなる群から選択されるピークの少なくとも一つ、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、少なくとも五つ、少なくとも六つ、少なくとも七つ、少なくとも八つ、またはすべてを含むXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBは、10.9±0.2、16.3±0.2、17.1±0.2、20.3±0.2、および21.0±0.2度2-シータからなる群から選択されるピークの少なくとも一つ、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、またはすべてを含むXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBは、5.4±0.2、14.5±0.2、および25.5±0.2のピークを含む、約5%の相対湿度でのXRPDパターンを示す。
【0093】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBは、5.4±0.2、10.9±0.2、14.5±0.2、16.3±0.2、17.4±0.2、20.3±0.2、23.5±0.2および25.5±0.2度2-シータからなる群から選択されるピークの少なくとも一つ、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、少なくとも五つ、少なくとも六つ、少なくとも七つ、またはすべてを含む、低いパーセンテージの相対湿度でのXRPDパターンを示す。こうした実施形態では、低いパーセンテージの相対湿度は、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、もしくは約5%未満の相対湿度;または約1%~約30%、約5%~約30%、約10%~約30%、約15%~約30%、約20%~約30%、もしくは約25%~約30%の相対湿度である。
【0094】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBは、表2に示されるピークを含むXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBは、
図2に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBは、5重量%未満の水、例えば、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、または0重量%の水を有する。
【0095】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBは、
図2と実質的に類似する約5%の相対湿度でのXRPDパターンを示す。
【0096】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示されるピークを含む90%の相対湿度(RH)でのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示されるピークを含む、80%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示されるピークを含む、30%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示されるピークを含む、20%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示されるピークを含む、10%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示されるピークを含む、5%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示される、少なくとも三つの最も強いピークまたは少なくとも五つの最も強いピークを含む、90%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示される、少なくとも三つの最も強いピークまたは少なくとも五つの最も強いピークを含む、80%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示される、少なくとも三つの最も強いピークまたは少なくとも五つの最も強いピークを含む、30%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示される、少なくとも三つの最も強いピークまたは少なくとも五つの最も強いピークを含む、20%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示される、少なくとも三つの最も強いピークまたは少なくとも五つの最も強いピークを含む、10%のRHでのXRPDパターンを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、表4に示される、少なくとも三つの最も強いピークまたは少なくとも五つの最も強いピークを含む、5%のRHでのXRPDパターンを示す。
【0097】
一部の実施形態では、結晶性化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、(1)5.3~5.5度2-シータ、(2)10.6~11度2-シータ、および(3)15.9~16.3度2-シータでのピークを含むXRPDパターンを示す。
【0098】
一部の実施形態では、結晶性化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、約4.4重量%の水分含量を有し、約±2.5℃、例えば、約±2.0℃、約±1.5℃、約±1.0℃、約±0.5℃以下の誤差限度を有する、約65.2℃でのピーク値を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。一部の実施形態では、結晶性化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、約3.70重量%の水分含量を有し、約±2.5℃、例えば、約±2.0℃、約±1.5℃、約±1.0℃、約±0.5℃以下の誤差限度を有する、約71℃でのピーク値を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。別の実施形態では、結晶性化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、約±2.5℃、例えば、約±2.0℃、約±1.5℃、約±1.0℃、約±0.5℃以下の誤差限度を有する、約126.3℃でのピーク値を有するDSCサーモグラムを示す。一部の実施形態では、結晶性化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、
図3と実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。
【0099】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、
図3と実質的に類似する熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IのTGAサーモグラムは、約25℃~約125℃の温度範囲、例えば、約25℃~約100℃の温度範囲において、約0.0%~4.4%の重量損失を有するTGAサーモグラムを示す。
【0100】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、
図4と実質的に類似するDVS等温線プロットを示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、25℃での約20%~約80%のRHで約1.2%(重量%)の重量物水分吸着を示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、25℃で約95%~約0%のRHで約4.3%の水分の重量損失を示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、40℃での約20%~約80%で約1.8%(重量%)の重量物水分吸着を示す。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、40℃で約95%~約0%のRHで約5.4%の水分の重量損失を示す。一部の実施形態では、水分損失は、完全に可逆的である。
【0101】
本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、室温および約20~90%の相対湿度で約2重量%~約4重量%の水分含量、例えば、約2重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%または約4重量%の水分含量を有する。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、40℃および約20~90%の相対湿度で約3重量%~約5重量%の水分含量、例えば、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、または約5重量%の水分含量を有する。
【0102】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、以下の:a=34.7Å;b=8.3Å;c=31.7Å;α=90°;β=108.5°;γ=90o;空間群C2;分子/非対称単位2実質的に類似する単位セルパラメータによって定義され、結晶形態は、約173Kにある。
【0103】
III.化合物1のヘミ-クエン酸塩を調製する方法
化合物1のヘミ-クエン酸塩(およびそのチャネル水和物)は、例えば、化合物1の遊離塩基とクエン酸を適切な溶媒中で混合して、適切な溶媒中の懸濁液として化合物1の塩を得ることによって調製されてもよい。一部の実施形態では、約1:0.5の比の化合物1の遊離塩基対クエン酸が、混合される。一部の実施形態では、適切な溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、およびメチルtert-ブチルエーテルからなる群から選択される。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩(およびそのチャネル水和物)は、化合物1の遊離塩基とクエン酸の混合物への低速蒸発、低速冷却または抗溶媒添加によって調製されてもよい。
【0104】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩(およびそのチャネル水和物)は、化合物1のモノ-クエン酸塩から調製される。
【0105】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を調製する方法は、(a)C1-C3アルコール中に化合物1のモノ-クエン酸塩を溶解すること;および(b)工程(a)の溶液を水に加えて、化合物1のヘミ-クエン酸塩を得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、工程(c)化合物1のヘミ-クエン酸塩を単離し、乾燥させることをさらに含む。一部の実施形態では、本方法を使用して、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態を調製する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態は、例えば、本明細書に開示される形態IAまたは形態IBを含む、形態Iである。
【0106】
一部の実施形態では、C1-C3アルコールは、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールである。一部の実施形態では、C1-C3アルコールは、メタノールまたはエタノールである。一部の実施形態では、C1-C3アルコールは、メタノールである。一部の実施形態では、C1-C3アルコールは、約0.75より大きい水分活性を有するアルコールである。
【0107】
一部の実施形態では、化合物1のモノ-クエン酸塩は、C1-C2アルコール中に溶解される。一部の実施形態では、C1-C2アルコールは、メタノールである。一部の実施形態では、C1-C2アルコールは、エタノールである。
【0108】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を調製する方法は、(a)化合物1のモノ-クエン酸塩を水中で懸濁すること;および(b)化合物1のヘミ-クエン酸塩を単離することを含む。一部の実施形態では、方法は、化合物1のヘミ-クエン酸塩を乾燥させることをさらに含む。一部の実施形態では、本方法を使用して、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態を調製する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態は、例えば、本明細書に開示される形態IAまたは形態IBを含む、形態Iである。
【0109】
一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態を作製する方法をさらに提供する。例えば、一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態の懸濁液を得るのに十分な時間、適切な溶媒中で懸濁される。
【0110】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を適切な溶媒中に溶解して、溶液を得、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態は、溶液から沈殿される。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、化合物1のヘミ-クエン酸塩と適切な溶媒の混合物を加熱することによって溶解される。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態は、溶液を冷却することによって溶液から沈殿される。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態は、抗溶媒(すなわち、溶液中の化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態の溶解性を減少させる溶媒)を溶液に加えることによって溶液から沈殿される。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の結晶形態は、適切な溶媒の一部を溶液から蒸発させることによって溶液から沈殿される。一部の実施形態では、ヘミ-クエン酸塩の結晶形態は、例えば、本明細書に開示される形態IAまたは形態IBを含む、結晶形態Iである。一部の実施形態では、適切な溶媒は、水を含む。
【0111】
一部の実施形態では、適切な溶媒は、非プロトン性溶媒を含む。一部の実施形態では、非プロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、N-メチルピロリジノン(NMP)、ホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、メチルエチルケトン(MEK)、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、スルホラン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、テトラメチル尿素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ヘキサメチルホスホルアミド、ジエトキシメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、テトラヒドロピラン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、およびt-ブチルメチルエーテルから選択される少なくとも一つの溶媒を含む。一部の実施形態では、非プロトン性溶媒は、アセトンである。一部の実施形態では、非プロトン性溶媒は、酢酸エチルである。一部の実施形態では、非プロトン性溶媒は、アセトニトリルである。
【0112】
一部の実施形態では、適切な溶媒は、プロトン性溶媒を含む。一部の実施形態では、プロトン性溶媒は、水、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-、2-、または3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、およびグリセロールからなる群から選択される少なくとも一つの溶媒を含む。一部の実施形態では、プロトン性溶媒は、2-プロパノールと水の混合物を含む。
【0113】
一部の実施形態では、適切な溶媒は、単一の溶媒である。一部の実施形態では、溶媒は、溶媒の混合物である。一部の実施形態では、適切な溶媒は、プロトン性溶媒と非プロトン性溶媒の混合物である。
【0114】
特定の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、調製後に単離される。化合物1のヘミ-クエン酸塩の単離は、濾過、デカンテーション、遠心分離または任意の他の適切な分離技術もしくは複数の技術などの方法を使用して成され得る。
【0115】
特定の実施形態では、単離された化合物1のヘミ-クエン酸塩は、任意で、抗溶媒、アセトニトリル、メタノール、エタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、またはその組み合わせなどの液体を用いて洗浄される。
【0116】
一部の実施形態では、上記の実施形態によって調製される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、実質的に純粋である。例えば、一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の化学的純度は、少なくとも約99.9%、約99.8%、約99.7%、約99.6%、約99.5%、約99.4%、約99.3%、約99.2%、約99.1%、約99.0%、約98%、約97%、約96%、または約95%の純度である。化学的純度は、当業者に公知の方法(例えば、適切な溶媒および210nmの波長を検出するカラムを用いたHPLCクロマトグラフィー)を使用して決定され得る。一部の実施形態では、実質的な純度は、重量パーセントに基づいて決定される。一部の実施形態では、実質的な純度は、曲線下面積に基づいて決定される。
【0117】
一部の実施形態では、上記の実施形態によって調製される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、結晶である。特定の実施形態では、上記の実施形態によって調製される化合物1の結晶性ヘミ-クエン酸塩は、実質的に純粋である。例えば、一部の実施形態では、化合物1の結晶性ヘミ-クエン酸塩の多形純度は、少なくとも約99.9%、約99.8%、約99.7%、約99.6%、約99.5%、約99.4%、約99.3%、約99.2%、約99.1%、約99.0%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%または約50%の純度である。多形純度は、当業者に公知の方法(とりわけ、その全体が参照により本明細書に取り込まれる、Shah,B.,et al.,Analytical techniques for quantification of amorphous/crystalline phases in pharmaceutical solids,J.Pharm.Sci.2006,95(8),pages 1641-1665に記載されるX線粉結晶学を含む)を使用して決定されてもよい。
【0118】
一部の実施形態では、上記の実施形態によって調製される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、化合物1の遊離塩基の出発材料のエピマー純度と比較して、一つまたは複数の位置でエピマー的に濃縮される。例えば、一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、少なくとも約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、または約20:1の化合物1の17-β:17αエピマーを含み得る。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、少なくとも約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、または約20:1の化合物1の3α-ヒドロキシ:3β-ヒドロキシを含み得る。他の実施形態では、本明細書に記載される方法によって調製される化合物1のヘミ-クエン酸塩のエピマー純度は、化合物1の遊離塩基の出発材料のエピマー純度と実質的に同じである。
【0119】
IV.医薬組成物
一態様では、本開示は、以下の式を有する、本明細書に開示される、化合物1のヘミ-クエン酸塩、
【化8】
および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物は、化合物1のモノ-クエン酸塩を実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、組成物は、約5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、組成物は、約1重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、組成物は、約0.5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、組成物は、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、組成物は、約0.2重量%以下の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、組成物は、約0.1重量%以下の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。
【0120】
一部の実施形態では、組成物中の化合物1のヘミ-クエン酸塩の化学的純度は、組成物が、約40℃および約75%の相対湿度で約6カ月間保存された後、HPLC分析によって決定され、少なくとも約99%、少なくとも約98.0%、少なくとも約97.0%、少なくとも約96.0%、少なくとも約95.0%、少なくとも約94.0%、少なくとも約93.0%、少なくとも約92.0%、少なくとも約91.0%、または少なくとも約90.0%である。一部の実施形態では、組成物中の化合物1のヘミ-クエン酸塩の化学的純度は、組成物が、約40℃および約75%の相対湿度で約6カ月間保存された後、HPLC分析によって決定され、少なくとも約98.0%である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、本明細書に開示される結晶形態Iである。
【0121】
一部の実施形態では、組成物は、約40℃および約75%の相対湿度で約6カ月間保存された後、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.45重量%以下、約0.4重量%以下、約0.35重量%以下、約0.3重量%以下、約0.25重量%以下、約0.2重量%以下、約0.15重量%以下、または約0.1重量%以下の化合物1のC-17エピマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、約40℃および約75%の相対湿度で約6カ月間保存された後、約0.5重量%以下の化合物1のC-17エピマーを含む。化合物1のC-17エピマーは、以下の式により表される。
【化9】
【0122】
本開示の一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物中の化合物1のヘミ-クエン酸塩は、チャネル水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約0重量%~約5重量%、例えば、約0重量%、約0.25重量%、約0. 5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、または約5重量%の水分含量を有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約5重量%の水分含量を有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満の水分含量を有する。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、セスキ水和物である。
【0123】
本開示の一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物中の化合物1のヘミ-クエン酸塩は、室温および約20~90重量%の相対湿度で約2重量%~約4重量%の水分含量、例えば、約2重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%または約4重量%の水分含量を有する。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、40℃および約20~90%の相対湿度で約3重量%~約5重量%の水分含量、例えば、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、または約5重量%の水分含量を有する。
【0124】
本明細書に開示される組成物は、限定されないが、経口、非経口、直腸、局所、および局所を含む、任意の適切な経路によって投与され得る。組成物は、液体、半液体、または固体形態であってもよく、各投与経路に好適な様式で当業者に公知の方法を使用して製剤化されてもよい。
【0125】
一部の実施形態では、本開示の組成物は、経口投与用に製剤化される。経口投与される剤形としては、例えば、固体投薬形態(錠剤、カプセル剤、ピル、顆粒剤など)および液体投薬形態(経口溶液、経口懸濁液、シロップなど)が挙げられる。一部の実施形態では、本開示の組成物は、錠剤の形態で製剤化される。
【0126】
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、治療上有効量の化合物1のヘミ-クエン酸塩またはその溶媒和物および薬学的に許容可能な賦形剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、有効量の化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、治療上有効量の化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、予防上有効量の化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む。
【0127】
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態IAを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態IBを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態IAおよび形態IBの混合物を含む。特定の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態IBは、形態IAよりも多い量で組成物に存在する。
【0128】
本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩ならびに一つまたは複数の薬学的に許容可能な賦形剤、または不活性固体希釈剤および充填剤、滅菌水溶液および様々な有機溶媒を含む希釈剤、透過促進剤、可溶化剤ならびにアジュバントを含む担体を含有する医薬組成物を提供する。医薬組成物は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。かかる組成物は、当該医薬技術分野で周知の様式で調製される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Co.,Philadelphia,Pa.17th Ed.(1985);およびModern Pharmaceutics,Marcel Dekker,Inc.3rd Ed.(G.S.Banker&C.T.Rhodes,Edsを参照のこと)。
【0129】
本開示の医薬組成物は、直腸、口腔、鼻腔内、および経皮経路、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、吸入薬剤として、またはステントなどの含浸または被覆された装置、例えば、または動脈挿入円筒形ポリマーを介する、を含む、例えば、参照により本明細書に組み込まれるこれらの特許および特許出願に記載される、類似の有用性を有する薬剤の許容される投与様式のいずれかによって、単回用量または複数用量のいずれかで投与されてもよい。
【0130】
経口投与は、本開示による化合物の投与に好ましい経路である。投与は、カプセル剤または腸溶性被覆錠剤などを介してでもよい。本明細書に記載される少なくとも一つの化合物を含む医薬組成物を作製する際に、有効成分は、通常、賦形剤によって希釈され、および/またはカプセル、サシェ、紙、もしくは他の容器の形態内であり得る担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、賦形剤は、有効成分のビヒクル、担体、または媒体として機能する、固体、半固体、または液体材料(上記)の形態であり得る。したがって、組成物は、錠剤、ピル剤、粉剤、トローチ、サシェ、オブラート、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル(固体または液体媒体中)、例えば、最大10重量%の活性な化合物を含有する軟膏、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、滅菌された注射用溶液、および滅菌包装された粉末の形態であってもよい。
【0131】
適切な賦形剤のある例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。製剤にはさらに、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油などの平滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、メチルおよびプロピルヒドロキシ-安息香酸塩などの保存剤、甘味剤、ならびに香味剤が含まれ得る。
【0132】
本開示の組成物は、患者への投与後に化合物1のヘミ-クエン酸塩の迅速、持続、または遅延放出をもたらすように製剤化することができる。経口投与用の制御放出薬物送達システムには、浸透圧ポンプシステム、およびポリマー被覆された貯蔵部または薬物-ポリマーマトリックス製剤を含有する溶解システムが含まれる。制御放出システムの例は、米国特許 第3,845,770号;第4,326,525号;第4,902,514号;および第5,616,345号において与えられる。
【0133】
組成物は、単位投薬形態で好ましくは製剤化される。用語「単位投薬形態」は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単位用量として適切な、物理的に別個の単位を指し、各単位は、適切な医薬賦形剤(例えば、錠剤、カプセル剤、またはアンプル剤)に関連して、所望の治療効果を生み出すよう計算された所定量の活性物質を含有する。化合物は、概して、薬学的に有効な量で投与される。
【0134】
好ましくは、経口投与については、各投与単位(例えば、錠剤)は、約5mg~約120mgの化合物1のヘミ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、各用量単位(例えば、錠剤)は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、または約120mgの化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む。
【0135】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約20%~約40%の重量パーセントで経口投薬形態(例えば、錠剤)に存在する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約25%~約35%の重量パーセントで経口投薬形態(例えば、錠剤)に存在する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約20%~約25%(例えば、約21%、約22%、約23%、約24%、または約25%)の重量パーセントで経口投薬形態(例えば、錠剤)に存在する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約25%~約30%(例えば、約25%、約27%、約28%、約29%、または約30%)の重量パーセントで経口投薬形態(例えば、錠剤)に存在する。
【0136】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な有効成分を医薬賦形剤と混合して、化合物1のヘミ-クエン酸塩の均質な混合物を含有する固体製剤前組成物を形成する。これらの製剤前組成物を均質と言及する場合、組成物が、錠剤、ピル剤、およびカプセル剤などの均等に有効な単位投薬形態に容易に細分化され得るように、有効成分が、組成物全体にわたって均一に分散されることを意味する。
【0137】
本明細書に開示される化合物を含む錠剤またはピル剤は、長期作用の利点をもたらす投薬形態を提供するために、または胃の酸状態から保護するために、被覆または他の方法で配合されてもよい。例えば、錠剤またはピル剤は、内部用量および外部用量成分を含んでもよく、後者は、前者を覆う殻の形態である。二つの成分は、胃での崩壊に抵抗し、内部成分が、十二指腸まで無傷で通過するか、または放出が遅延するのを可能にする腸溶層によって分けることができる。様々な材料が、このような腸溶層またはコーティングのため使用することができ、このような材料は、例えば、多くの高分子酸、およびシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との高分子酸の混合物を含む。
【0138】
例えば、化合物1のモノ-クエン酸塩を含む化合物1の塩形態は、粘着性であってもよく、したがって、経口製剤用組成物の開発にはあまり適さない場合がある。これは、化合物1の塩形態が金属表面に固着しやすい、プロセススケールアップ時に重大な問題となり得る。この問題を克服するために、製剤の開発には、多くの場合、かなりの量の潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)が必要である。化合物1のヘミ-クエン酸塩は、モノ-クエン酸塩塩形態を含む化合物1の他の塩形態と比較して、粘着性を実質的に減少させることが見出された。結果として、組成物中の潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)の量は、実質的に減少し得る。重要なことに、ステアリン酸マグネシウムは、特に組成物に多量に存在する場合に、化合物1の化学的安定性を減少させることが見出された。具体的には、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩を含む錠剤中のより多くの量の潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、保存時にC17-エピマーの形成を増加させ得る。例えば、
図26に示されるように、ステアリン酸マグネシウムは、化合物1のモノ-クエン酸塩錠剤におけるC17エピマー生成において重要な役割を果たしているようである。したがって、化合物1のヘミ-クエン酸塩と互換性のあるステアリン酸マグネシウムの量の減少は、C-17エピマーなどの望ましくない不純物の形成を少なくする。
【0139】
さらに、ステアリン酸マグネシウムのレベルの減少は、錠剤を製造するために必要な圧縮力の減少をもたらす。高い圧縮力は、多くの場合、錠剤の多孔性の喪失をもたらし、その結果、錠剤の崩壊および潜在的な溶解を遅くする。
【0140】
一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩および潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中の潤滑剤の割合は、約4重量%未満、例えば、約3.75重量%未満、約3.5重量%未満、または約3.25重量%未満である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩および潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中の潤滑剤の割合は、約3重量%未満、例えば、約2.75重量%未満、約2.5重量%未満、または約2.25重量%未満である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩および潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中の潤滑剤の割合は、約2重量%未満、例えば、約1.75重量%未満、約1.5重量%未満、または約1.25重量%未満である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩および潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中の潤滑剤の割合は、約1.5重量%未満である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩および潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中の潤滑剤の割合は、約1重量%未満である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩および潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中の潤滑剤の割合は、約2重量%~約4重量%である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩および潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中の潤滑剤の割合は、約1.5重量%~約3重量%である。本開示に従って使用できる特定の潤滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、シリカ、および脂肪(例えば、植物ステアリン)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物中の潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0141】
一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの割合は、約4重量%未満である。他の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの割合は、約3重量%未満である。他の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの割合は、約2.5重量%未満である。他の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの割合は、約2.2重量%未満である。他の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの割合は、約2重量%未満、例えば、約1.75重量%未満、約1.5重量%未満、または約1.25重量%未満である。他の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの割合は、約1重量%未満である。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.5重量%~約4重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。他の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供し、医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの割合は、約1重量%未満である。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.5重量%~約3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.5重量%~約2重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.5重量%~約3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約1重量%~約3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約1重量%~約2重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約1重量%~約1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0142】
一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物を提供し、組成物は、約20重量%~約30重量%(例えば、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、または約30重量%)の化合物1のヘミ-クエン酸塩および約1重量%~約3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約20重量%~約30重量%(例えば、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、または約30重量%)の化合物1のヘミ-クエン酸塩および約1重量%~約2重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約20重量%~約30重量%(例えば、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、または約30重量%)の化合物1のヘミ-クエン酸塩および約1重量%~約1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0143】
前述の実施形態では、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)の重量パーセントは、医薬組成物(例えば、錠剤)中のステアリン酸マグネシウムの総量を示す。一部の実施形態では、錠剤中の潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、顆粒内セクションと顆粒外セクションとの間に割り当てることができる。例えば、錠剤が、合計約2重量%のステアリン酸マグネシウムを含む一部の実施形態では、錠剤の顆粒内セクションは、約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含み、錠剤の顆粒外セクションは、約1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。錠剤が、合計約2重量%のステアリン酸マグネシウムを含む一部の実施形態では、錠剤の顆粒内セクションは、約1重量%のステアリン酸マグネシウムを含み、錠剤の顆粒外セクションは、約1重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。特定の実施形態では、錠剤の顆粒内セクションは、1重量%以下のステアリン酸マグネシウム(例えば、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、または約1重量%のステアリン酸マグネシウム)を含む。一部の実施形態では、錠剤の顆粒内セクションは、約0.5重量%~約1重量%のステアリン酸マグネシウム(例えば、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、または約1重量%)を含む。
【0144】
特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムの量を含む錠剤は、約40℃および約75%の相対湿度で錠剤を約6カ月間保存した後、化合物1のヘミ-クエン酸塩の総重量に基づいて、約3重量%未満のC17-エピマーを含み得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムの量を含む錠剤は、約40℃および約75%の相対湿度で錠剤を約6カ月間保存した後、化合物1のヘミ-クエン酸塩の総重量に基づいて、約2重量%未満のC17-エピマーを含み得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物1のヘミ-クエン酸塩およびステアリン酸マグネシウムの量を含む錠剤は、約40℃および約75%の相対湿度で錠剤を約6カ月間保存した後、化合物1のヘミ-クエン酸塩の総重量に基づいて、約1重量%未満のC17-エピマーを含み得る。一部の実施形態では、錠剤は、約40℃および約75%の相対湿度で錠剤を約6カ月間保存した後、化合物1のヘミ-クエン酸塩の総重量に基づいて、約0.75重量%未満のC17-エピマーを含み得る。他の実施形態では、錠剤は、約40℃および約75%の相対湿度で錠剤を6カ月間保存した後、化合物1のヘミ-クエン酸塩の総重量に基づいて、約0.5重量%未満のC17-エピマーを含み得る。他の実施形態では、錠剤は、約40℃および約75%の相対湿度で錠剤を約6カ月間保存した後、化合物1のヘミ-クエン酸塩の総重量に基づいて、約0.25重量%未満のC17-エピマーを含み得る。他の実施形態では、錠剤は、約40℃および約75%の相対湿度で錠剤を約6カ月間保存した後、化合物1のヘミ-クエン酸塩の総重量に基づいて、約0.25重量%~約1重量%未満のC17-エピマーを含み得る。他の実施形態では、錠剤は、約40℃および約75%の相対湿度で錠剤を約6カ月間保存した後、化合物1のヘミ-クエン酸塩の総重量に基づいて、約0.5重量%~約1重量%未満のC17-エピマーを含み得る。特定の実施形態では、錠剤は、乾燥剤の存在下で保存される。特定の実施形態では、錠剤は、乾燥剤なしで保存される。錠剤製剤中に存在するエピマーの割合は、投薬形態の強度に基づいて変動してもよく、その結果、より低い強度の投薬形態は、より高い強度の投薬形態よりも高い割合のエピマーが存在してもよい。
【0145】
本開示の医薬組成物(例えば、錠剤)はまた、一つまたは複数の崩壊剤を含み得る。適切な崩壊剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、崩壊剤は、クロスポビドンである。一部の実施形態では、崩壊剤(例えば、クロスポビドン)は、約1.5重量%~約10重量%の医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、崩壊剤(例えば、クロスポビドン)は、約3重量%~約8重量%(例えば、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、または約8重量%)で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、医薬組成物は、顆粒内および顆粒外部分を含み、崩壊剤(例えば、クロスポビドン)は、約2重量%~約4重量%(例えば、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、または約4重量%)の量で医薬組成物の顆粒内および/または顆粒外部分に存在する。
【0146】
モノ-クエン酸塩形態などの化合物1のヘミ-クエン酸塩以外の塩形態を含む錠剤は、十分な量の崩壊剤が存在する場合でさえも、接種後の崩壊速度が延長し、化合物1の溶解および吸収速度に有害な影響を与え得ることが見出されている。いかなる理論にも拘束されることを意図するものではないが、不良な崩壊速度は、化合物の粘着性および/または吸湿性、有効な崩壊を妨げ得る特性の結果であると考えられる。化合物の粘着性および/または吸湿性に対抗するためのより多い量の潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)についての得られた要件は、崩壊時間にも有害な影響を与える。一方、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、一つまたは複数の崩壊剤(例えば、クロスポビドン)を含む錠剤から急速に崩壊する。
【0147】
一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物(例えば、錠剤)の崩壊時間は、崩壊試験が、ディスクなしで米国薬局方(USP)第<701>章に記載される方法に従って行われるとき、約3分未満である(実施例12を参照)。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物(例えば、錠剤)の崩壊時間は、崩壊試験が、ディスクなしでUSP第<701>章に記載される方法に従って行われるとき、約2.5分未満である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物(例えば、錠剤)の崩壊時間は、崩壊試験が、ディスクなしでUSP第<701>章に記載される方法に従って行われるとき、約2分未満である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物(例えば、錠剤)の崩壊時間は、崩壊試験が、ディスクなしでUSP第<701>章に記載される方法に従って行われるとき、約1.5分未満である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物(例えば、錠剤)の崩壊時間は、崩壊試験が、ディスクなしでUSP第<701>章に記載される方法に従って行われるとき、約1.5分~約3分である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物(例えば、錠剤)の崩壊時間は、崩壊試験が、ディスクなしでUSP第<701>章に記載される方法に従って行われるとき、約2分~約3分である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む医薬組成物(例えば、錠剤)の崩壊時間は、崩壊試験が、ディスクなしでUSP第<701>章に記載される方法に従って行われるとき、約2分~約2.5分である。本明細書に記載されるすべての実施形態では、ディスクなしでUSPの第<701>章に記載される崩壊試験は、2019年4月26日に掲載され、2020年5月1日の公定期日を有するUSPの第<701>章を指す。
【0148】
本開示に従って形成される錠剤は、スケールアップに適した張力を有する。一部の実施形態では、本開示は、化合物1のヘミ-クエン酸塩および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含む錠剤を提供し、錠剤の張力は、少なくとも約1.7メガパスカル(MPa)である。一部の実施形態では、錠剤は、約1.7MPa~約4.5MPaの張力を有する。一部の実施形態では、錠剤は、約1.7MPa~約3.5MPaの張力を有する。一部の実施形態では、錠剤は、約2.0MPa~約3.0MPaの張力を有する。
【0149】
一部の実施形態では、本明細書に開示される錠剤は、約10mg、約20mg、または約40mgの化合物1のヘミ-クエン酸塩、ステアリン酸マグネシウム、およびクロスポビドンを含む。錠剤中の化合物1のヘミ-クエン酸塩の重量は、遊離塩基の等価重量を指すことは理解される。一部の実施形態では、組成物(例えば、錠剤)は、化合物1のヘミ-クエン酸塩、微結晶セルロース、ラクトース一水和物、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、錠剤は、以下の成分を含む。
【0150】
V.使用方法
一態様では、本開示は、対象に、本明細書に開示される治療上有効量の化合物1のヘミ-クエン酸塩、またはその組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における疾患または状態を処置する方法を提供する。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法において使用される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、以下の式を有する化合物1の実質的に純粋なヘミ-クエン酸塩である。
【化10】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法において使用される化合物1のヘミ-クエン酸塩は、化合物1のモノ-クエン酸塩を実質的に含まない。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約4重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約3重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約2重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約1重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約0.5重量%未満の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約0.2重量%以下の化合物1のモノ-クエン酸塩を含有する。一部の実施形態では、化合物1のモノ-クエン酸塩は、結晶形態である。一部の実施形態では、ヘミ-クエン酸塩は、化合物1のモノ-クエン酸塩の結晶形態Aを実質的に含まない。
【0152】
本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、チャネル水和物などの、水和物である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約0重量%~約5重量%、例えば、約0重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、または約5重量%の水分含量を有する。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約5重量%の水分含量を有する。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、セスキ水和物である。
【0153】
本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、室温および約20~90%の相対湿度で約2重量%~約4重量%の水分含量、例えば、約2重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%または約4重量%の水分含量を有する。本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、約40℃および約20~90%の相対湿度で約3重量%~約5重量%の水分含量、例えば、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、または約5重量%の水分含量を有する。
【0154】
本開示の一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、結晶形態である。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、本明細書に開示される結晶形態Iである。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、形態IAであり、一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、形態IBである。
【0155】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置され得る疾患または状態には、以下に限定されないが、うつ病(治療抵抗性うつ病および産後うつ病を含む)、大うつ病性障害、双極性障害、てんかん、および不安が含まれる。一部の実施形態では、疾患または状態は、うつ病である。一部の実施形態では、疾患または状態は、治療抵抗性うつ病である。一部の実施形態では、疾患または状態は、産後うつ病である。一部の実施形態では、疾患または状態は、大うつ病性障害である。一部の実施形態では、疾患または状態は、双極性障害である。一部の実施形態では、疾患または状態は、てんかんである。一部の実施形態では、疾患または状態は、不安である。
【0156】
そのような疾患を化合物1およびその塩で処置する方法は、例えば、US2020/0323823およびWO2020/180955に開示されており、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0157】
VI.製造物品
製造物品も本明細書に提供され、製造物品は、適切な包装で本明細書に記載される化合物1の実質的に純粋なヘミ-クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、経口送達用に製剤化される。一部の実施形態では、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、錠剤として製剤化される。前述の一部の実施形態では、製造物品は、乾燥剤をさらに含む。一部の実施形態では、包装は、乾燥ボトルである。一部の実施形態では、包装は、乾燥ブリスターである。
【0158】
本開示はさらに、本明細書に開示される方法を実施するためのキットを提供する。キットは、本明細書に記載の化合物1の実質的に純粋なヘミ-クエン酸塩を、適切な包装に含んでもよい。一部の実施形態では、キットは、乾燥剤をさらに含む。一部の実施形態では、包装は、乾燥ボトルである。一部の実施形態では、包装は、乾燥ブリスターである。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載の疾患または障害の処置において、本明細書に記載の化合物1の実質的に純粋なヘミ-クエン酸塩の使用するためのラベルおよび/または指示書をさらに含む。一部の実施形態では、キットは、化合物の単位投薬形態を含んでもよい。
【実施例】
【0159】
本開示は、以下の実施例を参照することによってさらに説明される。しかしながら、上記の実施形態と同様に、これらの実施例は、例示的であり、本開示の範囲をいかなる方法でも制限していると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0160】
「EtOAc」は、酢酸エチルを意味する。「(m)DSC」は、(変調)示差走査熱量測定を意味する。「ACN」は、アセトニトリルを意味する。「AR」は、分析的に純粋であることを意味する。「DCM」は、ジクロロメタンを意味する。「DMF」は、ジメチルホルムアミドを意味する。「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを意味する。「DI」は、蒸留を意味する。「DSC」は、示差走査熱量測定を意味する。「DVS」は、動的蒸気吸着を意味する。「e.q」は、均等を意味する。「EtOH」は、エチルアルコールを意味する。「FaSSIF」は、絶食状態に似せた腸液を意味する。「FeSSIF」は、摂食状態に似せた腸液を意味する。「1H-NMR」は、プロトン核磁気共鳴を意味する。「IPA」は、イソプロパノールを意味する。「IPAC」は、酢酸イソプロピルを意味する。「IPE」は、ジイソプロピルエーテルを意味する。「LC」は、結晶化度を意味する。「MEK」は、メチルエチルケトンを意味する。「MeOH」は、メチルアルコールを意味する。「MIBK」は、メチルイソブチルケトンを意味する。「MTBE」 は、メチルTert-ブチルエーテルを意味する。「NMR」は、核磁気共鳴を意味する。「PLM」は、偏光顕微鏡を意味する。「RH」は、相対湿度を意味する。「RRT」は、相対保持時間を意味する。「RT」は、室温を意味する。「RT(分)」は、保持時間を意味する。「SGF」は、擬似胃液を意味する。「TGA」は、熱重量分析を意味する。「THF」は、テトラヒドロフランを意味する。「UPLC」は、超高性能液体クロマトグラフィーを意味する。「XRPD」は、X線粉末回折計またはX線粉末回折を意味する。
【0161】
ある場合では、本明細書に記載の化合物1のヘミ-クエン酸塩(またはヘミ-クエン酸塩の結晶形態)中の化合物1とクエン酸との比を、以下の方法を使用してイオンクロマトグラフィー(IC)により決定した:10.0μg/mLの試料または標準25μLを、流速1.0mL/分のDionex IonPac AG18カラムに注入し、Thermo ICS-2100導電率検出器によって検出した。ASRS-4mm抑制器を38mAに設定し、カラム温度は、30℃であった。クロマトグラフィー溶出は、15mMのKOHであり、総実行時間は20分であった。
【0162】
XRPDを、Siゼロバックグラウンドプレート上のPanalytical X’Pert Powder XRPDを用いて行った。分析を、X’Pert HighScoreを用いて行い、グラフを、XPert DataViewerを用いて生成した。データ収集用のXRPDパラメータは、以下の通りであった。
【0163】
単結晶X線分析を以下のように行った。選択結晶を、MiTeGen LV5オイルベースの抗凍結剤に浸漬し、ランダム配向でマイラーMiTeGenクライオループ上に取り付け、次いで173KでOxford Cryostream 800液体窒素ストリーム中に置いた。X線強度データを、Bruker D8 VENTURE(IμSマイクロフォーカスX線源、Cu Kα、λ=1.54178Å、PHOTON CMOS検出器)回折で測定した。収集戦略は、Bruker ApexIIIソフトウェアによって最適化し、フレームを、Bruker SAINTソフトウェアパッケージと統合した。データを、マルチスキャン法(SADABS)を使用して吸収効果について補正した。構造精密化および解を、SHELXソフトウェア群を使用して得て、補足的なデータ解析を、PLATONソフトウェア群を使用して行った。グラフを、Mercuryソフトウェアで生成した。
【0164】
偏光顕微鏡(PLM)写真を、ニコンDS-Fi2直立顕微鏡上で室温で得た。
【0165】
TGAデータを、TA装置のTA Discovery 550を使用して収集した。TGAを、ニッケル参照標準を使用して較正した。DSCを、TA装置のTA Q2000 DSCを使用して行った。DSCを、インジウム参照標準で較正した。データ解析を、TA Universal Analysisソフトウェアで行った。データ収集用のパラメータは、以下の通りであった。
【0166】
DVSを、SMS(表面測定システム)DVS Intrinsicを介して測定した。DVSデータ収集用のパラメータは、以下の通りであった。
【0167】
1H-NMRを、Bruker 500MHz磁石上で収集した。当業者に公知であるように、1H-NMR共鳴の相対ppmシフトおよび積分値は、例えば、d6-DMSO中の水分含量、試料中のイオン濃度などを含む、様々な試料因子に応じて変化し得る。したがって、以下の実施例で報告する1H-NMR値は、塩および/または結晶形態についての特徴であるとみなしてはならない。
【0168】
UPLCデータを、0.5μLの試料または標準を、Agilent 1290 UPLC(検出波長:210nm)により0.8mL/分の流量でWaters Acquity UPLC Shield RP18カラムに注入することによって収集した。カラムを、水中の0.1%H
3PO
4からなる移動相Aを用いて平衡化した。移動相Bは、アセトニトリル(ACN)であった。クロマトグラフィー溶出を、再平衡化のためにさらな時間後、および総実行時間6分で以下のようにプログラムした:
【0169】
本明細書に記載される結晶塩を、偏光光顕微鏡によって特徴付けた。一部の実施形態では、本明細書に記載の結晶塩は、結晶化度を示す複屈折を示す。
【0170】
実施例1:化合物1のヘミ-クエン酸塩
調製
化合物1のヘミ-クエン酸塩を、以下の例示的な方法を使用して化合物1から調製し得る。
【0171】
化合物1のヘミ-クエン酸塩(形態I):
メタノール(1.95L)中の化合物1のモノ-クエン酸塩(650g)の溶液を、室温で調製した。3Lの円錐形フラスコ内の攪拌バーを使用した完全な溶解は、約5分かけて、淡黄色の溶液を得た。水(7.8L)を、機械的攪拌器、添加漏油口、および熱電対を備えた12Lの丸底フラスコに加えた。攪拌水溶液に、化合物1のモノ-クエン酸塩のメタノール溶液を、温度を20~25℃に維持しながら、約30分間かけて添加漏油口を介して加えた。ヘミ-クエン酸塩は、メタノール溶液の添加の開始後、ほぼ直ちに沈殿し始めた。懸濁液を、20~25℃で約30分間熟成させた。次いで、スラリーを、中多孔性フリットを用いて2Lのブフナー漏水路を通して濾過した。収集した固体材料を、フィルター上で24時間乾燥させた。収率は、約70%であった。
【0172】
得られた固体を、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iとして同定した。化合物1とクエン酸との比は、電位差滴定により決定して2:1であった。高湿度形態(形態IA)および低湿度形態(形態IB)のXPRDパターンを、それぞれ、
図1および
図2に示し、DSCおよびTGAを、
図3に示し、DVSを、
図4に示す。
【0173】
化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iを、重水素化DMSO中の1H-NMRにより分析し、以下の化学シフトを得た:1H NMR(500MHz,DMSO)δ7.75(s,1H),7.11(s,1H),7.00(s,1H),5.01(dd,J=68.5,18.5Hz,2H),3.25(s,3H),3.05(s,2H),2.81-2.55(m,3H),2.51(d6-DMSO),2.06(dd,J=20.6,10.9Hz,2H),1.76-0.84(m,22H),0.79-0.65(m,4H),0.58(s,3H)。
【0174】
化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IのXRPD、TGA、DSC、およびDVS分析
図5に示すように、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、積層しやすい薄いプレート形態を有する。形態IのTGA(
図3)は、室温と約100℃との間の4.4%の重量損失を示し、これは、セスキ水和物ヘミ-クエン酸塩(すなわち、形態IA)を示唆する。DSCは、26.0℃の開始温度および65.2℃のピークを有する脱溶媒和吸熱を示す。脱水相の溶融(ΔH:15.20J/g)に関連する第二の吸熱液(121.5℃で開始する)に続いて、温度が上昇し続けるにつれて急速な分解を行った(
図3)。脱水開始温度が低いため、40℃における結晶相の安定性を予測するため、室温と40℃の両方でDVSを測定した。室温では、20%~80%RHで1.2%の水分取り込みを示し、これは、試料がわずかに吸湿性であることを示している。95%~20%のRHで1.5%の重量損失を観察し、20%~0%のRHで2.9%の重量損失を観察し、サイクル全体にわたり合計で4.3%の重量損失であった。この損失は、相対湿度が増加するにつれて、完全に可逆的に思われる。40℃の温度DVSは、20%~80%RHで吸水率1.8%を示し、一方で、2.2%の水を、95%~20%RHで失い、3.2%を、20%~0%RHで失い、合計で5.4%の損失であった。この損失は、完全に可逆的であった。これは、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iが、わずかに吸湿性であり、結晶性格子中の水は、化合物1のモノ-クエン酸塩格子中の水よりも緩く結合していることを示す。DVSによる吸湿性の測定後、XRPDパターンを収集して、元の材料と比較し、DVS温度サイクル後の室温試料のパターンに良好に対応することが分かった(
図6)。40℃で測定したDVSサイクルは、2θ値14°と18°の間のXRPDピークのわずかな変化を示した(
図7)。
【0175】
化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの単結晶X線構造
X線回折に適した化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの単結晶を、メタノール中の飽和溶液への水の低速拡散によって生成した試料から選択した。
【0176】
化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAの単結晶構造を、構造品質のため-100℃で収集し、溶媒の損失を最小化にした(
図8および
図9)。化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、C2モノクリニック空間群で結晶化させた(表3を参照)。単位セル内の追加の水は、API-クエン酸塩水素結合の形成の機会を減少させ、これにより、構造中のそれらの相互作用の影響を減少させる。水素結合ネットワークは、二つのクエン酸塩のうちの一つが、対称性の中心上に存在し、それ自体が非対称であり、容易には解決できない障害の形態をもたらすため、完全に評価することは困難である。これは、未解決の水分子の可能性によってさらに複雑になる。その領域内の酸素原子の一部を、無秩序なクエン酸塩の一部と溶媒との間で容易に区別する。APIとクエン酸塩の相互作用は、非常に少ない数であるが、原子間距離によって測定するとき、静電相互作用またはファンデルワールス相互作用よりも、本質的にイオン性である可能性が高い接触を推論するので、それらははるかに強い。
【0177】
実施例2:X線結晶構造解析による化合物1のヘミ-クエン酸塩セスキ水和物形態IAの特徴付け
いくつかのスラリー試料(アセトン、水、THF、2MeTHFなどの溶媒を含む)を単結晶解析のため提出した。室温で数日間保存後、ロッド/長板状の結晶に亀裂を観察し、割れた結晶の表面上の小さな結晶粒子の成長も観察した。スラリー試料を加熱し、その後室温まで自然冷却することによって再結晶化することにより、良好なX線回折品質を有する大きな単結晶を得た。データ収集を、結晶崩壊を低減するためにクライオストリーム低温装置を使用して冷却された結晶を用いて、223Kおよび173Kで行った。データセットを、いくつかの新たに調製した結晶上で収集し、これにより一貫して同じ単位セルパラメータを得たが、クエン酸は、これらのデータセットからの結晶構造において分解しなかった。スクリーニング結晶由来の副産物は、水性アセトンから単離した、化合物1正常形態の結晶構造を解くものであった。
【0178】
化合物のヘミ-クエン酸塩セスキ水和物(すなわち、形態IA)の結晶構造を、水性メタノールから成長させたブロック様結晶から解いた。構造を最初に解き、空間群C2で部分的に精密化したが、クエン酸の非常に複雑な障害の解決が余計に困難であったため、その後、構造を空間群P1で解し、精密化した。
【化11】
化合物1ヘミ-クエン酸塩セスキ水和物
C
26H
40N
2O
3・0.5C
6H
8O
7・1.5H
2O
551.71g/モル
【0179】
実施例3:様々な相対湿度レベルでの化合物1のヘミ-クエン酸塩のXRPD解析
XRPDデータを、90%RH、80%RH、30%RH、20%RH、10%RH、および5%RHで、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iについて収集した(表4)。
【0180】
パターンは、システムが、90%~30%RHまで変化しないが、5%RHまで持続する30%~20%までの変化を示す(
図10)。これらの結果は、90%~30%RHでの化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態IAからのチャネル水和物からの、30%未満のRHでの化合物1のヘミ-クエン酸塩の形態IBからのチャネル水和物への変化を示す。比較のために、
図10はまた、化合物1のモノ-クエン酸塩無水物(「形態IV」)、化合物1のモノ-クエン酸塩(「形態A;空気乾燥」)、メタノールおよび水から再結晶された化合物1のヘミ-クエン酸塩(「形態I;MeOH/H
2O」)、ならびに化合物1の遊離塩基のXRPDパターンも示す。
【0181】
観察したシフトは、
図6および
図7に示すDVS後のデータにおいて観察したXRPDシフトと類似する。
【0182】
実施例4:化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAおよび化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)からのXRPDパターンの比較
結晶性化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAのXRPDパターンを、
図11(中央パターン)に示し、化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)(底部パターン)および化合物1のモノ-クエン酸塩無水物(「形態IV」)(上部パターン)のXRPDパターンと重ねられる。各XRPDパターンを比較すると、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAは、化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)および化合物1のモノ-クエン酸塩無水物と容易に区別する、別個の固有のパターンを有することを示す。
【0183】
実施例5:化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAおよび化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)におけるH結合相互作用の比較
化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAおよび化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)は、水素結合相互作用に大きく依存する立体構造を有する。適切な水素結合相互作用を表5(化合物1のモノ-クエン酸塩形態A)および表6(化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IA)に列挙する。化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)は、非常に明確な分子間相互作用のセットを示し、クエン酸塩のネットワーク内で二つの水分子を単離し、次いで、一方の方向にAPI分子と水素結合相互作用し、他の方向にクエン酸アニオン間で直接的な相互作用する。APIは、これらのクエン酸塩と水のアセンブリ間の架橋基として機能し、二次元偽ポリマーシート形成をもたらす。対照的に、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAの水素結合ネットワークは、主にクエン酸アニオンと水分子との間の相互作用のセットであるが、クエン酸アニオン自体は、一方向に偽ポリマー鎖を形成する。化合物1のモノ-クエン酸形態Aとは異なり、化合物1のヘミ-クエン酸形態IA中の水分子は、API分子と自由に相互作用する。さらに、化合物1のモノ-クエン酸形態Aは、一つのクエン酸塩と隣接するAPI分子との間の単一のセットの相互作用を示し、これは、イオン相互作用とみなされるのに十分近い可能性がある一方、化合物1のヘミ-クエン酸形態IAは、各クエン酸塩に対して二つ(非対称単位セル内の3API~1.5クエン酸塩アニオン)示す。これは、ヘミ-クエン酸塩の性質を説明する。水との相互作用は、著しく均一ではなく、水とAPI水素結合の存在は、さらなるクエン酸塩とAPIの相互作用の機会を排除する。しかしながら、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAのクエン酸塩アニオンの一つは、特別な位置に位置するが、その位置の対称性と合致しないため、明らかな障害が生じる。これは、クエン酸塩の配向、または結晶マトリックスを溶解する水分子に起因する酸素原子が豊富であるため、領域の不確実性の程度を生じさせる。
【0184】
実施例6:化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAおよび化合物1のモノ-クエン酸塩(形態A)安定性の比較
図12に示すように、同じ製剤成分および製造工程を使用して錠剤投薬形態として製剤化したとき、1カ月間または2カ月間、密封したボトルに貯蔵した化合物1のヘミ-クエン酸塩は、化合物1のモノ-クエン酸塩よりも少ない分解生成物(すなわち、C17-エピマー)を生成することを観察し、したがって、化学的により安定である。
【0185】
化合物1のヘミ-クエン酸塩も、錠剤の溶解速度を遅くするために、化合物1のモノ-クエン酸塩よりも感受性が低いことを観察した(
図13および
図14)。経時的な化合物1のヘミ-クエン酸塩の酸性化製剤からの化合物1の放出は、評価した全ての条件(初期、および40℃/75%RHで2週間、1カ月間、または2カ月間、開放皿で保存した錠剤)下で、化合物1のモノ-クエン酸塩の同じ酸性化製剤からの化合物1の放出よりも大きい。
【0186】
実施例7:化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの安定性の評価
化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの安定性を、以下に提供する新しい原体および製品の試験のために確立したICHガイドラインに従って評価し得る。
【0187】
実施例8:化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAから化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBへの変換
化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAを、実施例1と同様に調製した。濾過中(結晶化前)に調製した化合物1のヘミ-クエン酸形態IAの湿潤ケーキを、完全真空下、60℃(Hg中のN2/30)で18時間乾燥させた。化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IAを、乾燥時に化合物1のヘミ-クエン酸塩形態IBに変換した。
【0188】
実施例9:ゲル化実験
錠剤溶解実験中、特定の条件下で化合物1のモノ-クエン酸塩について有意なゲル化を観察されたことに注意されたい。しかしながら、化合物1のヘミ-クエン酸塩は、類似の条件下ではゲル化しにくい。これらの所見を確認するために、化合物1の遊離塩基、モノ-クエン酸塩、およびヘミ-クエン酸塩を、0.5mg/mL~10mg/mLの濃度で水性媒体に溶解した、対照実験を行った。溶解実験を、水性媒体として0.1NのHCl、水、またはpH7.4の緩衝液のいずれかで行った。
【0189】
化合物1のヘミ-クエン酸塩は、10mg/mLまでの濃度で、水性媒体のいずれかにおいてもゲル化しなかった。一方で、化合物1のモノ-クエン酸塩は、0.1NのHCl媒体中で5mg/mLの濃度で急速にゲル化したが、水またはpH7.4の緩衝液ではゲル化しなかった。化合物1の遊離塩基は、0.1N HCl中、1mg/mLと低い濃度で急速にゲル化したが、水またはpH7.4の緩衝液ではゲル化しなかった。
【0190】
実施例10:化合物1のヘミ-クエン酸塩の三つの造粒製剤の打錠試験
この例の目的は、3つのプロトタイプ製剤混合物を調査するために、圧縮シミュレーターを使用して、シミュレーションしたローラー圧縮顆粒を調製することであった。すべての圧縮試験を、Phoenix油圧圧縮シミュレーター上で行った。
評価した製剤バッチを表7に示す。
【0191】
化合物1のヘミ-クエン酸塩の顆粒内混合物を、圧縮シミュレーターを使用して打ち付け、3つの最終製剤に混合した顆粒を生成した。3つの製剤はすべて、高速打錠中に良好な強度を示し、実行可能な製剤に必要な1.7MPaを達成した。
【0192】
方法論:
顆粒内混合物の製造
60gの顆粒内混合物を、Turbula T2ブレンダーを使用して容器内で材料を混合することによって調製した。化合物1のヘミ-クエン酸塩および賦形剤を、30rpmで10分間混合し、ふるったステアリン酸マグネシウムを加え、さらに2分間混合した。顆粒内混合物の成分を、表8に示す。
【0193】
実密度を決定して、固体画分を計算した。目的は、公称0.6固体画分で顆粒を調製することであった。
【0194】
ヘリウムピクノメトリーによる実密度の決定
使用した機器は、Micromeritics AccuPyc II 1340であり、試験パラメータを以下に記載する。試験を二回行った(目標の<2%のばらつきを達成したと仮定)。
【0195】
Gerteisローラー圧縮のシミュレーション
目的は、ローラーコンパクタをシミュレートする条件下で、初期粉末混合物を圧縮することであった。結果を使用して、材料の圧縮可能性を理解し、製造要件を評価することができる。
【0196】
パンチ特性を決定して、Gerteisローラー圧縮機を再現した。シミュレーションは、4rpmで操作した直径250mmのローラーに基づくものであった。方法論は、参考文献A.Zinchuk et al.,Int. J. Pharm. 269 (2004) 403-415に基づき、式
=sin()
(式中、Dは変位であり、Rはローラーの半径(mm)であり、ωは、ローラーの回転頻度(s-1)であり、tは時間(s)である)を使用した。
【0197】
主要な試験パラメータ-圧縮
圧縮の主要な試験パラメータは以下の通りであった。
【0198】
使用した機器
本試験で使用した機器は以下の通りであった。
【0199】
打つ設定の選択
公称最小パンチ分離値を開始点(例えば、3mm)として選択した。得られた固体画分を計算した。パンチ間の最小距離への調整を行い、目標個体画分を有する圧縮を達成するために必要な設定を決定した。充填深さ7.3mm、充填重量300mg、およびパンチ分離4.3mmを使用した。製剤を完成させるために十分な圧縮を行った。10回の圧縮毎に圧縮パラメータをチェックし、固体画分が目標に合っていることを確認した。記録し固体画分の平均は、0.597SFであった。
【0200】
粉砕
シミュレートしたリボン/コンパスを、Kruppsミニコーヒーグラインダーを使用して粉砕した。顆粒を1.0mmのふるいを通してスクリーニングし、大きめの断片を再粉砕した。
【0201】
3つの製剤混合物の高速打錠
錠剤製造のための混合物の生成
以下の表9に示すような小さな製剤混合物を、ふるい分けした調製した顆粒を使用して作製した。
【0202】
製剤を、Turbula T2ブレンダーを使用して10分間混合し、スクリーニングしたステアリン酸マグネシウムを加え、2分間混合した。
【0203】
充填重量の決定
材料は良好な流れを示し、それゆえ、ホッパーを使用して型を充填した。コンパクト重量を得るために必要な下側のパンチ(すなわち、奥行き)の開始位置を、実験によって決定した。これは、300mgを可能な限り厳密に達成したことを確実にするために、必要に応じて試験を通して調整した。
【0204】
特性
パンチの動きの特性を、圧縮シミュレーションソフトウェアにプログラムし、パンチの動きを定義する。単一末端正弦波を使用した。正弦波のベースを平坦な部分で拡張し、目標滞留時間10mSを達成した。高速は、予想した製造条件を表すものとして選択した。
【0205】
圧縮標的厚の選択
公称最小パンチ分離値を開始点(例えば、3.0mm)として選択した。得られたピーク力および粉砕強度を記録した。パンチ間の最小距離への調整を行い、所望の力範囲を達成するために、結果を記録およびプロットして設定推定した。異なる厚みの圧縮を得るために、さらに圧縮した。このことから、試験条件を、指定した力範囲を含むか、または過圧縮への圧縮を通して材料をマッピングするように選択した。目的は、製剤の実行可能な範囲をプロットすることであった。
【0206】
各設定を繰り返し行い、各点の再現性を評価した。データを、Phoenix圧縮分析ソフトウェアを使用して処理し、表化し、処理のためにExcelに出力した。
【0207】
物理的パラメータ
駆出後、圧縮を視覚的に調べ、外観について注記した。圧縮物を秤量した。時として、圧縮物にキャップをかぶせるとき、上面が外れて失われる場合があり、したがって、記録した重量は実際の圧縮物重量より低くてもよい。厚さおよび直径を、手持ち式キャリパーで測定した。粉砕強度(硬度)をキロポンで決定した。破砕強度を、結合が圧縮物内でどの程度強いかの尺度として使用する。張力(MPa)を、異なるサイズの圧縮物の直接的な比較を可能にする粉砕強度から計算する。
【0208】
計算
以下の計算を使用した:
平均力=上側と下側のピークの強制力の平均(kN)
円筒形圧縮物についての張力(MPa)=2/πDT、
式中、
P=粉砕強度(硬度)、
D=圧縮物直径(mm);および
T=圧縮物厚/高さ(mm)
パンチ圧=平均ピーク力/パンチ先端領域(MPa)
圧縮物体積=Pi×(圧縮物直径/2)2×圧縮物高(mm3)
型中で、圧縮物体積を、型直径および最小パンチ分離から測定した。
駆出後の圧縮物寸法から、型外の圧縮物体積を測定した。
圧縮物の密度[g/cm3=mg/mm3]=圧縮物の質量(mg)/圧縮物の体積(mm3)
固体画分=計算した密度(g/cm3)/真の密度(g/cm3)
【0209】
製造性の測定
製造性を、三つの異なる圧縮測定値、すなわち、打錠性、圧縮性、および成形性の間の関係に基づいて測定した。打錠性は、パンチ圧と張力の関係であり、圧縮性は、パンチ圧と固体画分の関係であり、圧縮性は、張力と固体画分の関係である。
【0210】
結果
錠剤性
パンチ圧に対する張力をプロットする主な目的は、その圧縮性範囲全体にわたって材料がどのように挙動するかを理解することである。力を圧力に変換して、錠剤サイズに対して正規化した。これにより、異なるサイズの錠剤を比較しやすくなる。材料の圧縮特性を評価する際には、多くの重要な指標を探す必要がある。
【0211】
すなわち、プロットの形状は、シグモイド状であるべきである。極めて低い圧縮圧力では、粉末は粒子の再構成を受け、圧縮は、保持および試験するには弱すぎる。次いで、製剤は、力と錠剤の強度との間に良好な相関がある線形領域を有するべきである。これは、打錠に重要な領域である。点は、錠剤プレス上で再現性および制御性をもたらすため、変動性(飛散)がほとんどなく、一直線に並ぶべきである。
【0212】
錠剤製造に必要な最小強度とみなされるため、この線形範囲内で1.7MPaの張力を達成すべきである〔参考文献:Powder Tech 238(2013)169-175]。最大張力1.0~1.7MPaの製品を製造することができるが、慎重に取り扱う必要がある場合がある。製剤がこの最小値を達成できない場合、スケールアップの成功には適さないと考えられる。
【0213】
図15に示すように、三つの最終混合物すべてが、良好な打錠性を示し、すべてが1.7MPaを超える張力を達成した。製剤3は、わずかに強かった。製剤2および3は、類似していた。
【0214】
ある時点で、すべての製剤は、「過剰圧縮」となる。これは、圧縮の力が材料の圧縮性を超えるときに起こる。この領域は、散乱および変動を伴う停滞として見ることができる。時には、強度がピークに達し、落ちることがある。過剰圧縮した錠剤は、キャッピングおよびラミネーションなどの視覚的欠陥を呈し得る。欠陥は内部であり、硬度試験の強度の低下としてのみ現れる場合がある。過剰圧縮の開始は、生産に使用する力よりも有意に高い力であるべきである。過剰に圧縮した領域内の力で製造を行う場合、その結果として、キャッピングおよびラミネーションが見られ、収率が低下する。この製品の標的強度をプロットに対してチェックして、高速で製造できることを保証することができる。
【0215】
図15に示すように、製剤は、約250MPaで過剰圧縮となる。過剰圧迫の開始は、製剤から製剤で変化する。バッチ1には、内部変動が発生し始めたことを示す散乱の証拠がある。これは、他の二つのバッチについてはあまり明らかでなかった。
【0216】
全体的に、三つの製剤はすべて、高速打錠中に良好な強度を示し、実行可能な製剤に必要な1.7MPaを達成した。
【0217】
圧縮性
密度を、駆出後の測定した重量および圧縮物寸法から計算した。固体画分を、実密度で圧縮物密度を割ることによって計算し、固体と空間の比率として表した。固体画分と張力の関係は、錠剤製造パラメータと圧縮物サイズを比較するのに有用であり得る。
【0218】
図16に示す結果は、所望の圧縮物強度を達成するために必要な固体画分を示す。固体画分と張力の関係は、パンチ速度とは関係がないと予想する〔参考文献:Amidon;J.Pharm Sci. Vol 94,3,pp165-472]。圧縮物を駆出後に測定するため、キャップのある錠剤および損傷した錠剤を、外れ値または散乱を引き起こし、正確な測定が困難となる。
【0219】
標準的な錠剤製剤は、0.8~0.85固体画分範囲に圧縮すると予想する。これにより、バッチの範囲にわたって約1.5MPaの圧縮物強度を達成することになる。目標強度は、溶解速度および脆弱性要件などの他の品質特性に基づく。
【0220】
使用した顆粒の固体画分を、0.6SFに標的化した。曲線の形状を外挿すると、この最終製剤から作製することができる最低の固体画分は、約0.7SFと推定する。異なる顆粒特性を用いて、異なる結果を得ることができる。
【0221】
圧縮性
パンチ圧が増加すると、圧縮物の体積が減少する。重量が一定であるように、密度は材料の真の密度の方に向かう傾向がある。この情報を使用して、必要な密度および材料間の差異を達成するために必要な力を理解することができる。
【0222】
図17に示すように、製剤は、0.9SF強の最大固体画分を達成した。この速度では、より高い固体画分は不可能であるが、より低い圧縮速度では可能であり得る。
【0223】
100MPaのパンチ圧が、0.8SFを得るのに必要であり、これは標準的な錠剤圧およびパンチ設定を使用して達成し得る。
【0224】
駆出力
駆出力は、錠剤を駆出する間の下側のパンチのピーク力測定値である。型から取り出す際に圧縮物が損傷しないよう、力は通常500Nを超えないようにする。駆出中の力が高いと、圧縮物内でのクラック伝播が促進されるため、キャッピングおよびラミネーションが促進する。
【0225】
潤滑剤が製剤混合物内に含まれるため、この実験のため、型は外部から潤滑しなかった。
図18に示すように、製剤の全てについての駆出力は、推奨レベルよりも高かった。製剤1は、駆出中に、摩擦が大きいことを示すキーキーという音が聞こえた。駆出力は、製剤1について最大であった。
【0226】
駆出後の密度の変化
弾性回復がゼロである場合、計算した圧縮物の密度は、型内で、圧縮物を駆出した後同じである(直線)。
図19に示すように、圧縮物は、少量の弾性回復を示す。
【0227】
結果は、弾性回復が比較的一貫しており、したがって予測できることを示す。所望の外型固体画分を達成するためには、より薄い標的厚が、圧縮物の弾性回復を補償するために必要である。例えば、0.80SFの圧縮物を作製するために、標的0.85が必要である。すべてのバッチが同様の結果を示した。
【0228】
離脱力
圧縮物を駆出するとき、圧縮物は下側のパンチに収まり、計装したアームによって収集シュート内に押し込む。充填セルは、圧縮物を下側のパンチ表面から取り出すための力を読み取ることができる。非粘着材料(例えば、微結晶セルロース(Avicel))についてのベースラインの読取値は、約0.25Nである。
【0229】
図20に示すように、三つの異なる製剤は、より低いパンチとの相互作用のレベルに類似している。圧縮物の約半数は、ベースラインと同様の離脱力を示し、その他はわずかな上昇を示した。このことは、粘着およびピッキングのリスクが若干高まることを示唆しているが、試験中どの圧縮物でも粘着の目視による証拠は見られなかった。
【0230】
実施例11:化合物1のヘミ-クエン酸塩錠剤のプロセススケール生産
10mgまたは20mgの化合物1のヘミ-クエン酸塩を含む即放性錠剤を調製した。錠剤の成分を表10に示す。
【0231】
化合物1のヘミ-クエン酸塩錠剤を、ローラー圧縮造粒プロセスを使用して製造した。化合物1のヘミ-クエン酸塩を、まず、微結晶セルロース(MCC)、ラクトース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ならびにクロスポビドン(CP)およびコロイド状二酸化ケイ素(SD)の顆粒部分と混合し、混合物を、円錐型粉砕機を通過させることによってスクリーニングした。次いで、この粉末混合物を、ステアリン酸マグネシウムで潤滑して、顆粒内粉末混合物を調製した。潤滑した顆粒内粉末混合物を、インライン造粒機を用いてローラーコンパクタを使用して造粒したリボンに圧縮した。
【0232】
次いで、顆粒をCPおよびSDの顆粒外部分と混合し、その後ステアリン酸マグネシウムで潤滑して最終粉末混合物を調製した。この最終粉末混合物を、回転式錠剤プレスを使用して錠剤中心に圧縮し、パンコーターを使用して審美的にコーティングした。
【0233】
実施例12:錠剤製造の特性の評価
本実施例は、化合物1のモノ-クエン酸塩錠剤の特性を化合物1のヘミ-クエン酸塩錠剤と比較する。
【0234】
すべての崩壊試験を、ディスクなしで、USP第<701>章に記載される方法に従って行った。LabIndia DT100 FD/DTT/01モデルを使用して、崩壊試験を行った。
【0235】
本実施例は、化合物1のヘミ-クエン酸塩錠剤の製造性をさらに評価する。以下の表に列挙する全ての製剤は、製剤#5を除いて2%のステアリン酸マグネシウムを含有した。この製剤は、4%のステアリン酸マグネシウムを含有した。平均で、製剤#5は、同じ打錠速度で他の錠剤の同じ錠剤硬度範囲に到達するために必要な最も高い圧縮力を必要としたことを観察した。これは、ステアリン酸マグネシウムの濃度を増加させる効果を示す。
【0236】
実施例13:ヘッケル分析による化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aおよび化合物1のヘミ-クエン酸塩形態I塩の圧縮特徴付け
ヘッケル試験の目的は、制御した条件下で材料を圧縮し、バルク材料の降伏圧を求めることである。既知の重量の材料を、平坦な面のあるパンチを設定した速度で動かしながら10mmの直径の型内に圧縮する。パンチの力を、頻繁な間隔で正確に測定し、パンチの変位を使用して、粉末の体積を計算する。降伏圧を、材料の変形に対する時間依存性成分を評価するために、低速および高速のパンチ速度で計算する。
【0237】
材料の実密度を、Helium Pycnometryにより決定した。試験した化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aのバッチの実密度平均は、1.2666g/cm3であり、試験した化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iのバッチの実密度平均は、1.2621g/cm3であった。
【0238】
ヘリウムピクノメトリーによる実密度の決定
本試験で使用した機器は、マイクロメリティックスAccuPyc II 1340であり、試験パラメータは、実施例10に記載したのと同じである。試験を二回行った(目標の<2%のばらつきを達成したと仮定)。
【0239】
圧縮
既知の重量の純粋な薬剤を、10mmの直径の平坦な面のあるパンチを使用して、理論上ゼロ空隙率に圧縮する。圧縮シミュレーターを、以下の条件下で使用した。
圧縮中、パンチ先端の位置を正確に決定し、荷重セルによって測定した力が、一次圧縮パラメータの記録を生み出す。試験中、温度および湿度を間隔でモニタリングした。
【0240】
データを、圧縮分析ソフトウェアプログラムによって分析して、ヘッケル方程式を使用して、降伏圧(Py)の値を得た。
【数1】
式中、
D=圧縮物の相対密度、
P=適用した圧力、および
K=直線領域の直線の勾配、
[参考文献:R.W.Heckel.Trans.Metall.Soc.AIME 221(1961)1001-1008]。
【0241】
歪み速度敏感性(SRS)
一部の材料については、変形特徴は、適用した力の速度と共に変化する。これは、歪み速度敏感性を計算することによって推定できる。高速圧縮での降伏圧を、以下の式を使用して低速での降伏圧と比較する。
【数2】
[参考文献:R.J.Roberts and R.C.Roe,Chem.Eng.Sci.42(1987)p903]。
【0242】
結果
化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aの圧縮結果
低速(0.1mm/秒)および高速(300mm/秒)での化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aの圧縮結果を、表13に提供する。低速での実行および高速での実行についての実験室条件は、それぞれ、21.6℃/37.1%RHおよび21.7℃/38.9%RHであった。
【0243】
以下は、試験した化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aのバッチで得た結果および観察結果の概要である。
【0244】
低速(0.1mm/秒)および高速(300mm/秒)での化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの圧縮結果を、表14に提供する。低速での実行および高速での実行の実験室条件は、それぞれ、21.9℃/38.9%RHおよび21.9℃/38.6%RHである。
【0245】
以下は、試験した化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iのこのバッチで得た結果および観察結果の概要である。
【0246】
観察結果
化合物1の塩のこれらの2つのバッチの降伏圧を、
図21において比較する。
図21に示すように、化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aは、84MPaの低速の降伏圧を有し、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iは、69MPaの降伏圧を有していた。これらの結果は、モノ-クエン酸塩材料を中程度の脆性/延性圧縮特性を有すると分類し、ヘミ-クエン酸塩材料を軟質延性圧縮特性を有するものと分類する。
【0247】
化合物1の塩の両方のバッチの降伏圧は、高速プレス速度で増加し、モノ-クエン酸塩は、109MPa、ヘミ-クエン酸塩は84MPaとなった。降伏圧の結果の比較を、
図22に示す。
【0248】
歪み速度敏感性(SRS)は、生産圧縮速度での圧縮挙動の変化を測定する。SRSは、バッチ化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aについて28.7%であり、バッチ化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iについて21.4%であった。これは、高速で同じレベルの圧縮を達成するためには、比較的大きな力の増加が必要であり、スケールアップ時の挙動のいくらかの速度に関連する変化を示すことが期待されることを示す。
【0249】
ヘッケル分析は、圧縮物の形成ではなく、変形の尺度であることに注意すべきである。滞留時間が結合にどのように影響するかを理解するために、圧縮強度を観察する。低速で生じた圧縮物を、エッジにいくらかチッピングしながら全体を駆出した。化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aのバッチの低速での粉砕強度は、15.6~18キロポンドであり、高速では、5~2.4キロポンドであった。化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iのバッチについて、低速での粉砕強度は、14.2~15.2キロポンドであり、高速での粉砕強度は、4.4~5.6キロポンドであった。理想的には、10mmの製剤圧縮物は、低リスクとみなされる10~12キロポンの強度を有するべきである。材料は、最終製剤に結合強度をもたらすことができるため、比較的高い濃度が、理論上可能である。圧縮強度および結合は、高速で低減する。速度が増加するにつれて、強い結合が形成する時間が少なくなり、力を取り除いた後に圧縮物が拡大する。したがって、結合強度は、滞留時間によって影響を受ける。製剤中では、例えば、適切な賦形剤の添加により結合を増加させて、速度効果を減少させ、薄板を制限することができる。
【0250】
また、試験を、材料を過剰に圧縮するように設計し、したがって、強度は、錠剤関連の圧縮力において改善し得ることに留意するべきである。
【0251】
要約すると、化合物1は、塩の二つのバッチ間の圧縮および圧縮におけるいくつかの差異を示す。粉砕強度は、材料が圧縮物に強度をもたらすことができることを示すが、弾性により、強度は高速で低下する。
【0252】
実施例14:化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aおよび化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iのパンチ接着
この研究の目的は、化合物1の2つの異なる塩形態の標準的な工具鋼への付着を調べることであった。器具付き接着パンチを使用して、上部パンチ表面と新たに形成した錠剤との間の力を定量化した。粉末の圧縮特性も調べ、圧縮測定を行い、製品品質の重要な指標を理解した。試験は、室温で行った。本試験で使用した製剤混合物を表15に示す。
【0253】
計装した接着パンチを、上部のパンチ面とコンパクトの上面との間の力を測定するように設計した。パンチ先端は、パンチの本体とは別個のものである。この先端を、パンチの本体内の力センサーに取り付ける。コンパクトを通常の方法で圧縮する。圧縮後、パンチの先端は、粘着面に付着したままであり、パンチを引き離すと、センサーによって力を測定する。錠剤を表面から剥がすのに必要な引っ張り力が大きいほど、測定値は大きくなる。測定値はボルトで記録するが、適切なキャリブレーションでアンプを通して力に変換することができる。K2チャネルアンプを、50Nの範囲で使用した。
【0254】
シングルエンドの正弦波を使用して、生産パンチの動きを模倣した。接着力測定を最大化するために、材料がパンチ面と接触している時間を延長するために、曲線の底部にドウェルを挿入する。プロファイルの持続時間は0.5秒であり、40~45mSの滞留時間を得た。
【0255】
圧縮のため、開始前にツール表面をエタノールで洗浄した。十台のコンパクトを圧縮し、ツール表面を評価した。粘着レベルを視覚的に評価するために、表面を写真撮影した。
【0256】
パンチ面を、開始時にアルコールで洗浄し、十台のコンパクトを一回の設定で圧縮した。10セットごとにパンチとダイを洗浄し、LVDTキャリブレーションを行った。測定値は、試験の開始時に低く始まり、表面が混合物で被覆するにつれて、平衡量に達すると予想される。最初の試験で設定が決まったら、異なる製剤パラメータ、温度、またはパンチコーティングの変更を比較するために、試験を繰り返すことができる。圧縮シミュレーターの温度を、圧縮中に熱電対を使用して測定し、打錠条件をモニターした。室温および湿度を、試験中に間隔をおいて測定した。
【0257】
試験条件が一定であることを確認するために、対照試料も圧縮した。パンチ先端と型との間に摩擦がないことを確認するために、空の型をベースラインチェックとして使用した。装置を粉体のない状態で操作し、力は実質的にゼロになると予想される。微結晶セルロース(MCC、Avicel PH102)は、非常に低い粘着性傾向を有する材料であり、したがって、粘着性がない場合に低い値となる陰性対照として使用する。マンニトール(Partek 200)は、標準鋼に対して非常に高い吸引力を持つ物質であり、従って、装置が高い粘着性を示すことを確認するための陽性対照として使用する。
【0258】
図23は、コンパクトパンチ圧に対してプロットした付着力を示す。接着力は、パンチが錠剤表面から引き離される際に、計装した接着パンチによって記録される力である。使用したパンチは、2019年のものであった。対照試料の結果は、予想通りだった。MCCの接着力は低く、マンニトールの接着力は高かった。空の型の測定値は、1N未満であり、ベースラインとみなすことができる。最も低い圧縮圧力では、両方の材料が類似していた。圧縮圧力が増加すると、パンチとの相互作用が増加し、測定した付着力が増加する。化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの製剤は、化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aの製剤と比較して、低い付着力を有していた。
【0259】
図24は、この研究における駆出力のプロットを示す。駆出力は、コンパクトを駆出する際に、下側のパンチにかかる力である。型は、すべてのコンパクト用の標準鋼材でできており、問題の表面については上部パンチ面のみを変更する。化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの製剤の駆出力は、化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aの製剤よりも高かった。どちらも圧縮圧が高くなるにつれて増加した。生産に関連した圧縮力では、駆出力は、理想的なものよりも高くなる。
【0260】
図25は、本試験で試験した製剤の押出/離脱力のプロットを示す。錠剤を駆出すると、アームを回収シュートに押し込むまで、その錠剤を下側のパンチ面上に置く。アームにはロードセルが取り付けられており、試料を除去するのにかかった力を記録する。ロードセルが型テーブル上の破片(例えば、緩んだ顆粒)をピックアップすることができるため、偽陽性の可能性があり、従って、固着を示す個々の事象ではなく、高い頻度で上昇する結果を探すことになる。非粘着性が知られている材料(MCC)を用いたベースライン測定値を比較のため示す。
【0261】
下側のパンチは、標準的な鋼材からなる。離脱力は、両方の製剤のベースライン測定値と類似していた。いずれの塩製剤にも、有意な離脱力の証拠はない。
【0262】
錠剤性:錠剤性に関しては、製剤は、1.7MPaを超える良好な張力を有しており、それゆえ、張力に関連する製造可能性の問題に対するリスクは低いと考えた。
図27に示すように、化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aの製剤は、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの製剤よりも高い張力強度を有していた。より速い速度では、製剤強度は類似していたが、より長い滞留時間で、二つの製剤間で強度に差異を観察した。
【0263】
ピッキング指数:製剤混合物について、ピッキング指数を決定した。ピッキング指数は、付着強度と張力との間の比である。パンチとコンパクトとの間の界面において、この領域の粒子は、コンパクトに接合するか、またはパンチ面に付着することができる。パンチ面がコンパクトよりも魅力的である場合、ピッキングは起こり得る。コンパクトがより魅力的である場合、錠剤はより完璧な無傷の表面を有するであろう。二つの要因が並存し、パンチへの引きがコンパクトからの引きを超えると、ピッキングが起こる。粘着のリスクを減少させるために、コンパクトの張力を増加させるか、またはパンチ面への引力を低減することができる。張力は、例えば、潤滑剤最適化、改質、および/またはプロセス変更を含む、当技術分野で公知の任意の手段によって増加させることができる。パンチの引力は、例えば、潤滑剤最適化、コーティングしたツールの選択、および/または環境の制御を含む、当技術分野で公知の任意の手段によって減少させることができる。
【0264】
図28に示すように、ピッキング指数を、張力の関数としてプロットした。一般的に、ピッキング指標が低いほど、粘着のリスクが高くなる。20未満のピッキング指数は、粘着の高いリスクを示し、40未満のピッキング指数は、粘着の中程度のリスクを示し、50より大きいピッキング指数は、粘着の低いリスクを示す。
図28に示すように、高いリスク領域(すなわち、0~20)において、化合物1のモノ-クエン酸塩形態A混合物の20mgの製剤の10個のコンパクトが存在し、一方で高いリスク領域において化合物1のヘミ-クエン酸塩形態I混合物の20mgの製剤のコンパクトはなかった。これは、化合物1のヘミ-クエン酸塩形態Iの製剤が、化合物1のモノ-クエン酸塩形態Aの製剤よりも粘着のリスクが低いことを示す。
【0265】
参照による援用
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【国際調査報告】