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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ガス加熱器の動作方法
(51)【国際特許分類】
   F23N 1/02 20060101AFI20240207BHJP
   F23C 1/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
F23N1/02 E
F23C1/00 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550141
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2022053724
(87)【国際公開番号】W WO2022175291
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】21157991.7
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523313230
【氏名又は名称】ビーディーアール テルメア グループ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】BDR THERMEA GROUP B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ピソニ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】テンペラート, セバスティアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ラトガーズ, ジョブ
【テーマコード(参考)】
3K003
3K091
【Fターム(参考)】
3K003AA03
3K003AB03
3K003AB06
3K003AC01
3K003BA02
3K003BB02
3K003BC03
3K003CA05
3K003CB03
3K003DA03
3K091AA20
3K091BB02
3K091BB26
3K091CC06
3K091CC23
3K091DD02
(57)【要約】
本発明は、ガス加熱器、特に中央加熱をもたらすため、および/または家庭用温水、特にガスボイラー、特に凝縮ボイラーを設けるためのガス加熱器を動作させるための方法であって、以下のガス加熱器の混合室内にガスおよび燃料ガスを供給するステップ、および混合室からガス加熱器のバーナに混合ガスを供給するステップ、ガスが混合室に供給される前に、単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められるガス量を判定するために、単位時間当たりの差圧を測定、および/またはセンサ信号を制御部に提示するステップ、燃料ガスが混合室に供給される前に、単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められる燃料ガス量を判定するために、単位時間当たりの差圧を測定、および/またはセンサ信号を制御部に提示するステップ、および判定されたガス量および/または判定された燃料ガス量に基づいて、ガス加熱器の少なくとも1つの動作条件が満たされているかどうかを判定するステップを含む方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス加熱器(1)、特に中央加熱をもたらすため、および/または家庭用温水、特にガスボイラー、特に凝縮ボイラーを設けるためのガス加熱器を動作させるための方法であって、
前記ガス加熱器(1)の混合室(2)内にガスおよび燃料ガスを供給するステップ、および前記混合室(2)から前記ガス加熱器(1)のバーナ(12)に混合ガスを供給するステップ、
前記ガスが前記混合室(2)に供給される前に、単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められるガス量を判定するために、単位時間当たりの差圧を測定、および/またはセンサ信号を前記制御部に提示するステップ、
前記燃料ガスが前記混合室(2)に供給される前に、単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められる燃料ガス量を判定するために、単位時間当たりの差圧を測定、および/またはセンサ信号を前記制御部に提示するステップ、
前記判定されたガス量および/または前記判定された燃料ガス量に基づいて、前記ガス加熱器(1)の少なくとも1つの動作条件が満たされているかどうかを判定するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
a.前記ガスおよび前記燃料ガスは、熱需要が要求された後に前記混合室(2)に供給されること、および/または、
b.加熱プロセス、特に点火プロセスが、前記少なくとも1つの動作条件が満たされたときに実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a.前記ガス量を設定するためのアクチュエータ(3)は、前記少なくとも1つの動作条件が満たされていないときに制御されること、および/または、
b.前記ガス量を設定するためのアクチュエータ(3)が、前記判定されたガス量が所定のガス量に対応するかどうかのチェックに基づいて制御されること、および/または、
c.アクチュエータ(3)は、前記少なくとも1つの動作条件が満たされないときにファンの速度を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記判定されたガス量が前記所定のガス量に対応していないとき、制御信号が前記アクチュエータ(3)に送信されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
a.前記燃料ガス量を設定するためのさらなるアクチュエータ(4)が、さらなる動作条件が満たされていないときに制御されること、および/または、
b.前記燃料ガス量を設定するためのさらなるアクチュエータ(4)が、前記判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量に対応しているかどうか、特に、前記燃料ガス量プロファイルが所定の点火ランプに対応しているかどうかのチェックに基づいて制御されること、および/または、
c.さらなる動作条件が満たされていないときに、さらなるアクチュエータ(4)が燃料ガス弁(6)を制御することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
a.別の動作条件が満たされているかどうかが判定され、他の条件は、火炎信号が存在するかどうかの前記チェックを含むこと、および/または、
b.前記判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量に対応しているときに、別の動作条件が満たされているか否かが判定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記燃料ガス弁(6)が、
a.前記判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量と対応していないとき、特に前記燃料ガス量プロファイルが所定の点火ランプに対応していないとき、および/または
b.火炎信号が検出されない場合
に閉じられることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
a.追加の動作条件が満たされているかどうかが判定され、前記ガス加熱器(1)の燃焼室(5)の測定された温度または前記燃焼室(5)の判定された温度上昇が所定の閾値を上回っているかどうかの前記チェックを前記追加の動作条件が含むこと、および/または、
b.前記ガス量が、ファン(13)が前記混合室(2)にガスを供給し始めた後に判定されること、および/または、
c.前記燃料ガス量が、燃料ガス弁(6)が開かれた後に判定されること、および/または、
d.前記燃料ガス量が、前記ガス量が判定された後に判定されること、および/または、
e.前記燃料ガス量が、前記判定されたガス量が所定のガス量に対応しているときに判定されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
a.ファンの速度が、前記判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度に対応するか、または前記判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度の範囲にあるかどうかがチェックされること、および/または、
b.燃料ガス弁(6)に提示される電気信号が、前記所定の燃料ガス量に割り当てられた電気信号に対応するか、または前記所定の燃料ガス量に割り当てられた所定の電気信号の範囲にあるかどうかがチェックされることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
a.前記加熱プロセスは、前記ファンの速度が前記判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度に対応するとき、または前記判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度の範囲にあるとき、および前記少なくとも1つの条件が満たされたときに実行されること、および/または
b.前記加熱プロセスは、燃料ガス弁(6)に提示される前記電気信号が、前記所定の燃料ガス量に割り当てられた電気信号に対応しているか、または、前記所定の燃料ガス量に割り当てられた所定の電気信号の範囲にあるとき、および前記少なくとも1つの条件が満たされているときに実行されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ガスと燃料ガスとを混合するための混合室(2)と、前記混合室(2)の下流に配置され、前記混合室(2)の混合ガスを供給することができるバーナ(12)と、単位時間当たりの差圧を測定するための、および/または前記混合室に供給される前記ガスの単位当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められる前記ガス量を判定するためのセンサ信号を前記制御部に提示するための第1センサ(7)と、単位時間当たりの前記差圧を測定するための、および/または前記混合室(2)に供給される前記燃料ガスの単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められる前記燃料ガス量を判定するためのセンサ信号を前記制御部に提示するための第2センサ(8)と、前記判定されたガス量および/または前記判定された燃料ガス量に基づいて、前記ガス加熱器(1)の少なくとも1つの動作条件が満たされているかどうかを判定するように適合された制御部(9)とを備える、ガス加熱器(1)。
【請求項12】
a.前記ガス加熱器(1)は、前記ガス量を設定するためのアクチュエータ(3)を備えること、および/または、
b.前記制御部(9)は、前記判定されたガス量が所定のガス量に対応しているかのチェックに基づいて、前記ガス量を設定するためのアクチュエータ(3)を制御することを特徴とする、請求項11に記載のガス加熱器(1)。
【請求項13】
a.前記ガス加熱器(1)は、前記燃料ガス量を設定するためのさらなるアクチュエータ(4)を備えること、および/または、
b.前記制御部(9)は、判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量に対応しているかどうか、特に前記燃料ガス量プロファイルが所定の点火ランプに対応しているかどうかのチェックに基づいて、前記燃料ガス量を設定するためのさらなるアクチュエータ(4)を制御することを特徴とする、請求項11または12に記載のガス加熱器(1)。
【請求項14】
前記ガス加熱器(1)が、前記バーナ(13)の火炎信号を検出するための第3センサ(16)を備えることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載のガス加熱器(1)。
【請求項15】
前記ガス加熱器(1)は、燃料ガス弁(6)を備え、前記制御部(9)は、
a.前記判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量と対応していないとき、特に前記燃料ガス量プロファイルが所定の点火ランプと対応していないとき、および/または
b.火炎信号が検出されない場合に、
前記燃料ガス弁(6)を閉めることを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載のガス加熱器(1)。
【請求項16】
a.前記ガス加熱器(1)は、燃焼室(5)および/またはバーナ(12)の前記温度を測定するための温度センサ(17)を備えること、および/または
b.前記制御部(9)は、ファンの速度が前記判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度に対応するか、または前記判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度の範囲にあるかどうかをチェックするように適合されること、および/または、
c.前記制御部(9)は、前記燃料ガス弁(6)に提示される電気信号が、前記所定の燃料ガス量に割り当てられた電気信号に対応するか、または前記所定の燃料ガス量に割り当てられた所定の電気信号の範囲にあるかどうかをチェックするように適合されること、および/または、
d.前記ガス加熱器(2)は、少なくとも10モル%、特に少なくとも95モル%の水素を含む燃料ガスを使用するように構成されることを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載のガス加熱器(1)。
【請求項17】
液体、特に水を加熱するためのボイラー、特に凝縮ボイラーであって、請求項12から16のいずれか一項に記載のガス加熱器(2)と、燃焼室を有する熱交換器とを備え、前記ガス加熱器(1)の前記バーナ(12)は、前記燃焼室内部に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、ボイラー。
【請求項18】
請求項11から16のいずれか一項に記載のガス加熱器または請求項17に記載のボイラーを備え、燃料電池および/またはヒートポンプ、好ましくはガス吸収ヒートポンプ、および/または少なくとも1つの光起電力(PV)モジュールをさらに備える、加熱システム。
【請求項19】
水素または水素含有燃料ガスの加熱用途、または天然ガスの加熱用途における、請求項11から16のいずれか一項に記載のガス加熱器または請求項17に記載のボイラーの使用。
【請求項20】
前記プログラムが制御部によって実行されると、前記制御部に請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス加熱器を動作させるための方法に関する。さらに、本発明は、ガス加熱器およびそのようなガス加熱器を備えたボイラーに関する。さらに、本発明は、そのようなガス加熱器および/またはボイラーを有する加熱システム、ならびにそのようなガス加熱器および/またはボイラーの使用に関する。さらに、本発明は、コンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のガス加熱器が従来技術から知られている。ガス加熱器は、通常、ガス、特に空気が燃料ガスと混合される混合室を備える。混合ガスは、ガス加熱器のバーナに供給される。このようなガス加熱器は、例えばボイラーで使用することができる。ボイラーは、ガス加熱器によって供給される熱によって水が加熱される熱交換器を備える。
【0003】
米国特許第5,486,107号明細書は、広範囲の燃料組成物に有効であり、値が導出される測定されたパラメータの誤差の影響を受けにくいのと同程度により正確な所与の種類および量の燃料の完全な燃焼に必要な酸素の量を正確に判定する観点から、より正確な燃料計量および燃焼制御のための発熱量および酸素要求量ならびにウォッベ指数またはウォッベ数を含む燃料特性の改善された判定を対象とし、マイクロブリッジ型センサを用いて天然または他の炭化水素系気体燃料ガスの熱物理的または熱化学的特性値を判定する方法であって、マイクロブリッジ型センサが燃料を受け取り、燃料の信号値、熱伝導率、kを提示するように流体結合されている、燃料の熱伝導率値を得るために燃料を静的マイクロブリッジ型センサに適用するステップ;燃料の比熱値を得るために燃料を静的マイクロブリッジ型センサに適用するステップであって、マイクロブリッジ型センサは、燃料を受け取り、燃料の信号値、比熱cpを提示するように流体結合されている、ステップ;異なる温度で取得された複数の測定されたセンサ信号値kおよびcpを使用して信号kおよびcpの値を補正して、これらの値を処理して燃料の基準条件における対応する値を得ることができるようにするステップ;前記cpsの基準条件におけるdcp/dTの値を取得するためにcpの複数の測定された異なる温度値を処理するステップ、前記kの基準条件におけるdk/dTの値を取得するためにkの複数の測定された異なる温度値を処理するステップ、プロセッサにおいて、以下から選択される関係に従って燃料の所望の特性を取得するために前のステップで取得された値を処理するステップを含む方法を開示しており、

式中、Ysは、より高い発熱量、H;酸素要求量、D;ウォッベ指数、Wo;相対密度または比重、ρ;絶対密度、ρ;不活性物質、I;圧縮係数、Z;臨界圧縮比R;粘度、ηのいずれかから選択される目的の熱物理学的または熱化学的パラメータを表し;A、A...Aは、定数または係数であり、n、m、p、q、r、sは、0を含む-20から20までの値の指数であり、項iの数は、1から15の範囲であり、kおよびcpsは、温度および圧力の所定の基準条件におけるそれらの値を表し、xは、基準条件におけるdk/dTを表し、Yは、基準条件におけるdc/dTを表し、Tは、基準条件における温度を表し、Pは、基準条件における絶対圧力を表す。
【0004】
米国特許第6,561,791号明細書は、妨害作用の結果としての低い作動力と動作の公差との間の相互作用により制限された作動範囲または制限などの、制限された使用範囲の欠点を回避するガスバーナ用の調整装置を提供することを対象とし、燃料ガスの流れと燃焼空気の流れとがバーナに導かれるガスバーナ用の調整システムを開示している。燃料ガスの流れは、燃焼空気の流れの圧力に応じて調整される。燃料ガスの流れと燃焼空気の流れとの間に差圧センサが配置される。センサは、燃料ガス用のガス弁を調整するために使用される電子信号を生成する。
【0005】
国際公開第2020/148,434号パンフレットは、燃料ガス作動加熱装置のガス混合物を調整するためのより複雑ではないが正確な方法を提供することを対象としており、これはまた、ダストなどの外部の影響に対して堅牢であり、燃料ガス作動加熱装置のガスおよび燃料ガスから形成されるガス混合物を制御するための方法を開示しており、それにおいてガス混合物は、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータによってそれぞれ供給されるガス量および燃料ガス量によって生成され、次いで混合される;ガス混合物の少なくとも1つの材料特性を検出するマイクロ熱ガス混合物センサが、ガス混合物と共に供給され、特定のガス混合物に依存するセンサ信号を制御装置に連続的に送信する;制御装置は、検出されたセンサ信号をセンサ信号の設定値と比較し、検出されたセンサ信号が設定値センサ信号から逸脱する場合に、第1および第2のアクチュエータのうちの少なくとも一方を作動させ、その結果、センサ信号の設定値が達成されるまで、ガス量を増加または減少させること、および/または燃料ガス量を増加または減少させることによってガス混合物が調整される。
【0006】
独国実用新案第2020/18,101,271号明細書は、燃料ガスの種類がヒータが始動される前に判定され、始動プロセスに使用される燃料ガス作動式ヒータを提供することを対象とし、電子ガス空気システムを備えた燃料ガス作動式ヒータを開示しており、ヒータは、空気体積流を搬送するための少なくとも1つのブロワと、燃料ガスの制御された供給のためのガスアクチュエータを備えたガス供給部と、バーナと、バーナを点火するための点火ユニットと、ガス供給部に配置され、燃料ガスによって流れるセンサと、燃料ガスのガス質量流を判定して少なくともブロワおよびガスアクチュエータによって搬送される空気体積流を調整するための制御装置と、を有し、
a.センサは、燃料ガス質量および燃料ガス質量に割り当てられた物理的特性を判定するためのガス質量センサとして設計され、
b.ガス質量センサによって燃料ガスの物理的特性を測定し、制御部に送信することができ、
c.燃料ガスの種類は、燃料ガスの測定された物理的特性から制御装置によって判定することができ、
d.ガス制御要素の制御装置は、特定の燃料ガスの種類に応じて第1の始動ガス質量流を調整することができ、これは特定の燃料ガスタイプの燃料ガスの点火限界より低く、
e.供給されるガス質量流は、開始ガス質量流から開始して、点火ユニットによる点火の試行によって、特定の燃料ガスの種類の点火の範囲を超えるまで、一定の空気体積流で増加させることができ、
f.点火の試行の間、バーナの点火を監視し、記録することができる。
【0007】
欧州特許第3,683,500号明細書は、燃料ガスに供給されるガスの特性の変化を検出し、目標とする方法で制御パラメータを適合させる、燃料ガス作動加熱装置のガス混合物を調整するための方法を提供することを対象にし、燃料ガス作動加熱器具のガスおよび燃料ガスから形成されるガス混合物を調整するための方法を開示しており、それにおいてガス混合物は、第1の制御要素によってガス量を、第2の制御要素によって燃料ガス量を供給および混合することによって生成され、マイクロ熱ガスセンサおよびガス混合物センサが使用され、センサ信号がコントローラに中継され、ガスセンサ(の)検出されたセンサ信号が変化すると、ガスセンサの新たに検出されたセンサ信号は、実験室で測定され、コントローラの値のテーブルに保存されている基準値と比較され、これから、燃料ガスおよびガスから構成されるガス混合物の混合比が変化することなく、ガス混合物センサのセンサ信号の目標値が判定される。
【0008】
欧州特許第2,574,918号明細書は、高精度のガスの質のセンサへの適切なガスの流れの測定技術の単純かつ費用効果的なアップグレードのための方法を明示することを対象としており、これは、熱容量の基本特性との相関を介した発熱量、ウォッベ指数、メタン数および/または空気の要件などの燃焼技術に関連するパラメータであり、ガスの熱伝導率または密度を判定し、物理的ガス特性(γ)、例えば密度(ρ)もしくは熱容量(cp)または質量流もしくは体積流またはこれらの変数の組み合わせのための第1センサ
わせることによって、ガス混合物の燃焼に関する変数の相関のためのガス混合物の物理的ガス特性を判定するための方法を開示しており、式中
であり、少なくともマイクロ熱センサはガスの流れにさらされ、ガス混合物の熱伝導率(λ)は、マイクロ熱センサを用いて別々に測定される。
【0009】
国際公開第2019/185,181号パンフレットは、ガスの絶対的な流量の広いダイナミックレンジにわたって、それらの流量間に大きな差が存在する場合でも、第1のガスと第2のガスとの間の混合比の信頼性が高く正確な制御を達成することができる調整装置を提供することを対象としており、センサS1がガス混合物にさらされるように、混合領域の下流およびファンの上流の共通導管にセンサが配置された、ガス混合物の1つまたは複数の熱パラメータを判定するための第1センサS1を備える調整装置を開示している。
【0010】
制御装置は、第1センサS1からセンサ信号を受信する。制御装置は、センサ信号に基づいて、燃料制御弁の開度を調整するための制御信号を導出する。制御装置は、ファンを動作させる電力をさらに調整する。さらなるセンサを、空気導管および/または燃料導管に設けることができる。例として、第2センサS2は、混合領域の上流の空気導管に設けられる。加えて、または代替として、第3センサS3が、燃料制御弁の下流および混合領域の上流の燃料導管に設けられる。第1センサS1と同様に、第2センサS2および/または第3センサS3も、各センサをそれぞれの導管の壁の行き止まりの凹部に配置することによって、および/またはガス透過性膜によって各センサを保護することによって、それぞれのガスの流れへ直接曝露されることから有利に保護される。センサS1は、混合領域の下流の共通導管のガス混合物の熱伝導率λ混合、熱拡散率D混合、および温度T混合を判定するように動作する。センサS2は、混合領域の上流の空気導管の空気の熱伝導率λ空気、熱拡散率D空気、および温度T空気を判定するように動作する。
【0011】
これらの量から空気圧対を判定する。センサS2の信号から判定される空気圧対または空気密度は、追加の診断パラメータとして使用することができる。特に、空気圧対または空気密度を使用して、ファンの閉塞または誤動作を検出することができる。例えば、空気圧または密度は、調整装置の動作中に恒久的または定期的に監視することができる。一定のファンの出力でファンを動作させている間の空気圧または密度の変化は、閉塞またはファンの誤動作を示し得る。センサS2の信号から空気圧または密度を判定することは、調整装置の通常動作中に可能である。センサS3は、燃料制御弁の下流かつ混合領域の上流の燃料導管内の燃料ガスの熱伝導率λ燃料、熱拡散率D燃料および温度T燃料を判定するように動作する。混合比xは、センサS1によって判定されたλ混合、センサS2によって判定されたλ空気、およびセンサS3によって判定されたλ燃料の値を使用し、
に基づいて判定する。国際公開第2019/185,181号パンフレットは、質量流量計を使用して、空気導管の空気の流量、燃料導管の燃料の流れ、または共通導管内のガス混合物の流れをさらに測定することが可能であることをさらに開示している。このようにして、国際公開第2019/185,181号パンフレットは、ガスバーナに送達されるガス混合物の絶対的な加熱パワーを判定する。質量流量は、加熱パワーを調整するようにファンを制御するために使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,486,107号明細書
【特許文献2】米国特許第6,561,791号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/148,434号パンフレット
【特許文献4】独国実用新案第2020/18,101,271号明細書
【特許文献5】欧州特許第3,683,500号明細書
【特許文献6】欧州特許第2,574,918号明細書
【特許文献7】国際公開第2019/185,181号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の電子式空気比制御システムでは、ガス加熱器の制御部は、ガス対燃料ガスの比を制御することによって、ガス加熱器の熱負荷を制御する。火炎信号が混合ガスの組成に依存するため、ガス対燃料ガスの比を、イオン化信号に基づいて制御することができる。したがって、ガス加熱器は、同系の燃料ガスに内部的に適合することができる。しかしながら、公知のガス加熱器は、95モル%を超える水素を含有する燃料ガスの混合物には使用することができない。特に、燃料ガスが95mol%を超える量の水素であるか、またはそれを含む場合、イオン化信号は、混合ガスをバーナが要求される出力を供給するのに必要な組成に適合させるために使用することができない。したがって、従来のガス適応システムは、イオン化信号を利用するために十分な量の天然ガスを使用することを必要とし、したがって、そのようなシステムは95mol%以上の水素燃焼を行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、様々なタイプの燃料ガスまたは燃料ガスの混合物に適用することができるガス加熱器を動作させるための方法を提供することである。特に、ガス加熱器は、水素を含む燃料ガスを含む様々なタイプの燃料ガスまたは燃料ガスの混合物に適応するガスであるべきであり、ガスと燃料ガスとの不正確な混合により排出が多くなる、または効率が劣悪になるのを、回避すべきである。さらに、この方法はまた、ヒータが始動しないこと、または不正確なガスと空気との比に起因して、フラッシュバックを有することを回避すべきである。
【0015】
目的は、ガス加熱器、特に中央加熱をもたらすため、および/または家庭用温水、特にガスボイラー、特に凝縮ボイラーを設けるためのガス加熱器を動作させるための方法であって、
ガス加熱器の混合室内にガスおよび燃料ガスを供給するステップ、および混合室からガス加熱器のバーナに混合ガスを供給するステップ、
ガスが混合室に供給される前に、単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められるガス量を判定するために、単位時間当たりの差圧を測定、および/またはセンサ信号を制御部に提示するステップ、
燃料ガスが混合室に供給される前に、単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められる燃料ガス量を判定するために、単位時間当たりの差圧を測定、および/またはセンサ信号を制御部に提示するステップ、および
を含む方法によって解決される。
【0016】
本発明の別の目的は、様々なタイプの燃料ガスまたは燃料ガスの混合物に使用することができるガス加熱器を提供することである。
【0017】
目的は、ガスと燃料ガスとを混合するための混合室と、混合室の下流に配置され、混合室の混合ガスを供給することができるバーナと、単位時間当たりの差圧を測定するための、および/または混合室に供給されるガスの単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められるガス量を判定するためのセンサ信号を制御部に提示するための第1センサと、単位時間当たりの差圧を測定するための、および/または混合室に供給される燃料ガスの単位時間当たりの体積または単位時間当たりの質量によって定められる燃料ガス量を判定するためのセンサ信号を制御部に提示するための第2センサと、判定されたガス量および/または判定された燃料ガス量に基づいて、ガス加熱器の少なくとも1つの動作条件が満たされているかどうかを判定するように適合された制御部とを備える、ガス加熱器によって解決される。
【0018】
本発明によれば、判定されたガス量および/または判定された燃料ガス量に基づいてガス加熱器の少なくとも1つの動作条件が満たされているかどうかを判定することによって、燃料中の水素濃度が高い、95mol%以上の場合であっても、バーナが安全な動作によって必要な出力を供給することができるように、ガス対燃料ガスの比を適合させることが可能であることが認識された。特に、所定のガス対燃料ガスの比に対応するガス対燃料ガスの比を有する混合ガスを供給することが可能である。これは、少なくとも1つの動作条件またはすべての動作条件が満たされる場合である。
【0019】
混合ガスの所定のガス対燃料ガスの比は、ガス加熱器、特にバーナの動作に依存することができる。それは実験室で判定され、ガス加熱器の電気メモリに保存され得る。特に、最小負荷から最大負荷までを意味するバーナのすべての動作をカバーするガス対燃料ガスの比を電気メモリに記憶することができる。電気メモリは、制御部の一部とすることができる。
【0020】
したがって、燃料ガスに高濃度の水素が存在する場合、イオン化信号とは無関係に、混合室から流出する混合ガスのガス対燃料ガスの比を判定することが可能である。したがって、ガス加熱器で使用することができる燃料ガスの組成は、既知の実施形態よりも用途が広い。さらに、本発明の実施形態では、ガス量および燃料ガス量は常にわかっており、特に水素が燃料ガスとしてまたは燃料ガスの一部として使用される場合、安全上の理由から有利であるように常に制御することができる。
【0021】
本発明のさらなる利点は、フラッシュバックが防止されるようにガス量および燃料量を設定することができることである。ガス混合速度が火炎の速度よりも小さいときにフラッシュバックが発生し、火炎はバーナデッキに向かって、さらにはバーナデッキを横切ってバーナ内に向かう上流方向に横断する。
【0022】
燃料ガスは、天然ガス、メタン、エチレン、プロパン、ブタン、石炭ガス、バイオガスなど、これらの混合物、および水素をさらに含むこれらの混合物、または水素、特に純粋な水素であり得る。燃料ガスが少なくとも98mol%の水素を有する場合、純粋な水素が存在する。
【0023】
ガスは空気であり得る。
【0024】
制御部は、電気制御部である。さらに、制御部は、電気センサ信号を受信し、電気制御信号を出力するように適合される。制御部は、少なくとも1つのプロセッサおよび/またはプリント回路基板を備えることができる。
【0025】
センサは、例えば流量センサである。流量センサは、差圧を測定するセンサとすることができる。特に、センサは、質量流量センサまたは体積流量センサとすることができる。さらに、センサは、熱センサ、温度風速計センサ、超音波流量センサ、マグネットフローセンサ、コリオリ質量流量センサおよび/または光学センサとすることができる。センサは、電気センサまたは電子センサとすることができる。
【0026】
混合ガスは、混合室を出る出力ガスである。混合ガスは、ガスおよび燃料ガスを含むことができる。あるいは、混合ガスは、燃料ガスが混合室に挿入されない場合にのみガスからなることができる。
【0027】
混合室に供給されるガスのガス量を判定するために、第1センサは、混合室の上流に配置される。第2センサはまた、混合室の上流に配置される。以下では、「下流」および「上流」という用語は、ガス加熱器のファンからバーナへのガスの流れる方向、または燃料ガス弁からバーナへの燃料ガスの流れ方向を指す。
【0028】
ガスが空気である場合、ガス源は、ファンが空気を吸引する周囲に対応する。燃料ガスは、燃料ガスタンクもしくはガスラインもしくはガスグリッドに貯蔵することができ、または電解槽などによってその場で生成することができる。
【0029】
バーナは、予混合バーナとすることができる。予混合は、燃料ガスとガスとの混合物をバーナに供給することを意味する。燃焼システムは、電子的な燃焼制御または空気圧燃焼制御システムとすることができる。
【0030】
バーナは、最小負荷と全負荷との間で動作することができる。最小負荷に対する全負荷の比は、少なくとも4とすることができる。バーナに供給される混合物のガス対燃料ガスの比は、最低1である両者について、4未満の低負荷、2未満の全負荷であり得る。
【0031】
本発明の実施形態によれば、ガスおよび燃料ガスは、熱需要が要求された後に混合室の中に供給される。熱需要は、特に、例えば家庭環境で温水が必要な場合、熱の必要性のために要求することができる。さらに、少なくとも1つの動作条件、特にすべての動作条件が満たされたときに加熱プロセスを実行することができる。加熱プロセスは、ガス加熱器に点火すること、またはバーナの出力を変更することであり得る。「実行する」という語は、加熱プロセスを開始できること、または既に開始された加熱プロセスを継続できることを意味する。
【0032】
ガス加熱器は、ガス量を設定するためのアクチュエータを備えることができる。制御部には、ガス加熱器の動作条件が満たされていない場合に、ガス量を設定するためのアクチュエータを制御させることができる。動作条件は、判定されたガス量が所定のガス量に対応するかどうかのチェックを含むことができる。上述したように、所定のガス量は、バーナの動作に依存する。
【0033】
アクチュエータは、任意選択的に、ガスを吸引するためのファンまたは別個の構成要素に組み込むことができる。アクチュエータはまた、特に、チャンバ内に供給されるガスを制御するためにファンの速度を増加または減少させるために、ファンに作用することができる。ファンは、可変のファンの速度を有するように構成することができる。特に、アクチュエータは、少なくとも1つの動作条件が満たされないときにファンの速度を制御することができる。あるいは、アクチュエータは、ガス弁の一部であってもよく、またはガス弁に作用してもよい。制御部は、ガス弁の流れ断面積、したがって混合室に供給されるガス量を制御することができる。
【0034】
第1センサは、アクチュエータおよび/またはガス弁の上流または下流に配置することができる。第1センサは、ガスが混合室内に供給されるガスラインに配置することができる。あるいは、第1センサは、ガスラインへのバイパスラインに配置することができる。バイパスラインに第1センサを設けることは、燃料ガスラインでの配置と比較してひときわ正確な測定をもたらす。
【0035】
さらに、ガス加熱器は、燃料ガス量を設定するためのさらなるアクチュエータを備えることができる。さらなるアクチュエータは、燃料ガス弁に一体化されてもよく、または別個の構成要素であってもよい。さらなるアクチュエータは、混合室に供給される燃料ガスを制御するために燃料ガス弁に作用するように構成することができる。特に、さらなるアクチュエータは、さらなる動作条件が満たされないときに燃料ガス弁を制御することができる。制御部は、ガス加熱器のさらなる動作条件が満たされていない場合に、燃料ガス量を設定するためのさらなるアクチュエータを制御することができる。さらなる動作条件は、判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量に対応しているかどうかのチェックを含むことができる。さらなる動作条件が満たされているかどうかの判定は、動作条件が満たされているかどうかの判定の後に行うことができる。特に、さらなる動作条件の判定は、動作条件が満たされたときにのみ行われる。
【0036】
加熱プロセスがガス加熱器、特にバーナを点火することである場合、制御部は、燃料ガス量プロファイルが所定の点火ランプに対応するかどうかのチェックに基づいてさらなるアクチュエータを制御することができる。点火ランプは、バーナが点火できるように存在しなければならない所定の燃料ガスプロファイルである。さらなるアクチュエータは、燃料ガス弁であってもよく、または燃料ガス弁に作用してもよい。第2センサは、さらなるアクチュエータまたは燃料ガス弁の上流または下流に配置することができる。第2センサは、燃料ガスラインに配置することができ、それにより燃料ガスが混合室内に供給される。あるいは、第2センサは、燃料ガスラインへのバイパスラインに配置することができる。バイパスラインに第2センサを設けることは、燃料ガスライン内の配置と比較してひときわ正確な測定をもたらす。
【0037】
点火ランプは、実験室で判定することができ、すべての環境条件において正しい点火を有するために、ガスおよびガス燃料の設定に適合させることができる。実験室では、2つのバーナの発火挙動が極端な条件で試験される。温度が10°C未満である場合に寒冷システムの始動が生じ、温度が25または30°Cを超える場合に熱暑システムの始動が生じる。さらに、バーナは、温度が-40°C未満である気候室条件でも試験することができる。
【0038】
点火ランプは、これらの試験および点火のノイズに基づいて判定することができる。要件は、ノイズのない点火を保証する設定に適合するように空気対ガスの比が調整されるように、ノイズなしで点火が行われなければならないことである。
【0039】
さらに、煙道の長さはまた、点火ランプに影響を及ぼす可能性がある。これは、煙道が長いほど圧力損失が増加するため、点火が煙道の長さに対して調整される結果である。さらに、点火ランプは、熱の入力が最小になるように調整することができる。
【0040】
制御部は、判定されたガス量が所定のガス量と対応しない場合、アクチュエータに制御信号を送ることができる。これは、混合ガスのガス対燃料ガスの比がバーナの意図された動作に適していないため、混合ガスのガス対燃料ガスの比を適合させる必要がある場合である。
【0041】
受信した制御信号に基づいて、アクチュエータは、混合室に供給されるガスが流れるガス弁の流れの断面積を増減させる。最後に、ガス量はアクチュエータによって容易に制御することができる。
【0042】
制御部は、判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量に対応していない場合、特に燃料ガス量プロファイルが所定の点火ランプに対応しない場合、燃料ガス弁を閉じるようにすることができる。これはセキュリティ上の理由から必要である。特に、爆発性ガスと燃料ガスとの混合物が存在することは回避されるべきである。燃料ガス弁は、電子制御ガス弁とすることができる。
【0043】
ガス加熱器は、火炎信号を検出するための第3センサを備えることができる。第3センサは、UVセンサのような、火炎、特に95モル%以上の水素を含むガスを燃焼させることによって生成された火炎が存在するか否かを容易に検出することができる光学センサとすることができる。あるいは、第3センサは熱電対とすることができ、これはまた火炎の存在を検出することが可能である。第3センサは、バーナに配置することができる。あるいは、第3センサは、バーナの少なくとも一部が位置する燃焼室に配置することができる。
【0044】
制御部は、別の動作条件が満たされているかどうかを判定することができる。これは、さらなる動作条件が満たされた後に行うことができる。このことは、判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量に対応する場合に、火炎信号検出を行うことができることを意味する。他の動作条件は、火炎信号が存在するかどうかのチェックを含む。火炎信号が検出されない場合、燃料ガス弁を閉じることができる。
【0045】
さらに、ガス加熱器は、ガス加熱器の燃焼室および/またはバーナ、および/またはガス加熱器の煙道ガス管内の温度を測定するための温度センサを備えることができる。制御部は、別の条件が満たされているときに追加の動作条件が満たされているかどうかを判定することができる。このことは、フレーム信号が検出されたときに判定が行われることを意味する。制御部は、燃焼室での測定温度が所定の温度に対応しているかどうか、または燃焼室での判定された温度の上昇が所定の閾値を上回っているかどうかをチェックすることができる。この場合、追加の動作条件が満たされる。そうでない場合、加熱プロセスは中止または適合される。
【0046】
ガス量は、ファンが混合室にガスを供給し始めた後に判定することができる。燃料ガス量は、燃料ガス弁を開いた後に判定することができる。したがって、ガス量および/または燃料ガス量を常に測定する必要はなく、測定する必要がある場合にのみ測定する必要がある。
【0047】
また、燃料ガス量は、ガス量が判定された後に判定される。燃料ガス量は、判定されたガス量が所定のガス量に対応するとき判定することができる。したがって、爆発性混合物の発生のリスクを低減することができる。
【0048】
実施形態によれば、ファンの速度は、ガス加熱器が適切に動作するかどうかを検証するためのチェックに使用することができる。特に、制御部は、ファンの速度が、判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度に対応するか、または判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度範囲にあるかをチェックするように適合され得る。
【0049】
このような動作は、第1センサが良好に機能するかどうかを容易にチェックすることを可能にする。特に、ファンの速度を考察することが、ガス量の判定の妥当性を検証する。第1センサがうまく機能しない場合、ファンの速度は、所定のファンの速度に対応しないか、または所定のファンの速度範囲外である。
【0050】
したがって、例えば点火段階中にファンの速度が所定のファンの速度に対応しないか、または所定のファンの速度範囲外である場合、ボイラーは停止する。ボイラーはまた、判定された燃料ガスが所定の燃料ガス量に対応しない場合、特に判定された燃料ガスプロファイルが所定の点火ランプに対応しない場合に停止する。
【0051】
加熱プロセスは、ファンの速度が、判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度に対応するか、または判定されたガス量に割り当てられた所定のファンの速度範囲にあり、少なくとも1つの条件が満たされたときに実行することができる。そうでなければ、加熱プロセスを中止することができる。
【0052】
特に、制御部は、特に、加熱プロセス、例えば点火プロセスを指すパラメータ曲線の形態で、差圧に関して少なくとも1つの設定ガス流量を有することができる。ガス流量は、ボイラーの出力に依存し得る。
【0053】
ボイラーについて、少なくとも1つのパラメータ曲線が制御部に記憶される。パラメータ曲線は、ガスの流量が、バーナの出力に依存して、バーナに供給される混合物の0%~100%であることを示す。設定されているガスの流量は、例えば実験室で予め決定される。差圧は、毎分回転数(rpm)での予想ファンの速度に関連付けられる。測定された差圧および測定されたrpmが所定の範囲内にある場合、加熱プロセスは継続する。したがって、測定値は、圧力差とrpmとが関連付けられて整合される。
【0054】
制御部はまた、燃料ガス弁に供給される電気信号が、所定の燃料ガス量に割り当てられた電気信号に対応するか、または所定の燃料ガス量に割り当てられた所定の電気信号範囲にあるかどうかをチェックするように適合される。これにより、第2センサが良好に機能するかどうかをチェックすることができ、したがって、例えば、混合室に供給される燃料ガス量が、判定された燃料ガス量よりもはるかに多い状況を防止することができる。特に、電気信号を考慮すると、燃料ガス量の判定の妥当性が検証される。
【0055】
加熱プロセスは、燃料ガス弁に供給される電気信号が所定の燃料ガス量に割り当てられた電気信号に対応するか、または所定の燃料ガス量に割り当てられた所定の電気信号範囲にあり、少なくとも1つの条件が満たされたときに実行することができる。そうでなければ、加熱プロセスを中止することができる。
【0056】
制御部は、加熱プロセス、例えば点火プロセスを示す差圧に関して、特にパラメータ曲線の形態で、少なくとも1つの設定される燃料ガスの流量を有することができる。設定された燃料ガスの流量は、例えば実験室で予め決定される。燃料ガスの流量は、ボイラーの出力に依存し得る。ボイラーについて、少なくとも1つのパラメータ曲線が制御部に記憶される。パラメータ曲線は、バーナ出力に依存して、バーナに供給される混合物の0%~100%である燃料ガスの流量を示す。差圧は、燃料ガス弁に供給される予想される電気信号に関連付けられる。測定された差圧および測定された電気信号が所定の範囲内にある場合、加熱プロセスは継続する。したがって、測定されたデルタ圧力と電気信号はリンクされて整合される。
【0057】
どちらの場合も、センサ信号は、システムが適切に動作することを検証するために使用される。
【0058】
本発明の実施形態によれば、第1センサは流量センサ、特に質量流量センサとすることができ、および/または第2センサは流量センサ、特に質量流量センサとすることができる。流量センサ、特に質量流量センサは、それぞれ差圧を測定する。ガス量および燃料ガス量は、それぞれ、測定された差圧に基づいて判定される。したがって、制御部は、動作条件および/またはさらなる動作条件が満たされているかどうかを判定することによって、測定された差圧が所定の差圧に対応するかどうかをチェックすることができる。あるいは、第1センサは体積流量センサであってもよく、および/または第2センサは体積流量センサであってもよい。
【0059】
実施形態では、ガス加熱器は、10mol%~100mol%、特に50mol%~100mol%、好ましくは95mol%~100mol%、より好ましくは95mol%~98mol%の水素を含むガス状燃料を使用するように構成される。本発明によるガス加熱器は、水素を含むガス状燃料の使用に限定されない。任意の種類の燃料ガス、例えば天然ガス、メタン、エチレン、プロパン、ブタン、石炭ガス、バイオガスなど、これらの混合物、および水素をさらに含むこれらの混合物、または水素、特に純粋な(少なくとも98mol%)水素を燃料として使用し得る。この実施形態では、ガス状燃料はまた、水素、好ましくは95mol%以上の水素を含む。しかしながら、水素と例えば天然ガスとの任意の組み合わせを使用することができる。
【0060】
ガス加熱器は、ボイラーで使用することができ、またはボイラーであってもよい。ボイラーは、燃焼室と、ガス加熱器のバーナによって生成された熱を水に伝達することができる熱交換器とを備える。ガス加熱器のバーナは、燃焼室の内部に少なくとも部分的に配置される。ボイラーは、凝縮ボイラーであってもよい。凝縮ボイラーは、排ガスの水蒸気を凝縮して気化潜熱を回収することで、高いエネルギー効率を実現する。これは、凝縮ボイラーが、非凝縮ボイラーと比較して、より少ないCO2を排出しながら、より少ない燃料および電力を使用するという追加の利点を有する。
【0061】
ボイラーおよび/またはガス加熱器は、通信装置、特にサーバと通信するための通信手段を有することができる。通信は、データラインを介して、または無線で確立することができる。ボイラーおよび/またはガス加熱器は、遠隔制御できるように構成することができる。制御は、例えば、モバイルデバイスまたはコンピュータにインストールされたアプリケーションによって可能である。これにより、ボイラーおよび/またはガス加熱器の制御および/またはメンテナンスが簡単になる。
【0062】
有利な実施形態によれば、加熱システムが設けられる。加熱システムは、燃料電池および/またはヒートポンプ、好ましくはガス吸収ヒートポンプ、および/または少なくとも1つの光起電力(PV)モジュールを備えることができる。PVモジュールは、例えばヒートポンプの回路で再循環している流体を加熱するために使用することができる。
【0063】
さらに、有利な実施形態は、プログラムが制御部によって実行されると、制御部に本発明の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品である。さらに、コンピュータプログラムが格納されるデータキャリアが設けられ、および/またはコンピュータプログラムを送信するデータキャリア信号が供給される。
【0064】
図では、本発明の主題が概略的に示されており、同一または同様に作用する要素には通常、同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】ガス加熱器の概略図である。
図2図1に示すガス加熱器の一部の概略図である。
図3】ガス加熱器の点火処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1に示すガス加熱器1は、ガスと燃料ガスとが混合される混合室2を備える。混合ガスは、混合室2を出てガス加熱器1のバーナ12に供給される。さらに、ガス加熱器1は、混合室2の上流に配置され、ガス、特に周囲空気を吸引するために使用されるファン13を備える。第1センサ7は、ファン13の上流側に設けられており、ガス量の判定に用いられる。しかしながら、第1センサ7は、ファン13の下流側に設けることもできる(図示せず)。これにより、第1センサ7は、混合室2に流入する前のガスのガス量を検知する。
【0067】
ガス加熱器1は、燃料ガス弁6を備える。燃料ガス弁6は、混合室2への燃料ガスの流れを制御する。第2センサ8は、燃料ガス弁6の下流に配置され、混合室2の上流に配置される。第2センサ8は、燃料ガスが混合室2に流入する前の燃料ガス量を判定する。燃料ガスは、図示しない燃料ガスタンクに貯留される。
【0068】
ガス加熱器1はまた、図2に示す制御部9を備える。制御部9は、判定されたガス量および/または判定された燃料ガス量に基づいて、ガス加熱器1の少なくとも1つの動作条件が満たされているかどうかを判定するように適合される。
【0069】
ガス加熱器1は、混合室2の下流かつバーナ12の上流に配置されたマニホールド14を備える。マニホールド14は、バーナ12に混合ガスを供給するために使用される。詳細には図示しないが、バーナ12は、一部が燃焼室5に配置されている。燃焼室5は、図示されていない熱交換器も備えるボイラーの一部とすることができる。交換された熱は、水を加熱するために燃焼室と水との間で熱交換するために使用される。煙道ガスは、矢印で示すように燃焼室5を出る。
【0070】
ガス加熱器1は、バーナ12を点火するために使用される点火電極15を備える。特に、バーナ12に供給された混合ガスが点火される。点火後、バーナ12は燃焼室5を加熱する。
【0071】
ガス加熱器1の第3センサ16、特に検出器は、バーナの火炎を検出するために使用される。特に、第3センサ16は、火炎の有無を検出する。ガス加熱器1の温度センサ17は、バーナおよび/または燃焼室5に配置することができる温度を測定するために使用され、バーナが好ましい。さらに、ガス加熱器1は、ガス混合物(図示せず)の1つまたは複数の特性を測定するために第4センサを備えることができる。混合ガスの組成は、第4センサによって供給されるセンサ信号に基づいて判定することができる。
【0072】
図2は、図1に示すガス加熱器1の一部の概略図を示す。特に、図2は、点線の長方形の中に配置されている図1のガス加熱器1の部分を示す。それにおいて、第1および第2センサ7、8は、それらが制御部9と電気的に接続されていることを単に図解するために示されている。第1および第2センサ7、8の位置が図1に示されている。図2から明らかなように、ガス加熱器1は、アクチュエータ3およびさらなるアクチュエータ4を備える。アクチュエータ3は、ガスライン19のガス量を設定するために、ファン3、特にファンの速度を制御するために使用される。
【0073】
アクチュエータ3およびファン13は、互いに距離を置いて配置された2つの別個の構成要素である。別の図示しない実施形態では、アクチュエータ3をファン13に一体化することができる。さらなるアクチュエータ4および燃料ガス弁6は、互いに距離を置いて配置された2つの別個の構成要素である。別の図示しない実施形態では、さらなるアクチュエータ4を燃料ガス弁6に組み込むことができる。
【0074】
ガスライン19は、一端が混合室2と流体接続されている。別の端部では、ガスライン19は、図1に示すファン13と流体接続されている。さらなるアクチュエータ4は、燃料ガスライン20の燃料ガス量を設定するために流体ガス弁6を制御するために使用される。燃料ガスライン20は、端部で混合室2と流体接続されている。別の端部では、燃料ガスライン20は、図示しない燃料ガスタンクと流体接続されている。
【0075】
第1センサ7は、図1に示すようにファン13の上流に配置され、第2センサ8は、燃料ガス弁6の下流に配置される。両方のセンサ7、8は、混合室2の上流に配置される。図示されていない代替の実施形態では、センサ7は、ファン13の下流に配置することができる。図2から得られるように、両方のセンサ7、8および両方のアクチュエータ3、4は、点線で示すように制御部9に電気的に接続されている。制御部9は、判定されたガス量および判定され判定された燃料ガスに基づいて、少なくとも1つの条件、特にいくつかの条件が満たされているかどうかを判定する。制御部9は、点線で示すように、判定結果に基づいて、アクチュエータ3および他のアクチュエータ4を制御する。
【0076】
図3に、ガス加熱器1の加熱プロセスのフローチャートを示す。加熱プロセスは、この場合、点火プロセスである。しかしながら、本発明の方法によるガス加熱器1の動作は、バーナ12の点火プロセスに限定されない。
【0077】
第1のステップS1において、加熱プロセスが開始される。これにより、制御部9は、加熱要求を受信する。その後、第2のステップS2において、制御部9は、センサ信号制御を実行し、第3のステップS3において、センサが動作しているかおよび/または動作モードにあるかどうかを検証する。検証が成功しなかった場合、加熱プロセスは中止される。
【0078】
第3のステップS3で検証に成功した場合、第4のステップS4でファン13を起動する。ファンが起動された後、第5のステップS5において、第1センサ7はガス量の判定を開始し、センサ信号を制御部9に送信する。第6のステップS6において、制御部9は、ガス加熱器1の動作条件が満たされているか否かをチェックする。特に、制御部9は、判定されたガス量が所定のガス量に対応するか否かをチェックする。これにより、制御部9は、測定された差圧が所定の差圧に対応するか否かをチェックする。所定のガスの質は、バーナ12が供給しなければならない動力に依存する。
【0079】
判定されたガス量が所定のガス量に対応しない場合、制御部9はアクチュエータ3に制御信号を送り、ステップS5、S6が繰り返される。混合室2は、制御信号がアクチュエータ3に送られる前に後換気することができる。所定の量の試行後、判定されたガス量が所定のガス量と対応しない場合、加熱プロセスは中止される。
【0080】
しかし、制御部9は、第6のステップS6において、判定されたガス量が所定のガス量に対応していると判定した場合、第7のステップS7において、点火電極15がスパークする。その後、第8のステップS8において、燃料ガス弁が開かれ、第2センサ8が燃料ガス量の判定を開始する。
【0081】
第9のステップS9において、制御部9は、さらなる動作条件が満たされているかどうかを判定する。特に、制御部9は、判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量に対応するか否かをチェックする。具体的には、制御部9は、判定した点火ランプが所定の点火ランプに対応するか否かをチェックする。この場合、第10のステップS10において加熱プロセスが継続される。
【0082】
第10のステップS10において、制御部9は、他の動作条件が満たされているかどうかを判定する。特に、制御部9は、火炎の有無を判定する。第3センサ16が火炎の存在を検出した場合、第11のステップS11において、テンペレートセンサ17が燃焼室5の温度を測定する。また、制御部9は、第11のステップS11において、追加の動作条件が満たされているか否かを判定する。特に、制御部9は、測定された温度が閾値を上回っているかどうかをチェックする。この場合、加熱プロセスは首尾よく終了する。
【0083】
第9のステップS9において、制御部9が、判定された燃料ガス量が所定の燃料ガス量に対応しない、および/または測定された点火ランプが所定の点火ランプに対応しないと判定した場合、燃料ガス弁6は閉じられる。同様に、第10のステップS10において、第3センサ16によって火炎が検出されない場合、燃料ガス弁6は閉じられる。いずれの場合も、混合室2は後換気され、処理ステップS7~S10が繰り返される。しかしながら、処理ステップS5およびS6について上述したように、処理ステップS7~S10は、所定の量の試行についてのみ繰り返される。前述のさらなる条件、他の条件および追加の条件が前記所定量の試行の中で満たされない場合、加熱プロセスは中止される。
【0084】
制御部9は、第11のステップS11において、温度が閾値に満たないと判定した場合、加熱プロセスを中止する。
【符号の説明】
【0085】
1 ガス加熱器
2 混合室
3 アクチュエータ
4 さらなるアクチュエータ
5 燃焼室
6 燃料ガス弁
7 第1センサ
8 第2センサ
9 制御部
12 バーナ
13 ファン
14 マニホールド
15 点火電極
16 第3センサ
17 温度センサ
19 ガスライン
20 燃料ガスライン
S1-S11 第1から第11のステップ
図1
図2
図3
【国際調査報告】