IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-506983イソシアヌレートポリマーを製造するための低粘度触媒組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】イソシアヌレートポリマーを製造するための低粘度触媒組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/28 20060101AFI20240207BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C08G18/28 005
C08G18/32 006
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550566
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2022054027
(87)【国際公開番号】W WO2022179939
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】21158884.3
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヘッキング,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ライデンバッハ,ニコレ
(72)【発明者】
【氏名】レスカー,エステレ
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034CA02
4J034CA04
4J034CB01
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034CD01
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC26
4J034QB03
4J034QB08
4J034QB11
4J034QD03
(57)【要約】
本発明は、(i)アミン触媒のウレタン、チオウレタンおよびウレア付加物ならびに(ii)3~12個の炭素原子を有するγ-ジオールを含む触媒組成物、ならびに脂肪族、脂環式、芳香脂肪族または芳香族に結合したイソシアネート基を互いに架橋するためのそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 式(I)
【化1】
〔式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびイソブチル、分岐C5-アルキル、非分岐C5-アルキル、分岐C6-アルキル、非分岐C6-アルキル、分岐C7-アルキルおよび非分岐C7-アルキルからなる群から選択され;
は、プロピレン、ブチレン、ペンチレンおよび式(II)
【化2】
〔ここで、式(II)のAは、O、SおよびNRからなる群から選択され、ここで、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびイソブチル、好ましくはHおよびメチルからなる群から選択される〕
の基からなる群から選択され、好ましくはブチレンおよび式(II)の基から選択され;および
Bは、Aから独立して、OH、SH、NHRおよびNHからなる群から選択され、ここで、Rは、メチル、エチルおよびプロピル、好ましくはメチルからなる群から選択される〕
の化合物および少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物の少なくとも1つの付加物;および
b) 3~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのγ-ジオール
を含む組成物。
【請求項2】
前記γ-ジオールが1,3-ジオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記1,3-ジオールが、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび2-エチルヘキサン-1,3-ジオールからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
その成分a)およびb)の重量に基づいて、少なくとも90重量%になる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分b)および成分a)の間の重量比が、1:1~1:100の間である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分b)およびa)の重量比が、回転粘度計を用いてDIN EN ISO 3219に従って決定される組成物の粘度が、100,000mPa*sを超えないように選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
イソシアヌレート基を形成するための触媒組成物としての、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項8】
前記イソシアヌレート基が、脂肪族および/または脂環式に結合したイソシアネート基を有するイソシアネート基から形成される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
ポリイソシアヌレートプラスチックが、複合材料のマトリックスとして形成される、請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
ポリイソシアヌレートプラスチックの製造方法であって、以下の
a) 請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物を提供するステップ;
b) 少なくとも3:1のイソシアネート基対イソシアネート反応性基のモル比率を有する反応混合物が形成されるように、方法ステップa)において提供される組成物を、ポリイソシアネート組成物と50℃を超えない温度で混合するステップ;および
c) 方法ステップb)において得られた反応混合物を、60℃~300℃の間の温度で硬化させるステップ
を含む、前記方法。
【請求項11】
前記ポリイソシアネート組成物が、少なくとも50重量%のもっぱら脂肪族および/または脂環式に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1,000より大きいアスペクト比を有する繊維状充填剤が、開始方法ステップc)の前に、方法b)で得られた反応混合物に添加される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
方法ステップc)が、方法ステップb)の終了の2~24時間後に開始される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応が前記時間の範囲内でゲル点に達しない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項10~14のいずれか一項に記載の方法によって得られるか、または得ることができるポリイソシアヌレートプラスチック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)アミン触媒のウレタン、チオウレタンおよびウレア付加物、ならびに(ii)3~12個の炭素原子を有するγ-ジオールを含む触媒組成物、ならびに脂肪族、脂環式、芳香脂肪族または芳香族に結合したイソシアネート基を互いに架橋するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートの架橋による、すなわちチオール、ヒドロキシルおよびアミノ基の関与なしのポリイソシアヌレートプラスチックの製造は、例えばEP 3 286 240から知られている。複合材料のマトリックスにおけるそのようなプラスチックの使用も開示されている(例えば、EP 3 452 529)。
【0003】
芳香族ポリイソシアネートの三量化に使用される触媒の大部分(例えば、J.H.Saunders、K.C.Frisch;Polyurethane Chemistry and Technology、94ff、1962を参照されたい)は、はるかに反応性の低い脂肪族および脂環式ポリイソシアネートの三量化には適していない。多くの化合物が脂肪族ジイソシアネートのオリゴマー化に有効であることが証明されている(例えば、H.J.Laasら、J.Prakt.Chem.1994、336、185ff.を参照されたい)。しかしながら、オリゴマーポリイソシアネートの三量化のために、これらの化合物は、高温での長い反応時間が必要とされるほど触媒活性を欠くか、または三量体化反応を制御することができないほど反応性が高すぎるかのいずれかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3286240号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3452529号明細書
【特許文献3】国際公開2019/197638号
【特許文献4】欧州特許出願公開第3774980号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2021/047538号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J.H.Saunders、K.C.Frisch;Polyurethane Chemistry and Technology、94ff、1962
【非特許文献2】H.J.Laasら、J.Prakt.Chem.1994、336、185ff.
【発明の概要】
【0006】
室温での活性が低く、高温での反応性が高い触媒は、引抜成形法を用いてオリゴマー脂肪族または脂環式ポリイソシアネートから得られるポリイソシアヌレートマトリックスを有する複合材料の製造に特に必要である。この方法は、繊維強化複合材料の連続的な、したがって経済的な製造に特に適している。このような熱潜在性触媒は、WO2019/197638に開示されている。これらの触媒の1つの欠点は、室温(23℃)で少なくとも250Pa*sの比較的高い粘度である。前記粘度は、オリゴマーポリイソシアネートと、完璧なマトリックス材料を得るための前提条件である触媒との均一な混合に課題をもたらす。したがって、公知の化合物と同様の活性プロファイルを有するが、室温で粘度が低下する触媒配合物が必要であった。さらに、触媒配合物が完成したポリイソシアヌレートプラスチックの物理的特性に悪影響を与えないことが重要であった。この問題は、以下に定義される実施形態および特許請求の範囲によって解決された。
【0007】
EP 3 774 980は、HDIベースのイソシアヌレートおよび触媒としてN,N,N’-トリエチルエタノールアミンを含む反応混合物を記載している。同様に、US2021/047538は、HDIベースのポリイソシアネート、三量化触媒としての2[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール、および溶媒としてのメトキシプロピルアセテートを含む反応混合物を記載している。2つの文献のいずれも、γ-ジオールの存在を開示していない。
【0008】
第1の実施形態において、本発明は、
a) 式(I)
【化1】
〔式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびイソブチル、分岐C5-アルキル、非分岐C5-アルキル、分岐C6-アルキル、非分岐C6-アルキル、分岐C7-アルキルおよび非分岐C7-アルキルからなる群から選択され;
は、プロピレン、ブチレン、ペンタレンおよび式(II)
【化2】
〔ここで、式(II)のAは、O、SおよびNRからなる群から選択され、ここで、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびイソブチル、好ましくはHおよびメチルからなる群から選択される〕
の基からなる群から選択され、好ましくはブチレンおよび式(II)の基から選択され;および
Bは、Aから独立して、OH、SH、NHRおよびNHからなる群から選択され、ここで、Rは、メチル、エチルおよびプロピル、好ましくはメチルからなる群から選択される〕
の化合物および少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物の少なくとも1つの付加物;および
b) 3~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのγ-ジオール
を含む組成物に関する。
【0009】
が、式(II)の基である場合、式(III)
【化3】
の化合物が生じる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
式(I)の化合物の好ましい変種
本発明の好ましい実施形態において、Rは、式(II)の基であり、ここで、Aは、NRであり、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびイソブチルからなる群から選択される。Rが、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。Rが、メチルである場合が特に好ましい。
【0011】
この実施形態の第1の変形において、Bは、OHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立してH、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRがメチルである場合が特に好ましい。
【0012】
この実施形態の第2の変形において、Bは、SHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立してH、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRがメチルである場合が特に好ましい。
【0013】
この実施形態の第3の変形において、Bは、NHRであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立してH、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRがメチルである場合が特に好ましい。この変形においてRは、メチル、エチルおよびプロピルからなる群より選択される。Rが、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。Rがメチルである場合が特に好ましい。
【0014】
この実施形態の第4の変形において、Bは、NHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立してH、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRがメチルである場合が特に好ましい。
【0015】
別の好ましい実施形態において、Rは、式(II)による基であり、ここで、Aは酸素である。
【0016】
この実施形態の第1の変形において、BはOHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立してH、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRがメチルである場合が特に好ましい。
【0017】
この実施形態の第2の変形において、Bは、SHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立してH、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRがメチルである場合が特に好ましい。
【0018】
この実施形態の第3の変形において、Bは、NHRであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRがメチルである場合が特に好ましい。この変形において、Rは、メチル、エチルおよびプロピルからなる群より選択される。Rが、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。Rが、メチルである場合が特に好ましい。
【0019】
この実施形態の第4の変形において、Bは、NHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施形態において、Rは、式(II)による基であり、ここで、Aは、硫黄である。
【0021】
この実施形態の第1の変形において、Bは、OHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。
【0022】
この実施形態の第2の変形において、Bは、SHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。
【0023】
この実施形態の第3の変形において、Bは、NHRであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。この変形において、Rは、メチル、エチルおよびプロピルからなる群より選択される。Rが、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。Rが、メチルである場合が特に好ましい。
【0024】
この実施形態の第4の変形において、Bは、NHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施形態において、Rは、ブチレン基である。
【0026】
この実施形態の第1の変形において、Bは、OHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。
【0027】
この実施形態の第2の変形において、Bは、SHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立してH、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。
【0028】
この実施形態の第3の変形において、Bは、NHRであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。この変形において、Rは、メチル、エチルおよびプロピルからなる群より選択される。Rが、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。Rが、メチルである場合が特に好ましい。
【0029】
この実施形態の第4の変形において、Bは、NHであり、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、分枝C5-アルキル、非分枝C5-アルキル、分枝C6-アルキル、非分枝C6-アルキル、分枝C7-アルキルおよび非分枝C7-アルキルからなる群から選択される。RおよびRが互いに独立して、H、メチルまたはエチルである場合が好ましい。RおよびRが、メチルである場合が特に好ましい。
【0030】
上位の用語「付加物」は、少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物との式(I)の化合物のウレタン、チオウレタンおよびウレア付加物を意味すると理解されるべきである。ウレタン付加物が特に好ましい。本発明による付加物は、イソシアネートが式(I)で定義される化合物の官能基Bと反応するときに形成される。Bがヒドロキシル基である場合、ウレタン付加物が形成される。Bがチオール基である場合、チオウレタン付加物が形成される。BがNHまたはNHRである場合、ウレア付加物が形成される。Rおよび/またはRが水素である限り、これは同様にウレア付加物を形成する。
【0031】
本発明による付加物を製造するための想定されるイソシアネートは、原則として全てのイソシアネートを含む。好適なイソシアネートの選択は、脂肪族、芳香脂肪族および脂環式に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートに限定されない。したがって、芳香族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートも同様に使用可能である。モノマーおよびオリゴマーのポリイソシアネートも好適である。好適なイソシアネートは少なくとも1つのイソシアネート基を含まなければならないので、モノイソシアネートも同様に本発明による付加物を製造するのに好適である。さらに、任意のイソシアネート官能性プレポリマーを使用することが可能である。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、付加物を製造するために使用されるイソシアネートは、MDI、TDI、XDI、TXDI、BDI、HDI、PDI、IPDI、オリゴマー化HDI、オリゴマー化PDIおよびオリゴマー化IPDI、上記イソシアネートの混合物、および上記イソシアネートの反応生成物(これらの反応生成物は、これらの反応生成物がなお少なくとも1つの遊離イソシアネート基を含有する)からなる群から選択される。
【0033】
本発明が熱潜在性触媒を製造することを意図する場合、脂肪族または脂環式に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートを使用することが好ましく、より好ましくは脂肪族に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、さらにより好ましくはHDIを使用する。前記イソシアネートは、モノマー形態またはオリゴマー形態であってもよい。オリゴマー脂肪族ポリイソシアネート、特にオリゴマーHDIの使用が非常に特に好ましい。本発明の基礎となる研究は、式(I)の化合物と脂肪族イソシアネートの付加物が、脂肪族および芳香族ポリイソシアネートの両方の架橋において熱潜在性挙動を示すことを示した。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による付加物を製造するために使用されるイソシアネート組成物は、少なくとも20mol%、好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも70mol%、さらにより好ましくは少なくとも80mol%、最も好ましくは少なくとも90mol%の、脂肪族または脂環式に結合しているイソシアネート基を含有する。上記の割合のイソシアネート基が脂肪族に結合している場合が特に好ましい。本発明による付加物を製造するために使用されるイソシアネート組成物が、少なくとも95mol%の脂肪族に結合したイソシアネート基を含有し、特にHDIの構成成分として含有する場合が、非常に特に好ましい。
【0035】
対照的に、非常に高い反応速度を達成する触媒が望まれる場合、芳香族に結合したイソシアネート基を有する付加物を使用することが好ましい。これらのイソシアネートもまた、モノマー形態またはオリゴマー形態であり得る。
【0036】
脂肪族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートおよび芳香族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートの混合物に基づく付加物が、有利な特性を有することが示されている。脂肪族に結合したイソシアネート基を有する少なくとも50重量%のイソシアネートおよび芳香族に結合したイソシアネート基を有する5重量%~50重量%のイソシアネートを含む前述のポリイソシアネート種の混合物をベースとする付加物は、多くの温度で、脂肪族に結合したイソシアネート基を有する純粋なポリイソシアネートをベースとする付加物の粘度よりも低い粘度を有する。同時に、これらの付加物は、より低い温度で十分なポットライフを維持しながら、反応速度の増大を示す。したがって、そのような付加物は、その低粘度のために容易に加工することができ、迅速な反応を可能にするために、反応混合物に大量に添加する必要がない。
【0037】
したがって、特に好ましい実施形態において、本発明は、式(I)の化合物、少なくとも1つの脂肪族に結合したイソシアネート基を有する少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つの芳香族に結合したイソシアネート基を有する少なくとも1つのさらなる化合物の付加物に関し、ここで、第1の化合物は、付加物を調製するために使用されるすべてのイソシアネートの少なくとも50重量%を構成し、第2の化合物は、付加物を調製するために使用されるすべてのイソシアネートの5重量%~50重量%を構成する。5:95~35:65(芳香族イソシアネート:脂肪族イソシアネート)の重量比の範囲がより好ましい。5:95~20:80(芳香族イソシアネート:脂肪族イソシアネート)の重量比の範囲が最も好ましい。
【0038】
付加物を調製するために使用される全てのイソシアネートの合計が少なくとも90重量%となる上記のパーセンテージが好ましく、合計が少なくとも98重量%となることがより好ましい。脂肪族に結合したイソシアネート基を有する好適なイソシアネートは、本出願において以下に開示される。好ましいのは、モノマーHDI、モノマーPDI、オリゴマーHDIおよびオリゴマーPDIである。芳香族に結合したイソシアネート基を有する好適なイソシアネートもまた、本出願において以下に開示される。好ましいのはMDIである。
【0039】
「上記イソシアネートの反応生成物」は、列挙されたイソシアネートの1つの、さらなるイソシアネートとの、アミン、チオールもしくはアルコールとのまたはアミン、チオールもしくはアルコールおよびさらなるイソシアネートの組み合わせとの反応によって形成される化合物である。ここで関係するのは、式(I)に適合しないアミン、チオールおよびアルコールである。本発明にとって、反応生成物が、式(I)の化合物と反応して本発明による付加物を形成し得る少なくとも1つの遊離イソシアネート基を依然として含むことが重要である。反応生成物として特に好ましいのはイソシアネート含有プレポリマーであり、より具体的には以下に定義される。
【0040】
付加物の製造
本発明による付加物の製造において、使用されるイソシアネートまたは使用されるイソシアネートおよび式(I)の化合物の遊離イソシアネート基の化学量論は、好ましくは存在する遊離イソシアネート基に対する官能基Bのモル比が0.3:1.0~1.6:1.0、好ましくは0.9:1.0~1.4:1.0の間であるように選択される。
【0041】
本発明の特に好ましい実施形態において、少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基に対する式(I)の化合物中の全てのイソシアネート反応性基のモル比は、少なくとも1.0:1.0、より好ましくは1.0:1.0~1.4:1.0である。この実施形態は、完成した付加物/完成した触媒組成物が、もはや遊離イソシアネート基を含まないことを特徴とする。未反応のイソシアネート基が完成した触媒組成物中に存在する場合、触媒は貯蔵中に、これらのイソシアネート基を互いにゆっくりと架橋させ、したがって触媒組成物の粘度を増加させる。完成した触媒組成物中の未反応のイソシアネート基の量が高すぎる場合、粘度の増加は触媒組成物の有用性を損ない、その完全な硬化をもたらすことさえあり得、その結果、架橋されるべきイソシアネートと触媒組成物との混合は不可能である。
【0042】
本発明による付加物の製造は、当業者に公知のウレタン、チオウレタンまたはウレアを製造するための任意の方法によって行うことができる。これが、式(I)の化合物および使用されるイソシアネートのゆっくりとした混合によって行われる場合、特に有利である。反応は一般に、自己触媒手段によって進行する。触媒を添加せずに反応速度が不十分であれば、公知のウレタン、チオウレタンおよびウレア形成触媒を利用することができる。
【0043】
好ましい実施形態において、イソシアネートは、任意に冷却しながら触媒にゆっくりと添加される。
【0044】
さらに好ましい実施形態において、イソシアネートおよび触媒は、任意に冷却されたスタティックミキサーまたは反応性ミキサー内で定量的に混合され、任意に冷却された反応管内で反応される。
【0045】
さらに好ましい実施形態において、イソシアネートおよび触媒は、冷却されたスタティックミキサー内で定量的に混合され、反応される。
【0046】
最適な色数の生成物を得ることができるので、触媒のイソシアネートとの反応が、100℃以下、好ましくは80℃以下、特に好ましくは60℃以下、非常に特に好ましくは40℃以下の温度で、好ましくは保護ガス下で行う場合が好ましい。温度は特定のイソシアネートの凝固点より高くなければならず、反応は好ましくは0℃の最低温度で行われる。
【0047】
ポリイソシアネート
本出願において、用語「ポリイソシアネート」は、平均して少なくとも1.8個、好ましくは少なくとも2.0個、特に好ましくは2.1個のイソシアネート基を含む任意の化合物を意味すると理解されるべきである。対照的に、「モノイソシアネート」は、1分子あたり平均で1.6個以下のイソシアネート基を有する、特に1分子あたり1個のイソシアネート基のみを有する化合物を意味すると理解されるべきである。
【0048】
本出願において、用語「ポリイソシアネート」は、モノマーおよび/またはオリゴマーの両方のポリイソシアネートを指す。しかしながら、本発明の多くの態様を理解するために、モノマージイソシアネートとオリゴマーポリイソシアネートとを区別することが重要である。本出願において「オリゴマーポリイソシアネート」に言及する場合、これは、少なくとも2つのモノマージイソシアネート分子から形成されるポリイソシアネート、すなわち、少なくとも2つのモノマージイソシアネート分子から形成される反応生成物を構成または含有する化合物である。
【0049】
オリゴマーイソシアネート
オリゴマーイソシアネートは、モノマーイソシアネートの「変性」によって得られる。「変性」は、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するオリゴマーポリイソシアネートを得るためのモノマージイソシアネートの反応を意味すると理解されるべきである。好ましくは、オリゴマーイソシアネートの製造のための反応物として使用されるのはジイソシアネートである。
【0050】
したがって、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)は、2つのイソシアネート基を含有し、少なくとも2つのポリイソシアネート分子の反応生成物ではないので、「モノマージイソシアネート」である:
【化4】
対照的に、少なくとも2つのイソシアネート基をなお有する少なくとも2つのHDI分子の反応生成物は、本発明の文脈において「オリゴマーポリイソシアネート」である。モノマーHDIから派生したこのような「オリゴマーポリイソシアネート」の代表的なものには、例えば、3つのモノマーHDI単位からそれぞれ構築されたHDIイソシアヌレートおよびHDIビウレットが含まれる:
【化5】
ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するオリゴマーポリイソシアネートの製造方法は、例えばJ、.Prakt.Chem.336(1994)185-200、DE-A 1 670 666、DE-A 1 954 093、DE-A 2 414 413、DE-A 2 452 532、DE-A 2 641 380、DE-A 3 700 209、DE-A 3 900 053およびDE-A 3 928 503またはEP-A 0 336 205、EP-A 0 339 396およびEP-A 0 798 299に記載されている。
【0051】
変性のための出発材料として、以下に定義されるモノマーイソシアネートが使用される場合、特に好ましい。
【0052】
脂肪族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネート
脂肪族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートにおいて、全てのイソシアネート基は、開いた炭素鎖の一部である炭素原子に結合している。これは、1つ以上の部位で不飽和であってもよい。脂肪族に結合したイソシアネート基、または-ポリイソシアネートの場合-脂肪族に結合したイソシアネート基(複数)は、好ましくは炭素鎖の末端炭素原子に結合している。
【0053】
本発明に従って特に好適な脂肪族に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートは、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサンおよび1,10-ジイソシアナトデカンである。
【0054】
脂環式に結合したイソシアネート基を有するイソシアネート
脂環式に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートにおいて、全てのイソシアネート基は、炭素原子の閉環の一部である炭素原子に結合している。この環は、二重結合の存在の結果として芳香族性を獲得しない限り、1つ以上の部位で不飽和であってもよい。
【0055】
本発明に従って特に好適な脂環式に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートは、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアノト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1-イソシアノト-1-メチル-4(3)-イソシナトメチルシクロヘキサン、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメイル)ノルボルナン(NBDI)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-2,2’,5,5’-テトラメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタンおよび1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタンである。
【0056】
芳香脂肪族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネート
芳香脂肪族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートにおいて、全てのイソシアネート基は、芳香環に結合しているメチレン基に結合している。
【0057】
本発明に従って特に好適な脂肪族に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートは、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシキシリレンジイソシアネート;XDI)、1,3-および1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)およびビス(4-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)フェニル)カーボネートである。
【0058】
本発明によれば、重合性組成物は、モノマーおよび/またはオリゴマー形態の上述のイソシアネートの任意の所望の混合物を含有することができる。
【0059】
芳香族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネート
芳香族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートにおいて、全てのイソシアネート基は、芳香環の一部である炭素原子に直接結合している。
【0060】
本発明に特に適している芳香族に結合したイソシアネート基を有するイソシアネートは、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)および1,5-ジイソシアナトナフタレンである。
【0061】
モノイソシアネート
本発明に特に適したモノイソシアネートは、n-ブチルイソシアネート、n-アミルイソシアネート、n-ヘキシルイソシアネート、n-ヘプチルイソシアネート、n-オクチルイソシアネート、ウンデシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、テトラデシルイソシアネート、セチルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、シクロペンチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、3-または4-メチルシクロヘキシルイソシアネート、メチルベンジルイソシアネート、メチルイソシアネート、(トリメチルシリル)イソシアネート、1-ナフチルイソシアネート、3-メチル-2-ブチルイソシアネート、1-(4-メトキシフェニル)エチルイソシアネート、1-(3-メトキシフェニル)エチルイソシアネート、1-フェニルプロピルイソシアネート、2-オクチルイソシアネート、2-ヘプチルイソシアネート、4-ブチル-2-メチルフェニルイソシアネート、3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、2-ベンジルオキシシクロヘキシルイソシアネート、1-(4-クロロフェニル)エチルイソシアネート、2-ノニルイソシアネート、1-(4-ブロモフェニル)エチルイソシアネート、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イルイソシアネート、p-フェニルアゾフェニルイソシアネート、フェニルイソシアネート、エチルイソシアネート、クロロスルホニルイソシアネート、アリルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、プロピルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フルフリルイソシアネート、プロピルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、トリクロロアセチルイソシアネート、ベンゾイルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、p-トリルイソシアネート、o-トリルイソシアネート、m-トリルイソシアネート、3,4-ジメトキシフェニルイソシアネート、2,4-ジメトキシフェニルイソシアネート、3,5-ジメトキシフェニルイソシアネート、2,5-ジメトキシフェニルイソシアネート、tert-ブチルイソシアネート、3,5-ジメチルフェニルイソシアネート、2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、4-エチルフェニルイソシアネート、4-メチルベンジルイソシアネート、2-メチルベンジルイソシアネート、3-メチルベンジルイソシアネート、4-メトキシフェニルイソシアネート、4-tert-ブチルフェニルイソシアネート、2-メトキシフェニルイソシアネート、3,4,5-トリメトキシフェニルイソシアネート、2,4-ジメトキシベンジルイソシアネート、4-フェニルブチルイソシアネート、4-エチルフェネチルイソシアネート、4-メトキシベンジルイソシアネート、ベンゼンスルホニルイソシアネート、2-メトキシベンジルイソシアネート、3-エトキシフェニルイソシアネート、3-メトキシベンジルイソシアネート、2,2-ジフェニルエチルイソシアネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルイソシアネート、2-エチルヘキシルイソシアネート、4-ビフェニルイソシアネート、3-フェニルプロピルイソシアネート、2,3-ジメトキシフェネチルイソシアネート、デシルイソシアネート、シクロヘキサンメチルイソシアネート、3,4-メチルレンジオキシフェネチルイソシアネート、3,4-ジメトキシフェネチルイソシアネート、5-インダニルイソシアネート、シクロヘプチルイソシアネート、2-フェニルシクロプロピルイソシアネート、1-シクロヘキシルエチルイソシアネート、4-ニトロフェニルイソシアネート、1-アダマンチルイソシアネート、2-ニトロフェニルイソシアネート、3-ニトロフェニルイソシアネート、ピリジン-3-イソシアネート、クロロアセチルイソシアネート、2,6-ジイソプロピルフェニルイソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート、4-アセチルフェニルイソシアネート、5-フェノキシフェニルイソシアネート、4-ペンチルフェニルイソシアネート、3-フェノキシフェニルイソシアネート、p-トルエンスルホニルイソシアネート、2-クロロエチルイソシアネート、2-ブロモフェニルイソシアネート、3-クロロフェニルイソシアネート、2-クロロフェニルイソシアネート、4-ブロモフェニルイソシアネート、4-クロロフェニルイソシアネート、2-ナフチルイソシアネート、4-フルオロフェニルイソシアネート、2-ブロモエチルイソシアネート、4-シアノフェニルイソシアネート、3,4-ジクロロフェニルイソシアネート、2,3,4-トリフルオロフェニルイソシアネート、3-シアノフェニルイソシアネート、2,6-ジクロロフェニルイソシアネート、ジエトキシホスフィニルイソシアネート、2,4-ジクロロフェニルイソシアネート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルイソシアネート、4-フルオロベンジルイソシアネート、2-フルオロフェニルイソシアネート、3-クロロプロピルイソシアネート、3-フルオロフェニルイソシアネート、4-ヨードフェニルイソシアネート、3,5-ジクロロフェニルイソシアネート、4-クロロベンゼンスルホニルイソシアネート、2,4,6-トリブロモフェニルイソシアネート、2-ヨードフェニルイソシアネート、3,4-ジフルオロフェニルイソシアネート、3-ブロモフェニルイソシアネート、2,4-ジクロロベンジルイソシアネート、2,5-ジフルオロフェニルイソシアネート、2-ベンジルフェニルイソシアネート、2-フルオロベンジルイソシアネート、4-フルオロフェネチルイソシアネート、ペンタフルオロフェニルイソシアネート、2,4-ジクロロフェネチルイソシアネート、4-クロロベンジルイソシアネート、ジフェニルメチルイソシアネート、トリブチルチンイソシアネート、2-クロロベンゼンスルホニルイソシアネート、2-クロロベンジルイソシアネート、3,3-ジフェニルプロピルイソシアネート、3,4,5-トリメトキシベンジルイソシアネート、3-クロロフェネチルイソシアネート、3-フルオロベンジルイソシアネート、2,6-ジフルオロフェニルイソシアネート、3-ヨードフェニルイソシアネート、2,4-ジフルオロフェニルイソシアネート、2-シアノフェニルイソシアネート、2-フルオロフェネチルイソシアネート、2-チエニルイソシアネート、3,4-ジクロロベンジルイソシアネート、3,4-ジクロロフェネチルイソシアネート、4-ベンジルフェニルイソシアネート、4-ブロモベンジルイソシアネート、4-フルオロベンゾスルホニルイソシアネート、mPEG5Kイソシアネート、3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イルイソシアネート、2-メトキシ-5-メチルフェニルイソシアネート、2-(4-ビフェニル)エチルイソシアネート、2-エチル-6-メチルフェニルイソシアネート、2-メチル-5-フェニル-3-フリルイソシアネート、1-(1-ナフチル)エチルイソシアネート、3,4-(メチレンジオキシ)フェニルイソシアネート、2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イルイソシアネート、4-メトキシ-2-ニトロフェニルイソシアネート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4-(マレイミド)フェニルイソシアネート、4-(ジメチルアミノ)フェニルイソシアネート、3-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4-(クロロスルホニル)フェニルイソシアネート、3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、3-クロロ-4-メチルフェニルイソシアネート、4-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、2-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)、4-(クロロメチル)フェニルイソシアネート、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、9H-フルオレン-2-イルイソシアネート、2-(クロロメチル)フェニルイソシアネート、2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、2-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4-(ベンジルオキシ)フェニルイソシアネート、4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4-フルオロ-3-メチルフェニルイソシアネート、3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4-クロロ-2-フルオロフェニルイソシアネート、5-フルオロ-2-メチルフェニルイソシアネート、2,3-ジメチル-6-ニトロフェニルイソシアネート、2-(トリフルオロメトキシ)フェニルイソシアネート、2-フルオロ-5-メチルフェニルイソシアネート、4-(ジフルオロメトキシ)フェニルイソシアネート、4-メチル-2-ニトロフェニルイソシアネート、3-フルオロ-2-メチルフェニルイソシアネート、4-(トリフルオロメチルチオ)フェニルイソシアネート、4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、1-(4-フルオロフェニル)エチルイソシアネート、1-ベンゾチオフェン-5-イルイソシアネート、2-(ジフルオロメトキシ)フェニルイソシアネート、2-(チエン-2-イル)エチルイソシアネート、2-ブロモ-4,6-ジフルオロフェニルイソシアネート、2-クロロ-4,6-ジメチルフェニルイソシアネート、2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、2-クロロ-4-(トリフルオロメチルチオ)フェニルイソシアネート、2-クロロ-5-メチルフェニルイソシアネート、2-フルオロ-4-ヨードフェニルイソシアネート、3-ブロモ-2,4,6-トリメチルフェニルイソシアネート、3-クロロ-2-フルオロフェニルイソシアネート、3-クロロ-2-メチルフェニルイソシアネート、4-(トリフルオロメチル)ベンジルイソシアネート、4-ブロモ-2,6-ジフルオロフェニルイソシアネート、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、4-ブロモ-2-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4-ブロモ-2-クロロ-6-メチルフェニルイソシアネート、4-ブロモ-2-クロロ-6-メチルフェニルイソシアネート、4-ブロモ-2-エチルフェニルイソシアネート、4-クロロ-2-フェノキシフェニルイソシアネート、4-エトキシ-2-ニトロフェニルイソシアネート、4-フルオロ-2-ニトロフェニルイソシアネート、5-クロロ-2-メチルフェニルイソシアネート、5-クロロ-2-フェノキシフェニルイソシアネート、5-メチル-2-ニトロフェニルイソシアネート、5-フェニル-2-チエニルイソシアネート、6-フルオロ-4H-1,3-ベンゾジオキシン-8-イルイソシアネート、9H-フルオレン-9-イルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、エチルイソシアネート、トリクロロアセチルイソシアネート、1-フェニルエチルイソシアネート、エチルイソシアネートホルメート、イソシアナトホスホン酸ジクロリド、2-イソシアナトエチルメタクリレート、3-イソシアナト-4-メトキシビフェニル、2,4,6-トリクロロフェニルイソシアネート、トリフェニルシリルイソシアネート、2,6-ジブロモ-4-エチルフェニルイソシアネート、2-クロロ-4-ニトロフェニルイソシアネート、2-tert-ブチル-6-メチルフェニルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2-クロロフェニルイソシアネート)、4,5-ジメチル-2-ニトロフェニルイソシアネート、4-クロロ-2-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4-クロロ-2-ニトロフェニルイソシアネート、1-イソシアナト-2,3-ジメトキシベンゼン、3-イソシアナトペンタン、イソシアナトシクロブタン、イソシアナト(メトキシ)メタン、エチル(4-イソシアナトフェニル)アセテート、エチル4-(イソシアナトメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、1,1-ジメトキシ-2-イソシアナトエタン、1-クロロ-3-フルオロ-2-イソシアナトベンゼン、2-クロロ-3-フルオロフェニルイソシアネート、2-イソシアナト-3-メチル酪酸メチルエステル、2-イソシアナト-5-メチルベンゾニトリル、5-クロロ-
2-イソシアナトベンゾニトリル、5-エチル-2-イソシアナトベンゾニトリル、6-イソシアナトヘキサン酸メチルエステル、ジメチル2-イソシアナトテレフタレート、エチル2-イソシアナト-4-メチルバレレート、メチル2-イソシアナト-4-(メチルスルファニル)ブタノエート、メチル2-イソシアナト-4-メチルペンタノエート、エチルイソシアナトアセテート、フェニルイソシアナトホルメート、メチル4-イソシアナトベンゾエート、メチル3-イソシアナトベンゾエート、メチルイソシアナトホルメート、ジメチル5-イソシアナトイソフタレートおよびこのようなモノイソシアネートの任意の所望の混合物からなる群から選択される。
【0062】
チオイソシアネートも同様に好適である。好ましいチオイソシアネートは、4-フルオロベンジルイソチオシアネート、ジブチルチンジイソチオシアネート、2,6-ジフルオロフェニルイソチオシアネート、3-シアノフェニルイソチオシアネート、3-ニトロフェニルイソチオシアネートおよびフェニルイソシアネートからなる群から選択される。
【0063】
特に好ましいのは、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、オクタデシルイソシアネートおよびヘキシルイソシアネートからなる群から選択されるモノイソシアネートである。
【0064】
同様に適しているのは、上記のようなモノマーイソシアネートの変性によって得られるモノ-またはポリイソシアネートである。
【0065】
プレポリマー
本発明による付加物の製造に適したイソシアネート含有プレポリマーは、アルコール、アミンまたはチオールのポリイソシアネートとの反応によって得られる。イソシアネート反応性基に対してモル過剰のイソシアネート基が存在しなければならない。
【0066】
好適なアルコールは、一価または多価のモノマーアルコールであり、好ましくはヘキサノール、ブタンジオールからなる群から選択される。
【0067】
先行技術から公知のポリエーテルジオールおよびポリカーボネートジオールも、本発明による付加物を製造するのに適している。
【0068】
イソシアネート含有プレポリマーの製造のためのイソシアネートとして好ましいのは、モノマー形態のHDI、オリゴマー化HDIおよびそれらの混合物である。
【0069】
3~12個の炭素原子を有するγ-ジオール
用語「3~12個の炭素原子を有するγ-ジオール」は、さらなる炭素原子、好ましくはメチレン基によって連結された、炭素原子に結合した2個のヒドロキシル基を有する任意の化合物を指す。原則として、これらの要件を満たす任意のジオールが、本発明の組成物における使用に適している。これには分岐および非分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールが含まれるが、ただし、ヒドロキシル基を有する2個の炭素原子はさらなる炭素原子によって分離されている。
【0070】
より好ましくは、γ-ジオールは、1,3-ジオールである。好ましい1,3-ジオールは、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールである。
【0071】
1,3-ジオールは、分岐または非分岐の脂肪族ジオールであることが特に好ましい。好ましい分岐および非分岐の脂肪族ジオールは、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび2-エチルヘキサン-1,3-ジオールである。
【0072】
組成物
本発明の組成物は、貯蔵および輸送に適した触媒組成物である。したがって、組成物は、限られた濃度の遊離モノ-およびポリイソシアネートのみを含有することが好ましい。用語「遊離モノ-およびポリイソシアネート」は、少なくとも1つの遊離イソシアネート基を有し、上で定義された付加物の一部ではない全ての化合物を指す。付加物は、イソシアネート基の架橋を触媒してイソシアヌレート基を形成するので、遊離モノイソシアネートおよびポリイソシアネートの存在は、特に温度が不注意に上昇した場合、貯蔵または輸送中に遅い重合反応を引き起こす。
【0073】
したがって、本発明の組成物は、2重量%を超えない、好ましくは1重量%を超えない遊離モノイソシアネートおよびポリイソシアネートを含有することが好ましく、ここで、前述の重量パーセンテージは、組成物の総質量に基づく。
【0074】
本発明の組成物は、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%の、式(I)の化合物(成分a)の少なくとも1つの付加物と、3~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのγ-ジオール(成分b)とからなることも好ましい。
【0075】
好ましくは、成分b(γ-ジオール)と成分a(付加物)との重量比は、1:1~1:100、より好ましくは1:4~1:16、最も好ましくは1:6~1:12である。
【0076】
本発明の好ましい実施形態において、23℃における粘性が100Pa*s以下であるように(DIN EN ISO 3219に従って)、質量比が選択される。好ましくは、粘度は、回転粘度計を用いてDIN EN ISO 3219に従って測定される。
【0077】
この組成物は、イソシアヌレート基を形成するためにイソシアネート基の架橋を触媒する能力を有する。したがって、それは触媒組成物である。
【0078】
第2の実施形態において、本発明は、イソシアヌレート基の形成のための上記で定義された組成物の使用に関する。したがって、この実施形態は、触媒組成物としての組成物の使用に関する。
【0079】
イソシアヌレート基の構造は、本出願において上記に開示されている。それは、3つのイソシアネート基の付加によって形成される。したがって、本発明による使用は、本発明の組成物とイソシアネート組成物とを、組成物が関連する活性を示さない温度で混合することを伴う。そのような温度は50℃未満、好ましくは40℃未満の任意の温度である。次いで、イソシアヌレート基の形成は、混合物を少なくとも60℃、好ましくは少なくとも80℃の高温に曝すことによって行われる。温度は300℃を超えてはならない。イソシアネート組成物および触媒組成物を含む混合物は、「反応混合物」または「重合性組成物」と称される。
【0080】
重合性組成物の触媒含有量は、好ましくは0.1~8.0重量%、より好ましくは0.3~5.0重量%、さらにより好ましくは0.5~3.0重量%である。
【0081】
重合性組成物は、イソシアネート反応性基をある程度有する化合物を含むことができる。成分b自体がヒドロキシル基を有するので、これは実際には避けられない。しかしながら、望ましくない副反応を制限するために、重合性組成物中のイソシアネート反応性基に対するイソシアネート基のモル比は、好ましくは少なくとも3:1、より好ましくは少なくとも5:1、最も好ましくは少なくとも10:1である。用語「イソシアネート反応性基」は、ヒドロキシル、チオールおよびアミノ基を意味すると理解されるべきである。
【0082】
用語「イソシアネート組成物」は、成分aを除いて、反応混合物に添加される少なくとも1つのイソシアネート基を有する全ての化合物の全体を指す。好ましくは、イソシアネート組成物が本出願において上で定義されたモノマーおよび/またはオリゴマーポリイソシアネートを含む。工業的安全性の理由から、原則として、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%のオリゴマーポリイソシアネートからなるイソシアネート組成物を含む重合性組成物が好ましい。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、イソシアネート成分は、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートからなる。
【0084】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、複合材料のマトリックスを形成するポリイソシアヌレートプラスチックを形成するために使用される。この実施形態において、重合性組成物が追加の成分として繊維状充填剤を含むことが好ましい。
【0085】
好適な繊維状充填剤は例えば、当業者に知られている全ての無機繊維、有機繊維、天然繊維またはそれらの混合物である。
【0086】
本発明によれば、好適な繊維状充填剤は、1000より大きい、好ましくは5000より大きい、より好ましくは10000より大きい、最も好ましくは50000より大きいアスペクト比を有する全ての繊維である。アスペクト比は、繊維の長さを直径で割ったものとして定義される。
【0087】
上記で定義されたアスペクト比を満たす一方で、繊維状充填剤は、好ましくは1m、より好ましくは50m、最も好ましくは100mの最小長を有する。
【0088】
好ましい無機繊維は、ガラス繊維、玄武岩繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、ウィスカー、シリカ繊維および金属強化繊維である。好ましい有機繊維は、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ポリエステル繊維、ナイロン繊維およびプレキシグラス繊維である。好ましい天然繊維は、亜麻繊維、麻繊維、木繊維、セルロース繊維およびサイザル繊維である。
【0089】
本発明の好ましい実施形態では、繊維状充填剤が、ガラス繊維、玄武岩繊維、炭素繊維およびそれらの混合物からなる群から選択される。繊維は、個々の形態であってもよいが、マットまたはフリースを与えるために、当業者に知られている任意の形態で織るかまたは編むこともできる。使用される繊維の好ましくは50重量%未満、より好ましくは35重量%未満、さらにより好ましくは20重量%未満、最も好ましくは10重量%未満がマットまたはフリースの形態である。
【0090】
個々の繊維は、好ましくは0.1mm未満、より好ましくは0.05mm未満、さらにより好ましくは0.03mm未満の直径を有する。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、繊維の表面にサイジングが存在する。サイジングは、しばしば反応性基を含有し、樹脂との濡れまたはマトリックスと繊維の間の結合を改善する薄いポリマーフィルムである。
【0092】
ポリイソシアヌレートプラスチックは、本発明の組成物を、1分子当たり少なくとも1.8、好ましくは少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.2のイソシアネート基の平均官能価を有するポリイソシアネート組成物と混合することによって形成される固体材料である。このようなイソシアネート組成物のイソシアネート基の三量化は、イソシアネート組成物の高官能性のために、必然的に固体材料をもたらす。
【0093】
驚くべきことに、本発明の基礎をなす研究は、いかなる種類のアルコールも式(I)の化合物に適した希釈剤ではないことを示した。24時間以上のゲル化時間は、γ-ジオールでのみ達成された。エタノールまたはイソプロパノールなどの一価アルコール、ならびに1,4-ブタンジオールまたは1,2-プロパンジオールは、はるかに短いゲル化時間をもたらした。同時に、完成した材料は、一般に100℃を超える、高いガラス転移点を有していた。
【0094】
方法
第3の実施形態において、本発明は、以下の
a) 本発明の組成物を提供するステップ;
b) 反応混合物が形成されるように、本発明の組成物をポリイソシアネート組成物と混合するステップ;および
c) 60℃と300℃との間の温度で、ステップb)において得られた反応混合物を硬化させるステップ
を含む、ポリイソシアヌレートプラスチックの製造方法に関する。
【0095】
本発明の組成物、ポリイソシアネートおよび上記の重合性組成物に関する全ての定義は、この実施形態にも適用される。
【0096】
方法ステップa)における本発明の組成物の「提供」は、成分a)およびb)の均質な混合物をもたらす任意の行為または行為の順序に関する。当業者は、好適な混合方法をよく知っている。典型的な場合には、組成物が単にポリイソシアネート組成物に添加することによって使用することができるように、予備混合されて購入される。この場合、混合ステップは、組成物の使用者によって行われない。この典型的な場合、用語「提供すること」は単に、第三者、特に商業的供給者から本発明の組成物を得る行為を指す。
【0097】
同様に、方法ステップb)における本発明の組成物およびポリイソシアネート組成物の混合は、当業者に公知の任意の方法によって達成することができる。反応混合物の反応性を考慮すると、ステップb)を50℃以下、より好ましくは40℃以下の温度で行うのが好ましい。
【0098】
本方法の目的はポリイソシアヌレートプラスチックの製造であるので、方法ステップb)においてポリイソシアネート組成物を使用することが必須である。このような組成物は、反応混合物中に存在する成分a)を除いて、イソシアネート基を有する全ての化合物を含む。ポリイソシアネート組成物の平均イソシアネート官能価は、1分子当たり少なくとも1.8、好ましくは少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.2のイソシアネート基である。
【0099】
ポリイソシアネート組成物は、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートからなることが好ましい。
【0100】
方法ステップc)における硬化は、反応混合物の温度を上記で定義された温度まで上昇させることによって行われる。本発明の好ましい実施形態において、硬化は、80℃~300℃の温度で、より好ましくは100℃~300℃の温度で行われる。ポリイソシアネート並びにポリイソシアヌレートプラスチックスはより高い温度で分解するので、ステップC)において、上限温度を超えてはならない。
【0101】
方法ステップc)は、反応混合物の硬化が本質的に完了するまで行われる。これは、好ましくは反応混合物が、触れると乾燥している場合である。このことを達成するために、方法ステップc)は、好ましくは方法ステップc)の開始時に反応中に元々存在するイソシアネート基の20%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下が残るまで継続される。
【0102】
本発明の触媒組成物を含む反応混合物は、室温での長いポットライフを特徴とする。したがって、方法ステップb)における混合の後、反応混合物は、その粘度の急激な増加を被ることなく、長期間貯蔵され得る。反応混合物は、50℃以下、好ましくは40℃C以下で保存した場合、少なくとも12時間後、好ましくは少なくとも24時間後にのみゲル点に達することが好ましい。したがって、本発明の好ましい実施形態において、方法ステップc)は、方法ステップb)の終了後1~24時間、好ましくは1~12時間で開始される。
【0103】
本発明の別の好ましい実施形態において、本願においてさらに上で定義された繊維状充填剤は、方法ステップc)が開始される前に、方法ステップb)において調製された反応混合物に添加される。
【0104】
ポリイソシアヌレートプラスチック
第4の実施形態において、本発明は、上記で定義された方法によって得られた、または得られるポリイソシアヌレートプラスチックに関する。
【0105】
好ましくは、「ポリイソシアヌレートプラスチック」は、ポリイソシアヌレートプラスチックの総炭素含有量に基づいて、少なくとも8%、より好ましくは少なくとも12%、最も好ましくは少なくとも16%のイソシアヌレート基内に結合した炭素の割合を特徴とする。充填剤は、イソシアヌレートプラスチックの一部を形成しないので、任意の充填剤、特に繊維状充填剤中に存在し得る炭素は考慮されない。
【0106】
イソシアヌレート基内に結合した炭素含有量は例えば、プロトンデカップリング13C NMRスペクトル(MAS NMR、固体NMR)の積分から計算することができるが、これは炭素原子がそれらの結合に従って特徴的なシグナルを与え、存在する全ての炭素シグナルの総和に関連するからである。
【0107】
以下の実施例は、単に本発明を説明することを意図するものである。それらは、請求項の範囲を決して限定しない。
【実施例
【0108】
実施例
一般情報
全ての百分率は特に明記しない限り、重量%である。
【0109】
実験実施時の温度は23℃であった。この温度は室温と呼ばれる。
【0110】
それぞれのパラメータを決定するための以下に記載される方法は、実験において使用され、本出願において上記で与えられた関連パラメータを決定するための好ましい方法である。
【0111】
動粘度の測定
動的粘度は、Haake社製の粘度計VT 550を用いて23℃で測定した。異なるせん断速度を使用することによって、触媒溶液および対照溶液のレオロジーが、理想的なニュートン流体のレオロジーに対応することが保証された。したがって、せん断速度を示す必要はない。
【0112】
ゲル化時間の測定
ゲル化時間は、DIN 16 945と同様に、Gelnorm Geltimer GT-SP(Gel Instrumente AG、Switzerland)を用いて標準気候で決定した。デバイスは、10秒間続くストロークを実行し、ゲル点に達すると停止する。一体型タイマーは、ゲル化までのタイマーを示す。
【0113】
DSCによる相転移の決定
相転移は、DIN EN 61006に従って、Mettler DSC 12E(Mettler Toledo GmbH、Giessen、Germany)を備えたDSC(示差走査熱量測定)の手段によって決定した。較正は、インジウムおよび鉛の溶融開始温度によって行った。10mgの物質を標準カプセル中で秤量した。測定は、3回の20K/分の加熱速度で-50℃から+200℃までの加熱運転と、その後の320K/分の冷却速度での冷却によって行われた。冷却は、液体窒素の手段により行った。使用したパージガスは窒素であった。報告された値は、各場合において、第2の加熱曲線の評価に基づいている。融解温度Tは、ヒートフローカーブの最大値における温度から得られた。ガラス転移温度Tは、ガラス転移ステップの高さの半分の温度から得られた。
【0114】
赤外スペクトルの測定
赤外スペクトルは、ATRユニットを備えたBruker FT-IR分光計で測定した。
【0115】
出発化合物
ポリイソシアネートは、Covestro AGから得られた23.0重量%のNCO含量を有するHDI三量体(官能価>3)である。粘性は23℃で1200mPa・sであった(DIN EN ISO 3219/A.3)。ポリイソシアネートを真空下で脱気した。
【0116】
421mg KOH/gのOH価を有する2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノールをHuntsman Corporationから入手した。
【0117】
溶剤1:水、脱イオン
溶剤2:エタノール
溶媒3:2-プロパノール
溶媒4:1,2-プロパンジオール
溶媒5:1,3-プロパンジオール
溶媒6:1,3-ブタンジオール
溶媒7:1,4-ブタンジオール
溶媒8:2-エチル-1,3-ヘキサンジオール
溶剤9:グリセロール
添加剤:Desmorapid(登録商標)AP 300、脂肪酸エステルを有するステアリン酸亜鉛(Additive 7000、Muench Chemie)(Covestro AGから入手)。
【0118】
触媒付加物の製造
6.28gのポリイソシアネートを5.00gの2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノールに冷却しながら滴下し、均質な混合物が得られるまで撹拌した。完全な反応は、遊離NCO基(2270m-1におけるNCOバンド)を検出するIR分光法により、確認された。
【0119】
表1:触媒溶液の組成(触媒およびアルコール/水)
【表1】
【0120】
反応混合物
反応混合物は、スピードミキサーDAC 150.1 FVZ(Hauschild、Germany)中、23℃で適切な量の触媒溶液および添加剤にポリイソシアネートを添加することによって製造した。触媒溶液の量は、反応混合物中の触媒付加物の実際の量を一定に保つことができるように選択した。次いで、添加剤を含む反応混合物の総質量が100gとなるように、ポリイソシアネートの量を選択した(表2参照)。次いで、反応混合物のゲル化時間を測定した(表3参照)。このパラメータは、架橋反応の開始を示す。実験の最初の24時間以内の反応混合物のゲル化は、そのような短いゲル化時間が混合物を使用するのに十分な時間を残さないため、失敗と考えられた。
【0121】
追加の実験において、5gの反応混合物を、さらなる処理なしに金型中にキャストし、オーブン中で、180℃で5分間硬化させた。
【0122】
表2
【表2】
【0123】
アプリケーションテスト
最後に、硬化生成物を調べた。光学的評価は主に、製品の発泡を記述する。目に見える赤褐色の着色および強い発泡は、さらなる加工を困難にするので望ましくない。生成物の物理的および化学的分析は、IRスペクトルおよびTgの決定を包含する。遊離NCO基の完全な消費をチェックするために、完全なIRスペクトルを測定した。2800~3000m-1でのCH伸縮と2270m-1でのNCOバンドの間の比率を計算した。全てのサンプルにおいて、NCOバンドの高さはCH伸張の高さの約50%に過ぎず、NCO基の完全な消費を示した。
【0124】
さらに、生成物のTgをDSCによって測定した(表3参照)。Tgは、架橋密度の直接的な尺度として使用することができる。分析された生成物について、100℃を超えるTgは、高い架橋密度を示す。
【0125】
表3:
【表3】
【0126】
アプリケーションテストの結果から分かるように、γ-ジオールを用いて調製された触媒溶液を用いて得られた製品は、未希釈の触媒付加物に対応する特性を有する。したがって、γ-ジオールによる熱潜在性触媒の適切な希釈の使用は、顕著な化学的特性を、著しく改善された取り扱いと組み合わせる触媒系をもたらす。
【国際調査報告】