(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】自動飲料販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 13/10 20060101AFI20240207BHJP
A47J 31/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G07F13/10 D
A47J31/00 307
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550694
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 SG2021050637
(87)【国際公開番号】W WO2022093114
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202022445791.2
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523317168
【氏名又は名称】クラウン デジタル ピーティーイー エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】CROWN DIGITAL PTE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100188411
【氏名又は名称】阪下 典子
(72)【発明者】
【氏名】タン,パン ヨー
(72)【発明者】
【氏名】カンナ,ニティカ
【テーマコード(参考)】
3E047
4B104
【Fターム(参考)】
3E047BA01
3E047BA02
3E047BA03
3E047BA04
3E047CC10
3E047FA02
3E047FA05
3E047GA01
3E047GA03
3E047GA04
3E047HA07
4B104AA12
4B104BA68
4B104EA40
(57)【要約】
本開示は、自動飲料販売機に関する。自動販売機は、少なくとも1つの飲料を製造するために動作可能な少なくとも1つの飲料製造装置を備える。自動販売機は、自動販売機の外部で少なくとも1つのカップを受け取り、カップを自動販売機の内部に移動させるように動作可能な受取ステーションを更に備える。自動販売機は、更に、飲料をカップに受け取るために、カップを受取ステーションから飲料製造装置に移動させるように動作可能な搬送機構を備える。自動販売機は、飲料製造装置、受取ステーションおよび搬送機構に接続され、カップを受取る動作、カップを搬送する動作およびカップへ飲料の注出する動作を調整するために動作可能な制御装置を更に備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動飲料販売機であって、
少なくとも1つの飲料を作るように動作可能な少なくとも1つの飲料製造装置と、
前記自動飲料販売機の外部で少なくとも1つのカップを受け取り、前記少なくとも1つのカップを前記自動飲料販売機の内部へ移動させるように動作可能な受取ステーションと、
前記少なくとも1つのカップに前記少なくとも1つの飲料を受け取るために、前記少なくとも1つのカップを前記受取ステーションから前記少なくとも1つの飲料製造装置へ移動させるように動作可能な搬送機構と、
前記少なくとも1つの飲料製造装置と、前記受取ステーションと、前記搬送機構とに接続され、前記少なくとも1つのカップを受け取る動作と、前記少なくとも1つのカップを搬送する動作と、前記少なくとも1つのカップに前記少なくとも1つの飲料を注出する動作とを調整するように動作可能な制御装置と、
を備える、自動飲料販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動飲料販売機であって、
前記受取ステーションと引渡ステーションとを一体化した一体化ステーションであって、前記少なくとも1つのカップの受取りおよび/または前記少なくとも1つの飲料で満たされた前記少なくとも1つのカップの引渡しのために動作可能な一体化ステーションを更に備える、
自動飲料販売機。
【請求項3】
請求項2に記載の自動飲料販売機であって、
前記受取ステーション、前記引渡ステーション、前記一体化ステーションまたはこれらのいずれかの組み合わせが、前記少なくとも1つのカップを取り扱うために動作可能な少なくとも1つの個別区画ユニットを備える、
自動飲料販売機。
【請求項4】
請求項3に記載の自動飲料販売機であって、
前記少なくとも1つの個別区画ユニットは、前記少なくとも1つの個別区画ユニットにおいて前記少なくとも1つのカップの許可された取出しを可能にするためのロックを備えている、
自動飲料販売機。
【請求項5】
請求項3に記載の自動飲料販売機であって、
前記少なくとも1つの個別区画ユニットは、前記少なくとも1つのカップを保持するために動作可能な個別区画カップホルダを備える、
自動飲料販売機。
【請求項6】
請求項5に記載の自動飲料販売機であって、
前記個別区画カップホルダは、前記少なくとも1つのカップから落ちる前記少なくとも1つの飲料の液滴を受けるためのドリップトレイを備える、
自動飲料販売機。
【請求項7】
請求項5に記載の自動飲料販売機であって、
前記少なくとも1つの個別区画ユニットは、前記個別区画カップホルダを回転させるための個別区画レセプタクルを備える、
自動飲料販売機。
【請求項8】
請求項3に記載の自動飲料販売機であって、
前記個別区画ユニットは、前記自動飲料販売機の内部に移動される前に前記少なくとも1つのカップの準備状態を検出するために動作可能な検出器を備える、
自動飲料販売機。
【請求項9】
請求項8に記載の自動飲料販売機であって、
前記検出器は前記制御装置に接続され、
前記制御装置は、前記少なくとも1つのカップが準備未完了状態にある場合に、アラートを生成し、かつ、前記少なくとも1つのカップが準備完了状態にある場合に、前記受取ステーションを制御して、前記少なくとも1つのカップを前記自動飲料販売機の外部から前記自動飲料販売機の内部へ移動させるように動作可能である、
自動飲料販売機。
【請求項10】
請求項1に記載の自動飲料販売機であって、
前記搬送機構は、前記少なくとも1つのカップを前記受取ステーションと前記少なくとも1つの飲料製造装置とに搬送するロボットアームを備える、
自動飲料販売機。
【請求項11】
請求項1に記載の自動飲料販売機であって、
前記制御装置に接続され、前記自動飲料販売機の内部を覆うようにおよび/または前記自動飲料販売機の内部、テキスト/絵柄画像の表示モードを露出させるように動作可能である自動カーテンを更に備える、
自動飲料販売機。
【請求項12】
請求項1に記載の自動飲料販売機であって、
前記制御装置に接続された注文パネルであって、飲料の選択肢を表示し、前記飲料の選択肢から飲料を選択することを容易にするように操作可能な注文パネルを更に備える、
自動飲料販売機。
【請求項13】
請求項1に記載の自動飲料販売機であって、
前記制御装置に接続されたPOS端末であって、選択された飲料の支払いを容易にし、前記選択された飲料の支払いを行った後、領収書を払い出すように動作可能なPOS端末を更に備える、
自動飲料販売機。
【請求項14】
請求項1に記載の自動飲料販売機であって、
前記飲料が充填された前記少なくとも1つのカップの利用者への引渡しを容易にするために、前記利用者によるコードの入力を可能にする入力パネルを更に備える、
自動飲料販売機。
【請求項15】
請求項1に記載の自動飲料販売機であって、
前記少なくとも1つのカップを洗浄するように構成されたカップ洗浄機を更に備える、
自動飲料販売機。
【請求項16】
請求項1に記載の自動飲料販売機であって、
前記少なくとも1つの飲料が充填された前記少なくとも1つのカップを所定の温度に保つためのカップ保持ステーションを更に備える、
自動飲料販売機。
【請求項17】
請求項1から請求項16までのいずれか一項に記載の自動飲料販売機であって、
前記少なくとも1つのカップが、再利用可能カップで構成される、
自動飲料販売機。
【請求項18】
請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の自動飲料販売機と共に使用するために動作可能な再利用可能カップであって、
前記再利用可能カップは、底部と、反対側の端部における開口上部と、前記底部と前記開口上部との間に延びる側壁であって、高さを規定する側壁と、を有するカップ本体を備え、
前記カップ本体は、スチール製であり、工業用磁器エナメルでコーティングされている、
再利用可能カップ。
【請求項19】
請求項18に記載の再利用可能カップであって、
利用者に関連する情報および前記利用者が注文した少なくとも1つの飲料を記憶するための識別タグを更に備える、
再利用可能カップ。
【請求項20】
請求項18に記載の再利用可能カップであって、
前記カップ本体を覆うためのゴム製スリーブを更に含み、前記ゴム製スリーブと前記カップ本体との間に空隙を有する、
再利用可能カップ。
【請求項21】
請求項18に記載の再利用可能カップであって、
前記再利用可能カップを覆い密封するために、前記カップ本体の前記開口上部に嵌合するように適合された蓋を更に備える、
再利用可能カップ。
【請求項22】
請求項18に記載の再利用可能カップであって、
前記再利用可能カップを表面に保持するために、前記カップ本体の底部に適合する吸盤を更に備える、
再利用可能カップ。
【請求項23】
自動飲料販売機の動作方法であって、
少なくとも1つの飲料の注文を受けるステップと、
受取ステーションで少なくとも1つのカップを受け取るステップと、
前記少なくとも1つのカップが、前記少なくとも1つの飲料を受け取るための準備完了状態にあるかどうかを検出するステップと、
前記少なくとも1つのカップが、準備完了状態でない場合、アラートを生成させるステップと、
前記受取ステーションを動作させて、前記少なくとも1つのカップを前記自動飲料販売機の外部から前記自動飲料販売機の内部へ移動させるステップと、
前記受取ステーションから前記少なくとも1つの飲料製造装置へ、前記少なくとも1つのカップを搬送する搬送機構を制御するステップと、
前記少なくとも1つの飲料製造装置を制御して、前記少なくとも1つの飲料を前記少なくとも1つのカップに注出するステップと、
前記搬送機構を制御して、前記飲料が充填された前記少なくとも1つのカップを前記受取ステーションに搬送するステップと、
前記受取ステーションを動作させて、前記少なくとも1つのカップを前記自動飲料販売機の内部から外部へ移動させるステップと、
を備える、自動飲料販売機の動作方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
利用者から前記少なくとも1つのカップを受け取るための空いている個別区画カップホルダを決定するステップと、
それぞれの前記個別区画カップホルダを利用者に通知するステップと、を更に備える、
方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの飲料を入れた前記少なくとも1つのカップを引き渡すための空いている個別区画カップホルダを決定するステップと、
それぞれの前記個別区画カップホルダを利用者に通知するステップと、を更に備える、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月29日に中国国家知識産権局(CNIPA)に出願された中国実用新案出願番号2020 2244 5791.2、発明の名称「自動飲料ステーション」の出願日を優先日として主張する。先の優先権出願の全ての関連する内容および/または主題は、適宜、参照により本明細書に援用されるものとする。
【0002】
本開示は、一般に、飲料を準備し、注出する自動販売機に関し、より詳細には、自動的に、利用者からカップを受け取り、飲料をカップに注出し、飲料で満たされたカップを利用者に戻す自動飲料販売機に関する。
【0003】
当技術分野において、飲料をカップに充填して販売する自動飲料販売機が知られている。これらの自動飲料販売機は、利用者が選択した飲料を購入して飲むために、ショッピングモール、レストラン、カフェテリアなどの商業施設に設置されるのが一般的である。これらの自動飲料販売機は自動化されているが、飲料を注出し、飲料が満たされたカップを利用者に提供するためには、依然として何らかの人の手を介することが必要である。このような自動飲料販売機の操作に労力を費やすことは、全体的なコストの増加につながる。
【0004】
更に、あるシナリオでは、利用者が、準備ができていない状態で、自動飲料販売機にカップを置くことがある。例えば、利用者が誤って蓋を付けたカップを自動飲料販売機に置くことがある。従来の自動飲料販売機には、カップの準備状態を確認するように構成されていないため、蓋の上に飲料を注いでしまい、混乱を引き起こす可能性がある。同様に、あるシナリオでは、前回の使用後にカップが洗浄されていない可能性がある。このような場合、当該カップに飲料を入れると、飲料の味が変化し、それによって飲料の品質に影響を与える可能性がある。
【0005】
更に、従来の自動飲料販売機では、使い捨ての紙コップやプラスチックカップで飲料を提供するのが一般的であった。使い捨てカップの使用は、環境汚染を引き起こすだけでなく、資源の浪費の問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、人の手を介さずに、飲料を準備し、注出するという必要な作業を行うことができる自動飲料販売機が必要とされている。更に、飲料を受け取るために置かれたカップの準備が完了したことを検出できる自動飲料販売機が必要とされている。また、カップの再利用を増やし、それによって資源の浪費を減らすことができる自動飲料販売機が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、自動飲料販売機に関する。自動飲料販売機は、利用者からカップを受け取り、少なくとも1つの飲料をカップに注出し、少なくとも1つの飲料が充填されたカップを利用者に戻すように自動的に動作可能である。自動飲料販売機は、更に、利用者から受け取ったカップの準備完了状態を検出し、カップの状態に応じて必要な動作をとるように動作可能である。自動飲料販売機は、自動飲料販売機に対する利用者のエンゲージメントを高めるとともに、使い捨てカップの使用に起因する資源の浪費を低減するために、再利用可能なカップを使用するように動作可能である。
【0008】
一実施形態によれば、自動飲料販売機が開示される。自動飲料販売機は、少なくとも1つの飲料を製造するために動作可能な少なくとも1つの飲料製造装置を備える。自動飲料販売機は、自動飲料販売機の外部で少なくとも1つのカップを受け取り、少なくとも1つのカップを自動飲料販売機の内部へ移動させるように動作可能な受取ステーションを更に備える。自動飲料販売機は、少なくとも1つのカップに少なくとも1つの飲料を受け取るために、少なくとも1つのカップを受取ステーションから少なくとも1つの飲料製造装置に移動させるように動作可能な搬送機構を更に備える。自動飲料販売機は、少なくとも1つの飲料製造装置、受取ステーション、および搬送機構に接続された制御装置を更に備え、制御装置は、カップを受け取る動作、カップを搬送する動作、および少なくとも1つの飲料をカップに注出する動作を調整するために動作可能である。自動飲料販売機は、カップを受け取るステップ、カップを移動させるステップ、および、少なくとも1つの飲料をカップに注出するステップを自動的に実行するように動作可能であり、これにより、人間の手を介することを不要にする。従って、自動飲料販売機はコストを節約し、毎回安定した品質の飲料を提供することができる。
【0009】
一実施形態によれば、自動飲料販売機は、受取ステーションと引渡ステーションとを一体化し、少なくとも1つのカップを受け取るため、および/または、少なくとも1つの飲料が充填された少なくとも1つのカップを引き渡すために動作可能な一体化ステーションを更に備える。一体化ステーションは、利用者からカップを受け取ったり、カップを自動飲料販売機の外部から自動飲料販売機の内部へ移動させたりするために動作可能である。カップが飲料で満たされると、一体化ステーションは更に、利用者が飲料が充填されたカップをピックアップすることができるように、カップを自動飲料販売機の内部から自動飲料販売機の外部へ移動させるように動作可能である。
【0010】
一実施形態によれば、受取ステーション、引渡ステーション、一体化ステーション、またはこれらのステーションの組み合わせは、少なくとも1つのカップを取り扱うために動作可能な少なくとも1つの個別区画ユニットを含む。受取ステーション、引渡ステーション、一体化ステーション、またはこれらのステーションの組み合わせは、複数の個別区画ユニットを含んでいてもよい。個別区画ユニットは、それぞれ、利用者からカップを受け取り、自動飲料販売機の外部から自動飲料販売機の内部へカップを移動させるために動作可能である。同様に、カップに飲料が充填されると、個別区画ユニットはカップを自動飲料販売機の内部から自動飲料販売機の外部へ移動させるよう適合されている。
【0011】
一実施形態によれば、少なくとも1つの個別区画ユニットは、少なくとも1つのカップの許可された取出しを可能にするためのロックを備える。ロックは、カップへのアクセスを制限および許可するために動作可能である。ロックにより、許可された者だけが個別区画ユニットにアクセスし、個別区画ユニット内に置かれたカップをピックアップすることができる。
【0012】
一実施形態によれば、少なくとも1つの個別区画ユニットは、少なくとも1つのカップを保持するための個別区画カップホルダを備える。個別区画カップホルダは、好ましくは、カップを直立状態に保持するように適合されている。さらに、個別区画カップホルダは、ロック状態(lock position)と開放状態(open position)との間を移動するように回転可能である。ロック状態では、利用者は個別区画カップホルダ内にカップを置くことも取り出すこともできず、開放状態では、利用者は個別区画カップホルダにカップを置くことも取り出すこともできる。
【0013】
一実施形態によれば、個別区画カップホルダは、少なくとも1つのカップから落ちる少なくとも1つの飲料の液滴を受けるためのドリップトレイを備える。ドリップトレイは、カップから落ちるドリップを吸収するように適合された吸収性メッシュを含むことができ、それにより、個別区画カップホルダを清潔に保つことができる。ドリップトレイに使用される吸収メッシュは、当該技術分野で知られている任意の液体吸収材料で作られてもよい。
【0014】
一実施形態によれば、少なくとも1つの個別区画ユニットは、個別区画カップホルダを回転させるための個別区画レセプタクルを備える。個別区画レセプタクルは、個別区画カップホルダの底部に取り付けられ、個別区画カップホルダを回転させるための電動モータを備えることができる。
【0015】
一実施形態によれば、個別区画レセプタクルは、個別区画カップホルダを時計回り方向および反時計回り方向の少なくとも一方に回転させるように構成されている。個別区画レセプタクルは、個別区画カップホルダを時計回り方向および反時計回り方向の両方向に180度の角度まで回転させて、個別区画カップホルダを開放状態およびロック状態に移動させるように動作可能である。
【0016】
一実施形態によれば、個別区画ユニットは、自動飲料販売機の内部に移動される前の少なくとも1つのカップの準備状態(readiness)を検出するために動作可能な検出器を更に備える。カップの準備状態は、個別区画カップホルダに置かれたカップに蓋が取り付けられているかどうか、および/または、個別区画カップホルダに置かれたカップが完全に空であるかどうか、および/または、個別区画カップホルダに置かれたカップが、利用者が以前に飲んだ飲料で汚れているかどうか等の様々な要因によって検出されうるが、これらに限定されない。
【0017】
一実施形態によれば、検出器は制御装置に接続されている。制御装置は、少なくとも1つのカップが準備未完了状態(unready state)である場合にアラートを生成し、カップが準備完了状態(ready state)である場合にカップを自動飲料販売機の外部から自動飲料販売機の内部に移送するように受取ステーションを制御するように動作可能である。例えば、カップに蓋がされていたり、既に飲料が入っていたり、利用者が以前に飲んだ飲料で汚れていたりする場合、検知器は、カップが準備未完了状態であることを制御装置に伝達することができる。このような場合、制御装置は、カップの状態について視覚的または音声的手段を介して利用者に警告するように動作可能である。あるいは、カップが準備完了状態にある場合、検出器はそのことを制御装置に伝達し、制御装置は、自動飲料販売機の外部から自動飲料販売機の内部にカップを移送するように受取ステーションを制御する。
【0018】
一実施形態によれば、自動飲料販売機は、個別区画カップホルダに置かれた少なくとも1つのカップを識別するセンサを更に備える。少なくとも1つのカップの識別情報には、識別情報(例えば、再利用可能カップに印刷されたQRコードによる)、電子的識別情報、または、例えば、RFIDチップ(Radio Frequency Identificationタグとしても知られる)に埋め込まれた識別コード等の識別装置が含まれる。センサは識別タグリーダを含み、少なくとも1つのカップは識別タグを含む。識別タグリーダは、識別タグと通信し、識別タグに格納された情報を読み取るように適合されている。識別タグリーダはRFID(Radio Frequency Identification)リーダであってもよく、識別タグはRFID(Radio Frequency Identification)タグであってもよい。
【0019】
一実施形態によれば、識別タグは、利用者および利用者が注文した少なくとも1つの飲料に関連する情報を記憶するように構成される。識別タグは、自動飲料販売機が利用者の好みに応じて飲料を準備する際に役立つ。更に、識別タグリーダおよび識別タグは、利用者による自動飲料販売機の利用を促進するように構成される。
【0020】
一実施形態によれば、少なくとも1つの飲料製造装置は、少なくとも1つの飲料を少なくとも1つのカップに注出するための少なくとも1つの注ぎ口を備える。搬送機構は、注ぎ口の下方にカップを配置するように動作可能であり、飲料製造装置は、注ぎ口を介してカップに飲料を注出するように動作可能である。
【0021】
一実施形態によれば、搬送機構は、少なくとも1つのカップを受取ステーションおよび少なくとも1つの飲料製造装置に搬送するためのロボットアームを備える。ロボットアームは、擬人化されたアームであってもよく、受取ステーションと飲料製造装置との間を移動して、カップを個別区画カップホルダから飲料製造装置に移し、飲料製造装置から個別区画カップホルダに戻すように構成される。
【0022】
一実施形態によれば、搬送機構は、少なくとも1つのカップを把持するためのロボットアームの端部に設けられたエンドエフェクタを更に備える。エンドエフェクタは、カップを受取ステーションおよび飲料製造装置に移動させる間にカップを保持するように適合されている。
【0023】
一実施形態によれば、自動飲料販売機は、制御装置に接続された自動カーテンを更に備える。自動カーテンは、自動飲料販売機の内部を覆うように、および/または、自動飲料販売機の内部、テキスト/絵柄画像の表示モードを露出させるように動作可能である。
【0024】
一実施形態によれば、自動カーテンは、ユーザ入力を受信し、および/または、ユーザに情報を提供するために操作可能な対話型ユーザインタフェースを備える。自動カーテンは、利用者の名前、飲料の提供状況、トークン番号などの情報を提示することができるが、これらに限定されない。
【0025】
一実施形態によれば、自動カーテンは、有機発光ダイオード(OLED)スクリーンを備える。OLEDスクリーンは、飲料自動販売機の内部を覆い、および/または、飲料自動販売機の内部を露出するように構成された透過スクリーンであってもよい。
【0026】
一実施形態によれば、自動飲料販売機は、制御装置に接続された注文パネルを更に備える。注文パネルは、飲料の選択肢を表示し、飲料の選択肢からの飲料の選択を容易にするように動作可能である。注文パネルは、利用者が好みの飲料を選択することを可能にするタッチスクリーンであってもよい。さらに、制御装置は、飲料製造装置で利用可能な飲料の状態に基づいて、注文パネルに表示される飲料の選択肢を更新するように構成されてもよい。
【0027】
一実施形態によれば、自動飲料販売機は、制御装置に接続されたPOS端末(Point Of Sale Terminal)を更に備える。POS端末は、選択された飲料の支払いを容易にし、選択された飲料の支払いを行った後にレシートを払い出すように動作可能である。
【0028】
一実施形態によれば、飲料自動販売機は、飲料が充填された少なくとも1つのカップの利用者への引渡しを容易にするために、利用者によるコードの入力を可能にする入力パネルを更に備える。コードは、パスワードであってもよいし、利用者が携帯端末を通じてスキャンして確認できるクイックレスポンス(QR)コードであってもよい。
【0029】
一実施形態によれば、自動飲料販売機は、カップを洗浄するように構成されたカップ洗浄機を更に含む。搬送機構は、カップが清潔でない場合にカップをカップ洗浄機に移動させるように動作可能であってもよい。また、カップ洗浄機は、カップが清潔でない場合に利用者が自分で洗うことができるようにアクセス可能であってもよい。
【0030】
一実施形態によれば、自動飲料販売機は、飲料が充填された少なくとも1つのカップを所定の温度に保つためのカップ保持ステーションを更に含む。これにより、利用者が個別区画ユニットからカップを取り出すのが遅れた場合に飲料の温度を維持することができ、飲料の品質を確保することができる。更に、カップ保持ステーションは、飲料の種類に応じて、飲料を高温または低温に保つように構成することもできる。
【0031】
一実施形態によれば、少なくとも1つのカップは再利用可能カップからなり、自動販売機で使用できるように動作可能または構成されている。例えば、再利用可能カップは、受取ステーション(例えば、個別区画ユニット)、搬送機構および制御装置によって受け入れられるかまたは取り扱われることが可能である。多くの場合、再利用可能カップの電子的識別情報(例えば、識別タグやRFIDチップ)が制御装置に予め登録され、センサによって認識される。再利用可能カップは再利用することができ、それにより利用者と自動飲料販売機との関わりを増やすことができる。更に、再利用可能カップは、使い捨てカップによる資源の浪費を削減する。
【0032】
一実施形態によれば、再利用可能カップは、底部と、反対側の端部にある開口上部と、高さを規定するために底部と開口上部との間に延びる側壁とを有するカップ本体を含む。カップ本体はスチール製(例えば、ステンレススチール製)であり、工業用磁器エナメルでコーティングされており、再利用可能カップに堅牢性、エレガントな外観および再利用可能カップを使用する際の飲料の良好な味を提供する。
【0033】
一実施形態によれば、再利用可能カップは、利用者に関連する情報および利用者が注文した少なくとも1つの飲料を記憶するための識別タグを備える。識別タグは、自動飲料販売機が利用者の好みに応じて飲料を準備するのに役立つ。
【0034】
一実施形態によれば、再利用可能カップは、両者の間に空隙を有するカップ本体を覆うためのゴム製スリーブを含む。空隙は、ゴム製スリーブがカップ本体を覆う際に、ゴム製スリーブとカップ本体との間に形成される。ゴム製スリーブは再利用可能カップを把持するための柔らかさを提供し、カップ本体とゴム製スリーブとの間の空隙はそれらの間の熱伝導を減少させる。
【0035】
一実施形態によれば、再利用可能カップは、再利用可能カップを覆い密封するためにカップ本体の開口上部に嵌合するように適合された蓋を備える。蓋は飲料がこぼれないように設けられている。
【0036】
一実施形態によれば、再利用可能カップの蓋は透過材料で作られている。透明な蓋は、再利用可能カップの内部を見ることを可能にする。
【0037】
一実施形態によれば、再利用可能カップは、カップを表面にしっかりと把持するために、カップ本体の底部に嵌合するように適合された吸盤を備える。吸盤は、再利用可能カップを、運転中の車のダッシュボードなどの表面にしっかりと固定するのに役立つ。
【0038】
一実施形態によれば、再利用可能カップは、再利用可能カップの保持を容易にするために、カップ本体と周囲で接触するホルダを備える。ホルダは、再利用可能カップ内に熱い飲料があっても、再利用可能カップを握るための冷たい領域を提供する。さらに、ホルダは、かき混ぜスティックやスプーンを保持するための手段を含む。
【0039】
一実施形態によれば、再利用可能カップは、再利用可能カップ内の少なくとも1つの飲料の温度を決定するための温度センサを備える。温度センサにより、利用者は飲料を飲む前に飲料の温度を測ることができる。
【0040】
一実施形態によれば、再利用可能カップは、再利用可能カップ内の少なくとも1つの飲料を所定時間所定温度に保つためのヒータを含む。ヒータは、局所電源を有する能動ヒータおよび/または誘導加熱用の受動ヒータを含むことができる。
【0041】
一実施形態によれば、自動飲料販売機の動作方法が開示される。本方法は、少なくとも1つの飲料の注文を受けるステップを含む。本方法は更に、受取ステーションにおいて少なくとも1つのカップを受け取る別のステップを含む。本方法は更に、カップが少なくとも1つの飲料を受け取るための準備完了状態にあるか否かを検出する別のステップを含む。本方法は、少なくとも1つのカップが準備完了状態でない場合にアラートを生成するステップを更に含む。本方法は更に、受取ステーションを動作させて、少なくとも1つのカップを自動飲料販売機の外部から自動飲料販売機の内部に移動させる別のステップを含む。本方法は更に、少なくとも1つのカップを受取ステーションから少なくとも1つの飲料製造装置に移送するように搬送機構を制御する別のステップを含む。本方法は更に、少なくとも1つの飲料製造装置を制御して、少なくとも1つの飲料を少なくとも1つのカップに注出する別のステップを含む。本方法は更に、飲料が充填された少なくとも1つのカップを受取ステーションに移送するように搬送機構を制御する別のステップを含む。本方法は更に、自動飲料販売機の内部から自動飲料販売機の外部へ少なくとも1つのカップを移動させるために受取ステーションを操作する別のステップを含む。
【0042】
この方法は更に、利用者から少なくとも1つのカップを受け取るための空いている個別区画カップホルダを決定するステップと、それぞれの個別区画カップホルダを利用者に通知するステップを含む。
【0043】
この方法は更に、少なくとも1つの飲料を入れた少なくとも1つのカップを引き渡すための空いている個別区画カップホルダを決定するステップと、それぞれの個別区画カップホルダを利用者に通知するステップとを含む。
【0044】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも例示的および説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された本開示を制限するものではないことを理解されたい。
【0045】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡潔に要約された本開示のより具体的な説明を、その一部を添付図面に示す実施形態によって参照することができる。添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを図示しており、従って、本開示は、他の同様に効果的な実施形態を許容するため、その範囲を限定するものとはみなされないことに留意されたい。
【0046】
本開示のこれらおよび他の特徴、便益、および利点は、以下の図を参照することによって明らかになるであろう。なお、各図にわたって同様の参照番号は同様の構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の正面斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の例示的な実施形態による受信ステーションの正面斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の例示的な実施形態による受信ステーションの背面斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の例示的な実施形態による個別区画ユニット(pigeon hole unit)の正面斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の例示的な実施形態による個別区画ユニットの分解正面図である。
【
図6】
図6は、本開示の例示的な実施形態による個別区画ユニットの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、本開示の例示的な実施形態による自動カーテンの正面斜視図である。
【
図8】
図8は、本開示の例示的な実施形態による再利用可能カップの斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示の例示的な実施形態による再利用可能カップの断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示す図である。
【
図15】
図15は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示す図である。
【
図17】
図17は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機の動作方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、添付図面を参照して例示的な実施形態を説明する。図面に明示的に記載されていない限り、構成要素、特徴、要素等のサイズ、位置等、およびそれらの間の距離は、必ずしも縮尺通りではなく、明瞭化のために不釣り合いおよび/または誇張されている場合がある。
【0049】
本明細書で使用される用語は、例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指定されていない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合、用語「備える」、「有する」、および/または「含む」は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。特に指定のない限り、値の範囲には、その範囲の上限と下限の両方、およびその間の任意の部分的な範囲(sub-range)が含まれる。別段の指定がない限り、「第1」、「第2」などの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、ある要素は「第1の要素」と呼ばれ、同様に、別の要素は「第2の要素」と呼ばれ、またはその逆もありうる。本明細書で使用されるセクションの見出しは、整理のみを目的としており、説明される主題を限定するものとして解釈されるものではない。
【0050】
別段の指定がない限り、「約」、「そこそこ」、「実質的に」などの用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、および他の量および特性が正確ではなく、また、正確である必要はないが、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、所望に応じて近似値および/またはより大きくまたはより小さくてもよいことを意味する。
【0051】
本明細書では、図面に示されるように、ある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために、説明を容易にするために、「右」、「左」、「下方」、「下」、「上方」、および「上」などの空間的に相対的な用語が使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、異なる向きを包含することを意図している。例えば、図中の物体が裏返された場合、他の要素または特徴の「下方」または「下」と記載された要素は、他の要素または特徴の「上」に配向されることになる。従って、「下」という用語は、例えば、上と下の両方の向きを包含することができる。物体は、他の方向(例えば、90度回転または他の方向)を向いていてもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述は、それに応じて解釈されてもよい。
【0052】
明確に別段の指定がない限り、すべての接続およびすべての動作可能な接続は、直接的であっても間接的であってもよい。同様に、明確に別段の指定がない限り、すべての接続およびすべての動作可能な接続は、固定(rigid)であっても非固定(non-rigid)であってもよい。
【0053】
同様の番号は、全体を通して同様の要素を示す。従って、同一または類似の番号は、対応する図面で言及または説明もされていない場合でも、他の図面を参照して説明することができる。また、参照番号で示されていない要素についても、他の図面を参照して説明することができる。
【0054】
本開示の意図および教示から逸脱することなく、多くの異なる形態および実施形態が可能であり、従って、本開示は、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものであり、当業者に本開示の範囲が伝わるように提供されるものである。
【0055】
本明細書における「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所に見られる「一実施形態において」という表現は、必ずしも全てが同じ実施形態を示すものではなく、別個の実施形態または代替実施形態が他の実施形態と相互に排他的であるものでもない。
【0056】
ここで、
図1を参照すると、本開示の例示的な実施形態による自動飲料販売機100の正面斜視図が示されている。自動飲料販売機(以下、「自動販売機」と呼ぶ)100は、ショッピングモール、カフェテリア、職場等のような施設で使用することができるが、これらに限定されない。自動販売機100は、利用者からカップを受け取るステップと、利用者によって注文された飲料を準備するステップと、飲料をカップに注出するステップと、飲料で満たされたカップを利用者に戻すステップとを自動的に実行するように動作可能である。
【0057】
自動販売機100は、自動販売機100の構成要素を囲むためのハウジング102を含むことができる。ハウジング102の形状およびサイズは、
図1に示される実施形態に限定されるものではなく、他の形状およびサイズのハウジング102も採用され得ることは、当業者には明らかであろう。特定の実施形態では、ハウジング102は、例えば、中央セクション104と、左セクション106と、右セクション108のような複数のセクションに分割されうる。これらのセクションは、各垂直壁がハウジング102の2つのセクション間の仕切りとして機能するように、ハウジング102の内部に垂直壁を挿入することによって形成されうる。セクションの数は、ハウジング102の内部に配置される垂直壁の数に依存することが当業者には明らかであろう。更に、ハウジング102は、利用者がハウジング102の内部を見ることができるように、透過材料で作られていてもよい。当業者であれば、ハウジング102は当該技術分野で知られている任意の材料で作られてもよく、透過材料に限定されないことを理解するであろう。自動販売機100は、自動販売機100に関連する物品を保管するために、ハウジング102の下方にキャビネット110を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、キャビネット110は、ハウジング102内に収納された構成要素の配線を覆うように適合されてもよい。更に、キャビネット110は、キャビネット110の内部へのアクセスを提供するためのドア112を含んでいてもよい。ドア112は、キャビネット110の任意の側に設けられることができ、
図1に示す側に限定されないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態では、自動販売機100は、自動販売機100の移動を容易にするための複数の車輪114を更に含むことができる。
【0058】
自動販売機100は、飲料製造装置120と、受取ステーション122と、搬送機構124と、飲料製造装置120、受取ステーション122および搬送機構124と通信する制御装置300とを含む。制御装置300は、自動販売機100の機能を自動的に実行するために、飲料製造装置120、受取ステーション122および搬送機構124を動作させるように構成されている。飲料製造装置120は、少なくとも1種類の飲料を準備し、注出するために動作可能である。飲料製造装置120は、コーヒー、紅茶、ミルク、ジュース、炭酸飲料等の飲料を準備することができるが、これらに限定されない。一実施形態において、自動販売機100は、各飲料製造装置120が他の飲料製造装置120に対して独立して機能しうるように、複数の飲料製造装置120を含みうる。更に、いくつかの実施形態では、自動販売機100は、各飲料製造装置120が異なるタイプの飲料を注出するために動作可能なように、複数の飲料製造装置120を含むことができる。例えば、ある飲料製造装置120はお茶を、別の飲料製造装置120はコーヒーを、更に別の飲料製造装置120はジュース等を注出することができる。特定の実施形態では、飲料製造装置120は、注文を受けたときに飲料を準備するための複数の材料を保管することができる。飲料製造装置120は、飲料をカップに注出するための少なくとも1つの注ぎ口126を更に含む。説明の便宜上、カップは注ぎ口126の下方に配置されてもよく、飲料製造装置120は、選択された飲料を注ぎ口126を介してカップに注出する。更に、飲料製造装置120は、飲料製造装置120を動作させるように構成された制御装置300と通信する。制御装置300は、飲料製造装置120を操作するための命令セットが格納されたメモリ302を含む。
【0059】
自動販売機100は、自動販売機100の前面側に配置された受取ステーション122を更に含む。説明の便宜上、利用者が前方から自動販売機100に近づくと、受取ステーション122は、利用者にとって視認可能であり、かつアクセス可能である。受取ステーション122は、自動販売機100の外部でカップを受け取り、そのカップを自動販売機100の内部に移動させるように動作可能である。言い換えれば、受取ステーション122は、利用者から受け取ったカップを自動販売機100の内部に移動させるように動作可能である。一実施形態では、自動販売機は、受取ステーション122が、飲料で満たされたカップを自動販売機100の内部から自動販売機100の外部へ移動させるように動作可能な引渡ステーションと一体化された一体型ステーションを含む。言い換えれば、引渡ステーションは、飲料が満たされたカップを自動販売機100の内部から自動販売機100の外部に存在する利用者へ移動させるように動作可能である。説明を容易にするために、受取ステーション122と、引渡ステーションと、一体型ステーションは、一般に受取ステーション122と呼ばれる。従って、当業者であれば、受取ステーション122がカップの受取と引渡の両方に動作可能であることを理解するであろう。
図2および
図3を参照すると、本開示の実施形態による、受取ステーション122の正面斜視図および背面斜視図がそれぞれ図示されている。
図2および
図3から分かるように、受取ステーション122は、複数のカップを同時に受け取って搬送するように動作可能である。更に、受取ステーション122は、各カップを互いに独立して受取りおよび搬送するように動作可能である。
【0060】
受取ステーション122は、カップを取り扱うために動作可能な少なくとも1つの個別区画ユニット(pigeon hole unit)130を含む。好ましい実施形態では、受取ステーション122は、
図2および
図3に示すように、複数の個別区画ユニット130を含むことができる。複数の個別区画ユニット130を有することにより、自動販売機が複数のカップを同時に受け取り、引き渡すことが可能となり、それにより複数の利用者に同時にサービスを提供することができる。次に、
図4~
図6を参照すると、本開示の例示的な実施形態による個別区画ユニット130の斜視図と、分解正面図と、分解透視図とがそれぞれ示されている。個別区画ユニット130は、利用者からカップを受け取り、カップを自動販売機100の外部から自動販売機100の内部へ移動させるように動作可能である。同様に、カップが飲料で満たされると、個別区画ユニットは、カップを自動販売機100の内部から自動販売機100の外部へ移動させるように動作可能である。
【0061】
個別区画ユニット130は、カップを保持するための個別区画カップホルダ(pigeon hole cup holder)132を含む。個別区画カップホルダ132は、カップが個別区画カップホルダ132内に置かれたときにカップの載置面として機能するベース134を含む。一実施形態では、ベース134は円形の形状を有していてもよく、カップの向きを水平に保つために水平に配置されてもよい。個別区画カップホルダ132は、湾曲した側壁136を更に含み、湾曲した側壁136は、個別区画カップホルダ132のドアとして機能し、個別区画カップホルダ132内部へのアクセスを許容および制限するように構成されている。個別区画カップホルダ132は、カップから落ちる飲料の液滴を受けるためのドリップトレイ138を更に含む。説明の便宜上、飲料が満たされたカップが個別区画カップホルダ132内に置かれると、飲料の数滴がカップの外側表面から滑って落ちることがあり、ドリップトレイ138に集められうる。更に、ドリップトレイ138は、その上面に、カップから落ちる液滴を吸収するための吸収性メッシュ140を含むことができ、これにより、1つの個別区画カップホルダ132を清潔に保つことができる。
【0062】
個別区画ユニット130は、個別区画カップホルダ132内にカップを配置するための少なくとも1つの個別区画開口部(pigeon hole opening)142(
図2に示す)を更に画定している。説明の便宜上、利用者は、個別区画開口部142を介して、個別区画カップホルダ132にカップを置き、受け取ることができる。上述したように、個別区画カップホルダ132の湾曲した側壁136は、個別区画開口部142を開閉するように動作可能である。
【0063】
個別区画ユニット130は、個別区画カップホルダ132の底部に取り付けられ、個別区画カップホルダ132を回転させるように適合された個別区画レセプタクル(pigeon hole receptacle)144を更に含む。個別区画レセプタクル144は、個別区画カップホルダ132を駆動するように構成された電動モータ148を収容するためのモータブラケット146を含むことができる。更に、個別区画カップホルダ132の回転に基づいて、個別区画開口部142を開閉することができる。また、個別区画レセプタクル144は、個別区画カップホルダ132を時計回り方向および反時計回り方向の少なくとも一方に回転させるように構成されていてもよい。個別区画レセプタクル144は、更に、個別区画カップホルダ132を180度の角度まで回転させて、個別区画開口部142を開閉してもよい。説明の便宜上、個別区画カップホルダ132は、カップを受け取るために、180度回転して個別区画カップホルダ132へのアクセスを可能にし、再び180度回転して個別区画カップホルダ132へのアクセスを制限して自動販売機100の内部でカップを移動させることができる。個別区画ユニット130の各々は独立して動作するように適合されており、従って、飲料の複数の注文を同時に処理することができ、それによって複数の利用者に同時にサービスを提供することができることは、当業者には明らかであろう。
【0064】
個別区画ユニット130は、その機能を果たすための他の構成要素、例えば、個別区画カップホルダ132を支持するためのカスタムフランジ150、個別区画カップホルダ132が回転するときの回転摩擦を低減するためのボールベアリング152、個別区画カップホルダ132と個別区画レセプタクル144とを結合するためのカスタムカプラ154、上述したすべての構成要素を支持するためのベース156等を含んでいてもよい。更に、ネジ158は、個別区画ユニット130を形成するための上述の構成要素を結合するために使用される。
【0065】
個別区画ユニット130は、カップが自動販売機100の内部に移動される前に、カップの準備状態を検出するように動作可能な検出器160を更に含む。カップの準備状態は、カップの蓋が取り外されているかどうか、および/または、カップが完全に空であるかどうか、および/または、カップが以前にカップに収容されていた飲料で汚れているかどうか等の様々な要因に基づいて決定されるが、これらに限定されない。カップの準備状態を判定するための要因は上記に限定されるものではなく、他の要因も考慮されうることに留意すべきである。更に、検出器160は、当該技術分野で知られている種々の方法に基づいて準備状態を検出してもよい。一実施形態では、カップの蓋が取り外されているか、カップが汚れているか、カップが空かどうかを認識するためのエッジ人工知能推論(edge Artificial Intelligence inferencing)を行うことができるカメラが個別区画カップホルダ132に設置されている。更に、カップの証拠写真を撮影し、将来問題が発生した場合の検証のためにメモリ302に格納することもできる。特定の実施形態では、個別区画カップホルダ132に配置されたカップの重量を判定するために、ベース134に重量センサが設置されていてもよい。検出器160は、カップが、半分も入っていたり、汚れていたり、蓋で覆われていたり、または、カップ内に食中毒やその後の過充填を引き起こす可能性のある他の物質があるカップが自動販売機100に入るのを防止することができる。
【0066】
個別区画ユニット130は、個別区画カップホルダ132に配置されたカップを識別するためのセンサ162を更に含む。センサ162は、個別区画カップホルダ132の上部天井に取り付けられ、カップ上の識別タグを読み取るように構成された識別タグリーダであってもよい。一実施形態において、識別タグリーダは、カップのRFIDタグから情報を読み取るために、個別区画ユニット130の上部天井に取り付けられたRFIDリーダとして、RFID(Radio Frequency Identification)アンテナを含むことができる。説明の便宜上、識別タグは、利用者が注文した飲料だけでなく、利用者に関連する情報を記憶するように構成されていてもよい。特に、識別タグは、利用者の名前、利用者の飲料の好み、具体的には、飲料の種類および量に関する情報などの情報を記憶していてもよい。識別タグは、更に、利用者が飲料を注文する際に選択する添加物(例えば、砂糖、ミルク等)の種類および量の情報を記憶していてもよい。いくつかの実施形態では、個別区画カップホルダ132は、個別区画カップホルダ132にカップが配置されているかどうかを検出するために、個別区画カップホルダ132の湾曲した側壁136に取り付けられたプレゼンスセンサ164を更に含むことができる。プレゼンスセンサ164は、個別区画カップホルダ132内のカップの存在を検出するように構成された近接センサであってもよい。
【0067】
自動販売機100は更に、カップを受取ステーション122から飲料製造装置120に移し、飲料製造装置120から受取ステーション122に戻すように動作可能な搬送機構124を含む。具体的には、搬送機構124は、個別区画カップホルダ132から飲料製造装置120にカップを移し、飲料製造装置120から個別区画カップホルダ132にカップを戻すように動作可能である。搬送機構124は、個別区画カップホルダ132と飲料製造装置120との間を移動するように構成されたロボットアーム170(
図1に示す)を含む。搬送機構124は、カップを把持するためのロボットアーム170の端部にエンドエフェクタ172を更に備えている。エンドエフェクタ172は、受取ステーション122と飲料製造装置120との間を移動する間にカップを保持するように適合されている。更に、エンドエフェクタ172は、
図1に示すものに限定されず、他のタイプのエンドエフェクタもロボットアーム170に実装されうることが当業者には明らかであろう。
【0068】
自動販売機100は、飲料の選択肢を表示するために操作可能な注文パネル174(
図1に示す)を更に含む。注文パネル174は、利用者が所望の飲料を選択できる飲料の選択肢を表示する。特に、注文パネル174は、利用者が飲料を選択できるようにするためのインタラクティブタッチスクリーンであってもよい。注文パネル174は、更に、飲料の選択肢から所望の飲料の選択を容易にするように操作可能であってもよい。特定の実施形態では、自動販売機100は、
図1に示すように、左セクション106に配置されたものと右セクション108に配置されたものとの2つの注文パネル174を含むことができる。2つの独立した注文パネル174を有することにより、利用者がそれぞれ自分の飲料を独立して注文することが可能になりうることは、当業者には明らかであろう。注文パネル174は、制御装置300と通信可能であってもよく、制御装置300は、飲料製造装置120で利用可能な飲料に応じて、注文パネルに表示される飲料の選択肢を更新するように構成されてもよい。
【0069】
自動販売機100は、選択された飲料の支払いを容易にし、選択された飲料の支払い後にレシートを発行するように動作可能なPOS端末(Point Of Sale Terminal)176(
図1に示す)を更に含む。POS端末176は、UPI(Unified Payments Interface)決済、デビットカードおよびクレジットカード、ネットバンキング等の任意の手段を介して支払いを受け取るように適合させることができる。注文パネル174と同様に、自動販売機は2つのPOS端末176を含むことができ、一方は左セクション106に配置され、他方は右セクション108に配置される。従って、2人の利用者が同時に左セクション106と右セクション108でそれぞれ自動販売機100を使用することができる。いくつかの実施形態では、注文パネル174とPOS端末176の両方が単一のユニットに統合されていてもよい。
【0070】
自動販売機100は、飲料が充填されたカップの利用者への提供を容易にするために、利用者によるコードの入力を可能にする入力パネル178(
図1に示す)を更に含む。入力パネル178は、英数字コードを入力するためのキーパッドであってもよく、注文の受領時に利用者が受け取ったコードをスキャンするためのQRコードスキャナであってもよい。入力パネル178は、正しいコードを入力すると、個別区画カップホルダ132が回転し、ロック状態から開放状態に移動し、それによって利用者がカップを取り出すことができるように、個別区画ユニット130と連動することができる。入力パネル178は、利用者の本人確認をするように構成されており、利用者の本人確認がされた場合にのみ、個別区画カップホルダ132へのアクセスを許可する。
【0071】
次に
図7を参照すると、本開示の例示的な実施形態による自動カーテン180の正面斜視図が示されている。自動カーテン180は、自動販売機100の内部を覆うようにおよび/または自動販売機100の内部、テキスト/絵柄画像の表示モードを露出させるように動作可能である。自動カーテン180は、ユーザ入力を受信するためおよび/またはユーザに情報を提供するように動作可能なインタラクティブユーザインタフェースを含む。自動カーテン180は、利用者の名前、飲料の提供状況、トークン番号(token number)、アラートメッセージ等の情報を提示することができるが、これらに限定されない。自動カーテン180は、更に、利用者のために広告や双方向ゲームを提示してもよい。自動カーテン180は、
図1に示すように、自動販売機100の前面側、好ましくは受取ステーション122の上方に配置されうる。一実施形態では、自動カーテン180は有機発光ダイオード(OLED)スクリーンを含み、具体的にはOLEDスクリーンは透過スクリーンであってもよい。
【0072】
自動販売機100は、カップを洗浄するように構成されたカップ洗浄機を更に備える。カップ洗浄機は、カップに水を噴霧するための水ノズルを含んでいてもよい。カップ洗浄機は、カップを洗浄するための液体石鹸を注ぐための石鹸ディスペンサを更に含むことができる。カップ洗浄機は、ハウジング102の内部に配置されてもよく、洗浄後の水を回収するためのシンクを含んでいてもよい。一実施形態では、利用者は、自動販売機100にカップを洗浄してほしいかどうかを選択するオプションを有することができる。別の実施形態では、自動販売機100は、飲料をカップに注出する前に全てのカップを洗浄するように構成される。搬送機構124は更に、カップをピックアップし、カップを洗浄するためにカップをカップ洗浄機に移動させるようにプログラムされていてもよい。
【0073】
一実施形態によれば、自動販売機100は、充填されたカップを所定の温度に保つためのカップ保持ステーションを更に備える。カップ保持ステーションは、飲料が充填されたカップを熱い状態または冷たい状態のいずれかに保つために、加温器または冷蔵庫を含むことができる。飲料が充填されたカップは、利用者が個別区画カップホルダ132に配置されたカップの受取りに遅れた場合に、保持ステーションに保持される。このような場合、所定の時間経過後、搬送機構124は、カップを個別区画カップホルダから保持ステーションに移動させ、飲料の温度を必要な温度に維持するように適合されている。
【0074】
次に、
図8および
図9を参照すると、本開示の例示的な実施形態による、再利用可能カップ400の斜視図および断面図が示されている。再利用可能カップ400は、自動販売機100と関連付けられ、自動販売機100から飲料を受け取るように構成される。再利用可能カップ400は、底部404と、反対側の端部における開口上部406と、底部404と開口上部406との間に延びてカップ本体402の高さを規定する側壁408とを有するカップ本体402を含む。カップ本体402の形状は、
図8および
図9に示すような実施形態に限定されるものではなく、他の形状のカップ本体を用いてもよいことは当業者には明らかであろう。また、カップ本体402をステンレススチール製とすることにより、再利用可能カップを丈夫で長持ちさせることができる。カップ本体402は、工業用磁器エナメル、セラミック・コーティング、または、他の形態のナノ・コーティング(例えばセラミック・ナノ粒子コーティング)およびカップ本体402の外側と内側との両方に表面処理を施してもよい。カップ本体402は、スチール本体および上記コーティングと共に、再利用可能カップ400を使用する際に、飲料の良好な味とともにエレガントな外観を提供することができる。
【0075】
再利用可能カップ400は、カップ本体402を覆うためのゴム製スリーブ410を更に含む。換言すれば、ゴム製スリーブ410は、カップ本体402を取り囲む軟質カバーとして機能し、これを介して利用者は再利用可能カップ400を把持することができる。
図9に示すように、ゴム製スリーブ410の内面は、カップ本体402の周囲に水平に円形ストライプの配列を形成する内面全体にわたって水平に配置された複数の隆起部412を含むことができる。カップ本体402上に配置されると、複数の隆起部412はカップ本体402の側壁408と接触する。各隆起部412は隣接する隆起部412から所定の間隔をおいて配置され、それによりゴム製スリーブ410とカップ本体402との間に空隙が形成される。当業者であれば、この空隙がカップ本体402とゴム製スリーブ410との間の熱伝導を減少させ、それによって再利用可能カップが熱い飲料を含んでいるときに再利用可能カップを安全に把持できるようにすることを理解するであろう。
【0076】
再利用可能カップ400は、利用者によって注文された飲料と同様に、利用者に関連する情報を記憶するための識別タグ414を更に含む。特に、識別タグ414は、利用者の名前、利用者の飲料の好み、具体的には、飲料の種類および量に関する情報等の情報を記憶することができる。識別タグは更に、飲料を注文する際に利用者が選択した添加物(例えば、砂糖、ミルク等)の種類および量の情報を記憶してもよい。更に、上述したように、自動販売機100のセンサ162は、再利用可能カップが個別区画ユニット130に配置されるときに、再利用可能カップ400の識別タグ414と通信することができる。
【0077】
識別タグは通常、カップ本体402の下方に設置されうる。好ましい実施形態において、識別タグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、特にオンメタル(on-metal)RFIDタグであってもよい。従って、RFIDタグがカップ本体402に取り付けられると、カップ本体402のスチール本体が、再利用可能カップ400の上方に位置する識別タグリーダのアンテナとして増幅する。更に、RFIDタグに記憶された識別情報や個人情報を転送するためのRFIDアンテナ418が設けられている。RFIDタグとRFIDアンテナ418は、識別情報や個人情報を転送するための通信線420を介して配線されている。
【0078】
再利用可能カップ400は、飲料がこぼれないように再利用可能カップ400を覆い密封するために、カップ本体402の開口上部406に嵌合するように適合された蓋416を更に含む。蓋416は、従来技術で知られている任意の手段を介して開口上部に嵌合するように適合させることができる。一実施形態では、蓋416は、使いやすいようにカップ本体にスナップ留めすることができる。別の実施形態では、蓋416は、確実に密封するためにカップにねじ込んでもよい。一実施形態によれば、再利用可能カップ400の蓋416は、再利用可能カップ400の内部を見ることができる透過材料で作られていてもよい。
【0079】
再利用可能カップ400は、再利用可能カップ400を表面にしっかりと固定(grip)するために、再利用可能カップ400の底部に嵌合するように適合された吸盤422を更に含むことができる。吸盤422は、運転中の車のダッシュボードのような表面に再利用可能カップをしっかりと保持するのに役立ちうる。再利用可能カップは、再利用可能カップ400の保持を容易にするために、カップ本体402と周囲において接触するカップグリップ424を更に含むことができる。カップグリップ424は、再利用可能カップ400内に熱い飲料が入っていても、再利用可能カップを把持するための冷たい領域を提供するように適合されている。特定の実施形態では、カップグリップ424は、
図8に示すように、かき混ぜスティックまたはスプーン426を保持するための手段を含むことができる。
【0080】
再利用可能カップ400は、少なくとも1つの再利用可能カップ内の飲料の温度を測定する温度センサを備える。温度センサは、利用者が再利用可能カップ内の飲料の温度を測定するのに役立ち、利用者がそれに応じた行動を取るのに役立ちうる。更に、再利用可能カップ400は、少なくとも1つの再利用可能カップ内の飲料を所定時間内に所定温度に保つためのヒータを含んでいてもよい。ヒータは、局所電源を有するアクティブヒータ(passive heater)および/または誘導加熱用のパッシヴヒータ(passive heater)を含むことができる。
【0081】
ここで
図10を参照すると、本開示の例示的な実施形態による、自動販売機100の動作方法500を示すフローチャートが示されている。また、
図11~
図18は、本開示の実施形態による自動販売機100を動作させる方法を示す図である。一実施形態では、自動販売機100は再利用可能カップ400で動作することができる。別の実施形態では、自動販売機100は、任意のタイプのカップ、例えば使い捨てカップで動作することができる。説明を容易にするために、本明細書における方法500では、再利用可能カップ400を用いた自動販売機100の動作について説明する。自動販売機100を初めて使用する際、利用者は自動販売機100から再利用可能カップ400を購入することができる。自動販売機100は、利用者が注文パネルおよび/またはスマートフォンにインストールされたアプリケーションソフトウェアから購入することができる複数の再利用可能カップ400を保管することができる。再利用可能カップ400の購入時には、識別タグライタ(identification tag writer)を介して、利用者の個人情報が再利用可能カップ400の識別タグに登録される。また、利用者がすでに前に再利用可能カップ400を購入していた場合には、利用者が直接自動販売機100の操作プロセスを開始することができる。
【0082】
第1のステップ502において、利用者は、
図11に示すように、注文パネル174またはアプリケーションソフトウェアを使用して、所望の飲料を注文することができる。飲料が選択されると、利用者は、選択された飲料の支払いに進むことができる。選択された飲料の支払いは、自動販売機100の支払い・レシートパネル176またはアプリケーションソフトウェアを介して行うことができる。支払いを行うと、ハードコピー(紙)形式でPOS端末176から払い出されるか、または、ソフトコピー形式でモバイルデバイスに直接送信される領収書が生成されうる。
【0083】
第2のステップ504および
図12~
図14において、自動販売機100は、受取ステーションでカップを受け取る。再利用可能カップ400を受け取るために、自動販売機100は、受取ステーション122の空いている個別区画ユニット130を決定し、利用者が再利用可能カップ400をどこに配置すべきか分かるように、自動カーテン180に個別区画ユニットの識別番号を表示する。個別区画ユニット130の識別番号を受け取ると、利用者が入力パネル178にそのコードを入力することで利用者の到着を確認することができる。コードが一致すると、それぞれの個別区画カップホルダ132が自動販売機100の内部から外部に最大180度回転し、再利用可能カップ400を受け取る。
【0084】
第3のステップ506において、自動販売機100は、再利用可能カップ400が飲料を受け取る準備ができた状態(準備完了状態)にあるかどうかを検出する。再利用可能カップ400の準備完了状態は、システムにプログラムされた様々な要因によって決定される。例えば、再利用可能カップ400の蓋416が取り外されているかどうか、および/または、再利用可能カップ400が完全に空であるかどうか、および/または、再利用可能カップ400に利用者が前回の使用中に飲んだ飲料の汚れを含んているかどうかである。自動販売機100は、当該技術分野で知られている任意の手段を介して再利用可能カップ400の状態を検出することができる。一実施形態では、個別区画ユニット130内の再利用可能カップ400の上方に設置された個々のカメラによるコンピュータビジョンの使用を通じて、蓋416が取り外されているか、再利用可能カップ400が汚れているか、または、再利用可能カップ400が空でないかを認識するためにエッジAI推論(edge AI inferencing)が実行される。このような対策により、半分入っている、汚れている、または、蓋416で覆われている再利用可能カップ400、あるいは、再利用可能カップ400の内部に食中毒やその後の過充填を引き起こす可能性のある他の物質がある再利用可能カップ400が自動販売機100に入ることを防止する。再利用可能カップ400の証拠写真が撮影され、将来問題が発生した場合に検証できるようにデータベースに格納される。
【0085】
第4のステップ508において、自動販売機100は、個別区画カップホルダ132に配置された再利用可能カップ400が準備未完了状態である場合、アラートを生成する。自動販売機100が生成したアラートは、例えば、自動カーテン180に表示される「蓋を取ってください」、「カップを洗浄してください」、「カップを空にしてください」等のアラートメッセージであってもよい。更に、自動販売機100は、状況によっては、視覚的メッセージとともに音声メッセージを生成することもできる。
【0086】
第5のステップ510および
図15において、自動販売機100は再利用可能カップ400を自動販売機100の外部から自動販売機100の内部へ移動させるために受取ステーション122を動作させる。再利用可能カップ400が既に準備完了状態にある状況では、自動販売機100が再利用可能カップ400を直接自動販売機100の内部に移動させることは当業者には明らかであろう。自動販売機100は、適切な再利用可能カップが適切な個別区画ユニット内に配置されたかどうかを確認するためのセンサ162を含む。
【0087】
第6のステップ512および
図15~16において、搬送機構124は、再利用可能カップ400を受取ステーション122から飲料製造装置120へ搬送するために動作可能である。特に、ロボットアーム170は、選択された飲料を再利用可能カップ400に受け取るために、再利用可能カップ400をピックアップし、適切な注ぎ口126の下に置く。飲料が複数の材料から作られている場合、ロボットアーム170は、再利用可能カップを、プログラムされた順序で各注ぎ口126に移動させる。例えば、冷たいジュースが利用者によって選択された場合、ロボットアームは再利用可能カップ400をジュースを受け取るための注ぎ口126に移動させ、次に氷を受け取るための注ぎ口126に移動させる。
【0088】
第7のステップ514において、自動販売機100は、飲料製造装置120を制御して、飲料を再利用可能カップ400に注出する。利用者によって選択された注文に基づいて、飲料製造装置120は、飲料製造装置120の注ぎ口126の下に配置された再利用可能カップ400に飲料を準備および/または注出する。
【0089】
第8のステップ516および
図17において、飲料が完成しそうになると、アプリケーションソフトウェア上で利用者に通知が送信される。飲料が再利用可能カップ400に充填されると、自動販売機100は搬送機構124を制御して、飲料が充填された再利用可能カップ400を受取ステーション122に搬送する。特に、ロボットアーム170は、再利用可能カップ400を受け取って、空いている個別区画ユニット130に配置する。その後、どの個別区画ユニット130に再利用可能カップ400が配置されたかを知らせるための情報が、自動カーテン180だけでなく、アプリケーションソフトウェアを介して利用者に送信される。このステップでは、利用者は、注文された飲料が入った適切な再利用可能カップが適切な利用者によって回収されたことを確認するために、アプリケーションソフトウェアに提供されたコードを入力することが要求される。
【0090】
第9のステップ518および
図18において、自動販売機100は、再利用可能カップ400を自動販売機100の内部から自動販売機100の外部へ移動させるための受取ステーション122を動作させる。利用者は注文された飲料が入った再利用可能カップ400をピックアップする。
【0091】
これらの実施形態に対する様々な変更は、本明細書および添付図面から当業者には明らかである。本明細書で説明した様々な実施形態に関連する原理は、他の実施形態にも適用することができる。従って、本明細書は、添付図面と共に示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書において開示または示唆された原理および新規かつ進歩的な特徴と一致する最も広い範囲を提供するものである。従って、本開示は、本開示および添付の特許請求の範囲の範囲内に入る他の全てのそのような代替例、修正例、および変形例を保持することが予想される。
【国際調査報告】