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特表2024-506992排出制限のための車両状態制御システム、道路車両、及び車両状態制御の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】排出制限のための車両状態制御システム、道路車両、及び車両状態制御の方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/00 20060101AFI20240207BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240207BHJP
【FI】
B60W50/00
B60W60/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551140
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 DE2021000178
(87)【国際公開番号】W WO2022174849
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021000919.3
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523317973
【氏名又は名称】テクニシェ ユニベルシテイト イルメナウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アウクスブルク、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヘッセ、ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】リチャアルディ、ヴィンチェンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ハマチェック、クリストファー
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241BA49
(57)【要約】
本発明は、状態検出ユニット1と、データベース・ユニット2と、制御及び評価ユニット3と、を含む排出制限車両状態制御システムに関し、状態検出ユニット1は、状態データを提供するように設計され、データベース・ユニット2は、静的データベース・モジュール2.1、動的データベース・モジュール2.2、及びデータ管理モジュール2.3を有し、静的データベース・モジュール2.1は、パワートレインと関連付けられていない排出についての因果関係に関する静的データを含み、動的データベース・モジュール2.2は、パワートレインと関連付けられていない排出に関する変数データを含み、制御及び評価ユニット3は、状態検出ユニット1から状態データ、及びデータベース・ユニット2からデータベース・データを受信し、計算モジュール3.1の手段によって、排出バジェット及びターゲット排出値を判定し、代替的な予備的制御コマンドを提供し、予測的排出特性値をそれらに割り振り、また、査定モジュール3.2の手段によって、予測的排出特性値及びターゲット排出特性値に基づいて、代替的な予備的制御コマンドから最終的な制御コマンドを選んで、アクチュエータ・ユニット4にこの最終的なコマンドを出力し、車両状態に影響する、ように設計される。本発明は、この種類の車両状態制御システムを有する道路車両及び車両状態制御のための方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両状態制御システムであって、
状態検出ユニット(1)と、データベース・ユニット(2)と、制御及び評価ユニット(3)と、を備え、
前記状態検出ユニット(1)は、状態データを提供するように設計され、前記状態データは、トラフィック状況データ、車両状態データ、又は車両サブシステム・データであり、
前記状態検出ユニットは、
前記トラフィック状況データを記録し、送信可能な方式においてそれらを提供するように設計されたトラフィック状況検出ユニット(1.1)と、
前記車両状態データを記録し、送信可能な形式においてそれらを提供するように設計された車両状態検出ユニット(1.2)と、
前記車両サブシステム・データを記録し、送信可能な方式においてそれらを提供するように設計された車両サブシステム検出ユニット(1.3)と、を含み、
前記データベース・ユニット(2)は、前記状態検出ユニット(1)にデータ・リンクされ、静的データベース・モジュール(2.1)、動的データベース・モジュール(2.2)、及びデータ管理モジュール(2.3)を含み、
前記静的データベース・モジュール(2.1)は、ドライブトレインと関連付けられていない排出に対する因果関係に関する静的データを含み、
前記動的データベース・モジュール(2.2)は、前記ドライブトレインと関連付けられていない排出に関する変数データを含み、
前記データ管理モジュール(2.3)は、前記動的データベース・モジュール(2.2)に前記変数データを書き込み、又はそれらを削除するように設計され、加えて、前記静的データベース・モジュール(2.1)から前記静的データ、及び前記動的データベース・モジュール(2.2)から前記変数データを取り出し、転送可能な形式において、データベース・データとしてそれらを提供するように設計され、
前記制御及び評価ユニット(3)は、前記状態検出ユニット(1)及び前記データベース・ユニット(2)にデータ・リンクされ、前記状態検出ユニット(1)から前記状態データ、及び前記データベース・ユニット(2)から前記データベース・データを受信し、前記状態データ及び前記データベース・データから代替的な予備的制御コマンドを提供するように設計され、予測的排出パラメータは、前記代替的な予備的制御コマンドに割り振られ、
前記制御及び評価ユニットは、前記状態データ及び前記データベース・データから運転単位の排出バジェットを計算し、前記代替的な予備的制御コマンドについてのターゲット排出パラメータを判定するために前記排出バジェットを使用するように設計された、計算モジュール(3.1)を含み、
前記制御及び評価ユニットは、前記ターゲット排出パラメータとの前記予測的排出パラメータの比較の手段によって、前記代替的な予備的制御コマンドから最終的な制御コマンドを選択するように設計された査定モジュール(3.2)を含み、前記制御及び評価ユニットは、アクチュエータ・ユニット(4)に前記最終的な制御コマンドを出力するように設計され、車両状態は、前記アクチュエータ・ユニット(4)によって影響されることができる、
車両状態制御システム。
【請求項2】
SAEレベル2~5に従ったシステムとして設計されることを特徴とする、請求項1に記載の車両状態制御システム。
【請求項3】
前記車両サブシステムは、制動システム(5)及び/又はタイヤ・システムであることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の車両状態制御システム。
【請求項4】
前記車両状態は、減速として前記制動システム(5)によって影響されることができることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の車両状態制御システム。
【請求項5】
前記制御及び評価ユニット(3)並びに前記データベース・ユニット(2)は、構造的ユニットを形成することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の車両状態制御システム。
【請求項6】
前記動的データベース・モジュール(2.2)へのステータス履歴にデータを書き込むことができることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の車両状態制御システム。
【請求項7】
前記制御及び評価ユニット(3)は、前の最終的な制御コマンドの充足の排出関連度を査定し、前記データ管理モジュール(2.3)の手段によって前記変数データを更新するために、前記状態データを使用するように設計される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の車両状態制御システム。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の車両状態制御システムを備え、摩擦ブレーキを備えた、道路車両。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の車両状態制御システムの手段による、車両状態制御のための方法であって、以下の工程ステップ:
a)前記静的データベース・モジュール(2.1)にパラメータ化としての静的データを書き込むことと、
b)前記状態検出ユニット(1)によって状態データを記録し、送信のためにそれらを提供することと、
c)前記制御及び評価ユニット(3)によって、前記状態検出ユニット(1)から状態データ、及び前記データベース・ユニット(2)からデータベース・データを取得することと、
d)前記制御及び評価ユニット(3)によって、代替的な予備的制御コマンドを提供し、予測的排出パラメータを前記代替的な予備的制御コマンドに割り振ることと、
e)前記状態データから及び前記データベース・データから、運転単位の排出バジェットを計算することと、
f)前記排出バジェットからターゲット排出パラメータを計算することと、
g)前記予測的排出パラメータと前記ターゲット排出パラメータとを比較することによって、前記代替的な予備的制御コマンドから最終的な制御コマンドを選択することと、
h)アクチュエータ・ユニット(4)に前記最終的な制御コマンドを出力し、車両状態に影響を与えることと、
i)前記データ管理ユニット(2.3)によって、前記動的データベース・モジュール(2.2)の変数データを書き込み及び/又は削除することと、
を含む、車両状態制御方法。
【請求項10】
前記工程ステップa)~i)の実行を繰り返すことを含み、
以下の追加の工程ステップ:
j)前記運転単位において既に発行された最終的な制御コマンドから実際の排出パラメータを記録することと、
k)前記排出バジェットに前記実際の排出パラメータを含め、残りの運転単位についての残りの排出バジェットを計算することと、
l)前記残りの排出バジェットから更新されたターゲット排出パラメータを計算することと、
m)前記更新されたターゲット排出パラメータとの前記予測的排出パラメータの比較によって、前記代替的な予備的制御コマンドから前記最終的な制御コマンドを選択することと、
を含む、請求項9に記載の車両状態制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブトレインと関連付けられていない排出を制限するための排出制限車両状態制御システム及び車両状態制御に対する方法に関する。更に、本発明は、ドライブトレインと関連付けられていない排出に関して排出が制限された道路車両に関する。
【背景技術】
【0002】
トラフィック関連排出が、エンジン排出として、特に内燃エンジンの排気ガスとして、及び非エンジン排出として存在し得る。
【0003】
両方のタイプのトラフィック関連排出は、それらが気候変動に貢献することを理由に公共の批判に晒され、健康に危険であるとして分類される。20年よりも長い間、欧州連合及び世界保健機関は、それに従って、ガイドライン及び法制の両方を提供することによって、粒子放出を削減するように取り組んできた。エンジン排出を削減するために、エンジン自体の内部で、又は後処理システム上での測定を特に強調して、ますます効率的な運転システムが過去に開発されてきた。
【0004】
現在では、非エンジン排出についての法的な制限値が存在せず、これは、総排出のこの割合において継続して増大することにつながってきた。したがって、エンジン排出及び非エンジン排出が今日の比較可能な割合において、都市エリア内での汚染に貢献すると推定される。摩耗粒子の一部を細かい粉塵のサイズ・クラス(<=10マイクロメートル)に割り振ることができるので、この細かい粉塵の源は、人間の健康に特に関連するものである。
【0005】
この背景に対して、ブレーキ粒子のサンプリング及び測定のための標準化された試験手順を開発するために、UNECEは、「Particle Measurement Programme」(PMP)を確立してきた。この理由のために、この排出源への注意が過去に増大してきた。
【0006】
ドライブトレインと関連付けられていない排出、殊に、摩擦ブレーキからの排出を削減するための様々なアプローチが最先端に知られている。
【0007】
一方で、従来技術に係る提案されたソリューションは、生み出されたブレーキ粉塵を収集し、よって、環境内へのその排出を回避又は削減することに関連する。
【0008】
例えば、ドイツ特許出願公開第102005006465号明細書は、ソリューションを記載し、ソリューションによれば、静電場、磁場、又は組み合わせた場を印加することによって、排出されたブレーキ粉塵が制動システムのコンポーネントに結び付けられる。場をスイッチオフすることによって、コンポーネントが洗浄される。
【0009】
特開2008-115957は、提案を記載し、提案によれば、リムの内部にブレーキ粒子を堆積させるために、リムの内部及び外部の間に電位が印加される。
【0010】
ドイツ特許第60224858号は、収集プレート上でブレーキ粉塵を収集するように制動の間に、電場が増強するような手段によるブレーキ摩耗収集デバイスを開示している。
【0011】
更に、ドイツ実用新案登録出願公開第202005006844号明細書は、モータ車両の制動システムから摩擦ブロックの摩耗を収集するデバイスを記載し、デバイスは、ブレーキ粉塵がフローガイドを介してフィルタ・システムに移送され、そこでフィルタされる点で特徴付けられる。
【0012】
ドイツ特許出願公開第102006051972号明細書は、筐体がブレーキキャリパ出口のエリアを部分的に囲み、その結果、筐体の有利な設計のおかげで、ブレーキ粉塵が開口を通じて筐体の中に流れ、そこに堆積するような手段による別のブレーキ粉塵収集デバイスを記載している。
【0013】
加えて、ドイツ特許出願公開第102007009744では、ブレーキ粉塵の除去のソリューションが提案され、ブレーキ粉塵の除去のソリューションによって、吸引デバイスは車両の排気システムに接続され、作用する負圧力によって、ホイール・ブレーキにおけるブレーキ粉塵が排気システムに向かって移送され、粒子フィルタ内に堆積される。
【0014】
ドイツ実用新案登録出願公開第202005017472号明細書も、ブレーキ粉塵吸収システムについての概念を記載し、概念は、ブレーキ粉塵粒子が、デバイスによる吸引によって、及び静電場の支持により抽出され、フィルタ内に堆積される点で特徴付けられる。
【0015】
国際特許出願第2014/072234号明細書では、ブレーキ・ライニングに統合されたガイド・チャネルを通じてブレーキ粉塵をサック・オフ(sucks off)し、それをフィルタ・システムに供給する抽出デバイスが記載されている。
【0016】
最先端によるそれらのソリューションの欠点は、一方で、機能しなくなりがちな追加の、複雑で余分なデバイスが必要とされ、他方で、環境的に適合性がある方式において保持されたブレーキ粉塵を堆積させる問題が残る。
【0017】
1つのステップを先に開始させ、ブレーキ摩耗の形成を低減させることをも目的とするアプローチが知られている。
【0018】
ドイツ特許出願公開第102018207298号明細書は、ブレーキ粉塵の排出された量を低減する制御ユニット及び方法を記載し、この方法は、モータ車両の位置に関する位置データの判定と、位置データに応じてモータ車両上に搭載された異なる制動デバイスへの制動力分散の適応とを記載する。本開示の欠点は、このソリューションが運転する状況の複雑度の要件を実際に満たさないことである。
【0019】
更に、ドイツ特許出願公開第102009001332号明細書は、環境的にフレンドリなコーナリングのためのソリューションを記載している。この公開では、通過されることになるカーブのコースが判定され、タイヤ摩耗によって生じる排出ができるだけ低くなるための少なくとも1つのターゲット運転パラメータが計算され、ブレーキ粉塵及び二酸化炭素が発生し、実際の運転パラメータが計算されたターゲットパラメータに近似される、方法が提案されている。ここで、特定の欠点は、特定の運転状況のためのソリューションのみが示されていることである。
【0020】
ドイツ特許出願公開第102016215900号明細書は、車両の排出を判定する方法と、方法を実施するシステムとに関連する。このソリューションによって、真の運転動作の間、少なくとも1つの車両パラメータに応じて、センサがサポートされた方式又はモデル・ベースの方式において車両のデータ処理デバイスの手段によって、排出が判定される、ことが仮定される。このアプローチの欠点は、排出を判定するためのソリューションのみが提供され、それらを削減するためのソリューションが提供されないことである。
【0021】
更に、国際特許出願第2020/031103明細書は、制動行動の評価のためのデータを記録及び提供する方法及びデバイスを開示し、粒子状排出は、インジケータとしての役割を果たす。それらのデータは、車両のドライバに出力され、その結果、ドライバは、生み出される非エンジン排出が少なくなるように、ドライバの運転スタイルを最適化することが可能である。欠点は、排出削減運転行動が奨励されるにすぎず、それはなおも実際の運転行動に依存することである。
【0022】
ブレーキ粉塵排出を削減する別のソリューションは、ドイツ特許出願公開第102018207298号明細書に記載されている。特に、排出を削減する目的で車両の位置データに基づいて、ターゲットとされた方式において異なる制動デバイスに制動力を分散させることが提案されている。制動力分散の欠点は、1つの特定の技術的態様のみが対処されるのに対し、他のパラメータが考慮されないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102005006465号明細書
【特許文献2】特開2008-115957
【特許文献3】ドイツ特許第60224858号
【特許文献4】ドイツ実用新案登録出願公開第202005006844号明細書
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第102006051972号明細書
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第102007009744号明細書
【特許文献7】ドイツ実用新案登録出願公開第202005017472号明細書
【特許文献8】国際特許出願第2014/072234号明細書
【特許文献9】ドイツ特許出願公開第102018207298号明細書
【特許文献10】ドイツ特許出願公開第102009001332号明細書
【特許文献11】ドイツ特許出願公開第102016215900号明細書
【特許文献12】国際特許出願第2020/031103明細書
【特許文献13】ドイツ特許出願公開第102018207298号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明のタスクは、ドライブトレインと関連付けられていない排出に関して、道路車両の排出が制限された運転を可能にするのと同時に、運転力学が最適化され、運転概念とは独立した、車両状態制御システムを提供することである。更に、タスクは、最適化された運転力学によって同時に特徴付けられる、そのような排出が制限された運転動作のための道路車両と共に、そのような排出が制限された車両状態制御及び運転力学が最適化された車両状態制御のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
車両状態制御システムに関するタスクは、請求項1に記載された特徴によって解決される。道路車両に関するタスクは、請求項8に記載された特徴によって解決され、方法に関するタスクは、請求項9に記載された特徴によって解決される。好ましい更なる実施例は、それぞれの従属請求項から結果として生じる。
【0026】
ドライブトレインと関連付けられていない排出を制限するための、本発明に係る車両状態制御システムは、特に以下の考慮事項に基づいている。
【0027】
本発明の目的のために、以下で非エンジン排出とも称される、ドライブトレインと関連付けられていない排出は、全ての粒子排出であると理解され、粒子排出は、道路車両によって生じ、エンジン燃焼工程に再度追跡されることができない。ドライブトレインと関連付けられていない排出は特に、摩擦ブレーキからの排出及び車両タイヤからの排出である。広義に、それらは、トラフィック関連乱気流に起因した、道路摩耗及びリサスペンションをも含む。
【0028】
道路車両の減速は、運動エネルギーを熱エネルギーに変換する、摩擦ブレーキの適用によって現在なおも主に実現される。摩擦ブレーキの除去は、高い回復パワーを有するバッテリ電気自動車のケースでさえ、緊急制動の状況において、減速要件に起因して現在では可能でない。鋳鉄ブレーキ・ディスクとの組み合わせでの系統的なブレーキ・ライニングは、標準的な摩擦相手であると考えられる。決定的な摩擦効果は、接触エリアによって引き継がれ、接触エリアは、高い圧縮強度及び剪断強度を有し、通常は、ライニング・マトリックスに存在するファイバ・エンド又は単一の金属チップによって実装される。粒子は、流れの力及び慣性力効果の下で、主に接触ゾーンに残る。この動きは、回転の方向に接して部分的に起こり、部分的に、それらは、ブレーキ・ディスクへの境界表面において円周方向に沿って運ばれる。
【0029】
初期の速度又は摩擦エネルギーに加えて、表面圧力及び摩擦ゾーン温度は、摩擦ブレーキにおける粒子形状摩損に対して主に影響する変数であると見なされる。粒子形成工程及び関与する相互関係は、複雑であり、摩擦学的接点における摩擦相手の存在の材料特性に特に依存する。よって、車両ホイール・ブレーキによって生じる排出を削減するために、材料及び設計アプローチに加えて、運転力学及び動作条件に特別な注意が払われるべきである。
【0030】
タイヤ及び道路粒子も、連結成分、すなわちタイヤ・トレッド及び道路表面の摩損として定義されることができる。摩損は、摩擦学的応力すなわち、対応するカウンタ体の接触及び相対的な動きに起因した固体の最上部表面からの材料の前進的除去として説明されることができる。
【0031】
タイヤ及び道路粒子の形成についての主な原因は、スリップである。瞬間的な車両速度がタイヤの円周方向速度よりも大きい又は小さいときに、それは大きくなっている。スリップは、タイヤ体及び個々のトレッド要素の変形割合、すなわち、タイヤの測壁の弾性変形と、摺動割合、すなわち、タイヤ表面と道路表面との間の部分的な相対的動き、との分割されることができる。スリップに起因したタイヤ・トレッド及び道路表面の摩耗に加えて、粒子も、上昇する温度においてタイヤ・トレッドの蒸着及び融解工程に起因して解放されることができる。後者は、ホイールと道路との間の高い摺動速度及び低電力伝達のケースにおいて発生する場合がある。その上、コーナリングのときに横方向の力の伝達の責任を有する、横向きスリップも、粒子状排出の原因として分類されることができる。
【0032】
本発明は、特に、能動的制御介入の車両状態の排出関連性が、状況に応じてアクセス可能にされ、モータ車両状態の制御のための決定に含まれる場合、ドライブトレインと関連付けられていない排出の削減を達成することができる、という考慮事項に更に基づいている。
【0033】
本発明は、排出バジェットが運転単位(すなわち、複数の排出関連運転イベントを含む総ルート)に対して形成されるとき、運転イベントの個々の排出への排出バジェットの割り当ては、それぞれの運転イベントの運転力学に対する効果を考慮して、個々の運転イベントの排出関連性の評価のみが別々の実行されるのではなく、同一の総排出と共により良好な運転力学を達成することを可能にする、という考慮事項にも基づいている。
【0034】
全体的に、考慮事項の下でのシステムに応じて、粒子状摩損の形成のための区別された影響する変数が定義されることができ、その他の影響する変数との強度及び相互作用は、機械学習の数学的モデル又はアルゴリズムを使用して表されることができ、又は説明されることができる。説明は、加速及び/又は減速及び/又は横向き力学制御に関して、排出、摩損、及び運転力学の点で最適なアクションのための基準を表す。
【0035】
この目的のために、車両状態制御システムは、その基本コンポーネントとして、状態検出ユニットと、データベース・ユニットと、制御及び評価ユニットと、を含む。
【0036】
本発明によれば、状態検出ユニットは、状態データを記録するように設計される。状態データは、トラフィック状況データ、車両状態データ、又は車両サブシステム・データである。
【0037】
状態検出ユニットは、トラフィック状況検出ユニット、車両状態検出ユニット、及び車両サブシステム検出ユニットを含む複数の検出ユニットを有する。
【0038】
トラフィック状況検出ユニットは、トラフィック状況データを記録し、送信可能な形式においてそれらを提供するように設計される。トラフィック状況検出ユニットは特に、他の車両の速度などの他の道路ユーザの行動、トラフィック・ライトなどのトラフィック制御デバイスの行動要件、又はレーン幅、交差点までの距離などのトラフィック・エリアの空間的関係を記録するためのセンサ又はシステムとして実装され得る。更に、それは、例えば、ナビゲーション・データ、天候データ、又は、例えば、トラフィック・ジャム・レポートの形式において、リモートに送信されるデータであることができる。よって、トラフィック状況検出ユニットは、車両への外部性を検出する。
【0039】
車両状態検出ユニットは、車両状態データを記録し、送信可能な形式においてそれらを提供するように設計される。車両状態データは特に、速度、移動の方向における加速、又は横向きの加速など、車両の運転力学に関するデータである。この目的のために、車両状態検出ユニットは、適切なセンサをも含む。
【0040】
最終的に、状態検出ユニットはまた、車両サブシステム検出ユニットを有し、車両サブシステム検出ユニットは、車両サブシステム・データを記録し、送信可能な形式においてそれらを提供するように設計される。そのような車両サブシステムは特に、摩擦ブレーキ又は車両タイヤであることができる。そのような車両サブシステムの状態は、少なくとも1つの物理変数によってであるが、好ましくは、数個の物理変数によって表される。そのような物理変数は、例えば、ブレーキ・ディスクの温度又はタイヤ表面の温度であり得る。
【0041】
データベース・ユニットは、静的データベース・モジュール、動的データベース・モジュール、及びデータ管理モジュールを含む。更に、データベース・ユニットは、状態検出ユニットにデータ接続され、状態検出ユニットから状態データを受信することができる。
【0042】
静的データベース・モジュールは、ドライブトレインと関連付けられていない排出についての因果関係に関する静的データを含む。それらは、例えば、格納された特性曲線又はマップであることができる。例えば、運転速度、温度、及び摩擦ブレーキの粒子排出の間の関係は、特性曲線又はマップとして格納されることができる。このようにして格納されたデータは、一続きの実験的試験又はフィールド・データに基づいており、よって、高い程度の信頼性を保証する。それらの因果関係は全体的に有効であり、したがって、それらは、静的データ基準としての役割を果たすことができる。
【0043】
本発明に係る車両状態制御システムは、動的データベース・モジュール及び更なるコンポーネントとのその相互作用によって特に特徴付けられる。動的データベース・モジュールは、ドライブトレインと関連付けられていない排出に関する変数データを有する。ドライブトレインと関連付けられていない排出に関する変数データは静的データベースとしての全体的な有効性を有さず、状況に応じて、ドライブトレインと関連付けられていない排出に関連することができる全てのデータである。そのような変数データは、例えば、状態履歴に関する動的に作用する影響値又はデータであることができる。
【0044】
動的に作用する影響値のケースでは、例えば、制動効果及び排出行動を変化させる、新たに設置されたブレーキ摩擦に関する腐食性保護被膜があり得、同時に、ブレーキの作用の結果として壮大する摩損の影響を受ける。
【0045】
状態履歴に関するデータは、例えば、気候データであることができる。例えば、より長い期間にわたって高いレベルの湿度がある場合、ブレーキ・ディスクの表面上で腐食が増強し、制動効果及び排出行動を同時に変化させることを想定することができる。加えて、腐食堆積がブレーキの適用によってますます除去される。
【0046】
よって、動的データ・モジュールの変数データは、一方で、排出行動への関連する影響を有するが、他方で、状況に応じて常に有効であるにすぎないデータである。
【0047】
データベース・ユニットの別の要素は、データ管理モジュールである。
【0048】
このモジュールは、変数データを動的データベース・モジュールに書き込み、又はそれらを削除するように設計される。このようにして、データ管理モジュールは、現在の状況関連データが動的データベース・モジュールにおいて利用可能であることを保証する。
【0049】
更に、データ管理モジュールは、静的データベース・モジュールから静的データを取り出し、動的データベース・モジュールから変数データを取り出すことの両方、並びに制御及び評価ユニットに、転送可能なデータベース・データとしてそれらを利用可能にさせるように設計される。よって、静的データ及び動的データは、集合的にデータベース・データと称される。
【0050】
本発明によれば、データ管理モジュールは、制御及び評価ユニットも、ステータス・データに加えて利用可能なデータベース・データを有することを保証し、特に、静的データに加えて、データベース・データが、それぞれの状況に関連する変数データを常に含むことを保証する。
【0051】
本発明によれば、制御及び評価ユニットは、状態検出ユニット、及びデータベース・ユニットの両方にデータ接続される。その上、それは、ステータス検出ユニットからステータス・データを、及びデータベース・ユニットからデータベース・データを受信及び処理するように設計される。状態データ及びデータベース・データも、集合的に入力データと称される。
【0052】
入力データを処理した結果として、制御及び評価ユニットは、代替的な予備的制御コマンドを提供し、予測的排出パラメータは、代替的な予備的制御コマンドに割り振られる。予測的排出パラメータは、それぞれの制御コマンドの実行によって生じるドライブトレインと関連付けられていない予測された排出を表現する。予測的排出パラメータの計算のために、因果関係は、それらが静的データ・モジュールに静的データとして格納されるように、特に重要である。それらの関係は、例えば、ブレーキ・ディスクの温度とブレーキ摩耗に起因した粒子排出との間の関係であることができる。予測的排出パラメータの計算も、速度などの状態データ又は摩擦ブレーキの合計動作時間などの変数データを含む。代替的な予備的制御コマンドは、全体的に、数個の異なる考えられる制御コマンドが同一の状態に対して計算され、よって、後続の評価のために並列して利用可能であることを意味すると理解される。
【0053】
制御及び評価ユニットはまた、計算モジュールを含む。計算モジュールは、状態データ及びデータベース・データから運転単位についての排出バジェットを計算するように設計される。
【0054】
このコンテキストでは、運転単位は、開始点から宛先点までの車両による或る距離を網羅するために実行される複数の個々の運転イベントの総計であると理解される。運転イベントは、1つ又は複数の制御介入によって前の運転区間から区切られた運転単位の運転区間であると理解される。運転イベントは、運転ハプニング又は運転区間と称される場合がある。
【0055】
排出バジェットは、運転ルートごとに許容可能と考えられる排出を定義した仕様に特に基づくことができる。この仕様は、例えば、品質特徴として車両製造業者によって定義されることができ、データベース・ユニットに格納されることができる。更に、この点において法規条項も存在し、次いで、データベース・ユニットに格納され、データベース・データを変更することによって、法規条項へのいずれかの変更のイベントにおいても適合することができると考えられる。
【0056】
状態データ及びデータベース・データに基づいて、運転ルートは、例えば、行われる旅行の開始点及び宛先に入った後、ルートプランナの手段によって判定されることができ、その結果、運転ルートの長さが既知である。次いで、排出バジェットは、運転ルートに基づいて計算されることができる。排出バジェットは、この運転ルートの旅行の間に車両によって排出され得る排出の合計である。
【0057】
更に、計算モジュールは、予備的な代替的制御コマンドについてのターゲット排出パラメータを判定するために、計算された排出バジェットを使用するように設計される。これは、カーブ半径、勾配などの運転ルートの地理的データ、道路表面に関するデータなどと共に、速度規制、トラフィック・ライト、及び可能性のあるトラフィック・ジャムなどに関するデータが、状態データ及びデータベース・データからの判定された運転ルートに対して既知であるという事実に基づいている。
【0058】
これは、対応してそれらに割り振られた予測的排出パラメータにより個々の運転イベントについての代替的な予備的制御コマンドを判定することを可能にする。ターゲット排出パラメータは、特定の運転イベントのために利用可能である排出パラメータを示し、その結果、それらは全体として、排出バジェットを上回らない。
【0059】
これに基づいて、制御コマンドはここで、代替的な予備的制御コマンドから選択されることができ、その割り振られた予測的排出パラメータはターゲット排出パラメータに対応する。このようにして、選択された制御コマンドの予測的排出パラメータの合計が排出バジェットを上回らないことが達成される。
【0060】
有利なことに、これは、最高の可能な運転力学が達成されるような方式において、制御コマンドの予測的排出パラメータに排出バジェットを割り当てることを可能にもする。
【0061】
この目的のために、本発明に係る制御及び評価ユニットは、査定モジュールを含み、査定モジュールは、ターゲット排出パラメータとの予測的排出パラメータの比較の手段によって、代替的な予備的制御コマンドから最終的な制御コマンドを選択するように設計される。
【0062】
査定モジュールは、以下では制御目標とも称される、車両状態制御の異なる目標が、目標の対立にある場合があるという事実に基づいている。そのような制御目標は特に、最小の可能性のある運転時間、最小の可能性のあるエネルギー源の消費、又はドライブトレインによって生じない源からの最低の可能性のある排出であることができる。例えば、以下では高い運転力学とも称される、短い運転時間の制御目標の高い程度のターゲット達成は、低い排出の制御目標の低い程度のターゲット達成が伴う。異なる可能な制御コマンドの間の選択決定は通常、異なる制御目標のターゲット達成の程度の妥協を結果としてもたらす。査定モジュールは、制御目標を重み付けるために使用される。重み付けに基づいて、査定モジュールはよって、代替的な予備的制御コマンドのどれが重み付けられた制御目標に対する最高の全体的な最適化効果を有するかを計算することができる。重み付けに応じて、最高の全体的な最適化は、様々な制御目標の異なる程度のターゲット達成により達成され、その結果、異なる代替的な予備的制御コマンドは通常、異なる重み付けにより選択される。特に、重み付けがユーザによって調節されることができ、その結果、例えば、特に、低排出車両動作が選択されることができ、幾分か長い運転時間が次いで受け入れられることが好ましい。重み付けによって選択された制御コマンドは、最終的な制御コマンドと称される。
【0063】
査定モジュールは、ターゲット排出パラメータからの予測的排出パラメータの異なる導出のケースにおいて運転力学のターゲット達成を判定するように設計され、予測的排出パラメータの合計は、排出バジェットを上回らない。これは常に、排出バジェットの異なる割り当てにすぎない。同時に、異なる運転力学は、運転イベント関連の個々の運転力学が全体的な評価を結果としてもたらすように総計された、個々の運転イベントに対して達成される。最終的な制御コマンドは次いで、個々の運転力学結果の合計が最適化された全体的な運転力学結果につながるような方法において選択される。これは、一方では、排出を増大させることによって、相対的に最高の運転力学利得が達成される運転イベントにおいて、排出がより高くなり得、他方では、これを補償するために、排出削減が相対的に最低の運転力学損失を生じさせる運転イベントにおいて、それらがより低くなるはずであるように、排出バジェットが割り当てられることを意味する。
【0064】
査定モジュールによって選択が行われた後、制御及び評価ユニットは、アクチュエータ・ユニットに最終的な制御コマンドを出力するように設計され、車両状態は、アクチュエータ・ユニットの手段によって影響されることができる。
【0065】
本発明によれば、最終的な制御コマンドは、アクチュエータ・ユニットに出力される。したがって、制御コマンドは、後続の技術的ユニットの特定の条件が発効される手段によるいずれかの出力として理解される。特に、それは、直接切り替えコマンドであることができるが、また、データ出力であるにすぎない。本発明の意味における制御コマンドも、非コマンド、すなわち、車両状態において積極的に介入しないが、例えば、加速又は減速なしに車両が回転することを可能にするための判定であると理解される。
【0066】
本発明の意味におけるアクチュエータは、その中で入来する制御コマンドによって変更される条件下でいずれかの技術的ユニットとして理解される。本発明の意味におけるアクチュエータは、全ての中で最初に、物理変数に対して直接作用する全てのユニットとして理解される。アクチュエータは、例えば、摩擦ブレーキの直接作用、渦電流ブレーキの作用、又は運転モード及びジェネレータ・モードの両方における電気駆動ユニットの制御であると理解される。よって、例えば、車両の減速は、ジェネレータ・モードにおける吸収されたトルクの調節によって、又は、代わりに若しくは累積的に、摩擦ブレーキの作用によっても影響を与えられることができる。更に、本発明の意味におけるアクチュエータはまた、例えば、車両サブシステム又は更なる制御及び評価ユニットなどのいずれかの他の技術的システムであると理解され、その動作条件は制御コマンドによって影響され、よって、車両状態に間接的に影響する。
【0067】
ドライブトレインなどの異なる車両システムとの相互作用は、運転状況について最適である制御を保証するために考えられる。電気駆動の概念の実例では、動き中の車両の運動エネルギーは、電気エネルギーに変換され、電気エネルギーは次いで、バッファされることができる。必要とされる減速トルクは、ジェネレータ・モードにおける電気駆動ユニットによって、又は機械摩擦ブレーキの手段による結合によって、全体的に提供されることができ、減少した回数の摩擦ブレーキの適用、ブレーキ圧力、摩擦パワー、及び摩擦ソーン温度の低減と共に、先述の低減と結合された細かい粉塵排出の削減の利点が結果として得られる。
【0068】
本発明に係るソリューションの必然的な利点は、制限の手段による排出削減がインテリジェントな運転力学制御によって、追加の物理手段なしに既に可能にされているという事実によって与えられる。
【0069】
特に、本発明に係るソリューションは有利なことに、ブレーキ及び/又はタイヤ及び/又は道路の摩損を削減するための、運転状況クラスの上位にある、因果関係を考慮に入れることを可能にする。
【0070】
例えば、本発明に係るソリューションは有利なことに、データ処理及び決定要素が、トラフィックフローに対して最適であり、及び/又はパッセンジャに対して合理的である車両の加速を出力しないが、それが、運転状況を考慮して、道路表面から結果として生じる低レベルにある摩擦値、運転スリップが最小化され、その結果、タイヤ摩損が著しく削減する、加速を出力する、ということを可能にする。
【0071】
上記説明されたジェネレータ・モードにおける電気駆動ユニットの使用など、本発明に係る車両サブシステムの統合は有利なことに、ドライブトレインと関連付けられていない排出の削減のための相対的な制御概念を提供する。
【0072】
特に、未来の半自律及び自律運転の割合が高まることにおいて本発明が目的とされ、状況依存決定は、高度に動的な方式においてではあるが、粒子状排出の最小化により実施される。
【0073】
車両の状態及び車両の環境は、適切なセンサ、カメラ、モータ車両間通信若しくはモータ車両-インフラストラクチャ通信、又は他の状態レコーディングの手段によって、リアルタイムで記録及び評価される。入力データに基づいて適切に適合された出力データを計算する計算構造は、完全自動ガイダンスのために提供される。
【0074】
ブレーキ、タイヤ、又は道路の摩耗の結果としての粒子状排出の形成による、摩擦ブレーキなどの考慮事項の下で、車両サブシステムの瞬間と共に車両サブシステムの予測された動作条件の間の因果関係を考慮に入れて、車両の加速及び/若しくは減速並びに/又は横向きガイダンス(ステアリング)のアクションが評価され、制御介入及び/又はデジタル値の戻りが実施される。車両の自律又は半自律運転のケースでは、摩損及び運転力学の点で最適であるアクションを判定するために、トラフィック状況、運転状態、車両サブシステム・データ、及び因果関係に関するデータもリアルタイムで記録及び/又は提供される。
【0075】
トラフィック状況、運転状態、及び車両サブシステム・データと共に因果関係に応じて、データ処理及び決定要素として制御及び評価ユニッによって計算され、考慮事項の下での車両の更なる車両状態に影響する、排出、摩損、及び運転力学の点で最適なアクションは、加速、減速、及び横向き力学に関して、車両システムの制御のための、例えば、ジェネレータ・モードにおける電気モータの手段による減速制御のための、制御介入として又はデジタル値の戻りとして定義されることができ、環境のデータに加えて、考慮事項の下での車両サブシステムに関するデータも、摩損及び運転力学のために最適であるアクションの判定において考慮に入れられる。
【0076】
このコンテキストでは、本発明に係るソリューションは、排出された微粒子状物質を完全に防止する目標に制限されないが、緊急制動状況のイベントのための最適な動作範囲を維持するように一時的な作動によって、摩擦ブレーキなどの最適な効果を有する動作条件を保証し、その結果、排出、摩損、及び運転力学の点で最適であるアクションとして、運転決定を記述することもできるという目標にも制限されない。
【0077】
特に、排出を増大させることなく、運転力学に対する効果を考慮に入れて、排出バジェットの形成及び個々の運転イベントへのその最適化された割り当てによって、より高い運転力学を提供することができるということが有利である。
【0078】
更に、摩擦ブレーキによって排出された微粒子状物質の量を削減することを可能にするが、緊急制動状況のイベントのための最適な動作範囲を維持するように一時的な作動によって、例えば、摩擦ブレーキの最適な動作条件を保証することも可能にするということが、本発明に係る車両状態制御システムの利点である。
【0079】
本発明に係る車両状態制御システムは有利なことに、半自律及び自律運転の両方のための排出削減をもたらすことができる。
【0080】
車両の半自律及び自律運転は、車両と、ドライバ又はパッセンジャのタスクとに応じて区別される。
【0081】
アシスト運転においてさえ、個々のアシスタンス・システムは、前方の車両に応じて速度、加速、及び減速を制御することができる。
【0082】
自律運転のケースでは、運転力学が自律的に制御される。
【0083】
車両状態制御システムは、再性的制動を保証するための統合的なコンポーネントである電気モータにより有利に、いずれかの設計又は運転概念の車両のための排出が最適化された動作をもたらすことができる。この車両は、少なくとも超音波センサ、レーダ、カメラ、又は環境の条件を記録するための他の物理測定原理のセンサなど、運転状況を検出するための様々なセンサを備えることができる。
【0084】
加速又は減速の手段によって運転力学を変更させることによって、車両タイヤ又は摩擦ブレーキ上での粒子状摩耗を削減するために、加速の強度、及び制動トルクは特に、摩擦ブレーキを作動させずにジェネレータ・モードにおける減速のためのドライブトレインなどの車両のシステムを使用することによっても、因果関係を考慮した状況判定された制御に応じて、特に制限されることができる。
【0085】
本発明に係るソリューションは特に、運転力学/運転快適性と、運転タスクを実現するために必要とされる及び加速、減速、又は横向き加速性能との間の妥協を目的とし、横向き加速性能は、粒子形成工程に直接結合される。
【0086】
加えて、本発明に係る車両状態制御システムは、車両の真の排出の測定に対する必要性なしに排出削減の効果による制御をもたらすという利点によって特徴付けられる。
【0087】
更に、事前に定義可能な方式においてドライブトレインと関連付けられていない排出を制限することができるという特定の利点がある。主要なデフォルトとしての制限に応じて、可能な最適な運転力学が達成されると共にこの制限が維持される。
【0088】
第1の有利な更なる進展により、車両状態制御システムは、SAEレベル2~5に従ったシステムとして設計される。
【0089】
この更なる進展では、SAEレベルは、以下にように基準と見なされる。
【0090】
SAEレベル2は特に、自動化レベルである。運転環境に関する情報を使用して1つ又は複数のドライバ・アシスタンス・システムによって、人間ドライバが動的運転タスクの全ての残りの態様を実行することを予測して、運転モード特有ステアリング及び加速又は制動工程が実行される。
【0091】
SAEレベル3は、条件付き自動化レベルであり、条件付き自動化レベルにおいて、人間ドライバが運転システムからの要求に適切に応答することを予測して、動的運転タスクの全ての態様の運転モード特有実行が自動化運転システムによって実行される。
【0092】
SAEレベル4は、自動化の高レベルである。ここで、人間ドライバが運転システムからの要求に応答しない場合でさえ、動的運転タスクの全ての態様は、自動化運転システムによって実行される。
【0093】
SAEレベル5は、完全自動化レベルであり、完全自動化レベルにおいて、動的運転タスクの全ての態様は、自動化運転システムによって実行される。これは、人間ドライバによって操作することができる全ての運転及び環境条件に当てはまる。
【0094】
別の更なる進展により、車両サブシステムは、制動システム及び/又はタイヤ・システム.である。
【0095】
車両の制動システム及びタイヤ・システムは、ドライブトレインと関連付けられていない主な排出源である。
【0096】
この更なる進展により、制動システムの及び/又はタイヤ・システムの少なくとも1つの物理変数は、状態検出ユニットの車両サブシステム検出ユニットによって記録され、制御コマンドの評価及び生成において状態データの一部として含まれる。制動システム及びタイヤ・システムの動作条件が特に排出行動に関連するので、更なる進展によって、潜在的な特に高い削減が達成される。特に、ブレーキの摩擦相手の温度をモニタし、例えば、摩擦相手の強い加熱による危険な制動の後の低減した運転速度を予防的に規制することが可能であり、その結果、新しくされた集中的なブレーキ作動のイベントでは、摩擦相手の臨界温度も防止される。
【0097】
更なる進展により、車両状態は、制動システムによって減速として影響されることができる。
【0098】
この更なる進展は、制動システムが、主要な排出源の1つとして、特に、車両を減速させるためにブレーキが適用されるとき、排出が効果的であるという事実に基づいている。
【0099】
ここで、電気駆動ユニットのジェネレータ動作によって減速が完全又は部分的に生じるような方式において、制御コマンドが提供されることができるということが特に利点である。更に、制御コマンドは有利なことに、粒子状排出が増大することにつながる高ブレーキ・ディスク温度が回避されるような方法において生成されることができる。
【0100】
別の更なる進展により、制御及び評価ユニット並びにデータベース・ユニットは、構造的ユニットを形成する。このユニットは好ましくは、静的データ及び変数データを記録するための統合されたデータ・メモリを有するコンピュータ・システムである。この構造的ユニットは好ましくは、車両の制御システムの一部であることができる。
【0101】
別の更なる進展により、ステータス履歴に関するデータが動的データベースに書き込まれることができる。
【0102】
ステータス履歴に関するデータは、例えば、直近の期間のブレーキ作動に関するデータであることができる。例えば、ブレーキが同時に高い摩擦相手の温度により特に激しく適用された場合、特に、ブレーキ・ライニングの熱的に誘導された表面変化があったと推定することができる。この変化は、制動行動及び排出行動の両方に対する効果を有する。それらの因果関係がデータベースに更なるデータとして格納されるので、これは、排出削減の効果と共に制御コマンドの生成に含まれることができる。
【0103】
更なる有利な更なる進展により、制御及び評価ユニットは、ステータス・データの手段によって前の最終的な制御コマンドの従属の排出関連度を評価し、データ管理モジュールの手段によって変数データを更新するように設計される。
【0104】
有利なことに、この更なる進展は、車両状態制御システムを自己学習システムとして設計することを可能にする。この設計では、制御コマンドが発行されたとき、ステータス・データ、特に、車両ステータス・データ及び車両サブシステム・データがどのように変化したかについて記録される。このようにして、排出、よって、充足の排出関連度は、データ及び因果関係を考慮に入れることによって、間接的に評価されることができる。次いで、データ管理モジュールは、このようにして取得された追加のデータを動的データベースに変数データとして書き込む。よって、変数データのデータベースは、継続して最適化され、その結果、排出が更に削減されるように、制御介入が制御コマンドによって実行される。
【0105】
例えば、それは、最適化された回転抵抗を有する車両タイヤが、例えば、自律運転バッテリ電気自動車の範囲を増大させるように搭載されるケースであり得、増大した横向きの加速に起因した摩擦接続の維持は、特にコーナリングのとき、タイヤ摩損における増大につながる場合がある。有利なことに、運転力学制御はよって、例えば、タイヤ及び/又はブレーキ及び/又は道路の変化のケースに対して運転状態及び車両システム・データを考慮に入れて、ニューラル・ネットワークを使用して、学習要素の意味で動的データベースにおける変数データの更新に基づいて最適化されることができ、ABS又はESPなどの車両サブシステム・データも、特定の運転状況を評価するための訓練のために使用される。したがって、車両力学制御は、新たな条件に訓練される。
【0106】
最終的な制御コマンドの選択に関する決定を行うために、排出関連利益に関する情報は、制御コマンドによって生じるアクションを評価することを可能にするための報酬として必要とされる。この情報は、データベース・ユニットによって提供され、データベース・ユニットは特に、この目的のために、学習要素として動的データベース・モジュールを有する。排出関連利益に関する情報は、摩擦ブレーキ、タイヤ、又は道路表面上の摩耗など、アクションから結果として生じる粒子解放を予測するために、数学的モデルとして利用可能であることができる。例えば、摩擦学的特性、ライニング構成、並びに環境的及び試験条件の間に、分岐された相関関係を考慮に入れる、機械学習アルゴリズムが適用されることができる。学習プロセスにより情報を入力することも考えられる。
【0107】
制御及び評価ユニットは、制御コマンドによって生じるアクションを評価することができ、どの工程が最も可能性のある成功につながるかを計算することができる。これは、アクションにおける長期改善を達成することを可能にする。更に、有利な更なる進展は、環境の観察に基づいて実行されることになり、予め定義された標準により比較及び評価されるアクションを選択することを可能にする。
【0108】
動的データベース・モジュールの変数データは、環境の現在の状態をそれが記憶することを有効にする、車両状態制御システムにメモリを提供する。環境が部分的に観察可能であるにすぎない場合、環境の状態の内部モデルは、利用可能な情報の補助により作成されることができる。このモデルに基づいて、制御及び評価ユニットは、最適化された制御コマンドを提供することができる。
【0109】
更なる態様により、本発明は、摩擦ブレーキを有し、先述の請求項のいずれかに記載の車両状態制御システムを含む道路車両に関する。そのような道路車両の特徴として車両状態制御システムに関して、先述の請求項への関連する説明の章への参照が行われる。
【0110】
本発明に係るそのような道路車両は、道路車両の動作の間、追加の構造上の測定に対する必要性なしに、車両状態を制御することによって、粒子状排出を既に削減することができるという特定の利点を有する。
【0111】
請求項1から7までのいずれか一項に関する車両状態制御システムの手段による、車両状態制御のための方法は、以下の工程ステップ:
a)静的データベース・モジュールにパラメータ化としての静的データを書き込むことと、
b)状態検出ユニットによって状態データを記録し、送信のためにそれらを提供することと、
c)制御及び評価ユニットによって、状態検出ユニットから状態データ、及びデータベース・ユニットからデータベース・データを取得することと、
d)制御及び評価ユニットによって、代替的な予備的制御コマンドを提供し、予測的排出パラメータを代替的な予備的制御コマンドに割り振ることと、
e)状態データから及びデータベース・データから、運転単位の排出バジェットを計算することと、
f)排出バジェットからターゲット排出パラメータを計算することと、
g)予測的排出パラメータとターゲット排出パラメータとを比較することによって、代替的な予備的制御コマンドから最終的な制御コマンドを選択することと、
h)アクチュエータ・ユニットに最終的な制御コマンドを出力し、車両状態に影響を与えることと、
i)データ管理ユニットによって、動的データベース・モジュールの変数データを書き込み及び/又は削除することと、
を含む。
【0112】
車両状態制御システムの動作のモードの説明の内容は、対応する方式において、本発明に係る方法にも適用される。文字による工程ステップのマーク付けは、識別及び指定の目的のために使用され、いずれの順番も規定しない。工程ステップの順番は、付随する説明から結果として生じる。
【0113】
工程ステップは、以下で詳細に説明される。
【0114】
a)静的データベース・モジュールにパラメータ化としての静的データを書き込むこと
工程ステップa)では、静的データは、静的データベース・モジュールに格納される。この工程ステップは、正規オペレーションの先に起こり、1回のみ実行される必要がある。次いで、正規オペレーションが、以下の工程ステップb)により開始する。
【0115】
b)状態検出ユニットによって状態データを記録し、送信のためにそれらを提供すること
この工程ステップでは、トラフィック状況検出ユニット、車両状態検出ユニット、及び車両サブシステム検出ユニットによって形成された状態検出ユニットは、他の道路ユーザの位置、車両の速度、又はタイヤ圧力などの状態データを記録する。
【0116】
c)制御及び評価ユニットによって、状態検出ユニットから状態データ、及びデータベース・ユニットからデータベース・データを取得すること
この工程ステップでは、状態検出ユニットからの状態データ及びデータベース・ユニットからのデータベース・データは、制御及び評価ユニットに送信され、且つ、制御及び評価ユニットによって受信される。よって、全てのデータが評価のために利用可能である。
【0117】
d)制御及び評価ユニットによって、代替的な予備的制御コマンドを提供し、予測的排出パラメータを代替的な予備的制御コマンドに割り振ること
工程ステップd)では、データが評価され、代替的な予備的制御コマンドが提供される。加えて、対象の制御コマンドの排出効果がそれから導出される予測的排出パラメータは、それらの制御コマンドに割り振られる。
【0118】
e)状態データから及びデータベース・データから、運転単位の排出バジェットを計算すること
この工程ステップでは、制御及び評価ユニットの計算モジュールは、排出バジェットを計算する。排出バジェットは、それぞれの運転単位に対して排出されることが許容された排出の合計である。排出バジェットの量は、データベース・ユニットに格納されたデフォルト値から結果として生じる。このデフォルト値は、例えば、キロメートルごとの排出量として与えられることができ、又は、それは、任意選択でドライバによって調節可能であることもできる。
【0119】
f)排出バジェットからターゲット排出パラメータを計算すること
このステップでは、排出バジェットは、個々の運転イベントに割り当てられ、その結果、ターゲット排出パラメータが運転イベントごとに作成される。ターゲット排出パラメータは、排出バジェットを合計して超えないために、それぞれの運転イベントに対する最大排出量を規定する。
【0120】
g)予測的排出パラメータとターゲット排出パラメータとを比較することによって、代替的な予備的制御コマンドから最終的な制御コマンドを選択すること
その後、工程ステップg)では、数個の代替的な予備的制御コマンドから制御コマンドが最終的な制御コマンドとして選択され、選択は、予測的排出パラメータとターゲット排出パラメータとの比較に基づいても実行される。よって、例えば、制御コマンドは、数個の可能な制御コマンドから最終的なコマンドとして選択されることができ、その関連する予測的排出パラメータは、その自身に対して考慮されると、対応するターゲット排出パラメータを超えない。更に、それらの関連する排出パラメータにより1つ又は複数の他の制御コマンドによってこれが補償される場合、及び、それ自身に関する各々の運転イベントの評価のみによる制御コマンドの選択のケースでは、このようにして達成された個々の運転力学結果の合計が、個々の運転力学結果の合計よりも大きい場合、制御コマンドが許容されるそのような方法において、この工程ステップの比較の手段によって、最適化も実行されることができ、その関連する予測的排出パラメータは、その自身に対して考慮されると、対応するターゲット排出パラメータを超える。
【0121】
h)アクチュエータ・ユニットに最終的な制御コマンドを出力し、車両状態に影響を与えること
工程ステップh)では、前の工程ステップにより生成された最終的な制御コマンドは、アクチュエータ・ユニットに出力される。アクチュエータ・ユニット、例えば、ジェネレータ・モードにおける電気駆動ユニットは、ここでは、例えば、速度を減少させる減速として、車両状態における変化に影響を及ぼす。
【0122】
i)データ管理ユニットによって、動的データベース・モジュールの変数データを書き込み及び/又は削除すること
工程ステップi)では、変数データが書き込まれ且つ/又は削除される。この工程ステップは、静的データに加えて、状況関連変数データも利用可能であり、制御コマンドの生成及び選択に含まれ、それらの排出効果を更に最適化することを補助する、本発明に係る方法の特定の利点を供給する。同時に、多くのメモリ能力を必要とし、高いデータ収集コストと関連付けられた、排出関連因果関係についての特に複雑な特性図の格納をなしで済ますことができるので、静的データベースを取り除くことができる。
【0123】
文字による工程ステップのマーク付けは、指定の目的の役割を果たし、強制的な順番を規定しない。順番に関して、工程ステップa)~f)は、表示された順序において実行されるのに対し、工程ステップg)は、順番のいずれの指定に影響されない。
【0124】
方法の有利な更なる進展では、工程ステップa)~i)が最初に繰り返し実行される。更に、この更なる進展は加えて、以下の工程ステップ:
j)運転単位において既に発行された最終的な制御コマンドから実際の排出パラメータを記録することと、
k)排出バジェットに実際の排出パラメータを含め、残りの運転単位についての残りの排出バジェットを計算することと、
l)残りの排出バジェットから更新されたターゲット排出パラメータを計算することと、
m)更新されたターゲット排出パラメータとの予測的排出パラメータの比較によって、代替的な予備的制御コマンドから最終的な制御コマンドを選択することと、
を含む。
【0125】
方法の本有利な更なる進展は、継続して新しくされた排出バジェット計算が、最初に計算された排出バジェットから既に消費された排出バジェットを差し引き、結果として生じた残りの排出バジェットを残りの運転単位の運転イベントに割り当てることによって実行されるという事実によって特徴付けられる。それらが、例えば、予測可能でない状態データ、特に、予測可能でないトラフィック状況データからそれらが導出されるという理由により、工程ステップd)~h)の最初の実行の間に含まれない、それらに対応して割り振られた実際の排出パラメータと共に制御コマンドも選択されるべきであるという事実にこれは基づいている。それらの予測可能でないデータは、例えば、歩行者が道路に進み始めることに起因した緊急制動であることができる。逆に、特殊ケースでは、例えば、トラフィック関連低速運転が起こる場合、より低い排出パラメータも与えられ得る。このケースでは、より高い個々の運転力学結果を支持して残りの運転単位の運転イベントのために使用することができる排出クレジットがある。
【0126】
有利な更なる進展の規定された追加の工程ステップは、以下で更に詳細に説明される。
【0127】
j)運転単位において既に発行された最終的な制御コマンドの実際の排出パラメータを記録すること
工程ステップj)では、運転単位の間に既に生じた排出が記録される。本発明によれば、これは、真の測定に基づいていないが、発行された最終的な制御コマンドに割り振られた予測的排出パラメータに基づいて、特定の利点として行われる。したがって、本発明の意味における実際の排出パラメータは、既に実行されている制御コマンドの予測的排出パラメータであると理解される。
【0128】
k)排出バジェットに実際の排出パラメータを含め、残りの運転単位についての残りの排出バジェットを計算すること
工程ステップk)によれば、実際の排出パラメータは、排出バジェットから差し引かれ、残りの運転単位のために利用可能である残りの排出バジェットを結果としてもたらす。残りの運転単位は、運転単位によって既に実行された運転イベントを減じた後に残る運転イベントの合計である。残りの排出バジェットはよって、既に実行された運転イベントの予測されていない排出偏差の調節を有効にする、計画した更新のための基準である。
【0129】
l)残りの排出バジェットから更新されたターゲット排出パラメータを計算すること
工程ステップl)は主に、工程ステップf)に対応するが、ターゲット排出パラメータの計算のための基準はここで、残りの排出バジェットであるにすぎない。更新されたターゲット排出パラメータは、それらの排出パラメータであると理解され、その計算基準は、残りの排出バジェットである。全ての他の点で、工程ステップf)についての説明の内容は、対応する方式においてここで適用される。
【0130】
m)更新されたターゲット排出パラメータとの予測的排出パラメータの比較によって、代替的な予備的制御コマンドから最終的な制御コマンドを選択すること
工程ステップm)は主に、工程ステップg)に対応するが、ここで実行されることになる比較は、残りの運転単位についての制御コマンドの予測的排出パラメータ、及び更新されたターゲット排出パラメータ、と称される。全ての他の点で、工程ステップg)の説明の内容は、対応する方式においてここで適用される。
【0131】
工程ステップh)は、以下で説明される、
【0132】
本発明は、以下の図面の手段によって、例示的な実施例として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0133】
図1】車両制御システムのブロック図である。
図2】車両サブシステムとしての制動システムを有する車両制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0134】
図面及び関連する説明の章における参照符号の使用は、全ての図面に全ての参照符号が提供されない場合でさえ、以下で一致する。
【0135】
図1は、ブロック図において、本発明に係る車両制御システムの例示的な実施例を示す。
【0136】
評価ユニット3及びデータベース・ユニット2は、プロセッサ及びデータ・メモリを有するコンピュータの電子回路として、1つの構造的ユニットに組み合わされる。ここで、静的データが静的データベース・モジュール2.1に格納される。更に、データベース・ユニット2は、動的データ管理モジュール2.2を含む。データ管理モジュール2.3は、動的データベース・モジュール2.2への変数データの書き込みと、静的データベース・モジュール2.1からの静的データ及び動的データベース・モジュール2.2からの変数データの読み込みとの両方を制御し、その結果、静的データ及び変数データが、制御及び評価ユニット3に対するデータベース・データとして利用可能である。
【0137】
加えて、構造的に分散された状態検出ユニット1があり、構造的に分散された状態検出ユニット1は、トラフィック状況検出ユニット1.1、車両状態検出ユニット1.2、及び車両サブシステム検出ユニット1.3を有する。状態検出ユニットは、特に、他の道路ユーザへの距離及び相対的速度に関するデータ、車両の自身の速度に関するデータ、タイヤ及びブレーキの温度に関するデータと共に、位置又はナビゲーション・データなどの他のデータを、状態データとして記録する。制御及び評価ユニット3は、データ・リンクを介してこの状態データを受信する。
【0138】
よって、制御及び評価ユニット3は、運転単位、すなわち、運転ルートの運転イベントを判定し、可能な予備的制御コマンドを提供するための、データベース・データ及び状態データの両方を、評価のためのその配列に有する。
【0139】
制御及び評価ユニット3は、予備的な代替的制御コマンドを判定し、それぞれの制御コマンドが実行されるときに予想されることになる排出に関するインジケーションを、予測的排出パラメータとしてそれらに割り振る。
【0140】
制御及び評価ユニット3は、重要コンポーネントとして、計算モジュール3.1を含む。例示的な実施例では、計算モジュール3.1は、予め定義された開始点及び予め定義された宛先点から開始して、状態データ及びデータベース・データに基づいて、運転ルート及びこの運転ルートと関連付けられた運転イベントを計算する。更に、例示的な実施例において、許容可能なキロメートル関連排出量が格納される。運転ルートに基づいて、排出バジェットが計算され、運転イベントに割り当てられ、その結果、ターゲット排出パラメータは、予備的な代替的制御コマンドを結果としてもたらす。
【0141】
制御及び評価ユニット3はまた、査定モジュール3.2を含み、査定モジュール3.2は、ターゲット排出パラメータとの予測的排出パラメータの比較において、全体としての運転単位についての運転イベントの全体的な査定において排出及び運転力学に関してターゲット達成レベルを重み付け、その結果、最終的な制御コマンドが予備的制御コマンドから選択されることができ、次いで、出力されることができる。最終的な制御コマンドは、異なるターゲット達成レベルを最適化すると共に、運転イベントの個々の排出の合計が排出バジェットを超えないことを保証し、排出は、最良の可能な総運転力学結果が達成されるように割り当てられる。
【0142】
最終的な制御コマンドは、アクチュエータ・ユニット4に対して作用する。
【0143】
制御及び評価ユニット3に加えて、データ管理モジュール2.3は、状態検出ユニット1にデータ接続もされ、よって、変数、特に、状態データからの一時的な関連するデータの動的データベース・モジュール2.2への書き込みをもたらすことができる。このようにして、データ管理は、制御コマンド及び排出パラメータを提供することに関連しうる、そのような変数データの最新のストックを常に保証する。
【0144】
図2は、車両状態制御システムの修正された例示的な実施例を示す。
【0145】
それは、参照がこの説明の内容に対して行われるように、図1における例示的な実施例に主に対応する。
【0146】
最終的な制御コマンドは、アクチュエータ・ユニット4に対して作用し、アクチュエータ・ユニット4は、図2に示される例示的な実施例において制動システム5の一部として設計される。制動システム5も、車両サブシステムを表し、車両サブシステムから、車両サブシステム検出ユニット1.3によって車両サブシステム状態データが記録される。
【0147】
本発明に係る方法の第1の例示的な実施例は、コーナリング運転単位に関し、コーナリング運転単位は、簡易化のために、まっすぐな運転、コーナリング運転、次いで、再度まっすぐな運転を、運転イベントとして有する。
【0148】
タイヤの摩損についての決定的なものは、作用する力であり、作用する力は、運転状況に応じて起こる。
【0149】
まっすぐな運転のケースでは、タイヤと道路との間に伝達される力は実質的に、加速によって排他的に生成され、加速は、狭義は加速であることができ、減速であることができる。
【0150】
コーナリングのケースでは、横向きの力は、中心に向かう加速によって生み出され、中心に向かう加速は、車両速度、カーブ半径、及び車両質量によって影響される。慣性力は、車両の加速とは反対である。運転者によって指定された速度に応じて、又は車両によって指定された自動若しくは自律運転のケースで、車両がカーブ半径を通過する能力を有するために、横向きの案内力は、前方ホイール及び後方ホイールにおいて伝達されるべきであり、前方ホイール及び後方ホイールは次いで、スリップ角度、ホイール負荷、摩擦値によって、また、ホイール・キャンバによって影響される。タイヤ関連排出及びタイヤ摩損比率における増大は、力の伝達と関連付けられる。
【0151】
これは、車両がより加速及び減速するにつれて、並びに車両がカーブをより速く通過するにつれて、タイヤによって伝達されることになる力及び相関付ける摩損比率が大きくなることを明確に示す。排出は加えて、加速のケースではない、このアクションのために必要とされる摩擦ブレーキ作動に起因して、激しい減速の間に起こる。
【0152】
工程ステップa)では、上記説明された因果関係は、運転動作の開始の前に、他のデータと共にデータベース・ユニット2の静的データベース・モジュール2.1に書き込まれ、よって、それらは、評価のために利用可能である。
【0153】
評価及び意思決定のために必要とされる更なる情報は、工程ステップb)において状態検出ユニット1によって状態データとして記録され及び利用可能にされる。例示的な実施例では、これは特に、通過されることになるカーブの特性に関するデータであり、データは、マップマテリアルから又はルート情報からナビゲーション・データとして取得される。特に、これは、例えば、カーブの半径、許容可能な最大速度、及び道路表面に関する情報である。車両位置は、GPSを介して判定されることができる。車両サブシステムとしてのタイヤに関する情報は、例えば、タイヤ圧力によって提供され、タイヤ圧力は、関連する車両サブシステム検出ユニット1.3における適切なセンサの手段によって判定される。更に、例えば、レーダによって検出された車両前方に関する情報は、トラフィック状況データとして提供されることができる。
【0154】
工程ステップc)では、制御及び評価ユニット3は、よって、データベース・ユニット2から、特に、因果関係に関するデータベース・データ、及び状態検出ユニット1から、状態データの両方を受信する。
【0155】
このことに基づいて、制御及び評価ユニット3は、工程ステップd)において予測的排出パラメータを割り振ることによって、代替的な予備的制御コマンドを評価及び提供する。代替的な予備的制御コマンドは、以下のように、例示的な実施例において判定される。
【0156】
まっすぐな運転のために、カーブ区間に到達するまでの、適度な速度までの適度な加速、適度な速度の一定の維持、次いで、摩擦ブレーキの作動による適度な減速は、第1の可能な一連の制御コマンドとして判定される。より高い速度までのより高い加速と、その後の、一定の速度の維持の段階なしに、回復による、摩擦ブレーキ作動なしの僅かな減速は、第2の可能な一連の制御コマンドとして判定される。データベース・データに基づいて、推定される排出量は、予測的排出パラメータとして、可能な制御コマンドの各々に割り振られる。
【0157】
コーナリングのために、第1の可能な制御コマンドは、速度を減少させるために、カーブに到達する前に、摩擦ブレーキ作動として判定される。第2の可能な制御コマンドは、前の速度の減少なしのコーナリングとして判定される。第1の制御コマンドのケースでは、減少したコーナリング速度における、摩擦ブレーキによって生じる予測された粒子排出及びタイヤ摩耗によって生じる予測された排出は、格納された因果関係に基づいて計算され、予測的排出パラメータとして第1の制御コマンドに割り振られる。第2の制御コマンドのケースでは、摩擦ブレーキに起因した粒子排出が省略され、代わりに、より高いコーナリング速度を理由に、タイヤ摩耗に起因して排出が増大する。これは、排出パラメータとして第2の制御コマンドに割り振られる。
【0158】
更に、計算モジュール3.1は、工程ステップe)において運転単位の全体についての排出バジェットを計算し、本例示的な実施例では、この排出バジェットは、簡易化された方式において、ルートの長さ及び格納された排出量/キロメートルから結果として生じる。全ての運転イベントのために利用可能である排出バジェットに基づいて、運転イベントへの割り当ては、工程ステップf)において実行され、その結果、ターゲット排出パラメータが利用可能である。
【0159】
判定されたターゲット排出パラメータと、判定された代替的予備的制御コマンドの予測的排出パラメータとの比較は、ステップg)において、どの制御コマンドが、ターゲット排出パラメータを上回らない関連する予測的排出パラメータを有するかという判定を結果としてもたらす。
【0160】
工程ステップg)では、排出パラメータの比較の結果に応じて、制御及び評価ユニットはまた、示される可能な制御コマンドから、まっすぐな運転及びコーナリングの両方のための最終的な制御コマンドを選択する。
【0161】
更に、例示的な実施例では、運転力学・パラメータは、比較の間に予備的な代替的制御コマンドに割り振られる。運転力学・パラメータに対する排出パラメータの比率に基づいた比較も、ここで実行される。最終的な制御コマンドの選択は、どの制御コマンドが最高の運転力学・パラメータを全体で達成するかを考慮に入れ、それらの総予測的排出パラメータは、同時に排出バジェットを満たす。ここで、個々の予測的排出パラメータは、関連するターゲット排出パラメータと比較して少ない排出によって他の予測的排出パラメータがこれを補償する場合、対応するターゲット排出パラメータを上回ることができる。例えば、高い運転力学につながる高い加速に起因したより高い排出は、より良好な全体的な運転力学結果につながる、追加の制動介入なしに、より長い距離にわたるよりわずかな減速と、その後の、より遅いコーナリングに起因したより少ない排出によって補償されることができる。
【0162】
更に、最終的な制御コマンドの選択は、例えば、摩擦ブレーキによる粒子排出の生成が、より低いタイヤ摩耗排出によって、部分的に、完全に、又は過度に補償されるかどうかを考慮に入れる。例えば、過度な補償が現実である場合、速度を減少させるための摩擦ブレーキ作動のための制御コマンドは、最終的な制御コマンドとして選択される。逆に、部分的な補償のケースでは、最終的な制御コマンドは、ブレーキ作動なしの制御コマンドである。完全な補償のケースでは、可能な制御コマンドの間で現実的な排出の中立があり、したがって、制御及び評価ユニットはまた、短い運転時間に関するより良好なレベルのターゲットの達成、すなわち、高い運転力学を支持して、最終的な制御コマンドとして、ブレーキ作動なしの制御コマンドを選択する。この評価の実例の修正では、閾値又は特性曲線も、査定モジュール3.2に格納され、最終的な制御コマンドを選択するとき、著しく良好な運転力学を支持して僅かに増大した排出がその程度まで許容されるかを示す。
【0163】
最終的な制御コマンドは次いで、工程ステップh)において、制御コマンドとして制動システムに送信され、よって、ブレーキ作動のイベントでは減速を通じて車両状態における変化を生じさせる。
【0164】
この例示的な実施例では、横向きの加速及びタイヤ関連排出割合が相関付けられる車両速度は、利用可能な情報を考慮に入れて、摩損、排出、及び運転力学の点で、最適化された方式において判定される。
【符号の説明】
【0165】
1 状態検出ユニット
1.1 トラフィック状況検出ユニット
1.2 車両状態検出ユニット
1.3 車両サブシステム検出ユニット
2 データベース・ユニット
2.1 静的データベース・モジュール
2.2 動的データベース・モジュール
2.3 データ管理モジュール
3 制御及び評価ユニット
3.1 計算モジュール
3.2 査定モジュール
4 作動ユニット
5 制動システム
図1
図2
【国際調査報告】