(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】延長放出ビタミンC及びその製造
(51)【国際特許分類】
A61K 31/375 20060101AFI20240207BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240207BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240207BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240207BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61K31/375
A61K47/24
A61K9/48
A61K47/44
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573008
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 US2022015470
(87)【国際公開番号】W WO2022170181
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523301916
【氏名又は名称】カプスゲル・ベルジャン・エヌ ブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ファウラー,ケリ
(72)【発明者】
【氏名】ボリバー,ジョーウェル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076AA94
4C076BB01
4C076DD05
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD46
4C076DD63
4C076EE55
4C076FF31
4C076FF43
4C076FF51
4C076FF52
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA18
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA11
4C086NA12
(57)【要約】
本開示は、一定期間にわたってビタミンCを放出する、脂質マトリックス中にビタミンCを含有する延長放出組成物を対象とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延長放出組成物であって、
脂質多粒状粒子、及び
活性剤、を含み、
前記脂質多粒状粒子が、脂質マトリックスを含み、前記活性剤が、前記脂質マトリックス内に分散され、前記活性剤が、アスコルビン酸又はその誘導体を含み、前記活性剤が、一定期間にわたって前記脂質多粒状粒子から放出される、延長放出組成物。
【請求項2】
前記活性剤が、L-アスコルビン酸を含む、請求項1に記載の延長放出組成物。
【請求項3】
レシチン/リン脂質を更に含む、請求項1に記載の延長放出組成物。
【請求項4】
前記活性剤が、使用者による摂取後、最大約30時間の期間にわたって、例えば、摂取後、約0.5時間~24時間の期間、より具体的には、摂取後、約1時間~約20時間の期間、前記組成物から放出される、請求項1又は2に記載の延長放出組成物。
【請求項5】
前記活性剤が、前記脂質マトリックスによってカプセル化される、請求項1に記載の延長放出組成物。
【請求項6】
前記活性剤が、前記脂質多粒状粒子の総重量に基づいて、前記脂質多粒状粒子中に、約1重量%~約80重量%の量、例えば、約10重量%~約75重量%の量、より具体的には、約25重量%~約70重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項7】
前記延長放出組成物が、カプセル又は錠剤の形態である、先行請求項のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項8】
前記脂質多粒状粒子が、1μmを超える、一般に10μmを超える、典型的には、約40ミクロン~約3000ミクロン、例えば、100ミクロン~2000ミクロンの平均粒径を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項9】
前記脂質マトリックスが、少なくとも1つの低流動点賦形剤及び少なくとも1つの高流動点賦形剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項10】
前記脂質マトリックスが、脂肪アルコール、脂肪酸、グリコール及びポリグリコールの脂肪酸エステル、グリセロールの脂肪酸エステル、ポリグリセロール、ポリグリコール化グリセリド、C10~C18トリグリセリドステアロイルポリオキシルグリセリド、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド、オレオイルマクロゴール-6グリセリド、リノレオイルマクロゴール-6グリセリセリド、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、カプリンアルコール、ベヘン酸グリセロール、ジベヘン酸グリセロール、パルミチン酸グリセロール、グリセロールモンステアレート(glycerol monstearate)、水添ヒマシ油、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、パラフィンワックス、蜜蝋、カンデリラワックス、カルナバワックス、ポリエトキシル化12-ヒドロキシステリック酸(12-hydroxysteric acid)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エステル化アルファ-トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、プロピレングリコールモノラウリン酸(C12)エステル、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40水添ヒマシ油、レシチン、ビタミンE、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、ローズマリー抽出物、プロピレングリコール、トリアセチン、ミリスチン酸イソルプロピル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、グリセロール、それらの混合物又はこれらの組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項11】
前記脂質マトリックスが、ワックス、脂肪アルコール、及び脂肪酸を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項12】
前記ワックスが、カンデリラワックスを含み、前記脂肪アルコールが、ステアリルアルコール、又はグリセロールモノステアレートを含み、前記脂肪酸が、ステアリン酸を含む、請求項11に記載の延長放出組成物。
【請求項13】
前記脂質マトリックスが、界面活性剤を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤が、ポリソルベート、ラウレス硫酸塩、又はそれらの混合物を含む、請求項13に記載の延長放出組成物。
【請求項15】
前記低流動点賦形剤が、前記組成物の総重量に基づいて、前記組成物中に約0.1重量%~約20重量%の量で存在し、前記高流動点賦形剤が、前記組成物中に約30重量%~約85重量%の量で存在する、請求項9に記載の延長放出組成物。
【請求項16】
流動助剤、抗酸化剤、分散剤、及び/又は香料若しくは甘味料を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の延長放出組成物。
【請求項17】
アスコルビン酸又はその誘導体を延長期間にわたって哺乳動物に投与するための方法であって、
脂質多粒状粒子を含む延長放出組成物を哺乳動物に経口投与することを含み、前記脂質多粒状粒子が、脂質マトリックスを含み、活性剤が、前記脂質マトリックス中に分散され、前記活性剤が、アスコルビン酸又はその誘導体を含み、前記アスコルビン酸又はその誘導体を含有する前記哺乳動物に投与される各投与量が、約1mg~約2,000mg、例えば、2mg~約100mg、より具体的には、約5mg~500mgの量である、方法。
【請求項18】
前記延長放出組成物は、前記アスコルビン酸又はその誘導体が、使用者への経口投与後最大約30時間の期間にわたって、例えば、使用者への投与後約0.5時間~24時間の期間、より具体的には、使用者への投与後約1時間~約20時間の期間、前記延長放出組成物から放出されるように製剤化される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記延長放出組成物が、レシチン/リン脂質を更に含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか一項に記載の延長放出組成物、及び第2の栄養補助食品成分を含む、栄養補助食品組成物。
【請求項21】
哺乳動物におけるアスコルビン酸又はその誘導体のバイオアベイラビリティを増加させる方法であって、請求項1~16のいずれか一項に記載の延長放出組成物を形成することと、前記延長放出組成物を前記哺乳動物に投与することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月8日に出願された米国仮出願第63/146,863号の優先権及び利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
L-アスコルビン酸としてのビタミンCは、一部の食品に天然に存在し、他の食品に添加され、栄養補助食品として利用可能な水溶性ビタミンである。ほとんどの動物とは異なり、ヒトはビタミンCを内因的に合成することができないため、ビタミンCは、食事、スルーフード(thru food)、飲料、又はサプリメントに添加される。更に、コラーゲン、L-カルニチン、及び特定の神経伝達物質及びビタミンCの生合成に不可欠なビタミンCもまた、タンパク質代謝に関与する。同様に、ビタミンCは、免疫機能において重要な役割を果たす。不十分なビタミンC摂取は、疲労又は倦怠感、広範囲の結合組織の衰弱、及び毛細血管の脆弱性を特徴とする壊血病を引き起こす。
【0003】
体内では、ビタミンCの吸収は、通常、腸管で行われる。しかしながら、ビタミンCは胃酸によっても破壊される可能性があり、栄養上の利点を引き出すには、ビタミンC摂取量を増やす必要がある。当該技術分野では、胃ではなく腸内でビタミンCを放出し、したがって、胃又は胃腸管の上部における追加的なビタミンCの分解を排除し、吸収の増加を可能にする必要がある。また、身体はビタミンCの吸収プロセスが遅く、吸収できる量は短時間に制限されていることに留意されたい。したがって、体内でビタミンCのより遅い放出を有することが更に必要である。本開示は、これらのニーズに対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0004】
一般に、本開示は、L-アスコルビン酸又はその誘導体を含有する延長放出組成物に関し、組成物は、L-アスコルビン酸又はその誘導体を胃ではなく腸内で放出させ、胃を含む胃腸管の上部において、哺乳動物に投与される追加のL-アスコルビン酸又はその誘導体の吸収の増加を可能にし、分解を停止させる遅延放出プロファイルを有する。加えて、延長期間にわたる身体へのL-アスコルビン酸の延長放出は、L-アスコルビン酸を吸収する身体の能力を更に改善する。一態様では、例えば、本開示は、一定量のL-アスコルビン酸又はその誘導体が、様々な他の健康上の利益のために、有効量のL-アスコルビン酸又はその誘導体を哺乳動物に送達することができる食用脂質システム内に含有又は分散される栄養補助食品組成物を対象とする。本開示の特定の態様では、食用脂質システムは、脂質多粒状物である。更に、本開示の方法及び組成物を通して、L-アスコルビン酸又はその誘導体化合物のバイオアベイラビリティを、哺乳動物において大幅に向上させることができる。アスコルビン酸又はその誘導体に加えてレシチンリン脂質を添加することで、バイオアベイラビリティを更に向上させることができる。
【0005】
本開示の更なる態様では、L-アスコルビン酸又はその誘導体は、使用者による摂取後、最大約30時間の期間、例えば、摂取後、約0.5時間~24時間の期間、より具体的には、摂取後、約1時間~約20時間の期間、組成物から放出される。
【0006】
本開示の別の特徴として、L-アスコルビン酸又はその誘導体は、脂質マトリックスによってカプセル化される。更に、活性剤は、脂質多粒状粒子の総重量に基づいて、脂質多粒状粒子中に、約1重量%~約80重量%の量、例えば、約10重量%~約75重量%の量、より具体的には、約25重量%~約70重量%の量で存在する。脂質多粒状粒子は、1μmを超える、一般に10μmを超える、典型的には約40ミクロン~約3000ミクロン、例えば、100ミクロン~2000ミクロンの平均粒径を有する。
【0007】
本開示の1つの特定の態様では、脂質マトリックスは、少なくとも1つの低流動点賦形剤及び少なくとも1つの高流動点賦形剤を含む。典型的には、低流動点賦形剤は、組成物の総重量に基づいて、組成物中に約0.1重量%~約20重量%の量で存在し、高流動点賦形剤は、約20重量%~約85重量%の量で組成物中に存在する。
【0008】
本開示の更なる実施形態では、脂質マトリックスは、脂肪アルコール、脂肪酸、グリコール及びポリグリコールの脂肪酸エステル、グリセロールの脂肪酸エステル、ポリグリセロール、ポリグリコール化グリセリド、C10~C18トリグリセリドステアロイルポリオキシルグリセリド、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド、オレオイルマクロゴール-6グリセリド、リノレオイルマクロゴール-6グリセリド、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、カプリンアルコール、ベヘン酸グリセロール、ジベヘン酸グリセロール、パルミチン酸グリセロール、水添ヒマシ油、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、パラフィンワックス、蜜蝋、カンデリラワックス、カルナバワックス、ポリエトキシル化12-ヒドロキシステリック酸(hydroxysteric acid)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エステル化アルファ-トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、プロピレングリコールモノラウリン酸(C12)エステル、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40水添ヒマシ油、レクチン、ビタミンE、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、ローズマリー抽出物、プロピレングリコール、トリアセチン、ミリスチン酸イソルプロピル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、グリセロール、それらの混合物又は組み合わせを含む。
【0009】
本開示の別の実施形態では、脂質マトリックスは、ワックス、脂肪アルコール、及び脂肪酸を含有する。特定の実施形態では、ワックスは、カンデリラワックスを含み、脂肪アルコールは、ステアリルアルコールを含み、脂肪酸は、ステアリン酸を含む。
【0010】
更なる実施形態では、脂質マトリックスは、界面活性剤を更に含有してもよい。好適な界面活性剤として、例えば、ポリソルベート、ラウレス硫酸塩、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0011】
脂質マトリックスは更に、他の追加の成分、例えば、流動助剤、抗酸化剤、分散剤、及び/又は香料若しくは甘味料を含んでもよい。
【0012】
本開示の一態様では、延長放出組成物粒子は、カプセル内に配置されてもよく、錠剤に形成されてもよく、ソフトジェル内に配置されてもよく、グミ内に配置されてもよく、代替的に、粉末として哺乳動物によって直接摂取されてもよく、又は飲料又は他の食品に組み込まれてもよい。
【0013】
本開示の別の実施形態では、L-アスコルビン酸又はその誘導体を延長期間にわたって哺乳動物に投与するための方法が提供される。本方法は、脂質多粒状粒子を有する延長放出組成物を哺乳動物に経口投与することを含み、脂質多粒状粒子は、脂質マトリックスを含有する。活性剤は、脂質マトリックス中に分散され、L-アスコルビン酸又はその誘導体を含む活性剤である。約1mg~約2,000mg、例えば、2mg~約1000mg、より具体的には、約5mg~500mgの量でL-アスコルビン酸又はその誘導体を含有する哺乳動物に投与される各用量。
【0014】
更に別の実施形態では、哺乳動物におけるL-アスコルビン酸又はその誘導体のバイオアベイラビリティを増加させる方法が提供され、上記方法は、本開示の前の態様及び実施形態のうちのいずれか1つによって上記の延長放出組成物を形成することと、延長放出組成物を上記哺乳動物に投与することと、を含む。
【0015】
本開示の別の実施形態では、本開示の前の態様及び実施形態のうちのいずれか1つで上述される延長放出組成物、並びに第2の栄養補助食品成分を含有する栄養補助食品組成物が提供される。第2の栄養補助食品成分の一例は、変性されていないコラーゲンを含む。
【0016】
本開示の他の特徴及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【0018】
定義
本出願及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数の形態を含む。更に、「含む(include)」という用語は、「含む(comprise)」を意味する。本開示の方法及び組成物(構成成分を含む)は、本明細書に記載の実施形態の必須要素及び限定、並びに本明細書に記載のいずれかの追加若しくは任意の成分、構成成分若しくは限定、又はその他の有用な栄養組成物を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になることができる。
【0019】
別段の指示がない限り、本明細書又は特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量、割合などの特性を表す全ての数は、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、別段の指示がない限り、黙示的又は明示的に示される数値パラメータは、標準的な試験条件/方法下で求められる所望の特性及び/又は検出の限界に依存し得る近似値である。考察される先行技術から実施形態を直接的かつ明示的に区別する場合、実施形態の数値は、単語「約」が用いられない限り、近似値ではない。本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、又は「一般的に」という用語は、値を修飾するために使用されるとき、値が10%上下することができ、及び開示される態様内に留まり得ることを示す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「任意の」又は「任意に」とは、その後に記載される材料、事象若しくは状況が存在し得るか、又は存在し得ないか、又は発生し得ることを意味し、記述は、材料、事象又は状況が存在するか、又は発生する場合、及び存在、又は発生しない場合、を含むことを意味する。本明細書で使用される場合、「w/w%」及び「重量%」は、組成物中の総重量のパーセンテージとして、又は別の構成成分と比較した重量を意味する。
【0021】
「有効量」という語句は、特定の状態若しくは障害、又は状態若しくは障害の特定の症状に対する応答を促進する、改善する、刺激する、又は促す化合物の量を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、そのような処置を必要とする哺乳動物に組成物が投与される、又は送達される、特定の薬理学的若しくは栄養学的応答をもたらす、その投与量又は組成物の量を意味するものとする。特定の場合、特定の対象に投与される「治療有効量」は、必ずしも、本明細書に記載される病気を治療する、さもなければ健康を改善するのに常に有効ではないが、そうであっても、そのような投与量は、当業者によって「治療有効量」とみなされることが強調される。特定の対象は、実際には、「治療有効量」に対して「難治性」であり得る。例えば、難治性対象は、特定の受容体、代謝経路、又は応答能力において、低いバイオアベイラビリティ又は遺伝的変動性を有し得、その結果、臨床的有効性が得られない。特定の場合、組成物又はサプリメントは、経口投与量として、又は血液中で測定され得る成分レベルに関して測定され得ることが更に理解される。他の実施形態では、投与量は、組成物が局所製剤に含まれる場合、皮膚に塗布される量で測定することができる。
【0023】
「栄養補助食品」という用語は、その基本的な栄養価に加えて、健康又は医療上の利益を提供する栄養源(例えば、食品、飲料、又は栄養補助食品)に添加される任意の化合物を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「送達すること」又は「投与すること」という用語は、医学界により標準として受け入れられているように、組成物、製品、又は栄養補助食品を対象に提供するための任意の経路を指す。例えば、本開示は、経口摂取に加えて、経皮、静脈内、腹腔内、筋肉内、局所、及び皮下、を含む任意の他の好適な送達経路を含む、送達又は投与の経路を企図する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「哺乳動物」という用語は、改善された関節の健康、弾力性、及び回復から利益を得ることができる任意の哺乳動物を含み、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、又はブタの哺乳動物を含むことができるが、これらに限定されない。本出願の目的において、「哺乳動物」は、ヒト対象を含む。
【0026】
「サプリメント」という用語は、通常の食事に付加的な製品を意味するが、哺乳動物の通常の食品又は飲料の組成物と組み合わせることができる。サプリメントは、限定するものではないが、固体、液体、ゲル、カプセル、又は粉末の任意の形態であり得る。サプリメントはまた、食品、飲料、ペットフード、軽食、又はおやつを含み得る食品組成物とともに、又は構成成分として同時に投与されてもよい。一実施形態では、飲料は、活性飲料であってもよい。
【0027】
本明細書で使用される場合、「健常な」とは、疾患又は傷害の不在を指す。
【0028】
本開示の他の特徴及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本考察は、例示的な実施形態の説明に過ぎず、本開示のより広範な態様を限定することを意図するものではないことが当業者によって理解される。
【0030】
本開示は一般に、L-アスコルビン酸又はその誘導体を含有する脂質多粒状物を対象とする。粒子は、カプセルに配置されてもよく、錠剤に形成されてもよく、ソフトジェルに配置されてもよく、グミに配置されてもよく、代替的に、粉末として哺乳動物によって直接摂取されてもよく、又は飲料又は他の食品に組み込まれてもよい。脂質多粒状粒子は、一実施形態では、粒子が、経口投与されたか、又はそれ以外で摂取された脂質多粒状物を、哺乳動物の消化器系などの、脂質多粒状物からL-アスコルビン酸又はその誘導体を放出させる環境内で接触しているときに、L-アスコルビン酸又はその誘導体を放出するように製剤化することができる脂質マトリックスを含む。
【0031】
以下の説明は、本質的に例示的であり、本発明の範囲、適用性又は構成をいかなる方式によっても限定することを意図するものではない。記載の実施形態に対する様々な変更は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の要素の機能及び配置において行われ得る。
【0032】
本開示における更なる定義については、以下のとおりである:
【0033】
本明細書で使用される場合、「ビタミンC」という用語は、アスコルビン酸及びその誘導体を意味する。そのような誘導体として、例えば、デヒドロアスコルビン酸などの酸化生成物、及び例示的に、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カリウム、及びアスコルビン酸亜鉛などのアスコルビン酸の食用塩が挙げられる。ビタミンCという用語は、これらの誘導体、及びアスコルビン酸エステル、例えば、パルミチン酸アスコルビル及びステアリン酸アスコルビルを含む、当技術分野で認識されている任意のアスコルビン酸誘導体を含む。本開示の特定の実施形態では、ビタミンCは、L-アスクロビン(ascrobic)酸である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「流動点」という用語は、混合物のいずれの部分も、全体として微粒化され得る十分な流体となる温度である。一般に、混合物は、溶融混合物の粘度が20,000cp未満、又は15,000cp未満、又は10,000cp未満、5000cp未満、又は更に1000cp未満である場合に、微粒化のために十分な流体である。粘度は、粘度を温度の関数として測定する制御応力レオメータによって測定することができ、せん断式又は回転式レオメータのいずれかを使用することができる。本明細書で使用される場合、融点は、固体結晶又は半結晶状態から液体状態への転移の中間点を示す温度を指す。DSC及び他の融点装置によって測定されるように、融点は、固体材料を加熱する際に最大の発熱熱流が生じる温度である。一般に、融点は、いくつかの活性剤又は本質的に単一成分賦形剤(例えば、ステアリルアルコール)などの相対的に純粋な単一成分材料を参照して使用され、流動点は、多成分材料又は混合物を参照して使用される。
【0035】
本明細書で使用される場合、「半固体」という用語は、周囲温度(23℃)では固体であるが、30℃若しくは40℃を超える温度、又は体温では液体となる。
【0036】
別段の指示がない限り、「カプセル」とは、固体又は液体を封入するのに好適な容器を意味し、カプセルを形成するために組み立てられ得るキャップ及び本体などの、空のカプセルシェル及びその構成成分を含む。
【0037】
別段の指示がない限り、「剤形」とは、活性成分を含む固体組成物を指す。剤形の活性成分又は内容物は、固体、半固体又は液体であってもよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、「粒子」という用語は、材料の一部分又は量、例えば、材料の小部分又は量を指す。例えば、本明細書で提供されるように、粒子という用語は、一般に、コアと、コアを取り囲む1つ以上の外層とを含有する組成物を指し得る。いくつかの実施形態では、説明される粒子は一般に球形であり得る。本明細書で使用される場合、「粒子」という用語は、微小球、シードなどを含む、ペレット、ビーズレット、多粒状物、微粒子、球を含み、又はそれらと互換的に使用され得る。本明細書で使用される粒子という用語は、特定の方法又はプロセスによって形成された粒子のみに限定されない。実際、本明細書に記載の粒子は、任意の好適なプロセスによって形成され得る。特定の好適なプロセスには、溶融スプレー凝固、球形化、押出、圧縮、粉末層状化、液体層状化、溶融及び湿式造粒によるペレット化、並びにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の粒子は、固体又は半固体粒子であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子は、粒子自体の上又は内部に含まれる固体組成物及び半固体組成物の両方を含むことができる。
【0039】
開示される組成物の実施形態は、少なくとも1つの活性成分又は活性剤を含み得る。組成物は、1つ以上の活性成分を含有し得る。本明細書で使用される場合、「活性」又は「活性成分」とは、身体に投与されることが所望され得る薬物、薬剤、医薬品、治療剤、栄養補助食品、又は他の化合物を意味する。活性成分は、一般に2000ダルトン以下の分子量を有する「小分子」であってもよい。活性成分は、「生物活性物質」であってもよい。生物活性成分としては、タンパク質、抗体、抗体断片、ペプチド、オリゴヌクレオチド、ワクチン、及びそのような材料の様々な誘導体が挙げられる。一実施形態では、活性成分は、小分子である。別の実施形態では、活性成分は、生物活性物質である。更に別の実施形態では、活性成分は、小分子と生物活性物質との混合物である。また、本明細書で使用される場合、「活性成分」、「第1の活性成分」、「第2の活性成分」などの用語は、粒子内の異なる場所に位置する活性成分、例えば、コア内に位置するもの、又は1つ以上の外層内に位置するものを示すために使用され得る。しかしながら、「第1の」又は「第2の」という用語は、第1の活性成分が第2の活性成分と異なることを必ずしも示すものではない。例えば、特定の実施形態では、コア内に含まれる活性成分は、コア上に配置された外層内に含まれる第2の活性成分と同じであり得る。特定の他の実施形態では、コア内に含まれる活性成分は、コア上に配置された外層内に含まれる第2の活性成分とは異なることがあり得る。
【0040】
上述のように、一実施形態では、活性成分は、脂質マトリックスに組み込まれるか、又は分散されるL-アスコルビン酸又はその誘導体であり得る。一実施形態では、延長放出組成物が、ヒトなどの哺乳動物の消化器系に入るときの初期時間を超えて、L-アスコルビン酸又はその誘導体の放出を遅延させて、ほぼ一定な用量のL-アスコルビン酸又はその誘導体を一定期間にわたって哺乳動物に送達する脂質多粒状物を含む本開示の延長放出組成物の組成物。例えば、L-アスコルビン酸又はその誘導体は、L-アスコルビン酸又はその誘導体を捕捉し、脂質マトリックスからのそれらの放出を一定期間延期するように特別に製剤化される脂質マトリックス内に分散又はカプセル化され得る。特に有利なことに、本開示の粒子は、100%ベジタリアンであるように構築することができる。加えて、粒径は、カプセル剤、飲料、錠剤などを製造するときなど、異なる目的に適合するように慎重に制御及び調整することができる。
【0041】
一実施形態では、アスコルビン酸又はその誘導体のバイオアベイラビリティを増加させるために、脂質多粒状物組成物中の製剤にレシチン/リン脂質を添加すると、アスコルビン酸又はその誘導体のバイオアベイラビリティを増加させることができることが見出されている。好適なレシチン/リン脂質化合物は、高含有量のホスファチジルコリンを有するヒマワリレシチンなどと混合する。レシチン/リン脂質は、任意の量で存在することができるが、脂質多粒状物中の含有量が高いほど、アスコルビン酸又は誘導体が多粒状物から放出される速度がより速くなる。一般に、レシチン/リン脂質は、多粒状物の重量の最大約25%の量で添加される。一般に、レシチン/リン脂質は、15重量%未満の量で使用される。
【0042】
しかしながら、本開示に従って作製された脂質生成物は、非常に経済的に作製することができ、一定量のL-アスコルビン酸又はその誘導体を含有することができる。本開示の組成物は、例えば、L-アスコルビン酸又はその誘導体を、約1重量%を超える量、例えば約5重量%を超える量、例えば約10重量%を超える量、例えば約15重量%を超える量、例えば約20重量%を超える量、例えば約25重量%を超える量、例えば約30重量%を超える量で含有することができる。L-アスコルビン酸又はその誘導体は、組成物中に、L-アスコルビン酸又はその誘導体を含有する脂質多粒状粒子の総重量に基づいて、約80重量%未満の量、例えば、約75重量%未満の量、例えば、約70重量%未満の量で存在することができる。
【0043】
本開示の粒子を形成するために使用される脂質マトリックスは、例えば、多くの異なる脂質ベースの成分、様々な異なる耐酸性成分などから作製され得るか、又はそれらを含むことができる。液体マトリックスを形成するために使用することができる材料の例としては、脂肪アルコール、脂肪酸、グリコール及びポリグリコールの脂肪酸エステル、グリセロールの脂肪酸エステル、ポリグリセロール、ポリグリコール化グリセリド、C10~C18トリグリセリドステアロイルポリオキシルグリセリド、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド、オレオイルマクロゴール-6グリセリド、リノレオイルマクロゴールマ-6グリセリド、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、カプリンアルコール、ベヘン酸グリセロール、ジベヘン酸グリセロール、パルミチン酸グリセロール、水添ヒマシ油、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、パラフィンワックス、蜜蝋、カンデリラワックス、カルナバワックス、ポリエトキシル化12-ヒドロキシステリック酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エステル化アルファ-トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、プロピレングリコールモノラウリン酸(C12)エステル、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40水添ヒマシ油、レクチン、ビタミンE、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、プロピレングリコール、トリアセチン、ミリスチン酸イソルプロピル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、グリセロール、これらの混合物又は組み合わせが挙げられる。
【0044】
一実施形態では、液体マトリックスは、少なくとも1つの低流動点賦形剤及び少なくとも1つの高流動点賦形剤から形成される。
【0045】
例えば、特定の実施形態では、脂質マトリックスは、1つ以上の低流動点賦形剤を含有し得る。低流動点賦形剤としては、一般に、脂肪アルコール、脂肪酸、グリコール及びポリグリコールの脂肪酸エステル、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、並びに50℃未満の流動点を有するグリセロール(グリセリド)の脂肪酸エステルが挙げられる。低流動点賦形剤が、比較的純粋な材料である場合は、融点はまた50℃未満である。低流動点賦形剤の好ましいクラスは、低流動点グリセリドである。グリセリドなどの「低流動点」賦形剤は、グリセリドなどの賦形剤の融点が50℃未満であることを意味する。いくつかの実施形態では、低流動点グリセリドは、40℃未満の融点を有する。いくつかの実施形態では、グリセリドなどの低流動点賦形剤は、50℃以下の流動点を有する化合物の混合物である。いくつかの実施形態では、グリセリドなどの低流動点賦形剤は、40℃以下の流動点を有する。いくつかの実施形態では、低流動点グリセリドは、30℃以下の低流動点を有する。例示的な低流動点グリセリドとしては、例えば、43℃の公称融点を有するGelucire(登録商標)43/01などの、Gattefosseによって製造されるGelucire製品のいくつかなどのポリグリコール化グリセリドが挙げられる。低流動点グリセリドの混合物もまた有効であり、例えば、Gelucire(登録商標)43/01(C10~C18トリグリセリド)、Gelucire(登録商標)50/13(ステアロイルポリオキシルグリセリド)、Gelucire(登録商標)44/14(ラウロイルマクロゴール-32グリセリド)の混合物、及びこれらの混合物である。他のグリセリド、例えば、グリコール及びポリグリコールの脂肪酸エステル、並びにポリグリセロールの脂肪酸エステルも使用することができる。
【0046】
低流動点賦形剤の機能は、患者によって経口摂取されたときに、GI管の温度(ヒトでは約37℃)で製剤マトリックスの少なくともかなりの部分が軟化することを確実にすることである。これにより、製剤は、胃腸(GI)管内での消化によって分解され、最終的にGI管内で分散して活性物質の溶解及び吸収を促進することを可能にする。特定の実施形態では、低流動点賦形剤は、GI管内で摂取及び軟化されたときに、配合物マトリックスのかなりの部分を非結晶性液体又は非晶質状態で存在させる。
【0047】
例示的な低流動点脂肪アルコールとしては、ミリスチルアルコール(Tm 38℃)、ラウリルアルコール(Tm 23℃)及びカプリンアルコール(Tm 7℃)が挙げられる。
【0048】
例示的な低流動点脂肪酸としては、ラウリン酸(Tm 44℃)及びオレイン酸(Tm 16℃)が挙げられる。
【0049】
特定の実施形態では、脂質マトリックスは、高流動点賦形剤を含む。例えば、特定の実施形態では、脂質マトリックスは、1つ以上の高流動点賦形剤を含有し得る。「高流動点」賦形剤とは、50℃以上の流動点を有する賦形剤を意味する。高流動点賦形剤は、50℃を超える融点を有することもできる。高流動点賦形剤としては、一般に、脂肪アルコール、脂肪酸、グリコール及びポリグリコールの脂肪酸エステル、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、グリセロール(グリセリド)の脂肪酸エステル、ワックス、極性ワックス、及び50を超える流動点を有する他の材料が挙げられる。高流動点賦形剤の好ましいクラスは、「高流動点グリセリド」である。高流動点グリセリドとは、グリセリドの流動点又は融点が50℃以上であることを意味する。いくつかの実施形態では、高流動点グリセリドは、60℃以上の融点を有する。いくつかの実施形態では、高融点グリセリドは、50℃以上の流動点を有する化合物の混合物である。いくつかの実施形態では、高流動点グリセリドは、60℃以上の流動点を有する。いくつかの実施形態では、高流動点グリセリドは、70℃以上の流動点を有する。
【0050】
例示的な高流動点グリセリドとしては、ベヘン酸グリセロール、ジベヘン酸グリセロール、パルミチン酸グリセロール、水添ヒマシ油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
多くの場合、高流動点グリセリドは、製品に製剤化され、様々な商品名で販売されている化合物の混合物である。
【0052】
例示的な高流動点かつ高融点の脂肪アルコールとしては、ステアリルアルコール(Tm 58℃)及びベヘニルアルコール(Tm 71℃)が挙げられる。
【0053】
例示的な高流動点で高融点の脂肪酸としては、パルミチン酸(Tm 63℃)及びステアリン酸(Tm>70℃)が挙げられる。
【0054】
例示的なワックスとしては、パラフィンワックス、蜜蝋、カンデリラワックス、カルナバワックス、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
高流動点賦形剤の機能は、溶融-スプレー-凝固処理中に固体粒子を得るために、粒子がより低い温度で凝固することを可能にすることによって、粒子の製造性を補助することである。特定の実施形態では、高流動点賦形剤は、製剤の物理的安定性を補助する。ほとんどの実施形態では、高流動点賦形剤は、GI管内で、感知できるほど消化されない。
【0056】
いくつかの実施形態では、粒子の脂質マトリックスは、製剤の性能及び化学的安定性を改善するための他の賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態では、分散剤は、粒子に含まれる。例示的な分散剤としては、レシチン、グリセロールモノステアレート、パルミトステアリン酸エチレングリコール、酸化アルミニウム、ポリエチレンアルキルエーテル、ソルビタンエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、粒子は、活性剤の化学的安定性を維持するための抗酸化物質を含む。例示的な抗酸化物質としては、ビタミンE、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、ローズマリー抽出物、アスコルビン酸、パルミチン酸アソルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びこれらの混合物並びに組み合わせが挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、流動助剤は、粒子の流動特性を改善するために使用される。滑剤としても知られている例示的な流動助剤としては、シリカ、ケイ酸カルシウム、cab-o-sil、二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク、及び他の流動助剤が挙げられる。
【0058】
一態様では、食事用組成物は、崩壊剤を更に含有する。崩壊剤は、例えば、クロスカルメロースなどの架橋カルボキシメチルセルロースであり得る。クロスカルメロースは、架橋カルボキシメチルセルロース塩である。一態様では、架橋カルボキシメチルセルロースは、ナトリウム塩であり得る。一実施形態では、架橋カルボキシメチルセルロースは、繊維又は粒子の形態であり得る。繊維又は粒子は、典型的には白色である自由流動粉末を形成することができる。架橋カルボキシメチルセルロースは、親水性であるが、不溶性でもある。液体と接触させると、架橋カルボキシメチルセルロースは液体を吸い込み、膨潤し始める。架橋カルボキシメチルセルロースの膨潤作用は、食事用組成物を崩壊させる。このようにして、架橋カルボキシメチルセルロースは、L-アスコルビン酸又はその誘導体の放出を制御するために使用され得る。
【0059】
L-アスコルビン酸又はその誘導体の放出に影響を与える崩壊剤の能力は、組成物に組み込まれる架橋カルボキシメチルセルロースの種類を制御すること、及び組成物に添加される崩壊剤の量を制御すること、によって制御することができる。例えば、架橋カルボキシメチルセルロースが膨潤する能力は、架橋セルロースポリマー内の置換度を制御することによって、カルボキシメチル基の水和に依存し得る。例えば、置換度は、約0.5よりも大きく、例えば、約0.55よりも大きく、例えば、約0.6よりも大きく、例えば、約0.65よりも大きく、例えば、約0.7よりも大きく、例えば、約0.75よりも大きく、例えば、約0.8よりも大きくてもよい。置換度は、一般に、約0.9未満、例えば、約0.85未満、例えば、約0.8未満、例えば、約0.75未満である。置換の程度は、元素分析によって決定され得る。
【0060】
食事用組成物に組み込まれる崩壊剤又は架橋カルボキシメチルセルロースの量は、一般に、約0.5重量%を超え、例えば約1重量%を超え、例えば約3重量%を超え、例えば約5重量%を超え、及び、一般に、約15重量%未満、例えば約12重量%未満、例えば約10重量%未満、例えば約8重量%未満であり得る。
【0061】
本明細書に記載の粒子は、周囲温度で固体であり、一般に球である。一般に、球とは、ほとんどの粒子が本質的に球であるが、粒子が必ずしも「完璧な」球を形成しないことを意味する。溶融-スプレー-凝固処理及び同様の粒子形成方法でのこのような球状における粒子変化は、当業者に知られている。
【0062】
粒子は、約1μmを超える、及び一般に約10μmを超える平均直径の範囲のサイズを有し得る。典型的には、粒子は、平均直径が約40μm~約3000μm、例えば約50μm~約2500μm、例えば約80μm~約2000μm、例えば約100μm~約1500μm、例えば約200μm~約1000μm、例えば約300μm~約800μmの範囲内にあるサイズを有する。粒子の直径を測定するために、レーザー回折、光学顕微鏡、及び/又はSEMを含む、いくつかの方法を使用可能な方法がある。
【0063】
特定の実施形態では、活性成分及び脂質マトリックスを含有する粒子は、25℃を超える、例えば30℃を超える、例えば35℃を超える、例えば40℃を超える流動点を有する。
【0064】
一実施形態では、脂質マトリックス組成物は、50重量%を超える低流動点賦形剤を含む。一実施形態では、脂質マトリックス組成物は、少なくとも2重量%の高流動点賦形剤を含む。別の実施形態では、脂質マトリックス組成物は、20重量%未満の高流動点賦形剤を含む。別の実施形態では、低流量賦形剤と高流量賦形剤との質量比は、少なくとも2:1である。更に別の実施形態では、低流量賦形剤と高流量賦形剤との質量比は、少なくとも3:1である。別の実施形態では、低流量賦形剤と高流量賦形剤との質量比は、少なくとも4:1である。別の実施形態では、低流量賦形剤と高流量賦形剤との質量比は、少なくとも10:1である。別の実施形態では、低流量賦形剤と高流量賦形剤との質量比は、少なくとも15:1である。別の実施形態では、低流量賦形剤と高流量賦形剤の質量比は、少なくとも20:1である。
【0065】
別の態様では、脂質マトリックス組成物は、50重量%を超える1つ以上の高流動点賦形剤を含有する。例えば、一実施形態では、脂質マトリックスは、1つ以上の高流動点賦形剤のみから作製され、低流動点賦形剤を含有しない。例えば、1つ以上の高流動点賦形剤は、脂質マトリックス中に、約40重量%を超える量、例えば約50重量%を超える量、例えば約60重量%を超える量、例えば約65重量%を超える量、例えば約70重量%を超える量、及び一般に約98重量%未満の量、例えば約95重量%未満の量、例えば約90重量%未満の量、例えば約80重量%未満の量、例えば約70重量%未満の量で存在し得る。より多くの高流動点賦形剤が存在する場合、1つ以上の低流動点賦形剤は、組成物中に、約30重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量、例えば約10重量%未満の量、及び、一般に、1重量%を超える量、例えば約4重量%を超える量で存在し得る。高流動点賦形剤と低流動点賦形剤との質量比は、約100:1~約1:1、例えば、約50:1~約10:1、例えば、約20:1~約5:1とすることができる。
【0066】
特定の一実施形態では、脂質マトリックスは、脂肪酸アルコール及び脂肪酸と組み合わせたワックスを含有する。例えば、ワックスは、カンデリラワックスを含むことができる。一方、脂肪アルコールは、ステアリルアルコールであり得、脂肪酸はステアリン酸であり得る。例えば、カンデリラワックスなどのワックスは、組成物中に、約20重量%を超える量、例えば約25重量%を超える量、及び、一般に、約50重量%未満の量、例えば約45重量%未満の量で存在することができる。一方、脂肪アルコールは、一般に、約10重量%を超える量、例えば、約12重量%を超える量、及び一般に、約25重量%未満の量、例えば、約22重量%未満の量、例えば、約18重量%未満の量で存在することができる。一方、脂肪酸は、組成物中に、約3重量%を超える量、例えば約5重量%を超える量、例えば7重量%を超える量、及び一般に約15重量%未満の量、例えば約12重量%未満の量、例えば約10重量%未満の量で存在することができる。
【0067】
脂質マトリックスはまた、分散剤を含んでもよい。一実施形態では、脂質マトリックスは、0重量%~20重量%、例えば、0.01重量%~20重量%の分散剤を含む。別の実施形態では、脂質マトリックスは、2重量%~10重量%の分散剤を含む。
【0068】
脂質マトリックスはまた、抗酸化物質を含んでもよい。一実施形態では、脂質マトリックスは、0重量%~20重量%、例えば、0.01重量%~10重量%の抗酸化物質を含む。一実施形態では、脂質マトリックスは、1重量%~5重量%の抗酸化物質を含む。
【0069】
脂質マトリックスはまた、流動助剤を含んでもよい。一実施形態では、脂質マトリックスは、0重量%~5重量%、例えば、0.01重量%~5重量%の流動助剤を含んでもよい。別の実施形態では、脂質マトリックスは、0.5重量%~2重量%の流量助剤を含んでもよい。
【0070】
脂質マトリックスはまた、使用者への粒子の味を改善するために、香料又は甘味料を含んでもよい。一実施形態では、脂質マトリックスは、0重量%~15重量%、例えば、0.01重量%~10重量%の香料又は甘味料を含む。一実施形態では、脂質マトリックスは、1重量%~5重量%の抗酸化香料又は甘味料を含む。香料及び甘味料には、栄養補助食品又は食品産業で使用される精油他の甘味料が含まれる。
【0071】
本明細書に記載の脂質マトリックスは、任意の好適なプロセスによって製剤化され得る。いくつかの実施形態では、マトリックスは、好適な溶融-スプレー-凝固プロセスによって製剤化され得る。
【0072】
溶融混合物は、前述のように、脂質マトリックス組成物を混合及び加熱することによって形成される。「溶融混合物」とは、活性成分と脂質マトリックス材料との混合物が十分に混合され、加熱されて、混合物が液滴に微粒化されることが可能になるように十分に流動化されることを意味する。一般的に、混合物は、遠心噴霧器又は回転ディスク噴霧器によってもたらされたような圧力、せん断力、及び遠心力などの1つ以上の力を受ける場合、流れるという意味で溶融される。
【0073】
溶融混合物が形成されると、溶融混合物を小さな液滴に分ける噴霧器に送達される。実質的に、任意の方法を使用して、溶融混合物を噴霧器に送達することができる。開示される方法の特定の実施形態では、溶融混合物は、ポンプ及び/又は、加圧容器若しくはピストンポット若しくは押出機などの様々なタイプの空気圧デバイスの使用によって噴霧器に送達される。特定の実施形態では、溶融混合物は、噴霧器への送達中、その固化を防止し、流動可能な状態で維持するために、高温で維持される。
【0074】
遠心噴霧器(回転噴霧器又は回転ディスク噴霧器としても知られる)を使用する場合、溶融混合物は、回転面に供給され、そこで遠心力によって外側に広がり、流れる。回転面は、いくつかの形態をとることができ、その例としては、フラットディスク、カップ、バン付きディスク、及びスロット付きホイールが挙げられる。ディスクの表面は、溶融混合物の微粒化を助けるために加熱されてもよく、又は脂質マトリックスを含有するコアの固化を助けるために冷却されてもよい。溶融混合物のディスクへの流れ、ディスクの回転速度、ディスクの直径、供給物の粘度、並びに供給物の表面張力及び密度に応じて、フラットディスク及びカップ遠心噴霧器で、噴霧のいくつかのメカニズムが観察される。低流量では、溶融混合物は、ディスクの表面全体に広がり、ディスクの端に到達すると、離散液滴を形成し、次いでディスクから飛ばされる。
【0075】
溶融混合物が微粒化されると、液滴は、典型的には、組成物の固化温度以下の温度でガスと接触することによって凝固される。典型的には、液滴は、60秒未満、10秒未満、更には1秒未満で凝固されることが望ましい。特定の実施形態では、周囲温度冷却媒体を使用して周囲温度で凝固することにより、十分に迅速な液滴の固化がもたらされる。しかしながら、開示される組成物の特定の実施形態は、少なくとも50重量%の低流動点賦形剤で構成されるので、周囲温度よりも少なくとも10℃低い温度にある冷却媒体を利用することが好ましいことが多い。いくつかの実施形態では、周囲温度よりも少なくとも20℃低い冷却媒体を利用することが好ましい。
【0076】
一態様では、1つ以上の界面活性剤を任意選択により組成物に組み込むことができる。界面活性剤は、様々な理由で組成物に組み込むことができる。いくつかの界面活性剤が、組成物の遅延放出機能の制御を実際に容易にすることができることが発見された。いくつかの実施形態では、界面活性剤及び共界面活性剤は、組成物に含まれ得る。例示的な界面活性剤及び共界面活性剤としては、PEG15ヒドロキシステアレート(Kolliphor(登録商標)HS-15)としても知られる、ポリエトキシル化12-ヒドロキシステリック酸、プロピレングリコールモノカプリレート(C8)エステル(Caproyl(商標)90)、エステル化アルファ-トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、グリセロール並びにPEG400のモノ及びジエステル(Labrasol(登録商標))の、モノ、ジ、トリカプリル(C8)及びカプリン酸(C10)エステル、プロピレングリコールモノラウリン酸(C12)エステル(Labrafil(登録商標)M1944CS)、ポリオキシル40水添ヒマシ油(Kolliphor(登録商標)RH40)、レシチン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0077】
一実施形態では、組成物に組み込まれる界面活性剤は、ポリソルベート、硫酸塩界面活性剤、又はそれらの混合物であり得る。硫酸塩界面活性剤としては、例えば、脂肪酸硫酸塩が挙げられる。例えば、一実施形態では、界面活性剤は、ラウレス硫酸ナトリウムであり得る。
【0078】
組成物に組み込まれる界面活性剤の量は、界面活性剤を添加する理由又は所望の結果に応じて大きく変化し得る。一般に、組成物に含まれる場合、1つ以上の界面活性剤は、約1重量%を超える量、例えば約3重量%を超える量、例えば約7重量%を超える量、例えば約10重量%を超える、例えば約15重量%を超える量、例えば約20重量%を超える量、例えば約25重量%を超える量、例えば約30重量%を超える量で存在し得る。1つ以上の界面活性剤は、一般に、組成物中に、約50重量%未満の量、例えば、約40重量%未満の量、例えば、約30重量%未満の量、例えば、約20重量%未満の量、例えば、約10重量%未満の量で存在する。
【0079】
脂質多粒状物の他の利点は、L-アスコルビン酸又はその誘導体が、栄養補助食品バーなどの製品中にあってもよく、L-アスコルビン酸又はその誘導体の利点を達成するために、オートミール、シリアル、レディ・トゥ・ミックス(RTM)タイプの飲料、サラダ、及び他の同様の食品に添加するためのサシェ形態であることができることである。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される1つ以上の粒子は、任意の好適な剤形に製剤化されてもよい。例えば、特定の実施形態では、本明細書に提供される1つ以上の粒子は、経口摂取による送達のためにカプセル内に配置され得る。例示的なカプセルとしては、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセル、HPMCカプセル、並びに他の材料から作製されたカプセルが挙げられる。1つ以上の粒子は、カプセル自体内の水性ベースのマトリックス又は油性ベースのマトリックスに懸濁され得る。粒子が水性ベースのマトリックス又は油性ベースのマトリックスに懸濁される特定の実施形態では、水性ベースのマトリックス又は油性ベースのマトリックスは、1つ以上の活性成分を追加的に含んでもよい。特定の実施形態では、1つ以上の粒子は、摂取時に、変更された放出プロファイルを提供するのに好適な、モノリシック腸溶カプセル内に含有され得る。
【0081】
カプセルは、通常、1つ以上の特定の物質で充填されたシェルを含む。シェル自体は、軟質カプセルシェルであってもよく又は硬質カプセルシェルであってもよい。硬質カプセルシェルは、通常、浸漬成形プロセスを使用して製造され、これは2つの代替手順に区別され得る。第1の手順では、カプセルは、任意選択によって1つ以上のゲル化剤(例えば、カラーギナン)及び共ゲル化剤(例えば、無機カチオン)を含有するポリマーの溶液中にステンレス鋼金型ピンを浸漬することによって調製される。その後、金型ピンを取り外し、反転させ、乾燥させて表面上にフィルムを形成する。次いで、乾燥したカプセルフィルムを金型から取り外し、所望の長さに切断した後、伸縮フィットキャップ及び本体を組み立て、印刷し、包装する。第2の手順では、ゲル化剤又は共ゲル化剤を使用せず、成形ピン上のフィルム形成ポリマー溶液のゲル化は、予熱された成形ピンをポリマー溶液に浸漬することによって熱的に誘導される。この第2のプロセスは、一般に、熱ゲル化、又は熱ゲル化浸漬成形と称される。前述の製造プロセスは、伸縮フィット硬質カプセルシェルの製造に必要な異なる成分の溶液の使用を伴う。
【0082】
硬質カプセルは、当該技術分野で既知の手順によって、本明細書に記載の粒子などの活性成分で充填され得る。典型的には、活性成分は、充填しやすいように、様々な適合性賦形剤と組み合わされる。得られる充填物は、乾燥粉末、顆粒、粒子、脂質粒子、懸濁液、又は液体であり得る。加えて、安定した、充填された硬質カプセルは、液体及び固形錠剤などの他の投薬送達形態よりも利点がある。特定の活性成分は、乾燥顆粒に製剤化することが困難であり得るか、又はさもなければ、錠剤化プロセスと不適合であり得る。別の考慮事項は、味覚マスキングのための患者のコンプライアンスの向上、及び嚥下の容易さ、すなわち、カプセルが錠剤よりも消費者によって好まれることである。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される1つ以上の粒子で充填されたカプセルを含有する薬学的組成物が提供される。いくつかの実施形態では、1つ以上の粒子は、調節放出(modified release)又は胃の保護のために腸溶コーティングされていない。
【0083】
特定の他の実施形態では、1つ以上の粒子は、固体、液体、懸濁液、又は他の好適な送達手段として経口投与され得る。粒子の組成物は、頬側又は舌下投与を介して投与され得る。一実施形態では、1つ以上の粒子は、カプセル剤、錠剤、カプレット、丸剤、トローチ剤、ドロップ剤、ロゼンジ、散剤、顆粒剤、シロップ剤、茶、飲料、薄膜、シード、ペースト、ハーブ、植物などとして投与され得る。
【0084】
本開示の更なる実施形態では、本明細書に記載の脂質多粒状粒子は、栄養補助食品組成物を形成するために、他の栄養補助食品成分と組み合わせるか、又はそれとともに使用することができる。L-アスコルビン酸又はその誘導体の脂質多粒状物は、L-アスコルビン酸又はその誘導体の脂質多粒状物、及び他の栄養補助成分の、栄養補助用完成固体及び液体投与量の両方における、並びに食品及び飲料用途における、安定した組み合わせをもたらす他の栄養補助食品成分と混合することができる。混合できる例示的な栄養補助食品は、コラーゲン(例えば、Lonzaから入手可能な、UC-II(登録商標)製品を含むが、それに限定されない、加水分解コラーゲン又は非変性コラーゲンを含む)、プロバイオティクス(例えば、限定するものではないが、Lonzaから入手可能なTWK10(登録商標)製品)、酵素、内因性脂肪酸アミド、セチル化脂肪酸エステル、オメガ-3脂肪酸、ヒアルロン酸、クルクミノイド、ハーブ及び植物抽出物、カロテノイド、メチルスルホニルメタン(MSM)、カルニチン(Lonzaから入手可能なCarnipure(登録商標)を含むが、これらに限定されない)、並びに抗酸化剤(例えば、Lonzaから入手可能なOceanix(商標))、を含む。抗炎症性の利点を有する他の栄養補助食品成分、例えば、ウコンクルクミノイド、卵殻膜、緑イ貝、オメガ-3EPA及びDHA、オキアミ油、フランス海岸松樹皮抽出物(Pycnogenol(登録商標))、コガネバナ及びアセンヤクノキ抽出物(Univestin(登録商標))、アシュワガンダ抽出物、ローズヒップ抽出物、タルトチェリー抽出物、アスタキサンチン、ホップ抽出物(Perluxan(登録商標))、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、サケ鼻軟骨、アボカド大豆不鹸化物、メチルスルホニルメタン(MSM)、ウィロー樹皮抽出物、タマリンド種子抽出物、lactobacillus及びbifidobacteriaプロバイオティック株(例えば、Lonzaから入手可能なTWK10((登録商標)製品))、パルミトイルタノールアミド(PEA)、及びミリストレイン酸セチル(CM)など(更に抗炎症健康利益を誘発し得る)。
【0085】
本開示では、延長期間にわたって哺乳動物にL-アスコルビン酸又はその誘導体化合物を投与するための方法も提供される。この方法は、脂質多粒状粒子を含む延長放出組成物を哺乳動物に経口投与することを含み、脂質多粒状粒子は、脂質マトリックスを含み、活性剤が脂質マトリックス中に分散され、活性剤は、L-アスコルビン酸又はその誘導体を含む。典型的な投与量で、L-アスコルビン酸又はその誘導体は、典型的には、約1mg~約2,000mg、例えば、2mg~約1000mg、より具体的には、約5mg~500mgの量を含み、哺乳動物に投与される。脂質多粒状物中のL-アスコルビン酸又はその誘導体の割合に応じて、脂質多粒状物の量を調整して、正しい投与量を達成する。
【0086】
それでもなお、本開示のある特定の実施形態は、以下の実施例に従ってより良く理解され得、これらの実施例は、本質的に非限定的かつ例示的であることが意図される。
【0087】
実施例1
L-アスコルビン酸、カンデリラワックス、及びステアリン酸から2つの製剤を調製した。第1の配合物は、63重量%のアスコルビン酸、7重量%のカンデリラワックス、及び30重量%のステアリン酸を含有した。第2の製剤は、65重量%のアスコルビン酸、25重量%のカンデリラワックス、及び10重量%のステアリン酸を含有した。いずれの製剤も、成分を混合して攪拌し、アスコルビン酸がカンデリラワックス及びステアリン酸に完全に懸濁されるまで、温度を70~75℃に保って作製された。最終混合物を溶融スプレー凝固プロセスで処理し、500~700ミクロンのマイクロ粒子を生成した。放出プロファイルを試験した。
【0088】
実施例2
L-アスコルビン酸、約90%のホスファチジルコリンを含有するヒマワリレシチン、カンデリラワックス、ステアリルアルコール、及び香料から製剤を調製した。具体的には、配合物は、53重量%のアスコルビン酸、10重量%のヒマワリレシチン、22重量%のカンデリラワックス、10重量%のステアリルアルコール、及び約5重量%のオレンジ油を含有した。配合物は、成分を混合及び攪拌することによって作製され、アスコルビン酸及び一定量のホスファチジルコリンを含有するヒマワリレシチンがカンデリラワックス中に完全に懸濁するまで、70~75℃で保持された。この混合物にステアリルアルコールとオレンジ油を添加し、最終的に得られた混合物を、ステアリルアルコールが完全に溶解して懸濁するまで同じ温度で一定期間加熱した。次いで、最終混合物を溶融スプレー凝固ユニットで処理し、500~700ミクロンの粒子のマイクロ粒子を回収した。
【0089】
実施例3
L-アスコルビン酸、約90%のホスファチジルコリンを含有するヒマワリレシチン、カンデリラワックス、ステアリルアルコール、及び香料から製剤を調製した。具体的には、配合物は、42.5重量%のアスコルビン酸、20重量%のヒマワリレシチン、20重量%のカンデリラワックス、12.5重量%のステアリルアルコール、及び約5%のオレンジ油を有する。配合物は、アスコルビン酸及びホスファチジルコリンを含むヒマワリレシチンが、カンデリラワックス中に完全に懸濁されるまで、成分を70~75℃の加熱温度で混合及び攪拌することによって作製された。得られた混合物に、12.5重量%のステアリルアルコールを添加し、ステアリルアルコールが完全に溶解して懸濁されるまで、同じ温度で一定期間加熱した。最終混合物にオレンジ油を添加し、最終的に溶融スプレー凝固ユニットで処理し、500~700ミクロンのマイクロ粒子を生成した。
【0090】
実施例4
配合物を、48.2%w/wのL-アスコルビン酸、約90%のホスファチジルコリンを含有する13.3%w/wのヒマワリレシチン、23.5%w/wのカンデリラワックス、10%w/wのグリセロールモノステアレート、及び約5%w/wのオレンジ油から調製した。配合物を、全ての成分が70~75℃の加熱温度で完全に懸濁されるまで攪拌した。最終混合物を溶融スプレー凝固ユニットで処理し、500~700ミクロンの脂質マイクロ粒子を得た。
【0091】
実施例5
実施例2、3及び4のマイクロ粒子を、USP711に記載されている、溶解、特に遅延放出剤形について、標準及び方法論を使用して、溶解挙動について分析した。マイクロ粒子の一食分を、胃の条件をシミュレートする、0.1NのHClを有する溶解容器に120分間配置し、その後、更に300分間、溶解媒体を緩衝2%ラウリル硫酸ナトリウム(pH6.8)に切り替えた(シミュレートされた腸消化)。アリコートを8つの連続した異なる時点でサンプリングし、ビタミンCアッセイのためのいくつかの産業方法論に記載されているビタミンCアスコルビン酸分析に続いて、溶解したアスコルビン酸濃度について測定した。粉末充填サイズのHPMC硬質シェルカプセル中のそのままのコーティングされていないビタミンCも、対照及び比較のために同じ溶解様式に供した。結果を
図1に示す。
【0092】
溶解研究から、ビタミンCアスコルビン酸を含む粉末充填HPMCカプセルのクイックリリース溶解プロファイルが観察された。しかしながら、脂質マイクロ粒子からのビタミンCは、8時間の溶解期間を通して、延長及び遅延放出様式を示した。溶解研究は、脂質多粒状物からの保護されたビタミンCの大部分が、胃酸消化からの強制的な攻撃を迂回することができ、より良い吸収のために小腸で効果的に放出される可能性があることを確立した。
【0093】
本発明に対するこれらの及び他の修正及び変形は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者は、前述の説明が単なる例であり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように、本発明を限定することを意図しないことを理解するであろう。
【国際調査報告】